説明

低電圧降下閉ループ単方向電子バルブ

第1端子、第2端子、第1端子と第2端子の間に結合される第1電子制御スイッチ、及び第1端子の電位が第2端子の電位より第一値だけ高い場合に第1電子制御スイッチを閉じるように配置された第1電荷ポンプとから構成される低電圧降下単方向電子バルブ。第1電荷ポンプは第2端子電位より第一値だけ高い第1端子電位を継続して維持するように第1電子制御スイッチと閉ループに配置される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は一般的には単方向電子バルブの分野に関し、より具体的にはほぼ理想的なダイオードとして動作する低電圧降下単方向電子バルブに関する。
【0002】
大規模利用及び送電線へ送るためのソーラーパワーは直列接続に配列されたソーラーパネルによって供給される。各ソーラーパネルは正端子及び、帰還端子又は負端子を有する。ソーラーパネルは適度の太陽光が存在すれば電力を発生し、アレイの1つのソーラーパネルが暗い状態になっても他のパネルが電力を発生することができる。暗い状態は、とりわけ、飛行物体や鳥、覆う雲、あるいはたまった塵により引き起こされる。アレイの出力がブロックされないように電力は暗いソーラーパネルをう回しなければならない。同様に、アレイの中の単一のソーラーパネルが阻害された場合、アレイ全体が阻害されるのを避けるために電力は阻害されたソーラーパネルをう回しなければならない。
【0003】
図1は、暗いソーラーパネルあるいは阻害されたソーラーパネルが原因でソーラーアレイが阻害されることを避けるために知られている従来技術の一例を示している。図1のソーラーパワー配列は複数のソーラーパネル10、複数のバイパスダイオード20、ブロッキングダイオード30、及びコンバータ40を含んでいる。ソーラーパネル10は直列に接続され、終端のソーラーパネル10の正端子はブロッキングダイオード30を介してコンバータ40の入力へ接続されている。コンバータ40の帰還部は配列の最初のソーラーパネル10の帰還端子に接続されている。各ソーラーパネル10はバイパスダイオード20に並列接続され、スイスジュネーブのInternational Electro-technical Commissionによって発行されたIEC 61215の特にセクション10.18に従い、バイパスダイオード20が接続されるソーラーパネル10の帰還端子がソーラーパネル10の正端子に対して正電位を示す場合に限り導通となるようにバイパスダイオード20が配置される。IEC 61215の全体の内容が参照されることにより本願に組み込まれる。
【0004】
動作において、電流が先行するソーラーパネル10の正端子から帰還端子へ駆動される結果、暗いソーラーパネル10は正端子と帰還端子の間に電圧反転を示す。この電圧反転により並列接続されたバイパスダイオード20がオンとなり、暗いソーラーパネル10をう回して電流が流れる。
【0005】
図1の配列は暗いソーラーパネルが存在するにも拘らず出力を維持することに成功している。しかしながらバイパスダイオード20の電力消耗が相当大きい。図1の配列のような通常のソーラーパネルアレイでは約5−10アンペアが配列の各ソーラーパネル10を流れる。従って、バイパスダイオード20がバイパスとして動作する場合、その電力消耗は3.5−7ワットの範囲となる。システムの電力損失は熱となって発散され、そのためパネルのレイアウトにおける熱対策、バイパスダイオード20の構造対策が必要となり、結果的に図1の配列のコストを引き上げることになる。
【0006】
その全体を参照することによって本願に組み込まれる「低電圧降下単方向電子バルブ」の名称で2009年1月1日に出願された米国特許出願番号12/348,002は、一対の電界効果トランジスタ及び制御回路により構成された電子制御スイッチと、周期的に電子制御スイッチをオープンするように配置されたリフレッシュ回路とを含む低電圧降下単方向電子バルブについて述べている。周期的にスイッチをオープンする必要があるために、ソーラーパネルの両端に望まない反転電圧が生成される。
【0007】
従って、反転電圧のリフレッシュを必要としない、ソーラーパネルバイパス素子の1つとして適用される低電圧降下単方向電子バルブに対し、長期にわたるニーズが存在している。
【発明の概要】
【0008】
従って、本発明の主要な目的は従来技術の単方向電子バルブの欠点を克服することである。特定の実施態様の中では、第1端子と第2端子を接続するように配置されるMOSFETのような電子制御スイッチを含む単方向電子バルブが設けられる。第1電荷ポンプが更に設けられ、第1端子の電位が第2端子の電位より第一値だけ高い場合、第1電子制御スイッチを閉じるように配置される。第1電荷ポンプは、第1端子の電位が第2端子の電位より第一値だけ高く継続して維持されるように第1電子制御スイッチとともに閉ループに配置される。ソーラーパネルが日陰にある場合、約50ミリボルトの反転電圧が継続して供給される利点がある。
【0009】
一実施例において、低電圧降下単方向電子バルブが設けられ、低電圧降下単方向電子バルブは、第1端子、第2端子、第1端子と第2端子間に結合される第1電子制御スイッチ、及び第1端子の電位が第2端子の電位より第一値だけ高い場合に第1電子制御スイッチを閉じるように配置される第1電荷ポンプを含む。
【0010】
又一実施例において、第1端子の電位が第2端子の電位より第一値だけ高く継続して維持されるように第1電荷ポンプは第1電子制御スイッチと閉ループに配置される。さらに一実施例において、低電圧単方向電子バルブは、第1電子制御スイッチと並列に結合され、第1端子の電位が第一値より大きい第二値だけ第2端子の電位より高い場合に第1端子より第2端子へ電流の流れを許容するように配置されるバイパス素子と第1端子に結合され、第1端子の電位が第2端子の電位より第二値だけ高いことに応答して初期電力を第1電荷ポンプへ供給するように配置される起動ユニットとをさらに含んでいる。さらに一実施例において、第1電子制御スイッチはバイパス素子であるボディダイオードを示す金属酸化膜半導体電界効果トランジスタによって構成される。さらに一実施例において、起動ユニットは第2端子の電位より第二値だけ高い第1端子の電位に応答して動作するオシレータとオシレータに応答する第2電荷ポンプと、第2電荷ポンプに応答し第2電荷ポンプが動作中に第2端子を内部コモンノードへ結合するように配置される第2電子制御スイッチを含む。
【0011】
またさらに一実施例において、起動ユニットは、第1電荷ポンプに初期電力を供給するように配置され、オシレータに応答して動作する第3電荷ポンプをさらに含む。さらに一実施例において、起動ユニットはさらに、オシレータと第2端子間に結合され、オシレータに初期帰還路を設けるように配置される単方向バルブ回路をさらに含む。さらに一実施例において、低電圧単方向電子バルブは第1電荷ポンプの出力と第1電荷ポンプの電力入力との間に結合されるブートストラップ回路をさらに含む。さらに一実施例において、低電圧単方向電子バルブは第2端子と内部コモンノードの間に接続されブートストラップ回路に応答する第3電子制御スイッチをさらに含む。
【0012】
さらに一実施例において、起動ユニットはオシレータに応答して動作し、第1電荷ポンプに初期電力を供給するように配置された第3電荷ポンプをさらに含む。
【0013】
独立して、一実施例において、低電圧降下単方向電流を供給する方法が提供され、該方法は、第1端子と第2端子間に結合される電子制御スイッチを設け、第1端子の電位が第2端子の電位より第一値だけ高い場合に設けられた電子制御スイッチを閉じ、第一値より小さい第二値だけ第1端子の電位を第2端子の電位より高く継続して維持することを含む。
【0014】
さらに一実施例において、該方法は第1電荷ポンプを設けることをさらに含み、設けられた第1電荷ポンプに応答して継続的に維持する。さらに一実施例において、該方法は設けられた電子制御スイッチに並列接続され、第1端子の電位が第2端子の電位より第一値だけ高い場合に第1端子から第2端子へ電流を流すように配置されるバイパス素子を設けること及び第2端子の電位より第一値だけ高い第1端子の電位に応答して設けられた第1電荷ポンプに初期電力を供給することをさらに含む。さらに一実施例において、該方法は第2端子を内部コモンノードに結合することをさらに含む。
【0015】
本発明の追加の特徴や効果は以下に示す図面と説明により明らかになるであろう。
【0016】
本発明をより良く理解するため及び本発明を実施するために、単なる例として、添付の図面を参照する。その中で、全体を通して同じ数字は対応する要素又は部分を指定する。
【0017】
具体的に詳細な図面を参照するにあたり、示される具体例は例として示すものであり、本発明の好適な実施例を説明するだけの目的で示すのであって、最も有用かつ本発明の原理と概念的特徴をもっとも容易に理解できると信じられる説明を提供するために示されることを強調しておきたい。この点に関し、本発明の基本的理解に必要とする以上に詳細に本発明の構造的詳細を示すようには試みていない。図面と共に記載する説明により、本発明のいくつかの形式を如何に実用上具現化することができるか、当業者にとって明白となっている。
添付図面において:
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来技術に従って、それぞれがバイパスダイオードを示し直列接続されたソーラーパネルアレイを含むソーラーパワー配列の高水準ブロック図を示す。
【図2】低電圧降下閉ループ単方向電子バルブの代表的実施例の高水準回路図を示す。
【図3】図2の低電圧降下閉ループ単方向電子バルブの単方向バルブ回路を初期化するはしご型実装回路図を示す。
【図4】図2の低電圧降下閉ループ単方向電子バルブの代表的な雷保護回路の概略図を示す。
【図5】代表的実施例に従って低電圧降下単方向電流を可能にする方法の高水準フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
本発明の少なくとも1つの実施例を詳細に説明する前に、本発明はそのアプリケーションにおいて以下の説明で述べられたあるいは図面に示された部品の詳細な構造や配置に限定されないことを理解されたい。本発明は様々な方法で実施され実行される他の実施形態に適用することができる。さらに、ここに使われるフレーズや用語は説明の目的で使用し、それに限定されるものではない。
【0024】
図2は低電圧降下閉ループ単方向電子バルブの代表的実施例の高水準回路図を示し、第1端子110、第2端子120、それに限定されることなくNMOSFETとして示す電子制御スイッチ130、それに限定されないが電子制御スイッチ130のNMOSFETの固有ボディダイオードとして示すバイパス素子140、電荷ポンプ150、起動ユニット60、電子制御スイッチ220、雷保護回路230、レジスタ235、第1及び第2ダイオード240、そして第1及び第2フィルタリングコンデンサ250を含む。起動ユニット160は低電圧オシレータ70、起動電荷ポンプ180、電子制御スイッチ190、低電圧電荷ポンプ200、初期化単方向バルブ回路210及びダイオード255を含む。電荷ポンプ150は、オシレータ260及び複数の非重複クロック270を含み、12のセラミックコンデンサ280を備える、それに限定されることなく1:100電荷ポンプとして示されるが、いずれにおいてもこれに限定されることはない。
【0025】
第1端子110は図1に関して上記するように、ソーラーパネルの帰還端子に接続され、第2端子120は図1に関して上記するように、ソーラーパネルの正端子に接続される。NMOS実装のソース端子として示される電子制御スイッチ130の第1端子は、第1端子110に接続される。NMOS実装のドレイン端子として示される電子制御スイッチ130の第2端子は第2端子120に接続される。バイパス素子140は、ある範囲の温度に亘って通常0.4ボルトより大きいダイオード降下分だけ第1端子110の電位が第2端子120の電位より高い場合、電流を第1端子110から第2端子120へ流すように配置される。
【0026】
第1端子110はさらに電荷ポンプ150の入力及び起動ユニット160の入力に接続され、特に低電圧オシレータ170、起動電荷ポンプ180及び低電圧電荷ポンプ200に接続される。さらに、各電荷ポンプ150、低電圧オシレータ170、起動電荷ポンプ180及び低電圧電荷ポンプ200は共通電位ノード、好ましくは低電圧降下閉ループ単方向電子バルブの内部へ接続される。低電圧オシレータ170の出力は起動電荷ポンプ180の入力及び低電圧電荷ポンプ200の入力に接続される。起動電荷ポンプ180の出力はこれに限定されないがNMOSFETとして示される電子制御スイッチ190のゲートに接続される。電子制御スイッチ190のソースは共通電位ノードに接続され、電子制御スイッチ190のドレインは第2端子120に接続される。
【0027】
限定されない実施態様でPMOSFETとして示される、初期化単方向バルブ回路210は第2端子120と共通電位ノードとの間に接続される。初期化単方向バルブ回路210がPMOSFETとして実装される限定されない実施態様において、単方向バルブ回路210のソース及びゲートは第2端子120に接続され、単方向バルブ回路210のドレインは共通電位ノードに接続される。
【0028】
電荷ポンプ150の出力はレジスタ235を介して電子制御スイッチ130のゲート及び雷保護回路230の第1端部に接続され、第1コンデンサ250の第1端部及び第1ダイオード240の陽極に接続される。VDD電位として示される第1ダイオード240の陰極は第2コンデンサ250の第1端部、第2ダイオード240の陰極、限定されることなくNMOSFETとして示される電子制御スイッチ220のゲート、及び各オシレータ260及び複数の非重複クロック270に接続されるものとして示される電荷ポンプ150のパワー入力に接続される。共通電位ノードはさらに各オシレータ260及び複数の非重複クロック270に接続される。
【0029】
電子制御スイッチ220のドレインは第2端子120に接続され、電子制御スイッチ220のソースは共通電位ノードに接続される。低電圧電荷ポンプ200の出力は第2ダイオード240の陽極に接続される。雷保護回路230の第2端部は第2端子120に接続される。各第1及び第2コンデンサ250の第2端部は共通電位ノードに接続される。共通電位ノードはダイオード255の陽極に接続され、ダイオード255の陰極は第1端子110に接続される。
【0030】
動作において、第2端子120が第1端子110より高い電位にある場合、即ち該当のソーラーパネルが電力を発生している場合、初期化単方向バルブ回路210は導通していなく、共通電位ノードはダイオード255によって第1端子110につながれる。代表的実施例では、NMOSFETがさらにダイオード255と並列に設けられ第1端子110と共通電位ノードの密接な接続を確実にする。
【0031】
該当のソーラーパネルが日陰に入ると、図1に関して記載したように、第1端子110の電位が第2端子120の電位より高く上昇し、電流がバイパス素子140を流れ始める。バイパス素子140は、以下に更に記載するように、好ましくは少なくとも10アンペアの電流を電荷ポンプ150がオンとなるまでの短い時間流すように配置される。代表的実施例において、相当量の電流が50ミリ秒より短い間バイパス素子140を流れる。バイパス素子140はダイオードの電圧降下に等しい電圧降下を示し、それは広い動作条件にわたり、少なくとも0.4ボルトである。
【0032】
バイパス素子140を通して順方向の電圧降下は約0.3ボルトの電圧降下で作動するように設計された低電圧オシレータ170を作動するのに十分である。低電圧オシレータ170の帰還路は初期化単方向バルブ回路210を通る。一実施例において、初期化単方向バルブ回路210は漏えいPMOSにより構成され、それは共通電位ノードと、上記のように第1端子110より低い電位にある第2端子120間のレジスタとして機能する。好ましくは、初期化単方向バルブ回路210は第1端子110が第2端子120より電位が高い場合、100mV以下に降下するように設置される。
【0033】
低電圧オシレータ170の出力は起動電荷ポンプ180に入力され、起動電荷ポンプ180は電子制御スイッチ190を閉じるのに十分な電圧を発生し始める。このようにして共通電位ノードを直接第2端子120に接続する。電子制御スイッチ190は閉じられると初期化単方向バルブ回路210によって供給される抵抗値のパスより低い抵抗値のパスを第2端子と共通電位ノード間に提供することを理解されたい。
【0034】
低電圧オシレータ170の出力はさらに低電圧電荷ポンプ200に流力され、低電圧電荷ポンプ200の動作は電子制御スイッチ190が閉じられることによりもたらされる第2端子120と共通電位ノード間のより改善された低い抵抗値のパスにより好ましく補強される。代表的実施例では約2ボルトの低電圧電荷ポンプ200の出力は第2ダイオード240を介して電荷ポンプ150に入力される。
【0035】
オシレータ260と複数の非重複クロック270を含む電荷ポンプ150は代表的実施例において増幅率1:100の電荷ポンプであり、好ましくはマコースキー電荷ポンプとして実装される。限定されない一例において、オシレータ260は50μsecのオシレータであり、コンデンサ280はそれぞれ10nF、15nF、22nF、33nF、39nF、47nF、56nF、74nF、100nF、150nF、220nF、及び1μFのような適当な数値のセラミックコンデンサである。
【0036】
電荷ポンプ150が動作する時、出力をフィルタするように働く第1コンデンサ250を通して出力電圧が発生する。限定されない一例において、第1コンデンサ250は100pFコンデンサである。限定されない一例において共通電位ノードに対し5ボルトの電荷ポンプ150の出力は電子制御スイッチ130のゲートに入力される。上記のように、電子制御スイッチ130のソースは第1端子110に接続され、共通電位ノードは電子制御スイッチ190の動作により第2端子120につながれている。従って、電子制御スイッチ130のゲートは電子制御スイッチ130のソース及びドレインよりもかなり高い電位にある。それによって電子制御スイッチ130を閉じ低電圧損失を伴ってそれに電流を流す。
【0037】
電荷ポンプ150の出力は第1ダイオード240を介し平滑コンデンサとして動作する第2コンデンサ250を通して電荷ポンプ150の電源入力に入力される。従って電荷ポンプ150の動作は第1端子110と共通電位ノード間の入力電位が最小限値に維持されるならば自律する。代表的実施態様おいては50mVが維持される。限定されない一実施では、第2コンデンサ250は電荷ポンプ150の負荷スパイクを処理するのに十分となるように選択される500pFのコンデンサである。上記のように、第1ダイオード240の陰極はVDDと表記する電位であり、それが電荷ポンプ150の動作電圧である。低電圧電荷ポンプ200の出力は第2ダイオード240の動作により切断される。
【0038】
電荷ポンプ150及び電子制御スイッチ130はこのように閉ループに配置され、必要とされる最小限の電位はリフレッシュを必要とせずに自動的に継続維持される。特に、第1端子110と共通電位ノード間の入力電圧が降下し始めると、電荷ポンプ150の出力が同様に降下し、その結果電子制御スイッチ130の両端の抵抗値が増大する。同様に、第1端子110と共通電位ノード間の入力電圧が上昇し始めると、電荷ポンプ150の出力が同様に上昇し、その結果電子制御スイッチ130の両端の抵抗値が減少する。
【0039】
DIODEと表記する電荷ポンプ150が動作中の第1端子110と第2端子120間の電圧は次式で表わすことができる。
【数1】

ここでVTHは電子制御スイッチ130がオンするしきい値を表し、Kは電子制御スイッチ130のMOSFETトランスコンダクタンス係数を表し、IDIODEは電荷ポンプ150の動作中に第1端子110と第2端子間を流れる電流を表し、GAINは電荷ポンプ150の増幅率を表す。
【0040】
上記の最小電位は起動ユニット160の動作を維持するには不十分であり、従って起動ユニット160は遮断される。ゲートがVDDに接続される電子制御スイッチ220は共通電位ノードと第2端子120間の接続を維持する。
【0041】
雷保護回路230は低電圧降下閉ループ単方向電子バルブに対し雷保護を提供する。その動作は以下に更に説明する。
【0042】
図3は、図2の低電圧降下閉ループ単方向電子バルブの初期化単方向バルブ回路210のはしご型実装の回路図を示し、ダイオード300と複数のレジスタ310と複数のNMOSFET320を含む。第2端子120及び共通電位ノードはさらに明確にするために図示する。ダイオード300の陽極は第2端子120に接続され、第1レジスタ310の第1端はダイオード300の陰極に接続される。
【0043】
第1レジスタ310の第2端は第1NMOSFET320のゲート及び第2レジスタ310の第1端に接続される。第2レジスタ310の第2端は第2NMOSFET320のゲート及び第3レジスタ310の第1端に接続される。第3レジスタ310の第2端は第3NMOSFET320のゲート及び第4レジスタ310の第1端に接続される。第4レジスタ310の第2端は第4NMOSFET320のゲート及び第5レジスタ310の第1端に接続される。第5レジスタ310の第2端は第5NMOSFET320のゲート及び第6レジスタ310の第1端に接続される。第6レジスタ310の第2端は第6NMOSFET320のゲート及び共通電位ノードに接続される。限定されない一の実施例では、レジスタ310は各1Mオームのレジスタである。
【0044】
第2端子120はさらに第1NMOSFET320のドレインに接続され、第1NMOSFET320のソースは第2NMOSFET320のドレインに接続される。
第2NMOSFET320のソースは第3NMOSFET320のドレインに接続される。第3NMOSFET320のソースは第4NMOSFET320のドレインに接続される。第4NMOSFET320のソースは第5NMOSFET320のドレインに接続される。第5NMOSFET320のソースは第6NMOSFET320のドレインに接続される。第6NMOSFET320のドレインは共通電位ノードに接続される。代表的実施例において、NMOSFET320はそれぞれしきい値より低い電流が供給される。限定されない一の実施例ではNMOSFET320及びレジスタ310を流れるしきい値より低い電流の組合せは250μAより少ない。
【0045】
動作において、第2端子120の電位が共通電位ノードの電位より高い場合、即ち当該ソーラーパネルが電力を出力している場合、レジスタ310は分圧器として動作し、電圧がいかなるNMOSFET320の定格も超えられないようにするが、実質上レジスタ310を流れる電流はない。共通電位ノードの電位は図2のダイオード255の動作及び選択的な追加の能動回路により第1端子110側へ引っ張られる。6番目のNMOSFET320はそのゲートがそのソースに接続されるので、NMOSFET320にはしきい値以下の無視できる電流のみが流れる。
【0046】
第2端子120の電位が共通電位ノードより低い場合、即ち該当するソーラーパネルが電力を出力していない場合、ダイオード300はレジスタ310に電流が流れるのを阻止し、従って全てのNMOSFET320のゲートの電位は同じになる。逆極性により電流はソースからドレインに流れるので6番目のNMOSFET320が導通し、6番目のNMOSFET320のゲートとドレイン間に適当な作動電圧が示される。好ましくはNMOSFET320の作動電圧は約100mVに選択され、低電圧オシレータ170に対し低電圧損失帰還路を設ける。
【0047】
上記は高電圧の定格と共に低しきい値電圧を示すNMOSFETが実装されない実施例について記載した。低しきい値電圧と高電圧の定格を有するNMOSFETが実装される場合は、単方向バルブ回路210はそのゲートとソースが共通電位ノードに縛られる単一のNMOSFETによって設けることができる。
【0048】
図4は、第1ツエナ−ダイオード400、第2ツエナ−ダイオード410、ダイオード430及びレジスタ440から構成される図2の低電圧降下閉ループ単方向電子バルブの代表的な雷保護回路230の回路図を示す。明確にするため、さらに図2の電子制御スイッチ130、バイパス素子140、レジスタ235、第1端子110及び第2端子120が示されている。ツエナ−ダイオード400の陰極は第2端子120に接続され、ツエナ−ダイオード400の陽極はツエナ−ダイオード4010の陽極に接続されている。ツエナ−ダイオード4010の陰極は電子制御スイッチのゲート及びレジスタ440の第1端に接続される。レジスタ440の第2端はダイオード430の陰極及びダイオード430の陽極は第1端子110に接続される。限定されない一実施例において第1ツエナ−ダイオード400は25ボルトの降伏電圧を示し、第2ツエナ−ダイオード410は5ボルトの降伏電圧を示す。
【0049】
動作に置いて、第1端子110を直撃する雷はバイパス素子140を通過し、ダイオード430及びレジスタ440を介して電子制御スイッチ130のゲートを充電する。第2端子120を直撃する雷はツエナ−ダイオード400及びツエナ−ダイオード410を通過し、電子制御スイッチ130のゲートを充電する。残余の電流が電子制御スイッチ130を流れ、それにより電子制御スイッチ130は十分にオンを維持する。限定されない一実施では100Kオームのレジスタであるレジスタ235はゲート電流となる雷を残余の回路から隔離する。ツエナ−ダイオード410は電荷ポンプ150の出力がツエナ−ダイオード400を通り第2端子120に進むのをブロックする。
【0050】
図5は代表的実施例に従って低電圧降下単方向電流を可能にする方法の高水準フローチャートを示す。ステージ1000で、第1端子及び第2端子間に結合された電子制御スイッチが設けられる。ステージ1010で、設けられたステージ1000の電子制御スイッチが、第1端子の電位が代表的には少なくとも0.4ボルトの第一値だけ第2端子の電位より高い場合に閉じる。
【0051】
ステージ1020で、第1端子の電位が第一値より小さい第二値だけ第2端子の電位より高く継続維持される。代表的実施例では、第二値は50ミリボルトである。選択的に第1電荷ポンプを設けることにより電位は維持される。
【0052】
選択ステージ1030において、ステージ1000で設けられた電子制御スイッチと並列にバイパス素子が設けられ、バイパス素子は第1端子の電位が第2端子の電位より第一値だけ高い場合に第1端子より第2端子への電流の流れを許容するように配置される。設けられた第1電荷ポンプへの初期電力は前記第2端子の電位より第一値だけ高い第1端子の電位に応答して供給される。選択ステージ1040では、第1端子の電位が第2端子の電位より少なくとも第二値だけ高い場合に第2端子は内部共通電位ノードへ結合される。
【0053】
明確化のため別の実施例の記載中に述べる本発明の特定の特徴は単一の実施例の中で組み合わせて設けることもできることを理解されたい。逆に、簡潔化のために単一の実施例の記載中に述べる本発明の様々の特徴は適当なサブコンビネーションで別々に提供することもできる。
【0054】
特に他に限定がなければ、ここで用いる全ての技術的、科学的用語は本発明が属する分野の当業者が共通して理解する用語と同一の意味を有する。ここに記載するものと類似あるいは同等の方法は本発明の実施や試験に使うことができるが、ここには適当な方法が記載されている。
【0055】
ここで記載する全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の資料は参照することによりその全体が本願に組み込まれる。不一致が生じる場合には、定義を含め本願明細書の内容が優先する。更に、材料、方法、及び例は説明の目的でのみ開示され、それらに限定されることを意図しない。
【0056】
ここで用いる用語の「有する」、「含む」及びそれらの同根語は「有するが必ずしもそれに限定されない」ことを意味する。
【0057】
本発明が具体的に上記に示し記載するものに限定されないことを当業者は理解されたい。むしろ、本発明の範囲は添付する請求範囲により限定され、上記の様々の特徴の組合せ及びサブコンビネーションの両方とともに、上記記載を読むことで当業者に想起されるその変形例、修正を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
第2端子と、
前記第1端子及び前記第2端子の間に結合される第1電子制御スイッチと、
前記第1端子の電位が前記第2端子の電位より第一値だけ高い場合に前記第1電子制御スイッチを閉じるように配置される第1電荷ポンプと、を含む低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項2】
前記第2端子の電位より前記第一値だけ高い前記第1端子の前記電位を継続して維持するように、前記第1電荷ポンプは前記第1電子制御スイッチと閉ループに配置されることを特徴とする請求項1に記載の低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項3】
前記第1電子制御スイッチと並列に結合され、前記第1端子の電位が前記第2端子の電位より、前記第一値より大きい第二値だけ高い場合に、前記第1端子から前記第2端子へ電流の流れを許容するように配置されるバイパス素子と、
前記第1端子に結合され、前記第二値だけ前記第2端子の電位より高い前記第1端子の前記電位に応答して前記第1電荷ポンプへ初期電力を供給するように配置された起動ユニットと、をさらに含む請求項2に記載の低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項4】
前記第1電子制御スイッチは、前記バイパス素子であるボディダイオードを示す金属酸化膜半導体電界効果トランジスタから構成されることを特徴とする請求項3に記載の低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項5】
前記起動ユニットは、
前記第二値だけ前記第2端子の電位より高い前記第1端子の前記電位に応答して動作するオシレータと、
前記オシレータに応答する第2電荷ポンプと、
前記第2電荷ポンプに応答する第2電子制御スイッチを含み、
前記第2電荷ポンプが動作中に前記第2端子を内部コモンノードへ結合するように前記第2電子制御スイッチが配置されることを特徴とする請求項3に記載の低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項6】
前記起動ユニットは、
前記第1電荷ポンプへ初期電力を供給するように配置され、前記オシレータに応答して動作する第3電荷ポンプをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項7】
前記起動ユニットは、
前記オシレータ及び前記第2端子間に結合され、前記オシレータのための初期帰還路を設けるように配置される単方向バルブ回路をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項8】
前記第1電荷ポンプの出力と前記第1電荷ポンプの電力入力との間に結合されるブートストラップ回路をさらに含む請求項7に記載の低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項9】
前記第2端子と前記内部コモンノードとの間に接続され、前記ブートストラップ回路に応答する第3電子制御スイッチをさらに含む請求項7に記載の低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項10】
前記起動ユニットは、
前記オシレータに応答して動作し、前記第1電荷ポンプへ前記初期電力を供給するように配置される第3電荷ポンプをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の低電圧降下単方向電子バルブ。
【請求項11】
低電圧降下単方向電流の流れを可能にする方法であって、該方法は、
第1端子と第2端子との間に結合される電子制御スイッチを設け、
前記第1端子の電位が前記第2端子の電位より第一値だけ高い場合に前記設けられた電子制御スイッチを閉じ、
前記第2端子の電位より前記第一値より小さい第二値だけ高い前記第1端子の電位を継続して維持することを含む方法。
【請求項12】
第1電荷ポンプを設けることをさらに含み、前記継続して維持することは前記設けられた第1電荷ポンプに応答する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記設けられた電子制御スイッチに並列に結合され、第1端子の電位が第2端子の電位より前記第一値だけ高い場合に第1の端子から第2の端子へ電流の流れを許容するように配置されるバイパス素子を設けること、及び
前記第2端子より前記第一値だけ高い前記第1端子の前記電位に応答して前記設けられた第1電荷ポンプへ初期電力を供給することをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2端子を内部コモンノードへ結合することをさらに含む請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−533217(P2012−533217A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519559(P2012−519559)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/038583
【国際公開番号】WO2011/005424
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(512006516)
【Fターム(参考)】