説明

両面コーティング装飾用ボードの製造方法および製造装置

両面コーティング装飾用ボードの製造においては、キャリアー材は、複数の通過を経て表面と裏面にコーティングを施される必要があったが、本発明のコーティングでは、第1に、液体接着剤を両面に塗布して、装飾用紙(または適切な裏当て紙、またはこれらの層の不織布)のウェブを敷設して、また、接着剤の乾燥後に粉末状の組成物を塗布することで大幅に簡略化される。その粉末状の組成物は、装飾用ボードの表面の第1ウェブの表面を加熱することによって溶融させ硬化させることができる樹脂を含む。この組成物を部分的に溶融させ、または完全に溶融させて、最終的には圧力と熱を加えることによって接着剤と樹脂の組成物を硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両面コーティングの装飾されたプレートまたはボードの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなプレートまたはボードは、例えば床の構成要素、壁のクラッディングパネルおよび家具用パネルとして様々に異なった状況で使用される。それらは基本的にキャリアー(搬送材)という、例えばチップボード(パーティクルボード)またはファイバーボード(繊維板)のような木質材料で作られたボードを含んでいる。キャリアーは、少なくとも一方の面に積層された装飾用紙を敷設され、この装飾用紙は、合成樹脂製の保護層で覆われている。アミノ樹脂からしばしば成るその保護層を凝固させるために、その保護層は圧力と熱が加えられて、縮合と架橋反応とによる硬化処理にさらされる。積層構造のボードの変形に結びつくかもしれない積層された層中の応力を補償するために、キャリアーの反対の面にも通常1つの層が積層によって敷設されている。いわゆる裏当て層は、例えば紙のような単純な不織布材にすることができる。そのような層は、床パネルの場合においては足音を減衰させる形態にもなり得る。家具の製造に使用するためには、キャリアーの両面が装飾用の層で積層されているのが望ましい。装飾用の層によって、無垢材や無垢の石といった他の自然素材が頻繁に模造されている。そのような観点で、硬化処理工程中に例えばプレスにより表面が構造化されるプレートを用いて、模造される材料に相当する浮き彫りを保護層の外側表面に打ち出す加工は、通常に行なわれるようになっている。
【0003】
広範囲のプロセスにおいて、装飾用紙にはキャリアー上に積層される前に樹脂がしみ込んでいる。しかし、その場合、保護層に装飾用紙上の表現に即して打ち出される浮き彫りをもたらすための特殊な処理が必要になるため、その装飾用紙の寸法は変わってしまう。特許出願公開公報(DE 10 2007−026170A)から、しみ込ませていない装飾用紙を使用すること、および、キャリアーに予め塗られた液状接着剤の層にそれを敷くことが知られている。その場合、その紙は、しみ込み作用によりその気孔が充填されることによって接着剤を吸収するが、それはその寸法を維持するし、また、このようにして加圧プレートの表面構造との関連性が記録される。装飾用紙が固まった後に、不織布のキャリアー材(通常、セルロースを含む)と一緒に又はキャリアー材無しで、その装飾用紙上に保護層を敷設することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開公報(DE 10 2007−026170A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂成分に対する最終的な熱間プレスおよび硬化の処理に先立って、まだ、表面と裏面のそれぞれのために2つに別れた作用工程においてキャリアープレートを処理しなければならなかった。
【0006】
本発明の目的は、両面コーティングの装飾用プレートまたは装飾用ボードの製造方法をさらに簡略化することであり、特に、表面および裏面に設けられる複数の層が1つの作用工程で敷設され得る方法によってそのプレートまたはボードを製造することであり、また、そのような工程を実行できる装置を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、請求項1に応じた方法によって達せられ、また、請求項10に応じた装置によって達せられる。
【0008】
液状接着剤が一定時間内にキャリアーの表面だけでなく裏面にも付着して一定の層を形成するので、ウェブ材がダメージを受けないでさらなる移送作業に耐える限りにおいて、それぞれのウェブ材はキャリアーの1回の通過だけで両面に固定され得る。非常に多くの接着剤が塗布されるので、ウェブ材の両面に接着剤がしみ込むことができる。その場合、ウェブ材の寸法の変化はもはや生じない。キャリアーへのウェブ材の結合は、乾燥工程においてさらに強固になる。最後に、保護層を作るため、粉末形状の硬化性樹脂組成物は、キャリアーの表面上の第1ウェブの表面上にばらまかれ、さらに、加熱により少なくとも部分溶融するか部分焼結する。そのような状態で、キャリアーおよびコーティングからなる製品は、熱間プレス機に送られる。熱間プレス機では圧力と熱が加えられて接着剤および樹脂組成物の硬化処理が行なわれる。そのような方法によって、さらなる処理の準備が整った製品が、1回の通過において製造される。
【0009】
粉体を第1ウェブの上にばらまきそれを溶融させるか融合させることの代わりとして、キャリアーに敷かれたウェブにペースト状組成物を塗ることも可能である。その組成物は、粉末形状の第1組成物といった成分および水を含んでいる。そのようなペースト状組成物は、そのような第1粉体の成分を含んだ水溶液を濃縮することによっても、または、第1粉体組成物を水と攪拌しながら混合することによっても、得ることができる。そのペーストの粘性は、乾燥処理より前にペーストがウェブから流れ落ちない程度に調節されることになっている。むしろ、ペースト状組成物は少なくとも85重量パーセントの固形分を含んでいるのがよい。
【0010】
例えば、ファイバーボード(MDFまたはHDF)およびチップボードはキャリアー材に適する。複数枚のボードは個々に供給され、そこでは第1ウェブと第2ウェブもそれぞれのサイズに適切にカットされる。しかし、ボードが隙間無く供給される場合や、ボード成形機からの継ぎ目なしのボードを直接使用する場合であれば、連続モードの運転も可能である。
【0011】
液状接着剤は、例えばメラミン樹脂接着材または尿素樹脂接着剤と、例えば酸成分などの適切な硬化剤との初期状態を有する水性の組成物である。接着剤は、その硬化に必要な温度が乾燥処理に用いる温度よりも高くなるように、適切に選択される。その後、熱間プレスでのみにより生じる架橋または縮合によって、硬化処理が達成される。接着剤の粘性は、たとえキャリアーの裏面であっても接着剤の塗布からウェブの敷設までの時間中に、不均一な形成または落下が全く起こらないように、望ましく調節されている。他方では、ウェブ材が乾燥工程に進むまでに、ウェブ材に接着剤が十分にしみ込むように、すなわちウェブ材が十分に浸されるように、接着剤の粘性調節が考慮されている。第2ウェブ用というよりも、むしろ第1ウェブ用に、異なる粘性(例えばより低い粘性)を任意で設定することができる。
【0012】
例えば、表面に彫り又はパターンが形成されたローラー、ブラシ、吸収性のある当て材などを可能な限り備えているロール式コーティングのような既知のプロセスを、キャリアーに接着剤を塗布するために使用することができる。
【0013】
第1ウェブの敷設は、基本的にもっぱら重力によって達成することができるが、第2ウェブは、キャリアーの下側面の接着剤の層と接触するように適切な敷設装置を用いて搬送されなければならない。それは、例えばローラー、可撓性のあるドクターブレード、または、スキージで賄える。敷設工程をより良く調整するため、第1ウェブもそのような装置を用いてキャリアーの表面の接着剤の層に敷設されるのが望ましい。
【0014】
両方のウェブがキャリアーボードの表面および裏面に敷設された後、そのように製造された層の集合体は乾かされる。その目的のために、層の集合体は適切な乾燥室を通過することができる。その乾燥室の中でそれは熱せられたドライエアーにさらされる。好ましくは、赤外線または高周波をその乾燥処理に使用した方が、特殊なオーブンを使わないで済むので一層よい。むしろ、この場合は、接着剤が既に完全に硬化してしまうほどには層の集合体は加熱されない。
【0015】
その処理の次工程で、粉体組成物がキャリアーボードの表面の第1ウェブに敷設される。その粉体組成物は、加熱によって溶融および硬化する成分、および/または、そのような樹脂を形成するために反応することができる成分を備えている。その組成物は、後で積層体のカバー層を形成する。その組成物は、好ましくは、アミノ樹脂および/またはフェノール樹脂のグループから1つ以上の熱硬化性樹脂を含んでいる。エポキシ樹脂およびアクリル樹脂も使用することができる。必要ならば、さらに、その組成物は、熱硬化処理のための1つ以上の反応開始剤および/または触媒(硬化剤)を含む。好ましい樹脂は、尿素ホルムアルデヒド樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂)である。上記の樹脂の変わりに、あるいは、上記の樹脂に加えて、その組成物は、メラミン、尿素、フェノール、ホルムアルデヒド(例えばパラホルムアルデヒドまたはトリオキサンの形式で)、および、これらの化合物の誘導体といった樹脂の前段階に相当する物質を含むことができる。必要あれば、本発明に従って使用することができるその粉体組成物は、少ない比率の水を含んでいて、例えば、それらの成分の通常の溶液を適切に乾燥させることにより得ることができる。
【0016】
粉体組成物の粒径は1ミリメートル未満であり、好ましくは、0.1マイクロメートル以上、0.5ミリメートル以下である。
【0017】
その粉体組成物は、カバー層の特性を改良することで知られている成分をさらに含むことができる。それらは特に、研磨磨耗抵抗を増加させるための硬質固形物、プラスチック材料のためのその他の通常の添加剤、光学的効果のための添加剤、湿潤剤、分離剤、流動抵抗低減剤、結合添加剤などを含んでいる。硬質固形物としては、鋼玉、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、ガラス微粒子、パイロフィライト(葉ろう石)、例えばセルロースの強化繊維である。プラスチック材料のためのその他の通常の添加剤としては、安定剤、増白剤、UV吸収剤、有機・無機の自然物の充填材などがある。光学的効果のための添加剤としては、金属の光沢の効果、真珠の光沢、乳白光といった効果の添加剤である。セルロース繊維および/または硬質固形物の粒子より大きいガラス玉を追加することによって、それらの固形物に起因する加圧プレートや加圧ベルトの磨耗を低減させることができる。
【0018】
既知のばらまき装置を粉体組成物の敷設のために使用することができる。さらに、ばらまき工程では、ばらまきにより敷設された層の均一性を改善するために、および/または、粉体の層を平らにするために、例えばドクターブレードを使った2以上の工程を実行することも可能である。あるいは、粉体をラッカーで塗ることに由来した直接処理法に従って静電気学を利用することで粉体組成物を敷設したり、あるいは、光電子のドラム上に形成した層を転送することによって間接的に粉体組成物を敷設したりすることができる。
【0019】
粉体組成物の敷設量は、予定するカバー層の厚さに依存する。一般的には、1〜200g/mの間での敷設が適切である。
【0020】
そのように製造された粉体の層を備えたキャリアーは、それから、粉体を溶融するために加熱される。溶融物質が流れ落ちることを防止できる場合であれば、粉体を完全に溶融することもできるし、あるいは単に溶融を初期段階に留めること、つまり、部分的な溶融や部分的な焼結とすることも可能である。他方では、後のプレス工程で泡が後に残って層をくすませたり曇らせたりすることがない程度までは、粉体の層がコンパクトにされるに違いない。溶融温度は、混合した樹脂の組成物に依存し、50〜150℃の間であれば好都合である。
【0021】
一般に、上限120℃までの温度であれば、溶融を初期段階で抑えるには十分である。溶けた樹脂粉体の望まない流出を回避するために、層をその後冷却によって再び凝固させるか硬化させることができる。
【0022】
粉体の層の溶融を初期段階に抑えるための適切な熱源は、赤外線照射装置、マイクロ波、又は、熱源によって粉体が巻き上がるのを回避することが可能であれば、むらのない火炎とすることができる。
【0023】
粉体の層の溶融を初期段階に抑えた後か、あるいは粉体の層を溶融した後、複合層の配列を備えたキャリアーはプレス機に搬送されて、高温にされてプレスされる。このようにして、一方では粉体の層のコンパクト化が達成されるし、他方ではこれが接着剤およびカバー層の樹脂の硬化処理を伴って実行されることになる。このようにして、プレスにより構造化された既知の加圧プレートを使って、カバー層に浮き出しを形成することができる。プレス工程中の層の温度は、約150〜200℃であり、好ましくは、160〜180℃である。プレス機での複合層の配列の滞在時間が比較的短いため、加圧プレートは例えば30〜50Kの温度まで相当に熱くならざるを得ない。印加する圧力は、適切には2.5〜10MPaの間であり、より好ましくは4〜6MPaの間である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る両面コーティング装飾用ボードの製造装置の全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る方法の実施形態において、加熱により溶融して硬化することができる樹脂を有する粉体組成物で構成された層は、第2ウェブ上にもカバー層の形成のために敷設される。この敷設には第1ウェブに敷設されたものと同じ組成物を伴わせることができる。これに限らず、最後に生じる複合プレス工程の条件下で、それぞれ所望の特性を与えることができる2つの異なる組成物を使用することも可能である。第2ウェブがキャリアーボードの裏面に置かれる前に、もっと具体的に言うと、下方を向く面のウェブがキャリアーボードから離れている状態で、第2ウェブへの粉体の層の敷設が達成される。したがって、ウェブの上に組成物がばらまかれた後に、そのウェブの敷設に先立って、そのウェブは方向を変える必要がある。その場合に、粉体の一部がウェブから落下するのを回避するため、方向転換の前に、加熱によって部分的な溶融もしくは部分的な焼結、または、完全な溶融がなされて、次の工程で再び冷却することにより十分に凝固されるのが望ましい。その目的のため、第1ウェブ上の対応する層の溶融を初期段階で抑える、または、その焼結を初期段階で抑えるために上述したのと同じ方法を使用することもできる。
【0026】
選択肢として、第1粉体組成物または第2粉体組成物の成分を備えたペースト状水性組成物を、ウェブをキャリアーの下面の接着剤の層に敷設するのに先立って、第2のウェブに塗布することができる。ペースト状組成物はそれが第2ウェブに十分に付着できるように調節されているので、第2ウェブの下面からでもその塗布を達成することができる。第2ウェブのキャリアーの下面への敷設に先立って、まだ、方向変換工程が必要かも知れないけれども、ペースト状組成物は敷設工程後に接着剤の層と一緒に乾かされるのが好ましい。方向変換処理は、より接触が少ない方法で達成されるのが好ましい。
【0027】
好ましい実施形態において、装飾用紙が第1ウェブとして使用される。その装飾用紙は通常、樹脂をしみこんでいない。第2ウェブとしては、例えば、1品の家具の構造用パネルが求められている場合には装飾用紙であったり、裏当て紙、不織布の材料、あるいは、足音を低減させる機能を備えたフィルムであったりしてもよい。そのようなウェブ材は、従来知られたものであり、合成繊維もしくは天然繊維、合成発泡剤、または、コルクのような天然材料を含む不織布の材料からなる。
【0028】
あるいは、第1ウェブも、単一色の不織布の材料、特に、単一色の紙であるとよく、好ましくは敷設工程および乾燥工程の後に、その上にDEに従った印刷方法によって装飾が形成されるのがよい。
【0029】
本発明は、さらに本発明に係る方法を実行するための装置も含む。その装置は、少なくとも、好ましくはキャリアーを実質的に水平面にそって後段の装置の各部品に向けて供給し、また、それらを通過するようにキャリアーを搬送する供給・搬送装置、
キャリアー面の上方およびその下方にそれぞれ設けられた液状接着剤の塗布装置、
キャリアー面の上方およびその下方にそれぞれ設けられた第1ウェブおよび第2ウェブの巻取り解除ステーション、
キャリアー面の下方に設けられた第2ウェブの敷設装置、
キャリアー面の上方に任意に設けられた第1ウェブの敷設装置、
乾燥装置、
キャリアー面の上方に設けられたばらまき・加熱装置、および、
熱間プレス装置を含んでいる。
【0030】
供給・搬送装置は既知の構造にすることができ、例えばローラー型やローラーコンベヤー型を採用できる。キャリアーボードの下面の層への接触は困難であるので、例えば、第2ウェブが湿潤な接着剤に敷設された後、ローラーまたはグリッピング装置をキャリアーボードのエッジ領域にのみ領域を限定して設けるということも可能である。
【0031】
使用する塗布装置としては、既知の装置を採用でき、例えば塗布ローラー、当て材もしくはブラシ付きのローラー、または、スプレー装置のようなものがある。可能であれば、塗布ローラーには、表面に彫り/パターンが形成され、または、塗布重量を増加または調整するためのドクターブレードもしくはスキージが付いているとよい。
【0032】
巻取り解除ステーションとしては、それらがキャリアー面の上方に第1ウェブを供給できて、および、キャリアー面の下方に第2ウェブを供給できるように配置されている。それらには、例えばウェブ張力や側端位置の移動などを調整するための通常の手段を装備することができる。
【0033】
敷設装置は、ウェブが液状接着剤の層に均一に置かれることを保証する意図で設けられている。それらは、例えばプレス式敷設ローラーか、可撓性のあるドクターブレードの形式にすることができる。望ましくは、それらは、それぞれの敷設装置に対して可能な限り小さな間隔で配置されるとよい。
【0034】
乾燥装置は、接着剤に浸されたウェブを加熱するための手段を含み、また、可能であれば蒸発した湿気を取り除くための手段を含んでいるとよい。乾燥処理は、熱風によって、赤外線の照射によって、または、高周波もしくはマイクロ波によって達成され得る。乾燥装置としては、周辺環境への影響を避けるために、実質的に空間領域を閉じる形式のものにするのが望ましい。その装置は、残留含水量を測定するための手段、および、加熱手段を制御するための手段を備えている。
【0035】
第1粉体組成物用のばらまき装置は、乾燥装置の下流に設けられている。その目的のために、例えば振動篩、ベルト式ばらまき装置、および、振動式ばらまき装置といった既知の装置を使用することもできる。さらに、敷設処理の均一性を改善するために、複数の同一もしくは異なる装置を連続して配置することもできる。ばらまき装置は、さらに、例えばドクターブレードのように、ばらまき処理によって敷設された層を平らにするための手段を備えることもできる。
【0036】
上記に代わる実施形態として、本発明に係る製造装置は、ばらまきステーションの代わりに、ペースト状組成物用の塗布装置を備えている。それは、例えば、塗布重量を調節するためのドクターブレード付きの塗布ローラーでありえる。その塗布ステーションは、乾燥装置の上流と下流のいずれにも配置することができる。下流に配置する場合、加熱ステーションの代わりに、乾燥ステーションが必要になる。その装置が適応性よく作動することができるために、実行すべきそれぞれの処理に応じて初期状態までの溶融のための加熱ステーションとして動作したり、さらに乾燥ステーションとして動作したりすることができる装置を、その位置において使用するのがよい。
【0037】
加えて、本発明に係る製造装置は、ばらまいた粉体の層を加熱するための手段を備えている。それは、例えば赤外線照射装置、マイクロ波照射装置、または、電流もしくはガスで加熱したトンネル炉でありえる。
【0038】
最後に、本発明に係る製造装置は、さらに、熱間プレス装置を備えている。
その装置が分断されたボードを処理することを意図するものである場合は、それは例えば短サイクルのプレス機でありえる。
装飾用プレートまたは装飾用ボードのカバー層に浮き彫りを形成するために、プレス装置は、表面構造を有する加圧プレートを備えている。滑らかな加圧ベルトあるいは表面構造を有する加圧ベルトを任意に有している二枚合せベルト式のプレス機は、分断されたボードにも、また、連続するキャリアーボードにも適している。
【0039】
本発明に係る製造装置の別の実施形態において、その装置は、キャリアー面の下方であって、第2ウェブの巻取り解除ステーションとこれに対応する敷設装置の間に、さらに、第2ばらまき・加熱ステーションを備えている。それは、上記の第1ばらまき・加熱ステーションと同様に、組成物をばらまいて、それを加熱するための同一または類似の手段を持っている。しかし、この場合には、第2ウェブの面(それはキャリアーボードへの敷設後に下方を向く面である)が、ばらまきによってそこに敷設された組成物を有していなければならないので、さらにウェブの方向を変換する手段が必要になる。これらの手段として、巻取り解除ステーションとばらまき装置の間、および、加熱装置と敷設装置との間に設けられた方向変換ローラーを用い得る。ばらまきにより敷設され、また、初期状態まで溶融した粉体の表面は取り扱いが困難であるので、例えば特許文献(DE 4415581号公報)に従ってエアー・ターン手段のようなより接触の少ない方向変換手段を使用するとよい。加えて、または、これに代えて、方向変換ローラーのうちの1つを、初期状態まで溶融した粉体を凝固するために冷却することができる。
【0040】
あるいは、本発明に係る製造装置は、第2ばらまき・加熱ステーションの代わりに、ペーストのための第2塗布ステーションを備えていてもよい。それは上記の第1塗布ステーションのような構成にすることができる。
【0041】
本発明に係る製造方法は、装飾用ボードの製造方法をかなり簡略化することを許容する。それは、さらに対応する資本の投資金額の縮小と共に、要求される装置の大きさの縮小を意味する。カバー層の材料が実質的に無水で使用されるので、これまで乾燥工程で使用されてきたエネルギーを節約することができる。液体状態で塗布されることになっている装飾用の層の材料のための循環・処理システムは、必要としない。したがって、この製造方法によれば、溶液とキャリアー材に関して、運転の中断の場合に生じる運転開始時のロスをより少なくすることができる。しみ込んだ装飾用紙、カバー層、一方の面だけ処理されたボードのような中間生成物の保管および在庫品管理は余剰となり、また、それらにリンクした資本は縮小される。カバー層がセルロースと結合しないようにすることはもはや必要ではないので、装飾の明瞭さおよび光輝さが改善され得る。プレス工程の後のカバー層中の残留水分による明瞭さに対するダメージも回避される。磨損低減剤および他の添加剤は、敷設装置での混合分離または磨耗によって、不均一さが含まれることがなく、カバー層に組み込まれるようになる。
【0042】
本発明に係る装置の例、および、本発明に係る方法を行なった際に得られる機能について、添付図面の図1に図式したものを用いて説明する。キャリアーボード1は、図示しない供給・搬送装置によって搬送され、塗布ローラー2を用いてその表面および裏面に液状接着剤を塗布する塗布装置に通される。ステーション10の位置で、第1ウェブ11および第2ウェブ12は、ローラー(図示せず)によってキャリアーボードの表面および裏面の接着剤の層に置かれる。複合層の配列は乾燥装置6の中へ送られ、この乾燥装置6は閉められて、ここで接着剤は所望の残留含水量になるまで乾かされる。第1粉体組成物は、ばらまき装置7を用いたばらまき処理により、ちょうどキャリアーボードに固定された第1ウェブに敷設される。また、第1粉体組成物は、赤外線照射装置8で焼結され、または溶融される。最後に、キャリアーボードは、プレス装置9の中へ送られる。積層によって敷設された複数の層が圧力と熱を加えられて硬化して、浮き彫りを具備したものになり得る。キャリアーボードの裏面の第2ウェブもカバー層を具備する場合は、巻取り解除ステーション3と下側の敷設ステーション10との間に更に、ばらまき装置4および赤外線照射装置5が配置される。その目的のために、ウェブは方向変換ローラー13によって方向が変えられ、積層工程後に下方に面する層を上向きにして、さらに、その上に組成物をばらまくことができるようになっている。ばらまき工程および初期(部分)溶融処理の後、ウェブは再び方向変換ローラー14によって方向が変わって、敷設ステーション10に供給される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両面コーティング装飾用ボードの製造方法であって、
A)1枚のキャリアー材の表面および裏面に加熱硬化性の液体接着剤を塗布する工程と、
B)紙または不織布材からなる第1ウェブを前記キャリアー材の表面上の前記接着剤の層に敷設する工程と、
C)紙、不織布材またはフィルムからなる第2ウェブを前記キャリアー材の裏面上の前記接着剤の層に敷設する工程と、
D)前記方法で製造された前記層の複合体を加熱することによって前記接着剤を乾燥させる工程と、
E1)加熱により溶融し硬化する樹脂および/若しくはこのような樹脂を形成する反応を可能とする成分を含む第1粉体組成物を前記第1ウェブの表面に敷設する工程、並びに、前記第1ウェブ上の前記粉体の層を初期段階まで溶融する若しくは溶融する工程、
または、
E2)そのような第1粉体組成物の前記成分と水とを有するペースト状組成物の層を前記第1ウェブの表面に塗布する工程、並びに、前記ペーストの層を乾燥する工程、と、
G)圧力と熱を加えて前記接着剤と前記樹脂の組成物とを硬化処理する工程と、
を含むことを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、
前記第2ウェブは、さらに、前記接着剤の層への敷設に先立って、加熱により溶融し硬化する樹脂および/またはこのような樹脂を形成する反応を可能とする成分を含む前記第1または第2粉体組成物をばらまかれるとともに、
前記組成物は、初期状態まで溶融され、または完全に溶融されることを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、前記第2ウェブは、
前記接着剤の層への敷設に先立って、前記第1または前記第2粉体組成物の前記成分および水を有するペースト状組成物が塗布されるとともに、
前記接着剤の層への敷設後は、それらと複合的に乾燥されることを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の方法において、装飾用紙が前記第1ウェブとして用いられることを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、装飾用紙、裏当て紙、または、不織布材、または、足音を低減させる機能を備えたフィルムが、前記第2ウェブとして用いられることを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の方法において、メラミン樹脂接着剤または尿素樹脂接着剤が前記硬化性の液体接着剤として用いられることを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の方法において、使用される前記樹脂の組成物は、
メラミン、フェノール類、尿素、アクリル樹脂、または、エポキシ樹脂、
および/または、メラミン、フェノール類、尿素、アクリル樹脂、または、エポキシ樹脂の前段階の物質、
および、これらのものに適する硬化剤を含んでいることを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の方法において、前記樹脂の組成物が、硬質の金属の粒子、および/または、セルロースの繊維を含んでいることを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法において、前記粒子は、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、二酸化チタン、ガラス、または、パイロフィライトから構成されていることを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の方法を実行するための装置であって、
実質的に水平なキャリアー面と同じ方向に前記キャリアー(1)を搬送する供給・搬送装置と、
前記キャリアー面の上方および下方に設けられた液体接着剤用の塗布装置(2)と、
前記キャリアー面の上方および下方に設けられた前記第1ウェブ(11)および前記第2ウェブ(12)用の巻取り解除装置(3)と、
前記キャリアー面の上方および下方に設けられた前記第1ウェブおよび前記第2ウェブ用の敷設装置(10)と、
乾燥装置(6)と、
前記キャリアー面の上方に設けられた粉体樹脂組成物用のばらまき・加熱ステーション(7,8)、または、ペースト用の塗布ステーション、と、
熱間プレス装置(9)と、
を含むことを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造装置。
【請求項11】
請求項9記載の装置において、
さらに、前記キャリアー面の下方に設けられた粉体樹脂組成物用のばらまき・加熱ステーション(4,5)、または、前記巻取り解除装置と前記敷設装置の間に設けられたペースト用の塗布ステーションを含むことを特徴とする両面コーティング装飾用ボードの製造装置。

【図1】
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【公表番号】特表2013−515627(P2013−515627A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545344(P2012−545344)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/070636
【国際公開番号】WO2011/076916
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(512162258)サーフェス テクノロジーズ ゲーエムベーハー アンド カンパニー,カーゲー (1)
【氏名又は名称原語表記】SURFACE TECHNOLOGIES GMBH & CO.KG
【住所又は居所原語表記】An der Birkenpfuhlheide 6,15837 Baruth,DE
【Fターム(参考)】