説明

位置決め可能な位置において人が抱いた感情を表すデータを記録する方法および装置ならびに関連するサーバ

本発明は、位置決め可能な位置に関係するデータを記録する方法に関する。前述の方法は、次のステップ:i)ある位置においてある人物が抱いた少なくとも1つの感情を表す主要データを、前述の人物によって使用され、かつ位置決め装置DLを備える無線通信端末Tを使って記録するステップと、ii)端末Tの位置決め装置DLを使い、前述の位置の地理的位置を求めるステップと、iii)前述の特定の地理的位置との相関関係において記録された主要データを記憶するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記録する分野に関し、より詳細には、位置付け可能な位置に関係するデータを記録できるようにする装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人は、屋外環境または屋内環境の中で移動するときはいつでも、ある特定の位置において特定の感情を抱き、その特定の感情の痕跡を自分自身のためにまたは第三者のために保持したいと思うことがある。そのように保持するために、その人はその特定の感情および対応する位置をノートに書き込み、またはその特定の感情および対応する位置を述べる音声メッセージをテープレコーダ(または同様のもの)を使用して録音し、または任意の記録のベースとは別にその関連する位置の写真を撮る必要がある。
【0003】
このような場合とは関係なく、ある位置に関係する手書きのノート、または音声メッセージ、または写真の内容を第三者が使用することは、あらかじめデジタルで書き換えることだけでなく、言葉で述べられた位置の地理座標を求めることも必要とするので困難であることが分かる。さらなる問題は、その位置に関連付けられる情報を所与の位置にいる人々に提供することにかかわる。そのように提供することは、例えば複数の位置に関係する情報を前もってダウンロードしておくことによって達成することができる。しかし、そのようにダウンロードしておくことは、それらの位置を通ることが事前に予定されていたことを暗示し、それは必ずしも可能でありまたは望まれるとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の欠点を完全にまたは部分的に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、位置決め可能な位置に関係するデータを記録することに向けられる方法であって:
i)ある場所においてある人物が抱いた少なくとも1つの感情を表す主要データを、前述の人物によって使用され、かつ位置決め装置を備える無線通信端末を使って記録するステップと、
ii)端末の位置決め装置を使い、前述の位置の地理的位置を求めるステップと、
iii)前述の特定の地理的位置との相関関係において記録された主要データを記憶するステップと
を含む、方法を提唱する。
【0006】
本発明の方法は、別々にまたは組み合わせて取り入れることができる他の特徴を含むことができ、その特徴とは具体的には:
− i)において、その人物が、自らの端末の画面上に表示されるメニューの、経験した感情のリストおよび/または経験した(「一次的」または「二次的」)感情を表すアイコン(または画像)群の中から、経験した感情を(入力を容易にするために)選択できること、
− i)において、記録された経験した感情の強さを表す、補足的データを記録できること、
− i)において、その人物が、例えば自らの端末の画面上に表示されるメニューの強さのリストの中から、経験した感情の強さを選択できること、
− i)において、位置および/または記録された経験した感情についての説明を表す補足的データを記録することができ、この補足的データは経験した感情の主要データに関連付け、その位置において記録できること、
− i)において、端末の撮影装置を使い、少なくとも1枚の写真記録をその位置で撮ることができ、次いで、撮られたそれぞれの写真記録を定義する画像データを、その位置において記録された経験した感情の主要データに関連付けることができること、
− i)において、端末のオーディオ装置を使い、少なくとも1つの音声記録をその位置で取ることができ、次いで、録られたそれぞれの音声記録を定義する画像データを、その位置において記録された経験した感情の主要データに関連付けることができること、
− iii)において、人物によって記録された主要データおよびもしあれば関連する補足的データを、自動的に求められる地理的位置と対にして、およびその人物の識別子と対にしてサーバに記憶できること、
− 少なくとも1人の人物のデータ記録に関連する複数の位置を含む区域を表す地図が生成され、少なくとも1つの選択された基準に応じて選択された、少なくとも1人の人物によって記録された主要データならびにもしあれば関連する補足的データを表す選択された要素を、対応する地理的位置においてこの地図上に表示することができるiv)を提供できること、
− 少なくとも1人の人物のデータ記録に関連する複数の位置を含む区域を表す地図が生成され、次いで、この地図内に副区域が定義されてもよく、次いで、それぞれの副区域ごとに、少なくとも1人の人物によりその副区域の中で経験された、少なくとも1つの選択された感情に関係する平均値を求めることができ、割り当てられたマーカーとともにそれぞれの副区域を表示するように、その副区域の求められた平均値を表すマーカーをそれぞれの副区域に割り当てることができるiv)を提供できること、
− 所与の人物のために(例えば発行者により)少なくとも1つのトピック的な分析を実行できること
である。
【0007】
本発明は、位置付け装置を備える無線通信端末用の、位置付け可能な位置に関係するデータを記録することに向けられる装置であって、その端末を使用する人物がある位置において経験する少なくとも1つの感情を表す主要データを記録すること、さらに端末の位置付け装置によって求められるその位置の地理的位置にその主要データを関連付けることの両方を課せられる記録手段を備える、装置も開示する。
【0008】
本発明の装置は、別々にまたは組み合わせて取り入れることができる他の特徴を含むことができ、その特徴とは具体的には:
− その装置の記録手段は、端末の画面上に表示されることを目的とするメニューであって、その人物がその中から少なくとも1つの経験した感情を自らの端末のマン/マシンインターフェースを使って選択することができる、経験した感情のリストおよび/または経験した(「一次的」または「二次的」)感情を表すアイコン(または画像)群を含む、メニューを生成することを課せられる、選択手段を備えることができること、
− その装置の記録手段は、記録された経験した感情の強さを表す、補足的データを追加的に記録することを課せられてもよいこと、
− その選択手段は、端末の画面上に表示されることを目的とするメニューであって、その人物がその中から経験した感情の強さを自らの端末のマン/マシンインターフェースを使って選択することができる、経験した感情の強さのリストを含む、メニューを生成することを課せられてもよいこと、
− その装置の記録手段は、位置および/または記録された経験した感情についての説明を表す補足的データを追加的に記録すること、およびその補足的データを、その位置において記録された経験した感情の主要データに関連付けることを課せられてもよいこと、
− その装置の記録手段は、ある位置において記録された経験した感情の主要データを、端末の撮影装置を使いその位置で撮られた少なくとも1枚の写真記録を定義する画像データに、および/または端末の音声記録装置を使いその位置で録られた少なくとも1つの音声記録を定義する音声データに関連付けることを課せられてもよいこと
である。
【0009】
本発明は、通信ネットワーク用のサーバであって、求められる地理的位置および人物の識別子と対にして記録され、その後、上記に提示した種類の記録装置を備えるその人物の無線通信端末によって伝送される、主要データおよびもしあれば関連する補足的データを記憶することを課せられる記憶手段を備える、サーバも開示する。
【0010】
そのようなサーバは、少なくとも1人の人物のデータ記録に関連する複数の位置を含む区域を表す地図を生成すること、および少なくとも1つの選択された基準に応じて選択された、少なくとも1人の人物によって記録された主要データならびにもしあれば関連する補足的データを表す選択された要素を、対応する地理的位置においてその地図に添付することを課せられる、計算手段も備えることができる。
【0011】
さらに、このサーバは、i)少なくとも1人の人物のデータ記録に関連する複数の位置を含む区域を表す地図を生成すること、ii)その地図内に副区域を定義すること、iii)それぞれの副区域ごとに、少なくとも1人の人物によるその副区域の中での、少なくとも1つの選択された経験感情に関係する平均値を求めること、およびiv)割り当てられたマーカーとともにそれぞれの副区域をその地図内に表示できるように、その副区域の求められた平均値を表すマーカーをそれぞれの副区域に割り当てることを課せられる、計算手段も備えることができる。
【0012】
本発明の他の特徴および利点が、以下の詳細説明、および添付図面を検討するときに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】通信ネットワークに結合される、本発明によるサーバおよび本発明の記録装置の一実施形態例を備える移動端末を、概略的におよび機能的に示す図である。
【図2】移動端末の画面上に表示される選択メニューの一例を概略的に示す図である。
【図3】ある人物の地理的位置を表し、様々な位置においてその人物が局所的に経験した感情の強さをその寸法が表す、円形の要素がその上に表示される市街区域を表す地図の第1の例を概略的に示す図である。
【図4】人々の地理的位置を表す円形の要素がその中に表示され、1組の訪問者が局所的に経験した感情の平気的な強さをその灰色の影が表す副区域へと分割される、美術館の区域を表す地図の第2の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面は、本発明を完全なものにする役割を果たすだけでなく、必要に応じて本発明の定義に寄与する役割も果たすことができる。
【0015】
本発明の1つの目的は、位置付け可能な位置に関するデータを、後で使用するためにおよび/または再使用するために記録できるようにすることである。
【0016】
本発明の実装形態に関与する機器を提示するために、まず図1を参照する。
【0017】
概略的に示すように、本発明のこの実装形態は、位置付け装置DLが設けられ、無線通信ネットワークRに優先的に接続することができる無線通信端末Tを人々が備えることを必要とする。
【0018】
ここでは、「位置付け装置」とは、その中にこの位置付け装置が組み込まれる(無線通信)端末Tの位置を、高精度で、典型的には1メートル(または数メートル)程度まで求めることができる装置を指す。この位置付け装置は、例えばGPS装置などの衛星位置付け装置とすることができる。ただし、この位置付け装置は、端末Tに組み込まれ、ある位置に設置されるRFIDタグに記憶される位置データ(または所与の基準ベース内の位置を表す識別子)を読み取り、または電波によって受信することができる、受動または能動RFIDチップ無線装置とすることもできる。
【0019】
以下では、非限定的な例として、無線通信端末Tが携帯(またはセルラ)電話だと仮定する。しかし、本発明はこの種類の無線通信端末に限定されない。むしろ本発明は、電波により無線(またはワイヤレス)通信ネットワークまたは他の任意の無線通信装置に接続することができる、任意の種類の移動通信端末またはポータブル通信端末、具体的には、無線通信モジュールを備えるポータブルコンピュータおよび携帯情報端末(すなわちPDA)を包含する。
【0020】
本発明による無線通信端末T(ここでは携帯電話)は、少なくとも1つの記録装置D、表示画面EA、ならびに使用者が操作して英数字データを入力すること、および表示画面EA上に表示されるメニューの要素を選択することを可能にするマン/マシンインターフェースIH、さらには可能性として写真記録(画像データファイル)またはビデオシーケンス(動画データファイル)さえも撮ることを可能にする撮影装置DP、および/または音声記録(オーディオファイル)を取ることを可能にし、よって、とりわけマイクロフォンを備える音声記録装置DSを有することに留意すべきである。
【0021】
記録アプリケーションを一定の方法で構成する本発明による記録装置Dは、携帯電話Tに結合する(または接続する)か、または図1に非限定的な形式で図示するように携帯電話Tの一体部分を形成してもよいことにも留意すべきである。その結果、記録装置Dは、電子回路、可能性としてダウンロードされるソフトウェア(またはコンピュータ)モジュール、または回路とソフトウェアとの組合せの形態で構築することができる。
【0022】
図1に示すように、本発明による記録装置Dは、記録手段(または記録モジュール)MEを主に含む。この手段またはモジュールMEは、少なくとも2つの機能を実施するように機能する。
【0023】
第1の機能は、携帯電話Tを使用する人物がある位置において経験した、少なくとも1つの感情(または印象)を表す主要データを記録することからなる。
【0024】
記録手段MEの第2の機能は、ある位置において記録手段MEが主要データを記録する度に、その記録手段MEの携帯電話Tの位置付け装置DLから、その位置の地理的位置の座標を求め、その地理的位置をその記録した主要データに関連付けることからなる。
【0025】
人が経験し得るどんな種類の感情(または印象もしくは情動)も記録することができる。したがって、その感情は、例えば非限定的な形式で、喜び、悲しみ、情動、驚嘆、嫌悪、愛情、憎しみ、恐れ、驚き、反感、誇り、懐古、嫉妬、驚愕、称賛、尊敬、恥ずかしさ、羨望、憤慨、または苛立ちとすることができる。感情は、ビルディング、記念碑、建築物の前や近所、公園、会場、庭園などの屋外であろうと、美術館、娯楽場(映画館、劇場、オペラ劇場)、店、レストラン、商店、モール、スーパーマーケット、工場、研究所、礼拝所の中などの屋内であろうと、任意の位置において「たまたま」経験し得る。
【0026】
人が、ある位置において経験している感情を記録したいときはいつでも、その人は自らの携帯電話Tの記録手段MEによって制御されるコンピューティングベースの記録アプリケーションを使用する。とりわけ単純な一実施形態では、その記録アプリケーションは例えばロードされると、画面EA上に、前述の携帯電話Tのマン/マシンインターフェースIHを使って経験感情を定義する語または語句を入力するようにその人物を促す入力ウィンドウを、携帯電話Tに表示させることができる。
【0027】
(図2に示す)もう1つの洗練された改変形態では、ロードされた記録アプリケーションによって命令される場合に、携帯電話Tの画面EA上に表示されることを目的とするメニューであって、入力を容易にする経験した感情のリストおよび/またはアイコン(または画像)群を含む、メニュー(可能性としてドロップダウンメニュー)を生成することを課せられる選択手段(または1つもしくは複数のモジュール)MNを、記録手段MEが含むことができ、入力が容易になるのは、それらのリストおよび/またはアイコン(または画像)群が、前述の携帯電話Tのマン/マシンインターフェースIHを使い、少なくとも1つの経験した感情をその人物がその中から選択できる、経験した(最も重要な感情とみなされることを意味する)「一次的」感情、または(それほど重要でないとみなされることを意味する)「二次的」感情を表すからである。
【0028】
図2に非限定的な形式で図示するように、この選択手段(または1つもしくは複数のモジュール)MNは、ロードされた記録アプリケーションによって命令される場合に、前述の携帯電話Tのマン/マシンインターフェースIHを使い、位置および/または記録された(選択された)経験した感情についての説明を表す補足的データを入力するようにその人物を促す、入力(「補足テキスト」)ウィンドウを生成することを課せられてもよい。この状況では、記録手段MEは、その人物によってウィンドウに入力された補足的データを、当該位置においてその人物が記録した(選択した)、1つまたは複数の経験した感情の主要データに関連付ける。
【0029】
この記録手段(またはモジュール)MEは、その人物が記録した(選択した)経験した感情の強さを表す補足的データを記録するように機能することもできることに留意すべきである。そのような補足的データを記録するために、および図2に非限定的な形式で図示するように、選択手段(または1つもしくは複数のモジュール)MSを、携帯電話Tの画面EA上に表示されることを目的とするメニューであって、その人物がその中から、選択した経験した感情の強さを前述の携帯電話Tのマン/マシンインターフェースIHを使って選択することができる、経験した感情の強さのリストを含む、メニュー(可能性としてドロップダウンメニュー)を生成するように構成することができる。例えば、および図示するように、3つの強さの選択肢[低(F)、中(M)、および高(E)]を表示し、その人物に提供することができる。選択された強さ(補足的データ)はその後、記録手段(ME)により、以前選択された経験した感情(主要データ)、ならびに(携帯電話Tの位置付け装置DLによって提供される)その位置の地理的位置に直ちに関連付けられる。
【0030】
携帯電話Tが、撮影装置DPおよび/または音声記録装置DSを備えるとき、記録手段MEは、ある位置において記録された(選択された)経験した感情の主要データを、撮影装置DPを使いその位置で撮られた少なくとも1枚の写真記録を定義する画像(またはファイル)データに、および/または音声記録装置DSを使いその位置で録られた少なくとも1つの音声記録を定義する音声(またはファイル)データに関連付けるように機能できることにも留意すべきである。そのように関連付けるために、および図2に非限定的な形式で図示するように、選択手段(または1つもしくは複数のモジュール)MSは、携帯電話Tの画面EA上に表示されることを目的とする選択可能アイコンであって、写真(またはビデオシーケンス)を撮るようにその人物を促す、選択可能アイコンおよび/または自身の環境内の音を記録するようにその人物を促す、携帯電話Tの画面EA上に表示されることを目的とする選択可能アイコンを生成するように機能することができる。例えば、その人物によって写真アイコンが選択された場合、記録アプリケーションは、撮影装置DPを制御する写真アプリケーションをロードし、次いでその人物が少なくとも1枚の写真(またはビデオシーケンス)を撮ると、記録手段MEが、その記録された写真ファイルまたは動画ファイルを、以前選択された経験した感情の主要データ、および(携帯電話Tの位置付け装置DLによって提供される)その位置の地理的位置、ならびにもしあれば他の補足的データ(強さおよび/または説明)に関連付けた。
【0031】
例として、ある位置において感情に関連する説明(補足的データ)は、例えば写真または記録されたオーディオシーケンスを指すことができる。例えば、ある人物は、「私は運転手の態度に非常に驚いた(関連する写真を参照されたい)」や、「この教会で演奏していたオルガン奏者による演奏の質に感動した(関連するオーディオシーケンスを聴かれたい)」や、「ミロのBleu IIは本当に格別だ(関連する写真を参照されたい)」などの動詞句を入力することができる。
【0032】
屋内で動作するときにGPSタイプの装置が直面する困難を理由に、上記に示すように、無線タグを使用する目的に適合した位置付け装置DLを備える携帯電話Tに、位置データ(または位置を表す識別子)を(自発的にまたは問い合わせられる場合に)提供することができる無線タグ(RFIDタグなど)を一部の場所(例えば美術館、展覧会、スーパーマーケットの中など)に設置することが考えられることに留意することが重要である。
【0033】
主要データおよび関連する位置の地理的位置を定義するデータ、ならびにもしあれば関連する補足的データ(強さおよび/または説明)は、地理的位置に関連するデータを考慮に入れる前述の携帯電話Tの少なくとも1つのローカルアプリケーションにより、後で使用しまたは再使用できるように、携帯電話Tの中に記憶できることに留意すべきである。ただしこのデータは、携帯電話Tの記録装置Dの要求時に、その携帯電話(T)が接続される通信ネットワークRを介して、携帯電話TによってサーバSに(または別の無線通信装置に)伝送することもできる。そのようなサーバSは、通信ネットワークRに接続されているか、またはそのネットワークに(例えばインターネットを介して)アクセス可能であることを理解すべきである。例えばこのサーバSは、可能性としてインターネットを介して(例えばウェブページにより)、可能性として共有形式で提供する前に、記録データを受信/記憶するアプリケーションサーバとすることができる。
【0034】
したがってこのサーバSは、携帯電話Tによって記録され、その後伝送されるデータを記憶することを課せられる、少なくとも記憶手段MSを備える。より正確には、これらの記憶手段MSは、主要データおよび関連する任意の補足的データを、関連する位置の地理的位置と対にして、およびそれらのデータを伝送する携帯電話Tを使用する人物の識別子と対にして記憶する。他の用語では、この記録データは、使用されまたは再使用されるために、地図背景上や選択されたベースマップ上などに地理参照(geo−referenced)される。
【0035】
当業者に知られている任意の種類の記憶手段MSを使用することができ、それは具体的にはメモリまたはデータベースである。
【0036】
その後、その記憶されるデータは、サーバSのローカルアプリケーションにより、または他のサーバもしくは(無線または非無線)通信端末にインストールされ得るリモートアプリケーションによってさえ使用されてよい。
【0037】
例えば、サーバSは、要求時に、少なくとも1人の人物のデータ記録が関連付けられている複数の位置を含む区域Zを表す地図を生成することを課せられる、計算モジュール(またはアプリケーション)MCも備えることができる。2次元(2D)であろうと3次元(3D)であろうと、どんな種類の地図も考えることができる。したがって、地図は、ある市街の1つもしくは複数の地域や市街地域のビル、または美術館、店、もしくはショッピングモールの様々なフロア(または階)、または美術館、店、もしくはショッピングモールの1つまたは複数のフロア(または階)の様々な小区画の輪郭を示すことができる。
【0038】
この計算モジュールMCは、少なくとも1人の人物によって記録され(かつ記憶手段MS内に記憶され)、少なくとも1つの選択された基準に応じて選択された主要データおよびもしあれば関連する補足的データを表す、選択された要素ELを自らが生成した地図に添付することも課せられる。次いで、これらの選択された要素ELは、これらのELが表すデータが記録された位置の地理的位置に一致する地理的位置において、地図上に表示されることを理解すべきである。これにより、この地図は、(可能性として選択された時間間隔にわたって)前に記録されたデータの一種の統合を構成する。この地図はとりわけ、自ら(または別の人)が特定の感情を以前経験した場所に、人が戻ることを可能にすることができる。
【0039】
記録データがある日付と対にして記憶されるとき、様々な日付に得られる記録データをまとめる地図比較も行えることに留意すべきである。この地図比較は、実際に、美術館の館長やスーパーマーケットの経営者にとって(具体的にはトピック的な調査またはマーケティングのために)とりわけ役立つ、所謂「時間ごとの(time−to−time)」分析(単一区域内で経験した感情の経時的変化の分析)を実行可能にすることができる。
【0040】
どんな種類の選択された要素ELも使用することができ、それは具体的には円、四角形、三角形、星印などの幾何学的な要素である。
【0041】
少なくとも1つの経験した感情、および/または少なくとも1つの時間間隔、および/または少なくとも1つの人々のグループ、および/または少なくとも1つの位置との関係を有する、任意の種類の基準を使用することができる。したがって、基準は、(その人物の個人識別子によって識別される)所与の人物が1つもしくは複数の感情、可能性として選択された感情またはその強さに関係なく単一の感情を経験した、都市の市街または都市の全ての位置を選択することからなることができる。この最後の選択基準は、図3の地図を作成するために使用された基準である。より詳細には、円のELは、1人の人物が経験した感情を記録した地域の様々な位置を表す選択された要素であり、これらの円ELのそれぞれの寸法は、その人物がそれらの感情を強さを表す。
【0042】
別の基準は、人々が、可能性として選択されかつ/または可能性として少なくとも1つの選択された強さを有する1つもしくは複数の感情を経験した、美術館のフロアまたは美術館の位置の全てを選択することからなることができる。この状況は、人々が自らのデータを匿名で共有することに同意することを必要とし得る。
【0043】
さらに別の基準は、(例えばコミュニティまたは出会いの場所(meet−up site)における)人々の間の類似点または行動相関を示すために選択された、少なくとも単一の感情を人々が抱いた市街の地域、または市街、または美術館のフロアの全ての位置を選択することからなることができる。この状況は、人々が自らのデータを共有することに同意することを必要とし得る。
【0044】
計算モジュールMCは、区域Zの地図内に副区域SZi(i=1からN)を定義し、次いでそれぞれの副区域SZiごとに、その副区域SZi内で経験した単一の選択された感情を有する人々により、関連する強さの平均値を求め、その副区域の求められた平均の強さを表すマーカーをそれぞれの副区域SZiに割り当てることも課せられてよいことに留意すべきである。したがって、それぞれの副区域SZiは、割り当てられたマーカーとともにその地図内に表示することができる。図4に、そのような地図の一例を示す。より詳細には、円ELは、人々が単一の経験した心情を記録した美術館のフロアの様々な位置を表す選択された要素であり、4つの異なる灰色の影NSj(j=1から4)は、6個の副区域SZi(ここではi=1から6)内で経験したその感情の、4つの平均強度値をそれぞれ表す。この状況は、人々が自らのデータを匿名で共有することに同意することを必要とし得る。
【0045】
この種の地図は、どの作品および/または芸術家が最も多くの訪問者を満足させるのか、またはどの屋内のレイアウトが最も好評でありもしくは訪問者のニーズに最も適しているのかを判断するために、芸術系の展覧会の主催者や美術館の館長によって好都合に使用され得る。
【0046】
非限定的な例として、Google Earth(R)によって提供される種類のものなど、地図製作のアプリケーションプログラミングインターフェイス(すなわちAPI)が、選択された要素ELを、観測衛星を使って以前得た屋外地図の対応する地理的位置に添付できるようにすることができる。
【0047】
同一のまたは異なる基準から作成される複数の地図の間で、比較または相関を行うことができることに留意すべきである。同様に、様々な領域に対応する複数の地図を組み合わせることまたは集約することも、可能性として行うことができる。
【0048】
ある人物によって記録されたデータは、可能性としてネットワークゲームまたはソーシャルネットワーク内のその人物のアバターに関連付け、その結果、実世界と仮想世界との間の架け橋を確立し得ることにも留意すべきである。より詳細には、ある人物のアバターの気分は、その人物によって経験され(抱かれ)、記録され、その後サーバSに(その後可能性としてコミュニティサイトに)記憶される感情を表すことができる。個人的性質の一部の感情は、専ら当該人物(またはあらかじめ定義された友人または知人のグループ)が使用するために確保しておくことができる一方で、他の何らかの(個人的「ではあまりない」)感情は共有することができ、したがってその人物のアバターに関連付けることが可能であることに留意すべきである。
【0049】
どの製品が顧客を最も満足させるのか、またはどの内部レイアウトが最も好評でありもしくは顧客のニーズに最も適しているのかを判断するために、記録データは可能性として大規模小売店(もしくはスーパーマーケット)または商店内で、希望者(volunteer)によって記録されてよいことにも留意すべきである。この状況では、無線通信端末Tが可能性として希望顧客に貸し出されてよく、記録データが例えばそれらの端末Tから1つの無線通信機器にアップロードされ得る。
【0050】
概して言えば、計算モジュールMCは、何であれ任意のいかなるトピック表示を行うためにも、記録データに対して任意の種類の分析を行うように機能することができる。したがって各人は、例えば個人のウェブページ上で可能性として提供することができる自身の個人的な感情の地図を構築し、または例えば下にある複数の点の密度に由来する複数の領域に基づいて可能性として構築される、情動的な冷めた区域および/または熱心な区域の地図を得るために、トピック的な分析を要求することができる。
【0051】
さらに、地図は、リアルタイムで構築される場合(逐次的記録が作成されるときを意味する)、動的であり得ることに留意すべきである。その結果、関連するトピック的な分析も動的であり得る。この場合、各人は、コミュニティサイトによる比較の過程を含む、様々な環境(または用途)において自身の1つまたは複数の感情についての地図を使用することができる。
【0052】
本発明によるサーバSの計算モジュールMCは、電子回路、ソフトウェア(またはコンピューティング)モジュール、または回路とソフトウェアとの組合せの形態で構築することができる。
【0053】
本発明は、記録方法の観点からも検討することができ、その場合にはとりわけ、上記に記載した種類の記録装置Dを備える無線端末T、および可能性として上記に記載した種類のサーバSを使って実施し得ることに留意することが重要である。本発明による方法の実装形態によって提供される機能は、上記に紹介した装置Dによって提供される機能と同一なので、その方法によって提供される主要機能の組合せだけを以下に示す。
【0054】
この方法は次のステップ:
i)ある位置においてある人物が抱いた少なくとも1つの感情を表す主要データを、その人物によって使用され、かつ位置付け装置DLを備える無線通信端末Tを使って記録するステップと、
ii)端末Tの位置付け装置DLを使い、その位置の地理的位置を求めるステップと、
iii)記録した主要データを、その求めた地理的位置と対にして記憶するステップと
を含む。
【0055】
本発明は、上記に記載した記録方法、記録システム、およびサーバについての専ら例として与えた諸実施形態に限定されず、むしろ本発明は、特許請求の範囲の枠組みの範囲内で当業者が思い描くことができる全ての改変形態を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置付け可能な位置に関係するデータを記録することに向けられる方法であって、i)ある位置においてある人物が抱いた少なくとも1つの感情を表す主要データを、前記人物によって使用され、かつ位置決め装置(DL)を備える無線通信端末(T)を使って記録するステップと、ii)端末(T)の位置決め装置(DL)を使い、前記位置の地理的位置を求めるステップと、iii)前記特定の地理的位置との相関関係において記録された主要データを記憶するステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
i)の間、前記人物が、自らの端末(T)の画面(EA)上に表示されるメニューの、経験した感情のリストおよび/または経験した感情を表すアイコン群の中から、経験した感情を選択することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
i)の間、記録された経験した感情の強さを表す補足的データを記録することができることを特徴とする、請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
i)の間、前記人物が、自らの端末(T)の画面(EA)上に表示されるメニューの強さのリストから、経験した感情の強さを選択することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
i)の間、前記位置および/または記録された経験した感情についての説明を表す補足的データも記録され、この補足的データは前記経験した感情の主要データに関連付けられ、前記位置において記録されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
i)の間、前記端末(T)の撮影装置(DP)を使い、少なくとも1枚の写真記録が前記位置で撮られ、次いで、撮られたそれぞれの写真記録を定義する画像データが、前記位置において記録された前記経験した感情の主要データに関連付けられることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
i)の間、前記端末(T)の音声記録装置(DS)を使い、少なくとも1つの音声記録が前記位置で取られ、次いで、録られたそれぞれの音声記録を定義する音声データが、前記位置において記録された前記経験した感情の主要データに関連付けられることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
iii)の間、人物によって記録された前記主要データおよびもしあれば前記関連する補足的データが、自動的に求められる地理的位置と対にして、およびその人物の識別子と対にしてサーバに記憶されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1人の人物のデータ記録に関連する複数の位置を含む区域を表す地図が生成され、少なくとも1つの選択された基準に応じて選択された、少なくとも1人の人物によって記録された主要データならびにもしあれば関連する補足的データを表す選択された要素を、対応する地理的位置において前記地図上に表示することができるiv)が提供されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1人の人物のデータ記録に関連する複数の位置を含む区域を地図が表し、ii)前記地図内に副区域を定義し、iii)それぞれの副区域ごとに、少なくとも1人の人物によりその副区域の中で経験された、少なくとも1つの選択された感情に関係する平均値を求め、iv)割り当てられたマーカーとともにそれぞれの副区域をその独自の地図内に表示できるように、その副区域の求められた平均値を表すマーカーをそれぞれの副区域に割り当てる、iv)が提供されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
位置付け装置(DL)を備える無線通信端末(T)用の、位置付け可能な位置に関係するデータを記録するための装置(D)であって、i)前記端末(T)を使用する人物がある位置において経験する少なくとも1つの感情を表す主要データを記録すること、さらに端末(T)の位置付け装置(DL)によって求められる前記位置の地理的位置にその主要データを関連付けることの両方を課せられる記録手段(ME)を備えることを特徴とする、装置(D)。
【請求項12】
前記記録手段(ME)が、前記端末(T)の画面(EA)上に表示されることを目的とするメニューであって、前記人物がその中から少なくとも1つの経験した感情を自らの端末(T)のマン/マシンインターフェース(IH)を使って選択することができる、経験した感情のリストおよび/または経験した感情を表すアイコン群を含む、メニューを生成するように機能する選択手段(MS)を備えることを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記記録手段(ME)が、記録された経験した感情の強さについての説明を表す、補足的データを追加的に記録するように機能することを特徴とする、請求項11および12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記選択手段(MS)が、前記端末(T)の画面(EA)上に表示されることを目的とするメニューであって、前記人物がその中から経験した感情の強さを自らの端末(T)のマン/マシンインターフェース(IH)を使って選択することができる、経験した感情の強さのリストを含む、メニューを生成するように機能することを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記記録手段(ME)が、前記位置および/または記録された経験した感情についての説明を表す補足的データを追加的に記録し、その補足的データを、前記位置において記録された前記経験した感情の主要データに関連付けるように機能することを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記記録手段(ME)が、ある位置において記録された経験した感情の主要データを、前記端末(T)の撮影装置(D)を使い前記位置で撮られた少なくとも1枚の写真記録を定義する画像データに、および/または前記端末(T)の音声記録装置(DS)を使いその位置で録られた少なくとも1つの音声記録を定義する音声データに関連付けるように機能することを特徴とする、請求項11から15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
通信ネットワーク(R)用のサーバ(S)であって、求められる地理的位置および人物の識別子と対にして記録され、その後、請求項11から16のいずれか一項に記載の記録装置(D)を備えるその人物の無線通信端末(T)によって伝送される、主要データおよびもしあれば関連する補足的データを記憶することを課せられる記憶手段(MS)を備えることを特徴とする、サーバ(S)。
【請求項18】
少なくとも1人の人物のデータ記録に関連する複数の位置を含む区域(Z)を表す地図を生成し、少なくとも1つの選択された基準に応じて選択された、少なくとも1人の人物によって記録された主要データならびにもしあれば関連する補足的データを表す選択された要素を、対応する地理的位置においてその地図に添付するように機能する計算手段(MC)を備えることを特徴とする、請求項17に記載のサーバ。
【請求項19】
i)少なくとも1人の人物のデータ記録に関連する複数の位置を含む区域(Z)を表す地図を生成し、ii)前記地図内に副区域(SZi)を定義し、iii)それぞれの副区域(SZi)ごとに、少なくとも1人の人物によりその副区域(SZi)の中で経験された、少なくとも1つの選択された感情に関係する平均値を求め、iv)割り当てられたマーカーとともにそれぞれの副区域(SZi)をその地図内に表示できるように、その副区域(SZi)の求められた平均値を表すマーカーをそれぞれの副区域(SZi)に割り当てるように機能する計算手段(MC)を備えることを特徴とする、請求項17および18のいずれか一項に記載のサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−509534(P2012−509534A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536930(P2011−536930)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052232
【国際公開番号】WO2010/058134
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(391030332)アルカテル−ルーセント (1,149)
【Fターム(参考)】