説明

両面原稿読取装置

【課題】先行する原稿の後端と後続する原稿の先端との離隔距離を、先行する原稿の原稿長に関わりなく設定することが可能であると共に、原稿の搬送方法及び搬送速度の違いに柔軟に対応して後続する原稿の給紙を開始することが可能な両面原稿読取装置を提供する。
【解決手段】第1搬送路23経由で排紙すべき原稿100が第2搬送路24を搬送される場合、リードセンサ54が原稿有を検出した時から算出した搬送距離が、原稿長から所定距離(X−Y:Xは、開始位置220と基準位置231との間の第1搬送路23に沿う離隔距離。Yは、適長のマージン)を減算した距離より長くなった時に、原稿トレイ21から後続すべき原稿100の給送を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を自動的に順次給送して表裏両面の原稿画像を読み取る両面原稿読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機等で用いられる原稿読取装置は、例えばフェイスアップの状態で原稿が載置された原稿トレイから順次給送された原稿を読取位置に搬送し、各原稿の原稿画像を読み取って排紙口から排紙トレイに排紙するように構成されている。原稿が両面原稿の場合は、原稿が最初に読取位置に搬送されたときに表面の原稿画像が読み取られ、その後、表裏面を反転するための反転経路を経て原稿が再び読取位置に搬送されたときに裏面の原稿画像が読み取られる。
【0003】
更に、裏面の原稿画像が読み取られた原稿が、再び反転経路及び読取位置を経て排紙口から排紙されるようにした場合は、フェイスダウンの状態に揃えた原稿を頁番号順に排紙トレイに積み重ねることができる。このように、両面原稿の原稿画像が読み取られる場合は、原稿が反転経路を1又は2回搬送されて、読取位置を含む経路を2又は3回搬送されることになるため、先の原稿に対する一連の処理の終了後に、次の原稿を原稿トレイから給紙する構成では、トータルの読取速度の向上は望むべくもない。
【0004】
これに対し、特許文献1では、一方の面が読み取られた原稿が、副搬送路(反転経路)を1回通過した後に他方の面を読み取られる場合、原稿の先端が原稿先端検知センサの位置に達したときに、後続する原稿を原稿トレイから給紙(給送)して、読取位置の直前に配されたPSローラの位置まで搬送する技術が開示されている。そこでは、原稿トレイの原稿有を検知する原稿検知手段及び原稿先端検知センサ間の経路長が、最長の原稿長より長くなるように設定されている。
【0005】
また、特許文献2では、循環/反転通路(反転経路)を1回通過した両面原稿が、読取位置を2回目に通過する場合、遅くとも原稿の後端が読取位置を通過する前のタイミングで、後続する原稿をスタック(原稿トレイ)から給紙する動作を開始させる技術が開示されている。
【0006】
特許文献2では、特に好ましいタイミングの調整方法が、明細書の段落0074に記載されている。即ち、先行する原稿が第1読取ローラ対(レジストローラ)から読取位置に向けて搬送され始めた時点から、「(先行する原稿の原稿長−第1読取ローラ対及び幅サイズ基準センサ間の離隔距離)/搬送速度」の式で算出される時間が経過した時点を、後続する原稿の給紙開始タイミングとする点が開示されている。このようにして、先行する原稿の後端が幅サイズ基準センサの位置を通過するタイミングが予測され、そのタイミングにて後続する原稿の給紙が開始される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3708833号公報
【特許文献2】特開平10−87187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、先行する原稿の後端と後続する原稿の先端との、搬送経路に沿う離隔距離(以下、単に離隔距離という)が、先行する原稿の原稿長に応じて変化するものとなる。上記離隔距離を一定にするには、先行する原稿の後端が所定の位置を通過するまで、後続する原稿の搬送を一旦停止して、原稿間の離隔距離を広げる方向に調整する必要があった。
【0009】
また、特許文献2に開示された技術では、先行する原稿の後端と後続する原稿の先端との離隔距離の最大値が、原稿の給送の開始位置と読取位置との間の離隔距離まで増大する可能性があった。上述の好ましいタイミングの調整方法を採用した場合は、先行する原稿の読取動作の開始時点を基準にして、後続する原稿の給紙開始タイミングが決定されるため、原稿の読み取りに係るタイミングの違い、又は該タイミングの検出方法の違いに対して柔軟に対応し難い面があった。加えて、先行する原稿の読取倍率によって変化させる搬送速度を、上述した式にその都度代入する必要があるという煩雑な面があった。
【0010】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、先行する原稿の後端と後続する原稿の先端との離隔距離を、先行する原稿の原稿長に関わりなく設定することが可能であると共に、原稿の搬送方法及び搬送速度の違いに柔軟に対応して後続する原稿の給紙を開始することが可能な両面原稿読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る両面原稿読取装置は、原稿トレイから給送された原稿を排紙口に向けて搬送するための第1搬送路と、該第1搬送路を搬送される原稿の一面の原稿画像を読み取る読取部と、該読取部が原稿画像を読み取る読取位置よりも前記原稿トレイ側に位置する前記第1搬送路の分岐部から分岐して前記排紙口に向けて形成されており、前記原稿を前記排紙口側から前記分岐部に向けて搬送して表裏面を反転させるための第2搬送路と、前記原稿の原稿長を獲得する獲得部と、前記第1搬送路上の分岐部及び排紙口間に配されており、原稿の有無を検出する検出器と、前記原稿の表裏面を反転させて前記第1搬送路経由で前記排紙口から排紙すべく前記原稿が前記第2搬送路を搬送される場合、前記検出器が原稿有を検出した後における前記原稿の搬送距離を算出する算出部と、該算出部が算出した搬送距離が、前記獲得部が獲得した原稿長から所定距離を減算した距離より長いか否かを判定する判定部とを備え、該判定部が長いと判定した場合、前記原稿トレイから、後続すべき原稿の給送を開始するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、原稿トレイから給送された原稿が第1搬送路を排紙口に向けて搬送されている間に、読取位置にて原稿の一面(表面又は裏面の何れか一方)の原稿画像が読み取られる。読取位置よりも原稿トレイ側の位置に第1搬送路の分岐部を設けてあり、該分岐部から排紙口に向けて形成された第2搬送路を、排紙口側から分岐部向けに原稿が搬送された場合、原稿の表裏面が反転されて第1搬送路の読取位置に導かれる。
表裏面を反転させて第1搬送路経由で排紙すべき原稿が第2搬送路を搬送される場合、第1搬送路上の分岐部及び排紙口間に配された検出器が原稿有を検出した時から、原稿の搬送距離を算出する。そして、算出した搬送距離が、自装置内又は外部から獲得した原稿長から所定距離を減算した距離より長い場合、原稿トレイから、後続すべき原稿の給送を開始する。
【0013】
これにより、第1搬送路の分岐部及び排紙口間の任意の位置に配された検出器を用いて、第2搬送路から第1搬送路に導かれた原稿の先端を検出し、原稿の後端から所定距離だけ先端側にある部分が、検出器の位置まで搬送された時に、後続する原稿の搬送を開始する。
尚、原稿が第2搬送路を搬送される場合としては、例えば、表面の原稿画像が読み取られた原稿の裏面の原稿画像を読取部に読み取らせるために、原稿が第2搬送路を1回目に搬送される場合と、裏面の原稿画像が読み取られた原稿の表裏面を更に反転させるために、原稿が第2搬送路を2回目に搬送される場合とがある。
【0014】
本発明に係る両面原稿読取装置は、前記獲得部は、前記検出器が原稿有を検出してから原稿無を検出するまでの前記原稿の搬送距離を算出して原稿長を獲得するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、原稿の有無を検出する検出器を用いて、先行する原稿が有となっている期間の開始及び終了を特定し、その間の原稿の搬送距離を算出して原稿長とする。
これにより、特別な検出器を準備することなしに、原稿長を獲得することができる。尚、原稿長の指定を受け付けることによって、原稿長を獲得してもよい。
【0016】
本発明に係る両面原稿読取装置は、前記読取部は、光電変換素子を直線的に配列した光電変換器を有し、該光電変換器は、前記原稿の原稿画像を搬送方向と交差する方向に断続的に読み取るようにしてあり、前記獲得部は、前記光電変換器が読み取った領域のピッチを積算して原稿長を獲得するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、光電変換素子が直線的に配列された光電変換器を用いて、原稿の原稿画像を搬送方向と交差する方向に断続的に読み取り、読み取った帯状の領域のピッチを積算して原稿長とする。
これにより、搬送方向の読取ピッチに対応する搬送距離の微小区間が積算されて、トータルの原稿長が獲得される。
【0018】
本発明に係る両面原稿読取装置は、前記原稿トレイ及び分岐部間に配されており、原稿の有無を検出する第2の検出器を備え、前記獲得部は、前記第2の検出器が原稿有を検出してから原稿無を検出するまでの前記原稿の搬送距離を算出して原稿長を獲得するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、原稿の先端を検出する検出器とは別に、原稿トレイ及び分岐部間に配された第2の検出器を用いて、先行する原稿が有となっている期間の開始及び終了を検出し、その間の原稿の搬送距離を算出して原稿長とする。
これにより、検出器を用いた場合よりも早いタイミングで原稿長が検出される。この場合、例えば、片面原稿を読み取る場合に原稿の給紙を検出するための検出器を、原稿長を検出するための検出器に流用することができる。
【0020】
本発明に係る両面原稿読取装置は、前記所定距離は、前記原稿トレイから原稿の給送が開始される位置及び前記検出器の位置間の前記第1搬送路に沿う離隔距離よりも短いことを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、獲得した原稿長から減算されるべき所定距離が、原稿の給送の開始位置と、原稿の有無を検出する検出器の位置との間の第1搬送路に沿う離隔距離(以下、搬送路に沿う離隔距離を単に離隔距離という)よりも短くなるように、マージンを見込んである。
これにより、先行する原稿の後端と、後続する原稿の先端との間が前記マージン分だけ離隔されるため、両原稿を並列的に搬送する際の搬送制御の競合が回避される。
【0022】
本発明に係る両面原稿読取装置は、前記所定距離を記憶部に記憶してあることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、獲得した原稿長から減算すべき所定距離を予め記憶してあるため、後続する原稿の給送開始のタイミングを決定するための演算が容易となる。
【0024】
本発明に係る両面原稿読取装置は、前記検出器は、前記読取部が前記原稿の読み取りを開始するタイミングを特定するようにしてあることを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、読取部が原稿の読み取りを開始するタイミングを特定するための読取センサによって、原稿の先端を検出する検出器を兼用してあるため、装置のコストダウンを図ることができる。
【0026】
本発明に係る両面原稿読取装置は、前記第1搬送路及び第2搬送路に沿って原稿を搬送するための複数の搬送ローラと、該複数の搬送ローラの夫々を駆動する正転/逆転が可能なステッピングモータとを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、原稿を搬送するための搬送ローラの駆動源が単一のステッピングモータであり、該ステッピングモータを正,逆両方向に回転させて、複数の搬送ローラを駆動するようにしてあるため、装置のコストダウンが図られると共に、各搬送ローラの回転を適宜同期させることができる。この場合、例えば適宜クラッチが用いられる。
【0028】
本発明に係る両面原稿読取装置は、原稿トレイから給送された原稿を排紙口に向けて搬送するための第1搬送路と、該第1搬送路を搬送される原稿の一面の原稿画像を読み取る読取部と、該読取部が原稿画像を読み取る読取位置よりも前記原稿トレイ側に位置する前記第1搬送路の分岐部から分岐して前記排紙口に向けて形成されており、前記原稿を前記排紙口側から前記分岐部に向けて搬送して表裏面を反転させるための第2搬送路と、前記原稿の原稿長を獲得する獲得部と、前記第2搬送路を搬送される原稿の有無を検出する検出器と、前記原稿トレイから前記第1搬送路に原稿の給送が開始される位置から、前記分岐部及び排紙口間に特定した前記第1搬送路上の基準部の位置までの前記第1搬送路に沿う離隔距離を記憶する第1記憶部と、前記検出器から前記基準部までの、前記第2搬送路及び第1搬送路に沿う離隔距離を記憶する第2記憶部と、前記原稿の表裏面を反転させて前記第1搬送路経由で前記排紙口から排紙すべく前記原稿が前記第2搬送路を搬送される場合、前記検出器が原稿有を検出した後における前記原稿の搬送距離を算出する算出部と、該算出部が算出した搬送距離が、前記獲得部が獲得した原稿長に対して、前記第2記憶部及び第1記憶部の夫々に記憶した離隔距離を加算及び減算した距離よりも所定距離以上長いか否かを判定する判定部とを備え、該判定部が長いと判定した場合、前記原稿トレイから、後続すべき原稿の給送を開始するようにしてあることを特徴とする。
【0029】
本発明にあっては、原稿トレイから給送された原稿が第1搬送路を排紙口に向けて搬送されている間に、読取位置にて原稿の一面(表面又は裏面の何れか一方)の原稿画像が読み取られる。読取位置よりも原稿トレイ側の位置に第1搬送路の分岐部を設けてあり、該分岐部から排紙口に向けて形成された第2搬送路を、排紙口側から分岐部向けに原稿が搬送された場合、原稿の表裏面が反転されて第1搬送路の読取位置に導かれる。また、原稿の給送の開始位置と、分岐部及び排紙口間の第1搬送路上に特定した基準部との間の離隔距離を第1記憶部に記憶し、原稿の有無を検出するために第2搬送路に配された検出器と、前記基準部との間の離隔距離を第2記憶部に記憶する。
【0030】
表裏面を反転させて第1搬送路経由で排紙すべき原稿が第2搬送路を搬送される場合、第2搬送路に配された検出器が原稿有を検出した時から、原稿の搬送距離を算出する。そして、算出した搬送距離が、自装置内又は外部から獲得した原稿長に対して、第2記憶部及び第1記憶部の夫々が記憶した離隔距離を加算及び減算した距離よりも所定距離以上長い場合、原稿トレイから、後続すべき原稿の給送を開始する。
これにより、第2搬送路の任意の位置に配された検出器を用いて、第2搬送路から第1搬送路に導かれた原稿の先端を検出し、原稿の後端から所定距離だけ先端側にある部分が、前記基準部の位置まで搬送された時に、後続する原稿の搬送を開始する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、第1搬送路経由で排紙すべき原稿が第2搬送路を搬送される場合、検出器が原稿有を検出した時から、原稿の搬送距離を算出し、算出した搬送距離が、原稿長から所定距離を減算した距離よりも長い場合に、原稿トレイから、後続すべき原稿の給送を開始する。
これにより、第1搬送路の分岐部及び排紙口間の任意の位置に配された検出器を用いて、第2搬送路から第1搬送路に導かれた原稿の先端を検出し、原稿の後端から所定距離だけ先端側にある部分が、検出器の位置まで搬送された時に、後続する原稿の搬送を開始する。
従って、先行する原稿の後端と後続する原稿の先端との離隔距離を、先行する原稿の原稿長に関わりなく設定することが可能になる。また、先行する原稿の読取動作の開始とは無関係に原稿の先端が検出されるため、原稿の搬送方法及び搬送速度の違いに柔軟に対応して後続する原稿の給紙を開始することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1に係る両面原稿読取装置の概略断面図である。
【図2】原稿の搬送経路及び原稿画像の読取光の経路を模式的に示す説明図である。
【図3】光電変換器によって読み取られる原稿を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る両面原稿読取装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】原稿の表面を読み取る搬送部の動作を示す説明図である。
【図6A】原稿の表裏面を反転させる搬送部の動作を示す説明図である。
【図6B】原稿の表裏面を反転させる搬送部の動作を示す説明図である。
【図7】後続する原稿の給送を開始する搬送部の動作を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る両面原稿読取装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る両面原稿読取装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1の変形例に係る両面原稿読取装置のCPUの処理手順を示すフローチャートの一部である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る両面原稿読取装置のCPUの処理手順を示すフローチャートの一部である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る両面原稿読取装置の概略断面図であり、図2は、原稿の搬送経路及び原稿画像の読取光の経路を模式的に示す説明図である。両面原稿読取装置は、1又は複数枚の原稿を順次搬送する搬送部2と、該搬送部2の下方に配されており、搬送された原稿の原稿画像を読み取る(以下、原稿を読み取るともいう)読取部3とを備える。
【0034】
搬送部2の中央上部には、原稿の最大横幅相当の幅を有しており、原稿をフェイスアップで載置するための原稿トレイ21が、一側方から他側方に僅かに下がるように傾斜して設けられている。搬送部2の他側部には、正面視の断面がフック状のガイドによって形成された第1搬送路23が設けられており、原稿トレイ21から給送路22を介して第1搬送路23に給送された原稿が、原稿トレイ21の他端の下方に設けられた排紙口250に向けて搬送されるようになっている。
【0035】
第1搬送路23の途中に設けられた分岐部230からは、排紙口250に向けて第2搬送路24が形成されており、排紙口250側から分岐部230に向けてスイッチバックされて第2搬送路24を搬送された原稿が第1搬送路23に戻されることにより、原稿の表裏面が反転されるようになっている。第1搬送路23及び第2搬送路24は、排紙口250より他側方側の位置で合流している。原稿トレイ21の下方には、排紙口250から排紙された原稿をフェイスダウンで順次重ねて載置するための排紙トレイ25を、原稿トレイ21と略平行となるように設けてある。
尚、第2搬送路24の中程の位置に、原稿の有無を検出する予備センサ56を配してあるが、本実施の形態1では使用しない。
【0036】
給送路22の他端の上方には、原稿トレイ21側から他側方に向けて原稿が押し込まれたときに原稿有を検出する原稿センサ51と、該原稿センサ51が原稿有を検出した後に読取開始ボタン72(図4参照)が押下された場合、下方に移動して原稿を1枚ずつ第1搬送路23側に給送するピックアップローラ41とが配されている。第1搬送路23における原稿の搬送が開始される位置には、給送路22から給送された原稿を分離しつつ下流側に繰り込む分離ローラ42及びリタードローラ43が配されている。例えば第1搬送路23に複数の原稿が一度に給送された場合、リタードローラ43が逆方向に回転して、原稿の重送を防止するようになっている。尚、リタードローラ43に代えて、単なる押圧板を分離ローラ42に対向させて原稿の重送を防止してもよい。
【0037】
第1搬送路23のうち、下方に湾曲した部分の最下部は、ケース30の上面の他側部に配されたコンタクトガラス36と対向しており、読取部3が原稿を読み取る読取位置360と僅かな距離で離隔されている。分岐部230及び読取位置360間には、第1搬送路23を搬送される原稿の斜行を補正するためのレジストローラ44が配されている。第1搬送路23及び第2搬送路24の合流部と排紙口250との間には、原稿を排紙口250から排紙する排紙ローラ48が配されている。読取位置360及び排紙ローラ48間には、読取位置360を通過した原稿を下流側に搬送する読取後ローラ46が配されている。また、レジストローラ44、読取後ローラ46及び排紙ローラ48の夫々(搬送ローラ)には、従動ローラ45、47及び49が対向するように配されており、各ローラ対が原稿を挟持して搬送するようになっている。
【0038】
分離ローラ42及び分岐部230間には、第1搬送路23に給紙された原稿の有無を検出する給紙センサ52が配されている。分岐部230の下流側には、レジストローラ44の上流側にて原稿の有無を検知するレジストセンサ53が配されている。レジストセンサ53が原稿有を検出した時から原稿が所定長だけ搬送された後にレジストローラ44が原稿の搬送を開始することによって、原稿の斜行が補正されるようになっている。レジストローラ44の下流側には、読取位置360の上流側にて原稿の有無を検知するリードセンサ54が配されている。リードセンサ54は、読取部3が読取位置360にて原稿の読み取りを開始するタイミングを特定するためのものである。そして、第1搬送路23及び第2搬送路24の合流部と排紙ローラ48との間には、排紙すべき原稿の後端を検出する排紙センサ55が配されている。
【0039】
一方の読取部3は、その上面に原稿トレイ21の幅と略同一幅のプラテンガラス31を有するケース30を備える。プラテンガラス31は、ブック原稿等の搬送できない原稿を下方から読み取る際に、原稿を平置きするためのものである。ケース30内には、原稿を斜め上向きに照射する光源320と原稿から下方に放射された読取光を他側方の斜め上方に反射するミラー321とを有する第1キャリッジ32を備える。ケース30内には、また、ミラー321で反射された読取光を下方に反射するミラー330と該ミラーで反射された読取光を一側方に反射するミラー331とを有する第2キャリッジ33を備える。ミラー331で反射された読取光は、集光レンズ34で集光されて、ケース30内の一側部に設けられた光電変換器35に導かれるようになっている。
【0040】
第1キャリッジ32及び第2キャリッジ33は、プラテンガラス31上に平置きされた原稿を読み取るために、横方向に移動可能としてある。搬送部2を搬送される原稿の読み取りを行う場合は、第1キャリッジ32及び第2キャリッジ33を図1に示す位置に静止させておく。そして、読取位置360を通過する原稿からコンタクトガラス36を介して鉛直下方に放射された読取光が、ミラー321,330,331で反射されて光電変換器35に入射するようになっている。
尚、読取位置360における第1搬送路23及びコンタクトガラス36間の離隔距離は、原稿1枚を通過させるのに必要な最小限の距離であり、実質的には読取位置360が第1搬送路23上にあるものと見なせる。
【0041】
光電変換器35は、該光電変換器35上に結像した原稿画像の実像を、図1,2の奥行き方向に相当する主走査方向に読み取る。
図3は、光電変換器35によって読み取られる原稿を模式的に示す説明図である。図中100は原稿であり、原稿100が搬送される方向は、主走査方向と直交する副走査方向である。光電変換器35は、主走査方向に1列に配置されたCCD(Charge Coupled Device )からなる光電変換素子350,350,・・350を有する。光電変換器35が読み取る原稿100の読取領域110は、原稿100の最大横幅相当の長さを有する細長い領域である。読取領域110の幅は、光電変換器35の1走査時間に相当する時間内に、原稿100が副走査方向に搬送される搬送距離に対応する。従って、隣り合う読取領域110,110のピッチを積算することにより、原稿長を算出することができる。
【0042】
次に、両面原稿読取装置の制御系統を中心に説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係る両面原稿読取装置の構成例を示すブロック図である。図中60は、制御の中枢となるCPUであり、CPU60は、プログラム等の情報を記憶するROM61及び一時的に発生した情報を記憶するRAM62とバス接続されている。CPU60は、ROM61に予め格納されている制御プログラムに従って、入出力処理、演算等の処理を実行する。
【0043】
CPU60には、上述した光電変換器35、原稿センサ51、給紙センサ52、レジストセンサ53、リードセンサ54、排紙センサ55及び予備センサ56がバス接続されている。CPU60には、また、各種情報の表示を行うと共に各種操作を受け付けるための操作表示部7と、搬送部2において原稿100を搬送するための各搬送ローラに駆動力を与えるステッピングモータ8と、原稿画像を読み取った画像データを記憶する画像メモリ63とがバス接続されている。操作表示部7は、原稿100の両面読取指示、読取開始指示及び読取停止指示の夫々を受け付けるための両面読取ボタン71、読取開始ボタン72及び読取停止ボタン73と、拡大縮小に係る変倍ボタン74と、LCDからなる表示器75とを有する。
【0044】
CPU60の各機能ブロックは、ハードウエアと連携するソフトウエアによって実現されるものである。獲得部601は、原稿100の原稿長を獲得し、獲得した原稿長を判定部603に与える機能を奏する。獲得部601は、例えば、操作表示部7の図示しない操作ボタン又は表示器75の図示しないタッチパネルから受け付けた原稿サイズに基づいて原稿長を算出してもよいし、予めRAM62に原稿長を記憶するようにしてもよい。本実施の形態1では、後述するように、獲得部601が原稿100の搬送距離から原稿長を算出する。算出部602は、リードセンサ54が原稿有を検出した時から原稿100の搬送距離を算出し、算出した搬送距離を判定部603に与える機能を奏する。判定部603は、算出部602から与えられた搬送距離が、獲得部601から与えられた原稿長から所定距離を減算した距離より長いか否かを判定する機能を奏する。
【0045】
以下では、搬送部2の動作を場合分けして説明する。
図5は、原稿100の表面を読み取る搬送部2の動作を示す説明図である。例えば、原稿トレイ21に2枚の原稿100,100がフェイスアップで載置されて他側方側(図では左側)に押し込まれた場合、原稿センサ51が原稿有を検出し、更に両面読取ボタン71及び読取開始ボタン72が押下された場合、ピックアップローラ41が下降して原稿100,100を給送路22に押圧する。そしてピックアップローラ41が回転して、該ピックアップローラ41と表面101が接している原稿(先行する原稿)100の給送を開始する。この場合、後続する原稿100の先端は、給送路22の他端部で停止しており、該他端部が原稿100の給送の開始位置220となる。
【0046】
その後、第1搬送路23に給送された原稿100は、図の矢印の向きに回転する分離ローラ42及びリタードローラ43によって更に下流側に繰り込まれる。ここで、原稿100が第1搬送路23及び第2搬送路24を搬送されるときの搬送距離は、各搬送ローラの回転角度に比例するため、前記搬送距離は、各搬送ローラに駆動力を与えるステッピングモータ8の駆動パルス数に比例し、変倍率(及び解像度)に無関係となる。尚、後続する原稿100が分離ローラ42の位置で停止している場合は、該後続する原稿100の給送が開始された直後に、給紙センサ52が原稿有を検出するため、後述する原稿長の獲得の際に、開始位置220から分離ローラ42の位置までの離隔距離が加算されるようになっている。
【0047】
その後、第1搬送路23に繰り込まれた原稿100が、図の白抜き矢印で示すように下流側に向けて搬送される間に、給紙センサ52が原稿100の有無を検出し、検出された信号がCPU60に取り込まれる。上述したように、原稿100の搬送距離がステッピングモータ8の駆動パルス数に比例するため、CPU60は、給紙センサ52が原稿有を検出してから原稿無を検出するまでの上記駆動パルス数を計数することにより、その間の原稿100の搬送距離、即ち原稿100の原稿長を獲得することができる。
【0048】
その後、第1搬送路23を搬送された原稿100の先端がレジストセンサ53の位置に達した場合、レジストセンサ53が原稿有を検出し、検出された信号がCPU60に取り込まれる。これを受けてCPU60は、レジストセンサ53及びレジストローラ44間の離隔距離に所定の余長(停止しているレジストローラ44に突き当てて弛ませる長さ)を加算した距離だけ原稿100が更に搬送された時に、それまで回転を停止していたレジストローラ44及び読取後ローラ46を、図の矢印の向きに回転させる。これにより、原稿100の先端が、レジストローラ44及び従動ローラ45のニップ部において整合されて、原稿100の斜行が補正される。
【0049】
尚、先行する原稿100に続いて後続する原稿100が、不用意に給送されるのを防止ため、先行する原稿100の斜行が補正される際に、ピックアップローラ41及び分離ローラ42の回転が停止される。
また、原稿100が第1搬送路23を搬送されている間は、排紙ローラ48が図の矢印の向きに回転し続けるようになっている。
【0050】
その後、第1搬送路23を搬送された原稿100の先端がリードセンサ54の位置に達した場合、リードセンサ54が原稿有を検出し、検出された信号がCPU60に取り込まれる。これを受けてCPU60は、リードセンサ54及び読取位置360間の離隔距離に所定距離(原稿100の上部の余白に対応する距離)を加算した距離だけ原稿100が更に搬送された時から、読取位置360における原稿100の読み取りを開始する。これにより原稿100の読み取り開始のタイミングが特定される。原稿100は、その後更に読取後ローラ46及び排紙ローラ48によって第1搬送路23を下流側に搬送される。この搬送は、原稿100の後端が排紙センサ55によって検出されるまで継続される。
【0051】
図6は、原稿100の表裏面を反転させる搬送部2の動作を示す説明図である。図6A、図6Bの夫々は、先行する原稿100が第2搬送路24を1回目及び2回目に搬送される場合を示す。先行する原稿100の後端が排紙センサ55によって検出された場合、即ち、排紙センサ55が原稿有を検出した後に原稿無を検出した場合、CPU60は、ステッピングモータ8を逆方向に回転させる。これにより、排紙ローラ48が図6Aに矢印で示す方向に回転して、原稿100を第2搬送路24にスイッチバックさせる。このとき、原稿100は、既に上面が裏面102となっている。また、図示しないクラッチがオフして、レジストローラ44及び読取後ローラ46の回転が停止している。
【0052】
その後、第2搬送路24を搬送された原稿100は、分岐部230を経て第1搬送路23に搬送され、レジストローラ44によって原稿100の斜行が補正される。そして、クラッチがオンしてレジストローラ44による原稿100の搬送が再開されるときに、CPU60がステッピングモータ8をそれまでとは逆方向に、即ち、先行する原稿100が最初に第1搬送路23を搬送されたときの回転方向に反転させる。従って、レジストローラ44及び読取後ローラ46が図6Aに矢印で示す方向に回転し、排紙ローラ48は、原稿100の裏面102から短時間離れた後に図6Aに矢印で示す方向とは逆方向に回転する。これにより、第1搬送路23における各搬送ローラの回転方向が図5の場合と同一となるため、原稿100が、図6Aの白抜き矢印で示すように下流側に向けて搬送される間に、読取位置360において原稿100の裏面102の読み取りが行われる。
【0053】
その後、原稿100の後端が排紙センサ55によって検出された場合、CPU60は、ステッピングモータ8を再び逆方向に回転させる。これにより、排紙ローラ48が図6Bに矢印で示す方向に回転して、原稿100を再び第2搬送路24にスイッチバックさせる。このとき、原稿100は、上面が表面101となっている。その他は図6Aの場合と同様であるため、原稿100を、図6Bの白抜き矢印で示すように下流側に向けて搬送することによって、排紙口250からフェイスダウンで排紙することができる。但し、この場合は、読取位置360において原稿100の表面101の読み取りが行われない。
【0054】
ところで、先行する原稿100が排紙された後に、後続する原稿100の給送を開始していては、後続する原稿100の読取開始が遅れるため、先行する原稿100が第2搬送路24から第1搬送路23にかけて搬送されている間に、後続する原稿100の給送が開始される。
図7は、後続する原稿100の給送を開始する搬送部2の動作を示す説明図である。理想的には、先行する原稿100の後端と後続する原稿100の先端とを揃えて第1搬送路23を搬送することにより、先行する原稿100の排紙と後続する原稿100の読み取りとを切れ目なく行うことができる。但し、それでは後続する原稿100の斜行の補正を含む一連の搬送制御が適正に行えないため、2つの原稿100,100間の離隔距離には適当なマージンが見込まれる。
【0055】
第1搬送路23における2つの原稿100,100間の離隔距離を短縮するには、先行する原稿100の先端が、該先端が検出されるべき基準の位置から原稿長だけ搬送された時に、後続する原稿100の先端が、基準の位置から所定のマージンだけ離隔されるように制御する。基準の位置は、先行する原稿100が第2搬送路24を搬送された場合にも通過する位置であり、第1搬送路23の分岐部230より下流側に定めるのが適当である。この基準の位置が排紙口250に近いと後続する原稿100の給送を早めに開始する効果が得難くなるため、本実施の形態1では、先行する原稿100の斜行の補正を行うレジストローラ44より下流側の直近の位置に配されたリードセンサ54の位置を基準の位置とし、これを基準位置231という。このように定めたことから、先行する原稿100の搬送距離を算出する間の搬送速度が一定となる。
【0056】
さて、開始位置220から基準位置231までの離隔距離をXとし、原稿100,100間の離隔距離に見込むべきマージンをYとし、基準位置231からの原稿100の搬送距離と比較されるべき距離をZとした場合、Zは以下の式(1)によって算出される。尚、X及びYの値は、予めRAM62に記憶され、原稿長は、上述したように、給紙センサ52が原稿有を検出してから原稿無を検出するまでの原稿100の搬送距離として獲得される(獲得部601が奏する機能)。また、Yの値は、両面原稿読取装置の機種に応じて適長の値にすることができる。
【0057】
Z=原稿長−(X−Y)・・・・・・・・・・・・・・・(1)
【0058】
図7の白抜き矢印で示すように先行する原稿100が第2搬送路24から第1搬送路23にかけて搬送される場合、原稿100の先端が基準位置231に達した後の原稿100の搬送距離が算出され(算出部602が奏する機能)、算出された搬送距離が式(1)のZで示される距離より長いか否かが判定される(判定部603が奏する機能)。そして、長いと判定された時に、後続する原稿100の給送が開始される。換言すれば、原稿100の後端から所定距離(X−Y)だけ先端側にある部分が、リードセンサ54の位置まで搬送された時に、後続する原稿100の搬送が開始される。これによって、先行する原稿100が排紙口250に向けて搬送されている間に、後続する原稿100の給送を可及的速やかに開始することができる。
【0059】
以下では、上述した両面原稿読取装置の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。以下に示す処理は、ROM61に予め格納された制御プログラムに従ってCPU60により実行される(以下同様)。
図8及び図9は、本発明の実施の形態1に係る両面原稿読取装置のCPU60の処理手順を示すフローチャートである。図8の処理は、原稿トレイ21側から他側方に向けて原稿100,100,・・100が押し込まれて、原稿センサ51が原稿有を検出した時に起動される。尚、両面読取ボタン71の押下は、既に受け付けられている。また、スイッチバック回数を示すSBカウンタの内容と、算出された搬送距離とは、RAM62に記憶される。更に、原稿100を読み取る処理が、図8,9の処理とは別に起動される。
【0060】
図8の処理が起動された場合、CPU60は、読取開始ボタン72が押下されて読取開始が指示されたか否かを判定し(S10)、指示されていない場合(S10:NO)、指示されるまで待機する。読取開始が指示された場合(S10:YES)、CPU60は、SBカウンタをゼロクリアし(S11)、ステッピングモータ8を正転(原稿100を下流側に搬送するための回転)させる。これにより、分離ローラ42及びリタードローラ43の回転が始まり、ピックアップローラ41が下降して原稿100に当接した時に、最上部の原稿100の給送が開始される(S12)。
【0061】
次いで、CPU60は、給紙センサ52が原稿有を検出(以下、オンという)したか否かを判定し(S13)、オンしていない場合(S13:NO)、オンするまで待機する。給紙センサ52がオンした場合(S13:YES)、CPU60は、原稿100の搬送距離の算出を開始する(S14)。算出を開始する前の搬送距離は0である。そして、CPU60は、給紙センサ52がオフしたか否かを判定し(S15)、オフするまで待機する(S15:NO)。給紙センサ52がオフした場合(S15:YES)、CPU60は、原稿100の搬送距離の算出を停止する(S16)。算出した搬送距離は、原稿長としてRAM62に記憶される。原稿100が更に下流側に搬送された場合、CPU60は、レジストセンサ53及びレジストローラ44を用いて原稿100の斜行を補正し、ステッピングモータ8を常に正転にして(S17)、原稿100の搬送を再開する。
【0062】
その後、CPU60は、排紙センサ55が原稿100の後端を検出したか否かを判定し(S18)、検出するまで待機する(S18:NO)。原稿100の後端を検出した場合(S18:YES)、CPU60は、SBカウンタをインクリメントし(S19)、SBカウンタが3であるか否かを判定する(S21)。SBカウンタが3ではない場合(S21:NO)、即ち、SBカウンタが1又は2であって原稿100の表裏面を反転させる必要がある場合、CPU60は、ステッピングモータ8を逆転させる(S22)。これにより、原稿100がスイッチバックされて第2搬送路24に搬送される。この場合、レジストローラ44及び読取後ローラ46の回転は停止している。
【0063】
次いで、CPU60は、SBカウンタが2であるか否か、即ち、原稿100の表裏面を反転させるのが2回目であるか否かを判定する(S23)。2ではない場合(S23:NO)、即ち、原稿100の1回目の反転の場合、CPU60は、第2搬送路24を経て第1搬送路23から再びレジストセンサ53の位置に搬送された原稿100の斜行を補正するために、処理をステップS17に移す。SBカウンタが2である場合(S23:YES)、即ち、原稿100の表裏面を反転させるのが2回目の場合、CPU60は、原稿センサ51がオンしているか否か、即ち、後続する原稿100が有るか否かを判定する(S24)。
【0064】
後続する原稿100が無い場合(S24:NO)、CPU60は、第2搬送路24を経て第1搬送路23から再びレジストセンサ53の位置に搬送された原稿100の斜行を補正するために、処理をステップS17に移す。後続する原稿100が有る場合(S24:YES)、CPU60は、第2搬送路24を経て第1搬送路23から再びレジストセンサ53の位置に搬送された原稿100の先端を基準位置231で検出するために、リードセンサ54がオンしたか否かを判定し(S25)、オンするまで待機する(S25:NO)。リードセンサ54がオンした場合(S25:YES)、CPU60は、式(1)のZと比較すべく原稿100の搬送距離の算出を開始する(S26)。算出を開始する前の搬送距離は0である。
【0065】
その後、CPU60は、算出した搬送距離が式(1)のZで示される距離、即ち「原稿長−(X−Y)」より長いか否かを判定し(S27)、長いと判定するまで待機する(S27:NO)。算出した搬送距離が「原稿長−(X−Y)」より長い場合(S27:YES)、CPU60は、後続する原稿100の給送を開始するために、処理をステップS11に移す。
【0066】
ステップS21でSBカウンタが3の場合(S21:YES)、即ち、原稿100の2回目の反転を既に終えている場合、CPU60は、所定の排紙待時間が経過したか否かを判定し(S28)、経過するまで待機する(S28:NO)。そして、排紙待時間が経過した場合(S28:YES)、CPU60は、ステッピングモータ8の回転を停止させて(S29)、図9の処理を終了する。これにより、全ての搬送ローラが停止すると共に、ピックアップローラ41が上昇して給送路22に当接する位置から離れる。
【0067】
以上のように本実施の形態1によれば、第1搬送路経由で排紙すべき原稿が第2搬送路を搬送される場合、リードセンサが原稿有を検出した時から算出した搬送距離が、原稿長から所定距離(X−Y)を減算した距離より長くなった時に、原稿トレイから後続すべき原稿の給送を開始する。
これにより、リードセンサを用いて、第2搬送路から第1搬送路に導かれた原稿の先端を検出し、原稿の後端から所定距離だけ先端側にある部分が、リードセンサの位置まで搬送された時に、後続する原稿の搬送を開始する。
従って、先行する原稿の後端と後続する原稿の先端との離隔距離を、先行する原稿の原稿長に関わりなく設定することが可能であると共に、原稿の搬送方法及び搬送速度の違いに柔軟に対応して後続する原稿の給紙を開始することが可能となる。
【0068】
また、リードセンサとは別に給紙センサを流用して、先行する原稿が有となっている期間の開始及び終了を検出し、その間の原稿の搬送距離を算出して原稿長とする。
従って、リードセンサを用いた場合よりも早いタイミングで原稿長を検出することが可能となる。
【0069】
更にまた、原稿長から減算されるべき所定距離が、原稿の給送の開始位置と、リードセンサの位置との間の離隔距離よりも短くなるように、適当なマージンを見込んである。
従って、先行する原稿の後端と、後続する原稿の先端との間が適当なマージン分だけ離隔されるため、両原稿を並列的に搬送する際の搬送制御の競合を回避することが可能となる。
【0070】
更にまた、原稿長から減算すべき所定距離をRAMに予め記憶してあるため、後続する原稿の給送開始のタイミングを決定するための演算を容易に行うことが可能となる。
【0071】
更にまた、読取部が原稿の読み取りを開始するタイミングを特定するためのリードセンサを流用して原稿の先端を検出するため、装置のコストダウンを図ることが可能となる。
【0072】
更にまた、原稿を搬送するための搬送ローラの駆動源が単一のステッピングモータであり、該ステッピングモータを正,逆両方向に回転させて、複数の搬送ローラを駆動するため、装置のコストダウンが図られると共に、各搬送ローラの回転を適宜同期させることが可能となる。
【0073】
(変形例)
本実施の形態1に係る両面原稿読取装置では、原稿100を常にフェイスダウンで排紙口250から排紙するため、先行する原稿100の表裏面を2回目に反転させる際に、後続する原稿100の給送を開始する。以下の変形例では、先行する原稿100の表裏面を1回目に反転させる際に、後続する原稿100の給送を開始する。以下では、変形例に係る両面原稿読取装置の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
【0074】
図10は、本発明の実施の形態1の変形例に係る両面原稿読取装置のCPU60の処理手順を示すフローチャートの一部である。本変形例では、図8及び図9に示す処理のうち、ステップS21からステップS27までを、図10のステップS121からステップS127までと置き換えて実行する。但し、ステップS23に対応する処理は欠番である。
【0075】
図8に示すステップS19の処理を終えた場合、CPU60は、SBカウンタが2であるか否かを判定する(S121)。SBカウンタが2である場合(S121:YES)、即ち、原稿100の裏面が既に読み取られた後の場合、CPU60は、原稿100を排紙するために、図9のステップS28に処理を移す。SBカウンタが2ではない場合(S121:NO)、即ち、SBカウンタが1であって原稿100の表裏面を反転させる必要がある場合、CPU60は、ステッピングモータ8を逆転させる(S122)。これにより、原稿100がスイッチバックされて第2搬送路24に搬送される。以下に続くステップS124からS127までの処理は、図9に示すステップS24からS27までの処理と同一であるため、その説明を省略する。
【0076】
以上のように、本変形例によれば、各原稿100,100,・・100はフェイスアップで排紙されるため、実施の形態1よりも更に高速に複数の両面原稿を読み取ることが可能となる。但し、排紙口250から排紙されて排紙トレイ25に積み重なった各原稿100,100,・・100の頁番号は整えられていない。
【0077】
尚、本実施の形態1及び変形例にあっては、給紙センサ52を用いて原稿長を算出したが、例えばリードセンサ54等の他のセンサを流用して原稿長を算出してもよいし、光電変換器35が読み取った帯状の読取領域110のピッチを積算して原稿長を算出してもよい。これらにより、給紙センサ52を備えない場合にも、原稿長を獲得することが可能となる。
【0078】
また、原稿100の先端を検出する検出器としてリードセンサ54を用いたが、これに限定されるものではなく、分岐部230の位置から排紙口250の位置までの任意の位置に他の検出器を配してもよい。但し、式(1)に適用すべきXは、開始位置220から上記他の検出器までの離隔距離となるため、式(1)で算出されるZが負の値とならないような位置に、他の検出器を配置する必要がある。換言すれば、他の検出器の位置を分岐部230に近付けるほど、原稿長が短い原稿100に対しても本発明の効果を発揮することが可能となる。
【0079】
(実施の形態2)
実施の形態1は、第1搬送路23上のリードセンサ54が原稿有を検出した後における原稿100の搬送距離が、式(1)で算出されるZで表される距離より長い場合、後続する原稿100の給送を開始する形態である。これに対し、実施の形態2は、第2搬送路24上の予備センサ56が原稿有を検出した後における原稿100の搬送距離が、後述する式(2)で算出されるWで表される距離より長い場合、後続する原稿100の給送を開始する形態である。
【0080】
実施の形態1の場合と同様に、第1搬送路23における2つの原稿100,100間の離隔距離を短縮するには、先行する原稿100の先端が、基準の位置から原稿長だけ搬送された時に、後続する原稿100の先端が、基準の位置から所定のマージンだけ離隔されるように制御する。本実施の形態2でも基準の位置は、リードセンサ54の位置に対応する基準位置231である。但し、実施の形態1とは異なり、基準の位置は、原稿100の先端が検出されるべき位置に限定されず、分岐部230及び排紙口250間の任意の位置に定めればよい。
【0081】
また、実施の形態1と同様に、開始位置220から基準位置231までの離隔距離をXとし、原稿100,100間の離隔距離に見込むべきマージンをYとする。更に、予備センサ56の位置から基準位置231までの離隔距離をL1とし、予備センサ56の位置からの原稿100の搬送距離と比較されるべき距離をWとした場合、Wは以下の式(2)によって算出される。つまり、先行する原稿100が第2搬送路24から第1搬送路23にかけて搬送される場合、原稿100の先端が予備センサ56の位置に達した後の原稿100の搬送距離を算出し、算出した搬送距離が式(2)のWで示される距離より長い時に、後続する原稿100の給送が開始される。換言すれば、原稿100の後端から所定距離(X−L1−Y)だけ先端側にある部分が、リードセンサ54の位置まで搬送された時に、後続する原稿100の搬送が開始される。
【0082】
W=原稿長−(X−L1−Y)・・・・・・・・・・・・(2)
【0083】
以下では、実施の形態2に係る両面原稿読取装置の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図11は、本発明の実施の形態2に係る両面原稿読取装置のCPU60の処理手順を示すフローチャートの一部である。本実施の形態2では、実施の形態1に係る図8及び図9に示す処理のうち、ステップS21からステップS27までを、図11のステップS221からステップS227までと置き換えて実行する。また、図11に示す処理のうち、ステップS221からS224までの処理は、図9に示すステップS21からS24までの処理と同一であるため、その説明の大部分を省略する。
【0084】
図8に示すステップS19の処理に続いて、ステップS221からS223の処理を実行し、SBカウンタが2である場合(S223:YES)、即ち、原稿100の表裏面を反転させるのが2回目の場合、CPU60は、後続する原稿100が有るか否かを判定する(S224)。後続する原稿100が有る場合(S224:YES)、CPU60は、第2搬送路24に搬送された原稿100の先端を予備センサ56の位置で検出するために、予備センサ56がオンしたか否かを判定し(S225)、オンするまで待機する(S225:NO)。予備センサ56がオンした場合(S225:YES)、CPU60は、式(2)のWと比較すべく原稿100の搬送距離の算出を開始する(S226)。算出を開始する前の搬送距離は0である。
【0085】
その後、CPU60は、算出した搬送距離が式(2)のWで示される距離、即ち「原稿長−(X−L1−Y)」より長いか否かを判定し(S227)、長いと判定するまで待機する(S227:NO)。算出した搬送距離がWで示される距離より長い場合(S227:YES)、CPU60は、後続する原稿100の給送を開始するために、図8に示すステップS11に処理を移す。
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0086】
以上のように、本実施の形態2によれば、第1搬送路経由で排紙すべき原稿が第2搬送路を搬送される場合、第2搬送路に配された予備センサが原稿有を検出した時から算出した搬送距離が、原稿長から所定距離(X−L1−Y)を減算した距離より長くなった時に、原稿トレイから、後続すべき原稿の給送を開始する。
これにより、予備センサを用いて、第2搬送路から第1搬送路に導かれた原稿の先端を検出し、原稿の後端から所定距離だけ先端側にある部分が、予備センサの位置まで搬送された時に、後続する原稿の搬送を開始する。
従って、先行する原稿の後端と後続する原稿の先端との離隔距離を、先行する原稿の原稿長に関わりなく設定することが可能であると共に、原稿の搬送方法及び搬送速度の違いに柔軟に対応して後続する原稿の給紙を開始することが可能となる。
【0087】
尚、本実施の形態2にあっては、予備センサ56を第2搬送路24の中程の位置に配したが、この位置に限定されるものではなく、式(2)で算出されるWが負の値とならないような位置に、予備センサ56を配置する必要がある。換言すれば、予備センサ56の位置を分岐部230から遠ざけて排紙センサ55に近付けるほど、原稿長が短い原稿100に対しても本発明の効果を発揮することが可能となる。
【0088】
また、実施の形態1及び2にあっては、各搬送ローラによる原稿100の搬送距離が、ステッピングモータ8の駆動パルス数に比例するものとしたが、実際には、各搬送ローラによって搬送速度に多少の違いがある。この場合であっても、式(1)及び(2)に示すマージンの値(Y)を適当に設定することにより、上記の違いを吸収することが可能となる。
【0089】
また、実施の形態1及び2にあっては、搬送路22の端部を給送の開始位置220としたが、これに限定されるものではなく、原稿100を給送する機構を制御する上で必然的に決まる原稿100の停止位置を、給送の開始位置とすればよい。
【0090】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0091】
100 原稿
2 搬送部
21 原稿トレイ
220 開始位置(給送が開始される位置)
23 第1搬送路
230 分岐部
231 基準位置(基準部の位置)
24 第2搬送路
250 排紙口
3 読取部
35 光電変換器
350 光電変換素子
360 読取位置
42 分離ローラ(搬送ローラ)
44 レジストローラ(搬送ローラ)
46 読取後ローラ(搬送ローラ)
48 排紙ローラ(搬送ローラ)
51 原稿センサ
52 給紙センサ(第2の検出器)
54 リードセンサ(実施の形態1における検出器)
55 排紙センサ
56 予備センサ(実施の形態2における検出器)
60 CPU
62 RAM(記憶部)
601 獲得部
602 算出部
603 判定部
8 ステッピングモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿トレイから給送された原稿を排紙口に向けて搬送するための第1搬送路と、
該第1搬送路を搬送される原稿の一面の原稿画像を読み取る読取部と、
該読取部が原稿画像を読み取る読取位置よりも前記原稿トレイ側に位置する前記第1搬送路の分岐部から分岐して前記排紙口に向けて形成されており、前記原稿を前記排紙口側から前記分岐部に向けて搬送して表裏面を反転させるための第2搬送路と、
前記原稿の原稿長を獲得する獲得部と、
前記第1搬送路上の分岐部及び排紙口間に配されており、原稿の有無を検出する検出器と、
前記原稿の表裏面を反転させて前記第1搬送路経由で前記排紙口から排紙すべく前記原稿が前記第2搬送路を搬送される場合、前記検出器が原稿有を検出した後における前記原稿の搬送距離を算出する算出部と、
該算出部が算出した搬送距離が、前記獲得部が獲得した原稿長から所定距離を減算した距離より長いか否かを判定する判定部とを備え、
該判定部が長いと判定した場合、前記原稿トレイから、後続すべき原稿の給送を開始するようにしてあること
を特徴とする両面原稿読取装置。
【請求項2】
前記獲得部は、前記検出器が原稿有を検出してから原稿無を検出するまでの前記原稿の搬送距離を算出して原稿長を獲得するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の両面原稿読取装置。
【請求項3】
前記読取部は、光電変換素子を直線的に配列した光電変換器を有し、
該光電変換器は、前記原稿の原稿画像を搬送方向と交差する方向に断続的に読み取るようにしてあり、
前記獲得部は、前記光電変換器が読み取った領域のピッチを積算して原稿長を獲得するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の両面原稿読取装置。
【請求項4】
前記原稿トレイ及び分岐部間に配されており、原稿の有無を検出する第2の検出器を備え、
前記獲得部は、前記第2の検出器が原稿有を検出してから原稿無を検出するまでの前記原稿の搬送距離を算出して原稿長を獲得するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の両面原稿読取装置。
【請求項5】
前記所定距離は、前記原稿トレイから原稿の給送が開始される位置及び前記検出器の位置間の前記第1搬送路に沿う離隔距離よりも短いことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の両面原稿読取装置。
【請求項6】
前記所定距離を記憶部に記憶してあることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の両面原稿読取装置。
【請求項7】
前記検出器は、前記読取部が前記原稿の読み取りを開始するタイミングを特定するようにしてあることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の両面原稿読取装置。
【請求項8】
前記第1搬送路及び第2搬送路に沿って原稿を搬送するための複数の搬送ローラと、
該複数の搬送ローラの夫々を駆動する正転/逆転が可能なステッピングモータと
を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の両面原稿読取装置。
【請求項9】
原稿トレイから給送された原稿を排紙口に向けて搬送するための第1搬送路と、
該第1搬送路を搬送される原稿の一面の原稿画像を読み取る読取部と、
該読取部が原稿画像を読み取る読取位置よりも前記原稿トレイ側に位置する前記第1搬送路の分岐部から分岐して前記排紙口に向けて形成されており、前記原稿を前記排紙口側から前記分岐部に向けて搬送して表裏面を反転させるための第2搬送路と、
前記原稿の原稿長を獲得する獲得部と、
前記第2搬送路を搬送される原稿の有無を検出する検出器と、
前記原稿トレイから前記第1搬送路に原稿の給送が開始される位置から、前記分岐部及び排紙口間に特定した前記第1搬送路上の基準部の位置までの前記第1搬送路に沿う離隔距離を記憶する第1記憶部と、
前記検出器から前記基準部までの、前記第2搬送路及び第1搬送路に沿う離隔距離を記憶する第2記憶部と、
前記原稿の表裏面を反転させて前記第1搬送路経由で前記排紙口から排紙すべく前記原稿が前記第2搬送路を搬送される場合、前記検出器が原稿有を検出した後における前記原稿の搬送距離を算出する算出部と、
該算出部が算出した搬送距離が、前記獲得部が獲得した原稿長に対して、前記第2記憶部及び第1記憶部の夫々に記憶した離隔距離を加算及び減算した距離よりも所定距離以上長いか否かを判定する判定部とを備え、
該判定部が長いと判定した場合、前記原稿トレイから、後続すべき原稿の給送を開始するようにしてあること
を特徴とする両面原稿読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−119787(P2012−119787A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265668(P2010−265668)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】