説明

作業車のレバー操作装置

【課題】交差する二方向へ向けて揺動操作される操作レバーを備えたレバー操作装置の小型化、ならびに部品点数の削減による構造の簡素化を図る。
【解決手段】操作レバー2の作用操作部22に、枢支部3からの距離が遠近方向で変化する押圧体25と、その押圧体25を枢支部3から遠ざかる方向に付勢する付勢手段26とを備え、二方向のうちの一方向における操作レバー2の作動範囲内で操作レバー2の作用操作部22に対応する複数箇所に操作位置が設定され、かつ、押圧体25に対向するガイド面40が形成されたガイド部材4を備え、ガイド面40は、枢支部3から遠ざかる方向に付勢された押圧体25との摺接で一方向とは交差する他方向に向けて操作レバー2を揺動させて押圧体25を複数箇所の操作位置に案内するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端側に握り操作部を備え他端側に作用操作部を備えた操作レバーを、前記握り操作部と作用操作部との中間箇所に枢支部を設けて、互いに交差する二方向へ向けて揺動操作可能に枢支してある作業車のレバー操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の作業車のレバー操作装置としては、前進位置と中立位置と後進位置との3位置に操作可能な操作レバーにおいて、操作レバーを上下軸芯周りと、水平方向の軸芯周りとの二つの軸芯周りで揺動操作自在に装着するとともに、その操作レバーを各軸芯周りで揺動付勢する複数のスプリングを備えるとともに、中立位置で操作レバーと係合して、その中立位置から前進又は後進側への操作レバーの移動を規制する凹部をレバーガイド側に形成し、その凹部に嵌り込む方向に操作レバーを付勢するスプリングを備えて、操作レバーを中立位置で安定的に位置させるように構成した構造のものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−237788号公報(段落〔0024〕−〔0026〕、図5,6,7,8,9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造では、操作レバーを上下軸芯周りと、水平方向の軸芯周りとの二つの軸芯周りで揺動作動させるように付勢して各操作位置で安定的に位置保持するための複数のスプリングを要する構造であり、部品点数が多くて構造が複雑になりやすく、また、張設した複数のスプリングを収容するための空間も大きく確保する必要があり、装置の大型化を招きやすいという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、交差する二方向へ向けて揺動操作される操作レバーを備えた作業車のレバー操作装置の小型化、ならびに部品点数の削減による構造の簡素化を図る点にその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために講じた本発明における作業車のレバー操作装置の技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
〔解決手段1〕
解決手段1にかかる発明では、一端側に握り操作部を備え他端側に作用操作部を備えた操作レバーを、前記握り操作部と作用操作部との中間箇所に枢支部を設けて、互いに交差する二方向へ向けて揺動操作可能に枢支するとともに、前記操作レバーの作用操作部に、前記枢支部からの距離が遠近方向で変化する押圧体と、その押圧体を前記枢支部から遠ざかる方向に付勢する付勢手段とを備え、前記二方向のうちの一方向における前記操作レバーの作動範囲内で前記操作レバーの作用操作部に対応する複数箇所に操作位置が設定され、かつ、前記押圧体に対向するガイド面が形成されたガイド部材を備え、前記ガイド面は、前記枢支部から遠ざかる方向に付勢された押圧体との摺接で前記一方向とは交差する他方向に向けて前記操作レバーを揺動させて前記押圧体を前記複数箇所の操作位置に案内するように形成されている。
【0007】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1で示した特徴構成によると、互いに交差する二方向へ向けて揺動操作可能に枢支された操作レバーの複数の操作位置での位置保持が、操作レバーの枢支部からの距離が遠近方向で変化する押圧体と、その押圧体を前記枢支部から遠ざかる方向に付勢する付勢手段と、押圧体に対向するガイド面が形成されたガイド部材とを用いて行われるようにしたものであるから、操作レバーと押圧体とガイド部材とが直列的に並ぶ状態でコンパクトに配設され、作業車のレバー操作装置を全体的に小型化し易い利点がある。
また、押圧体を所定の操作位置に案内するスプリング等を操作レバーの枢支部などに備えなくてもよいので、操作レバーの支持構造を小型化し易く、この点でもレバー操作装置の小型化を図り得る利点がある。
【0008】
さらに、付勢手段として、押圧体を操作レバーの枢支部から遠ざかる方向に付勢する付勢手段を備えることで、ガイド部材側のカム面との接触による案内作用よって操作レバーの操作位置での姿勢を安定的に維持することができ、付勢手段の使用個数を節減して、構造の簡素化を図り得る利点もある。
【0009】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ガイド面には、前記枢支部から遠ざかる方向に付勢された押圧体との摺接で前記一方向とは交差する他方向に向けて前記操作レバーを揺動させて前記押圧体を前記複数箇所の操作位置に案内するカム面と、そのカム面に案内されて前記他方向に揺動した位置にある操作レバーに対して前記複数箇所の操作位置のうちの一つの操作位置から別の操作位置への移動を規制するように作用する障壁部とを形成してあり、前記操作レバーの作用操作部は、前記他方向でのカム面による案内方向とは逆方向への前記操作レバーの操作で前記障壁部から外れた位置、または前記障壁部の頂部近くの位置へ移動操作可能に構成してあることを特徴とする。
【0010】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段2で示した特徴構成によると、ガイド部材のガイド面には、前記押圧体との摺接によって、複数箇所の操作位置を選択する操作方向であるところの一方向とは交差する他方向に向けて操作レバーを揺動させるように案内するカム面が形成されている。
このため、一方向に操作された操作レバーは、その選択した各操作位置において、前記押圧体がカム面に案内されて前記一方向とは交差する他方向に揺動する。その結果、操作レバーの作用操作部が、障壁部から外れた位置または障壁部の頂部近くの位置から、自動的に障壁部との接当代を大きくする箇所へ誘導された状態となる。
したがって、付勢手段としては、押圧体を操作レバーの枢支部から遠ざかる方向に付勢する付勢手段を備えるだけの簡単な構造で、ガイド部材側のカム面との接触による案内作用よって操作レバーの操作位置での姿勢を自動的に安定した状態に維持することができる。
そして、操作レバーは、前記他方向でのカム面による案内方向とは逆方向への操作で前記障壁部から外れた位置、または前記障壁部の頂部近くの位置へ移動操作して任意の操作位置への操作が可能な状態にすることができ、操作レバーによる操作位置の選択操作を、操作レバーの意図的な操作を伴って行わせるようにすることができる。
【0011】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記障壁部は、前記操作レバーの作用操作部との接当によって、前記複数箇所の操作位置のうちの一つの操作位置から別の操作位置への移動を規制し、前記別の操作位置から前記一つの操作位置への移動を許容するように形成された障壁面を備えていることを特徴とする。
【0012】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段3にかかる発明によると、複数箇所の操作位置のうちの一つの操作位置から別の操作位置への操作レバーの移動操作は障壁部によって規制されるが、別の操作位置から前記一つの操作位置への移動は許容することができる。
したがって、前記一つの操作位置と別の操作位置との間での切換操作を、咄嗟の切換が必要な方向への切換操作は障壁部を越えての操作レバーの移動を許容し、咄嗟に切換操作をする必要がない方向への切換操作は障壁部で規制するというように、あるいは、切換操作に注意を喚起する要望が高い側への切換を障壁部で規制し、注意喚起の要望が少ない側へは障壁部を越えての操作レバーの移動を許容するというように、操作位置に応じた切換条件を設定することができ、実状に即して便利に用いることのできる作業車のレバー操作装置を得られたものである。
【0013】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ガイド部材には、前記作用操作部に対応する中立操作位置と、その中立操作位置の両側に設定された操作位置が設けられていて、前記障壁部は、前記中立操作位置と両側の操作位置との間に形成されて、前記中立操作位置から両側の操作位置への移動を規制するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4にかかる発明によると、中立操作位置の両側に障壁部を設けてあって、中立操作位置から外れる側への切換操作が規制されるように構成されているので、中立位置に操作されている操作レバーに人や物が触れるなどして操作レバーが中立操作位置から外れてしまうような状況を回避し易いという利点がある。
【0015】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ガイド部材には、前記障壁部から外れた位置で前記操作レバーの作用操作部と接当して、隣り合う操作位置にわたって前記作用操作部の移動を許容するように案内する通過案内部を備えていることを特徴とする。
【0016】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5にかかる発明によると、障壁部から外れた位置に設けてある通過案内部に操作レバーの作用操作部を当てつけた状態で、隣り合う操作位置にわたって作用操作部の移動操作を行うことができる。
したがって、このような通過案内部を備えていない場合には、操作レバーの作用操作部を障壁部の存在箇所から外す方向へ必要以上に大きく揺動操作してから、操作位置を変更する方向へ操作レバーを揺動操作するというように、操作レバーの揺動操作に無駄な動きを伴なうことがあるが、通過案内部を備えたこの発明のものでは、上述のような操作レバーの無駄な動きを省くことができる。つまり、障壁部の存在箇所から外れた位置にある通過案内部へ向けて操作レバーを揺動操作し、その通過案内部に作用操作部を接当させた状態で隣の操作位置に向けて操作レバーの移動操作を行えばよいので、切換操作のための操作レバーの移動を短い距離でスムースに行うことができる利点がある。
【0017】
〔解決手段6〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ガイド部材は、合成樹脂材料によってブロック状に形成され、このガイド部材の前記押圧体に対向する面に前記ガイド面が一体的に凹入形成されていることを特徴とする。
【0018】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段6にかかる発明によると、押圧体を案内するガイド面の形状の複雑さや、加工精度が要求されるものであっても、合成樹脂材料で一体的に成形することによって比較的簡単に製造し易いという利点がある。
また、ガイド部材がブロック状で、ガイド面がブロックから突出するのではなく、一体的に凹入形成されることにより、ガイド部材の組み付け前にガイド面が他物と接触して損傷するなどの虞が少なく、押圧体の先端部をガイド部材側に入り込ませてガイド面によって案内できるという点でも有利である。
【0019】
〔解決手段7〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記操作レバーと前記ガイド部材とを取り付ける箱状の支持台を備え、前記枢支部、前記作用操作部、前記押圧体、及び前記ガイド部材が前記支持台の内部に収容される状態で、前記操作レバー、及び前記ガイド部材を前記支持台に支持してあることを特徴とする。
【0020】
〔解決手段7にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段7にかかる発明によると、操作レバーとガイド部材とが、互いに適正な位置関係であるように、箱状の支持台に対して予め組み込んでおくことができるので、前記操作レバーの枢支部、作用操作部、押圧体、及び前記ガイド部材が支持台の内部に収容された状態で作業車などの所定箇所へ取り付けることができる。
したがって、組み付け作業が行い難い箇所での操作レバーやガイド部材の組み込み作業を省略でき、組み込み作業の簡素化を図り得る利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】トラクタ全体の側面図
【図2】作業車のレバー操作装置の取付状態を示す後面図
【図3】レバー操作装置をステアリングポスト部分で縦断した断面図
【図4】図3におけるIV-IV線断面図
【図5】図3におけるV-V線断面図
【図6】レバー操作装置とその取付箇所を示す分解斜視図
【図7】ガイド部材を示す側面図
【図8】ガイド部材を示す平面図
【図9】図7におけるIX-IX線断面図
【図10】図7におけるX-X線断面図
【図11】前後進変速レバーの動作状態の説明図
【図12】検出装置の動作状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態の一例を図面の記載に基づいて説明する。
〔作業機の全体構成〕
【0023】
図1は、本発明の作業車のレバー操作装置を適用したトラクタを示す。
このトラクタは、左右一対の操向操作及び駆動自在な前車輪11、左右一対の駆動自在な後車輪12、車体前部に設けたエンジン13が装備された原動部10、運転座席14及びその前方に位置するステアリングハンドル15などが装備された運転部16を備えて自走車体1を構成している。
この自走車体1の車体フレームの後部を構成するミッションケース17の上部に、左右一対のリフトアーム18を設け、ミッションケース17内に位置する油圧シリンダ(図示せず)によって上下に揺動操作されるように構成してある。前記ミッションケース17の後部に動力取り出し軸19を設けてある。
【0024】
このトラクタは、車体後部に設けた左右一対のリフトアーム18によってロータリ耕耘装置(図示せず)を昇降操作自在に連結するとともに、前記エンジン13の駆動力を前記動力取り出し軸19からロータリ耕耘装置に伝達して乗用型耕耘機を構成するなど、車体後部に各種の作業装置を昇降操作及び駆動自在に連結して各種の乗用型作業機を構成することができる。
【0025】
前記ミッションケース17内には、図示しないが、前記エンジン13から伝達された駆動力を前後進を含む多段階に変速して前後輪11,12に伝達する走行用変速装置、及び前記エンジン13から伝達された駆動力を減速して前記動力取り出し軸19に伝達する作業用変速装置が内装されている。
そして、図1及び図2に示すように、前記運転部16のステアリングハンドル15の左横側部に、前記ミッションケース17に内装されている走行用変速装置を前進走行状態もしくは後進走行状態に切換操作するための前後進変速レバー2(操作レバーに相当する)が設けられている。
【0026】
〔レバー操作装置〕
図2乃至図5に示すように、前記前後進変速レバー2、及び、その前後進変速レバー2の作用操作部22に対応する操作位置として、中立操作位置N、前進操作位置F、後進操作位置Rを備えるガイド部材4、及び、前記前後進変速レバー2の操作位置を検出する検出装置5によって本発明の作業車のレバー操作装置を構成してある。
図1乃至図3に示されているように、前記レバー操作装置は、ステアリングハンドル15を支持するステアリングポスト15aの横側面に対して、左横側方へ延出するように溶接して固定された取付ブラケット6に装着されている。
前記ステアリングポスト15aは、ステアリングハンドル15の下方側でハンドルポストカバー15cに内装されている。このハンドルポストカバー15cには、部分的に左横側方側に向けて突出する膨出部15dが形成され、その膨出部15dの突出端側にほぼ矩形の開口15eが形成され、この開口15eから前後進変速レバー2の杆状部20及び握り操作部21が外部へ露出する状態に設けてある。
【0027】
前記前後進変速レバー2は、その握り操作部21の端部がステアリングハンドル15の外周部分よりも少し外側に位置する程度の前記外周部分に近い位置にあり、自走車体1の横側方に向けて延出してある。図2に仮想線で示すように、前後進変速レバー2を少し持ち上げて前後方向に操作することによって前後進変速操作を行う際に、前後進変速レバー2の握り操作部21の端部がステアリングハンドル15の外周下部に近接する方向に揺動操作される。
前記取付ブラケット6は、図3及び図6に示されるように、側面視でチャンネル状に形成されていて、前記前後進変速レバー2、ガイド部材4、及び検出装置5を支持するところの後述する支持台7を前後で抱き込む状態で取付可能に構成されている。
【0028】
前記支持台7は、図3乃至図6に示されているように、底板71の前後と前記取付ブラケット6の基端側寄りの箇所との3箇所に立ち上がり壁を備えた金属製材料からなる下部取付部材70と、その下部取付部材70の上側に連結される平板状の金属製材料からなる上部取付部材75とで箱状に構成されている。
前記下部取付部材70は、その前後の立ち上がり壁である前壁部72と後壁部73とを、前記取付ブラケット6の前壁部61と後壁部62との間に入り込ませた抱き込み状態でボルト63により着脱可能に連結されている。
【0029】
つまり、前記下部取付部材70の前壁部72と後壁部73との外面同士の間隔が、前記取付ブラケット6の前壁部61と後壁部62との間の内面同士の間隔と同程度の寸法に設定してあって、下部取付部材70を取付ブラケット6の前壁部61と後壁部62との間に入り込ませると、下部取付部材70の前後位置が取付ブラケット6に対して位置決めされた状態となる。
そして、この下部取付部材70の前記取付ブラケット6の基端側寄りの箇所の立ち上がり壁である奥壁部74は、前記ステアリングポスト15aの横側面との接当によって、前記取付ブラケット6の基端側への移動が規制されている(図3参照)。
この状態で、前記取付ブラケット6の前壁部61と下部取付部材70の前壁部72、及び前記取付ブラケット6の後壁部62と下部取付部材70の後壁部73とをボルト63で連結することにより、下部取付部材70が取付ブラケット6に対して位置決めされた状態で取り付けられることになる。
【0030】
前記下部取付部材70の前壁部72と後壁部73とのうち、前記前後進変速レバー2の長さ方向で、その前後進変速レバー2の後述する枢支部3に近い箇所の前壁部72と後壁部73との一部が上方側へ延出され、かつ、図5及び図6に示すようにそれぞれ前方側及び後方側へ折り曲げられて外広がり状に形成してあり、その外広がり状の折り曲げ箇所に平板状の上部取付部材75がボルト76で連結されている。
【0031】
〔前後進変速レバー〕
前記前後進変速レバー2は、屈曲した杆状に形成してある杆状部20の一端側に握り操作部21を備え、他端側に作用操作部22を備え、その中間箇所が後述する枢支部3を介して支持台7に支持され、その支持台7が前記取付ブラケット6に取り付けられている。前記杆状部20は、図2及び図3に示すように、前記作用操作部22に近い横向き部分20Aと、前記握り操作部21に近い先端部分20Cとに対して、その横向き部分20Aと先端部分20Cとの中間に位置する中間部分20Bが上下向きに傾斜した姿勢で連続していて、機体前後方向視でほぼクランク状に屈曲形成されている。
前記支持台7を構成する上部取付部材75と前記下部取付部材70とにわたって、上下方向の縦軸心yを有した縦軸部材30が装着されている。この縦軸部材30は、その上端側及び下端側のそれぞれに小径軸部31,31を形成してあり、その小径軸部31,31を、前記上部取付部材75及び前記下部取付部材70のそれぞれに形成されている枢支孔75a,70aに係入させて、前記縦軸心y周りで回動自在に取り付けられている。
【0032】
図5及び図6に示すように、前記縦軸部材30は、上下方向に長い縦長の貫通孔32を備えている。この貫通孔32に対して、前記前後進変速レバー2の握り操作部21と作用操作部22との中間に位置する取付軸部23が挿通され、かつ、前記縦軸部材30及び前後進変速レバー2の取付軸部23の両者に対して直交する方向から一本の枢支ピン33が挿入され、前記前後進変速レバー2を、前記縦軸部材30の縦軸心y周りと、前記枢支ピン33の水平方向の横軸心x周りとの、互いに交差する二方向で揺動操作自在に構成してある。
つまり、前記縦軸部材30及び前記枢支ピン33によって、前記前後進変速レバー2の握り操作部21と作用操作部22との中間箇所に相当する取付軸部23を枢支する枢支部3を構成している。
【0033】
前記前後進変速レバー2の取付軸部23は、その両側部を部分的に扁平にした断面形状小判形に形成されていて、その扁平な面を有した部分が前記縦軸部材30の貫通孔32の縦長方向に沿う状態で挿入され、前記枢支ピン33の水平方向の横軸心x周りで貫通孔32内を上下方向に揺動操作自在に装着されている。
【0034】
前記前後進変速レバー2の作用操作部22では、図3、図4、及び図11に示すように、作用操作部22の先端側に形成した円形の装着孔24に、先端側が球面状に形成された砲弾形の押圧体25が装填されている。この押圧体25は、その先端位置が、前後進変速レバー2の枢支部3からの距離が遠近方向で変化するように装着孔24に対して相対摺動するように構成してあり、かつ、前記装着孔24の奥部と押圧体25の内部に形成されたバネ受け孔25aとにわたって、押圧体25を前記枢支部3から遠ざかる側へ付勢する付勢手段としての圧縮されたコイルスプリング26が装着されている。
【0035】
〔ガイド部材〕
前記前後進変速レバー2の作用操作部22に対向する位置に、前後進変速レバー2の前記縦軸部材30の縦軸心y周りでの作動範囲内で、前進操作位置F、中立操作位置N、後進操作位置R、の三箇所に操作位置が設定されたガイド部材4を設けてある。
このガイド部材4は、前記前後進変速レバー2の作用操作部22の軸線方向と、前後進変速レバー2の枢支部3からの距離が遠近方向で変化するように作用操作部22に装着された押圧体25の前記遠近方向と、押圧体25を前記枢支部3から遠ざかる側へ付勢するコイルスプリング26の軸線方向とに対向するように配設されている。つまり、前記作用操作部22と、押圧体25と、コイルスプリング26と、ガイド部材4とが、前後進変速レバー2の杆状部20の横向き部分20Aの長手方向に沿って横一列状に配設されている。
【0036】
このガイド部材4は、合成樹脂製材料の一体成型品によってブロック状に構成してあり、図3乃至図6に示すように、前記支持台7の下部取付部材70の前壁部72と、後壁部73と、前記取付ブラケット6の基端側寄りの箇所に位置する奥壁部74との三方向の立ち上がり壁に接した状態で支持台7に取り付けられる。
このとき、前記奥壁部74に接するガイド部材4の裏面側には、位置合わせ突起4aが突設されていて、この位置合わせ突起4aが前記奥壁部74に形成された係止孔74aを貫通して前記ステアリングポスト15aの横側面に形成された係止孔15bに挿入されている。
また、ガイド部材4の前後両側に矩形状の係止突起4b,4bが突出形成されていて、この矩形状の係止突起4b,4bは、前記支持台7の下部取付部材70の前壁部72と後壁部73とのそれぞれに形成された係止用切り欠き72a,73aに係入して、ガイド部材4の上下方向、及びガイド部材4の前記前後進変速レバー2の枢支部3に対する遠近方向での位置移動が規制された状態で取り付けてある。
【0037】
前記ガイド部材4の表面、つまり前後進変速レバー2の作用操作部22に対向する側の面は、前後進変速レバー2の作用操作部22に設けられた押圧体25に対向するガイド面40が一体的に凹入形成されている。
このガイド面40には、図7乃至図10に示されるように、前記前後進変速レバー2の縦軸心y周りでの作動範囲内に設定された前進操作位置F、中立操作位置N、後進操作位置R、の三つの操作位置が前方側から順に設けてあり、各操作位置を区画する箇所に障壁部41,41を形成してあり、かつ、各操作位置のそれぞれに、前後進変速レバー2の作用操作部22に設けられた押圧体25を案内するカム面42が形成されている。
【0038】
中立操作位置Nでは、前後両側に位置する障壁部41,41同士の間に、前後進変速レバー2の作用操作部22に設けられた押圧体25を案内するカム面42を形成してある。
このカム面42は、図3に実線で、かつ図11に仮想線で示すように、前後進変速レバー2の枢支部3における横軸心x周りで、前記押圧体25の先端が前記横軸心xから最も離れた状態、つまり図11に仮想線で示すように押圧体25がカム面42の最上位置に操作された上限操作位置L1にある状態での、押圧体25の前記横軸心x周りでの回転軌跡rに対して、カム面42の下部が下方側ほど大きく回転軌跡rの内側に入り込むように形成されている。
つまり、前記上限操作位置L1にある状態の押圧体25は、前記横軸心x周りでの押圧体25の揺動範囲内で最も前記横軸心xから離れた位置にあり、これとは異なる位置である下方側へ押圧体25が移動するには、押圧体25を前記横軸心xが存在する枢支部3に近づける方向へ移動させる必要がある。そのためには、前記前後進変速レバー2の作用操作部22に形成してある装着孔24と押圧体25の内部に形成されたバネ受け孔25aとにわたって装着したコイルスプリング26を、さらに圧縮方向へ変形させるように力を加えながら押圧体25を移動させなければならない。
【0039】
このように、コイルスプリング26の付勢力に抗して押圧体25を前後進変速レバー2の枢支部3に近づけるように移動させるには、図11に実線で示すように、前後進変速レバー2の握り操作部21側を上方へ持ち上げるように操作して、作用操作部22側を横軸心x周りで下方側へ揺動させればよい。
前後進変速レバー2の握り操作部21側を上方へ持ち上げて、前記横軸心x周りでの前後進変速レバー2の下限操作位置L2に達すると、押圧体25が後述する通過案内部43に接当し、障壁部41の頂部41aの近く位置に移動した状態となる。
この位置では、図11に示すように、押圧体25の先端側部分と障壁部41の頂部41a近くとが枢支部3からの遠近方向で僅かに重複しているが、押圧体25は先端側に形成された球面部分で障壁部41と接当し、障壁部41の後述する障壁面41bもある程度の傾斜面に形成されているので、その前後進変速レバー2を前記縦軸心y周りで前後方向へ揺動操作すれば、障壁部41の乗り越えの際に押圧体25がコイルスプリング26の付勢力に抗して枢支部3へ近づく側へ移動して障壁部41を乗り越え、押圧体25を隣の前進操作位置F、又は後進操作位置R側へ移動させることができる。
【0040】
上記のように、前後進変速レバー2の握り操作部21側を上方へ持ち上げて、前記横軸心x周りでの前後進変速レバー2の下限操作位置L2に達した位置は、押圧体25の先端側部分と障壁部41の頂部41a近くとが枢支部3からの遠近方向で重複していても、前後進変速レバー2を前記縦軸心y周りで操作することにより、多少のクリック感を伴いながら障壁部41を乗り越え可能な位置である。
この位置で前記押圧体25の先端側部分と障壁部41の頂部41a近くとが枢支部3からの遠近方向で重複する程度は、押圧体25側の球面の曲率や障壁部41の障壁面41の傾斜の度合い、あるいは押圧体25を付勢するコイルスプリング26の付勢力の程度などの諸条件に応じて適宜に設定すればよいが、要は、前記前後進変速レバー2の縦軸心y周りでの操作で障壁部41を乗り越え可能であればよい。
前後進変速レバー2の握り操作部21側を上方へ持ち上げた状態から、前記縦軸心y周りで前後方向へ揺動操作せずに、そのまま手を離せば、前後進変速レバー2の自重とコイルスプリング26の付勢力によって、前記コイルスプリング26の付勢力で押し出される押圧体25が前記カム面42に沿って移動し、再び中立操作位置Nの上限操作位置L1に自動的に復帰して、前後進変速レバー2の握り部21はもとの位置まで下げられる。
【0041】
図3に示すように、前後進変速レバー2が中立操作位置Nに位置して、押圧体25が上限操作位置L1にある状態では、押圧体25の前後両側に障壁部41が位置していて、中立操作位置N側から前進操作位置F、又は後進操作位置R側への前後進変速レバー2の変速操作を押圧体25との接当によって阻止するように構成されている。
【0042】
ガイド部材4の前進操作位置F及び後進操作位置Rにも、前記中立操作位置Nのカム面42と同様なカム面42、つまり、前記押圧体25の先端が前記横軸心xから最も離れた上限操作位置L1にある状態での、押圧体25の前記横軸心x周りでの仮想の回転軌跡rに対して、下方側ほど大きく回転軌跡rの内側に入り込むように形成されたカム面42が設けられている。
したがって、前進操作位置F、及び後進操作位置Rにおいても、人為的な操作が行われない限り、前後進変速レバー2は枢支部3から離れる方向へ付勢されている押圧体25の作用によって上限操作位置L1に存在するように付勢され、前後進変速レバー2の自重とコイルスプリング26の付勢力によって、その位置を保持するように構成されている。つまり、前後進変速レバー2の握り部21は前述した下げられた位置に保持されている。
【0043】
前記障壁部41は、図6乃至図9に示すように、断面形状山形の突条部分によって構成されている。
この突条部分のうち、前記中立操作位置N側に面する障壁面41bは、前後の障壁部41の頂部41a同士を結ぶ仮想平面fに対して、大きな交差角αを有した急角度の面に形成されている。このように大きな交差角αを有した障壁面41bは、前後進変速レバー2を縦軸心y周りで揺動させた際に、障壁面41bに接当する押圧体25を枢支部3側へ押し戻す方向の分力よりも前後進変速レバー2の揺動に抵抗する方向の分力が大きく作用して、前後進変速レバー2の揺動操作によっては、押圧体25を枢支部3側へ移動させて乗り越えることができないように構成されている。
【0044】
前記前進操作位置F及び後進操作位置R側に面する障壁面41cは、前後の障壁部41の頂部41a同士を結ぶ仮想平面fに対して、比較的小さい交差角βを有した緩やかな傾斜面に形成してある。
この交差角βは、前記中立操作位置N側に面する障壁面41bの交差角αよりも十分小さな角度であり、前後進変速レバー2を縦軸心y周りで揺動させた際に、障壁面41cに接当する押圧体25を枢支部3側へ押し戻す方向の分力が、前後進変速レバー2の揺動に抵抗する方向の分力を上回って、押圧体25を収縮方向へ移動させることが可能であるように設定されている。
したがって、前進操作位置F又は後進操作位置Rに存在する前後進変速レバー2を、縦軸心y周りで中立操作位置N側へ揺動操作すると、前進操作位置F又は後進操作位置R側に面する障壁面41cに接当する押圧体25が、コイルスプリング26の付勢力に抗して枢支部3側へ移動しながら障壁部41の頂部41aを乗り越えて中立操作位置N側へ移動する。
このように操作すれば、前進操作位置F又は後進操作位置Rから中立操作位置N側への前後進変速レバー2の揺動操作は、前後進変速レバー2の握り操作部21側を一旦上方側へ持ち上げ操作して障壁部41を交わしてから行う必要なく、単純に縦軸心y周りで前後進変速レバー2を中立操作位置N側へ操作するだけでよく、迅速な操作を行うことができる。
【0045】
ガイド部材4のカム面42の下方側には、前後進変速レバー2の押圧体25が下限操作位置L2に操作された状態で、その押圧体25の下側に接して、押圧体25の前記縦軸心y周りでの揺動操作を案内する通過案内部43が設けられている。
この通過案内部43は、平面視では枢支部3の縦軸心y周りの円弧に沿う円弧状に形成され、側面及び前後方向視では平坦な面に形成され、前記下限操作位置L2に操作された前後進変速レバー2が縦軸心y周りで揺動操作される際に、押圧体25の下面側に接して、押圧体25が摺接移動する際の案内面を構成するものである。
【0046】
〔検出装置〕
前後進変速レバー2が操作された位置を検出する検出装置5は次のように構成されている。
図3乃至図5に示すように、検出装置5は、前後進変速レバー2の枢支部3で、上下方向の縦軸心yを有した縦軸部材30の上部に設けられた円板状の操作板50と、その操作板50の前記縦軸心y周りでの回転位置を検出する3個の検出スイッチ53とを備えて構成されている。
前記操作板50は、縦軸部材30の上部で、支持台7を構成する上部取付部材75の下面近くで縦軸部材30と一体に形成してあり、前記3個の検出スイッチ53は、この操作板50の周辺で前記上部取付部材75の下面側に取り付けられた第1検出スイッチ53aと、第2検出スイッチ53bと、第3検出スイッチ53cとで構成されている。
【0047】
前記3個の検出スイッチ53は、それぞれ操作板50の外周面側に向けて延出された接触子54を備え、前記操作板50には、各検出スイッチ53の接触子54が係入可能な第1凹部51と第2凹部52とが形成されている。
図4に示すように、前記第1凹部51と第2凹部52とのうち、第1凹部51は、前記各検出スイッチ53の接触子54のうちの1個の接触子54が係入可能な大きさに形成してあり、第2凹部52は、前記各検出スイッチ53の接触子54のうちの2個の接触子54が係入可能な大きさに形成してある。
各検出スイッチ53は、それぞれの接触子54が操作板50の第1凹部51又は第2凹部52に係入した状態でOFF、操作板50の外周面に接触した状態でONとなるように構成してある。
【0048】
図12(a)は、前後進変速レバー2が中立操作位置Nに操作されている状態を示し、この状態では、第1検出スイッチ53aの接触子54が第1凹部51に係入し、第2検出スイッチ53bの接触子54、及び第3検出スイッチ53cの接触子54は共に第2凹部52に係入して、全ての検出スイッチ53a,53b,53cがOFFに操作された状態で、「中立」であることを検出するように構成されている。
【0049】
この状態から、前後進変速レバー2を時計回りに操作して、図12(b)に示すように前進操作位置Fに操作すると、第1検出スイッチ53aの接触子54が第1凹部51から外れてONとなり、第2検出スイッチ53bの接触子54は第2凹部52に係入したままでOFFであるが、第3検出スイッチ53cの接触子54が第2凹部52から外れてONとなるように操作される。
つまり、第1検出スイッチ53aと、第3検出スイッチ53cとがONとなることによって、「前進」であることを検出するように構成されている。
【0050】
図12(c)に示すように、前後進変速レバー2を反時計回りに操作して、後進操作位置Rに操作すると、第1検出スイッチ53aの接触子54が第1凹部51から外れてONとなり、第2検出スイッチ53bの接触子54が第2凹部52から外れてONとなり、第3検出スイッチ53cの接触子54は第2凹部52に係入したままでOFFに操作される。
つまり、第1検出スイッチ53aと、第2検出スイッチ53bとがONとなることによって、「後進」であることを検出するように構成されている。
【0051】
上記のように、検出装置5で検出された結果が図外の制御装置に入力され、制御装置からは、ミッションケース17に内装されている走行用変速装置の操作手段に対して前後進の変速操作が指令されるように構成されている。
【0052】
〔別実施形態の1〕
上記実施の形態では、ガイド部材4に設けられた障壁部41に、前後進変速レバー2による操作位置の選択操作を阻止するように大きな交差角αを有した急角度の面からなる障壁面41bと、前後進変速レバー2による操作位置の選択操作を許容するように比較的小さい交差角βを有した緩やかな傾斜面からなる障壁面41cとを備えた構造のものを示したが、これに限られるものではない。
例えば、障壁部41として、前後進変速レバー2による操作位置の選択を行なう方向で、頂部41aの両側に位置する障壁面の何れもが大きな交差角αを有した急角度の面からなる障壁面41bであるように構成して、前後進変速レバー2による操作位置の選択を行なう方向での操作だけでは障壁部41を乗り越えることができないように構成してもよい。
また、大きな交差角αを有した急角度の面からなる障壁面41bとしては、前述した前後の障壁部41の頂部41a同士を結ぶ仮想平面fに対して直交するように、全く傾斜のない垂直面によって構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0053】
〔別実施形態の2〕
上記実施の形態では、操作レバーの一例である前後進変速レバー2の枢支部3として、縦軸心yと横軸心xとの互いに交差する二つの軸芯周りで揺動自在な構造を例示したが、このような二つの軸芯周りで揺動自在である構造に限らず、例えば枢支部3として球継ぎ手を用いて前後進変速レバー2を互いに交差する二方向へ向けて揺動操作可能であるように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0054】
〔別実施形態の3〕
上記実施の形態では、ガイド部材4に形成される前後進変速レバー2の通過案内部43が、ガイド部材4に形成されるカム面42の下側に位置する構造のものを例示したが、これに限らず、例えばガイド部材4に形成されるカム面42の上側に位置する構造のものであってもよい。
この場合、押圧体25の先端が枢支部3から最も遠くなる位置は前後進変速レバー2の下限操作位置L2であるように設定してあり、押圧体25がカム面42の下限操作位置L2にある状態での、押圧体25の前記枢支部3周りでの仮想の回転軌跡rに対して、カム面42の上部が上方側ほど大きく回転軌跡rの内側に入り込むように形成される。
つまり、上記実施の形態とは、カム面42の傾きが上下で逆であるように構成してあって、押圧体25がカム面42の下限操作位置L2にある状態で障壁部41により縦軸心y周りでの揺動を規制され、押圧体が上限操作位置L1に達すると障壁部41から外れて、もしくは前記障壁部の頂部近くの位置へ移動して、前後進変速レバー2の縦軸心y周りでの揺動が許容されるので、前後進変速レバー2の握り操作部21を押し下げながら揺動操作するように構成されることになる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0055】
〔別実施形態の4〕
上記実施の形態では、ガイド部材4に形成される前後進変速レバー2の通過案内部43として、前後進変速レバー2の握り操作部21側を上方へ持ち上げて、下限操作位置L2に達した前後進変速レバー2の押圧体25が通過案内部43に接当したとき、押圧体25の先端側部分と障壁部41の頂部41a近くとが枢支部3からの遠近方向で僅かに重複している構造のものを示したが、このような構造に限らず、前後進変速レバー2の押圧体25が通過案内部43に接当したとき、押圧体25の先端側部分が障壁部41の頂部41から完全に外れた位置にあるように、前記通過案内部43の位置を設定してもよい。
尚、上記通過案内部43は必ずしも必要なものではなく、この通過案内部43を省略して前後進変速レバー2が障壁部41から外れる位置まで自由に上下揺動し得るように構成しても差し支えない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0056】
〔別実施形態の5〕
上記実施の形態では、ガイド部材4に形成される操作位置として、前進操作位置F、中立操作位置N、後進操作位置R、の3箇所の操作位置を備えたものを示したが、これに限らず、2箇所の操作位置を備えたもの、あるいは4箇所以上の操作位置を備えたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0057】
〔別実施形態の6〕
上記実施の形態では、前後進変速レバー2の操作位置を検出装置5を用いて電気信号として検出して、その検出結果を制御装置に入力することにより、ミッションケース17に内装されている走行用変速装置の操作手段に対して前後進の変速操作が指令されるように構成されたものを示したが、このような検出装置5を用いた構造のものに限らず、例えば、前後進変速レバー2の作用操作部22に対して機械的に連係する部材を設けて、ミッションケース17に内装されている走行用変速装置の操作手段に対して機械的に連係させた構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0058】
〔別実施形態の7〕
上記実施の形態では、押圧体25を付勢するための付勢手段として、圧縮されたコイルスプリング26を示したが、これに限らず、例えば、体積弾性変形する樹脂材などの弾性体や空気圧で付勢するようにしてもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0059】
〔別実施形態の8〕
上記実施の形態では、ステアリングポスト15aの横側方箇所に取付ブラケット6を介して配設されたガイド部材4に対して、前後進変速レバー2の押圧体25を自走車体1の横側方から押圧付勢するように構成した構造のものを例示したが、このような構造に限るものではない。
例えば、ガイド部材4をステアリングポスト15aの斜め前方側の横側方箇所に取り付けて、そのガイド部材4に対して自走車体1の斜め前方側の横側方から押圧体25が斜め後方側に向けて押圧付勢するように構成した構造、あるいは、ガイド部材4をステアリングポスト15aの斜め後方側の横側方箇所に取り付けて、そのガイド部材4に対して自走車体1の斜め後方側の横側方から押圧体25が斜め前方側に向けて押圧付勢するように構成した構造であってもよい。
また、ガイド部材4をステアリングポスト15aの後方位置、あるいは横側方位置で、ガイド面40が後方側に向く状態で取り付けて、そのガイド部材4に対して押圧体25が前方側に向けて押圧付勢するように構成した構造としてもよい。この場合、前後進変速レバー2は、枢支部3よりも作用操作部22側寄りの箇所で屈曲されて、押圧体25の押圧方向は前方側へ向けられているが、枢支部3よりも握り操作部21側寄りの箇所は自走車体1の横側方へ延出されているのが望ましい。同様に、ガイド部材4をステアリングポスト15aの前方位置、あるいは横側方位置で、ガイド面40が前方側に向く状態で取り付けて、そのガイド部材4に対して押圧体25が後方側に向けて押圧付勢するように構成した構造としてもよい。この場合、前後進変速レバー2は、枢支部3よりも作用操作部22側寄りの箇所で屈曲されて、押圧体25の押圧方向は後方側へ向けられているが、枢支部3よりも握り操作部21側寄りの箇所は自走車体1の横側方へ延出されているのが望ましい。
さらにまた、前記ガイド部材4は、ステアリングポスト15aの左側の横側方箇所に限らず、右側の横側方箇所に設けられるものであってもよく、前後進変速レバー2も自走車体1の右横側方へ延出された構造のものであってもよい。そして、この右側に配設した場合も、左側に配設した場合と同様な構造で同様な向きに設けても良いことは勿論である。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0060】
〔別実施形態の9〕
ガイド部材4は合成樹脂製材料によって構成されたものに限らず、金属製材料を用いて機械加工したり、鋳造によって構成してもよく、あるいは平板をプレス加工することによって構成してもよい。その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、実施の形態で示したような前後進切換装置のレバー操作装置に限らず、走行速度を高低変速するための変速レバー、作業装置の駆動速度を変速する変速レバー、作業装置の駆動を断続するクラッチレバー、作業装置の駆動方向を切換える操作レバー等、各種の操作レバーの作業車のレバー操作装置として用いることができる。
また、本発明の作業車のレバー操作装置は、前述したトラクタに限らず、田植機やコンバインなどの各種の農作業機、建設機械や土工機、あるいはフォークリフトや運搬車両などの各種の作業機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
2 操作レバー
3 枢支部
4 ガイド部材
7 支持台
21 握り操作部
22 作用操作部
25 押圧体
26 付勢手段
40 ガイド面
41 障壁部
41a 頂部
41b,41c 障壁面
42 カム面
43 通過案内部
N 中立操作位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に握り操作部を備え他端側に作用操作部を備えた操作レバーを、前記握り操作部と作用操作部との中間箇所に枢支部を設けて、互いに交差する二方向へ向けて揺動操作可能に枢支するとともに、
前記操作レバーの作用操作部に、前記枢支部からの距離が遠近方向で変化する押圧体と、その押圧体を前記枢支部から遠ざかる方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記二方向のうちの一方向における前記操作レバーの作動範囲内で前記操作レバーの作用操作部に対応する複数箇所に操作位置が設定され、かつ、前記押圧体に対向するガイド面が形成されたガイド部材を備え、
前記ガイド面は、前記枢支部から遠ざかる方向に付勢された押圧体との摺接で前記一方向とは交差する他方向に向けて前記操作レバーを揺動させて前記押圧体を前記複数箇所の操作位置に案内するように形成されている作業車のレバー操作装置。
【請求項2】
前記ガイド面には、前記枢支部から遠ざかる方向に付勢された押圧体との摺接で前記一方向とは交差する他方向に向けて前記操作レバーを揺動させて前記押圧体を前記複数箇所の操作位置に案内するカム面と、そのカム面に案内されて前記他方向に揺動した位置にある操作レバーに対して前記複数箇所の操作位置のうちの一つの操作位置から別の操作位置への移動を規制するように作用する障壁部とを形成してあり、
前記操作レバーの作用操作部は、前記他方向でのカム面による案内方向とは逆方向への前記操作レバーの操作で前記障壁部から外れた位置、または前記障壁部の頂部近くの位置へ移動操作可能に構成してある請求項1記載の作業車のレバー操作装置。
【請求項3】
前記障壁部は、前記操作レバーの作用操作部との接当によって、前記複数箇所の操作位置のうちの一つの操作位置から別の操作位置への移動を規制し、前記別の操作位置から前記一つの操作位置への移動を許容するように形成された障壁面を備えている請求項2記載の作業車のレバー操作装置。
【請求項4】
前記ガイド部材には、前記作用操作部に対応する中立操作位置と、その中立操作位置の両側に設定された操作位置が設けられていて、前記障壁部は、前記中立操作位置と両側の操作位置との間に形成されて、前記中立操作位置から両側の操作位置への移動を規制するように構成されている請求項2又は3記載の作業車のレバー操作装置。
【請求項5】
前記ガイド部材には、前記障壁部から外れた位置で前記操作レバーの作用操作部と接当して、隣り合う操作位置にわたって前記作用操作部の移動を許容するように案内する通過案内部を備えている請求項2〜4の何れか一項記載の作業車のレバー操作装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、合成樹脂材料によってブロック状に形成され、このガイド部材の前記押圧体に対向する面に前記ガイド面が一体的に凹入形成されている請求項1〜5の何れか一項記載の作業車のレバー操作装置。
【請求項7】
前記操作レバーと前記ガイド部材とを取り付ける箱状の支持台を備え、前記枢支部、前記作用操作部、前記押圧体、及び前記ガイド部材が前記支持台の内部に収容される状態で、前記操作レバー、及び前記ガイド部材を前記支持台に支持してある請求項1〜6の何れか一項記載の作業車のレバー操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−194689(P2012−194689A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57003(P2011−57003)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】