説明

使用後感に特徴を有する皮膚外用剤

【課題】 その使用感、特に使用後感において、心地よい剤形を提供する。
【解決手段】 1)フトモモ科チョウジの果実の抽出物と、2)ポリエーテル変性メチルポリシロキサンとを、皮膚外用剤に含有させる。前記フトモモ科チョウジの果実の抽出物は、オイゲノールを指標物資として規定されるものであり、該オイゲノールの含有量が抽出物全量に対して1〜10質量%であることが好ましく、前記フトモモ科チョウジの果実の抽出物が、フトモモ科チョウジの果実をアルコールで抽出したものであることが好ましく、更に、生体親和性基を有するポリマーを含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関し、更に詳細には、化粧料に好適な皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料の効果は、薬事法によれば、肌を整え、清潔に、健やかに保つことであり、その為の保湿成分、美白成分、抗炎症成分などが開発され、配合されている。しかしながら、化粧料の機能としては、この様な機能に止まるものではなく、それを使用することによる心地よさに誘起される好ましい効果も存することも確かである。又、この反面として、ストレスの過負荷ような心理的な状態が、肌荒れを誘起することも知られており、化粧料を使用することは、肌に直接的に改善作用を及ぼすと同時に、使用感の心地よさを介して、心理的な面でのリラクゼーションを誘起し、以て、内面より間接的に肌状態の改善作用も奏しているものと考えられる。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7を参照)更に、この様な心理的な面に作用する要素としては、使用感という触覚刺激に止まらず、視覚刺激によっても奏されることが知られている。(例えば、特許文献8を参照)斯くの如くに、化粧料のような、敏感な感覚器官である皮膚に投与される皮膚外用剤においては、使用時における、その触感刺激を好ましい状態に調整することが望まれていると言える。特に使用感の内、使用後感は皮膚バリア機能の物理化学的向上と相乗的に働くことを発明者等は見出しており、皮膚バリア機能の向上には、欠かせないものであり、この様な使用後感の向上は、基礎化粧料に於いて強く求められるものである。
【0003】
一方、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン(通称ポリエーテル変性シリコーンの1形態)は乳化、分散、可溶化力に優れる界面活性剤として化粧料などの皮膚外用剤で使用されている。(例えば、特許文献9、特許文献10を参照)又、チョウジの抽出物は、毛髪化粧料、美肌化粧料等に含有させることが知られている。(例えば、特許文献11、特許文献12、特許文献13を参照)しかしながら、ポリエーテル変性メチルポリシロキサンとチョウジの抽出物を組み合わせて、皮膚外用剤に含有させる技術は全く知られていないし、この様な組合せにより、皮膚外用剤に優れた使用感、取り分け使用後感を付与し、その使用感を介して、こころの安定感を付与する作用に優れることも全く知られていなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−233723号公報
【特許文献2】特開2001−233731号公報
【特許文献3】特開2000−178128号公報
【特許文献4】特開2005−253883号公報
【特許文献5】特開2005−179221号公報
【特許文献6】特開平11−341993号公報
【特許文献7】WO01/098442
【特許文献8】特開2000−189242号公報
【特許文献9】特開2005−145881号公報
【特許文献10】特開2005−170800号公報
【特許文献11】特開2005−200353号公報
【特許文献12】特開2005−053842号公報
【特許文献13】特開2004−238394号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、皮膚外用剤のついて、その使用感、特に使用後感において、心地よい剤形を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、皮膚外用剤のついて、その使用感、特に使用後感において、心地よい剤形を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、1)フトモモ科チョウジの果実の抽出物と、2)ポリエーテル変性メチルポリシロキサンとを含有する皮膚外用剤がその様な特性を備えていることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示す通りである。
(1)1)フトモモ科チョウジの果実の抽出物と、2)ポリエーテル変性メチルポリシロキサンとを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
(2)前記フトモモ科チョウジの果実の抽出物が、オイゲノールを指標物資として規定されるものであり、該オイゲノールの含有量が抽出物全量に対して1〜10質量%であることを特徴とする、(1)に記載の皮膚外用剤。
(3)前記フトモモ科チョウジの果実の抽出物が、フトモモ科チョウジの果実をアルコールで抽出したものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚外用剤。
(4)前記ポリエーテル変性メチルポリシロキサンが架橋構造を有するものであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(5)更に、生体親和性基を有するポリマーを含有することを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(6)前記生体親和性基を有するポリマーが、ポリメタクリロイルリジン、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン又はポリグルコシルエチルメタクリレートであることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(7)前記皮膚外用剤が、その使用感を介して、こころの安定感を付与する化粧料であることを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の皮膚外用剤。
(8)(7)記載の皮膚外用剤において、その使用感を介して、こころの安定感を付与する化粧料であることの旨の表示を有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、皮膚外用剤のついて、その使用感、特に使用後感において、心地よい剤形を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の皮膚外用の必須成分であるチョウジの抽出物
本発明の皮膚外用は、フトモモ科チョウジの果実の抽出物を含有することを特徴とする。該抽出物としては、極性溶媒による抽出物が好ましく、該極性溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1,3−ブタンジオール、グリセリンなどのアルコール、酢酸エチルや蟻酸メチルなどのエステル、アセトン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが好適に例示できる。これらの溶媒は唯一種を用いることも出来るし、二種以上を組み合わせて用いることも出来る。抽出は室温乃至は沸点付近の温度で数時間乃至は数日浸漬することによって行われる。この場合、チョウジの果実の質量に対して、1〜10倍の溶媒を用いることが好ましい。抽出後、不溶分を濾過などによって取り除き、所望により、溶媒を減圧濃縮などで除去することが出来る。更に、この様な抽出物をカラムクロマトグラフィーなどで分画精製することも出来、かかる分画精製物も本発明に言うチョウジ抽出物に属する。好ましい抽出物は、アルコール乃至はアルコールを含む溶剤、より好ましくは含水アルコールを用いて抽出を行い、所望により溶媒を除去したもの乃至はその分画精製物であり、該分画精製としては、ダイアイオンHP20等のイオン交換樹脂を用いた分画精製が好ましく例示できる。かかる分画精製においては、抽出物をカラム担体に担持させた後、カラムを水洗し、しかる後に、エタノールやメタノール等のアルコールで溶出させ、減圧濃縮し溶出溶媒を除去する方法が好ましく例示できる。この様な処理により、チョウジ果実中の有効成分を濃縮することが出来る。有効成分の濃縮の度合いは、オイゲノールの濃度を指標とすることにより、推定することが出来る。オイゲノールの濃度が1〜10質量%であるチョウジ果実の抽出物は、本発明の皮膚外用剤に必須成分として好適な有効成分を含有する。本発明の皮膚外用剤では、かかる抽出物を0.001〜0.5質量%含有することが好ましく、0.005〜0.1質量%含有することがより好ましい。以下に、製造例を示す。
【0009】
<製造例1>
チョウジ果実100gに500mlの50%エタノール水溶液を加え、2時間加熱還流し、室温まで冷却し、濾過して不溶物を除き、減圧濃縮し、抽出物1を11g得た。このもののオイゲノールの含有量をガスクロマトグラフィーで定量したところ、1.3質量%であった。このものを水に分散させ、ダイアイオンHP−20(三菱化学株式会社製)を充填したカラムに担持させ、しかる後に、1lの水を流し洗い、メタノールを1l流して、担持成分を溶出させ、減圧乾固し、これに20mlの水と20mlの1,3−ブタンジオールを加えて可溶化し、透明な溶液の抽出物2を得た。このもののオイゲノールの含有量は3.8質量%であった。
【0010】
(2)本発明の皮膚外用剤の必須成分であるポリエーテル変性メチルポリシロキサン
本発明の皮膚外用剤はポリエーテル変性メチルポリシロキサンを必須成分として含有する。ポリエーテル変性メチルポリシロキサンは、ポリエーテル変性シリコーンの1種であり、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一つがポリエチレングリコール残基或いはポリプロピレングリコール残基で置換された構造を基本構造とし、所望により、架橋構造を有する。架橋構造はビニルメチルジメトキシシロキサンを重合時に添加し、重合後ビニル基を重合させ架橋を構築することにより製造することが出来る。かかるポリエーテル変性メチルポリシロキサンを構成するポリエーテル構造としては、ポリエチレングリコール残基やポリプロピレングリコール残基が好ましく例示でき、ポリエチレングリコール残基が特に好ましい。この様なポリエーテル変性メチルポリシロキサンには市販品が存し、かかる市販品を購入して利用することが出来る。好ましい市販品としては、信越化学株式会社より販売されている「シリコーンKF6017」、「シリコーンKF6018」(架橋型ポリエチレングリコール変性メチルポリシロキサン)が好適に例示できる。かかる成分は、チョウジ果実の抽出物とともに、化粧料の使用後、皮膚の表面にすべすべとした使用後感を付与し、この使用後感を皮膚の側から感じることにより、皮膚バリア機能の向上を促し、同時にこころの安定化を促進する。かかるこころの安定化は、更に、皮膚バリア機能の更なる向上を促し、こころと皮膚の良循環を形成する。この様な効果を奏するためには、ポリエーテル変性メチルポリシロキサンは、1〜10質量%含有することが好ましく、より好ましくは、2〜7質量%がより好ましい。
【0011】
(3)本発明の皮膚外用剤
本発明の皮膚外用剤は前記必須成分を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤の剤形は特段の限定はされないが、乳化剤形であることが好ましい。これは多種の有効成分を含有することが出来るためである。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定はなく適用され、例えば、化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨などが好ましく例示できる。これらの内では、化粧料が特に好ましい。これは、本発明の皮膚外用剤の作用が緩和であるためである。又、化粧料としては、医薬部外品が好ましく、医薬部外品においてはグリチルリチン酸塩やグリチルレチン酸ステアリルなどの抗炎症成分を0.05〜0.1質量%有効成分として含有することが好ましい。これは本発明の必須成分の組合せでは炎症そのものを抑制する作用が低いためである。本発明の皮膚外用剤は、皮膚バリア機能を向上する作用は存しても、前記の必須成分を含有し乳化剤形であれば特段の剤形的な制限はない。乳化の形態としては、水中油乳化形態であっても、油中水乳化形態であっても、多相乳化形態であっても良い。特に好ましい乳化形態は多相乳化形態であり、中でも油中水中油乳化形態である。これはこの様な乳化形態がより大きな使用感の心地よさを提供できるからである。本発明の皮膚外用剤においては、使用態様を的確に遵守することが効果と結びついているので、使用態様を遵守させるために、その使用感、取り分け使用後感、言い換えれば、使用後に肌がすべすべ心地よい感じになる様な効果を介して、こころの安定感を付与する化粧料であることの旨の表示を有することが好ましい。
【0012】
本発明の皮膚外用剤においては、前記の必須成分以外に、通常化粧料などの皮膚外用剤で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性メチルポリシロキサン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサンや架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン等のポリエーテル変性メチルポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤等;ポリメタクリロイルリジン、ポリグルコシルエチメタクリレート、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等の保湿性高分子などが好ましく例示できる。
【0013】
更に、皮膚の保水能力を高め、皮膚バリア構造を強固にする意味で、ポリメタクリロイルリジン、ポリグルコシルエチメタクリレート、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等の保湿性高分子を含有させることも好ましい。この様な作用を奏するためにはかかる高分子は総量で、皮膚外用剤全量に対して0.01〜0.1質量%含有させることが好ましい。かかる成分が多すぎても、少なすぎても安定性が損なわれる場合が存する。
【0014】
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0015】
以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料を作成した。即ち、イ、ロ、ハ、ニ、ホの成分を80℃に加熱し、イの成分とロの成分を良く混練りし、これにハを加えて希釈し、攪拌下これに、ニをホに加えて予め作製しておいたものを、徐々に加え、乳化し、攪拌冷却し、本発明の皮膚外用剤である、油中水中油乳化剤形の化粧料1(抗炎症医薬部外品)を得た。
【0016】
【表1】

【0017】
化粧料1を用いて、こころのいらいらストレスの関与した損傷皮膚モデルにおける作用を確かめた。化粧料1とともに、化粧料1のシリコーンKF6017をPOE(20)ベヘニルエーテルに置換した比較例1、チョウジ果実の抽出物1を水に置換した比較例2を用意し、パネラー10名を3畳に1時間詰め込み、その後、前腕部に設けた2cm×4cmの4つの部位を、各部位のTEWL(経皮的散逸水分量)を「テヴァメータ」(インテグラル社製)で測定し、粘着テープで10回ストリッピングし、それぞれの部位に化粧料1、比較例1、比較例2の40μlをのせ、5分間擦過を続けた。1部位はコントロールとして損傷のみを行った。5分後、化粧料を石鹸とお湯で洗い流し、15分静置し、再びTEWLを測定した。次に示す式に従って、TEWL抑制率を算出した。この結果を平均値として表2に示す。又、同時にパネラーにアンケートで塗布後の感じを「すべすべして気持ちがよい」、「特に何も感じない」、「不快である」の3者択一の形で調査した結果も表2に示す。本発明の皮膚外用剤である、化粧料1は、使用感の良さによって、過密ストレスと皮膚損傷が引き起こした肌のトラブルを抑制していることが判る。
(1−(処理後の部位のTEWL−試験前の部位のTEWL)/(処理後のコントロール部位のTEWL−試験前のコントロール部位のTEWL))*100
【0018】
【表2】

【実施例2】
【0019】
実施例1と同様に下記の処方に従って、化粧料2(抗炎症医薬部外品)を製造した。試験例1のTEWL抑制率は67.2%(n=1)であった。架橋型のポリエーテル変性メチルシロキサンを含有することが好ましいことが判る。
【0020】
【表3】

【実施例3】
【0021】
実施例1と同様に下記の処方に従って、化粧料3(抗炎症医薬部外品)を製造した。試験例1のTEWL抑制率は65.3%(n=1)であった。チョウジ果実の抽出物としては、オイゲノールを1〜10質量%含有するものを用いることが好ましいことが判る。
【0022】
【表4】

【実施例4】
【0023】
実施例1と同様に下記の処方に従って、化粧料4(抗炎症医薬部外品)を製造した。試験例1のTEWL抑制率は68.9%(n=1)であった。生体親和性基を有するポリマーを含有することが好ましいことが判る。
【0024】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は化粧料等の皮膚外用剤に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)フトモモ科チョウジの果実の抽出物と、2)ポリエーテル変性メチルポリシロキサンとを含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項2】
前記フトモモ科チョウジの果実の抽出物が、オイゲノールを指標物資として規定されるものであり、該オイゲノールの含有量が抽出物全量に対して1〜10質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
前記フトモモ科チョウジの果実の抽出物が、フトモモ科チョウジの果実をアルコールで抽出したものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
前記ポリエーテル変性メチルポリシロキサンが架橋構造を有するものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
更に、生体親和性基を有するポリマーを含有することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
前記生体親和性基を有するポリマーが、ポリメタクリロイルリジン、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン又はポリグルコシルエチルメタクリレートであることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
前記皮膚外用剤が、その使用感を介して、こころの安定感を付与する化粧料であることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項8】
請求項7記載の皮膚外用剤において、その使用感を介して、こころの安定感を付与する化粧料であることの旨の表示を有することを特徴とする、皮膚外用剤。

【公開番号】特開2008−13514(P2008−13514A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188146(P2006−188146)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】