説明

位相差フィルムの製造方法、位相差フィルム、光学フィルム、および液晶パネル

【課題】セルロース系材料から形成される実質的にAプレート性を有する位相差フィルムであって、大型パネル(例えば、パネルサイズで40インチ以上)への適用が可能な大型サイズの位相差フィルムを効率よく製造する方法、その製造方法から得られる位相差フィルム、その位相差フィルムから生産性良く得られる光学フィルム、その光学フィルムから得られる液晶パネルを提供する。
【解決手段】本発明の位相差フィルムの製造方法は、セルロース系樹脂フィルムを、該フィルムの幅方向に1.5〜2.0倍の範囲で延伸させ、該フィルムの長手方向に0.5〜0.7倍の範囲で収縮させる工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差フィルムの製造方法、位相差フィルム、光学フィルム、および液晶パネルに関する。より詳細には、セルロース系材料から形成される、実質的にAプレート性を有する位相差フィルムであって、大型パネルへの適用が可能な大型サイズの位相差フィルムを効率よく製造する方法、その製造方法から得られる位相差フィルム、その位相差フィルムから生産性良く得られる光学フィルム、その光学フィルムから得られる液晶パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
位相差フィルムとして、セルロース系材料が用いられることが知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
セルロース系材料を、いわゆるAプレート(nx、ny、およびnzを、それぞれ、遅相軸方向、進相軸方向および厚み方向の屈折率としたときに、nx>ny=nzの屈折率分布を示す)の位相差フィルムとして用いる場合、該材料を含むフィルムを縦延伸することが必要である(特許文献3参照)。しかし、フィルムの縦延伸を行うと、該フィルムの収縮(ネックイン)によって幅が狭くなる。このため、幅方向の長さを十分に確保して大型サイズ(例えば、パネルサイズで40インチ以上)の位相差フィルムを得ることは困難である。
【0004】
また、VAモード液晶TV用位相差フィルムの積層構成においては、偏光フィルム(偏光子と称する場合もある)の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸を直交させる必要がある。ここで、偏光フィルムは縦延伸で製造するため、その吸収軸は延伸方向(縦方向)に存在する。一方、位相差フィルムも縦延伸で製造すると、その遅相軸は延伸方向(縦方向)に存在する。このため、このようにして得られる偏光フィルムの吸収軸と位相差フィルムの遅相軸を直交させた積層構成とするためには、得られる偏光フィルムと位相差フィルムをそれぞれ延伸後に一枚ずつ打ち抜き、偏光フィルムの吸収軸と位相差フィルムの遅相軸が直交するように貼り合わせる工程が必要である。
【特許文献1】特開2003−270442号公報
【特許文献2】特開2005−338736号公報
【特許文献3】特開2007−178984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、セルロース系材料から形成される実質的にAプレート性を有する位相差フィルムであって、大型パネル(例えば、パネルサイズで40インチ以上)への適用が可能な大型サイズの位相差フィルムを効率よく製造する方法、その製造方法から得られる位相差フィルム、その位相差フィルムから生産性良く得られる光学フィルム、その光学フィルムから得られる液晶パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の位相差フィルムの製造方法は、セルロース系樹脂フィルムを、該フィルムの幅方向に1.5〜2.0倍の範囲で延伸させ、該フィルムの長手方向に0.5〜0.7倍の範囲で収縮させる工程を含む。
【0007】
好ましい実施形態においては、上記セルロース系樹脂フィルムのアセチル置換度(DSac)およびプロピオニル置換度(DSpr)が、2.0≦DSac+DSpr≦3.0であり、1.0≦DSpr≦3.0である。
【0008】
好ましい実施形態においては、上記工程が150〜170℃の範囲で行われる。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムがλ/4板である。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムのNz係数が1.0〜1.5の範囲である。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムがnx>ny≧nzの屈折率分布を有する。ここで、nx、ny、およびnzは、それぞれ、遅相軸方向、進相軸方向および厚み方向の屈折率を表す。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムが幅方向に遅相軸を有する。
【0013】
本発明の別の局面によれば、位相差フィルムが提供される。この位相差フィルムは、本発明の製造方法によって得られる。
【0014】
本発明の別の局面によれば、光学フィルムが提供される。この光学フィルムは、本発明の位相差フィルムと偏光子とを含む。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記位相差フィルムの遅相軸と上記偏光子の吸収軸とが実質的に直交している。
【0016】
本発明の別の局面によれば、液晶パネルが提供される。この液晶パネルは、本発明の光学フィルムが、液晶セルの少なくとも片側に配置されている。
【0017】
好ましい実施形態においては、上記液晶セルがVAモードまたはOCBモードである。
【0018】
好ましい実施形態においては、本発明の液晶パネルは、パネルサイズが40インチ以上である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、セルロース系材料から形成される実質的にAプレート性を有する位相差フィルムであって、大型パネル(例えば、パネルサイズで40インチ以上)への適用が可能な大型サイズの位相差フィルムを効率よく製造する方法を提供することができる。さらにその製造方法によって、光学特性に優れた位相差フィルムを提供することができる。
【0020】
上記位相差フィルムは幅方向に遅相軸を有するため、偏光フィルムの吸収軸(縦方向)と上記位相差フィルムの遅相軸を直交させた積層構成を有する光学フィルムとするには、該偏光フィルムと該位相差フィルムをロールツーロール方式によって連続的に貼り合わせた後に裁断すればよい。すなわち、生産性良く光学フィルムを提供することができる。さらに、その光学フィルムから光学特性に優れた液晶パネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0022】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸に垂直な方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。また、例えば「nx=ny」は、nxとnyが厳密に等しい場合のみならず、nxとnyが実質的に等しい場合も包含する。本明細書において「実質的に等しい」とは、光学補償層付偏光板の全体的な偏光特性に実用上の影響を与えない範囲でnxとnyが異なる場合も包含する趣旨である。
(2)「面内位相差Δnd」は、23℃における波長590nmの光で測定したフィルム(層)面内の位相差値をいう。Δndは、波長590nmにおけるフィルム(層)の遅相軸方向、進相軸方向の屈折率をそれぞれ、nx、nyとし、d(nm)をフィルム(層)の厚みとしたとき、式:Δnd=(nx−ny)×dによって求められる。
(3)「厚み方向の位相差Rth」は、23℃における波長590nmの光で測定した厚み方向の位相差値をいう。Rthは、波長590nmにおけるフィルム(層)の遅相軸方向、厚み方向の屈折率をそれぞれ、nx、nzとし、d(nm)をフィルム(層)の厚みとしたとき、式:Rth=(nx−nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数は、面内位相差Δndと厚み方向位相差Rthとの比であり、式:Nz=(nx−nz)/(nx−ny)によって求められる。
(5)nx>ny≧nzの屈折率分布とは、実質的にAプレート性を示す屈折率分布であり、nx>ny=nzまたはnx>ny>nzの屈折率分布である。ただし、nx>ny=nzの屈折率分布を示すポジティブAプレート性の方がnx>ny>nzの屈折率分布を示す二軸性よりも強い。
(6)本明細書において、「実質的に直交」とは、2つの軸(例えば、偏光子の吸収軸と別の偏光子の吸収軸)とのなす角度が、90°±2.0°である場合を包含し、好ましくは90°±1.0°であり、更に好ましくは90°±0.5°である。
(7)本明細書において、「実質的に平行」とは、2つの軸(例えば、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸)とのなす角度が、0°±2.0°である場合を包含し、好ましくは0°±1.0°であり、更に好ましくは0°±0.5°である。
【0023】
≪A.位相差フィルムの製造方法、位相差フィルム≫
本発明の位相差フィルムの製造方法は、セルロース系樹脂フィルムを、該フィルムの幅方向に1.5〜2.0倍の範囲で延伸させ、該フィルムの長手方向に0.5〜0.7倍の範囲で収縮させる工程を含む。
【0024】
上記セルロース系樹脂フィルムとしては、任意の適切なセルロース系樹脂を材料とするフィルムを採用し得る。
【0025】
上記セルロース系樹脂としては、例えば、特開2002−82225号公報の段落0106〜0112に記載されているような、低級脂肪酸エステルを主成分としたセルロース系樹脂が挙げられる。
【0026】
上記セルロース系樹脂としては、アセチル基およびプロピオニル基で置換されているセルロース系樹脂を用いることもできる。アセチル基の置換の程度は、セルロースの繰り返し単位中に存在する3個の水酸基がアセチル基で平均してどれだけ置換されているかを示す「アセチル置換度(DSac)」で示され得る。プロピオニル基の置換の程度は、セルロースの繰り返し単位中に存在する3個の水酸基がプロピオニル基で平均してどれだけ置換されているかを示す「プロピオニル置換度(DSpr)」で示され得る。アセチル置換度(DSac)およびプロピオニル置換度(DSpr)は、特開2003−315538号公報の段落0016〜0019に記載の方法(A.Blumstein,J.Asrar,R.B.Blumstein,Liq.Cryst.Ordered Fluids 4.311(1984)に記載の、H−NMRによるセルロースアセテートの置換度の測定方法を応用した測定方法)により求めることができる。
【0027】
上記セルロース系樹脂フィルムのアセチル置換度(DSac)およびプロピオニル置換度(DSpr)は、好ましくは、2.0≦DSac+DSpr≦3.0である。DSac+DSprの下限値は、好ましくは2.3以上、より好ましくは2.6以上である。DSac+DSprの上限値は、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.8以下である。上記セルロース系樹脂フィルムのDSac+DSprを上記の範囲とすることにより、本発明の効果を十分に発揮して優れた光学特性を有する位相差フィルムとすることができる。
【0028】
上記セルロース系樹脂フィルムは、プロピオニル置換度(DSpr)が、好ましくは、1.0≦DSpr≦3.0である。DSprの下限値は、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上である。DSprの上限値は、好ましくは2.9以下、より好ましくは2.8以下である。上記セルロース系樹脂フィルムのDSprを上記の範囲とすることにより、本発明の効果を十分に発揮して優れた光学特性を有する位相差フィルムとすることができる。
【0029】
上記セルロース系樹脂フィルムは、より好ましくは、アセチル置換度(DSac)およびプロピオニル置換度(DSpr)が、2.0≦DSac+DSpr≦3.0であって、且つ、1.0≦DSpr≦3.0である。
【0030】
上記アセチル基およびプロピオニル基で置換されているセルロース系樹脂は、アセチル基およびプロピオニル基以外のその他の置換基を有していても良い。その他の置換基としては、例えば、ブチレート等のエステル基;アルキルエーテル基、アラアルキレンエーテル基等のエーテル基;などが挙げられる。
【0031】
上記アセチル基およびプロピオニル基への置換方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、セルロースを強苛性ソーダ溶液で処理してアルカリセルロースとし、これを所定量の無水酢酸とプロピオン酸無水物との混合物によりアシル化する。アシル基を部分的に加水分解することにより、置換度「DSac+DSpr」を調整する。
【0032】
上記セルロース系樹脂の数平均分子量は、好ましくは5000〜100000、より好ましくは10000〜70000である。上記セルロース系樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10000〜500000、より好ましくは50000〜200000である。上記範囲とすることにより、生産性に優れ、かつ、良好な機械的強度が得られ得る。
【0033】
上記セルロース系樹脂フィルムは、任意の適切な高分子材料を含み得る。このような高分子材料としては、例えば、セルロースブチレート等のセルロースエステル;メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロースエーテル;等が挙げられる。
【0034】
上記セルロース系樹脂フィルムは、任意の適切な添加剤を含み得る。このような添加剤としては、例えば、可塑剤、熱安定剤、紫外線安定剤が挙げられる。
【0035】
上記セルロース系樹脂フィルムの厚みは、好ましくは50〜150μm、より好ましくは60〜140μm、さらに好ましくは70〜130μmである。
【0036】
本発明の位相差フィルムの製造方法においては、上記セルロース系樹脂フィルムを、該フィルムの幅方向に1.5〜2.0倍の範囲で延伸させ、該フィルムの長手方向に0.5〜0.7倍の範囲で収縮させる工程を含む。
【0037】
本発明の製造方法で得られる位相差フィルムは、フィルムの幅方向に光軸(遅相軸)を有する。
【0038】
本発明の製造方法においては、フィルムの延伸は、フィルムの幅方向(横方向)に延伸し、フィルムの長手方向(縦方向)に収縮させることのできる延伸方法であれば、任意の適切な延伸方法を採用し得る。好ましくは、同時二軸延伸機を用いた延伸方法である。
【0039】
同時二軸延伸機を用いての延伸は、フィルムを横方向にテンターで延伸しつつ、延伸後のフィルムのロール巻取り速度を、延伸前のロールからのフィルム排出速度よりも15%以上所望の収縮率にあわせて遅くすることにより行うことができる。好ましくは、延伸前のフィルムロール付近から、延伸後のフィルムを巻き取るロールにかけて、テンターの移動速度が徐々に遅くなり、最終的に所望の収縮率となる巻取り速度になるように制御しながら延伸を行うことにより、横方向への延伸を行いながら縦方向の収縮を達成することができる。ここで、延伸後のフィルムの巻取り速度は、縦方向の所望の収縮率により決定される。
【0040】
フィルムの横方向への延伸速度は、好ましくは1〜5000%/分であり、より好ましくは50〜1000%/分であり、さらに好ましくは100〜1000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
【0041】
上記延伸工程における温度は、好ましくは150〜170℃の範囲であり、より好ましくは155〜165℃の範囲である。上記延伸工程における温度を上記範囲内とすると、位相差ムラの発生を抑えることが可能となり、また、屈折率楕円体の制御が容易になる。なお、延伸工程後に、任意の適切な温度条件による冷却工程を行っても良い。
【0042】
フィルムの幅方向の延伸倍率は、1.5〜2.0倍の範囲であり、より好ましくは1.6〜1.9倍の範囲である。フィルムの幅方向の延伸倍率が低いと、面内の軸精度が悪くなり、広幅を確保することができないおそれがある。また、フィルムの幅方向の延伸倍率が高いと、フィルムが破断するおそれがある。
【0043】
フィルムの長手方向の収縮倍率は、0.5〜0.7倍の範囲であり、より好ましくは0.55〜0.7倍の範囲である。フィルムの長手方向の収縮倍率が低いと、Nz係数が小さくなり、高いと、Nz係数が大きくなるため、λ/4板を作製することができないおそれがある。
【0044】
上記のように延伸して得た位相差フィルムの厚みは、好ましくは0.1〜300μm、より好ましくは0.5〜200μm、さらに好ましくは1〜150μm、特に好ましくは1〜100μmである。
【0045】
上記のように延伸して得た位相差フィルムは、幅方向の長さを十分に確保できるので、大型サイズ(例えば、パネルサイズで40インチ以上)の位相差フィルムを得ることができる。好ましくは、パネルサイズで40インチ以上(好ましくは42インチ以上、より好ましくは44インチ以上、さらに好ましくは46インチ以上)の位相差フィルムを幅方向に2枚以上(好ましくは3枚以上、より好ましくは4枚以上、さらに好ましくは5枚以上)得ることができる。上記サイズの上限は特に限定されないが、実用的には、パネルサイズで65インチ以下である。
【0046】
上記のように延伸して得た位相差フィルムは、好ましくはλ/4板として機能し得る。
【0047】
上記のように延伸して得た位相差フィルムのNz係数は、好ましくは1.0〜1.5の範囲であり、より好ましくは1.0〜1.4の範囲であり、さらに好ましくは1.0〜1.3の範囲であり、特に好ましくは1.0〜1.2の範囲である。上記のように延伸して得た位相差フィルムのNz係数が上記範囲にあることにより、実質的にAプレート性を示す位相差フィルムとなり得る。
【0048】
上記のように延伸して得た位相差フィルムは、好ましくは、nx>ny≧nzの屈折率分布を有する。ここで本発明におけるnx>ny≧nzの屈折率分布とは、前述したように、実質的にAプレート性を示す屈折率分布であり、nx>ny=nzまたはnx>ny>nzの屈折率分布であるが、nx>ny=nzの屈折率分布を示すポジティブAプレート性の方がnx>ny>nzの屈折率分布を示す二軸性よりも強い。
【0049】
上記のように延伸して得た位相差フィルムのΔndの下限は、90nm以上であり、好ましくは120nm以上、さらに好ましくは130nm以上である。一方、Δndの上限は、200nm以下であり、好ましくは170nm以下、さらに好ましくは160nm以下である。
【0050】
上記のように延伸して得た位相差フィルムのRthの下限は、好ましくは90nm以上、より好ましくは110nm以上、さらに好ましくは120nm以上である。一方、Rthの上限は、好ましくは200nm以下、より好ましくは170nm以下、さらに好ましくは160nm以下である。
【0051】
上記のように延伸して得た位相差フィルムは、セルロース系樹脂フィルムから得られるフィルムであるため、セルロース系樹脂フィルムの特徴である逆波長分散特性によって、カラーシフトの低減、高いコントラストを実現することが可能となる。特に、セルロース系樹脂フィルムのアセチル置換度(DSac)およびプロピオニル置換度(DSpr)が、2.0≦DSac+DSpr≦3.0であり、1.0≦DSpr≦3.0である場合には、上記の効果が顕著になる。
【0052】
≪B.光学フィルム≫
本発明の光学フィルムは、本発明の位相差フィルムと偏光子とを含む。本発明の光学フィルムは、偏光子の片面にのみ本発明の位相差フィルムを有していても良いし、両面に本発明の位相差フィルムを有していても良い。
【0053】
本発明の光学フィルムは、好ましくは、上記位相差フィルムの遅相軸と上記偏光子の吸収軸とが実質的に直交している。
【0054】
本発明の位相差フィルムは幅方向に遅相軸を有するため、偏光子の吸収軸(縦方向)と上記位相差フィルムの遅相軸を直交させた積層構成を有する光学フィルムとするには、該偏光子と該位相差フィルムをロールツーロール方式によって連続的に貼り合わせた後に裁断すればよい(図1)。すなわち、図2のように偏光子と位相差フィルムをそれぞれ延伸後に一枚ずつ打ち抜いて貼り合わせる必要がなく、生産性良く光学フィルムを提供することができる。
【0055】
本発明の光学フィルムは、幅方向の長さを十分に確保できるので、大型サイズ(例えば、パネルサイズで40インチ以上)の光学フィルムを得ることができる。好ましくは、パネルサイズで40インチ以上(好ましくは42インチ以上、より好ましくは44インチ以上、さらに好ましくは46インチ以上)の光学フィルムを幅方向に2枚以上(好ましくは3枚以上、より好ましくは4枚以上、さらに好ましくは5枚以上)得ることができる。上記サイズの上限は特に限定されないが、実用的には、パネルサイズで65インチ以下である。
【0056】
本発明の光学フィルムにおける偏光子としては、任意の適切な偏光子を採用し得る。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系樹脂フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。これらのなかでも、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素などの二色性物質を吸着させて一軸延伸した偏光子が、偏光二色比が高く特に好ましい。
【0057】
上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、好ましくは100〜5000、さらに好ましくは1400〜4000である。偏光子を構成するポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、任意の適切な方法(例えば、樹脂を水または有機溶媒に溶解した溶液を流延成膜する流延法、キャスト法、押出法)で成形され得る。偏光子の厚みは、偏光板が用いられるLCDの目的や用途に応じて適宜設定され得るが、代表的には5〜80μmである。
【0058】
偏光子の製造方法としては、目的、使用材料および条件等に応じて任意の適切な方法が採用され得る。代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、膨潤、染色、架橋、延伸、水洗、および乾燥工程からなる一連の製造工程に供する方法が採用される。乾燥工程を除く各処理工程においては、それぞれの工程に用いられる溶液を含む浴中にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬することにより処理を行う。膨潤、染色、架橋、延伸、水洗、および乾燥の各処理の順番、回数および実施の有無は、目的、使用材料および条件等に応じて適宜設定され得る。例えば、いくつかの処理を1つの工程で同時に行ってもよく、特定の処理を省略してもよい。より詳細には、例えば延伸処理は、染色処理の後に行ってもよく、染色処理の前に行ってもよく、膨潤処理、染色処理および架橋処理と同時に行ってもよい。また例えば、架橋処理を延伸処理の前後に行うことが、好適に採用され得る。また例えば、水洗処理は、すべての処理の後に行ってもよく、特定の処理の後のみに行ってもよい。
【0059】
膨潤工程は、代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水で満たした処理浴(膨潤浴)中に浸漬することにより行われる。この処理により、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄するとともに、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させることで染色ムラ等の不均一性を防止し得る。膨潤浴には、グリセリンやヨウ化カリウム等が適宜添加され得る。膨潤浴の温度は、代表的には20〜60℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、代表的には0.1〜10分程度である。
【0060】
染色工程は、代表的には、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素等の二色性物質を含む処理浴(染色浴)中に浸漬することにより行われる。染色浴の溶液に用いられる溶媒は、水が一般的に使用されるが、水と相溶性を有する有機溶媒が適量添加されていてもよい。二色性物質は、溶媒100重量部に対して、代表的には0.1〜1.0重量部の割合で用いられる。二色性物質としてヨウ素を用いる場合には、染色浴の溶液は、ヨウ化物等の助剤をさらに含有することが好ましい。染色効率が改善されるからである。助剤は、溶媒100重量部に対して、好ましくは0.02〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重量部の割合で用いられる。ヨウ化物の具体例としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンが挙げられる。染色浴の温度は、代表的には20〜70℃程度であり、染色浴への浸漬時間は、代表的には1〜20分程度である。
【0061】
架橋工程は、代表的には、上記染色処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、架橋剤を含む処理浴(架橋浴)中に浸漬することにより行われる。架橋剤としては、任意の適切な架橋剤が採用され得る。架橋剤の具体例としては、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等が挙げられる。これらは、単独で、または組み合わせて使用され得る。架橋浴の溶液に用いられる溶媒は、水が一般的に使用されるが、水と相溶性を有する有機溶媒が適量添加されていてもよい。架橋剤は、溶媒100重量部に対して、代表的には1〜10重量部の割合で用いられる。架橋剤の濃度が1重量部未満の場合には、十分な光学特性を得ることができない場合が多い。架橋剤の濃度が10重量部を超える場合には、延伸時にフィルムに発生する延伸力が大きくなり、得られる偏光板が収縮してしまう場合がある。架橋浴の溶液は、ヨウ化物等の助剤をさらに含有することが好ましい。面内に均一な特性が得られやすいからである。助剤の濃度は、好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.5〜8重量%である。ヨウ化物の具体例は、染色工程の場合と同様である。架橋浴の温度は、代表的には20〜70℃程度、好ましくは40〜60℃である。架橋浴への浸漬時間は、代表的には1秒〜15分程度、好ましくは5秒〜10分である。
【0062】
延伸工程は、上記のように、いずれの段階で行ってもよい。具体的には、染色処理の後に行ってもよく、染色処理の前に行ってもよく、膨潤処理、染色処理および架橋処理と同時に行ってもよく、架橋処理の後に行ってもよい。ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの累積延伸倍率は、5倍以上にすることが必要であり、好ましくは5〜7倍、さらに好ましくは5〜6.5倍である。累積延伸倍率が5倍未満である場合には、高偏光度の偏光板を得ることが困難となる場合がある。累積延伸倍率が7倍を超える場合には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルム(偏光子)が破断しやすくなる場合がある。延伸の具体的な方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、湿式延伸法を採用した場合には、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、処理浴(延伸浴)中で所定の倍率に延伸する。延伸浴の溶液としては、水または有機溶媒(例えば、エタノール)などの溶媒中に、各種金属塩、ヨウ素、ホウ素または亜鉛の化合物を添加した溶液が好適に用いられる。
【0063】
水洗工程は、代表的には、上記各種処理を施されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、処理浴(水洗浴)中に浸漬することにより行われる。水洗工程により、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの不要残存物を洗い流すことができる。水洗浴は、純水であってもよく、ヨウ化物(例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム)の水溶液であってもよい。ヨウ化物水溶液の濃度は、好ましくは0.1〜10質量%である。ヨウ化物水溶液には、硫酸亜鉛、塩化亜鉛などの助剤を添加してもよい。水洗浴の温度は、好ましくは10〜60℃、さらに好ましくは30〜40℃である。浸漬時間は、代表的には1秒〜1分である。水洗工程は1回だけ行ってもよく、必要に応じて複数回行ってもよい。複数回実施する場合、各処理に用いられる水洗浴に含まれる添加剤の種類や濃度は適宜調整され得る。例えば、水洗工程は、ポリマーフィルムをヨウ化カリウム水溶液(0.1〜10重量%、10〜60℃)に1秒〜1分浸漬する工程と、純水ですすぐ工程とを含む。
【0064】
乾燥工程としては、任意の適切な乾燥方法(例えば、自然乾燥、送風乾燥、加熱乾燥)が採用され得る。例えば、加熱乾燥の場合には、乾燥温度は代表的には20〜80℃であり、乾燥時間は代表的には1〜10分である。以上のようにして、偏光子が得られる。
【0065】
本発明の光学フィルムを得るには、前述の通り、好ましくは、上記偏光子と本発明の位相差フィルムをロールツーロール方式によって連続的に貼り合わせた後に裁断する。
【0066】
上記偏光子と本発明の位相差フィルムとの接着は、接着剤から形成される接着剤層を介して行われる。この接着剤層は、より強い接着性を発現するために、ポリビニルアルコール系接着剤から形成される層が好ましい。ポリビニルアルコール系接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤を含有する。
【0067】
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、特に限定されないが、例えば、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコール;その誘導体;更に酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコール;などが挙げられる。前記単量体としては、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体等が挙げられる。これらポリビニルアルコール系樹脂は1種のみ用いても良いし2種以上を併用しても良い。
【0068】
上記ポリビニルアルコール系樹脂は、接着性の点からは、平均重合度が好ましくは100〜3000、より好ましくは500〜3000であり、平均ケン化度が好ましくは85〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
【0069】
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂は、反応性の高い官能基を有するポリビニルアルコール系接着剤であり、光学フィルムの耐久性が向上する点で好ましい。
【0070】
アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを公知の方法で反応して得られる。例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を酢酸等の溶媒中に分散させておき、これにジケテンを添加する方法、ポリビニルアルコール系樹脂をジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にあらかじめ溶解しておき、これにジケテンを添加する方法等が挙げられる。また、ポリビニルアルコールにジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法が挙げられる。
【0071】
アセトアセチル基を有するポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であれば特に制限はない。0.1モル%未満では接着剤層の耐水性が不十分であり不適当である。アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%、さらに好ましくは1〜20モル%である。アセトアセチル基変性度が40モル%を超えると架橋剤との反応点が少なくなり、耐水性の向上効果が小さい。アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
【0072】
上記架橋剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤に用いられているものであれば、任意の適切な架橋剤を採用し得る。架橋剤は、ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物を使用できる。例えば、エチレンジアミン、トリエチレンアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類(なかでもヘキサメチレンジアミンが好ましい);トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチレンプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等のエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等のモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒド等のジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物等のアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;更にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、又は三価金属の塩及びその酸化物;などが挙げられる。架橋剤としては、メラミン系架橋剤が好ましく、特にメチロールメラミンが好適である。
【0073】
上記架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜35重量部、より好ましくは10〜25重量部である。一方、耐久性をより向上させるには、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することができる。特に、アセトアセチル基を含有するポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合には、架橋剤の使用量を30重量部を超えて用いるのが好ましい。架橋剤を30重量部を超え46重量部以下の範囲で配合することにより、耐水性が向上する。
【0074】
なお、上記ポリビニルアルコール系接着剤には、さらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、各種粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などの安定剤等を配合することもできる。
【0075】
本発明の光学フィルムは、偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すことができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
【0076】
上記アンカー層としては、例えば、反応性官能基を有するシリコーン層が挙げられる。反応性官能基を有するシリコーン層の材料は、特に制限されないが、例えば、イソシアネート基含有のアルコキシシラノール類、アミノ基含有アルコキシシラノール類、メルカプト基含有アルコキシシラノール類、カルボキシ含有アルコキシシラノール類、エポキシ基含有アルコキシシラノール類、ビニル型不飽和基含有アルコキシシラノール類、ハロゲン基含有アルコキシラノール類、イソシアネート基含有アルコキシシラノール類が挙げられ、アミノ系シラノールが好ましい。さらに上記シラノールを効率よく反応させるためのチタン系触媒や錫系触媒を添加することにより、接着力を強固にすることができる。また上記反応性官能基を有するシリコーンに他の添加剤を加えてもよい。具体的にはさらにはテルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤などの安定剤等を用いても良い。また、アンカー層として、セルロースアセテートブチレート樹脂をケン化させたものからなる層も挙げられる。
【0077】
上記反応性官能基を有するシリコーン層は公知の技術により塗工、乾燥して形成される。シリコーン層の厚みは、乾燥後で、好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは10〜50nmである。塗工の際、反応性官能基を有するシリコーンを溶剤で希釈してもよい。希釈溶剤は特に制限はされないが、アルコール類があげられる。希釈濃度は特に制限されないが、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
【0078】
上記接着剤層の形成は、上記接着剤を本発明の光学フィルムのいずれかの側または両側、偏光子のいずれかの側または両側に塗布することにより行う。本発明の光学フィルムと偏光子とを貼り合せた後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着剤層を形成する。接着剤層を形成した後にこれを貼り合わせることもできる。偏光子と本発明の光学フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
【0079】
接着剤層の厚みは、乾燥後の厚みで厚くなりすぎると、本発明の光学フィルムの接着性の点で好ましくないことから、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
【0080】
偏光子への本発明の光学フィルムの貼り合わせは、偏光子の両面に、本発明の光学フィルムの一方の側で接着することができる。
【0081】
また、偏光子への本発明の光学フィルムの貼り合わせは、偏光子の片面に本発明の光学フィルムの一方の側で接着し、もう一方の片面にセルロース系樹脂を貼り合わせることができる。
【0082】
上記セルロール系樹脂は特には限定されないが、トリアセチルセルロールが透明性、接着性の点で好ましい。セルロース系樹脂の厚さは、好ましくは30〜100μm、より好ましくは40〜80μmである。厚さが30μmより薄いとフィルム強度が低下し作業性が劣り、100μmより厚いと耐久性において光透過率の低下が著しくなる。
【0083】
本発明の光学フィルムは、最外層の少なくとも一方として粘着剤層を有していても良い。特に好ましい形態として、本発明の光学フィルムの偏光子が接着されていない側に、他の光学フィルムや液晶セル等の他部材と接着するための粘着剤層を設けることができる。
【0084】
上記粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用い得る。特に、炭素数が4〜12のアクリル系ポリマーよりなるアクリル系粘着剤が好ましい。
【0085】
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が好ましい。
【0086】
上記粘着剤層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着剤層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。
【0087】
また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層などであってもよい。
【0088】
上記粘着剤層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えば、トルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着剤層を形成してそれを偏光子保護フィルム面に移着する方式などがあげられる。
【0089】
粘着剤層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着剤層とすることもできる。
【0090】
粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、好ましくは1〜40μmであり、より好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは10〜25μmである。1μmより薄いと耐久性が悪くなり、また、40μmより厚くなると発泡などによる浮きや剥がれが生じやすく外観不良となる。
【0091】
本発明の光学フィルムと上記粘着剤層との間の密着性を向上させるために、その層間にアンカー層を設けることも可能である。
【0092】
上記アンカー層としては、好ましくは、ポリウレタン、ポリエステル、分子中にアミノ基を含むポリマー類から選ばれるアンカー層が用いられ、特に好ましくは分子中にアミノ基を含んだポリマー類が使用される。分子中にアミノ基を含んだポリマーは、分子中のアミノ基が、粘着剤中のカルボキシル基や、導電性ポリマー中の極性基と反応もしくはイオン性相互作用などの相互作用を示すため、良好な密着性が確保される。
【0093】
分子中にアミノ基を含むポリマー類としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリジン、前述アクリル系粘着剤の共重合モノマーで示したジメチルアミノエチルアクリレート等の含アミノ基含有モノマーの重合体などを挙げることができる。
【0094】
上記アンカー層に帯電防止性を付与するために、帯電防止剤を添加することもできる。帯電防止性付与のための帯電防止剤としては、イオン性界面活性剤系、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリキノキサリン等の導電ポリマー系、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム等の金属酸化物系などが挙げられるが、特に光学特性、外観、帯電防止効果、および帯電防止効果の熱時、加湿時での安定性という観点から、導電性ポリマー系が好ましく使用される。この中でも、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの水溶性導電性ポリマー、もしくは水分散性導電性ポリマーが特に好ましく使用される。これは、帯電防止層の形成材料として水溶性導電性ポリマーや水分散性導電性ポリマーを用いた場合、塗布工程に際して有機溶剤による光学フィルム基材の変質を抑える事が出来るためである。
【0095】
本発明において、上記した光学フィルム、粘着剤層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0096】
本発明の光学フィルムは、液晶セルの視認側、バックライト側のどちらか片側に設けても、両側に設けてもよく、限定されない。
【0097】
≪C.液晶パネル≫
本発明の液晶パネルは、本発明の光学フィルムが、液晶セルの少なくとも片側に配置されている。
【0098】
図3は、本発明の好ましい実施形態による液晶パネルの概略断面図である。図示例においては、液晶パネル100は、視認側から順に、第1の偏光子10と、第1の位相差フィルム20と、液晶セル30と、第2の位相差フィルム40と、第2の偏光子50とをこの順に有する。第1の偏光子10および第2の偏光子50は、代表的には、その吸収軸が互いに直交するようにして配置されている。第1の位相差フィルム20および第2の位相差フィルム40の少なくとも一方は本発明の位相差フィルムである。液晶セル30は、一対のガラス基板31、32と、該基板間に配された表示媒体としての液晶層33とを有する。一方の基板(アクティブマトリクス基板)32には、液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子(代表的にはTFT)と、このスイッチング素子にゲート信号を与える走査線およびソース信号を与える信号線とが設けられている(いずれも図示せず)。他方のガラス基板(カラーフィルター基板)31には、カラーフィルター(図示せず)が設けられる。なお、カラーフィルターは、アクティブマトリクス基板32に設けてもよい。基板31、32の間隔(セルギャップ)は、スペーサー34によって制御されている。基板31、32の液晶層33と接する側には、例えばポリイミドからなる配向膜(図示せず)が設けられている。
【0099】
第1の位相差フィルム20と第1の偏光子10との間には第1の保護層(図示せず)が設けられていても良い。第2の位相差フィルム40と第2の偏光子50との間には第2の保護層(図示せず)が設けられていても良い。実用的には、第1の偏光子10の第1の位相差フィルム20と反対側(第1の偏光子10の外側、図示例では視認側)に別の保護層(図示せず)が設けられ、第2の偏光子50の第2の位相差フィルム40と反対側(第2の偏光子50の外側、図示例ではバックライト側)にさらに別の保護層(図示せず)が設けられる。
【0100】
液晶セル30の駆動モードとしては、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な駆動モードが採用され得る。駆動モードの具体例としては、STN(Super Twisted Nematic)モード、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、VA(Vertical Aligned)モード、OCB(Optically Aligned Birefringence)モード、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モードおよびASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードが挙げられる。VAモードおよびOCBモードが好ましい。本発明の位相差フィルムと組み合わせると、カラーシフトの改善が著しいからである。
【0101】
図4(a)および(b)は、VAモードにおける液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。図4(a)に示すように、電圧無印加時には、液晶分子は基板31、32面に垂直に配向する。このような垂直配向は、垂直配向膜(図示せず)を形成した基板間に負の誘電率異方性を有するネマティック液晶を配することにより実現され得る。このような状態で、偏光子50を通過した直線偏光の光を一方の基板32の面から液晶層33に入射させると、当該入射光は、垂直配向している液晶分子の長軸の方向に沿って進む。液晶分子の長軸方向には複屈折が生じないため入射光は偏光方位を変えずに進み、偏光子50と直交する吸収軸を有する偏光子10で吸収される。これにより電圧無印加時において暗状態の表示が得られる(ノーマリブラックモード)。図4(b)に示すように、電極間に電圧が印加されると、液晶分子の長軸が基板面に平行に配向する。この状態の液晶層33に入射した直線偏光の光に対して液晶分子は複屈折性を示し、入射光の偏光状態は液晶分子の傾きに応じて変化する。所定の最大電圧印加時において液晶層を通過する光は、例えばその偏光方位が90°回転させられた直線偏光となるので、偏光子10を透過して明状態の表示が得られる。再び電圧無印加状態にすると配向規制力により暗状態の表示に戻すことができる。また、印加電圧を変化させて液晶分子の傾きを制御して偏光子10からの透過光強度を変化させることにより階調表示が可能となる。
【0102】
図5(a)〜(d)は、OCBモードにおける液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。OCBモードは、液晶層33をいわゆるベンド配向といわれる配向によって構成する表示モードである。ベンド配向とは、図5(c)に示すように、ネマティック液晶分子の配向が基板近傍においては、ほぼ平行の角度(配向角)を有し、配向角は液晶層の中心に向かうに従って基板平面に対して垂直な角度を呈し、液晶層の中心から離れるに従って対向する基板表面と配向になるように漸次連続的に変化し、かつ、液晶層全体にわたってねじれ構造を有しない配向状態をいう。このようなベンド配向は、以下のようにして形成される。図5(a)に示すように、何ら電界等を付与していない状態(初期状態)では、液晶分子は実質的にホモジニアス配向をとっている。ただし、液晶分子は、プレチルト角を有し、かつ、基板近傍のプレチルト角とそれに対向する基板近傍のプレチルト角とが異なっている。ここに所定のバイアス電圧(代表的には、1.5V〜1.9V)を印加すると(低電圧印加時)、図5(b)に示すようなスプレイ配向を経て、図5(c)に示すようなベンド配向への転移が実現され得る。ベンド配向状態からさらに表示電圧(代表的には、5V〜7V)を印加すると(高電圧印加時)、液晶分子は図5(d)に示すように基板表面に対してほぼ垂直に立ち上がる。ノーマリーホワイトの表示モードにおいては、偏光子50を通過して、高電圧印加時に図5(d)の状態にある液晶層33に入射した光(直線偏光)は、偏光方位を変えずに進み、偏光子10で吸収される。したがって、暗状態の表示となる。表示電圧を下げると、ラビング処理の配向規制力により、ベンド配向に戻り、明状態の表示に戻すことができる。また、表示電圧を変化させて液晶分子の傾きを制御して偏光板からの透過光強度を変化させることにより、階調表示が可能となる。なお、OCBモードの液晶セルを備えた液晶表示装置は、スプレイ配向状態からベンド配向状態への相転移を非常に高速でスイッチングできるため、TNモードやIPSモード等の他駆動モードの液晶表示装置に比べ、動画表示特性に優れるという特徴を有する。
【実施例】
【0103】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における各特性の測定方法は以下の通りである。
【0104】
<位相差の測定>
試料フィルムの屈折率nx、nyおよびnzを、自動複屈折測定装置(王子計測機器株式会社製,自動複屈折計KOBRA−21ADH)により計測し、面内位相差Δndおよび厚み方向位相差Rthを算出した。測定温度は23℃、測定波長は590nmであった。
【0105】
〔実施例1〕
アセチル置換度(DSac)が0.1以下、プロピオニル置換度(DSpr)が2.8、重量平均分子量が120000、厚みが120μmのセルロース系樹脂フィルム原反について、同時二軸延伸機(市金工業社製、FITS)を用いて、表1に記載の条件で延伸を行い、長尺の位相差フィルム(1)を得た。
位相差フィルム(1)の面内位相差Δndは135nm、厚み方向位相差Rthは160nm、Nz係数は1.19であった。
【0106】
〔実施例2〕
表1に記載の条件で延伸を行った以外は実施例1と同様に行い、長尺の位相差フィルム(2)を得た。
位相差フィルム(2)の面内位相差Δndは145nm、厚み方向位相差Rthは145nm、Nz係数は1.0であった。
【0107】
〔実施例3〕
表1に記載の条件で延伸を行った以外は実施例1と同様に行い、長尺の位相差フィルム(3)を得た。
位相差フィルム(3)の面内位相差Δndは135nm、厚み方向位相差Rthは150nm、Nz係数は1.15であった。
【0108】
〔実施例4〕
表1に記載の条件で延伸を行った以外は実施例1と同様に行い、長尺の位相差フィルム(4)を得た。
位相差フィルム(4)の面内位相差Δndは120nm、厚み方向位相差Rthは120nm、Nz係数は1.0であった。
【0109】
〔比較例1〕
表1に記載の条件で延伸を行った以外は実施例1と同様に行い、長尺の位相差フィルム(C1)を得た。
位相差フィルム(C1)の面内位相差Δndは65nm、厚み方向位相差Rthは210nm、Nz係数は3.23であった。
【0110】
〔比較例2〕
表1に記載の条件で延伸を行った以外は実施例1と同様に行い、長尺の位相差フィルム(C2)を得た。
位相差フィルム(C2)の面内位相差Δndは115nm、厚み方向位相差Rthは210nm、Nz係数は1.83であった。
【0111】
【表1】

【0112】
〔実施例5〕
(偏光子の製造)
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、5重量%(重量比:ヨウ素/ヨウ化カリウム=1/10)のヨウ素水溶液中で染色した。次いで、3重量%のホウ酸および2重量%ヨウ化カリウムを含む水溶液に浸漬し、さらに4重量%のホウ酸および3重量%のヨウ化カリウムを含む水溶液中で5.5倍まで延伸した後、5重量%のヨウ化カリウム水溶液に浸漬した。その後、40℃のオーブンで3分間乾燥を行い、厚さ30μmの長尺の偏光子を得た。このとき、偏光子の長手方向が吸収軸の方向となるようにした。
(ポリビニルアルコール系接着剤の調製)
アセトアセチル基変性したポリビニルアルコール樹脂100重量部(アセチル化度13%)に対してメチロールメラミン20重量部を含む水溶液を、濃度0.5重量%になるように調整し、ポリビニルアルコール系接着剤の水溶液を調製した。
(光学フィルムの製造)
上記で得られた長尺の偏光子の一方の面に、実施例1で得られた長尺の位相差フィルム(1)を、もう一方の面に、市販の長尺のTACフィルム(厚み80μm)(富士写真フィルム(株)製 商品名「PF80UL」)を、上記で得られたポリビニルアルコール系接着剤を用いて、ロールツーロールで連続的に貼り合わせた。このとき、位相差フィルム(1)の遅相軸と偏光子の吸収軸は、実質的に直交していた。このようにして、長尺の光学フィルム(1)を得た。
得られた光学フィルム(1)からは、該フィルムの幅方向に、パネルサイズで46インチ相当(1031.10cm×584.70cm)のフィルムを2枚得ることができた。
【0113】
〔実施例6〕
長尺の位相差フィルム(1)の代わりに、実施例2で得られた長尺の位相差フィルム(2)を用いた以外は実施例5と同様に行い、長尺の光学フィルム(2)を得た。
得られた光学フィルム(2)からは、該フィルムの幅方向に、パネルサイズで46インチ相当(1031.10cm×584.70cm)のフィルムを2枚得ることができた。
【0114】
〔実施例7〕
長尺の位相差フィルム(1)の代わりに、実施例3で得られた長尺の位相差フィルム(3)を用いた以外は実施例5と同様に行い、長尺の光学フィルム(3)を得た。
得られた光学フィルム(3)からは、該フィルムの幅方向に、パネルサイズで46インチ相当(1031.10cm×584.70cm)のフィルムを2枚得ることができた。
【0115】
〔実施例8〕
長尺の位相差フィルム(1)の代わりに、実施例4で得られた長尺の位相差フィルム(4)を用いた以外は実施例5と同様に行い、長尺の光学フィルム(4)を得た。
得られた光学フィルム(4)からは、該フィルムの幅方向に、パネルサイズで46インチ相当(1031.10cm×584.70cm)のフィルムを2枚得ることができた。
【0116】
〔比較例3〕
長尺の位相差フィルム(1)の代わりに、比較例1で得られた長尺の位相差フィルム(C1)を用いた以外は実施例5と同様に行い、長尺の光学フィルム(C1)を得た。
得られた光学フィルム(C1)からは、該フィルムの幅方向に、パネルサイズで40インチ相当(897.60cm×510.80cm)のフィルムが1枚しか得られなかった。
【0117】
〔比較例4〕
長尺の位相差フィルム(1)の代わりに、比較例2で得られた長尺の位相差フィルム(C2)を用いた以外は実施例5と同様に行い、長尺の光学フィルム(C2)を得た。
得られた光学フィルム(C2)からは、該フィルムの幅方向に、パネルサイズで40インチ相当(897.60cm×510.80cm)のフィルムが1枚しか得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の製造方法で得られる位相差フィルム、その位相差フィルムから得られる光学フィルムは、液晶テレビ、携帯電話等に好適に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の好ましい実施形態による光学フィルムの製造方法を説明する図である。
【図2】従来の光学フィルムの製造方法を説明する図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態による液晶パネルの概略断面図である。
【図4】本発明の液晶表示装置がVAモードの液晶セルを採用する場合に、液晶層の液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。
【図5】本発明の液晶表示装置がOCBモードの液晶セルを採用する場合に、液晶層の液晶分子の配向状態を説明する概略断面図である。
【符号の説明】
【0120】
1 TAC(トリアセチルセルロース)フィルム
2 偏光子
3 位相差フィルム(押出+横延伸)
4 位相差フィルム(キャスト+縦延伸)
10 第1の偏光子
20 第1の位相差フィルム
30 液晶セル
31 ガラス基板
32 ガラス基板
33 液晶層
34 スペーサー
40 第2の位相差フィルム
50 第2の偏光子
100 液晶パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース系樹脂フィルムを、該フィルムの幅方向に1.5〜2.0倍の範囲で延伸させ、該フィルムの長手方向に0.5〜0.7倍の範囲で収縮させる工程を含む、位相差フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記セルロース系樹脂フィルムのアセチル置換度(DSac)およびプロピオニル置換度(DSpr)が、2.0≦DSac+DSpr≦3.0であり、1.0≦DSpr≦3.0である、請求項1に記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記工程が150〜170℃の範囲で行われる、請求項1または2に記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記位相差フィルムがλ/4板である、請求項1から3までのいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記位相差フィルムのNz係数が1.0〜1.5の範囲である、請求項1から4までのいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記位相差フィルムがnx>ny≧nzの屈折率分布を有する、請求項1から5までのいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法。
ここで、nx、ny、およびnzは、それぞれ、遅相軸方向、進相軸方向および厚み方向の屈折率を表す。
【請求項7】
前記位相差フィルムが幅方向に遅相軸を有する、請求項1から6までのいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかに記載の製造方法によって得られる、位相差フィルム。
【請求項9】
請求項8に記載の位相差フィルムと偏光子とを含む、光学フィルム。
【請求項10】
前記位相差フィルムの遅相軸と前記偏光子の吸収軸とが実質的に直交している、請求項9に記載の光学フィルム。
【請求項11】
請求項9または10に記載の光学フィルムが、液晶セルの少なくとも片側に配置されている、液晶パネル。
【請求項12】
前記液晶セルがVAモードまたはOCBモードである、請求項11に記載の液晶パネル。
【請求項13】
パネルサイズが40インチ以上である、請求項11または12に記載の液晶パネル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−86470(P2009−86470A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258247(P2007−258247)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】