説明

低表面エネルギー基材用感圧性接着剤

硬化接着剤組成物であって、(a)65〜94.5重量%のC8アクリレートエステル、0.5〜5重量%の極性架橋性モノマー、及び5〜30重量%の非極性モノマーの反応生成物を含むコポリマーであり、コポリマーは、400,000〜2,200,000g/モルの重量平均分子量を有する、コポリマーと、(b)コポリマー100部に対して30〜70部の水素添加炭化水素粘着付与剤と;(c)コポリマー100部に対して0.01〜3部(固体/固体)の架橋剤と、を含み、硬化接着剤が、FINAT試験方法No.2に従って低密度ポリエチレンに対して試験された場合、6N/cmを超える剥離値を有し、更に、硬化接着剤が、FINAT試験方法No.8に従って低密度ポリエチレンに対して試験した場合、2000分を越える剪断値を有する、硬化接着剤組成物。本開示の硬化接着剤は、低表面エネルギー基材に対して優れた接着性を示すことが分かっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクリレート系感圧性接着剤、及び低表面エネルギーを有する基材に対するそれらの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリレート感圧性接着剤は、当該技術分野において周知である。Ulrich(米国特許第RE 24,906号)は、アルキルアクリレートコポリマーについて記述しており、これは主な構成量としてC4〜C14のアクリル酸モノマーアルキルエステルと、少量部分としてアクリル酸などの共重合可能な極性モノマーと、を含む。このような接着剤は、その入手しやすさ、低コスト性、並びに、有効な感圧性接着剤に必要であることが知られている接着性、凝集性、延伸性、及び弾性の4要素の必要なバランスを提供できることから、広く利用されている。
【0003】
一部の産業において、製造業者は低表面エネルギー材料を使用し始めている。例えば、交通標識は、従来、高表面エネルギーを有する基材であるアルミニウムで製造されてきた。近年では、粉体塗装表面若しくは塗面のような低表面エネルギー基材、又はポリエチレンを使用して、交通標識が製造されている。アルミニウム基材上で使用するように設計されたアクリレート系接着剤は、低表面エネルギー基材上で十分な性能を示さない、例えば、接着剤ははがれやすい。ゴム系接着剤は、低表面エネルギー基材上で良好な性能を示すが、老化及び低温性能は不十分である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態において、低表面エネルギー基材に対して接着することができると同時に、安定性、良好なエージング特性、良好な低温及び高温剪断性能、耐熱性及び耐湿度性、並びに/又は良好な耐化学物質(例えば、油)性を提供するアクリレート系接着剤を有することが望ましい。
【0005】
一態様において、本開示は、(a)65〜94.5重量%のCアクリレートエステル、0.5〜5重量%の極性架橋性モノマー(polar cross-linkable monomer)、及び5〜30重量%の非極性モノマー、の反応生成物を含むコポリマーであり、コポリマーが、400,000〜2,200,000g/モルの重量平均分子量を有し、反応が溶媒の存在下である、コポリマーと、(b)100部のコポリマーに対して30〜70部の水素添加炭化水素粘着付与剤と、(c)100部のコポリマーに対して0.01〜3部(固体/固体)の架橋剤と、を含み、硬化接着剤が、FINAT試験方法No.2に従って低密度ポリエチレンに対して試験された場合、6N/cmを超える剥離値を有し、更に、硬化接着剤が、FINAT試験方法No.8に従って低密度ポリエチレンに対して試験された場合、2000分を超える剪断値を有する、硬化接着剤組成物を提供する。
【0006】
別の態様において、本開示は、(a)(i)65〜94.5重量%のCアクリレートエステル、0.5〜5重量%の極性架橋性モノマー、及び5〜30重量%の非極性モノマー、の反応生成物を含むコポリマーであり、コポリマーが、400,000〜2,200,000g/モルの重量平均分子量を有するコポリマーと、(ii)100部のコポリマーに対して30〜70部の水素添加炭化水素粘着付与剤と、(iii)100部のコポリマーに対して0.01〜3部(固体/固体)の架橋剤と、を含み、硬化接着剤が、FINAT試験方法No.2に従って低密度ポリエチレンに対して試験された場合、6N/cmを超える剥離値を有し、更に、硬化接着剤が、FINAT試験方法No.8に従って低密度ポリエチレンに対して試験された場合、2000分を超える剪断値を有し、並びに(b)50mN/m未満の表面張力を有する基材と、を含む物品を提供する。
【0007】
別の実施形態において、(a)(i)65〜94.5重量%のCアクリレートエステル、(ii)0.5〜5重量%の極性架橋性モノマー、及び(iii)5〜30重量%の非極性モノマーを溶媒中で重合させて、コポリマーを形成する工程と;(b)コポリマーに、(i)100部のコポリマーに対して30〜70部の水素添加炭化水素粘着付与剤、及び(ii)コポリマー100部に対して0.01〜3部(固体/固体)の架橋剤、を添加して、硬化性接着剤組成物を形成する工程と;(c)硬化性接着剤組成物を硬化する工程と;(d)50mN/m未満の表面張力を有する基材とキャリアフィルムとの間に硬化接着剤組成物を接触させる工程と、を含む製造方法が提供される。
【0008】
上記の概要は、各実施形態を説明することを目的とするものではない。また、本開示の1つ又は複数の実施形態の詳細を以下の説明に示す。他の特徴、目的、及び利点は、説明文及び「特許請求の範囲」から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、低表面エネルギー基材に接着するための接着剤を提供する。
【0010】
「a」、「an」、及び「the」は、互換可能なものとして使用され、1つ以上を意味する。
【0011】
用語「及び/又は」は、生じ得る述べられている場合の一方又は両方を指すために用いられ、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)並びに(A又はB)の両方を包含する。
【0012】
「架橋」は、材料の弾性率を高めるため、化学結合又は化学基を使用して、形成済みの2本のポリマー鎖を接続することを指す。
【0013】
「相互重合された」は、一緒に重合されてポリマー主鎖を形成するモノマーを指す。
【0014】
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート(CH=CHCOOR)若しくはメタクリレート(CH=CCHCOOR)構造、又はこれらの組み合わせのいずれかを含む化合物を指す。
【0015】
また本明細書においては、端点によって表わされている範囲には、その範囲内に含まれている全ての数値が含まれている(例えば、1〜10の範囲には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などが含まれる)。
【0016】
また本明細書においては、「少なくとも2」には、2以上の全ての数値が含まれている(例えば、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100などが含まれる)。
【0017】
また本明細書においては、「少なくとも1」には、1以上の全ての数値が含まれている(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100などが含まれる)。
【0018】
感圧性接着剤の特性は、界面特性及びレオロジー特性によって決定される。感圧性接着剤のレオロジーは、ガラス転移温度(Tg)を変化させることによって変化し得ることは既知である。ポリアクリレート感圧性接着剤は、一般に、ガラス転移温度の低いコモノマー(歴史的にいえば、アクリル酸イソオクチル、2−エチルヘキシルアクリレート、又はブチルアクリレート)とガラス転移温度の高いコモノマー(歴史的にいえば、アクリル酸)のコポリマーである。Tgは、低及び高Tコモノマーの割合を調節することによって変化させることができる。こうした感圧性接着剤(5〜15%の範囲内の量のアクリル酸を有する)は、ステンレス鋼のような高エネルギー面に、優れた剥離性及び剪断性をもたらす。しかしながら、低表面エネルギー表面上では、こうした感圧性接着剤の性能は不十分である。
【0019】
低表面エネルギー表面に対する感圧性接着剤を選択する際には、低表面エネルギー表面に粘着するのに十分な接着性(剥離試験により測定した場合)を有すると同時に、十分な凝集力(即ち、接着剤の内部強度)(剪断試験により測定した場合)を有する組成物を有することが望ましい。したがって、感圧性接着剤の接着特性及び凝集特性は、バランスが取れたものでなければならない。本開示の感圧性接着剤は、モノマー、粘着付与剤、及び架橋剤の特定の組み合わせを選択することによって、低表面エネルギー結合のより困難な要件を満たす。一実施形態において、感圧性接着剤はアクリレート系である。
【0020】
低表面エネルギー表面に対する十分な接着性(即ち、高い剥離性能)を実現するために、低Tgのモノマーが必要である。本開示において、低Tgのモノマーはアクリル酸エステルである。
【0021】
有用なアクリル酸エステルとしては、直鎖又は分枝鎖状の非三級アルキルアルコールの第1の単官能性アクリレートエステルからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーが挙げられ、そのアルキル基は8個の炭素原子を含む。
【0022】
代表的なCアクリレートエステルモノマーとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、アクリル酸イソオクチル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
低表面エネルギー表面に対する接着性を更に改善するために、粘着付与剤が使用される。本開示において、好適な粘着付与剤としては、水素添加炭化水素粘着付与剤が挙げられる。特に対象となるものは、部分的に水素添加された炭化水素粘着付与剤である。水素添加炭化水素粘着付与剤は、伝統的に、アクリル系感圧性接着剤よりもゴム系接着剤で使用される場合が多い。水素添加炭化水素粘着付与剤は、本明細書に開示される低表面エネルギー基材用のアクリレート系感圧性接着剤で特に有用であることが判明している。代表的な水素添加炭化水素粘着付与剤としては、C及びC水素添加炭化水素粘着付与剤が挙げられる。C水素添加炭化水素粘着付与剤の例としては、Eastman Chemical Co.(Middelburg,Netherlands)より商品名「REGALITE S−5100」、「REGALITE R−7100」、「REGALITE R−9100」、「REGALITE R−1125」、「REGALITE S−7125」、「REGALITE S−1100」、「REGALITE R−1090」、「REGALREZ 6108」、「REGALREZ 1085」、「REGALREZ 1094」、「REGALREZ 1126」、「REGALREZ 1139」、及び「REGALREZ 3103」で;Eastman Chemical Co.より商品名「PICCOTAC」及び「EASTOTAC」で;Arakawa Chemical Inc.(Chicago,IL)より商品名「ARKON P−140」、「ARKON P−125」、「ARKON P−115」、「ARKON P−100」、「ARKON P−90」、「ARKON M−135」、「ARKON M−115」、「ARKON M−100」、及び「ARKON M−90」で;並びにExxon Mobil Corp.(Irving,TX)より「ESCOREZ 500」で販売されるものが挙げられる。特に対象となるものは、部分的に水素添加されたC水素添加粘着付与剤、例えば、「REGALITE S−5100」、「REGALITE R−7100」及び「REGALITE R−9100」などである。
【0024】
水素添加炭化水素粘着付与剤の例としては、Eastman Chemical Co.(Middelburg,Netherlands)から商品名「EASTOTAC C100」シリーズ、「EASTOTAC C115」シリーズ、「EASTOTAC 130」シリーズ、及び「EASTOTAC 142」シリーズで販売されるものが挙げられる。
【0025】
一実施形態において、感圧性接着剤は水素添加炭化水素粘着付与剤のみを含む。
【0026】
粘着付与剤は剥離接着力を高めるが、それと同時に凝集力を低下させる(即ち、剪断性能を低下させる)。したがって、凝集力を高めるために極性架橋性モノマーが添加されてもよい。しかしながら、典型的には、極性架橋性モノマーはまた、低表面エネルギー基材上での剥離強度を低下させる。更に、市販の水素添加炭化水素粘着付与剤は、典型的には、相分離を示し、高濃度の極性架橋性モノマーと相溶性でない。したがって、典型的には約5%未満の少量の極性架橋性モノマーを使用する。
【0027】
剪断性能を改善するために、非極性モノマーが感圧性接着剤に加えられる。この非極性モノマーはまた、水素添加炭化水素粘着付与剤を溶媒和し、粘着付与剤の相分離を最小限に抑えるのを助ける。一実施形態において、非極性モノマーは高Tgモノマーである。つまり、モノマーは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、又は更に70℃;最大25、30、35、40、50、60、70、又は更に80℃のTgを有する。高Tg非極性モノマーは、低表面エネルギー表面における感圧性接着剤の高い剥離強度及び高剪断強度を助けることができる。
【0028】
第2の非極性モノマーは、感圧性接着剤マトリックス内の水素添加炭化水素粘着付与剤の最大溶解度を達成するようにポリマーを調整するために添加されてもよい。
【0029】
少なくとも1種の非極性モノマーの添加及び/又は極性架橋性モノマー含有量の低減は、感圧性接着剤と水素添加炭化水素粘着付与剤との混和性を高める。
【0030】
低い架橋剤濃度は、低表面エネルギー表面における好適な接着性を達成するのに必要であるが、低レベルの架橋剤を有する組成剤には剪断問題が生じる。モノマーと水素添加炭化水素粘着付与剤の組み合わせを用いることで、架橋剤濃度に関して安定した系が達成される。
【0031】
モノマー、粘着付与剤、及び架橋剤の特定の組み合わせの選択に加えて、ポリマー組成物の分子量も同様に、低表面エネルギー表面への結合において重要な役割を果たすと考えられる。低分子量は、良好な剥離値をもたらすが、凝集力は悪くなり、その一方、高分子量により剥離値は悪くなるが、凝集力は良好となる。そのため、広範な分子量分布を用いて、高剪断(高い分子量の画分)を有する粘着系(低い分子量の画分)を達成することができる。
【0032】
溶媒中でのモノマーの重合もまた、低表面エネルギー基材に対する接着剤の結合に影響を与えると考えられている。溶媒重合は、多様なモノマーの使用を可能にし(無溶媒重合、例えば、紫外線と比べて)、異なる分子量及び異なるポリマー構造(例えば、直鎖又は分枝鎖状のポリマー)となるようにポリマーを調整するのを可能にする。
【0033】
本開示による感圧性接着剤の調製に関し、以下により詳細に記載する。
【0034】
アクリル酸エステル、極性架橋性モノマー、及び少なくとも1種の非極性モノマーを重合させてコポリマーを形成する。本明細書で使用される場合、コポリマーは、少なくとも2種の異なる、相互重合したモノマー(即ち、同じ化学構造を有していないモノマー)を含むポリマーであり、これにはターポリマー(3つの異なるモノマーを含む)、テトラポリマー(4つの異なるモノマーを含む)などが含まれる。
【0035】
本開示のコポリマーは、コポリマー中の他のモノマーに対して、少なくとも65、70、75、80、83.5、84、85、又は更に90重量%;最大80、83.5、85、90、92、94、又は更に94.5重量%のCアクリル酸エステルを含む。他のコモノマーに対するアクリル酸エステルモノマーの量が多いと、低温でより粘着度の高い感圧性接着剤が得られる。
【0036】
感圧性接着剤の凝集力を高めるために、少量の極性架橋性モノマーを使用してもよい。本明細書で使用される場合、用語「極性モノマー」は、Fedors in Polym.Eng.and Sci.,v.14,p.147(1974)に記載の通りにFedors法に従って測定した場合に、そのホモポリマーが11.0を超える溶解度を有するモノマーである。本明細書で使用される場合、用語「架橋性モノマー」は、電子ビーム、熱処理、紫外線(UV)照射、及びこれらの組み合わせによって架橋されることができる基を有するモノマーを記述する。
【0037】
一実施形態において、極性架橋性モノマーは、架橋性基を有するエチレン性不飽和モノマーである。本明細書で使用される場合、用語「エチレン性不飽和モノマー」は、加熱及び/又は放射線(例えば、化学線又は電子ビーム放射など)下で好適な反応開始剤が分解することによって生成されるラジカルに暴露されると、フリーラジカル反応を受けることができるモノマーを記述する。
【0038】
エチレン性不飽和モノマーには、次の官能基を有するモノマーが含まれる:ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、酸アミド基、イソシアナート基又はアミノ基。代表的なエチレン性不飽和モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−2−フェノキシプロピルアクリレート、アクリル酸(AA)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。更なる例としては、シアノエチルアクリレート、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、及びマレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
良好な低温適用性及び性能が、本開示で有用な感圧性接着剤にとって望ましい。高レベルの極性架橋性モノマーは、典型的には、低温性能(例えば、衝撃及び粘着度)並びに粘着付与剤混和性に悪影響を及ぼし、低表面エネルギー基材への接着性を弱める。一実施形態において、本開示の接着剤は、少なくとも約−10℃(14°F)に至る、より好ましくは少なくとも約−17℃(0°F)に至る良好な低温衝撃を有する。低温衝撃性能は、好ましくは、ASTM D4272又は同様の試験を用いて、0℃(32°F)以下の温度で評価される。
【0040】
本開示において、極性架橋性モノマーは、コポリマー中の他のモノマーに対して、少なくとも0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、又は更に3.8重量%;最大1.5、2、2.5、3、3.5、3.8、4、4.5、又は更に5重量%を構成する。
【0041】
非極性モノマーは、そのホモポリマーが、Fedors法により測定した場合に11.0以下の溶解度パラメータを有するモノマーから選択される非極性エチレン性不飽和モノマーであってもよく、C8アクリル酸エステルではない。代表的な非極性モノマーとしては、イソホリルアクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N−オクチルメタクリルアミド)、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベルサチン酸グリシジルエーテルアクリル酸付加物(versatic acid glycidyl ester acrylic acid adduct)、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
一実施形態において、硬化接着剤組成物(即ち、感圧性接着剤)は、少なくとも2種の非極性モノマーを含む。
【0043】
本開示において、コポリマー中の非極性モノマーは、コポリマー中の他のモノマーに対して、少なくとも5、10、15、20、25、30、又は更に35重量%;最大10、15、20、25、又は更に30重量%を構成する。
【0044】
コポリマーは、更なる追加のモノマーを含んでもよい。例としては、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、共重合可能な芳香族ケトンモノマー、例えば、アクリロイルベンゾフェノン、フェノキシエチルアクリレート、モノエチレン性不飽和モノ−、ジ−、及びトリアルコキシシラン化合物、例えば、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルトリフェノキシシラン、その他のビニル含有化合物、例えば、N−ビニルラクタム(例えば、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラクタム)、ビニル4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、2,3−ジメトキシスチレン、ビニルアセテート、ビニルホルムアミド、及びエチルビニルエーテル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
感圧性接着剤で使用されるコポリマーの分子量及び分子量分布は、本明細書に記載のように低表面エネルギー表面上で高い接着値を達成するための主要パラメータであり得る。
【0046】
本開示のコポリマーは、少なくとも300,000;400,000;500,000、又は更に600,000g/モル;最大1,000,000;1,250,000;1,500,000;1,750,000:2,000,000;2,200,000又は更に2,250,000g/モルの重量平均分子量を有する。コポリマーの分子量は、当該技術分野において既知のようにゲル透過クロマトグラフィーによって決定され得る。本開示のコポリマーは、典型的には、コポリマーの数平均分子量と対比した重量平均分子量として計算され得る分子量分散度を有する。分散度は、少なくとも4、4.5、5、5.5、又は更に6;最大5.5、6、6.5、7、7.5、又は更に8であってもよい。
【0047】
固有粘度は、コポリマーの分子量に関連しているが、ポリマーの濃度などの他の要因も含む。本開示において、コポリマーの固有粘度は、エチルアセテート中で0.15グラム/デシリットル(g/dL)の濃度で測定した場合に、少なくとも0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、又は更に0.8;最大0.7、0.8、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0又は更に2.5であってもよい。
【0048】
コポリマーの分子量は、当該技術分野において既知の技術を用いて制御され得る。例えば、重合中、連鎖移動剤をモノマーに添加して分子量を制御してもよい。
【0049】
有用な連鎖移動剤としては、四臭化炭素、アルコール類、メルカプタン類、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。代表的な連鎖移動剤は、チオグリコール酸イソオクチル及び四臭化炭素である。総モノマー混合物100重量部を基準にして、少なくとも0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.3、又は更に0.4重量部の連鎖移動剤を使用してもよく、最大0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、又は更に0.6重量部の連鎖移動剤を使用してもよい。
【0050】
本開示の感圧性接着剤で使用されるコポリマーは、例えば、溶媒重合、及びエマルジョン又は分散重合の従来技術を含む、当該技術分野において既知の技術によって重合されてもよい。
【0051】
本開示のコポリマーは、溶媒中で重合される。重合反応は、有機フリーラジカル反応に好適な任意の溶媒中で行うことができる。反応剤は、任意の好適な濃度で溶媒中に存在し得る。好適な溶媒の例としては、脂肪族及び脂環式炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン)、芳香族(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、エステル類(例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)が挙げられる。溶媒は、単独で、若しくは混合物として(例えば、ヘプタン及びエチルアセテートの混合物)、又はエーテル(例えば、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、ジイソプロピルエーテル)と組み合わせて使用することができ、あるいはアルコール類(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール)であることができる。
【0052】
重合は、少なくとも1種のフリーラジカル反応開始剤の存在下で実施され得る。有用なフリーラジカル熱反応開始剤としては、例えばアゾ、ペルオキシド、ペルスルフェート、及びレドックス反応開始剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0053】
重合反応は、有機フリーラジカル反応を導くのに好適な任意の温度で行うことができる。用いる特定の温度及び溶媒は、試薬の溶解度、特定の反応開始剤を用いるために必要とされる温度、及び望ましい分子量等のような要件に基づいて、当業者が容易に選択することができる。全ての反応開始剤及び全ての溶媒に好適な特定の温度を列挙することは現実的ではないが、一般に好適な温度は約30℃〜約200℃である。
【0054】
本開示の一実施形態では、硬化性組成物は、コポリマーと、粘着付与剤と、架橋剤と、を含む。
【0055】
粘着付与剤は、巨視的な相分離が生じないように、コポリマーと相溶性でなければならない。炭化水素ベースの粘着付与剤は低極性であり、通常は従来の極性モノマー含有接着剤と相溶性でない。しかしながら、粘着付与剤を溶媒和するために、非極性モノマーを接着剤に組み込んでもよい。粘着付与剤の特定の量は、アクリレート含有ポリマーの組成によって異なり、一般に、剪断強度を損なうことなく剥離強度を最大にするように選択される。
【0056】
水素添加炭化水素粘着付与剤は、コポリマー100部に対して、少なくとも30、40、50、55、又は更に60部;最大40、50、55、60、65、又は更に70部のレベルで添加されてもよい。
【0057】
任意に、更なる粘着付与剤を水素添加炭化水素粘着付与剤と組み合わせて使用してもよい。代表的な追加の粘着付与剤には、テルペンフェノール樹脂、(ポリ)テルペン及びロジンエステル樹脂、並びに非水素添加炭化水素樹脂が含まれる。使用する場合、追加の粘着付与剤は、粘着付与剤(tackifier)の総量の50重量%を超えない量で添加される。
【0058】
更なる添加剤が組成物に加えられてもよい。有用な添加剤としては、可塑剤が挙げられる。好適な可塑剤としては、炭化水素油(例えば、芳香族、パラフィン系、又はナフテン系のもの)、フタレート(例えば、テレフタレート)、リン酸エステル、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、ポリエーテル(例えば、アルキルフェニルエーテル)、エポキシ樹脂、セバケート、アジパート、クエン酸塩、トリメリテート、ジベンゾエート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。任意の可塑剤は、典型的には、10重量部未満の量で添加される。
【0059】
硬化性組成物を硬化するために架橋剤が使用される。有用な架橋剤としては熱架橋剤が挙げられる。代表的な熱架橋剤としては、メラミン、二炭酸/炭酸無水物、多官能性アジリジン、多官能性イソシアネート、オキサゾール、金属キレート、アミン、カルボジイミド、オキサゾリジン、及びエポキシ化合物が挙げられる。一実施形態において、架橋剤は、重合後に溶剤系感圧性接着剤に添加され、コーティングされた感圧性接着剤のオーブン乾燥中に熱によって活性化されてもよい。
【0060】
代表的なアジリジンとしては、本明細書では「ビスアミド」と呼ばれる1,1’−(1,3−フェニレンジカルボニル)−ビス−(2−メチルアジリジン)(CAS番号7652−64−4)が挙げられる。
【0061】
ビスアミド架橋剤は次式のものであってもよい。
【化1】

[式中、
及びRは、H及びC2n+1からなる群から独立して選択され(式中、nは1〜5の範囲の整数であり、Rは、フェニル、置換フェニル、トリアジン、及び−C2m−(式中、mは1〜10の範囲の整数)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される二価のラジカルである。]
【0062】
有用なポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式、及び芳香族ジイソシアネート、並びにこれらの混合物が挙げられる。多数のこのようなジイソシアネートが、市販されている。好適なジイソシアネートの代表的な例としては、ヘキサメチレン−ジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレン−ジイソシアネート(TMHDI)、m−及びp−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(H12MDI)など、並びにこれらの混合物が挙げられる。有用なポリイソシアネートとしては、上記のモノマーポリイソシアネートの誘導体も挙げられる。これらの誘導体には、Bayer Corp.(Pittsburgh,PA)から商品名「DESMODUR N−100」で入手可能なヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のビウレット付加物などのビウレット基を含有するポリイソシアネート、Bayer Corp.(Pittsburgh,PA)から商品名「DESMODUR N−3400」及び「DESMODUR L−75」で入手可能であるようなイソシアネート基を含有するポリイソシアネート、並びにウレタン基、カルボジイミド基、アロフォネート(allophanate)基等を含有するポリイソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。必要に応じて、3つ以上のイソシアネート基を有する1つ以上のポリイソシアネートを少量加えて、架橋の程度に影響をもたらすことができる。
【0063】
本開示において有用な多官能性オキサゾリン架橋剤は、2−オキサゾリン、2−オキサジン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基を、1分子あたり2つ以上含有するものである。例としては、1,3−オキサジル複素環式化合物、例えば、1,3−オキサゾリン及び2−フェニル−2−オキサゾリンなどが挙げられる。ビスオキサゾリンは、典型的には、ポリカルボン酸から誘導され、このようなポリカルボン酸としては、芳香族酸、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、トリメシン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいポリカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸及びトリメシン酸が挙げられる。
【0064】
本開示で有用な多官能性1,3−オキサジル複素環式化合物は、対応する、ポリカルボン酸エステル及びアルカノールアミンエステルの反応により、都合よく調製することができる。ビスオキサゾリンを含むポリ(1,3−オキサジル複素環式)化合物の非限定的な例は、次式によって表される核を有するようなものである。
【化2】

(式中、Aは、1〜20個の炭素原子を有する、環式若しくは非環式脂肪族又は置換環式若しくは非環式脂肪族部分、又は6〜20個の炭素原子を有する、芳香族(アリール)単核若しくは多核又は脂肪族置換アリール残基、及び約2〜200,000の反復単位を含むポリマー若しくはオリゴマー残基からなる群から選択され、
は、独立して、H、CH、CHCH、又はCを表し、
及びRは、独立して、H又はCHを表し、好ましくはR及びRは、両方共にCHとなることはなく、
xは、0又は1の整数を表し、
nは、2以上の整数、好ましくは2又は3である。)
【0065】
代表的な多官能性オキサゾリン架橋剤としては、4,4’−5,5’−テトラヒドロ−2,2’−ビスオキサゾール;2,2’−(アルカンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’−(1,4−ブタンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]及び2,2’−(1,2−エタンジイル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’−(アリーレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’−(1,5−ナフタレニル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]及び2,2’−(1,8−アントラセニル)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];スルホニル、オキシ、チオ又はアルキレンビス2−(アリーレン)[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、スルホニルビス2−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、オキシビス2−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、チオビス2−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール]及びメチレンビス2−(1,4−フェニレン)ビス[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’,2’’−(アリーレントリス[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレントリス[4,5−ジヒドロオキサゾール];2,2’,2’’,2’’’−(アリーレンテトラ[4,5−ジヒドロオキサゾール]、例えば、2,2’,2’’,2’’’−(1,2,4,5−フェニレンテトラ[4,5−ジヒドロオキサゾール]並びに末端オキサゾリン基を有するオリゴマー及びポリマー材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
別の実施形態において、フリーラジカルに依存して架橋反応を行う熱架橋剤を用いてもよい。例えば、過酸化物のような試薬は、フリーラジカル供給源として機能する。十分に加熱されると、これらの前駆体は、ポリマーの架橋反応を生じさせるフリーラジカルを生成する。一般的なフリーラジカル生成試薬は、過酸化ベンゾイルである。フリーラジカル生成剤は少量のみ必要とされるが、一般に、架橋反応を完了させるためには、ビスアミド及びイソシアネート試薬に必要とされるものよりも高温を必要とする。
【0067】
更なる有用な架橋剤としては、紫外線(UV)光によって活性化される感光性架橋剤(crossinking agents)が挙げられる。別の光架橋剤は、溶液ポリマーに後添加してUV光で活性化できるものであって、トリアジン、例えば2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシ−フェニル)−s−トリアジンである。これらの架橋剤は、中圧水銀ランプ又はUVブラックライトなどの供給源から発生するUV光によって活性化される。
【0068】
熱架橋剤、湿気架橋、又は光架橋剤に加えて、架橋は、γ放射線又は電子ビーム放射線などの高エネルギー電磁放射線を使用して達成されてもよい。
【0069】
代表的な架橋剤としては、多官能性アルキルアミド誘導体(alkylimin derivates)、多官能性金属キレート(metalchelates)、末端封鎖(ポリ)イソシアネート、アミン、アジリジン、メラミン樹脂、二炭酸/炭酸無水物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
架橋剤は、コポリマー100部固形分に対して、少なくとも0.01、0.08、0.10、0.11、0.12、0.15、0.18、0.2、0.3、0.5、1.0、1.5、2.0、又は更に2.5部固形分;最大0.15、0.2、0.3 0.5、1、1.5、2、2.3、又は更に3.0部固形分のレベルで添加されてもよい。
【0071】
その他の添加剤が、重合性混合物内に含まれ得、又は化合若しくはコーティング時に添加されて、感圧性接着剤の性質を変えることができる。こうした添加剤としては、表面添加剤(流動添加剤)、レオロジー添加剤、光保護添加剤、ナノ粒子、脱ガス添加剤、酸化防止剤、顔料、ガラス性の又はポリマーの気泡又はビーズなどの充填剤(膨張していてもよく又は膨張していなくてもよい)、疎水性又は親水性シリカ、ガラス繊維又は合成繊繊、強化剤、補強剤、難燃剤、酸化防止剤、及び安定剤が挙げられる。添加剤は、所望の最終性質を得るのに十分な量で添加される。
【0072】
その他の添加剤を使用する場合、全接着剤の乾燥重量を基準にして、2、5、10、20、25、30、35、又は更に40重量%未満が好適であろう。
【0073】
硬化性組成物は、典型的には、コポリマー、架橋剤、粘着付与剤、並びに任意に追加の粘着付与剤/可塑剤及び/又はその他の添加剤(必要に応じて)を、従来の処理装置の中で混合することによって調製され得る。所望の量の配合成分及び他の従来の補助剤又は成分を、硬化可能組成物に添加し、押出成形機、スタティックミキサー、内部ミキサー(例えば、バンバリーミキサー)、2本のロールミル、又は他の従来型の混合装置のいずれかを利用することにより、よく混合し、又はそれらと配合させることができる。混合プロセス中の混合温度は典型的には、組成物の架橋温度よりも低く安全に保たれる。したがって、温度は、典型的には、例えば、およそ室温、30℃、40℃、50℃、60℃、80℃、又は更に100℃を超えて上昇すべきでない。混合中、構成成分及び補助剤を均一に分配することが一般に望ましい。
【0074】
配合された組成物中の溶媒の量は、望ましい組成物粘度を得るために用途に応じて調節することができる。例えば、感圧性接着剤用途では、この粘度を調節して、更なる処理に適した流量を得ることができる。
【0075】
本開示に従って調製された硬化性組成物は、従来のコーティング技術によってキャリアフィルムの上に容易にコーティングされ、本開示による接着剤でコーティングされたシート材料が製造される。コーティング厚は、例えば、特定用途、コーティング配合物、及びキャリアフィルムの性質(例えば、その吸収性、多孔性、表面粗さ、縮み(crepe)、化学組成等)などの各種要因に応じて変化する。10、20、25、30、40、50、60、75、100、125g/m、又は更に150g/mのコーティング厚が想到される。硬化性接着剤組成物は、後続のコーティングにとって望ましい任意の濃度であり得るが、典型的には、少なくとも30%、40%、45%、50%、55%又は更に60%固形分;最大50%、55%、60%、65%、70%、75%、又は更に80%固形分と、残余溶媒と、を含む。接着剤組成物を更に希釈することにより、又は部分乾燥により、所望の濃度を得ることができる。
【0076】
一般に、硬化性接着剤組成物は、材料(例えば、キャリアフィルム、ライナー、又はウェブ)(本明細書ではキャリアフィルムと呼ばれる)の上にコーティングされて、熱活性化によって架橋される。架橋のための温度は、少なくとも60℃、80℃、90℃、100℃、120℃、140℃、又は更に150℃の温度を包含する。
【0077】
キャリアフィルムは、可撓性又は非可撓性の裏材であり得る。可撓性裏材は、テープ裏材、又は任意の他の可撓性材料として従来利用された任意の材料であり得る。
【0078】
本開示の接着剤物品のためのキャリアフィルムとして有用な好適な材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン(アイソタクチックポリプロピレン及び高衝撃ポリスチレンを含む)などのポリオレフィン;ポリスチレン;ポリ(エチレンテレフタレート)を含むポリエステル;ポリ塩化ビニル;ポリ(ブチレンテレフタレート);ポリ(カプロラクタム);ポリビニルアルコール;ポリウレタン;ポリ(フッ化ビニリデン);セルロースアセテート及びセロハンなどのセルロース及びセルロース誘導体、並びに織布及び不織布が挙げられるが、これらに限定されない。市販のキャリアフィルムとしては、クラフト紙(Monadnock Paper,Inc.より入手可能);スパンボンドポリ(エチレン)及びポリ(プロピレン)、例えば、商品名「TYVEK」及び「TYPAR」(DuPont,Inc.より入手可能)で入手可能なものなど;商品名「TESLIN」(PPG Industries,Inc.より入手可能)、及び「CELLGUARD」(Hoechst−Celaneseより入手可能)で入手可能なもののようなポリ(エチレン)及びポリ(プロピレン)から得る多孔質フィルム;商品名「3M DIAMOND GRADE DG3 REFLECTIVE SHEETING」(3M Co.(St.Paul,MN)より入手可能)で入手可能なもののようなプリズムフィルム;並びに、商品名「3M SCHOTCHLITE FLEXIBLE REFLECTIVE SHEETING」(3M Co.(St.Paul,MN))で入手可能なもののようなWAFTビーズフィルムが挙げられる。
【0079】
キャリアフィルムは、本開示の感圧性接着剤を所望の基材に供給する。キャリアフィルムはブランクであってもよく、又は後に基材の表面上にしっかりと取り付けられる感圧性接着剤と反対側の表面上に、顔料、しるし、文字列、図柄等を含んでいてもよい。換言すれば、感圧性接着剤組成物は、50mN/m未満の表面張力を有する基材の少なくとも一部とキャリアフィルムの少なくとも一部との間に位置付けられて、これらと密着状態となる。
【0080】
本開示の基材は低表面エネルギー表面を有するので、感圧性接着剤によって基材が良好に湿潤されるのが望ましい。低表面エネルギー表面は、本明細書では、低極性を呈し、約50、45、43、40、又は更に30mN/m未満の臨界表面張力を呈する表面として定義される。表面張力は、Owensらによるthe Journal of Applied Polymer Science,v.13 p.1741〜1747(1969)の記述通りに測定され得る。代表的な基材には、低密度ポリエチレン(31mN/m)、ポリプロピレン(28mN/m)、ポリスチレン(43mN/m)、ポリ塩化ビニル(39mN/m)、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、例えば、ポリメチルメタクリレートなど、及びこれらの組み合わせが含まれる。値は、上記のOwensら、及びHouwinckらによるAdhesives,Elsevier Science,Amsterdam(1965)から取った。その他の代表的な基材には、塗料及びクリアコート(例えば、自動車用クリアコート)が含まれる。市販のクリアコートの例としては、BASF(Germany)から商品名「UREGLOSS」で、PPG Industries(Pittsburgh,PA)から商品名「CERAMICLEAR5」で入手可能なものが挙げられる。これらの塗料及びクリアコートとしては、アクリル樹脂及びポリエステルが挙げられ、これらは単独で、あるいはヒドロキシ官能基若しくはグリシジル官能基又はカルバミン酸(carbamatic acid)残基(基)を含むコポリマー、又はアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルとヒドロキシル基、遊離酸基、及び更なるコモノマー(例えば、スチレン)とのコポリマーの混合物と一緒に使用される。
【0081】
本開示による感圧性接着剤は、低表面エネルギーを有する基材に対して特に良好な接着性を有する。
【0082】
一実施形態において、感圧性接着剤は、FINAT試験方法No.2に従って低密度ポリエチレンに対して試験した場合に、6N/cm、6.5N/cm、7N/cm、又は更に7.5N/cmを超える剥離値を有する。
【0083】
一実施形態において、感圧性接着剤は、FINAT試験方法No.8に従って低密度ポリエチレンに対して試験した場合に、2000、2500、3000、3500、又は更に4000分を超える剪断値を有する。
【0084】
本開示は、低表面エネルギー表面に対する優れた性能を実現する、モノマー、粘着付与剤、及び架橋剤の特定の組み合わせを選択する。一実施形態において、本開示の感圧性接着剤は、様々な低表面エネルギー基材に対して十分な性能を提供する。例えば、感圧性接着剤は、ポリエチレン表面及び塗面に適用されて、両方の表面に対して適切な接着性を示すことができる。一実施形態において、本開示の感圧性接着剤は、それぞれが50mN/m未満の表面張力を有する複数の種類の基材に適用された場合、少なくとも6、6.5、7、7.5、又は更に8N/cmの剥離強度を有する。
【0085】
一実施形態において、本開示の感圧性接着剤は、厳しい状況下で様々な表面に接着する能力を有する。本開示の物品は、最高最低気温、湿度、道路用塩、並びに赤外線、可視光線、及び紫外線などの厳しい気象条件に曝される可能性がある。例えば、本開示の感圧性接着剤は、良好な高温及び低温剪断、良好な低温フロー、並びに/又は良好なエージングを示すことができる。
【0086】
その上、感圧性接着剤は、結合を更に複雑にする、滑らかな面及び/又は粗面などの異なるトポグラフィーを有する表面に適用され得る。
【0087】
使用目的によっては、油又は燃料などの有機液体が、基材及び/又は感圧性接着剤と接触して、感圧性接着剤の性能を低下させる場合がある。一実施形態において、本開示(the present)の感圧性接着剤は、溶媒、油、及びベンゼン/ディーゼル油への耐性を提供する。
【0088】
本開示の架橋されて粘着付与されたアクリル接着剤は、驚くべきことに、様々な低表面エネルギー基材に対して、及び様々な複雑な結合状況下で、良好な接着性を示す。
【0089】
一実施形態において、感圧性接着剤は、(a)(i)80〜86.5重量%のアクリル酸イソオクチルと、(ii)0.5〜3重量%のアクリル酸と、(iii)60を超えるTgを有する5〜15重量%の環状脂肪族アクリレート、及び5未満のTgを有するバーサテック酸誘導体(versatic acid derivative)である2〜8重量%の第2のモノマーと、を有するコポリマーと、(b)70〜80%水素化されているC水素添加炭化水素樹脂100部に対して35〜65部のコポリマーと、(c)0.01〜3部(固体/固体)(コポリマー100部に対して)のビスアミド架橋剤と、を含む。
【0090】
一実施形態において、感圧性接着剤は、(a)(i)80〜85重量%のアクリル酸イソオクチルと、(ii)1〜3重量%のアクリル酸と、(iii)60を超えるTgを有する10〜20重量%の環状脂肪族アクリレート、及び5未満のTgを有するバーサテック酸誘導体である2〜8重量%の第2のモノマーと、を有するコポリマーと、(b)70〜80%水素化されているC水素添加炭化水素樹脂100部に対して25〜65部のコポリマーと、(c)0.01〜3部(固体/固体)(コポリマー100部に対して)のビスアミド架橋剤と、を含む。
【0091】
一実施形態において、感圧性接着剤は、(a)(i)80〜85重量%のアクリル酸イソオクチルと、(ii)0.5〜3重量%のアクリル酸と、(iii)60を超えるTgを有する5〜15重量%の環状脂肪族アクリレート、及び5〜30のTgを有する環状脂肪族アクリレートである2〜15重量%の第2のモノマーと、を有するコポリマーと、(b)少なくとも50%水素化されているC水素添加炭化水素樹脂100部に対して35〜65部のコポリマーと、(c)0.01〜3部(固体/固体)(コポリマー100部に対して)のビスアミド架橋剤と、を含む。
【0092】
一実施形態において、感圧性接着剤は、(a)(i)80〜85重量%のアクリル酸イソオクチルと、(ii)0.5〜4重量%の4−ヒドロキシブチルアクリレートと、(iii)10〜20重量%のイソボルニルアクリレートと、を有するコポリマーと、(b)少なくとも50%水素化されているC水素添加炭化水素樹脂100部に対して35〜75部のコポリマーと、(c)ポリイソシアネート(polyiscocyante)架橋剤は高分子量架橋剤であるので、0.1〜3部(固体/固体)(コポリマー100部に対して)のこの架橋剤と、を含む。
【0093】
一実施形態において、感圧性接着剤は、(a)(i)80〜85重量%のアクリル酸イソオクチルと、(ii)0.5〜2重量%のアクリル酸、及び0.5〜2重量%のヒドロキシブチルアクリレートと、(iii)10〜20重量%のイソボルニルアクリレートと、を有するコポリマーと、(b)少なくとも50%水素化されているC水素添加炭化水素樹脂100部に対して35〜65部のコポリマーと、(c)ビスアミド架橋剤を使用する場合、100部のポリマーに対して0.01〜3部(固体/固体)のビスアミド架橋剤と、あるいはポリイソシアネート架橋剤を使用する場合、0.1〜3部(固体/固体)のポリイソシアネート架橋剤と、を含む。
【0094】
一実施形態において、感圧性接着剤は、(a)(i)77〜89.5重量%のアクリル酸イソオクチルと、(ii)0.5〜3重量%のアクリル酸と、(iii)60を超えるTgを有する10〜20重量%の環状脂肪族アクリレートと、を有するコポリマーと、(b)少なくとも50%水素化されているC水素添加炭化水素樹脂100部に対して35〜65部のコポリマーと、(c)0.01〜3部(固体/固体)(コポリマー100部に対して)のビスアミド架橋剤と、を含む。
【0095】
一実施形態において、感圧性接着剤は、(a)(i)77〜89(又は89.5)重量%のアクリル酸イソオクチルと、(ii)0.5〜3重量%のアクリル酸と、(iii)5〜30のTgを有する10〜20重量%の環状脂肪族アクリレートと、を有するコポリマーと、(b)少なくとも50%水素化されているC9水素添加炭化水素樹脂100部に対して35〜65部のコポリマーと、(c)0.01〜3部(固体/固体)(コポリマー100部に対して)のビスアミド架橋剤と、を含む。
【0096】
本開示の種々の実施形態を以下に記載する。
【0097】
項目1.硬化接着剤組成物であって、
(a)
i)65〜94.5重量%のCアクリレートエステル、
ii)0.5〜5重量%の極性架橋性モノマー、及び
iii)5〜30重量%の非極性モノマー、の反応生成物を含むコポリマーであり、
コポリマーが、400,000〜2,200,000g/モルの重量平均分子量を有し、反応が溶媒の存在下である、コポリマーと、
(b)100部のコポリマーに対して30〜70部の水素添加炭化水素粘着付与剤と、
(c)100部のコポリマーに対して0.01〜3部(固体/固体)の架橋剤と、を含み、硬化接着剤が、FINAT試験方法No.2に従って低密度ポリエチレンに対して試験された場合、6N/cmを超える剥離値を有し、更に、硬化接着剤が、FINAT試験方法No.8に従って低密度ポリエチレンに対して試験された場合、2000分を超える剪断値を有する、硬化接着剤組成物。
【0098】
項目2.接着剤が、4〜8の分子量分散度を有する、項目1に記載の硬化接着剤。
【0099】
項目3.コポリマーが、0.4〜2の固有粘度を有する、項目1又は2に記載の硬化接着剤。
【0100】
項目4.Cアクリレートエステルが、アクリル酸イソオクチル、2−エチルヘキシルアクリレート、及びこれらの組み合わせから選択される、項目1〜3のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0101】
項目5.Cアクリレートエステルが80〜90重量%である、項目1〜4のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0102】
項目6.架橋性モノマーがエチレン性不飽和モノマーである、項目1〜5のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0103】
項目7.極性エチレン性不飽和モノマーが、アクリル酸、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−2−フェノキシプロピルアクリレート、及びこれらの組み合わせから選択される、項目6に記載の硬化接着剤。
【0104】
項目8.極性エチレン性不飽和モノマーが1〜2重量%である、項目6又は7のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0105】
項目9.コポリマーが少なくとも2種の非極性モノマーを含む、項目1〜8のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0106】
項目10.非極性モノマーが、イソボルニルアクリレート、ベルサチン酸グリシジルエーテルアクリル酸付加物、イソホリルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、N−オクチルアクリルアミド、メチルアクリレート、又はこれらの組み合わせから選択される、項目1〜9のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0107】
項目11.非極性モノマーが10〜20重量%である、項目1〜10のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0108】
項目12.水素添加炭化水素粘着付与剤がCである、項目1〜11のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0109】
項目13.水素添加炭化水素粘着付与剤が、100部のコポリマーに対して40〜60部である、項目1〜12のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0110】
項目14.架橋剤が、多官能性アルキルアミン(alkylimin)誘導体、多官能性金属キレート、(ポリ)イソシアネート、末端封鎖(ポリ)イソシアネート、アミン、アジリジン、メラミン樹脂、二炭酸/炭酸無水物、及びこれらの組み合わせから選択される、項目1〜13のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0111】
項目15.架橋剤が、100部のコポリマーに対して0.05〜0.15(固体/固体)部である、項目1〜14のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0112】
項目16.硬化接着剤が、表面添加剤(流動添加剤)、レオロジー添加剤、光保護添加剤、ナノ粒子、脱ガス添加剤、酸化防止剤、又はこれらの組み合わせから選択される添加剤を更に含む、項目1〜15のいずれか1つに記載の硬化接着剤。
【0113】
項目17.項目1〜16のいずれか1つに記載の硬化接着剤と、50mN/m未満の表面張力を有する基材と、を含む物品。
【0114】
項目18.基材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、塗料、クリアコート、又はこれらの組み合わせから選択される、項目17に記載の物品。
【0115】
項目19.キャリアフィルムを更に含む、項目17又は18のいずれか1つに記載の物品。
【0116】
項目20.物品の製造方法であって、
(a)(i)65〜94.5重量%のCアクリレートエステル、(ii)0.5〜5重量%の極性架橋性モノマー、及び(iii)5〜30重量%の非極性モノマーを溶媒中で重合させて、コポリマーを形成する工程と、
(b)コポリマーに、(i)100部のコポリマーに対して30〜70部の水素添加炭化水素粘着付与剤、及び(ii)コポリマー100部に対して0.01〜3部(固体/固体)の架橋剤を添加して、硬化性接着剤組成物を形成する工程と、
(c)硬化性接着剤組成物を硬化する工程と、
(d)50mN/m未満の表面張力を有する基材とキャリアフィルムとの間に硬化接着剤組成物を接触させる工程と、を含む、方法。
【実施例】
【0117】
本開示の利点及び実施形態を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量並びに他の諸条件及び詳細によって、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。これらの実施例では、全ての百分率、割合及び比は、特に指示しない限り重量による。
【0118】
材料は全て、別に記載のない限り、又は明白でない限り、例えばSigma−Aldrich Corporation(St.Louis,MO)から市販されているか、又は当業者には既知である。
【0119】
【表1】

【0120】
コポリマーの合成:基本手順
コポリマー(ACRYL)及び比較コポリマー(C−ACRYL)を、表1に与えられた量(重量%(wt%))のモノマーから調製した。
【0121】
基本手順:ガラス瓶にモノマーを投入した。酢酸エチル及びヘプタンを加えて45%固形分の反応混合物を得た。酢酸エチル/ヘプタンの比は所望の分子量に関連して選択された。0.2%(モノマーの重量に対して)の熱反応開始剤(V 601、1%酢酸エチル溶液として使用)を加えた。瓶を窒素で毎分1.0リットル(L/分)で3分間脱気し、密封した。反応は、ラウンダー−o−メータの中で55℃で20時間行われた。約98〜99%の反応率を得た。
【0122】
反応が完了した後、分子量の尺度としての固有粘度(IV)を、Canon−Fenske粘度計を使用して、酢酸エチル中で25℃、0.15グラム/デシリットルの濃度で測定した。
【0123】
【表2】

/:添加せず
【0124】
感圧性接着剤テープの調製
上記のように得たコポリマー溶液を、それぞれの実施例に示されるように粘着付与剤溶液及び架橋剤溶液と混合した。
【0125】
ローラーミルで1時間均質化した後、粘着付与剤溶液を加え、次いでこの混合物を24時間均質化させた。次に、架橋剤を加え、得られた混合物を1時間均質化させた。この接着剤溶液をシリコーンコーティングされたポリエステルライナーの上にコーティングし、室温で10分、及び100℃で3分間硬化した。コーティング重量は50g/m(グラム/メートル)であった。次に、構成体をポリエステルのキャリアフィルム上にラミネートした。
【0126】
基材:
接着剤をそれらの粘着性能に関して以下の基材上で試験した。
【0127】
基材1:Eastman Chemical Co.(Kingsport,TN)から商品名「VORIDIANポリエチレン1550P」で入手可能なポリエチレンペレットから所内で調製された厚さ13ミル(330マイクロメートル)のポリエチレンフィルムを、アルミニウム板(150cm×50×2mm)の上に固定し、粗い面の上で試験を行った(Rz値:13μm;DIN Normを介して試験された、l=5,6mm、l=0,8mm)。
【0128】
基材2:Montaplast(Germany)より商品名「PPTV20」で入手可能なポリプロピレン板を使用し、粗さは(Rz値:21μm;DIN Normを介して試験された、l=5,6mm、l=0,8mm)を有していた。
【0129】
基材3:PPG Industriesから入手したCeramiClear5 Clearcoat−低表面エネルギーのアクリル系クリアコート。
【0130】
接着剤を塗布する前に、イソプロピルアルコール:蒸留水(1:1)の混合物を使用して試験板(基材1を除く)を洗浄した。洗浄された板をティッシュを使用して乾燥させた。
【0131】
試験方法:
幅25mm及び長さ175mm超過のストリップを、コーティングされた感圧性接着剤試料から縦方向に切り取った。裏材をストリップから除去し、ストリップを接着剤側を下にして軽い指圧を用いて清潔な試験板の上に設置した。標準的なFINAT試験ローラー(2kg)を各方向に毎秒約10mmの速度で2回通過させて、接着剤と基材表面との間を密着させた。ストリップを試験板に適用した後、試験前に試験板を室温で24時間放置した。引張試験機の底部ジョーの中に固定されている水平支持体の中に試験板及びストリップを取り付けた。試験機(Zwick/Roell Z020(Ulm,Germany))を毎分300mm(ミリメートル)のジョー分離速度に設定した。試験結果はニュートン/cm(センチメートル)で示されている。引用符付きの剥離値は、3回の90°剥離測定値の平均である。
【0132】
1kgを用いた室温での静的剪断試験(FINAT試験方法No.8)
幅25mm及び長さ175mm超過のストリップを、接着剤試料から縦方向に切断した。所定重量を保持するために、ストリップの一方の端にループを準備した。ループの反対端を用いてストリップをパネルの縁部に取り付けた。ストリップは精密かつ気泡がないように取り付けられ、25×25mmの接着領域を得た。標準的なFINAT試験ローラー(2kg)を各方向に毎秒約10mmの速度で2回通過させて、接着剤と基材表面との間を密着させた。5〜10分のドウェル時間の後、試験パネルを試験機器の剪断スタンドの中に置き(試験板は2°で保持された)、所定荷重1kgを試料のループの中に設置した。タイマーをスタートさせた。試験は破損した時点で中止し、試験結果は分で示された。破損モードは[CF](凝集破壊)又は[CP](クリーンパネル)で示されている。引用符付きの静的剪断値は3回の剪断測定値の平均である。試験は10000分後に中止した。破損しなかった試料は10000+として報告されている。
【0133】
実施例1〜10及び39並びに比較例C−1〜C−6及びC−12〜C−20
実施例1〜10では、接着剤製剤は、100部のコポリマーAcryl−1と、表2に示される量の架橋剤XL−1及び粘着付与剤TACK−1から調製された。比較例C−1〜C−6及びC−12〜C−20並びに実施例39の接着剤製剤は、表2に示される100部のコポリマー、表2に与えられた量の架橋剤XL−1及び粘着付与剤TACK−1を使用して調製された。基本手順に従って接着剤組成物をコーティングして硬化した。接着剤組成物を、90°剥離Finat No 2、及び静的剪断Finat No 8試験に従って試験した。結果を表2に示す。
【0134】
【表3】

:ショッキイ剥離(shocky peel)
【0135】
実施例11〜18及び比較例C−7
実施例11〜18及び比較例C−7では、接着剤製剤は、100部のコポリマーAcryl−2と、表3に示される量の架橋剤XL−1及び粘着付与剤TACK−1から調製された。接着剤組成物を基本手順に従ってコーティングし、硬化した。接着剤組成物を、90°剥離Finat No 2、及び静的剪断Finat No 8試験に従って試験した。結果を表3に示す。
【0136】
【表4】

:ショッキイ剥離
【0137】
実施例19〜30並びに比較実施例C−8及びC−9
実施例19〜30並びに比較例C−8及びC−9では、接着剤製剤は、表4に示される100部のコポリマー、並びに表4に示される量の架橋剤XL−1及び粘着付与剤TACK−1から調製された。基本手順に従って接着剤組成物をコーティングして硬化した。接着剤組成物を、90°剥離Finat No 2、及び静的剪断Finat No 8試験に従って試験した。結果を表4に示す。
【0138】
【表5】

:ショッキイ剥離
【0139】
実施例31〜33並びに比較実施例C−10及びC−11
実施例31〜33並びに比較例C−10及びC−11では、接着剤製剤は、100部のコポリマーAcryl−2と、0.12部の架橋剤XL−1及び表5に指定され、示される量の粘着付与剤又は比較粘着付与剤から調製された。基本手順に従って接着剤組成物をコーティングして硬化した。接着剤組成物を、90°剥離Finat No 2、及び静的剪断Finat No 8試験に従って試験した。結果を表6に示す。
【0140】
【表6】

/:添加せず
【0141】
【表7】

【0142】
実施例34〜36
実施例34〜36では、接着剤製剤は、それぞれ100部のコポリマーAcryl−8又はAcryl−9、及び50部の粘着付与剤TACK−1から調製された。実施例32及び33は0.19部の架橋剤XL−2を更に含有し、実施例34は0.12部の架橋剤XL−1を含有している。基本手順に従って接着剤組成物をコーティングして硬化した。接着剤組成物を、90°剥離Finat No 2、及び静的剪断Finat No 8
試験に従って試験した。結果を表7に示す。
【0143】
【表8】

【0144】
実施例37及び38
実施例37は、100部のコポリマーAcryl−2、40部の粘着付与剤TACK−1、及び0.1部の薬剤XL−1から調製された。実施例38は、100部のコポリマーAcryl−1、40部の粘着付与剤TACK−1、及び0.08部の薬剤XL−1から調製された。基本手順に従って接着剤組成物をコーティングして硬化したが、コーティング重量は約60g/mであった。硬化後、3M Co.(St.Paul,MN)から商品名「3M 7870E HIGH DURABILITY THERMAL TRANSFER」で市販のポリエステルフィルムで補強されたポリウレタンに接着剤をラミネートした。90°剥離Finat No 2試験方法に従って接着剤を塗布した後、試料を24時間ドウェルして試験した。次に、試料を、70℃の潤滑油の中に24時間、又は室温のディーゼル油の中に24時間浸漬させた。90°剥離接着力を測定する前に、試料を室温で1時間放置した。結果を表8に示す。
【0145】
【表9】

NA:利用不可
【0146】
本開示の範囲及び趣旨から外れることなく、本開示の予測可能な修正及び変更が当業者にとって自明であろう。本開示は、例証目的のために本明細書に記載されている実施形態に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化接着剤組成物であって、
(a)
iv)65〜94.5重量%のCアクリレートエステル、
v)0.5〜5重量%の極性架橋性モノマー、及び
vi)5〜30重量%の非極性モノマー、の反応生成物を含むコポリマーであり、
前記コポリマーが、400,000〜2,200,000g/モルの重量平均分子量を有し、前記反応が溶媒の存在下である、コポリマーと、
(b)100部の前記コポリマーに対して30〜70部の水素添加炭化水素粘着付与剤と、
(c)100部の前記コポリマーに対して0.01〜3部(固体/固体)の架橋剤と、を含み、
前記硬化接着剤が、FINAT試験方法No.2に従って低密度ポリエチレンに対して試験された場合、6N/cmを超える剥離値を有し、更に、前記硬化接着剤が、FINAT試験方法No.8に従って低密度ポリエチレンに対して試験された場合、2000分を超える剪断値を有する、硬化接着剤組成物。
【請求項2】
前記接着剤が4〜8の分子量分散度を有する、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項3】
前記コポリマーが、0.4〜2の固有粘度を有する、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項4】
前記Cアクリレートエステルが、アクリル酸イソオクチル、2−エチルヘキシルアクリレート、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項5】
前記Cアクリレートエステルが80〜90重量%である、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項6】
前記架橋性モノマーがエチレン性不飽和モノマーである、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項7】
前記極性エチレン性不飽和モノマーが、アクリル酸、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−2−フェノキシプロピルアクリレート、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載の硬化接着剤。
【請求項8】
前記極性エチレン性不飽和モノマーが1〜2重量%である、請求項6又は7に記載の硬化接着剤。
【請求項9】
前記コポリマーが少なくとも2種の非極性モノマーを含む、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項10】
前記非極性モノマーが、イソボルニルアクリレート、ベルサチン酸グリシジルエーテルアクリル酸付加物、イソホリルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、N−オクチルアクリルアミド、メチルアクリレート、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項11】
前記非極性モノマーが10〜20重量%である、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項12】
前記水素添加炭化水素粘着付与剤がCである、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項13】
前記水素添加炭化水素粘着付与剤が、100部の前記コポリマーに対して40〜60部である、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項14】
前記架橋剤が、多官能性アルキルアミン(alkylimin)誘導体、多官能性金属キレート、(ポリ)イソシアネート、末端封鎖(ポリ)イソシアネート、アミン、アジリジン、メラミン樹脂、二炭酸/炭酸無水物、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項15】
前記架橋剤が、100部の前記コポリマーに対して0.05〜0.15(固体/固体)部である、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項16】
前記硬化接着剤が、表面添加剤(流動添加剤)、レオロジー添加剤、光保護添加剤、ナノ粒子、脱ガス添加剤、酸化防止剤、又はこれらの組み合わせから選択される添加剤を更に含む、請求項1に記載の硬化接着剤。
【請求項17】
請求項1に記載の硬化接着剤と、50mN/m未満の表面張力を有する基材と、を含む、物品。
【請求項18】
前記基材が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、塗料、クリアコート、又はこれらの組み合わせから選択される、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
キャリアフィルムを更に含む、請求項17又は18に記載の物品。
【請求項20】
(a)(i)65〜94.5重量%のCアクリレートエステル、(ii)0.5〜5重量%の極性架橋性モノマー、及び(iii)5〜30重量%の非極性モノマーを溶媒中で重合させて、コポリマーを形成する工程と、
(b)前記コポリマーに、(i)100部のコポリマーに対して30〜70部の水素添加炭化水素粘着付与剤、及び(ii)前記コポリマー100部に対して0.01〜3部(固体/固体)の架橋剤を添加して、硬化性接着剤組成物を形成する工程と、
(c)前記硬化性接着剤組成物を硬化する工程と、
(d)50mN/m未満の表面張力を有する基材とキャリアフィルムとの間に硬化接着剤組成物を接触させる工程と、を含む、物品の製造方法。

【公表番号】特表2013−514445(P2013−514445A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544732(P2012−544732)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/060405
【国際公開番号】WO2011/075501
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】