説明

ワーク搬送装置、並びにワーク処理装置及びワーク処理方法

【課題】吸着孔を小径化せずにワークの基準マークを検出することが可能なワーク搬送装置、並びにワーク処理装置及びワーク処理方法を提供する。
【解決手段】ノズルユニット50の吸着孔52は、ワーク100上面(被吸着面)の第1の基準マーク101を撮像装置70により撮像可能で、且つワーク100の上面の外形内側に収まる寸法及び形状を有する。透明体53は、吸着筒体51の他端(上端)を塞ぐ端面部である。透明体53は、吸着筒体51内部の負圧維持と撮像装置70の光透過を両立させる。撮像装置70は、ワーク100の第1の基準マーク101を最低2箇所撮像する。ここで、撮像は、吸着孔52に保持されたワーク100の被吸着面を、透明体53及び吸着孔52を通して撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばベアチップICなどの電子デバイス(ワーク)を搬送するワーク搬送装置、並びにワークを基板に搭載するワーク処理装置及びワーク処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、基板の基準マークとワークの基準マークとが同一方向を向いている場合において、ワークを基板に実装する際に、ワークの吸着に透明体ノズルを利用して、基板とワークの基準マークを前記透明体ノズルの吸着孔の外側部分を透過して同時撮像する技術を開示する。下記特許文献2は、拡散及び指向性の双方の性格を持つ照明装置の開口部をカメラの光軸と同軸配置した構成を開示する。下記特許文献3は、透明体ノズルを利用して、ワークの吸引と、上方からのワークの目視確認との両方を可能とした構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2003/041478号公報
【特許文献2】特開2004−069612号公報
【特許文献3】特開平10−308431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子デバイス、特にベアチップICなどの電子デバイスは、一般に図5のようなウェハにマトリクス状にパタンを積層配列して形成され、それを切断線に沿って切断することで個片の半導体部品となる。切断工程の歩留まり安定化のために、一般に切断線から所定の幅を切断代としてパタン等を形成しないことが通例となる(図6)。
【0005】
一般に、電子デバイスの位置を検出するための位置決めマークは、電子デバイスのパタンと同一工程(フォトリソグラフィー等)で形成されるので高精度が維持される。なお、位置決めマークの代用として、電子デバイスの表面に在るパタンを基準マークとして用いることもある。
【0006】
電子デバイス(以下「ワーク」)が小型化する中、昨今は□0.2mmを下回るワークも存在する。当然、実装装置で用いるワーク吸着ノズルの孔径もワークの一辺を下回る必要がある。
【0007】
さらに前記特許文献1の手法(透明体ノズルを透過して基準マークを検出)を採用しようとすると、透明体ノズルの吸着孔の径は、ワークの基準マーク配置に干渉しないようにさらに小径とする必要が出てくる。すなわち、透明体ノズルの吸着孔の範囲内にワークの基準マークが入らないようにするために、さらなる小径化が求められる。
【0008】
しかしながら、透明体に対する孔加工は既に加工限界に近付いているため、透明体ノズルの吸着孔の外側部分を透過してワークの基準マークを検出可能な吸着孔サイズとすることは非現実的である。具体的に説明すると、図7がワーク100の例で、基板110との接合面(下面)には接合電極102があり、位置合わせ用の基準マーク101(図7ではパタンを流用)はワーク100上面にある。なお、基板110上にも位置合わせ用の基準マーク111が設けられる。以下、ワーク100の基準マークを「第1の基準マーク」、基板110の基準マークを「第2の基準マーク」と表記する。図8(A)に示すように、比較的大きなワーク(従来のワーク)であれば、透明体ノズルの吸着孔の外側部分を透過してワークの第1の基準マークを検出可能である。しかし、図8(B)に示すように、小型化されたワーク(昨今のワーク)では、透明体ノズルの吸着孔を加工限界近くまで小径にしても、前記吸着孔の径内にパタンの全て又は大部分が収まってしまい、透明体ノズルの吸着孔の外側部分を透過してワークの第1の基準マークを検出することはできない。
【0009】
一方、吸着孔を通しての基準マークの検出は、図9(A)のように吸着孔に通じる吸引路がL字状に屈曲している場合、屈曲した部分の吸引路の内面(通常は円筒面)が視野に干渉するために不可能である。また、図9(B)のように吸引路が屈曲していない場合は、吸引の継ぎ手が視野に干渉し、やはり吸着孔を通しての基準マークの検出はできない。このように、ワークの小型化に伴い、ワーク上面の基準マークの認識が困難となってきている。
【0010】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、吸着孔を小径化せずにワークの基準マークを検出することが可能なワーク搬送装置、並びにワーク処理装置及びワーク処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、ワーク搬送装置である。このワーク搬送装置は、
ノズルユニットと、撮像装置とを備え、
前記ノズルユニットは、筒状部と、前記筒状部の一端に開口した吸着孔と、前記筒状部の他端を塞ぐ端面部と、吸引手段に連通する吸引孔とを有し、
前記端面部の少なくとも一部が透明であり、
前記吸着孔に保持されたワークの被吸着面を、前記撮像装置により、前記端面部及び前記吸着孔を通して撮像可能である。
【0012】
前記吸引孔が前記筒状部の側面に開口していてもよい。
【0013】
前記撮像装置の有する照明手段が同軸照明であってもよい。
【0014】
前記ワークの前記被吸着面上に第1の基準マークが設けられ、
前記撮像装置の撮像画像を基に、前記第1の基準マークから前記ワーク基準位置を算出可能な画像処理手段を備えてもよい。
【0015】
本発明の第2の態様は、ワーク処理装置である。このワーク処理装置は、
前記ワーク搬送装置と、
少なくとも一方の面に第2の基準マークが設けられた基板と前記基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板の前記第2の基準マークを含む画像を撮像可能な撮像装置とを備え、
前記画像処理手段は、前記撮像装置の撮像画像を基に、前記第2の基準マークから前記基板上の前記ワーク搭載目標位置を算出可能であり、
前記ノズルユニットの相対位置を制御するノズル相対位置制御手段は、前記第1の基準マークから算出された前記ワーク基準位置を前記ワーク搭載目標位置に一致させた状態で、前記ワークを前記基板に搭載する。
【0016】
前記第1及び第2の基準マークの双方を一つの撮像装置で撮像してもよい。
【0017】
本発明の第3の態様は、ワーク処理方法である。このワーク処理方法は、
第1の基準マークが設けられたワークを第2の基準マークが設けられた基板に搭載するワーク処理方法であって、
第2の基準マークを含む基板の画像を撮像装置により撮像する第1撮像工程と、
前記第1撮像工程における撮像画像を基に、前記第2の基準マークから前記基板上のワーク搭載目標位置を算出する工程と、
前記ワークを吸着保持したノズルユニットを、ノズル相対位置制御手段によって、前記ワークを撮像装置により撮像可能な位置に相対移動する相対移動工程と、
第1の基準マークを含む前記ワークの画像を前記撮像装置により撮像する第2撮像工程と、
前記第2撮像工程における撮像画像を基に、前記第1の基準マークから前記ワーク基準位置を算出する工程と、
前記ノズル相対位置制御手段により、前記第1の基準マークから算出された前記ワーク基準位置が前記ワーク搭載目標位置と一致するように前記ノズルユニットの相対位置を補正する補正工程と、
前記ワーク基準位置が前記ワーク搭載目標位置と一致した状態を維持しながら、前記ワークを前記基板上に搭載する工程とを含み、
前記ノズルユニットは、筒状部と、前記筒状部の一端に開口した吸着孔と、前記筒状部の他端を塞ぐ端面部と、吸引手段に連通する吸引孔とを有し、
前記第2撮像工程では、前記吸着孔に保持された前記ワークの被吸着面を、前記撮像装置により、前記端面部及び前記吸着孔を通して撮像する。
【0018】
前記相対移動工程では、前記ノズルユニットを、前記撮像装置と前記基板との間から退避した退避位置から、前記撮像装置と前記基板との間に相対移動し、
前記補正工程は、前記ノズルユニットが前記基板のワーク搭載位置の直上にある状態にて行ってもよい。
【0019】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現をシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ノズルユニットの筒状部の吸着孔とは反対側を塞ぐ端面部の少なくとも一部を透明とし、前記吸着孔に保持されたワークの被吸着面を前記端面部及び前記吸着孔を通して撮像するようにしたことで、小型化によって従来の技術では基準マークの認識が困難となったワークについても基準マークの検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係るワーク処理装置(ワーク搬送装置を含む)の概略側面図。
【図2】図1の要部拡大断面図。
【図3】図2のA矢視図。
【図4】図1等に示すワーク処理装置の動作説明図。
【図5】多数のワークを含むウェハの例示的な平面図。
【図6】複数のワークの拡大図。
【図7】基板に実装した状態のワークの説明図。
【図8】従来技術におけるワークの基準マーク認識の説明図。
【図9】従来技術におけるワーク実装時の装置断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0023】
以下に説明する実施の形態は、ベアチップICなどの電子デバイス(以下「ワーク」)の吸着をする吸着孔を通してワーク上面の基準マークを撮像して、位置決めを行うものである。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係るワーク処理装置1の概略側面図である。本図において、直交3軸であるXYZ軸の各方向を定義する。図2は、図1の要部拡大断面図である。図3(A)は、図2のA矢視図であって、ノズルユニット50の吸着孔52が円形である例を示す。図3(B)は、図2のA矢視図であって、ノズルユニット50の吸着孔52が方形である例を示す。
【0025】
処理対象のワーク100は、例えば図7に示されるとおりであり、被吸着面(Z+方向の面)には図3にも示すように位置合わせ用の第1の基準マーク101が存在する。第1の基準マーク101の位置が分かれば、ワーク100の位置が特定される関係にある。なお、第1の基準マーク101はパタンの一部を流用している。また、図7ではワーク100の下面に電極102があるが、これは任意であり限定されない。ワーク100を搭載する基板110にも図7に示すように第2の基準マーク111が存在する。第2の基準マーク111の位置が分かれば、基板110の位置が特定される関係にある。
【0026】
ワーク処理装置1は、ノズルユニット50と、撮像装置70と、制御部80と、基板保持手段90とを備える。ワーク処理装置1において、基板保持手段90以外の各要素はワーク搬送装置を成す。このワーク搬送装置を用いてワークを基板に位置決め搭載する装置がワーク処理装置1である。基板保持手段90は、基板ローダ、アンローダ等から構成され、基板110を位置決め保持する機能を有するものであり、その構成は周知なのでここでは説明を省略する。基板110のワーク搭載面(上面)は、XY平面と平行である。
【0027】
図2に示すように、ノズルユニット50は、筒状部としての吸着筒体51と、吸着孔52と、透明体53と、吸引孔54とを有する。吸着筒体51は、例えば円筒状の下端部をテーパー状にした形状であり、その中心軸はZ軸と平行である。吸着筒体51はの材質は特に限定されないが、例えば微細加工可能なアルミ等の金属製であってもよい。吸着孔52は、吸着筒体51の一端(下端、すなわちテーパー状の先端)に開口する。吸着孔52は、ワーク100上面(被吸着面)の第1の基準マーク101を撮像装置70により撮像可能で、且つワーク100の上面の外形内側に収まる寸法及び形状を有する。吸着孔52の孔形状は丸孔の他に、加工が可能であれば四角形などの多角形形状でもよい(図3参照)。吸着孔52を吸着筒体51の中心軸が通る。透明体53は、例えばガラスや石英等からなる平板形状であり、吸着筒体51の他端(上端)を塞ぐ端面部である。透明体53は、吸着筒体51内部の負圧維持と撮像装置70への光透過を両立させる。吸引孔54は、吸着筒体51の側面に開口し、不図示の吸引手段に連通する。吸引手段により吸着筒体51の内部を負圧に維持することで、吸着孔52にワーク100を吸着保持できる。
【0028】
ノズルユニット50は、XYZ軸方向に移動可能かつθ軸(吸着筒体51の中心軸と一致)を軸として回転可能に支持される。各駆動軸の役割は以下のとおりである。
X駆動軸:ワーク搬送用と基板とワークの基準を合わせる補正用。
Y駆動軸:ワーク搬送用と基板とワークの基準を合わせる補正用。
Z駆動軸:ワークピックアップおよびワーク搭載用。
θ駆動軸:基板とワークの基準を合わせる補正用。
なお、各駆動軸には駆動伝導機構を有するが、図1では一部不図示である。また、X駆動軸及びY駆動軸には搬送用として粗動、補正用として微動の各駆動伝導機構をさらに設けてもよい(図示省略)。こうした支持機構は公知であるが、以下、簡単に説明する。
【0029】
ノズルユニット50の支持機構(ノズルユニット支持機構)は、第1支持体10と、X軸レール11と、Xスライダ13と、第2支持体15と、Y軸レール17と、Y軸スライドガイド19と、Yスライダ20と、Z軸レール21と、Z軸スライドガイド23と、Zスライダ25と、θ軸駆動モータ31と、θ回転軸33と、θ軸駆動伝導部材35とを備える。
【0030】
基台2に固定の第1支持体10の壁面(XZ平面と平行)に、X軸方向に延びるX軸レール11が固定される。不図示のX軸駆動モータ及びX駆動軸によって、Xスライダ13がX軸レール11に沿ってスライドされる。Xスライダ13には第2支持体15が固定される。第2支持体15の壁面(YZ平面と平行)にY軸レール17が固定される。不図示のY軸駆動モータ及びY駆動軸によって、Yスライダ20がY軸スライドガイド19を介してY軸レール17に沿ってスライドされる。Yスライダ20にはZ軸レール21が固定される。不図示のZ軸駆動モータ及びZ駆動軸によって、Zスライダ25がZ軸スライドガイド23を介してZ軸レール21に沿ってスライドされる。Zスライダ25には、θ軸駆動モータ31が支持される。また、θ軸駆動モータ31によって回転されるθ回転軸33及びノズルユニット50の吸着筒体51がZスライダ25に軸受け等により回転自在に支持される。θ軸駆動伝導部材35は、一端がθ回転軸33に固定され、他端はノズルユニット50の吸着筒体51の側面を保持する。θ回転軸33と吸着筒体51の中心軸は同軸である。以上のとおり構成されたノズルユニット支持機構では、XYZθ各軸の駆動モータを制御することにより、ノズルユニット50をXYZ軸方向に移動可能かつθ軸について回転可能である。各駆動モータの制御は、制御部80のノズル位置制御部81が実行する。なお、制御部80は、例えば第1支持体10に内蔵され、ハードウェアとソフトウェアの協働によって実現される。
【0031】
撮像装置70は、基台2に固定、立設された撮像装置支持部材75に支持される(固定される)。撮像装置70は、レンズ71と、撮像素子72と、照明73と、スプリッタ74(ハーフミラー)とを有する。レンズ71は公知のものを焦点距離や倍率を適時適切なものを選択すればよい。レンズ71の光軸はZ軸と平行であり、ワーク100を撮像する際には前記光軸がノズルユニット50の吸着筒体51の中心軸と一致して吸着孔52の中心を通る。すなわち、撮像装置70は、透明体53及び吸着孔52を通して、吸着孔52に吸着保持されたワーク100を撮像する。撮像素子72はCCD、CMOSなどを任意に選択可能である。照明73及びスプリッタ74は同軸照明を構成する。すなわち、照明73からの光は、スプリッタ74によってレンズ71の光軸と平行に曲げられ、吸着孔52に照射される。なお、撮像装置70の照明は同軸照明が好ましいが、それに限定されない。
【0032】
制御部80の画像処理手段82は、撮像装置70と接続され(接続は不図示)、撮像装置70の撮像画像の画像処理を実行する。具体的には、画像処理手段82は、基板110の撮像画像を基に基板110の第2の基準マーク111の位置を特定し(算出し)、第2の基準マーク111の位置を基に基板110上のワーク100の搭載目標位置(すなわちワーク100の第1の基準マーク101の目標位置)を定義する(算出する)。搭載位置(目標位置)の情報は、XY座標とθ軸回りの角度を含む。また、画像処理手段82は、ワーク100の撮像画像を基にワーク100の第1の基準マーク101の位置(すなわちワーク100基準位置)を特定し(算出し)、前記目標位置とのずれ(すなわち必要な補正量)を導出する。なお、補正量は、XY方向の直線移動量及びθ軸回りの回転角度を含む。
【0033】
以下、本実施の形態の動作、すなわちワーク処理方法を説明する。
【0034】
図4は、図1等に示すワーク処理装置1の動作説明図である。初期状態では、図4(A)に示すように、基板保持手段90は撮像装置70の下方(光軸上)に基板110を位置決め保持し、ノズルユニット50は撮像装置70の撮像範囲から退避した位置にある。
【0035】
・第1撮像工程… 撮像装置70は、基板110の上面の第2の基準マーク111を最低2箇所撮像する。
・目標位置定義工程… 画像処理手段82は、前記第1撮像工程における撮像画像(第1画像データ)を基に第2の基準マーク111の位置を特定し(算出し)、特定した第2の基準マーク111の位置を基に、ワーク100の第1の基準マーク101の目標位置(すなわち基板110上におけるワーク100の搭載目標位置)を定義する(算出する)。
【0036】
・ノズル相対移動工程… ノズルユニット50はワーク100を吸着保持し、ノズル位置制御部81は、ノズルユニット支持機構の各駆動モータを制御して、ノズルユニット50を、図4(B)に示すようにワーク100を撮像装置により撮像可能な位置に相対移動する(基板110と撮像装置70との間であって、好ましくは基板110上の搭載位置の直上となる位置に相対移動する)。相対移動後、撮像装置70の光軸とノズルユニット50の筒状部51の中心軸とが略一致する。
・第2撮像工程… ワーク100の第1の基準マーク101を最低2箇所、撮像装置70により撮像する。ここで、撮像は、吸着孔52に保持されたワーク100の被吸着面を、透明体53及び吸着孔52を通して撮像する。なお、第1撮像工程との焦点距離の違いは、オートフォーカスなどの公知の手法で調節する。
【0037】
・ワーク現在位置特定工程… 画像処理手段82は、前記第2撮像工程における撮像画像(第2画像データ)を基に、ワーク100の第1の基準マーク101の現在位置(すなわちワーク100基準位置)を特定する(算出する)とともに、第1の基準マーク101の前記目標位置と前記現在位置との差、すなわち第1の基準マーク101の位置を目標位置に一致させるために必要な補正量を導出する(算出する)。
・ワーク位置補正工程… ノズル位置制御部81は、ノズルユニット支持機構の各駆動モータを制御して、第1の基準マーク101の位置(すなわちワーク100基準位置)が前記目標位置(すなわちワーク100の搭載目標位置)と一致するようにノズルユニット50の基板110との相対位置(XYθ方向)を補正する。
・ワーク搭載工程… ノズル位置制御部81は、図4(C)に示すように、ノズルユニット50をZ方向に下降させることにより、第1の基準マーク101の位置が前記目標位置と一致した状態を維持してワーク100を基板110上に搭載する。ワーク100の搭載方法は、超音波、銀ペースト、熱圧着等公知の手法を用いることができる。なお、本工程をZ方向への下降のみによって行う、すなわちXY方向への移動及びθ軸回りの回転をすることなく行うことで、XYθ軸の移動精度が含まれなくなるため、ワーク100の搭載位置精度が向上する。
【0038】
本実施の形態によれば、ノズルユニット50の吸着筒体51の吸着孔52とは反対側を塞ぐ端面部を透明体53で構成し、吸着孔52に保持されたワーク100の被吸着面を透明体53及び吸着孔52を通して撮像するようにしたことで、小型化によって従来の技術では基準マークの認識が困難となったワークについても基準マークの検出が可能となる。
【0039】
また、第1の基準マーク101及び第2の基準マーク111を同一の撮像装置70で撮像するため、構成が簡易で好ましい。
【0040】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0041】
第2の基準マーク111は、基板110の下面(Z−方向の面)に設けられてもよい。この場合、ワーク100の第1の基準マーク101を撮像する撮像装置70(第1の撮像装置)とは別に、基板110の第2の基準マーク111を撮像する第2の撮像装置及び照明装置(不図示)を追加で設ける。第2の撮像装置は撮像装置70との位置校正を公知の方法で行った上で使用する。ワーク100の位置補正は、ワーク100が基板110上の搭載位置の直上にある時に行うと、補正後のXYθ軸の移動精度が含まれなくなるため、搭載位置精度は向上する。なお、実施の形態と同様に基板110の上面に第2の基準マーク111が設けられている場合であっても、第2の基準マーク111を撮像する撮像装置を、ワーク100の第1の基準マーク101を撮像する撮像装置70とは別に設けてもよい。
【0042】
基板110の第2の基準マーク111は、基板全体で座標を定義する形でも、ワーク搭載箇所毎に座標を定義する形でもよい。
【0043】
ノズルユニット50の移動は、撮像装置70及び基板110に対する相対移動であればよく、撮像装置70及び基板110がノズルユニット50に対して動く構成であってもよい。
【0044】
撮像装置70は固定焦点であってもよく、その場合、第1撮像工程と第2撮像工程との間に、撮像装置支持部材75に設けられた不図示の撮像装置駆動手段により撮像装置70をZ方向に移動することで焦点を合わせればよい。
【0045】
ノズルユニット50の上端面(実施の形態の透明体53)は、撮像装置70が前記上端面及び吸着孔52を通してワーク100を撮像可能であれば、全面が透明である必要はない。また、ノズルユニット50は、全体が同材質で一体の透明体であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 ワーク処理装置
50 ノズルユニット
51 吸着筒体
52 吸着孔
53 透明体
54 吸引孔
70 撮像装置
80 制御部
90 基板保持手段
100 ワーク
101 第1の基準マーク
110 基板
111 第2の基準マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルユニットと、撮像装置とを備え、
前記ノズルユニットは、筒状部と、前記筒状部の一端に開口した吸着孔と、前記筒状部の他端を塞ぐ端面部と、吸引手段に連通する吸引孔とを有し、
前記端面部の少なくとも一部が透明であり、
前記吸着孔に保持されたワークの被吸着面を、前記撮像装置により、前記端面部及び前記吸着孔を通して撮像可能である、ワーク搬送装置。
【請求項2】
前記吸引孔が前記筒状部の側面に開口している請求項1に記載のワーク搬送装置。
【請求項3】
前記撮像装置の有する照明手段が同軸照明である請求項1又は2に記載のワーク搬送装置。
【請求項4】
前記ワークの前記被吸着面上に第1の基準マークが設けられ、
前記撮像装置の撮像画像を基に、前記第1の基準マークから前記ワーク基準位置を算出可能な画像処理手段を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のワーク搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載のワーク搬送装置と、
少なくとも一方の面に第2の基準マークが設けられた基板と前記基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板の前記第2の基準マークを含む画像を撮像可能な撮像装置とを備え、
前記画像処理手段は、前記撮像装置の撮像画像を基に、前記第2の基準マークから前記基板上の前記ワーク搭載目標位置を算出可能であり、
前記ノズルユニットの相対位置を制御するノズル相対位置制御手段は、前記第1の基準マークから算出された前記ワーク基準位置を前記ワーク搭載目標位置に一致させた状態で、前記ワークを前記基板に搭載する、ワーク処理装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の基準マークの双方を一つの撮像装置で撮像する請求項5に記載のワーク処理装置。
【請求項7】
第1の基準マークが設けられたワークを第2の基準マークが設けられた基板に搭載するワーク処理方法であって、
第2の基準マークを含む基板の画像を撮像装置により撮像する第1撮像工程と、
前記第1撮像工程における撮像画像を基に、前記第2の基準マークから前記基板上のワーク搭載目標位置を算出する工程と、
前記ワークを吸着保持したノズルユニットを、ノズル相対位置制御手段によって、前記ワークを撮像装置により撮像可能な位置に相対移動する相対移動工程と、
第1の基準マークを含む前記ワークの画像を前記撮像装置により撮像する第2撮像工程と、
前記第2撮像工程における撮像画像を基に、前記第1の基準マークから前記ワーク基準位置を算出する工程と、
前記ノズル相対位置制御手段により、前記第1の基準マークから算出された前記ワーク基準位置が前記ワーク搭載目標位置と一致するように前記ノズルユニットの相対位置を補正する補正工程と、
前記ワーク基準位置が前記ワーク搭載目標位置と一致した状態を維持しながら、前記ワークを前記基板上に搭載する工程とを含み、
前記ノズルユニットは、筒状部と、前記筒状部の一端に開口した吸着孔と、前記筒状部の他端を塞ぐ端面部と、吸引手段に連通する吸引孔とを有し、
前記第2撮像工程では、前記吸着孔に保持された前記ワークの被吸着面を、前記撮像装置により、前記端面部及び前記吸着孔を通して撮像する、ワーク処理方法。
【請求項8】
前記相対移動工程では、前記ノズルユニットを、前記撮像装置と前記基板との間から退避した退避位置から、前記撮像装置と前記基板との間に相対移動し、
前記補正工程は、前記ノズルユニットが前記基板のワーク搭載位置の直上にある状態にて行う、請求項7に記載のワーク処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−55207(P2013−55207A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192182(P2011−192182)
【出願日】平成23年9月3日(2011.9.3)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】