説明

作業用台車

【課題】長軸体からなる物品が収納される長軸体物品収納容器への長軸体の投入、または取出しの作業性を向上できる作業用台車を提供することを目的とする。
【解決手段】コンテナ2を載置する容器載置部3A,3Bを備え、作業者Sにより後方から前後方向Xへ押し引き移動される作業用台車1であって、各容器載置部3A,3Bが、支持台10a,10b,23a,23bを備え、支持台10a,10b,23a,23bの前部に、コンテナ2を支持する溝部29,30を形成し、溝部29,30の後方の切欠面29a,30aと連続する傾斜面77を形成する補助具70を備える。酒用コンテナ2aを載置するとき、各支持台10a,10b,23a,23bに補助具70が取り付けられ、酒用コンテナ2aが溝部29,30および補助具70によって支持されることにより、その上方開放面を作業者S側に傾斜でき、一升瓶の投入、または取出しの作業性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば物品収納棚より取出した物品を、台車に載置した仕分け先(例えば店舗)別の物品収納容器へ投入するピッキング作業に、または台車に載置した物品収納容器より取出した物品を、物品収納棚へ投入するアソート作業に使用される作業用台車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記作業用台車には、物品収納棚から取出した物品を台車に載置した物品収納容器へ投入する、または取出すとき、それらの方向を作業用台車の前後方向(進行方向)の後方(作業用台車を押し引きする作業者側)からとする作業用台車がある。
【0003】
上記物品の投入方向を作業用台車の後方とした作業用台車の一例が、特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されている作業用台車は、複数の車輪に支持され、前後方向に押し引き移動される台車から形成されている。この台車は、前後方向と直角な左右方向に一対の下部フレームが前後方向に沿って設けられ、下部フレームの下部に複数の車輪が設けられ、下部フレームの両側前端に、上下方向へ左右一対の縦フレームが設けられ、下部フレームの両側後端に、上下方向へ左右一対の縦材が設けられ、縦フレームと縦材は所定の高さ位置で前後方向に左右一対の側フレームにより連結され、構成されている。
【0004】
また縦フレームの上部には、各縦フレームを左右方向に連結する上段の容器載置部が形成されている。この上段の容器載置部には、縦フレームの左右側部より前後方向に延設され、物品収納容器が載置されると、物品収納容器の上方開放面を前方が高く、後方が低くなるよう傾斜するように、物品収納容器を下方から支持する下部支持部が設けられている。また側フレームには、各側フレームを左右方向に連結する梁により形成される下段の容器載置部が形成されている。なお、上段および下段の容器載置部には、左右方向に並べて物品収納容器が載置可能に形成されている。
【0005】
また表示装置およびプリンタが収納されるコントロールボックスが、下段の容器載置部の後方上部に設けられている。
上記構成により、作業用台車に物品収納容器が左右方向に並べて載置され、物品収納容器が前後方向に複数個並べられた作業用台車と比較して、物品収納容器に物品を投入する、または取出す際に、作業用台車の側面に回り込んで作業することがなく、その場を殆ど動かずにピッキング作業、またはアソート作業が行われている。
【特許文献1】特開2000−255433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される作業用台車では、長軸体からなる物品を下段の容器載置部に載置された長軸体物品収納容器へ投入、または取出すとき、例えば一升瓶を下段の容器載置部に載置された一升瓶収納容器へ投入、または取出すとき、上段の容器載置部と一升瓶収納容器との間の物品を投入する、または取出す空間(物品投入取出し空間と略す)が狭いために作業性が悪いという問題があった。
【0007】
また上段の容器載置部に載置された一升瓶収納容器へ一升瓶を投入、または取出すとき、上段の容器載置部上に、背が高い一升瓶収納容器が載置されていることにより、一升瓶の投入、または取出しに無理があり、作業性が悪いという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、長軸体からなる物品が収納される長軸体物品収納容器への長軸体の投入、または取出しの作業性を向上できる作業用台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、物品が投入される、または取出される物品収納容器を載置する容器載置部を、上下方向へ重ねて複数段に備え、作業者により後方から前後方向へ押し引き移動される作業用台車であって、
少なくともいずれかの前記容器載置部に、前記物品収納容器を、前部が高くなるように傾斜させて支持する支持部を備え、前記支持部の上部で、かつ前部に、前記前後方向と直角な左右方向に沿って、前記物品収納容器の底面および側面からなる角部を支持する溝部を形成し、前記溝部の後方に、前記物品収納容器の側面を支持する前記溝部と連続する傾斜を形成する補助具を、前記支持部に着脱自在に備え、長軸体からなる物品が収納される長軸体物品収納容器を各容器載置部に載置するとき、前記支持部に前記補助具を取り付け、前記長軸体物品収納容器への物品投入角度を変更することを特徴とするものである。
【0010】
上記構成によれば、長軸体からなる物品が収納される長軸体物品収納容器を各容器載置部に載置するとき、例えば、一升瓶が収納される一升瓶収納容器を各容器載置部に載置するとき、支持部に補助具が取り付けられ、一升瓶収納容器は、支持部に形成された溝部および補助具の傾斜面によって支持される。すると、一升瓶収納容器の上方開放面が後方の作業者側に傾斜されて、一升瓶収納容器への一升瓶の投入角度が変更され、一升瓶の投入、または取出しの作業が容易に実施される。
【0011】
また請求項2に記載の発明は、前記支持部が、前記物品収納容器を、前部が高くなるように傾斜させて支持する傾斜面を有し、前記傾斜面に前記補助具が取り付けられることを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、支持部に載置される物品収納容器の底面が傾斜面に載置され、前記物品収納容器が前記支持部上に安定して載置される。また支持部に取り付けられる補助具が傾斜面に取付けられ、前記補助具が前記支持部に安定して取付けられる。
【0013】
また請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明であって、前記補助具に下方へ延びるフック状の突起部を形成し、前記支持部の傾斜面の前記溝部より後部に、前記補助具の突起部が着脱自在に嵌合される開口部を形成したことを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、補助具を支持部の傾斜面に取り付ける際に、補助具の突起部と支持部の傾斜面に形成された開口部が嵌合される。よって、補助具に一升瓶収納容器を載置しても、補助具が支持部の傾斜面から外れ落ちることが防止される。
【0015】
また請求項4に記載の発明は、上記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記補助具が形成する傾斜を、左右一対の棒材により形成することを特徴とするものである。
【0016】
上記構成によれば、補助具の傾斜が2本の棒材により形成されることにより、補助具の形成が容易となり、また補助具の重量が抑えられる。
また請求項5に記載の発明は、上記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明であって、前記補助具が形成する傾斜に、弾性樹脂より形成される前記一升瓶収納容器の滑り止め材を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
上記構成によれば、補助具の傾斜に滑り止め材を設けたことにより、補助具に載置された一升瓶収納容器が補助具より滑り落ちることが防止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の作業用台車によれば、長軸体からなる物品が収納される長軸体物品収納容器を各容器載置部に載置するとき、例えば、一升瓶が収納される一升瓶収納容器を各容器載置部に載置するとき、補助具を使用することにより、一升瓶収納容器の上方開放面を後方の作業者側に傾斜させることができ、一升瓶の投入、または取出しの作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6に示すように、1は、物品が投入される、または取出されるコンテナ(物品収納容器の一例)2が載置される上下2段(上下複数段の一例)の容器載置部3A,3Bを備え、作業者Sが物品収納棚(図示せず)に沿って押し引き移動しながらピッキング作業、またはアソート作業を行う作業用台車である。以下、作業用台車1の移動方向を前後方向X、移動方向と直角な方向を左右方向Yとし、また前後方向Xのうち作業用台車1が作業者Sに押されて移動される方向を前方、反対方向を後方とする。なお、各容器載置部3A,3Bは、コンテナ2を左右方向Yに2個並べて載置可能に形成され、下段の容器載置部3Bは、上段の容器載置部3Aの後方にずらして配置されている。
【0020】
上記作業用台車1には、下段の容器載置部3Bの下部に複数の車輪が設けられ、詳しくは、下段の容器載置部3Bの前方(作業者Sの奥側)で、左右方向Yの中央部に設けられた自由輪からなる前輪4aと、下段の容器載置部3Bの前後方向Xの中央部で、左右側部に設けられた一対の固定輪からなる中輪4bと、下段の容器載置部3Bの後方(作業者Sの手前側)で、左右側部に設けられた一対の自由輪からなる後輪4cが設けられている。なお、各車輪4a,4b,4cはそれぞれ、図7に示すように、矩形状の板より形成された取付板5を介して、下段の容器載置部3Bの下部に設けられている。
【0021】
このような車輪の構成により、中輪4bによって、作業用台車1の左右方向Yへの移動が規制され、また前方の左右方向Yの中央部と、後方の左右方向Yの各側部に設けられた自由輪からなる前後輪4a,4cによって、作業用台車1が左右方向Yの各中輪4b間を回転直径として旋回される。
【0022】
図1〜図7に示すように、下段の容器載置部3Bは、長手方向を前後方向Xに沿って設けられる左右一対の下段フレーム13と、長手方向を左右方向Yに沿って設けられる前後一対の下段横フレーム14と、長手方向を左右方向Yに沿って設けられる下段内部横フレーム15と、長手方向を前後方向Xに沿って設けられる左右一対の下段内部フレーム16とにより枠組状に形成されている。
【0023】
詳しくは、一対の下段フレーム13と一対の下段横フレーム14の各端部を連結し枠組状の外枠を形成し、各下段フレーム13の所定位置(前方の下段横フレーム14より前輪4aの取付板5の前後方向Xの幅だけ後方位置)を、下段内部横フレーム15にて左右方向Yに連結し、後方の下段横フレーム14と下段内部横フレーム15の所定位置(各下段フレーム13より中輪4b、または後輪4cの取付板5の左右方向Yの幅だけ各内方位置)を、各下段内部フレーム16にて前後方向Xに連結して、枠組状に形成されている。
【0024】
また下段の容器載置部3Bには、前後方向Xにスライドされる前後一対の枠組状のスライダ7a,7bからなるスライダ(スライダ本体の一例)7と、これらスライダ7a,7bを下段の容器載置部3Bの各下段フレーム13に沿って前後方向Xに案内する左右一対のスライドレール(案内レールの一例)8と、スライダ7a,7b上に設けられ、コンテナ2を前部が高くなるように傾斜させて支持する傾斜面27を有する左右一対の支持台(支持部の一例)10a,10bから構成されるスライダ装置9が備えられている。前後のスライダ7a,7bは、支持台10a,10bにより連結されている。
【0025】
前記スライダ7を、図3(a)に示すように、スライドレール8に沿って前方へスライドさせると、支持台10a,10bに支持された各コンテナ2が、後述する後方縦フレーム19の前後位置までスライドされ、上段の容器載置部3Aに各コンテナ2の上方開放面が一部覆われて、下段の容器載置部3Bで、上段の容器載置部3Aの下方に格納された状態となる。また、スライダ7を、図3(b)に示すように、スライドレール8に沿って後方へスライドさせると、支持台10a,10bに支持された各コンテナ2は、下段の容器載置部3Bの後部へ飛び出し(移動し)、各コンテナ2が支持台10の傾斜面27により前部が高くなるように支持されていることにより、その上方開放面が、斜め後方上方に向けて全面開放される。
【0026】
図1〜図6に示すように、上段の容器載置部3Aは、下段の容器載置部3Bの斜め前方で上方に形成されている。すなわち、前方の下段横フレーム14の各所定位置(前方の下段横フレーム14の左右方向Yの中心位置より、左右方向Yに取付板5の幅だけ間隔を有する各左右位置)より立設される左右一対の前方縦フレーム18と、各下段フレーム13の所定位置(前方の下段横フレーム14より後述する制御装置31の載置幅だけ後方位置)より立設される左右一対の後方縦フレーム19の上部に形成されている。なお、前方縦フレーム18と後方縦フレーム19が立設される高さは、下段の容器載置部3Bに載置されたコンテナ2と上段の容器載置部3Aが接触しない最小限の寸法としている。
【0027】
また上段の容器載置部3Aは、前方が閉じられた平面視U字状の上段フレーム(側方支持部材の一例)21と、長手方向を左右方向Yに沿って設けられる3本の上段横フレーム22により枠組状に形成されている。
【0028】
詳しくは、上段フレーム21を、下段の容器載置部3Bを形成する左右の下段フレーム13と前方の下段横フレーム14に対して、上下方向に間隔を空けて平面視重なるように、前方縦フレーム18と後方縦フレーム19に連結し、左右外方の長手方向を前後方向Xに沿って設けられている。すなわちU字状の上段フレーム21の前端部に、前方縦フレーム18を連結し、U字状の上段フレーム21の各側部に、後方縦フレーム19をそれぞれ連結している。またU字状の上段フレーム21の各側部を所定位置(詳細は後述する)にて、各上段横フレーム22により連結している。
【0029】
また上段の容器載置部3Aは、コンテナ2を前部が高くなるように傾斜させて支持する傾斜面28を有する左右一対の支持台(支持部の一例)23a,23bを備え、支持台23a,23bの前端部が前方縦フレーム18の上方に位置するように、支持台23a,23bの前部と後部が、3本中、前方の2本の上段横フレーム22に固定されている。
【0030】
また上段フレーム21には、上段フレーム21の各側方の所定位置(上段の容器載置部3Aに載置されたコンテナ2の後端部に接触しない最小限の後方位置)に、上方に延び左右方向Yに閉じられ、正面視U字状に形成された支持フレーム24を備え、同位置は左右方向Yに連結する3本中の最後方の上段横フレーム22により連結されている。
【0031】
また上段フレーム21の各後端に、図1〜図3に示すように、長手方向が前後方向Xに沿って後方へ延びる左右一対のハンドル(把持部)25を設け、ハンドル25は、その後部が高くなるように傾斜して形成されている。詳しくは、上段フレーム21の各後端より後方へ延び、斜め上方へと曲げ形成され、予め設定された高さ位置(支持フレーム24の上端高さを最上限とする高さ位置)で、斜め下方へ曲げ形成され、平面視略Z字状に形成される左右一対のハンドル25が連結されている。このように、左右のハンドル25が、その後部が高くなるように傾斜して備えられていることにより、下段の容器載置部3Bに載置されたコンテナ2とハンドル25との間から、コンテナ2の各側方より物品を投入、または取出し可能な構成とされている。
【0032】
上記下段フレーム13、下段横フレーム14、下段内部横フレーム15、下段内部フレーム16、前方縦フレーム18、後方縦フレーム19、上段フレーム21、上段横フレーム22、支持フレーム24およびハンドル25は、パイプ材から形成されている。なお、作業者Sに把持されるハンドル25の斜め下方へ曲げ形成された位置より後方の箇所は、作業者Sに把持されやすいように、弾性樹脂によりコーティングされている。
【0033】
また下段の容器載置部3Bの各支持台10a,10bにはそれぞれ、支持台10a,10bの傾斜面27に沿って、前後端および左右方向Yの各内側端に、傾斜壁(枠体の一例)27aが設けられ、載置されたコンテナ2の滑り移動が規制されている。また、上段の容器載置部3Aの各支持台23a,23bにはそれぞれ、支持台23a,23bの傾斜面28に沿って、後端および左右方向Yの各内側端に、傾斜壁28aが設けられ、載置されたコンテナ2の滑り移動が規制されている。
【0034】
図1〜図3および図8に示すように、上記支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28の上部で、かつ前部に、左右方向Yに沿って、コンテナ2の底面および(後方)側面からなる角部(底部角部)を支持する溝部29,30が形成されている。溝部29,30はそれぞれ、左右方向Yへ切り欠き状に形成され、下方へ傾斜された後方の切欠面29a,30aと、上方へ傾斜された前方の切欠面29b,30bを有している。
【0035】
また作業用台車1には、コンテナ2へ投入する物品のピッキング情報、またはコンテナ2より取出す物品のアソート情報を表示する表示装置32と、各容器載置部3A,3Bに載置された各コンテナ2にそれぞれ対応して、物品を投入する、または物品を取出す数量を指示する4個の指示装置33と、各コンテナ2へ備えられるラベル等を発行するプリンタ(印刷装置の一例)34と、少なくともこれら表示装置32、複数の指示装置33およびプリンタ34を制御する制御装置31と、少なくとも制御装置31、表示装置32、複数の指示装置33およびプリンタ34へ電力を供給するバッテリー35が備えられている。
【0036】
図5に示すように、上記制御装置31は、その前部と後部の底部をそれぞれ、前方の下段横フレーム14と下段内部横フレーム15上に支持され、また、上記バッテリー35は、その前部と後部の底部をそれぞれ、前方の下段横フレーム14と下段内部横フレーム15上に支持され、下段の容器載置部3Bの前方にそれぞれ、左右方向Yに分けて配置されている。
【0037】
また上記プリンタ34は、バッテリー35の上方で、前方縦フレーム18と後方縦フレーム19の間に設けられるプリンタスライド装置36に配置されている。このプリンタスライド装置36は、平面視U字状に形成されたプリンタ支持フレーム37と、プリンタ34を支持し、左右方向Yにスライドされるスライダ38と、プリンタ支持フレーム37の左右方向Yに沿った前後のフレーム部に沿ってスライダ38を案内するレール39を備え、右方の後方縦フレーム19にプリンタ支持フレーム37の右方後端を連結し、右方の前方縦フレーム18にプリンタ支持フレーム37の前部を連結して構成され、プリンタ34を作業用台車1の右方へスライド自在にしている。
【0038】
また表示装置32は、最後方の上段横フレーム22の支持フレーム24の左右方向Yの中心箇所に設けられた支持テーブル41の上面に配置され、その表示部が作業者Sに目視可能に設けられている。また、4個の各指示装置33がそれぞれ、表示装置32を挟んで支持テーブル41の上下左右の各端部に配置されている。
【0039】
以下、図7〜図9に示すように、スライダ装置9について詳細に説明する。
スライダ装置9は、図7〜図9に示すように、各スライドレール8がそれぞれ、下段の容器載置部3Bの各下段フレーム13に沿って設けられ、スライダ7a,7bの各左右側面にそれぞれ、スライドレール8に沿って案内されるレール受部7cを形成し、スライダ7a,7bの各レール受部7cが、各スライドレール8に載置され、スライダ7a,7bがスライダレール8に沿って(各下段フレーム13に沿って)前後方向Xへスライド自在に構成されている。
【0040】
また、スライダ装置9には、スライダ7a,7bが前方へスライドされたとき(支持台10に支持されたコンテナ2が、下段の容器載置部3Bで、上段の容器載置部3Aの下方に格納状態にあるとき)、スライダ7a,7bのスライドをロック状態とする(停止状態とする)スナッチ式ロック(ロック装置の一例)43が下段内部フレーム16に設けられ、後方の下段横フレーム14に、スナッチ式ロック43の解除ペダル(解除装置の一例)46が設けられている。
【0041】
図9に示すように、スナッチ式ロック43は、後方が開いた平面視U字状のロック本体44と、ロック本体44の一方の後端より他端付近まで延び、後述するリンク49の回転軸49aを回転中心として前後方向へ旋回動可能なフック45と、ロック本体44の前部に設けられ、フック45の旋回動を前方でのみ旋回動可能とするロック状態から、後方へも旋回動可能な解除状態へ切り換える解除スイッチ43aにより構成されている。またフック45は、常時左右方向Yに沿った状態に位置するように、ロック本体44内に設けられたバネ(図示せず)により付勢されており、解除状態にあるフック45が一度後方へ旋回動されると、フック45がロック状態に切り換えられるように構成されている。
【0042】
また後方スライダ7bの底部より下方へ延び、スナッチ式ロック43に後方より噛み合い、フック45に把持される棒状のロックバー47が形成され、このロックバー47がスナッチ式ロック43に噛み合うことにより、スライダ7の前後方向Xへのスライドがロックされる。
【0043】
また上記解除ペダル46の前端には、作業者Sが解除ペダル46を下方へ操作すると、後方へスライドされるロッド48が連結されている。ロッド48は、長手方向をスナッチ式ロック43が設けられる下段内部フレーム16に沿ってスナッチ式ロック43の前端位置まで設けられ、ロッド48の前端に、解除ペダル46が操作されロッド48が後方へスライドされると、スナッチ式ロック43の解除スイッチ43aを操作するリンク49が連結されている。なお、ロッド48の中央付近には、ロッド48の前方より装着されるバネ(図示せず)を固定するバネ受け48aが形成され、バネの前端が下段内部フレーム16より設けられるリング状のバネ受け16aにより固定され、ロッド48が前方へスライドされるように付勢されるとともに、解除ペダル46の操作位置が上方に位置するように付勢されている。
【0044】
また下段の容器載置部3Bの下段内部フレーム16間に、格納状態(ロック状態)にあるスライダ7の前方位置で左右方向Yに連結するアブソーバ設置フレーム52を設け、アブソーバ設置フレーム52上に、前方スライダ7bの前端を後方へ付勢し、スナッチ式ロック43の解除ペダル46が操作されると、格納状態(ロック状態)にあるスライダ7(7a,7b)を後方へスライドさせるショックアブソーバ(押圧装置の一例)53が設けられている。
【0045】
上記ショックアブソーバ53は、アブソーバ設置フレーム52に固定されるシリンダ54と、図示しないバネを介してシリンダ54に嵌合される出退動自在なロッド55により構成され、前方スライダ7a内にロッド55に接触する受け材56が設けられている。なお、ロッド55は、固定されたシリンダ54に設けられたバネ(図示せず)により後方へ付勢されている。またロッド55は、その後端が前方へスライドされた前方スライダ7bの前端に前方へ押されることで、シリンダ54内のバネが収縮し、ロック状態の前方スライダ7bを後方へスライドさせるよう付勢される。
【0046】
また下段の容器載置部3Bの後方の下段横フレーム14には、スライダ7(7a,7b)が後方へスライドされ、支持台10a,10bに載置されたコンテナ2が後方へ飛び出すとき、その後方へのスライドを規制するゴムストッパ(規制部の一例)57が設けられ、後方スライダ7aには、このゴムストッパ57に接触して、スライダ7の飛び出しを防止するための止め材58が設けられている。
【0047】
また各容器載置部3A,3Bの各支持台10a,10b,23a,23bにはそれぞれ、各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28に載置されるコンテナ2の重量を検出することによりコンテナ2へ投入される物品の重量を検出するロードセル(検出手段の一例)60が設けられている。これら各ロードセル60は、制御装置31に接続され、ピッキング作業が実施されている場合、指示装置33の指示に従って作業員Sがコンテナ2へ物品を投入し、指示装置33の投入完了釦を操作すると、その時点で計測される各支持台10a,10b,23a,23bに載置されたコンテナ2の重量を制御装置31へ出力している。また、アソート作業が実施されている場合、指示装置33の指示に従って作業員Sがコンテナ2より物品を取出し、指示装置33の投入完了釦を操作すると、その時点で計測される各支持台10a,10b,23a,23bに載置されたコンテナ2の重量を制御装置31へ出力している。
【0048】
なお、上段の容器載置部3Aに設けられている各ロードセル60と制御装置31は、前方縦フレーム18に沿って配線されるケーブル(図示せず)によって接続されている。また、下段の容器載置部3Bに設けられている各ロードセル60と制御装置31は、左方の下段内部フレーム16に沿って設けられる板バネ(図示せず)に支持されて配線される、スライダ7のスライド状態に合わせた長さのケーブル(図示せず)によって接続され、コンテナ2が格納状態のとき余分となるケーブルが下方へ垂れないように、板バネにより支持されている。
【0049】
制御装置31は、各容器載置部3A,3Bに載置されるコンテナ2に投入される物品毎に、ピッキング情報に基づいて算出される投入された物品の総重量と、各ロードセル60に検出される各容器載置部3A,3Bに載置されるコンテナ2の重量から算出される実際に投入された物品の総重量とを比較して、ピッキングされた各物品毎の成否を判定する重量検品を行い、または各容器載置部3A,3Bに載置されるコンテナ2より取出される物品毎に、アソート情報に基づいて算出される取出された物品の総重量と、各ロードセル60に検出される各容器載置部3A,3Bに載置されるコンテナ2の重量から算出される実際に投入された物品の総重量とを比較して、アソートされた各物品毎の成否を判定する重量検品を行い、これらの重量検品の結果を表示装置32へ出力している。
【0050】
またコンテナ2には、複数種類の物品が収納される標準のコンテナ(前後方向Xの幅530mm,左右方向Yの奥行き366mm,上下方向の高さ322mm)2と、特に一升瓶(長軸体からなる物品の一例)が収納される酒用コンテナ(長軸体物品収納容器の一例)(前後方向Xの幅318mm,左右方向Yの奥行き440mm,上下方向の高さ380mm)2aが規格され、作業用台車1には、酒用コンテナ2aを載置するために、図10〜図12に示す補助具70が付属されている。
【0051】
上記補助具70は、図10〜図12に示すように、各支持台10a,10b,23a,23bの各溝部29,30の後方に、溝部29,30の後方の切欠面29a,30aと連続する傾斜面77を形成しており、各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28に着脱自在に設けられている。すなわち補助具70は、酒用コンテナ2aが載置される傾斜面77を形成する左右一対の棒フレーム73と、各棒フレーム73の前端と下方へ曲げ形成された棒フレーム73の後端を、各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28に沿って下方より連結する矩形状の枠体74と、各棒フレーム73を左右方向Yに連結する後部横フレーム75と、枠体74の前部を各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28に沿って左右方向Yに連結し、突起部71が形成される前部横フレーム76により形成されている。
【0052】
一升瓶が収納される酒用コンテナ2aは、各溝部29,30、および補助具70の傾斜面77により支持され、酒用コンテナ2aの上方開放面が後方の作業者S側に傾斜され、酒用コンテナ2aへの一升瓶の投入角度が変更される。また、補助具70を各支持台10,23へ着脱自在とするために、図10に示すように、各支持台10a,10b,23a,23bの各溝部29,30より後方へ左右方向Yにそれぞれ、補助具70の突起部71が着脱自在に嵌合される開口部72が形成されている。
【0053】
以下、本実施の形態の作業用台車1において、各容器載置部3A,3Bの構成による作用について説明する。
下段の容器載置部3Bに載置されたコンテナ2へ物品を投入、またはコンテナ2より物品を取出すとき、図3(a),図3(b)に示すように、スライドレール8に沿ってスライダ7(7a,7b)を後方へスライドさせると、スライダ7上に設けられた支持台10a,10bに載置された各コンテナ2の上方開放面が、斜め後方上方に向けて全面開放され、支持台10a,10bの傾斜面27に載置されたコンテナ2の上方開放面が、作業用台車1を押し引きする後方の作業者S側に傾斜され、上方開放面へ連通する物品投入取出し空間が広く形成される。このとき、スライダ7のスライドはゴムストッパ57により規制される。
【0054】
またスライダ7を前方へスライドさせると、コンテナ2が上段の容器載置部3Aの下方に格納状態となり、スライダ7のスライドはロック状態とされる。すなわちスライダ7がスナッチ式ロック43に把持され格納状態に固定されていることにより、作業者Sが作業用台車1を前後方向Xに押し引き移動しても、押し引き移動に伴ってスライダ7がスライドされない。
【0055】
また、スナッチ式ロック43の解除ペダル46が操作されると、格納状態(スナッチ式ロック43によるロック状態)にあるスライダ7が、ショックアブソーバ53により後方へスライドされる。このとき、スライダ7のスライドをロック状態としているスナッチ式ロック43の解除ペダル46が、下段の容器載置部3Bの後方下部に設けられ、すなわち解除ペダル46が作業者Sの足元に位置されていることにより、例えばロック状態のスライダ7を後方へスライドさせる場合に、作業者Sは下段の容器載置部3Bに載置されたコンテナ2、またはスライダ7を把持したまま、解除ペダル46を操作することが可能となる。
【0056】
また左右のハンドル25は、その後部が高くなるように傾斜して備えられていることにより、後方へスライドされた物品収納容器の上方側方に、下段の容器載置部3Bに載置されたコンテナ2とハンドル25との間から、コンテナ2の各側方より物品が投入され、または取出される、広い物品投入取出し空間が形成される。
【0057】
また、制御装置31は、各容器載置部3A,3Bに載置されるコンテナ2に投入される、またはコンテナ2より取出される物品毎に、ピッキング情報、またはアソート情報に基づいて算出される投入された、または取出された物品の総重量と、各ロードセル60に検出される各容器載置部3A,3Bに載置されるコンテナ2の重量から算出される実際に投入された、または実際に取出された物品の総重量とを比較して、投入された、または取出された物品毎の成否を判定する重量検品が行われ、これらの重量検品の結果が表示装置32に表示される。
【0058】
また下段の容器載置部3Bの前方で、かつ上段の容器載置部3Aの下方に印刷装置が備えられ、プリンタ34がピッキング作業、またはアソート作業の妨げとなることが防止されている。またプリンタスライダ装置36に載置されたプリンタ34が右方へスライドされ、プリンタ34の給紙作業が実施される。
【0059】
またスライダ7をスライドさせる際に、各支持台10a,10bに載置されるコンテナ2を把持してスライダ7を前後方向Xへスライドさせても、コンテナ2は傾斜壁27aにより滑り移動が規制される。
【0060】
また一升瓶が収納される酒用コンテナ2aを載置するとき、補助具70を各容器載置部3A,3Bの各支持台10a,10b,23a,23bへ取り付ける。酒用コンテナ2aは、各支持台10a,10b,23a,23bの溝部29,30および補助具70の傾斜面77により支持され、酒用コンテナ2aの上方開放面が後方の作業者S側に傾斜されて載置され、酒用コンテナ2aへの一升瓶の投入角度が変更される。すなわち、各容器載置部3A,3Bに載置された各酒用コンテナ2aの後方側面の高さが、一升瓶が酒用コンテナ2aの後方より抜け落ちない最小限の高さに載置され、後方より一升瓶を投入する、または一升瓶を取出す作業員Sにより、酒用コンテナ2aの後方側面の高さを気にすることなく、一升瓶の投入、または取出しの作業が実施される。また下段の容器載置部3Bにおいて、一升瓶を投入、または取出すための物品投入取出し空間が、上段の容器載置部3Aが形成される上方から作業者Sが位置する後方へと変化され、酒用コンテナ2aへの一升瓶の投入角度が変更される。すなわち一升瓶の長手方向が略水平方向に沿って酒用コンテナ2aへ直接投入され、または酒用コンテナ2aより一升瓶の長手方向が略水平方向に沿って取出される。
【0061】
また、補助具70を取り付ける際に、補助具70の突起部71と各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28に形成された開口部72が嵌合されることにより、補助具70に酒用コンテナ2aを載置しても、補助具70が各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28から外れ落ちること無く、各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28に取り付けられる。
【0062】
また、補助具70の傾斜面77が2本の棒フレーム73より形成されていることにより、補助具70が容易に形成され、また補助具70の重量が抑えられる。
以下、本実施の形態の作業用台車1を使用したピッキング作業について説明する。
【0063】
まず作業者Sがピッキング作業情報(各仕分け先毎の情報、各物品情報および仕分け先毎のコンテナ載置位置または作業者Sにより設定されるコンテナ載置位置)に基づいて、作業用台車1の容器載置部3Aの各支持台23a,23bへ空のコンテナ2を載置する。また、下部の容器載置部3Bの各支持台10a,10bへ空のコンテナ2を載置するとき、スライダ7(7a,7b)の解除ペダル46を操作して、スライダ7を後方へ引き出して各支持台10a,10bにコンテナ2を載置する。ここで、例えば仕分け先が4通りに設定され、各容器載置部3A,3Bの左右にコンテナ2が載置されるものとする。
【0064】
次に下部の容器載置部3Bに載置したコンテナ2の後方側面を把持して、スライダ7(7a,7b)を前方にスライドし、格納状態まで押しこみ、スライダ7をスナッチ式ロック43にてロック状態にする。その後作業用台車1を、表示装置32に表示される物品が載置された物品収納棚の前面まで、ハンドル25を把持して押し引き移動する。そして目的の物品収納棚の位置まで作業用台車1が移動されると、各コンテナ2に対応する指示装置33に物品の投入個数を表す数字が表示される。ここで、例えば上段の容器載置部3A右側のコンテナ2に対応する指示装置33に「2」、下段の容器載置部3B左側のコンテナ2に対応する各指示装置33にそれぞれ「1」が表示されたとする。
【0065】
よって作業者Sは、3個の物品を物品収納棚より取出し、容器載置部3A右側に載置されたコンテナ2へ物品を2個投入し、続いて下段の容器載置部3Bに載置されたコンテナ2を、スライダ7の解除ペダル46を操作して後方(手前側)に引き出し、下段の容器載置部3Bの左側のコンテナ2へ物品を1個投入し、指示装置33の投入完了釦を操作する。
【0066】
ここで、制御装置31が重量検品によりコンテナ2へ投入した物品が表示装置32に表示される物品と違うことを判断すると、表示装置32にコンテナ2へ投入した物品を確認する内容を表示し、これにより作業者Sは、投入した物品をコンテナ2より取出して確認し、正しく再投入し、指示装置33の投入完了釦を再操作する。
【0067】
このようなピッキング作業が終了すると、下部の容器載置部3Bに載置したコンテナ2の後方側面を把持して、スライダ7を前方にスライドし、格納状態まで押しこみ、スライダ7をスナッチ式ロック43にてロック状態にし、新たに表示装置32に表示される物品について、同様にピッキング作業を実施する。そして各コンテナ2に対して仕分け先毎のピッキング作業が全て終了すると、作業者Sは、出荷場または出荷場に連絡するコンベヤ(いずれも図示せず)まで作業用台車1のハンドル25を把持して押し引き移動させ、作業用台車1よりコンテナ2を卸す。この際に、プリンタスライダ装置36のスライダ38を右方より引き出し、プリンタ34から発行される店舗を特定するラベルを、ピッキングが終了した各コンテナ2へ貼りつけて卸す。
【0068】
またピッキング作業が終了する以前に、コンテナ2の荷繰り作業が実施される場合に、すなわちコンテナ2へ投入される物品の数量が多く、コンテナ2内で物品の整理整頓を実施しなければならない場合に、コンテナ2を各容器載置部3A,3Bより床面に降ろして各コンテナ2毎に、物品の荷繰り作業が実施される。
【0069】
またピッキング作業の対象となる物品が一升瓶である場合、つまり作業者Sがピッキング作業情報に基づいて、物品が一升瓶であることを判断すると、各容器載置部3A,3Bの支持台10a,10b,23a,23bへ、補助具70を取り付け、各容器載置部3A,3Bの各支持台10a,10b,23a,23bへ空の酒用コンテナ2aを載置してから、ピッキング作業を実施している。
【0070】
以下、本実施の形態の作業用台車1を使用したアソート作業について説明する。
まず作業者Sがアソート作業情報(棚情報、各物品情報および各コンテナ2の物品情報または作業者Sにより設定されるコンテナ載置位置)に基づいて、作業用台車1の各容器載置部3Aの各支持台23a,23bへコンテナ2を載置する。また、下部の容器載置部3Bの各支持台10a,10bへコンテナ2を載置するとき、スライダ7(7a,7b)の解除ペダル46を操作し、スライダ7を後方へ引き出して各支持台10a,10bにコンテナ2を載置する。ここで、例えば各容器載置部3A,3Bの左右にコンテナ2が載置されるものとする。
【0071】
次に下部の容器載置部3Bに載置したコンテナ2の後方側面を把持して、スライダ7(7a,7b)を前方にスライドし、格納状態まで押しこみ、スライダ7をスナッチ式ロック43にてロック状態にする。その後作業用台車1を、指定されたルートに沿って物品が載置される物品収納棚の前面まで、ハンドル25を把持して押し引き移動する。そして表示装置32に表示される目的の物品収納棚の位置まで作業用台車1を移動すると、各コンテナ2に対応する指示装置33に物品の取出し個数を表す数字が表示される。ここで、例えば容器載置部3B左側の指示装置33に「2」が表示されたとする。
【0072】
よって作業者Sは、容器載置部3Bに載置したコンテナ2を、スライダ7の解除ペダル46を操作して後方(手前側)に引き出し、容器載置部3Cの左のコンテナ2より物品を2個取出し、指示装置33の投入完了釦を操作してから、物品収納棚へ物品を2個投入する。ここで、制御装置31が重量検品によりコンテナ2より取出した物品が表示装置32に表示される物品と違うと判断すると、表示装置32にコンテナ2より取出した物品を確認する内容を表示し、これにより作業者Sは、取出した物品を確認し、違っていればコンテナ2に物品を戻してから、正しい物品をコンテナ2より2個取出し、対応する指示装置33の投入完了釦を操作してから、物品収納棚へ物品を2個投入する。
【0073】
このようなアソート作業が終了すると、新たに表示装置32に表示される物品について、同様にアソート作業を実施する。そして物品収納棚に対して仕分ける物品のアソート作業が全て終了すると、作業者Sは、空のコンテナ置場またはこの置場に連絡するコンベヤ(いずれも図示せず)まで作業用台車1のハンドル25を把持して押し引き移動させ、作業用台車1の側面より空のコンテナ2を卸す。
【0074】
またアソート作業の対象となる物品が一升瓶である場合、つまり作業者がアソート作業情報に基づいて、物品が一升瓶であることを判断すると、各容器載置部3A,3Bの各支持台10a,10b,23a,23bへ、補助具70を取り付け、各容器載置部3A,3Bへ酒用コンテナ2aを載置してから、アソート作業を実施している。
【0075】
以上のように本実施の形態によれば、一升瓶が収納される酒用コンテナ2aを各容器載置部3A,3Bへ載置するとき、補助具70を使用することにより酒用コンテナ2aは、各支持台10a,10b,23a,23bの溝部29,30および補助具70によって支持されることにより、酒用コンテナ2aの上方開放面を後方の作業者S側に傾斜させ、酒用コンテナ2aへの一升瓶の投入角度を変更することができ、一升瓶の投入、または取出しの作業を容易にすることができる。詳しくは、各容器載置部3A,3Bに載置された酒用コンテナ2aの後方側面の高さが、一升瓶が酒用コンテナ2aの後方より抜け落ちない最小限の高さに設定されて載置され、後方より一升瓶を投入する、または一升瓶を取出す作業員Sにより、酒用コンテナ2aの後方側面の高さを気にすることなく、一升瓶の投入、または取出しの作業を実施できる。また下段の容器載置部3Bにおいては、一升瓶を投入、または取出すための物品投入取出し空間が、上段の容器載置部3Aが形成される上方から作業者Sが位置する後方へと変化されて、酒用コンテナ2aへの一升瓶の投入角度が変更されることにより、一升瓶の長手方向を略水平方向に沿って酒用コンテナ2aへ直接投入することができ、または酒用コンテナ2aより一升瓶の長手方向を略水平方向に沿って取出すことができる。
【0076】
また本実施の形態によれば、補助具70を各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28に取り付ける際に、補助具70の突起部71と各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28に形成された開口部72が嵌合されることにより、補助具70に酒用コンテナ2aを載置しても、補助具70が各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28から外れ落ちることを防止できる。
【0077】
また本実施の形態によれば、補助具70の傾斜面77が2本の棒フレーム73により形成されることにより、補助具70の形成を容易にでき、また補助具70の重量を抑えることができる。
【0078】
また本実施の形態によれば、下段の容器載置部3Bに載置されたコンテナ2へ物品を投入、またはコンテナ2より物品を取出すとき、スライドレール8に沿ってスライダ7(7a,7b)を後方へスライドさせると、スライダ7上に設けられた各支持台10a,10bに載置されたコンテナ2が下段の容器載置部3Bの後部へ飛び出し、そのコンテナ2は前部が高くなるように傾斜されて支持されていることにより、コンテナ2の上方開放面が、作業用台車1を押し引きする作業者S側に傾斜され、上方開放面を後方上方に向けて全面開放でき、物品投入取出し空間を広く形成することができる。よって、ピッキング作業性、またはアソート作業性を向上でき、さらに物品の荷繰り作業性を向上できる。
【0079】
また本実施の形態によれば、格納状態にあるスライダ7(7a,7b)のスライドがロック状態にされ、すなわちスライダ7がスナッチ式ロック43により格納状態に把持されることにより、作業者Sが作業用台車1を前後方向Xに押し引き移動しても、それに伴ってスライダ7が前後方向Xへスライドされることなく、作業用台車1の操作性を向上できる。また、スライダ7のスライドをロック状態にしているスナッチ式ロック43の解除ペダル46が、下段の容器載置部3Bの後方下部に設けられ、すなわち解除ペダル46が作業者Sの足元に位置されることにより、例えばロック状態のスライダ7を後方へスライドさせる場合に、作業者Sは下段の容器載置部3Bに載置されたコンテナ2、またはスライダ7を把持したまま、解除ペダル46を足で操作することが可能となり、スライダ7を操作する操作性を向上できる。
【0080】
また本実施の形態によれば、スナッチ式ロック43の解除ペダル46が操作されると、格納状態(スナッチ式ロック43によるロック状態)にあるスライダ7(7a,7b)が、ショックアブソーバ53により後方へスライドされることにより、スライダ7を後方へスライドするスライダ7の操作性を向上できる。
【0081】
また本実施の形態によれば、後方へスライドされたスライダ7の後端が、スライダ7が後方へスライド可能な限界位置にて、そのスライドがゴムストッパ57により規制されることにより、スライダ7が、下段の容器載置部3B(作業用台車1)より後方へ抜け落ちることを防止できる。
【0082】
また本実施の形態によれば、左右のハンドル25は、その後部が高くなるように傾斜して設けられていることにより、後方へスライドされた開放状態のコンテナ2の上方側方に、下段の容器載置部3Bに載置されたコンテナ2とハンドル25との間から、コンテナ2の各側方より物品を投入することができ、または物品を取出すことができる広い物品投入取出し空間を形成でき、ピッキング作業性、またはアソート作業性を向上できるとともに、物品の荷繰り作業性を向上できる。
【0083】
また本実施の形態によれば、各容器載置部3A,3Bに載置されるコンテナ2へ投入される、または取出される物品毎に、ピッキング情報、またはアソート情報に基づいて算出される各容器載置部3A,3Bの各支持台10a,10b,23a,23bに載置されるコンテナ2へ投入された物品の総重量、またはコンテナ2より取出された物品の総重量と、各ロードセル60に検出される各容器載置部3A,3Bに載置されるコンテナ2へ投入された実際の物品の総重量、またはコンテナ2より取出された実際の物品の総重量とを比較して、投入された、または取出された各物品毎の成否を判定する重量検品が行われ、これらの重量検品の結果が表示装置32に表示されることにより、ピッキング作業およびアソート作業の信頼性を向上できる。
【0084】
また本実施の形態によれば、プリンタ34がプリンタスライダ装置36のスライダ38上に配置されることにより、プリンタ40のラベルが無くなった場合の給紙作業を実施する際に、プリンタ34を右側外方へ引き出すことができ、容易に給紙作業を実施できる。さらにはプリンタ下方のバッテリー35を交換する際に、プリンタスライダ装置36によりプリンタ34を外方にスライドさせて、バッテリー35の上方を開放することにより、バッテリー35の交換作業を容易に実施できる。
【0085】
また本実施の形態によれば、スライダ7をスライドさせる際に、各支持台10a,10bに載置されるコンテナ2を把持してスライダ7を前後方向Xへスライドさせても、傾斜壁27aにより、コンテナ2は滑り移動が規制されることにより、コンテナ2を把持してスライダ7を安全に操作することができスライダ7の操作性を向上することができる。
【0086】
また本実施の形態によれば、前後方向Xの中央で、左右各側部に設けられた固定輪からなる中輪4bにより、作業用台車1の左右方向Yへの移動を規制でき、また前方の左右方向Yの中央部と、後方の左右各側部に設けられた自由輪からなる前後輪4a,4cにより、作業用台車1が各中輪4b間を回転直径として旋回でき、作業用台車1の操作性を向上できる。
【0087】
なお、本実施の形態では、補助具70の傾斜面を形成する2本の棒フレーム73上に酒用コンテナ2aを載置しているが、補助具70の傾斜面を形成する各棒フレーム73に、酒用コンテナ2aの滑り止め用に、弾性樹脂より形成されるゴムマット(滑り止め材の一例)79を設ける構成としてもよい。このゴムマット79により、各容器載置部3A,3Bの各支持台10a,10b,23a,23bに載置される酒用コンテナ2aが、ピッキング作業用台車1の移動に伴い各容器載置部3A,3Bの各支持台10a,10b,23a,23bより滑り落ちることを防止できる。
【0088】
また本実施の形態では、各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28の上部で、かつ前部に溝部29,30を形成しているが、溝部29,30が各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28の上部で、かつ前端に位置するように、または溝部29,30のの前方の切欠面29b,30bが各支持台10a,10b,23a,23bの前端位置にわずかに残るように構成してもよく、これらの構成により各支持台10a,10b,23a,23bの傾斜面27,28を各支持台10a,10b,23a,23b上に広く形成することができる。
【0089】
また本実施の形態では、容器載置部3A,3Bにそれぞれ酒用コンテナ2aを載置しているが、物品と酒瓶が混合されたピッキング作業、またはアソート作業を実施する場合に、例えば上段の容器載置部3Aの各支持台23a,23bに補助具70を取り付け、上段の容器載置部3Aに酒用コンテナ2aを載置し、下段の容器載置部3Bに通常のコンテナ2を載置してピッキング作業、またはアソート作業を実施してもよい。
【0090】
また本実施の形態では、各支持台10a,10b,23a,23bをそれぞれ、傾斜面27,28を有する多面体の形状としているが、フレーム構造とすることもできる。すなわち、各支持台10a,10b,23a,23bをそれぞれ、側面視傾斜面27,28および溝部29,30を形成するくぼみ部を有した左右一対の枠状フレームと、左右の枠状フレームを連結し補助具70が取付けられる開口部72を有する前方横連結フレームと、左右の枠状フレームを連結し補助具70の後部が載置される後方横連結フレームから構成し、スライダ7(前後方スライダ7a,7b)上に設ける構成とする。この構成によれば、本実施の形態と同様な作用および効果が得られるとともに、各支持台10a,10b,23a,23bを軽量化でき、スライダ7の操作性を向上できるとともに、作業用台車1の操作性を向上できる。
【0091】
また本実施の形態では、下段の容器載置部3Bに1台のスライダ装置9を設けているが、下段の容器載置部3Bの支持台10a,10b毎にスライダ装置9を設け、各支持台10a,10bが別々にスライドされる構成としてもよく、各支持台10a,10bにそれぞれコンテナ2が載置され、左右別々にスライドされることにより、左右どちらか一方のコンテナ2へ物品を投入する、または左右どちらか一方のコンテナ2より物品を取出す場合に、目的のコンテナ2が載置された支持台10a,10bのスライダ7のみ後方へスライドさせればよく、作業者Sに掛かる負担を軽減できる。
【0092】
また本実施の形態では、スライダ7(前後方スライダ7a,7b)を左右一対の2本のスライドレール8にて案内しているが、スライドレール8の数は2本に限ることなく、1本,または3本等としてもよく、例えば下段の容器載置部3Bの左右方向Yの中央に、前後方向Xに沿って1本設ける構成、または左右一対の2本のスライドレール8と前記左右方向Yの中央のスライドレールを併用する構成としてもよい。
【0093】
また本実施の形態では、スライダ7を、スライドレール8に沿って後方へスライドさせると、各コンテナ2の上方開放面が、斜め後方上方に向けて全面開放されるように構成しているが、スライダ7を、スライドレール8に沿って後方へスライドさせたとき、コンテナ2の上方開放面が、斜め後方上方に向けて一部開放する構成、すなわち後部が開放され前部が上段の容器載置部3Aの下方に位置する構成としてもよい。
【0094】
また本実施の形態では、押圧装置をショックアブソーバ53により構成しているが、単にバネを設ける構成や、弾性樹脂を設ける構成としてもよく、押圧装置をより安価に構成することができる。
【0095】
また本実施の形態では、上段フレーム21の各後端に、左右一対のハンドル25を設け、これら上段フレーム21とハンドル25を一体の構成としているが、これら上段フレーム21とハンドル25は一体の構成に限ることはなく、ハンドル25を上段フレーム21とは別部材とし、例えばハンドル25を、支持フレーム24の上部各側方より後方へ水平方向に沿って延び、その後斜め下方へと曲げ形成されるようなハンドルとしてもよい。
【0096】
また本実施の形態では、各容器載置部3A,3Bに、各支持台10a,10b,23a,23bを備えた構成としているが、これら各支持台10a,10b,23a,23bは少なくともいずれかの各容器載置部3A,3Bに備える構成であってもよい。なお下段の容器載置部3Bに各支持台10a,10bが無い場合、前後方スライダ7a,7bを連結するスライダ連結部材が必要となる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本実施の形態における作業用台車の背面側斜視図である。
【図2】同作業用台車の正面側斜視図である。
【図3】(a)は同作業用台車のスライダのロック状態を示す側面図、(b)は同作業用台車のスライダの開放状態を示す側面図である。
【図4】同作業用台車の背面図である。
【図5】同作業用台車の正面図である。
【図6】同作業用台車の平面図である。
【図7】同作業用台車の下段の容器載置部の拡大平面図である。
【図8】同作業用台車の要部拡大側面図である。
【図9】同作業用台車の要部拡大平面図である。
【図10】同作業用台車に酒用コンテナを載置する際に使用する補助具を取り付けた際の斜視図である。
【図11】同作業用台車に使用する補助具の斜視図である。
【図12】(a)は同補助具の側面図、(b)は同補助具の平面図である。
【符号の説明】
【0098】
X 前後方向
Y 左右方向
S 作業者
1 作業用台車
2 コンテナ
2a 酒用コンテナ
3A,3B 容器載置部
7 スライダ
8 スライドレール
9 スライダ装置
10a,10b 支持台
21 上段フレーム
23a,23b 支持台
25 ハンドル
27 傾斜面
27a 傾斜壁
28 傾斜面
28b 傾斜壁
29 溝部
30 溝部
31 制御装置
32 表示装置
34 プリンタ
43 スナッチ式ロック
46 解除ペダル
53 ショックアブソーバ
57 ゴムストッパ
60 ロードセル
70 補助具
71 突起部
72 開口部
73 棒フレーム
77 傾斜面
79 ゴムマット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が投入される、または取出される物品収納容器を載置する容器載置部を、上下方向へ重ねて複数段に備え、作業者により後方から前後方向へ押し引き移動される作業用台車であって、
少なくともいずれかの前記容器載置部に、前記物品収納容器を、前部が高くなるように傾斜させて支持する支持部を備え、
前記支持部の上部で、かつ前部に、前記前後方向と直角な左右方向に沿って、前記物品収納容器の底面および側面からなる角部を支持する溝部を形成し、
前記溝部の後方に、前記物品収納容器の側面を支持する前記溝部と連続する傾斜を形成する補助具を、前記支持部に着脱自在に備え、
長軸体からなる物品が収納される長軸体物品収納容器を各容器載置部に載置するとき、前記支持部に前記補助具を取り付け、前記長軸体物品収納容器への物品投入角度を変更すること
を特徴とする作業用台車。
【請求項2】
前記支持部が、前記物品収納容器を、前部が高くなるように傾斜させて支持する傾斜面を有し、
前記傾斜面に前記補助具が取り付けられること
を特徴とする請求項1に記載の作業用台車。
【請求項3】
前記補助具に下方へ延びるフック状の突起部を形成し、
前記支持部の傾斜面の前記溝部より後部に、前記補助具の突起部が着脱自在に嵌合される開口部を形成したこと
を特徴とする請求項2に記載の作業用台車。
【請求項4】
前記補助具が形成する傾斜を、左右一対の棒材により形成すること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の作業用台車。
【請求項5】
前記補助具が形成する傾斜に、弾性樹脂より形成される前記長軸体物品収納容器の滑り止め材を設けたこと
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の作業用台車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−241670(P2009−241670A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88988(P2008−88988)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】