説明

作業車両

【課題】作業車両において、レバー本数に対応した数の回動支軸を変速機や走行機体等に取り付けるため、部品点数が嵩むと共に製造ライン中での組付工数も多くなり、コストアップを招来するという問題を解消する。
【解決手段】走行機体2に搭載されたエンジン5と、該エンジン5から動力が伝達されるミッションケース11と、手動にて操作される少なくとも2つのレバー部材39,40とを備えている作業車両1であって、前記レバー部材39,40群を共通の回動支軸72に回動操作可能に軸支する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、農作業用のトラクタ又は土木作業用のホイルローダといった作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トラクタやホイルローダ等の作業車両においては、走行機体を操向操作するための操縦ハンドルや、走行機体の走行状態を設定調節するための複数のレバー部材等が、操作性を考慮して操縦座席の周囲に配置されている。例えば農作業用のトラクタでは、複数のレバー部材として、主変速レバー、副変速レバー、前後進切換レバー、駆動切換レバー、並びにPTO変速レバー等を有している(特許文献1等参照)。
【0003】
主変速レバーは走行機体の車速を変更操作するものであり、副変速レバーは変速機の変速出力を所定範囲に設定保持するものである。前後進切換レバーは走行機体の進行方向を前進と後進とに切換操作するものであり、駆動切換レバーは走行機体の駆動方式を二駆と四駆とに切換操作するものである。PTO変速レバーは作業機への出力(PTO駆動力)を変速操作するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−297710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の各レバーは、その基端側を個別の回動支軸にて変速機や走行機体等に回動可能に支持することによって、各回動支軸を中心として回動操作可能に構成されている。この場合、レバー本数に対応した数の回動支軸を変速機や走行機体等に取り付けるため、部品点数が嵩むと共に製造ライン中での組付工数も多くなり、コストアップを招来するという問題があった。
【0006】
そこで、本願発明は、上記のような問題を解消した作業車両を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、走行機体に搭載されたエンジンと、該エンジンから動力が伝達されるミッションケースと、手動にて操作される少なくとも2つのレバー部材とを備えている作業車両であって、前記レバー部材群が共通の回動支軸に回動操作可能に軸支されているというものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載した作業車両において、前記レバー部材群は共通部品にて構成されており、それぞれの基端側に設けられたボス部を前記回動支軸に被嵌させることによって、前記レバー部材群が横並びに配置されているというものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載した作業車両において、前記回動支軸は、操縦座席を下方から支持する支持ブラケットの側面に着脱可能にボルト締結されているというものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載した作業車両において、前記レバー部材群は、前記走行機体に装着される作業機への出力を変速操作するためのPTO変速レバー、及び、前記走行機体の駆動方式を二駆と四駆とに切換操作するための駆動切換レバーであり、前記両レバーは、操縦座席の下方で且つ操縦座席より左右外側に、前向きに突出する姿勢で配置されているというものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によると、走行機体に搭載されたエンジンと、該エンジンから動力が伝達されるミッションケースと、手動にて操作される少なくとも2つのレバー部材とを備えている作業車両であって、前記レバー部材群が共通の回動支軸に回動操作可能に軸支されているから、複数の前記レバー部材の軸支構造を1本の前記回動支軸にて行えることになる。従って、部品点数を削減して組立工数を減らせるという効果を奏する。
【0012】
請求項2の発明によると、請求項1に記載した作業車両において、前記レバー部材群は共通部品にて構成されており、それぞれの基端側に設けられたボス部を前記回動支軸に被嵌させることによって、前記レバー部材群が横並びに配置されているから、前記レバー部材群の共用化が図れ、コスト抑制に貢献するという効果を奏する。作業車両製造に際しての組付け作業の手間も軽減できる。その上、前記各レバー部材をオプション設定して後付けすることも簡単に行えるという利点がある。
【0013】
請求項3の発明によると、請求項1又は2に記載した作業車両において、前記回動支軸は、操縦座席を下方から支持する支持ブラケットの側面に着脱可能にボルト締結されているから、前記回動支軸を簡単に取り外しできることになる。このため、例えばグリース補填をしたり交換したりするのを簡単に行える(メンテナンス作業性がよい)という効果を奏する。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のうちいずれかに記載した作業車両において、前記レバー部材群は、前記走行機体に装着される作業機への出力を変速操作するためのPTO変速レバー、及び、前記走行機体の駆動方式を二駆と四駆とに切換操作するための駆動切換レバーであり、前記両レバーは、操縦座席の下方で且つ操縦座席より左右外側に、前向きに突出する姿勢で配置されているから、例えば主変速レバーのような走行に直接関わるものに比べて操作頻度の低い前記両レバーは、できるだけ前記操縦座席に近いものの余り邪魔にならない位置に置かれることになる。従って、オペレータの操作効率の観点に鑑み有効である。また、オペレータがどうしても手を離せないときに、前記両レバーを足で操作することも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】トラクタの全体側面図である。
【図2】トラクタの全体平面図である。
【図3】トラクタの動力伝達系統を示すスケルトン図である。
【図4】駆動切換レバー及びPTO変速レバーの取付け構造を示す側面図である。
【図5】駆動切換レバー及びPTO変速レバーの取付け構造を示す平面図である。
【図6】駆動切換レバー及びPTO変速レバーの取付け構造を示す斜視図である。
【図7】駆動切換レバー及びPTO変速レバーの取付け構造を示す分離斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
まず、図1及び図2を参照しながら、作業車両の一例であるトラクタ1の概略構造について説明する。図1及び図2に示すように、トラクタ1の走行機体2は、左右一対の前車輪3と左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載されたエンジン5にて後車輪4及び前車輪3を駆動することにより、トラクタ1は前後進走行するように構成される。走行機体2は、前バンパ6及び前車軸ケース7を有するエンジンフレーム8と、エンジン5からの動力を継断する主クラッチ9(図3参照)を内蔵したクラッチハウジング10と、エンジン5からの動力を適宜変速して両後車輪4及び両前車輪3に伝達するためのミッションケース11と、クラッチハウジング10の外側面に外向き突設された左右一対のステップフレーム13とにより構成されている。エンジンフレーム8の後端側はエンジン5の左右外側面に連結されている。エンジン5の後面側にはクラッチハウジング10の前面側が連結されている。クラッチハウジング10の後面側には、ミッションケース11の前面側が連結されている。
【0018】
エンジン5はボンネット14にて覆われている。また、クラッチハウジング10の上面には操縦コラム15が立設されている。操縦コラム15の上面側には、左右両前車輪3の舵取り角(操向角度)を変更操作するための操縦ハンドル16が配置されている。ミッションケース11の上面には操縦座席17が配置されている。左右ステップフレーム13の上面には、これらに跨る平坦なステップ床板18が配置されている。前車輪3は前車軸ケース7を介してエンジンフレーム8に取り付けられている。後車輪4は、ミッションケース11の外側面に外向き突設された後車軸ケース19を介して取り付けられている。なお、左右両後車輪4の上面側は左右一対のリヤカウル20にて覆われている。操縦座席17の後方には、エンジン5に供給される燃料を貯留する燃料タンク21と、走行機体2の転倒時にオペレータを保護するためのロプスフレーム22とが設けられている。
【0019】
ミッションケース11の後部上面には、走行機体2の後部に連結される作業機(図示省略)を昇降動させる油圧式の作業機昇降機構23が着脱可能に取り付けられている。この場合、作業機は、一対の左右ロワーリンク25及びトップリンク26からなる3点リンク機構24を介して、ミッションケース11の後部に連結される。作業機昇降機構23における左右のリフトアーム27がリフトリンク28を介して左右のロワーリンク25に連結される。作業機昇降機構23による左右のリフトアーム27の上下回動によって、作業機が昇降動するように構成されている。ミッションケース11の後側面には、作業機にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸29が後ろ向きに突設されている。
【0020】
次に、図1及び図2を参照しながら、操縦座席17周辺における各種操作部材の配置構造について説明する。図1及び図2に示すように、操縦座席17の前方に操縦コラム15が配置されており、操縦コラム15の上面側に操向操作用の操縦ハンドル16が配置されている。操縦コラム15の上面側には操作表示盤31が設けられている。操縦コラム15の一側方には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切換操作するための前後進切換レバー32と、主クラッチ9を切り作動させるためのクラッチペダル33とが配置されている。操縦コラム15の他側方には、エンジン5の回転速度を調節するアクセルレバー34と、走行機体2を制動操作する左右一対のブレーキペダル35とが設けられている。操縦コラム15側から見てブレーキペダル35より更に外側には、アクセルペダル36が配置されている。アクセルペダル36は、アクセルレバー34にて設定されたエンジン5の回転速度を下限として、これ以上の範囲にて回転速度を増減速させるものである。なお、図示は省略するが、操縦コラム15の背面側には、ブレーキペダル33を踏み込み位置に保持する駐車ブレーキレバーが設けられている。
【0021】
操縦座席17の左右前部にはサイドコラム37が設けられている。一方のサイドコラム37上には、ミッションケース11内にある副変速機構53(図3参照)の変速出力を所定範囲に設定保持する副変速レバー38と、走行機体2の駆動方式を二駆と四駆とに切換操作するための駆動切換レバー39と、作業機へのPTO駆動力を変速操作するためのPTO変速レバー40とが配置されている。図2から明らかなように、駆動切換レバー39及びPTO変速レバー40は、操縦座席17の下方で且つ操縦座席17より左右外側に、前向きに突出する姿勢で配置されている。実施形態では、駆動切換レバー39とPTO変速レバー40とがレバー部材を構成している。
【0022】
他方のサイドコラム37上には、走行機体2の車速を変更操作するための主変速レバー41と、作業機の高さ位置を手動で変更調節するポジションレバー42と、作業機昇降制御のオンオフ切換や制御感度設定を行うドラフトレバー43とが配置されている。他方のサイドコラム37寄りにあるリヤカウル20には、ミッションケース17の後部上面に設けられたサブコントロールバルブ(図示省略)を切換操作するための複数のサブコントロールバルブレバー44が配置されている。ここで、サブコントロールバルブは、トラクタ1に後付けされるフロントローダといった別の作業機に作動油を供給制御するためのものである。他方のサイドコラム37の前方には、左右両後車輪4の差動駆動をオンオフするためのデフロックペダル45が配置されている。なお、実施形態の左右サイドコラム37は、それぞれ対応するリヤカウル20と一体形成されている。
【0023】
次に、図3を参照しながら、トラクタ1の動力伝達系統について説明する。前述の通り、クラッチハウジング10には動力継断用のメインクラッチ9が内蔵されている。ミッションケース11内は、エンジン5の動力を正転又は逆転方向に切り換える前後進切換機構51と、前後進切換機構51を経由した回転動力を変速する機械式の主変速機構52及び副変速機構53と、エンジン5の動力を適宜変速してPTO軸29に伝達するPTO変速機構54と、副変速機構53を経由した回転動力を左右の後車輪4に伝達する差動ギヤ機構55とが配置されている。ミッションケース11の下面側に設けられたカバーケース56内には、走行機体2の駆動方式を二駆と四駆とに切り換える二駆四駆切換機構57が配置されている。
【0024】
エンジン5から後ろ向きに突出したエンジン出力軸58には、フライホイル59が直結するように取り付けられている。フライホイル59とこれから後ろ向きに延びる主動軸60は、クラッチハウジング10内の主クラッチ9を介して連結される。また、フライホイル59と主動軸60に回転可能に被嵌された入力筒軸61とに関しても、同様に主クラッチ9を介して連結される。
【0025】
エンジン5の動力は、エンジン出力軸58から主動軸60を経由したPTO駆動系統と、エンジン出力軸58から入力筒軸61を経由した走行系統との2系統に分岐して伝達される。主動軸60に伝達された回転動力はPTO変速機構54に伝達され、PTO変速機構54にて適宜変速されたPTO駆動力がPTO軸29に伝達される。また、入力筒軸61に伝達された回転動力は、前後進切換機構51を経由したのち、主変速機構52及び副変速機構53にて適宜変速される。該変速動力が差動ギヤ機構55を介して左右の後車輪4に伝達される。主変速機構52及び副変速機構53による変速動力は、二駆四駆切換機構57及び前車軸ケース7内の差動ギヤ機構62を介して左右の前車輪3にも伝達される。
【0026】
前後進切換レバー32の操作にて前後進切換クラッチ63を入力筒軸61に沿ってスライド移動させることにより、エンジン5から主変速機構52に向かう回転動力を正転方向に伝達するか逆転方向に伝達するかが選択される。主変速機構52は主変速レバー41の操作によって複数段(実施形態では4段)に切換変速するように構成されている。副変速機構53は副変速レバー38の操作によって高低2段に切換変速するように構成されている。駆動切換レバー39の操作によって、二駆四駆切換機構57を構成する前車輪推進軸64に沿って駆動切換クラッチ65をスライド移動させることにより、副変速機構53を経由した回転動力を前車輪3に伝達するか否かが選択される。更に、PTO変速レバー40の操作によって、PTO軸29に沿ってPTO変速クラッチ66をスライド移動させることにより、PTO駆動力が高低2段に切換変速される。
【0027】
次に、図4〜図7を参照しながら、レバー部材の一例である駆動切換レバー39及びPTO変速レバー40の取付け構造について説明する。図4〜図7に示すように、ミッションケース11の上面には、操縦座席を下方から支持する支持ブラケット71がボルト締結されている。支持ブラケット71における一方の側板71aの前部側には、駆動切換レバー39及びPTO変速レバー40を回動可能に支持する回動支軸72が、左右外向きに突出する姿勢(横向き)で取り付けられている。回動支軸72の一端側には略L字状の固定片73が一体的に設けられている。固定片73のうち回動支軸71と交差する平板部73aを支持ブラケット71の一方の側板71aに重ね合わせてボルト締結することによって、回動支軸71が支持ブラケット71に対して着脱可能に構成されている。
【0028】
なお、固定片73のうち回動支軸71と平行に延びる立板部73bには、ハーネス通し用の貫通穴74が形成されている。貫通穴74にハーネスを通して支持することにより、駆動切換レバー39及びPTO変速レバー40とその周辺に存在するハーネスとの干渉を回避している。
【0029】
駆動切換レバー39及びPTO変速レバー40は共通部品にて構成されている。それぞれの基端側に溶接固定されたボス部79,80を回動支軸72に被嵌させることによって、駆動切換レバー39及びPTO変速レバー40が、共通の回動支軸72回りに上下回動可能な状態で横並びに配置されている。回動支軸72のうち両ボス部79,80を貫通した最外側の突端部には、抜け止め用の止めリング75が着脱可能に被嵌されている。両ボス部79,80は回動支軸72方向に抜け不能に構成されている。各ボス部79,80には、それぞれに対応する中継ロッド86,96の一端側に枢着される連結アーム81,82が固着されている。
【0030】
図4〜図6に示すように、カバーケース56における一方の側面からは、その回動に連動して駆動切換クラッチ65をスライド移動させる駆動切換軸83が外向きに突出している。駆動切換軸83と回動支軸72とは同じ向きで且つ平行状に延びている。駆動切換軸83には、これと一体回動する駆動切換ボス体84が横抜け不能に被嵌されている。駆動切換ボス体84には切換アーム85が固着されている。駆動切換レバー39側の連結アーム81と駆動切換ボス体84の切換アーム85とは、駆動切換用中継ロッド86を介して連動連結されている。連結アーム81が駆動切換用中継ロッド86の一端側に枢支ピン軸87を介して回動可能に連結されている。駆動切換用中継ロッド86の他端側は切換アーム85に枢支ピン軸88を介して回動可能に連結されている。
【0031】
駆動切換レバー39を回動支軸72回りに上下回動させると、駆動切換用中継ロッド86及び駆動切換ボス体84を介して駆動切換軸83が回動し、カバーケース56内の駆動切換クラッチ65を前車輪推進軸64に沿ってスライド移動させる。その結果、副変速機構53を経由した回転動力を前車輪3に伝達したり遮断したりして、走行機体2の駆動方式が二駆と四駆とに切り換えられることになる。
【0032】
ミッションケース11における一方の側面の後部側からは、その回動に連動してPTO変速クラッチ66をスライド移動させる変速切換軸93が外向きに突出している。変速切換軸93も、駆動切換軸83及び回動支軸72と同じ向きで且つ平行状に延びている。変速切換軸93には、これと一体回動する変速切換ボス体94が横抜け不能に被嵌されている。変速切換ボス体94には切換アーム95が固着されている。PTO変速レバー40側の連結アーム82と変速切換ボス体94の切換アーム95とは、PTO変速用中継ロッド96を介して連動連結されている。連結アーム82がPTO変速用中継ロッド96の一端側に枢支ピン軸97を介して回動可能に連結されている。PTO変速用中継ロッド96の他端側は切換アーム95に枢支ピン軸98を介して回動可能に連結されている。
【0033】
PTO変速レバー40を回動支軸72回りに上下回動させると、PTO変速用中継ロッド96及び変速切換ボス体94を介して変速切換軸93が回動し、ミッションケース11後部側のPTO変速クラッチ66をPTO軸29に沿ってスライド移動させる。その結果、PTO駆動力が高低2段に切換変速されることになる。
【0034】
以上の構成によると、走行機体2に搭載されたエンジン5と、該エンジン5から動力が伝達されるミッションケース11と、手動にて操作される少なくとも2つのレバー部材39,40とを備えている作業車両1であって、前記レバー部材39,40群が共通の回動支軸72に回動操作可能に軸支されているから、複数の前記レバー部材39,40の軸支構造を1本の前記回動支軸72にて行えることになる。従って、部品点数を削減して組立工数を減らせるという効果を奏する。
【0035】
また、前記レバー部材39,40群は共通部品にて構成されており、それぞれの基端側に設けられたボス部79,80を前記回動支軸72に被嵌させることによって、前記レバー部材39,40群が横並びに配置されているから、前記レバー部材39,40群の共用化が図れ、コスト抑制に貢献するという効果を奏する。作業車両1製造に際しての組付け作業の手間も軽減できる。その上、前記各レバー部材39,40をオプション設定して後付けすることも簡単に行えるという利点がある。
【0036】
更に、前記回動支軸72は、操縦座席17を下方から支持する支持ブラケット71の側面71aに着脱可能にボルト締結されているから、前記回動支軸72を簡単に取り外しできることになる。このため、例えばグリース補填をしたり交換したりするのを簡単に行える(メンテナンス作業性がよい)という効果を奏する。
【0037】
特に実施形態では、前記レバー部材群が、前記走行機体2に装着される作業機への出力を変速操作するためのPTO変速レバー40、及び、前記走行機体2の駆動方式を二駆と四駆とに切換操作するための駆動切換レバー39であり、前記両レバー39,40は、操縦座席17の下方で且つ操縦座席17より左右外側に、前向きに突出する姿勢で配置されているから、例えば主変速レバー41のような走行に直接関わるものに比べて操作頻度の低い前記両レバー39,40は、できるだけ前記操縦座席17に近いものの余り邪魔にならない位置に置かれることになる。従って、オペレータの操作効率の観点に鑑み有効である。また、オペレータがどうしても手を離せないときに、前記両レバー39,40を足で操作することも可能になる。
【0038】
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 トラクタ
2 走行機体
3 前車輪
4 後車輪
5 エンジン
11 ミッションケース
17 操縦座席
29 PTO軸
39 駆動切換レバー(レバー部材)
40 PTO変速レバー(レバー部材)
54 PTO変速機構
56 カバーケース
57 二駆四駆切換機構
64 前車輪推進軸
65 駆動切換クラッチ
66 PTO変速クラッチ
71 支持ブラケット
71a 一方の側板
72 回動支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に搭載されたエンジンと、該エンジンから動力が伝達されるミッションケースと、手動にて操作される少なくとも2つのレバー部材とを備えている作業車両であって、
前記レバー部材群が共通の回動支軸に回動操作可能に軸支されている、
作業車両。
【請求項2】
前記レバー部材群は共通部品にて構成されており、それぞれの基端側に設けられたボス部を前記回動支軸に被嵌させることによって、前記レバー部材群が横並びに配置されている、
請求項1に記載した作業車両。
【請求項3】
前記回動支軸は、操縦座席を下方から支持する支持ブラケットの側面に着脱可能にボルト締結されている、
請求項1又は2に記載した作業車両。
【請求項4】
前記レバー部材群は、前記走行機体に装着される作業機への出力を変速操作するためのPTO変速レバー、及び、前記走行機体の駆動方式を二駆と四駆とに切換操作するための駆動切換レバーであり、前記両レバーは、操縦座席の下方で且つ操縦座席より左右外側に、前向きに突出する姿勢で配置されている、
請求項1〜3のうちいずれかに記載した作業車両。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−63823(P2012−63823A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205299(P2010−205299)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】