説明

不審者入館防止システム

【課題】ハイレベルのセキュリティが求められる建物の高度の不審者入館防止システムを提供すること。
【解決手段】入館用ゲートより正規の入館者のみが入館するとき該ゲートを開制御し、不審者を含む入館者が入館すると該ゲートを閉制御するとともに退館用ゲートより不審者が入館したとき該ゲートを閉制御する中央制御装置とから構成される不審者入館防止システムであって、入・退館用ゲートは入館者を撮影する撮影手段と、退館者と入館する不審者を撮影する撮影手段を備え、中央制御装置は、撮影手段による撮像を解析して、入館者の人数を認識するとともに退館方向と逆行する動きを認識する画像解析部を備え、登録されている入館者数と画像解析部により認識した入館者数が一致すると判断したとき入館用ゲートを開駆動し、一致しないと判断したとき閉駆動するとともに画像解析部が逆行入館を認識したとき、退館用ゲートを閉駆動することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不審者入館防止システム、特に、正規の入館者によるスムースな入館を妨げることなく、不審者の入館を高いレベルで防止することができる不審者入館防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、居住者が玄関キーを集合玄関機に差し込み操作することで自動ドアのオートロックを解除するか、又は集合玄関機に設けられたテンキーを操作して暗証番号を入力することで自動ドアのオートロックを解除することにより入館できるようにしたものが知られている。
このものは、前述した玄関キーを用いるか暗証番号を入力することで自動ドアのオートロックを解除する場合、集合玄関機を操作していることを後で見ていた人はオートロックが解除されたのを見極めて居住者の後について入館することができてしまい、不審者の入館を十分には防止することができない。
【0003】
そこで、不審者の入場を防止するシステムとして、前記建物への正規の入場者によって携帯されると共に、無線にて有無が検出される携帯媒体と、前記建物に入場する際に通過する位置に設けられた扉の位置周辺で、かつ当該建物の館外の所定範囲内に存在する人の人数を検出する人検出手段と、前記建物の館外で、かつ前記扉の位置周辺の所定範囲内に存在する前記携帯媒体の数を検出する媒体検出手段と、前記人検出手段によって検出された前記人数と前記媒体検出手段によって検出された前記携帯媒体の数とが一致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって一致しないと判定された場合に前記人検出手段によって検出された人に不審者が含まれるものと見なして前記建物への不審者の入場を防止することができるものとして、前記扉の解錠を禁止する処理、警報を発する処理、及び前記人検出手段によって検出された人を撮影して記録する処理の少なくとも1つを実行する処理実行手段と、を備えた不審者入場防止システム(請求項2)が開示されている。
【特許文献1】特開2007−72804号公報
【0004】
このシステムは、扉の解錠を禁止する処理を実行するときは、不審者が入場できないばかりでなく、正規の入場者自身が入場できないこととなり、また、警報を発する処理、及び前記人検出手段によって検出された人を撮影して記録する処理を実行するときは、扉が一重である事情も加わって、完全には不審者の入場を防止することはできない。
また、正規の入場者が退場する際開扉した瞬間に、屋外に配設された媒体検出手段が携帯媒体の無線を検出する一方、人検出手段は館内にいる退館者を検知しないことが起こり得るが、このときはシステムが正常と判断するので、不審者の入場を防止することが困難となる。
【0005】
このシステムにより不審者の入場を完全に防止しようとすると、警備員等を配備する必要が生じ、維持管理費用負担が生じコスト高となり、さらには、複数の不審者が同時に不正入場しようとした場合にあっては、警備員等の人的対応では制限が困難となる。
【0006】
他方、上記システムと同じ目的を達成するため、建屋の入場用ゲートと、退場用ゲートと、前記建屋への入場者の識別情報に基づいて前記各ゲートの開閉制御を行うセキュリティ制御装置とを含むセキュリティシステムであって、少なくとも前記入場用ゲートは、前記入場者の識別情報を読み取るリーダと、第1のゲートであるフラッパゲートと、前記第1のゲートにおける入場者の通過を検知する第1のセンサと、前記第1のゲートに続き通過する第2のゲートと、を含んで構成され、前記セキュリティ制御装置は、前記建屋への入場を許可する識別情報を列挙した認証用データを参照して、前記リーダから出力された識別情報が、前記建屋への入場を許可する識別情報と判断したとき、前記第1のゲートを開駆動させ、前記第1のセンサで前記第1のゲートを通過したことを検知したとき、前記第1のゲートを閉駆動させ、その後、前記第2のゲートを開駆動させ、前記リーダから出力された識別情報が前記建屋への入場を許可する識別情報ではないと判断したときは、前記第1のゲートおよび前記第2のゲートを開駆動させないセキュリティシステム(請求項2)が、開示されている。
【特許文献2】特開2006−251934号公報
【0007】
このシステムは、入場用ゲートが基本的にフラッパゲートをシステム要素として構成されていることから、ベビーカーを伴う人、幼児、多くの手荷物を持つ人等の入場が困難となり、また、複数人が入場しようとする際には手間取る恐れがある。
そこでこのシステムは、入居者が、フラッパゲートのテンキー入力等により通過人数を設定したり、フラッパゲート開閉制御を解除するためのボタンを押してフラッパゲートを開いたままにしたりすることにより、入居者自身の認証を条件として、入居者の家族や知人友人等の来訪者を複数人、個別の認証なしに通過させるようにしているが、このような操作は、セキュリティ制御装置により入場者が来訪者であると認証された場合は、無効とする(段落0017)ものである。
【0008】
来訪者に対しては、入居者用端末装置から出力された来訪者の入場許可信号に基づいて、前記IDカード発行機に、来訪者毎に来訪者用IDカードを発行させる(請求項10)ものであるから、複数の来訪者が入場しようとする場合には、個々に認証を受けてフラッパゲートを通過する必要があり、円滑・迅速に入場することが困難となる。
【0009】
さらにこのシステムは、退場用ゲートは、第3のゲートと、前記第3のゲートの建物側に設置された人間を検知するための第3のセンサと、前記第3のゲートに続き通過する第4のゲートと、前記第3のゲートと前記第4のゲートとの間の領域における退場者の在室を検知する第4のセンサとを備え、前記セキュリティ制御装置は、前記第3のセンサにより前記第3のゲートの前に人間が居ることを検知し、かつ前記第4のセンサにより前記第3のゲートと前記第4のゲートとの間の領域における人間の在室を検知しなかったとき、前記第3のゲートを開駆動させ、前記第4のセンサにより前記第3のゲートと前記第4のゲートとの間の領域における人間の在室を検知したとき、前記第4のゲートを開駆動させる(請求項3)ものである。
【0010】
このため、複数の来訪者が退場する際に、大勢の来訪者が列をなして退場すると、第3のゲートと第4のゲートが同時に開いた状態が長く続き、不審者の入場を阻止できない。
また、複数の来訪者が退場中において、何らかの事情で第3のゲートが閉まった場合、第3のゲートと前記第4のゲートとの間の領域に人間が存在する限り、第3のゲートは再度開くことはない。例えば、事情を知らない来訪者が、第3のゲートと前記第4のゲートとの間の領域に立ち止まって仲間の退場を待っている場合、あるいは、第4のゲートが開いている間に、不審者が第3のゲートと前記第4のゲートとの間の領域に入り込んだ場合には、正規の来訪者である退場者は第3のゲートの内側で立ち往生されられる恐れがある。
このようなトラブルに対しては人的対応が不可欠となり、維持管理費用負担が生じコスト高となることを避けられない。
これに対応するため、入場用ゲートと退場用ゲートの間に防災センターを配置することが考えられるが、これは建物のレイアウトの制約要因となり好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、既存の不審者入館防止システムの問題点を解決するために創案されたもので、入居者であるか来訪者であるか、あるいは少人数であるか多人数であるかを問わず、入館者が迅速に、確実に、制限を受けず自由に入館することができ、しかも、データセンター、オフィス、集合住宅等のハイレベルのセキュリティが求められる建物の不審者入館防止システムを提供すること、また、システムを自動化して可能な限り省力化を図り、維持管理コストを軽減することが可能な不審者入館防止システムを提供すること、さらには、建物のレイアウトの自由度を確保しつつ、不審者の入館を確実に防止することができる不審者入館防止システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、建物への入館用ゲートと、前記建物からの退館用ゲートと、前記入館用ゲートより、正規の入館者のみが入館するとき該ゲートを開制御し、不審者を含む入館者が入館するとき該ゲートを閉制御するとともに、前記退館用ゲートより、不審者が入館したとき該ゲートを閉制御する中央制御装置と、から構成される不審者入館防止システムであって、前記入館用ゲートは、入館者を撮影する撮影手段を備え、前記退館用ゲートは、退館者と入館する不審者を撮影する撮影手段を備え、前記中央制御装置は、前記撮影手段による撮像を解析して、入館者の人数を認識するとともに退館方向と逆行する動きを認識する画像解析部を備え、登録されている入館者数と前記画像解析部により認識した入館者数が、一致すると判断したとき前記入館用ゲートを開駆動し、一致しないと判断したとき閉駆動するとともに、前記画像解析部が逆行入館を認識したとき、前記退館用ゲートを閉駆動する不審者入館防止システムとした。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載された不審者入館防止システムにおいて、前記中央制御装置は、前記入館用ゲート又は入居者用端末装置から送信された入館者数を登録する入館者数登録手段を備えるものとした。
請求項3に係る発明は、請求項2に記載された不審者入館防止システムにおいて、前記中央制御装置1は、前記入居者用端末装置から送信された入館者数を優先して前記入館者数登録手段に登録する入館者数優先登録手段を備えるものとした。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された不審者入館防止システムにおいて、前記建物のエントランスは、入館用エントランスと退館用エントランスに区画されてなり、前記中央制御装置は、制御部と、これにそれぞれ装置内部で結合された、記憶部、複数の前記撮影手段に網結合された画像解析部及び複数の自動扉駆動装置に網結合された自動扉開閉部を備え、前記入館用ゲートは、前記入館用エントランスに配設された少なくとも内外二重の第一、第二の自動扉を備え、前記第一の自動扉の屋外側に受付手段が設けられ、前記第一、第二の自動扉の間に第一の撮影手段を備え、前記退館用ゲートは、前記退館用エントランスに配設された少なくとも内外二重の第三、第四の自動扉の間に第二の撮影手段を備え、前記第三及び第四の自動扉の退館方向手前側及び前記第四の自動扉の屋外側に、順に第一乃至第三の人感センサーを備え、前記受付手段は、来訪者が入居者用端末装置と通信する通信手段と、来訪者が来訪人数を入力するための第一の入力手段と、少なくとも来訪者人数を記録した認証媒体を発行する発券手段と、入居者の許可に基づき前記第一の入力手段又は前記発券手段を有効化する有効化手段と、前記発券手段より発券された、又は、入居者が保有を許可された認証媒体の記録情報を読み取る読取手段とを備え、前記入居者用端末装置は、通信手段と入居者が入館許可人数を入力するための第二の入力手段と前記第一の自動扉を開駆動制御させる開扉操作手段を備え、前記制御部は、前記受付手段の読取手段が読取った前記認証媒体を認証したとき、又は、前記入居者用端末装置の開扉操作手段が操作されたとき、前記第一の自動扉を開駆動制御し、前記入館者数登録手段に登録された入館者数と前記画像解析部が解析した入館者数が一致すると判断したとき、前記第二の自動扉を開駆動制御し、前記登録された入館者数と前記解析した入館者数が一致しないと判断したとき、前記第二の自動扉の閉駆動制御を継続し、前記第一、第二の人感センサーが退館者を検知したとき、前記第三、第四の自動扉を開駆動制御し、前記画像解析部が逆行入館を認識したとき、前記第三の自動扉を閉駆動制御するとともに、前記第四の自動扉を開駆動制御するものとした。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載された不審者入館防止システムにおいて、前記建物は、前記エントランスとエレベーターホールとが、ホールを挟んで配置され、前記エレベーターホールと前記ホールの間に第五の自動扉が備えられ、前記ホールの前記第五の自動扉近傍には、第二の読取手段が備えられ、前記発券手段は、前記来訪者人数と訪問先階を特定する情報を記録した認証媒体を発行するものであり、エレベーター籠は、第三の読取手段を備え、制御部は、前記第二の読取手段が読取った前記認証媒体を認証したとき、前記第五の自動扉を開駆動制御し、前記第三の読取手段が読み取った認証媒体が、前記発券手段により発券されたものであると判断したとき、訪問先階を特定する情報に基づいてエレベーターの停止階を特定して運行制御することとした。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載された不審者入館防止システムにおいて、エレベーター籠はさらに、第三の撮影手段を備え、制御部は、前記登録された入館者数と前記画像解析部が解析した入館者数が一致しないと判断したとき、エレベーターの運行を開始しないものとした。
請求項7に係る発明は、請求項4乃至請求項6のいずれかに記載された不審者入館防止システムにおいて、前記読取手段は、顔、虹彩、指紋、静脈のいずれか一つ以上を読取可能なものが付加されているものとした。
請求項8に係る発明は、請求項4乃至請求項7のいずれかに記載された不審者入館防止システムにおいて、前記記憶部は、入居者ID、入居室、階数及び家族数を含む情報を記憶し、前記制御部は、前記受付装置の読取手段が読み取った前記認証媒体が入居者に保有を許可したものであると判断したとき、前記家族数を前記入館者数登録手段に登録し、前記画像解析部を解析した入館者数が、前記登録された入館者数以下であると判断したとき、前記第二の自動扉を開駆動制御し、エレベーターの停止階を自動指定するとともに、任意階を指定可能なものとした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、建物への入館用ゲートと退館用ゲートとを、別々のものとして構成したので、入館用ゲートより、正規の入館者のみが入館するとき該ゲートを開制御し、不審者を含む入館者が入館するとき該ゲートを閉制御するとともに、退館用ゲートより、不審者が入館したとき該ゲートを閉制御されることから、入館用ゲートと退館用ゲートのいずれからも非正規の入館を阻止することができる。
特に、入館用ゲートは、入館者を撮影する撮影手段を備え、退館用ゲートは、退館者と入館する不審者を撮影する撮影手段を備えて、撮影手段による撮像を解析して、入館者の人数を認識するとともに退館方向と逆行する動きを認識することとしているので、登録されている入館者数と画像解析部により認識した入館者数が、一致すると判断したとき前記入館用ゲートを開駆動し、一致しないと判断したとき閉駆動するとともに、前記画像解析部が逆行入館を認識したとき、前記退館用ゲートを閉駆動することができ、入・退館を精度よく制御することができ、データセンター、オフィス、集合住宅等のハイレベルのセキュリティが求められる建物の不審者入館防止システムを提供することができる。
請求項2に記載された発明によれば、入館用ゲート又は入居者用端末装置から送信された入館者数を登録する入館者数登録手段を備えるから、いずれかから入館者数を登録することができる。
請求項3に記載された発明によれば、中央制御装置1は、入居者用端末装置から送信された入館者数を優先して入館者数登録手段に登録する入館者数優先登録手段を備えるから、入居者の許可した人数のみが入館可能となり、受付段階における訪問先と来訪者の入館者数をめぐるトラブルを防止することができる。
請求項4に記載された発明によれば、建物のエントランスは、入館用エントランスと退館用エントランスに区画され、中央制御装置は、制御部と、これにそれぞれ装置内部で結合された、記憶部、複数の撮影手段に網結合された画像解析部及び複数の自動扉駆動装置に網結合された自動扉開閉部を備え、入館用ゲートは、入館用エントランスに配設された少なくとも内外二重の第一、第二の自動扉を備え、第一の自動扉の屋外側に受付手段が設けられ、第一、第二の自動扉の間に第一の撮影手段を備え、退館用ゲートは、退館用エントランスに配設された少なくとも内外二重の第三、第四の自動扉の間に第二の撮影手段を備え、第三及び第四の自動扉の退館方向手前側及び第四の自動扉の屋外側に、順に第一乃至第三の人感センサーを備えてなるもので、いわゆる、フラッパーゲートを必要としないので、入館者が迅速に、確実に、制限を受けず自由に入館することができる。
また、請求項4に係る受付手段は、来訪者が入居者用端末装置と通信する通信手段と、来訪者が来訪人数を入力するための第一の入力手段と、少なくとも来訪者人数を記録した認証媒体を発行する発券手段と、入居者の許可に基づき第一の入力手段又は発券手段を有効化する有効化手段と、発券手段より発券された認証媒体の記録情報を読み取る読取手段とを備え、前記入居者用端末装置は、通信手段と入居者が入館許可人数を入力するための第二の入力手段と第一の自動扉を開駆動制御させる開扉操作手段を備えており、さらに、請求項4に係る制御部は、受付手段の読取手段が読取った認証媒体を認証したとき、又は、入居者用端末装置の開扉操作手段が操作されたとき、第一の自動扉を開駆動制御し、入館者数登録手段に登録された入館者数と画像解析部が解析した入館者数が一致すると判断したとき、第二の自動扉を開駆動制御し、登録された入館者数と解析した入館者数が一致しないと判断したとき、第二の自動扉の閉駆動制御を継続し、第一、第二の人感センサーが退館者を検知したとき、第三、第四の自動扉を開駆動制御し、画像解析部が逆行入館を認識したとき、第三の自動扉を閉駆動制御するとともに、第四の自動扉を開制御するから、入館時においては、第一の自動扉は少なくとも入居者の許可により開き、第二の自動扉は登録された人数と入館する人数が一致するとき開き、退館時においても、仮令第四の自動扉が開いているときに不審者が入館したとしても、第三の自動扉が閉じて非正規の入館を拒絶するから、いわば、ダブルチェック方式で認証され、システムを自動化して可能な限り省力化を図り、維持管理コストを軽減するものでありながら、不審者の入館を確実に防止することができる。
しかも、入館用エントランスと退館用エントランスとは、相互に独立・分離して区画可能であるので、隣り合って建付ける必要はなく、建物のレイアウトの自由度を確保しつつ、不審者の入館を確実に防止することができる。
請求項5に記載された発明によれば、建物は、エントランスとエレベーターホールとが、ホールを挟んで配置され、エレベーターホールとホールの間に第五の自動扉が備えられ、ホールの第五の自動扉近傍には、第二の読取手段が備えられ、発券手段は、来訪者人数と訪問先階を特定する情報を記録した認証媒体を発行するものであり、エレベーター籠は、第三の読取手段を備え、制御部は、第二の読取手段が読取った認証媒体を認証したとき、第五の自動扉を開駆動制御し、第三の読取手段が読み取った認証媒体が、発券手段により発券されたものであると判断したとき、訪問先階を特定する情報に基づいてエレベーターの停止階を特定して運行制御するから、不審者が第一、第二の自動扉、あるいは、第四、第三の自動扉を突破したとしても、エレベーターホールへ侵入できず、エレベーターの運行はされないから、三重、四重の高度のセキュリティを構築することができる。
請求項6に記載された発明によれば、エレベーター籠はさらに、第三の撮影手段を備え、制御部は、登録された入館者数と画像解析部が解析した入館者数が一致しないと判断したとき、エレベーターの運行を開始しないので、セキュリティをさらにハイレベルのものとすることができる。
請求項7に記載された発明によれば、読取手段は、顔、虹彩、指紋、静脈のいずれか一つ以上を読取可能なものが付加されているので、特に入居者については認証媒体を所持していなくても、入館可能とすることができる。
請求項8に記載された発明によれば、中央処理装置の記憶部は、入居者ID、入居室、階数及び家族数を含む情報を記憶し、制御部は、受付装置の読取手段が読み取った認証媒体が入居者に保有を許可したものであると判断したとき、家族数を入館者数登録手段に登録し、画像解析部を解析した入館者数が、登録された入館者数以下であると判断したとき、第二の自動扉を開駆動制御し、エレベーターの停止階を自動指定するとともに、任意階を指定可能とするものであるから、さらに自動化を進めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る不審者入館防止システムの実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本発明の不審者入館防止システムの構成を概略的に示すシステム構成概略図である。図2は、本システムを適用した実際の建物の全体図である。図3は、本システムの入館時における作動を示す図であり、(a)は第一の入館エントランス領域における作動を、(b)は第二の入館エントランス領域における作動を、(c)はエレベーターホールにおける作動を、それぞれ示す図である。図4は、本システムの退館時における作動を示す図である。図5は、本システムのメインルーチンを示す図、図6は、入館時のサブルーチンを示す図、図7は、退館時のサブルーチンを示す図である。
【0015】
先ず、図1に基づいて本システムの構成の概略について説明する。
本システムの中央制御装置1は内部に、制御部11と、この制御部11にそれぞれ結合された記憶部12と、各所に配備された動画カメラ24とネットワークで結ばれた、画像を解析して入館者数をカウントする画像解析部13と、各所に配備された自動ドア駆動装置25とネットワークで結ばれた、自動ドア開閉部14とを具備している。
前記した制御部11は、さらに中央制御装置1の外部において、受付装置21と、入居者用端末装置22と、人感センサー23と、撮影手段である動画カメラ24と、ホール内に設けられた読取装置32と、各エレベーター内に設けられた読取装置33に網結合されたエレベーター制御装置31と、通信線を介して結合されている。
【0016】
本システムは、好適には図2に示される、エントランス1、2、4、5とエレベーターホール3とが、ホールを挟んで配置された建物に適用される。
前記エントランスは、入館用エントランス1、2と退館用エントランス4、5に区画され、入館と退館の動線が明確に区分されている。入館用エントランスと退館用エントランスの区画は、壁にて形成するものの他、植栽やロープ等で形成されていても良く、また、両者は物理的に分離されてレイアウトされていても良い。要は通常の通行態様では両者間を渡ることが不可能に区画されていればよい。
このように本システムによれば、入場用ゲートと退場用ゲートの間に防災センターを配置する必要がないばかりか、入館用エントランスと退館用エントランスを自由にレイアウトすることができる。
【0017】
<実施例1>
図2、図3(a)、(b)を参照して、前記入館用エントランス1、2は、入館用ゲートを構成する少なくとも内外二重の入館用エントランス自動扉A、Bを備え、屋外側の入館用エントランス自動扉Aの屋外側には受付装置が、内側の入館用エントランス自動扉Bの屋外側には入館者人数を確認するために撮影する動画カメラ24Aが、配設されている。
受付装置21は、図1に示すように、来訪者が訪問先と通信する通信手段と、来訪者が訪問先室番号や入館人数等を入力又は入居者が随伴者数を入力するための入力手段と、少なくとも来訪者人数と訪問先の停止階を示すコード、例えば2次元バーコードが印刷された認証媒体である紙製の券を発行する発券手段と、来訪者に対して発行された券のコードリーダーと入居者が保有を許可されたIC内蔵認証媒体のIDを読み取る非接触リーダーの2種類の認証媒体読取手段と、を備えている。
【0018】
前記の発券手段が来訪者に対して発行する認証媒体は、ランニングコストを低減するため、この実施例では、来訪日時、停止階、入館者数と有効日時等を、二次元バーコードで印刷した紙としている。勿論ICチップ内蔵のカードでもよい。複数の来訪者があるときは、この紙は代表者に対して1枚のみ発行し、発券時間を短縮して複数の来訪者の円滑・短時間の入館を可能としている。
入居者が保有を許可された認証媒体としては、偽造防止の観点からICチップ内蔵のカードや玄関鍵の形態としている。
この認証媒体には、例えばIDのみが記憶されており、中央制御装置1の記憶部12に、これに対応するデータベースが構築されている。前記の読取手段であるリーダーは、このIDからデータベースを参照して、例えば停止階や家族数等、必要とする情報を読み取るようにしてある。この認証媒体に必要とする全ての情報を記憶させることもできる。
【0019】
前記の受付装置のテンキー等の入力手段は、訪問先の室番号等訪問先から示された識別番号を入力することにより、入居室に設置された入居者用端末装置と通話が可能となり、訪問先の許可、例えば入館者数入力許可ボタンの操作等により、入館者数の入力が有効化される。
来訪者は、この入力有効化処理の後にテンキー等の入力手段から入館者数を入力すると、制御部11は、この入力値をデータセットして入館者数として登録する。
より安全性を高めるために、入館者数の入力は、入居者用端末装置から行うようにしてもよい。このとき、入居者用端末装置は、該装置から送信された入館者数を優先して入館者数登録手段に登録する入館者数優先登録手段を備える構成とすれば、来訪者の意向にかかわらず、入居者の意向を反映した来訪許可人数を指定でき、さらにセキュリティを向上することが可能である。
なお、来訪者の入館者数の入力手段としては、前記のリーダーで発券された紙の二次元バーコードに印刷・記録された人数を読み取り、読み取った値を制御部11に送信することにより入力・登録することとしてもよい。上記の発券手段は入居者の許可により有効化される。
入館者数が登録されたら、入居者用端末装置の扉開操作部の操作により、前記した第一の自動扉を開放する。図6のステップ108、109に示すように、この操作を省略して、入館者数が登録されたことを条件として、開放することとしてもよい。
また、リーダーが入居者のIDを読み取ったときは、制御部11は、このテンキーからの入力値は随伴者数であると認識し、その後の処理を実行する(ステップ107〜117)。
【0020】
第一の自動扉Aが開放され、入館者が第一の自動扉Aと第二の自動扉Bの間の入館用エントランス2に進むと、入館者はそこに設けられた動画カメラ24Aにて撮影され、撮影された画像は、中央制御装置1の画像解析部13に送られ、この画像解析部13で解析されて入館者数が認識され、認識された人数が制御部11へ転送される。制御部11は、前記した登録された入館者数と画像解析部から転送された入館者数を照合し、両者が一致するときは、前記した第二の自動扉Bを開放する。
両者が一致しないときは、入館者には不審者が含まれると判断して、第二の自動扉Bを開放しない。
このように、本システムの制御部11は、第一の自動扉Aを、入居者又はシステムの認証に基づいて開放し、第二の自動扉Bを、入館を許可され登録された人数とシステムが解析・認識した人数とが一致することを条件として開放することとして、いわば二重のバリアを構築しているので、正規の入館者に付随して不審者が入館することを、自動的かつ確実に防止することができる。
【0021】
次いで、本実施例の退館システムについて、図2、図4を参照して説明する。
本実施例では、退館用エントランス4、5には、3重の自動扉C、D、Eが配設されている。このうち自動扉CとEが、本発明の第三、第四の自動扉であり、退館用ゲートを構成するものである。
自動扉C、D、Eの退館方向手前側及び第四の自動扉Eの屋外側には、順に人感センサーA、B、C、Dが配設されている。人感センサーA、C、Dが、順に本発明の第一乃至第三の人感センサーである。
これらの自動扉C、D、Eは、人感センサーの検知により開放され、所定時間経過後に閉鎖される。
また、退館用エントランスには、動画カメラ24Bが備えられている。
【0022】
図4の右図を参照して、退館者が、退館用エントランスから退館しようとすると、上記の自動扉C、D、Eの手前に配設された人感センサーA、B、Cが退館者を検知して、自動扉C、D、Eが退館者の歩行に合わせて順次開放され、センサーの検知が継続する限り開放し続け、センサーが検知しなくなってから所定時間経過後に閉じられる。このため、正規の退館者は多人数であっても、障害なく円滑に退館することができる。
【0023】
本実施例の退館システムは、不審者が、最も屋外側の自動扉Eが退館者の退館に伴って開放されたときに、不正に入館しようとすることを防止するものである。
図4の左図に示すように、先ず、屋外に設置されたセンサーDが自動扉Eの屋外側の滞在者を検知して、例えば、「隣の入口にお廻り下さい。」とのアナウンスを行い、入口と間違って退館用エントランスに近付いた入館者を入館用エントランスに誘導するとともに、不正に侵入を試みる不審者を自動扉Eの屋外側に留まることを防ぐ。
【0024】
上記のアナウンス中、自動扉Eが退館者の退館に伴って開放されたときに、不正に侵入したときは、動画カメラ24Bからネットワークを介して送信された撮像が画像解析部13において解析され、退館とは逆行する動きを認識し、屋内側の自動扉C、Dを閉鎖するとともに、最も屋外側の自動扉Eを開放し、例えば、「こちらは退館専用の区域です。入館される方は隣の入口にお廻り下さい。」とのアナウンスを行い、不審者の退館エントランス4での滞在を阻止し、不正侵入を確実に防ぐ。
このとき、正規の退館者がセンサーAに検知されていたとしても、センサーDが不審者を検知するまで自動扉Cを開放しないでいると、正規の退館者を暫時待機させることとなる。
これを防ぐためには、センサーDの検知を待つまでもなく、画像解析部の解析結果が順方向の退館であると認識された時点で、自動扉Cを開放するとよい。
【0025】
<実施例2>
以上の実施例1の入・退館システムにより、充分確実に不審者の入館を防止することができるが、本実施例2ではさらに、ホールとエレベーターホール3との間に、第五の自動扉Fを設けている。
図1、図2、図3(c)を参照して、入館者は、前述のように第二の自動扉Bが開放されると、ホールに進んでエレベーターホール3に近付く。
ホールとエレベーターホールとの間には、自動扉Fが配設されている。
この自動扉Fを開放するためには、ホールの自動扉F近傍に第二の読取手段32が設けられているから、これに受付装置で発券されたコードが印刷された券又は入居者が保有するIC内蔵のカード、鍵等を読み取らせる。
制御部11がこれらを認証すると、自動扉Fを開放する。
【0026】
入館者はさらに進んでエレベーター籠に搭乗すると、籠内にも第三の読取手段33が備えられているので、上記の券又はカード、鍵等を読み取らせる。
読取手段33から読み取った信号を受信した制御部11は、認証媒体に記憶された情報に基づいて自動的に停止階を設定し、運行を開始して当該階に着床する。
このとき、エレベーター制御装置31は読取手段33が券やカードを読み取らない限り、停止階を設定せず、運行を開始しない。
この構成により、券を所持する正規の来訪者は、訪問先が存在する指定された階にのみ移動することができる。
一方、不審者は、仮に不正にエレベーターに搭乗したとしても、エレベーター籠内の読取手段33に読み取らせるべき券を保持しないから、エレベーターによる垂直方向の移動はできず、不正な入館はエレベーターホールまでに留まる。
勿論、階段は火事等の非常時以外、来訪者の使用は不可とされている。
なお、このシステムでは入居者も来訪者と同じく、停止階を入居階に指定されてしまうので、制御部11が入居者であると認識したときは、エレベーター内の通常の停止階指定ボタンの操作を有効化し、任意の停止階を指定できるようにするとよい。
【0027】
さらに、エレベーター籠内に動画カメラ24Cを設置して、上記の登録された入館者数と画像解析部で解析した入館者数を照合し、両者が一致していると判断したとき停止階までの運行を開始し、両者が一致していないと判断したとき運行を開始しないこととすれば、さらにセキュリティが向上する。
【0028】
以上、本発明の不審者入館防止システムの実施例1、2の作動について説明してきたが、以下、中央制御装置11とエレベーター制御装置31の制御手順について、本システムのメインルーチンを示す図5、入館時のサブルーチンを示す図6、退館時のサブルーチンを示す図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0029】
図5のメインルーチンは、定期的、例えば5ms毎、に発生する内部タイマ割込による割込処理において実行される。したがって、後述する入館処理サブルーチン又は退館処理サブルーチンの実行中に、上記メインルーチンの割り込みが生じたときは、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックセット処理が行われる。
このメインルーチンは、主として退館用エントランスからの不審者の非正規の入館を防止するための制御フローであり、入館用エントランスからの入館制御フローと退館用エントランスからの退館制御フローについては、このメインルーチンが所定時間実行されたとき、入館処理サブルーチンを実行した後、退館処理サブルーチンを実行するよう構成されている(ステップ100、200)。
そして、ステップ1において屋外に設置されたセンサーDが人を感知すれば、誤解又は悪意に基づく扉Eへの接近であると判断されるので、自動扉C、Eの駆動装置25を閉駆動制御し、前述のアナウンスを行うため、タイマーのカウントアップを始め、所定時間、例えば500ms、無限ループを実行してアナウンスを継続する(ステップ2〜5)。この所定時間が経過したら、タイマーカウンタをリセット(ステップ6)してステップ100にジャンプして順に入館処理と退館処理を実行する。詳細は後述する。そして、このメインプログラムは、5ms毎に割り込み処理を実行するよう構成されているので、センサーDが人を感知している間無限ループを実行し、人が存在しなくなるまでアナウンスを繰り返す。
【0030】
センサーDが人を感知しないか、しなくなった場合は、扉Eの外側近傍から人が去ったか、扉Eから不正侵入した可能性があるから、退館用エントランス4において、入館方向とは逆向きに移動する逆行があるか否か判断する(ステップ7)。中央制御装置1の画像解析部13が逆行する人がいると認識したときは、制御部11は、侵入フラグを立てて、不正侵入を阻止すべく、室内側の扉Cの駆動装置を閉駆動制御を維持するとともに、退館用エントランス4からの退去を促すため、屋外側の扉Eを開駆動制御して(ステップ9、10)、アナウンスを繰り返す。
逆行した人が退館方向の移動を開始すると、退館するまで、5ms毎の割り込み処理を実行し、アナウンスを継続する。
センサーDが不審者を検知するまで自動扉Cを開放しないでいると、センサーAに検知された退館者を待機させることとなる。これを防ぐためこの実施例では、センサーDの検知を待つまでもなく、画像解析部13が退館方向の移動であると認識した(ステップ13)時点において、センサーAが検知していれば(ステップ14)、自動扉Cを開放するようにしている(ステップ15)。
次のステップ16において、センサーDが人を検知したとき(ステップ16)は、逆行した人が退館したと判断できるので、扉Eを閉駆動制御して、再度の不正入館を阻止するとともに、先程のステップ8において立てた侵入フラグを外して、例えば「隣の入口にお廻り下さい。」とのアナウンスを行い(ステップ17、18)、ステップ100に進む。
また、ステップ7において、画像解析部13が逆行する人を認識しなかったときは、ステップ100にジャンプし、入館処理サブルーチンを実行した後、退館処理サブルーチンを実行する(ステップ100、200)。
このルーチンにおいて、センサーDが検知せず、画像解析部13が逆方向の移動を認識せず、かつ、侵入フラグが立っていないときは、何の問題もないのでステップ100にジャンプするが、センサーDが検知せず、かつ、画像解析部13が逆方向の移動を認識しない状態にあっても、侵入フラグが立っているとき(ステップ11)は、退館エントランス4に不審者が滞在している可能性があるから、ステップ12以降を実行して、「こちらは退館専用の区域です。入館される方は隣の入口にお廻り下さい。」とのアナウンス、また、ステップ19の「隣の入口にお廻り下さい。」との上記のアナウンスを継続する。
【0031】
次いで、図6の入館時のサブルーチンのフローチャートについて、詳細に説明する。
来訪者が、受付装置21の通信部であるインターフォン等で訪問先を呼び出し、来訪した旨を告げる。インターフォン等がつながったとき、制御部11は前記億部12から訪問先の停止階を自動的に読み出して、登録する。
受付装置21の入力部は、入居者用端末装置22の入力手段から入力・送信された許可信号によりその操作が有効にされ、入館者数が入力される(ステップ101〜103)。
このシステムに代えて、入居者用端末装置22の入力手段から入館者数を入力可能としてもよい。
このとき、受付装置21の入力部と入居者用端末装置22の両方から入館者数が入力された場合は、入居者用端末装置22からの入力が優先して制御部11が備えている入館者数を登録するステップ108の入館者数登録手段にて登録されるようにする。
このようにして、入居者用端末装置の入力手段から入力・送信された入館者数を優先して登録する入館者数優先登録手段を構成すれば、来訪者が入館を希望する人数を入居者が許可する人数に制限することが可能となる。
なお、このように構成するときは、来訪者が入力した入館者数を入居者用端末装置22の表示部に表示し、入居者は該表示を確認して打合せと異なるときは、自らが入力するとよい。
【0032】
訪問先の許可により入館者数が入力されると、受付装置21の発券部は、上記の停止階、来訪者数等をコードで印刷した紙製の認証媒体を、発券時間を短縮するため1つの入館手続きに対し1枚のみ発券する。
次に来訪者は、発券された認証媒体を第一の読取手段である受付装置21の読取部に読み取らせて、本システムの認証を受けることとなる(ステップ104、105)。
上記読取部は、少なくとも来訪者の紙製の認証媒体に印刷されたコードを読み取るリーダと、入居者の保持する認証媒体の電気信号を読み取るリーダの2種類の読取手段を備えている。
したがって、入居者は、自らが保持するICカード等の認証媒体を、電気信号を読み取るリーダに読み取らせて認証を受けることとなる。なお、入居者の認証は、認証媒体の電気信号を読み取るリーダに代えて、顔、虹彩、指紋、静脈のいずれか一つ以上を読取可能なものとしてもよい。
【0033】
ステップ105において認証媒体のコードが読み取られると、制御部11は、入館フラグを立てた後、入居者であるか否か判断し(ステップ107、108)、入居者でないと判断したときステップ104で入力された入館者数を記憶部に登録し(ステップ108)、第1の自動扉であるドアAを開く(ステップ109)。
なお、自動扉は全て、進行方向手前側のセンサーが感知しなくなって所定時間経過後に閉じられるように構成されている。
【0034】
一方、ステップ107において入居者であると判断されたときは、入居者は受付装置21の入力部の操作が有効化される(ステップ112)。
入居者が、随伴者数、すなわち自分を除く入館者数を入力する(ステップ113)と、制御部11は、入館者数は入力された人数+1であると定義する(ステップ114)。
所定時間経過してもステップ113の入力がないときは、入館者数は1であると再定義して(ステップ117)、ステップ108に進んで入館者数を記憶部に登録して、ドアAを開く。
なお、入居者は随伴者数ではなく、入館する者全員の人数を入力するものとしてもよい。
【0035】
入館者が開かれた第一の自動扉であるドアAからエントランス2内に進むと、次には第二の自動扉ドアBが入館を阻むように閉じられている。
このエントランス2に備えてある動画カメラ24Aが上下左右に首を振りながら入館者を撮影し続けており、このビデオ信号はネットワークを介して中央制御装置1の画像解析部13に送信され、この画像解析部13にて画像解析されて、エントランス2内に存在する人数が識別される。
【0036】
制御部11は、ステップ110において、画像解析により識別された入館者数と前述の入館手続において登録された入館者数とを比較する。
比較の結果両者が一致するときは、不審者の入館はないと推測できるので、ドアBを開放する(ステップ118)。
一方、両者が一致しないときは、不審者の入館があると推測できるので、ドアAを開き、例えば「ご来館された方の数がお手続をされた数と異なります。ご面倒ですが、もう一度、お手続をして下さい。」とのアナウンスが、5ms毎の割り込み処理によりメインルーチンが実行されるまでの間、ステップ109にジャンプする無限ループによって実行され、再度の手続きにおいて両者が一致するまで繰り返される(ステップ110)。
本システムは、本人であることの認証により第一の自動扉を開放し、入館人数の確認により第二の自動扉を開放するものであって、いわばダブルチェック方式で不審者の侵入を防止するものである。
【0037】
上記実施例2は、さらにドアFの近傍に設けられた第二の読取手段32と、エレベーター籠内に設けられた第三の読取手段33が備えられ、セキュリティをさらにハイレベルのものとしている。
読取手段32に上記の認証媒体を読み取らせることによりドアFが開放されるので、エレベーターホール3内に進んで、停止しているか停止したエレベータ籠に搭乗し、エレベータ籠に備えられている第三の読取手段33に読み取らせる(ステップ119〜122)。
制御部11はステップ123において、搭乗者が入居者であるか否か判断し、来訪者であれば、上記の認証媒体に記録された訪問先階をエレベータ制御装置31の停止階登録手段に登録し、当該階まで運行し、その他の階へは運行しない。このようにすることにより、来訪者が訪問先以外の階に立ち入ることはできなくしてある。
一方、搭乗者が入居者であると判断されたとき(ステップ123)は、エレベータ籠に通常備えられている停止階ボタンを有効化し、所定時間の範囲内で入居階とは異なる階に停止することを指定可能にしてある(ステップ125〜128)。
停止階まで運行したら、停止階データをリセットする(ステップ129〜130)、
退館するときは、上記読取手段33に認証媒体を読み取らせることにより、エレベータホール階まで自動運転される。
当然入居者がエレベータ籠に搭乗したときは、上記のステップ123〜128の処理が実行されることから、館内を自由に上下移動することができる。
【0038】
さらに、図7の退館時のサブルーチンのフローチャートについて、詳細に説明する。
このフローチャートは、正規の退館処理の手順を示すもので、非正規の退館処理の手順については、図5に基づいて段落0029乃至段落0030において既述のとおりであるので、ここでは説明を省略する。
人感センサーAの検知信号が制御部11に送信されると、制御部11は退館用ゲートである第三の自動扉Cを開制御する(ステップ201〜202)。
次に、人感センサーCが検知すると退館用ゲートの第四の自動扉Eを開制御し、人感センサーDが検知すれば退館者は完全に退館したと判断できるので、無限ループ(ステップ205)で人感センサーDの検知を待って自動扉Eを閉制御し(ステップ205〜206)、不審者の入館を極力防止している。
なお、自動扉Dの開閉制御は、本フローチャートとは別個の系統で単純なオンオフ制御している。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の不審者入館防止システムの構成を概略的に示すシステム構成概略図である。
【図2】本システムを適用した実際の建物の全体図である。
【図3】本システムの入館時における作動を示す図であり、(a)は第一の入館エントランス領域における作動を、(b)は第二の入館エントランス領域における作動、(c)はエレベーターホールにおける作動を、それぞれ示す図である。
【図4】本システムの退館時における作動を示す図である。
【図5】本システムのメインルーチンを示す図である。
【図6】入館時のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図7】退館時のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 中央制御装置
11 制御部
12 記憶部
13 画像解析部
14 自動扉開閉部
21 受付装置
22 入居者用端末装置
23 人感センサー
24 撮影装置
25 自動扉駆動装置
31 エレベーター制御装置
32 ホール内読取装置
33 エレベーター内読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物への入館用ゲートと、前記建物からの退館用ゲートと、前記入館用ゲートより、正規の入館者のみが入館するとき該ゲートを開制御し、不審者を含む入館者が入館するとき該ゲートを閉制御するとともに、前記退館用ゲートより、不審者が入館したとき該ゲートを閉制御する中央制御装置と、から構成される不審者入館防止システムであって、
前記入館用ゲートは、入館者を撮影する撮影手段を備え、
前記退館用ゲートは、退館者と入館する不審者を撮影する撮影手段を備え、
前記中央制御装置は、前記撮影手段による撮像を解析して、入館者の人数を認識するとともに退館方向と逆行する動きを認識する画像解析部を備え、登録されている入館者数と前記画像解析部により認識した入館者数が、一致すると判断したとき前記入館用ゲートを開駆動し、一致しないと判断したとき閉駆動するとともに、前記画像解析部が逆行入館を認識したとき、前記退館用ゲートを閉駆動する不審者入館防止システム。
【請求項2】
前記中央制御装置は、前記入館用ゲート又は入居者用端末装置から送信された入館者数を登録する入館者数登録手段を備えるものであることを特徴とする請求項1に記載された不審者入館防止システム。
【請求項3】
前記中央制御装置は、前記入居者用端末装置から送信された入館者数を優先して前記入館者数登録手段に登録する入館者数優先登録手段を備えるものであることを特徴とする請求項2に記載された不審者入館防止システム。
【請求項4】
前記建物のエントランスは、入館用エントランスと退館用エントランスに区画されてなり、
前記中央制御装置は、制御部と、これにそれぞれ装置内部で結合された、記憶部、複数の前記撮影手段に網結合された画像解析部及び複数の自動扉駆動装置に網結合された自動扉開閉部を備え、
前記入館用ゲートは、前記入館用エントランスに配設された少なくとも内外二重の第一、第二の自動扉を備え、前記第一の自動扉の屋外側に受付手段が設けられ、前記第一、第二の自動扉の間に第一の撮影手段を備え、
前記退館用ゲートは、前記退館用エントランスに配設された少なくとも内外二重の第三、第四の自動扉の間に第二の撮影手段を備え、
前記第三及び第四の自動扉の退館方向手前側及び前記第四の自動扉の屋外側に、順に第一乃至第三の人感センサーを備え、
前記受付手段は、来訪者が入居者用端末装置と通信する通信手段と、来訪者が来訪人数を入力するための第一の入力手段と、少なくとも来訪者人数を記録した認証媒体を発行する発券手段と、入居者の許可に基づき前記第一の入力手段又は前記発券手段を有効化する有効化手段と、前記発券手段より発券された認証媒体の記録情報を読み取る読取手段とを備え、
前記入居者用端末装置は、通信手段と入居者が入館許可人数を入力するための第二の入力手段と前記第一の自動扉を開駆動制御させる開扉操作手段を備え、
前記制御部は、
前記受付手段の読取手段が読取った前記認証媒体を認証したとき、又は、前記入居者用端末装置の開扉操作手段が操作されたとき、前記第一の自動扉を開駆動制御し、
前記入館者数登録手段に登録された入館者数と前記画像解析部が解析した入館者数が一致すると判断したとき、前記第二の自動扉を開駆動制御し、前記登録された入館者数と前記解析した入館者数が一致しないと判断したとき、前記第二の自動扉の閉駆動制御を継続し、
前記第一、第二の人感センサーが退館者を検知したとき、前記第三、第四の自動扉を開駆動制御し、前記画像解析部が逆行入館を認識したとき、前記第三の自動扉を閉駆動制御するとともに、前記第四の自動扉を開駆動制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された不審者入館防止システム。
【請求項5】
前記建物は、前記エントランスとエレベーターホールとが、ホールを挟んで配置され、
前記エレベーターホールと前記ホールの間に第五の自動扉が備えられ、前記ホールの前記第五の自動扉近傍には、第二の読取手段が備えられ、
前記発券手段は、前記来訪者人数と訪問先階を特定する情報を記録した認証媒体を発行するものであり、
エレベーター籠は、第三の読取手段を備え、
制御部は、
前記第二の読取手段が読取った前記認証媒体を認証したとき、前記第五の自動扉を開駆動制御し、
前記第三の読取手段が読み取った認証媒体が、前記発券手段により発券されたものであると判断したとき、訪問先階を特定する情報に基づいてエレベーターの停止階を特定して運行制御することを特徴とする請求項4に記載された不審者入館防止システム。
【請求項6】
エレベーター籠はさらに、第三の撮影手段を備え、
制御部は、前記登録された入館者数と前記画像解析部が解析した入館者数が一致しないと判断したとき、エレベーターの運行を開始しないことを特徴とする請求項5に記載された不審者入館防止システム。
【請求項7】
前記読取手段は、顔、虹彩、指紋、静脈のいずれか一つ以上を読取可能なものが付加されていることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載された不審者入館防止システム。
【請求項8】
前記記憶部は、入居者ID、入居室、階数及び家族数を含む情報を記憶し、
前記制御部は、前記受付装置の読取手段が読み取った前記認証媒体が入居者に保有を許可したものであると判断したとき、前記家族数を前記入館者数登録手段に登録し、前記画像解析部を解析した入館者数が、前記登録された入館者数以下であると判断したとき、前記第二の自動扉を開駆動制御し、エレベーターの停止階を自動指定するとともに、任意階を指定可能とすることを特徴とする請求項4乃至請求項7のいずれかに記載された不審者入館防止システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−54117(P2009−54117A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222955(P2007−222955)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】