説明

作動検出機能付パイロットチェック弁

【課題】チェック弁体の性能を維持し、位置精度が高く、位置検出性能低下もなく、取り扱いが簡単で廉価な作動検出機能付パイロットチェック弁を提供する。
【解決手段】弁本体11にチェック弁体20aを摺動自在に設ける。圧力流体の作動により変位するチェック弁体20aが流体通路12及び14,13及び15を連通及び遮断する。チェック弁体20aの内方に設けたロッド37aは弁本体11に取り付けたケース31aに支持される。ロッド37aに検出用段部38aを設け、検出用段部38aが形成される小径部に接触子40aを挿入する。コネクタ55aに連結した導電性ロッド61aにリング44aを螺着する。リング44aの側壁面にスプリング41aにより接触子40aが係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイロットチェク弁に関し、特にチェック弁体の位置を作動していることを直接検出できる作動検出機能付パイロットチェック弁に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来のモジュラー型パイロットチェック弁10の概略構造を示す縦断面図である。図10において、モジュラー型パイロットチェック弁10は、弁本体11に形成される複数の流体通路、例えばソレノイドバルブ側の流体通路14,15、アクチュエータ側の流体通路12、13に連通する軸方向穴16にピストン17が摺動自在に設けられ、該ピストン17の両端部の近傍には、弁本体11に嵌挿された円筒状の弁座18a,18bが配設されている。さらに、弁本体11には、軸方向穴16に同軸状に設けられた軸方向穴19a,19bに円筒状のチェック弁体20a,20bが摺動可能に嵌挿されている。前記チェック弁体20a,20bは、その一端が弁座18a,18bに当接または離間することにより、流体通路12及び14、流体通路13及び15をそれぞれ連通または遮断する機能を有する。
【0003】
この場合、チェック弁体20a,20bには、スプリング21a,21bの弾発力が作用し、該チェック弁体20a,20bに形成される外周面の傾斜面が弁座18a,18bの内径端面に押し付けられている。前記スプリング21a,21bは、一端部が軸方向穴19a,19bに螺着した栓22a,22bの開口部内方端面に係着し、他端部がチェック弁体20a,20bの開口部内方端面に係着されている。
図10において、例えば圧力流体が流体通路14から流入した場合は、該圧力流体が弁座18aとチェック弁体20aとが係合しているシート面(図示しない)の断面積に作用している。シート面に作用している圧力流体の圧力がスプリング21aの弾発力とシート面のシート径で決定されるクラッキング圧力よりも高くなると、圧力流体がチェック弁体20aを矢印X方向に押し開いて流体通路12に流れていく。
【0004】
逆に、流体通路12より圧力流体が入った場合は、チェック弁体20aに付勢しているスプリング21aの弾発力により、該チェック弁体20aが弁座18aに押し付けられているので、チェック弁体20aは開かない。しかし、この場合、圧力供給源より供給された圧力流体は、流体通路15より順に流体通路13、アクチュエータ(図示しない)、流体通路12,14の順に流れるので、流体通路15の圧力は流体通路14の圧力よりも高くなる。これにより、ピストン17は矢印X方向に移動し、チェック弁体20aを強制的に押し開く。従って、流体通路12から流体通路14へ圧力流体の逆流が可能になる。この場合、流体通路13,15に関しても同様の作動になり、チェック弁体20bは矢印Y方向に変位するようになる。
【0005】
一方、圧力流体を駆動源とする産業機械において、装置の安全稼動のため、アクチュエータに作動に直接関係する油圧バルブが停止または作動の状態かを確認する必要がある。そのため、油圧バルブを構成する要素部品の動きを検出する手段が必要となる。
しかし、図10に示すパイロットチェック弁10では、構成する要素部品の動きは全くい確認することができないため、該パイロットチェック弁10の停止または作動の検出は不可能である。
そこで、特許文献1においては、密閉耐圧空間の外側から差動トランスを用いてピストンの位置を検出している。特許文献2においては、磁気センサを用いて密閉耐圧空間内のピストンの位置を検出している。
【特許文献1】特開平10−177918号公報
【特許文献2】特開2002−89742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような、差動トランスタイプのものは、弁構造が複雑になる。差動トランス及び専用の電気回路(アンプ)が必要になるので高価となる。また、使用前に、差動トランスまたは検出体であるコアの位置を調整する必要がある。さらには、差動トランス及び電気回路(アンプ)の温度変化により、検出体の検出位置が変化する(温度ドリフトと呼ばれる現象が発生する)等という問題があった。
さらに、特許文献2に示すような磁気センサタイプのものにおいては、弁構造が複雑になる。磁気センサが必要になるので高価である。使用前に、磁気センサまたは検出体であるマグネットの位置を調整する必要がある。磁気センサの温度変化により、検出体の検出位置が変化する(温度ドリフトと呼ばれる現象が発生する)等の同様な問題があった。
また、磁気センサがONとなる検出体の位置と、OFFとなる検出体の位置に違いがある(ヒステリシスがある)ので、磁気センサの位置調整が難しいという問題があった。さらに、両者とも密閉耐圧空間のピストンを外部から検出するので感度も悪いという問題があった。
【0007】
本発明の課題は前述した問題点に鑑みて、高価なセンサ及び電気回路を使用しない。簡単な構造で、耐久性に優れている。使用前段階でのセンサ及び検出体の位置調整が不要。磁気センサとは違い、ON時とOFF時の検出位置が同一(ヒステリシスがない)。温度の変化により、検出体の検出位置が変化しない(温度ドリフトがない)等の特徴を有する作動検出機能付パイロットチェック弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に記載の発明においては、複数の流体通路を備えた軸方向穴を有する本体と、
前記弁本体に形成された軸方向穴に摺動自在に嵌挿し前記流体通路を開閉するように設けられたチェック弁体と、
前記チェック弁体を移動または位置決めする手段と、
を備えたパイロットチェック弁であって、
前記チェック弁体の少なくとも一方を延出させ、該延出部に設けた検出部と、
前記チェック弁体と同心に前記検出部が出入り可能にかつ前記チェック弁体とは干渉しないように設けられたリング部材と、
前記リング部材の外方側端面または前記検出部のいずれか一方もしくは同時に当接可能に軸方向に移動可能にされ前記チェック弁体と同心に前記検出部を除き前記チェック弁体と干渉しないように設けられたリング状の接触部材と、
前記接触部材を前記検出部または前記リング部材へ付勢するスプリングと、
を有し、
前記接触部材は導電性を有し外部と電気接続可能にされた電気端子とで電気的に導通されており、前記リング部材は前記電気端子と異なる検出電気端子と電気的に接続され、前記リング部材と前記接触部材が当接したときは前記リング部材を介して前記電気端子と検出電気端子が導電し、前記リング部材と前記接触部材が離間しているときは少なくとも前記リング部材と前記電気端子とが導電しないようにされていることを特徴とする。
本発明によれば、チェック弁体自体が接触部材に作用し、開閉スイッチとするので、密閉空間外から検出する必要が無く、密閉空間内でチェック弁体の位置を直接検出できる。
請求項2に記載の発明においては、前記チェック弁体には軸方向穴に沿って変位した際、先端部が前記弁本体に当接位置ではオーバーラップ部となる先端部が設けられていると、
前記オーバーラップ部の長さを調整することでチェック弁体が作動し圧力流体が流れ始めるタイミングと検出スイッチを切り換えるタイミングとの関係を調整でき、油圧装置の安全性を向上させることができるので好適である。
請求項3に記載の発明においては、前記オーバーラップ部が前記隙間よりも大きく設けると、チェック弁体が変位してから接触部材を移動させ、リング部材と接触部材とか非接触になってから流体通路を連通させることにより、検出スイッチのタイミングをことができるのでよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、パイロットチェック弁のチェック弁体に関し、閉止状態のときは検出スイッチがON、自己ポート圧力またはピストンにより開いたときは検出スイッチがOFFとなる信号を取り出すことが可能になった。
よって、チェック弁体が閉止状態のときは油圧アクチュエータが作動しないので「安全」、チェック弁体が開いているときは油圧アクチュエータが作動しているので「危険」という情報発信が可能となる。
また、シーケンス制御の際、油圧アクチュエータが停止し位置が保持されたことを、チェック弁体が閉じたことで確認(信号ON)して次の動作に入ることが可能になるのでよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1乃至図4は、本発明の第1の実施の形態を示す作動検出機能付パイロットチェック弁30の要部縦断面図である。
図1及び図2中、図10の構成要素と同一の構成要素については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。以下の説明も同様とする。
図1及び図2に示すように、弁本体11の両端面には、図示しないねじ部材によりケース(ハウジング)31a,31bが取り付けられている。前記ケース31a,31bは、段付貫通穴32a,32bが形成されている。前記段付貫通穴32a,32bは、中央部に軸方向穴16に同軸状に軸方向穴33a,33bと、一端部にチェック弁体20a,20bの外径よりも大きい環状凹部34a,34bと、他端部に段付穴35a,35bと、を備える。前記環状凹部34には、Oリング36が装着され、弁本体11とケース31a,31bとの接合面がシールされている。
【0011】
前記軸方向穴33a,33bに摺動自在に嵌挿されたロッド(延出部)37a,37bは、一端部がチェック弁体20a,20bの開口部内方端面に係合しており、他端部が段付穴35a,35b内に指向し、該ロッド37a,37bの他端部側には検出用段部(検出部)38a,38bが設けられている。よって、ロッド37a,37bは、検出用段部38a,38bを形成する小径部39a,39bを備える。前記小径部39a,39bには、接触子(接触部材)40a,40bが摺動可能に嵌合している。前記接触子40a,40bは、小径部39a,39bの外周部に巻装されるスプリング41a,41bの弾発力により検出用段部38a,38bに押圧されている。なお、前記検出用段部38a,38bは、ロッド37a,37bが例えば矢印X方向に変位する際、接触子40a,40bが該ロッド37a,37bと一体に移動できるように機能する。
【0012】
段付穴35a,35bには、段付部42a,42bよりロッド37a,37bの軸心に同じの中空穴を有する第1のスペーサ43a,43b、リング(リング部材)44a,44b,第2のスペーサ45a,45bが順次配設され、プラグ46a,46bの先端により前記段付穴35a,35bに押し込まれ挟持固定されている。
前記プラグ46a,46bの雄ねじ47a,47bが段付穴35a,35bの雌ねじ(図示しない)に螺着している。さらに、プラグ46a,46bには、開口部48a,48bが設けられスプリング41a,41bのガイド機能を有する。
【0013】
前記第1のスペーサ43a,43bはその側面には凹形状のインロー部50a,50bが形成されている。リング44a,44bの両端面には、第1のスペーサ43a,43bの凹形状のインロー部50a,50b及び第2のスペーサ45a,45bの内径に嵌挿される凸状部51a,51b,52a,52bが形成されている。
これにより、リング44a,44bは第1及び第2のスペーサ43a,43b,45a,45bにより軸方向及び軸直角方向に沿って挟持され、リング44a,44bとケース31a,31bとの接触を防止している。第1及び第2のスペーサ43a,43b、45a,45bはリング44a,44bとケース31a,31bとが電気的に導通しないように電気絶縁材とされている。
【0014】
本発明の実施の形態においては、電気絶縁材は機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐油性等からガラス繊維強化ポリアミド66樹脂としている。従って、リング44a,44bはケース31a,31b、第1及び第2のスペーサ43a,43b,45a,45bとは電気的に絶縁されている。
当然に第1のスペーサ43a,43b及びリング44a,44bの中空穴径は移動するロッド37a,37bに干渉しない大きさに形成されている。また、第2のスペーサ45a,45bは筒状であって、接触子40a,40b及びスプリング41a,41bと干渉しないように設けられている。
【0015】
前記接触子40a,40bはスプリング41a,41bの弾発力によりロッド37a,37bの検出用段部38a,38bに押し付けるように設けられているが、該接触子40a,40bの外周は第2のスペーサ45a,45bの内径より小さく形成され、リング44a,44bの外方側端面(接触子40a,40bとリング44a,44bとの接触面)53a,53bに当接するように設けられている。
ロッド37a,37bの検出用段部38a,38bがリング44a,44bの外方側端面53a,53bの位置より内側にあるときには接触子40a,40がリング44a,44bの外方側端面に当接するようにされ、ロッド37a,37bの検出用段部38a,38bがリング44a,44bの外方側端面53a,53bの位置より外側にあるときには接触子40a,40bがロッド37a,37bの検出用段部38a,38bと当接するように設けられている。
【0016】
リング44a,44bの接触子40a,40bとの接触面(外方側端面)53a,53bは絶縁コーティングが施されないで、金属面が露出しているので接触によりリング44a,44bと接触子40a,40bは電気的に導電するようにされている。導電体である接触子40a,40bは、同じく導電体であるスプリング41a,41b、プラグ46a,46bを介して同じく導電体であるケース31a,31bと常に導通している。

また、ケース31a,31bはコネクタ55aの電気端子57a,57bに接続されているので、接触子40a,40bと電気端子はそれぞれ常に導通している。なお、チェック弁体20a,20bの閉止状態(図2参照)では、接触子40a,40bは検出用段部38a,38bとは隙間△L、例えば58a,58b(図3参照)を有して当接しないように設けられ、接触子40a,40bとリング44a,44bとが接触し、導電している状態にされている。
【0017】
弁本体11に一体になるケース31a,31bのコネクタ55a,55bの下側位置には、段付貫通穴32a,32bの略軸直角方向に連通路59a,59bが穿設されている。この場合、前記連通路59a,59bの軸方向中心は段付貫通穴32a,32bに設けられたリング44a,44bの幅方向の中心線と略一致するように設けられている。
また、リンク44a,44bに設けられた雌ねじ60の回転方向位置は、連通路59a,59bの上方から見て該連通路59a,59b中心線上に設けられているので、導電性ロッド61a,61bを連通路59a,59bに嵌挿して雌ねじ60a,60bに螺着する際に容易に行うことができる。穴62a,62b、穴63a,63bには段付きのブッシュ64a,64bが挿入され、該ブッシュ64a,64bの段付部65a,65bにOリング66が装着されている。
【0018】
さらに、ブッシュ64a,64bには通し穴67a,67bが形成され、該通し穴67a,67b内にシール部材であるOリング68が装着され、該Oリング68を止めるためのシールプレート69a,69bが穴63a,63bに設けられ、ブッシュ64a,64b、シールプレート69a,69bは共に電気絶縁材であるガラス繊維強化ポリアミド66樹脂により形成されている。
前記導電性ロッド61a,61bは通し穴67a,67b及びOリング66の穴を貫通し、該導電性ロッド61a,61b外周が通し穴67a,67bのOリング66でシールされている。さらに、導電性ロッド61a,61b一端はリング44a,44bの外周面に設けられた雌ねじ60a,60bに電気的に導通状態で螺着されており、該導電性ロッド61a,61bの他端は検出電気端子56a,56bとリード線70a,70bを介して接続されている。
【0019】
これにより、リング44a,44bと導電性ロッド61a,61bと検出電気端子56a,56bとが、電気的に常時接続される一方、弁本体11、ケース31a,31bとは絶縁されている。
なお、前記チェック弁体20a,20bは先端部がオーバーラップ部△M、例えば71a、71b(図4参照)を有して弁座18a,18bに嵌挿されるように設けられ、該オーバーラップ部71の長さを調整することにより、チェック弁体20a,20bが作動し、圧力流体が流れ始めるタイミングと検出スイッチ(図示しない)の切り換えるタイミングとの関係を調整可能にすることができる。
【0020】
この実施の形態に係る作動検出機能付パイロットチェック弁30は、チェック弁体20a,20bの閉止状態(図4参照)において、外部装置(図示しない)の検出スイッチを確実にONにするため、ロッド37a,37bの検出用段部38a,38bをフリーとし、接触子40a,40bとリング44a,44bとを確実に接触させている。具体的には、チェック弁体20a,20bの開口部内方端面、すなわちロッド37a,37bの端面から小径部39a,39bに遊挿される接触子40a,40bの端面までの長さ(距離)に対して、ロッド37a,37bの大径部の長さの差△L(隙間)をわずかに短く設定している。
【0021】
そこで、ロッド37a,37bの端面から小径部39a,39bに遊挿される接触子40a,40bの端面までの長さとロッド37a,37bの端面から小径部39a,39bに遊挿される接触子40a,40bの端面までの長さの差を△L(図3参照)とすると、チェック弁体20a,20bが開いてからロッド37a,37bにおける検出用段部38a,38bが接触子40a,40bを押圧するまでにチェック弁体20a,20bが差△Lだけ変位する必要がある。この場合、検出スイッチがONのままチェック弁体20a,20bが開くので、間違った信号を発信することになる。
本発明の実施の形態においては、チェック弁体20a,20bのシート面に弁座18a,18bのシート径に内接するオーバーラップ部△Mを形成している(図4参照)。
さらに、例えば前記オーバーラップ部△Mは前記差△Lよりも若干長く設定する(△L<△M)。これにより、チェック弁体20a,20bがオーバーラップ部△Mを変位した時点で圧力流体が流れ、その途中の差△Lに相当する時点で検出スイッチがOFFになる。従って、圧力流体が流れを開始する前に検出スイッチがOFFになるので、例えば「危険」信号を発信することができる。
【0022】
本発明の実施の形態においては、オーバーラップ部△Mは前記差△Lよりも若干長く設定する(△L<△M)場合について説明したが、△Lによる影響がシステムに対して問題にならない小さい場合には、オーバーラップ部△Mは設定する必要がなく、さらに△Lと△Mの値の組み合わせを状況に応じて変えても勿論よい。
【0023】
本発明の実施の形態に係る作動検出機能付パイロットチェック弁30は基本的には以上のように構成されており、次に動作について図5乃至図7により説明する。
図5は、作動検出機能付パイロットチェック弁30が無負荷の状態を示す動作説明図である。図5において、圧力流体は作動検出機能付パイロットチェック弁30に流入しないため、圧力供給源であるポンプ(図示しない)は停止またはソレノイドバルブ(図示しない)は中立位置に保持されている。よって、作動検出機能付パイロットチェック弁3は流体通路14,15がタンクポート(図示しない)に接続されて無負荷の状態に保持されている。
よって、チェック弁体20aはスプリング21aの弾発力により弁座18aに押圧され、該弁座18aに着座している。接触子40aは、スプリング41aの弾発力によりリング44aに押圧され、該リング44aの外方側端面53aは接触子40aの端面に係合している。
すなわち、接触子40aは導電性を有し、外部装置(図示しない)に電気接続可能にされたコネクタ55a(図2参照)の電気端子57aに導通しているので、該電気端子57aと検出電気端子56a(図2参照)とは電気的に導通状態(検出スイッチON)になっている。
【0024】
この状態で、ソレノイドバルブ(図示しない)の作動により、作動検出機能付パイロットチェック弁30を図6の状態にすると、流体通路14がポンプに連通し、流体通路15がタンク(図示しない)に接続される。このため、圧力流体が流体通路14よりチェック弁体20aに作用するので、該チェック弁体20aが矢印X方向に変位する。これによりロッド37aもチェック弁体20aに押されて矢印X方向に変位し、さらに、ロッド37aの検出用段部38aが接触子40aを矢印X方向に変位させる。
よって、接触子40aはリング44aより離間するので、電気端子57aと検出電気端子56a(図1参照)とは電気的に絶縁状態(検出スイッチOFF)になっている。
【0025】
図5の状態、すなわち、作動検出機能付パイロットチェック弁30が無負荷の状態で、ソレノイド(図示しない)を反対側に切り換えて図7の状態にすると、流体通路14がタンクポートに連通し、流体通路15が圧力供給源であるポンプに接続される。このため、流体通路15の圧力は流体通路14の圧力よりも高いので、ピストン17は矢印X方向に変位しチェック弁体20aを押し開く。すなわち、チェック弁体20aが矢印X方向に変位するので、ロッド37aもチェック弁体20aに押されて協動し、該ロッド37aの検出用段部38aが接触子40aを矢印X方向に押圧する。従って、接触子40aはリング44aより離間するので、電気端子57aと検出電気端子56a(図1参照)とは電気的に絶縁状態(検出スイッチOFF)になっている。
【0026】
以上の動作説明はチェック弁体20aとコネクタ55aとの関係について説明したが、
チェック弁体20bとコネクタ55bとの関係についても同様であるので、動作説明は省略する。この場合、チェック弁体20bは矢印Y方向に変位してチェック弁体20aと同様の作用を行うことができる。
【0027】
図8は、本発明の他の実施の形態に係る作動検出機能付パイロットチェック弁80の縦断面で、図8中、図1及び図2の構成要素と同一の構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図8に示す作動検出機能付パイロットチェック弁80は、チェック弁体81a,81bのオーバーラップ部△M=0とした点を特徴とする(図9参照)。この場合、なお、チェック弁体81a,81bが閉止状態では、接触子40a,40は検出用段部38a,38bとは隙間△L、例えば58a,58b(図3参照)を有し当接しないように設けられていることは、先の実施の形態と同じである。
本発明によれば、パイロットチェック弁のチェック弁体について閉止状態のときは検出スイッチがON,自己ポート圧力またはパイロットピストンにより開いたときは検出スイッチがOFFとなる信号を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る作動検出機能付パイロットチェック弁の要部断面図である。
【図2】図1のII−II線の断面図である。
【図3】図2のロッドの検出用段部の拡大詳細図である。
【図4】図2のチェック弁体の先端部の拡大詳細図である。
【図5】作動位置検出機能付パイロットチェック弁の動作説明図である。
【図6】作動位置検出機能付パイロットチェック弁の動作説明図である。
【図7】作動位置検出機能付パイロットチェック弁の動作説明図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係る作動検出機能付パイロットチェック弁の要部断面図である。
【図9】図8のチェック弁体の先端部の拡大詳細図である。
【図10】従来のモジュラー型パイロットチェック弁の概略構造を示す縦断面である。
【符号の説明】
【0029】
10 モジュラー型パイロットチェック弁
11 弁本体
12〜16 流体通路
17 ピストン
18a,18b 弁座
19a,19b 軸方向穴
20a,20b チェック弁本体
30、81 作動検出機能付パイロットチェック弁
31a,31b ケース
38a,38b 検出用段部
40a,40b 接触子
43a,43b 第1のスペーサ
44a,44b リング
55a,55b コネクタ
56a,56b 電気端子
57a,57b 検出電気端子
58a,58ab 隙間(△L)
61a,61b 導電性ロッド
71a,71b オーバーラップ部(△M)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流体通路を備えた軸方向穴を有する弁本体と、
前記弁本体に形成された軸方向穴に摺動自在に嵌挿し前記流体通路を開閉するように設けられたチェック弁体と、
前記チェック弁体を移動または位置決めする手段と、
を備えたパイロットチェック弁であって、
前記チェック弁体の少なくとも一方を延出させ、該延出部に設けた検出部と、
前記チェック弁体と同心に前記検出部が出入り可能にかつ前記チェック弁体とは干渉しないように設けられたリング部材と、
前記リング部材の外方側端面または前記検出部のいずれか一方もしくは同時に当接可能に軸方向に移動可能にされ前記チェック弁体と同心に前記検出部を除き前記チェック弁体と干渉しないように設けられたリング状の接触部材と、
前記接触部材を前記検出部または前記リング部材へ付勢するスプリングと、
を有し、
前記接触部材は導電性を有し外部と電気接続可能にされた電気端子とで電気的に導通されており、前記リング部材は前記電気端子と異なる検出電気端子と電気的に接続され、前記リング部材と前記接触部材が当接したときは前記リング部材を介して前記電気端子と検出電気端子が導電し、前記リング部材と前記接触部材が離間しているときは少なくとも前記リング部材と前記電気端子とが導電しないようにされていることを特徴とする作動検出機能付パイロットチェック弁。
【請求項2】
請求項1記載の作動検出機能付パイロットチェック弁において、
前記チェック弁体には軸方向穴に沿って変位した際、先端部が前記弁本体に当接位置ではオーバーラップ部となる先端部が設けられていることを特徴とする作動検出機能付パイロットチェック弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作動検出機能付パイロットチェック弁において、
前記オーバーラップ部が隙間よりも大きく設けられていることを特徴とする作動検出機能付パイロットチェック弁。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−170409(P2006−170409A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367588(P2004−367588)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000005197)株式会社不二越 (625)
【Fターム(参考)】