説明

中空構造体の補強構造

【課題】中空構造体に生じる応力を分散させることができるようにし、使用する発泡部材の量を抑制しつつ中空構造体の強度・剛性を向上させることを目的とする。
【解決手段】中空構造体14における閉断面22内にリインフォースメント16が固設され、その両端部16Aが閉断面22の隅部30に配置されている。隅部30を構成するフロアパネル26(壁部)と、リインフォースメント16の両端部16Aとの間には隙間36が設けられている。また閉断面22内には、少なくともリインフォースメント16側に開口した開断面28を有する樹脂製の補強部材18が配設されている。その開口側の端縁18Aも閉断面22の隅部30に配置されている。閉断面22内における少なくとも該補強部材18と中空構造体14との間には、発泡部材20が設けられている。この発泡部材20は、加熱されて発泡し、隙間36にまで入り込んで固化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空構造体の補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
中空構造物の中空室に補強体を有する中空構造物であって、該補強体が、中空構造物に作用する外力の作用側の内壁面に形成された梁部と、該梁部から外力の作用方向に延在して、外力作用側の内壁面に対向する側の対向内壁面に跨って設けられた複数の柱部とを備えるものが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−274427号公報
【特許文献2】特開2003−40138号公報
【特許文献3】特開2001−199362号公報
【特許文献4】特開平10−53156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の従来例では、補強体が、中空構造物を構成するインナパネルの底面側に開口部が設けられた開断面構造をなしており、該補強体における開口部側の端縁が、中空室の隅部におけるインナパネルの底面に当接しているため、該端縁と該底面との間に発泡体が入り込んでいない。換言すれば、中空室の隅部において、補強体の端縁と、インナパネルの底面とが発泡体により結合されていない。この部位に発泡体を入り込ませようとすると、該発泡体が、インナパネルの底面と補強体とに囲まれた空間部内にまで侵入して発泡することとなるため、多量の発泡体が必要となると考えられる。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、中空構造体の閉断面内における補強部材の端縁と該閉断面の隅部との間に発泡部材を入り込ませて結合することで、中空構造体に生じる応力を分散させることができるようにし、使用する発泡部材の量を抑制しつつ中空構造体の強度・剛性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、多角形の閉断面を有する中空構造体と、該中空構造体における前記閉断面内に固設され、両端部が該閉断面の隅部に配置されると共に、前記隅部を構成する壁部と前記両端部との間に隙間が設けられたリインフォースメントと、前記中空構造体における前記閉断面内に配設され、少なくとも前記リインフォースメント側に開口した開断面を有し、前記リインフォースメントの前記両端部が位置する前記隅部に開口側の端縁が配置され、該リインフォースメントにより前記開断面の開口側が覆われた樹脂製の補強部材と、前記閉断面内における少なくとも該補強部材と前記中空構造体との間に設けられ、加熱されて発泡し、該補強部材と該中空構造体との間から前記隙間にまで入り込んで固化し、前記補強部材を前記中空構造体における前記閉断面内に結合する発泡部材と、を有している。
【0006】
請求項1に記載の中空構造体の補強構造では、多角形の閉断面を有する中空構造体における閉断面内にリインフォースメントが固設され、その両端部が閉断面の隅部に配置されている。中空構造体における閉断面の隅部を構成する壁部と、リインフォースメントの両端部との間には隙間が設けられている。また中空構造体における閉断面内には、少なくともリインフォースメント側に開口した開断面を有する樹脂製の補強部材が配設されている。その開口側の端縁は、リインフォースメントの両端部が位置する閉断面の隅部に配置され、該リインフォースメントにより補強部材における開断面の開口側が覆われている。リインフォースメント閉断面内における少なくとも該補強部材と中空構造体との間には、発泡部材が設けられている。この発泡部材は、加熱されて発泡し、補強部材と中空構造体との間から、閉断面の隅部を構成する壁部と、リインフォースメントの両端部との間の隙間にまで入り込んで固化しており、これによって補強部材が中空構造体における閉断面内に結合されている。補強部材における開断面の開口側をリインフォースメントで覆うことで、発泡部材が発泡する際に、該発泡部材を、リインフォースメントの両端部と、閉断面の隅部を構成する壁部との間の隙間に導くことができる。これにより、発泡部材が補強部材の開口側の端縁から該補強部材の開断面内へ入り込むことを抑制でき、使用する発泡部材の量を抑制することができる。また中空構造体の閉断面内における補強部材の端縁と該閉断面の隅部との間に発泡部材を入り込ませて結合することで、中空構造体に生じる応力を分散させることができ、中空構造体の強度・剛性を向上させることができる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の中空構造体の補強構造において、前記リインフォースメントの前記両端部は、前記補強部材の前記端縁と重なるように配置され、該端縁との間隙が、該端縁における前記補強部材と該中空構造体との間隙よりも狭くされている。
【0008】
請求項2に記載の中空構造体の補強構造では、リインフォースメントの両端部が、補強部材の端縁と重なるように配置され、該端縁との間隙が、該端縁における補強部材と該中空構造体との間隙よりも狭くされているので、発泡部材が発泡する際に、補強部材の開口側の端縁から該補強部材の開断面の内部に発泡部材が入り込むことが、より一層抑制される。これにより、発泡部材は、発泡時に、閉断面の隅部を構成する壁部と、リインフォースメントの両端部との間の隙間に効率的に入り込むことができる。このため、発泡部材の使用量を、より一層削減することができる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の中空構造体の補強構造において、前記中空構造体の前記閉断面は、車両のフロアパネルと、該フロアパネルの車両下側に結合され車両前後方向に延びるサイドメンバとにより形成され、前記補強部材は、前記サイドメンバの屈曲部に設けられている。
【0010】
請求項3に記載の中空構造体の補強構造では、中空構造体の閉断面が、車両のフロアパネルと、該フロアパネルの車両下側に結合され車両前後方向に延びるサイドメンバとにより形成され、補強部材が、サイドメンバの屈曲部に設けられているので、サイドメンバへの衝突荷重の入力時における該屈曲部の強度・剛性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の中空構造体の補強構造によれば、中空構造体の閉断面内における補強部材の端縁と該閉断面の隅部との間に発泡部材を入り込ませて結合することで、中空構造体に生じる応力を分散させることができるようにし、使用する発泡部材の量を抑制しつつ中空構造体の強度・剛性を向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【0012】
請求項2に記載の中空構造体の補強構造によれば、発泡部材の使用量をより一層削減することができる、という優れた効果が得られる。
【0013】
請求項3に記載の中空構造体の補強構造によれば、サイドメンバへの衝突荷重の入力時における該屈曲部の強度・剛性を向上させることができる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1において、本実施の形態に係る中空構造体の補強構造Sは、サイドメンバ10の屈曲部12における補強構造に係り、図2において、中空構造体14と、リインフォースメント16と、樹脂製の補強部材18と、発泡部材20とを有している。
【0015】
図2,図3において、中空構造体14は、多角形の一例たる略矩形の閉断面22を有する車両骨格部材である。中空構造体14の閉断面22は、車両24(図1)のフロアパネル26と、該フロアパネル26の車両下側に結合され車両前後方向に延びるサイドメンバ10とにより形成されている。サイドメンバ10は、例えば断面逆ハット形に形成され、上部のフランジ10Bにおいてフロアパネル26の下面に、例えば溶接により接合されている。
【0016】
図2,図3において、リインフォースメント16は、例えば高張力鋼板のプレス成形品であり、中空構造体14における閉断面22内に固設されている。このリインフォースメント16の両端部16Aは、該閉断面22の隅部30に配置されている。隅部30を構成する壁部の一例たるフロアパネル26及びサイドメンバ10の側壁部10Aと、両端部16Aとの間には、隙間36が設けられている。具体的には、リインフォースメント16は、基部16Bにおいて、フロアパネル26に接合されている。接合手段としては、例えば溶接が用いられる。リインフォースメント16の両端部16Aは、例えば基部16Bの車幅方向の両端に設けられ、フロアパネル26及びサイドメンバ10の側壁部10Aと離間して配置されている。
【0017】
図2,図3において、樹脂製の補強部材18は、中空構造体14における閉断面22内に配設され、少なくともリインフォースメント16側に開口した開断面28を有し、リインフォースメント16の両端部16Aが位置する隅部30に開口側の端縁18Aが配置され、該リインフォースメント16により開断面28の開口側が覆われている。この補強部材18は、サイドメンバ10の例えば前側の屈曲部12(図1)に設けられている。なお、リインフォースメント16により開断面28の開口側が覆われるものとしたが、これは該開口側がリインフォースメント16により完全に覆われる構成に限定されるものではない。従って、例えば、補強部材18の開断面28のうち、発泡時における発泡部材20が入り込まない領域については、必ずしもリインフォースメント16により覆われていなくてもよい。また後述するように、各部材の組付け時のばらつきを考慮した必要最小限の間隙も許容される。
【0018】
ここで、サイドメンバ10は、車両前後方向における中央部10Cの前後に、フロントサイドメンバ10F及びリヤサイドメンバ10Rを有して構成されている。フロントサイドメンバ10F及びリヤサイドメンバ10Rは、何れも中央部10Cよりも車両上側に位置している。これに伴い、中央部10Cとフロントサイドメンバ10Fとの境界部、及び中央部10Cとリヤサイドメンバ10Rとの境界部は、夫々屈曲部12,13として形成されている。前側の屈曲部12は、所謂キック部である。フロントサイドメンバ10F及びリヤサイドメンバ10Rの車幅方向外側には、車輪15が配設されるようになっている。前側の屈曲部12の上部には、Aピラー17の下端部が結合されている。またAピラー17には、車両前後方向に延びるエプロンアッパメンバ19の後端部が結合されている。
【0019】
図2に示されるように、本実施形態では、リインフォースメント16の両端部16Aは、補強部材の端縁18Aと、例えば車両上下方向の所定範囲において車幅方向に重なるように配置され、該端縁18Aとの間隙31が、該端縁18Aにおける補強部材18と中空構造体14との間隙(隙間36等)よりも狭くされている。具体的には、リインフォースメント16の両端部16Aにおける車幅方向両側の端縁16Cは、補強部材18の端縁18Aに沿うように車両下側に折り曲げられており、閉断面22内における補強部材18の端縁18Aの内側に重なるように配置されている。換言すれば、補強部材18の端縁18Aは、リインフォースメント16の両端部16Aの端縁16Cと、サイドメンバ10の側壁部10Aとの間の隙間36に配置されている。補強部材18の端縁18Aは、フロアパネル26と車両上下方向に離間しており、この間も隙間36となっている。これに加えて、補強部材18の端縁18Aと、リインフォースメント16の両端部16Aとの間隙31は、該端縁18Aにおける補強部材18と中空構造体14との間隙(隙間36等)よりも狭くされている。なお、この間隙31の大きさは、各部材の組付け時のばらつきを考慮した必要最小限とされる。
【0020】
図4,図5に示されるように、樹脂製の補強部材18は、例えば断面略W字形に成形されており、車両上方側(リインフォースメント16側)に開口した開断面28と、車両下方側(サイドメンバ10の下壁部10D側)に開口した開断面29とを有している。また補強部材18には、端縁18Aを夫々有する車幅方向両側の側壁部18Bと、該両側の端縁18Aの間に配置される一対の側壁部18Cとを有している。
【0021】
側壁部18Cの上縁同士は、上壁部18Dにより車幅方向に連結されている。この上壁部18Dは、リインフォースメント16の基部16Bと離間して配置されると共に、該基部16Bよりも幅狭に形成されている。車幅方向に隣接する18B,18Cの下縁同士は、下壁部18Eにより夫々車幅方向に連結されている。開断面29は、補強部材18の車幅方向中央部に形成され、開断面28は該開断面29の車幅方向両側に形成されている。補強部材18を成形する際の型抜き性を考慮して、側壁部18Bと側壁部18Cとの間隔は、開断面28,29の開口方向に向かって夫々広がるように設定されている。
【0022】
補強部材18の車幅方向両側の開断面28内には、リブ38が設けられている。このリブ38は、補強部材18の長手方向に沿って所定間隔で配列され、側壁部18B、下壁部18E及び側壁部18Cに夫々連結されている。また補強部材18の開断面29内にも、リブ39が設けられている。このリブ39は、例えば開断面28と同位相となるように、補強部材18の長手方向に沿って所定間隔で配列され、両側の側壁部18C及び上壁部18Dに夫々連結されている。
【0023】
図2,図3において、発泡部材20は、閉断面22内における少なくとも該補強部材18と中空構造体14との間に設けられ、加熱されて発泡し、該補強部材18と該中空構造体14との間から隙間36にまで入り込んで固化し、補強部材18を中空構造体14における閉断面22内に結合するように構成されている。
【0024】
本実施形態では、図2から図5に示されるように、補強部材18の側壁部18Bとサイドメンバ10の側壁部10Aとの間、及び補強部材18の下壁部18Eとサイドメンバ10の下壁部10Dとの間に、発泡部材20が設けられている。この発泡部材20は、該側壁部18B及び下壁部18Eに沿うように、例えば断面略L字形に配置されている。また補強部材18の上壁部18Dとリインフォースメント16の基部16Bとの間には、シート状の発泡部材20が設けられている。なお、ここでの各発泡部材20の形状は、何れも発泡前のものである。図4,図5に示されるように、各々の発泡部材20は、補強部材18の長手方向に沿って、例えば連続的に設けられている。なお、この発泡部材20を、補強部材18の長手方向に沿って断続的に設けてもよい。
【0025】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。まず、中空構造体の補強構造Sの製造について説明する。図5に示されるように、フロアパネル26には、予めリインフォースメント16が固設される。中空構造体14は、このフロアパネル26の下面にサイドメンバ10を結合することで構成され、閉断面22が形成される。この閉断面22内には、中空構造体14及び発泡部材20が配置される。図2から図5に示されるように、補強部材18は、中空構造体14の閉断面22内に、例えばクリップ等の止め具(図示せず)により仮留めされる。
【0026】
発泡部材20は、閉断面22内における少なくとも該補強部材18と中空構造体14との間に設けられる。具体的には、補強部材18の側壁部18Bとサイドメンバ10の側壁部10Aとの間、及び補強部材18の下壁部18Eとサイドメンバ10の下壁部10Dとの間に、該側壁部18B及び下壁部18Eに沿う断面略L字形の発泡部材20が設けられる。これに加えて、補強部材18の上壁部18Dとリインフォースメント16の基部16Bとの間に、シート状の発泡部材20が設けられる。
【0027】
図6に示されるように、塗装工程等のように中空構造体14が加熱される工程において、発泡部材20が加熱されて発泡し、冷却により比較的高剛性な状態に固化することで、中空構造体14と補強部材18とが結合される。具体的には、断面L字形の発泡部材20は、発泡することでその体積が増加し、補強部材18と中空構造体14との間に広がって行く。このとき、リインフォースメント16の両端部16Aと、補強部材18における開断面28の開口側の端縁18Aとは、リインフォースメント16の両端部16Aが位置する閉断面22の隅部30に配置され、該リインフォースメント16により開断面28の開口側が覆われており、更に閉断面22の隅部30を構成する壁部の一例たるフロアパネル26と、リインフォースメント16の両端部16Aとの間には、隙間36が設けられているので、発泡部材20は、補強部材18の側壁部18Bとサイドメンバ10の側壁部10Aとの間から、該隙間36にまで矢印A方向に入り込んで行くことができる。この発泡部材20が固化することにより、図7から図9に示されるように、補強部材18における開断面28の開口側の端縁18Aが、該開口側に位置する閉断面22の隅部30に結合される。
【0028】
なお、このとき、補強部材18における開断面28の開口側がリインフォースメント16で覆われているので、発泡部材20を、該リインフォースメント16の両端部16Aと、閉断面22の隅部30を構成する壁部の一例たるフロアパネル26との間の隙間36に導くことができる。またリインフォースメント16の両端部16Aの端縁16Cが、補強部材18の端縁18Aと重なるように配置され、該端縁18Aとの間隙31が、該端縁18Aにおける補強部18と中空構造体14との間隙(間隙36等)よりも狭くされているので、発泡部材20が発泡する際に、補強部材18の開口側の端縁18Aから該補強部材18の開断面28の内部に発泡部材20が入り込むことが抑制される。従って、発泡部材20は、発泡時に、閉断面22の隅部30を構成するフロアパネル26と、リインフォースメント16の両端部16Aとの間の隙間36に効率的に入り込むことができる。このため、発泡部材20の使用量を削減することができる。
【0029】
一方、断面L字形の発泡部材20が発泡して固化することで、補強部材18の側壁部18Bとサイドメンバ10の側壁部10Aが結合されると共に、該補強部材18の下壁部18Eとサイドメンバ10の下壁部10Dとが結合される。これにより、図7,図8に示されるように、補強部材18が、閉断面22の車両下側の隅部40にも結合される。結果として、補強部材18は、中空構造体14における略矩形の閉断面22の四隅(両側の隅部30,40)に結合された状態となる。更に、シート状の発泡部材20が発泡して固化することで、補強部材18の上壁部18Dと、リインフォースメント16の基部16Bとが結合される。
【0030】
このように、本実施形態では、中空構造体14の閉断面22内における補強部材18の端縁18Aと該閉断面22の隅部30との間に発泡部材20を入り込ませ、補強部材18を該閉断面22の四隅に結合することで、中空構造体14に生じる応力を分散させることができ、使用する発泡部材20の量を抑制しつつ中空構造体14の強度・剛性を向上させることができる。
【0031】
特に、本実施形態では、補強部材18が、サイドメンバ10の前側の屈曲部12に設けられているので、サイドメンバ10への衝突荷重の入力時における該屈曲部12の強度・剛性を向上させることができ、フロアパネル26の変形を抑制することができる。
【0032】
なお、本実施形態に係る中空構造体の補強構造Sは、サイドメンバ10の前側の屈曲部12における補強構造であるものとしたが、これに限られず、サイドメンバ10の後側の屈曲部13や、ピラー(図示せず)等の他の中空構造体にも適用することができる。
【0033】
また閉断面22の形状を略矩形としたが、これに限られず、これ以外の多角形としてもよい。更に補強部材18の断面形状や、リブ38,39の形状及び配置については、上記構成及び図示の例には限られない。またシート状の発泡部材20を、補強部材18の上壁部18Dとリインフォースメント16の基部16Bとの間に設けるものとしたが、これに限られず、上壁部18Dと基部16Bとを、マスチック等の接着剤を用いて結合するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】車両の骨格の一部を示す側面図である。
【図2】図2から図5は、発泡部材の発泡前の状態を示した図であり、図2は、中空構造体の補強構造を示す、図1における2−2矢視拡大断面図である。
【図3】中空構造体の補強構造を示す、部分破断斜視図である。
【図4】中空構造体の補強構造において、主に補強部材の構成及び発泡部材の配置を示す、部分破断斜視図である。
【図5】中空構造体の補強構造の分解斜視図である。
【図6】発泡部材が発泡し、リインフォースメントの両端部とフロアパネルとの間に入り込んで行く状態を示す拡大断面図である。
【図7】図7から図9は、発泡部材の発泡及び固化後の状態を示した図であり、図7は、中空構造体の補強構造を示す、図1における7−7矢視拡大断面図である。
【図8】中空構造体の補強構造を示す、部分破断斜視図である。
【図9】中空構造体の補強構造において、主に発泡部材の状態を示す、部分破断斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
10 サイドメンバ
10A サイドメンバの側壁部(壁部)
12 屈曲部
14 中空構造体
16 リインフォースメント
16A 両端部
18 補強部材
18A 端縁
20 発泡部材
22 閉断面
26 フロアパネル(壁部)
28 開断面
30 隅部
31 間隙
36 隙間
S 中空構造体の補強構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形の閉断面を有する中空構造体と、
該中空構造体における前記閉断面内に固設され、両端部が該閉断面の隅部に配置されると共に、前記隅部を構成する壁部と前記両端部との間に隙間が設けられたリインフォースメントと、
前記中空構造体における前記閉断面内に配設され、少なくとも前記リインフォースメント側に開口した開断面を有し、前記リインフォースメントの前記両端部が位置する前記隅部に開口側の端縁が配置され、該リインフォースメントにより前記開断面の開口側が覆われた樹脂製の補強部材と、
前記閉断面内における少なくとも該補強部材と前記中空構造体との間に設けられ、加熱されて発泡し、該補強部材と該中空構造体との間から前記隙間にまで入り込んで固化し、前記補強部材を前記中空構造体における前記閉断面内に結合する発泡部材と、
を有する中空構造体の補強構造。
【請求項2】
前記リインフォースメントの前記両端部は、前記補強部材の前記端縁と重なるように配置され、該端縁との間隙が、該端縁における前記補強部材と該中空構造体との間隙よりも狭くされている請求項1に記載の中空構造体の補強構造。
【請求項3】
前記中空構造体の前記閉断面は、車両のフロアパネルと、該フロアパネルの車両下側に結合され車両前後方向に延びるサイドメンバとにより形成され、
前記補強部材は、前記サイドメンバの屈曲部に設けられている請求項1又は請求項2に記載の中空構造体の補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−36696(P2010−36696A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200870(P2008−200870)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(508036075)ゼフィロス インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】