乗員検出装置
【課題】シールド線の断線が発生した場合にそれを確実に検出することができる乗員検出装置を提供する。
【解決手段】容量C2を測定する場合、スイッチSW2を点A側に、スイッチSW1、SW3をDC側に接続し、スイッチSW1S〜SW3Sをオペアンプ16の出力側に接続し、容量測定を行う。これにより、オペアンプ6から出力される交流信号がシールドケーブル3−2の芯線に加えられ、オペアンプ16から出力される交流信号がシールドケーブル3−1〜3−3のシールドに加えられる。次に、スイッチSW1〜SW3を上記と同じにし、スイッチSW2SをDC側に、スイッチSW1S、SW3Sをオペアンプ16の出力側に接続し、容量測定を行う。上記の測定において、測定結果に差が生じれば断線がないと判断でき、差が生じなければ断線ありと判断できる。
【解決手段】容量C2を測定する場合、スイッチSW2を点A側に、スイッチSW1、SW3をDC側に接続し、スイッチSW1S〜SW3Sをオペアンプ16の出力側に接続し、容量測定を行う。これにより、オペアンプ6から出力される交流信号がシールドケーブル3−2の芯線に加えられ、オペアンプ16から出力される交流信号がシールドケーブル3−1〜3−3のシールドに加えられる。次に、スイッチSW1〜SW3を上記と同じにし、スイッチSW2SをDC側に、スイッチSW1S、SW3Sをオペアンプ16の出力側に接続し、容量測定を行う。上記の測定において、測定結果に差が生じれば断線がないと判断でき、差が生じなければ断線ありと判断できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートに着席している乗員の着席状況を検出する乗員検出装置に係り、特に、検出装置本体(コントロールボックス)とセンサを接続するシールド線の断線を検出することができる乗員検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗用車等の車両においては、助手席に大人が座っているか、子供が座っているか、チャイルドシートが設置されているのか等の着席状況を検出することが要求される。これは、例えば、助手席にエアバッグ装置を設置した場合に、助手席の着席状況に応じてエアバッグを動作可にしたり動作不可にしたりする制御を行う必要があるからである。
従来、上述した着席状況を検出するための乗員検出装置が開発されている(特許文献1参照)。この乗員検出装置は、車両のシートに検出用のセンサを取り付け、このセンサへ高周波低電圧を加え、該センサを流れる電流がシートの乗員の状況によって変化することを利用して乗員の着席状況を検出するようになっている。
【特許文献1】特許第3353817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この従来の乗員検出装置においては高周波低電圧が使用されるため、コントロールボックスとセンサの接続にシールド線が使用されが、このシールド線に断線が発生すると精度良く乗員検出をできなくなる虞がある。そこで、シールド線の断線を検出するための技術が要請されるが、複数のシールドケーブルが束ねられて互いに接近した状態では、シールド線の断線を正しく検出することができなくなる場合がある。その理由は、複数のシールドケーブルが互いに接近していると、断線が発生したシールド線とその周囲のシールドケーブルのシールド線との間の浮遊容量が顕在化し、この浮遊容量を介して、断線が発生したシールド線に周囲のシールド線の電圧が現れる結果、断線が発生したシールド線にあたかもシールド電圧が正常に印加されているかのように見えるためである。
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、周囲のシールドケーブルの影響を受けることなく、シールド線の断線を確実に検出することができる乗員検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、車両のシートに配置された複数のセンサと、前記複数のセンサにそれぞれ芯線の一端が接続された複数のシールドケーブルと、測定用交流信号を出力する測定信号出力手段と、前記測定信号出力手段の出力電流を検出する電流検出手段と、前記測定用交流信号と同位相かつ同レベルの容量キャンセル用交流信号を出力するキャンセル信号出力手段と、前記各シールドケーブルの芯線の他端へ前記測定用交流信号または直流電圧を選択的に加える第1の選択手段と、前記各シールドケーブルのシールドへ前記容量キャンセル用交流信号または直流電圧を選択的に加える第2の選択手段とを具備する乗員検出装置である。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗員検出装置において、前記第1、第2の選択手段を制御する制御手段を更に具備し、前記制御手段は、測定対象の前記センサへ前記シールドケーブルの芯線を介して前記測定用交流信号を加えると共に、他のセンサへ前記シールドケーブルの芯線を介して直流電圧を加えるよう前記第1の選択手段を制御し、前記シールドケーブルの各シールドへ前記容量キャンセル用交流信号を加えるように前記第2の選択手段を制御する第1の処理と、測定対象の前記センサへ前記シールドケーブルの芯線を介して前記測定用交流信号を加えると共に、他のセンサへ前記シールドケーブルの芯線を介して直流電圧を加えるよう前記第1の選択手段を制御し、測定対象の前記センサに接続されたシールドケーブルのシールドへ直流電圧を加え、他のセンサに接続されたシールドケーブルのシールドへ前記容量キャンセル用交流信号を加えるよう前記第2の選択手段を制御する第2の処理を実行することを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記測定用交流信号および前記容量キャンセル用交流信号のレベルを調整する調整手段を設けたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記制御手段の制御に応じて前記容量キャンセル用交流信号をオン/オフする複数のスイッチ手段と、前記スイッチ手段がオン状態の時前記容量キャンセル用交流信号を増幅して前記シールドケーブルのシールドへ加え、前記スイッチ手段がオフ状態の時直流電圧を増幅して前記シールドへ加える増幅器とを具備することを特徴とする。
【0007】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の入力端を前記制御手段の制御に応じて接地するトランジスタとから構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を前記シールドケーブルのシールドへ加える抵抗器と、前記抵抗器とシールドケーブルとの間を前記制御手段の制御に応じて接地するトランジスタとから構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項7に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の入力端を前記制御手段の制御に応じて正電圧端子に接続するトランジスタとから構成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を前記シールドケーブルのシールドへ加える抵抗器と、前記抵抗器とシールドケーブルとの間を前記制御手段の制御に応じて正電圧端子に接続するトランジスタとから構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項9に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記測定用交流信号と波形が異なる交流信号を出力する交流信号出力手段を有し、前記第2の選択手段は、直流電圧に代えて前記交流信号出力手段の出力を前記シールドケーブルのシールドに加えるものであり、前記制御手段は、直流電圧に代えて前記交流信号出力手段の出力を前記シールドケーブルのシールドに加えるように前記第2の制御手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、センサと装置本体とを結ぶ複数のシールドケーブルが互いに接近した状態であっても、シールドケーブルのシールド線の断線を確実に検出することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(A)第1の実施形態
以下、図面を参照し、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1(a)はこの発明の第1の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。この図において、符号1は車両のシートに座った乗員であり、導体とみなすことができる。2−1〜2−3はシートに取り付けられたセンサである。これらのセンサ2−1〜2−3はシート上に所定間隔をおいて取り付けられており、例えば、導電性の布地、細い金属線を織り込んだもの、金属板等によって構成されている。CL1はセンサ2−1と乗員1との間の容量、CL2はセンサ2−2と乗員1との間の容量、CL3はセンサ2−3と乗員1との間の容量であり、Cgは乗員1とアース(車体)との間の容量である。
【0012】
3−1〜3−3はそれぞれセンサ2−1〜2−3をコントロールボックス4に接続するシールドケーブルである。コントロールボックス4は、シートの内部あるいはダッシュボード内等に設置されるもので、シールドケーブルの芯線に流れる電流に基づいて、乗員1の状況を検出するための検出電圧を出力する。このコントロールボックス4において、5は高周波低電圧の正弦波交流信号を出力する交流発振器、6は交流発振器5の出力を増幅するオペアンプ、7はシールドケーブル3−1〜3−3の各芯線に流れる電流を検出するための電流検出抵抗である。オペアンプ6の反転入力端は電流検出抵抗7の他端(A点)に接続されており、これによりA点の電圧が電流検出抵抗7の電圧降下によって変動するのを防いでいる。このオペアンプ6の出力が測定用交流信号として出力される。
【0013】
8は電流検出抵抗7の両端電圧を増幅するオペアンプ、9はA点の電圧をオペアンプ8の非反転入力端へ入力する入力抵抗、10は同非反転入力端へ正電圧バイアスを与える抵抗、11は電流検出抵抗7の一端の電圧をオペアンプ8の反転入力端へ入力する入力抵抗、12はオペアンプ8の出力を反転入力端へフィードバックする抵抗である。14は全波整流または同期検波回路であり、オペアンプ8の出力を全波整流し、または同期検波し、その結果を乗員1の状況を示す検出電圧として出力する。
【0014】
16は交流発振器5の出力を増幅する、ボルテージホロアとして構成されたオペアンプであり、このオペアンプ16の出力が容量キャンセル用交流信号として出力される。SW1〜SW3は半導体スイッチであり、スイッチSW1の共通端子がシールドケーブル3−1の芯線に接続され、第1接点が電流検出抵抗7の他端(A点)に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続されている。同様に、スイッチSW2の共通端子がシールドケーブル3−2の芯線に接続され、第1接点が電流検出抵抗7の他端(A点)に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続され、スイッチSW3の共通端子がシールドケーブル3−3の芯線に接続され、第1接点が電流検出抵抗7の他端(A点)に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続されている。
【0015】
SW1S〜SW3Sも半導体スイッチであり、スイッチSW1Sの共通端子がシールドケーブル3−1のシールドに接続され、第1接点がオペアンプ16の出力端に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続されている。同様に、スイッチSW2Sの共通端子がシールドケーブル3−2のシールドに接続され、第1接点がオペアンプ16の出力端に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続されている。
上述したスイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sは図示しない制御手段によって切り替え制御される。ただし、各スイッチを手動により切り替えるものとしてもよい。
【0016】
次に、上述した乗員検出装置の動作を説明する。
(1)各シールドケーブルが離れて配置されている場合(図1〜図5)
(1−1)シールドケーブルの断線がない場合(図1〜図3)
いま、スイッチSW2の共通端子を第1接点に接続し、スイッチSW1、SW3の共通端子をそれぞれ第2接点に接続し、スイッチSW1S〜SW3Sの各共通端子をそれぞれ第1接点に接続する(以下、第1の接続状態という)。この場合、A点にはシールドケーブル3−2の芯線を介して容量CL2が接続され、この容量CL2の先に、図2に示すように、乗員1を介して容量CL1、CL3、Cgが接続される。ここで、容量CL1、CL3の乗員1と反対側端部はシールドケーブル3−1、3−3の芯線およびスイッチSW1S、SW3Sを介して直流電圧DCに接続され、容量Cgの乗員1と反対側端部は接地されている。いま、上述した容量CL2、CL1、CL3、Cgの合成容量をC2とする。
【0017】
また、シールドケーブル3−2の芯線とシールドの間には容量Cs2が存在し、シールドと接地の間には容量Csg2が存在する。しかし、シールドケーブル3−2のシールドがスイッチSW2Sを介してオペアンプ16の出力端に接続され、これによりシールドと芯線が同電位となっているので、容量Cs2には電流が流れず、従って、容量Cs2は測定に影響を与えない。
【0018】
以上の結果、A点からみえる容量の等価回路は図1(b)に示すものとなり、A点から見える容量は次のようになる。
A点からみえる容量=C2
したがって、交流発振器5から高周波低電圧の交流信号が出力されると、電流検出抵抗7に容量C2に対応する電流が流れ、この結果、オペアンプ8から容量C2に対応する電圧が出力され、全波整流または同期検波回路14から容量C2に対応する検出電圧が出力される。
【0019】
次に、図3(a)に示すように、スイッチSW2の共通端子を第1接点に接続し、スイッチSW1、SW3の共通端子をそれぞれ第2接点に接続し、スイッチSW2Sの共通端子を第2接点に接続し、スイッチSW1S、SW3Sの各共通端子をそれぞれ第1接点に接続する(以下、第2の接続状態という)。この場合、シールドケーブル3−2のシールドがスイッチSW2Sを介して直流電圧DCに接続されるので、容量Cs2に交流電流が流れ、この結果、容量Cs2が測定に影響を与える。すなわち、A点からみえる容量の等価回路は図3(b)に示す通りとなり、A点からみえる容量は次の通りとなる。
A点からみえる容量=C2+Cs2
【0020】
(1−2)シールドケーブルへの配線に断線がある場合(図4、図5)
いま、シールドケーブル3−2のシールドとスイッチSW2Sを接続する配線に断線が生じたとする(図4(a)参照)。この場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態とすると、断線のためシールドケーブル3−2のシールドとオペアンプ16の出力端とが接続されないことから、シールドケーブル3−2のシールドが単なる導体となり、この結果、容量Cs2、Csg2に交流電流が流れ、これらの容量が測定に影響を与えることとなる。すなわち、この場合、A点からみえる容量の等価回路は、図4(b)に示されように、容量C2と“容量Cs2,Csg2の直列回路の容量”とを並列接続したものとなり、A点からみえる容量は次の通りとなる。
A点からみえる容量=C2+(Cs2・Csg2/Cs2+Csg2)
次に、図5(a)に示すように、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態としても、シールドケーブル3−2のシールドへの配線の断線のため、A点からみえる容量は、上記第1の接続状態の場合と同じとなる(図5(b)参照)。
【0021】
以上の説明から明らかなように、シールドケーブル3−2のシールドとスイッチSW2Sとの配線に断線がない場合は、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にした場合と第2の接続状態にした場合とで測定容量(全波整流または同期検波回路14の検出電圧)に容量Cs2に対応する値の差が生じるが、断線があると差が生じず、これにより断線の有無を検出することができる。
【0022】
(2)各シールドケーブルが近接して配置されている場合(図6〜図9)
(2−1)シールドケーブルの断線がない場合(図6、図7)
シールドケーブル3−1〜3−3が近接配置されている場合は、図6(a)に示すように、シールドケーブル3−1、3−2の各シールド間に容量Cs21が、シールドケーブル3−2、3−3の各シールド間に容量Cs23が発生する。しかし、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態とすると、シールドケーブル3−1〜3―3の各シールドにオペアンプ16の出力が供給されることから、各シールドとシールドケーブル3−2の芯線が同電位となり、これらの容量Cs21、Cs23に電流が流れず、これらの容量が測定に影響を与えることはない。すなわち、この場合、A点からみえる容量は、
A点からみえる容量=C2
となる。
【0023】
また、図7(a)に示すように、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態とすると、シールドケーブル3−2のシールドのみが直流電圧DCに接続されることから、図3の場合と同様に、容量Cs2が測定に影響を与えることとなるが、容量Cs21、Cs23が測定に影響を与えることはない。すなわち、この場合、A点からみえる容量は、
A点からみえる容量=C2+Cs2
となる(図7(b)参照)。
【0024】
(2−2)シールドケーブルの断線がある場合(図8、図9)
いま、シールドケーブル3−2のシールドとスイッチSW2Sを接続する配線に断線が生じたとする。この場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態とすると(図8(a)参照)、シールドケーブル3−1、3−3の各シールドにオペアンプ16の出力交流信号が加えられ、この交流信号が容量Cs21、Cs23を介してシールドケーブル3−2のシールドに加えられる。すなわち、容量Cs21、Cs23が存在すると、シールドケーブル3−2のシールドとスイッチSW2Sの間に断線が発生しても、容量Cs21、Cs23を介してシールドケーブル3−2のシールドに交流信号が加えられ、この結果、A点からみえる容量は断線がない場合とほぼ同じ容量となる(図8(a)参照)。
A点からみえる容量=C2
【0025】
次に、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態としても(図9(a)参照)、断線のためシールドケーブル3−2のシールドへスイッチSW2Sを介して直流電圧DCが加えられることはなく、この場合も容量Cs21、Cs23を介してシールドケーブル3−2のシールドへ交流信号が加えられ、この結果、A点からみえる容量は上記図8(b)の場合と同じ容量となる(図9(b)参照)。
A点からみえる容量=C2
【0026】
すなわち、各シールドケーブルが密接して配置されている場合、シールドケーブル3−2とスイッチSW2Sを接続する配線に断線が発生していない時は、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にした場合と第2の接続状態にした場合とで測定容量(全波整流または同期検波回路14の検出電圧)に容量Cs2に対応する値の差が生じるが、断線があると差が生じず、これにより断線の有無を検出することができる。
なお、上記例においてはシールドケーブルを3本としているが、実際の配線においてはもっと多くの配線が使用され、その結果、シールドケーブル3−2のシールドの電位はほぼ他のシールドケーブルのシールドの電位(オペアンプ16の出力)と等しくなる。
【0027】
(3)シールドケーブル自体に断線が発生した場合(図10〜図13)
(3−1)各シールドケーブルが離れて配置されている場合(図10、図11)
いま、図10(a)に示すように、シールドケーブル3−2の中央部においてシールド断線が発生したとする。ここで、シールドのセンサ2−2側をシールド3−2aとし、スイッチSW2S側をシールド3−2bとする。また、シールド3−2aと芯線との間の容量をCs2a、シールド3−2bと芯線との間の容量をCs2b、シールド3−2aと接地との間の容量をCsg2a、シールド3−2bと接地との間の容量をCsg2bとする。
【0028】
この場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態とすると(図10(a)参照)、シールド3−2bにオペアンプ16から出力される交流信号が加えられ、この結果、容量Cs2bに電流が流れることがなく、容量Cs2bが測定に影響を与えることはない。一方、シールド3−2aには断線のため交流信号が加えられず、シールド3−2bが単なる導体となり、この結果、容量Cs2a、容量Csg2aに電流が流れ、測定に影響を与える。すなわち、この場合、A点からみえる容量の等価回路は図10(b)に示す通りとなり、容量は次の式によって算出される。
A点からみえる容量=C2+{Cs2a・Csg2a/(Cs2a+Csg2a)}
【0029】
次に、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態とすると(図11(a)参照)、シールド3−2bが直流電圧DCに接続され、これにより容量Cs2b、Csg2bにも電流が流れ、測定に影響を与える。この結果、A点からみえる容量の等価回路は図11(b)に示す通りとなり、容量は次の式によって算出される。
A点からみえる容量=C2+{Cs2a・Csg2a/(Cs2a+Csg2a)}+Cs2b
【0030】
このように、シールドケーブル3−2においてシールド断線が発生した場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にした場合と第2の接続状態にした場合とで、測定値に容量Cs2bに対応する値の差が生じる。前述したように、断線がない場合は(図1、図2参照)、両測定値の差が容量Cs2に対応した値となり、この両測定値の差の相違からシールドに断線が発生しているか否かを検出することができる。
【0031】
また、シールドケーブルの芯線とシールドとの間の容量とシールドケーブルの長さは比例するため、正常時のケーブル長をA+B、そのときの容量をCs2、断線した部分の長さ(スイッチSW2S側)をBとすれば、A+B:B=Cs2:Cs2bとなる。A+B、およびCs2があらかじめ仕様化されたケーブルならば、測定した容量差Cs2bから長さBを求めることができ、シールドケーブルのどのあたりでシールドが断線したかを検出することができる。
【0032】
(3−2)各シールドケーブルが近接して配置されている場合(図12、図13)
この場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にすると(図12(a)参照)、シールド3−2bにオペアンプ16から出力される交流信号が加えられ、この結果、容量Cs2bに電流が流れることがなく、容量Cs2bが測定に影響を与えることはない。一方、シールド3−2aには断線のためスイッチSW2S経由の交流信号が加えられない。しかし、各シールドケーブルが近接配置されている場合、シールドケーブル3−1のシールドとシールド3−2aとの間の容量Cs21a、シールドケーブル3−3のシールドとシールド3−2aとの間の容量Cs23aを通してシールド3−2aに交流信号が加えられる。これにより、シールド3−2aとシールドケーブル3−2の芯線が同電位となり、容量Cs2aに電流が流れることがなく、容量Cs2bが測定に影響を与えることはない。
すなわち、この場合、A点からみえる容量の等価回路は図12(b)に示す通りとなり、容量は次通りとなる。
A点からみえる容量=C2
【0033】
次に、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態とすると(図13(a)参照)、シールド3−2bが直流電圧DCに接続され、これにより容量Cs2bに電流が流れ、測定に影響を与える。この結果、A点からみえる容量の等価回路は図13(b)に示す通りとなり、容量は次の式によって算出される。
A点からみえる容量=C2+Cs2b
【0034】
このように、各シールドケーブルが近接して配置されている場合においてシールドケーブル3−2にシールド断線が発生した場合も、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にした場合と第2の接続状態にした場合とで、図10、図11の場合と同様に、測定値に容量Cs2bに対応する値の差が生じ、断線がない場合の測定値との差の相違からシールドに断線が発生しているか否かを検出することができ、また、測定した容量差Cs2bからシールド3−2bの長さBを求めることができる。
【0035】
以上がこの発明の第1の実施形態の詳細である。なお、上記説明においては、シールドケーブル3−2の芯線に測定用交流信号を加えて容量測定を行う場合のみについて説明したが、実際の測定においては、同様の方法によって、シールドケーブル3−1、3−3に測定用交流信号を加えて容量測定を行うことは勿論である。
【0036】
そして、上記の実施形態によれば、シールド断線が生じてない場合において、容量C1、C2、C3を測定することができ、その測定結果から乗員1の状態を検出することができる。また、シールドまでの配線の断線あるいはシールドの断線が生じた場合には、シールドケーブルが離れて配置されている場合にも、近接して配置されている場合にも断線を検出することができる。さらに、シールドの断線が生じた場合には、断線箇所も検出することができる。
【0037】
(B)他の実施形態
図14〜20は、本発明の第2〜第8の実施形態を示す回路図であり、これらの図において図1(a)の各部に対応する部分には同一の符号が付してある。これらの図におけるDCは、交流発振器5の出力信号の中点電圧と同じ電位の直流電圧、VDDはオペアンプやマルチプレクサ用の電源電圧である。
【0038】
図14に示す実施形態が図1(a)に示すものと異なる点は振幅調整回路21が設けられている点である。この振幅調整回路21は正弦波交流信号の振幅の大きさを切り替えるための回路である。ケーブルの容量成分を測定する際、その長さによっては、大きな容量を測定することになるが、オペアンプ6は電源VDD以上の出力信号は出せないので、元の信号の振幅を小さくすることによって、オペアンプ6を出力飽和させないようにしている。
【0039】
次に、この実施形態の動作を説明する。
まず、オペアンプ6から断線診断用に振幅を調節した交流信号を出力、そして、スイッチSW1を交流出力側、スイッチSW2,SW3をDC側に設定する。ここで、スイッチSW2,SW3をDC側にしてセンサ2−2、センサ2−3へ直流電圧DCを加えていのは、センサ2−1と乗員1の間に積極的に容量成分を発生させることを目的としているためである。マルチプレクサ内のスイッチSW1S、SW2S、SW3Sについてはすべて交流信号側(オペアンプ16側)に設定する(接続状態1)。
【0040】
この状態でセンサ1と乗員1との間の容量C1を測定する。次に、スイッチSW1Sのみ、DC出力側に設定する(接続状態2)。故障がない状態では、シールドケーブル3−1の芯線とシールド間に存在する容量Cs1がC1にプラスされて測定されるため、接続状態1と接続状態2の差分Cs1の大きさから断線していないと判断することができる(図1、図3、図6、図7参照)。
接続状態1と接続状態2では、シールドケーブル3−1の周囲の状態が同じであるため、仮にシールドケーブル3−1が断線していた場合、接続状態1と接続状態2の測定値は同じとなり、その差分は0となる(図4、図5及び図8、図9参照)。
【0041】
同様に、センサ2−2、センサ2−3でも乗員容量を測定したあとに、スイッチSW2S,SW3SをDC側に切り替え、シールドケーブル3−2、3−3の芯線とシールド間の容量を測定し、その大きさから断線の有無を検出する。
【0042】
図15は図14におけるマルチプレクサのスイッチSW1SからSW3Sを2点式に変更し、そのあとにオペアンプ22−1〜22−3と直流電圧へのプルアップ抵抗R1,R2,R3を設けた場合である。
シールドオープン診断を判定する際の動作手順は図14と同じである。シールドに交流信号を出力する場合はスイッチSW1S,SW2S,SW3Sをオンさせておく。直流信号を出力したい場合、スイッチをオフさせれば、図中の抵抗R1,R2,R3を介し、オペアンプ22−1〜22−3の+入力端子にDC電圧が入力され、シールドは直流電位となる。
【0043】
なお、図14、図15では、シールドの断線を診断する際に、シールドへ加える直流電圧として交流発振器5の出力の中点電圧DCを出力している構成になっているが、検出装置は容量成分の変化を検出抵抗に流れる電流の交流成分の変化で検出しているため、シールドへ加えられるDC電位は特に交流発振器5の出力の中点電位である必要はなく、GND電位や、オペアンプの電源VDDを使用してもよい。また、容量成分(言い換えれば電流検出抵抗7)に電流が流れればよいので、シールドへ加える電圧は、必ずしもDC電圧である必要はなく、オペアンプ6の出力と波形が異なる交流信号(レベルが異なる信号)であればよく、オペアンプ6の出力の信号レベルとの差分が時間的に変化する信号、即ち容量成分に変位電流が流れ得る信号であれば、どのような信号であってもよい。
【0044】
図16は、シールドケーブル3−1〜3−3のシールドに出力する直流電圧として、GNDレベルの電圧を使用する回路の例である。シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図15のマルチプレクサのスイッチSW1S,SW2S,SW3Sに相当する回路として、トランジスタQ1〜Q3を配置している。シールドに交流信号を出力する場合はトランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をLowにしておく。DC(GND)信号を出力する場合、ベース信号をHiにすれば、トランジスタQ1,Q2,Q3がオンとなり、オペアンプ22−1〜22−3の+入力端子の電位は0Vとなり、シールドにGNDレベル相当の直流信号が出力される。
【0045】
図17は、図16と同様に、シールドへ加える直流電圧として、GNDレベルの電圧を使用する回路の例である。オペアンプ16としては、トランジスタQ1,Q2,Q3がオンしたときにも十分ドライブ可能なものを使用する。シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図14のマルチプレクサのスイッチSW1S,SW2S,SW3Sに相当する回路として、トランジスタQ1,Q2,Q3を配置している回路となっている。シールドに交流信号を出力する場合はトランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をLowにしておく。DC(GND)電圧を出力する場合、ベース信号をHiにすれば、トランジスタQ1〜Q3がオンとなり、シールドにGNDレベル相当の直流信号が出力される。
【0046】
シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図15のマルチプレクサのスイッチSW1S,SW2S,SW3Sに相当する回路として、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aを配置している回路となっている。シールドに交流信号を出力する場合は、トランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をLowにしておく。直流(VDD)信号を出力する場合は、トランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をHiにすれば、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aがオンとなり、オペアンプ22−1〜22−3の+入力端子の電位はVDDとなり、シールドにVDD相当の直流信号が出力される。
【0047】
図19は、シールドへ加える直流電圧として、VDD電圧(芯線に印加される交流信号の振幅よりも高い電圧)を使用する回路の例である。オペアンプ16は、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aがオンしたときにも十分ドライブ可能なものを使用する。シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図15のマルチプレクサのスイッチSW1S,SW2S,SW3Sに相当する回路として、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aを配置している回路となっている。シールドに交流信号を出力する場合は、トランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をLowにしておく。直流(VDD)信号を出力する場合は、トランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をHiにすれば、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aがオンとなり、シールドにVDDレベル相当の直流信号が出力される。
【0048】
図20は、シールド断線診断用の信号として、直流信号ではなく、オペアンプ6から出力される正弦波交流信号と位相が同じで振幅が異なる正弦波交流信号を出力する場合の回路例である。シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図14でシールドに直流電圧を出力していたラインに、振幅調整回路21の出力の振幅を抵抗Ra,RbによってRa/(Ra+Rb)に分割した交流信号、即ち、振幅調整回路21の出力の振幅にRa/(Ra+Rb)を乗じて得られる交流信号を、オペアンプ23を介して出力している。オペアンプ23の出力をシールドへ出力した際は、芯線の交流信号との間に、(SIN波1)−(SIN波2)の電位差が生じるため、芯線とシールドとの間の容量に電流が流れ、直流電圧出力のときと同様に、その大きさからシールドの断線を判断することができる。なお、この例では、シールド線に加える信号として、オペアンプ6から出力される正弦波交流信号と位相が同じで振幅が異なる正弦波交流信号を出力するようにしたが、必ずしも位相は同じでなくてもよく、オペアンプ6の出力の信号レベルとの差分が時間的に変化する信号、即ち容量成分に変位電流が流れ得る信号であれば、どのような信号であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明は、乗用車等の車両において、乗員の着席状況を検出する場合に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の第1の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図2】同乗員検出装置における容量C2を説明するための図である。
【図3】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、断線が発生していない場合の動作を説明するための回路図である。
【図4】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、シールドケーブルへの配線の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図5】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、シールドケーブルへの配線の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図6】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、断線が発生していない場合の動作を説明するための回路図である。
【図7】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、断線が発生していない場合の動作を説明するための回路図である。
【図8】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、シールドケーブルへの配線の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図9】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、シールドケーブルへの配線の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図10】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、シールド自体の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図11】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、シールド自体の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図12】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、シールド自体の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図13】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、シールド自体の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図14】この発明の第2の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図15】この発明の第3の実施形態による乗員検出装置の構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の第4の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図17】この発明の第5の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図18】この発明の第6の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図19】この発明の第7の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図20】この発明の第8の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0051】
1…乗員、2−1〜2−3…センサ、3−1〜3−3…シールドケーブル、4…コントロールボックス、5…交流発振器、6、8、16、22−1〜22−3、23…オペアンプ、7…電流検出抵抗、14…全波整流または同期検波回路、21…振幅調整回路、SW1〜SW3、SW1S〜SW3S…スイッチ、Q1〜Q3、Q1A〜Q3A…トランジスタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートに着席している乗員の着席状況を検出する乗員検出装置に係り、特に、検出装置本体(コントロールボックス)とセンサを接続するシールド線の断線を検出することができる乗員検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乗用車等の車両においては、助手席に大人が座っているか、子供が座っているか、チャイルドシートが設置されているのか等の着席状況を検出することが要求される。これは、例えば、助手席にエアバッグ装置を設置した場合に、助手席の着席状況に応じてエアバッグを動作可にしたり動作不可にしたりする制御を行う必要があるからである。
従来、上述した着席状況を検出するための乗員検出装置が開発されている(特許文献1参照)。この乗員検出装置は、車両のシートに検出用のセンサを取り付け、このセンサへ高周波低電圧を加え、該センサを流れる電流がシートの乗員の状況によって変化することを利用して乗員の着席状況を検出するようになっている。
【特許文献1】特許第3353817号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、この従来の乗員検出装置においては高周波低電圧が使用されるため、コントロールボックスとセンサの接続にシールド線が使用されが、このシールド線に断線が発生すると精度良く乗員検出をできなくなる虞がある。そこで、シールド線の断線を検出するための技術が要請されるが、複数のシールドケーブルが束ねられて互いに接近した状態では、シールド線の断線を正しく検出することができなくなる場合がある。その理由は、複数のシールドケーブルが互いに接近していると、断線が発生したシールド線とその周囲のシールドケーブルのシールド線との間の浮遊容量が顕在化し、この浮遊容量を介して、断線が発生したシールド線に周囲のシールド線の電圧が現れる結果、断線が発生したシールド線にあたかもシールド電圧が正常に印加されているかのように見えるためである。
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、周囲のシールドケーブルの影響を受けることなく、シールド線の断線を確実に検出することができる乗員検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、車両のシートに配置された複数のセンサと、前記複数のセンサにそれぞれ芯線の一端が接続された複数のシールドケーブルと、測定用交流信号を出力する測定信号出力手段と、前記測定信号出力手段の出力電流を検出する電流検出手段と、前記測定用交流信号と同位相かつ同レベルの容量キャンセル用交流信号を出力するキャンセル信号出力手段と、前記各シールドケーブルの芯線の他端へ前記測定用交流信号または直流電圧を選択的に加える第1の選択手段と、前記各シールドケーブルのシールドへ前記容量キャンセル用交流信号または直流電圧を選択的に加える第2の選択手段とを具備する乗員検出装置である。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗員検出装置において、前記第1、第2の選択手段を制御する制御手段を更に具備し、前記制御手段は、測定対象の前記センサへ前記シールドケーブルの芯線を介して前記測定用交流信号を加えると共に、他のセンサへ前記シールドケーブルの芯線を介して直流電圧を加えるよう前記第1の選択手段を制御し、前記シールドケーブルの各シールドへ前記容量キャンセル用交流信号を加えるように前記第2の選択手段を制御する第1の処理と、測定対象の前記センサへ前記シールドケーブルの芯線を介して前記測定用交流信号を加えると共に、他のセンサへ前記シールドケーブルの芯線を介して直流電圧を加えるよう前記第1の選択手段を制御し、測定対象の前記センサに接続されたシールドケーブルのシールドへ直流電圧を加え、他のセンサに接続されたシールドケーブルのシールドへ前記容量キャンセル用交流信号を加えるよう前記第2の選択手段を制御する第2の処理を実行することを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記測定用交流信号および前記容量キャンセル用交流信号のレベルを調整する調整手段を設けたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記制御手段の制御に応じて前記容量キャンセル用交流信号をオン/オフする複数のスイッチ手段と、前記スイッチ手段がオン状態の時前記容量キャンセル用交流信号を増幅して前記シールドケーブルのシールドへ加え、前記スイッチ手段がオフ状態の時直流電圧を増幅して前記シールドへ加える増幅器とを具備することを特徴とする。
【0007】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の入力端を前記制御手段の制御に応じて接地するトランジスタとから構成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を前記シールドケーブルのシールドへ加える抵抗器と、前記抵抗器とシールドケーブルとの間を前記制御手段の制御に応じて接地するトランジスタとから構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項7に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の入力端を前記制御手段の制御に応じて正電圧端子に接続するトランジスタとから構成されていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を前記シールドケーブルのシールドへ加える抵抗器と、前記抵抗器とシールドケーブルとの間を前記制御手段の制御に応じて正電圧端子に接続するトランジスタとから構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項9に記載の発明は、請求項1または2に記載の乗員検出装置において、前記測定用交流信号と波形が異なる交流信号を出力する交流信号出力手段を有し、前記第2の選択手段は、直流電圧に代えて前記交流信号出力手段の出力を前記シールドケーブルのシールドに加えるものであり、前記制御手段は、直流電圧に代えて前記交流信号出力手段の出力を前記シールドケーブルのシールドに加えるように前記第2の制御手段を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、センサと装置本体とを結ぶ複数のシールドケーブルが互いに接近した状態であっても、シールドケーブルのシールド線の断線を確実に検出することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(A)第1の実施形態
以下、図面を参照し、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1(a)はこの発明の第1の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。この図において、符号1は車両のシートに座った乗員であり、導体とみなすことができる。2−1〜2−3はシートに取り付けられたセンサである。これらのセンサ2−1〜2−3はシート上に所定間隔をおいて取り付けられており、例えば、導電性の布地、細い金属線を織り込んだもの、金属板等によって構成されている。CL1はセンサ2−1と乗員1との間の容量、CL2はセンサ2−2と乗員1との間の容量、CL3はセンサ2−3と乗員1との間の容量であり、Cgは乗員1とアース(車体)との間の容量である。
【0012】
3−1〜3−3はそれぞれセンサ2−1〜2−3をコントロールボックス4に接続するシールドケーブルである。コントロールボックス4は、シートの内部あるいはダッシュボード内等に設置されるもので、シールドケーブルの芯線に流れる電流に基づいて、乗員1の状況を検出するための検出電圧を出力する。このコントロールボックス4において、5は高周波低電圧の正弦波交流信号を出力する交流発振器、6は交流発振器5の出力を増幅するオペアンプ、7はシールドケーブル3−1〜3−3の各芯線に流れる電流を検出するための電流検出抵抗である。オペアンプ6の反転入力端は電流検出抵抗7の他端(A点)に接続されており、これによりA点の電圧が電流検出抵抗7の電圧降下によって変動するのを防いでいる。このオペアンプ6の出力が測定用交流信号として出力される。
【0013】
8は電流検出抵抗7の両端電圧を増幅するオペアンプ、9はA点の電圧をオペアンプ8の非反転入力端へ入力する入力抵抗、10は同非反転入力端へ正電圧バイアスを与える抵抗、11は電流検出抵抗7の一端の電圧をオペアンプ8の反転入力端へ入力する入力抵抗、12はオペアンプ8の出力を反転入力端へフィードバックする抵抗である。14は全波整流または同期検波回路であり、オペアンプ8の出力を全波整流し、または同期検波し、その結果を乗員1の状況を示す検出電圧として出力する。
【0014】
16は交流発振器5の出力を増幅する、ボルテージホロアとして構成されたオペアンプであり、このオペアンプ16の出力が容量キャンセル用交流信号として出力される。SW1〜SW3は半導体スイッチであり、スイッチSW1の共通端子がシールドケーブル3−1の芯線に接続され、第1接点が電流検出抵抗7の他端(A点)に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続されている。同様に、スイッチSW2の共通端子がシールドケーブル3−2の芯線に接続され、第1接点が電流検出抵抗7の他端(A点)に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続され、スイッチSW3の共通端子がシールドケーブル3−3の芯線に接続され、第1接点が電流検出抵抗7の他端(A点)に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続されている。
【0015】
SW1S〜SW3Sも半導体スイッチであり、スイッチSW1Sの共通端子がシールドケーブル3−1のシールドに接続され、第1接点がオペアンプ16の出力端に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続されている。同様に、スイッチSW2Sの共通端子がシールドケーブル3−2のシールドに接続され、第1接点がオペアンプ16の出力端に接続され、第2接点が直流電圧DCに接続されている。
上述したスイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sは図示しない制御手段によって切り替え制御される。ただし、各スイッチを手動により切り替えるものとしてもよい。
【0016】
次に、上述した乗員検出装置の動作を説明する。
(1)各シールドケーブルが離れて配置されている場合(図1〜図5)
(1−1)シールドケーブルの断線がない場合(図1〜図3)
いま、スイッチSW2の共通端子を第1接点に接続し、スイッチSW1、SW3の共通端子をそれぞれ第2接点に接続し、スイッチSW1S〜SW3Sの各共通端子をそれぞれ第1接点に接続する(以下、第1の接続状態という)。この場合、A点にはシールドケーブル3−2の芯線を介して容量CL2が接続され、この容量CL2の先に、図2に示すように、乗員1を介して容量CL1、CL3、Cgが接続される。ここで、容量CL1、CL3の乗員1と反対側端部はシールドケーブル3−1、3−3の芯線およびスイッチSW1S、SW3Sを介して直流電圧DCに接続され、容量Cgの乗員1と反対側端部は接地されている。いま、上述した容量CL2、CL1、CL3、Cgの合成容量をC2とする。
【0017】
また、シールドケーブル3−2の芯線とシールドの間には容量Cs2が存在し、シールドと接地の間には容量Csg2が存在する。しかし、シールドケーブル3−2のシールドがスイッチSW2Sを介してオペアンプ16の出力端に接続され、これによりシールドと芯線が同電位となっているので、容量Cs2には電流が流れず、従って、容量Cs2は測定に影響を与えない。
【0018】
以上の結果、A点からみえる容量の等価回路は図1(b)に示すものとなり、A点から見える容量は次のようになる。
A点からみえる容量=C2
したがって、交流発振器5から高周波低電圧の交流信号が出力されると、電流検出抵抗7に容量C2に対応する電流が流れ、この結果、オペアンプ8から容量C2に対応する電圧が出力され、全波整流または同期検波回路14から容量C2に対応する検出電圧が出力される。
【0019】
次に、図3(a)に示すように、スイッチSW2の共通端子を第1接点に接続し、スイッチSW1、SW3の共通端子をそれぞれ第2接点に接続し、スイッチSW2Sの共通端子を第2接点に接続し、スイッチSW1S、SW3Sの各共通端子をそれぞれ第1接点に接続する(以下、第2の接続状態という)。この場合、シールドケーブル3−2のシールドがスイッチSW2Sを介して直流電圧DCに接続されるので、容量Cs2に交流電流が流れ、この結果、容量Cs2が測定に影響を与える。すなわち、A点からみえる容量の等価回路は図3(b)に示す通りとなり、A点からみえる容量は次の通りとなる。
A点からみえる容量=C2+Cs2
【0020】
(1−2)シールドケーブルへの配線に断線がある場合(図4、図5)
いま、シールドケーブル3−2のシールドとスイッチSW2Sを接続する配線に断線が生じたとする(図4(a)参照)。この場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態とすると、断線のためシールドケーブル3−2のシールドとオペアンプ16の出力端とが接続されないことから、シールドケーブル3−2のシールドが単なる導体となり、この結果、容量Cs2、Csg2に交流電流が流れ、これらの容量が測定に影響を与えることとなる。すなわち、この場合、A点からみえる容量の等価回路は、図4(b)に示されように、容量C2と“容量Cs2,Csg2の直列回路の容量”とを並列接続したものとなり、A点からみえる容量は次の通りとなる。
A点からみえる容量=C2+(Cs2・Csg2/Cs2+Csg2)
次に、図5(a)に示すように、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態としても、シールドケーブル3−2のシールドへの配線の断線のため、A点からみえる容量は、上記第1の接続状態の場合と同じとなる(図5(b)参照)。
【0021】
以上の説明から明らかなように、シールドケーブル3−2のシールドとスイッチSW2Sとの配線に断線がない場合は、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にした場合と第2の接続状態にした場合とで測定容量(全波整流または同期検波回路14の検出電圧)に容量Cs2に対応する値の差が生じるが、断線があると差が生じず、これにより断線の有無を検出することができる。
【0022】
(2)各シールドケーブルが近接して配置されている場合(図6〜図9)
(2−1)シールドケーブルの断線がない場合(図6、図7)
シールドケーブル3−1〜3−3が近接配置されている場合は、図6(a)に示すように、シールドケーブル3−1、3−2の各シールド間に容量Cs21が、シールドケーブル3−2、3−3の各シールド間に容量Cs23が発生する。しかし、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態とすると、シールドケーブル3−1〜3―3の各シールドにオペアンプ16の出力が供給されることから、各シールドとシールドケーブル3−2の芯線が同電位となり、これらの容量Cs21、Cs23に電流が流れず、これらの容量が測定に影響を与えることはない。すなわち、この場合、A点からみえる容量は、
A点からみえる容量=C2
となる。
【0023】
また、図7(a)に示すように、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態とすると、シールドケーブル3−2のシールドのみが直流電圧DCに接続されることから、図3の場合と同様に、容量Cs2が測定に影響を与えることとなるが、容量Cs21、Cs23が測定に影響を与えることはない。すなわち、この場合、A点からみえる容量は、
A点からみえる容量=C2+Cs2
となる(図7(b)参照)。
【0024】
(2−2)シールドケーブルの断線がある場合(図8、図9)
いま、シールドケーブル3−2のシールドとスイッチSW2Sを接続する配線に断線が生じたとする。この場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態とすると(図8(a)参照)、シールドケーブル3−1、3−3の各シールドにオペアンプ16の出力交流信号が加えられ、この交流信号が容量Cs21、Cs23を介してシールドケーブル3−2のシールドに加えられる。すなわち、容量Cs21、Cs23が存在すると、シールドケーブル3−2のシールドとスイッチSW2Sの間に断線が発生しても、容量Cs21、Cs23を介してシールドケーブル3−2のシールドに交流信号が加えられ、この結果、A点からみえる容量は断線がない場合とほぼ同じ容量となる(図8(a)参照)。
A点からみえる容量=C2
【0025】
次に、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態としても(図9(a)参照)、断線のためシールドケーブル3−2のシールドへスイッチSW2Sを介して直流電圧DCが加えられることはなく、この場合も容量Cs21、Cs23を介してシールドケーブル3−2のシールドへ交流信号が加えられ、この結果、A点からみえる容量は上記図8(b)の場合と同じ容量となる(図9(b)参照)。
A点からみえる容量=C2
【0026】
すなわち、各シールドケーブルが密接して配置されている場合、シールドケーブル3−2とスイッチSW2Sを接続する配線に断線が発生していない時は、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にした場合と第2の接続状態にした場合とで測定容量(全波整流または同期検波回路14の検出電圧)に容量Cs2に対応する値の差が生じるが、断線があると差が生じず、これにより断線の有無を検出することができる。
なお、上記例においてはシールドケーブルを3本としているが、実際の配線においてはもっと多くの配線が使用され、その結果、シールドケーブル3−2のシールドの電位はほぼ他のシールドケーブルのシールドの電位(オペアンプ16の出力)と等しくなる。
【0027】
(3)シールドケーブル自体に断線が発生した場合(図10〜図13)
(3−1)各シールドケーブルが離れて配置されている場合(図10、図11)
いま、図10(a)に示すように、シールドケーブル3−2の中央部においてシールド断線が発生したとする。ここで、シールドのセンサ2−2側をシールド3−2aとし、スイッチSW2S側をシールド3−2bとする。また、シールド3−2aと芯線との間の容量をCs2a、シールド3−2bと芯線との間の容量をCs2b、シールド3−2aと接地との間の容量をCsg2a、シールド3−2bと接地との間の容量をCsg2bとする。
【0028】
この場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態とすると(図10(a)参照)、シールド3−2bにオペアンプ16から出力される交流信号が加えられ、この結果、容量Cs2bに電流が流れることがなく、容量Cs2bが測定に影響を与えることはない。一方、シールド3−2aには断線のため交流信号が加えられず、シールド3−2bが単なる導体となり、この結果、容量Cs2a、容量Csg2aに電流が流れ、測定に影響を与える。すなわち、この場合、A点からみえる容量の等価回路は図10(b)に示す通りとなり、容量は次の式によって算出される。
A点からみえる容量=C2+{Cs2a・Csg2a/(Cs2a+Csg2a)}
【0029】
次に、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態とすると(図11(a)参照)、シールド3−2bが直流電圧DCに接続され、これにより容量Cs2b、Csg2bにも電流が流れ、測定に影響を与える。この結果、A点からみえる容量の等価回路は図11(b)に示す通りとなり、容量は次の式によって算出される。
A点からみえる容量=C2+{Cs2a・Csg2a/(Cs2a+Csg2a)}+Cs2b
【0030】
このように、シールドケーブル3−2においてシールド断線が発生した場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にした場合と第2の接続状態にした場合とで、測定値に容量Cs2bに対応する値の差が生じる。前述したように、断線がない場合は(図1、図2参照)、両測定値の差が容量Cs2に対応した値となり、この両測定値の差の相違からシールドに断線が発生しているか否かを検出することができる。
【0031】
また、シールドケーブルの芯線とシールドとの間の容量とシールドケーブルの長さは比例するため、正常時のケーブル長をA+B、そのときの容量をCs2、断線した部分の長さ(スイッチSW2S側)をBとすれば、A+B:B=Cs2:Cs2bとなる。A+B、およびCs2があらかじめ仕様化されたケーブルならば、測定した容量差Cs2bから長さBを求めることができ、シールドケーブルのどのあたりでシールドが断線したかを検出することができる。
【0032】
(3−2)各シールドケーブルが近接して配置されている場合(図12、図13)
この場合、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にすると(図12(a)参照)、シールド3−2bにオペアンプ16から出力される交流信号が加えられ、この結果、容量Cs2bに電流が流れることがなく、容量Cs2bが測定に影響を与えることはない。一方、シールド3−2aには断線のためスイッチSW2S経由の交流信号が加えられない。しかし、各シールドケーブルが近接配置されている場合、シールドケーブル3−1のシールドとシールド3−2aとの間の容量Cs21a、シールドケーブル3−3のシールドとシールド3−2aとの間の容量Cs23aを通してシールド3−2aに交流信号が加えられる。これにより、シールド3−2aとシールドケーブル3−2の芯線が同電位となり、容量Cs2aに電流が流れることがなく、容量Cs2bが測定に影響を与えることはない。
すなわち、この場合、A点からみえる容量の等価回路は図12(b)に示す通りとなり、容量は次通りとなる。
A点からみえる容量=C2
【0033】
次に、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第2の接続状態とすると(図13(a)参照)、シールド3−2bが直流電圧DCに接続され、これにより容量Cs2bに電流が流れ、測定に影響を与える。この結果、A点からみえる容量の等価回路は図13(b)に示す通りとなり、容量は次の式によって算出される。
A点からみえる容量=C2+Cs2b
【0034】
このように、各シールドケーブルが近接して配置されている場合においてシールドケーブル3−2にシールド断線が発生した場合も、スイッチSW1〜SW3、SW1S〜SW3Sを第1の接続状態にした場合と第2の接続状態にした場合とで、図10、図11の場合と同様に、測定値に容量Cs2bに対応する値の差が生じ、断線がない場合の測定値との差の相違からシールドに断線が発生しているか否かを検出することができ、また、測定した容量差Cs2bからシールド3−2bの長さBを求めることができる。
【0035】
以上がこの発明の第1の実施形態の詳細である。なお、上記説明においては、シールドケーブル3−2の芯線に測定用交流信号を加えて容量測定を行う場合のみについて説明したが、実際の測定においては、同様の方法によって、シールドケーブル3−1、3−3に測定用交流信号を加えて容量測定を行うことは勿論である。
【0036】
そして、上記の実施形態によれば、シールド断線が生じてない場合において、容量C1、C2、C3を測定することができ、その測定結果から乗員1の状態を検出することができる。また、シールドまでの配線の断線あるいはシールドの断線が生じた場合には、シールドケーブルが離れて配置されている場合にも、近接して配置されている場合にも断線を検出することができる。さらに、シールドの断線が生じた場合には、断線箇所も検出することができる。
【0037】
(B)他の実施形態
図14〜20は、本発明の第2〜第8の実施形態を示す回路図であり、これらの図において図1(a)の各部に対応する部分には同一の符号が付してある。これらの図におけるDCは、交流発振器5の出力信号の中点電圧と同じ電位の直流電圧、VDDはオペアンプやマルチプレクサ用の電源電圧である。
【0038】
図14に示す実施形態が図1(a)に示すものと異なる点は振幅調整回路21が設けられている点である。この振幅調整回路21は正弦波交流信号の振幅の大きさを切り替えるための回路である。ケーブルの容量成分を測定する際、その長さによっては、大きな容量を測定することになるが、オペアンプ6は電源VDD以上の出力信号は出せないので、元の信号の振幅を小さくすることによって、オペアンプ6を出力飽和させないようにしている。
【0039】
次に、この実施形態の動作を説明する。
まず、オペアンプ6から断線診断用に振幅を調節した交流信号を出力、そして、スイッチSW1を交流出力側、スイッチSW2,SW3をDC側に設定する。ここで、スイッチSW2,SW3をDC側にしてセンサ2−2、センサ2−3へ直流電圧DCを加えていのは、センサ2−1と乗員1の間に積極的に容量成分を発生させることを目的としているためである。マルチプレクサ内のスイッチSW1S、SW2S、SW3Sについてはすべて交流信号側(オペアンプ16側)に設定する(接続状態1)。
【0040】
この状態でセンサ1と乗員1との間の容量C1を測定する。次に、スイッチSW1Sのみ、DC出力側に設定する(接続状態2)。故障がない状態では、シールドケーブル3−1の芯線とシールド間に存在する容量Cs1がC1にプラスされて測定されるため、接続状態1と接続状態2の差分Cs1の大きさから断線していないと判断することができる(図1、図3、図6、図7参照)。
接続状態1と接続状態2では、シールドケーブル3−1の周囲の状態が同じであるため、仮にシールドケーブル3−1が断線していた場合、接続状態1と接続状態2の測定値は同じとなり、その差分は0となる(図4、図5及び図8、図9参照)。
【0041】
同様に、センサ2−2、センサ2−3でも乗員容量を測定したあとに、スイッチSW2S,SW3SをDC側に切り替え、シールドケーブル3−2、3−3の芯線とシールド間の容量を測定し、その大きさから断線の有無を検出する。
【0042】
図15は図14におけるマルチプレクサのスイッチSW1SからSW3Sを2点式に変更し、そのあとにオペアンプ22−1〜22−3と直流電圧へのプルアップ抵抗R1,R2,R3を設けた場合である。
シールドオープン診断を判定する際の動作手順は図14と同じである。シールドに交流信号を出力する場合はスイッチSW1S,SW2S,SW3Sをオンさせておく。直流信号を出力したい場合、スイッチをオフさせれば、図中の抵抗R1,R2,R3を介し、オペアンプ22−1〜22−3の+入力端子にDC電圧が入力され、シールドは直流電位となる。
【0043】
なお、図14、図15では、シールドの断線を診断する際に、シールドへ加える直流電圧として交流発振器5の出力の中点電圧DCを出力している構成になっているが、検出装置は容量成分の変化を検出抵抗に流れる電流の交流成分の変化で検出しているため、シールドへ加えられるDC電位は特に交流発振器5の出力の中点電位である必要はなく、GND電位や、オペアンプの電源VDDを使用してもよい。また、容量成分(言い換えれば電流検出抵抗7)に電流が流れればよいので、シールドへ加える電圧は、必ずしもDC電圧である必要はなく、オペアンプ6の出力と波形が異なる交流信号(レベルが異なる信号)であればよく、オペアンプ6の出力の信号レベルとの差分が時間的に変化する信号、即ち容量成分に変位電流が流れ得る信号であれば、どのような信号であってもよい。
【0044】
図16は、シールドケーブル3−1〜3−3のシールドに出力する直流電圧として、GNDレベルの電圧を使用する回路の例である。シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図15のマルチプレクサのスイッチSW1S,SW2S,SW3Sに相当する回路として、トランジスタQ1〜Q3を配置している。シールドに交流信号を出力する場合はトランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をLowにしておく。DC(GND)信号を出力する場合、ベース信号をHiにすれば、トランジスタQ1,Q2,Q3がオンとなり、オペアンプ22−1〜22−3の+入力端子の電位は0Vとなり、シールドにGNDレベル相当の直流信号が出力される。
【0045】
図17は、図16と同様に、シールドへ加える直流電圧として、GNDレベルの電圧を使用する回路の例である。オペアンプ16としては、トランジスタQ1,Q2,Q3がオンしたときにも十分ドライブ可能なものを使用する。シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図14のマルチプレクサのスイッチSW1S,SW2S,SW3Sに相当する回路として、トランジスタQ1,Q2,Q3を配置している回路となっている。シールドに交流信号を出力する場合はトランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をLowにしておく。DC(GND)電圧を出力する場合、ベース信号をHiにすれば、トランジスタQ1〜Q3がオンとなり、シールドにGNDレベル相当の直流信号が出力される。
【0046】
シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図15のマルチプレクサのスイッチSW1S,SW2S,SW3Sに相当する回路として、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aを配置している回路となっている。シールドに交流信号を出力する場合は、トランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をLowにしておく。直流(VDD)信号を出力する場合は、トランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をHiにすれば、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aがオンとなり、オペアンプ22−1〜22−3の+入力端子の電位はVDDとなり、シールドにVDD相当の直流信号が出力される。
【0047】
図19は、シールドへ加える直流電圧として、VDD電圧(芯線に印加される交流信号の振幅よりも高い電圧)を使用する回路の例である。オペアンプ16は、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aがオンしたときにも十分ドライブ可能なものを使用する。シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図15のマルチプレクサのスイッチSW1S,SW2S,SW3Sに相当する回路として、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aを配置している回路となっている。シールドに交流信号を出力する場合は、トランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をLowにしておく。直流(VDD)信号を出力する場合は、トランジスタQ1,Q2,Q3のベース信号をHiにすれば、トランジスタQ1,Q2,Q3およびQ1A,Q2A,Q3Aがオンとなり、シールドにVDDレベル相当の直流信号が出力される。
【0048】
図20は、シールド断線診断用の信号として、直流信号ではなく、オペアンプ6から出力される正弦波交流信号と位相が同じで振幅が異なる正弦波交流信号を出力する場合の回路例である。シールド断線を判定する際の動作手順は図14と同じである。図14でシールドに直流電圧を出力していたラインに、振幅調整回路21の出力の振幅を抵抗Ra,RbによってRa/(Ra+Rb)に分割した交流信号、即ち、振幅調整回路21の出力の振幅にRa/(Ra+Rb)を乗じて得られる交流信号を、オペアンプ23を介して出力している。オペアンプ23の出力をシールドへ出力した際は、芯線の交流信号との間に、(SIN波1)−(SIN波2)の電位差が生じるため、芯線とシールドとの間の容量に電流が流れ、直流電圧出力のときと同様に、その大きさからシールドの断線を判断することができる。なお、この例では、シールド線に加える信号として、オペアンプ6から出力される正弦波交流信号と位相が同じで振幅が異なる正弦波交流信号を出力するようにしたが、必ずしも位相は同じでなくてもよく、オペアンプ6の出力の信号レベルとの差分が時間的に変化する信号、即ち容量成分に変位電流が流れ得る信号であれば、どのような信号であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
この発明は、乗用車等の車両において、乗員の着席状況を検出する場合に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】この発明の第1の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図2】同乗員検出装置における容量C2を説明するための図である。
【図3】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、断線が発生していない場合の動作を説明するための回路図である。
【図4】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、シールドケーブルへの配線の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図5】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、シールドケーブルへの配線の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図6】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、断線が発生していない場合の動作を説明するための回路図である。
【図7】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、断線が発生していない場合の動作を説明するための回路図である。
【図8】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、シールドケーブルへの配線の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図9】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、シールドケーブルへの配線の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図10】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、シールド自体の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図11】同乗員検出装置において、シールドケーブルが離れて配置され、シールド自体の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図12】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、シールド自体の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図13】同乗員検出装置において、シールドケーブルが近接して配置され、シールド自体の断線が発生している場合の動作を説明するための回路図である。
【図14】この発明の第2の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図15】この発明の第3の実施形態による乗員検出装置の構成を示すブロック図である。
【図16】この発明の第4の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図17】この発明の第5の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図18】この発明の第6の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図19】この発明の第7の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【図20】この発明の第8の実施形態による乗員検出装置の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0051】
1…乗員、2−1〜2−3…センサ、3−1〜3−3…シールドケーブル、4…コントロールボックス、5…交流発振器、6、8、16、22−1〜22−3、23…オペアンプ、7…電流検出抵抗、14…全波整流または同期検波回路、21…振幅調整回路、SW1〜SW3、SW1S〜SW3S…スイッチ、Q1〜Q3、Q1A〜Q3A…トランジスタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートに配置された複数のセンサと、
前記複数のセンサにそれぞれ芯線の一端が接続された複数のシールドケーブルと、
測定用交流信号を出力する測定信号出力手段と、
前記測定信号出力手段の出力電流を検出する電流検出手段と、
前記測定用交流信号と同位相かつ同レベルの容量キャンセル用交流信号を出力するキャンセル信号出力手段と、
前記各シールドケーブルの芯線の他端へ前記測定用交流信号または直流電圧を選択的に加える第1の選択手段と、
前記各シールドケーブルのシールドへ前記容量キャンセル用交流信号または直流電圧を選択的に加える第2の選択手段と
を具備する乗員検出装置。
【請求項2】
前記第1、第2の選択手段を制御する制御手段を更に具備し、
前記制御手段は、
測定対象の前記センサへ前記シールドケーブルの芯線を介して前記測定用交流信号を加えると共に、他のセンサへ前記シールドケーブルの芯線を介して直流電圧を加えるよう前記第1の選択手段を制御し、前記シールドケーブルの各シールドへ前記容量キャンセル用交流信号を加えるように前記第2の選択手段を制御する第1の処理と、
測定対象の前記センサへ前記シールドケーブルの芯線を介して前記測定用交流信号を加えると共に、他のセンサへ前記シールドケーブルの芯線を介して直流電圧を加えるよう前記第1の選択手段を制御し、測定対象の前記センサに接続されたシールドケーブルのシールドへ直流電圧を加え、他のセンサに接続されたシールドケーブルのシールドへ前記容量キャンセル用交流信号を加えるよう前記第2の選択手段を制御する第2の処理と
を実行することを特徴とする請求項1に記載の乗員検出装置。
【請求項3】
前記測定用交流信号および前記容量キャンセル用交流信号のレベルを調整する調整手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項4】
前記第2の選択手段は、前記制御手段の制御に応じて前記容量キャンセル用交流信号をオン/オフする複数のスイッチ手段と、前記スイッチ手段がオン状態の時前記容量キャンセル用交流信号を増幅して前記シールドケーブルのシールドへ加え、前記スイッチ手段がオフ状態の時直流電圧を増幅して前記シールドへ加える増幅器とを具備することを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項5】
前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の入力端を前記制御手段の制御に応じて接地するトランジスタとから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項6】
前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を前記シールドケーブルのシールドへ加える抵抗器と、前記抵抗器とシールドケーブルとの間を前記制御手段の制御に応じて接地するトランジスタとから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項7】
前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の入力端を前記制御手段の制御に応じて正電圧端子に接続するトランジスタとから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項8】
前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を前記シールドケーブルのシールドへ加える抵抗器と、前記抵抗器とシールドケーブルとの間を前記制御手段の制御に応じて正電圧端子に接続するトランジスタとから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項9】
前記測定用交流信号と波形が異なる交流信号を出力する交流信号出力手段を有し、
前記第2の選択手段は、直流電圧に代えて前記交流信号出力手段の出力を前記シールドケーブルのシールドに加えるものであり、
前記制御手段は、直流電圧に代えて前記交流信号出力手段の出力を前記シールドケーブルのシールドに加えるように前記第2の制御手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項1】
車両のシートに配置された複数のセンサと、
前記複数のセンサにそれぞれ芯線の一端が接続された複数のシールドケーブルと、
測定用交流信号を出力する測定信号出力手段と、
前記測定信号出力手段の出力電流を検出する電流検出手段と、
前記測定用交流信号と同位相かつ同レベルの容量キャンセル用交流信号を出力するキャンセル信号出力手段と、
前記各シールドケーブルの芯線の他端へ前記測定用交流信号または直流電圧を選択的に加える第1の選択手段と、
前記各シールドケーブルのシールドへ前記容量キャンセル用交流信号または直流電圧を選択的に加える第2の選択手段と
を具備する乗員検出装置。
【請求項2】
前記第1、第2の選択手段を制御する制御手段を更に具備し、
前記制御手段は、
測定対象の前記センサへ前記シールドケーブルの芯線を介して前記測定用交流信号を加えると共に、他のセンサへ前記シールドケーブルの芯線を介して直流電圧を加えるよう前記第1の選択手段を制御し、前記シールドケーブルの各シールドへ前記容量キャンセル用交流信号を加えるように前記第2の選択手段を制御する第1の処理と、
測定対象の前記センサへ前記シールドケーブルの芯線を介して前記測定用交流信号を加えると共に、他のセンサへ前記シールドケーブルの芯線を介して直流電圧を加えるよう前記第1の選択手段を制御し、測定対象の前記センサに接続されたシールドケーブルのシールドへ直流電圧を加え、他のセンサに接続されたシールドケーブルのシールドへ前記容量キャンセル用交流信号を加えるよう前記第2の選択手段を制御する第2の処理と
を実行することを特徴とする請求項1に記載の乗員検出装置。
【請求項3】
前記測定用交流信号および前記容量キャンセル用交流信号のレベルを調整する調整手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項4】
前記第2の選択手段は、前記制御手段の制御に応じて前記容量キャンセル用交流信号をオン/オフする複数のスイッチ手段と、前記スイッチ手段がオン状態の時前記容量キャンセル用交流信号を増幅して前記シールドケーブルのシールドへ加え、前記スイッチ手段がオフ状態の時直流電圧を増幅して前記シールドへ加える増幅器とを具備することを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項5】
前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の入力端を前記制御手段の制御に応じて接地するトランジスタとから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項6】
前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を前記シールドケーブルのシールドへ加える抵抗器と、前記抵抗器とシールドケーブルとの間を前記制御手段の制御に応じて接地するトランジスタとから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項7】
前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の入力端を前記制御手段の制御に応じて正電圧端子に接続するトランジスタとから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項8】
前記第2の選択手段は、前記容量キャンセル用交流信号を前記シールドケーブルのシールドへ加える抵抗器と、前記抵抗器とシールドケーブルとの間を前記制御手段の制御に応じて正電圧端子に接続するトランジスタとから構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【請求項9】
前記測定用交流信号と波形が異なる交流信号を出力する交流信号出力手段を有し、
前記第2の選択手段は、直流電圧に代えて前記交流信号出力手段の出力を前記シールドケーブルのシールドに加えるものであり、
前記制御手段は、直流電圧に代えて前記交流信号出力手段の出力を前記シールドケーブルのシールドに加えるように前記第2の制御手段を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の乗員検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−81040(P2008−81040A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265539(P2006−265539)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(300052246)株式会社ホンダエレシス (105)
【Fターム(参考)】
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