説明

住宅用桐部材

【課題】 住宅用桐部材の時間の経過に対する変色を防止する。
【解決手段】 本実施形態に係る床材10は、桐部材としての床材本体1と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜2とから構成してあるとともに、長手方向縁部に沿った各端面に雄実部3と雌実部4とをそれぞれ形成してある。一方、床材10を構成する床材本体1の表面のうち、室内側となる表面5に軟質除去処理、いわゆるうずくりを施してある。遮水性被膜2は、遮水性を有するものであればどのような材料を選択するかは任意であるが、有害物質を出さない塗料から適宜選択するのが望ましい。例えば、防カビ効果を持つとともに撥水性に優れた天然素材である亜麻仁油や、さらに撥水性を高めるために亜麻仁油とグリセリンを混合したもの等を選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として住宅用木材として適用される住宅用桐部材に関する。
【背景技術】
【0002】
木造住宅においては、その材料コストの観点から集成材や合板が柱、床材等さまざまな部位に使用されている。
【0003】
しかし、近年、集成材や合板を製造するために使用される接着剤に含まれるホルムアルデヒド等の有害物質が問題となっており、該有害物質が含有される接着剤を使用しない無垢木材が住宅用木材として再び注目を浴びている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−172603
【特許文献2】特開平10−2097
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
住宅用木材として使用されている無垢木材には、杉、檜、ケヤキ等が一般的であるが、最近では、桐が見直されている。すなわち、桐は、従来ほとんど家具にしか使用されてこなかったが、比重が軽いため施工がしやすいとともに断熱性に富んでおり、また、伸縮率が0.06%と他の木材と比較すると非常に小さいため、気密性も高い。
【0006】
また、桐は非常に柔らかいという特長を持ち、桐を床材として使用した場合には、転んでも怪我をしにくく、高齢者のいる家にも安心して使用することができる。
【0007】
さらに、桐は成長が早く、15〜20年で直径が30〜40cmにもなり、杉が80年かかることから比べると桐は木材の中では成長サイクルが早く、また平地等で繰り返し生産が可能であるため、森林に影響を与えることがなく環境に優しい素材といえる。
【0008】
しかしながら、桐は非常に色が白く、また時間の経過とともに灰黒色や青黒色等に変色してしまうという欠点があり、桐を住宅用木材として使用するにはこの変色は居住者からの苦情の対象になるという大きな問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、時間の経過に対する変色を防止することが可能な住宅用桐部材を提供することを目的とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る住宅用桐部材は請求項1に記載したように、桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とからなる住宅用桐部材であって、該住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材としたものである。
【0011】
また、本発明に係る住宅用桐部材は請求項2に記載したように、表面を軟質除去処理してなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とからなる住宅用桐部材であって、該住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材としたものである。
【0012】
また、本発明に係る住宅用桐部材は請求項3に記載したように、表面に強酸性水溶液を含浸させてなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とからなる住宅用桐部材であって、該住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材としたものである。
【0013】
また、本発明に係る住宅用桐部材は請求項4に記載したように、表面を軟質除去処理してなるとともに該表面に強酸性水溶液を含浸させてなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とからなる住宅用桐部材であって、該住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材としたものである。
【0014】
従来、桐部材を住宅用木材として使用するにあたっては、桐部材が時間の経過とともに灰黒色や青黒色に変色してしまい、該変色が居住者からの苦情の対象になってしまうという問題が生じていた。
【0015】
本出願人は、かかる課題に鑑み、桐に多量に含まれているタンニンが変色の原因となっているのではないかという点に着眼し、多数の調査を鋭意行った結果、タンニンは、そのフェノール性水酸基と重金属イオンとが反応することによりキレート化合物を形成するという性質を持ち、特に、フェノール性水酸基と鉄イオンとの反応により、いわゆるタンニン鉄と呼ばれる灰黒色や青黒色のキレート化合物を形成し、該タンニン鉄が桐の変色の原因となっているということがわかった。
【0016】
加えて、本出願人の調査あるいは実験によって、桐を鉄製のノコギリで伐採するときや、桐の部材を鉄製のビスや釘を用いて根太や間柱に留め付けるときに、桐の切断面やビス孔あるいは釘孔から鉄分が桐部材の中に混入し、該鉄分と桐に多量に含まれているタンニンとが、桐の調湿性により吸い込まれた水蒸気の存在下において反応し、その結果、タンニン鉄が生成されるということがあらたな知見として得られたものである。
【0017】
請求項1に係る住宅用桐部材においては、桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とから構成してある。
【0018】
このようにすると、本発明に係る住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材として使用した場合、かかる桐部材のすべての露出面に遮水性被膜を被覆してあるため、室内や壁断面内あるいは天井懐等の水蒸気が住宅用桐部材の中に吸収されることがない。一方、桐の変色原因であるタンニンと鉄との反応には、化学反応ゆえ、当然水分が必要不可欠となるが、本発明においては、上述したように遮水性被膜が桐部材のすべての露出面を覆っている。
【0019】
そのため、たとえ、さまざまな要因によって鉄分が住宅用桐部材の中に含有されるに至ったとしても、上述したようなタンニンと鉄分との反応は起こらず、かくして、住宅用桐部材の変色を防止することが可能となる。
【0020】
鉄分が住宅用桐部材の中に含有される原因としては、もともと桐の中に含有されている場合の他、上述したように桐を鉄製のノコギリで伐採するときや、桐の部材を鉄製のビスや釘を用いて根太や間柱に留め付けるときに、桐の切断面やビス孔あるいは釘孔から鉄分が桐部材の中に混入することが考えられる。
【0021】
ちなみに、桐は水蒸気を吸収しやすい性質を有しており、夏など室内の湿気が高い場合には、その湿気を吸収するという傾向があるが、本発明においては、桐部材のすべての露出面に遮水性被膜を被覆してあるため、湿度が高い場合においても住宅用桐部材の中に水蒸気が入り込む懸念がない。
【0022】
また、桐部材のすべての露出面に遮水性被膜を被覆してあるため、住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材として使用する場合、それらの表面の汚れを防止することも可能となる。
【0023】
遮水性被膜は、遮水性を有するものであればどのような材料を選択するかは任意であるが、有害物質を出さない塗料から適宜選択するのが望ましい。例えば、防カビ効果を持つとともに撥水性に優れた天然素材である亜麻仁油や、さらに撥水性を高めるために亜麻仁油とグリセリンを混合したもの等を選択することができる。
【0024】
また、請求項2に係る住宅用桐部材においては、表面を軟質除去処理してなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とから構成してある。
【0025】
このようにすると、本発明に係る住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材として使用した場合、かかる桐部材のすべての露出面に遮水性被膜を被覆してあるため、室内や壁断面内あるいは天井懐等の水蒸気が住宅用桐部材の中に吸収されることがない。一方、桐の変色原因であるタンニンと鉄との反応には、化学反応ゆえ、当然水分が必要不可欠となるが、本発明においては、上述したように遮水性被膜が桐部材のすべての露出面を覆っている。
【0026】
そのため、たとえ、さまざまな要因によって鉄分が住宅用桐部材の中に含有されるに至ったとしても、上述したようなタンニンと鉄分との反応は起こらず、かくして、住宅用桐部材の変色を防止することが可能となる。
【0027】
鉄分が住宅用桐部材の中に含有されている原因や夏など室内の湿度が高い場合における本発明の作用及び表面の汚れ防止については、請求項1と同様であるので、ここではその記載を省略するが、本発明に係る住宅用桐部材においては、該住宅用桐部材を構成する桐部材の表面を軟質除去処理、いわゆるうずくりをしてあるため、その表面は適度な硬さを有する。
【0028】
そのため、住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材として使用した場合、それらの室内側となる面には傷がつきにくく、かくして、本発明においては、請求項1で記載した作用効果に加えて、桐部材の表面に傷が付くのを未然に防止することができるという作用効果も奏する。
【0029】
ここで、桐部材のすべての表面に軟質除去処理を行う必要はなく、住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材として使用した場合、少なくともそれらの室内側となる表面に軟質除去処理を施せばよい。
【0030】
遮水性被膜に関する記載については請求項1と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0031】
また、請求項3に係る住宅用桐部材においては、表面に強酸性水溶液を含浸させてなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とから構成してある。
【0032】
このようにすると、本発明に係る住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材として使用した場合、かかる桐部材のすべての露出面に遮水性被膜を被覆してあるため、請求項1、請求項2と同様、室内や壁断面内あるいは天井懐等の水蒸気が住宅用桐部材の中に吸収されることがない。一方、桐の変色原因であるタンニンと鉄との反応には、化学反応ゆえ、当然水分が必要不可欠となるが、本発明においては、上述したように遮水性被膜が桐部材のすべての露出面を覆っている。
【0033】
そのため、たとえ、さまざまな要因によって鉄分が住宅用桐部材の中に含有されるに至ったとしても、上述したようなタンニンと鉄分との反応は起こらず、かくして、住宅用桐部材の変色を防止することが可能となる。
【0034】
鉄分が住宅用桐部材の中に含有されている原因や夏など室内の湿度が高い場合における本発明の作用及び表面の汚れ防止については、請求項1、請求項2と同様であるので、ここではその記載を省略するが、本発明に係る住宅用桐部材においては、該住宅用桐部材を構成する桐部材の表面に強酸性水溶液を含浸させてあるため、住宅用桐部材内のpHは強酸を呈することとなり、桐部材に含有されるタンニンと鉄イオンとの化学反応が生じにくくなる。
【0035】
したがって、より確実にタンニンの変色を防止することが可能となる。
【0036】
遮水性被膜に関する記載については請求項1、請求項2と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0037】
強酸性水溶液については、pH1〜2のものを適宜選択すればよく、例えば、シュウ酸水溶液がある。
【0038】
また、請求項4に係る住宅用桐部材においては、表面を軟質除去処理してなるとともに該表面に強酸性水溶液を含浸させてなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とから構成してある。
【0039】
このようにすると、本発明に係る住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材として使用した場合、かかる桐部材のすべての露出面に遮水性被膜を被覆してあるため、請求項1乃至請求項3と同様、室内や壁断面内あるいは天井懐等の水蒸気が住宅用桐部材の中に吸収されることがない。一方、桐の変色原因であるタンニンと鉄との反応には、化学反応ゆえ、当然水分が必要不可欠となるが、本発明においては、上述したように遮水性被膜が桐部材のすべての露出面を覆っている。
【0040】
そのため、たとえ、さまざまな要因によって鉄分が住宅用桐部材の中に含有されるに至ったとしても、上述したようなタンニンと鉄分との反応は起こらず、かくして、住宅用桐部材の変色を防止することが可能となる。
【0041】
鉄分が住宅用桐部材の中に含有されている原因や夏など室内の湿度が高い場合における本発明の作用及び表面の汚れ防止については、請求項1乃至請求項3と同様であるので、ここではその記載を省略するが、本発明に係る住宅用桐部材においては、該住宅用桐部材を構成する桐部材の表面を軟質除去処理、いわゆるうずくりをしてあるため、その表面は適度な硬さを有する。
【0042】
そのため、住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材として使用した場合、請求項2と同様、それらの室内側となる面には傷がつきにくく、かくして、本発明においては、請求項1で記載した作用効果に加えて、桐部材の表面に傷が付くのを未然に防止することができるという作用効果も奏する。
【0043】
ここで、桐部材のすべての表面に軟質除去処理を行う必要はなく、住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材として使用した場合、少なくともそれらの室内側となる表面に軟質除去処理を施せばよい。
【0044】
また、本発明に係る住宅用桐部材においては、請求項3で述べたように、該住宅用桐部材を構成する桐部材の表面に強酸性水溶液を含浸させてあるため、住宅用桐部材内のpHは強酸を呈することとなり、桐部材に含有されるタンニンと鉄イオンとの化学反応が生じにくくなる。
【0045】
したがって、より確実にタンニンの変色を防止することが可能となる。
【0046】
遮水性被膜に関する記載については請求項1乃至請求項3と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0047】
強酸性水溶液については、請求項3と同様にpH1〜2のものを適宜選択すればよく、例えば、シュウ酸水溶液がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明に係る住宅用桐部材の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
図1(a)及び図1(b)は、本実施形態に係る住宅用桐部材としての床材10を示した斜視図及び断面図である。
【0050】
これらの図からわかるように、本実施形態に係る床材10は、桐部材としての床材本体1と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜2とから構成してある。
【0051】
床材10は、長手方向縁部に沿った各端面に雄実部3と雌実部4とをそれぞれ形成してある。
【0052】
床材10を構成する遮水性被膜2は同図(b)でわかるように、床材本体1のすべての露出面に被覆してあるが、その厚さについては、床材本体1の中に水分が入り込まないように適宜調整する。
【0053】
遮水性被膜2は、遮水性を有するものであればどのような材料を選択するかは任意であるが、有害物質を出さない塗料から適宜選択するのが望ましい。例えば、防カビ効果を持つとともに遮水性に優れた天然素材である亜麻仁油や、さらに遮水性を高めるために亜麻仁油とグリセリンを混合したもの等を選択することができる。
【0054】
一方、床材10を構成する床材本体1の表面のうち、室内側となる表面5に軟質除去処理、いわゆるうずくりを施してある。
【0055】
ここで、うずくりとは、木が本来持つ立体感のある美しい風合いを際立たせるために従来から行われてた手法であり、木材の表面をつるつるに加工せず、木目を活かして木材表面に凹凸を作る手法である。
【0056】
うずくりを施すには、床材本体1の表面に存在する軟質層、すなわち、柔らかく空洞になっている層をワイヤーブラシ等で削り落として木目を出すようにすればよい。このようにすれば、床材本体1の表面5は適度な固さとなる。
【0057】
図2は、本実施形態に係る床材10を施工した状態の平面図である。同図からわかるように、本実施形態に係る床材10を施工する場合、柱11a,11bに一端がそれぞれ接合された梁13a,13bの上面に複数の根太12をそれぞれ架け渡し、その上面にて、根太12と直交するように床材10を複数敷き詰める。
【0058】
ここで、床材10を根太12の上面に敷き詰めるにあたっては、従来手法に従って、床材10をその雌実部4が先行敷設された床材10の雄実部3に嵌め込まれるように根太12に敷き込み、しかる後、あらたに敷き込んだ床材10の雄実部3の根元から斜め方向に釘を打ち込んで根太12に固定し、以下、同様な手順を繰り返せばよい。
【0059】
なお、床材10を根太12に接合させる際、上述したように雄実部3に打込み角度50〜60度で釘を打ち込むが、本実施形態に係る床材10のすべての表面に遮水性被膜2を被膜してあるため、床材10を施工する際に該床材に打ち込まれる鉄釘から鉄分が床材10に混入するに至ったとしても、何ら問題はない。
【0060】
本実施形態に係る床材10においては、床材本体1のすべての露出面に遮水性被膜2を被覆して構成してある。
【0061】
このようにすると、液体の形態にしろ水蒸気の形態にしろ、水分が室内や床下から床材10の中に吸収されることがない。
【0062】
また、床材本体1の表面5には、予め軟質除去処理を施してある。
【0063】
そのため、その表面5は、適度な硬さを有することとなる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る床材10によれば、床材本体1のすべての露出面に遮水性被膜2を被覆して構成するようにしたので、床材10の中に水分が吸収されることがなくなり、床材10内での化学反応は抑制あるいは防止されることとなる。
【0065】
そのため、鉄分がもともと桐の中に含有されている場合の他、桐を鉄製のノコギリで伐採するときや、床材10を鉄製のビスや釘を用いて根太12に留め付けるときに、桐の切断面やビス孔あるいは釘孔から鉄分が床材10の中に混入されるに至ったとしても、上述したように化学反応であるタンニンと鉄分との反応は起こらず、かくして、床材10の変色を防止することが可能となる。
【0066】
加えて、床材10を施工した後、室内側となる表面5の汚れを防止するという作用効果も奏する。
【0067】
また、本実施形態に係る床材10によれば、該床材を構成する床材本体1の表面に予め軟質除去処理を施すようにしたので、床材本体1の室内側表面5は適度な硬さを有することとなる。
【0068】
そのため、軟質除去処理が施された表面5が室内側となるように床材10を施工した場合、表面5に傷が付くのを未然に防止することが可能となる。
【0069】
本実施形態では、床材本体1の表面のうち、室内側となる表面5に軟質除去処理を施すようにしたが、床材10の表面に傷がつくおそれがない場合においては、軟質除去処理を省略し、床材本体1に直接遮水性被膜2を被覆するようにしてもよい。かかる構成においても、遮水性被膜2の遮水性作用に基づく上述した変色防止効果を奏することに何ら変わりはない。
【0070】
なお、本実施形態では、床材10の表面の損傷防止を目的としたため、上述したように床材本体1の表面のうち、室内側となる表面5に軟質除去処理を施すようにしたが、住宅用桐部材である床材10が本来持つ柔らかさを重視したい場合には、軟質除去処理を省略してもかまわない。
【0071】
また、本実施形態では特に言及しなかったが、強酸性下では、桐部材に含有されるタンニンと鉄イオンとの化学反応が生じにくくなるため、本発明に係る住宅用桐部材を、表面に強酸性水溶液を含浸させてなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とで構成するようにしてもよい。
【0072】
加えて、本発明に係る住宅用桐部材を、表面を軟質除去処理してなるとともに該表面に強酸性水溶液を含浸させてなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とで構成するようにしてもよい。かかる構成においては、pHが低くなることによってタンニンと鉄イオンとの反応が抑制されるが、詳細については既に述べたので、ここでは以降の説明を省略する。
【0073】
強酸性水溶液については、pH1〜2のものを適宜選択すればよく、例えば、シュウ酸水溶液がある。
【0074】
上述の実施形態及び変形例では、住宅用桐部材を床材としたが、これに代わって内壁材や天井材として使用してもかまわない。かかる構成においても、上述した床材と同様の作用効果を奏する他、それに加えて、壁断面に生じる結露や天井懐に生じる結露に対しても内壁材や天井材の変色を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施形態に係る床材10を示した図であり、(a)はその斜視図、(b)は断面図。
【図2】本実施形態に係る床材10を施工した状態を示した断面図。
【符号の説明】
【0076】
1 床材本体(桐部材)
2 遮水性被膜
5 表面
10 床材(住宅用桐部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とからなる住宅用桐部材であって、該住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材とすることを特徴とする住宅用桐部材。
【請求項2】
表面を軟質除去処理してなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とからなる住宅用桐部材であって、該住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材とすることを特徴とする住宅用桐部材。
【請求項3】
表面に強酸性水溶液を含浸させてなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とからなる住宅用桐部材であって、該住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材とすることを特徴とする住宅用桐部材。
【請求項4】
表面を軟質除去処理してなるとともに該表面に強酸性水溶液を含浸させてなる桐部材と、そのすべての露出面に被覆される遮水性被膜とからなる住宅用桐部材であって、該住宅用桐部材を床材、内壁材又は天井材とすることを特徴とする住宅用桐部材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−28968(P2006−28968A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−211971(P2004−211971)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【出願人】(503219868)有限会社伊豆木材市場 (2)
【Fターム(参考)】