説明

中空空間密閉用吸音バッフル

本発明は、熱膨張可能なキャリアー10及び材料15を備えた熱膨張可能なバッフル10(「バッフル」又は「ピラーフィラー」)に関する。ここで、上記キャリアーは、中央板11を備え、該中央板の端部にはC形の溝12が配置され、それは中央板の平面と反対に横方向にオフセットされている。そのようなバッフルは、車のシャーシの中空部をシールするのに適し、射出成形方法を使用したバッフルの効率的な生産を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響的に作用し密閉する仕切り部品(bulkhead elements)、特に構造物の部品の空洞を密閉するための仕切り部品に関し、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の乗り物の概念及び乗り物の構造は、湿気及び汚染物質の侵入が、対応する本体部品の内部から腐食を引き起こす可能性があることから、上記侵入を防止するために、密閉されねばならない多くの空洞を含む。このことは、特に、フレーム構造、又はいわゆる「スペースフレーム」が用いられる現代の自己支持車体構造に適用される。利用されるシステムのために、かかる構造は、湿気及び汚染物質の侵入に対して密閉されねばならない多くの空洞を含む。さらに、それらの空洞は、不快な乗り物作動音及び風切音の形態で空気伝送音を発することから、それらの密閉動作は、騒音を減じるのに役立ち、よって乗り物内の運転の快適さを高める。従来の構造では、これらの空洞を含むフレーム及び車体部品は、閉じられた中空形状を作るために溶接、圧接、及び/又は接着接合により、後で共にかみ合わされる半骨組み部品から製造される。この種の構造により、従って、空洞は、車両ボディーの初期の施工段階で容易にアクセス可能であり、その結果、密閉及び音響減衰仕切り部品は、対応の保持装置又は開口に機械的に引っ掛けられる、挿入される、あるいは溶接されることにより、基本ボディーの初期段階で固定可能である。
【0003】
そのような空洞において密閉及び/又は音響的効果を有する仕切り部品は、また、「ピラーフィラー」あるいは「バッフル」、又は「音響バッフル(acoustic baffles)」として知られている。それらは一般に、全体に熱膨張して形作った要素、あるいは非常に多くの場合、キャリアー及びその周辺領域に発泡ポリマー結合剤を含む形作くられた要素から作製される。これらの仕切り部品は、この時点でまだ開いており、その後、引っ掛けられ、又はボルトあるいは溶接で挟むことで、物理的構造物に固定される。基本ボディーの構造が閉じられた後、及び、車体の更なる前処理の後、陰極浸漬被覆(「e−被覆」)を硬化するための加熱炉の熱処理が利用され、空洞の断面を密封するために仕切り部品の膨張部の膨張が引き起こされる。
【0004】
WO 00/03894 A1は、空洞の所定場所で車両ボディーの空洞を密閉する軽量の膨張可能な仕切り部品について記述する。この仕切り部品は、外側周辺に塗布された膨張可能な密閉材を有する堅いキャリアプレートを含む。仕切り部品の寸法は、空洞の横断面の開口に相当するが、それより小さい。膨張可能な密閉材は、キャリアプレートの材料の溶融温度よりも低い膨張用の作動温度を有する。作動に際して、膨張可能な密閉材は、堅いキャリアプレートから半径方向に膨張し、堅いキャリアプレートと空洞壁との間の空洞の断面を満たす。
【0005】
WO 01/83206は、音波を減衰し、かつ構造部品の長手軸へ部品を横へ硬化させるために、車両ボディーの構造部品の空洞で使用される仕切り部品について記述する。仕切り部品は、端領域を有するプラスチックキャリアから作製される。連続的に細長い膨張可能な材料は、端領域に配置される。キャリアーは、さらに、構造部品の壁に設けられた穴に挿入されるべきクリップの形態における固定手段を備える。
【0006】
WO 03/004314 A1は、管状部、特に車両ボディー部へ挿入可能な音響減衰装置を開示する。この音響減衰装置は、細分挿入物、及び泡を形成するための熱膨張可能な部品のひも状体(strand)を含み、このひも状体は、挿入物の周囲に置かれる。上記装置は、さらに、管状部の内壁の方向へのひも状体の優先膨張用手段とともに、ひも状体の膨張前に挿入物にひも状体を保持する手段を含む。ひも状体は、押し出しによって、特定の形状を形作ることなく一直線状に作製され、ひも状体保持手段は、細分挿入物を有する単一ピースとして成形され、細分挿入物の周囲に押し出されたひも状体の形状を確保するように意図されているということが提案されている。膨張可能なひも状体は、挿入物と管状部の内壁との間で満たされる空間の機能として選択される可変の膨張程度を有するように意図される。膨張可能なひも状体は、ブチル、ハロブチル、又はニトリル型の加硫できる合成ゴム、例えばポリクロロプレンつまりEPDM、で製造されるのが好ましい。
【0007】
JP2004−252169Aは、複雑な断面を有する中空体構造用の密閉器具を開示する。上記器具は、中空体構造の断面にその形状が相当する第1保持プレートと、それ自体と第1プレートとの間に発泡可能な材料を保持する第2保持プレートとを包む。発泡可能な材料の一側面のみが、中空体のほぼ中央部分で第1プレートによって保持される。発泡可能な材料の両側面は、突出領域にて2つのプレート間に保持される。突出部は、中空体の周辺端に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 00/03894 A1
【特許文献2】WO 01/83206 A1
【特許文献3】WO 03/004314 A1
【特許文献4】特開2004−252169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の仕切り部品は、今まで、塵埃、水、一酸化炭素、また他の汚染物質の浸入に対する空洞の密閉、及び騒音の減衰に首尾良く使用されているが、仕切り部品は、まだ、騒音抑制用機能を有する点で、及び簡易で可能な製造方法を用いて製造可能な点で、改良の余地がある。
【0010】
本発明のために、密閉されるべき空洞は、屋根構造を支持する自動車の車体の例えばA−、B−、あるいはC−ピラーである。さらに、密閉されるべき空洞は、ホイールハウジング(フェンダー)部分と同様に、屋根のフレーム又は敷居(sills)である。
【0011】
この既存の技術を考慮して、発明者は、密閉し、音響上有効な機能を有する利用可能な仕切り部品で、好ましくは射出成形方法を用いて、経済的に製造可能である仕切り部品を作製する目的に取り組んだ。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明が目的を達成する方法は、特許請求の範囲から集めることができる。それは、キャリアー及び熱膨張可能な材料から作製される、利用可能な合成ワークピースを作製することに実質的にある。キャリアーは、中央板を含み、その中央板の端部は、C形又はU形の形状の溝で周辺に配置され、中央板の平面に対して反対に位置する面で横方向にオフセットされる。
【0013】
好ましい実施態様において、キャリアーの中央板は、実質的に平面形状で具体化される。剛性を増すために、それは凸状又は階段状とすることができる。一若しくは複数の端領域において、キャリアーは、密閉される空洞の内側側面で仕切り部品を固定するのに役立つ固定手段を備えることができる。そのような固定手段の例は、止め具、いわゆる押しピン、等である。それらの固定手段は、可能ならば、キャリアーと一体構成である。
【0014】
本発明によれば、車両ボディーの空洞を密閉するための熱膨張可能な仕切り部品(「バッフル」あるいは「ピラーフィラー」)は、上述の合成ワークピースから製造可能である。
【0015】
本発明の更なる対象は、熱膨張可能な仕切り部品を製造する方法である。該方法では、第1に、キャリアー用の熱可塑性材が、半分の可動金型の型から外す方向に垂直な射出成形金型に注入され、続いてキャリアーを型から外し、次に、キャリアプレートのC形状の溝へ熱膨張可能な材料を射出し、そして、仕切り部品が型から外される。
【0016】
キャリアー材料は、好ましくは熱可塑性プラスチックから成型される。即ち、適用可能であれば、熱可塑性プラスチックは、繊維強化が可能であり、及び/又はフィラーとともに装備可能である。好ましい熱可塑性プラスチックは、この明細書では、ポリアミド、ポリイミド、ポリオキシプロピレン、あるいはポリエチレンテレフタレートであり、ポリアミド−6は、非常に好適である。
【0017】
熱膨張可能な材料に適しているポリマーの基礎的な結合剤は、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、(メタ)アクリレートエステルを有するエチレンの共重合体であり、適用可能であれば、ブタジエンまたはイソプレンを有するスチレンの統計的な(statistical)あるいはブロック共重合体、又はそれの水素化生成物で重合された(メタ)アクリル酸の部分を含んでいる。後者は、また、SBSあるいはSIS型のトリブロック共重合体、又はそれらの水素化生成物SEBSあるいはSEPSであってもよい。さらに、結合剤は、また、架橋剤、接着促進剤、粘着性を強める樹脂、可塑剤、及び例えば低分子量オリゴマーのような更なるアジュバント及び添加剤を含むことができる。推進及び膨張に関する十分な能力を達成するために、これらのポリマーの結合剤は、また推進剤を含む。適切な推進剤は、原則として、例えば、分解によりガスを放出する「化学的推進剤」、又は中空領域を膨張する「物理的推進剤」のような、全て知られた推進剤である。前者の推進剤の例は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカーボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホン酸ヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジド、p-トルエンスルホニルセミカルバジド(p-toluenesulfonylsemicarbamide)である。物理的推進剤の例は、市販の、例えば、Pierce & Stevens and Casco Nobel 社からの「Dualite」及び「Expancel」の名前のような、ポリ塩化ビニリデン共重合体あるいはアクリロニトリル/(メタ)アクリレート共重合体に基づく膨張可能な中空プラスチックミクロスフェアである。
【0018】
一般に、熱膨張可能な材料は、完全にキャリアプレートを囲み、C又はU形状の溝にある。即ち、適用可能な場合、熱膨張可能な材料は、C又はU形状の溝の開口側の外へ突出するか、あるいは開口側から後退することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、模式的に車両ボディーを図示する。
【図2】図2は、既存の技術による仕切り部品を示す。
【図3】図3は、既存の技術による仕切り部品の更なる実施形態を示す。
【図4】図4は、本発明による仕切り部品の模式的な断面図である。
【図5】図5は、図4と類似した仕切り部品の本発明による実施形態の半斜視図である。
【図6】図6は、図5に示す仕切り部品の前端を示す。
【図7】図7は、図5による仕切り部品の側端方向の図である。
【図8】図8は、図5による仕切り部品の第2側端方向の半斜視図である。
【図9】図9は、図7による仕切り部品の側端方向の半斜視図である。
【図10】図10は、本発明による仕切り部品の更なる実施形態の半斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
いくつかの特に好ましい本発明の例示的な実施形態は、さらに図面を参照して説明されるであろう。
図1は、密閉される空洞を示した車両ボディーを模式的に図示する。これらは、上述した実施形態の仕切り部品(3)がそれぞれ導入される、A−ピラー(2A)、B−ピラー(2B)、C−ピラー(2C)、敷居(ドア開口部Tの下)、リヤフェンダ(ホイールハウジングR)のベース、及びフロントフェンダ領域(エンジン・ルームMの左、右への)である。上述の種類の仕切り部品(3)は、また、フロントガラス開口(W)より下の中空形状内へ装着されている。
【0021】
図2は、断面として、従来の既存の技術による熱膨張可能な仕切り部品(3)を図示する。中央平面板と一体的で周辺の成型体は、ひも状体形状で熱膨張可能で発泡可能な材料(5)を受け入れるL形状のフランジである。この種の仕切り部品は、射出成形によって経済的に製造することができる。つまり、第1ステップにて、中央板で作製されL形状のフランジに一体的に嵌め込まれるキャリアー全体は、射出成形金型に熱可塑性物質を注入することにより製造される。型から外す際、射出成形金型の2つの半分ずつは、矢印E、E’の方向へ互いに離れて引かれる。第2作業ステップでは、熱膨張可能な材料(5)が第2の適当な射出成形金型に、L形状のフランジ(4)上に成型される。この第2作業ステップではさらに、仕切り部品のキャリアーの中央板の面に垂直な矢印E、E’の方向にて、射出成形金型部分を互いから離して移動することにより、型外しを行う。そして、図1に模式的に図示されるように、密閉される空洞の長手軸に垂直にキャリアーの中央面が配置されるように、それらの仕切り部品は、車両ボディーの密閉されるべき空洞内へ組み込まれる。その後、膨張可能な材料(5)の活性化及び膨張が、通常、陰極浸漬被覆を硬化するための陰極浸漬被覆炉の処理熱を有効利用することで達成される。図2による仕切り部品は、射出成形方法を用いて容易に製造することができるが、しかし、それらには一つの重大な欠点がある。つまり、活性化の間、材料の加熱の結果として、熱膨張可能な材料(5)は、キャリアプレートと空洞壁の間のすきまを密閉するため所望の放射状方向だけではなく、L形状のフランジ(4)で開口である側面で、中央のキャリアプレート面に垂直な方向までも、かなりの程度まで膨張する。このことは、適用される膨張可能な材料の寸法を決める際、不要な膨張までも考慮に入れねばならないことを意味する。
【0022】
この重大な欠点を改善するために、図3に図示された形状の仕切り部品がしばしば用いられる。この形状において、端領域に形作られるものは、L形状のフランジではなく、C又はU形状の溝(4)である。このC形状の溝は、3つの側面で熱膨張可能な材料(5’)を囲む。その結果、熱膨張可能な材料は、所望の放射状方向においてのみ膨張することができる。しかしながら、射出成形による図3による、そのような仕切り部品の製造は、より複雑である。C又はU形状のフランジ(4’)を有するキャリアーは、金型へのキャリアーの材料の射出の間、C又はU形状のフランジの内部空間を占める可動スライダを備える射出成形金型によってのみ製造可能である。型外しのため、それらのスライダは、半分ずつの金型が矢印E、E’の方向に開かれた後、キャリアー部分が金型から除去されるのに十分離れるように、矢印S、S’の方向に移動しなければならない。
【0023】
図4は、本発明による仕切り部品の模式的な断面図である。キャリアー(10)は、本発明により、実質的に平面形状である中央板(11)から構成される。別の実施形態において、それはまた、凸状の、あるいは階段状(図4には不図示)であってもよい。機械的剛性を改善したキャリアーの剛性を増すため、あるいは改善された音響特性を達成するために、中央板の凸状あるいは階段状は、好ましくなり得る。本発明による仕切り部品にとって不可欠なことは、中央板の面に対して、横方向のオフセットを有するC又はU形状の溝(12、12’)を配置することである。形作られた溝が反対に位置した横方向のオフセットは、金型を開け閉めするために金型の半分ずつがキャリアーの面において(E、E’)移動させることができるというように、単純化された射出成形金型の形態を可能にする。CあるいはU形状の溝を構成する移動可能なスライダは、この明細書では省略可能である。これは、射出成形金型の金型費を相当に減じる。キャリアー(10)の中央面が金型半分ずつの移動方向E、E’において位置するように金型が構成されていることから、金型への熱可塑性プラスチックの射出中の充填圧は、金型半分ずつの運動方向に垂直に主に作用する。従来の通常の手順と比較すると、これは、一つの射出成形金型において多くの空洞の配置を可能にする。その結果、より多くの部品が一つの作業ステップで生産可能である。この理由により、さらに、仕切り部品キャリアーの生産費は、既存の技術の生産方法と比較して、著しくより経済的である。
【0024】
図5は、図4による仕切り部品の本発明による実施形態の半斜視図である。仕切り部品(20)の中央板(21)は、完全に平面の実施形態において、ここでは示されている。周辺の溝(22)は、キャリアプレートの上側の図の後部、及びキャリアプレートの下側の前部(22’)に位置決めされる。左右の遷移側に位置し、溝(22)、(22’)を互いに遷移し横方向にオフセットしたところは、溝(25)の遷移区域であり、その区域は、熱膨張可能な密閉材用の拡大したボリューム・エレメントを備える。この拡大したボリューム・エレメントは、車両ボディーの空洞における重要なとがった角を、信頼可能に、完全に、安心できて充填するために使用可能である。これは、仕切り部品(20)の左側で、図5に図示される、相当なくびれ部(26)に特に適用する。好ましい実施形態において、本発明による仕切り部品は、キャリアーの一体部品として補強支持器具(27、27’)を更に備えることができる。固定手段(24、24’)としてキャリアー上に一体的に形作られる止め具は、更に、本発明による仕切り部品の構成部分になりえる。本発明による更なる実施形態は、この特定の場合において、仕切り部品の後部長手方向端部のへこみ(23)であり、これは、密閉されるべき空洞の対応する突部を考慮したものである。
【0025】
図6は、図5による仕切り部品の前端方向の図である。これは、プレート面上に位置する、C形状の溝(22)の後部を有し、及び、溝(22)の後部と、溝(22)の前下側部分との間の遷移領域(25)を有する中央板(21)を示している。また、キャリアーの下側に見えるものは、固定エレメント(止め具24、24’)及び強化支持エレメント(27、27’)の正面図である。
【0026】
図7は、図5による仕切り部品の右側方向の正面図である。これは、もう一度、中央のキャリアプレート(21)を示し、その右側に配置され、膨張可能な密閉材(15)で満たされた溝(22)への正面図を示す。図7の下部領域において、強化支持エレメント(27)は右に見え、形づくられた固定止め具(24)は左に見える。また、周辺のC形状の溝の横方向オフセット領域における遷移領域(25)が示されている。
【0027】
図8において、図5による仕切り部品の半斜視部分が左の狭い端部の方への図示にて示されている。この図は、膨張可能な材料(15)で満たされる溝(22)の開いた側への上部図とともにキャリアプレート(21)の下部側の方への図である。下部側のオフセットした溝(22’)の部分は、その閉じられた背面側から見える。また、横方向のオフセットのテーパー部分において、膨張可能な密閉材の拡大したボリューム・エレメントを有する遷移領域(25)が見えている。強化支持エレメント(27’)の一部が上部側に見え、形作られた止め具(24’、24)がキャリアプレートの下部側で完全に及び部分的にそれぞれ見えている。
【0028】
図9は、図5による仕切り部品の右の狭い端部の方への半斜視図を示す。C形状の溝(22)の上部の背面とともに中央キャリアプレート(21)が背面図においてもう一度示され、また、キャリアプレートの下に、膨張可能な密閉材(15)が満たされた溝(22’)の横方向のオフセット部分の正面図が示されている。また、キャリアプレートの上部側に、その効果を強める状態で、支持エレメント(27)が示されている。
【0029】
図10は、本発明による仕切り部品であり、再度、キャリアプレート面の上部及び下部のそれぞれに横方向にオフセットし、膨張可能な密閉材(15)を充満した溝部(22、22’)を有する中央キャリアプレート(21)から作製された仕切り部品の更なる実施形態の半斜視図である。横方向のオフセットの左右の遷移領域(25)が再度示されている。この場合、一体的に形作られた止め具(24)は、完全に溝(22’)で囲まれており、その結果、領域(28)における固定止め具もまた、膨張可能な密閉材に完全に囲まれている。この実施形態は、固定止め具(24)が挿入される車両ボディーの空洞の開口領域もまた、膨張する密閉材で完全に密閉されることを保証する。
【0030】
本発明による仕切り部品の横断面の形状は、密閉されるべき対応の空洞(A−、B−、あるいはC−ピラー、敷居、フェンダー領域、屋根フレーム、など)の断面の特定の応用例に、もちろん適応する。実施されるとき、膨張せず硬化しない形態では、熱膨張可能な密閉材と仕切り部品の断面は、密閉されるべき車両ボディーの空洞要素の開口の断面よりも小さい。この作用は、脱脂剤、りん酸塩処理剤、及び陰極浸漬被覆のような、乗り物の製造に関与するすべての処理液が、スムーズな形態で車両ボディーの空洞及びカラムを通って流れることができ、その空洞要素の内壁を完全に湿らせることができることを保証する。そして、熱膨張可能なポリマー組成物が、陰極浸漬被覆炉(時々「本体オーブン(body oven)」とも呼ばれる)の中で活性化される。この時点では、熱膨張可能なひも形の密閉材は、仕切り部品のC形状の溝の外へ半径方向に膨張し、密閉される空洞要素の内壁に固定してしっかりと付着し、硬化する。それにより車両ボディーの上記空洞要素は、完全に密閉される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアー及び熱膨張可能な材料から構成された合成ワークピースであって、
上記キャリアーは、C形状に形成された溝をその端部の周囲に配置した中央板を含み、上記溝は、上記中央板の面に対して反対の位置に横方向にオフセットされる、合成ワークピース。
【請求項2】
上記中央板は、実質的に平面、凸、又は階段状の形態である、請求項1記載の合成ワークピース。
【請求項3】
熱膨張可能な材料は、C形状の溝に配置される、請求項1又は2に記載の合成ワークピース。
【請求項4】
車両ボディーの空洞を密閉するための熱膨張可能な仕切り部品(「バッフル」又は「ピラーフィラー」)であって、請求項1から3のいずれかに記載の合成ワークピースから作製可能な仕切り部品。
【請求項5】
キャリアーは、乗り物の空洞に仕切り部品を固定する、少なくとも一つの固定要素を備える、請求項4記載の熱膨張可能な仕切り部品。
【請求項6】
固定要素は、C形状の溝により包囲される、請求項5記載の熱膨張可能な仕切り部品。
【請求項7】
キャリアーは、熱可塑性プラスチック材で作られている、請求項4から6のいずれかに記載の熱膨張可能な仕切り部品。
【請求項8】
熱可塑性プラスチック材は、ポリアミド、ポリイミド、ポリオキシプロピレン、あるいはポリエチレンテレフタレートから選択される、請求項7記載の熱膨張可能な仕切り部品。
【請求項9】
ポリアミドは、ポリアミド−6で、要すれば繊維及び/又はフィラーで補強される、請求項8記載の熱膨張可能な仕切り部品。
【請求項10】
熱膨張可能な材料は、エチレン共重合体、推進剤の少なくとも一つ、任意に、粘着力を高める樹脂又は接着促進剤、任意に、追加のポリマー又はオリゴマー、及び、任意に架橋剤を含む、請求項4から9のいずれかに記載の熱膨張可能な仕切り部品。
【請求項11】
請求項4から10のいずれかに記載の熱膨張可能な仕切り部品を製造する方法であって、
(a)射出成形金型にキャリアー用の熱可塑性物質を、金型半分の型外し方向に垂直に注入すること、
(b)キャリアーを型から外すこと、
(c)C形状の溝へ熱膨張可能な材料を注入すること、
(d)仕切り部品を型から外すこと、
を備えたことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−522117(P2010−522117A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500087(P2010−500087)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063776
【国際公開番号】WO2008/116512
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】