説明

三次元画像表示装置

【課題】注目部位の変更に伴う操作者の利便性の低下を防止することができ、さらに、注目部位と非注目部位との位置関係を加味した注目部位の観察を容易に行うことができる三次元画像表示装置を提供する。
【解決手段】三次元画像表示装置1において、被検体の複数の部位を三次元表示する表示部4と、部位毎の通常表示条件に基づいて各部位を表示部4に表示させる手段と、表示した各部位から希望する部位を指定する第1入力操作を受け付ける第1操作部5と、第1操作部5に対する第1入力操作に応じて、表示した各部位を注目部位又は非注目部位としてそれぞれ特定する手段と、特定した注目部位の通常表示条件に基づいて、特定した注目部位を表示部4に表示させ、特定した注目部位の通常表示条件より透明度が高く注目部位に対する非注目部位の位置が視認可能である透明表示条件に基づいて、特定した非注目部位を表示部4に表示させる手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元画像を表示する三次元画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元画像表示装置は、被検体の複数の部位を重ね合わせて三次元表示する表示装置である。ここで、複数の部位を重ね合わせて表示する三次元表示としては、マルチオブジェクト表示が挙げられる。このマルチオブジェクト表示では、三次元データから各部位が切り出され、それらの部位毎の表示条件(オパシティカーブ:Opacity Curve、輝度、透明度)が予め設定されている。その部位毎の表示条件に基づいて、各部位は重ね合わされ同時に表示される。
【0003】
このようなマルチオブジェクト表示に代表される三次元表示装置では、各部位が同列に表示され、各部位の視認が困難になってしまう。そこで、各部位の視認を容易にするため、各部位に差異を生じさせて表示する場合には、予め、各部位の表示条件をそれぞれ異ならせて設定しておく必要がある(例えば、特許文献1参照)。また、ユーザである操作者が注目する注目部位だけを表示する三次元表示装置では、一度、各部位を表示し、その後、操作者により指定された非注目部位をカットして注目部位だけを表示する場合が多い。
【特許文献1】特開2003−36448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の各部位に差異を生じさせて表示する三次元表示装置においては、注目部位の視認を容易にする場合、注目部位が目立つように各部位の表示条件を予め設定すればよいが、操作者が別の部位に注目する場合、すなわち注目部位を変える場合、各部位の表示条件を再設定する必要が生じるため、操作者の利便性が低下してしまう。
【0005】
また、前述の注目部位だけを表示する三次元画像表示装置においては、注目部位を変える場合、各部位の全表示から作業をやり直す必要が生じるため、操作者の利便性が低下してしまう。さらに、非注目部位がカットされて表示されておらず、注目部位と非注目部位との位置関係を視認することが不可能になるため、注目部位と非注目部位との位置関係を加味した注目部位の観察(診断)が困難になってしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、注目部位の変更に伴う操作者の利便性の低下を防止することができ、さらに、注目部位と非注目部位との位置関係を加味した注目部位の観察を容易に行うことができる三次元画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る特徴は、三次元画像表示装置において、被検体の複数の部位を三次元表示する表示部と、複数の部位毎の通常表示条件に基づいて複数の部位を表示部に表示させる手段と、表示した複数の部位から希望する部位を指定する第1入力操作を受け付ける第1操作部と、第1操作部に対する第1入力操作に応じて、表示した複数の部位を注目部位又は非注目部位としてそれぞれ特定する手段と、特定した注目部位の通常表示条件に基づいて、特定した注目部位を表示部に表示させ、特定した注目部位の通常表示条件より透明度が高く注目部位に対する非注目部位の位置が視認可能である透明表示条件に基づいて、特定した非注目部位を表示部に表示させる手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、注目部位の変更に伴う操作者の利便性の低下を防止することができ、さらに、注目部位と非注目部位との位置関係を加味した注目部位の観察を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図9を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る三次元画像表示装置1は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)等の制御部2と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ3と、画像を表示する表示部4と、操作者からの入力操作を受け付ける操作部5と、各種プログラムや各種データ等を記憶する記憶部6と、外部装置との通信を行う通信部7とを備えている。これらの各部は、バス8により電気的に接続されている。
【0011】
制御部2は、記憶部6に記憶された各種プログラムや各種データ等に基づいて、各部を制御する。特に、制御部2は、各種プログラムや各種データ等に基づき、操作部5に対する入力操作に応じて各部を制御する。また、制御部2は、各種プログラムや各種データ等に基づいて、各種データの計算又は加工等を行う一連のデータ処理及び画像を表示する画像表示処理等を実行する。
【0012】
メモリ3は、制御部2が実行する起動プログラム等を記憶するメモリであって、制御部2のワークエリアとして機能するメモリである。なお、起動プログラムは、三次元画像表示装置1の起動時に制御部2により読み出されて実行される。
【0013】
表示部4は、三次元画像をカラー表示する表示装置であって、被検体の複数の部位を重ね合わせた三次元画像を表示する表示装置である。この表示部4としては、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等を用いる。ここで、被検体の各部位は、例えば、心臓、肺、胃、骨及び血管等の各物体である。これらの部位が重ね合わされ、表示部4の表示画面に同時に三次元表示される。また、各部位は回転可能、すなわち、あらゆる角度から視認可能に表示される。
【0014】
操作部5は、操作者により入力操作される入力部であって、被検体の各部位から希望する部位を指定する第1入力操作等を受け付ける入力部である。特に、操作部5は、第1入力操作として、部位の表示領域内の位置を指定する位置指定操作を受け付ける。例えば、操作者が、操作部5を入力操作して部位の表示領域内をクリックすると、操作部5はそのクリック指定を受け付け、入力信号を制御部2に送信する。また、操作部5は、第1入力操作として、部位の表示領域の一部を含む領域を指定する領域指定操作を受け付ける。例えば、操作者が、操作部5を入力操作して部位の表示領域の一部を含む領域をドラッグすると、操作部5はそのドラッグ指定を受け付け、入力信号を制御部2に送信する。操作部5としては、例えば、マウスやキーボード等の入力デバイスを用いる。このような操作部5が第1操作部として機能する。
【0015】
記憶部6は、各種プログラムや各種データ等を記憶する記憶装置であって、特に、各種データとして被検体の各部位に関するボリュームデータD1及び画像表示用の表示条件ファイルF1を記憶する記憶装置である。この記憶部6としては、例えば、磁気ディスク装置や半導体ディスク装置(フラッシュメモリ)等を用いる。なお、ボリュームデータD1は、医用画像撮像装置により得られ、通信部7を介して記憶部6に格納される。また、表示条件ファイルF1は、三次元画像表示装置1の工場出荷前に予め記憶部6に格納されたり、あるいは、通信部7を介して記憶部6に格納されたりする。
【0016】
通信部7は、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを介して外部装置との通信を行う。この通信部7としては、LANカードやモデム等を用いる。外部装置としては、ボリュームデータD1を格納するデータベースサーバや医用画像撮影装置等が挙げられる。この医用画像撮影装置としては、X線断層撮影装置(CT)や磁気共鳴撮影装置(MRI)等を用いる。なお、本実施の形態のボリュームデータD1は、X線断層撮影装置により得られたデータである。このボリュームデータD1は、一旦データベースサーバに格納された後、データベースサーバから通信部7を介して記憶部6に格納されてもよく、あるいは、医用画像撮影装置から通信部7を介して記憶部6に直接格納されてもよい。
【0017】
図2に示すように、表示条件ファイルF1では、ON状態の表示条件(通常表示条件)が部位毎に設定されており、OFF状態の表示条件(透明表示条件)が各部位に共通に設定されている。表示条件としては、オパシティカーブ(Opacity Curve:不透明度)O、カラーC、輝度K、透明度T及びシェーディング値等が挙げられる。ここで、ボリュームデータD1においては、例えば、CT値が200以上300より小さい範囲である部位が心臓Aであり、CT値が300以上400より小さい範囲である部位が肺B(左肺B1及び右肺B2)である。このように、各部位は、CT値により判別されている。
【0018】
ON状態の表示条件は、部位の全体が視認可能である通常表示条件である。また、OFF状態の表示条件は、注目部位の表示より透明度が高く注目部位に対する非注目部位の位置が視認可能である透明表示条件である。例えば、OFF状態の表示条件は、非注目部位の輪郭だけを表示し、その輪郭以外を透明に表示する透明表示条件である。なお、OFF状態の表示条件は、ON状態の表示条件を基準にして設定されていてもよい。例えば、OFF状態の表示条件が30%に設定されている場合には、その表示条件の各値は、ON状態の表示条件の30%の値となる。
【0019】
次に、このような三次元画像表示装置1の画像表示処理について説明する。三次元画像表示装置1の制御部2が、記憶部6に格納された画像表示プログラムに基づいて画像表示処理を実行する。
【0020】
図3に示すように、制御部2は、被検体の部位毎の表示条件、すなわち記憶部6に記録されている表示条件ファイルF1に基づいて、各部位を重ね合わせて三次元表示する表示動作を表示部4に実行させる(ステップS1)。これにより、各部位、例えば、心臓A及び肺B(左肺B1及び右肺B2)は、表示部4の表示画面G1に表示される(図4参照)。
【0021】
その後、制御部2は、操作部5に対する第1入力操作、すなわち希望する部位を指定する入力操作の有無を判断し(ステップS2)、その入力操作に待機する(ステップS2のNO)。ここで、操作者は、操作部5を入力操作、例えば、部位の表示領域内の位置をクリックすることにより、1つの部位を指定する(図4及び図6参照)。また、操作者は、操作部5を入力操作、例えば、Ctrl(コントロール)キーを押下しながらクリックを行うことにより、複数の部位を指定する。あるいは、操作者は、操作部5を入力操作、例えば、部位の表示領域の一部を含む領域をドラッグすることにより、1つの部位又は複数の部位を指定する(図8参照)。
【0022】
入力操作があったと判断した場合には(ステップS2のYES)、その入力操作に応じて注目部位及び非注目部位を特定する(ステップS3)。例えば、制御部2は、入力操作により指定された部位を注目部位として特定し、指定された部位以外の部位を非注目部位として特定する。特に、制御部2は、入力操作が位置指定操作又は領域指定操作であるか否かを判断し、その入力操作の種類に応じて、入力操作により指定された部位を注目部位として特定し、指定された部位以外の部位を非注目部位として特定する。すなわち、入力操作の種類が位置指定操作であると判断した場合には、位置指定操作により指定された位置が表示領域内にある部位を注目部位として特定し、注目部位以外の部位を非注目部位として特定する。一方、入力操作の種類が領域指定操作であると判断した場合には、領域指定操作により指定された領域内に表示領域の一部がある部位を注目部位として特定し、注目部位以外の部位を非注目部位として特定する。
【0023】
その後、制御部2は、特定した注目部位の表示条件をON状態の表示条件に設定し、さらに、特定した非注目部位の表示条件をOFF状態の表示条件に設定して、三次元画像を再構成し、再構成した三次元画像を表示部4に表示させる(ステップS4)。すなわち、制御部2は、ON状態の表示条件に基づいて注目部位を表示部4に表示させ、さらに、OFF状態の表示条件に基づいて非注目部位を表示部4に表示させる。これにより、注目部位はON状態の表示条件に基づいて表示され、非注目部位はOFF状態の表示条件に基づいて表示される(図5、図7及び図9参照)。
【0024】
次いで、制御部2は、入力操作が終了したか否かを判断し(ステップS5)、入力操作が終了していないと判断した場合には(ステップS5のNO)、処理をステップS2に戻し、入力操作が終了したと判断した場合には(ステップS5のYES)、処理を終了する。ここで、操作者は、操作部5を操作し、画面上の終了ボタン又はキーボード上の終了ボタンを押下することにより、入力操作を終了する。制御部2は、それらの終了ボタンの押下状態に応じて、入力操作が終了したか否かを判断する。
【0025】
このような画像表示処理に応じて、図4に示すように、まず、各部位、例えば心臓A及び肺B(左肺B1及び右肺B2)が表示部4により表示される。これにより、図4に示すような三次元画像が表示画面G1に表示される。この表示画面G1において、操作者が操作部5を入力操作して心臓Aをクリックすると、心臓Aが注目部位として特定され、肺B(左肺B1及び右肺B2)が非注目部位として特定される。その後、心臓Aの表示が通常表示に維持され、肺B(左肺B1及び右肺B2)の表示が透明表示に変更される。これにより、図5に示すような三次元画像が表示画面G1に表示される。図5では、心臓Aは全体が視認可能に表示されており、さらに、肺B(左肺B1及び右肺B2)は輪郭だけが視認可能に表示されており、肺Bの輪郭以外の部分は透明に表示されている。
【0026】
次いで、図5に示すような三次元画像が表示画面G1に表示されている場合において、図6に示すように、操作者が操作部5を入力操作して左肺B1をクリックすると、左肺B1が注目部位として特定され、心臓A及び右肺B2が非注目部位として特定される。その後、左肺B1の表示が通常表示に変更され、心臓Aの表示が透明表示に変更され、右肺B2の表示が透明表示に維持される。これにより、図7に示すような三次元画像が表示画面G1に表示される。図7では、左肺B1は全体が視認可能に表示されており、さらに、心臓A及び右肺B2は輪郭だけが視認可能に表示されており、心臓A及び右肺B2の輪郭以外の部分は透明に表示されている。
【0027】
また、図5に示すような三次元画像が表示画面G1に表示されている場合において、図8に示すように、操作者が操作部5を操作して左肺B1及び右肺B2の一部を含む領域をドラッグすると、左肺B1及び右肺B2が注目部位として特定され、心臓Aが非注目部位として特定される。その後、左肺B1及び右肺B2の表示が通常表示に変更され、心臓Aの表示が透明表示に変更される。これにより、図9に示すような三次元画像が表示画面G1に表示される。図9では、左肺B1及び右肺B2は全体が視認可能に表示されており、さらに、心臓Aは輪郭だけが視認可能に表示されており、心臓Aの輪郭以外の部分は透明に表示されている。
【0028】
このようにして、非注目部位が透明状態になり、注目部位をどの方向から見る場合でも、注目部位が非注目部位により隠れることがなくなるので、注目部位をあらゆる方向から観察(診断)することができ、その結果として、注目部位の観察を正確に行うことができる。また、非注目部位と注目部位との位置関係を視認することも可能になるので、注目部位と非注目部位との位置関係を加味した注目部位の観察を行うことができる。
【0029】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、操作部5に対する入力操作に応じて、各部位を注目部位及び非注目部位としてそれぞれ特定し、特定した注目部位のON状態の表示条件(通常表示条件)に基づいて、特定した注目部位を表示し、OFF状態の表示条件(透明表示条件)に基づいて、特定した非注目部位を表示することによって、注目部位は全体が視認可能に表示され、非注目部位は注目部位の表示より透明度が高く注目部位に対する非注目部位の位置が視認可能に表示されるので、注目部位が非注目部位により隠れることがなくなり、注目部位の観察(診断)を正確に行うことができ、さらに、注目部位を変更する場合でも、各部位の表示条件を再設定する必要がなくなるので、注目部位の変更に伴う操作者の利便性の低下を防止することができる。また、注目部位と非注目部位との位置関係を視認することが可能になるので、注目部位と非注目部位との位置関係を加味した注目部位の観察を行うことができる。加えて、非注目部位の位置を視認することが可能であるので、操作者が非注目部位を注目部位として再指定することを容易に行うことができる。
【0030】
ここで、各部位の表示条件は、通常、CT値の範囲毎に設定されているため、CT値が同じになる各部位、例えば、左肺B1及び右肺B2の両方の表示条件は同じになる。このため、左肺B1及び右肺B2の両方は、通常、同じ表示条件で表示され、左肺B1及び右肺B2のどちらか一方だけを注目部位とすることは難しく、注目部位の観察が困難になってしまう。ところが、第1の実施の形態によれば、左肺B1及び右肺B2のどちらか一方だけを注目部位として表示することが可能になるので、注目部位の観測を容易に行うことができる。
【0031】
また、操作部5は、第1入力操作として部位の表示領域内の位置を指定する位置指定操作を受け付ける入力部であり、その位置指定操作により指定された位置が表示領域内にある部位を注目部位として特定し、注目部位以外の部位を非注目部位として特定することによって、操作者が操作部5を操作し、例えば、部位をクリックすると、その部位が注目部位として特定され、その他の部位が非注目部位として特定されるので、操作者は注目部位を容易に指定すること可能になるので、利用者の利便性を向上させることができる。
【0032】
さらに、操作部5は、第1入力操作として部位の表示領域の一部を含む領域を指定する領域指定操作も受け付ける入力部であり、その領域指定操作により指定された領域内に表示領域の一部がある部位を注目部位として特定し、注目部位以外の部位を非注目部位として特定することによって、操作者が操作部5を操作し、例えば、部位をドラッグすると、その部位が注目部位として特定され、その他の部位が非注目部位として特定されるので、操作者は注目部位を容易に指定すること可能になるので、利用者の利便性をより向上させることができる。さらに、複数の部位を同時に注目部位として容易に指定することが可能になるので、利用者の利便性をより向上させることができる。
【0033】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図10ないし図12を参照して説明する。
【0034】
本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる部分、すなわち画像表示処理について説明する。なお、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。
【0035】
図10に示すように、制御部2は、被検体の部位毎の表示条件、すなわち記憶部6に記録されている表示条件ファイルF1に基づいて、各部位を重ね合わせて三次元表示する表示動作を表示部4に実行させる(ステップS11)。これにより、各部位、例えば、心臓A及び肺B(左肺B1及び右肺B2)は、表示部4の表示画面G1に表示される(図4参照)。
【0036】
その後、制御部2は、操作部5に対する第1入力操作、すなわち希望する部位を指定する入力操作の有無を判断し(ステップS12)、その入力操作に待機する(ステップS12のNO)。ここで、操作者は、第1の実施の形態と同様に、操作部5を入力操作して部位を指定する(図4、図6及び図8参照)。また、操作者は、追加操作として、操作部5を入力操作、例えば、Ctrl(コントロール)キーを押下しながらクリックを行うことにより、希望する部位を追加指定する(図11参照)。あるいは、操作者は、追加操作として、操作部5を入力操作、例えば、Ctrl(コントロール)キーを押下しながら部位の表示領域の一部を含む領域をドラッグすることにより、希望する部位を追加指定する。
【0037】
入力操作があったと判断した場合には(ステップS12のYES)、その入力操作が追加操作であるか否かを判断する(ステップS13)。例えば、注目部位が一度指定され、その後、Ctrlキーが押下された状態での入力操作は追加操作であると判断され、Ctrlキーが押下されていない状態での入力操作は追加操作ではなく、通常の指定操作であると判断される。ここで、追加操作は、希望する部位を追加指定する操作である。
【0038】
入力操作が追加操作でないと判断した場合には(ステップS13のNO)、その入力操作に応じて注目部位及び非注目部位を特定する(ステップS14)。例えば、制御部2は、第1の実施の形態と同様に、入力操作により指定された部位を注目部位として特定し、指定された部位以外の部位を非注目部位として特定する。
【0039】
その後、制御部2は、特定した注目部位の表示条件をON状態の表示条件に設定し、さらに、特定した非注目部位の表示条件をOFF状態の表示条件に設定して、三次元画像を再構成し、再構成した三次元画像を表示部4に表示させる(ステップS15)。すなわち、制御部2は、ON状態の表示条件に基づいて注目部位を表示部4に表示させ、さらに、OFF状態の表示条件に基づいて非注目部位を表示部4に表示させる。これにより、注目部位はON状態の表示条件に基づいて表示され、非注目部位はOFF状態の表示条件に基づいて表示される(図5、図7及び図9参照)。
【0040】
次いで、制御部2は、入力操作が終了したか否かを判断し(ステップS16)、入力操作が終了していないと判断した場合には(ステップS16のNO)、処理をステップS12に戻し、入力操作が終了したと判断した場合には(ステップS16のYES)、処理を終了する。なお、操作者は、第1の実施の形態と同様に、操作部5を操作し、画面上の終了ボタン又はキーボード上の終了ボタンを押下することにより、入力操作を終了する。制御部2は、その終了ボタンの押下状態に応じて、入力操作が終了したか否かを判断する。
【0041】
一方、入力操作が追加操作であると判断した場合には(ステップS13のYES)、新たに指定した部位の表示状態を判別、すなわち、その部位の表示が透明表示であるか否かを判断する(ステップS17)。このとき、制御部2は、指定した部位がOFF状態の表示条件に基づいて表示されているか否かを判断する。指定した部位の表示が透明表示であると判断した場合には(ステップS17のYES)、指定した部位を注目部位として特定し(ステップS18)、処理をステップS15に進める。また、指定した部位の表示が透明表示でないと判断した場合には(ステップS17のNO)、指定した部位を非注目部位として特定し(ステップS19)、処理をステップS15に進める。なお、指定した部位以外の部位は、前回の特定状態に維持されており、注目部位又は非注目部位として特定されている。
【0042】
このようにして、追加指定された部位が非注目部位であった場合には、その部位は注目部位として特定され、追加指定された部位が注目部位であった場合には、その部位は非注目部位として特定される。その後、注目部位はON状態の表示条件に基づいて表示され、非注目部位はOFF状態の表示条件に基づいて表示される(図12参照)。
【0043】
このような画像表示処理に応じて、図11に示すような三次元画像が表示画面G1に表示されている場合において、操作者が操作部5を入力操作し、Ctrlキーを押下しながら左肺B1をクリックすると、注目部位として指定されている心臓Aに加え、左肺B1が注目部位として追加指定されるので、心臓A及び左肺B1が注目部位として特定され、右肺B2が非注目部位として特定される。その後、心臓Aの表示が通常表示に維持され、左肺B1の表示が通常表示に変更され、右肺B2の表示は透明表示に維持される。これにより、図12に示すような三次元画像が表示画面G1に表示される。図12では、心臓A及び左肺B1は全体が視認可能に表示されており、さらに、右肺B2は輪郭だけが視認可能に表示されており、右肺B2の輪郭以外の部分は透明に表示されている。
【0044】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、第1入力操作により指定された部位の表示状態を判別し、判別した表示状態に応じて、指定された部位を注目部位又は非注目部位として特定することによって、指定された部位の表示状態に応じて、その部位が注目部位又は非注目部位として特定され、その部位の表示が変更されるので、一度、非注目部位として指定した部位を注目部位として変更することが可能になり、逆に、注目部位として指定した部位を非注目部位として変更することが可能になるので、利用者の利便性をより向上させることができる。
【0045】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について図13を参照して説明する。
【0046】
本発明の第3の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる部分、すなわち画像表示処理について説明する。本発明の第3の実施の形態に係る画像表示処理は、表示条件設定処理を含んでいる。なお、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明は省略する。
【0047】
図13に示すように、制御部2は、操作部5に対する入力操作であって表示条件を入力する第2入力操作の有無を判断し(ステップS21)、その入力操作に待機する(ステップS21のNO)。ここで、操作者は、操作部5を入力操作し、表示条件ファイルF1の各表示条件(ON状態の表示条件又はOFF状態の表示条件)を変更する。なお、操作部5は、画像表示の表示条件を入力する第2入力操作も受け付ける入力部である。この操作部5が第2操作部としても機能する。
【0048】
入力操作があったと判断した場合には(ステップS21のYES)、表示条件(ON状態の表示条件又はOFF状態の表示条件)の変更があったか否かを判断し(ステップS22)、表示条件の変更がなかったと判断した場合には(ステップS22のNO)、処理をステップS21に戻す。
【0049】
一方、表示条件の変更があったと判断した場合には(ステップS22のYES)、その表示条件の変更に基づいて、表示条件ファイルF1を再設定する(ステップS23)。その後、その再設定した表示条件ファイルF1に基づいて各部位を表示部4に再表示させる(ステップS24)。これにより、表示条件が変更されると、リアルタイムに三次元画像の表示も変更されるので、表示条件の変更がすぐに三次元画像に反映される。
【0050】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、操作部5に対する第2入力操作に応じて、各部位の各々のON状態の表示条件又はOFF状態の表示条件を設定することによって、操作者が自由に各表示条件を変更することが可能になるので、操作者の利便性をより向上させることができ、さらに、注目部位を観測しやすいように各表示条件を変更することが可能になるので、注目部位の観察(診断)をより正確に行うことができる。
【0051】
また、部位毎のON状態の表示条件の変更又はOFF状態の表示条件の変更の有無を判断し、部位毎のON状態の表示条件の変更又はOFF状態の表示条件の変更が有ったと判断した場合、表示部4に三次元表示を再実行させることによって、各表示条件のどちらか一方が変更された場合、三次元画像の表示もリアルタイムに変更され、各表示条件の変更がリアルタイムに三次元画像に反映されるので、注目部位を観測しやすくなり、注目部位の観察(診断)をより正確に行うことができる。
【0052】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0053】
例えば、前述の実施の形態においては、指定された部位を注目部位として特定し、指定された部位以外の部位を非注目部位として特定しているが(ステップS3又はステップS14)、これに限るものではなく、例えば、指定された部位を非注目部位として特定し、指定された部位以外の部位を注目部位として特定するようにしてもよい。
【0054】
また、前述の実施の形態においては、特定した注目部位の表示条件をON状態の表示条件に設定し、さらに、特定した非注目部位の表示条件をOFF状態の表示条件に設定して、三次元画像を再構成し、表示部4により表示しているが(ステップS4又はステップS15)、これに限るものではなく、例えば、特定した非注目部位の表示条件をOFF状態の表示条件に設定し、三次元画像の再構成を行わず、その設定した表示条件に基づいて非注目部位だけ表示を変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る三次元画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す三次元画像表示装置が備える記憶部に記憶された表示条件ファイルを説明するための説明図である。
【図3】図1に示す三次元画像表示装置が行う画像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図3に示す画像表示処理の流れに基づいて表示される三次元画像の表示例を示す模式図である。
【図5】図3に示す画像表示処理の流れに基づいて表示される三次元画像の表示例を示す模式図である。
【図6】図3に示す画像表示処理の流れに基づいて表示される三次元画像の表示例を示す模式図である。
【図7】図3に示す画像表示処理の流れに基づいて表示される三次元画像の表示例を示す模式図である。
【図8】図3に示す画像表示処理の流れに基づいて表示される三次元画像の表示例を示す模式図である。
【図9】図3に示す画像表示処理の流れに基づいて表示される三次元画像の表示例を示す模式図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る三次元画像表示装置が行う画像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図10に示す画像表示処理の流れに基づいて表示される三次元画像の表示例を示す模式図である。
【図12】図10に示す画像表示処理の流れに基づいて表示される三次元画像の表示例を示す模式図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る三次元画像表示装置が行う画像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 三次元画像表示装置
2 制御部
4 表示部
5 第1操作部(操作部)
5 第2操作部(操作部)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の複数の部位を三次元表示する表示部と、
前記複数の部位毎の通常表示条件に基づいて前記複数の部位を前記表示部に表示させる手段と、
表示した前記複数の部位から希望する部位を指定する第1入力操作を受け付ける第1操作部と、
前記第1操作部に対する前記第1入力操作に応じて、表示した前記複数の部位を注目部位又は非注目部位としてそれぞれ特定する手段と、
特定した前記注目部位の前記通常表示条件に基づいて、特定した前記注目部位を前記表示部に表示させ、特定した前記注目部位の前記通常表示条件より透明度が高く前記注目部位に対する前記非注目部位の位置が視認可能である透明表示条件に基づいて、特定した前記非注目部位を前記表示部に表示させる手段と、
を備えることを特徴とする三次元画像表示装置。
【請求項2】
前記第1操作部は、前記第1入力操作として、前記部位の表示領域内の位置を指定する位置指定操作を受け付け、
前記特定する手段は、前記位置指定操作により指定された前記位置が前記表示領域内にある前記部位を前記注目部位として特定し、前記注目部位以外の前記部位を前記非注目部位として特定することを特徴とする請求項1記載の三次元画像表示装置。
【請求項3】
前記第1操作部は、前記第1入力操作として、前記部位の表示領域の一部を含む領域を指定する領域指定操作を受け付け、
前記特定する手段は、前記領域指定操作により指定された前記領域内に前記表示領域の一部がある前記部位を前記注目部位として特定し、前記注目部位以外の前記部位を前記非注目部位として特定することを特徴とする請求項1記載の三次元画像表示装置。
【請求項4】
前記第1入力操作により指定された前記部位の表示状態を判別する手段を備え、
前記特定する手段は、判別した前記表示状態に応じて、指定された前記部位を前記注目部位又は前記非注目部位として特定することを特徴とする請求項1、2又は3記載の三次元画像表示装置。
【請求項5】
前記複数の部位毎の通常表示条件又は前記透明表示条件を入力する第2入力操作を受け付ける第2操作部と、
前記第2操作部に対する前記第2入力操作に応じて、前記複数の部位毎の通常表示条件又は前記透明表示条件を設定する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の三次元画像表示装置。
【請求項6】
前記複数の部位毎の通常表示条件の変更又は前記透明表示条件の変更の有無を判断する手段と、
前記複数の部位毎の通常表示条件の変更又は前記透明表示条件の変更があったと判断した場合、変更した前記通常表示条件に基づいて前記注目部位を前記表示部に表示させ、又は、変更した前記透明表示条件に基づいて前記非注目部位を前記表示部に表示させる手段と、
を備えることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の三次元画像表示装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図13】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−29703(P2008−29703A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208363(P2006−208363)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】