説明

住宅用セキュリティシステム

【課題】住宅の建物内への出入りが許可された人物として認証されなかった人物の顔を確認可能として使い勝手を向上する。
【解決手段】顔認証装置Aは、許可者照合部4で照合不可と判定された顔形を、不審者候補照合部6が不審者候補用テンプレート記憶部7に記憶されている不審者候補用テンプレートと照合する。所定期間に前記カウンタのカウント値が閾値を超えた場合、制御部10は、当該不審者候補用テンプレートの不審者候補識別情報に対応する顔画像を顔画像記憶部12から読み出し、読み出した顔画像を通信部11より全ての住戸機H若しくは予め決められた住戸の住戸機Hなどに宛てて送信させる。各住戸機Hでは、通信部24で受信した顔画像を演算処理部25が表示部22に表示することによって、当該住戸の住人に対して表示部22に表示された顔画像で不審者候補を確認させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅や戸建て住宅の建物内への人の出入りを管理する住宅用セキュリティシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の住宅用セキュリティシステムとしては、集合住宅の共同玄関(ロビー)に設置された来訪者用通話装置(ロビーインターホン)、集合住宅の各住戸に設置される住戸機(インターホン機器あるいは住戸情報盤)、住戸機が具備する操作釦の操作に応じて共同玄関を解錠する電気錠装置などを備えたセキュリティインターホンシステムあるいは住宅情報盤システムが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ある人物が予め登録されている人物であるか否かを当該人物の顔形で認証する顔認証装置(例えば、特許文献2参照)と組み合わせたシステムも提供されている。
【0004】
特許文献2に記載されている従来の顔認証装置は、発光ダイオードが発する赤外光を高速変調した変調光を人物の顔に照射し、CCDからなる撮像素子で受光する当該変調光の反射光成分と周囲光の反射光成分とを区別して変調光だけの顔画像(光変調画像)を取得することにより、環境光(例えば、太陽光)の影響を受けない安定した濃淡画像を得ることができ、その結果、屋外の太陽光下であっても高い認証精度が確保できるという特徴を有している。すなわち、この従来装置では、発光ダイオードが発する赤外光を高速変調した変調光を人物の顔に照射し、CCDからなる撮像素子で受光する当該変調光の反射光成分と周囲光の反射光成分とを区別して変調光だけの光変調画像を取得する。さらに当該従来装置では、光変調画像から人物の顔領域(顔画像)を抽出し、当該顔画像の特徴量を予め登録されているテンプレートと照合することにより、テンプレートに対応した人物の顔を認証するのである。
【特許文献1】特開2004−129148号公報
【特許文献2】特開2006−155422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、テンプレートが登録されていない人物(未登録者)は顔認証装置によって認証不可と判定されるのであるが、住人や管理人が顔認証による判定結果を知る術が無く、未登録者が何れかの住戸を来訪した来訪者(当該住戸に住む住人の知人)であるのか、あるいはそれ以外の不審者であるのかを確認することができなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、住宅の建物内への出入りが許可された人物として認証されなかった人物の顔を確認可能として使い勝手を向上することができる住宅用セキュリティシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、住宅の建物内への人の出入りを管理する住宅用セキュリティシステムであって、建物内への出入口を含む対象空間を撮像する撮像手段と、撮像手段で撮像された画像から人物の顔画像を抽出する顔画像抽出手段と、建物内への出入りが許可された人物の顔形を当該人物の識別情報に対応した許可者用テンプレートとして記憶する許可者用テンプレート記憶手段と、顔画像抽出手段で抽出される顔画像を許可者用テンプレート記憶手段に記憶されている許可者用テンプレートと照合する許可者照合手段と、許可者照合手段によって許可者用テンプレートに一致しないと判定された顔画像を不審者候補用テンプレートとして記憶する不審者候補用テンプレート記憶手段と、許可者照合手段によって許可者用テンプレートに一致しないと判定された顔画像を不審者候補用テンプレート記憶手段に記憶されている不審者候補用テンプレートと照合する不審者候補照合手段と、不審者候補照合手段によって不審者候補用テンプレートに一致すると判定された当該顔画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によれば、不審者候補照合手段によって不審者候補用テンプレートに一致すると判定された当該顔画像を表示手段に表示するので、建物内への出入りが許可された人物として認証されなかった人物(不審者候補)の顔を確認可能として使い勝手を向上することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、建物内に設置される住戸機が前記表示手段を具備することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、不審者候補の顔画像を住戸機で確認することができて使い勝手がさらに向上できる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、住戸機は、操作入力を受け付ける操作入力受付手段を具備し、操作入力受付手段が不審者登録の操作入力を受け付けたときに表示手段が表示している顔画像に一致すると判定された不審者候補用テンプレートを不審者用テンプレートとして記憶する不審者用テンプレート記憶手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、不審者候補照合手段によって不審者候補用テンプレートに一致すると判定された顔画像を記憶する顔画像記憶手段を備え、住戸機は、顔画像記憶手段に記憶されている顔画像を読み出して表示手段に表示させる顔画像再生手段を具備し、操作入力受付手段が不審者登録の操作入力を受け付けたときに顔画像再生手段が表示手段に表示させている顔画像に一致すると判定された不審者候補用テンプレートを不審者用テンプレートとして記憶する不審者用テンプレート記憶手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項2〜4の何れか1項の発明において、住戸機の操作入力受付手段が許可者登録の操作入力を受け付けたときに、表示手段が表示している顔画像に一致すると判定された不審者候補用テンプレートを許可者用テンプレートとして許可者用テンプレート記憶手段に記憶させる許可者用テンプレート登録手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明によれば、例えば、住人が建物内への出入りを許可したいと考える人物(例えば、当該住人の知人)が不審者候補として扱われている場合、住戸機の操作入力受付手段を操作することで当該人物の顔画像を許可者用テンプレートとして許可者用テンプレート記憶手段に記憶させれば、次回以降は当該人物が許可者として自由に建物内に出入りすることができるために使い勝手がさらに向上できる。
【0015】
請求項6の発明は、請求項3〜5の何れか1項の発明において、許可者照合手段によって許可者用テンプレートに一致しないと判定された顔画像を不審者用テンプレート記憶手段に記憶されている不審者用テンプレートと照合する不審者照合手段と、不審者照合手段が不審者用テンプレートに一致すると判定した場合に不審者出現情報を住戸機に伝送する伝送手段とを備え、住戸機は、伝送手段から伝送される不審者出現情報を受け取ったときに警告を発する警告手段を具備することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明によれば、住戸に居る住人に不審者が出現したことを警告することで防犯性が向上できる。
【0017】
請求項7の発明は、請求項3〜6の何れか1項の発明において、建物内への出入口に設置され、来訪者によって呼出操作されたときに住戸機に呼出信号を送信するとともに当該住戸機との間に形成される通話路を通して通話信号を授受する来訪者用通話装置を備え、住戸機は、来訪者用通話装置から送信された呼出信号を受信したときに呼出音を鳴動させる呼出音鳴動手段と、来訪者用通話装置との間に通話路を形成するとともに当該通話路を通して通話信号を授受する通話手段とを具備し、来訪者用通話装置は、不審者照合手段によって顔画像が不審者用テンプレートに一致すると判定されてから所定時間の間は呼出信号の送信を行わないことを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明によれば、不審者による不要な呼出音が住戸機の呼出音鳴動手段から鳴動されることを防ぐことができる。
【0019】
請求項8の発明は、請求項1〜7の何れか1項の発明において、許可者照合手段は、顔画像が許可者用テンプレートに一致すると判定した場合、当該許可者用テンプレートに対応する識別情報若しくは当該顔画像の少なくとも何れか一方を、当該識別情報に対応する住戸の住戸機に伝送し、当該住戸機は、許可者照合手段から受け取った識別情報若しくは顔画像を表示手段に表示することを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明によれば、例えば、帰宅した住人の識別情報若しくは当該住人の顔画像が住戸機の表示手段に表示されるので、住戸に居る住人に誰が帰宅したのかを知らせることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、住戸の建物内への出入りが許可された人物として認証されなかった人物(不審者候補)の顔を確認可能として使い勝手を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明をマンションなどの集合住宅に適用した実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。但し、本発明の技術思想が適用可能な住宅は集合住宅に限定されるものではなく、戸建て住宅にも適用可能であることは言うまでもない。
【0023】
図2は、本実施形態の集合住宅用セキュリティシステムのシステム構成例を示している。この集合住宅用セキュリティシステムは、顔認証装置A、来訪者用通話装置(ロビーインターホン)B、警報監視盤C、電気錠制御装置D、エレベータ制御盤E、宅配ボックス制御盤F、システム制御盤G、各住戸に設置される住戸機(インターホン機器あるいは住戸情報盤)Hなどで構成されており、管理区域である集合住宅の住棟内に出入りする人物を、顔認証装置Aによって顔形で認証するものである。
【0024】
ロビーインターホンBは、来訪者を撮像するカメラ、警報監視盤Cや住戸機Hとの間で通話するための通話装置、来訪者が訪問先の住戸の住戸番号などを入力するためのテンキーなどを備え、集合住宅の出入口である共同玄関Jの外に設置されている。来訪者がロビーインターホンBのテンキーを操作して訪問先の住戸の住戸番号を入力すると、当該住戸番号の住戸に設置されている住戸機Hに対し、ロビーインターホンBから警報監視盤Cを経由して、呼出信号並びにロビーインターホンBのカメラで撮像された訪問者の映像が伝送される。そして、呼出信号を受け取った住戸機Hにおいては、ロビーインターホンBから受け取る映像をディスプレイに表示するとともにスピーカから呼出音を鳴動させる。当該住戸の住人が住戸機Hの応答釦を押操作すれば、住戸機HとロビーインターホンBとの間に通話路が形成され、来訪者と住人とがそれぞれロビーインターホンB及び住戸機Hを用いて通話することができる。尚、この種のロビーインターホンB、警報監視盤Cについては従来周知であるから詳細な構成についての図示並びに説明は省略する。
【0025】
電気錠制御盤Dは、共同玄関Jに設けられた電気錠(図示せず)の施錠・解錠を制御する。エレベータ制御盤Eは、集合住宅に設置されているエレベータ(図示せず)の運転を制御する。宅配ボックス制御盤Fは、集合住宅に設置されている宅配ボックスの施錠・解錠などを制御する。システム制御盤Gは、住戸機Hから伝送される制御指令や顔認証装置Aの認証結果に応じて、電気錠制御盤Dに電気錠を解錠させたり、エレベータ制御盤Eにエレベータを運転させたり、宅配ボックス制御盤Fに宅配ボックスを解錠させるといったことを行わせるものである。顔認証装置Aでは、共同玄関Jの外に居る人物の顔形を予め登録されているテンプレートと照合することで当該人物が登録者(住人)か否かの顔認証を行い、認証できればシステム制御盤Gに認証可の情報を伝送する。そしてシステム制御盤Gは、顔認証装置Aから認証可の情報を受け取ると電気錠制御盤Dに共同玄関Jの電気錠を解錠させたり、エレベータ制御盤Eにエレベータを運転させたり、宅配ボックス制御盤Fに宅配ボックスを解錠させる。一方、顔認証装置Aによる認証が不可であった場合、システム制御盤Gでは、顔認証装置Aから認証不可の情報を受け取ると電気錠制御盤Dに電気錠を解錠させず、エレベータ制御盤Eにエレベータの運転を行わせず、且つ宅配ボックス制御盤Fに宅配ボックスを解錠させない。尚、電気錠制御装置D、エレベータ制御盤E、宅配ボックス制御盤Fは従来周知のものであるから、詳細な構成の図示並びに説明は省略する。
【0026】
住戸機Hは、図1(b)に示すようにマイクロホン及びスピーカを有して音声を入力並びに出力する音入出力部20と、通信線Lxを介してロビーインターホンBとの間に通話路を形成することでロビーインターホンBから送られてくる受話音声を音入出力部20から出力させるとともに音入出力部20より入力される送話音声を通話路に送出してロビーインターホンBへ送る通話部21と、液晶ディスプレイのような表示デバイスを有し、ロビーインターホンBから通信線Lxを介して伝送される映像等を表示する表示部22と、応答釦やその他の操作釦を有し、当該釦が押操作されたときに各々の釦に対応した操作入力を受け付ける操作入力受付部23と、通信線Lxを介して音声信号や映像信号並びに制御信号を送受信する通信部24と、マイクロコンピュータからなり、これら各部を制御する演算処理部25とを具備している。住戸機Hには通信用のアドレス(例えば、住戸番号)が割り当てられており、このアドレスを用いてロビーインターホンBや警報監視盤C、システム制御盤G、顔認証装置Aと各住戸機Hとが個別に通信できるようになっている。尚、通信線Lxは音声信号を伝送する通話線、ロビーインターホンBから送信される映像信号を伝送する映像線、呼出信号や制御信号等を伝送する信号伝送線の3線で構成されているが、周波数分割多重伝送技術を用いて2線あるい1線で全ての信号を伝送しても構わない。
【0027】
既に説明したように、来訪者がロビーインターホンBのテンキーを操作して訪問先の住戸の住戸番号を入力すると、当該住戸番号の住戸に設置されている住戸機Hに対し、ロビーインターホンBから警報監視盤Cを経由し、通信線Lxを介して呼出信号並びにロビーインターホンBのカメラで撮像された訪問者の映像が伝送される。当該住戸番号をアドレスとする住戸機Hでは、通信部24で受信する呼出信号に応じて演算処理部25が音入出力部20のスピーカから呼出音を鳴動させるとともに、通信部24で受信する映像信号を信号処理して表示部22に来訪者の映像を表示させる。呼出音の鳴動を開始してから所定時間(数分間)の間に応答釦が押操作されて操作入力受付部23が操作入力を受け付けると、演算処理部25は通話部21に通話路を形成させてロビーインターホンBとの音声信号の授受を可能とする。そして、通話路を形成してから所定の通話時間(数分間)が経過するか、あるいは再度応答釦が押操作されると、演算処理部25は通話部21に通話路を開放させるとともに表示部22への映像出力を停止して待機状態に戻る。
【0028】
図1(a)に本実施形態の顔認証装置Aのブロック図を示す。撮像手段たる光変調カメラ部1は、赤外光を発する1乃至複数個の発光ダイオード、発光ダイオードを点灯させる駆動回路、駆動回路を制御し、非常に高い周波数(例えば、10メガヘルツ)で発光ダイオードを駆動させることによって対象空間に変調光を照射させる発光制御部、赤外光に感度を有する撮像素子(例えば、CCD<電荷結合素子>)、対象空間から入射する光を撮像素子に集光するレンズ、発光制御部から出力されるタイミング信号に基づき、発光ダイオードの発光周期に同期して、撮像素子の各画素の出力から赤外光の反射光成分のみを取り出す処理(以下、「同期検波処理」と呼ぶ。)を行い、同期検波処理で取り出される反射光成分を画素値とする光変調画像を生成する信号処理回路などで構成されている。また光変調カメラ部1は所定のフレーム周期で光変調画像を連続して生成しており、生成された光変調画像は画像メモリ2に時系列で格納(記憶)される。但し、このような光変調カメラ部1の具体構成については、特許文献2にも記載されているように既に公知であるから図示並びに詳細な説明は省略する。
【0029】
顔画像抽出部3は、画像メモリ2に格納されている光変調画像から人物の顔画像(顔領域)を抽出する顔画像抽出処理、抽出された顔画像から人物の顔の特徴量(例えば、目、鼻、口などの顔器官形状の特徴に対応した情報)を抽出する特徴量抽出処理を行うものである。顔画像抽出部3では、所定時間(例えば、数秒〜数十秒)内に連続して撮像された複数フレームの画像から、対象空間に存在している人物の顔画像を抽出した場合に特徴量抽出処理を実行する。但し、顔画像抽出処理、特徴量抽出処理、照合処理については、特許文献2にも記載されているように既に周知技術であるから詳細な説明は省略する。
【0030】
また許可者照合部4は、顔画像抽出部3によって抽出された特徴量(顔形)を、予め許可者用テンプレート記憶部5に記憶(登録)されている許可者用テンプレートと照合し、顔形が何れかの許可者用テンプレートに一致すれば照合可を示す照合結果を制御部10に出力し、顔形が何れの許可者用テンプレートにも一致しなければ照合不可を示す照合結果を制御部10に出力する。制御部10は、照合可の照合結果を受け取ると認証可を示す認証結果を通信部11よりシステム制御盤Gに通知し、照合不可の照合結果を受け取ると認証不可を示す認証結果を通信部11よりシステム制御盤Gに通知する。
【0031】
システム制御盤Gは、顔認証装置Aから受け取った認証結果が認証可であれば、電気錠制御盤Dに電気錠を解錠させるとともにエレベータ制御盤Eにエレベータを運転させ、さらに宅配ボックス制御盤Fに宅配ボックスを解錠させる。一方、顔認証装置Aから受け取った認証結果が認証不可であれば、システム制御盤Gは電気錠制御盤D、エレベータ制御盤E、宅配ボックス制御盤Fに対して何の制御も行わない。よって、予め登録されていない人物(集合住宅の住人以外の人物)が勝手に住棟内に侵入することを阻止できる。ここで、照合結果が照合可である場合、顔認証装置Aの制御部10は許可者照合部4で照合可と判定された許可者用テンプレートに対応する識別情報を許可者用テンプレート記憶部5から読み出すとともに、照合可と判定された顔形の元の顔画像を顔画像抽出部3から取得し、当該識別情報(住戸番号)に対応する住戸機Hに対して顔画像抽出部3から取得した顔画像を識別情報とともに通信部11より送信させる。前記住戸番号をアドレスとする住戸機Hでは、通信部24で受信した顔画像及び識別情報の少なくとも何れか一方を演算処理部25が表示部22に表示することによって、当該住戸の住人に対して誰が帰宅したのかを表示部22に表示された顔画像あるいは識別情報によって確認させることができる。
【0032】
また、許可者照合部4で何れの許可者用テンプレートにも一致しないと判定された顔形は、制御部10により、不審者候補用テンプレートとして、当該不審者候補を識別するための不審者候補識別情報と対応付けて不審者候補用テンプレート記憶部7に記憶(登録)される。また制御部10は、当該顔形の抽出元である顔画像を顔画像抽出部3から取得し、前記不審者候補識別情報と対応付けて顔画像記憶部12に記憶させる。
【0033】
以下では、不審者候補用テンプレート記憶部7に少なくとも1つの不審者候補用テンプレートが記憶されていることを前提として説明する。
【0034】
顔認証装置Aにおいては、許可者照合部4で照合不可と判定された顔形を、不審者候補照合部6が不審者候補用テンプレート記憶部7に記憶されている不審者候補用テンプレートと照合する。不審者候補照合部6によって何れかの不審者候補用テンプレートに一致すると判定された場合、制御部10は、当該不審者候補用テンプレートの不審者候補識別情報に対応したカウンタをインクリメントする。一方、不審者候補照合部6によって何れの不審者候補用テンプレートにも一致しない判定された場合、制御部10は、当該顔形を新たな不審者候補用テンプレートとして、当該不審者候補を識別するための不審者候補識別情報と対応付けて不審者候補用テンプレート記憶部7に記憶させる。そして、所定期間(数十分〜数時間)の間に前記カウンタのカウント値が閾値(2以上の整数)を超えた場合、制御部10は、当該不審者候補用テンプレートの不審者候補識別情報に対応する顔画像を顔画像記憶部12から読み出し、読み出した顔画像を通信部11より全ての住戸機H若しくは予め決められた住戸の住戸機Hあるいは管理人室に設置されている警報監視盤Cに宛てて送信させる。但し、前記所定時間が経過しても前記カウンタがインクリメントされなければ、制御部10は当該カウンタを初期化する。
【0035】
各住戸機H(あるいは警報監視盤C)では、通信部24で受信した顔画像を演算処理部25が表示部22に表示することによって、当該住戸の住人に対して表示部22に表示された顔画像で不審者候補を確認させることができる。不審者候補の顔画像を表示部22に表示している状況において、住戸機Hの操作入力受付部23で不審者登録の操作入力が受け付けられると、演算処理部25は不審者登録を指示する制御コマンドを生成し、通信部24より顔認証装置Aに宛てて前記制御コマンドを含む制御信号を送信させる。一方、不審者候補の顔画像を表示部22に表示している状況において、住戸機Hの操作入力受付部23で許可者登録の操作入力が受け付けられると、演算処理部25は許可者登録を指示する制御コマンドを生成し、通信部24より顔認証装置Aに宛てて前記制御コマンドを含む制御信号を送信させる。尚、不審者登録及び許可者登録の操作入力は、操作入力受付部23が有する各々専用の操作釦が操作されることで受け付けられるものであってもよいし、他の操作釦(例えば、応答釦)が長押しされることで受け付けられるものであってもよい。
【0036】
顔認証装置Aの制御部10は、通信部11で受信する制御信号によって不審者登録の制御コマンドを受け取ると、先ほど住戸機Hに対して送信した顔画像の不審者候補識別情報に対応する不審者候補用テンプレートを、不審者用テンプレートとして当該不審者を識別するための不審者識別情報と対応付けて不審者用テンプレート記憶部9に記憶(登録)させる。一方、通信部11で受信する制御信号によって許可者登録の制御コマンドを受け取った場合、制御部10は、先ほど住戸機Hに対して送信した顔画像の不審者候補識別情報に対応する不審者候補用テンプレートを、許可者用テンプレートとして当該許可者を識別するための許可者識別情報と対応付けて許可者用テンプレート記憶部5に記憶(登録)させる。
【0037】
そして、不審者用テンプレート記憶部9に少なくとも1つの不審者用テンプレートが記憶されている状況においては、許可者照合部4で照合不可と判定された顔形を、不審者候補照合部6が不審者候補用テンプレート記憶部7に記憶されている不審者候補用テンプレートと照合するとともに、不審者照合部8が不審者用テンプレート記憶部9に記憶されている不審者用テンプレートとも照合する。そして、不審者照合部8が不審者用テンプレートに一致すると判定した場合、制御部10は、当該不審者用テンプレートの不審者識別情報に対応する顔画像を顔画像抽出部3から取得し、不審者が出現したことを知らせる不審者出現情報とともに取得した顔画像を通信部11より全ての住戸機H若しくは予め決められた住戸の住戸機Hあるいは管理人室に設置されている警報監視盤Cに宛てて送信させる。
【0038】
各住戸機H(あるいは警報監視盤C)では、通信部24で受信した顔画像を演算処理部25が表示部22に表示させるとともに警告音や警告メッセージ(例えば、「不審者が出現しました。」など)を音入出力部20のスピーカから鳴動させることによって、当該住戸の住人に対して不審者が出現したことを住戸の住人に警告する。あるいは、住戸機Hに設けられている表示ランプ(図示せず)を点灯あるいは点滅させて不審者の出現を警告するようにしても構わない。
【0039】
また、不審者照合部8が不審者用テンプレートに一致すると判定した場合、制御部10からシステム制御盤Gを経由して警報監視盤Cに不審者出現情報を送信し、この不審者出現情報に応じて、警報監視盤CがロビーインターホンBから住戸機Hへの呼出信号の送信を禁止すれば、不審者による不要な呼出音が住戸機Hのスピーカから鳴動されることを防ぐことができる。
【0040】
而して本実施形態によれば、住戸の住人が表示部22に顔画像が表示された不審者候補を不審者であると判断すれば、操作入力受付部23から不審者登録の操作入力を行うことで当該顔画像から抽出された顔形が不審者用テンプレートとして不審者用テンプレート記憶部9に記憶され、これ以降、不審者用テンプレートを用いて不審者の顔認証が行われ、不審者と認証された場合に住戸機Hから警告を発するので、集合住宅用セキュリティシステムにおけるセキュリティレベルを高めることができる。また、不審者候補に登録された人物が住人の知人であって、当該住人が住戸機Hの操作入力受付部23から許可者登録の操作入力を行うことで当該人物の顔形を許可者用テンプレートとして登録することができ、これ以降、住人と同様に許可者照合部4で照合されるために自由に住棟内に出入りすることができる。
【0041】
ところで、ロビーインターホンBでは、テンキーが操作されて何れかの住戸番号が入力されると、警報監視盤Cに対して当該住戸番号と呼出要求を送信し、この呼出要求に応じて警報監視盤Cから当該住戸番号の住戸機Hに対して呼出信号が送信されるのであるが、警報監視盤Cにおいては、呼出要求を受け取ったときに、システム制御盤Gを介して顔認証装置Aに顔画像の保存要求を送信する。顔認証装置Aの制御部10は、警報監視盤Cから受け取った保存要求に応じて、顔画像抽出部3から取得した顔画像を、撮像された日時及び滞在時間並びに住戸番号と対応付けて顔画像記憶部12に記憶させる。そして、住戸機Hから警報監視盤C及びシステム制御盤Gを介して保存された顔画像の配信要求を受け取ると、顔認証装置Aの制御部10は、顔画像記憶部12に記憶している顔画像のうちから配信要求元の住戸機Hの住戸番号に対応する顔画像を読み出し、読み出した顔画像と撮像された日時及び滞在時間の情報とを通信部11より当該配信要求元の住戸機Hへ配信(送信)させる。
【0042】
住戸機Hでは、顔認証装置Aから配信された顔画像とその他の情報を、演算処理部25が通信部24より受け取って表示部22に表示させる。顔認証装置Aに保存されている顔画像を表示部22に表示している状況において、住戸機Hの操作入力受付部23で不審者登録の操作入力が受け付けられると、演算処理部25は不審者登録を指示する制御コマンドを生成し、通信部24より顔認証装置Aに宛てて前記制御コマンドを含む制御信号を送信させる。一方、顔画像を表示部22に表示している状況において、住戸機Hの操作入力受付部23で許可者登録の操作入力が受け付けられると、演算処理部25は許可者登録を指示する制御コマンドを生成し、通信部24より顔認証装置Aに宛てて前記制御コマンドを含む制御信号を送信させる。尚、顔認証装置Aでは、住戸機Hから受け取った制御コマンドに応じて、制御部10が当該住戸機Hに配信した顔画像から抽出される顔形を不審者用テンプレート若しくは許可者用テンプレートとして不審者用テンプレート記憶部9あるいは許可者用テンプレート記憶部5に記憶させる。
【0043】
したがって、リアルタイムで表示部22に表示される人物だけでなく、過去に顔画像が撮像された人物についても不審者あるいは許可者として顔形(テンプレート)を登録(記憶)させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態を示し、(a)は顔認証装置のブロック図、(b)は住戸機のブロック図である。
【図2】同上のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0045】
A 顔認証装置
B ロビーインターホン(来訪者用通話装置)
H 住戸機
1 光変調カメラ部(撮像手段)
3 顔画像抽出部(顔画像抽出手段)
4 許可者照合部(許可者照合手段)
5 許可者用テンプレート記憶部(許可者用テンプレート記憶手段)
6 不審者候補照合部(不審者候補照合手段)
7 不審者候補用テンプレート記憶部(不審者候補照合手段)
10 制御部
11 通信部
22 表示部(表示手段)
24 通信部
25 演算処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の建物内への人の出入りを管理する住宅用セキュリティシステムであって、
建物内への出入口を含む対象空間を撮像する撮像手段と、撮像手段で撮像された画像から人物の顔画像を抽出する顔画像抽出手段と、建物内への出入りが許可された人物の顔形を当該人物の識別情報に対応した許可者用テンプレートとして記憶する許可者用テンプレート記憶手段と、顔画像抽出手段で抽出される顔画像を許可者用テンプレート記憶手段に記憶されている許可者用テンプレートと照合する許可者照合手段と、許可者照合手段によって許可者用テンプレートに一致しないと判定された顔画像を不審者候補用テンプレートとして記憶する不審者候補用テンプレート記憶手段と、許可者照合手段によって許可者用テンプレートに一致しないと判定された顔画像を不審者候補用テンプレート記憶手段に記憶されている不審者候補用テンプレートと照合する不審者候補照合手段と、不審者候補照合手段によって不審者候補用テンプレートに一致すると判定された当該顔画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする住宅用セキュリティシステム。
【請求項2】
建物内に設置される住戸機が前記表示手段を具備することを特徴とする請求項1記載の住宅用セキュリティシステム。
【請求項3】
住戸機は、操作入力を受け付ける操作入力受付手段を具備し、操作入力受付手段が不審者登録の操作入力を受け付けたときに表示手段が表示している顔画像に一致すると判定された不審者候補用テンプレートを不審者用テンプレートとして記憶する不審者用テンプレート記憶手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の住宅用セキュリティシステム。
【請求項4】
不審者候補照合手段によって不審者候補用テンプレートに一致すると判定された顔画像を記憶する顔画像記憶手段を備え、
住戸機は、顔画像記憶手段に記憶されている顔画像を読み出して表示手段に表示させる顔画像再生手段を具備し、操作入力受付手段が不審者登録の操作入力を受け付けたときに顔画像再生手段が表示手段に表示させている顔画像に一致すると判定された不審者候補用テンプレートを不審者用テンプレートとして記憶する不審者用テンプレート記憶手段を備えたことを特徴とする請求項2又は3記載の住宅用セキュリティシステム。
【請求項5】
住戸機の操作入力受付手段が許可者登録の操作入力を受け付けたときに、表示手段が表示している顔画像に一致すると判定された不審者候補用テンプレートを許可者用テンプレートとして許可者用テンプレート記憶手段に記憶させる許可者用テンプレート登録手段を備えたことを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の住宅用セキュリティシステム。
【請求項6】
許可者照合手段によって許可者用テンプレートに一致しないと判定された顔画像を不審者用テンプレート記憶手段に記憶されている不審者用テンプレートと照合する不審者照合手段と、不審者照合手段が不審者用テンプレートに一致すると判定した場合に不審者出現情報を住戸機に伝送する伝送手段とを備え、
住戸機は、伝送手段から伝送される不審者出現情報を受け取ったときに警告を発する警告手段を具備することを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の住宅用セキュリティシステム。
【請求項7】
建物内への出入口に設置され、来訪者によって呼出操作されたときに住戸機に呼出信号を送信するとともに当該住戸機との間に形成される通話路を通して通話信号を授受する来訪者用通話装置を備え、
住戸機は、来訪者用通話装置から送信された呼出信号を受信したときに呼出音を鳴動させる呼出音鳴動手段と、来訪者用通話装置との間に通話路を形成するとともに当該通話路を通して通話信号を授受する通話手段とを具備し、
来訪者用通話装置は、不審者照合手段によって顔画像が不審者用テンプレートに一致すると判定されてから所定時間の間は呼出信号の送信を行わないことを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載の住宅用セキュリティシステム。
【請求項8】
許可者照合手段は、顔画像が許可者用テンプレートに一致すると判定した場合、当該許可者用テンプレートに対応する識別情報若しくは当該顔画像の少なくとも何れか一方を住戸機に伝送し、
当該住戸機は、許可者照合手段から受け取った識別情報若しくは顔画像を表示手段に表示することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の住宅用セキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−206784(P2009−206784A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46546(P2008−46546)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】