説明

低感作性香気化合物およびそれを含有する香料組成物

【課題】α−ジヒドロダマスコンのような2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の香気を保持したままで、感作性を低減する。
【解決手段】2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物のβ−位を低級アルキル基で置換することにより感作性を低減する。例えば、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−2−ブテン−1−オンは感作性香気化合物であるが、下記式(1)で表わされる1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、ダマスコン様香気を有する低感作性香気化合物である。この低感作性化合物を用いた香料組成物を各種製品に配合することにより、感作性のない、安全で安心して使用できる賦香製品を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低感作性香気化合物、それを含有する香料組成物および感作性香気化合物の感作性を低減する方法に関し、より詳しくは、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンに代表される3−メチル−2−ブテン−1−オン誘導体低感作性香気化合物、それを含有する香料組成物および2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の感作性を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダマスコン類はローズ油、ゼラニウム油などに含有する天然香料成分で、古くから知られる化合物である。ダマスコンの香質は著しい拡散性のある、フルーティ、フローラル香を示し、調合香料中では必要不可欠な化合物として位置付けられている。
【0003】
ダマスコン類およびその誘導体類、それらの合成方法も既に種々提案されており、例えば、式:ME−CH=CH3(式中‘ME’は、Li、Na、K、BrMgまたは一般にアシル化反応に使用される他の金属官能基である。)を、シクロゲラノイルハロゲニド、メチル、エチルまたはリチウムゲラニアートなどのシクロゲラニル誘導体で直接アシル化する方法を初めとする種々の方法などが挙げられる。またダマスコン類、その誘導体類により香料、石鹸、清浄剤、化粧品、ワックスなどの加香品、食品、コーヒー、茶、ココアなどの飲料、動物飼料、煙草製品、医薬製剤の有機官能特性を変調し、これら製品に草木様、ぶどう酒様、木様、花様、ワックス様、赤苺様などの芳香味香調を賦与する、あるいは蜂蜜、ワインなどの製品の味覚と芳香性を強化、増進させることができることも知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
しかしながら、ダマスコン類は皮膚における強い感作性を持つため、その使用濃度制限がThe International Fragrance Association(IFRA)により定められている。例えば、皮膚に触れない最終製品に使用される場合、最終製品中合計量0.2%以下、またそれ以外では最終製品中合計量0.02%以下の使用という厳しい制限が課せられている。
【0005】
このため、分子内にある不斉中心を制御し、より香気強度を強くする研究が行われた。例えば、下記α−ダマスコンの鏡像体では、(1S)体の方が(1R)体より100倍も強く、香調も優れていることが分かっている。
【0006】
【化7】

【0007】
また、比較的安価に合成できるジヒドロダマスコンなどが開発され、その異性体の強度、香質等の研究が数多く報告されており、ダマスコン類に比べて感作性が低くなったとの記載があるものの、まだ満足する値に到達していない(例えば、特許文献3〜5参照)。
【0008】
【化8】

【0009】
さらにこの分子の二重結合を全て水素化したテトラヒドロダマスコンは、ダマスコンに特徴的な強い拡散性は無くなり、香質も劣る。
【0010】
このような経緯から、ダマスコン様の香気を有する感作性の少ない化合物は未だ合成されておらず、現在に至るまでこのような化合物が渇望されているのが現状である。
【0011】
【特許文献1】特公昭46−43799号公報
【特許文献2】特公昭55−3328号公報
【特許文献3】特開2003−277311号公報
【特許文献4】特開2001−348353号公報
【特許文献5】特公昭57−36252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような実情に鑑みなされたもので、優雅な香気特性を有し、それと同時に感作性がなく、ダマスコン様の香気を有する安全な化合物およびこれを含有する香料組成物、さらにはこの香料組成物により香気付けされた各種製品を提供することを目的とするものである。
【0013】
また、本発明は、共役α,β−不飽和ケトン(以下「エノン」と記す。)構造を有する2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の低感作化化合物および感作性低減方法を提供することをも目的とするものである。
【0014】
本発明者らは、これまでの知見から、前記ダマスコンの強い拡散性は、共役α,β−不飽和ケトン(以下エノンと記す)構造にあり、同時に強い感作性もこの構造に起因するものと考えた。また、このエノン構造は、求核試薬があるとき、容易にマイケル付加などの反応を起こし、非常に反応性が高い。このため、皮膚上で感作性が見られるのは、このエノン構造の反応性の高さにあると考えた。
【0015】
このような状況下、本発明者らは、鋭意研究した結果、エノンのβ−位の水素原子を低級アルキル基で置換することにより立体障害を作り、反応活性種からの攻撃をプロテクトすることで、皮膚感作性が著しく低下することを見出した。本発明は、この知見に基づいてなされたもので、エノン構造を持ちながらも感作性の低い、ダマスコン様香気を有する1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンを完成した。
【0016】
従来、カルボン((5R)−5−イソプロペニル−2−メチル−2−シクロヘキセノン)等、環状構造内部の共役エノンのβ−位をメチル基でブロックすることにより立体障害を作り、反応活性種からの攻撃をプロテクトする報告例はある(非特許文献1参照)が、環状アルキル基などに置換された鎖状の2−ブテン−1−オン誘導体についてβ−位の水素原子を低級アルキル基で置換することにより、エノン構造を持ちながらも感作性の低い香気化合物を提供できることは本発明により初めて見出されたものである。
【非特許文献1】Contact Dermatitis, 2001, 44, pp347−356
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以下の(1)〜(7)に記載の化合物、該化合物を含有する香料組成物、該香料組成物によって香気付けされた製品、ならびに感作性低減方法に関する。
[1]式(1):
【化9】

で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン。
【0018】
[2]式(1)の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンが、式(2):
【化10】

で表される光学活性(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンであることを特徴とする上記[1]項に記載の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン。
【0019】
[3]上記[1]項に記載の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンまたは上記[2]項に記載の(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンを含有することを特徴とする香料組成物。
【0020】
[4]上記[3]項に記載の香料組成物によって香気付けされていることを特徴とする香気付けした製品。
【0021】
[5]製品がフレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤、雑貨または医薬品類から選ばれる1種である上記[4]項に記載の香気付けした製品。
【0022】
[6]一般式(3):
【化11】

(式中、Rは、不飽和結合を含んでも良い炭化水素基、不飽和結合を含んでも良い脂環式基、アリール基または複素環基を示す。)
で表される2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の3位に低級アルキル基を導入した一般式(4):
【化12】

(式中、Rは前記と同義であり、R’は低級アルキル基を示す。)
で表わされることを特徴とする3−アルキル−2−ブテン−1−オン誘導体低感作性香気化合物。
【0023】
[7]一般式(3):
【化13】

(式中、Rは、不飽和結合を含んでも良い炭化水素基、不飽和結合を含んでも良い脂環式基、アリール基または複素環基を示す。)
で表される2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の3位に低級アルキル基を導入して、一般式(4):
【化14】

(式中、Rは前記と同義であり、R’は低級アルキル基を示す。)
で表わされることを特徴とする3−アルキル−2−ブテン−1−オン誘導体低感作性香気化合物へと誘導することを特徴する感作性低減方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンあるいは(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンを含有する香料は、ダマスコン様のフルーティー・フローラルの強い優れた香気を有し、また感作性がないため安全で安心して使用することができる。そして、これを含有する本発明の香料組成物は、各種香粧品類、トイレタリー製品、浴用剤、保健衛生材料等を含む医薬品などの種々の製品用香料として有効に使用できる。
また、一般式(4)で表される香気性化合物も低感作性であることから、上記式(1)及び(2)などの化合物と同様、香料組成物に用いた際に安全で安心して使用することができ、各種香粧品類、トイレタリー製品、浴用剤、保健衛生材料等を含む医薬品などの種々の製品用香料成分として好ましく利用することができる。
【発明の詳細な説明】
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、新規化合物である本発明の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンから説明する。新規化合物である1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、下記式(1)で表される。
【0026】
【化15】

【0027】
本発明の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、光学活性体を含み、光学活性化合物の例としては、下記式(2)で表される(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンのほか、(1R,6R)体、(1S,6S)体、(1S,6R)体が存在する。本発明の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、これらの光学活性体の任意の混合物またはラセミ体であってもよい。
【0028】
【化16】

【0029】
光学活性化合物を含めて、上記式(1)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは感作性がなく、また香料成分として好ましい特性を有している。このため、上記の式(1)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、本発明の香料組成物に好ましく含有させることができる。また、光学活性化合物の中でも、式(2)で表される(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、特に好ましいものである。
【0030】
本発明の式(1)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン(以下、「ジヒドロメチルダマスコン」と記載する場合がある)は、例えば以下の式(A)に示されるように、一般式(5)で表されるエステル化合物を、メタリルグリニャール試薬と反応させて、式(1)の化合物及び式(3)の化合物との混合物を得た後、酸または塩基触媒の存在下、二重結合を異性化して製造することができる。
【0031】
【化17】

(式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)
【0032】
式(A)の出発原料である一般式(5)で表されるエステル化合物は、公知の化合物であり、例えば、特開平5−112494号公報に記載の方法など公知の方法で合成することができる。
【0033】
上記のような、式(1)および式(2)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、フルーティー・フローラルの香気を有し、かつ持続性にも優れていることから、単独でまたは他の香気成分と組み合わせて香料組成物とすることができる。こうして得られた香料組成物は、各種製品の賦香成分として使用できる。
【0034】
また、上記のような、式(1)および式(2)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、皮膚に対して感作性のないことが分かった。即ち、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン(ジヒドロメチルダマスコン)の類似化合物であるα−ダマスコンやジヒドロダマスコンでは、モルモットの皮膚に対する感作のテストにおいて、30質量%の濃度で感作が認められるのに対し、本発明のジヒドロメチルダマスコンでは同濃度で感作は認められないことから、安全性の高いものであることが理解される。
【0035】
以上から、式(1)および式(2)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンを香料に使用すればすぐれた香気質を持ち、感作性がなく安全な香料を提供することができる。
【0036】
本発明者らは、上記知見に基づき、さらに、2−ブテン−1−オン誘導体における感作性の低減方法を検討した結果、上記一般式(3)で表される2−ブテン−1−オン誘導体について、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−2−ブテン−1−オンと同様に、エノンのβ−位の水素原子を低級アルキル基で置換することにより立体障害を作り、エノンに対する反応活性種からの攻撃をプロテクトすることで、2−ブテン−1−オン誘導体における皮膚感作性が著しく低下することをも見出した。
【0037】
すなわち、一般式(3):
【化18】

(式中、Rは、不飽和結合を含んでも良い炭化水素基、不飽和結合を含んでも良い脂環式基、アリール基または複素環基を示す。)
で表される2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の3位に低級アルキル基を導入した一般式(4):
【化19】

(式中、Rは前記と同義であり、R’は低級アルキル基を示す。)
で表わされる3−アルキル−2−ブテン−1−オン誘導体は、皮膚感作性が著しく低下した香気化合物となる。
【0038】
また、一般式(3):
【化20】

(式中、Rは、不飽和結合を含んでも良い炭化水素基、不飽和結合を含んでも良い脂環式基、アリール基または複素環基を示す。)
で表される2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の3位に低級アルキル基を導入して、一般式(4):
【化21】

(式中、Rは前記と同義であり、R’は低級アルキル基を示す。)
で表わされる3−アルキル−2−ブテン−1−オン誘導体とすることにより、上記一般式(3)で表される2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の感作性を低減する方法が提供される。
【0039】
上記より、不飽和結合を含んでも良い脂環式基はもとより、不飽和結合を含んでも良い炭化水素基、アリール基あるいは複素環基に置換された鎖状の2−ブテン−1−オン誘導体に対しても、3位に低級アルキル基を導入する方法が感作性香気化合物を低感作性香気化合物とするために広く有効であることが明らかである。
【0040】
本発明の上記一般式(3)の3位の導入される基としては、一般式(3)の化合物が有する本来の香気等の特徴をほとんど変化させることなく、もちろん感作性が低減されるものであり、さらに、導入した基がα,β−不飽和ケトンである一般式(3)の化合物と反応活性を示さないものである。低級アルキル基は、上記の問題はいずれも有しておらず、一般式(3)の化合物に低級アルキル基を導入した一般式(4)の化合物は、低感作性香気化合物として広く有効であることが明らかである。
【0041】
上記一般式(3)および(4)において、不飽和結合を含んでも良い炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、アリル基、メタリル基、シス−3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0042】
上記一般式(3)および(4)において、不飽和結合を含んでも良い脂環式基としては、2,2,6−トリメチル−3−シクロヘキセニル基、2,2,6−トリメチル−4−シクロヘキセニル基、2,2,6−トリメチル−5−シクロヘキセニル基、2,2,6−トリメチル−6−シクロヘキセニル基、2,2−ジメチル−6−エキソメチレンシクロヘキシル基、2,4,4−トリメチル−1−シクロヘキセニル基、2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキセニル基、2,4,4−トリメチル−5−シクロヘキセニル基、3,3−ジメチル−1−シクロヘキセニル基、3,3−ジメチル−4−シクロヘキセニル基、3,3−ジメチル−5−シクロヘキセニル基、3,3−ジメチル−6−シクロヘキセニル基、2,4,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル基、2,4,6−トリメチル−2−シクロヘキセニル基、2,4,6−トリメチル−3−シクロヘキセニル基、2,2,6−トリメチル−3,5−シクロヘキサジエニル基、2,2,6−トリメチル−3,6−シクロヘキサジエニル基、2,2,6−トリメチル−4,6−シクロヘキサジエニル基、2,2−ジメチル−6−エキソメチレン−3−シクロヘキセニル基、2,2−ジメチル−6−エキソメチレン−4−シクロヘキセニル基などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0043】
上記一般式(3)および(4)において、アリール基としては、フェニル基、オルトトルイル基、メタトルイル基、パラトルイル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−アミノフェニル基、3−アミノフェニル基、4−アミノフェニル基、ナフチル基などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0044】
上記一般式(3)および(4)において、複素環基としては、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ピラジル基、2−モルフォリル基、3−モルフォリル基、2−ピラニル基、3−ピラニル基、4−ピラニル基、2−キノリニル基、3−キノリニル基、2−クマリニル基、3−クマリニル基などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0045】
上記一般式(4)において、低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル機、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、イソヘキシル基などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。しかし、導入する際の容易性の観点からメチル基が好ましい。
【0046】
上記一般式(4)の合成法としては、上記式(A)と同様の方法が採用できる。その他、原料アルデヒドにグリニャール試薬、例えばメタリルマグネシウムクロリドを作用させ、メタリルアルコール誘導体とした後、公知の方法であるクロム酸酸化や、脱水素反応などを利用してケトンに導き、(4)とすることもできる。さらに原料アルデヒドをニトリルに変換し、これにグリニャール試薬、例えばメタリルマグネシウムクロリドを作用させ、直接(4)とすることもできる。
【0047】
以下、上記式(1)および式(2)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン、あるいは上記一般式(4)で表される3−メチル−2−ブテン−1−オン誘導体を用いた香料組成物について説明する。
【0048】
本発明の香料組成物は、通常用いられる他の香料成分や、所望の組成の調合香料に、式(1)および式(2)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン、あるいは一般式(4)で表される3−メチル−2−ブテン−1−オン誘導体を配合することにより得られる。特に、式(1)および式(2)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンを用いることが好ましい。
【0049】
これら低感作性香気化合物の配合量は、調合香料の種類、目的とする香気の種類及び香気の強さ等により異なるが、調合香料中に0.01〜90質量%を加えることが好ましく、0.1〜50質量%加えることがより好ましい。
【0050】
本発明の式(1)および式(2)で表わされる1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンや一般式(4)で表される3−メチル−2−ブテン−1−オン誘導体と組み合わせて用いることができる香料成分としては、例えば、非特許文献2に記載されているような炭化水素類、アルコール類、フェノール類、エステル類、カーボネート類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、ニトリル類、カルボン酸類、ラクトン類等の天然精油や、天然抽出物、合成香料を挙げることができる。そのうちでも代表的なものとしては、例えば、α−ピネン、リモネン、cis−3−ヘキセノール、フェニルエチルアルコール、スチラリルアセテート、オイゲノール、ジヒドロジャスモン酸メチル、ローズオキサイド、リナロール、ベンズアルデヒド、ムスコン、ムスクT(高砂香料工業株式会社)、テサロン(高砂香料工業株式会社)などを挙げることができる。
【非特許文献2】周知・慣用技術集(香料)第I部、平成11年1月29日、特許庁発行
【0051】
本発明では、式(1)および式(2)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンあるいは一般式(4)で表される3−メチル−2−ブテン−1−オン誘導体を単独で、或いは該化合物を含む香料組成物(フレグランス組成物)を、例えば、フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤、雑貨、医薬品類に、そのユニークな香気を付与できる適当量を配合して、フレグランス付けされた製品を提供することができる。
【0052】
フレグランス付けさせた製品としては、次のものを例示することができる。
フレグランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、など;基礎化粧品としては、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落とし、など;仕上げ化粧品としては、ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバー、など;頭髪化粧品としては、ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤、など;
【0053】
日焼け化粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品、など;薬用化粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、パーマメントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料、など;ヘアケア製品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック、など;石鹸としては、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸、など;身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープ、など;浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド、等)、フォームバス(バブルバス、等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル、等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブ、など;
【0054】
洗剤としては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸、など;柔軟仕上げ剤としては、ソフナー、ファーニチアケアー、など;洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤、など;台所用洗剤としては、台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤、など;漂白剤としては、酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤、等)、光学的漂白剤、など;エアゾール剤としては、スプレータイプ、パウダースプレー、など;消臭・芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプ、など;雑貨としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、など;医薬品類としては、ハップ剤、軟膏剤の如き皮膚外用剤などの種々の形態を挙げることができる。
【0055】
本発明では、前記各種製品に、式(1)および式(2)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン、あるいは一般式(4)で表される3−メチル−2−ブテン−1−オン誘導体を単独で或いは該化合物を含むフレグランス組成物を配合する場合、そのままの状態、或いはこれらを例えば、アルコール類、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類に溶解した液体状;アラビアガム、トラガントガムなどの天然ガム質類;グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤で乳化した乳化状;アラビアガム等の天然ガム質類、ゼラチン、デキストリンなどの賦形剤を用いて被膜させた粉末状;界面活性剤、例えば非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などを用いて可溶化或いは分散化した可溶化状或いは分散化状;またはカプセル化剤で処理して得られるマイクロカプセル;などその目的に応じて任意の形態として用いることができる。さらに、サイクロデキストリンなどの包接剤に包接して、上記フレグランス組成物を安定化且つ徐放性にして用いてもよい。これらが上記各種製品に添加、配合される際には、最終製品の形態(例えば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状など)に適した形態が選択される。
【0056】
なお、フレグランス付けされた製品であるフレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、雑貨、医薬品などへの式(1)および式(2)で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンあるいは一般式(4)で表される3−メチル−2−ブテン−1−オン誘導体の添加量は、それぞれの製品の種類や形態、また製品に求められる効果や作用が異なることから、これら諸条件を勘案して決めればよい。このため、一般的に好ましい範囲を示すことは難しいが、通常、約2ppb〜20質量%程度の濃度で配合される。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0058】
なお、実施例中での生成物の測定は、次の機器装置類を用いて行われた。
核磁気共鳴スペクトル:1H−NMR:AM−400(400MHz)(ブルッカー社製)
外部標準物質:テトラメチルシラン
ガスクロマトグラフ(GC):HP6890 (HEWLETT PACKARD社製)
カラム;NEUTRABOND−1 (ジーエルサイエンス社製)(内径×長さ=0.25mm×30m)
赤外吸収スペクトル(IR):AVATER 360FT−IR(Nicolet社製)
質量スペクトル(MS):M−80質量分析計 (日立製作所(株)製、イオン化電圧20eV)
【0059】
[実施例1](1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンの合成
【化22】

【0060】
〔1〕メタリルマグネシウムクロリド−テトラヒドロフラン溶液の調製
金属マグネシウム10g(411.2mmol)を反応フラスコに入れ、窒素気流下で攪拌し、しばらくしてから少量のテトラヒドロフラン、塩化メタリルを加え、イニシエーションを行った。イニシエーション後、5℃に冷却し、テトラヒドロフランを加え、塩化メタリルを滴下し反応を行った。反応温度は5〜7℃を保ち、塩化メタリル44.68g(493.4mmol) [マグネシウム対比1.2当量]、テトラヒドロフラン500mlを要した。
【0061】
〔2〕(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチル(上記式(5)の化合物,Et=エチル)とメタリルマグネシウムクロリドとの反応
(1R,6S)−2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチル27.17g(137.0mmol)にテトラヒドロフラン100mlを加え、これを−5℃に冷却し、これに上記〔1〕で調製したメタリルグリニャール試薬を、反応温度を−5〜0℃に保ち、25分かけて滴下した。滴下終了後はガスクロマトグラフィーでモニタリングしながら熟成を行い、滴下終了後3時間後に450mlの10%硫酸水溶液を加え反応を停止した。減圧下テトラヒドロフランを留去した後、トルエン250mlで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、この溶液を直接次の異性化反応に用いた。
【0062】
〔3〕混合物の異性化による(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンの合成
上記〔2〕で得られた溶液を反応フラスコに入れ、反応フラスコにDean−Sterk管と還流管を付し、油浴温130℃で加熱還流して、系中の水分を取り除いた。この後、p−トルエンスルホン酸・一水和物500mgを投入し、再度加熱還流し、90分後にガスクロマトグラフィーでほぼ異性化が終了しているのを確認した。
【0063】
この溶液を3%水酸化ナトリウム水溶液で2回洗浄した後、飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した。これを減圧蒸留することで、目的とする(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン(式(1)の化合物)を淡黄色油状物として得た。18.69g(純度98.9%)(総収率65.4%)。
【0064】
〔合成により得られた(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンの物性値〕
bp.:69−72℃/130Pa
1HNMR(500MHz、CDCl3、δ)ppm:0.75(d,J=7.2Hz,3H)、0.83−0.93(m,2H)、0.92(s,3H)、0.93(s,3H)、1.15−1.25(m,1H)、1.32−1.39(m,1H)、1.46−1.55(m,2H)、1.68−1.75(m,1H)、1.87(d,J=1.2Hz,3H)、1.96−2.03(m,1H)、2.12(d,J=1.2Hz,3H)、6.08(s,1H).
IR(NaCl)cm-1:2869、1678、1617、1448、1379、1271、1203、1099、1048、1002、852、738.
MS(m/e):208、193、165、139、125、109、83、69、55、41.
【0065】
[実施例2]香気質の評価
実施例1で得られた(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、α−ダマスコン様の強い香気を有しており、これを用いて、下記表1の処方例1の女性用フローラルブーケ調のフレグランスを作成した。また、これとともにα−ダマスコンを含む下記処方例2および(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンもα−ダマスコンも含まないブランクのフレグランスを作製し、これらについて20人の専門パネラーによって、嗜好性テストを行った。
【0066】
【表1】

【0067】
その結果、(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンを用いた処方例1およびα−ダマスコンを用いた処方例2に関して、全員がブランクに比較してトップノートにまとまりがあり、天然のやさしい花らしさがあり、好きであると答えた。また処方例1と処方例2を比較した結果、3人はα−ダマスコンを用いた処方例2の方が好きであると答えたが、16人が変わらないと答え、2名が処方例1の方がいきいきした香調があり好きであると答えた。
【0068】
この嗜好性テストの結果から、(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンは、概ねα−ダマスコンと比較して優劣ない香質および強度を持ち、α−ダマスコンに代替して用いることができると考えられる。
【0069】
[試験例1]皮膚感作性テスト
得られた(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンについて、モルモットを用いて皮膚接触感作性試験を実施した。方法は化粧品・医薬部外品製造申請ガイドブック(第四版)に準拠したモルモットを用いた、Maximization Test法による皮膚接触感作性試験(GPMT)に従った。
【0070】
上記試験を7週齢のStd:Hartley系モルモット雌を用いて実施した。感作誘導誘発濃度を30、10、5、3、1、および0.1%(媒体:エタノール)で検討したところ、全ての感作誘発濃度において、皮膚反応は何ら認められず、陽性率は0%で、平均評点は0.0であった。
なお、動物入荷時から判定終了日までの試験期間中、全ての動物個体に一般状態に異常は認められなかった。また体重は順調に増加した。
【0071】
以上の結果、(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンの皮膚接触感作性は、濃度30%で陽性率0%となり、感作性は弱いと評価された。
【0072】
[比較試験例1]皮膚感作性テスト((1S)ジヒドロダマスコンとの比較)
(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−2−ブテン−1−オン((1S)ジヒドロダマスコン)について、モルモットを用いて皮膚接触感作性試験を実施した。方法は化粧品・医薬部外品製造申請ガイドブック(第四版)に準拠したモルモットを用いたMaximization Test法による皮膚接触感作性試験(GPMT)に従った。
【0073】
上記試験を7週齢のStd:Hartley系モルモット雌を用いて実施した。感作誘導誘発濃度を30、10、5、3、1、および0.1%(媒体:エタノール)で検討したところ、30%濃度において陽性率75%、平均評点1.6で感作性が認められた。
なお、動物入荷時から判定終了日までの試験期間中、全ての動物個体に一般状態に異常は認められなかった。また体重は順調に増加した。
【0074】
[実施例3]
(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンを用いて、下記表2の処方の嗜好性の高いローズベースを調製した。
【0075】
【表2】

【0076】
[実施例4]
(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン(1)を用いて、下記処方の嗜好性の高いシトラス調フレグランスを調製した。
【0077】
【表3】

【0078】
[実施例5]
(シャンプー)
実施例3で得たローズベース香料を使用し、下記表4処方によりシャンプーを調製した。なお、表中、配合量は重量部である。
この結果、ナチュラル感があり優れた嗜好性を有するローズ調シャンプーを得ることができた。
【0079】
【表4】

【0080】
[実施例6]
(ボディシャンプー)
実施例4で得たシトラス調フレグランス香料組成物を使用し、下記表5処方によりボディシャンプーを調製した。なお、表中、配合量は重量部である。
この結果、ナチュラル感があり優れた嗜好性を有するシトラス調ボディシャンプーを得ることができた。
【0081】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

で表される1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン。
【請求項2】
式(1)の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンが、式(2):
【化2】

で表される光学活性(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンであることを特徴とする請求項1記載の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オン。
【請求項3】
請求項1に記載の1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンまたは請求項2に記載の(1R,6S)−1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−メチル−2−ブテン−1−オンを含有することを特徴とする香料組成物。
【請求項4】
請求項3記載の香料組成物によって香気付けされていることを特徴とする香気付けした製品。
【請求項5】
製品がフレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤、雑貨または医薬品類から選ばれる1種である請求項4記載の香気付けした製品。
【請求項6】
一般式(3):
【化3】

(式中、Rは、不飽和結合を含んでも良い炭化水素基、不飽和結合を含んでも良い脂環式基、アリール基または複素環基を示す。)
で表わされる2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の3位に低級アルキル基を導入した一般式(4):
【化4】

(式中、Rは前記と同義であり、R’は低級アルキル基を示す。)
で表わされることを特徴とする3−アルキル−2−ブテン−1−オン誘導体低感作性香気化合物。
【請求項7】
一般式(3):
【化5】

(式中、Rは、不飽和結合を含んでも良い炭化水素基、不飽和結合を含んでも良い脂環式基、アリール基または複素環基を示す。)
で表される2−ブテン−1−オン誘導体感作性香気化合物の3位に低級アルキル基を導入して、一般式(4):
【化6】

(式中、Rは前記と同義であり、R’は低級アルキル基を示す。)
で表わされる3−アルキル−2−ブテン−1−オン誘導体低感作性香気化合物へと誘導することを特徴する感作性低減方法。

【公開番号】特開2010−83831(P2010−83831A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−256255(P2008−256255)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】