説明

乳幼児健康管理/監視装置

【課題】 夜間でも乳幼児や母親による正確な状態把握が行え、SIDS(乳幼児突然死症候群)を未然に防ぐことが可能な乳幼児の健康管理/監視装置の提供。
【解決手段】乳幼児のベッドに設置したエアマットと、エアマットの内部圧力変化を検出する圧力検出手段と、検出したエアマットの内部圧力変化を基づき被検者の生体データを測定する手段と電源電池を備え、所定時分ごとに温度を測定・記憶する第1測温部と、温度測定部を有するICタグを備え、乳幼児の適所で測定可能な第2測温部、測定された体温情報を読取るICタグ読み取り部、体重等の生体情報,予防接種情報等を入力可能な入力部、体温測定部による測定値を記憶する記憶部、記憶部により記憶されている各種生体情報をトレンド表示すると共に、第1測定部で予め測定された所定期間の体温をトレンド記憶し、第2測温部で測定、トレンド記憶した体温データと比較表示するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児の就寝または横臥・仰臥等における心拍数、呼吸数、体動の大きさ、体温等の生体データを測定して乳幼児の健康管理/監視する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、核家族,少子化により、乳幼児の育児にかかる母親の負担が極めて大きくなってきている。また、自宅などで乳幼児がインフルエンザ等の急激な発熱などがあってもその情報が遅れて重篤となる場合がある。また、身体になんら特別な異常や病気もなく、それまでまったく元気だった2歳未満の乳幼児が、事故や窒息ではなく、眠っている間になんの前触れなく突然死亡に至る、SIDS(乳幼児突然死症候群)と呼ばれるものもある。
【0003】
こうした状況下、負担を与えずに、健康状態を無侵襲、すなわち無拘束でかつ継続的に把握する方法として、被検者の身体の下にエアマットを敷いて、そのエアマットに加わる圧力変化に基づき被検者の心拍数、呼吸数、イビキ回数、寝返り回数等を測定する技術が提案されている(特許文献1)。また、在宅で居ながらにして血圧、脈拍、体温等の情報を日毎にチェックし、トレンド表示するホームドックシステムも提案されている(特許文献2)。
【0004】
しかしながら、血圧、脈拍、体温等のデータを測定の都度いちいち手動で入力し、送信する必要がある。また、温度センサと一体化されたICタグにより、軸受の異常検査システムが提案されている(特許文献3)。罹病している患者、特に乳幼児にあっては特に夜間にインフルエンザ等の感染症による急な発熱があっても気づくのが遅れ、手遅れになる場合がある。しかしながら、被検者(高齢者、加療中の患者、乳幼児)や被介護者に身体的及び精神的負担を与えずに、生体の体温データを管理/監視する装置は未だ提案されていない。
【特許文献1】特開2002−52010号公報
【特許文献2】特開2003−56247号公報
【特許文献3】特開2005−32256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に就寝または安静中(横臥・仰臥中等)の乳幼児の生体データを利用した身体状態把握の信頼性を高めて、夜間でも乳幼児や母親による正確な状態把握が行える乳幼児の健康管理/監視装置を提供することにある。また、インフルエンザ,RS(Respiratory Syncytial)ウイルス感染症等による急な発熱、SIDS(乳幼児突然死症候群)を未然に防ぐことが可能となる乳幼児の健康管理/監視装置を提供することにある。また、嘔吐などで呼吸が停止してもすぐにアラームを発生可能な乳幼児の健康管理/監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の乳幼児健康管理/監視装置は、乳幼児のベッドに設置したエアマットと、エアマットの内部圧力変化を検出する圧力検出手段と、圧力検出手段で検出したエアマットの内部圧力変化を基づき被検者の生体データを測定する手段と、電源電池を備え、所定期間の体温を測定・記憶する第1の測温部と、温度測定部を有するICタグを備え、乳幼児の適所で測定可能な第2の測温部と、測定された体温情報を読取るICタグ読み取り部と、体重等の生体情報,予防接種情報等を入力可能な入力部と、体温測定部による測定値を記憶する記憶部と、記憶部により記憶されている各種生体情報をトレンド表示するとともに、第1の測定部で予め測定された所定時間の体温のトレンド記憶しておき、第2の測温部で測定し、トレンド記憶した体温データと比較表示するようにしたことを特徴とする。また、体重の標準トレンドの上限値、下限値を表示可能にしたことを特徴とする。所定の閾値以上の体温変化または所定の閾値以上/以下の体温が検出されるとアラームを発生することを特徴とする。また、本発明の乳幼児健康管理/監視装置は、電源電池を備え、所定時分ごとに温度を測定・記憶する測温部を含み、体温の測定に付随する各種情報を入力する入力部と、表示部とを備え、体温を所定期間前記測定部で測定して体温のトレンド値として記憶しておき、必要に応じて前記測温部を身体の適所に装着または接触してトレンド記憶した体温データと比較表示するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の乳幼児健康管理/監視装置によれば、乳幼児の体重等のトレンド情報、予防接種等の情報とともに、風邪,インフルエンザ,RS(Respiratory Syncytial)ウイルス,はしか等の感染症等による所定時間、例えば24時間での体温変化が健常時とどのように異なるかどうかを容易に比較でき、母子健康手帳機能も備えた乳幼児健康装置を提供することにある。ここでいう母子健康手帳機能とは、出産時情報,健康記録、カウプ指数(身長,体重の成長状態のモニタ),過去の投薬データ等が確認できる等の機能を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施例を示し、自宅等に設置したエアマットと乳幼児P及び携帯端末による乳幼児健康管理/監視装置をシステムを示している。病院等でも同様の乳幼児健康管理/監視装置が適用できる。図2は、端末装置のブロック図、図3は、温度測定部を有するICタグ(RFID)及び温度測定部を有する電池内蔵ICタグのブロック図である。
【0009】
図1において、自宅等の部屋,病室において、生体データ測定用専用エアマット2をベッドや床(フローリング)の上に設置し、乳幼児Pが仰臥している状態である。エアチューブ4を経てパソコンなどの機能を有する端末装置(不図示)とデータ測定用専用エアマット2とを接続し、データ測定用専用エアマット2の圧力変化を端末装置に伝達できるようにしている。ここで、50は、携帯電話のような携帯端末である。
【0010】
<ICタグの構成>
図3において、100は、外部からの通信信号を受けて作動するように構成された温度センサ付ICタグ(RFID)(第2の測温部)であり、合成樹脂などの筐体100aに実装されている。通信を行なう周波数以外の電磁波を吸収する素材を合成樹脂内に含むようにして使用すると好都合である。101は、ICタグ読み取り部34からの信号を受け、ロジック部110を所定のフローで動作させるプログラムが記憶され、コンピュータで読取り可能な記憶媒体であるRAMである。102はEEPROMで、温度センサ106のそれぞれに対応するオフセット値,温度補正値などが記憶されている。また、体温情報も記憶可能である。なお、ロジック部110は、より複雑な処理フローの制御が可能なCPUとしてもよい。
【0011】
温度センサ106としては、温度変化に対してほぼリニアにアナログ出力し、小型化・ICタグとの一体化が可能で、35〜42℃の間で温度分解能が0.05℃である、半導体型の温度センサ、例えばC−MOS温度センサが好ましく用いられるが、サーミスタ型、サーモパイル(熱電対)型でも可能である。103は、被介護者Pに設けられた温度測定部を有するICタグ(RFID)100の体温情報を取得するための送受信回路、103aはアンテナ、104は電源部である。この電源部104は、コイルを有するアンテナ部103aを介して、体温情報を読取られる時に温度測定部を有するICタグ100の各部に電源を供給する。107はA/D変換部であり、温度センサ106と発振回路(不図示)で発生した体温信号をA/D変換するものである。ICタグ100は、アンテナ103aを含めて5mm×5mm、厚さ1.5mm程度の大きさである。なお、ICタグ100は、生体を通過可能な周波数の電磁波での通信(送受信)可能なものであれば、どのような周波数でもよいが、好ましくは13.56MHzの電磁波で送信可能になっている。
【0012】
体温情報もEEPROM102に記憶できるので、別のベッドや別の部屋に乳幼児Pを移し換えても継続して体温情報を記憶できる。また、病院内等において間違った乳幼児Pの情報を取得しないように乳幼児Pごとに識別番号(ID番号)を設け、アンテナ103aから出力される信号を暗号化処理可能にしてセキュリティ機能を持たせることができる。
【0013】
200は、電池内蔵で、設定された時間(分)間隔で体温(温度)情報を最大360日記憶できるように構成された温度センサ付ICタグ(第1の測温部)である。この温度センサ付ICタグ(第1の測温部)を乳幼児Pの適所に貼付けなどして健常時の所定期間、例えば24時間の体温を測定・記憶する。201は、ICタグ読み取り部34からの信号を受け、ロジック部210を所定のフローで動作させるプログラムが記憶され、コンピュータで読取り可能な記憶媒体であるRAMである。202はEEPROMで、温度センサ206のそれぞれに対応するオフセット値,温度補正値,測定時間,測定間隔等が記憶されている。また、体温情報も記憶可能である。なお、ロジック部210は、より複雑な処理フローの制御が可能なCPUとしてもよい。
【0014】
<電池内蔵ICタグの構成>
図3(c)において、201は、ICタグ読取り信号を受け、ロジック部210を所定のフローで動作させるプログラムが記憶され、コンピュータで読取り可能な記憶媒体であるRAMである。202はEEPROMで、温度センサ206のそれぞれに対応するオフセット値,温度補正値などが記憶されている。また、測定された体温情報、乳幼児Pの情報等も記憶可能である。なお、ロジック部210は、より複雑な処理フローの制御が可能なCPUとしてもよい。
【0015】
温度センサ206としては、温度変化に対してほぼリニアにアナログ出力し、小型化・ICタグとの一体化が可能で、32〜42℃の間で所定の温度分解能、例えば0.1〜0.05℃である、半導体型の温度センサ、例えばC−MOS温度センサが好ましく用いられるが、サーミスタ型、サーモパイル(熱電対)型でも可能である。203は、被検者Pに設けられた温度測定部を有するICタグ200の体温情報を信号線を介して送信するための外部通信部、204は電源部、204aは電源供給のための電池である。207はA/D変換部であり、温度センサ206と発振回路(不図示)で発生した体温信号をA/D変換するものである。ICタグ(第1の測温部)200は、10mmФ、厚さ1.5mm程度の大きさである。外部通信部203から出力される信号を暗号化処理可能にしてセキュリティ機能を持たせることができる。このICタグ200は、測定間隔にもよるが測定間隔が1分で3日分程度、5分で2週間分程度、10分で1ケ月分程度の体温測定・記憶が可能となっている。測定間隔の設定は専用の書き込み装置で行なうか、端末装置5の入力部45や携帯端末50の入力部14で行い、接続端子12a、外部送受信部203を介して、EEPROM202に書き込まれる。
【0016】
<電池内蔵ICタグによる体温情報取得>
乳幼児Pは、まず、ICタグ200を備えた第1の測温部2を、身体の適所または、オムツの適所(外気温に影響されない内側等)に装着して所定期間(例えば、春季,夏季,秋季,冬季の1週間、任意に選択した1日,24時間分)測定・記憶し、EEPROM202に時刻とともに体温情報が記憶される。記憶された体温情報は、端末5の外部送信部38や携帯端末50の外部通信部12に接触させる等ことにより、記憶部44,15に記憶される。
【0017】
<監視システムの具体的構成>
乳幼児Pは、生体データ測定用専用エアマット2の上でオムツ(パンツ)300をはいている。オムツ300は、伸縮部材を備えた胴開口部201、伸縮部材を備えた脚開口部202、吸収部材(不図示)からなり、温度測定部を有するICタグ(RFID)(第2の測温部)100をその内側に、吸収部材から離れた位置の適所に備える。なお、健常時の体温データとして、温度測定部を有し、電池を内蔵するICタグ(第1の測温部)200をICタグ(第2の測温部)100の近傍に設け、所定間隔(例えば1〜5分毎)で所定時間(例えば24時間)測定し、EEPROM202にトレンド記憶された体温データを外部送信部38に設けた読取り部(不図示)を外部通信部203に接触させて、記憶部44に記憶する。病院などで使用する場合は、乳幼児PのIDデータ(氏名、生年月日,性別,血液型,病室No.等)と共に記憶する。オムツ300は、パンツ状に限らず、他の形状でもよい。また、オムツを布製にし、リユース可能にしてオムツカバーを用い、尿などで濡れない内側の適所に設けてもよい。温度測定部を有するICタグ100は、面ファスナー等を備える囲包部材で囲包し、着脱自在にしてもよい。
【0018】
端末装置5には、圧力変化を検出する圧力センサと、その検出信号を処理して管理サイト/医療サイト(不図示)へLAN等専用回線またはインターネット等の情報通信ネットワーク(不図示)を介して伝送する制御監視装置が設けられている。
【0019】
なお、温度測定部を有するICタグ100は、イヤホーンのような耳内挿入式にしたり、体表面の任意箇所に貼付可能にして複数の箇所の体温情報を取得するようにしてもよい。なお、この場合には、病室などで複数の乳幼児Pがいても、同時に体温情報の読取り可能になる、アンチコリージョン型のICタグを用いる。管理サイト/医療サイトにはサーバー(データ処理装置)を設置し、乳幼児PのIDと関連付けして、生体情報の測定データの収集、集計、データ分析等を行うようにしてもよい。
【0020】
図2において、40は、ROM42,RAM43などに記憶されたコンピュータ読み取り可能なプログラム、所定の条件などに基づいて所定の処理フローを実行する制御部(CPU)である。36は表示部、44は、検出された体温,心拍,呼吸などの生体情報を記憶する記憶部である。20は、微差圧センサ、21は、絶対圧力センサで、エアマット2の内部圧力をエアチューブ4を介して微差圧センサ20と絶対圧力センサ21に入力される。乳幼児Pの身体に起因する振動がエアマット2に伝達されるので、エアマット2の内部圧力が変化する。微差圧センサ20は圧力変動分を検出し、また、絶対圧力センサ21はエアマット2の内部圧力の絶対圧力を検出する。絶対圧力センサ21は乳幼児Pがエアマット2上にいるかを検出するために設けられている。
【0021】
微差圧センサ20としては、例えば、圧力の変化を受ける受圧面と対抗電極との間の静電容量変化を検知して差圧を検出するコンデンサマイクロフォン型差圧計が用いられる。コンデンサマイクロフォン型差圧計はエアマット2内部の微小な圧力変動を検出できる。
【0022】
微差圧センサ20の検出信号は監視制御装置30を構成するゲイン制御部31に与えられる。ゲイン制御部31は微差圧センサ20の検出信号のレベルを所定範囲の信号レベルに調整する。乳幼児Pの姿勢によってエアマット2に伝わる心拍や呼吸などの振動の強さが異なるために、微差圧センサ20の出力信号の強度(レベル)が異なる。ゲイン制御部31は姿勢によって異なる信号レベルを所定レベルの信号になるようにゲインを調整し、心拍フィルタ32、呼吸フィルタ33に出力する。また、ゲイン制御部31のゲイン値が姿勢判別部36に加えられる。ゲイン制御部31によって所定レベルに変換された微差圧センサ20の出力信号を心拍フィルタ32、呼吸フィルタ33に加えることにより、これら心拍フィルタ32、呼吸フィルタ33から心拍信号、呼吸信号などの乳幼児Pの生体データが得られる。心拍フィルタ32、呼吸フィルタ33から得られた乳幼児Pの生体データはA/D変換部35でデジィタル信号に変換されデータ処理部37に入力される。また、被検者Pに装着されたオムツ200の内側に装着された温度センサ付きICタグ100(図1参照)から、温度情報をICタグ読取り部34で間歇的(例えば5〜30分ごと)に読み取る。ICタグ読取り部34から所定の周波数、13.56MHzの電磁波を送信し、その信号をアンテナを介して温度センサ付きICタグ100が受け、温度センサ106による温度(体温)情報(本実施例では、被検者Pの腹部付近の体温情報)を温度センサ付きICタグ100から読取る。ICタグ100は、アンチコリュージョン型を使用することにより、同時に温度情報を識別して読取れる。データ処理部37は入力した生体データの各種の演算処理を行い、乳幼児Pの状態を監視する。生体データの各種の演算処理には、被検者Pの平常時の生体データとのパターン比較などが含まれる。データ処理部37は絶対圧力センサ21がエアマット2上に乳幼児Pがいることを検出しているときに演算処理を実行する。
【0023】
また、ゲイン制御部31のゲイン値が姿勢判別部36に加えられる。エアマット2の内部圧力を検出する微差圧センサ20の検出信号のレベルは乳幼児Pの横臥している姿勢によって異なるためゲイン制御部31でゲイン調整する。
【0024】
生体データは、差圧センサ(相対圧センサ)20と絶対圧力センサ21で捉えた信号の特徴により、心拍数、呼吸数等を識別化する。例えば、心拍数と呼吸数は、フィルタ32、33を通して正常範囲の周波数に分離する。A/D変換部35によりディジタル信号に変換後にデータ処理部37において高速フーリエ変換を施してピークスペクトルとなる基本周波数を求め、それぞれを抽出する。
【0025】
<生体情報の処理フロー>
生体情報の処理フローについて、図4に基づいて説明する。
エアマット2上に乳幼児Pがいる(横臥,仰臥状態)ことを条件の1つとして測定を開始する(開始指示入力により測定開始するようにしてもよい)。設定された所定間隔、例えば、10〜60分毎に、差圧センサ(相対圧センサ)20と絶対圧力センサ21で圧力信号を取得(検出)する(ステップS1)。取得した圧力信号の特徴により、心拍数、呼吸数等を識別化し、心拍数、呼吸数等を演算する(ステップS2)。1回の圧検出時間は、2〜5分程度である。また、体温情報は、設定された所定間隔、例えば、10〜60分毎に、乳幼児Pに装着されたICタグ100に対して、ICタグ読取り部34から所定の周波数、13.56MHzの電磁波を送信(送受信距離は、10cm〜1m程度)し、その信号と同期して得られる温度センサ106の体温情報を読取る。その信号と同期して得られる温度センサ106の体温情報を読取る(ステップS3)。この生体情報は、記憶部44に記憶される(ステップS4)。この生体情報は閾値と比較される。例えば、体温の場合、上限値が37.5℃、下限値が35.5℃としている。また、心拍は、例えば、上限値が120拍/分、下限値が30拍/分、呼吸数は、例えば、上限値が90/分、下限値が10/分としている。また、氷枕120の外表面の温度は、例えば、上限値を36.5℃としている。これらの生体情報のうち少なくとも1つの情報が異常と判断されると、アラームを発生させ(ステップS6)、管理サイト/医療サイトの担当医に報知するようにしている。なお、担当医の携帯電話などに報知するようにしてもよい。異常と判断された乳幼児Pの容体を確認後、必要に応じてリセット(ステップS7)する。必要がなければ、監視(測定)を終了する。異常がない場合は、必要に応じてステップS1に戻り、測定終了の指示入力があるまで生体情報の測定を繰り返す。測定され、記憶部44に記憶される生体情報は、平均値、最大値、最小値、最多値を求めて、乳幼児PのIDとともにそれらのデータも記憶部44、サーバー(不図示)に記憶する。記憶部44に記憶された、心拍数、呼吸数、体温等の生体情報は、図6に示すように表示部36や表示部11にトレンド表示される。表示部36,表示部11では、心拍数、呼吸数、体温を同時に1時間(60分)毎にトレンド表示しているが、このうち1つまたは任意の組合せで表示可能にしてもよい。また、解熱剤などの投薬データをメモ情報として、日時とともに入力部45または入力部14で入力しておくことで、表示部36,表示部11の生体情報のトレンド表示と併せて表示可能となる。管理サイト/医療サイトの表示部(不図示)でも同様の表示ができるようになっている。アラームを発生する判断の他の条件として、体温値が1つの閾値、例えば、37.5℃を越え、体温変化率(℃/分)が所定の値を超えた場合、例えば1℃/60分を越えた場合にアラームを発生させることもできる。また、例えば、39℃を所定時間、例えば3時間程度越えた場合にアラームを発生させることもできる。この場合、体温値が1つの閾値、例えば、37.5℃を越えると、測定間隔を当初の所定間隔よりも短くなるように制御するようにしてもよい。
【0026】
なお、圧力検出に基づく解析時間(所定時間)は2〜5分間でなく、任意の時間に設定できる。解析時間は1就寝分のデータ解析に都合のよい時間でよく、また、1就寝分でなく、所定の就寝時間内を設定することもできる。システムの規模、解析速度等により最適な条件とする。データ処理部37は、例えば、乳幼児Pの健康状態を次のような判断基準に基づき判定する。
【0027】
次に就寝中の異常監視と緊急通報について説明する。端末装置5のデータ処理部37は、所定時間(2〜5分間)分の生体データを解析して心拍数、呼吸数等を算出し、また、ICタグからの温度情報から、これらが異常といえる既定値の範囲を越えた場合に体温値異常、心拍数異常、呼吸数異常として表示装置へ表示するとともに、緊急通報として管理パソコンに通報する。データ処理部37は心拍数異常、呼吸数異常として表示装置へ表示すると共にブザーを鳴動させるようにする。データ処理部は、体動に関しては一定時間以上続くと発作と認識して同様に表示とブザー応答を行い、情報通信ネットワークを介して管理サイト/医療サイトの管理パソコンへ通報する。これを受けて管理サイト/医療サイトの医師などの医療従事者が対処方法を情報通信ネットワークや電話、FAXなどでフィードバックする。なお、呼吸検知は、上述の振動法によらず、気流検出法,呼吸音検出法により行い、呼吸数を演算したり、パルスオキシメータで行うようにしてもよい。
【0028】
端末装置5のほかに携帯端末50により、上記生体情報を取得し、表示するようにすれば介護者の負担が軽減できる。図1において、携帯端末50は、端末装置5と同様に、表示部11、入力部14、端末装置5やインターネット等の情報通信ネットワークと通信可能な外部通信部12、記憶部15、コンピュータ読み取り可能なプログラム、所定の条件などが記憶されたROM16,RAM17、システム全体を処理する制御部(CPU)10を備える。乳幼児Pの体温情報をICタグ100から直接読取ったり、電池内蔵のICタグ200の体温情報を直接読取るためにICタグ読取り部13等を設けたり、光,バイブレーター,音声等の報知手段を備えた報知部19を備えておけば、母親等の負担が軽減できる。
【0029】
<体温情報に基づく通常の健康管理>
乳幼児PにICタグ100を設けたオムツ300を着せた後、入力部14,入力部45 等で測定開始指示をするか、入力部14,入力部45などで測定開始時刻設定(時間設定)指示入力を行なうことにより、体温測定を開始する。体温情報は、入力部14,入力部45で予めで設定入力された時間条件、例えば所定の温度上昇が確認できた時点等を基点として、例えば5分後にICタグ(第2の測温部)100に対してICタグ読取り部13から13.56MHzの電磁波を送信(送受信距離は、10cm〜1m程度)し、その信号と同期して得られる温度センサ106の体温情報を読取る。測定されたこれらの体温情報は、記憶部15に記憶される。この体温情報は閾値と比較される。例えば、体温の場合、上限値が37.5℃、下限値が35.5℃としている。体温情報が異常(測定中の異常も含む)と判断されると、アラームを発生させる。測定終了するとブザー,バイブレータ,光,音声などで報知する。異常がある場合(例えば発熱時の基礎体温)は「発熱」と表示部11に表示させ、入力部14でその旨のメモ入力し、記憶部15に記憶させる。異常の場合、必要に応じてリセットし(ステップS6) 、ステップS1に戻り、再度体温測定を行なう。異常がない場合は、測定された体温を記憶し、体温測定を終了する。
【0030】
記憶部15に記憶された、体温,メモ入力等の情報は、表示部11に所定期間、例えば30日で表示される。なお、バリオリズム演算・表示機能(後述)と併せて表示できるようにすれば、当日の体調が容易に確認できる(図8参照)。このような情報は、被検者PのIDとともに、健康関連サービス業者のサーバーや主治医などの医療サイトのサーバーへ暗号化してインターネット,専用LAN等により送信し、必要に応じて主治医のコメント等のアドバイスを受けるようにすることができる。
【0031】
<他の使用形態>
本発明の乳幼児健康管理/監視装置は、通常の電子体温計として使用できる。この場合、測温部1、ICタグ100、ICタグ読取り部34は設ける必要はない。乳幼児Pの身体の適所(腋下,オムツ等)に装着して所定時間(1〜5分程度)体温測定すると体温情報は、電池内蔵ICタグ200のEEPROM202に時刻とともに記憶される。記憶された体温情報は、端末装置5の所定位置に電池内蔵ICタグ200をセットするか接続端子により、外部送信部203から外部通信部18を経て記憶部15に記憶される(読取り開始スイッチ等を設けて読取り開始指示を行なうようにしてもよい)。記憶された体温情報の最高値を測定された体温として表示部11に表示する。
【0032】
携帯端末50と電池内蔵ICタグ200により、電子体温計として機能させることもできる。この場合も無線によるICタグ読取り部13は設ける必要はない。乳幼児Pの身体の適所(腋下,オムツ等)に装着して所定時間(1〜5分程度)体温測定すると体温情報は、電池内蔵ICタグ200のEEPROM202に時刻とともに記憶される。記憶された体温情報は、携帯端末50に電池内蔵ICタグ200の読取部を設け、ICタグ200をセットするか接続端子12aにより、外部送信部203から記憶部15に記憶される(読取り開始スイッチ等を設けて読取り開始指示を行なうようにしてもよい)。記憶された体温情報の最高値を測定された体温として表示部11に表示させる。
【0033】
<その他の機能・動作>
その他の機能・動作を図5に基づき、以下に詳述する。
(1)時刻設定
携帯端末50に電池を挿入すると、不揮発性メモリであるEEPROM16から、現在の年・月・日・時及びそのサム値を含む必要なデータを読込む(ステップS600)。電池が挿入されている間は、不図示の工程にて、時計(タイマ)14より1時間に1回、00分毎に信号が演算処理部10に送られ、演算処理部10は当該信号を受信したら、その時点の年・月・日・時をEEPROM16に書き込む(ステップS601)。
【0034】
次に、読込んだ現在の年・月・日・時のサム値を計算し、読込んだサム値と等しいかを確認する(ステップS602)。等しければそのままSLEEP状態に進む。等しくなければ、読込んだ値が不正と判断し、エラーフラグFLAGerrをセット(=1)する(ステップS603)。
【0035】
次に、電源スイッチが押されるまで、即ち電源がONされるまでSLEEP状態で待機する(ステップS604、S605)。
【0036】
電源スイッチにより電源がONされたら、FLAGerrを確認し、所定条件、たとえばそれが1以外だったら検温動作に移行する(ステップS608)。もし、FLAGerrが1だったら、日時入力処理に移行する(ステップS607)。ここでは、日時の入力を促す画面が表示され、使用者は画面に従い、現在年月日時分を入力する。別法として、FLAGerrの値によらず、電池を挿入後、初回の電源ONの場合は常に日時入力処理に移行する方法も考えられる。その場合は、サム値及びサムチェックの機能は不要になる。また、電波時計を備えることにより、サム値及びサムチェックの機能は不要になる。また、投薬状況の確認,ミスなどを防止するために投薬メモを入力する時に、電波時計を備えたほうが都合が良い。こうすることで、使用者による年・月・日・時・分の設定が速やかで容易に行なえ、EEPROMの現在年月日時分が破損した場合でも、使用者自身で正しい日付を速やかに行なえる。こうして、時計機能及びカレンダ−に基づくカレンダ−機能により、設定された現在時刻が表示部11に表示される。即ち、午前、午後を示すAM,PMとともにその時の時刻が表示される一方、この時計機能による時間カウントが24時間経過する毎に日付が更新され、この日付はカレンダ−機能により表示部11に表示される。尚、表示部11に「年」を表示するようにしてもよい。
【0037】
(2)体重等のトレンド表示機能
端末装置5の入力部45、端末50の入力部14で月・日と併せて測定された乳幼児Pの体重,身長をトレンド記憶し、表示する機能、予防接種等の記憶機能を備えることで母子健康手帳の機能も備えている。図7は、体重,身長の変化を標準値、下限値、上限値,カウプ指数等と併せて表示し容易に比較できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施例を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係るブロック図である。
【図3】本発明の実施例に係る温度測定部を有するICタグのブロック図である。
【図4】本発明の実施例に係る生体情報の取得処理フローを示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る時刻設定の処理フローを示す図である。
【図6】本発明の実施例に係る表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施例に係る表示例を示す図である。
【図8】本発明の実施例に係る表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
2・・・エアマット、4・・・エアチューブ、5・・・端末装置、P・・・乳幼児、50・・・携帯端末、100,200・・・ICタグ、101・・・RAM、102・・・EEPROM、103・・・送信受信回路、103a・・・アンテナ、106・・・温度センサ、200・・・オムツ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児健康管理/監視装置であって、
乳幼児のベッドに設置したエアマットと、前記エアマットの内部圧力変化を検出する圧力検出手段と、前記圧力検出手段で検出した前記エアマットの内部圧力変化を基づき被検者の生体データを測定する手段と、電源電池を備え、所定時分ごとに温度を測定・記憶する第1の測温部と、温度測定部を有するICタグを備え、乳幼児の適所で測定可能な第2の測温部と、測定された体温情報を読取るICタグ読み取り部と、体重等の生体情報,予防接種情報等を入力可能な入力部と、前記体温測定部による測定値を記憶する記憶部と、前記記憶部により記憶されている各種生体情報をトレンド表示するとともに、前記第1の測定部で予め測定された所定期間の体温のトレンド記憶しておき、前記第2の測温部で測定し、トレンド記憶した体温データと比較表示するようにしたことを特徴とする乳幼児健康管理装置。
【請求項2】
さらに、体重の標準トレンドの上限値、下限値を表示可能にしたことを特徴とする請求項1記載の乳幼児健康管理装置。
【請求項3】
所定の閾値以上の体温変化または所定の閾値以上/以下の体温が検出されるとアラームを発生することを特徴とする請求項1記載の乳幼児健康管理装置。
【請求項4】
乳幼児健康管理/監視装置であって、
電源電池を備え、所定時分ごとに温度を測定・記憶する測温部を含み、体温の測定に付随する各種情報を入力する入力部と、表示部とを備え、体温を所定期間前記測定部で測定して体温のトレンド値として記憶しておき、必要に応じて前記測温部を身体の適所に装着または接触してトレンド記憶した体温データと比較表示するようにしたことを特徴とする乳幼児健康管理/監視装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−229078(P2007−229078A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52279(P2006−52279)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】