仮想表面によって測定過程を制御する方法
本発明は、測定対象(12)を計測する座標測定機(46)の測定過程を制御する方法(10)であって、前記座標測定機(46)が制御装置(64)と探触ピン(18)を備えたプローブ(60)とを有し、前記探触ピン(18)と前記測定対象(12)の表面(14)との間の相対運動が前記制御装置(64)によって制御されるものに関する。さらに、前記表面(14)は測定対象表面(13)に一致した少なくとも1つの実際部分(24)と少なくとも1つの仮想部分(26)とを有する。本発明はさらに、当該座標測定機とコンピュータプログラムとに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象を計測する座標測定機の測定過程を制御する方法であって、座標測定機が制御装置と探触ピンを備えたプローブとを有し、探触ピンと測定対象の表面との間の相対運動が制御装置によって制御されるものに関する。
【0002】
本発明はさらに、測定対象を計測する座標測定機であって、制御装置と探触ピンを備えたプローブとを有し、探触ピンと測定対象の表面との間の相対運動が制御装置によって制御されるものに関する。
【背景技術】
【0003】
このような方法とこのような座標測定機は、例えば特許文献1により公知である。
【0004】
三次元座標測定機は、技術の現状において一般に知られており、工業的応用では工作物を計測し、これにより工作物に例えば品質管理を施すのに利用される。しかし、別の応用分野、例えば「リバースエンジニアリング」分野でも、このような座標測定機は利用される。
【0005】
工作物を計測するために異なる測定系が利用される。通常、これは工作物の非接触式計測を可能とする光学式測定系か、工作物の探触点の座標を把握するために工作物を特定諸点で探触する接触式測定系かのいずれかである。
【0006】
本発明は、接触式測定系を有する座標測定機を扱う。このような座標測定機は、測定空間内で工作物に対して相対的に三次元運動可能に配置されるプローブを有する。プローブがセンサ装置を有し、このセンサ装置は探触ピンを運動可能に支承し、かつプローブベースに対して相対的な探触ピンの変位量を把握することができる。探触ピンが探触先端を有し、この探触先端に探触物体、一般に探触玉が設けられている。探触ピンの既知幾何学形状と測定空間内でのプローブの既知位置とに基づいて、センサ装置によって把握された変位量を頼りに工作物の探触測定点の空間座標を判定することができる。
【0007】
工作物を計測するためにさまざまな測定方式が知られている。計測は、多数の点を個々に探触するように行うことができる。このような測定方法は例えば、まったく未知の幾何学形状の把握を可能とするが、しかし各測定点を個々に探触するので多くの時間支出を必要とする。
【0008】
それと並んで、探触ピンが被計測工作物と接触しながら被計測工作物に沿って移動し、こうして工作物表面上の軌道に沿って多数の測定点を把握するいわゆる走査法が知られている。こうして多数の測定点をごく迅速に把握することが可能となる。しかしこのためには、探触ピンもしくは探触玉が工作物の表面と絶えず接触しているようにプローブの運動軌道を制御することが不可欠である。このため、一般に軌道の目標幾何学形状は予め知られている。例えば、円形穴の内径を計測するときに、目標幾何学形状が円軌道であることは知られていることがある。この目標幾何学形状を承知していると走査過程中にプローブの軌道の制御が容易となり、プローブの軌道の再調整は目標幾何学形状からの測定点の実際偏差に基づいて行わねばならないだけである。
【0009】
さらに、いわゆる能動測定プローブといわゆる受動測定プローブとが技術の現状において知られている。受動測定プローブでは、探触ピンが実質的に機械的ばね要素を介して支承されている。こうして探触ピンの変位量は支承部のばね力に、ひいては探触ピンを工作物表面に押し付ける接触力に、常に比例している。工作物表面に沿った走査過程の間、探触ピンの過度な撓みまたは工作物の損傷を避けるために接触力が特定範囲内にのみあると有利である。受動測定プローブでは接触力が探触ピンの変位量に比例しているので、この場合プローブは探触ピンの変位量、ひいては接触力を変更するために動かされねばならない。プローブの運動は加速度、ひいては慣性力を引き起こし、そのことからこのような受動測定プローブの制御が困難となることがある。
【0010】
能動測定プローブにおいて、接触力は探触ピンの変位量にかかわりなく測定力変換器(例えば、電動式可動コイルまたは圧電素子)を頼りに調整することができる。そのことから、探触ピンの変位量が大きい場合にも、プローブの過大な運動を伴うことなく、場合によっては運動停止を引き起こすことさえなく、小さな接触力および/または走査過程の推移にわたって一定した接触力で工作物を探触することが可能となる。
【0011】
本発明は、主として能動測定プローブを用いて使用するようにされている。しかし、本発明は原則的に受動測定プローブにおいても応用可能である。
【0012】
走査法は、平滑な表面を探触すべきであるとき比較的問題なく応用することができる。しかし、探触すべき表面が隆起部や窪み、例えばフライス加工溝を有する場合、探触ピンの探触玉が隆起部または窪み内で動かなくなるときに諸問題が発生することがある。特に工作物表面の窪みはこの場合問題となり得る。しかし状況によっては、工作物表面の窪みを正確に計測する必要がまったくないことさえある。というのも、肝要なのはこの窪みが設けられた表面の推移のみ、例えば表面が実際に円形または平らであるか否かにすぎないからである。
【0013】
座標測定技術の基本概念、特に測定結果を評価する方法は、専門家に知られている。座標測定技術の公知方法についての情報、特に補間法についての情報は、非特許文献1に見られ、これに関して明確にここで引用される。
【0014】
頻繁に発生する問題の一つは、探触ピンが表面の窪み上を動くや、探触ピンが窪みに沈み込むように探触ピンの探触玉は制御装置によって再調整されることである。探触玉はいわば窪み内に「落下」する。その後の経過において、溝に端があれば、探触ピンは溝の対向するエッジに衝突する。走査過程は特定の送り量、例えば毎秒5ミリメートルで行われるので、もはや十分迅速に探触ピンを溝から「押し出す」ことができなくなることがある。その結果、探触ピンが破損するか、あるいは座標測定機の制御装置が最初に探触ピンを窪みもしくは溝から再び解放できるように走査過程は中断されねばならなくなる。
【0015】
そこで、被計測表面の窪み内への探触ピンのこのような「沈み込み」を防止する解決手段が追求された。
【0016】
冒頭で言及した特許文献1の改良である特許文献2では、工作物の窪みの位置を概略承知しているときに負の仮想測定力を調整することを提案している。「負」とはこの場合、測定力が法線方向で工作物の被計測表面から離れる方を向くことを意味する。制御装置はその場合、接触力が過大でありかつ探触玉が工作物表面から持ち上がると推定することになる。こうして窪みを「跳び越す」ことが可能になる。窪みを横切ったのち仮想設定力が取り除かれ、制御装置は工作物表面を再び走査する。しかしこれは、窪みの概略位置が既知であることを前提とする。
【0017】
特許文献3でも、探触玉もしくは探触ピンが窪みに沈み込んで動かなくなるのを防止するために、窪みに接近時に探触玉を工作物表面から持ち上げることが提案されている。ここでも溝もしくは窪みの概略位置は既知でなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5737244号明細書
【特許文献2】米国特許第5895444号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/074989号パンフレット
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Fachbuch Weckenmann、Gawande、”Koordinatenmesstechnik”、Carl Hanser Verlag、Munchen、1999、ISBN3−446−17991−7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、測定位置にそもそも工作物がないときにも例えば窪みに基づいて走査を可能とする窪み付き工作物表面を走査する可能性を提供することである。その際、公知の測定法、走査法および補間法はすべて変更なしに応用可能なままでなければならず、存在する窪みを承知していないときでも探触ピンが窪み内で動かなくなるのを防止しなければならない。さらに、把握された測定値が実際に走査された工作物表面に由来しているか否かが認識可能なままでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで本発明の第1観点によれば、測定対象表面に一致した少なくとも1つの実際部分と少なくとも1つの仮想部分とを表面が有するように冒頭で言及した方法を改良することが提案される。
【0022】
本発明の第2観点によれば、測定対象表面に一致した少なくとも1つの実際部分と少なくとも1つの仮想部分とを表面が有するように冒頭で言及した座標測定機を改良することが提案される。
【0023】
本発明の第3観点によれば、座標測定機の制御装置内でコンピュータプログラムが実行されるとき本発明の第1観点による方法の全ステップを実行するように形成された、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラムが提案される。
【0024】
つまり制御プロセスにおいて実際には工作物に存在しない仮想表面が考慮され、これらの仮想表面は座標測定機の利用者によって予め規定され、例えば好適なユーザソフトウェアを頼りに設定することができる。これらの仮想表面はその形状および位置をほぼ任意にして測定空間内に配置することができ、例えば平坦面、円筒体または球体で構成することができる。仮想表面は実際に存在する工作物表面を補足および/または変更するものであり、こうして工作物および実際工作物表面に対して相対的な探触ピンの運動軌道を決定する。被計測工作物の目標幾何学形状は基本的に既知であるので、有利なことに、実工作物表面の窪みが「穴埋め」されるように仮想表面を規定しかつ測定空間内に配置することが可能となる。その場合探触ピンは、制御に基づいて仮想表面に沿って案内されることによって窪みを「跳び越す」。幾つかの事例では、仮想表面が工作物内に、つまり実際工作物表面の下にあると有利である。例えば球体を走査する場合、仮想表面は半径が多少小さい球体とすることができよう。ところで例えば溝等の窪みが実際工作物表面にある場合、これらの窪みもしくは溝は仮想表面によって「覆われ」る。その場合探触ピンの探触玉がこれらの仮想表面に当ると、実際表面のものに一致した制御量および測定量が生成される。同様に、制御装置は仮想表面が実際表面であるかのように探触玉もしくはプローブの位置を制御する。それゆえに探触玉は窪みの底にまで沈み込むのでなく、仮想表面上をそれに沿って移動する。こうして克服すべき高低差が小さくなり、実際窪みの末端で探触玉もしくは探触ピンは問題なく再び実際工作物表面に達することができる。歯車の幾何学形状を走査する場合、有利な仮想表面は想定された膜のように個々の歯の先端に張り渡した包絡体を形成することができる。制御装置がこのような仮想表面に沿って探触ピンを動かすときプローブは実際に存在する歯の間に探触ピンの自由端を入り込ませない。
【0025】
探触玉もしくは探触ピンがそれに沿って制御下に動かされた表面が座標測定機によって計測され、従ってこの表面は、被計測工作物表面に一致した工作物に実際に存在する実部分と、例えば幾何学形状データの態様で制御装置に設定されるが実表面としては存在しない仮想部分とから成る。主に、制御装置とプローブの制御アルゴリズムとに何ら変更はない。こうして仮想表面は座標測定機の既に存在する制御ソフトウェアおよび補間ソフトウェアでもって問題なく利用できるので、仮想表面は走査し、実工作物表面もしくは実際工作物表面と組合せることができる。
【0026】
探触ピンもしくはプローブが固定表面を走査しもしくは固定測定対象に沿って動かされるのか、または表面もしくは測定対象が固定探触ピンもしくはプローブに沿って動かされるのかは、基本的に区別されない。探触ピンもしくはプローブを動かすことも表面もしくは測定対象を動かすことも可能である。決定的なことは測定対象とプローブとの間の相対運動だけである。被計測測定対象に応じて好適な配置を設けることができる。例えば異なる形状を有するさまざまな測定対象が頻繁に計測されねばならない場合、測定対象を定置に配置して探触ピンを動かすのが有利である。それに対して、ほぼ同一に成形された回転対称な測定対象、例えば歯車を計測しなければならない場合、探触ピンを定置で保持して測定対象を回転させるのが有利なこともある。動かすべき質量はこうして小さく抑えることができる。
【0027】
冒頭に掲げた課題はこうして完全に解決される。
【0028】
本発明の好ましい一構成によれば、少なくとも1つの仮想部分内で把握される測定値がマーキングされる。
【0029】
仮想部分内で把握された測定値は実工作物表面の実際測定値に一致しないので、把握した空間座標の評価時にそれらを考慮しないことが有利である。有利には、少なくとも1つの仮想部分内で把握される測定値がマーキングされる。マーキングされたこれらの測定値は次に例えば遮蔽もしくはマスキングすることができ、再処理時または評価時にそれらは利用されない。
【0030】
さらに、プローブが能動測定プローブであり、制御装置が探触ピンの測定力を制御し、少なくとも1つの仮想部分内への探触ピンの沈み込み深さに比例して、能動測定プローブの測定力変換器に対向力が付加されるようにすることができる。
【0031】
こうして能動プローブでは、利用者によって確定された仮想表面または自動的に確定された仮想表面をプローブの制御装置内への実際的入力に変換することが可能である。仮想表面は三次元ベクトル場として生成され、このベクトル場は仮想表面の位置決めに応じて測定空間内の特定位置を占める。それから、この位置に基づいて、測定空間のうち仮想表面のある空間座標が既知である。それから、各空間座標について、仮想力のベクトルはその値と方向が確定されている。方向は仮想平面の表面から法線方向で離れる方を向いている。値は仮想表面内での深さが増すのに伴って上昇する。すなわち、値は表面では小さく、それから深さが増すのに伴って増加する。こうしてここで利用される仮想力はそれらに割り当てられた空間座標に応じて異なる値を有する。こうして仮想表面は「仮想体」と称することもできよう。ところで、仮想表面に属する空間座標を有する1点へと探触玉が動くと、これらの空間座標について格納されている仮想力は目標接触力とは逆向きで目標接触力に付加される。このことは、座標測定機の制御装置にとって、探触玉が仮想表面に「触れる」や仮想表面によって探触ピンの探触玉に力が加えられるかのような印象を与える効果を有する。こうして制御装置によって測定力変換器の目標値に対向力が付加される。仮想表面を形成する仮想力の値は仮想表面内への沈み込み深さが増すのに伴って増加するので、一定の沈み込み深さにおいて目標接触力と仮想力との間に均衡が生じる。この均衡に達したなら、探触玉が仮想平面内にさらに沈み込むことはない。こうしてプローブは仮想表面内にごく僅かに入り込むだけである。その場合、探触玉の沈み込み深さが溝の末端で溝エッジの「よじ登り」を可能とするように仮想平面の位置は適宜選択されている。
【0032】
上述のやり方は特に、技術の現状に比べて、測定対象の実際表面にある溝もしくは窪みの位置が既知でなければならないのではないという利点を有する。探触ピンが入り込むことのできない絶対的に規定された領域または測定対象に対して相対的に規定された領域を仮想表面によって測定空間内で選択的に生成することができる。測定領域内の仮想表面によって規定されたこれらの「禁止帯域」に基づいて、走査過程中、溝内への探触ピンの落下を防止するいわば「安全ネット」が接触ピンに与えられている。
【0033】
選択的に本発明の第1観点に係る方法でも本発明の第2観点に係る座標測定機でも適用できることとして、プローブが受動測定プローブであり、制御装置が探触ピンの変位量を制御し、少なくとも1つの仮想部分内への探触ピンの沈み込み深さに比例して探触ピンの目標変位量に対して仮想変位量が付加されてよい。
【0034】
その際好ましくは、仮想変位量が目標変位量とは逆向きであり、少なくとも1つの仮想部分における探触ピンの特定沈み込み深さにおいて目標変位量と仮想変位量との間に均衡が生じ、もしくは制御器設定値の間に均衡が生じるようにすることができる。
【0035】
本発明の第1観点に係る方法と本発明の第2観点に係る座標測定機は特に能動測定プローブに適しもしくは能動測定プローブの使用に適しているのではあるが、受動測定プローブにも適用することができる。そこでは特定空間座標に割り当てられた仮想力によって仮想表面が転換されているのでなく、仮想変位量が目標変位量に付加される。仮想変位量のベクトル値はやはり沈み込み深さの増加に伴って上昇する。仮想変位量のベクトルの方向が目標変位量の方向とは逆向きであり、特定沈み込み深さにおいて当該仮想変位量と目標変位量との間に均衡が生じる。ここでも仮想表面に沿ってプローブの制御が達成される。
【0036】
従って、能動プローブと受動プローブとについて上で述べた両方の実施形態に共通する点として、仮想部分は少なくとも1つの仮想表面によって形成されており、少なくとも1つの仮想表面はそれらの値および方向がそれぞれ1つの特定空間座標に割り当てられた多数のベクトルとして形成されている。
【0037】
本発明の第1観点に係る方法の他の構成でも、本発明の第2観点に係る座標測定機の他の構成でも、測定過程の間に測定対象もしくは被計測表面の既知の目標幾何学形状が少なくとも1つの実際部分に沿って位置ずれすることが検知され、少なくとも1つの仮想部分の配置が位置ずれに基づいて適合されるようにすることができる。
【0038】
こうして少なくとも1つの仮想表面の位置の動的ずれを設けておくことができる。このことは特に、既知の目標幾何学形状、例えば平面または円筒を有する工作物を走査するときに有利である。その際、例えば穴の既知の位置ずれは−すなわち、穴の中心点は仮定された箇所にはない−、補間法の再調整用に変更されるだけでなく−すなわち、目標幾何学形状の位置は使用された補間法に適合される−、同時に仮想表面の位置もしくは配置の再調整用にも変更される。仮想表面の適合もしくは再調整を行うことができるのは、当然に、探触ピンが実際表面もしくは実表面上にあり、実際表面上でも把握された測定値が援用される場合にのみである。
【0039】
こうして測定過程中に仮想要素もしくは仮想表面の位置を実際工作物形状に適合させることが可能である。
【0040】
最後に本発明の第1観点に係る方法でも、本発明の第2観点に係る座標測定機でも、仮想表面の幾何学形状が平面または円筒体または球体に一致するようにすることができる。
【0041】
こうして少なくとも1つの仮想表面の形状を実際工作物に好適に適合させることが可能である。
【0042】
前記特徴および以下でなお説明する特徴は当然にその都度明示した組合せにおいてだけでなく、別の組合せや単独でも、本発明の枠から逸脱することなく応用可能である。
【0043】
以下、添付図面を参考に本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1観点に係る方法の1実施形態による測定過程の略図である。
【図2】この方法の第2実施形態を示す。
【図3a】この方法の第3実施形態を示す。
【図3b】この方法の第3実施形態を示す。
【図4a】この方法の第4実施形態を示す。
【図4b】この方法の第4実施形態を示す。
【図4c】この方法の第4実施形態を示す。
【図5】この方法の第5実施形態を示す。
【図6a】この方法の第6実施形態を示す。
【図6b】この方法の第6実施形態を示す。
【図7】本発明の第2観点に係る座標測定機を示す。
【図8】図7の座標測定機の能動プローブの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は例示した測定対象12について実施することのできる1実施形態の方法10の経過を示す。
【0046】
この例において測定対象12は、それが実際に平らであるか否かを点検される板である。
【0047】
このため測定対象表面13を計測しなければならない。得られた測定点に基づいて、評価の枠内で、測定対象12の測定対象表面13が実際に平らであるか否かを点検することができる。
【0048】
そのことを達成するために表面14が計測され、表面の構成は以下で詳しく述べられる。
【0049】
測定対象表面13が幾つかの箇所に溝16を有する。溝16は測定対象表面13の考えられる凸凹、特に窪みの例として示してあるにすぎない。測定過程を損ない得るような別の種類の障害物も考えられる。
【0050】
設けられている探触ピン18はその一端に探触玉20を有し、この探触玉で表面14が探触される。探触ピン18が図1ではさまざまな位置A〜Eで示してある。測定過程の枠内で探触ピン18は位置A〜Eをアルファベット順に通過し、すなわちAから始めてEで終了する。
【0051】
ところで探触ピン18が測定対象表面13に沿って移動してこれを走査し、探触玉20が測定対象表面13と接触しているとき、探触ピン18は溝16を横切らねばならない。方法10の実施中に制御装置が探触ピン18を溝16に過度に深く入り込ませて探触ピン18の探触玉20が場合によって溝16内で動かなくなることのないように、仮想表面22が設けられており、この仮想表面は実際に計測すべき測定対象表面13に対応して配置されている。本例では、測定対象表面13が実際に平らもしくは平坦であるか否かを確認しなければならない。同様にここでも、仮想表面22が測定対象表面13の数ミリメートル下でこの表面と平行に延びているようにすることができる。このような境界条件によって仮想表面22は自動的にもしくは計算機支援式に配置することもできる。
【0052】
仮想表面22は、その値および方向がそれぞれ1つの特定空間座標(X、Y、Z)に割り当てられた多数のベクトル23として形成されている。ベクトルはプローブの種類に応じて仮想力または仮想ベクトルとすることができる。
【0053】
仮想表面22は、方法10の実施中、測定対象12の実際測定対象表面13もしくは実測定対象表面として扱われる。同様に、探触玉20を有する探触ピン18は、仮想表面22が実際測定対象表面13であるかのように制御される。こうして、探触玉20が溝16に過度に深く入り込むのを防止することができる。こうして方法10の間に探触玉20によって走査される表面14は実際測定対象表面13と仮想表面22とで構成される。こうして表面14は実際部分24と仮想部分26とを有する。従って測定結果を評価するとき、実際測定対象表面13の探触中に把握された測定結果のみが援用されることに注意しなければならない。仮想表面22の探触時にも表面16の仮想部分26内で測定値が獲得されるが、しかしこれらの測定値は当然に実体に合致しておらず、従って評価時に遮蔽されねばならない。
【0054】
こうして方法10の測定過程の経過は探触ピン18の位置Aで始まり、この位置において探触玉20が実際測定対象表面13を探触する。探触玉20は表面14の実際部分24内にある。次に探触玉20が送り方向28に沿って動かされ、送り方向28は常に被計測測定対象表面13の目標幾何学形状にほぼ従う。探触玉20は法線方向30で、すなわち送り方向28に垂直に、測定対象表面13を加圧する。これにより探触玉20と測定対象表面13との間で接触力Fが働く。探触ピン18の停止時に接触力Fは図1に例示しただけのように法線方向30から相違することができる。その場合、接触力Fは探触玉20と測定対象表面13との間の接触点の静摩擦円錐の内部に位置することができる。しかし探触玉20が測定対象表面13に沿って動かされ、静摩擦が滑り摩擦に移行するや、通常の力平行四辺形によって接触力Fの方向は法線方向30の力と測定対象表面13の方向の滑り摩擦力とから判定することができる。探触玉20と測定対象表面13との間に僅かな摩擦係数が存在する場合に滑り摩擦力の値が法線方向の力の値に比べてごく小さいと前提すると、僅かな摩擦係数が存在する場合接触力Fの方向は法線方向30と実質的に一致する。
【0055】
ところで探触玉20が測定対象表面13から溝16内に入ると、探触玉20は仮想表面22に衝突するまで溝内で一定程度動く。探触玉20はいまや表面14の仮想部分26内にある。この方法にとって、探触玉20が実測定対象表面もしくは実際測定対象表面13上にあるのか仮想表面22上にあるのかで基本的に違いはない。探触ピン18を制御する制御装置への入力は同じである。探触玉20が仮想表面22に当たると、法線方向30で探触玉20の方向を向く対向力は制御装置への入力として生じる。対向力の値は仮想表面22への探触玉20の沈み込み深さDに比例して生成しておくことができる。仮想表面22はいわば多数の仮想力ベクトルを有する空間領域として形成されており、仮想表面内に深く入り込めば込むほど力ベクトルの値は増加する。その結果、仮想対向力が目標接触力に一致するまで探触玉20は一定−僅かな−程度だけ仮想表面内に「沈み込む」ことになる。こうして探触玉20は溝16内に完全に沈み込むのでなく、−仮想ベース上で−仮想表面22を走査するだけである。こうして探触玉20は図示位置Bにおいて仮想部分26を横切る。
【0056】
仮想表面22は測定対象表面13の(図1に示した向きで)単に数ミリメートル下に配置されているので、仮想表面22と測定対象表面13との間の距離が僅かであり、探触ピン18が送り方向28で位置Bから位置Cに移動するとき探触玉20は仮想表面22から測定対象表面13への段階を問題なく進むことができる。引き続き、位置Bの溝16についても位置Dの溝16についても同じ過程が繰り返される。探触玉20は新たに表面14の実際部分24から表面14の、仮想表面22によって形成される仮想部分26へと移行する。こうして探触玉20が位置Dにおいて完全に溝16に沈み込みことは防止され、この溝16も危険なく通過することができる。方法10の測定過程は次に探触ピン18の位置Eにおいて終了する。
【0057】
以上述べた方法10によって、測定対象12の溝16を横切ることが問題なく可能である。さらに、探触玉20を実際測定対象表面13から持ち上げて探触玉20にいわば溝16を「飛び越え」させることは必須でない。それゆえに被計測測定対象表面13全体が走査される。
【0058】
他の実施形態が図2に例示してある。この場合計測されるのは歯車の態様の測定対象12’、ここでは歯の歯先円である。それとともに被計測表面14は測定対象12’の歯先32の態様の実際部分と測定対象12’の周りに設けられる円筒形仮想表面22’とを有する。こうして単に歯先円もしくは歯先32を計測することができる。探触玉20を有する探触ピン18は、歯溝が仮想表面22’によって覆われるので歯溝に沈み込む必要がない。この場合送り方向28’は円形である。
【0059】
図3aと図3bに第3実施形態が示してある。この場合に計測されるのは測定対象12’’のダブテール34の幅である。ダブテール34の幅を確認するために仮想表面22’’が設けられており、探触玉20がダブテール34の下に入り込んで動かなくなることはない。仮想表面22’’はダブテール34の測定対象表面13’’に対して単に僅かな距離で設けられており、探触玉20は仮想表面22’’から実際表面13’へと上ることができる。測定過程のとき探触ピン18は位置A’から送り方向28’’に沿って位置B’へと適宜動かされ、こうしてダブテール34の幅が把握される。
【0060】
図4a〜図4cは、その刃部が計測される鋸歯36を有する鋸刃の態様の測定対象12’’’を示している。このため、歯車の歯先円の計測時と同様に円筒形仮想表面22’’’が設けられている。これにより、探触玉20’’’が鋸歯36の間の空隙に沈み込んで刃部の背後で動かなくなることは防止される。それとともに仮想表面22’’’によって、送り方向28’’’で鋸歯36の刃部を走査することも可能となる。図4aと図4bから明らかとなるように複数の仮想表面22’’’を配置することができる。上側切れ刃37も下側切れ刃38も円補間を頼りに把握することがこうして可能となる。
【0061】
他の実施形態の図5に示す例でも事情は同じである。この場合測定対象12’’’において穴40もしくはその内径が計測される。但しこの穴40はフライス加工されたキー溝42を有する。探触ピン18がこのキー溝42内で動かなくなるのを防止するために、仮想表面22’’’’がキー溝42上に設けられ、こうして探触ピン18もしくは探触玉20がキー溝42内に過度に深く沈み込むのが防止される。こうして、穴40を一気に走査してその内径を円補間によって判定することが可能となる。
【0062】
他の例が図6aと図6bに示してある。この場合、プロペラシャフトの内部部品44の球形状が計測される。探触玉20が内部部品44の穴45内で動かなくなることのないように、球形状を有する仮想表面22’’’’が内部部品内に設けられる。こうして、例えば外側球体の態様の内部部品44の測定対象表面13’’’’を計測しかつ球面補間によって判定することが可能となる。
【0063】
図7は本発明の1実施形態における座標測定機46を示す。
【0064】
座標測定機46が測定表面48を有し、この測定表面上に測定対象12が配置されている。測定表面48上で門50がY方向に運動可能に支承されている。門50でキャリッジ52がX方向に運動可能に支承されている。さらにキャリッジ52内でスピンドル54がZ方向に摺動可能に支承されている。
【0065】
スピンドル54の一端にあるプローブ60は探触玉20を備えた探触ピン18をそれ自身受容している。
【0066】
こうして探触ピン18は任意方向で測定対象12に接近することができ、測定対象12は探触玉20で探触することができる。
【0067】
目盛56、57、58が設けられており、これらの目盛に沿って門50、キャリッジ52、スピンドル54が動かされる。こうして好適なセンサ装置によって目盛56、57、58に基づいて門50、キャリッジ52およびスピンドル54の位置は判定することができる。プローブ60は、能動的または受動的に測定するように形成しておくことのできる他の(図示しない)センサ装置を有する。このセンサ装置によってプローブ60もしくはスピンドル54に対して相対的な探触ピン18の変位量は判定することができ、こうして探触玉20の位置も既知である。
【0068】
座標測定機46がさらに制御装置64を有し、この制御装置は例えば通常のコンピュータとして形成しておくことができる。その場合通常の構成において制御装置64は出力装置66と入力装置67とを有し、利用者は出力装置66で計測結果を読み取ることができ、または例えば測定過程用シーケンスプログラムをスタートさせることができる。入力装置67によって例えば測定過程の速度、探触すべき表面等に関してさまざまな変更を行うことができる。
【0069】
このため制御装置64は、上記方法に従って測定対象12を計測することができる。このため制御装置64は被計測測定対象表面13に基づいて、例えば被計測実際測定対象表面13に対して仮想表面を一定程度離間させかつ平行に配置することによって、仮想表面22を自動的に適宜配置することができる。例えば、球体表面を計測する場合、被計測球体表面の窪みに探触ピンが落下するのを防止するために、半径の多少小さい仮想球体表面を同じ中心点で自動的に配置するようにすることができる。それとともに窪みへの落下は実際に存在する窪みもしくは溝を承知しなくとも起きることがある。
【0070】
選択的にまたは付加的に、測定過程を手動で実施するために操作装置69を設けておくことも当然に可能である。例えば特定測定過程を学習することができ、または制御装置64の故障時に座標測定機46の制御を手動で引き受けることができる。
【0071】
制御装置64は、図示したように座標測定機46の残りの諸要素に至るケーブル接続部を有することができ、しかしワイヤレスで接続しておくこともできる。制御装置64が残りの諸要素の一体な構成要素であり、例えば測定表面48または門50内に配置しておくことも当然に可能である。そこに出力装置66または入力装置67を配置しておくこともできる。
【0072】
図8はプローブ60の基本的機能様式を略図で示す。このプローブ60は能動プローブとして実施されている。プローブ60が固定部分72と可動部分74とを有し、両方の部分は2つの板ばね42、44を介して互いに結合されている。板ばね76、78は、矢印80の方向で部分74の運動を可能とするばね平行四辺形を形成する。こうして探触ピン18はその静止位置から距離Tだけ変位することができる。符号18’ではプローブ60が変位位置で略示してある。
【0073】
固定部分72に対して相対的な探触ピン18の変位量は測定対象12の探触の結果とすることができる。探触ピン18の変位量は探触玉20の空間座標を判定する際に考慮される。さらに、能動プローブ60において探触ピン18の変位量は測定力発生器を頼りに生成することができる。固定部分72と可動部分74とにそれぞれ脚部82、84が配置されている。脚部82、84は板ばね76、78と平行かつ互いに平行である。脚部82、84の間にセンサ86(ここでは目盛88付きで図示)と測定力発生器もしくは測定力変換器90が配置されている。センサ86は可動コイル、ホールセンサ、ピエゾ抵抗センサまたは別のセンサとすることができ、これらを頼りに固定部分72に対して相対的な探触ピン18の空間的変位量を判定することができる。測定力発生器90は、例えば両方の脚部82、84を互いに引き寄せまたは互いに押し離すことのできる可動コイルとすることができる。同様に、制御装置64が一方で変位量、接触力等の変量を読み取ることができかつ他方で測定力発生器90を制御できるように、プローブ60は制御装置とも接続されている。
【0074】
図8の略図においてプローブ60は探触ピン18の変位を矢印46の方向で可能とするだけである。しかしながら当該技術の専門家に知られているように、このようなプローブ60は代表的には2つの他の直交する空間方向で当該変位を可能とする。このようなプローブ60の1実施例が例えば印刷物DE4424225A1に述べられており、その開示内容は参照することによってここに含められる。しかし本発明はこの特殊なプローブ60に限定されているのでなく、別の測定系の別の測定するプローブまたは切り換えるプローブおよびセンサヘッド、特に受動プローブでもって実現することもできる。
【0075】
当該技術の専門家に知られているように、図8に概略示した種類のプローブ60もしくはセンサヘッドは一般に受容部を有し、この受容部に探触ピン18もしくは別のセンサが交換可能に固着されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象を計測する座標測定機の測定過程を制御する方法であって、座標測定機が制御装置と探触ピンを備えたプローブとを有し、探触ピンと測定対象の表面との間の相対運動が制御装置によって制御されるものに関する。
【0002】
本発明はさらに、測定対象を計測する座標測定機であって、制御装置と探触ピンを備えたプローブとを有し、探触ピンと測定対象の表面との間の相対運動が制御装置によって制御されるものに関する。
【背景技術】
【0003】
このような方法とこのような座標測定機は、例えば特許文献1により公知である。
【0004】
三次元座標測定機は、技術の現状において一般に知られており、工業的応用では工作物を計測し、これにより工作物に例えば品質管理を施すのに利用される。しかし、別の応用分野、例えば「リバースエンジニアリング」分野でも、このような座標測定機は利用される。
【0005】
工作物を計測するために異なる測定系が利用される。通常、これは工作物の非接触式計測を可能とする光学式測定系か、工作物の探触点の座標を把握するために工作物を特定諸点で探触する接触式測定系かのいずれかである。
【0006】
本発明は、接触式測定系を有する座標測定機を扱う。このような座標測定機は、測定空間内で工作物に対して相対的に三次元運動可能に配置されるプローブを有する。プローブがセンサ装置を有し、このセンサ装置は探触ピンを運動可能に支承し、かつプローブベースに対して相対的な探触ピンの変位量を把握することができる。探触ピンが探触先端を有し、この探触先端に探触物体、一般に探触玉が設けられている。探触ピンの既知幾何学形状と測定空間内でのプローブの既知位置とに基づいて、センサ装置によって把握された変位量を頼りに工作物の探触測定点の空間座標を判定することができる。
【0007】
工作物を計測するためにさまざまな測定方式が知られている。計測は、多数の点を個々に探触するように行うことができる。このような測定方法は例えば、まったく未知の幾何学形状の把握を可能とするが、しかし各測定点を個々に探触するので多くの時間支出を必要とする。
【0008】
それと並んで、探触ピンが被計測工作物と接触しながら被計測工作物に沿って移動し、こうして工作物表面上の軌道に沿って多数の測定点を把握するいわゆる走査法が知られている。こうして多数の測定点をごく迅速に把握することが可能となる。しかしこのためには、探触ピンもしくは探触玉が工作物の表面と絶えず接触しているようにプローブの運動軌道を制御することが不可欠である。このため、一般に軌道の目標幾何学形状は予め知られている。例えば、円形穴の内径を計測するときに、目標幾何学形状が円軌道であることは知られていることがある。この目標幾何学形状を承知していると走査過程中にプローブの軌道の制御が容易となり、プローブの軌道の再調整は目標幾何学形状からの測定点の実際偏差に基づいて行わねばならないだけである。
【0009】
さらに、いわゆる能動測定プローブといわゆる受動測定プローブとが技術の現状において知られている。受動測定プローブでは、探触ピンが実質的に機械的ばね要素を介して支承されている。こうして探触ピンの変位量は支承部のばね力に、ひいては探触ピンを工作物表面に押し付ける接触力に、常に比例している。工作物表面に沿った走査過程の間、探触ピンの過度な撓みまたは工作物の損傷を避けるために接触力が特定範囲内にのみあると有利である。受動測定プローブでは接触力が探触ピンの変位量に比例しているので、この場合プローブは探触ピンの変位量、ひいては接触力を変更するために動かされねばならない。プローブの運動は加速度、ひいては慣性力を引き起こし、そのことからこのような受動測定プローブの制御が困難となることがある。
【0010】
能動測定プローブにおいて、接触力は探触ピンの変位量にかかわりなく測定力変換器(例えば、電動式可動コイルまたは圧電素子)を頼りに調整することができる。そのことから、探触ピンの変位量が大きい場合にも、プローブの過大な運動を伴うことなく、場合によっては運動停止を引き起こすことさえなく、小さな接触力および/または走査過程の推移にわたって一定した接触力で工作物を探触することが可能となる。
【0011】
本発明は、主として能動測定プローブを用いて使用するようにされている。しかし、本発明は原則的に受動測定プローブにおいても応用可能である。
【0012】
走査法は、平滑な表面を探触すべきであるとき比較的問題なく応用することができる。しかし、探触すべき表面が隆起部や窪み、例えばフライス加工溝を有する場合、探触ピンの探触玉が隆起部または窪み内で動かなくなるときに諸問題が発生することがある。特に工作物表面の窪みはこの場合問題となり得る。しかし状況によっては、工作物表面の窪みを正確に計測する必要がまったくないことさえある。というのも、肝要なのはこの窪みが設けられた表面の推移のみ、例えば表面が実際に円形または平らであるか否かにすぎないからである。
【0013】
座標測定技術の基本概念、特に測定結果を評価する方法は、専門家に知られている。座標測定技術の公知方法についての情報、特に補間法についての情報は、非特許文献1に見られ、これに関して明確にここで引用される。
【0014】
頻繁に発生する問題の一つは、探触ピンが表面の窪み上を動くや、探触ピンが窪みに沈み込むように探触ピンの探触玉は制御装置によって再調整されることである。探触玉はいわば窪み内に「落下」する。その後の経過において、溝に端があれば、探触ピンは溝の対向するエッジに衝突する。走査過程は特定の送り量、例えば毎秒5ミリメートルで行われるので、もはや十分迅速に探触ピンを溝から「押し出す」ことができなくなることがある。その結果、探触ピンが破損するか、あるいは座標測定機の制御装置が最初に探触ピンを窪みもしくは溝から再び解放できるように走査過程は中断されねばならなくなる。
【0015】
そこで、被計測表面の窪み内への探触ピンのこのような「沈み込み」を防止する解決手段が追求された。
【0016】
冒頭で言及した特許文献1の改良である特許文献2では、工作物の窪みの位置を概略承知しているときに負の仮想測定力を調整することを提案している。「負」とはこの場合、測定力が法線方向で工作物の被計測表面から離れる方を向くことを意味する。制御装置はその場合、接触力が過大でありかつ探触玉が工作物表面から持ち上がると推定することになる。こうして窪みを「跳び越す」ことが可能になる。窪みを横切ったのち仮想設定力が取り除かれ、制御装置は工作物表面を再び走査する。しかしこれは、窪みの概略位置が既知であることを前提とする。
【0017】
特許文献3でも、探触玉もしくは探触ピンが窪みに沈み込んで動かなくなるのを防止するために、窪みに接近時に探触玉を工作物表面から持ち上げることが提案されている。ここでも溝もしくは窪みの概略位置は既知でなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第5737244号明細書
【特許文献2】米国特許第5895444号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/074989号パンフレット
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Fachbuch Weckenmann、Gawande、”Koordinatenmesstechnik”、Carl Hanser Verlag、Munchen、1999、ISBN3−446−17991−7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の課題は、測定位置にそもそも工作物がないときにも例えば窪みに基づいて走査を可能とする窪み付き工作物表面を走査する可能性を提供することである。その際、公知の測定法、走査法および補間法はすべて変更なしに応用可能なままでなければならず、存在する窪みを承知していないときでも探触ピンが窪み内で動かなくなるのを防止しなければならない。さらに、把握された測定値が実際に走査された工作物表面に由来しているか否かが認識可能なままでなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
そこで本発明の第1観点によれば、測定対象表面に一致した少なくとも1つの実際部分と少なくとも1つの仮想部分とを表面が有するように冒頭で言及した方法を改良することが提案される。
【0022】
本発明の第2観点によれば、測定対象表面に一致した少なくとも1つの実際部分と少なくとも1つの仮想部分とを表面が有するように冒頭で言及した座標測定機を改良することが提案される。
【0023】
本発明の第3観点によれば、座標測定機の制御装置内でコンピュータプログラムが実行されるとき本発明の第1観点による方法の全ステップを実行するように形成された、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラムが提案される。
【0024】
つまり制御プロセスにおいて実際には工作物に存在しない仮想表面が考慮され、これらの仮想表面は座標測定機の利用者によって予め規定され、例えば好適なユーザソフトウェアを頼りに設定することができる。これらの仮想表面はその形状および位置をほぼ任意にして測定空間内に配置することができ、例えば平坦面、円筒体または球体で構成することができる。仮想表面は実際に存在する工作物表面を補足および/または変更するものであり、こうして工作物および実際工作物表面に対して相対的な探触ピンの運動軌道を決定する。被計測工作物の目標幾何学形状は基本的に既知であるので、有利なことに、実工作物表面の窪みが「穴埋め」されるように仮想表面を規定しかつ測定空間内に配置することが可能となる。その場合探触ピンは、制御に基づいて仮想表面に沿って案内されることによって窪みを「跳び越す」。幾つかの事例では、仮想表面が工作物内に、つまり実際工作物表面の下にあると有利である。例えば球体を走査する場合、仮想表面は半径が多少小さい球体とすることができよう。ところで例えば溝等の窪みが実際工作物表面にある場合、これらの窪みもしくは溝は仮想表面によって「覆われ」る。その場合探触ピンの探触玉がこれらの仮想表面に当ると、実際表面のものに一致した制御量および測定量が生成される。同様に、制御装置は仮想表面が実際表面であるかのように探触玉もしくはプローブの位置を制御する。それゆえに探触玉は窪みの底にまで沈み込むのでなく、仮想表面上をそれに沿って移動する。こうして克服すべき高低差が小さくなり、実際窪みの末端で探触玉もしくは探触ピンは問題なく再び実際工作物表面に達することができる。歯車の幾何学形状を走査する場合、有利な仮想表面は想定された膜のように個々の歯の先端に張り渡した包絡体を形成することができる。制御装置がこのような仮想表面に沿って探触ピンを動かすときプローブは実際に存在する歯の間に探触ピンの自由端を入り込ませない。
【0025】
探触玉もしくは探触ピンがそれに沿って制御下に動かされた表面が座標測定機によって計測され、従ってこの表面は、被計測工作物表面に一致した工作物に実際に存在する実部分と、例えば幾何学形状データの態様で制御装置に設定されるが実表面としては存在しない仮想部分とから成る。主に、制御装置とプローブの制御アルゴリズムとに何ら変更はない。こうして仮想表面は座標測定機の既に存在する制御ソフトウェアおよび補間ソフトウェアでもって問題なく利用できるので、仮想表面は走査し、実工作物表面もしくは実際工作物表面と組合せることができる。
【0026】
探触ピンもしくはプローブが固定表面を走査しもしくは固定測定対象に沿って動かされるのか、または表面もしくは測定対象が固定探触ピンもしくはプローブに沿って動かされるのかは、基本的に区別されない。探触ピンもしくはプローブを動かすことも表面もしくは測定対象を動かすことも可能である。決定的なことは測定対象とプローブとの間の相対運動だけである。被計測測定対象に応じて好適な配置を設けることができる。例えば異なる形状を有するさまざまな測定対象が頻繁に計測されねばならない場合、測定対象を定置に配置して探触ピンを動かすのが有利である。それに対して、ほぼ同一に成形された回転対称な測定対象、例えば歯車を計測しなければならない場合、探触ピンを定置で保持して測定対象を回転させるのが有利なこともある。動かすべき質量はこうして小さく抑えることができる。
【0027】
冒頭に掲げた課題はこうして完全に解決される。
【0028】
本発明の好ましい一構成によれば、少なくとも1つの仮想部分内で把握される測定値がマーキングされる。
【0029】
仮想部分内で把握された測定値は実工作物表面の実際測定値に一致しないので、把握した空間座標の評価時にそれらを考慮しないことが有利である。有利には、少なくとも1つの仮想部分内で把握される測定値がマーキングされる。マーキングされたこれらの測定値は次に例えば遮蔽もしくはマスキングすることができ、再処理時または評価時にそれらは利用されない。
【0030】
さらに、プローブが能動測定プローブであり、制御装置が探触ピンの測定力を制御し、少なくとも1つの仮想部分内への探触ピンの沈み込み深さに比例して、能動測定プローブの測定力変換器に対向力が付加されるようにすることができる。
【0031】
こうして能動プローブでは、利用者によって確定された仮想表面または自動的に確定された仮想表面をプローブの制御装置内への実際的入力に変換することが可能である。仮想表面は三次元ベクトル場として生成され、このベクトル場は仮想表面の位置決めに応じて測定空間内の特定位置を占める。それから、この位置に基づいて、測定空間のうち仮想表面のある空間座標が既知である。それから、各空間座標について、仮想力のベクトルはその値と方向が確定されている。方向は仮想平面の表面から法線方向で離れる方を向いている。値は仮想表面内での深さが増すのに伴って上昇する。すなわち、値は表面では小さく、それから深さが増すのに伴って増加する。こうしてここで利用される仮想力はそれらに割り当てられた空間座標に応じて異なる値を有する。こうして仮想表面は「仮想体」と称することもできよう。ところで、仮想表面に属する空間座標を有する1点へと探触玉が動くと、これらの空間座標について格納されている仮想力は目標接触力とは逆向きで目標接触力に付加される。このことは、座標測定機の制御装置にとって、探触玉が仮想表面に「触れる」や仮想表面によって探触ピンの探触玉に力が加えられるかのような印象を与える効果を有する。こうして制御装置によって測定力変換器の目標値に対向力が付加される。仮想表面を形成する仮想力の値は仮想表面内への沈み込み深さが増すのに伴って増加するので、一定の沈み込み深さにおいて目標接触力と仮想力との間に均衡が生じる。この均衡に達したなら、探触玉が仮想平面内にさらに沈み込むことはない。こうしてプローブは仮想表面内にごく僅かに入り込むだけである。その場合、探触玉の沈み込み深さが溝の末端で溝エッジの「よじ登り」を可能とするように仮想平面の位置は適宜選択されている。
【0032】
上述のやり方は特に、技術の現状に比べて、測定対象の実際表面にある溝もしくは窪みの位置が既知でなければならないのではないという利点を有する。探触ピンが入り込むことのできない絶対的に規定された領域または測定対象に対して相対的に規定された領域を仮想表面によって測定空間内で選択的に生成することができる。測定領域内の仮想表面によって規定されたこれらの「禁止帯域」に基づいて、走査過程中、溝内への探触ピンの落下を防止するいわば「安全ネット」が接触ピンに与えられている。
【0033】
選択的に本発明の第1観点に係る方法でも本発明の第2観点に係る座標測定機でも適用できることとして、プローブが受動測定プローブであり、制御装置が探触ピンの変位量を制御し、少なくとも1つの仮想部分内への探触ピンの沈み込み深さに比例して探触ピンの目標変位量に対して仮想変位量が付加されてよい。
【0034】
その際好ましくは、仮想変位量が目標変位量とは逆向きであり、少なくとも1つの仮想部分における探触ピンの特定沈み込み深さにおいて目標変位量と仮想変位量との間に均衡が生じ、もしくは制御器設定値の間に均衡が生じるようにすることができる。
【0035】
本発明の第1観点に係る方法と本発明の第2観点に係る座標測定機は特に能動測定プローブに適しもしくは能動測定プローブの使用に適しているのではあるが、受動測定プローブにも適用することができる。そこでは特定空間座標に割り当てられた仮想力によって仮想表面が転換されているのでなく、仮想変位量が目標変位量に付加される。仮想変位量のベクトル値はやはり沈み込み深さの増加に伴って上昇する。仮想変位量のベクトルの方向が目標変位量の方向とは逆向きであり、特定沈み込み深さにおいて当該仮想変位量と目標変位量との間に均衡が生じる。ここでも仮想表面に沿ってプローブの制御が達成される。
【0036】
従って、能動プローブと受動プローブとについて上で述べた両方の実施形態に共通する点として、仮想部分は少なくとも1つの仮想表面によって形成されており、少なくとも1つの仮想表面はそれらの値および方向がそれぞれ1つの特定空間座標に割り当てられた多数のベクトルとして形成されている。
【0037】
本発明の第1観点に係る方法の他の構成でも、本発明の第2観点に係る座標測定機の他の構成でも、測定過程の間に測定対象もしくは被計測表面の既知の目標幾何学形状が少なくとも1つの実際部分に沿って位置ずれすることが検知され、少なくとも1つの仮想部分の配置が位置ずれに基づいて適合されるようにすることができる。
【0038】
こうして少なくとも1つの仮想表面の位置の動的ずれを設けておくことができる。このことは特に、既知の目標幾何学形状、例えば平面または円筒を有する工作物を走査するときに有利である。その際、例えば穴の既知の位置ずれは−すなわち、穴の中心点は仮定された箇所にはない−、補間法の再調整用に変更されるだけでなく−すなわち、目標幾何学形状の位置は使用された補間法に適合される−、同時に仮想表面の位置もしくは配置の再調整用にも変更される。仮想表面の適合もしくは再調整を行うことができるのは、当然に、探触ピンが実際表面もしくは実表面上にあり、実際表面上でも把握された測定値が援用される場合にのみである。
【0039】
こうして測定過程中に仮想要素もしくは仮想表面の位置を実際工作物形状に適合させることが可能である。
【0040】
最後に本発明の第1観点に係る方法でも、本発明の第2観点に係る座標測定機でも、仮想表面の幾何学形状が平面または円筒体または球体に一致するようにすることができる。
【0041】
こうして少なくとも1つの仮想表面の形状を実際工作物に好適に適合させることが可能である。
【0042】
前記特徴および以下でなお説明する特徴は当然にその都度明示した組合せにおいてだけでなく、別の組合せや単独でも、本発明の枠から逸脱することなく応用可能である。
【0043】
以下、添付図面を参考に本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1観点に係る方法の1実施形態による測定過程の略図である。
【図2】この方法の第2実施形態を示す。
【図3a】この方法の第3実施形態を示す。
【図3b】この方法の第3実施形態を示す。
【図4a】この方法の第4実施形態を示す。
【図4b】この方法の第4実施形態を示す。
【図4c】この方法の第4実施形態を示す。
【図5】この方法の第5実施形態を示す。
【図6a】この方法の第6実施形態を示す。
【図6b】この方法の第6実施形態を示す。
【図7】本発明の第2観点に係る座標測定機を示す。
【図8】図7の座標測定機の能動プローブの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は例示した測定対象12について実施することのできる1実施形態の方法10の経過を示す。
【0046】
この例において測定対象12は、それが実際に平らであるか否かを点検される板である。
【0047】
このため測定対象表面13を計測しなければならない。得られた測定点に基づいて、評価の枠内で、測定対象12の測定対象表面13が実際に平らであるか否かを点検することができる。
【0048】
そのことを達成するために表面14が計測され、表面の構成は以下で詳しく述べられる。
【0049】
測定対象表面13が幾つかの箇所に溝16を有する。溝16は測定対象表面13の考えられる凸凹、特に窪みの例として示してあるにすぎない。測定過程を損ない得るような別の種類の障害物も考えられる。
【0050】
設けられている探触ピン18はその一端に探触玉20を有し、この探触玉で表面14が探触される。探触ピン18が図1ではさまざまな位置A〜Eで示してある。測定過程の枠内で探触ピン18は位置A〜Eをアルファベット順に通過し、すなわちAから始めてEで終了する。
【0051】
ところで探触ピン18が測定対象表面13に沿って移動してこれを走査し、探触玉20が測定対象表面13と接触しているとき、探触ピン18は溝16を横切らねばならない。方法10の実施中に制御装置が探触ピン18を溝16に過度に深く入り込ませて探触ピン18の探触玉20が場合によって溝16内で動かなくなることのないように、仮想表面22が設けられており、この仮想表面は実際に計測すべき測定対象表面13に対応して配置されている。本例では、測定対象表面13が実際に平らもしくは平坦であるか否かを確認しなければならない。同様にここでも、仮想表面22が測定対象表面13の数ミリメートル下でこの表面と平行に延びているようにすることができる。このような境界条件によって仮想表面22は自動的にもしくは計算機支援式に配置することもできる。
【0052】
仮想表面22は、その値および方向がそれぞれ1つの特定空間座標(X、Y、Z)に割り当てられた多数のベクトル23として形成されている。ベクトルはプローブの種類に応じて仮想力または仮想ベクトルとすることができる。
【0053】
仮想表面22は、方法10の実施中、測定対象12の実際測定対象表面13もしくは実測定対象表面として扱われる。同様に、探触玉20を有する探触ピン18は、仮想表面22が実際測定対象表面13であるかのように制御される。こうして、探触玉20が溝16に過度に深く入り込むのを防止することができる。こうして方法10の間に探触玉20によって走査される表面14は実際測定対象表面13と仮想表面22とで構成される。こうして表面14は実際部分24と仮想部分26とを有する。従って測定結果を評価するとき、実際測定対象表面13の探触中に把握された測定結果のみが援用されることに注意しなければならない。仮想表面22の探触時にも表面16の仮想部分26内で測定値が獲得されるが、しかしこれらの測定値は当然に実体に合致しておらず、従って評価時に遮蔽されねばならない。
【0054】
こうして方法10の測定過程の経過は探触ピン18の位置Aで始まり、この位置において探触玉20が実際測定対象表面13を探触する。探触玉20は表面14の実際部分24内にある。次に探触玉20が送り方向28に沿って動かされ、送り方向28は常に被計測測定対象表面13の目標幾何学形状にほぼ従う。探触玉20は法線方向30で、すなわち送り方向28に垂直に、測定対象表面13を加圧する。これにより探触玉20と測定対象表面13との間で接触力Fが働く。探触ピン18の停止時に接触力Fは図1に例示しただけのように法線方向30から相違することができる。その場合、接触力Fは探触玉20と測定対象表面13との間の接触点の静摩擦円錐の内部に位置することができる。しかし探触玉20が測定対象表面13に沿って動かされ、静摩擦が滑り摩擦に移行するや、通常の力平行四辺形によって接触力Fの方向は法線方向30の力と測定対象表面13の方向の滑り摩擦力とから判定することができる。探触玉20と測定対象表面13との間に僅かな摩擦係数が存在する場合に滑り摩擦力の値が法線方向の力の値に比べてごく小さいと前提すると、僅かな摩擦係数が存在する場合接触力Fの方向は法線方向30と実質的に一致する。
【0055】
ところで探触玉20が測定対象表面13から溝16内に入ると、探触玉20は仮想表面22に衝突するまで溝内で一定程度動く。探触玉20はいまや表面14の仮想部分26内にある。この方法にとって、探触玉20が実測定対象表面もしくは実際測定対象表面13上にあるのか仮想表面22上にあるのかで基本的に違いはない。探触ピン18を制御する制御装置への入力は同じである。探触玉20が仮想表面22に当たると、法線方向30で探触玉20の方向を向く対向力は制御装置への入力として生じる。対向力の値は仮想表面22への探触玉20の沈み込み深さDに比例して生成しておくことができる。仮想表面22はいわば多数の仮想力ベクトルを有する空間領域として形成されており、仮想表面内に深く入り込めば込むほど力ベクトルの値は増加する。その結果、仮想対向力が目標接触力に一致するまで探触玉20は一定−僅かな−程度だけ仮想表面内に「沈み込む」ことになる。こうして探触玉20は溝16内に完全に沈み込むのでなく、−仮想ベース上で−仮想表面22を走査するだけである。こうして探触玉20は図示位置Bにおいて仮想部分26を横切る。
【0056】
仮想表面22は測定対象表面13の(図1に示した向きで)単に数ミリメートル下に配置されているので、仮想表面22と測定対象表面13との間の距離が僅かであり、探触ピン18が送り方向28で位置Bから位置Cに移動するとき探触玉20は仮想表面22から測定対象表面13への段階を問題なく進むことができる。引き続き、位置Bの溝16についても位置Dの溝16についても同じ過程が繰り返される。探触玉20は新たに表面14の実際部分24から表面14の、仮想表面22によって形成される仮想部分26へと移行する。こうして探触玉20が位置Dにおいて完全に溝16に沈み込みことは防止され、この溝16も危険なく通過することができる。方法10の測定過程は次に探触ピン18の位置Eにおいて終了する。
【0057】
以上述べた方法10によって、測定対象12の溝16を横切ることが問題なく可能である。さらに、探触玉20を実際測定対象表面13から持ち上げて探触玉20にいわば溝16を「飛び越え」させることは必須でない。それゆえに被計測測定対象表面13全体が走査される。
【0058】
他の実施形態が図2に例示してある。この場合計測されるのは歯車の態様の測定対象12’、ここでは歯の歯先円である。それとともに被計測表面14は測定対象12’の歯先32の態様の実際部分と測定対象12’の周りに設けられる円筒形仮想表面22’とを有する。こうして単に歯先円もしくは歯先32を計測することができる。探触玉20を有する探触ピン18は、歯溝が仮想表面22’によって覆われるので歯溝に沈み込む必要がない。この場合送り方向28’は円形である。
【0059】
図3aと図3bに第3実施形態が示してある。この場合に計測されるのは測定対象12’’のダブテール34の幅である。ダブテール34の幅を確認するために仮想表面22’’が設けられており、探触玉20がダブテール34の下に入り込んで動かなくなることはない。仮想表面22’’はダブテール34の測定対象表面13’’に対して単に僅かな距離で設けられており、探触玉20は仮想表面22’’から実際表面13’へと上ることができる。測定過程のとき探触ピン18は位置A’から送り方向28’’に沿って位置B’へと適宜動かされ、こうしてダブテール34の幅が把握される。
【0060】
図4a〜図4cは、その刃部が計測される鋸歯36を有する鋸刃の態様の測定対象12’’’を示している。このため、歯車の歯先円の計測時と同様に円筒形仮想表面22’’’が設けられている。これにより、探触玉20’’’が鋸歯36の間の空隙に沈み込んで刃部の背後で動かなくなることは防止される。それとともに仮想表面22’’’によって、送り方向28’’’で鋸歯36の刃部を走査することも可能となる。図4aと図4bから明らかとなるように複数の仮想表面22’’’を配置することができる。上側切れ刃37も下側切れ刃38も円補間を頼りに把握することがこうして可能となる。
【0061】
他の実施形態の図5に示す例でも事情は同じである。この場合測定対象12’’’において穴40もしくはその内径が計測される。但しこの穴40はフライス加工されたキー溝42を有する。探触ピン18がこのキー溝42内で動かなくなるのを防止するために、仮想表面22’’’’がキー溝42上に設けられ、こうして探触ピン18もしくは探触玉20がキー溝42内に過度に深く沈み込むのが防止される。こうして、穴40を一気に走査してその内径を円補間によって判定することが可能となる。
【0062】
他の例が図6aと図6bに示してある。この場合、プロペラシャフトの内部部品44の球形状が計測される。探触玉20が内部部品44の穴45内で動かなくなることのないように、球形状を有する仮想表面22’’’’が内部部品内に設けられる。こうして、例えば外側球体の態様の内部部品44の測定対象表面13’’’’を計測しかつ球面補間によって判定することが可能となる。
【0063】
図7は本発明の1実施形態における座標測定機46を示す。
【0064】
座標測定機46が測定表面48を有し、この測定表面上に測定対象12が配置されている。測定表面48上で門50がY方向に運動可能に支承されている。門50でキャリッジ52がX方向に運動可能に支承されている。さらにキャリッジ52内でスピンドル54がZ方向に摺動可能に支承されている。
【0065】
スピンドル54の一端にあるプローブ60は探触玉20を備えた探触ピン18をそれ自身受容している。
【0066】
こうして探触ピン18は任意方向で測定対象12に接近することができ、測定対象12は探触玉20で探触することができる。
【0067】
目盛56、57、58が設けられており、これらの目盛に沿って門50、キャリッジ52、スピンドル54が動かされる。こうして好適なセンサ装置によって目盛56、57、58に基づいて門50、キャリッジ52およびスピンドル54の位置は判定することができる。プローブ60は、能動的または受動的に測定するように形成しておくことのできる他の(図示しない)センサ装置を有する。このセンサ装置によってプローブ60もしくはスピンドル54に対して相対的な探触ピン18の変位量は判定することができ、こうして探触玉20の位置も既知である。
【0068】
座標測定機46がさらに制御装置64を有し、この制御装置は例えば通常のコンピュータとして形成しておくことができる。その場合通常の構成において制御装置64は出力装置66と入力装置67とを有し、利用者は出力装置66で計測結果を読み取ることができ、または例えば測定過程用シーケンスプログラムをスタートさせることができる。入力装置67によって例えば測定過程の速度、探触すべき表面等に関してさまざまな変更を行うことができる。
【0069】
このため制御装置64は、上記方法に従って測定対象12を計測することができる。このため制御装置64は被計測測定対象表面13に基づいて、例えば被計測実際測定対象表面13に対して仮想表面を一定程度離間させかつ平行に配置することによって、仮想表面22を自動的に適宜配置することができる。例えば、球体表面を計測する場合、被計測球体表面の窪みに探触ピンが落下するのを防止するために、半径の多少小さい仮想球体表面を同じ中心点で自動的に配置するようにすることができる。それとともに窪みへの落下は実際に存在する窪みもしくは溝を承知しなくとも起きることがある。
【0070】
選択的にまたは付加的に、測定過程を手動で実施するために操作装置69を設けておくことも当然に可能である。例えば特定測定過程を学習することができ、または制御装置64の故障時に座標測定機46の制御を手動で引き受けることができる。
【0071】
制御装置64は、図示したように座標測定機46の残りの諸要素に至るケーブル接続部を有することができ、しかしワイヤレスで接続しておくこともできる。制御装置64が残りの諸要素の一体な構成要素であり、例えば測定表面48または門50内に配置しておくことも当然に可能である。そこに出力装置66または入力装置67を配置しておくこともできる。
【0072】
図8はプローブ60の基本的機能様式を略図で示す。このプローブ60は能動プローブとして実施されている。プローブ60が固定部分72と可動部分74とを有し、両方の部分は2つの板ばね42、44を介して互いに結合されている。板ばね76、78は、矢印80の方向で部分74の運動を可能とするばね平行四辺形を形成する。こうして探触ピン18はその静止位置から距離Tだけ変位することができる。符号18’ではプローブ60が変位位置で略示してある。
【0073】
固定部分72に対して相対的な探触ピン18の変位量は測定対象12の探触の結果とすることができる。探触ピン18の変位量は探触玉20の空間座標を判定する際に考慮される。さらに、能動プローブ60において探触ピン18の変位量は測定力発生器を頼りに生成することができる。固定部分72と可動部分74とにそれぞれ脚部82、84が配置されている。脚部82、84は板ばね76、78と平行かつ互いに平行である。脚部82、84の間にセンサ86(ここでは目盛88付きで図示)と測定力発生器もしくは測定力変換器90が配置されている。センサ86は可動コイル、ホールセンサ、ピエゾ抵抗センサまたは別のセンサとすることができ、これらを頼りに固定部分72に対して相対的な探触ピン18の空間的変位量を判定することができる。測定力発生器90は、例えば両方の脚部82、84を互いに引き寄せまたは互いに押し離すことのできる可動コイルとすることができる。同様に、制御装置64が一方で変位量、接触力等の変量を読み取ることができかつ他方で測定力発生器90を制御できるように、プローブ60は制御装置とも接続されている。
【0074】
図8の略図においてプローブ60は探触ピン18の変位を矢印46の方向で可能とするだけである。しかしながら当該技術の専門家に知られているように、このようなプローブ60は代表的には2つの他の直交する空間方向で当該変位を可能とする。このようなプローブ60の1実施例が例えば印刷物DE4424225A1に述べられており、その開示内容は参照することによってここに含められる。しかし本発明はこの特殊なプローブ60に限定されているのでなく、別の測定系の別の測定するプローブまたは切り換えるプローブおよびセンサヘッド、特に受動プローブでもって実現することもできる。
【0075】
当該技術の専門家に知られているように、図8に概略示した種類のプローブ60もしくはセンサヘッドは一般に受容部を有し、この受容部に探触ピン18もしくは別のセンサが交換可能に固着されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象(12)を計測する座標測定機(46)の測定過程を制御する方法(10)であって、前記座標測定機(46)が制御装置(64)と探触ピン(18)を備えたプローブ(60)とを有し、前記探触ピン(18)と前記測定対象(12)の表面(14)との間の相対運動が前記制御装置(64)によって制御されるものにおいて、前記表面(14)は測定対象表面(13)に一致した少なくとも1つの実際部分(24)と少なくとも1つの仮想部分(26)とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの仮想部分(26)が少なくとも1つの仮想表面(22)によって形成されており、前記少なくとも1つの仮想表面(22)が多数のベクトル(23)として形成されており、前記ベクトルがその値および方向をそれぞれ1つの特定空間座標に割り当てられていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記プローブ(60)が能動測定プローブ(60)であり、前記制御装置(64)が前記探触ピンの測定力(F)を制御し、前記少なくとも1つの仮想部分(26)内への前記探触ピン(18)の沈み込み深さに比例して前記能動測定プローブ(60)の測定力変換器(90)に対して対向力が付加されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記プローブ(60)が受動測定プローブ(60)であり、前記制御装置(64)が前記探触ピン(18)の変位量を制御し、前記少なくとも1つの仮想部分(26)内への前記探触ピン(18)の沈み込み深さ(D)に比例して前記探触ピン(18)の目標変位量に対して仮想変位量が付加されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記仮想変位量が前記目標変位量とは逆向きであり、前記少なくとも1つの仮想部分(26)における前記探触ピン(18)の特定沈み込み深さ(D)において前記目標変位量と前記仮想変位量との間に均衡が生じることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの実際部分(24)に沿った測定過程中に前記測定対象(12)の既知目標幾何学形状の位置ずれが検知され、前記位置ずれに基づいて前記少なくとも1つの仮想部分(26)の配置が適合されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記仮想表面(22)の幾何学形状が平面または円筒体または球体に一致していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
測定対象(12)を計測する座標測定機(46)であって、制御装置(64)とプローブ(60)とを有し、前記プローブが探触ピン(18)を有し、前記探触ピン(18)と前記測定対象(12)の表面(14)との間の相対運動が前記制御装置(64)によって制御されるものにおいて、前記表面(14)は測定対象表面(13)に一致した少なくとも1つの実際部分(24)と少なくとも1つの仮想部分(26)とを有することを特徴とする座標測定機。
【請求項9】
前記少なくとも1つの仮想部分(26)が少なくとも1つの仮想表面(22)によって形成されており、前記少なくとも1つの仮想表面(22)が多数のベクトル(23)として形成されており、前記ベクトルがその値および方向をそれぞれ1つの特定空間座標に割り当てられていることを特徴とする請求項8記載の座標測定機。
【請求項10】
前記プローブ(60)が能動測定プローブ(60)であり、前記制御装置(64)が前記探触ピン(18)の測定力を制御し、前記少なくとも1つの仮想部分内への前記探触ピン(18)の沈み込み深さ(X)に比例して前記能動測定プローブ(60)の測定力変換器(90)に対して対向力が付加されることを特徴とする請求項8または9記載の座標測定機。
【請求項11】
前記プローブ(60)が受動測定プローブ(60)であり、前記制御装置(64)が前記探触ピン(18)の変位量を制御し、前記少なくとも1つの仮想部分内への前記探触ピン(18)の沈み込み深さに比例して前記探触ピン(18)の目標変位量に対して仮想変位量が付加されることを特徴とする請求項8または9記載の座標測定機。
【請求項12】
前記仮想変位量が前記目標変位量とは逆向きであり、前記少なくとも1つの仮想部分(26)における前記探触ピン(18)の特定沈み込み深さ(D)において前記目標変位量と前記仮想変位量との間に均衡が生じることを特徴とする請求項11記載の座標測定機。
【請求項13】
前記少なくとも1つの実際部分(24)に沿った測定過程中に前記測定対象(12)の既知目標幾何学形状の位置ずれが検知され、前記位置ずれに基づいて前記少なくとも1つの仮想部分(26)の配置が適合されることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項記載の座標測定機。
【請求項14】
前記仮想表面(22)の幾何学形状が平面または円筒体または球体に一致していることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項記載の座標測定機。
【請求項15】
コンピュータプログラムが座標測定機(46)内で実行されるとき請求項1〜7のいずれか1項記載の方法(10)の全ステップを実行するように形成された、コンピュータコード手段を備えたコンピュータプログラム。
【請求項1】
測定対象(12)を計測する座標測定機(46)の測定過程を制御する方法(10)であって、前記座標測定機(46)が制御装置(64)と探触ピン(18)を備えたプローブ(60)とを有し、前記探触ピン(18)と前記測定対象(12)の表面(14)との間の相対運動が前記制御装置(64)によって制御されるものにおいて、前記表面(14)は測定対象表面(13)に一致した少なくとも1つの実際部分(24)と少なくとも1つの仮想部分(26)とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの仮想部分(26)が少なくとも1つの仮想表面(22)によって形成されており、前記少なくとも1つの仮想表面(22)が多数のベクトル(23)として形成されており、前記ベクトルがその値および方向をそれぞれ1つの特定空間座標に割り当てられていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記プローブ(60)が能動測定プローブ(60)であり、前記制御装置(64)が前記探触ピンの測定力(F)を制御し、前記少なくとも1つの仮想部分(26)内への前記探触ピン(18)の沈み込み深さに比例して前記能動測定プローブ(60)の測定力変換器(90)に対して対向力が付加されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記プローブ(60)が受動測定プローブ(60)であり、前記制御装置(64)が前記探触ピン(18)の変位量を制御し、前記少なくとも1つの仮想部分(26)内への前記探触ピン(18)の沈み込み深さ(D)に比例して前記探触ピン(18)の目標変位量に対して仮想変位量が付加されることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記仮想変位量が前記目標変位量とは逆向きであり、前記少なくとも1つの仮想部分(26)における前記探触ピン(18)の特定沈み込み深さ(D)において前記目標変位量と前記仮想変位量との間に均衡が生じることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの実際部分(24)に沿った測定過程中に前記測定対象(12)の既知目標幾何学形状の位置ずれが検知され、前記位置ずれに基づいて前記少なくとも1つの仮想部分(26)の配置が適合されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記仮想表面(22)の幾何学形状が平面または円筒体または球体に一致していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
測定対象(12)を計測する座標測定機(46)であって、制御装置(64)とプローブ(60)とを有し、前記プローブが探触ピン(18)を有し、前記探触ピン(18)と前記測定対象(12)の表面(14)との間の相対運動が前記制御装置(64)によって制御されるものにおいて、前記表面(14)は測定対象表面(13)に一致した少なくとも1つの実際部分(24)と少なくとも1つの仮想部分(26)とを有することを特徴とする座標測定機。
【請求項9】
前記少なくとも1つの仮想部分(26)が少なくとも1つの仮想表面(22)によって形成されており、前記少なくとも1つの仮想表面(22)が多数のベクトル(23)として形成されており、前記ベクトルがその値および方向をそれぞれ1つの特定空間座標に割り当てられていることを特徴とする請求項8記載の座標測定機。
【請求項10】
前記プローブ(60)が能動測定プローブ(60)であり、前記制御装置(64)が前記探触ピン(18)の測定力を制御し、前記少なくとも1つの仮想部分内への前記探触ピン(18)の沈み込み深さ(X)に比例して前記能動測定プローブ(60)の測定力変換器(90)に対して対向力が付加されることを特徴とする請求項8または9記載の座標測定機。
【請求項11】
前記プローブ(60)が受動測定プローブ(60)であり、前記制御装置(64)が前記探触ピン(18)の変位量を制御し、前記少なくとも1つの仮想部分内への前記探触ピン(18)の沈み込み深さに比例して前記探触ピン(18)の目標変位量に対して仮想変位量が付加されることを特徴とする請求項8または9記載の座標測定機。
【請求項12】
前記仮想変位量が前記目標変位量とは逆向きであり、前記少なくとも1つの仮想部分(26)における前記探触ピン(18)の特定沈み込み深さ(D)において前記目標変位量と前記仮想変位量との間に均衡が生じることを特徴とする請求項11記載の座標測定機。
【請求項13】
前記少なくとも1つの実際部分(24)に沿った測定過程中に前記測定対象(12)の既知目標幾何学形状の位置ずれが検知され、前記位置ずれに基づいて前記少なくとも1つの仮想部分(26)の配置が適合されることを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項記載の座標測定機。
【請求項14】
前記仮想表面(22)の幾何学形状が平面または円筒体または球体に一致していることを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項記載の座標測定機。
【請求項15】
コンピュータプログラムが座標測定機(46)内で実行されるとき請求項1〜7のいずれか1項記載の方法(10)の全ステップを実行するように形成された、コンピュータコード手段を備えたコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2013−519870(P2013−519870A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552381(P2012−552381)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051895
【国際公開番号】WO2011/098487
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(509052067)カール ザイス インダストリエル メステクニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051895
【国際公開番号】WO2011/098487
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(509052067)カール ザイス インダストリエル メステクニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】
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