説明

伸縮性筒状部分を備えた容器蓋の製造方法および製造装置

【課題】電子レンジ調理用容器の容器蓋の一部分に伸縮性筒状部を一体成形するのに適した容器蓋の製造方法を提案すること。
【解決手段】伸縮性筒状部分9となる筒状部分47以外の部位が最終成形品の容器蓋3と同一形状の一次成形品40を熱可塑性樹脂から成形する。容器蓋3の部位としてそのまま残る一次成形品40における蓋天板部41、口部フランジ43を、両側から機械的に挟むと共に両側から熱的に遮断した熱変形防止状態にし、この状態で筒状部分47のみを加熱する。加熱後の筒状部分47を二軸方向に延伸して蛇腹状の伸縮性筒状部分9を成形する。熱変形、熱劣化を引き起こすことなく伸縮性筒状部分9が一体形成された容器蓋3を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子レンジ調理用容器などに用いる伸縮性筒状部分を備えた容器蓋の製造方法および製造装置に関する。特に、本発明は、電子レンジによる加熱時に容器内圧の増加に伴って押し潰されている部分が元の長さに戻る伸縮性筒状部分を備えた容器蓋を製造するための製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
押し潰し可能な伸縮性筒状部分を備えた容器蓋を有する容器、例えば、電子レンジ調理用容器は特許文献1に開示されている。ここに開示されている電子レンジ調理用容器は、容器本体と、この容器本体に被せた容器蓋と、容器本体および容器蓋によって形成される容器内部空間の内圧を所定値以下に保持するための圧力調整弁として機能するキャップとの三部品から構成されている。キャップは容器蓋に形成した貫通穴に嵌め込まれており、容器蓋には押し潰し可能な伸縮性筒状部分が形成されている。
【0003】
この構成の電子レンジ調理用容器は、調理用の食材を入れた状態で容器蓋の伸縮性筒状部分を押し潰すことにより、ほぼ容器本体のみの高さを備えた嵩張らない状態で運搬可能である。この容器を電子レンジに入れて加熱すると、容器内圧力が発生蒸気によって増加し、これに伴って押し潰されている容器蓋の伸縮性筒状部分が伸長あるいは膨張して元の形状に戻る。すなわち、大きな内容積の容器に戻り、調理時における蒸し効果を十分に発揮させることができるという利点がある。
【0004】
特許文献1には、伸縮性筒状部分を備えた容器蓋を、別個に成形した成形材をヒートシールにより接合する方法、偏肉加工されたプラスチック材料を使用して、薄肉部分と厚肉部分を一体的に真空・圧空成形する方法等によって製造することができる点が記載されているのみであり(当該文献の段落0016)、具体的な製造方法あるいは装置については提案されていない。
【0005】
一方、軸線方向に伸縮可能なPETボトルなどの容器をブロー成形する方法としては、特許文献2、3に記載されているように、ボルトの筒状胴部の全体を薄肉で蛇腹状となるように二軸延伸ブロー成形する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−34410号公報
【特許文献2】特開平07−172424号公報
【特許文献3】特開2006−51718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、容器蓋の一部分に伸縮性筒状部分を一体成形するのに適した容器蓋の製造方法および製造装置を提案することにある。特に、本発明の課題は、電子レンジ調理用容器の容器蓋の一部分に伸縮性筒状部分を一体成形するのに適した容器蓋の製造方法および製造装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、容器本体と容器蓋を備え、容器内圧の上昇に伴って、前記容器蓋における押し潰された状態の伸縮性筒状部分が元の形状に戻るようになっている容器における前記容器蓋を製造するための容器蓋の製造方法であって、
蓋天板部、当該蓋天板部に一体形成されている筒状胴部、および、当該筒状胴部の開口縁に一体形成されている口部フランジを備えた熱可塑性樹脂からなる一次成形品における前記筒状胴部の所定幅の筒状部分を延伸成形可能な温度に加熱する部分加熱工程と、
前記一次成形品の前記筒状部分に二軸延伸ブロー成形あるいは真空圧空成形を施して、当該筒状部分を前記伸縮性筒状部に成形する部分成形工程とを有し、
前記部分加熱工程では、前記一次成形品における少なくとも前記蓋天板部および前記口部フランジを含む部位を、両側から機械的に挟むと共に両側から熱的に遮蔽することにより、当該部位の熱変形防止状態を形成し、この状態で前記筒状胴部の前記筒状部分を加熱し、
前記容器蓋には、前記一次成形品における前記筒状部分以外の部位をそのまま残すことを特徴としている。
【0009】
ここで、前記容器が電子レンジ調理用容器の場合には、前記容器蓋の前記伸縮性筒状部分は、電子レンジ加熱時における容器内圧の上昇に伴って、押し潰された状態から元の形状に戻るようになっていることを特徴としている。
【0010】
従来におけるPETボトル、飲料カップなどの成形容器においては、その口部のみが最終成形品と同一形状となるように成形された試験管状あるいは椀状の一次成形品を射出成形によって製造し、口部以外の胴部および底部の全体を加熱して延伸成形して成形容器を製造している。本発明では、従来とは逆に、伸縮性筒状部分が形成される筒状部分以外の部位が最終成形品と同一形状の一次成形品を用意し、筒状部分のみを加熱して延伸させて伸縮性筒状部を成形している。したがって、押し潰し可能な伸縮性筒状部を備えた容器蓋を精度良く少ない工程で効率良く製造できる。
【0011】
また、このように一次成形品における蓋天板部、二次成形される筒状部分以外の筒状胴部および口部フランジは、そのまま最終成形品である容器蓋の対応部分として残るので、これらの部分が二次成形工程を経る間に変形しないようにする必要がある。特に、延伸される筒状部分以外の筒状胴部および蓋天板部は、筒状部分を加熱する工程において加熱されて変形、劣化すると、最終製品の容器蓋の形状精度、特性が劣化するという弊害が発生する。また、これらの部分を単に覆い隠してヒーターなどの熱に晒されないようにしただけでは熱変形を確実に防止できない。本発明では、これらの部位を、両側から機械的に挟むと共に両側から熱的に遮断した熱変形防止状態を形成し、この状態で筒状部分のみを加熱している。したがって、これらの部分が加熱されて熱変形してしまうことを確実に防止でき、形状精度の高い容器蓋を得ることができる。
【0012】
ここで、一次成形品の蓋天板部の成形形状を保持するためには、前記蓋天板部の外周面形状に対応する形状の外側マスキング面を備えた外側遮蔽部材と、前記蓋天板部の内周面形状に対応する形状の内側マスキング面を備えた内側遮蔽部材との間に、前記蓋天板部を挟み込むことにより前記熱変形防止状態を形成することが望ましい。
【0013】
これに加えて、加熱が必要とされる部分以外の一次成形品の部分が加熱されることを確実に防止するためには、前記外側遮蔽部材および前記内側遮蔽部材のうちの少なくとも一方を、所定温度以上にならないように冷却することが望ましい。
【0014】
次に、本発明の製造方法は、前記一次成形品を下向き状態にしてその口部フランジを、予め用意してある搬送用下型の装着面に装着し、当該一次成形品の前記口部フランジの裏面を覆い隠すように、予め用意してあるフランジ遮蔽部材を前記搬送用下型に固定して、前記装着面と前記フランジ遮蔽部材の間に前記口部フランジが挟み込まれた装着状態を形成する装着工程を有していることを特徴としている。搬送用下型に装着された一次成形品に対して部分加熱工程および部分成形工程を順次に行うことにより、効率良く容器蓋を製造できる。
【0015】
この場合、前記装着面を前記口部フランジの表面形状に対応する形状とし、前記フランジ遮蔽部材における前記口部フランジの裏面に当接するフランジマスキング面の形状を当該口部フランジの裏面形状に対応する形状として、前記搬送用下型の前記装着面と前記フランジ遮蔽部材によって、前記口部フランジの熱変形防止状態が形成されるようにすることが望ましい。
【0016】
また、前記部分加熱工程では、前記フランジ遮蔽部材と前記外側遮蔽部材の間から、前記一次成形品の前記筒状胴部における前記筒状部分の外周面部分が露出した状態を形成することにより、当該筒状部分の外周側から当該筒状部分のみを加熱することができる。
【0017】
次に、本発明の製造方法では、前記装着工程に先立って、前記一次成形品を、熱可塑性樹脂からなるシート素材を真空・圧空成形することにより製造する一次成形工程を有していることを特徴としている。
【0018】
また、本発明の製造方法では、前記部分成形工程において、前記筒状部分を蛇腹状に延伸成形することを特徴としている。
【0019】
次に、本発明の製造方法において、前記一次成形品の前記蓋天板部に貫通穴が形成されている場合には、前記部分成形工程において成形用の圧縮空気が貫通穴から漏れないように、当該貫通穴を封鎖した状態で、前記二軸延伸ブロー成形あるいは前記真空圧空成形を行うようにしている。
【0020】
次に、本発明は、容器本体と容器蓋を備え、容器内圧の上昇に伴って、前記容器蓋における押し潰された状態の伸縮性筒状部分が元の形状に戻るようになっている容器における前記容器蓋を製造するための容器蓋製造装置であって、
蓋天板部、当該蓋天板部に一体形成されている筒状胴部、および、当該筒状胴部の開口縁に一体形成されている口部フランジを備えた熱可塑性樹脂からなる一次成形品を搬送するための搬送ユニットと、
前記搬送ユニットに対して前記一次成形品を装着する装着ステーションと、
前記一次成形品の前記筒状胴部における所定幅の筒状部分を延伸成形可能な温度に加熱する部分加熱ステーションと、
前記一次成形品の前記筒状部分に二軸延伸ブロー成形あるいは真空圧空成形を施して、当該筒状部分を前記伸縮性筒状部に成形する部分成形ステーションと、
前記搬送ユニットを、前記装着ステーション、前記部分加熱ステーションおよび前記部分成形ステーションに搬送する搬送機構とを有しており、
前記搬送ユニットは、下向き状態の前記一次成形品の前記口部フランジが装着される装着面を備えた搬送用下型と、前記装着面に装着された前記一次成形品の前記蓋天板部の内周側表面を下側から覆い隠す内側マスキング面を備え、前記搬送用下型と共に移動する内側遮蔽部材と、前記装着面に装着された前記一次成形品の前記口部フランジの裏面を覆い隠すフランジマスキング面を備え、前記搬送用下型に対して着脱可能に固定されるフランジ遮蔽部材とを有しており、
前記部分加熱ステーションは、前記一次成形品の前記蓋天板部の外周面形状に対応する形状の外側マスキング面を備えた外側遮蔽部材と、前記一次成形品の前記筒状部分を加熱するための加熱手段と、前記外側遮蔽部材および前記加熱手段を昇降させる昇降手段とを備えており、前記搬送用下型に装着されている前記一次成形品を前記外側遮蔽部材の真下に位置決めして、前記外側遮蔽部材を降下させると、当該外側遮蔽板と前記内側遮蔽部材の間に、前記蓋天板部が挟み込まれて当該蓋天板部の熱変形防止状態が形成され、これら外側遮蔽部材と前記フランジ遮蔽部材の間から、前記一次成形品の前記筒状部分の外周面部分が露出した状態が形成され、当該筒状部分の外周側から前記加熱手段によって当該筒状部分が加熱されることを特徴としている。
【0021】
本発明において、前記容器が電子レンジ調理用容器の場合には、前記容器蓋の前記伸縮性筒状部分は、電子レンジ加熱による容器内圧の上昇に伴って、押し潰された状態から元の形状に戻るようになっていることを特徴としている。
【0022】
ここで、前記外側遮蔽部材および前記内側遮蔽部材のうちの少なくとも一方を、所定温度以上にならないように冷却する冷却手段を備えていることが望ましい。
【0023】
また、前記加熱手段として、前記外側遮蔽部材を取り囲む状態に複数箇所に配置された加熱源を備えている場合には、前記外側遮蔽部材はその中心軸線回りに回転自在の状態で前記昇降手段によって支持し、前記搬送用下型および前記内側遮蔽部材をそれらの中心軸線回りに一体回転させる回転駆動手段を配置し、前記外側遮蔽部材を、前記内側遮蔽部材との間に前記一次成形品の前記蓋天板部を挟み込んだ状態において前記内側遮蔽部材と一体となって回転するように構成することが望ましい。
【0024】
さらに、本発明の製造装置では、前記搬送ユニットは、前記搬送用下型を支持している支持部と、前記内側遮蔽部材が同軸状態で上端に取り付けられ、前記支持部によって回転自在の状態で支持されている昇降ロッドと、前記昇降ロッドをその中心軸線方向に昇降させる昇降手段と、前記昇降ロッドに形成した軸穴を経由して前記搬送用下型に装着されている前記一次成形品の内側空間に成形用の圧縮空気を供給する圧縮空気供給経路とを有していることを特徴としている。
【0025】
また、前記部分成形ステーションは、横方向に開閉する開閉型と、当該開閉型を開閉する横型締機構と、前記開閉型を降下させて前記搬送用下型に対して型締めを行う昇降式型締機構とを有し、前記開閉型の内周面には前記筒状部分に賦形される蛇腹状の成形面が形成されており、前記搬送用下型に装着されている前記一次成形品を前記開閉型の真下に位置決めして、型締した前記開閉型を降下させて前記移動式下型に対して型締めし、この状態で、前記圧縮空気供給機構によって圧縮空気を供給しながら前記延伸ロッドを上方に押し出すことにより、前記筒状部分が押し潰し可能な前記伸縮性筒状部分に成形されることを特徴としている。
【0026】
ここで、前記一次成形品の前記蓋天板部に貫通穴が形成されている場合には、前記部分成形ステーションは、前記開閉型の真下に位置決めされた前記一次成形品の前記貫通穴を上側から封鎖する封鎖部材を備えており、当該封鎖部材は、前記内側遮蔽部材と共に上昇するようになっていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明においては、伸縮性筒状部が形成される筒状部分以外の部位が最終成形品と同一形状の一次成形品を用意し、筒状部分のみを加熱して延伸させて伸縮性筒状部分を成形している。したがって、押し潰し可能な伸縮性筒状部分を備えた容器蓋を精度良く少ない工程で効率良く製造できる。また、最終成形品の容器蓋の部位としてそのまま残る一次成形品における蓋天板部などの部位を、両側から機械的に挟むと共に両側から熱的に遮断した熱変形防止状態にし、この状態で筒状部分のみを加熱している。したがって、これらの部分が加熱されて熱変形してしまうことを確実に防止でき、形状精度の高い伸縮性筒状部分を備えた容器蓋を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】電子レンジ調理用容器の一例を示す説明図である。
【図2】本発明を適用した容器蓋の製造装置を示す概略構成図および一次成形品を示す斜視図である。
【図3】図1の製造装置の装着ステーションを示す部分構成図および一次成形品が装着された搬送ユニットを示す部分拡大説明図である。
【図4】図1の製造装置の部分加熱ステーションを示す部分構成図および一次成形品がマスキングされた状態を示す部分拡大説明図である。
【図5】図1の製造装置の部分成形ステーションを示す部分構成図および直交方向から切断してみた場合の部分構成図である。
【図6】部分成形ステーションの別の構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した電子レンジ調理用容器の容器蓋の製造装置の実施の形態を説明する。
【0030】
[容器蓋の構成例]
製造装置の説明に先立って、図1を参照して、製造対象の電子レンジ調理用容器の容器蓋の一例を説明する。図1は電子レンジ調理用容器の一例を示す分解斜視図であり、電子レンジ調理用容器1は熱可塑性樹脂の成形品であり、容器本体2と、この容器本体2に着脱可能に被せた容器蓋3と、容器蓋3に形成した貫通穴4を着脱可能に封鎖しているキャップ5とを有している。容器蓋3とキャップ5によって、容器本体2および容器蓋3によって形成される容器内部空間の内圧を所定値以下に保持するための圧力調整弁機構が形成されている。
【0031】
容器蓋3は、容器本体2の本体側開口縁部2aに着脱可能に嵌め込まれる口部フランジ6と、当該口部フランジ6に連続して上方に向かって径が漸減している円筒状胴部7と、当該円筒状胴部7の上端縁に連続して形成された円盤状の蓋天板部8とを備えている。蓋天板部8の中央には円形凹部8aが形成され、当該円形凹部8aの円形底面には円形の貫通穴4が形成されている。この貫通穴4は円盤状のキャップ5によって封鎖されている。キャップ5は円形凹部8aに嵌め込み可能な凸部5aを備えており、円形凹部8aの内周側面には蒸気の逃がし溝8bが形成されている。これにより、容器内部で発生した蒸気圧が所定値以上になると、蒸気が逃がし溝8bを通ってキャップ5の外周縁部分を押し上げて外部に排出される圧力調整弁機構が形成されている。
【0032】
ここで、容器蓋3の円筒状胴部7において、当該円筒状胴部7の中心軸線7aの方向に所定幅の部分が蛇腹状の伸縮性筒状部分9となっている。伸縮性筒状部分9は、中心軸線7aの方向に押し潰し可能であり、押し潰した状態において容器内圧の上昇に伴って押し潰す前の元の形状に伸長可能である。円筒状胴部7における伸縮性筒状部分9と口部フランジ6の間の部分、および、伸縮性筒状部分9と蓋天板部8の間の部分は、それぞれ、押し潰されることのない円筒部分10、11となっている。
【0033】
なお、本実施の形態の容器蓋3では伸縮性筒状部分9が蛇腹状となっている。伸縮性筒状部分9は、押し潰し可能であると共に、押し潰した状態において容器内圧の上昇に伴って押し潰し前の形状に伸長可能であればよく、蛇腹状のものに限定されるものではない。例えば、伸縮性筒状部分9を肉厚の薄い平らなフィルム状のものとすることができる。
【0034】
[容器蓋3の製造装置]
(全体構成)
図2ないし図6を参照して、本発明の実施の形態に係る容器蓋の製造装置を説明する。
【0035】
まず、図2(a)を参照して製造装置20の全体構成を説明する。製造装置20は装置架台21を備えており、この装置架台21の水平な天面22には、装置長手方向に延びるガイドレール23が配置されており、当該ガイドレール23に沿って搬送ユニット30がスライド可能となっている。
【0036】
装置架台21には、ガイドレール23に沿って、容器蓋3を製造するための一次成形品40を搬送ユニット30に装着する装着ステーション50、一次成形品40の一部を加熱する部分加熱ステーション60、および、一次成形品40を部分的に成形する部分成形ステーション70が配置されている。搬送ユニット30はエアーシリンダー24からなる搬送手段によってガイドレール23に沿って直線往復移動する。エアーシリンダー24はガイドレール23に平行に延びる状態で装置架台21と搬送ユニット30の間に架け渡されている。
【0037】
(一次成形品)
図2(b)から分かるように、搬送ユニット30に装着される一次成形品40は熱可塑性樹脂からなり、蓋天板部41、当該蓋天板部41に一体形成されている筒状胴部42、および、当該筒状胴部42の開口縁に一体形成されている口部フランジ43を備えている。蓋天板部41の中央には貫通穴44が形成されている。一次成形品40は筒状胴部42を除き、最終成形品である容器蓋3の対応部位(蓋天板部8、口部フランジ6)と同一形状に成形されており、そのまま容器蓋3の部位として残る。筒状胴部42は、その中心軸線方向40aの両端の部分は容器蓋3の円筒状胴部7の円筒部分10、11と同一形状の円筒部分45、46に成形されているが、その間の部分は蛇腹状の伸縮性筒状部分9に比べて厚肉で狭い幅の円筒状の筒状部47となっている。この筒状部47の肉厚は、両側の円筒部分45、46の肉厚と同一厚さとなっている(図3(b)参照)。
【0038】
この形状の一次成形品40は、熱可塑性樹脂からなるシート素材を真空・圧空成形することにより製造したものであるが、射出成形により製造することも可能である。また、一次成形品40の筒状部47の肉厚は、伸縮性筒状部分9の形状、延伸倍率等に応じて、両側の円筒部分45、46よりも厚くする場合もある。例えば、筒状部47を大きく延伸して伸縮性筒状部分9を成形する場合などにおいては厚くすることもある。逆に、筒状部47を両側の部分よりも薄くすることが望ましい場合もある。
【0039】
また、一次成形品40は、その筒状部47が口部フランジ43から蓋天板部41に向かって先細りの円錘台形状をしており、全体として所定の厚さ(深さ)の椀状あるいはカップ状のものである。筒状部47を蓋天板部41に対して直交する方向から傾斜させることにより、一次成形品40を薄型形状にすることができ、その嵩高さを抑制できる。また、最終成形品である容器蓋3の形状によっては、筒状部47の傾きをできるだけ小さくして一次成形品40の全体形状を、平板あるいは平板に近い形状にすることもできる。このようにすれば、保管、搬送などに場所を取らないという利点がある。
【0040】
(搬送ユニット)
図3を参照して説明すると、搬送ユニット30はガイドレール23に沿ってスライド可能な搬送台31を備えており、この搬送台31には、当該搬送台31を所定のスライド位置にロックするためのロック用エアーシリンダー31aが搭載されている。また、搬送台31には、当該搬送台31を貫通した状態に外側円筒32が垂直に固定されている。外側円筒32の内側には上下の軸受け33を介して同軸状態に内側円筒34が回転自在の状態で支持されている。内側円筒34の上端部は外側円筒32から上方に突出した大径の円環状フランジとなっており、この上面に同軸状態で支持台35が水平に固定されている。支持台35の上面には同軸状態で搬送用下型36が固定されている。
【0041】
支持台35および搬送用下型36の中心には貫通穴が形成されており、これらの貫通穴および内側円筒34の中心穴には、昇降ロッド37が貫通して垂直に延びている。昇降ロッド37は、内側円筒34に対して一体回転するように連結されているが、当該内側円筒34に対して中心軸線37aの方向には昇降自在な状態となっている。この昇降ロッド37における搬送用下型36から上方に突出している上端部には、円盤状の内側遮蔽板38が水平な状態で同軸状態に固定されている。
【0042】
昇降ロッド37の下端側は内側円筒34から下方に突出しており、その下端はロッド昇降機構39のエアーシリンダー39aに同軸状態に連結されている。ロッド昇降機構39は搬送台31の下側に吊り下げられている。ロッド昇降機構39によって昇降ロッド37は図3に示す位置と、これよりも上方の位置との間を昇降可能である。昇降ロッド37には軸穴37bが形成されており、当該軸穴37bの上端は内側遮蔽板38の下側の部位において外側に連通しており、当該軸穴37bの下端は不図示の圧縮空気供給源から供給される圧縮空気の供給路に連通している。
【0043】
図3(b)を参照して説明すると、搬送用下型36の上面には一次成形品40を上側から装着可能な円環状の装着面36aが形成されている。この装着面36aは、一次成形品40の円環状の口部フランジ43の表面形状および当該口部フランジ43に連続している円筒部分45の内周面形状に対応する形状の下側マスキング面36bを備えている。したがって、装着面36aに装着された一次成形品40は、その口部フランジ43の表面および円筒部分45の内周面部分が下側マスキング面36bによって覆い隠された状態になる。
【0044】
また、製造装置20は、搬送用下型36の装着面36aに装着された一次成形品40の口部フランジ43を上側から覆い隠すための円環状のフランジ遮蔽板25を備えている。フランジ遮蔽板25は、一次成形品40の口部フランジ43の裏面および、これに連続する円筒部分45の外周面に対応する形状のフランジマスキング面25aを備えている。また、フランジマスキング面25aの外周縁に連続して、その中心軸線方向に延びる円環状内周面が形成されており、ここには雌ねじ25bが形成されている。搬送用下型36の円環状の装着面36aの外周端面には当該雌ねじ25bにねじ込み可能な雄ねじ36cが形成されている。したがって、装着面35aに下向き状態で一次成形品40の口部フランジ43を装着し、上側から口部フランジ43にフランジ遮蔽板25を乗せて、当該フランジ遮蔽板25を搬送用下型36にねじ込み固定することができる。この状態では、図3(b)から分かるように、一次成形品40の口部フランジ43、これに連続する円筒部分45が、両側から、装着面36aおよびフランジ遮蔽板25によって挟まれて覆い隠される。
【0045】
次に、昇降ロッド37の上端に水平に取り付けられている内側遮蔽板38の上面には、一次成形品40の蓋天板部41の内周側表面および、これに連続する円筒部分46の内周側表面に対応する形状の内側マスキング面38aが形成されている。装着面35aに一次成形品40を装着すると、当該内側遮蔽板38の内側マスキング面38aが一次成形品40の蓋天板部41の内周側表面および円筒部分46の内周側表面に密着した状態になり、これらの部分が覆い隠された状態になる。
【0046】
(装着ステーション)
装着ステーション50においては、不図示の一次成形品供給部から取り出された一次成形品40が当該装着ステーション50に待機している搬送ユニット30に装着される。図3に示すように、装着ステーション50の装着位置50aに位置決めされた搬送ユニット30の搬送用下型36に対して真上から一次成形品40を乗せる。次に、フランジ遮蔽板25を上側から搬送用下型36にねじ込み固定する。これにより、図3(b)に示すように、一次成形品40が搬送ユニット30に装着された状態が形成される。
【0047】
(部分加熱ステーション)
図4(a)を参照して、一次成形品40の筒状部47のみを延伸成形可能な温度に加熱する部分加熱ステーション60を説明する。部分加熱ステーション60は、装置架台21の天面22から上方に延びる支持枠61を備えており、この支持枠61の上端水平枠部分61aには、下向きに垂直に取り付けられたエアーシリンダー62aを備えた昇降手段62が取り付けられている。エアーシリンダー62aの作動ロッド62bには昇降枠63が取り付けられており、昇降枠63は支持枠61の垂直枠部分61bによってガイドされて昇降する。
【0048】
この昇降枠63の中心には円盤状の外側遮蔽板64が水平に回転自在の状態で取り付けられている。外側遮蔽板64の下面には、一次成形品40の蓋天板部41の外周面形状に対応する平坦な円形の外側マスキング端面64aが形成されている。また、外側遮蔽板64の外周縁は下方に直角に折れ曲がった円環縁64bとなっており、この円環縁64bの円形内周面は、一次成形品40の蓋天板部41に連続している円筒部分46を外側から覆い隠すことが可能な外側マスキング内周面64cとなっている。
【0049】
外側遮蔽板64を挟み、その搬送ユニット移動方向の両側には放熱管65が水平に配置されている。これらの放熱管65は昇降枠63に取り付けられており、昇降枠63と共に昇降する。
【0050】
昇降枠63に取り付けられている外側遮蔽板64および放熱管65は図4(a)に示す上方の待機位置に待機している。搬送ユニット30が部分加熱位置60aに位置決めされると、そこに装着されている一次成形品40は待機位置にある外側遮蔽板64の真下に同軸状態に位置決めされる。昇降枠63を降下させると、外側遮蔽板64の外側マスキング端面64aを一次成形品40の蓋天板部41の外周表面に密着させることができる。
【0051】
図4(b)に示すように、この状態においては、外側遮蔽板64と搬送ユニット30の側の内側遮蔽板38の間に、一次成形品40の蓋天板部41が挟み込まれて当該蓋天板部41の熱変形防止状態が形成される。また、蓋天板部41に連続している円筒部分46の外周面は、外側から外側遮蔽板64のマスキング用内周面64cによって覆い隠された状態になる。したがって、外側遮蔽板64と搬送ユニット30の側のフランジ遮蔽板25の間から、一次成形品40の筒状部47の外周面部分のみが露出した状態が形成される。よって、外側遮蔽板64の両側に位置している放熱管65によって、当該筒状部47の外周側から当該筒状部47のみに熱線を照射して当該部分のみを加熱できる。
【0052】
また、搬送ユニット30において、内側円筒34、支持台35、搬送用下型36および内側遮蔽板38が取り付けられている昇降ロッド37は、それらの中心軸線回りに回転自在の状態で外側円筒32によって支持されている。したがって、部分加熱ステーション60において、これらを回転駆動することにより、両側に位置している放熱管65による放熱領域を一次成形品40の筒状分47の各部分が繰り返し通過するので、当該筒状部47をその円周方向において均一に加熱することができる。
【0053】
ここで、外側遮蔽板64および内側遮蔽板38のうちの少なくとも一方、例えば外側遮蔽板64に、当該外側遮蔽板64が所定温度以上に加熱されないように冷却する冷却手段を配置することが望ましい。例えば、外側遮蔽板64の内部に冷媒循環路を形成しておき、冷媒を循環させて外側遮蔽板64を冷却すれば、一次成形品40の蓋天板部41が加熱されることを確実に防止できるので好ましい。
【0054】
なお、一次成形品40の筒状部47を加熱するための加熱手段としては放熱管以外に、熱風を吹き付けるもの、ニクロム線などによるヒーターを用いるものなど、各種のものを用いることができる。
【0055】
(部分成形ステーション)
図5(a)は部分成形ステーション70を示す概略構成図であり、図5(b)は搬送ユニット30の搬送方向とは直交する方向から部分成形ステーション70を見た場合の概略構成図である。部分成形ステーション70は装置架台21の天面22の上方に立設されている支持枠71を備えており、この支持枠71の上端水平枠部分71aの中央にはエアーシリンダー72aを備えた昇降式型締機構72が取り付けられている。この昇降式型締機構72の昇降枠72bには、搬送ユニット30の搬送方向とは直交する水平方向に開閉可能な左右の割型73a、73bからなる開閉型73が搭載されている。左右の割型73a、73bは、昇降枠72bに搭載されている左右のエアーシリンダー74a、74bからなる横型締機構74によって開閉される。
【0056】
開閉型73には下方に開口している円筒状のキャビティ73cが形成されており、当該キャビティ73cを形成している成形面には、一次成形品40の筒状部47に賦形される蛇腹状の成形面が形成されている。なお、蛇腹状の伸縮性筒状部分9の代わりにフラットなフィルム状の伸縮性筒状部分を成形する場合には、開閉型の成形面形状もそれに対応したフラットな円錘台状の内周面とされる。
【0057】
開閉型73は図5に示す上方に待機した待機位置にある。搬送ユニット30が部分成形位置70aに位置決めされると、そこに搭載されている一次成形品40が開閉型73の真下に位置する。この状態で型開き状態にある開閉型73を降下させると、昇降枠72の下面が搬送ユニット30の側の支持台35から上方に突出しているクッションピン35aに当たり、所定の力で、開閉型73が搬送用下型36に型締された状態が形成される。この状態で、横型締機構74により開閉型73の型締を行う。
【0058】
図6は型締後の状態を示す説明図である。この型締状態が形成された後は、昇降ロッド37の軸穴37aを介して圧縮空気を一次成形品40の内側に供給しながら、昇降ロッド37を上方に押し出す。この結果、筒状部47が二軸方向に延伸されて、押し潰し可能な蛇腹状の伸縮性筒状部分9となるように成形される。
【0059】
ここで、一次成形品40の蓋天板部41には貫通穴44が形成されている。部分成形ステーション70は、開閉型73の真下に位置決めされた一次成形品40の貫通穴44を上側から封鎖する封鎖用プラグ75を備えている。図6に示すように、開閉型73の型締状態において、封鎖用プラグ75によって貫通穴44が封鎖される。成形時にはこの封鎖状態が維持される。すなわち、封鎖用プラグ75は昇降ロッド37共に上昇する。
【0060】
このようにして、一次成形品40の筒状部47が蛇腹状の伸縮性筒状部分9に成形されることにより、一次成形品40から容器蓋3が製造される。成形後は、開閉型73を左右に開き、しかる後に開閉型73を上昇させて待機位置まで戻す。しかる後に、不図示の回収機構によってフランジ遮蔽板25が取り外された後に、容器蓋3が搬送用下型36から回収されて所定の回収場所に回収されることになる。
【0061】
[成形動作の説明]
以下に、製造装置20による容器蓋3の製造工程を纏めて説明する。まず、図3に示すように、搬送ユニット30が装着位置50aに位置決めされ、一次成形品40が下向き状態で搬送用下型36の装着面36aに装着される。そして、一次成形品40の口部フランジ43の裏面を覆い隠すように、フランジ遮蔽板25を搬送用下型36にねじ込み固定する。これにより、装着面36aとフランジ遮蔽板25の間に口部フランジ43が挟み込まれた装着状態が形成される。すなわち、搬送用下型36の装着面36aとフランジ遮蔽板25によって口部フランジ43の熱変形防止状態が形成される。
【0062】
次に、搬送ユニット30は部分加熱ステーション60に搬送され、部分加熱位置60aに位置決めされる。部分加熱ステーション60では、一次成形品40の蓋天板部41の外周面形状に対応する形状の外側マスキング面を備えた外側遮蔽板64と、蓋天板部41の内周面形状に対応する形状の内側マスキング面を備えた内側遮蔽板38との間に、蓋天板部41が挟み込まれ、当該蓋天板部41の熱変形防止状態が形成される。また、一次成形品40における円筒部分45、46も両側から覆い隠された状態が形成される。
【0063】
この状態で一次成形品40の筒状部47が外側から放熱管65によって加熱される。加熱時には、一次成形品40を回転させるので、筒状部47の円周方向の各部分が均一に延伸成形に適した温度に加熱される。また、蓋天板部41は機械的に上下から挟まれた状態で熱に晒されないように覆い隠されているので、当該蓋天板部41の変形が確実に防止される。さらに、外側遮蔽板64が冷却されて所定温度以上に加熱されることが防止されるので、蓋天板部41が加熱劣化してしまうことも確実に防止される。
【0064】
加熱後は、搬送ユニット30が部分成形ステーション70の部分成形位置70aに位置決めされ、一次成形品40の筒状部47が二軸延伸されて蛇腹状の伸縮性円筒部分9となるように成形される。
【0065】
(その他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態は電子レンジ調理用容器の容器蓋に関するものである。電子レンジ調理用容器の容器蓋以外の容器蓋についても、本発明を適用して伸縮性筒状部分を一体成形することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 電子レンジ調理用容器
2 容器本体
3 容器蓋
4 貫通穴
5 キャップ
6 口部フランジ
7 円筒状胴部
8 蓋天板部
8a 円形凹部
8b 逃がし溝
9 伸縮性筒状部分
10 円筒部分
11 円筒部分
20 製造装置
21 装置架台
22 天面
23 ガイドレール
24 エアーシリンダー
25 フランジ遮蔽板
25a フランジマスキング面
25b 雌ねじ
30 搬送ユニット
31 搬送台
31a ロック用エアーシリンダー
32 外側円筒
33 軸受け
34 内側円筒
35 支持台
36 搬送用下型
36a 装着面
36b 下側マスキング面
36c 雄ねじ
37 昇降ロッド
37a 中心軸線
37b 軸穴
38 内側遮蔽板
38a 内側マスキング面
39 ロッド昇降機構
39a エアーシリンダー

40 一次成形品
41 蓋天板部
42 筒状胴部
43 口部フランジ
44 貫通穴
45、46 円筒部分
47 筒状部

50 装着ステーション
50a 装着位置

60 部分加熱ステーション
61 支持枠
61a 上端水平枠部分
61b 垂直枠部分
62 昇降手段
62a エアーシリンダー
62b 作動ロッド
63 昇降枠
64 外側遮蔽板
64a 外側マスキング端面
64b 円環縁
64c 外側マスキング内周面
65 放熱管

70 部分成形ステーション
70a 部分成形位置
71 支持枠
71a 上端水平枠部分
72 昇降式型締機構
72a エアーシリンダー
72b 昇降枠
73 開閉型
73a、73b 割型
73c キャビティ
74 横型締機構
74a、74b エアーシリンダー
75 封鎖用プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(2)と容器蓋(3)を備え、容器内圧の上昇に伴って、前記容器蓋(3)における押し潰された状態の伸縮性筒状部分(9)が元の形状に戻るようになっている容器(1)における前記容器蓋(3)を製造するための容器蓋の製造方法であって、
蓋天板部(41)、当該蓋天板部(41)に一体形成されている筒状胴部(42)、および、当該筒状胴部(42)の開口縁に一体形成されている口部フランジ(43)を備えた熱可塑性樹脂からなる一次成形品(40)における前記筒状胴部(42)の所定幅の筒状部分(47)を延伸成形可能な温度に加熱する部分加熱工程と、
前記一次成形品(40)の前記筒状部分(47)に二軸延伸ブロー成形あるいは真空・圧空成形を施して、当該筒状部分(47)を前記伸縮性筒状部分(9)に成形する部分成形工程とを有し、
前記部分加熱工程では、前記一次成形品(40)における少なくとも前記蓋天板部(41)および前記口部フランジ(43)を含む部位を、両側から機械的に挟むと共に両側から熱的に遮蔽することにより、当該部位の熱変形防止状態を形成し、この状態で前記筒状胴部(42)の前記筒状部分(47)を加熱し、
前記容器蓋(3)には、前記一次成形品(40)における前記筒状部分(47)以外の部位をそのまま残すことを特徴とする容器蓋の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記容器(1)は電子レンジ調理用容器であり、
前記容器蓋(3)の前記伸縮性筒状部分(9)は、電子レンジ加熱による容器内圧の上昇に伴って、押し潰された状態から元の形状に戻るようになっていることを特徴とする容器蓋の製造方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記部分加熱工程では、前記蓋天板部(41)の外周面形状の少なくとも一部に対応する形状の外側マスキング面(64a)を備えた外側遮蔽部材(64)と、前記蓋天板部(41)の内周面形状の少なくとも一部に対応する形状の内側マスキング面(38a)を備えた内側遮蔽部材(38)との間に、前記蓋天板部(41)を挟み込むことにより前記熱変形防止状態を形成することを特徴とする容器蓋の製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記外側遮蔽部材(64)および前記内側遮蔽部材(38)のうちの少なくとも一方を、所定温度以上にならないように冷却することを特徴とする容器蓋の製造方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記一次成形品(40)を下向き状態にしてその口部フランジ(43)を、予め用意してある搬送用下型(36)の装着面(36a)に装着し、当該一次成形品(40)の前記口部フランジ(43)の裏面を覆い隠すように、予め用意してあるフランジ遮蔽部材(25)を前記搬送用下型(36)に固定して、前記装着面(36a)と前記フランジ遮蔽部材(25)の間に前記口部フランジ(43)が挟み込まれた装着状態を形成する装着工程を有し、
前記装着面(36a)を前記口部フランジ(43)の表面形状に対応する形状とし、前記フランジ遮蔽部材(25)における前記口部フランジ(43)の裏面に当接するフランジマスキング面(25a)の形状を当該口部フランジ(43)の裏面形状に対応する形状として、前記搬送用下型(36)の前記装着面(36a)と前記フランジ遮蔽部材(25)によって、前記口部フランジ(43)の熱変形防止状態が形成されるようにし、
前記部分加熱工程では、前記フランジ遮蔽部材(25)と前記外側遮蔽部材(64)の間から、前記一次成形品(40)の前記筒状胴部(42)における前記筒状部分(47)の外周面部分が露出した状態を形成し、当該筒状部分(47)の外周側から当該筒状部分(47)を加熱することを特徴とする容器蓋の製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記装着工程に先立って、前記一次成形品(40)を、熱可塑性樹脂からなるシート素材を真空・圧空成形することにより製造する一次成形工程を有していることを特徴とする容器蓋の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のうちのいずれかの項において、
前記部分成形工程では、前記筒状部分(47)を蛇腹状に延伸成形することを特徴とする容器蓋の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項において、
前記一次成形品(40)の前記蓋天板部(41)には貫通穴(44)が形成されており、
前記部分成形工程では、当該貫通穴(44)を封鎖した状態で、前記二軸延伸ブロー成形あるいは前記真空・圧空成形を行うことを特徴とする容器蓋の製造方法。
【請求項9】
容器本体(2)と容器蓋(3)を備え、容器内圧の上昇に伴って、前記容器蓋(3)における押し潰された状態の伸縮性筒状部分(9)が元の形状に戻るようになっている容器(1)における前記容器蓋(3)を製造するための容器蓋の製造装置(20)であって、
蓋天板部(41)、当該蓋天板部(41)に一体形成されている筒状胴部(42)、および、当該筒状胴部(42)の開口縁に一体形成されている口部フランジ(43)を備えた熱可塑性樹脂からなる一次成形品(40)を搬送するための搬送ユニット(30)と、
前記搬送ユニット(30)に対して前記一次成形品(40)を装着する装着ステーション(50)と、
前記一次成形品(40)の前記筒状胴部(42)における所定幅の筒状部分(47)を延伸成形可能な温度に加熱する部分加熱ステーション(60)と、
前記一次成形品(40)の前記筒状部分(47)に二軸延伸ブロー成形あるいは真空・圧空成形を施して、当該筒状部分(47)を前記伸縮性筒状部分(9)に成形する部分成形ステーション(70)と、
前記搬送ユニット(30)を、前記装着ステーション(50)、前記部分加熱ステーション(60)および前記部分成形ステーション(70)に搬送する搬送機構(23、24)とを有しており、
前記搬送ユニット(30)は、
下向き状態の前記一次成形品(40)の前記口部フランジ(43)が装着される装着面(36a)を備えた搬送用下型(36)と、
前記装着面(36a)に装着された前記一次成形品(40)の前記蓋天板部(41)の内周側表面を下側から覆い隠す内側マスキング面(38a)を備え、前記搬送用下型(36)と共に移動する内側遮蔽部材(38)と、
前記装着面(36a)に装着された前記一次成形品(40)の前記口部フランジ(43)の裏面を覆い隠すフランジマスキング面(25a)を備え、前記搬送用下型(36)に対して着脱可能に固定されるフランジ遮蔽部材(25)とを有しており、
前記部分加熱ステーション(60)は、
前記一次成形品(40)の前記蓋天板部(41)の外周面形状に対応する形状の外側マスキング面(64a)を備えた外側遮蔽部材(64)と、
前記一次成形品(40)の前記筒状部分(47)を加熱するための加熱手段(65)と、
前記外側遮蔽部材(64)および前記加熱手段(65)を昇降させる昇降手段(62)とを備えており、
前記搬送用下型(36)に装着されている前記一次成形品(40)を前記外側遮蔽部材(64)の真下に位置決めして、前記外側遮蔽部材(64)を降下させると、当該外側遮蔽板(64)と前記内側遮蔽部材(38)の間に、前記蓋天板部(41)が挟み込まれて当該蓋天板部(41)の熱変形防止状態が形成され、これら外側遮蔽部材(64)と前記フランジ遮蔽部材(25)の間から、前記一次成形品(40)の前記筒状部分(47)の外周面部分が露出した状態が形成され、当該筒状部分(47)の外周側から前記加熱手段(65)によって当該筒状部分(47)が加熱されることを特徴とする容器蓋の製造装置(20)。
【請求項10】
請求項9において、
前記容器(1)は電子レンジ調理用容器であり、
前記容器蓋(3)の前記伸縮性筒状部分(9)は、電子レンジ加熱による容器内圧の上昇に伴って、押し潰された状態から元の形状に戻るようになっていることを特徴とする容器蓋の製造装置(20)。
【請求項11】
請求項10において、
前記外側遮蔽部材(64)および前記内側遮蔽部材(38)のうちの少なくとも一方を、所定温度以上にならないように冷却する冷却手段を備えていることを特徴とする容器蓋の製造装置(20)。
【請求項12】
請求項10または11において、
前記加熱手段(65)は、前記外側遮蔽部材(64)を取り囲む状態に複数箇所に配置された加熱源を備えており、
前記外側遮蔽部材(64)はその中心軸線回りに回転自在の状態で前記昇降手段(62)によって支持されており、
前記搬送用下型(36)および前記内側遮蔽部材(38)をそれらの中心軸線回りに一体回転させる回転駆動手段を備えており、
前記外側遮蔽部材(64)は、前記内側遮蔽部材(38)との間に前記一次成形品(40)の前記蓋天板部(41)を挟み込んだ状態において前記内側遮蔽部材(38)と一体となって回転することを特徴とする容器蓋の製造装置(20)。
【請求項13】
請求項10ないし12のうちのいずれかの項において、
前記搬送ユニット(30)は、
前記搬送用下型(36)を支持している支持部(31、32、33)と、
前記内側遮蔽部材(38)が同軸状態で上端に取り付けられ、前記支持部(31、32、33)によって回転自在の状態で支持されている昇降ロッド(37)と、
前記昇降ロッド(37)をその中心軸線方向に昇降させる昇降手段(39)と、
前記昇降ロッド(37)に形成した軸穴(37b)を経由して前記搬送用下型(36)に装着されている前記一次成形品(40)の内側空間に成形用の圧縮空気を供給する圧縮空気供給路とを有しており、
前記部分成形ステーション(70)は、
横方向に開閉する開閉型(73)と、
当該開閉型(73)を開閉する横型締機構(74)と、
前記開閉型(73)を降下させて前記搬送用下型(36)に対して型締めを行う昇降式型締機構(72)とを有し、
前記開閉型(73)の内周面には前記筒状部分(47)に賦形される蛇腹状の成形面が形成されており、
前記搬送用下型(36)に装着されている前記一次成形品(40)を前記開閉型(73)の真下に位置決めして、前記開閉型(73)を降下させて前記搬送用下型(36)に対して型締めし、前記開閉型(73)を型締めした状態で、圧縮空気を供給しながら前記昇降ロッド(37)を上方に押し出すことにより、前記筒状部分(47)が押し潰し可能な前記伸縮性筒状部分(9)に成形されることを特徴とする容器蓋の製造装置(20)。
【請求項14】
請求項13において、
前記一次成形品(40)の前記蓋天板部(41)には貫通穴(44)が形成されており、
前記部分成形ステーション(70)は、
前記開閉型(73)の真下に位置決めされた前記一次成形品(40)の前記貫通穴(44)を上側から封鎖する封鎖部材(75)を備えており、
当該封鎖部材(75)は、前記内側遮蔽部材(38)と共に上昇することを特徴とする容器蓋の製造装置(20)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131436(P2011−131436A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291268(P2009−291268)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(306012846)NEWS CHEF株式会社 (30)
【Fターム(参考)】