説明

不正持出し警告システム

【課題】商品の不正な持ち出しを抑制することができるようにする。
【解決手段】ゲート500に接近した者が所持する商品に取り付けられているRFIDタグに記憶されているタグデータをRFIDリーダ200が読み出し、そのタグデータに含まれる精算済みフラグの値が未精算であることを示す値であるとき、即ち、RFIDリーダライタ700によって精算済みフラグに精算済みであることを示す値が書き込まれなかったとき、タグデータに含まれる画像データまたは映像データを表示器300の画面に表示させるとともに、タグデータに含まれる警告メッセージに対応するテキストを表示器300の画面に合成表示し、さらに、タグデータに含まれる警告メッセージに対応する音声をスピーカ400より出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不正持出し警告システムに関し、特に、未精算商品が不正に持ち出されようとしたときに警告を発して万引きを防止する不正持出し警告システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、万引き防止情報を記憶するICチップ等を商品に取り付け、レジにおいて精算されずに万引き防止情報が解除されていない商品のICチップ等を出口の検知器が感知することによって万引きを発見し、万引きを防止するとともに、ICチップ等に商品のデータを入力することにより、レジでの精算の手間を省くことができるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、商品棚に陳列された商品、レジで代金精算が行われる商品、および店舗の出口から持ち出される商品の各々に対して、商品に付されたID情報を非接触により読み取り可能な場所に無線通信装置が設置され、情報処理装置が、各無線通信装置によって読み取られ、送信されたID情報を受信し、受信したID情報と、そのID情報を送信した無線通信装置の設置場所を特定することが可能な設置場所情報とを関連付けて商品情報データベースに登録し、店舗の出口の読取装置によって読み取られたID情報を受信した際に、上記商品情報データベースを参照して、そのID情報がレジに設置されている無線通信装置によって既に読み取られているか否かによって万引き行為の有無を判定し、万引き行為があった場合に音で知らせるようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−265367号公報
【特許文献2】特開2004−240767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術では、店舗の出口付近において万引き行為が発見された場合、音等で警告することしかできないため、万引きされようとしている商品に応じて警告内容を変化させるということができないという問題があった。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、万引きされようとしている商品に応じて警告内容を変化させることにより、万引きしようとしている人に対してより具体的な警告を行って万引きの防止効果を高めることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の不正持出し警告システムは、商品に添付されたRFIDタグに記録されたタグデータを読み取る読み取り手段と、読み取り手段によって読み取られたタグデータに含まれる商品の精算が済んだか否かを示す精算データに基づいて、商品の精算の有無を判定する判定手段と、判定手段による判定結果に基づいて、商品に対応した所定の警告情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
また、警告情報は、商品の精算がまだ済んでいないことを警告するための視覚によって認識可能な、文字、静止画像、および動画像の少なくともいずれかからなる視覚情報を含み、視覚情報を表示する表示手段をさらに備えるようにすることができる。
また、警告情報は、商品の精算がまだ済んでいないことを警告するための聴覚によって認識可能な聴覚情報を含み、聴覚情報を出力する聴覚情報出力手段をさらに備えるようにすることができる。
また、視覚情報および聴覚情報は、RFIDタグに記憶されているタグデータに含まれ、出力手段は、読み取り手段によって読み取られたタグデータに含まれる視覚情報および聴覚情報の少なくともいずれか一方を出力するようにすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の不正持出し警告システムによれば、未精算商品が不正に持ち出されようとしたとき、商品に応じた所定の警告情報を出力するようにしたので、未精算商品の不正な持ち出しを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の不正持出し警告システムの一実施の形態の構成例を示している。同図に示すように、本実施の形態は、店舗の出入口(ゲート)500に設けられ、ゲート500から所定距離以内に接近した者が所持する商品に添付されたRFID(Radio Frequency Identification)タグ800(図3)を構成する図示しないICチップと図示しないアンテナを介して電波により交信し、ICチップを構成する図示しない不揮発性メモリに記憶されたデータ(以下、タグデータと称する)を読み取るRFIDリーダ200と、RFIDリーダ200によって読み取られたタグデータを記憶し、各種処理を実行する制御装置100と、制御装置100の制御下、後述する視覚情報を表示する表示器300と、制御装置100の制御下、後述する聴覚情報を出力するスピーカ400と、商品の代金を精算するレジスタ600と、レジスタ600に接続され、精算済みの商品に添付されているRFIDタグ800のICチップに記憶されている精算済みであるか否かを示す精算済みフラグ(初期値は0)に値1を書き込むRFIDリーダライタ700とから構成されている。
【0009】
図2は、図1の制御装置100の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、制御装置100は、制御プログラムを記憶するROM102と、ROM102に記憶されている制御プログラムに従って各種処理を実行するとともに、各部を制御するCPU(Central Processing Unit)101と、CPU101が制御プログラムに従って各種処理を実行するとともに各部を制御する上で必要となるデータや、後述するRFIDリーダ200によってRFIDタグ800のICチップの不揮発性メモリから読み取られた後述するタグデータ等の各種データを一時的に記憶するRAM103と、電源がオフにされても保持しておきたい各種設定値や初期値等のデータを記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)104と、RFIDリーダ200によってRFIDタグ800から読み取られたタグデータをCPU101に供給するインタフェース(I/F)105と、CPU101によって生成された視覚情報に対応する表示制御信号を表示器300に供給するインタフェース(I/F)106と、CPU101によって生成された聴覚情報に対応する音声信号をスピーカ400に供給するインタフェース(I/F)107等から構成されている。
【0010】
図3は、商品(この例では革製の黒のバッグ)にRFIDタグ800が取り付けられている状態を示している。RFIDタグ800は、上述したように図示しないICチップと、図示しないアンテナ等により構成されている。ICチップは、制御プログラムを記憶するROMと、制御プログラムに従って各種処理を実行するCPUと、CPUが各種処理を実行するとともに各部を制御する上で必要となる各種データやプログラム等を一時的に記憶するRAMと、各種データを記憶する不揮発性メモリと、通信を制御する通信制御部等から構成され、CPUの制御下、通信制御部がアンテナを介してRFIDリーダ200と交信し、メモリに記憶されているデータをRFIDリーダ200に送信したり、アンテナを介してレジスタ600に接続されたRFIDリーダライタ700と交信し、RFIDリーダライタ700より送信されてきた精算済みフラグの値を受信し、CPUが受信した精算済みのフラグの値に基づいて、メモリに記憶している精算済みフラグの値を更新するようになっている。
【0011】
図4は、RFIDタグ800のICチップのメモリに記憶されているタグデータの例を示している。同図に示すように、タグデータは、各RFIDタグ800を識別するためのユニークな値からなる識別コードと、精算済みであるか否かを示す値からなる精算済みフラグと、各商品に与えられるユニークなコードからなる商品コードと、商品の名称である商品名と、商品の材質や色等を示すテキストデータからなる商品形態と、商品の外観を示す静止画像ファイルまたは映像ファイルからなる商品外観データと、テキストデータからなる警告メッセージ等により構成されている。
【0012】
この例では、識別コードの値は1234、精算済みフラグの値は0、商品コードの値は5678、商品名は「バッグ」、商品形態は「革製、黒」、商品外観ファイルはabc.jpg(またはabc.mpeg)、警告メッセージは、「精算はお済みですか?」、「お客様のお持ちの商品はこのゲートを通過できません。」、「革製の黒いバッグをお持ちのお客様、精算はお済みですか?」とされている。
【0013】
次に、図5のフローチャートを参照して、制御装置100の処理手順について説明する。ここでは、商品の代金がレジスタ600によって精算されておらず、RFIDタグ800の精算済みフラグの値は初期値0のままであるものとする。
【0014】
まず、ステップS1において、制御部100のCPU101により、RFIDリーダ200によってRFIDタグ800から読み取られたタグデータがインタフェース(I/F)105を介してCPU101に供給されたか否かが判定される。
【0015】
その結果、CPU101にタグデータが供給されていないと判定された場合、ステップS1の処理が繰り返し実行される。一方、CPU101にタグデータが供給されたと判定された場合、ステップS2に進む。
【0016】
ステップS2においては、CPU101により、RFIDリーダ200からインタフェース105を介して供給されたタグデータがRAM103に供給され、記憶される。
【0017】
次に、ステップS3において、CPU101により、RAM103に供給され記憶されたタグデータに含まれる精算済みフラグの値が1(精算済み)であるか否かが判定される。その結果、タグデータに含まれる精算済みフラグの値が1(精算済み)であると判定された場合、ステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が繰り返し実行される。一方、タグデータに含まれる精算済みフラグの値が0(未精算)であると判定された場合、ステップS4に進む。
【0018】
ステップS4においては、CPU101により、RAM103に記憶されているタグデータに含まれる商品外観データである例えば商品の外観を写した写真データ(例えば、jpeg(Joint Photographic Experts Group)形式の静止画像データ)または商品の外観を撮影した映像データ(例えば、mpeg(Moving Picture Experts Group)形式の動画像データ)が再生され、再生データがインタフェース106に供給される。
【0019】
次に、ステップS5において、CPU101により、RAM103に記憶されているタグデータに含まれる警告メッセージが読み出され、その警告メッセージに対応する文字列のビットマップイメージデータが生成され、インタフェース106に供給される。
【0020】
インタフェース106は、CPU101より供給された再生データとビットマップイメージデータとを合成し、合成画像または合成映像に対応する表示信号を生成し、表示器300に供給する。表示器300は、インタフェース106より供給された合成画像または合成映像に対応する静止画像または動画像を画面に表示する。
【0021】
静止画像の場合、商品の外観を写した静止画像に警告メッセージに対応する文字列が重ね合わされたものとされる。また、動画像の場合、商品の外観を撮影した動画像に警告メッセージに対応する文字列が重ね合わされたものとされる。
【0022】
次に、ステップS6において、CPU101により、RAM103に記憶されているタグデータに含まれる警告メッセージが読み出され、その警告メッセージに対応する音声データが生成され、インタフェース107に供給される。
【0023】
インタフェース107は、CPU101より供給された音声データに対応する音声信号を生成し、スピーカ400に供給する。スピーカ400は、インタフェース107より供給された音声信号を出力する。
【0024】
以上説明したように、不正持出し警告システムが設置された店舗において、例えば、図4に示したようなタグデータが記憶されているRFIDタグ800が取り付けられたバッグの代金を精算することなく不正に店外に持ち出そうとしてゲート500に近づいた場合、RFIDタグ800のICチップに記憶されているバッグの外観を写した静止画像または動画像と警告メッセージに対応する文字列がRFIDリーダ200によって読み取られ、読み取られた静止画像または動画像と警告メッセージの合成画像または合成映像(視覚情報)が表示器300の画面に表示されるとともに、警告メッセージに対応する音声(聴覚情報)がスピーカ400から出力される。
【0025】
これにより、不正に商品を持ち出そうとしている者がゲート500の近傍にいること、および持ち出そうとしている商品に関する視覚情報および聴覚情報を店員やその周辺の人々に対して直ちに報知することができるので、万引き犯を推定してその場で取り押さえることができる可能性を高めるとともに、万引きをするという意欲を減じることができる。
【0026】
例えば、商品を隠さずに持ち出そうとすれば、その商品を所持している者が万引き犯である可能性が高いと判断することができる。また、男性が主に購入する商品が持ち出されようとしている場合、ゲート500付近にいる男性が万引き犯である可能性が高いと判断することができる。同様に、女性が主に購入する商品が持ち出されようとしている場合、ゲート500付近にいる女性が万引き犯である可能性が高いと判断することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態において、RFIDタグ800に記憶されるタグデータの内容は例であってこれに限定されるものではない。また、タグデータのうち例えば商品形態、商品外観データ、警告メッセージ等を制御装置100のEEPROM104等に商品コードと対応付けて記憶させるようにすることもできる。また、上記実施の形態においてはスピーカ400から音声を出力させるようにしたが、音楽や効果音等を出力させるようにすることも可能である。
【0028】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の活用例として、例えば、万引き防止だけでなく、入退場を管理する際にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明が適用される不正持出し警告システムの構成例を示す図である。
【図2】図1の制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】商品に取り付けられたRFIDタグを示す図である。
【図4】RFIDタグに記憶されているタグデータの例を示す図である。
【図5】制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
100 制御装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 EEPROM
105,106,107 インタフェース(I/F)
200 RFIDリーダ
300 表示器
400 スピーカ
500 ゲート
600 レジスタ
700 RFIDリーダライタ
800 RFIDタグ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に添付されたRFIDタグに記録されたタグデータを読み取る読み取り手段と、
前記読み取り手段によって読み取られた前記タグデータに含まれる前記商品の精算が済んだか否かを示す精算データに基づいて、前記商品の精算の有無を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記商品に対応した所定の警告情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする不正持出し警告システム。
【請求項2】
前記警告情報は、前記商品の精算がまだ済んでいないことを警告するための視覚によって認識可能な、文字、静止画像、および動画像の少なくともいずれかからなる視覚情報を含み、
前記出力手段は、前記視覚情報を表示する表示器を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の不正持出し警告システム。
【請求項3】
前記警告情報は、前記商品の精算がまだ済んでいないことを警告するための聴覚によって認識可能な聴覚情報を含み、
前記出力手段は、前記聴覚情報を出力するスピーカを含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の不正持出し警告システム。
【請求項4】
前記視覚情報および前記聴覚情報は、前記RFIDタグに記憶されている前記タグデータに含まれ、前記出力手段は、前記読み取り手段によって読み取られた前記タグデータに含まれる前記視覚情報および前記聴覚情報の少なくともいずれか一方を出力する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の不正持出し警告システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−200239(P2007−200239A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21054(P2006−21054)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】