説明

乳房撮像の自動診断及び決定支援システム及び方法

乳房撮像CAD(コンピュータ診断)システム及びアプリケーションは、患者から収集した情報(画像データ及び/又は非画像データを含む)から特徴を自動的に抽出し分析することにより、例えば、乳癌の自動診断及び、例えば、乳癌のスクリーニング及び段階付け等の決定支援を可能にする他の自動決定機能を含む医師のワークフローの種々の局面について決定支援を行う。CADシステムは、1またはそれ以上の関連の臨床ドメインにおける標識化された患者症例のデータベースから取得(学習)される訓練データセット及びかかるデータの専門家による解釈を用いることにより、CADシステムが患者データの分析について「学習」し、医師のワークフローを支援する適切な診断評価及び決定を行えるようにする機械学習法を実施する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、医療撮像の自動診断及び決定支援システム及び方法に係り、さらに詳細には、患者の画像データ及び/または非画像データから抽出されるパラメータを分析できるように学習させる機械学習法を用いて、患者の医学的状態(乳房の腫瘍)の診断及び効験あるヘルスケアまたは診断もしくは治療パスの決定を含む(これらに限定されない)医師のワークフローの種々の局面で医師を支援するための自動決定支援機能を提供する乳房撮像のCAD(コンピュータ診断)システム及びアプリケーションに係る。
【背景技術】
【0002】
今日、ほとんどの国において、ある年齢(通常は40歳)を超える女性は、X線乳房撮像法による乳癌のスクリーニングを受けている。X線乳房撮像の結果としてがんの疑いのある組織が発見されると、患者は精密診断を受けることになる。あるいは、健康診断の結果チェックする医師が患者の乳房に異常な特徴(例えば、しこり)を感じるか、または医師が臨床、病歴または他の手段によりがんのリスクが異常に高いと判定する状況のような他の経路により精密診断をするよう送り込まれることがある。
【0003】
精密診断では、X線乳房撮像(デジタルまたはアナログ)、MRI、または超音波を含む幾つかの撮像モダリティの1つを用いて患者の乳房が撮像され、乳房組織の石灰化またはしこりを含む乳房組織の解剖学的異常がスクリーニングまたは評価される。X線断層像合成、光学的画像形成、歪み画像形成、原子画像形成などを含む新しい方法が診断目的のために開発中であるが、これらは乳房組織の特定の病変が良性か悪性かを医師が判定評価する目的で患者の乳房の診断画像を得るために使用できる。
【0004】
医師が診断画像をチェックした結果病変が悪性かもしれないと思う場合、病変組織の一部を取り出して分析する生検が行われる。このプロセスは、組織が良性か悪性かを特徴付けるための「黄金律」であると考えられる。しかしながら、種々の理由で生検の回数を最小限に抑えるのが好ましい。例えば、生検は患者に痛みを与え、傷跡を残し、生検を実施する時と、その結果が患者に通知される時との間(通常は少なくとも数日)が長くなると、患者は悪い結果の可能性を予想して大きなストレスにさらされることがある。一方、生検は医師による大きな割合の乳癌患者の正確な診断を可能にする。かくして、感度と特異度の間にはトレードオフ関係またはバランスが通常維持される。
【0005】
医療撮像の分野では、種々の撮像モダリティ及びシステムにより解剖学的構造の診断画像を形成して医学的状態をスクリーニングし評価することができるが、乳癌の検知については、診断用撮像モダリティにそれぞれ特有の長所及び短所があり、最適の撮像モダリティの選択はそれぞれの患者にとって同一ではない。撮像モダリティの選択は所与の患者について感度及び特異性を最大にするように行うのが理想的である。それぞれの患者には、かかる目的のための1またはそれ以上の最適撮像モダリティが存在するであろう。しかしながら、コスト上の理由により、各患者を多数の撮像モダリティにより撮像した後、感度と特異性を最適にバランスさせるモダリティを選択することは不可能である。
【0006】
診断用撮像モダリティの選択は通常、紹介医師が、例えば、(i)利用可能性及びコスト、(ii)快適レベル及び紹介医師の経験、または(iii)患者の情報を取得するために何れの撮像モダリティが最適であるかについての医師の「勘」を含む多数のファクタに基づいて行う。第1のファクタは不可避的であるが、第2及び第3のファクタは個別の患者について撮像モダリティの次善の選択に結びつくことがある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の例示的な実施形態は、一般的に、乳房撮像の自動診断及び決定支援システム及び方法を包含する。詳説すると、本発明の例示的な実施形態は、乳房ケアのワークフローの種々の局面について医師に自動支援を行うために収集された患者の情報(画像データ及び/または非画像データを含む)から関連ある特徴/パラメータを抽出して分析する自動化方法を実現する、乳房撮像のCAD(コンピュータ診断)システム及びアプリケーションを包含する。例えば、CADシステムは、乳癌及び他の関連状態の自動診断、乳癌を患っている及び/または将来乳癌になる患者の危険性の評価、及び患者の現在の状態に基づき患者のための効験あるヘルスケア、診断もしくは治療パスの決定にあたり医師を支援する他の自動決定支援機能を提供することができる。
【0008】
本発明の他の例示的な実施形態において、乳房撮像のCADシステム及び方法は、1またはそれ以上の関連の臨床ドメインにおいて以前診断された(標識化された)症例のデータベースから取得された(学習された)訓練データ及び/またはかかるデータの専門家による解釈を用いることにより、CADシステムが患者データを正しく且つ正確に分析できるようになり、医師のワークフロー支援のために適切な診断及び/または治療評価及び決定を行えるようにする、機械学習法を実現する。
【0009】
本発明の上記及び他の例示的な実施形態、特徴及び利点は、添付図面に関連して例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読めば明らかになるであろう。
【実施例】
【0010】
一般的に、以下に説明するような本発明の例示的な実施形態は、乳房撮像のための自動化された診断及び決定支援を提供するシステム及び方法を含む。詳述すると、図1〜図4を参照して後述するような本発明の例示的な実施形態は、例えば、乳房撮像用のCAD(コンピュータ診断)システム及びアプリケーションを含み、このシステム及びアプリケーションは、対象患者から収集した患者情報(画像データ及び/又は非画像データを含む)から関連の特徴/パラメータを抽出し分析するための自動化された方法を実施して、例えば、患者のヘルスケアまたは診断パス及び/または治療パスに関する決定を行う必要のある医師のワークフローの種々の局面につき医師に対して自動的な支援を提供する。画像からの情報だけを用いて医師への決定支援を行おうとする種々の方法が開発されている。しかしながら、これらの方法は、患者レコードには非画像データの形のかなりの量の情報が含まれるという事実を見過ごしている。以下に詳述するように、本発明の例示的実施形態によるCADシステム及び方法は、有利なことに、画像データ及び非画像データの両方を組み合わせる自動決定支援方法を提供する。ここでは、人口動態データ、歴史及び身体的情報、医師の覚書、検査室結果、血液検査結果、たんぱく質分析結果及び遺伝子分析結果を含む(これらの限定されない)患者レコードに見られる画像以外の全情報を包含すると解釈する。例えば、乳房撮像の特定の症例では、疑わしい所見の同じ画像の二人の女性は、例えば、一人ががんの病歴かまたは危険因子のない若い女性であるが、もう一人がBRCA遺伝子が存在するような乳癌の素質のある遺伝子を有し、乳癌の家族がいたことが知られている年配の女性である場合に、異なる方法で治療されることがある。臨床情報と画像情報を組み合わせると、その医師に最も価値のある支援が提供される。
【0011】
例えば、所与の患者につき収集された情報セットが与えられると、本発明の例示的な実施形態によるCADシステムは、かかる患者情報から関連の特徴を抽出し分析することにより、患者の現在の状態(例えば、疾病の診断の確率及び信頼度または病歴、年齢などが与えられた場合の特定の疾病にかかる可能性)を自動的に評価し、診断の信頼度を増加させるに有用な付加的テストまたは特徴(もしあれば)を自動的に決定し、そして医師のワークフローの他の局面においてその医師にそれ以外の決定支援を提供することができる。
【0012】
本発明による例示的なCADシステム及びアプリケーションは、1またはそれ以上の関連の臨床ドメインにおいて標識化された患者の症例のデータベースから取得された(学習された)訓練データ及び/またはかかるデータの専門家による解釈を用いることにより、CADシステムが患者データを適切且つ正確に分析できるようになり、医師のワークフローを支援するために適正な診断評価及び決定を行えるようにする機械学習法を実行する。例えば、乳癌を診断するための乳房の撮像に関して、以下に述べる例示的なCADシステムは、乳癌のスクリーニング、診断及び/または段階付けの領域において適切な評価を行えるようになる。例示の目的で、本発明の例示的な実施形態を乳房ケアのための乳房の撮像及び医師のワークフローに特に関連して説明する。しかしながら、本発明は任意特定の医療分野に限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明は、医師が患者の現在の状態をチェックまたは評価して、適当なケアを提供するためにいかなるワークフローパスをたどれば患者の現在の状態をより正確に評価できるかを決定するために医師のワークフローが必要とする任意の医療分野の診療にあまねく適用可能である。当業者は、本発明の例示的な実施形態によるCADシステムが医師のワークフローを支援するための強力なツールを提供することが容易にわかるであろう。
【0013】
本明細書で説明する本発明によるシステム及び方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用プロセッサ又はこれらの組み合わせの様々な形態で実現できることを理解されたい。本発明の1つの例示的な実施形態において、本明細書に示したシステム及び方法は、1またはそれ以上のプログラム記憶装置(例えば、磁気フロッピディスク、RAM、CD−ROM、DVD、ROM、及びフラッシュメモリ)上で有形的に実施され、適切なアーキテクチャを含む任意の装置又は機械によって実行可能なプログラム命令を含むアプリケーションとしてソフトウェアで実施される。このアプリケーションは、分散型ネットワーク等のn層クライアント・サーバーアーキテクチャを有する分散型ネットワークアプリケーションでよい。
【0014】
更に、添付図面に示した構成システムモジュール及び方法段階はソフトウェアで実現できるため、システム構成要素間の実際の接続(又は、プロセス段階の流れ)は、アプリケーションがプログラムされる態様によって異なる場合があることを理解されたい。当業者は、本明細書の教示をもとに、本発明の以上の又は類似の実施態様又は構成を実現できるであろう。
【0015】
図1は、本発明の例示的な実施形態による乳房撮像用の自動診断及び決定支援を提供するシステムを示すハイレベルのブロック図である。詳述すると、図1は、対象患者の様々なタイプの患者情報(1)と(2)を分析して、診断の評価と助言、及び対象患者に関する医師ワークフローの様々な局面において医師を支援するための他の決定支援を行う方法を実施するCAD(コンピュータ診断)システム(10)を示す。CADシステム(10)は、CADシステム(10)が、患者情報(1、2)を分析するために継続的に学習すると共に、より正確な診断評価及び/又は判定を継続的に提供して医師のワークフローを支援できるようにする機械学習法を使用する。
【0016】
CADシステム(10)への入力は、1またはそれ以上の撮像モダリティの画像データ(1)(例えば、超音波画像データ、X線乳房撮像データ、MRIデータ等)、及び患者の治療が進むにつれて収集された臨床データと、患者履歴、家族履歴、人口動態的情報、財産情報、及び他の関連する患者情報等の他の情報を含む、様々な構造化及び/又は非構造化データソースからの非画像データ(2)とを含む患者情報の様々なソースを含む。CADシステム(10)は、画像データ(1)及び非画像データ(2)から情報(特徴)を自動的に抽出し、抽出した情報をCADシステム(10)による分析に適した態様で組み合わせる方法を実施する。CADシステム(10)がサポートする診断及び決定支援機能により、CADシステム(10)は、1またはそれ以上の出力(11)、(12)及び/又は(13)を生成することができる。以下に述べるように、乳房ケアの分野では、これらの出力は乳房ケアのためにスクリーニングし診断し、段階付けを行う医師のワークフローを支援することができる。
【0017】
本発明の1つの例示的な実施形態において、CADシステム(10)は、画像データ(1)と、(オプションとして)非画像データ(2)とから情報を抽出し分析して、診断の確率及び(オプションとして)診断の信頼度(11)を自動的に発生させて出力するか、または推奨される治療法をかかる治療法の効果に関する確率及び(オプションとしての)信頼度、例えば、推奨される治療法が所望の(有益な)効果をもたらす確率、と共に出力することができる。この出力(11)を、総称して、推奨治療法の確率及び信頼度と呼ぶことができる。
【0018】
さらに詳細には、一例として、乳癌診断の目的で、CADシステム(10)は、乳房組織の疑わしい病変部を自動的に検知し診断し(あるいは他のやり方で特徴付け)、そして、例えば、かかる病変部が悪性である確率をかかる診断の信頼度を示すオプションとしての指標と共に出力するための方法を包含する。この例において、CADシステム(10)は、スクリーニングX線乳房撮像写真(画像データ)から関連の特徴を抽出し、その特徴と患者臨床病歴情報(非画像データ)を分析して、悪性の現在の評価を行うことができる。
【0019】
あるいは、例えば、乳癌が分かっている患者について、CADシステム(10)は、治療の方向を示唆することができるが、その場合、確率と信頼度(11)は治療法が望ましい(恐らく有益な)効果をもたらす可能性を示し、これは、患者の乳癌の治癒から、唯一の目的が末期の乳癌を患う患者の生活の質を改善することにある純粋な緩和療法にまで及ぶ。詳述すると、CADシステム(10)は、治療法を示唆する他に、自動的に、その治療法が所定の効果をあげる確率及び/又は信頼度を与え、その治療法に副作用のような所定の有害な影響が生じる確率及び/又は信頼度を与えることができるであろう。確率は、起こり得る有益と有害の両方の結果の分布、将来の1時点又は複数の時点で起こり得る有益と有害の両方の結果の1組の分布、或いは将来の様々な時点で起こり得る結果の時間的に変動する分布として指定することができる。
【0020】
本発明のもう1つの例示的な実施形態において、CADシステム(10)は、実施あるいは取得されると、診断の信頼度(即ち、感度分析)を改善する1またはそれ以上の追加の検査、測定または特徴を自動的に決定し指定することができる。例えば、CADシステム(10)、それぞれの追加の検査、測定または特徴の「スコア」(12)を決定し出力することができるが、これは、CADシステム(10)によって決定される評価又は診断の信頼度を改善する特定の撮像モダリティ又は特徴の潜在的有用性に関する指標を提供する。例えば、CADシステム(10)がスクリーニングX線乳房撮像写真(画像データ)から関連の特徴を抽出し、その特徴と患者臨床病歴情報(非画像データ)を分析して、検知された病変部が悪性であるか否かの現在の推定値及びその信頼度を与えると仮定すると、CADシステム(10)はさらに、病変部が悪性か良性かを判定するかあるいは癌の程度を判定(段階付け)するのに有用な、もしくは、乳癌であることがわかった患者の治療の方向、例えば、外科手術か、放射線治療か、化学療法か、ホルモン療法か、もしくはそれらの組み合わせ(いわゆる「カクテル」療法)かの決定するのに最も有用な最大量の付加的情報が得られる可能性が最も高いのはいずれの撮像モダリティかを指示することができる。
【0021】
本発明のもう1つの例示的な実施形態において、CADシステム(10)は、現在の症例(13)と類似の1またはそれ以上の例示的な症例研究を識別し(表示又はリストにより)出力することができる。例えば、前に説明し後で更に詳述するように、CADシステム(10)は、前に標識化した(診断した)症例のデータベース(又はライブラリ)を含むことができ、CADシステム(10)は、対象患者に関してCADシステム(10)に入力された患者情報から抽出された特徴に基づいて、診断支援のためにライブラリからn番目までの最も適切な症例を検索し表示することができる。換言すると、CADシステム(10)は、自動的に抽出された特徴を使用して、訓練セットから類似の症例セットを提供することができる。
【0022】
医師ワークフローの文脈で類似症例を表示するCADシステム(10)機能は、医師に大きな支援を提供できることが分かる。例えば、類似症例の表示は、経験の浅いユーザを訓練することができる。実際には、初心者ユーザは、他の症例をチェックして、症例がそのように解釈された基準又は理由を見極め或いは理解することができる。更に、類似症例の表示は、経験が豊富なユーザにCADシステム(10)の診断結果を確認する手段を提供する。実際に、CADシステム(10)は、所定の症状の診断の確率に加えて、その評価を正当化するために類似症例を表示することができる。更に、類似症例を表示することにより、予後と治療の評価が可能になる。詳述すると、類似症例を調べて他の患者が様々な治療選択肢にどのように反応したかを知ることによって、医師は、その患者に対するそのような選択肢の効果の評価を始めることができる。
【0023】
以上のことを考えると、CADシステム(10)は、一般に、患者の現在の状態の評価(例えば、特定の疾患の確率)を提供し、対象患者の次の最良のヘルスケア又は診断パスを決定する(例えば、評価のあいまいさを少なくする可能性の高い、取得できる追加の検査(又は特徴)を識別する)ことによって医師ワークフローを支援できる自動化システムと見なすことができる。前述のように、CADシステム(10)は、情報がCADシステム(10)の訓練セットで収集されたデータにより学習され、決定が行われる1またはそれ以上の機械学習法を実施することを理解されたい。詳細には、前述のように、CADシステム(10)は、CADシステム(10)に教示する訓練データが得られる例示的診断症例のライブラリを含むことができる。CADシステム(10)は、専門家によって指定されコードに変換される1組の規則から開発され導き出された「エキスパートシステム」とは対照的に、診断症例或いは専門家の知識から学習した訓練データに基づいて正確な診断決定を行い決定支援を提供するようになる。
【0024】
CADシステム(10)は様々な機械学習法を実施できることを理解されたい。例えば、本願の譲受人に譲渡され本明細書の一部として引用するZhou他により2003年11月6日に出願された「System and Method for Real-Time Feature Sensitivity Analysis Based on Contextual Information」と題する米国特許出願第10/702,984号に記載されたシステム及び方法をCADシステム(10)に使用すると、診断のあいまいさを減少させるためにいずれの検査又は特徴が最も適切かを決定することができる。Zhouの手法は、本質的に、プロセスのモデルを作成し、あいまいさを減少させる際の各特徴の相対的重要性を決定するものである。そのような方法を本明細書に組み込んで、各撮像モダリティ又は診断パスを、1組の1またはそれ以上の特徴として記述することができる。次に、Zhouによって示された方法は、いずれの特徴が診断又は評価の信頼度を最も改善する可能性が高いかを決定するために使用される。CADシステム(10)において、症例の大きい訓練セットから学習する他の機械学習法を実施することができる。例えば、決定ツリー、SVM、ニューラルネットワーク、ベイズネットワーク、或いはかかる多数の方法を組み合わせた方法を使用することができる。あるいは、モデルを利用するアルゴリズムを、例えば、特定種類の病変に関連のある種々のファクタの因果関係の知識に基づいてある種の病変を検知するように構築するかまたは訓練してもよい。
【0025】
CADシステム(10)は、そのような決定を行うために使用可能な様々な特徴又は情報がなくても適切な決定支援を行えることが分かるであろう。例えば、患者の医療レコードがその患者のスクリーニング乳房撮像写真及び基本的な人口動態的情報(例えば、年齢及び人種)だけを含んでいて、臨床情報または家族情報を含んでいない場合、CADシステム(10)は診断の確率及び信頼度と共に次にいかなる検査をするか手順を踏むべきかについての最良の予測を与えることができる。この場合、推奨される手順は患者の家族情報の収集であるかもしれない。もちろん、システムの信頼度は提供される情報の増加に従って改善される。極端な場合として、所与の患者の情報が全くない状況を考えられたい。この場合、CADシステム(10)は、その患者に対して実行すべき最初のステップについてのある種のガイダンスをその医師に与える能力を具備すべきである。欠落したデータ/雑音データについて学習及び/または推論を行う種々の方法を決定支援システムに用いることができる。
【0026】
上記方法は、乳癌のような医学的状態について自動スクリーニングを行うように拡張できることを理解されたい。米国では、現在、40歳以上の女性は全て、X線乳房撮像スクリーニングを毎年1回受けるように推奨される。乳癌診断の場合と同様に、文献には乳房撮像に関連するリスクを自動的に評価する研究が存在する。この点につき、MRIまたは超音波は、乳房撮像診断結果にある特定の所見のある人口の特定の部分集合または女性にとって優れたスクリーニングツールであろう。さらに、一部の女性については、彼らの人生の現時点において乳癌にかかる危険性は十分に小さいため、スクリーニングのためにイオン化放射線の照射を受けるリスクを冒す価値またはコストを負担する価値がないかもしれない。
【0027】
従って、CADシステム(10)は、患者の臨床及び家族履歴を考慮して、患者が乳癌に罹っている(又は乳癌を発病する)確率を求め、さらなる診断のために疑わしい病変または癌のリスクを検知するべくいずれのスクリーニング検査(ある場合)を患者に実施すべきかについて決定するように構成することができる。この可能性は、患者の人生の任意の時点において、例えば、最初のスクリーニング検査を受けた後か、スクリーニング及びMRI検査を多数回受けた後に、推定できるかもしれない。そのような決定は、前述のような訓練セットと、機械学習法を使用して行うことができる。更に、CADシステム(10)は、スクリーニングのために、疾患の可能性、訓練セットからの典型的症例、及び所与の患者に最適なスクリーニング検査を含む、前述のような決定を行い、出力することができる。この場合、スクリーニング検査に関する決定は最も興味がある。実際、かかる決定については、スクリーニング乳房撮像は分類のためには利用できないであろう。さらに、患者の診断を修正するためでなくて、乳房の疑わしい病変の特定かまたはさらなる診断用検査を正当化するに十分な乳癌の危険性を修正するために比較を行う必要があろう。
【0028】
本発明の別の例示的な実施形態によると、CADシステム(10)は治療のために腫瘍の段階付けを行うについて乳房撮像の支援を行うことができる。一般的に、段階付けは、病変の場所の正確な特定と、病巣が単一であるか多数にわたるものであるかの判定を含む。本発明の例示的な実施形態によると、CADシステム(10)は、スクリーニング及び/または診断用検査から取得された病変についての情報が与えられると、病変の段階付けをするためにいかなる検査を使用すべきかの決定を行えるようになる。例えば、訓練セットにおいて、種々のモダリティによる段階付けの結果を治療時またはその後の受診時に実際に見られる結果と比較することができる。従って、上述したような機械学習法を用いることにより、CADシステム(10)は所与の患者の段階付けへの適切なアプローチを学習することができる。訓練セットによる例示的な症例が、同様な症例の患者について段階付けの結果がどのようなものであるか、そして恐らく治療後の結果さえも示せる可能性がある。
【0029】
図1に関連して上述した例示的なCADシステム及び方法は、1またはそれ以上の撮像モダリティを支援できるCADシステムを構築するための一般的なフレームワークを提供し、そして医師のワークフローの種々の局面において支援を行う1またはそれ以上の機能を提供する。図1のフレームワークに基づく、本発明のCADシステム及び方法の例示的な実施形態を、例えば、乳房撮像について医師のワークフローを支援するために、図2、3及び4に関連して説明する。図2及び3の例示的な実施形態は、1またはそれ以上の超音波撮像モダリティについて乳房撮像用CADシステム及び方法を示すものである。図4は、図2及び3のシステムを組み込んだCADシステムの例示的な実施形態であり、これは、乳房撮像に使用可能な多数のモダリティを備えたCADシステムを可能にするさらなる機能を提供する。
【0030】
次に図2を参照して、このブロック図は、本発明のもう1つの例示的な実施形態による乳房撮像の自動診断及び決定支援システムを示す。詳述すると、図2のCADシステム(20)は、超音波(Bモード分析)の乳房撮像をサポートする図1のCADシステム(10)を実現する1またはそれ以上の例示的なフレームワークを示す。一般的に、CADシステム(20)は、特徴抽出モジュール(22)、特徴組み合わせモジュール(23)、分類モジュール(24)、診断/ワークフロー支援モジュール(25)及び自動検知モジュール(29)からなるデータ処理システム(21)を含む。
【0031】
自動検知モジュール(29)は、乳房組織の超音波画像データ(3)を処理して撮像乳房組織の病変の可能性のある部分を検知し分離する方法を実施する。詳述すると、自動検知モジュール(29)は、超音波画像データ(3)を処理して乳房組織の微小石灰化部分またはしこりなどのような病変部及び他の解剖学的異常構造を自動的に検知する1またはそれ以上の従来方法を実施する。自動検知モジュール(29)は、病変の可能性があるか、異常であるか、病気の状態であるとして識別される、画像データ中の興味ある特徴領域を自動的に検知しそれをマークする。
【0032】
特徴抽出モジュール(22)は、超音波画像データ(3)及び、以下においてさらに詳しく述べるような、臨床データ、家族データ、履歴データ等の非画像患者データ(4)の他のソースとから関連パラメータを抽出するための様々なメソッド(22−1、22−2、22−3、22−4)を実施する。これらの関連パラメータは、自動診断及び決定支援機能を提供するために使用可能である。特徴組み合わせモジュール(23)は、抽出した特徴を、分析のために分類モジュール(24)に入力するのに適した形で組み合わせる。
【0033】
分類モジュール(24)は、診断及び決定支援を提供するために使用される情報を生成するために、組み合わせた抽出パラメータを、モデルビルダ(24−2)によって訓練され/動的に適応された1またはそれ以上の分類モデルを使用して分析する分類方法(24−1)(又は分類エンジン)を含む。診断/ワークフロー支援モジュール(25)は、図1に関連して前に説明したような機能(例えば、診断を行い、現在の症例に類似した1組の症例を提供し、診断の信頼度を改善する追加の検査または特徴が優れていることを示すスコアを提供する機能)を実施する1またはそれ以上の方法を含む。
【0034】
CADシステム(20)は、更に、ユーザが診断/ワークフロー支援モジュール(25)によってサポートされた1またはそれ以上の機能を選択することを可能にし、かつシステムが処理結果をユーザに描画し呈示することを可能にするユーザインタフェース(26)(例えば、キーボードとマウス入力装置によってコンピュータモニタ上に表示されるグラフィカルユーザインタフェース)を更に含む。処理結果は、後述するような本発明の例示的な実施形態による様々な方法の1つ又は複数でユーザに描画され呈示することができる。
【0035】
CADシステム(20)は、更に、様々なソースから取得した情報の臨床ドメイン知識ベースを維持するレポジトリ(27)を含む。例えば、臨床ドメイン知識(27)は、CADシステム(20)によってサポートされた臨床ドメインに関連する分析され/標識化された症例(28)の大きなデータベースから学習又は自動的に抽出された知識を含むことができる。臨床ドメイン知識(27)は、サポートされた臨床ドメインに関して、以前の要求の分析により専門家によって直接入力された専門家臨床知識、又は医療機関又は保険会社に関連する規則/法規/指針に関連する情報を含むことができる。後で詳細に説明するように、レポジトリ(27)内の臨床ドメイン知識は、データ処理システム(21)の様々なメソッド(22、23、24及び25)によって使用することができる。
【0036】
特徴抽出モジュール(22)は、癌性らしい組織の診断に使用可能な、超音波画像データの検知領域に関連する画像パラメータを抽出する種々の方法を含む。かかる特徴は、針状体(22−1)、音響的かげ(22−2)、高さ/深さ比(22−3)及び/または乳房組織の病変または異常部分を自動的に分類するために使用可能な他の画像パラメータを含む。
【0037】
本発明の他の例示的な実施形態において、データ処理システム(21)は対象患者の非画像患者データ(4)から関連のパラメータを抽出し分析するが、そのようなパラメータは、自動化された診断を行うために抽出した画像パラメータ(22−1、22−2、22−3)と共に使用することができる。患者データ(4)は、複数の構造化データソースと非構造化データソースからの患者情報を含むことができるが、これは、患者の治療の間に収集される。一般に、構造化データソースには、例えば、財務(請求)データベース、検査室データベース、及び薬局データベースがあり、患者情報は、一般に、データベーステーブルで維持される。非構造化データソースには、例えば、波形データ、検査室検査結果のフリーテキストベースのドキュメント、医師経過メモ、医療処置の詳細、処方薬情報、放射線医療レポート、及び他の専門家レポートがある。
【0038】
非画像患者データ(4)は、乳癌を患っている者かまたはその者が乳癌に非常にかかりやすいことを示す履歴を示す大量の有用なデータを含むことができる。一例として、かかる臨床情報は、履歴、及び医師がその者が以前乳癌と診断されたことを記入した健康メモにある場合がある。乳癌の家族履歴、喫煙の履歴、年齢、性別などのような他の指標により、乳癌にかかるまたはかかっている危険性を評価することもできる。従って、特徴抽出モジュール(22)は、医学的状態の評価または診断に関連がある、非画像データ(4)から関連の患者データを抽出するための1またはそれ以上のデータ抽出モジュール(22−4)を含む。
【0039】
患者データレコード(4)から関連のパラメータを抽出するために、抽出モジュール(22−4)が任意の適切なデータ分析/データマイニング法を実施できることを理解されたい。本発明の1つの例示的な実施形態において、患者データ抽出メソッド(22−4)と特徴組み合わせメソッド(23)は、2001年11月2日に出願された米国仮出願番号60/335,542号の優先権を主張する2002年11月4日に出願された「Patient Data Mining」と題する本願の譲受人に譲渡された同時係属米国特許出願番号10/287,055号に記載されたようなデータマイニング方法及び特徴組み合わせ方法を使用して実施することができるが、この両方の出願を本明細書の一部としてここに引用する。簡潔に言うと、米国特許第10/287,055号は、知識ベース(例えば、レポジトリ(27))に含まれるドメイン固有の知識を使用して臨床データレコードから関連情報を抽出するデータマイニング方法について述べているが、この方法は、特定の時間(エレメントと呼ばれる)における患者に関する統計的表明として表され、所定の時間期間において同じ変数(ドメイン固有の基準)を参照する全てのエレメントを組み合わせて、その変数に関する単一の統一された確率的表明を形成する。
【0040】
前述のような図2の例示的な実施形態において、データ処理システム(21)は、レポジトリ(27)内に維持される臨床ドメイン知識データを使用して、特徴抽出(22)、特徴組み合わせ(23)、モデル作成(24−2)の様々なメソッドを実行する。ドメイン固有知識ベース(27)は、疾患固有ドメイン知識を含むことができる。例えば、疾患固有ドメイン知識には、疾患の可能性に影響を及ぼす様々な因子、疾患進行情報、合併症情報、疾患に関係する結果と変数、疾患に関係する測定値、及び米国放射線医学協会(ACR)のような医療機関によって設定された方針と指針がある。ドメイン固有知識ベース(27)には、組織に固有のドメイン知識も含まれる。例えば、これには、特定の病院で得られるデータについての情報、病院における文書構造、病院のポリシー、病院の指針などが含まれる。
【0041】
臨床ドメイン知識ベース(27)は、様々なソースから取得することができる。例えば、臨床ドメイン知識ベース(27)は、分析され/標識化された症例(28)の大きなデータベースから学習した知識を含むことができる。更に、臨床ドメイン知識ベース(27)は、以前の要求を分析することによって、或いは例えば保険会社から発行された規則と規程から専門家によって入力された知識を含むことができる。ドメイン知識ベース(27)内のデータを、システムが理解することができる情報を生成する入力又はプログラムとしてエンコードすることができる。前述のように、ドメイン専門家データは、適切なユーザインタフェースを使用してドメイン専門家から手動入力によって取得されてもよく、自動的に又はプログラムで入力することもできる。
【0042】
抽出モジュール(22−4)は、ドメイン知識ベース(27)内の関連データを使用して、関連パラメータを抽出し、ある瞬間又は期間に関わる患者に関する確率的表明(エレメント)を生成することができる。抽出に必要なドメイン知識は、一般的に、各ソースに固有である。例えば、テキストソースからの抽出は、対象フレーズとそこから引き出される推論とを指定する規則リストが提供されるフレーズスポッティングによって実行される。例えば、医師のメモの所見に「左の乳房に病変の形跡がある」という言葉がある場合は、この文から患者が乳癌を患っているかその可能性があることを推論するために、システムにフレーズ「病変」を探させ、見つかった場合に、患者に乳癌があるかもしれないことをある程度の信頼度で表明させる規則を指定することができる。データベースソースからの抽出は、ソース内のテーブルを照会することによって実行することができるが、その場合、ドメイン知識は、データベース内のどのフィールドにどの情報があるかをエンコードしなければならない。他方、抽出プロセスは、データベースに含まれる情報の複雑な関数を計算しなければならない場合があり、その場合、ドメイン知識は、この計算を実行するプログラムの形で提供され、その出力は、システムの残りの部分に送られることがある。
【0043】
特徴組み合わせモジュール(23)によって実施される方法は、前述の出願に記載されたものでよい。例えば、特徴組み合わせ方法は、同じ/異なるソースからの潜在的に相反する表明から所定の時点における各変数の統一見解を作成するプロセスでよい。本発明の様々な実施形態において、これは、エレメントによって表される変数の統計に関するドメイン知識を使用して実行される。
【0044】
モデルビルダ(24−2)は、分類メソッド(24−1)によって実施される分類モデルを作成するが、このモデルは、実施態様により、様々な抽出された特徴を分析して診断支援及び評価を様々なレベルで提供するように訓練(及び場合によっては動的に最適化)される。分類モデルは、予測をユーザに説明することができない「ブラックボックス」の場合(例えば、分類機構がニューラルネットワークを使用して作成された場合)があることを理解されたい。分類モデルは、人間が読み取ることができる形の「ホワイトボックス」の場合もある(例えば、分類機構が決定ツリーを使用して作成された場合)。他の実施形態において、分類モデルは、ソリューションをどのように導き出したかをある程度説明できる「グレーボックス」の場合がある(例えば、「ホワイトボックス」形分類機構と「ブラックボックス」形分類機構の組み合わせ)。実施される分類モデルのタイプは、ドメイン知識データとモデル作成プロセス(24−2)に依存する。モデル作成プロセスのタイプは、実施される分類方式により異なるが、その分類方式には、決定ツリー、支援ベクトルマシン、ベイズネットワーク、確率的推理等、並びに当業者に知られている他の分類方法がある。
【0045】
モデルビルダ/更新プロセス(24−2)は、臨床ドメイン知識ベース(27)内のデータを使用して分類モデルを訓練し、分類プロセス(24−1)によって実施された以前の訓練済み分類モデルを動的に更新する。本発明の1つの例示的な実施形態において、モデルビルダ/更新プロセス(24−2)は、ワークフロー支援のために適切な診断評価と決定を提供するようになる分類モデルを作成/訓練するために「オフライン」で実施される。本発明のもう1つの例示的な実施形態において、モデルビルダ/更新プロセス(24−2)は、新しく分析した患者データから導き出された追加の学習データによって更新されたレポジトリ(27)内のドメイン知識データを使用するか、或いは適切な状態と関連付けられた分類モデルを最適化することができる「連続」学習方法を使用する。連続学習機能は、分類メソッド(24−1)がコストの高い人間の介入なしに時間の経過と共に連続的に改善できるようにすることによってCADシステム(20)のロバスト性を高めるので有利である。
【0046】
診断/ワークフロー支援モジュール(26)は、図1を参照して前に述べたような1またはそれ以上の診断及び決定支援機能を提供することができる。例えば、診断/ワークフロー支援モジュール(26)は、分類モジュール(24)に命令して、超音波画像データ(4)中で検出された乳房の1またはそれ以上の病変を悪性または良性に分類させ、超音波画像データ(3)及び/又は非画像患者データレコード(4)から抽出した1組の特徴に基づいて、診断の確率と、オプションとしての診断の信頼度とを提供させることができる。分類エンジン(25−1)は、そのような分類を、モジュール(23)から出力された組み合わされた特徴を分析するように訓練された1またはそれ以上の分類モデルを使用して実行することができる。もう1つの例示的な実施形態において、診断/ワークフロー支援モジュール(25)は、分類モジュール(24)に命令して、診断の信頼度を高めるために取得し分析することができる追加の画像パラメータ又は特徴(例えば、Bモード超音波画像データ、他の画像モード、及び/又は非画像データから)を決定させることができる。更に、診断/ワークフロー支援モジュール(25)は、分類モジュール(23)に命令して、抽出した特徴の現行セットに基づいてレポジトリ(27)内の1またはそれ以上の類似の患者症例を取得し(ユーザインタフェースによって)表示することができる。
【0047】
次に図3を参照すると、ブロック図は、本発明のもう1つの例示的な実施形態による乳房撮像の自動診断及び決定支援システムを示す。詳述すると、図3は、例えば、乳房組織の病変部を自動診断するために(Bモード分析に加えて)付加的な超音波撮像法、及び医師のワークフロー支援のための他の決定機能をサポートするCADシステム(30)を示す。1つの例示的な実施形態において、図3のCADシステム(30)は、図2に関して上述したCADシステム(20)の自動化されたB−モード分析も行う。図3のCADシステム(30)は、例えば、B−モード、対比灌流、及び/又は歪み撮像などを含む1またはそれ以上の超音波撮像法を支援する図1のCADシステム(10)の1またはそれ以上の例示的フレームワークを示す。
【0048】
さらに詳しく説明すると、図3を参照して、CADシステム(30)は、1又はそれ以上の種類の超音波画像データ(5)及び/又は非画像患者データ(6)から抽出した様々なパラメータに基づいて乳癌を自動的に分類(診断)する方法、並びに医師による特定の患者のケア又は診断パスの決定を支援する他の方法を実施するデータ処理システム(31)を含む。一般的に、データ処理システム(31)は、特徴抽出モジュール(32)、特徴組み合わせモジュール(33)、分類モジュール(34)、及び診断/ワークフロー支援モジュール(35)からなる。更に、CADシステム(30)は、CADシステム(30)と対話するユーザが、診断/ワークフロー支援モジュール(35)によってサポートされた1またはそれ以上の機能を選択できるようにするユーザインタフェース(36)を含む(例えば、乳癌の自動診断と診断の信頼度を提供し、診断の信頼度を高めるために取得し更に分析することができる追加の超音波撮像モダリティ又は特徴(例えば、Bモード超音波画像データ、他の画像モード、 又は非画像データから)を決定し、抽出した現行セットの特徴に基づいてレポジトリ(38)内の1またはそれ以上の類似の患者症例を取得し表示する)。
【0049】
特徴抽出モジュール(32)は、様々なモードの超音波画像データ(5)と非画像患者データ(6)の1又はそれ以上から関連パラメータを抽出するために様々なメソッド(32−1〜32−9)を実施するが、それらのパラメータは後述するような他のタイプの決定支援を提供するために分析することができる。例えば、特徴抽出モジュール(32)は、図2のシステム(20)において上述した自動決定法(29)、針状体法(23−1)、音響的かげ法(23−2)及びH/D比法(23−3)を実施する自動化されたB−モード分析モジュール(32−1)を含む。さらに、特徴抽出モジュール(32)は、歪み及びエラストグラフィー(32−2)、音響的流動のような技術を用いる流体の運動(32−3)、対比灌流のような技術を用いる血液運動(32−5)を含む超音波測定値から関連パラメータを抽出する方法を含む。
【0050】
種々の特徴抽出法は、当業者によく知られた方法を用いて実施することが可能である。例えば、超音波歪み/エラストグラフィー撮像法では、全て本明細書の一部として引用する下記の特許、即ち、Hall他に2003年1月21日に発行された「Ultrasonic elasticity imaging」と題する米国特許第6,508,768号;Nightingale他に2002年4月16日に発行された「Method and apparatus for the identification and characterization of regions of altered stiffness」と題する米国特許第6,371,912号;Von Behren他に2003年5月6日に発行された「System and method for strain image display」と題する米国特許第6,558,424号に記載されたシステム及び方法を実施することにより、歪み及びエラストグラフィーを含む超音波測定値から関連パラメータを抽出できる。さらに、本明細書の一部として引用するTrahey他に1996年1月30日に発行された「Method and apparatus for distinguishing between solid masses and fluid-filled cysts」と題する米国特許第5,487,387号に記載されたシステム及び方法を用いることにより流体の運動に関する特徴を抽出することができる。加えて、本明細書の一部として引用するPhilips他に2003年10月14日に発行された「Dual process ultrasound contrast agent imaging」と題する米国特許第6,632,177号に記載されたシステム及び方法を用いることにより、血液の運動に関する特徴を抽出することができる。他の公知の技術も実施できることを理解されたい。
【0051】
特徴組み合わせモジュール(33)は、1組の抽出された特徴を分類モジュール(34)による入力と分析に適した形に組み合わせる。分類モジュール(34)は、1またはそれ以上の分類モデルを使用して組み合わせた抽出パラメータを分析する分類メソッド(34−1)を含むが、これは、乳癌の自動診断や他の決定支援機能を提供するようにモデルビルダ(34−2)によって訓練され/動的に適応される。CADシステム(30)は、更に、分類メソッド(34−1)によって使用される分類モデルを作成/訓練するためにモデルビルダ(34−2)によって使用される訓練データを提供する情報の臨床ドメイン知識ベースを維持するレポジトリ(37)を含む。CADシステム(30)によってサポートされた臨床ドメインに関連する分析され/標識化された症例(38)の大きなデータベースを使用して、レポジトリ(37)内の訓練データを取得することができる。臨床ドメイン知識(37)は、データ処理システム(31)の様々なメソッド(32、33、34及び35)によって使用することができる。
【0052】
一般的に、図3のCADシステム(30)の種々のコンポーネントは、上述した図2のCADシステム(20)のコンポーネントと、図3のCADシステム(30)が超音波乳房撮像のより完全なCADシステムを実現するためにBモード超音波に加えて種々の超音波撮像法を支援する多様性の高いフレームワークを提供する点を除き同じである。図3の様々なモジュール(32、33、34及び35)は、前述のような図2のCADシステム(20)の対応モジュール(22、23、24及び25)と同じか又は類似の方法を実施することができるが分かる。しかしながら、分類モジュール(24)及び(34)における分類メソッドやモデル作成メソッド等の様々なメソッドは、それぞれのCADシステム(20)と(30)によってサポートされる決定支援機能、特徴抽出方法及び/又は撮像モダリティのタイプにより異なる。更に、臨床ドメイン知識ベース(37)は、図2の知識ベース(27)と、知識ベース(27)及び(37)内の訓練データがCADシステム(20)と(30)によってサポートされる決定支援機能のタイプ、特徴抽出方法及び/又は撮像モダリティにより異なることを除き、同じである。
【0053】
次に図4を参照すると、ブロック図は、本発明のもう1つの例示的な実施形態による乳房撮像の自動診断及び決定支援システムを示す。詳述すると、本発明の1つの例示的な実施形態において、図4は例示的なCADシステム(20)及び(30)の拡張型であるCADシステム(40)を示すが、このCADシステム(40)は超音波乳房撮像用のCADシステム(20)及び(30)の機能及び方法並びに多数の撮像モダリティによる乳房撮像用CADを実現する方法及び機能を取り込んでいる。
【0054】
図4を参照すると、CADシステム(40)は、患者の、例えば、1またはそれ以上の様々なタイプの画像データ(例えば、MRI画像データ(7a)、超音波画像データ(7b)、X線乳房断層撮像データ(7c))及び遺伝子及び/又は蛋白質データ(7d)、臨床、履歴及び/又は身体データ(7e)を含む様々な患者情報源(7)からパラメータを抽出し分析することによって、乳房病変の自動診断を行い、診断パス及び/又はケアパスの決定を支援して医師のワークフローを支援する方法を実施するデータ処理システム(41)を含む。
【0055】
一般的に、データ処理システム(41)は、特徴抽出モジュール(42)、特徴組み合わせモジュール(43)、分類モジュール(44)、及び診断/ワークフロー支援モジュール(45)を含む。更に、CADシステム(40)は、ユーザがCADシステム(40)との対話によって、診断/ワークフロー支援モジュール(45)によってサポートされた1またはそれ以上の機能を選択できるようにするユーザインタフェース(46)を含む。(例えば、その機能は、乳癌の自動診断及び診断信頼度を提供し、診断の信頼度を高めるために取得し更に分析することができる追加の撮像モダリティ又は特徴を決定し、現行セットの抽出された特徴に基づいてレポジトリ内の1またはそれ以上の類似の患者症例を取得し表示することである)。
【0056】
特徴抽出モジュール(42)は、サポートされた撮像モダリティから画像パラメータ(42−1〜42−2)を抽出する”n”個の特徴抽出メソッドと、非画像データソースからパラメータを抽出する他の特徴又はテキスト抽出メソッド(42−3、42−4)とを実施する。例えば、特徴抽出モジュール(42)は、種々のタイプの超音波データ(図2及び3に関連して上述した)及び他の撮像モダリティからパラメータを抽出し分析するメソッドを含むことができる。特徴組み合わせモジュール(43)は、1組の抽出した特徴を分類モジュール(44)による入力と分析に適した形で組み合わせる。分類モジュール(44)は、1またはそれ以上の分類モデルを使用して組み合わせた抽出パラメータを分析する分類メソッド(44−1)を含むが、これらは、種々の決定支援機能を提供するようにモデルビルダ(44−2)によって訓練され/動的に適応される。CADシステム(40)は、更に、分類方法(44−1)によって使用される分類モデルを作成/訓練するためにモデルビルダ(44−2)によって使用される訓練データを提供する情報の臨床ドメイン知識ベースを維持するレポジトリ(47)を含む。CADシステム(40)によってサポートされる臨床ドメインに関連した分析され/標識化された症例(48)の大きいデータベースを使用して、レポジトリ(47)に記憶された訓練データを取得することができる。レポジトリ(47)内の臨床ドメイン知識は、データ処理システム(41)の様々なメソッド(42、43、44及び45)によって使用することができる。
【0057】
図4の様々なモジュール(42、43、44及び45)は、前述のように、図2のCADシステム(20)の対応するモジュール(22、23、24及び25)及び/又は図3のCADシステム(30)の対応するモジュール(32、33、34及び35)と同じか又は類似の方法を実施できることが分かる。しかしながら、分類モジュール(44)の分類方法やモデル作成方法等の様々な方法は、CADシステム(40)によって支援された決定支援機能のタイプ、特徴抽出方法及び/又は撮像モダリティにより異なる。更に、臨床ドメイン知識ベース(47)は、知識ベース(47)内の訓練データがCADシステム(40)によってサポートされた決定支援機能、特徴抽出方法及び/又は撮像モダリティのタイプによって異なる点を除き、図2と図3の知識ベース(27)及び(37)と同じである。
【0058】
次に、乳癌の診断の付加的な検査の見込み値を評価するための本発明の例示的な実施形態による様々な機械学習法を、図5の例示的なノード図を参照して説明する。これらの例示的な実施形態では、訓練セットがm個の症例からなり、各症例が、前に実行された検査から抽出されたn個の特徴からなると仮定する。各症例Ci(i=1,..,m)は、特徴(f1,f2,...,fn)のベクトルとして表すことができる。
【0059】
更に、各症例Ciの実際の診断(di)は次の通りであると仮定する。
i=1 病変が悪性の場合
i=0 そうでない場合
患者(Ti1,Ti2,Ti3,..,Tik)に行われた様々な検査に対応するk個の変数があるが、k個の変数のそれぞれが組{0,1}内の値をとることができ、対応する検査が実際の診断diに対して正確に予測された場合はk=1、そうでない場合はk=0である。
【0060】
更に、そのような以前の情報が訓練データから抽出されると仮定すると、後述する例示的な機械学習ベースの方法を使用して、検査により患者病歴から抽出した特徴ベクトルに基づいて正確な診断が提供されると予測することができる。
【0061】
1つの例示的な実施形態において、1つの方法は以下の通りである。最初に、全てのCiに関して、M(Ci)=M(f1,f2,...,fn)=(Ti1,Ti2,Ti3,Ti4)となるように特徴空間から{(P1,P2,P3,P4)/Pi∈{0,1}}のマッピングMを決定する。このプロセスは、図5に示したような人工ニューラルネットワーク技術を使用して達成することができる。それぞれの新しい患者ごとに、マッピングMは、その患者に推奨される検査を示す対応する2進出力を提供する。
【0062】
この問題は、各症例Ciに関して、その標識を正確な診断を提供した検査に従って定義する複数クラスの分類問題と見なすこともできる。例えば、1つの可能な手法は次の通りである。それぞれの検査に関して、全ての訓練症例が、その症例の検査の精度に従って標識化される。次に、4つの分類機構が、任意の2進分類アルゴリズム(例えば、SVM、決定ツリー、ベイズのネットワーク等)を使用して訓練される(各検査に1つ)。新しい患者を検討するとき、患者データは、正確な診断を提供する検査を予測するために4つの分類機構で検査される。
【0063】
前述の2つの手法により、プロセスの結果が複数の検査でよいことに注意されたい。
【0064】
もう1つの例示的な手法は次の通りである。訓練セットにm個の症例があると仮定する。新しい症例が、前述のn個の特徴を使用して、これらのm個の症例と比較される。この比較に基づいて、現在の症例と最も「類似」しているものとしてp個の症例が選択され、この場合、類似性を様々な方法のうちのいずれかで定義することができる。例えば、1つの手法は、n次元の特徴空間内のユークリッド距離を検討することである。他の周知の距離測定(distance measures)を使用することもできる。前述のプロセスを使用して、表示用の症例ライブラリから典型的な症例を選択することもできることを理解されたい。
【0065】
類似度を決定し最も「類似」した症例を識別した後で、訓練セットのk個の検査のそれぞれに分類機構を構成することができる。詳細には、一例として、分類機構は、例えば、(i)現行情報と診断用乳房撮像写真、(ii)現行情報と超音波、(iii)現行情報とMRI等の1組の情報のそれぞれを使用して病変が良性か悪性かを検査するように構成される。
【0066】
各分類機構は、p個の症例のうちの1つから学習せずに構成され(即ち、leave-one-out法)、次に控えた症例がこの識別子を使用して分類される。これがp個の症例のそれぞれに繰り返され、全体処理が、k個の検査のそれぞれに繰り返される。次に、平均的な可能性が、k個の検査のそれぞれに計算され、最も有用な検査のスコアとしてはたらく。
【0067】
本発明の他の例示的な実施形態により、CADシステムを分散型モデルで実施ことができ、その場合、CADの様々なモジュール/構成要素は通信網を介して分散される。例えば、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)により、適切なアプリケーションサーバを介してCAD機能のリモートアクセスサービングを提供するCADシステムを提供することができる。例えば、類似症例を識別するために使用される症例のデータベースを中央位置に配置することができる。この利点は、多くのメモリを占有する大きい症例データベースが全てのシステムに存在しなくてもよいことである。更に、症例の更新を極めて容易に行うことができる。この中央位置は、例えば病院内であり、或いはそのようなシステムを使用する全ての人によってアクセスされる1つの中央データベースでもよい。もう1つの可能性は、分散型データベースを使用することであるが、この場合、症例は、複数の場所に配置されるが、あたかも1つの場所にあるかのように検索されアクセスされる。そのように、様々な場所に配置された症例を検索して、類似の症例を見つけることができる。データベースの他に、分類機構等のCADシステムの他の部分が中央に配置されてもよい。
【0068】
更に、以上を考慮して、本発明によるCADシステムは、様々なサービス/支払い方式のうちの1つに基づいて本明細書に示したような診断支援や他の決定支援機能を提供するサービス契約又はSLA(サービス品質保証制度)に従って第三者サービス提供者によって提供されるサービス(例えば、ウェブサービス)として実現することができることを理解されたい。例えば、第三者サービス提供者は、様々な臨床ドメインの分類モデルを訓練し、維持し、更新するように契約上義務づけられてもよく、医師又は医療組織は、利用回数制料金や年間加入料でCADシステムに「オンライン」でアクセスしてもよい。そのような場合、患者の機密性を維持し、或いは完全な暗号化や圧縮方式等を使用する通信チャンネルを介して患者データを伝送するために、当業者に知られた様々な方法を実施することができる。当業者は、本発明によるCADシステムの様々なアーキテクチャと実施態様を容易に想起することができ、本明細書の内容はいずれも本発明の範囲の限定と解釈されるべきでない。
【0069】
本明細書において添付図面を参照して本発明の例示的な実施形態を説明してきたが、本発明は、これらの厳密な実施形態に限定されず、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく当業者が様々な他の変更及び修正を行うことができることを理解されたい。そのような全ての変更と修正は、添付の特許請求の範囲によって定義したような本発明の範囲内に含まれるように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の例示的な実施形態による乳房撮像の自動診断及び決定支援システムのブロック図である。
【図2】本発明のもう1つの例示的実施形態による乳房撮像の自動診断及び決定支援システムのブロック図である。
【図3】本発明の別の例示的な実施形態による乳房撮像の自動診断及び決定支援システムのブロック図である。
【図4】本発明の別の例示的な実施形態による乳房撮像の自動診断及び決定支援システムのブロック図である。
【図5】本発明の例示的な実施形態による分類方法を示す例示的な図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳房撮像の自動診断及び決定支援を行う方法であって、
患者の乳房の異常組織の画像データから情報を取得する段階と、
患者の非画像データレコードから情報を取得する段階と、
取得した情報を用いて乳房の異常組織を自動診断する段階とを含む方法。
【請求項2】
画像データから情報を取得する段階が、超音波画像データから1またはそれ以上の特徴を自動抽出する段階を含み、これらの特徴は乳房の異常組織の自動診断に使用される請求項1の方法。
【請求項3】
超音波データは三次元超音波データである請求項2の方法。
【請求項4】
自動抽出を行う前に超音波画像データにおいて乳房の異常組織を自動的に検知する段階をさらに含む請求項2の方法。
【請求項5】
超音波画像データから1またはそれ以上の特徴を自動抽出する段階が、針状物、音響的かげまたは乳房の異常組織の高さ/深さ比のうちの1つに関連する特徴またはこれらの特徴の任意の組み合わせを抽出する段階を含む請求項2の方法。
【請求項6】
超音波画像データから1またはそれ以上の特徴を自動抽出する段階が、音響的、弾性的、灌流のうちの1つに関連する特徴、または乳房の異常組織の三次元的特徴、若しくはこれらの特徴の任意の組み合わせを抽出する段階を含む請求項2の方法。
【請求項7】
画像データが、超音波画像データ、X線乳房撮像データ、MRI画像データ及びそれらの組み合わせのうちの1つより成る請求項2の方法。
【請求項8】
非画像データレコードから情報を取得する段階が、患者の臨床情報、家族情報及び/または履歴情報を含む構造化及び/または非構造化データソースから特徴を自動抽出する段階を含む請求項1の方法。
【請求項9】
乳房の異常組織を自動診断する段階が診断の確率を自動的に決定する段階を含む請求項1の方法。
【請求項10】
診断の確率の信頼度を自動的に決定する段階をさらに含む請求項9の方法。
【請求項11】
診断の確率の信頼度を増加させる付加的な情報を自動的に決定する段階をさらに含む請求項10の方法。
【請求項12】
付加的な情報を自動的に決定する段階がさらに、診断の信頼度を増加するについての前記付加的情報の有用度を決定する段階を含む請求項11の方法。
【請求項13】
現在の診断に類似の1またはそれ以上の以前診断された症例を自動的に識別する段階をさらに含む請求項1の方法。
【請求項14】
現在の診断に類似の1またはそれ以上の以前診断された症例を自動的に識別する段階が、 取得した情報を用いてその情報に類似の特徴を有する標識化された症例のライブラリを検索する段階を含む請求項13の方法。
【請求項15】
識別した症例を表示する段階を含む請求項14の方法。
【請求項16】
取得した情報を用いて乳房の異常組織を自動診断する段階が、取得した情報を分析するために訓練された、機械学習法、モデルを利用する方法、または機械学習法及びモデルを利用する方法の任意の組み合わせを用いて乳房の異常組織を分類する段階を含む請求項1の方法。
【請求項17】
専門家データ及び/または複数の症例研究を学習した結果得られたデータを使用して連続的または周期的に分類を行う方法を再訓練する段階を含む請求項16の方法。
【請求項18】
乳房撮像の自動診断及び決定支援を行う方法であって、
患者の乳房の異常組織の超音波画像データから情報を取得する段階と、
歪み、音響的流動のような流体運動、対比灌流のような血液運動、及びBモード画像のうちの少なくとも2つより成る特徴を超音波画像データから自動抽出する段階と、
抽出した特徴を用いて乳房の異常組織を自動診断する段階とを含む方法。
【請求項19】
超音波画像データは三次元超音波画像データより成り、さらに三次元超音波画像データから特徴を抽出する段階を含む請求項18の方法。
【請求項20】
医療撮像の自動診断及び決定支援を行う方法であって、
画像データ及び非画像データより成る患者の患者データから特徴を自動抽出する段階と、
患者の患者データから抽出された特徴を分析して患者の現在の状態を自動的に決定する段階と、
決定した患者の現在の状態に基づき、患者のヘルスケアまたは診断もしくは治療パスに関して医師のワークフローを支援するための決定支援を自動的に提供する段階を含む方法。
【請求項21】
患者の現在の状態を自動的に決定する段階が、乳癌の診断の確率または将来のおける乳癌発生確率を自動的に決定する段階を含む請求項20の方法。
【請求項22】
自動的に決定支援を行う段階が、乳癌の診断の確率の信頼度を増加させる1またはそれ以上の付加的な特徴を自動的に決定する段階を含む請求項21の方法。
【請求項23】
1またはそれ以上の付加的な特徴を自動的に決定する段階がさらに、診断の信頼度を増加させる有用度を1またはそれ以上の付加的な特徴のそれぞれについて決定する段階を含む請求項22の方法。
【請求項24】
自動的に決定支援を行う段階が、乳癌の診断の確率の信頼度を増加させる1またはそれ以上の付加的な撮像法を自動的に決定する段階を含む請求項21の方法。
【請求項25】
1またはそれ以上の付加的な撮像法を自動的に決定する段階がさらに、診断の信頼度を増加させる有用度を1またはそれ以上の付加的な撮像法のそれぞれについて決定する段階を含む請求項24の方法。
【請求項26】
自動的に決定支援を行う段階が、現在の症状に類似の1またはそれ以上の以前診断された症例を自動的に識別する段階を含む請求項21の方法。
【請求項27】
識別した症例を表示する段階を含む請求項26の方法。
【請求項28】
患者の現在の状態を自動的に決定する段階が、患者に乳癌が発生する可能性を自動的に決定する段階を含む請求項20の方法。
【請求項29】
自動的に決定支援を行う段階が、乳癌検知のために患者に施すことができるか、または患者に乳癌が発生する可能性の良好な評価を可能にする1またはそれ以上の診断撮像スクリーニングテストを自動的に決定する段階を含む請求項20の方法。
【請求項30】
患者の現在の状態を自動的に決定する段階が、乳房の腫瘍の特性及び場所を自動的に評価する段階を含む請求項20の方法。
【請求項31】
自動的に決定支援を行う段階が、病変を段階付けするために使用可能な1またはそれ以上の診断撮像テストを自動的に決定する段階を含む請求項30の方法。
【請求項32】
1またはそれ以上の診断撮像テストを自動的に決定する段階がさらに、各診断撮像テストの有用度を与える段階を含む請求項31の方法。
【請求項33】
自動的に決定支援を行う段階が、現在の症例に類似の1またはそれ以上の以前の段階付けした症例を自動的に識別する段階を含む請求項31の方法。
【請求項34】
識別された段階付けした症例を表示する段階をさらに含む請求項33の方法。
【請求項35】
医師のワークフローを支援する決定支援を自動的に行う段階が、治療法を示唆する段階を含む請求項20の方法。
【請求項36】
治療法が明確な結果を生む確率及び/または信頼度を自動的に与える段階をさらに含む請求項35の方法。
【請求項37】
治療法が副作用のような明確な有害な影響を与える確率及び/または信頼度を自動的に与える段階を含む請求項35の方法。
【請求項38】
確率が有益と有害の両方の結果についての分布である請求項36の方法。
【請求項39】
確率が将来の1またはそれ以上の時点における有益と有害の両方の結果についての分布のセットである請求項38の方法。
【請求項40】
確率が将来の種々の時点における結果についての時間変化分布である請求項38の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−524461(P2007−524461A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517605(P2006−517605)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/020228
【国際公開番号】WO2005/001740
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(593063105)シーメンス メディカル ソリューションズ ユーエスエー インコーポレイテッド (156)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Medical Solutions USA,Inc.
【住所又は居所原語表記】51 Valley Stream Parkway,Malvern,PA 19355−1406,U.S.A.
【Fターム(参考)】