説明

三次元画像表示方法及びそれに使用する三次元画像表示装置

【課題】 三次元オブジェクトのデータがバッファに順次書き込まれるのに伴ってモニタに個々のオブジェクトの姿が順次表示されてゆくか、または全ての三次元オブジェクトのデータがバッファに書き込まれた後にモニタに全てのオブジェクトの姿が一斉に表示されるかのいずれかであったため、一つの画面が完成するまでどの程度の待ち時間があるのか、または現在どの程度描画が進んでいるのか等の情報が与えられない。
【解決手段】 予め二次元画像として初期三次元画像を用意し、この二次元画像にはたとえば「フォグ(霧)効果」等のような色を抑えるためのフィルタ処理を行なっておく。そして最初の1回のみそのようなフィルタ処理を行なった画像を表示する。即ち、一番最初だけ初期三次元限画像を二次元化した画像が色を抑えた画像として表示され、それ以降は順次三次元画像が二次元画像上に重畳して表示される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は三次元画像表示方法及び三次元画像表示装置に関し、所謂コンピュータグラフィックス、特に三次元空間を対象としたコンピュータグラフィックスに関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータグラフィックスは最近あらゆる分野で利用されており、特に所謂マルチメディアの発展に伴って、通信路を通じて遠隔地とのコミュニケーションにも用いる試みが進んでいる。たとえばある地点に設置されているサーバに三次元立体モデルのデータを格納しておき、その立体モデルのデータを遠隔地のクライアント端末にたとえばインターネットを経由してロードすることにより表示するというようなコミュニケーションが可能になっている。
【0003】ところで、本発明が前提とするシステムは第1には、描画すべき三次元空間が複数用意されており、それらの内のある一つの空間内において視点を自由に移動することが可能な所謂「ウォークスルー」を可能とするという特徴を有する。
【0004】たとえば図17の模式図に示されているように、ある一つの室内空間(第1空間SP1)がいくつかの立体モデルOBの集合によって構成されており、この部屋に隣合うもう一つの室内空間(第2空間SP2)は別のいくつかの立体モデルOBの集合で構成されており、更に両空間SP1, SP2間は接続点としてのエントランスEを介して相互に接続しているものとする。
【0005】たとえばいま、視点PVが「ウォークスルー」によって第1空間SP1 から第2空間SP2 へエントランスEを通って移動する場合には、移動先の第2空間SP2 のデータをデータベースから読み出して画面に表示する必要が生じる。しかし、読み出すべき第2空間SP2 の立体モデルのデータが大量にあって、データベースと表示端末間の通信容量が小さい場合には、第1空間SP1 から第2空間SP2 への部屋移動に伴う画面の切り換えに長い待ち時間が生じる。換言すれば、第1空間SP1が表示されている状態から第2空間SP2 が表示されるまでの待ち時間が長くなる。
【0006】図18のブロック図に、上述のような三次元空間表示のための従来のシステム構成例を示す。以下、この図18を参照してより具体的に説明する。
【0007】図18において、参照符号51は三次元データベース(以下、3Dデータベースと言う) であり、三次元空間を構成する立体(以下、オブジェクトと言う) のデータが格納されている。但し、前述の図17の模式図に示されているように、三次元空間が複数に区切られている場合 (図17の例では第1空間SP1 と第2空間SP2 との二つの空間に区切られている) 、それぞれの空間SP1, SP2内のオブジェクトのデータは一つのデータグループとして管理される。
【0008】参照符号52は現在視点が位置している空間に関するデータを3Dデータベース51から読み出すためのリーダである。このリーダ52により3Dデータベース51から読み出されたデータは3D描画部53に与えられる。
【0009】3D描画部53では、リーダ52が読み出したデータに基づいて、また視点情報設定部54から与えられる視点情報、即ちどの位置からどの方向を見ているかを示す情報に従って、各オブジェクトについて幾何計算, 色計算等を行なってその結果を3Dフレームバッファ55に書き込む。
【0010】このような個々のオブジェクトを描画する動作が反復されることにより、3Dフレームバッファ55上に順次各オブジェクトの三次元画像が描画され、やがて一つの三次元画面が完成してモニタ56に表示される。
【0011】このような従来のシステムを利用して前述の図17に示されているような複数の三次元空間(以下、3D空間と言う)間を移動する場合について以下に考察する。なお、各3D空間 (図17の例では第1空間SP1 及び第2空間SP2)にはいくつかの立体モデル、即ちオブジェクトOBがそれぞれ配置されているとする。そして、たとえば第1空間SP1 内に現在の視点PVが位置しており、経路Pに沿うある方向に向かってウォークスルーをしているとする。
【0012】第1空間SP1 から他の第2空間SP2 に視点PVが移動する際に空間の切り換えが行なわれてモニタ56に表示されている三次元画像も切り換えられるが、その際に次に視点PVが位置されるべき第2空間SP2 の情報を新たに3Dデータベース51から読み出して3Dフレームバッファ55に画像を描画する必要が生じる。一般に、立体モデル集合のデータ量は非常に大きく、その3Dフレームバッファ55への読み込みにはかなりの時間を要する。しかし、現実の世界では、一つの部屋から他の部屋、即ち第1空間SP1 から第2空間SP2 へスムーズに視点PVを移動することが可能であるのに対して、上述のような従来のシステムを利用した三次元画像表示の手法では、部屋と部屋との境界(たとえばドア)において視点移動がスムーズには行なえず、待ち時間が発生することになる。
【0013】また、本発明が前提とするシステムは第2には、一つの三次元空間を構成するオブジェクトが複数存在するという特徴を有する。
【0014】たとえば、一つの三次元空間を構成するオブジェクトの数をN個とすると、従来の手法では、3Dデータベース51にそれらのN個のオブジェクトのデータが格納されており、それらをリーダ52が各オブジェクト単位で順次読み出し、3D描画部53がそれぞれのオブジェクトについて視点情報設定部54から与えられる視点情報に従って幾何計算や色計算を行ない、その結果を3Dフレームバッファ55に書き込むという動作を反復して、一つの画面が作成される。
【0015】従って従来は、3Dフレームバッファ55にオブジェクトのデータが順次書き込まれるのに伴ってモニタ56に個々のオブジェクトの姿が順次表示されてゆくか、または全てのオブジェクトのデータが3Dフレームバッファ55に書き込まれた後にモニタ56に全てのオブジェクトの姿が一斉に表示されるかのいずれかであった。
【0016】前者の場合には、モニタ56を見ている利用者には、一つの画面が完成するまでどの程度の待ち時間があるのか、または現在どの程度描画が進んでいるのか等の情報が与えられないため、あとどの程度待てばよいのかが不明であり、手持ち無沙汰な状態を強いられることになる。
【0017】また後者の場合は、3Dフレームバッファ55に描画がすべて完成するまでモニタ56の画面表示が消えるか、またはそれまでの表示状態がそのまま静止画像で維持されるため、上述同様の問題がある。
【0018】
【特許文献1】特開平1−250288号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】一般に三次元立体モデルは複雑な形状であるほどデータ量が多くなり、従って立体モデルのデータを格納しているデータベースシステム(サーバ)と表示端末(クライアント)間の通信容量が小さい場合には、通信時間の延びによって描画している空間から別の空間への移動に著しく時間がかかることになる。従って、その移動待ち時間を利用者にどのようにして長く感じさせないようにするか、が解決すべき課題である。
【0020】本発明では複数の三次元空間にわたって「ウォークスルー」を行なうことを可能とし、ある空間に視点が最初に入った時点でその空間内の立体モデルのデータを、データベースからロードする形態を前提としている。従って、利用者にそのような表示の切り換えの際の待ち時間をいかに短く感じさせるか、また次に表示されようとしている画面がどのようなものかをいかに迅速に利用者に伝達するか、等が解決すべき課題となる。
【0021】本発明の目的は上述のようにして、ある空間から別の空間に視点を移動した際に、新たに視点が移動した空間を表示すために必要な待ち時間中の表示状態を改善することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】課題を解決するための第1の手段としては、予め2D画像として初期3D画像を用意するが、この2D画像にはたとえば「フォグ(霧)効果」等のような色を抑えるためのフィルタ処理を行なっておく。そして最初の1回のみそのようなフィルタ処理を行なった画像を表示する。即ち、一番最初だけ初期3D画像を二次元化した2D画像が色を抑えた画像として表示され、それ以降は順次3D画像が2D画像上に重畳して表示される。
【0023】この場合、3D画像は本来の色で表示されるため、画面内で色を抑えた箇所は3D画像として未処理であり、濃い色で表示されている箇所は既に3D画像として処理済みのオブジェクトであることが利用者には明確に識別できる。このことにより、利用者は3D描画がどの程度まで進んでいるかを即座に知ることができる。
【0024】課題を解決するための第2の手段としては、3Dフレームバッファ (三次元画像記憶手段) の内容に第1の手段同様の色抑え効果(たとえばフォグ効果)を有するフィルタ処理を施して再度3Dフレームバッファに書き戻して画面に表示する。その際、ある決められた時間間隔、または3D描画部 (三次元画像描画手段) でのオブジェクト描画の進行に伴って上述の処理を反復する。そして、色の抑えの程度を処理回数の増加に伴って段階的に小さくしてゆき、3D描画が完了する時点では色抑えが無い状態にする。
【0025】課題を解決するための第3の手段としては、3Dオブジェクトを格納したデータベース内でのデータの配列を並べ換えることにより、オブジェクトを所望の順序、たとえば視点から近い順, 等位順等で読み出すことで実現する。
【0026】一般に三次元画像を表示する際には視点に近い物体から順に見えてゆくことが自然である。従って、視点と各オブジェクトとの間の距離を計算して視点から近い順に表示してゆく。このためには、視点位置情報からデータベース内の各オブジェクトまでの距離を計算し、それを小さい順(あるいは逆)にソーティングし、その結果に基づいてデータベース内のオブジェクトデータの配列位置を変更するか、または順序を示すフラグを立てる。そして、配列順またはフラグで指示されている順序に従って順にデータベースからデータを読み出して表示する。
【0027】課題を解決するための第4の手段としては、3Dオブジェクトの粗い形状データから順次精細な形状データの順に段階的にデータを読み出して表示してゆく。このためには、一つのオブジェクトに関して粗い形状から細かい形状までの多段階のデータを予め作成してデータベースに登録しておく必要がある。
【0028】課題を解決するための第5の手段としては、第4の手段と同様の目的ではあるが、データベースからオブジェクトデータを読み出した後の段階で粗い形状データを計算によって求め、それを順次3D画像として表示する。この場合には、粗い形状のデータをデータベース内に予め格納しておく必要はない。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。まず、本発明が適用される三次元画像表示装置について説明する。この三次元画像表示装置は、端的には、ウォークスルーをしている視点位置と、他の空間に移動可能な場所(たとえばドア等、これらを以下エントランスと言う)との距離を常時計算しており、その距離が所定値以下になった時点で、そのエントランスに接続している空間のデータのデータベースからの読み出し(以下、予測読み出しと言う) を始める。
【0030】この予測読み出しの処理は、ウォークスルーによる視点の移動に伴う表示状態の変更のための処理(以下、視点の移動処理と言う) に必要な種々のプロセスとは別プロセスによって並行して実行される。従って、予測読み出しの実行中においても、視点の移動処理は行なわれる。
【0031】図3は本発明が適用される三次元画像装置が対象とする空間の例を示す模式図であり、第1空間SP1 乃至第5空間SP5 が存在し、それぞれが少なくとも一つの他の空間と接続点 (エントランス) を有している。この図3に示されているように、視点PV が現在位置している空間(第1空間SP1)と、この第1空間SP1 と直接または間接的に接続している他の空間をそれぞれ第2空間SP2,第3空間SP3 ・・・とし、各エントランスをEk(SPi, SPj)と記述する。SPi とSPj とにはそのエントランスを介して直接移動可能な空間名を記述し、SPi とSPj とが同一となるエントランスが複数ある場合には”2”以上の添字kで区別する。なお、現在の視点は第1空間SP1 に位置しているので、SPi =SP1 である。
【0032】更に、現在の時刻をtとし、視点PVの現在位置をe(t)とする。そして、視点PVの現在位置e(t)と、視点PVが現在位置している空間、即ち第1空間SP1 が有する全てエントランスEk(SP1, SPj)との距離が各時刻で計算され、その距離の値が予め設定されている閾値以下になった空間SPj に関して、その空間のデータの予測読み出しが開始される。
【0033】但し、それ以降の時刻において空間SPj から視PVが離れた、換言すれば視点PVとエントランスEk(SP1, SPj)との距離が閾値以上になった場合には、空間SPj に関するデータの予測読み出しは中断される。
【0034】以上のような処理を行なうことにより、視点PVがあるエントランスに近づいた場合に、そのエントランスを通じて接続している他の空間のデータの予測読み出しが開始される。これは、エントランスに近付くという情報に基づいて次に視点PVが移動する空間がある程度予測可能であることを利用しており、視点PVが他のある空間と接続するエントランスに近付いた時点からその空間のデータの予測読み出しが開始されることにより、実際のその空間に視点PVが進入した場合の画面の切り換えの際の待ち時間が短縮される。
【0035】以下、図1の本発明が適用される三次元画像表示装置の構成例を示すブロック図, 図2の予測読み出しの手順を示すフローチャート及び前述の図3の模式図を参照して具体的に説明する。なお、図1においては、前述の従来例の説明で参照した図18と同一の参照符号は同一又は相当部分を示している。
【0036】図1において、参照符号51は記憶手段として機能する三次元データベース(以下、3Dデータベースと言う) であり、三次元空間を構成する立体モデル、(以下、3Dオブジェクトと言う) の幾何モデルデータが格納されている。但し、前述の図3の模式図に示されているように、三次元空間が複数に区切られている場合 (図3の例では第1空間SP1 乃至第5空間SP5 の五つの空間に区切られている) 、それぞれの空間SP1, SP2…内の3Dオブジェクトのデータは一つのデータグループとして管理される。
【0037】参照符号52は、3Dデータベース51から一つの空間単位でデータを読み出し、三次元描画手段として機能する3D描画部53へ転送する読み出し手段として機能するリーダである。このリーダ52は視点PVが現在位置している空間に関するデータを3Dデータベース51から読み出して3D描画部53に与えることは従来例と同様であるが、本発明では更に、後述するエントランス判定部58から与えられる指示に従って、視点PVが現在位置している空間とは異なる他の空間のデータをも3Dデータベース51から読み出し、後述する待機メモリ59に与える。これらの二種類の処理は並列実行可能である。
【0038】3D描画部53では、リーダ52が読み出したデータに基づいて、また視点情報設定部54から与えられる視点情報、即ちいずれの位置から見ているかを示す情報に従って、各オブジェクトについて三次元のグラフィックス計算、即ち幾何計算, 色計算等を行なってその結果を三次元像記憶手段として機能する3Dフレームバッファ55に書き込む。
【0039】このような個々のオブジェクトを3Dフレームバッファ55に描画する動作が反復されることにより、3Dフレームバッファ55上に一つの三次元画面が完成し、表示手段として機能するモニタ56に表示される。
【0040】なお、視点情報設定部54には入力手段としての入力デバイス57から視点の現在位置を示す情報が与えられる。この入力デバイス57は、具体的にはたとえばモニタ56の画面上でのポインタの位置情報、あるいは所謂ヘッドマウントディスプレイ等から得られる位置情報等が与えられ、視点情報設定部54はそれらの情報に基づいて視点情報、即ち視点PVの現在の位置及び視線方向等を3D描画部53に設定する。
【0041】入力デバイス57から視点情報設定部54に入力された視点位置情報は、現在の視点位置の情報として3D描画部53に与えられる他、予測手段として機能するエントランス判定部58にも与えられる。エントランス判定部58は、上述の如く、視点PVの現在位置からいずれのエントランスに最も近いか、換言すれば視点PVが次にいずれの空間へ移動する可能性が大きいかを示す情報を生成し、リーダ52に与える。これにより、前述の如く、リーダ52は視点PVが現在位置している空間のデータを3Dデータベース51から読み出して3D描画部53に与えると共に、それと並行して視点PVが次に移動する可能性が最も大きいと判定された空間(以下、次候補空間と言う)のデータを3Dデータベース51から読み出して一時記憶手段として機能する待機メモリ59に与える予測読み出しの処理を開始する。
【0042】なお、待機メモリ59に与えられたデータは一旦保持された後、実際に視点がその空間(次候補空間)へ移動した場合に3D描画部53に与えられる。但し、いずれのエントランスと視点PVとの間の距離が所定値以上になったような場合、換言すれば次候補空間が消滅したには、予測読み出しの処理は中止される。また、次候補空間が別の空間に変わった場合にはその新たな次候補空間を対象として予測読み出しの処理が行なわれる。
【0043】次に、図2のフローチャート及び図3の模式図を参照して、実際の処理手順について説明する。なお、図4は各空間相互を接続するエントランスの情報が登録されたテーブルの構造性を示す模式図である。
【0044】前提として、3Dデータベース51には各空間SP1, SP2…単位で立体モデルのデータがまとめて格納されており、各空間SP1, SP2…相互を接続しているエントランスに関する情報も図4に示されているようなテーブルとして登録されているとする。
【0045】まず、従来例と同様に、視点PVが現在位置している空間(以下、初期空間SPxと言い、ここでは第1空間SP1 とする) のデータがリーダ52により3Dデータベース51から読み出されてモニタ56の画面に表示される (ステップS11)。そして、エントランス判定部58は視点情報設定部54から与えられる視点位置情報から視点PVの現在の位置が次候補空間SPy であるか否かを判定する (ステップS12)。なお、次候補空間SPy とは、後述するように、視点PVが次に移動する可能性が高い空間のことである。
【0046】ステップS12 において両者が一致する場合は、後述するステップS19 へ処理がジャンプする。両者が一致しない場合にはエントランス判定部58は、視点PVの現在位置に基づいて、初期空間SPx が有するエントランスの全て (第1空間SP1 には4か所のエントランスE1(SP1, SP2), E2(SP1, SP2), E1(SP1, SP5), E1(SP1,SP4)がある) を順に検索する (ステップS13)。そして、視点PVの現在位置e(t)と初期空間SPx(第1空間SP1)が有する各エントランスの位置との間の距離をエントランス判定部58が計算し、それが所定の閾値以下であるか否かを判定する (ステップS14)。
【0047】具体的には、図4に示されているように、各エントランスの位置座標は予めテーブルに登録されているため、エントランス判定部58はこの座標値と視点PVの現在位置e(t)との間のユークリッド距離を計算し、それが予め設定されている閾値以下であるエントランスを探し、複数存在する場合にはそれらの内の最小値のエントランスを探す。
【0048】このステップS14 での処理の結果、条件を満たすエントランスが無い場合にはステップS12 へ処理が戻される。条件を満たすエントランスが有る場合には、そのエントランスが前回の判定結果のエントランスと比較される (ステップS15)。両者が一致する場合には現在実行中の予測読み出しが継続され (ステップS20)、その後ステップS12 へ処理が戻される。両者が一致しない場合は次候補空間が変わったことを意味しているので、その時点まで予測読み出しの対象となっていた次候補空間SPy(第2空間SP2)に関する予測読み出しを中止し (ステップS17)、エントランスEで初期空間SPx と接続する新たな次候補空間SPz に関する予測読み出しを開始する (ステップS18)。この後はステップS11 へ処理が戻される。
【0049】なお、ステップS12 において初期空間と次候補空間とが一致した場合には、視点PVが次候補空間へ移動したことを意味しているので、待機メモリ59の内容が視点情報設定部54に与えられて3Dフレームバッファ55に描画される (ステップS19)。これにより、次候補空間の画像が比較的迅速にモニタ56の画面に表示されることになる。
【0050】以上のようなステップS11 以下の予測読み出しの処理手順が、所定時間間隔で反復されることにより、本発明の第1の実施の形態では、視点位置が次に移動する可能性が最も高い空間 (次候補空間) のデータが予め3Dデータベース51からリーダ52により読み出されて待機メモリ59に格納されているので、視点が他の空間へ実際に移動した場合には、その空間のデータを3Dデータベース51から読み出して3Dフレームバッファ55に描画するよりは迅速に待機メモリ59から3Dフレームバッファ55に描画することが可能になる。
【0051】次に、本発明が適用される三次元画像表示装置の他の例について説明するが、システム構成の基本は前述の図1に示されている例と同様であり、エントランス判定部58による次候補空間の予測判定方法のみが異なる。
【0052】この例では、視点の現在位置e(t)のみならず、視野の方向に関する情報をも加味して次に移動する空間、即ち次候補空間を予測する。なお、上述の例の場合と同様に、ある時点においてデータの3Dデータベース51からの読み出しを開始した場合においても、それ以降のある時点においてエントランスの位置が視野内に存在しなくなった場合にはデータの3Dデータベース51からの読み出しは中断する。
【0053】以下、具体的に説明するが、基本的な処理は上述の例の場合と同様であるので、エントランス判定部58による判定方法についてのみ、視線ベクトルとエントランス位置との関係を示す図5の模式図を参照して説明する。
【0054】エントランス判定部58では、視線方向を中心軸として角度幅θで設定した円錐の視野を想定し、この円錐の視野内にエントランスが存在するか否を判定する。具体的には、図5の模式図に示されているように、視点の現在位置e(t)=(ex, ey, ez)を通る視線ベクトルをV(t)なる三次元ベクトルで示すとする。
【0055】まずエントランス判定部58は、三次元ベクトルV(t)に対して角度θだけの拡がりを有する細長い円錐形の視野内にエントランスが存在するか否を計算する。エントランス判定部58は、視野内にエントランスが存在しなければ次候補空間は無いものとして予測読み出しを行なわず、視野内に複数のエントランスが存在する場合は視点PVとの距離が最小のエントランスを選択し、そのエントランスを対象として予測読み出しを行なう。
【0056】ところで、あるエントランスの位置座標をP(x, y, z)とし、角度θの円錐形の視野内にエントランスが存在するか否かは、視点の現在位置e(t)と点座標Pとを結ぶベクトルと三次元ベクトルV(t)(以下、Vとする)との間の角度αがθ以下であるか否かで判定可能である。
【0057】ここで角度αはeとPとを結ぶ三次元ベクトルQとVとの外積として求められる。
【0058】
ベクトルQ = ベクトルP − ベクトルe = (x−ex, y−ey, z−ez)
sinα = (ベクトルQとベクトルVの外積の絶対値)/ (ベクトルQの長さ)*(ベクトルVの長さ)
sinα < sinθ ならば点Pは視野角内に存在する。
【0059】これらの条件を満たすエントランスが複数見つかった場合は、ベクトルQの長さが最小のものを次候補空間として採用する。このような計算を前述の図3のフローチャートのステップS13 で全てのエントランスについて行なえば、ある時刻の視点位置と視点方向に対して角度θの視野範囲に存在するエントランスを発見することが可能である。
【0060】ところで、以上の例は、視点がある空間から他の空間へ移動する場合の画面の切り換えに際して、新たな空間を表示するためのデータを3Dデータベース51から待機メモリ59に予め読み出しておく予測読み出しを行なうことにより、視点の位置がある空間から他の空間へ移動したことが判明した時点からの3Dフレームバッファ55への必要なデータの書き込みに要する時間そのものを短縮するための手法である。
【0061】しかしそれでもなお、待機メモリ59のデータを3D描画部53に移して3Dフレームバッファ55に描画しても、モニタ56の画面上に実際に画像が表示されるまでにはある程度の時間が必要であり、その間は画面にはなにも表示されないか、またはそれまでの表示状態がそのまま静止画像で維持されるため、利用者にとっては手持ち無沙汰な状態を強いられることになる。このような事情から、本発明の以下の各実施の形態においては、モニタ56の画面上に完全な3D画像が表示されるまでの間の表示状態を工夫して利用者の手持ち無沙汰な状態を解消することを図っている。
【0062】〔第1の実施の形態〕本発明の第1の実施の形態においては、初期3D画像を予め二次元化した2D画像を用意するが、この2D画像(初期3D画像)にはたとえば後述する「フォグ(霧)効果」等のフィルタ処理を利用して色を抑える処理を行なう。そして、最初の1回目においてのみフォグ効果を利用した画像を表示する。即ち、最初の一回目の表示の際にのみ2D画像(初期3D画像を二次元化した画像)が色を抑えた状態で表示され、その後は順次3D画像が2D画像上に上書き表示されてゆく。
【0063】このような手法では、3D画像は本来の色で表示されるため、画面内で色が抑えられている部分は3D描画が未処理であり、濃い色で表示されている部分は3D描画が既に終了したオブジェクトであるということが利用者には明確に識別可能になる。このことにより、利用者は3D描画がどの程度進行しているかを即座に認識することが可能になる。
【0064】ところで、フォグ効果の実際は一例としては以下のような計算方法によることが可能である。たとえば3Dフレームバッファ55(図6参照)内の一つの画素が三原色(赤(R),緑(G),青(B))で表現されているとする。この場合、たとえば”0”以上”1”以下の範囲の値をとる定数kを使って、r=R*k, g=G*k, b=B*kなる画素値r, g, bを計算により求め、これを一つの画素(r, g, b)とすると、簡単なフォグ効果が得られる。
【0065】なお、上述のようなフォグ効果のみならず、簡単な計算によって元の画素値より値を下げた画素値が容易に得られる操作であれば、他の処理手法を利用することも勿論可能であることは言うまでもない。
【0066】以下、第1の実施の形態の構成例を示す図6のブロック図及び表示状態を示す図7の模式図を参照して具体的に説明する。
【0067】図6において、参照符号51は三次元データベース(3Dデータベース) であり、三次元空間を構成する立体、即ちオブジェクトのデータが格納されていることは前述の本発明が適用される三次元画像表示装置と同様であるが、この第1の実施の形態では、各エントランスから各空間を見た初期3D画像を二次元化した2D画像のデータも格納されている。
【0068】参照符号52は視点PVが現在位置している空間に関するデータを3Dデータベース51から読み出すためのリーダである。このリーダ52により3Dデータベース51から読み出されたデータは3D描画部53に与えられる。なお、空間の切り換えが行なわれる場合には、3Dデータベース51から初期3D画像に対応する2D画像のデータがリーダ52によって読み出され、2D描画部62へ転送される。
【0069】3D描画部53では、リーダ52が読み出したデータに基づいて、また視点情報設定部54から与えられる視点情報、即ちいずれの位置から見ているかを示す情報に従って、各オブジェクトについて幾何計算, 色計算等を行なってその結果を3Dフレームバッファ55に書き込む。3Dフレームバッファ55に書き込まれた画像はモニタ56へ送られて表示される。
【0070】2D描画部62は、空間の切り換えが行なわれた場合に与えられる初期3D画像に対応する2D画像のデータを3Dフレームバッファ55に描画する。この2D描画部62にはフィルタ強度設定手段として機能するフォグパラメータ設定部71が接続されている。フォグパラメータ設定部71には”0”以上”1”以下の範囲の値の任意のフォグパラメータが設定可能である。
【0071】このような本発明の第1の実施の形態の動作は以下の如くである。いま、視点がある空間内に位置しているとすると、従来例と同様にして、リーダ52が3Dデータベース51から読み出したデータを視点情報設定部54から与えられる位置情報に従って3D描画部53が3Dフレームバッファ55に描画することにより、モニタ56の画面にはその空間内の画像が表示されている。
【0072】このような状態から空間の切り換えが行なわれると、視点情報設定部54から与えられる視点情報に従って3Dデータベース51から初期3D画像を表示するためのデータがリーダ52によって読み出される。この初期3D画像を表示するためのデータには2D画像のデータが含まれており、3Dフレームバッファ55経由で2D描画部62に転送される。
【0073】ところで前述の如く、フォグパラメータ設定部71には予めフォグ効果のパラメータ、即ちフォグパラメータk(0≦k≦1)が設定されている。2D描画部62はこのフォグパラメータ設定部71に設定されているフォグパラメータkを2D画像の各画素値(R, G, B)に乗じて新しい画素値(r, g, b)を求め、その結果を3Dフレームバッファ55に書き込む。3Dフレームバッファ55に書き込まれた画像はモニタ56の画面に表示される。この表示状態を図7(a) に示す。ここでは、フォグパラメータ設定部71により設定されたフォグパラメータkに応じて色が抑えられた2D画像が表示される。
【0074】次に、リーダ52は3Dデータベース51の先頭からまず一つのオブジェクトのデータを読み出し、3D描画部53へ転送する。3D描画部53は空間が切り換えられた場合の初期状態として予め設定されている視点位置情報と3Dデータベース51から読み出されたオブジェクトデータとに基づいて三次元の描画計算を行なって3Dフレームバッファ55に描画を行なう。このようにして一つのオブジェクトの3Dフレームバッファ55への描画が完了すると、図7(b) に示されているように、そのオブジェクトの画像のみがモニタ56の画面上に明瞭に表示される。
【0075】以下、同様にリーダ52は3Dデータベース51から順次他のオブジェクトのデータの読み出し及び3Dフレームバッファ55への描画を行ない、やがて一つの空間の全データの読み出し及び3Dフレームバッファ55への描画が完了する。この状態では図7(c) に示されているように、明瞭な初期3D画像がモニタ56の画面に表示される。
【0076】このように本発明の第1の実施の形態では、視点位置が別の空間に移動して空間の切り換えが行なわれる際には、初期3D画像が表示されるまでの間にそれを二次元化した画像を更にフォグパラメータにより色を抑えた画像が表示され、その後に実際に表示されるべき初期3D画像が順次重畳して表示されてゆく。従って、利用者にとってはどの程度まで3D画像の描画進んでいるかが容易に認識可能になる。
【0077】〔第2の実施の形態〕次に第2の実施の形態について説明するが、この第2の実施の形態では、データベースから読み出されたデータに対して上述の第1の実施の形態と同様の色抑えのためのフィルタ処理(たとえばフォグ効果)を施し、再度3Dフレームバッファ55に戻して画面表示する。その際、ある決められた時間間隔、または3D描画部53でのオブジェクト描画の進行に伴って、上述のような処理を反復する。また同時に、色の抑え処理の回数進行に伴ってフォグパラメータを”0”または”0”に近い値から段階的に”1”に近付けてゆき、3D描画が完了する時点では色抑え処理をしない状態、即ちフォグパラメータを”1”にする。換言すれば、フォグパラメータkを、最初は”0”にしておき、処理回数が進むにつれて段階的に漸増させ、最後は”1”になるように制御する。
【0078】この第2の実施の形態によれば、最初は3D描画結果の表示は色が薄く、その後に3D描画が進むに伴って色が濃くなってゆくという画面効果が得られる。これにより、利用者は3D描画がどの程度進行しているかを直観的に把握することができる。
【0079】以下、第2の実施の形態の構成例を示す図8のブロック図及び表示状態を示す図9の模式図を参照して具体的に説明する。
【0080】図8において、参照符号51は三次元データベース(3Dデータベース) であり、三次元空間を構成する立体、即ちオブジェクトのデータが格納されていることは前述の本発明が適用される三次元画像表示装置と同様である。
【0081】参照符号52は視点が現在位置している空間に関するデータを3Dデータベース51から読み出すためのリーダである。このリーダ52により3Dデータベース51から読み出されたデータは3D描画部53に与えられる。
【0082】3D描画部53では、リーダ52が読み出したデータに基づいて、また視点情報設定部54から与えられる視点情報、即ちいずれの位置から見ているかを示す情報に従って、各オブジェクトについて幾何計算, 色計算等を行なってその結果を3Dフレームバッファ55に書き込む。3Dフレームバッファ55に書き込まれた画像は一旦2D描画部62に転送される。
【0083】2D描画部62にはフィルタ強度変更手段として機能するフォグパラメータ更新部72が接続されている。2D描画部62は、3Dフレームバッファ55に描画された画像に対してフォグパラメータ更新部72にその時点で設定されているフォグパラメータに従って色抑え処理を施し、その結果を再度3Dフレームバッファ55に描画する。フォグパラメータ更新部72は”0”〜”1”の範囲で段階的にフォグパラメータkを更新する。
【0084】このような本発明の第2の実施の形態の動作は以下の如くである。いま、視点がある空間内に位置しているとすると、従来例と同様にして、リーダ52が3Dデータベース51から読み出したデータを視点情報設定部54から与えられる位置情報に従って3D描画部53が3Dフレームバッファ55に描画することにより、モニタ56の画面にはその空間内の画像が表示されている。
【0085】このような状態から空間の切り換えが行なわれると、視点情報設定部54から与えられる視点情報に従って3Dデータベース51から初期3D画像を表示するためのデータがリーダ52によって読み出され、視点情報設定部54により3Dフレームバッファ55に描画されると共に、その結果が2D描画部62に転送される。具体的には、リーダ52は3Dデータベース51の先頭からまず一つのオブジェクトのデータを読み出し、3D描画部53へ転送する。3D描画部53は空間が切り換えられた場合の初期状態として予め設定されている視点位置情報と3Dデータベース51から読み出されたオブジェクトデータとに基づいて三次元の描画計算を行なって3Dフレームバッファ55に描画を行なう。
【0086】ところで、3Dフレームバッファ55に描画された3D画像は所定の時間間隔または3Dフレームバッファ55にオブジェクトが一つ描画される都度、2D描画部62へ転送される。ここでは一例として、3Dフレームバッファ55への描画処理済みのオブジェクトの数に基づいて3Dフレームバッファ55上のデータが2D描画部62へ転送されるものとする。
【0087】2D描画部62にはフォグパラメータ更新部72が接続されているが、このフォグパラメータ更新部72はフォグパラメータkを以下のように逐次変更する。即ち、フォグパラメータ更新部72に予め初期設定されているフォグパラメータkをk0とする。更に、更新定数をd(ここでは、d=(1−k0)/Nに設定しておく)として、3D描画部53がオブジェクトを一つ描画処理してその結果が2D描画部62に転送される都度、以下のようにフォグパラメータkを更新する。
【0088】k ← k+d
【0089】このようにフォグパラメータの更新を行なうことにより、最初はk=k0から始まり、全てのオブジェクトが処理された時点ではk=1となる。このフォグパラメータkを使ってフォグ効果を発揮させる。具体的には、3D描画部53がオブジェクトを一つ描画処理すると、2D描画部62はその時点を更新タイミングとして3Dフレームバッファ55の内容を一旦読み出し、その画像の画素値(R, G, B)に対してフォグパラメータ更新部72により更新されているフォグパラメータkを乗じて画素値(r, g, b)に変換した後に3Dフレームバッファ55に書き戻す。
【0090】このようにしてまず最初の一つのオブジェクトの3Dフレームバッファ55への描画が完了すると、図9(a) に示されているように、その最初の一つのオブジェクトの画像のみが色を抑えたフォグ効果付きでモニタ56の画面上に表示される。
【0091】以下、同様にリーダ52は3Dデータベース51から順次他のオブジェクトのデータの読み出し及び3Dフレームバッファ55への描画を行ない、次のもう一つのオブジェクトの3Dフレームバッファ55への描画が完了すると、図9(b) に示されているように、最初の一つのオブジェクトと次の一つのオブジェクトの画像が色を抑えたフォグ効果付きで、しかし最初の一つのオブジェクトのみが表示されていた状態よりは濃い色でモニタ56の画面上に表示される。
【0092】やがて一つの空間の全データの読み出し及び3Dフレームバッファ55への描画が完了する。この状態では図9(c) に示されているように、明瞭な初期3D画像がモニタ56の画面に表示される。
【0093】このように本発明の第2の実施の形態では、視点位置が別の空間に移動して空間の切り換えが行なわれる際には、初期3D画像が完全な状態に表示されるまでの間に、個々のオブジェクトが表示される都度、フォグパラメータにより色を抑えた状態から完全な状態までに段階的に表示される。従って、利用者には3D描画がどの程度進行しているかが認識可能になる。
【0094】〔第3の実施の形態〕第3の実施の形態では、3Dオブジェクトを格納したデータベースを操作することにより、オブジェクトを最適な順序で読み出すようにする。
【0095】一般に、三次元画像を描画する際には視点に近い物体から遠い物体の順に見えるように表示すれば自然な感じが得られる。従って、この第3の実施の形態では原則として、視点と各オブジェクトとの間の距離を予め計算し、各オブジェクトを視点から近い順に3D描画する。但し、何らかの事情、たとえば特殊な画面効果を得るために各オブジェクトを視点から遠い順に3D描画するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0096】具体的には、視点位置情報に従ってデータベース内の各オブジェクトと視点位置との間の距離を計算し、それを小さい順(あるいは逆)にソーティングし、その結果に基づいてデータベース内のオブジェクトデータの配列を変更するか、順序を示すフラグを立てておく。3Dデータベースから3Dデータが読み出される場合には、データベースの先頭から、あるいは順番フラグの小さいものから順に読み出され、3D描画が行なわれる。
【0097】以下、第3の実施の形態の構成例を示す図10のブロック図,従来の表示状態を示す図11の模式図及び本第3の実施の形態の表示状態を示す図12の模式図を参照して具体的に説明する。
【0098】図10において、参照符号51は三次元データベース(3Dデータベース) であり、三次元空間を構成する立体、即ちオブジェクトのデータが格納されていることは前述の本発明が適用される三次元画像表示装置と同様である。なお、3Dデータベース51には後述するソータ73接続されている。
【0099】参照符号52は視点PVが現在位置している空間に関するデータを3Dデータベース51から読み出すためのリーダである。このリーダ52により3Dデータベース51から読み出されたデータは3D描画部53に与えられる。
【0100】3D描画部53では、リーダ52が読み出したデータに基づいて、また視点情報設定部54から与えられる視点情報、即ちいずれの位置から見ているかを示す情報に従って、各オブジェクトについて幾何計算, 色計算等を行なってその結果を3Dフレームバッファ55に書き込む。3Dフレームバッファ55に書き込まれた画像はモニタ56へ送られて表示される。
【0101】ここで、分類手段として機能するソータ73について説明する。視点位置情報を(ex, ey, ez)のように三次元空間内の座標値で表現すると、ソータ73は視点情報設定部54から与えられる視点位置情報と3Dデータベース51内の各オブジェクトデータとをを比較し、視点位置からの距離が短いもの順に番号を付ける。
【0102】具体的には以下の如くである。3Dデータベース51内の個々のオブジェクトをOj(j=1〜N)とする。オブジェクトOjを構成する点座標を(xi, yi, zi)(但し、iは点の番号)とし、オブジェクトOjを囲むバウンダリボックス、即ちオブジェクトOjを含む仮想的な直方体の位置を計算する。バウンダリボックスは三次元空間内の2点a, bで表現することが可能であり、この座標を(xa, ya, za), (xb, yb, zb)とすると、a, bは以下のようにして求められる。
【0103】
xa = Min(xi), ya = Min(yi), za = Min(zi)xb = Max(xi), yb = Max(yi), zb = Max(zi)
【0104】ここで Min演算, Max演算はオブジェクトOj内の点座標全てにわたる最小値,最大値を求める計算である。
【0105】バウンダリボックスの重心(xgj, ygj, zgj)については、a点, b点の中点を求めればよい。従って、以下のようにして視点位置から各オブジェクトOjの重心までの距離Djが求められる。
Dj = √{(xgj −ex)*(xgj −ex)+(ygj −ey)*(ygj −ey)+(zgj −ez)*(zgj −ez)}
【0106】このDjを全てのオブジェクトについて計算し、その結果から小さい順に3Dデータベース51内のオブジェクトデータの配置を並べ換える。並べ換えはたとえばクィックソートのような公知技術を使えば容易に可能である。この処理を行なった後に、リーダ52が3Dデータベース51の先頭からオブジェクトを読み出し、3D描画を行なえば視点から近い位置にあるオブジェクトから順に画面に表示可能になる。
【0107】このような本発明の第3の実施の形態の動作は以下の如くである。いま、視点がある空間内に位置しているとすると、従来例と同様にして、リーダ52が3Dデータベース51から読み出したデータを視点情報設定部54から与えられる位置情報に従って3D描画部53が3Dフレームバッファ55に描画することにより、モニタ56の画面にはその空間内の画像が表示されているとする。
【0108】このような状態から空間の切り換えが行なわれると、視点情報設定部54から与えられる視点情報に従って、ソータ73は上述のようにして3Dデータベース51内のオブジェクトデータを視点位置から近い順に並べ換える。この処理を行なった後に、3Dデータベース51から初期3D画像を表示するためのデータがリーダ52によって読み出され、3D描画部53により3Dフレームバッファ55に描画され、モニタ56の画面に表示される。
【0109】たとえば、従来であれば、図11(a), (b)及び(c) に示されているように、空間内のいずれのオブジェクトからモニタ56に表示されるかは不明であったが、第3の実施の形態によれば、図12(a), (b)及び(c) に示されているように、視点位置に近いオブジェクトから順にモニタ56の画面上に表示される。
【0110】なお、ある空間へ通じているエントランスが一つのみである場合には、その空間の初期3D画像の視点の位置は判明しているので、各オブジェクトのデータをソータ73により予め視点位置 (初期3D画像の視点位置) から近い順に並べ換えておけばよい。但し、複数のエントランスが通じている空間に関しては、その空間を表示する必要が生じる都度、ソータ73による並べ換えを行なうか、または各エントランスそれぞれに対応して予め並べ換えを行なっておくことも勿論可能である。
【0111】このように本発明の第3の実施の形態では、視点位置が別の空間に移動して空間の切り換えが行なわれる際には、初期3D画像が視点位置に近い側から除々に表示されるため、利用者には3D描画がどの程度進行しているかが認識可能になると同時に、画面の近景から段階的に表示されるため、利用者に手持ち無沙汰な状態を強いる可能性は減少する。
【0112】〔第4の実施の形態〕次に第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態では、3Dオブジェクトの粗い形状データから順次細かい形状データを読み出して表示してゆくようにする。このため、各オブジェクトについて粗い形状から細かい形状までのデータを多段階に予め作成してデータベースに登録しておく必要がある。しかし、利用者は3D世界のおおまかな配置や形状を予め知ることができ、また粗い形状から最終的な形状を想像する楽しみも与えられる。
【0113】以下、第4の実施の形態の構成例を示す図13のブロック図, 及び表示状態を示す図15の模式図を参照して具体的に説明する。
【0114】図13において、参照符号51は三次元データベース(3Dデータベース) であり、三次元空間を構成する立体、即ちオブジェクトのデータが格納されていることは前述の本発明が適用される三次元画像表示装置と同様である。なお、3Dデータベース51には、詳細は後述するが、3Dオブジェクトについて粗い形状から細かい形状までのデータを多段階に予め作成するための間引き手段として機能するLOD(Level-Of-Detail)作成部74が接続されている。この LOD作成部74は、3D描画を開始する前に予め3Dデータベース51内の各オブジェクトについて粗い立体データから細かい立体データまで多段階のオブジェクトデータを自動的に作成して3Dデータベース51に本来のデータと共に追加登録する。
【0115】参照符号52は視点PVが現在位置している空間に関するデータを3Dデータベース51から読み出すためのリーダである。このリーダ52により3Dデータベース51から読み出されたデータは3D描画部53に与えられる。
【0116】3D描画部53では、リーダ52が読み出したデータに基づいて、また視点情報設定部54から与えられる視点情報、即ちいずれの位置から見ているかを示す情報に従って、各オブジェクトについて幾何計算, 色計算等を行なってその結果を3Dフレームバッファ55に書き込む。3Dフレームバッファ55に書き込まれた画像はモニタ56へ送られて表示される。
【0117】このような本発明の第4の実施の形態の動作について、 LOD作成部74によるテーブルの生成方法を示す図14の模式図及び表示状態を示す図15の模式図を参照して具体的に説明する。
【0118】3D描画を開始する前にまず、 LOD作成部74が予め3Dデータベース51内の各オブジェクトについて粗い立体データから細かい立体データまで多段階のオブジェクトデータを自動的に作成して3Dデータベース51に本来のデータと共に追加登録しておく。
【0119】LOD作成部74による処理は以下の如くである。3Dデータベース51内の一つのオブジェクトを構成するデータは図14の模式図に示されているようなような形式になっているとする。ここではオブジェクトを構成する面(ポリゴン)データが登録されたポリゴンテーブル(L-TABLE), 面データを構成する辺データが登録された辺テーブル(E-TABLE), 辺データを構成する点データが登録された点テーブル(P-TABLE)という階層構造をとる。
【0120】いま、オブジェクトがポリゴン1, ポリゴン2・・・ポリゴンPで構成されているとする。 LOD作成部74はL-TABLE から機械的にたとえば偶数番目のポリゴンを間引いてポリゴン1, ポリゴン3・・・という系列を別のポリゴンテーブル(L-TABLE 2)に書き込む。次に、 LOD作成部74はL-TABLE 2に書き込まれた各ポリゴンデータについて、それに対応した辺データを検索する。たとえばポリゴン1を構成する辺をe1, e2, e3・・・とすると、上述同様に偶数番目の辺を間引いてe1, e3・・・という新しい系列を作り、ポリゴン1に対応した辺データ領域に書き込む。従って、L-TABLE 2内のポリゴン1の項は辺e1, e3・・・となる。
【0121】以上の操作が完了した後、L-TABLE 2内に出現する辺データのみを新たな辺テーブルE-TABLE 2に登録する。その後、更にE-TABLE 2内に出現する点データのみを新たな点テーブルP-TABLE 2に登録する。このような手順で LOD作成部74がL-TABLE 2, E-TABLE 2及びP-TABLE 2を作成すると、この三つのテーブルで表現される新たなオブジェクトは本来のオブジェクトを約半分の面で表現した粗い立体モデルとなる。
【0122】粗さを多段階としてモデルを自動作成するには、データの飛び越し量を適宜に設定することにより上述同様の処理を反復すれば、たとえばオリジナルモデルを含めて全部で(m+1)段階の粗さのモデル作成が必要な場合には、最初にデータの飛び越し量をmに設定し、以下m−1, m−2, ・・・, 1の順に設定して上述同様の処理を反復すればよい。
【0123】以上のような処理を行なうことにより、一つのオブジェクトの段階的な複数の粗いモデルが新規に作成されると、 LOD作成部74はそれらのデータを3Dデータベース51の先頭に挿入して登録する。このような処理を行なうことにより、リーダ52は各オブジェクトのデータを読み出す際には、最も粗いモデルのデータを各オブジェクトに関してまず読み出し、図15(a) に示されているような各オブジェクトを粗い画像として表示する。次には、リーダ52は二番目に粗いデータを各モデルに関して読み出し、図15(b) に示されているような各オブジェクトをやや精細な画像として表示する。以下、同様にして段階的に粗いモデルのデータから順に読み出してモニタ56に表示してゆく。3Dデータベース51の後半には各オブジェクトのオリジナルのデータが格納されているため、最後の段階には、図15(c) に示されているように、モニタ上の粗いモデルはオリジナルのモデルに上書きされる。
【0124】このように本発明の第4の実施の形態では、視点位置が別の空間に移動して空間の切り換えが行なわれる際には、初期3D画像を構成する各オブジェクトが非常に粗い画像としてまず表示され、順次的に精細な画像に上書きされて最後に本来の画像が表示されるため、利用者に手持ち無沙汰な状態を強いる可能性は減少する。
【0125】〔第5の実施の形態〕ところで、上述の第4の実施の形態では、ただでさえ大量のデータ容量が必要な3Dデータを格納する3Dデータベース51により以上の容量が要求されることになる。従って、3Dデータベース51の容量に余裕が無い場合には第4の実施の形態とほぼ同様の効果が得られる以下のような第5の実施の形態が好ましい。
【0126】第5の実施の形態では、データベースからオブジェクトデータを読み出した後に粗い形状データを計算によって求め、それを順次表示する手法を採る。従って、予め粗い形状データを作成してデータベース内に格納しておく必要はない。
【0127】以下、第5の実施の形態の構成例を示す図16のブロック図を参照して具体的に説明する。図16のブロック図に示されているように、この第5の実施の形態では、 LOD作成部74が3Dデータベース51に接続しているのではなく、リーダ52と3D描画部53との間に位置している。他の構成は図13に示されている第4の実施の形態と同様である。
【0128】このような本発明の第5の実施の形態の動作は以下の如くである。ここでは一例として、全部で(m+1)段階の粗さのモデルを表示する場合について説明する。
【0129】最初に LOD作成部74には粗さのパラメータとしてmが設定される。リーダ52が3Dデータベース51から読み出した一つのオブジェクトのオリジナルデータが LOD作成部74に入力されると、 LOD作成部74は上述の第4の実施の形態の場合と同様の処理を行なって新たな粗いオブジェクトテーブル(L-TABLE 2, E-TABLE 2及びP-TABLE 2)を自動作成し、これらのテーブルに記述されたデータを一つのオブジェクトのデータとして3D描画部53へ転送する。3D描画部53はその粗さmのモデルを3Dフレームバッファ55に描画する。リーダ52が3Dデータベース51から最後のオブジェクトを検出すると、次には粗さのパラメータをm−1に設定して再度、上述同様の処理を行なう。これにより今回は粗さ(m─1)の立体モデルが LOD作成部74で自動作成され、3Dフレームバッファ55に3D描画されてモニタ56に表示される。
【0130】以上の処理を反復することにより、最後に粗さ0のモデル作成を行なえば本来の画像がモニタ56の画面に表示されることになる。なお、この第5の実施の形態の表示状態は前述の第4の実施の形態の表示状態と同様である。
【0131】このように本発明の第5の実施の形態では、第4の実施の形態同様に、視点位置が別の空間に移動して空間の切り換えが行なわれる際には、初期3D画像を構成する各オブジェクトが非常に粗い画像としてまず表示され、順次的に精細な画像に上書きされて最後に本来の画像が表示されるため、利用者に手持ち無沙汰な状態を強いる可能性は減少する。
【0132】なお、前述の第4の実施の形態とこの第5の実施の形態との相違は、粗い画像のデータを予めデータベースに格納しておくか、実際の表示の際にその都度作成するかであるため、データベースの容量, 画像処理速度の程度等に応じていずれかを利用することが望ましい。
【0133】
【発明の効果】以上に詳述した如く本発明によれば、利用者は三次元画像の描画が完了するまでの間、描画される画像に関する何らかの情報を予め用意した画面から得られる。特にその画面が現在描画計算している画像の最終結果を二次元化した画像であれば、次の画面を予め知ることが可能になる。
【0134】更に、フォグ効果が順次薄れてゆくなどの画面効果が得られるフィルタ処理を利用した場合には、3D描画がどの程度進行したかを利用者が直観的に把握可能になる。またある空間の情景から別の空間の情景が除々に現れるため、利用者の心理的負担が軽減される。
【0135】更にまた、次の3D画面がどのような配置でどのような物が見えるか、などといった情報が優先的に見られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される三次元画像表示装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の装置の予測読み出しの手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明が適用される三次元画像表示装置が対象とする空間の例を示す模式図である。
【図4】エントランスの情報が登録されたテーブルの構成例を示す模式図である。
【図5】視線ベクトルとエントランス位置との関係を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図7】第1の実施の形態の画面表示の模式図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図9】第2の実施の形態の画面表示の模式図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図11】従来の画面表示の模式図である。
【図12】第3の実施の形態の画面表示の模式図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図14】LOD作成部によるテーブルの生成方法を示す模式図である。
【図15】第4の実施の形態及び第5の実施の形態の画面表示の模式図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図17】本発明が前提とする三次元空間の模式図である。
【図18】従来のシステム構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
51 3Dデータベース
52 リーダ
53 3D描画部
54 視点情報設定部
55 3Dフレームバッファ
56 モニタ
57 入力デバイス
58 エントランス判定部
59 待機メモリ
62 2D描画部
63 2Dフレームバッファ
64 スイッチャ
71 フォグパラメータ設定部
72 フォグパラメータ更新部
73 ソータ
74 LOD作成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 記憶手段に記憶されたデータに基づいて三次元画像を表示する三次元画像表示方法において、前記記憶手段に記憶されているデータを読み出して三次元画像として表示する際の初期条件を予め決定し、前記初期条件に従って表示した三次元画像を二次元化し、更に所定のフィルタ処理を施した二次元初期画像を予め作成し、前記記憶手段に記憶されているデータを読み出して三次元画像として表示する際に、前記フィルタ処理した二次元初期画像を最初に表示し、この二次元初期画像上に三次元画像を重畳表示することを特徴とする三次元画像表示方法。
【請求項2】 記憶手段に記憶されたデータに基づいて三次元画像を表示する三次元画像表示方法において、前記記憶手段に記憶されているデータを読み出して三次元画像として表示する際に、前記記憶手段からのデータの読み出しの進行に伴って除々に弱くなるように段階的に所定のフィルタ処理を施しつつ複数回の表示を行ない、最後に前記記憶手段から読み出されたデータを前記フィルタ処理を行なわずに表示することを特徴とする三次元画像表示方法。
【請求項3】 記憶手段に記憶された複数の立体モデルのデータに基づいて、個々の立体モデルの三次元画像を順次的に表示することにより全体の三次元画像を表示する三次元画像表示方法において、前記記憶手段に記憶されているデータを読み出して三次元画像として表示する際に、前記複数の立体モデルの与えられた視点の位置からの三次元的な距離の順に個々の立体モデルのデータを読み出して順次的に表示することを特徴とする三次元画像表示方法。
【請求項4】 記憶手段に記憶された複数の立体モデルのデータに基づいて、個々の立体モデルの三次元画像を順次的に表示することにより全体の三次元画像を表示する三次元画像表示方法において、前記複数の立体モデルのデータそれぞれについて、データの間引きの程度を段階的に変化させた複数のモデルを予め作成して前記記憶手段に登録し、前記記憶手段に記憶されているデータを読み出して三次元画像として表示する際に、間引きの程度が大きいデータから小さいデータの順に段階的に変化させつつ、各段階において全ての立体モデルのデータを前記記憶手段から読み出して表示を行ない、最後に間引きを行なっていないデータを前記記憶手段から読み出して表示を行なうことを特徴とする三次元画像表示方法。
【請求項5】 記憶手段に記憶された複数の立体モデルのデータに基づいて、個々の立体モデルの三次元画像を順次的に表示することにより全体の三次元画像を表示する三次元画像表示方法において、前記記憶手段に記憶されているデータを読み出して三次元画像として表示する際に、データの間引きの程度を大から小へ段階的に変化させつつ、各段階において全ての立体モデルのデータを前記記憶手段から読み出して表示を行ない、最後にデータの間引きを行なわずにデータを前記記憶手段から読み出して表示を行なうことを特徴とする三次元画像表示方法。
【請求項6】 三次元空間を表示するためのデータを記憶した記憶手段と、三次元空間を表示するためのデータを前記記憶手段から読み出すデータ読み出し手段と、三次元画像を記憶する三次元画像記憶手段と、前記データ読み出し手段が前記記憶手段から読み出したデータを前記三次元画像記憶手段に描画して記憶させる三次元描画手段と、前記画像記憶手段に描画された画像を表示する表示手段とを備えた三次元画像表示装置において、前記三次元画像記憶手段に二次元画像を所定のフィルタ処理を施しつつ描画する二次元画像描画手段と、前記二次元描画手段による所定のフィルタ処理の強度を設定するフィルタ強度設定手段とを備え、前記記憶手段は、前記記憶手段に記憶されているデータを読み出して三次元画像として表示する際の条件として予め定められた初期条件に従って表示した三次元画像を二次元化した二次元初期画像を記憶し、前記読み出し手段は、最初に前記記憶手段に記憶されている二次元初期画像のデータを読み出して前記二次元描画手段に与え、その後に三次元空間を表示するためのデータを前記記憶手段から読み出して前記三次元描画手段に与え、前記二次元描画手段は、前記読み出し手段から与えられた二次元初期画像のデータに前記フィルタ強度設定手段に設定されている強度のフィルタ処理を施して前記三次元画像記憶手段に描画し、前記三次元描画手段は、前記読み出し手段から与えられた三次元空間を表示するためのデータを、前記三次元画像記憶手段に前記二次元描画手段が描画した二次元初期画像上に重畳して描画すべくなしてあることを特徴とする三次元画像表示装置。
【請求項7】 三次元空間を表示するためのデータを記憶した記憶手段と、三次元空間を表示するためのデータを前記記憶手段から読み出すデータ読み出し手段と、三次元画像を記憶する三次元画像記憶手段と、前記データ読み出し手段が前記記憶手段から読み出したデータを前記三次元画像記憶手段に描画して記憶させる三次元描画手段と、前記画像記憶手段に描画された画像を表示する表示手段とを備えた三次元画像表示装置において、前記三次元画像記憶手段に二次元画像を所定のフィルタ処理を施しつつ描画する二次元画像描画手段と、前記二次元描画手段による所定のフィルタ処理の強度の設定値を所定のタイミングの都度、段階的に”0”まで変更するフィルタ強度変更手段とを備え、前記二次元描画手段は、前記三次元描画手段により前記三次元画像記憶手段に描画された三次元画像に対して、前記所定のタイミングの都度、前記フィルタ強度設定手段により設定されている設定値のフィルタ処理を施して前記三次元画像記憶手段に描画すべくなしてあることを特徴とする三次元画像表示装置。
【請求項8】 個々の立体モデルの三次元画像を順次的に表示するための複数の立体モデルのデータを記憶した記憶手段と、三次元空間を表示するためのデータを前記記憶手段から個々の立体モデル単位で順次的に読み出すデータ読み出し手段と、三次元画像を記憶する三次元画像記憶手段と、前記データ読み出し手段が前記記憶手段から読み出したデータを前記三次元画像記憶手段に描画して記憶させる三次元描画手段と、前記画像記憶手段に描画された画像を表示する表示手段とを備えた三次元画像表示装置において、前記記憶手段に記憶されている個々の立体モデルのデータを、個々の立体モデルの与えられた視点の位置からの三次元的な距離の順に分類する分類手段を備え、前記読み出し手段は、前記分類手段により分類された順に個々の立体モデルのデータを前記記憶手段から読み出すべくなしてあることを特徴とする三次元画像表示装置。
【請求項9】 個々の立体モデルの三次元画像を順次的に表示するための複数の立体モデルのデータを記憶した記憶手段と、三次元空間を表示するためのデータを前記記憶手段から個々の立体モデル単位で順次的に読み出すデータ読み出し手段と、三次元画像を記憶する三次元画像記憶手段と、前記データ読み出し手段が前記記憶手段から読み出したデータを前記三次元画像記憶手段に描画して記憶させる三次元描画手段と、前記画像記憶手段に描画された画像を表示する表示手段とを備えた三次元画像表示装置において、前記記憶手段に記憶されている前記複数の立体モデルのデータそれぞれについて、データの間引きの程度を段階的に変化させた複数のモデルを作成して前記記憶手段に登録する間引き手段を備え、前記読み出し手段は、間引きの程度が大きいデータから小さいデータの順に段階的に変化させつつ、各段階において全ての立体モデルのデータを前記記憶手段から読み出し、最後に間引きを行なっていないデータを前記記憶手段から読み出すべくなしてあることを特徴とする三次元画像表示装置。
【請求項10】 個々の立体モデルの三次元画像を順次的に表示するための複数の立体モデルのデータを記憶した記憶手段と、三次元空間を表示するためのデータを前記記憶手段から個々の立体モデル単位で順次的に読み出すデータ読み出し手段と、三次元画像を記憶する三次元画像記憶手段と、前記データ読み出し手段が前記記憶手段から読み出したデータを前記三次元画像記憶手段に描画して記憶させる三次元描画手段と、前記画像記憶手段に描画された画像を表示する表示手段とを備えた三次元画像表示装置において、前記記憶手段から前記読み出し手段が読み出した前記複数の立体モデルのデータそれぞれについて、データの間引きの程度を段階的に”0”まで変化させつつ間引き処理して前記三次元描画部に与える間引き手段を備えたことを特徴とする三次元画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図18】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2003−303351(P2003−303351A)
【公開日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−33820(P2003−33820)
【分割の表示】特願平7−290170の分割
【出願日】平成7年11月8日(1995.11.8)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】