説明

二重筒

【課題】流入口の形状、外部中空成形体と内部筒とのスペース及び流量を確保しつつ、狭い場所に設置することが可能な二重筒を提供する。
【解決手段】断面形状が扁平形状である中空成形体と、中空成形体の内部に設けられる内部筒と、を有する二重筒であって、内部筒は、中空形成体の開口部から中空形成体の外部に突出した外部筒部と、開口部から中空形成体の内部に突出した内部筒部と、を有し、外部筒部の断面形状と内部筒部の断面形状が異なり、内部筒部の断面形状は、中空成形体と同様に扁平であり、内部筒部の内側の面積は、外部筒部の内側の面積以上の大きさである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空成形体内部にさらに筒を備える二重筒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外部の中空成形体の内部にさらに流体を保持、あるいは流すための筒を備えた、つまり、二重筒の構造をしたものとして、断熱パイプ、保温瓶、排水トラップなどがある。
【0003】
断熱パイプ401は、例えば、エアコンなどの空調機器からの温風、冷風を、パイプを通して離れた場所に送るときに使用される。断熱パイプ401は、例えば、図23に示すように、内側のパイプ402と外側のパイプ403とを備えた構造をしている。内側のパイプ402と外側のパイプ403との間に空気層(スペース)404を設けることにより、この空気層が断熱層として機能し、外気のパイプ403と内側のパイプ402との間での熱の伝達を遮断することができる。このため、内側のパイプ402内に温風、冷風等を流した場合でも、温風を冷やしたり、冷風を温めたりせずに、温風、冷風を離れた場所に送ることができる。このため、断熱パイプ401の断熱効果を得るためには、内側のパイプ403と外側のパイプ402との間に断熱層となる空気層(スペース)404を設ける必要がある。また、同様の構造にて、該スペースに温水や冷水などを流すことにより、内側のパイプに流れる流体を所望の温度に調整することも可能である。
【0004】
また、特許文献1に示されるような排水トラップにおいても、同様に二重筒が用いられている。すなわち、排水トラップ301は、図22に示すように、排水が流入する流入口部302と、流入口部302から流入した排水を溜める溜水容器部303と、溜水容器部303の内部に位置し、流入口部302から流入した排水を溜水容器部303の底部まで流す流入管部304と、溜水容器部303の排水を排出する排出口部305と、を有して構成される。このような構造をした排水トラップ301は、例えば、排水口から伸びるパイプが流入口部302に接続し、下水につながる排水管が排出口部305に接続することで、排水口と排水管との間に設置される。
【0005】
排水トラップ301は、排水口から排水の流入がないとき、つまり、流入口部302から排水の流入がないとき、図22に示すように、溜水容器部303内に排水306が溜まった状態を保つ。溜水容器部303に溜まった排水306は、封水と呼ばれ、排水トラップ301は、この封水が存在することで、排水口と排水管との間の空気の流れを遮断し、下水からの臭気や害虫などが排水トラップ301の内部を通って排水口に向かうのを防止している。また、排水口から排水の流入があるときは、排水が流入口部302、流入管部304を通り、溜水容器部303に流入し、溜水容器部303に流入した排水は排出口部305から排水管に排出される。このとき、排水を流入口部302から排出口部305まで滑らかに流すためには、溜水容器部303の内壁と流入管部304との間にはスペースがなくてはならない。つまり、排水トラップは、断熱パイプ同様に、中空成形体の内部にさらに筒を備えた構造をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−161563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、断熱パイプや排水トラップの流入口、流出口、つまり、接続口の形状は、その接続口に接続されるパイプなどの形状に合わせなければならない。一方、断熱パイプや排水トラップは、様々な場所に設置されるため、断熱パイプや排水トラップの本体部分の外形形状は、設置場所に合わせて様々な形状にする必要がある。
【0008】
ところで、従来における内部筒の流入管部は、接続するパイプの形状に依存し、全体にわたって同一の断面形状をしていた。したがって、所望の効果(断熱効果や排水の滑らかな流れの確保など)を得るために外部の中空成形体と内部の筒との間に十分なスペースを確保するには、外部の中空成形体を大きくするか、内部筒を小さくして、アタッチメント等を用いてパイプに繋ぐなどの方法がとられていた。
【0009】
しかしながら、接続するパイプの断面積に対して内部の筒の断面積が小さいと、接続口における流量に比べ、内部の筒内の流量が小さくなってしまい、流れの詰まりやオーバーフローが引き起こることになる。
【0010】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、流入口の形状、外部中空成形体と内部筒とのスペース及び流量を確保しつつ、狭い場所に設置することが可能な二重筒及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明における二重筒は、断面形状が扁平形状である中空成形体と、前記中空成形体の内部に設けられる内部筒と、を有する二重筒であって、前記内部筒は、前記中空形成体の開口部から前記中空形成体の外部に突出した外部筒部と、前記開口部から前記中空形成体の内部に突出した内部筒部と、を有し、前記外部筒部の断面形状と前記内部筒部の断面形状が異なり、前記内部筒部の断面形状は、前記中空成形体と同様に扁平であり、前記内部筒部の内側の面積は、前記外部筒部の内側の面積以上の大きさであることを特徴とする。
【0012】
また、本発明における二重筒の製造方法は、保持ピンに装着された筒状部材を、パリソンの内側にくるように配置して、金型で型締めし、前記パリソンと前記筒状部材の一部を前記金型及び保持ピンを用いてコンプレッションして熱融着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、流入口の形状、外部中空成形体と内部筒とのスペース及び流量を確保しつつ、狭い場所に設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る二重筒の外観構成例を正面から観た図である。
【図2】本発明の実施形態に係る二重筒の外観構成例を横から観た図である。
【図3】本発明の実施形態に係る二重筒の断面構成例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る二重筒の断面構成例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る二重筒の断面構成例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る排水トラップの外観構成例を正面から観た図である。
【図7】本発明の実施形態に係る排水トラップの外観構成例を横から観た図である。
【図8】本発明の実施形態に係る排水トラップの断面構成例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る排水トラップの断面構成例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る排水トラップの断面構成例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る排水トラップの断面構成例を示す図である。
【図12】従来の排水トラップの断面構成例を示す図である。
【図13】従来の排水トラップの断面構成例を示す図である。
【図14】本実施形態に係る二重筒を製造する製造装置の構成例を示す図である。
【図15】本実施形態に係る二重筒を製造する製造装置の構成例を示す図である。
【図16】本実施形態に係る二重筒を製造する工程を示す図である。
【図17】本実施形態に係る二重筒を製造する工程を示す図である。
【図18】本実施形態に係る二重筒を製造する工程を示す図である。
【図19】本実施形態に係る二重筒を製造する工程を示す図である。
【図20】本実施形態に係る二重筒を製造する工程を示す図である。
【図21】本実施形態に係る二重筒の断面構成例を示す図である。
【図22】排水トラップの断面構成例を示す図である。
【図23】断熱パイプの断面構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図6〜図11を参照しながら、本発明の実施形態に係る排水トラップ21の構成について説明する。図6は、排水トラップ21の外観構成例を正面から観た図であり、図7は、排水トラップ21の外観構成例を横断面図(図6のa方向)であり、図8、図9は、図6、7に示す排水トラップ21の断面構成例(図7のX−Xの断面構成例)を示す図である。図10は、図6、図7に示す排水トラップ21の断面構成例(図6のY−Yの断面構成例)を示す図である。また、図11は、図6、図7に示す排水トラップ21の断面構成例(図6のZ−Zの断面構成例)を示す図である。
【0017】
本実施形態に係る排水トラップ21は、排水が流入する流入口部22と、流入口部22から流入した排水が溜まる溜水容器部23と、溜水容器部23の内部に位置し、流入口部22から流入した排水を溜水容器部23の底部まで通す流入管部24と、溜水容器部23の排水を排出する第1の排出口部25と、溜水容器部23に溜まった排水を排出する第2の排出口部26と、を有して構成される。
【0018】
排出トラップ21を使用する際は、図8、図9に示すように、流入口部22と、第1の排出口部25と、にパイプ27、28などが接続され、第2の排出口部26には、キャップ29が被される。
【0019】
図8に示すように、流入口部22に接続されたパイプ27から排水が流入している状態の場合は、流入口部22から流入した排水が、流入管部24を通り、溜水容器23の底部まで流れる。その後、排水は、溜水容器23の内壁と流入管部24との間を通り、溜水容器23の上部まで流れ、第1の排出口部25を通り、第1の排出口部25に接続されたパイプ28に排出される。本実施形態に係る排水トラップ21では、流入口部22の断面積と流入管部24の断面積とは、同じであるか、流入管部24の断面積の方を広くすることにしている。これにより、流入口部22から流入管部24への排水の流れを滑らかにすることができる。
【0020】
一方、図9に示すように、流入口部22に接続されたパイプ27から排水が流入していない状態の場合は、溜水容器部23と流入管部24とに排水が溜まった状態になる。これは、溜水容器部23の排水が排出される第1の排出口部25が溜水容器部23の上部に位置しているためである。このように、溜水容器部23と流入管部24とに排水が溜まるため、第1の排出口部25に接続されたパイプ28から臭気や害虫が溜水容器部23と流入管部24とを通り抜け、流入口部22に接続されたパイプ27まで到達するのを防止することができる。
【0021】
なお、本実施形態に係る排水トラップ21は、第2の排出口部26からキャップ29をはずし、第2の排出口部26を開放することにより、溜水容器部23と流入管部24とに溜まった排水を第2の排出口部26から排出することが可能である。このように、溜水容器部23から排水を排出することにより、溜水容器部23や流入管部24の内部を掃除することが容易になる。
【0022】
図10に示すように、流入口部22の断面形状は、円形状であり、溜水容器部と流入管の先端とを有し、二重の肉厚で構成される。これにより、接続部分の強度を大きく向上させられ、接続部分における破損を防止することができる。また、円形状であるため、通常用いられるパイプ等に容易に接続することができる。
【0023】
図12、図13は、従来の排水トラップの溜水容器部と流入管部の断面構成例を示す図である。図12、図13に示すように、従来の排水トラップは、流入管部224の断面形状もこの流入口部の断面形状と同じ円形状であった。排水トラップの設置場所に余裕がある場合は、図12に示すように、溜水容器部223の断面形状を流入管部224の断面形状に合わせて円形状にし、溜水容器部223と流入管部224とを同心円上に配置するようにしていた。これは、溜水容器部223の内壁と流入管部224との間の距離を均一にし、溜水容器部223の内壁と流入管部224との間での排水の流れを均一にするためである。また、このように、溜水容器部223の内壁と流入管部224との間での排水の流れを均一にし、溜水容器部223の内壁と流入管部224との間の特定の場所にゴミなどが溜まらないようにするためであった。また、排水トラップの設置場所に余裕がない場合などは、図13に示すように、設置場所の形状に合わせて、溜水容器部223の断面形状を長方形状にする必要があった。しかし、このようなときは、図13に示すように、溜水容器部223の内壁と流入管部224との間の距離が不均一になり、溜水容器部223の内壁と流入管部224との間での排水の流れが不均一になっていた。また、溜水容器部223の内壁と流入管部224と接してしまい、溜水容器部223の内壁と流入管部224との間にスペースが取れない場合もあった。このため、溜水容器部223の内壁と流入管部224との間の特定の場所にゴミなどが溜まるなどの問題が生じていた。
【0024】
本実施形態に係る排出トラップ21は、図11に示すように、溜水容器部23の断面形状が長方形状である。これにより、狭い場所にでも設置できる。また、流入管部23の断面形状は、溜水容器部23の断面形状に合わせて、断面積が流入口部22以上となる楕円形状である。このようにすることにより、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間の距離が均一になり、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間での排水の流れを均一にすることが可能になる。このため、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間の特定の場所にゴミなどが溜まるのを防ぐことが可能になる。つまり、本実施形態に係る排水トラップ21は、溜水容器部23の断面形状が長方形状であるため、設置場所に余裕がないときであっても排水トラップ21を設置することができ、さらに、流入口部22の断面形状を円形状にし、流入管部24の断面形状を楕円形状にしたため、流入口部22に断面が円形状のパイプを接続することが可能であり、かつ、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間での排水の流れが均一であり、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間の特定の場所にゴミなどが溜まることを防ぐことが可能である。
【0025】
特に、溜水容器部23の断面のアスペクト比と流入管部24の断面のアスペクト比とを同じ値にすると良い。つまり、溜水容器部23の断面の長辺と短辺の比と、流入管部24の断面の長軸と短軸の比と、を同じ値にすると良い。このようにすることにより、溜水容器部23の内壁と流入管部24の間での排水の流れがより均一になり、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間の特定の場所にゴミなどが溜まるのを防ぐことが可能になる。また、流入管部24の断面形状を溜水容器部24の断面形状と同様に長方形状にすることにより、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間での排水の流れがより均一になり、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間の特定の場所にゴミなどが溜まるのを防ぐことが可能になる。
【0026】
なお、図11では、溜水容器部23の断面形状は、長方形状であるが、溜水容器部23の断面形状は、長方形状に限るものではない。そして、流入管部24の断面形状を、溜水容器部23の形状に合わせるようにすると良い。例えば、溜水容器部23の断面形状を半円状にし、そして、溜水容器部23の形状に合わせ、流入管部24の断面形状も半円形状にすると良い。このようにすることにより、半円形状の設置場所にも排水トラップ21を設置することが可能になり、さらに、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間での排水の流れが均一になり、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間の特定の場所にゴミなどが溜まるなどを防ぐことが可能になる。つまり、排水トラップ21の設置場所の形状がどのような形状であれ、その形状に溜水容器部23の断面形状を合わせ、そして、設置場所の形状に合わされた溜水容器部23の断面形状に流入管部24の断面形状を合わせると良い。このようにすることにより、設置場所の形状がどのような形状であれ、排水トラップ21を設置することが可能になり、さらに、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間での排水の流れが均一になり、溜水容器部23の内壁と流入管部24との間の特定の場所にゴミなどが溜まるなどを防ぐことが可能になる。このときも、流入口部22の断面形状は、パイプを接続できるように円形状にすると良い。
【0027】
また、図11のように、溜水容器部23の断面形状が長方形状であるとき、流入管部24の断面形状を楕円形状にすると、例えば、下記で詳述するように、排水トラップ21を樹脂で成形するときに、成形しやすくなる。これは、下記で詳述するように、ブロー成形により、溶融状態の樹脂の成形材料であるパリソンから溜水容器部23を成形するときに、このパリソンの内壁と流入管部24との間に距離を取ることができるようになり、パリソンと流入管部24とが接着することを防ぐことができるからである。
【0028】
次に、外部の容器と内部の筒、すなわち二重筒について、図1〜図5を参照しながら、詳細に説明する。図1は、二重筒1の外観構成例を正面から観た図であり、図2は、図1の二重筒1の外観構成例を横断面図(a方向)である。また、図3は、二重筒1の断面構成例(図2のX−Xの断面構成例)を示す図であり、図4は、二重筒1の断面構成例(図1のY−Yの断面構成例)を示す図であり、図5は、二重筒1の断面構成例(図1のZ−Zの断面構成例)を示す図である。
【0029】
本実施形態に係る二重筒1は、図3に示すように、中空成形体2を筒3が貫いた構造をしている。筒3は、中空成形体2の外部に位置する外部筒部4と、中空成形体2の内部に位置する内部筒部5と、を有する。この外部筒部4は、パイプなどを接続する接続口である。図4に示すように、本実施形態に係る二重筒1の外部筒部4の断面形状は、円形状である。また、図5に示すように、本実施形態に係る二重筒1の中空成形体2の断面形状は、長方形状であり、内部筒部5の断面形状は、楕円形状である。これにより、共に楕円形状の場合に比べて、中空成形体2と内部筒とのスペースを広く取ることができ、例えば断熱パイプに適用した際には、断熱効率を向上させることができる。また、本実施形態に係る二重筒1は、外部筒部4の断面積と内部筒部5の断面積は、同じであるか、内部筒部5の断面積の方を広くする。
【0030】
本実施形態に係る二重筒1は、図4に示すように、外部筒部4の断面形状が円形状であるため、外部筒部4にパイプなどの断面形状が円形状であるものを直接接続することができる。このため、例えば、本実施形態に係る二重筒1を断熱パイプに適用した場合、断熱パイプに通す温風や冷風を発生させる空調機器と断熱パイプを、断面形状が円形状であるパイプ等を介して容易に接続することが可能になる。また、例えば、本実施形態に係る二重筒1を排水トラップに適用した場合、排水口と排水トラップの流入口を、断面形状が円形状であるパイプ等を介して接続することが可能になる。
【0031】
また、本実施形態の二重筒1は、内部筒部5の断面形状が円形状でなく、楕円形状であるため、図3、図5に示すように、中空成形体2と内部筒部5との間にスペース6ができる。このため、例えば、本実施形態に係る二重筒1を断熱パイプに適用した場合、このスペース6を断熱層として使用することができる。また、例えば、本実施形態に係る二重筒1を排水トラップに適用した場合、排水の流路を確保でき、排水トラップ内での排水の流れを滑らかにすることが可能になる。
【0032】
特に、中空成形体2の断面のアスペクト比と内部筒部5の断面のアスペクト比とを同じ値にすると良い。つまり、中空成形体2の断面の長辺と短辺の比と、内部筒部5の断面の長軸と短軸の比と、を同じ値にすると良い。このようにすることにより、例えば、本実施形態に係る二重筒を断熱パイプに適用した場合、断熱効率が均一になり、断熱効率が上がる。また、例えば、本実施形態に係る二重筒1を排水トラップに適用する際に、中空成形体2の内壁と内部筒部5との間での排水の流れが均一になり、中空成形体2の内壁と内部筒部5との間の特定の場所にゴミなどが溜まるのを防ぐことが可能になる。また、内部筒部2の断面形状を中空成形体2の断面形状と同様に長方形状にすると良い。このようにすることにより、例えば、本実施形態に係る二重筒1を断熱パイプに適用した場合、断熱効率が均一になり、断熱効率が上がる。また、例えば、本実施形態に係る二重筒1を排水トラップに適用した場合、中空成形体2の内壁と内部筒部5との間での排水の流れが均一になる。中空成形体2の内壁と内部筒部5との間の特定の場所にゴミなどが溜まるのを防ぐことが可能になる。
【0033】
また、外部筒部4の断面積と内部筒部5の断面積とが、同じであるか、内部筒部5の断面積の方が広いため、流入口及び/又は流出口における流量に比べ、内部の筒内の流量が小さくなることはなく、流れの詰まりやオーバーフローが引き起こることはない。
【0034】
また、中空成形体2の断面形状が、円形状でなく、長方形状である。つまり、二重筒1になっている部分が長方形である。このため、例えば、本実施形態に係る二重筒1を断熱パイプや排水トラップに適用した場合、断熱パイプや排水トラップを狭い場所に設置することが可能になる。また、二重筒1を重ねやすくすることができるため、二重筒1を配送するときなどに、場所をとらず、また、積み上げた状態にしたときにも崩れ難くすることができる。
【0035】
また、中空成形体2の断面形状は、円形形状であるより長方形状であるほうが、横方向からの衝撃に対する強度も高い。このため、中空成形体2の断面形状を長方形状にすることにより、横方向からの衝撃により、中空成形体2が潰され、中空成形体2と内部筒部5との間のスペースが消えるのを防ぐことができる。
【0036】
また、例えば、本実施形態に係る二重筒1を冷却器などに適用すると良い。すなわち、中空成形体2と内部筒部5との間のスペースに電熱線を配置したり、冷水や温水などを流すことにより、内部筒部5を通る流体を所望の温度に調整することができる。このとき、中空成形体2の断面形状を長方形状としておくことで、並べて配置した際にお互いの設置面積が高く、各装置間で熱の伝達を効率的に行うことができるようになり、熱効率を向上させることができる。
【0037】
なお、中空成形体2の断面形状は、長方形状に限るものではない。中空成形体2の断面形状を扁平形状、つまり、円でない形状であるときに、内部筒部5の断面形状も中空成形体2の断面形状に合わせて扁平形状、つまり、円でない形状にすると良い。このようにすることにより、中空成形体2と内部筒部5との間にスペースができる。このため、例えば、本実施形態に係る二重筒1を断熱パイプに適用した場合、このスペース6を断熱層として使用することができる。また、例えば、本実施形態に係る二重筒1を排水トラップに適用した場合、排水の流路を確保でき、排水トラップ内での排水の流れを滑らかにすることが可能になる。
【0038】
また、中空成形体2の断面形状を設置場所に合わせた形状にすることで、どのような場所にでも二重筒1を設置することができる。このとき、外部筒部4の断面形状は、断面形状を円形状にすることでパイプに容易に接続することができる。そして、内部筒部5の断面形状は、中空成形体2の断面形状に合わせた形状にし、中空成形体2と内部筒部5との間にスペース6ができるようにする。このようにすることにより、上述した効果と同様の効果を得ることが可能になる。
【0039】
次に、図14〜図18を参照しながら、本実施形態に係る二重筒1の製造方法を説明する。この方法により、上記で説明した本実施形態に係る排水トラップ21も製造することができる。図14は、本実施形態に係る二重筒1を製造する製造装置100の構成例を示す図である。図15は、本実施形態に係る二重筒1を製造する製造装置100の別の構成例を示す図である。図16〜図18は、本実施形態に係る二重筒1を製造する工程例を示す図である。
【0040】
図14に示すように、本実施形態に係る二重筒1を製造する製造装置100は、押出ヘッド101を有する図示しない押出器と、分割金型102と、ブローピン103と、を有して構成される。押出器の押出ヘッド101から溶融状態の熱可塑性樹脂からなるパリソン104を押し出し、あらかじめ成形された筒状部材105をブローピン103により、パリソン104の内側に挿入し、分割金型102でパリソン104を型締めすることにより、パリソン104と筒状部材105とを接着し、パリソン104を成形し、図1〜3に示す本実施形態に係る二重筒1を製造する。
【0041】
ブローピン103は、筒状部材105を装着する小径部106と、ブロー成形時に空気などの気体を吹き出すガス吹き出し口107と、を有する。また、ブローピン103は、図示しない流体圧シリンダなどからなる直線駆動手段により図14に示す矢印Aの方向に上下動をするように構成されている。例えば、小径部106に筒状部材105を装着するときには、ブローピン103を下げた状態にすると良い。このようにすることにより、分割金型102と離れた位置で、小径部106に筒状部材105を装着することができ、この装着作業がしやくなる。
【0042】
分割金型102は、図14に示すように、2分割された金型である。分割金型102は、第1のピンチオフ部108と、キャビティ109と、接着部110と、第2のピンチオフ部111と、を有する。第1のピンチオフ部108は、分割金型102を型締めしたときに、パリソン104を押しつぶし、局部的に薄肉部を形成して余分なパリソンを切断する箇所を形成する。キャビティ109は、二重筒1を構成する外部の中空成形体の外形形状をしている。例えば、本実施形態に係る排水トラップ21を製造するとき、キャビティ109は、排水トラップ21の外形形状をしており、ブロー成形などで、パリソン104をこのキャビティ108に押し付けることにより、パリソン104は、排水トラップ21の形状に成形される。接着部110は、パリソン104と筒状部材105とをブローピン103の小径部106との間に挟み込み、圧力をかけ、圧縮することにより、パリソン104と筒状部材105とを接着する。筒状部材105のうち、この接着した部分は、本実施形態に係る二重筒1の外部筒部4を成形し、接着した部分以外の部分は、内部筒部5を形成する。また、例えば、本実施形態に係る排水トラップ21を製造するとき、このパリソン104と筒状部材105とが接着した部分は、排水トラップ21の流入口部22を形成する。そして、筒状部材105のうち、パリソン104と筒状部材105とが接着した部分以外の部分は、排水トラップ21の流入管部24を形成する。第2のピンチオフ部110は、パリソン104をブローピン103の小径部106との間に挟み込むことにより、パリソン104を押しつぶし、パリソン104に切り取り線を形成する。切り取り線の外側のパリソンは余分な部分であり、いわゆるバリを形成する。このようにパリソン104に切り取り線を形成することにより、余分な部分であるバリを容易に切り取ることができるようになる。
【0043】
なお、分割金型102は、1個の部材により構成されるようにしても良いが、図15に示すように、硬度、耐磨耗性に優れた材料からなる駒型112が一体化した構成であっても良い。このとき、例えば、駒型112が、第2のピンチオフ部111を有するようにすると良い。第2のピンチオフ部111は、パリソン104に切り取り線を形成する際に、ブローピン103の小径部106に接することがないように設計するが、第2のピンチオフ部111は、パリソン104を押しつぶすために分割金型102の他の部分に比べて磨耗し易い。また、下記で詳述するように、第2のピンチオフ部111は、パリソン104とともに筒状部材105も押しつぶすようにしても良い。このようにすると、パリソン104だけを押しつぶすときよりも第2のピンチオフ部111はより磨耗し易くなる。よって、このように、第2のピンチオフ部111を硬度、耐磨耗性に優れた材料からなる駒型112が有することにより、第2のピンチオフ部111の磨耗を防ぎ、分割金型102の耐久性が向上する。第1のピンチオフ部108はパリソン104を切断する。この切断の際、第1のピンチオフ部108同士が接触する。この接触のため、第1のピンチオフ部108は、分割金型102の他の部分に比べて磨耗し易い。よって、分割金型102は、第1のピンチオフ部108の部分を有する硬度、耐磨耗性に優れた材料からなる駒型が一体化した構成にしても良い。このようにすることにより、第1のピンチオフ部108の磨耗も防ぐことになり、分割金型102の耐久性がより向上することになる。
【0044】
次に、図16〜図18を参照しながら、本実施形態に係る二重筒1の製造工程について説明する。
【0045】
まず、筒状部材105をブローピン103の小径部106に装着する。そして、図16に示すように、型開きした分割金型102の間に、溶融した熱可塑性樹脂からなるパリソン104を押出器の押出ヘッド101から押し出し、パリソン104をその開放端113が第2のピンチオフ部111より下方に位置するように配置する。
【0046】
次に、図17に示すように、ブローピン103を上昇させ、パリソン104の内側にプローピン103に装着された筒状部材105を挿入する。そして、ブローピン103は、小径部106の下端が第2のピンチオフ部111に対向する位置にくるまで上昇して停止する。なお、パリソン104の断面の形状と筒状部材105の形状は、パリソン104の内壁と筒状部材105との間に間隔ができるようにする。このとき、筒状部材105の断面の形状があらかじめ決まっているのであれば、パリソン104の内壁と筒状部材105との間に間隔をできるようにパリソン104の断面の形状を決定すれば良い。逆に、パリソン104の断面の形状があらかじめ決まっているのであれば、パリソン104の内壁と筒状部材105との間に間隔ができるように筒状部材105の断面の形状を決定すれば良い。このようにすることにより、ブローピン103が上昇するときに、筒状部材105がパリソン104の内壁に接することを防ぐことができる。
【0047】
次に、図18に示すように、分割金型102を型締めし、第1のピンチオフ部108によりパリソン104を切断するとともに、第2のピンチオフ部111とブローピン103の小径部106とによりパリソン104を押しつぶし、パリソン104に切り取り線を形成する。切り取り線の外側のパリソンは余分な部分であり、いわゆるバリを形成する。このようにパリソン104に切り取り線を形成することにより、余分な部分であるバリを容易に切り取ることができるようになる。また、同時に、接着部110とブローピン103の小径部106との間に、パリソン104と筒状部材105とを挟み込み、圧力をかけ、圧縮する。これにより、パリソン104と筒状部材105は、熱融着する。このようにすることにより、パリソン104と筒状部材105とが接着する。
【0048】
なお、型締めをする前に、ブローピン103を、小径部106の下端が第2のピンチオフ部111に対向する位置にくるまで上昇させず、その手前、つまり、小径部106の筒状部材105が装着されている部分が第2のピンチオフ部111に対向する位置まで上昇させて停止するようにしても良い。このとき、図19に示すように、分割金型102を型締めした際に、第2のピンチオフ部111とブローピン103の小径部106とにより、パリソン104と筒状部材105が押しつぶされ、パリソン104と筒状部材105とが接着し、この接着した部分に切り取り線が形成される。このようにすることにより、パリソン104と筒状部材105とが、同一のピンチオフ部により押しつぶされるため、パリソン104と筒状部材105の切り口を揃えることできる。よって、切り口をきれいに仕上げることが可能になる。
【0049】
次に、パリソン104の内部にブローピン103のガス吹き込み口から空気などの気体を吹き込み、パリソン104をキャビティ109に沿って膨張させて、パリソン104をキャビティ109の形状に成形する。つまり、パリソン104から二重筒1が成形される。次に、分割金型102の内部で成形された二重筒1を冷却する。そして、分割金型102を型開きし、二重筒1を取り出す。その後、取り出された二重筒1から不要なバリを切除し、図1〜図5に示す二重筒1を得ることになる。
【0050】
なお、ブローピン103の代わりに、図20に示すように、マンドレル114を使用し、筒状部材115の上端が第1のピンチオフ部116より上部に位置するようにし、分割金型117を型締めすることにより、図21に示すように、筒が中空成形体を上下に貫く形状の二重筒7を製造することが可能になる。
【0051】
上記の製造方法で、樹脂により図1〜図5に示す二重筒1を製造することで、二重筒1を一体成形することが可能になる。このため、金属により二重筒1を製造するときとは異なり、溶接により接続された箇所がなく、溶接する際の手作業を省くことができる。つまり、製造する際の人件費が減り、製造コストを低くすることができる。また、金属でなく、樹脂であるため、材料費が減り、これによっても、製造コストを低くすることができる。また、金属で製作したものに比べ、軽くすることができる。また、作業工程も減るため、製造時間を短縮することが可能になる。また、溶接により接続された箇所がないため、溶接の精度の問題がなく、溶接の精度の低い部分から水が漏れることや空気が漏れることがない。また、中空成形体2と筒3の接続は、溶接でなく、圧力をかけ、圧縮し、熱融着させることにより行うので、中空成形体2と筒3の接続部分の強度を向上させることができる。
【0052】
また、上記の製造方法で、樹脂により図1〜図5に示す二重筒1を製造することで、内部筒部5の断面を様々な形状にすることが可能になる。上記の方法では、筒状部材105のうち、ブローピン103に装着する部分、つまり、外部筒部4に対応する部分の断面形状だけが円形状であれば良く、残り部分の断面形状はどのような形状にすることも可能である。なお、ブローピン103の小径部105の断面形状を変えることにより、外部筒部4の断面形状も様々な形状にすることができる。
【0053】
また、上記の製造方法において、キャビティ109の形状を、本実施形態に係る排水トラップ21の外形形状にすることにより、本実施形態に係る排水トラップ21を一体成形することが可能になる。つまり、金属により排水トラップを製造するときとは異なり、流入口部22、溜水容器部23、流入管部24、第1の排出口部26、第2の排出口部27を一体として成形することが可能になる。このため、金属により排水トラップを製造するときとは異なり、溶接により接続された箇所がなく、溶接する際の手作業を省くことができる。つまり、製造する際の人件費が減り、製造コストが低くすることができる。また、金属で製造するのに比べ、軽くすることが可能である。また、作業工程も減るため、製造時間を短縮することが可能になる。また、溶接により接続された箇所がないため、溶接の精度の問題がなく、溶接の精度の低い部分から水が漏れることない。
【0054】
排水トラップは、排水を流すため、耐酸性が必要である。このため、排水トラップは、金属のうちでも、特に、ステンレスにより製造されていた。よって、上記の製造方法により、ステンレスの代わりに、樹脂により排水トラップ21を製造することにより、材料にかかる費用が減る。つまり、製造コストを低くすることができる。例えば、材料をステンレスから樹脂に代えることにより、材料にかかる費用は約1/5になる。
【0055】
また、上記の製造方法で、一体成形により排水トラップ21を製造することで、流入口部22、第1の排出口部26、第2の排出口部27それぞれと、溜水容器部23と、の接続部分の強度が金属で製造する場合に比べて上がる。特に、流入口部22と溜水容器部23との接続は、パリソン104と筒状部材105とを圧力により圧縮して熱融着させているため、溶接に接続させるのに比べ、格段に強度を増す。また、本実施形態に係る排水トラップ21の製造に使用する熱可塑性樹脂は、下記で詳述するように、ポリプロピレンが好ましいが、ポリプロピレン同士は、接着剤では接着しにくい。しかし、上記のように、パリソン104と筒状部材105とを圧力により圧縮して熱融着させることにより、接着剤を使用せずに、パリソン104と筒状部材105とを接着することが可能になる。
【0056】
上記の方法では、筒状部材105は、あらかじめ成形されており、二重筒1を成形する際に改めてブローピン103の小径部106に装着する作業が必要である。そこで、同一のブローピン103により、筒状部材105の成形と、二重筒1の成形の両方を行えるようにすると良い。例えば、筒状部材105の成形に使用する製造装置と、上記の二重筒1を製造する製造装置を並べて配置し、ブローピン103を両方の装置で使用できるようにすると良い。このとき、筒状部材105の成形に使用する製造装置においてプローピン103を使用して筒状部材105を成形し、筒状部材105が装着された状態のまま、ブローピン103を、二重筒1を製造する製造装置にまで移動し、このブローピン103と筒状部材105により二重筒1を製造するようにすると良い。このようにすることにより、筒状部材105が成形された後にブローピン103からはずす作業、二重筒1を製造する際に筒状部材105をブローピン103に装着する作業の両方を省くことが可能になる。なお、このとき、ブローピン103が移動するのではなく、筒状部材105を成形する金型と、二重筒1を成形する金型が移動するようにしても良い。このようにすることにより、同一のプローピン103と、同一の押出器を使用して、筒状部材105の成形と、二重筒1の製造の両方を行うことができるようになる。よって、二重筒1を製造するために必要な装置の数を減らすことができる。
【0057】
本実施形態に係る二重筒1の製造に使用する熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン系樹脂を使用すると良い。ポリプロピレンは、耐熱性、耐水性、耐食性に優れ、本実施形態にかかる二重筒1をポリプロピレン系樹脂により成形することにより、二重筒1の内部筒部5に温風や温水を通すこと可能になる。つまり、本実施形態に係る二重筒1を断熱パイプや排水トラップ21に適用することが可能になる。例えば、ポリプロピレン系樹脂を使用し、上記の方法により製造した二重筒1は、80度の環境で使用することが可能である。
【0058】
このため、本実施形態にかかる二重筒1をポリプロピレン系樹脂により成形することにより、二重筒1の内部筒部5に薬品等も通すことが可能になる。よって、本実施形態に係る二重筒1を排水トラップ21に適用することが可能になる。
【0059】
また、ポリプロピレンは、軽い。よって、本実施形態にかかる二重筒1をポリプロピレン系樹脂により成形することにより、二重筒1を軽量化することが可能になる。よって、本実施形態に係る二重筒1を断熱パイプや排水トラップ21に適用にした場合、断熱パイプや排水トラップ21を軽量化することが可能になる。また、本実施形態に係る二重筒1を断熱パイプや排水トラップ21に適用にした場合、金属製のものに比べ、成形行程が少なく、断熱パイプや排水トラップ21を低コストで製造することが可能になる。
【0060】
また、ポリプロピレンは、適量のエチレンやα―オレフィンを共重合することにより、剛性をあまり低下させずに、耐寒性や耐衝撃性が向上し、強靭にすることができる。よって、適量のエチレンやα―オレフィンを共重合したポリプロピレンにより成形された本実施形態に係る二重筒1は、強靭であり、外部からの衝撃に強くなる。つまり、本実施形態に係る二重筒1を断熱パイプや排水トラップに適用することにより、外部からの衝撃に強い断熱パイプや排水トラップを作製することが可能になる。
【0061】
なお、図1〜3に示す本実施形態に係るに二重筒1を金属により製造する際、中空成形体2の部分は、いくつかの部品を溶接して接続することにより作製される。このとき、筒状部材105を上記の部品のうちの1つの内側から挿入し、筒状部材105のうちの外部筒部4を構成する部分がその部品の外側に出た状態で、筒状部材105とその部品を溶接して接続する。その後にこの筒状部材105が接続された部品と他の部品とを溶接して接続することにより、図1〜3に示す二重筒1が製造される。
【0062】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【0063】
また、本発明における二重筒は、前記中空成形体の断面形状が、長方形状であり、
前記内部筒部の断面形状は、楕円形状であるようにしても良い。
【0064】
また、本発明における二重筒は、前記中空成形体の断面のアスペクト比と、前記内部筒部の断面のアスペクト比と、が同一であるようにしても良い。
【0065】
また、本発明における二重筒の製造方法は、前記保持ピンが、プローピンであり、
前記ブローピンを用いて前記パリソン内部に気体を吹き込み成形するようにしても良い。
【0066】
また、本発明における二重筒の製造方法は、前記保持ピンを用いて前記筒状部材をブロー成形した後、前記パリソンを押し出すようにしても良い。
【符号の説明】
【0067】
1 二重筒
2 中空成形体
3 筒
4 外部筒部
5 内部筒部
6 スペース
21 排水トラップ
22 流入口部
23 溜水容器部
24 流入管部
25 第1の排出口部
26 第2の排出口部
27、28 パイプ
29 キャップ
100 二重筒の製造装置
101 押出ヘッド
102 分割金型
103 ブローピン
104 パリソン
105 筒状部材
106 小径部
107 ガス吹き込み口
108 第1のピンチオフ部
109 キャビティ
110 接着部
111 第2のピンチオフ部
112 駒型
113 パリソンの開放端
114 マンドレル
115 筒状部材
116 第1のピンチオフ部
117 分割金型
301 排水トラップ
302 流入口部
303 溜水容器部
304 流入管部
305 排出口部
306 排水(封水)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状が扁平形状である中空成形体と、
前記中空成形体の内部に設けられる内部筒と、を有する二重筒であって、
前記内部筒は、
前記中空形成体の開口部から前記中空形成体の外部に突出した外部筒部と、
前記開口部から前記中空形成体の内部に突出した内部筒部と、を有し、
前記外部筒部の断面形状と前記内部筒部の断面形状が異なり、
前記内部筒部の断面形状は、前記中空成形体と同様に扁平であり、
前記内部筒部の内側の面積は、前記外部筒部の内側の面積以上の大きさであることを特徴とする二重筒。
【請求項2】
前記中空成形体の断面形状は、長方形状であり、
前記内部筒部の断面形状は、楕円形状であることを特徴とする請求項1に記載の二重筒。
【請求項3】
前記中空成形体の断面のアスペクト比と、前記内部筒部の断面のアスペクト比と、が同一であることを特徴とする請求項1または2に記載の二重筒。
【請求項4】
保持ピンに装着された筒状部材を、パリソンの内側にくるように配置して、
金型で型締めし、前記パリソンと前記筒状部材の一部を前記金型及び保持ピンを用いてコンプレッションして熱融着させることを特徴とする二重筒の製造方法。
【請求項5】
前記保持ピンは、プローピンであり、
前記ブローピンを用いて前記パリソン内部に気体を吹き込み成形することを特徴とする請求項4に記載の二重筒の製造方法。
【請求項6】
前記保持ピンを用いて前記筒状部材をブロー成形した後、前記パリソンを押し出すことを特徴とする請求項4または5に記載の二重筒の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−136427(P2011−136427A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296069(P2009−296069)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【出願人】(390002886)株式会社長府製作所 (197)
【Fターム(参考)】