不審物体判断装置、不審物体判断方法、及び、不審物体判断プログラム
【課題】不審者の侵入を検出したい窓などにおいて、不審者を検出するための専用のセンサを取り付ける必要なくドア以外の場所から侵入してきた不審者を判断することのできる不審者判断装置を提供する。
【解決手段】人204を観測装置101により検出し、人の検出履歴を人検出履歴データベース102に記憶し、人を初めて検出した観測値を初回検出観測値推定手段103により推定し、部屋201における入口としてのドア位置と、初回検出観測値推定手段にて推定された初めて人を検出した位置とを比較して人が不審者か否かを判断する。
【解決手段】人204を観測装置101により検出し、人の検出履歴を人検出履歴データベース102に記憶し、人を初めて検出した観測値を初回検出観測値推定手段103により推定し、部屋201における入口としてのドア位置と、初回検出観測値推定手段にて推定された初めて人を検出した位置とを比較して人が不審者か否かを判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ドアなどの通常使用する入口以外の場所から侵入してきた不審物体を判断することのできる不審物体判断装置、不審物体判断方法、及び、不審物体判断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マイクロ波と赤外線を用いて侵入者を検出する技術が開示されている。また、特許文献2には、窓ガラスにセンサを設置することによって、室内への侵入を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−39574号公報
【特許文献2】特開2006−090720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術に係るシステムによれば、複数のセンサ等の組み合わせによる人物の検出又はガラスの破壊等の検出などが必要であり、仮に、カメラを用いたとしても、前記検出のための複雑な処理が低減されることはない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、セキュリティ用途に設置されている撮像装置などからの情報を用いて、より簡便な処理により、ドアなどの通常使用する入口以外の位置から不正に侵入してきた不審物体を判断する、不審物体判断装置、不審物体判断方法、及び、不審物体判断プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0007】
本発明の第1態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置を提供する。
【0008】
本発明の第6態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを少なくとも複数観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている複数の、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値情報として記憶する初回検出観測値履歴データベースと、
前記初回検出観測値履歴データベースに記憶された前記物体を初めて検出した位置同士を比較し、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置を提供する。
【0009】
本発明の第7態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として観測装置によりそれぞれ取得し、
前記観測装置によりそれぞれ取得した前記観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを物体検出履歴データベースに記憶し、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定し、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する、
ことを特徴とする不審物体判断方法を提供する。
【0010】
本発明の第8態様によれば、コンピュータに、
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として観測装置により検出して取得した、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として物体検出履歴データベースに記憶する機能と、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定する機能と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する機能と、
を実現させるための不審物体判断プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、物体、例えば人を初めて検出できる位置はドアなどの通常使用する入口の位置であると考えられることから、人を初めて検出した位置と入口の位置とを比較し、その距離が閾値を超えて離れていた場合、前記人を不審者であると判断できる。又は、物体を初めて検出した位置同士を比較し、物体が入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断することができる。そのため、通常使用する入口以外の場所、例えば、不審者の侵入を検出したい窓などにおいて、不審者を検出するための専用のセンサを取り付ける必要なく、入口以外の場所から侵入してきた不審者を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の前記第一実施形態に係る前記不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋を説明する図
【図3】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の全体処理を示すフローチャート図
【図4】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の人検出履歴データベースの一例を示す図
【図5】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の初回検出観測値推定手段の推定結果の一例を示す図
【図6】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の初回検出観測値推定手段の処理を示すフローチャート図
【図7】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の出入口データベースの一例を示す図
【図8】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の初回検出位置のクラスタリング処理の一例を示す図
【図9】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の表示手段の一例を示す図
【図10】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての校舎を説明する図
【図11】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋を説明する図
【図12A】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋への人の出入りを説明する図
【図12B】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋への人の出入りを説明する図
【図12C】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋への人の出入りを説明する図
【図13】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置の出入口データベースの一例を示す図
【図14A】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である空間としての車道を説明する図
【図14B】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である空間としての車道を説明する図
【図14C】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である空間としての車道を説明する図
【図15】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置の出入口データベースの一例を示す図
【図16】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置の車検出履歴データベースの一例を示す図
【図17】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置の初回検出観測値推定手段の推定結果の一例を示す図
【図18】本発明の他の実施形態に係る不審物体判断装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
以下、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
【0015】
本発明の第1態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置を提供する。
【0016】
本発明の第2態様によれば、前記不審物体判断手段は、前記物体を初めて検出した位置と前記入口データベース内の前記入口の位置との距離を算出し、算出した距離が閾値より大きいと、その物体は不審物体であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、その物体は不審物体ではないと判断する、第1の態様に記載の不審物体判断装置を提供する。
【0017】
本発明の第3態様によれば、前記物体は人であり、前記閾値は、下記の式2により求められ、
【0018】
【数1】
前記式2において、Cは前記観測装置の観測周期、Tは、人が前記入口のドアの開閉に要する開閉時間、Sは人の歩行速度、Ndは前記観測装置の人の検出位置誤差特性である、第2の態様に記載の不審物体判断装置を提供する。
【0019】
本発明の第4態様によれば、前記不審物体判断手段は、前記入口の前に領域を予め設定しておき、前記物体を初めて検出した位置がその領域外ならば、不審物体であると判断し、前記領域内ならば、不審物体ではないと判断する、第1の態様に記載の不審物体判断装置を提供する。
【0020】
本発明の第5態様によれば、前記不審物体判断手段は、前記物体を初めて検出した位置同士の距離を算出し、その距離が閾値より大きいと、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、不審物体ではないと判断する、第1の態様第記載の不審物体判断装置を提供する。
【0021】
本発明の第6態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを少なくとも複数観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている複数の、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値情報として記憶する初回検出観測値履歴データベースと、
前記初回検出観測値履歴データベースに記憶された前記物体を初めて検出した位置同士を比較し、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置を提供する。
【0022】
本発明の第7態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として観測装置によりそれぞれ取得し、
前記観測装置によりそれぞれ取得した前記観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを物体検出履歴データベースに記憶し、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定し、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する、
ことを特徴とする不審物体判断方法を提供する。
【0023】
本発明の第8態様によれば、コンピュータに、
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として観測装置により検出して取得した、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として物体検出履歴データベースに記憶する機能と、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定する機能と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する機能と、
を実現させるための不審物体判断プログラムを提供する。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。第一実施形態及び第二実施形態では、不審物体を不審者として説明し、第三実施形態では、不審物体を不審車として説明する。
【0025】
(第一実施形態)
<不審者判断装置の構成の説明>
図1は、本発明の第一実施形態に係る不審者判断装置の構成を示した図である。
【0026】
本発明の第一実施形態に係る不審者判断装置90は、観測装置101と、初回検出観測値推定手段103と、不審者判断手段105と、表示手段106とを備えるように構成されている。不審者判断装置90は、さらに、有線又は無線を使用して、接続された人検出履歴データベース102と出入口データベース104とからデータをそれぞれ受け取るように構成されている。また、人検出履歴データベース102は、有線又は無線を使用して接続された観測装置101からデータを受け取るように構成されている。出入口データベース104は入口データベース104の一例として機能する。
【0027】
図2に、観測装置101の一例としてカメラ202を備えた、閉じた生活環境の具体的な例である部屋201を示す。一例としての直方体の部屋201の四角形の天井201dの中央付近には、真下に向けられたカメラ202が設置されている。部屋201内には、人204が存在して、部屋201に出入りしている。カメラ202は、人204を検出する撮像部202aと、撮像部202aに接続されて撮像部202aにより撮像した画像データを画像処理する画像処理部202bとを備えて構成している。
【0028】
尚、部屋201に出入りする人204の数に制限は無く、任意の一人の人204を、代表的に人204として説明を行っている。また、閉じた環境である部屋201内への入口の一例(出入口の一例)として、ドア205Aと、ドア205Bと、ドア205C(ドアを総称的に説明するときには、これらの個々のドア205A,205B,205Cの参照符号を使用せずに「205」として記載する。)とが設置されている。以後、部屋201内のドア205Aとドア205Bとドア205Cとのうちの任意のドアを、ドア205として代表的に説明する。一例として、部屋201の対向する一対の壁201a,201cにそれぞれドア205Aとドア205Cとが配置され、一対の壁201a,201cをつなぐ壁201bにドア205Bが配置されている。
【0029】
尚、部屋201内には、カメラ202が観測装置の例として設置されているが、人204の位置を検出可能な観測装置であれば、カメラ以外の装置でも、本発明に適用可能である。
【0030】
<観測装置の説明>
観測装置101の一例であるカメラ202の撮像部202aは、所定の観測周期(例えば1秒〜2秒の任意の時間又は100ms)毎に、部屋201内を撮像により観測する。そして、撮像部202aにより撮像された画像データを画像処理部202bで画像処理することにより、部屋201内に存在する人204の検出を行う。この検出結果を、画像処理部202bから人検出履歴データベース102に出力して人検出履歴データベース102により記憶する。観測装置101により人204を検出すると、観測装置101は、検出した人204の特徴情報(人であることを示す特徴(特徴量)を表す情報)と位置とを取得する。そして、取得した人204の特徴情報と位置とを、人204を検出した時刻と共に、人検出履歴データベース102に観測装置101が記憶する。よって、人204と、人204を検出した時刻とが対応付けされて、人検出履歴データベース102に記憶されている。ここで、位置とは、観測装置101により検出される、部屋201内での人204の位置を示す位置座標(例えば、XY座標)である。人204を検出した時刻は、一例として、カメラ202に内蔵されたタイマーから取得する。
【0031】
まず、観測装置101の一例として、観測装置101にカメラ202を用いた場合について説明する。
【0032】
カメラ202の撮像部202aにより撮像された画像データを用いて画像処理部202bにより人204を検出するには、カメラ202の撮像部202aが取得した画像データを、カメラ202内に備えた画像処理部202bにより画像処理する必要がある。そのような画像処理の方法として、例えば、背景差分法を用いることができる。カメラ202の撮像部202aにより予め撮像して用意しておいた、人204が存在していないときの部屋201の背景画像データと、カメラ202の撮像部202aにより撮像した現在の画像データとを画像処理部202bにより比較する。その後、比較した情報から、画素値が異なる領域を差分領域として画像処理部202bにより取り出す。ただし、画像データにはノイズが混じっている可能性があるため、前記差分領域が人204に対して十分に小さいと画像処理部202bにより判断できる場合には、前記差分領域は人204ではないと画像処理部202bにより判断しても良い。ここで、差分領域が人204に対して十分に小さい場合とは、前記差分領域の画素数が、人204と認識可能な最低画素数を基に予め設定した閾値以下である場合が考えられる。尚、検出した人204の位置は、画像処理部202bにより、例えば前記差分領域の重心位置とすることができる。
【0033】
検出した人204の特徴情報は、例えば、前記差分領域の色の分布とすることができる。以下、これを色特徴情報と称する。また、検出した前記差分領域の大きさを特徴情報としても良い。例えば、前記差分領域が50ピクセル未満により構成されていた場合には領域小、50ピクセル以上75ピクセル未満により構成されていた場合には領域中、75ピクセル以上により構成されていた場合には領域大と特徴付けることができる。以下、これを領域特徴情報と称する。なお、以下の説明では、特徴情報として、色特徴情報と領域特徴情報とを併記して説明するが、これは両方の特徴情報が必要であるという意味ではなく、少なくともいずれか一方の特徴情報があればよいことを意味する。もちろん、色特徴情報と領域特徴情報とを両方使用すれば、判断精度が高まることは言うまでもない。
【0034】
<人検出履歴データベース及び初回検出観測値推定手段の説明>
人検出履歴データベース102には、人204が観測装置101により検出された時刻と、観測装置101により検出された人204の特徴情報と、人204が観測装置101により検出された位置とが、観測装置101により記憶される。
【0035】
初回検出観測値推定手段103は、人検出履歴データベース102に記憶された情報を参照して、初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在したか否かの判断を行う。
【0036】
図4に、カメラ202が人204を検出したときの人検出履歴データベース102の一例を示す。
【0037】
図4の人検出履歴データベース102には、カメラ202が人204を検出したときの時刻と位置と色特徴情報と領域特徴情報と、そして観測ID(時刻と位置と色特徴情報と領域特徴情報とを含む観測情報同士を識別するための情報)とが記憶できるようになっている。例えば、時刻2008/09/02_12:00:01では、位置(x,y)=(25,50)にて、色特徴情報が赤の人が大きな領域の領域特徴情報を持つ情報として検出され、観測ID=CAM_001として人検出履歴データベース102に記憶されている。また、時刻2008/09/02_12:00:04では、位置(525,175)にて色特徴情報が白の人が小さな領域の領域特徴情報を持つ情報として検出され、観測ID=CAM_005として人検出履歴データベース102に記憶されている。ここで、観測ID=CAM_001と観測ID=CAM_005にそれぞれ記憶されている色特徴情報及び領域特徴情報は異なっていると、初回検出観測値推定手段103により判断することができる。このことから、観測ID=CAM_001において検出した人と観測ID=CAM_005において検出した人は異なる人物であると、初回検出観測値推定手段103で推定することができる。
【0038】
図5に、初回検出観測値推定手段103が推定した、カメラ202が人204を初めて検出したときの観測値の一例を示す。
【0039】
図5の推定結果には、カメラ202が人204を初めて検出したときの時刻と位置と色特徴情報と領域特徴情報と、そして観測IDとが示されている。尚、図5の推定結果は、図4の人検出履歴データベース102に記憶されている人204の検出履歴の情報を基に、初回検出観測値推定手段103により作成されている。初回検出観測値推定手段103の具体的な動作については、後述する。
【0040】
<出入口データベースの説明>
出入口データベース104には、部屋201への入口又は出入口となるドア205の位置が予め記憶されている。
【0041】
不審者判断装置に出入口データベース104を予め格納しておいてもよい。また、インターネットを通じて出入口データベース104をオンラインにより、不審者判断装置の外部のデータベースなど記憶装置から取得してもよい。
【0042】
図7に出入口データベース104の一例を示す。
【0043】
図7の出入口データベース104には、ドアIDと、前記ドアIDが示す部屋201におけるドア位置と、ドアIDが示す家具(ドア)の取り得る動作(例えば、ドアの開け閉め動作)とが記憶されている。尚、図7の例では、ドアの重心位置がドア位置として記憶されているが、ドア位置の範囲(例えば、ドアの位置を中心とした所定距離内の範囲又はドアの開け閉め動作に必要な範囲の縁部から所定距離内の範囲)を指定しておいても構わない。例えば、DOOR_001が示すドアの場合、ドア位置の範囲を(0,250)〜(0,350)[座標(0,250)から座標(0,350)にかけてドアが存在することを示す。]などと表すことができる。また、ドア205Aのように、ドアが開き戸であった場合、ドア位置をドア205Aの重心位置から縦枠205f寄りに設定しておいても良い。これは、人204が開き戸を通過する場合には、縦枠寄りを通過することが多いためである。
【0044】
出入口データベース104には、ドア識別情報として、ドアIDが示す家具(ドア)が取り得る動作について予め記憶されている。図7の出入口データベース104によると、ドアID=DOOR_001(ドア205A)とドアID=DOOR_002(ドア205B)の動作には、「手動開閉」と予め記憶されている。これは、人204が手動によりドア205(205A,205B)の開閉を行う必要があること(人204が、一旦、ドア205A,205Bの前で停止してドア205A,205Bの開閉動作を手動により行うこと)を意味している。また、ドアID=DOOR_003(ドア205C)には、「自動開閉」と予め記憶されている。これは、ドア205が自動ドアであり、人204が手動によりドア205の開閉を行う必要がないこと(人204が、一旦、ドア205Cの前で停止してドア205Cの開閉動作を手動により行う必要がないこと)を意味している。以上のようなドア205の構成により説明を行うが、本発明は、ドア205が全て手動開閉又は自動開閉であっても、動作可能である。ここでは、一例として、各出入口にはドア205が存在し、ドア205が開閉することにより、人204が部屋202を正規に(人204が不正なく、又は、人204が不審者としてではなく)出入りすることを前提としている。
【0045】
<不審者判断手段の説明>
不審者判断手段105は、初回検出観測値推定手段103により推定した人204が初めて検出された観測値に含まれる位置情報(以後、初回検出位置と呼ぶ)と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とを比較し、人204が不審者か否かを判断する。すなわち、初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とが一致すれば、人204が不審者ではないと不審者判断手段105により判断する。初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とが一致しなければ、人204が不審者であると不審者判断手段105により判断する。具体的な判断動作については、後述する。
【0046】
<不審者判断装置の全体処理>
以下、図3は、前記不審者判断装置の全体処理を示すフローチャートであり、この図3のフローチャートに対応させながら、前記不審者判断装置の全体処理について説明する。
【0047】
図3のステップS301では、カメラ202を用いて、撮像部202aで撮像された情報を基に人204を検出したと画像処理部202bにより判断した場合には、次のステップS302の特徴情報抽出処理に進む。一方、カメラ202を用いて、人204を検出していないと画像処理部202bにより判断した場合には、人204を検出したと画像処理部202bにより判断するまで、ステップS301の処理を繰り返す。
【0048】
次のステップS302においては、撮像部202aで撮像された情報から、検出した人204の特徴情報を画像処理部202bにより抽出する。その後、ステップS303に進む。
【0049】
ステップS303では、ステップS302においてカメラ202の画像処理部202bが抽出した特徴情報と位置とを、検出した時刻と共に、カメラ202の画像処理部202bにより人検出履歴データベース102に記憶する。その後、ステップS304に進む。
【0050】
ステップS304では、人物履歴データベース102に記憶されている人204の検出履歴の情報を基に、人204を初めて検出した履歴のデータ(例えば、位置)を初回検出観測値推定手段103により推定する。その後、ステップS305に進む。
【0051】
ここで、図5の推定結果を使用して、初回検出観測値推定手段103により、人204を初めて検出した履歴のデータ(すなわち、初回検出観測値)を推定して取得する方法を図6のフローチャートを用いて説明する。
【0052】
まず、ステップS601では、人検出履歴データベース102に未読のデータがあるか否かを初回検出観測値推定手段103により判断している。未読データが存在しないと初回検出観測値推定手段103により判断すれば、初回検出観測値の取得処理を終了する。人検出履歴データベース102に未読のデータがあると初回検出観測値推定手段103により判断すれば、ステップS602に進む。例えば、未読データが存在するか否かは、それぞれのデータに対して未読データ又は既読データを示すフラグが存在するか否かに基づき、初回検出観測値推定手段103により判断することができる。
【0053】
ステップS602は、ステップS601において未読データが存在すると初回検出観測値推定手段103により判断した場合の処理である。人検出履歴データベース102に記憶されている未読データを初回検出観測値推定手段103により1つ読み込む。その後、ステップS603に進む。
【0054】
次いで、ステップS603では、読み込んだデータに、記憶されている時刻からN時刻前までの間に(ただし、N>0)、同じ特徴情報が記憶されているデータが人検出履歴データベース102に記憶されているか否かを初回検出観測値推定手段103により判断している。同じ特徴情報が記憶されているデータが人検出履歴データベース102に記憶されていると初回検出観測値推定手段103により判断した場合は、初めて検出した人ではないと初回検出観測値推定手段103により判断し、ステップS601の処理へ戻る。ここで、Nは観測装置101の観測周期(例えば1秒〜2秒の任意の時間又は100ms)などとすることができる。観測装置101が人204の検出ミスをする可能性を考慮し、Nに観測装置101の観測周期を定数倍した値を用いても構わない。一方、記憶されている時刻からN時刻前までの間に同じ特徴情報が記憶されているデータが存在していないと初回検出観測値推定手段103により判断した場合には、ステップS604に進む。
【0055】
ステップS604は、ステップS603において、記憶されている時刻からN時刻前までの間に同じ特徴情報が記憶されているデータが存在していないと初回検出観測値推定手段103により判断した場合の処理である。ステップS602において読み込んだデータは、人204を初めて検出した観測値であると、初回検出観測値推定手段103により判断する。その後、ステップS601の処理に戻る。
【0056】
このようにして、人204を初めて検出した観測値、すなわち、ステップS304において、人204を初めて検出した履歴のデータ(例えば、位置)を初回検出観測値推定手段103により推定する。
【0057】
次いで、ステップS305では、人物履歴データベース102に記憶されている情報を基に、初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在したか否かの判断を初回検出観測値推定手段103により行う。初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在したと初回検出観測値推定手段103により判断した場合には、ステップS306に進む。初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在していないと初回検出観測値推定手段103により判断した場合には、ステップS301に戻る。
【0058】
以下に、このステップS305において、人物履歴データベース102に記憶されている情報を基に、初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在していると初回検出観測値推定手段103により判断された場合の推定結果を図5に示す。この推定結果について、図4と図5を用いて具体的に説明する。
【0059】
図5の初回検出観測値推定手段103の推定結果には、人204が初めて検出された観測IDとして、観測ID=CAM_001と観測ID=CAM_005と観測ID=CAM_016とが存在する。尚、初回検出観測値推定手段103の判断結果を記憶する初回検出観測値履歴データベースを用いても構わない。また、人検出履歴データベース102に、人204を初めて検出したか否かを示すフィールドを設けておいても良い。
【0060】
観測ID=CAM_001は、色特徴情報が赤色の人が初めて検出されたため、人物履歴データベース102に記憶されている。同様に、観測ID=CAM_005は、色特徴情報が白色の人が初めて検出されたため、人物履歴データベース102に記憶されている。さらに、観測ID=CAM_016の色特徴情報は赤色であるけれども、人物履歴データベース102に記憶されている。これは、観測ID=CAM_016の観測(時刻2008/09/02_12:00:10)より1つ前の前回の観測(時刻2008/09/02_12:00:09)において、色特徴情報が赤色の人が検出されていないためである。つまり、色特徴情報が赤色の人は、一度、時刻2008/09/02_12:00:08に部屋201を退室し、時刻2008/09/02_12:00:10に部屋201に入室したと考えられるためである。これは、観測装置101(ここでは、一例として、カメラ202。)が人204の検出ミスをしないことを想定し、Nの値を観測装置101の観測周期の一例である1秒に設定していることを示す。すなわち、初回検出観測値推定手段103は、観測周期毎に連続した観測において、同じ色特徴情報を有する人204が連続して観測できている場合は、人204が部屋201に存在すると判断する一方、前記連続した観測において、同じ色特徴情報を有する人204が観測できなかった場合は、人204が部屋201から出たと判断するためである。
【0061】
ここで、人204が部屋201内に存在するにも関わらず、カメラ202が人204の検出ミスをする場合のことを考える。この場合、例えば、カメラ202が人204をM回検出できなければ(ただし、Mは0より大きな整数。)、人204は部屋201から出て行ったと初回検出観測値推定手段103により判断しても良い。つまり、カメラ202の観測周期が1秒の場合、(N×M)秒間、人204が検出されないと初回検出観測値推定手段103により判断すれば、人204は部屋から出て行ったと初回検出観測値推定手段103により推定することとなる。
【0062】
図4の例に戻って説明すると、赤色の人が、時刻2008/09/02_12:00:08においては検出されているが、時刻2008/09/02_12:00:09において検出されなくなって、赤色の人が次回検出されたのが1秒後の時刻2008/09/02_12:00:10である。人204が一度でも検出されなければ人204が部屋201から出たと初回検出観測値推定手段103により判断する場合、人検出履歴データベース102には、観測ID=CAM_001と観測ID=CAM_005と観測ID=CAM_016とが初回検出観測値推定手段103により記憶されることとなる。しかし、例えば、人204が連続で5回以上(すなわち、M=5)検出されなかった場合には人204が部屋201から出たと初回検出観測値推定手段10により判断する場合には、人検出履歴データベース102には、観測ID=CAM_001とCAM_005が記憶されることとなる。この場合は、観測ID=CAM_014の時刻2008/09/02_12:00:09においてカメラ202が人204の検出ミスをした、と初回検出観測値推定手段10により推定させることを意味する。
【0063】
次いで、ステップS306では、不審者判断手段105が、初回検出観測値推定手段103により推定した人204が初めて検出された観測値に含まれる位置情報(以後、初回検出位置と呼ぶ)と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とを比較し、人204が不審者か否かを判断している。すなわち、初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とが一致すれば、人204が不審者ではないと不審者判断手段105により判断したのち、ステップS301に戻る。初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とが一致しなければ、ステップS307において人204が不審者であると不審者判断手段105により判断したのち、ステップS301に戻る。具体的には、以下のような判断を行う。
【0064】
以下、ステップS306の処理をより具体的に説明する。
【0065】
閉じた空間である部屋201内において、カメラ202が初めて人204を検出できるのは、部屋201への出入口であるドア位置となる。つまり、ドア位置から離れた場所に前記初回検出位置が存在した場合、前記初回検出位置において検出された人204は、例えば窓など、出入口としては通常使用しない場所から侵入した不審者であると不審者判断手段105により判断できる。
【0066】
そこで、不審者判断手段105は、前記初回検出位置から、その初回検出位置の最も近くに存在するドア位置までの距離が閾値Dよりも大きかった場合、前記初回検出位置において検出された人204を不審者であると判断する。
【0067】
尚、閾値Dは(式1)に基づいて決定される。(式1)は不審者判断手段105に記憶されている。
【0068】
【数2】
(式1)において、Cは、カメラ202の観測周期を示す。前記観測周期Cが短いほど、前記初回検出位置はドア位置の近くに得られる。Tは、人204がドア205の開閉に要する開閉時間を示す。前記開閉時間Tが長いほど、前記初回検出位置はドア位置の近くに得られる。尚、前記開閉時間Tは、自動ドアの場合は0(秒)となる。また、手動により開閉を行うタイプのドアの場合、前記開閉時間を0.5(秒)などと予め見積もっておく。Sは、人204の歩行速度を示す。前記歩行速度Sが遅いほど、前記初回検出位置はドア位置の近くに得られる。前記歩行速度Sは、人204の歩行速度として妥当な値(例えば1.0m/sなど)を予め見積もって設定しておいても良い。なお、歩行速度は、固定値でもよいが、カメラ202の画像により、大人か子供かを不審者判断手段105で判断して、歩行速度を変更してもよい。この場合、カメラ202の画像による大人か子供かの判断情報として、画像処理部202bで抽出された人204である差分領域の情報が、物体検出履歴データベース102から不審物体判断手段105に入力される。そして、その差分領域の大きさなどから、大人か子供かを不審物体判断手段105により判断することができる。Ndは、カメラ202の人204の検出位置誤差特性を示す。前記検出位置誤差特性Ndには、カメラ202による人204の検出実験を行い、検出位置にどの程度の検出位置誤差が発生するかを事前に見積もっておき、その値を設定しておく。
【0069】
ここで、図5の初回検出観測値推定手段103が推定した初回検出位置を見てみると、観測ID=CAM_001の人204の初回検出位置の位置座標は(25,50)である。不審者判断手段105により、この初回検出位置の最も近くに存在するドアはドア205Aであり、その距離は、251.1cmであると判断される。ここで、最も近くに存在するドアはドア205Aであることは、不審者判断手段105により初回検出位置とすべてのドアとの距離を求めたのち、最小値に関するドアを不審者判断手段105により選択することにより、求めることができる。
【0070】
また、観測ID=CAM_005の人204の初回検出位置の位置座標は(525,175)である。不審者判断手段105により、この初回検出位置の最も近くに存在するドアはドア205Cであり、その距離は、35.4cmであると判断される。観測ID=CAM_016の人204の初回検出位置の位置座標は(125,375)である。不審者判断手段105により、この初回検出位置の最も近くに存在するドアはドア205Bであり、その距離は35.4cmであると判断される。
【0071】
ここで、(式1)のC=1s、S=1m/s、Nd=100cmとし、ドア205A,ドア205Bにおける開閉時間Tをそれぞれ0.5とし、ドア205Cにおける開閉時間Tを0とする。ドア205A,ドア205Bにおける閾値Dはそれぞれ150cmとなり、ドア205Cにおける閾値Dは100cmとなる。
【0072】
すると、初回検出位置に関して最短となるドア205Aまでの距離が251.1cmである観測ID=CAM_001は、ドア205Aにおける閾値D=150cmよりも大きいため、窓206から侵入した不審者を検出して得られた観測値であると、不審者判断手段105により判断することができる。一方、初回検出位置に関して最短となるドア205Cまでの距離が35.4cmである観測ID=CAM_005は、ドア205Cにおける閾値D=100cmよりも小さいため、ドア205Cから入出した人204を検出して得られた観測値であると、不審者判断手段105により判断することができる。また、初回検出位置に関して最短となるドア205Bまでの距離が35.4cmである観測ID=CAM_016は、ドア205Bにおける閾値D=150cmよりも小さいため、ドア205Bから入出した人204を検出して得られた観測値であると、不審者判断手段105により判断することができる。尚、本不審者判断装置は、窓206に関する情報(位置)は所持していない。
【0073】
尚、床201fを、例えば一辺50cm四方のメッシュに区切り、予め、人204の初回検出位置が検出できたならばその人204を不審者とするメッシュ領域を決定しておいても良い。逆に、ドア205の前に領域を予め設定しておき、人204を初めて検出した位置がその領域外ならば、不審者であると不審者判断手段105により判断し、前記領域内ならば、不審者ではないと不審者判断手段105により判断することもできる。これにより、毎回人204の初回検出位置検出時に各ドア205からの距離を算出する手間が省くことができる。このメッシュ領域の例としては、ドア205Aにおける閾値D=150cmを考慮すると、図2の窓の左下の(0,0)、(100,0)、(100,100)、(0,100)で囲まれた領域で人物を初めて検出した場合、不審者判断手段105により不審者と判断する。
【0074】
ここで、前記初回検出位置の数が、検出誤差を無視できるくらいに十分に得られている場合には、出入口データベース104を使用せずに不審者を判断可能である。この場合には、例えば、入口データベース104の代わりに、初回検出観測値履歴データベース107を配置して、不審物体判断装置を構成することができる。この装置で不審物体判断を行うとき、観測情報としては複数、好ましくは3個の観測情報が必要である。例えば、3個の観測情報のうちの2個の観測情報と、1個の観測情報とに収束する場合には、1個の観測情報が不審物体であると判断することができる。なお、人物の観測を行う度に初回検出観測値を計算できるため、計算時間が毎回かかるが、初回検出観測値履歴データベースが必ず必要というわけではない。
【0075】
図8に前記初回検出位置を位置に関してクラスタリングした図を示す。尚、クラスタリング手法には、距離の近い観測値同士を同クラスタとする最短距離法などを用いても良い。
【0076】
図8を見てみると、クラスタ801Dに属する観測値数が1個しか存在せず、他のクラスタ801Aでは6個、クラスタ801Bでは6個、クラスタ801Cでは8個に比べて観測値数が少ない。通常、部屋201への出入に対して、窓等からの不正侵入の割合は極端に低いと考えられることから、クラスタ801Dに含まれる観測値は、ドア205以外から不正に侵入してきた不審者であると、不審者判断手段105により判断することができる。言い換えれば、このクラスタリングを利用した不審物体判断手段105による判断法は、人204を初めて検出した位置同士の距離を算出し、その距離が閾値より大きいと、前記人204が入口以外の場所から侵入した不審者であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、不審者ではないと判断することを意味している。尚、不審者判断手段105により不審者と判断するための、クラスタに含まれる観測値の数の設定方法であるが、例えば、全初回検出位置数の5%未満の数しかクラスタに存在していない、などと設定することができる。
【0077】
図9に不審者判断装置の判断結果の表示例を示す。前記表示例には、出入口データベース104に記憶されているドア205(図9では長方形で示す。)と、人検出履歴データベース102に記憶されている人204の位置(図9では太い円で示す。)が表示されており、さらに、不審者判断手段105が不審者と判断した人204に関しては、前記不審者と判断された人204の位置(図9では太い円の中に×を示す204D参照。)に「不審者」と表示を行っている。尚、不審者判断装置の判断結果は、表示手段106の一例としてのパーソナルコンピュータのモニタ901又は携帯端末の画面902などで表示を行わせることができる。
【0078】
以上、閉じた生活環境としての部屋201を例として、不審者判断装置の説明を行ったが、本発明の不審者判断装置は、部屋201以外の環境へも適用が可能である。図10に、学校の校内への不審者侵入を検出することを目的とした、不審者判断装置の実装例を示す。校内全域を見渡せるように、校舎1001の外壁などに観測装置101の一例としてのカメラ202を、画角の外枠に校壁1003が映るように設置する(つまり、カメラ画像内に、校外の様子が映らないように設置する)。校内へ入るためには校門1002を通ることになるため、通常、生徒1004が初めてカメラ202により検出されるのは、校門1002の付近ということになる。つまり、初回検出観測値推定手段103にて検出された人204の初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている校門の位置が、閾値Dを越えて離れていた場合、前記初回検出位置に存在する人204は、不審者判断手段105により不審者1005であると判断される。
【0079】
(第二実施形態)
ドア205がガラス製のスライド式のドア1103であった場合の不審者判断方法について説明する。
【0080】
図11に、観測装置101として測域センサ1102を用いたドア1103を備える部屋1101の例を示す。また、図12Aに、測域センサ1102を設置した部屋1101におけるドア1103の例を示す。測域センサ1102は、ドア1103を施錠する鍵1203の高さを観測できるよう部屋1101に設置されている。測域センサ1102による人204の検出方法について説明する。測域センサ1102が設置された場所から、壁又はドアなど、環境に固定されて移動することのない物体までの距離を、測域センサ1102により角度毎に予め測定しておく。そして、前記距離よりも短い距離に観測値が測域センサ1102により取得された場合、前記観測値が取得された角度方向、且つ、前記距離に人204が存在すると測域センサ1102により判断できる。また、初めて得られた観測値か否かについては、前回観測時に検出された観測値の位置との距離に基づいて初回検出観測値推定手段103により判断すれば良い。例えば、測域センサ1102の観測周期で移動可能な距離を初回検出観測値推定手段103により予め見積もっておき、前回観測時に検出されたどの観測値の位置からも、前記距離以上離れている場合、今回の観測値は初めて人204を検出することによって得られた観測値であると初回検出観測値推定手段103により判断することができる。
【0081】
出入口データベース104には、ドア1103が存在する領域の中で、人204が通過可能な領域が記憶されている。図13に、ドア1103を人204が通過可能な領域が記憶された出入口データベース104の例を示す。ドア1103は、スライド式のドアとなっており、人204は、左右のどちらからでもドア1103を開閉して通過可能であるが、鍵1203が設置されているドア1103の中心付近は通過することはできない。そのため、出入口データベース104には、座標(110,400)から(180,400)にかけての領域と、座標(200,400)から(270,400)にかけての領域が、通過可能な領域として記憶されている。
【0082】
図12B及び図12Cを用いて、人204の不審者判断の具体的な方法について説明する。図12B及び図12Cは、人204の部屋1201への進入の様子を示している。図12Bは、部屋1201への一般的な進入の様子を示している。それに対して、図12Cは、鍵1203で施錠されている部屋1201への不法な侵入の様子を示している。ここでは、鍵1203の付近のガラスを破壊して鍵1203を解錠して不法に侵入すると仮定している。また、図12Bの例は、初回検出観測値推定手段103が、座標(250,400)において検出した観測値を、人204を初めて検出した観測値として推定している様子を示している。このとき、不審者判断手段105は、前記観測値が検出された座標を受け取ると、出入口データベース104に記憶されているドア1202の通過可能領域を参照し、前記領域中に前記座標が含まれていることを確認することにより、前記観測値が示す人204は不審者ではないと判断する。さらに、図12Cの例は、初回検出観測値推定手段103が、座標(190,400)で検出した観測値を、人204を初めて検出した観測値として推定している様子を示している。このとき、不審者判断手段105は、前記観測値が検出された座標を受け取ると、出入口データベース104に記憶されているドア1202の通過可能領域を参照し、前記領域中に前記座標が含まれていないことを確認することにより、前記観測値が示す人204は不審者であると判断する。
【0083】
(第三実施形態)
図14A〜図14Cに、車両道路において不審車判断を行っている例を示す。カメラ202は、片側の車線の一定区間を観測可能なように設置されているとする。例えば、カメラ202は電柱などから車線を見下ろすように設置することができる。また、片側2車線の場合には、2車線一定区間を観測可能なようにカメラ202を設置しても良い。ここで、図14Aは、時刻2008/09/02_12:00:01:000におけるカメラ202の撮像の様子を示している。図14Bは、時刻2008/09/02_12:01:02:300におけるカメラ202の撮像の様子を示している。図14Cは、時刻2008/09/02_12:03:07:200におけるカメラ202の撮像の様子を示している。尚、観測装置101の一例としてのカメラ202は、物体の例として、人204ではなく車を検出するものとする。同様に、人検出履歴データベース102には、人204ではなく、車の検出履歴が記憶され、不審者判断手段(「不審車判断手段」とも言うべきもの。)105は、不審な人204ではなく、不審な車を判断するものとする。
【0084】
図15に、前記車線の一定区間への入口としての領域が記憶されている出入口データベース104の例を示す。図15の例では、前記領域に座標(0,10)〜(200,310)と記憶されている。これは、前記2点の座標(0,10)と(200,310)とを対角点に持つ区画を前記領域としていることを示す。
【0085】
図16に、人検出履歴データベース102に記憶された前記車の検出履歴を示す。また、図17に、初回検出観測値推定手段103が推定した、前記車を初めて検出した観測値の例を示す。初回観測値の推定方法は、第一実施形態にて説明済みのためここでの新たな説明は省略する。図17に示した、前記観測値が得られると、不審者判断手段105は、図15に示す出入口データベース104に記憶されている前記車線への入口の領域と、前記観測値が検出された位置とを比較し、前記観測値が示す前記車が不審車であるか否かを判断する。例えば、観測ID=CAM_101において検出された車の位置(座標)は(0,160)であり、出入口データベース104に記憶されている前記車線への入口の領域(0,10)〜(200,310)内に含まれている。つまり、観測ID=CAM_101において検出された車は通常車1602であると不審者判断手段105により判断できる。また、観測ID=CAM_127において検出された車の位置(座標)は(300,0)であり、出入口データベース104に記憶されている前記車線への入口の領域(0,10)〜(200,310)には含まれていない。つまり、観測ID=CAM_127において検出された車は異常な運転を行っている不審車1603であると不審者判断手段105により判断できる。
【0086】
以上の構成により、人204を初めて検出できる位置はドア位置であると考えられることから、人204を初めて検出した位置とドア位置とを比較し、その距離が閾値を超えて離れていた場合、前記人204を不審者であると不審者判断手段105により判断できる。そのため、不審者の侵入を検出したい窓などにおいて、不審者を検出するための専用のセンサを取り付ける必要なく、ドア以外の場所から侵入してきた不審者を不審者判断手段105により判断することができる。また、出入口がドアでなくても、道路の車線のように車又は人の走行する方向が決まっている場合、カメラの画角の端を擬似的に車や人が出入りを行うドアとして取り扱うことも可能である。
【0087】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係る不審物体判断装置、不審物体判断方法、及び、不審物体判断プログラムは、ドアなどの通常使用する入口以外の場所、例えば、不審物体の侵入を検出したい窓などにおいて、不審物体を検出するための専用のセンサを逐次取り付ける必要がなく、ドアなどの通常使用する入口以外の場所から侵入してきた不審物体を判断することができる。よって、工場やオフィス、家庭内等のセキュリティシステムに用いられる観測装置を備える不審物体判断装置、並びに、観測装置を利用する不審物体判断方法、及び、不審物体判断プログラムに対して有用である。
【符号の説明】
【0089】
90 不審者判断装置
101 観測装置
102 人検出履歴データベース
103 初回検出観測値推定手段
104 出入口データベース
105 不審者判断手段
106 表示手段
201 部屋
201a,201b,201c 壁
201d 天井
201f 床
202 カメラ
202a 撮像部
202b 画像処理部
204 人
204D 不審者
205A ドア
205B ドア
205C ドア
206 窓
801A クラスタ
801B クラスタ
801C クラスタ
801D クラスタ
901 パーソナルコンピュータのモニタ
902 携帯端末の画面
1001 校舎
1002 校門
1003 校壁
1004 生徒
1005 不審者
1101 測域センサ
1201 部屋
1202 ドア
1203 鍵
1401 車
1402 ドア
1403 鍵
1601 入口
1602 通常車
1603 異常車(不審車)
【技術分野】
【0001】
ドアなどの通常使用する入口以外の場所から侵入してきた不審物体を判断することのできる不審物体判断装置、不審物体判断方法、及び、不審物体判断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マイクロ波と赤外線を用いて侵入者を検出する技術が開示されている。また、特許文献2には、窓ガラスにセンサを設置することによって、室内への侵入を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−39574号公報
【特許文献2】特開2006−090720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術に係るシステムによれば、複数のセンサ等の組み合わせによる人物の検出又はガラスの破壊等の検出などが必要であり、仮に、カメラを用いたとしても、前記検出のための複雑な処理が低減されることはない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、セキュリティ用途に設置されている撮像装置などからの情報を用いて、より簡便な処理により、ドアなどの通常使用する入口以外の位置から不正に侵入してきた不審物体を判断する、不審物体判断装置、不審物体判断方法、及び、不審物体判断プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0007】
本発明の第1態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置を提供する。
【0008】
本発明の第6態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを少なくとも複数観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている複数の、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値情報として記憶する初回検出観測値履歴データベースと、
前記初回検出観測値履歴データベースに記憶された前記物体を初めて検出した位置同士を比較し、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置を提供する。
【0009】
本発明の第7態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として観測装置によりそれぞれ取得し、
前記観測装置によりそれぞれ取得した前記観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを物体検出履歴データベースに記憶し、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定し、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する、
ことを特徴とする不審物体判断方法を提供する。
【0010】
本発明の第8態様によれば、コンピュータに、
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として観測装置により検出して取得した、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として物体検出履歴データベースに記憶する機能と、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定する機能と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する機能と、
を実現させるための不審物体判断プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、物体、例えば人を初めて検出できる位置はドアなどの通常使用する入口の位置であると考えられることから、人を初めて検出した位置と入口の位置とを比較し、その距離が閾値を超えて離れていた場合、前記人を不審者であると判断できる。又は、物体を初めて検出した位置同士を比較し、物体が入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断することができる。そのため、通常使用する入口以外の場所、例えば、不審者の侵入を検出したい窓などにおいて、不審者を検出するための専用のセンサを取り付ける必要なく、入口以外の場所から侵入してきた不審者を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の前記第一実施形態に係る前記不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋を説明する図
【図3】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の全体処理を示すフローチャート図
【図4】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の人検出履歴データベースの一例を示す図
【図5】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の初回検出観測値推定手段の推定結果の一例を示す図
【図6】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の初回検出観測値推定手段の処理を示すフローチャート図
【図7】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の出入口データベースの一例を示す図
【図8】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の初回検出位置のクラスタリング処理の一例を示す図
【図9】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置の表示手段の一例を示す図
【図10】本発明の第一実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての校舎を説明する図
【図11】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋を説明する図
【図12A】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋への人の出入りを説明する図
【図12B】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋への人の出入りを説明する図
【図12C】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である生活空間としての部屋への人の出入りを説明する図
【図13】本発明の第二実施形態に係る不審物体判断装置の出入口データベースの一例を示す図
【図14A】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である空間としての車道を説明する図
【図14B】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である空間としての車道を説明する図
【図14C】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置による観測対象である空間としての車道を説明する図
【図15】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置の出入口データベースの一例を示す図
【図16】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置の車検出履歴データベースの一例を示す図
【図17】本発明の第三実施形態に係る不審物体判断装置の初回検出観測値推定手段の推定結果の一例を示す図
【図18】本発明の他の実施形態に係る不審物体判断装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
以下、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
【0015】
本発明の第1態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置を提供する。
【0016】
本発明の第2態様によれば、前記不審物体判断手段は、前記物体を初めて検出した位置と前記入口データベース内の前記入口の位置との距離を算出し、算出した距離が閾値より大きいと、その物体は不審物体であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、その物体は不審物体ではないと判断する、第1の態様に記載の不審物体判断装置を提供する。
【0017】
本発明の第3態様によれば、前記物体は人であり、前記閾値は、下記の式2により求められ、
【0018】
【数1】
前記式2において、Cは前記観測装置の観測周期、Tは、人が前記入口のドアの開閉に要する開閉時間、Sは人の歩行速度、Ndは前記観測装置の人の検出位置誤差特性である、第2の態様に記載の不審物体判断装置を提供する。
【0019】
本発明の第4態様によれば、前記不審物体判断手段は、前記入口の前に領域を予め設定しておき、前記物体を初めて検出した位置がその領域外ならば、不審物体であると判断し、前記領域内ならば、不審物体ではないと判断する、第1の態様に記載の不審物体判断装置を提供する。
【0020】
本発明の第5態様によれば、前記不審物体判断手段は、前記物体を初めて検出した位置同士の距離を算出し、その距離が閾値より大きいと、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、不審物体ではないと判断する、第1の態様第記載の不審物体判断装置を提供する。
【0021】
本発明の第6態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを少なくとも複数観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている複数の、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値情報として記憶する初回検出観測値履歴データベースと、
前記初回検出観測値履歴データベースに記憶された前記物体を初めて検出した位置同士を比較し、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置を提供する。
【0022】
本発明の第7態様によれば、入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として観測装置によりそれぞれ取得し、
前記観測装置によりそれぞれ取得した前記観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを物体検出履歴データベースに記憶し、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定し、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する、
ことを特徴とする不審物体判断方法を提供する。
【0023】
本発明の第8態様によれば、コンピュータに、
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として観測装置により検出して取得した、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として物体検出履歴データベースに記憶する機能と、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定する機能と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する機能と、
を実現させるための不審物体判断プログラムを提供する。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。第一実施形態及び第二実施形態では、不審物体を不審者として説明し、第三実施形態では、不審物体を不審車として説明する。
【0025】
(第一実施形態)
<不審者判断装置の構成の説明>
図1は、本発明の第一実施形態に係る不審者判断装置の構成を示した図である。
【0026】
本発明の第一実施形態に係る不審者判断装置90は、観測装置101と、初回検出観測値推定手段103と、不審者判断手段105と、表示手段106とを備えるように構成されている。不審者判断装置90は、さらに、有線又は無線を使用して、接続された人検出履歴データベース102と出入口データベース104とからデータをそれぞれ受け取るように構成されている。また、人検出履歴データベース102は、有線又は無線を使用して接続された観測装置101からデータを受け取るように構成されている。出入口データベース104は入口データベース104の一例として機能する。
【0027】
図2に、観測装置101の一例としてカメラ202を備えた、閉じた生活環境の具体的な例である部屋201を示す。一例としての直方体の部屋201の四角形の天井201dの中央付近には、真下に向けられたカメラ202が設置されている。部屋201内には、人204が存在して、部屋201に出入りしている。カメラ202は、人204を検出する撮像部202aと、撮像部202aに接続されて撮像部202aにより撮像した画像データを画像処理する画像処理部202bとを備えて構成している。
【0028】
尚、部屋201に出入りする人204の数に制限は無く、任意の一人の人204を、代表的に人204として説明を行っている。また、閉じた環境である部屋201内への入口の一例(出入口の一例)として、ドア205Aと、ドア205Bと、ドア205C(ドアを総称的に説明するときには、これらの個々のドア205A,205B,205Cの参照符号を使用せずに「205」として記載する。)とが設置されている。以後、部屋201内のドア205Aとドア205Bとドア205Cとのうちの任意のドアを、ドア205として代表的に説明する。一例として、部屋201の対向する一対の壁201a,201cにそれぞれドア205Aとドア205Cとが配置され、一対の壁201a,201cをつなぐ壁201bにドア205Bが配置されている。
【0029】
尚、部屋201内には、カメラ202が観測装置の例として設置されているが、人204の位置を検出可能な観測装置であれば、カメラ以外の装置でも、本発明に適用可能である。
【0030】
<観測装置の説明>
観測装置101の一例であるカメラ202の撮像部202aは、所定の観測周期(例えば1秒〜2秒の任意の時間又は100ms)毎に、部屋201内を撮像により観測する。そして、撮像部202aにより撮像された画像データを画像処理部202bで画像処理することにより、部屋201内に存在する人204の検出を行う。この検出結果を、画像処理部202bから人検出履歴データベース102に出力して人検出履歴データベース102により記憶する。観測装置101により人204を検出すると、観測装置101は、検出した人204の特徴情報(人であることを示す特徴(特徴量)を表す情報)と位置とを取得する。そして、取得した人204の特徴情報と位置とを、人204を検出した時刻と共に、人検出履歴データベース102に観測装置101が記憶する。よって、人204と、人204を検出した時刻とが対応付けされて、人検出履歴データベース102に記憶されている。ここで、位置とは、観測装置101により検出される、部屋201内での人204の位置を示す位置座標(例えば、XY座標)である。人204を検出した時刻は、一例として、カメラ202に内蔵されたタイマーから取得する。
【0031】
まず、観測装置101の一例として、観測装置101にカメラ202を用いた場合について説明する。
【0032】
カメラ202の撮像部202aにより撮像された画像データを用いて画像処理部202bにより人204を検出するには、カメラ202の撮像部202aが取得した画像データを、カメラ202内に備えた画像処理部202bにより画像処理する必要がある。そのような画像処理の方法として、例えば、背景差分法を用いることができる。カメラ202の撮像部202aにより予め撮像して用意しておいた、人204が存在していないときの部屋201の背景画像データと、カメラ202の撮像部202aにより撮像した現在の画像データとを画像処理部202bにより比較する。その後、比較した情報から、画素値が異なる領域を差分領域として画像処理部202bにより取り出す。ただし、画像データにはノイズが混じっている可能性があるため、前記差分領域が人204に対して十分に小さいと画像処理部202bにより判断できる場合には、前記差分領域は人204ではないと画像処理部202bにより判断しても良い。ここで、差分領域が人204に対して十分に小さい場合とは、前記差分領域の画素数が、人204と認識可能な最低画素数を基に予め設定した閾値以下である場合が考えられる。尚、検出した人204の位置は、画像処理部202bにより、例えば前記差分領域の重心位置とすることができる。
【0033】
検出した人204の特徴情報は、例えば、前記差分領域の色の分布とすることができる。以下、これを色特徴情報と称する。また、検出した前記差分領域の大きさを特徴情報としても良い。例えば、前記差分領域が50ピクセル未満により構成されていた場合には領域小、50ピクセル以上75ピクセル未満により構成されていた場合には領域中、75ピクセル以上により構成されていた場合には領域大と特徴付けることができる。以下、これを領域特徴情報と称する。なお、以下の説明では、特徴情報として、色特徴情報と領域特徴情報とを併記して説明するが、これは両方の特徴情報が必要であるという意味ではなく、少なくともいずれか一方の特徴情報があればよいことを意味する。もちろん、色特徴情報と領域特徴情報とを両方使用すれば、判断精度が高まることは言うまでもない。
【0034】
<人検出履歴データベース及び初回検出観測値推定手段の説明>
人検出履歴データベース102には、人204が観測装置101により検出された時刻と、観測装置101により検出された人204の特徴情報と、人204が観測装置101により検出された位置とが、観測装置101により記憶される。
【0035】
初回検出観測値推定手段103は、人検出履歴データベース102に記憶された情報を参照して、初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在したか否かの判断を行う。
【0036】
図4に、カメラ202が人204を検出したときの人検出履歴データベース102の一例を示す。
【0037】
図4の人検出履歴データベース102には、カメラ202が人204を検出したときの時刻と位置と色特徴情報と領域特徴情報と、そして観測ID(時刻と位置と色特徴情報と領域特徴情報とを含む観測情報同士を識別するための情報)とが記憶できるようになっている。例えば、時刻2008/09/02_12:00:01では、位置(x,y)=(25,50)にて、色特徴情報が赤の人が大きな領域の領域特徴情報を持つ情報として検出され、観測ID=CAM_001として人検出履歴データベース102に記憶されている。また、時刻2008/09/02_12:00:04では、位置(525,175)にて色特徴情報が白の人が小さな領域の領域特徴情報を持つ情報として検出され、観測ID=CAM_005として人検出履歴データベース102に記憶されている。ここで、観測ID=CAM_001と観測ID=CAM_005にそれぞれ記憶されている色特徴情報及び領域特徴情報は異なっていると、初回検出観測値推定手段103により判断することができる。このことから、観測ID=CAM_001において検出した人と観測ID=CAM_005において検出した人は異なる人物であると、初回検出観測値推定手段103で推定することができる。
【0038】
図5に、初回検出観測値推定手段103が推定した、カメラ202が人204を初めて検出したときの観測値の一例を示す。
【0039】
図5の推定結果には、カメラ202が人204を初めて検出したときの時刻と位置と色特徴情報と領域特徴情報と、そして観測IDとが示されている。尚、図5の推定結果は、図4の人検出履歴データベース102に記憶されている人204の検出履歴の情報を基に、初回検出観測値推定手段103により作成されている。初回検出観測値推定手段103の具体的な動作については、後述する。
【0040】
<出入口データベースの説明>
出入口データベース104には、部屋201への入口又は出入口となるドア205の位置が予め記憶されている。
【0041】
不審者判断装置に出入口データベース104を予め格納しておいてもよい。また、インターネットを通じて出入口データベース104をオンラインにより、不審者判断装置の外部のデータベースなど記憶装置から取得してもよい。
【0042】
図7に出入口データベース104の一例を示す。
【0043】
図7の出入口データベース104には、ドアIDと、前記ドアIDが示す部屋201におけるドア位置と、ドアIDが示す家具(ドア)の取り得る動作(例えば、ドアの開け閉め動作)とが記憶されている。尚、図7の例では、ドアの重心位置がドア位置として記憶されているが、ドア位置の範囲(例えば、ドアの位置を中心とした所定距離内の範囲又はドアの開け閉め動作に必要な範囲の縁部から所定距離内の範囲)を指定しておいても構わない。例えば、DOOR_001が示すドアの場合、ドア位置の範囲を(0,250)〜(0,350)[座標(0,250)から座標(0,350)にかけてドアが存在することを示す。]などと表すことができる。また、ドア205Aのように、ドアが開き戸であった場合、ドア位置をドア205Aの重心位置から縦枠205f寄りに設定しておいても良い。これは、人204が開き戸を通過する場合には、縦枠寄りを通過することが多いためである。
【0044】
出入口データベース104には、ドア識別情報として、ドアIDが示す家具(ドア)が取り得る動作について予め記憶されている。図7の出入口データベース104によると、ドアID=DOOR_001(ドア205A)とドアID=DOOR_002(ドア205B)の動作には、「手動開閉」と予め記憶されている。これは、人204が手動によりドア205(205A,205B)の開閉を行う必要があること(人204が、一旦、ドア205A,205Bの前で停止してドア205A,205Bの開閉動作を手動により行うこと)を意味している。また、ドアID=DOOR_003(ドア205C)には、「自動開閉」と予め記憶されている。これは、ドア205が自動ドアであり、人204が手動によりドア205の開閉を行う必要がないこと(人204が、一旦、ドア205Cの前で停止してドア205Cの開閉動作を手動により行う必要がないこと)を意味している。以上のようなドア205の構成により説明を行うが、本発明は、ドア205が全て手動開閉又は自動開閉であっても、動作可能である。ここでは、一例として、各出入口にはドア205が存在し、ドア205が開閉することにより、人204が部屋202を正規に(人204が不正なく、又は、人204が不審者としてではなく)出入りすることを前提としている。
【0045】
<不審者判断手段の説明>
不審者判断手段105は、初回検出観測値推定手段103により推定した人204が初めて検出された観測値に含まれる位置情報(以後、初回検出位置と呼ぶ)と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とを比較し、人204が不審者か否かを判断する。すなわち、初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とが一致すれば、人204が不審者ではないと不審者判断手段105により判断する。初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とが一致しなければ、人204が不審者であると不審者判断手段105により判断する。具体的な判断動作については、後述する。
【0046】
<不審者判断装置の全体処理>
以下、図3は、前記不審者判断装置の全体処理を示すフローチャートであり、この図3のフローチャートに対応させながら、前記不審者判断装置の全体処理について説明する。
【0047】
図3のステップS301では、カメラ202を用いて、撮像部202aで撮像された情報を基に人204を検出したと画像処理部202bにより判断した場合には、次のステップS302の特徴情報抽出処理に進む。一方、カメラ202を用いて、人204を検出していないと画像処理部202bにより判断した場合には、人204を検出したと画像処理部202bにより判断するまで、ステップS301の処理を繰り返す。
【0048】
次のステップS302においては、撮像部202aで撮像された情報から、検出した人204の特徴情報を画像処理部202bにより抽出する。その後、ステップS303に進む。
【0049】
ステップS303では、ステップS302においてカメラ202の画像処理部202bが抽出した特徴情報と位置とを、検出した時刻と共に、カメラ202の画像処理部202bにより人検出履歴データベース102に記憶する。その後、ステップS304に進む。
【0050】
ステップS304では、人物履歴データベース102に記憶されている人204の検出履歴の情報を基に、人204を初めて検出した履歴のデータ(例えば、位置)を初回検出観測値推定手段103により推定する。その後、ステップS305に進む。
【0051】
ここで、図5の推定結果を使用して、初回検出観測値推定手段103により、人204を初めて検出した履歴のデータ(すなわち、初回検出観測値)を推定して取得する方法を図6のフローチャートを用いて説明する。
【0052】
まず、ステップS601では、人検出履歴データベース102に未読のデータがあるか否かを初回検出観測値推定手段103により判断している。未読データが存在しないと初回検出観測値推定手段103により判断すれば、初回検出観測値の取得処理を終了する。人検出履歴データベース102に未読のデータがあると初回検出観測値推定手段103により判断すれば、ステップS602に進む。例えば、未読データが存在するか否かは、それぞれのデータに対して未読データ又は既読データを示すフラグが存在するか否かに基づき、初回検出観測値推定手段103により判断することができる。
【0053】
ステップS602は、ステップS601において未読データが存在すると初回検出観測値推定手段103により判断した場合の処理である。人検出履歴データベース102に記憶されている未読データを初回検出観測値推定手段103により1つ読み込む。その後、ステップS603に進む。
【0054】
次いで、ステップS603では、読み込んだデータに、記憶されている時刻からN時刻前までの間に(ただし、N>0)、同じ特徴情報が記憶されているデータが人検出履歴データベース102に記憶されているか否かを初回検出観測値推定手段103により判断している。同じ特徴情報が記憶されているデータが人検出履歴データベース102に記憶されていると初回検出観測値推定手段103により判断した場合は、初めて検出した人ではないと初回検出観測値推定手段103により判断し、ステップS601の処理へ戻る。ここで、Nは観測装置101の観測周期(例えば1秒〜2秒の任意の時間又は100ms)などとすることができる。観測装置101が人204の検出ミスをする可能性を考慮し、Nに観測装置101の観測周期を定数倍した値を用いても構わない。一方、記憶されている時刻からN時刻前までの間に同じ特徴情報が記憶されているデータが存在していないと初回検出観測値推定手段103により判断した場合には、ステップS604に進む。
【0055】
ステップS604は、ステップS603において、記憶されている時刻からN時刻前までの間に同じ特徴情報が記憶されているデータが存在していないと初回検出観測値推定手段103により判断した場合の処理である。ステップS602において読み込んだデータは、人204を初めて検出した観測値であると、初回検出観測値推定手段103により判断する。その後、ステップS601の処理に戻る。
【0056】
このようにして、人204を初めて検出した観測値、すなわち、ステップS304において、人204を初めて検出した履歴のデータ(例えば、位置)を初回検出観測値推定手段103により推定する。
【0057】
次いで、ステップS305では、人物履歴データベース102に記憶されている情報を基に、初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在したか否かの判断を初回検出観測値推定手段103により行う。初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在したと初回検出観測値推定手段103により判断した場合には、ステップS306に進む。初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在していないと初回検出観測値推定手段103により判断した場合には、ステップS301に戻る。
【0058】
以下に、このステップS305において、人物履歴データベース102に記憶されている情報を基に、初めて人204を検出した履歴のデータ(例えば、位置)の推定結果が存在していると初回検出観測値推定手段103により判断された場合の推定結果を図5に示す。この推定結果について、図4と図5を用いて具体的に説明する。
【0059】
図5の初回検出観測値推定手段103の推定結果には、人204が初めて検出された観測IDとして、観測ID=CAM_001と観測ID=CAM_005と観測ID=CAM_016とが存在する。尚、初回検出観測値推定手段103の判断結果を記憶する初回検出観測値履歴データベースを用いても構わない。また、人検出履歴データベース102に、人204を初めて検出したか否かを示すフィールドを設けておいても良い。
【0060】
観測ID=CAM_001は、色特徴情報が赤色の人が初めて検出されたため、人物履歴データベース102に記憶されている。同様に、観測ID=CAM_005は、色特徴情報が白色の人が初めて検出されたため、人物履歴データベース102に記憶されている。さらに、観測ID=CAM_016の色特徴情報は赤色であるけれども、人物履歴データベース102に記憶されている。これは、観測ID=CAM_016の観測(時刻2008/09/02_12:00:10)より1つ前の前回の観測(時刻2008/09/02_12:00:09)において、色特徴情報が赤色の人が検出されていないためである。つまり、色特徴情報が赤色の人は、一度、時刻2008/09/02_12:00:08に部屋201を退室し、時刻2008/09/02_12:00:10に部屋201に入室したと考えられるためである。これは、観測装置101(ここでは、一例として、カメラ202。)が人204の検出ミスをしないことを想定し、Nの値を観測装置101の観測周期の一例である1秒に設定していることを示す。すなわち、初回検出観測値推定手段103は、観測周期毎に連続した観測において、同じ色特徴情報を有する人204が連続して観測できている場合は、人204が部屋201に存在すると判断する一方、前記連続した観測において、同じ色特徴情報を有する人204が観測できなかった場合は、人204が部屋201から出たと判断するためである。
【0061】
ここで、人204が部屋201内に存在するにも関わらず、カメラ202が人204の検出ミスをする場合のことを考える。この場合、例えば、カメラ202が人204をM回検出できなければ(ただし、Mは0より大きな整数。)、人204は部屋201から出て行ったと初回検出観測値推定手段103により判断しても良い。つまり、カメラ202の観測周期が1秒の場合、(N×M)秒間、人204が検出されないと初回検出観測値推定手段103により判断すれば、人204は部屋から出て行ったと初回検出観測値推定手段103により推定することとなる。
【0062】
図4の例に戻って説明すると、赤色の人が、時刻2008/09/02_12:00:08においては検出されているが、時刻2008/09/02_12:00:09において検出されなくなって、赤色の人が次回検出されたのが1秒後の時刻2008/09/02_12:00:10である。人204が一度でも検出されなければ人204が部屋201から出たと初回検出観測値推定手段103により判断する場合、人検出履歴データベース102には、観測ID=CAM_001と観測ID=CAM_005と観測ID=CAM_016とが初回検出観測値推定手段103により記憶されることとなる。しかし、例えば、人204が連続で5回以上(すなわち、M=5)検出されなかった場合には人204が部屋201から出たと初回検出観測値推定手段10により判断する場合には、人検出履歴データベース102には、観測ID=CAM_001とCAM_005が記憶されることとなる。この場合は、観測ID=CAM_014の時刻2008/09/02_12:00:09においてカメラ202が人204の検出ミスをした、と初回検出観測値推定手段10により推定させることを意味する。
【0063】
次いで、ステップS306では、不審者判断手段105が、初回検出観測値推定手段103により推定した人204が初めて検出された観測値に含まれる位置情報(以後、初回検出位置と呼ぶ)と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とを比較し、人204が不審者か否かを判断している。すなわち、初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とが一致すれば、人204が不審者ではないと不審者判断手段105により判断したのち、ステップS301に戻る。初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている各ドア205の位置情報とが一致しなければ、ステップS307において人204が不審者であると不審者判断手段105により判断したのち、ステップS301に戻る。具体的には、以下のような判断を行う。
【0064】
以下、ステップS306の処理をより具体的に説明する。
【0065】
閉じた空間である部屋201内において、カメラ202が初めて人204を検出できるのは、部屋201への出入口であるドア位置となる。つまり、ドア位置から離れた場所に前記初回検出位置が存在した場合、前記初回検出位置において検出された人204は、例えば窓など、出入口としては通常使用しない場所から侵入した不審者であると不審者判断手段105により判断できる。
【0066】
そこで、不審者判断手段105は、前記初回検出位置から、その初回検出位置の最も近くに存在するドア位置までの距離が閾値Dよりも大きかった場合、前記初回検出位置において検出された人204を不審者であると判断する。
【0067】
尚、閾値Dは(式1)に基づいて決定される。(式1)は不審者判断手段105に記憶されている。
【0068】
【数2】
(式1)において、Cは、カメラ202の観測周期を示す。前記観測周期Cが短いほど、前記初回検出位置はドア位置の近くに得られる。Tは、人204がドア205の開閉に要する開閉時間を示す。前記開閉時間Tが長いほど、前記初回検出位置はドア位置の近くに得られる。尚、前記開閉時間Tは、自動ドアの場合は0(秒)となる。また、手動により開閉を行うタイプのドアの場合、前記開閉時間を0.5(秒)などと予め見積もっておく。Sは、人204の歩行速度を示す。前記歩行速度Sが遅いほど、前記初回検出位置はドア位置の近くに得られる。前記歩行速度Sは、人204の歩行速度として妥当な値(例えば1.0m/sなど)を予め見積もって設定しておいても良い。なお、歩行速度は、固定値でもよいが、カメラ202の画像により、大人か子供かを不審者判断手段105で判断して、歩行速度を変更してもよい。この場合、カメラ202の画像による大人か子供かの判断情報として、画像処理部202bで抽出された人204である差分領域の情報が、物体検出履歴データベース102から不審物体判断手段105に入力される。そして、その差分領域の大きさなどから、大人か子供かを不審物体判断手段105により判断することができる。Ndは、カメラ202の人204の検出位置誤差特性を示す。前記検出位置誤差特性Ndには、カメラ202による人204の検出実験を行い、検出位置にどの程度の検出位置誤差が発生するかを事前に見積もっておき、その値を設定しておく。
【0069】
ここで、図5の初回検出観測値推定手段103が推定した初回検出位置を見てみると、観測ID=CAM_001の人204の初回検出位置の位置座標は(25,50)である。不審者判断手段105により、この初回検出位置の最も近くに存在するドアはドア205Aであり、その距離は、251.1cmであると判断される。ここで、最も近くに存在するドアはドア205Aであることは、不審者判断手段105により初回検出位置とすべてのドアとの距離を求めたのち、最小値に関するドアを不審者判断手段105により選択することにより、求めることができる。
【0070】
また、観測ID=CAM_005の人204の初回検出位置の位置座標は(525,175)である。不審者判断手段105により、この初回検出位置の最も近くに存在するドアはドア205Cであり、その距離は、35.4cmであると判断される。観測ID=CAM_016の人204の初回検出位置の位置座標は(125,375)である。不審者判断手段105により、この初回検出位置の最も近くに存在するドアはドア205Bであり、その距離は35.4cmであると判断される。
【0071】
ここで、(式1)のC=1s、S=1m/s、Nd=100cmとし、ドア205A,ドア205Bにおける開閉時間Tをそれぞれ0.5とし、ドア205Cにおける開閉時間Tを0とする。ドア205A,ドア205Bにおける閾値Dはそれぞれ150cmとなり、ドア205Cにおける閾値Dは100cmとなる。
【0072】
すると、初回検出位置に関して最短となるドア205Aまでの距離が251.1cmである観測ID=CAM_001は、ドア205Aにおける閾値D=150cmよりも大きいため、窓206から侵入した不審者を検出して得られた観測値であると、不審者判断手段105により判断することができる。一方、初回検出位置に関して最短となるドア205Cまでの距離が35.4cmである観測ID=CAM_005は、ドア205Cにおける閾値D=100cmよりも小さいため、ドア205Cから入出した人204を検出して得られた観測値であると、不審者判断手段105により判断することができる。また、初回検出位置に関して最短となるドア205Bまでの距離が35.4cmである観測ID=CAM_016は、ドア205Bにおける閾値D=150cmよりも小さいため、ドア205Bから入出した人204を検出して得られた観測値であると、不審者判断手段105により判断することができる。尚、本不審者判断装置は、窓206に関する情報(位置)は所持していない。
【0073】
尚、床201fを、例えば一辺50cm四方のメッシュに区切り、予め、人204の初回検出位置が検出できたならばその人204を不審者とするメッシュ領域を決定しておいても良い。逆に、ドア205の前に領域を予め設定しておき、人204を初めて検出した位置がその領域外ならば、不審者であると不審者判断手段105により判断し、前記領域内ならば、不審者ではないと不審者判断手段105により判断することもできる。これにより、毎回人204の初回検出位置検出時に各ドア205からの距離を算出する手間が省くことができる。このメッシュ領域の例としては、ドア205Aにおける閾値D=150cmを考慮すると、図2の窓の左下の(0,0)、(100,0)、(100,100)、(0,100)で囲まれた領域で人物を初めて検出した場合、不審者判断手段105により不審者と判断する。
【0074】
ここで、前記初回検出位置の数が、検出誤差を無視できるくらいに十分に得られている場合には、出入口データベース104を使用せずに不審者を判断可能である。この場合には、例えば、入口データベース104の代わりに、初回検出観測値履歴データベース107を配置して、不審物体判断装置を構成することができる。この装置で不審物体判断を行うとき、観測情報としては複数、好ましくは3個の観測情報が必要である。例えば、3個の観測情報のうちの2個の観測情報と、1個の観測情報とに収束する場合には、1個の観測情報が不審物体であると判断することができる。なお、人物の観測を行う度に初回検出観測値を計算できるため、計算時間が毎回かかるが、初回検出観測値履歴データベースが必ず必要というわけではない。
【0075】
図8に前記初回検出位置を位置に関してクラスタリングした図を示す。尚、クラスタリング手法には、距離の近い観測値同士を同クラスタとする最短距離法などを用いても良い。
【0076】
図8を見てみると、クラスタ801Dに属する観測値数が1個しか存在せず、他のクラスタ801Aでは6個、クラスタ801Bでは6個、クラスタ801Cでは8個に比べて観測値数が少ない。通常、部屋201への出入に対して、窓等からの不正侵入の割合は極端に低いと考えられることから、クラスタ801Dに含まれる観測値は、ドア205以外から不正に侵入してきた不審者であると、不審者判断手段105により判断することができる。言い換えれば、このクラスタリングを利用した不審物体判断手段105による判断法は、人204を初めて検出した位置同士の距離を算出し、その距離が閾値より大きいと、前記人204が入口以外の場所から侵入した不審者であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、不審者ではないと判断することを意味している。尚、不審者判断手段105により不審者と判断するための、クラスタに含まれる観測値の数の設定方法であるが、例えば、全初回検出位置数の5%未満の数しかクラスタに存在していない、などと設定することができる。
【0077】
図9に不審者判断装置の判断結果の表示例を示す。前記表示例には、出入口データベース104に記憶されているドア205(図9では長方形で示す。)と、人検出履歴データベース102に記憶されている人204の位置(図9では太い円で示す。)が表示されており、さらに、不審者判断手段105が不審者と判断した人204に関しては、前記不審者と判断された人204の位置(図9では太い円の中に×を示す204D参照。)に「不審者」と表示を行っている。尚、不審者判断装置の判断結果は、表示手段106の一例としてのパーソナルコンピュータのモニタ901又は携帯端末の画面902などで表示を行わせることができる。
【0078】
以上、閉じた生活環境としての部屋201を例として、不審者判断装置の説明を行ったが、本発明の不審者判断装置は、部屋201以外の環境へも適用が可能である。図10に、学校の校内への不審者侵入を検出することを目的とした、不審者判断装置の実装例を示す。校内全域を見渡せるように、校舎1001の外壁などに観測装置101の一例としてのカメラ202を、画角の外枠に校壁1003が映るように設置する(つまり、カメラ画像内に、校外の様子が映らないように設置する)。校内へ入るためには校門1002を通ることになるため、通常、生徒1004が初めてカメラ202により検出されるのは、校門1002の付近ということになる。つまり、初回検出観測値推定手段103にて検出された人204の初回検出位置と、出入口データベース104に記憶されている校門の位置が、閾値Dを越えて離れていた場合、前記初回検出位置に存在する人204は、不審者判断手段105により不審者1005であると判断される。
【0079】
(第二実施形態)
ドア205がガラス製のスライド式のドア1103であった場合の不審者判断方法について説明する。
【0080】
図11に、観測装置101として測域センサ1102を用いたドア1103を備える部屋1101の例を示す。また、図12Aに、測域センサ1102を設置した部屋1101におけるドア1103の例を示す。測域センサ1102は、ドア1103を施錠する鍵1203の高さを観測できるよう部屋1101に設置されている。測域センサ1102による人204の検出方法について説明する。測域センサ1102が設置された場所から、壁又はドアなど、環境に固定されて移動することのない物体までの距離を、測域センサ1102により角度毎に予め測定しておく。そして、前記距離よりも短い距離に観測値が測域センサ1102により取得された場合、前記観測値が取得された角度方向、且つ、前記距離に人204が存在すると測域センサ1102により判断できる。また、初めて得られた観測値か否かについては、前回観測時に検出された観測値の位置との距離に基づいて初回検出観測値推定手段103により判断すれば良い。例えば、測域センサ1102の観測周期で移動可能な距離を初回検出観測値推定手段103により予め見積もっておき、前回観測時に検出されたどの観測値の位置からも、前記距離以上離れている場合、今回の観測値は初めて人204を検出することによって得られた観測値であると初回検出観測値推定手段103により判断することができる。
【0081】
出入口データベース104には、ドア1103が存在する領域の中で、人204が通過可能な領域が記憶されている。図13に、ドア1103を人204が通過可能な領域が記憶された出入口データベース104の例を示す。ドア1103は、スライド式のドアとなっており、人204は、左右のどちらからでもドア1103を開閉して通過可能であるが、鍵1203が設置されているドア1103の中心付近は通過することはできない。そのため、出入口データベース104には、座標(110,400)から(180,400)にかけての領域と、座標(200,400)から(270,400)にかけての領域が、通過可能な領域として記憶されている。
【0082】
図12B及び図12Cを用いて、人204の不審者判断の具体的な方法について説明する。図12B及び図12Cは、人204の部屋1201への進入の様子を示している。図12Bは、部屋1201への一般的な進入の様子を示している。それに対して、図12Cは、鍵1203で施錠されている部屋1201への不法な侵入の様子を示している。ここでは、鍵1203の付近のガラスを破壊して鍵1203を解錠して不法に侵入すると仮定している。また、図12Bの例は、初回検出観測値推定手段103が、座標(250,400)において検出した観測値を、人204を初めて検出した観測値として推定している様子を示している。このとき、不審者判断手段105は、前記観測値が検出された座標を受け取ると、出入口データベース104に記憶されているドア1202の通過可能領域を参照し、前記領域中に前記座標が含まれていることを確認することにより、前記観測値が示す人204は不審者ではないと判断する。さらに、図12Cの例は、初回検出観測値推定手段103が、座標(190,400)で検出した観測値を、人204を初めて検出した観測値として推定している様子を示している。このとき、不審者判断手段105は、前記観測値が検出された座標を受け取ると、出入口データベース104に記憶されているドア1202の通過可能領域を参照し、前記領域中に前記座標が含まれていないことを確認することにより、前記観測値が示す人204は不審者であると判断する。
【0083】
(第三実施形態)
図14A〜図14Cに、車両道路において不審車判断を行っている例を示す。カメラ202は、片側の車線の一定区間を観測可能なように設置されているとする。例えば、カメラ202は電柱などから車線を見下ろすように設置することができる。また、片側2車線の場合には、2車線一定区間を観測可能なようにカメラ202を設置しても良い。ここで、図14Aは、時刻2008/09/02_12:00:01:000におけるカメラ202の撮像の様子を示している。図14Bは、時刻2008/09/02_12:01:02:300におけるカメラ202の撮像の様子を示している。図14Cは、時刻2008/09/02_12:03:07:200におけるカメラ202の撮像の様子を示している。尚、観測装置101の一例としてのカメラ202は、物体の例として、人204ではなく車を検出するものとする。同様に、人検出履歴データベース102には、人204ではなく、車の検出履歴が記憶され、不審者判断手段(「不審車判断手段」とも言うべきもの。)105は、不審な人204ではなく、不審な車を判断するものとする。
【0084】
図15に、前記車線の一定区間への入口としての領域が記憶されている出入口データベース104の例を示す。図15の例では、前記領域に座標(0,10)〜(200,310)と記憶されている。これは、前記2点の座標(0,10)と(200,310)とを対角点に持つ区画を前記領域としていることを示す。
【0085】
図16に、人検出履歴データベース102に記憶された前記車の検出履歴を示す。また、図17に、初回検出観測値推定手段103が推定した、前記車を初めて検出した観測値の例を示す。初回観測値の推定方法は、第一実施形態にて説明済みのためここでの新たな説明は省略する。図17に示した、前記観測値が得られると、不審者判断手段105は、図15に示す出入口データベース104に記憶されている前記車線への入口の領域と、前記観測値が検出された位置とを比較し、前記観測値が示す前記車が不審車であるか否かを判断する。例えば、観測ID=CAM_101において検出された車の位置(座標)は(0,160)であり、出入口データベース104に記憶されている前記車線への入口の領域(0,10)〜(200,310)内に含まれている。つまり、観測ID=CAM_101において検出された車は通常車1602であると不審者判断手段105により判断できる。また、観測ID=CAM_127において検出された車の位置(座標)は(300,0)であり、出入口データベース104に記憶されている前記車線への入口の領域(0,10)〜(200,310)には含まれていない。つまり、観測ID=CAM_127において検出された車は異常な運転を行っている不審車1603であると不審者判断手段105により判断できる。
【0086】
以上の構成により、人204を初めて検出できる位置はドア位置であると考えられることから、人204を初めて検出した位置とドア位置とを比較し、その距離が閾値を超えて離れていた場合、前記人204を不審者であると不審者判断手段105により判断できる。そのため、不審者の侵入を検出したい窓などにおいて、不審者を検出するための専用のセンサを取り付ける必要なく、ドア以外の場所から侵入してきた不審者を不審者判断手段105により判断することができる。また、出入口がドアでなくても、道路の車線のように車又は人の走行する方向が決まっている場合、カメラの画角の端を擬似的に車や人が出入りを行うドアとして取り扱うことも可能である。
【0087】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係る不審物体判断装置、不審物体判断方法、及び、不審物体判断プログラムは、ドアなどの通常使用する入口以外の場所、例えば、不審物体の侵入を検出したい窓などにおいて、不審物体を検出するための専用のセンサを逐次取り付ける必要がなく、ドアなどの通常使用する入口以外の場所から侵入してきた不審物体を判断することができる。よって、工場やオフィス、家庭内等のセキュリティシステムに用いられる観測装置を備える不審物体判断装置、並びに、観測装置を利用する不審物体判断方法、及び、不審物体判断プログラムに対して有用である。
【符号の説明】
【0089】
90 不審者判断装置
101 観測装置
102 人検出履歴データベース
103 初回検出観測値推定手段
104 出入口データベース
105 不審者判断手段
106 表示手段
201 部屋
201a,201b,201c 壁
201d 天井
201f 床
202 カメラ
202a 撮像部
202b 画像処理部
204 人
204D 不審者
205A ドア
205B ドア
205C ドア
206 窓
801A クラスタ
801B クラスタ
801C クラスタ
801D クラスタ
901 パーソナルコンピュータのモニタ
902 携帯端末の画面
1001 校舎
1002 校門
1003 校壁
1004 生徒
1005 不審者
1101 測域センサ
1201 部屋
1202 ドア
1203 鍵
1401 車
1402 ドア
1403 鍵
1601 入口
1602 通常車
1603 異常車(不審車)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置。
【請求項2】
前記不審物体判断手段は、前記物体を初めて検出した位置と前記入口データベース内の前記入口の位置との距離を算出し、算出した距離が閾値より大きいと、その物体は不審物体であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、その物体は不審物体ではないと判断する、請求項1に記載の不審物体判断装置。
【請求項3】
前記物体は人であり、前記閾値は、下記の式2により求められ、
【数1】
前記式2において、Cは前記観測装置の観測周期、Tは、人が前記入口のドアの開閉に要する開閉時間、Sは人の歩行速度、Ndは前記観測装置の人の検出位置誤差特性である、請求項2に記載の不審物体判断装置。
【請求項4】
前記不審物体判断手段は、前記入口の前に領域を予め設定しておき、前記物体を初めて検出した位置がその領域外ならば、不審物体であると判断し、前記領域内ならば、不審物体ではないと判断する、請求項1に記載の不審物体判断装置。
【請求項5】
前記不審物体判断手段は、前記物体を初めて検出した位置同士の距離を算出し、その距離が閾値より大きいと、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、不審物体ではないと判断する、請求項1に記載の不審物体判断装置。
【請求項6】
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを少なくとも複数観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている複数の、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値情報として記憶する初回検出観測値履歴データベースと、
前記初回検出観測値履歴データベースに記憶された前記物体を初めて検出した位置同士を比較し、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置。
【請求項7】
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として観測装置によりそれぞれ取得し、
前記観測装置によりそれぞれ取得した前記観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを物体検出履歴データベースに記憶し、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定し、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する、
ことを特徴とする不審物体判断方法。
【請求項8】
コンピュータに、
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として観測装置により検出して取得した、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として物体検出履歴データベースに記憶する機能と、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定する機能と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する機能と、
を実現させるための不審物体判断プログラム。
【請求項1】
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置。
【請求項2】
前記不審物体判断手段は、前記物体を初めて検出した位置と前記入口データベース内の前記入口の位置との距離を算出し、算出した距離が閾値より大きいと、その物体は不審物体であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、その物体は不審物体ではないと判断する、請求項1に記載の不審物体判断装置。
【請求項3】
前記物体は人であり、前記閾値は、下記の式2により求められ、
【数1】
前記式2において、Cは前記観測装置の観測周期、Tは、人が前記入口のドアの開閉に要する開閉時間、Sは人の歩行速度、Ndは前記観測装置の人の検出位置誤差特性である、請求項2に記載の不審物体判断装置。
【請求項4】
前記不審物体判断手段は、前記入口の前に領域を予め設定しておき、前記物体を初めて検出した位置がその領域外ならば、不審物体であると判断し、前記領域内ならば、不審物体ではないと判断する、請求項1に記載の不審物体判断装置。
【請求項5】
前記不審物体判断手段は、前記物体を初めて検出した位置同士の距離を算出し、その距離が閾値より大きいと、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体であると判断し、前記距離が前記閾値以下であると、不審物体ではないと判断する、請求項1に記載の不審物体判断装置。
【請求項6】
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを少なくとも複数観測情報としてそれぞれ取得する観測装置と、
前記観測装置によりそれぞれ取得した観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを記憶する物体検出履歴データベースと、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている複数の、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を推定する初回検出観測値推定手段と、
前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値情報として記憶する初回検出観測値履歴データベースと、
前記初回検出観測値履歴データベースに記憶された前記物体を初めて検出した位置同士を比較し、前記物体が前記環境の入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを判断する不審物体判断手段と、
を備えることを特徴とする不審物体判断装置。
【請求項7】
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として検出して、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として観測装置によりそれぞれ取得し、
前記観測装置によりそれぞれ取得した前記観測情報である、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを物体検出履歴データベースに記憶し、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定し、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する、
ことを特徴とする不審物体判断方法。
【請求項8】
コンピュータに、
入口を有する環境内に存在する物体を観測対象として観測装置により検出して取得した、前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とを観測情報として物体検出履歴データベースに記憶する機能と、
前記物体検出履歴データベースに記憶されている前記物体の特徴情報と、前記物体を検出した位置と、前記物体を検出した時刻とに基づき、前記環境内において前記物体を初めて検出した位置を初回検出観測値推定手段により推定する機能と、
前記物体を初めて検出した位置と前記入口の位置とを比較し、前記物体が前記入口以外の場所から侵入した不審物体か否かを不審物体判断手段により判断する機能と、
を実現させるための不審物体判断プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−133617(P2012−133617A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285626(P2010−285626)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]