説明

使用制限方法およびその装置

【課題】あらかじめ利用者を登録することなしに、利用者毎の機器利用時間を管理し、機器の利用時間を利用者ごとに適切に制限する使用制限方法およびその装置を提供。
【解決手段】電子機器10を利用する利用者に対して、その利用を所定の条件にて制限することにより、個々の利用者による機器の利用時間を制限する機能を備え、ゲーム機、自動車およびパーソナルコンピュータ等の機器に適用し、利用者をあらかじめ登録しておくことなしで利用者を利用者登録部34にて自動登録し、また、自動認証を行い、利用時間管理部38にてその利用者による利用を管理し、その個々の利用者による機器の利用時間を自動的に制限することにより、機器の長時間利用を抑制して利用者の身体的負荷を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機、自動車、パーソナルコンピュータ等の機器を利用する際に、機器の利用時間を利用者ごとに制限する使用制限方法およびその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機器の利用を制限する方法として特許文献1に記載のものがあった。特許文献1では、機器を利用する利用者をあらかじめ登録しておいた状態で、機器の操作時における指紋認証および虹彩認証等をメイン認証方式とし、音声による話者認証、画像による顔認証、キーストロークの癖による認証等をサブ認証方式として利用者認証を行い、機器の不正利用を防止している。
【0003】
一方、近年、パーソナルコンピュータやゲーム機等の電子機器が広く使用される環境が整備されている中で、これら電子機器の長時間の使用により視力の低下などが問題となっている。また、自動車の長時間運転による集中力低下にともなう事故の発生が問題となっている。このような状況の下で、パーソナルコンピュータおよびゲーム機等の電子機器や自動車等の長時間利用による身体的負荷を抑制し、適切な機器の利用を推奨する仕組みが望まれている。
【特許文献1】特開2005−122700号公報
【特許文献2】特開平5−128338号公報
【特許文献3】実開平7−31092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、たとえば特許文献1に記載の方法では、機器利用の不正利用防止を目的としているため、機器の利用を許可される利用者をあらかじめ登録しておく必要がある。機器の利用者をあらかじめ登録しておく方法は、たとえば利用者をあらかじめ限定しているセキュア環境において有効な方法である。
【0005】
しかし、たとえば、自動車やゲームなどのような誰もが利用可能な機器においては、あらかじめ利用者を登録することができず、このため利用を制限することが困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、自動車やゲームなどのような誰もが利用可能な機器において、顔画像認証を用いることで、あらかじめ利用者を登録することなしに、利用者に利用者登録や利用者認証を意識させずに行う方法で、利用者毎の機器利用時間を管理する方法が望まれる。
【0007】
また、特許文献2では累積使用時間を制限する方法が提案され、また、特許文献3では、TVゲーム機の使用時間を制限する方法が提案されているが、これらの方法では、複数の利用者によって一つの機器を使用する際には、利用者が意識して利用時間管理の区別をしなければならないという問題がある。
【0008】
ここで、パーソナルコンピュータやゲーム機、自動車にこれら従来の技術を単純にて適用すると、利用時間制限を超えて突然使用できなくなると、各種データの保存ができなかったり、不自然なタイミングでゲームが終了したりする。このため、利用者が不快に感じてしまうという問題や、自動車の運転に支障をきたすという問題が発生する。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑み、あらかじめ利用者を登録することなしに、利用者毎の機器利用時間を管理し、利用者にできるだけ不快感や操作への師匠を与えずに機器の利用時間を利用者ごとに適切に制限する使用制限方法およびその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述の課題を解決するために、利用者により利用される機器の利用時間を制限する使用制限方法において、この方法は、利用者を撮像して得られる画像データを入力する画像入力工程と、画像データを解析して利用者を区別し、利用者を認証する認証データを生成する画像解析工程と、認証データを利用者に応じてデータベースに登録するデータベース登録工程と、認証データをデータベースに登録されている認証データと照合するデータベース照合工程と、認証データに対応する利用者の利用時間を管理する時間管理工程と、時間管理工程による管理の結果に応じて、利用者による機器の利用を抑制する利用抑制工程とを含み、画像解析工程は、利用者を顔認証技術によって自動的に登録および認証を行い、時間管理工程は、利用者の利用時間を利用者毎に監視し、利用抑制工程は、利用者による利用時間に応じて利用者の所定時間以上の利用を抑制することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は上述の課題を解決するために、利用者により利用される機器の利用時間を制限する使用制限装置において、この装置は、利用者を撮像して得られる画像データを入力する画像入力手段と、画像データを解析して利用者を区別し、利用者を認証する認証データを生成する画像解析手段と、認証データを利用者に応じてデータベースに登録するデータベース登録手段と、認証データをデータベースに登録されている認証データと照合するデータベース照合手段と、認証データに対応する利用者の利用時間を管理する時間管理手段と、時間管理手段による管理の結果に応じて、利用者による機器の利用を抑制する利用抑制手段とを含み、画像解析手段は、利用者を顔認証技術によって自動的に登録および認証を行い、時間管理手段は、利用者の利用時間を利用者毎に監視し、利用抑制手段は、利用者による利用時間に応じて利用者の所定時間以上の利用を抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、あらかじめ利用者を登録することなく、一定時間間隔で顔画像認証により利用者を識別することにより、利用者の登録、認証を利用者に意識させることなく、機器の利用時間を利用者毎に監視することができる。このとき、利用者の利用累計時間が一定以上の場合においては、利用者に対し利用時間超過の旨の警告を表示したり、機器の利用を停止したりすることで、利用者の機器の長時間使用を抑制することが可能となる。また、利用者を管理する管理者側の立場として、利用者の機器利用時間を管理することが可能となる。
【0013】
このような効果により、パーソナルコンピュータやゲーム機等の電子機器や自動車等の機器の長時間利用による身体的負荷を抑制し、適切な機器の利用を推奨する仕組みを実現することができる。
【0014】
また、アプリケーション側にアプリケーションの利用を制御するための利用制御手段を設けて、あらかじめアプリケーションの内容に合わせて利用を停止する流れを作りこんでおくことで、不適切なタイミングで突然アプリケーションが停止することなく、アプリケーションを自然に停止させることができ、利用者に不快感をほとんど与えることなしに、利用を停止できるという効果が得られる。
【0015】
また、顔認識処理を用いて顔認証処理を実行することにより、利用者の顔が取得画像内に収まっており、おおよそカメラに対して正面を向いていればよいので、覗き込むような動作や指紋等を認識させる動作など認証処理のための特別の認証操作を利用者が行わずにすむから、この結果、利用者に特別意識されずに自動的に認証処理が実行されるとともに、機器の利用に応じてその利用を制限することができる。このような効果は、他の生体情報の認識処理によるものでは実現することができず、困難である。
【0016】
このように、機器利用を事前登録なしに利用者を認識し、連続利用時間を積算して、制限時間に達した際に警告を発したり、機器を停止したりすることができる。また、利用時間を管理することにより一定時間以上の使用をしている場合には利用者に対して警告し、機器の長時間利用を抑制することができるので、これにより、利用者自身の身体的負荷を自動的に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に添付図面を参照して本発明による使用制限方法およびその装置の実施例を詳細に説明する。図1を参照すると、本発明が適用された電子機器の一実施例が示されている。この電子機器10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびI/O(Input/Output)回路などを含むコンピュータ処理システムであり、同図では本発明に直接関係する処理機能に係る要部が示されている。
【0018】
本実施例における電子機器10は、とくに、本電子機器10を利用する利用者に対して、その利用を所定の条件にて制限することにより、個々の利用者による機器の利用時間を制限する機能を備えている。この電子機器10は、たとえば、ゲーム機、自動車およびパーソナルコンピュータ等の機器に適用されて、利用者をあらかじめ登録しておくことなしで利用者を自動登録し、その個々の利用者による機器の利用時間を自動的に制限することにより、たとえば機器の長時間利用を防止して、利用者の身体的負荷を低減させる。このとき、電子機器10の利用者に対して、利用者登録を利用者に極力意識させないように、電子機器10は、顔認識処理を利用した自動登録機能を有している。なお、以下の説明において本発明に直接関係のない部分は、図示およびその説明を省略し、また、信号の参照符号はその現われる接続線の参照符号で表す。
【0019】
図示するように電子機器10は、利用者の顔を撮像するカメラ14にて撮像されて生成される利用者の画像データを入力16に入力する画像入力部12を備えている。画像入力部12は、入力16にカメラ14からの画像データを1フレーム分取得する。このカメラ12は、たとえば、携帯電話機に搭載されているカメラやパーソナルコンピュータシステムにシリアル接続するカメラ等を利用することができる。このカメラ12は、太陽光や室内のライト等の通常照明の下で利用者が照明されて、その被写体像を可視光にて撮像するものが有利に適用される。画像入力部12は、取得した画像データをその出力18に接続された特徴解析部22に出力する。
【0020】
特徴解析部22は、入力18に入力した画像データにて表される利用者個人を識別する顔の特徴を抽出して認証データを生成する機能を有する。顔の特徴としては、たとえば、目および口の配置やその周辺画像(テンプレートなど)を抽出し、認証データを生成する。
【0021】
認証データの生成方法は、たとえば「多様な姿勢を有する入力画像からの個人識別」電子情報通信学会誌D-II、vol. J80-D-II、No. 8に開示されている「階層的ガボールフィルタ」を有利に適用可能である。特徴解析部22は、生成した認証データをその出力24に接続された利用者照合部26に出力する。
【0022】
利用者照合部26は、入力24に入力される認証データを、利用者データベース30に格納されている認証データと照合して、その照合結果に応じて利用者を識別する機能を有する。利用者照合部26は、識別した利用者の利用者IDと認証データとをその出力32に接続された利用者登録部34と、その出力36に接続された利用時間管理部38とにそれぞれ出力する。
【0023】
利用者登録部34は、入力32に入力される利用者IDと認証データとを利用者データベース30に追加して格納させる機能を有する。また、利用者登録部34は、利用者照合部26から得られる画像データを拡大または縮小等の加工処理をして、利用者を表すサムネイル画像として利用者データベース30に追加格納する。さらに利用者登録部34は、利用者IDをその出力40に接続された利用時間管理部38に出力する。
【0024】
利用時間管理部38は、利用者照合部26および利用者登録部34から得られる利用者IDを元にして利用者データベース30を検索し、その検索の結果の応じてその利用者が機器を継続して利用している利用時間を更新する機能を有する。また、利用時間管理部38は、現在の時刻と利用者データベース30の直前の利用時刻とを比較し、その比較の結果、現在の利用時間が利用者データベース30内の利用時間クリア間隔を超えている場合には、利用時間を0にクリアする。逆に現在の利用時間が利用時間クリア間隔を超えていない場合には、更新した利用時間と利用者データベース30に格納されている制限時間との差分を計算し、その計算結果を比較結果として出力42に接続された出力動作部44に出力する。
【0025】
出力動作部44は、利用時間管理部38から得られる比較結果が時間超過を表す場合には、時間超過の旨のメッセージを表示したり、ビープ音などを鳴らしたり、利用機器の操作を禁止(停止)したり、電子機器10をシャットダウンしたりさせる。利用時間管理部38から与えられる比較結果が時間超過を表していない場合には、出力動作部44は、画像入力部12に対して次の画像入力動作を接続線46を介して指示する。
【0026】
利用者管理部48は、利用者データベース30に格納している利用者すべての利用時間を含む情報の閲覧、利用者の削除および利用者の情報の編集を行う。利用者の情報の編集にて編集する情報には、利用時間のリセット、制限時間の変更および利用時間クリア間隔などがある。
【0027】
利用者照合部26、利用者登録部34、利用時間管理部38および利用者管理部48にそれぞれ接続される利用者データベース30は、図2に示すように「利用者ID」、「認証データ」、「制限時間」および「利用時間」を格納し、これら利用者の情報を複数の利用者分管理するデータベースである。
【0028】
利用者ID 200は、利用者登録部34により連番等のユニークな番号または符号にて付与される利用者の識別符号である。サムネイル画像202は、利用者の顔の画像を表すサムネイルである。認証データ204は、特徴解析部22にて解析された認証データである。制限時間206は、あらかじめ決まった時間(たとえば2時間など)を利用者登録部34により登録するデータである。制限時間206は、利用者管理部48により書き換えることができる。利用時間208は、利用者照合部26にて利用者が登録されていると判断する場合に加算される値で、認証が一回成功したときに一定時間加算(たとえば1分など)される値である。この利用時間の加算である時間加算により、操作者が継続して使用していることを判断することができる。また、利用時間208は、利用者管理部38によりクリアすることができる。
【0029】
直前の利用時刻210は、利用時間208をクリアするための指標として使用する時刻情報であり、利用時間管理部38にて、現時刻と直前の利用時刻210とを比較し、利用時間208が後述する利用時間クリア間隔212を超えている場合には、利用時間208を加算する際に利用時間208を0にクリアする。利用時間クリア間隔212は、利用時間をクリアするためのあらかじめ決められた時間(たとえば1日など)の情報である。また、利用時間クリア間隔212は、利用者管理部48によりその間隔を変更することができる。
【0030】
以上の構成で、本実施例における電子機器の動作を図3を参照して説明する。図示するように、まずステップS300では、画像入力部12にて、カメラ14により映像キャプチャが行われて、利用者を撮像した画像データが取得される。この映像キャプチャのタイミングとしては、システム負荷や一回の認証で加算する利用時間を考慮して、1秒毎、1分毎、30分毎など状況に応じて調節するとよい。
【0031】
次いでステップS302に進み、特徴解析部22にて画像入力部12から送られる画像データを入力し、利用者個人を識別できるような顔の特徴が抽出され、これに基づいて認証データが生成される。
【0032】
続くステップS304では、画像抽出が成功したか否かが判定されて、成功した場合には、特徴解析部22は、抽出した認証データを利用者照合部26に送って、次のステップS306に進む。ステップS304にて画像データから顔の特徴が抽出できず、画像抽出が成功しなかった場合には、画像データに人物の顔が撮影されていないとみなし、撮影および解析を再度行うためにステップS300に戻り、画像の取得処理が行われる。
【0033】
ステップS304に続くステップS306では、利用者データベース30に格納されているすべての利用者の認証データと抽出した認証データとの比較および照合処理が実行される。この利用者データベース30との照合処理により、利用者照合部26では、抽出した認証データが利用者データベース30に格納しているいずれの認証データとも一致していない場合に、認証データと画像データとが利用者照合部26から利用者登録部34に出力され、利用者データベース30への利用者の登録処理が行われる(ステップS308)。また、この照合処理により、利用者データベース30に格納している認証データと一致した場合に、利用者照合部26から利用時間管理部38に利用者IDが出力される。
【0034】
ステップS308における利用者データベース30の登録処理は、利用者データベース30にて既に使用されている利用者IDと重複しない新たな利用者IDを利用者登録部34で生成される。また、利用者照合部26より取得した画像データを加工してサムネイル画像が生成される。利用者登録部34は、これら生成した利用者IDと、サムネイル画像と、システムとしてあらかじめ利用者の利用時間の制限時間(たとえば2時間など)の情報と、利用者照合部26より取得した認証データとを利用者データベース30に格納し、また、利用時間管理部38に利用者IDを出力する。
【0035】
ステップS306およびS308に続くステップS310では、利用時間管理部38にて現時刻が取得され、利用者データベース30に格納されている前回の利用時刻と現在時刻との差分が計算される。利用時間管理部38は、前回の利用時刻との差分と、利用者データベースに格納されている利用時間クリア間隔とを比較して利用間隔を判定し、利用時間クリア間隔を超過している場合には、ステップS312に進んで利用時間のクリア処理を行い、超過していない場合には、ステップS314に進んで利用時間の加算処理を行う。
【0036】
ステップS312に進むと、利用時間管理部38では、利用時間クリア間隔を超過し、一定時間利用のインターバルを確保したことを確認した場合に、利用者がシステムを利用できるようにするために、累計している利用時間を0にクリアする。
【0037】
ステップS314に進むと、利用時間管理部38は、利用者照合部26または利用者登録部34より取得した利用者IDをキーにして利用者データベース30を検索し、利用者データベース30に格納されている利用時間に、システムとしてあらかじめ決められた加算時間(たとえば1分など)を加算する利用時間加算処理を行う。この所定間隔の時間加算処理の結果、同じ操作者が継続して利用していることを判断することが可能となる。
【0038】
次にステップS316に進んで、利用時間管理部38では超過時間の算出処理が実行される。これは、利用時間加算処理による加算後の利用時間と利用者データベース30に設定してある制限時間との差分を算出して比較し、その差分の情報と時間超過の可否とが比較結果として出力動作部44に出力される。加算する時間について、画像入力部12における映像キャプチャタイミングと同様に、一回の認証で加算する利用時間を考慮して、1秒毎、1分毎、30分毎等調節されるとよい。
【0039】
さらにステップS318に進むと、出力動作部44では、利用時間管理部38から出力される比較結果(時間超過の可否や制限時間との差分情報)により出力動作を決定し、超過時間に応じた出力が行われる。たとえば、時間超過の場合には、「メッセージ表示」、「効果音を鳴らす」、「入力デバイスを振動させる」、「操作不可状態にする」、「利用機器をシャットダウンする」等の動作をあらかじめシステムで決めておき実行する。また、時間超過の度合いに応じて、たとえば制限時間の3分前では警告を利用者に発し、制限時間になると、機器利用を停止をするといった複合的な使用をしてもよい。比較結果が時間超過でない場合には、特に何もせず、ステップS300に戻って画像入力処理以降の処理が繰り返される。
【0040】
また、利用者管理部48では,直接、利用者データベースを閲覧し、利用者すべての利用時間の表示、利用者の削除や利用者データベースの編集(制限時間の変更、利用時間クリア間隔の変更等)を行うことができる。
【0041】
以上説明したように本実施例によれば、あらかじめ利用者を登録することなく、顔画像認証により利用者を一定時間間隔で識別することにより、利用者の登録および認証を利用者に意識させることなく、機器利用時間を利用者毎に監視することができる。このとき、利用者の利用累計時間が一定以上となる場合には、利用者に対し、利用時間超過の旨の警告を表示したり、機器の利用を停止したりすることで、利用者の機器の長時間使用を抑制することが可能となる。また、利用者を管理する管理者側の立場としては、利用者の機器利用時間を管理することが可能となる。
【0042】
このような作用効果により、パーソナルコンピュータやゲーム機等の電子機器や自動車等の機器に対する長時間利用による身体的負荷を抑制し、適切な機器の利用を推奨する仕組みを実現することができる。とくに機器利用のために事前登録なしで利用者を認識し、連続利用時間を積算して、制限すべき時間に達した際に警告を発したり、機器の動作を停止したりすることができる。
【0043】
次に、本発明が適用された実施例を説明する。本実施例では、図1に示した第1の実施例における機能構成に加えて、機器利用の際に制限すべき時間に達したときに、たとえば、アプリケーションプログラムによるゲームの中断するキリが良いところまで進行してから停止するなど、アプリケーションの進行を停止させる(ゲーム上の相手キャラクタが出てこないなど)際の終了処理がスムーズに進行するための構成を備える。このような構成により、たとえば子供などの利用者が、機器の利用を違和感なくすんなりやめられることが期待される。
【0044】
第2の実施例を図4を参照して説明する。図示するように、本実施例における電子機器400は、図1に示した第1の実施例と異なる点として、利用時間を監視するブロックのうち、出力動作部44(図1)に代えて状態出力部402を備える利用時間監視部404を有し、ゲームなどのアプリケーションソフトウェア側のアプリケーション部406に利用制御部408とアプリケーション本体410とをさらに設けた点である。その他の第1の実施例と同様の構成については、図4において同一の参照符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0045】
図4に示すように、状態出力部402は、アプリケーションソフトウェアが格納されて、そのソフトウエアを実行するアプリケーション部406に対して、現在の利用者がすでに制限時間を超えたか否かについての情報と、最後に利用してその利用を終了したときからどの程度の時間が経過したかの状態を通知する機能を有する。
【0046】
アプリケーション部406の利用制御部408は、第1にアプリケーションソフトウェアに合わせた利用時間監視を接続線414を介して利用時間管理部404に設定し、第2に、状態出力部402から接続線412を介して通知される状態を監視し、アプリケーションソフトウェアを利用停止状態に移行するように指示したり、再度利用可能状態に移行するように指示したりする。
【0047】
アプリケーション本体部410は,利用制御部408から通知される使用停止の指示および利用再開の指示により、アプリケーションの動作を変化させる。たとえば、アプリケーションソフトウェアの動作上適切なタイミングでセーブポイントへ自動的に移行し、利用者にデータを保存させた後、利用制限時間を超えた旨を利用者に対し通知するメッセージを表示し、アプリケーションソフトウェアの動作を終了することなどができる。
【0048】
次にこの第2の実施例における動作を、ゲームのアプリケーションソフトウェアを例として説明する。なお、利用者の特定や時間監視の動作は第1の実施例と同様の構成および動作でよいので、その説明を省略する。
【0049】
ゲームを実行する利用者によって、アプリケーション部406が起動されると、アプリケーション本体部410は、以降、その利用者がゲームのコマンドを入力したタイミングおよび何らかの操作をしたタイミングなど、ゲームアプリケーションの処理を阻害しないようなタイミングで、利用制御部408を通して利用者時間監視部404に利用者時間監視を接続線414を介して指示する。これらのタイミングポイントは、ゲームのアプリケーション側にあらかじめ作りこんでおくことができるため、アプリケーション毎に最適なタイミングを設定することができる。
【0050】
利用者時間監視部38は、指示されたタイミングで画像の取得から、特徴解析、画像抽出判定などの第1の実施例にて説明した一連の利用者時間監視を実行する。
【0051】
このとき、利用時間の加算については、第1の実施例ではあらかじめ決められた一定時間を加算していたが、本実施例ではシステム時計から取得した時刻と前回の監視の時刻との差分を加算するなど、非一定周期の監視に対応した累積時間の加算を行うように構成されている。
【0052】
次に、状態出力部402が監視を実行した結果を利用制御部408に通知する。たとえば、継続して利用可能であれば「利用可」を示す監視結果であり、利用者の利用時間が超過していれば「超過」を示す監視結果である。
【0053】
利用制御部408は、「利用可」の状態を受け取った場合に、通常通りアプリケーションの利用を継続させるが、逆に「超過」の状態を状態出力部402から受け取った場合には、アプリケーション本体部410に停止を指示する。
【0054】
アプリケーション本体部410は、利用制御部408から停止を指示されると、それぞれあらかじめ決められた停止のための処理動作を実行する。たとえば、ゲームにおいてゲームキャラクタによる戦闘中などのようなゲームを中断するには不適切な場面の状態にある場合は、一連の戦闘が終わるなどの切りの良いタイミングまでは通常通り動作し、切りの良いタイミングまで進んだ段階で、自動的にゲームデータの保存画面に移行して、ゲームを再開させるためのゲームデータを利用者に保存させる。このとき、保存の前または後で利用時間を超過した旨を示すメッセージを表示する。ゲームデータの保存が完了すると、ゲームアプリケーションは自動的に終了する。
【0055】
また、別の例として,ゲームフィールド上を自在に移動するようなゲームアプリケーションの場合などで、保存できる場所が特定されている場合は、「超過」の状態を利用制御部408から受け取り、停止がアプリケーション本体部410に指示されると、アプリケーション本体部410は、利用時間が超過したため保存場所に行くようにメッセージを表示し、保存場所(保存のための画面表示)以外の場所には行けなくなるような処理制御を行う。
【0056】
以上説明したように、第2の実施例によれば、アプリケーション部406側に利用制御部408を設けて、あらかじめアプリケーションの内容に合わせて利用を停止する処理の流れを作りこんでおくことで、不適切なタイミングで突然アプリケーションが停止することなく自然に停止させることができ、利用者に不快感をほとんど与えることなしに、機器の利用を停止できるという効果が得られる。
【0057】
なお、上記各実施例では、利用者を認証する手段として、顔認証を用いた処理システムを採用することで、たとえば機器の操作画面の前に位置する利用者を撮像してその認証データを作成しているから、たとえば何かを覗き込むような動作や指紋等を認識させるなどのような認証のための特定の動作を利用者がとることなく、自動的に認証処理が実行されるという効果がある。
【0058】
この顔認識による認証処理では、利用者の顔がカメラ14による取得画像内に収まっており、利用者はおおよそ正面を向いていればよく、利用機器がたとえばゲーム機である場合、利用者がゲームをするためにほとんどの間ゲーム画面を凝視しているため、ゲーム画面の近傍に利用側を撮影するような配置で画像取得用のカメラ14を設けることで、利用者がまったく意識しなくても、常に顔認識および認証を行うことができる。その認証できる範囲は、カメラ14の構成によっても異なるが、たとえば、顔情報を登録したときの顔向き方向に対してプラスマイナス15度のコーン内の顔角度にて認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明が適用された電子機器の実施例を示すブロック図である。
【図2】利用者データベースの構成例を示す図である。
【図3】図1に示した実施例における動作を表すフローチャートである。
【図4】電子機器の他の実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
10 電子機器
12 画像入力部
22 特徴解析部
26 利用者照合部
30 利用者データベース
34 利用者登録部
38 利用時間管理部
44 出力動作部
48 利用者管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者により利用される機器の利用時間を制限する使用制限方法において、該方法は、
利用者を撮像して得られる画像データを入力する画像入力工程と、
前記画像データを解析して前記利用者を区別し、該利用者を認証する認証データを生成する画像解析工程と、
前記認証データを前記利用者に応じてデータベースに登録するデータベース登録工程と、
前記認証データを前記データベースに登録されている認証データと照合するデータベース照合工程と、
前記認証データに対応する利用者の利用時間を管理する時間管理工程と、
該時間管理工程による管理の結果に応じて、前記利用者による機器の利用を抑制する利用抑制工程とを含み、
前記画像解析工程は、前記利用者を顔認証技術によって自動的に登録および認証を行い、
前記時間管理工程は、前記利用者の利用時間を利用者毎に監視し、
前記利用抑制工程は、前記利用者による利用時間に応じて該利用者の所定時間以上の利用を抑制することを特徴とする使用制限方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該方法は、
前記データベースを管理するデータベース管理工程を含み、
前記利用抑制工程は、前記利用者の利用者別に利用状況を変更することを特徴とする使用制限方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記利用抑制工程は、利用を抑制するための情報を出力することを特徴とする使用制限方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、前記利用抑制工程は、利用を抑制させるメッセージを表示して前記機器の利用を抑制することを特徴とする使用制限方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、該方法は、
前記時間管理工程にて管理される利用時間の管理結果をアプリケーション側に通知する工程と、
前記利用時間の管理結果に応じて、前記アプリケーションの動作を制御する制御工程とを含み、
該制御工程は、前記利用者による機器の利用時間に応じて前記アプリケーションの動作を変更し、該アプリケーションの利用を停止させることを特徴とする使用制限方法。
【請求項6】
利用者により利用される機器の利用時間を制限する使用制限装置において、該装置は、
利用者を撮像して得られる画像データを入力する画像入力手段と、
前記画像データを解析して前記利用者を区別し、該利用者を認証する認証データを生成する画像解析手段と、
前記認証データを前記利用者に応じてデータベースに登録するデータベース登録手段と、
前記認証データを前記データベースに登録されている認証データと照合するデータベース照合手段と、
前記認証データに対応する利用者の利用時間を管理する時間管理手段と、
該時間管理手段による管理の結果に応じて、前記利用者による機器の利用を抑制する利用抑制手段とを含み、
前記画像解析手段は、前記利用者を顔認証技術によって自動的に登録および認証を行い、
前記時間管理手段は、前記利用者の利用時間を利用者毎に監視し、
前記利用抑制手段は、前記利用者による利用時間に応じて該利用者の所定時間以上の利用を抑制することを特徴とする使用制限装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、該手段は、前記データベースを管理するデータベース管理手段を含み、
前記利用抑制手段は、前記利用者の利用者別に利用状況を変更することを特徴とする使用制限装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置において、前記利用抑制手段は、利用を抑制するための情報を出力することを特徴とする使用制限装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記利用抑制手段は、利用を抑制させるメッセージを表示して前記機器の利用を抑制することを特徴とする使用制限装置。
【請求項10】
請求項6に記載の装置において、該装置は、
前記時間管理手段にて管理される利用時間の管理結果をアプリケーション側に通知する手段と、
前記利用時間の管理結果に応じて、前記アプリケーションの動作を制御する制御手段とを含み、
該制御手段は、前記利用者による機器の利用時間に応じて前記アプリケーションの動作を変更し、該アプリケーションの利用を停止させることを特徴とする使用制限装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−250423(P2008−250423A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87931(P2007−87931)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】