説明

保湿剤及びそれを含有する化粧料

【課題】 優れた保湿効果とべたつき感のない官能特性を有し、適合製剤に制限を受けない汎用性の高い保湿剤及びそれを含有する化粧料を提供すること。
【解決手段】 ソルトブッシュからなることを特徴とする保湿剤であり、この保湿剤を含有する化粧料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた保湿効果とべたつき感のない官能特性を有し、適合製剤に制限を受けない汎用性の高い保湿剤及びそれを含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には皮膚・毛髪の恒常性維持や乾燥から肌・毛髪を守る等の目的で保湿剤が配合されている。従来より用いられてきた保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール及びソルビトールに代表される水溶性多価アルコール、ヒアルロン酸及びキサンタンガムに代表される水溶性高分子、ピロリドンカルボン酸塩及びアミノ酸に代表される天然保湿因子、セラミドに代表される細胞間脂質等が挙げられる(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0003】
従来の保湿剤はそれなりに効果を有するものの、水溶性多価アルコール及び水溶性高分子は、塗布時及び塗布直後にべたつき感を有するものが多く、官能特性上必ずしも好ましいものではなかった。また、天然保湿因子及び細胞間脂質は、製剤への配合濃度及び適合製剤に制限を受け充分に効果を発現しないことが多く、新規保湿剤の開発が求められていた。
【0004】
ところで、植物由来成分を含有する組成物が種々知られており、アカザ科の植物を用いた組成物も少なからず知られている。例えば、ビート(Beta vulgares L.)を含有する色白作用・抗炎症作用を有する皮膚外用剤(特許文献5参照)、アカザ属アタリソウ(Chenopodium Ambrosioides L.)を含有する白髪防止作用を有する頭部用組成物(特許文献6参照)、和名をホウキギという地膚(Kochia scoparia)を含有する収れん効果を有する化粧料組成物(特許文献7参照)、アトリプレックス属halimusから単離した天然化合物を含有する血糖や血中脂質の低減活性を有する組成物(特許文献8参照)などが挙げられる。
【0005】
しかしながら、上記アカザ科の植物を含め植物由来成分には多くのものがあり、その効果に関しても未だ解明されていないものが少なくない。
【0006】
【特許文献1】特開昭63−192703号公報
【特許文献2】特開平1−272513号公報
【特許文献3】特開平3−74316号公報
【特許文献4】特開平3−206015号公報
【特許文献5】特開平7−17848号公報
【特許文献6】特開平11−106318号公報
【特許文献7】特開2000−159625号公報
【特許文献8】特表2003−509389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明者らは上記課題に鑑みて、化粧料に配合しその官能評価を行うと皮膚に対するしっとり感が高く、保湿性が高まるような効果を有する植物由来成分について鋭意研究を続けてきた。そこで、アカザ科の植物の一種であるソルトブッシュに注目し、種々の評価を行ったところ優れた保湿効果を有し、化粧品に配合することにより、保湿性に優れ、幅広い製剤に適用可能で、官能特性にも優れていることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の目的は、優れた保湿効果とべたつき感のない官能特性を有し、適合製剤に制限を受けない汎用性の高い保湿剤及びそれを含有する化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、ソルトブッシュからなることを特徴とする保湿剤であり、この保湿剤を含有する化粧料である。
【発明の効果】
【0010】
以上記載の如く、本発明は、優れた保湿効果とべたつき感のない官能特性を有し、適合製剤に制限を受けない汎用性の高い保湿剤及びそれを含有する化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、構成の詳細を説明する。
【0012】
本発明の保湿剤に用いられるソルトブッシュとしては、以下の方法で調製されるものが挙げられる。
【0013】
ソルトブッシュは、植物分類上アカザ科(Chenopodiaseae)に属する植物で、フォーウイングソルトブッシュ(Fourwing Saltbush:Atriplex canescens(Pursh) Nutt.)、ビッグソルトブッシュ(Big Saltbush(Quailbush):Atriplex lentiformis)、ビーチソルトブッシュ(Beach Saltbush:Atriplex lentiformis)、オールマンソルトブッシュ(Oldman Saltbush:Atriplex nummularis)、ヌットールソルトブッシュ(Nuttall's Saltbush:Atriplex nuttallii)、ニューメキシコソルトブッシュ(New Mexico Saltbush:Atriplex obovate)、パリーズソルトブッシュ(Parry's Saltbush:Atriplex parryi)が知られており含まれる。本発明のソルトブッシュは、前記の1種もしくはそれ以上を用いたもので、おもに、葉、茎、根部を使用し、これらを洗浄後、そのまま粉砕したものや、乾燥後、粉砕し、親水性溶媒もしくは親油性溶媒により抽出したものもしくはその両方を用いて、抽出、精製したものを使用することが出来る。また必要に応じて、濃縮した軟エキス、抽出液をバインダー等を用いて粉末化したもの、凍結乾燥したものがある。
【0014】
本発明の保湿剤を化粧料等に用いる場合、ソルトブッシュの製剤濃度としては、適応する製剤により異なるが、製剤全体においてソルトブッシュの濃度が0.0001〜95重量%となるように配合することがその効果を発現するために好ましい。
【0015】
本発明の保湿剤を含有する製剤の形態としては、化粧水、クリーム、乳液、ファンデーション、パック、浴用剤、ヘアートニック、整髪料、養毛料、コロン、洗顔料、ボディーシャンプー、シャンプー及びリンス等が挙げられる。
【0016】
本発明の保湿剤を応用した製剤には、製剤を構成するための基剤、賦形剤、香料などをはじめ、油脂類、他の保湿剤、美白剤、pH調整剤、粘結剤類、多価アルコール類、精油及び香料類、増粘剤、防腐剤、保存剤(酸化防止剤)、紫外線吸収剤、顔料、無機塩類及び無機酸類、洗浄剤、乳化剤、薬効物質及び界面活性剤等を配合しても、本発明の保湿剤の性能を損なうものではない。
【0017】
前記油脂類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えば大豆油、アーモンド油、パラフィン、セタノール、アボガド油、オリーブ油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、ヌカ油、ホホバ油、卵黄油、ひまし油、スクワラン、アボガド油、ラノリン、流動パラフィン、白色ワセリンなどの植物性油脂;牛脂、豚脂、馬脂、タートル油、ミンク油、パーセリ
ン油、スクワランなどの動物性油脂;メチルポリシロキサン、ベヘニルアルコール、トリカプリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィンなどの合成油脂などが挙げられる。
【0018】
前記他の保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリオキシグリセリン(26E.O)、ピロリドンカルボン酸ソーダ、パンテテイン−Sスルホン酸塩などの合成保湿剤;ヒアルロン酸、エラスチン、ケラチン、デルマタン硫酸、コラーゲン、胎盤抽出液、ローヤルゼリー、微生物発酵液、例えばキチン、キトサン、ペクチンなどや、その他の植物や動物由来の抽出液などの天然保湿剤などが挙げられる。
【0019】
前記美白剤としては、例えば、アスコルビン酸、アルブチンやこれらの誘導体などのほかにも、胎盤抽出液、その他の植物や動物由来の抽出液などが挙げられる。
【0020】
前記pH調整剤としては、例えばクエン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、クエン酸ナトリウム、フマル酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、などの有機酸、無機酸及びその塩類などが挙げられる。
【0021】
前記粘結剤類としては、一般に化粧料で汎用されている、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ナトリウム塩、カゼイン、ぺクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ローカストビーンガム、カラギナン、寒天、カーボポールなどが挙げられる。
【0022】
前記多価アルコール類としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられる。
【0023】
前記精油及び香料類としては、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、バラ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、ミカン油、トウヒ、シトロネロール等の天然及び合成香料などが挙げられる。
【0024】
前記増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ベントナイトなどが挙げられる。
【0025】
前記防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、エタノール、デヒドロ酢酸などが挙げられる。
【0026】
前記保存料(酸化防止剤)としては、例えばアルコルビン酸、EDTA4Na,EDTA2Na、ブチルオキシトルエンなどが挙げられる。
【0027】
前記紫外線吸収剤としては、紫外線を選択的に吸収する性質を有するものであれば特に限定されることはないが,例えば、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、メトキシケイ皮酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸オクチル等が挙げられる。
【0028】
前記顔料としては、例えばベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、ナイロンパウダー、酸化亜鉛、セリサイト、マイカ、タルクなどが挙げられる。。
【0029】
無機塩類及び無機酸類として、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸、ほう砂、硫酸ナトリウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、リン酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸カルシウム、硫黄、セスキ炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、無水ケイ酸、メタケイ酸、ホウ酸などが挙げられる。
【0030】
前記洗浄剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0031】
前記乳化剤は、化粧品原料として公知の物質を用いることができる。特に好ましいものとして、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;テトラグリセリンモノステアリン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノラウリン酸エステル、ヘキサグリセリンモノミリスチン酸エステル、ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル、ヘキサグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンモノラウリン酸エステル、デカグリセリンモノミリスチン酸エステル、デカグリセリンモノステアリン酸エステル、デカグリセリンジステアリン酸エステル、デカグリセリントリステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタステアリン酸エステル、デカグリセリンモノイソステアリン酸エステル、デカグリセリンジイソステアリン酸エステル、デカグリセリンペンタイソステアリン酸エステル、デカグリセリンモノオレイン酸エステル、デカグリセリントリオレイン酸エステル、デカグリセリンペンタオレイン酸エステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリイソステテアリン酸ソルビタン等のソルビタン分岐脂肪酸エステル;大豆レシチン、卵黄レシチン、水素添加大豆レシチン、水素添加卵黄レシチン、更にこれらのレシチン類を酵素処理によりモノアシル体としたリゾレシチン及び/又は水素添加リゾレシチン、ヒドロキシル化したヒドロキシレシチン等のレシチン類;モノイソステアリン酸グリセリル、セスキイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル等のグリセリン分岐脂肪酸エステル:などを挙げることができ、1種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
さらに、本発明の化粧料は、上記のもの以外にも、必要に応じてその他の成分として、乳糖、牛乳、練乳、チタン、タルク等の無機顔料、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロロロヘキシジン、グルコン酸クロロヘキシジンなどの殺菌剤、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2,ビタミンB6、ビタミンP、CoQ10、CoQ9、CoQ8などのビタミン類及び補酵素、無水珪酸、合成珪酸アルミニウム等流動化剤及び医薬品、医薬部外品並びに化粧品用タール系色素等を適宜配合出来る。
【0033】
前記薬効成分としては、例えば美容、美顔及び皮膚の治療等を目的として、従来、医薬品、医薬部外品、化粧品、衛生材料、雑貨等で使用されているものであれば特に限定されるものではない。例えば、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコギエキス、ウコンエキス、ウバイエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カミツレエキス、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキ
ス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、グァバエキス、クコエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、黒ゴマエキス、黒米エキス、クロレラエキス、クワエキス、ケイヒエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ジャスミンエキス、シュウブエキス、ショウキョウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニワトコエキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハッカエキス、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ヒノキエキス、ヒバエキス、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、フッカスエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、モモノハエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズヒップエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子;アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシン等の保湿成分;スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質等の油性成分;ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤;ビタミンA,B2,B6,C,D,E,K,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類;アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分;トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤;α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸等の細胞賦活剤;γ−オリザノール、ビタミンE誘導体等の血行促進剤;レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤;アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤;セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ヒドロコルチゾン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、鎮痛剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗菌性物質、植物由来成分、海藻由来成分等も挙
げられる。
【0034】
前記界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリン酸ジエタノールアミドなどの陰イオン性界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウムなどの陽イオン性界面活性剤;グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ショ糖エステル、脂肪酸アミドなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
【0035】
本発明の保湿剤を従来の保湿剤と併用すると、その効果は相乗的となり、更に有効である。また、水溶性高分子及び水溶性多価アルコールによるべたつき感の改善効果が認められる。
【実施例】
【0036】
以下実施例により本発明を更に詳細に説明する。尚、以下における%表示は、特に指定しない限り、重量%を示す。
【0037】
<ソルトブッシュ(エキス)の調整>
1.ソルトブッシュ1:フォーウイングソルトブッシュ全草を採取後水洗いし、100gに対し、精製水100g入れミキサーで粉砕しとし、200メッシュのろ布にてろ過し、これにアルコール100cc加え、攪拌しこれをソルトブッシュ1とした。
2.ソルトブッシュ2:フォーウイングソルトブッシュを採取後水洗いし、60℃にて3時間乾燥し、この葉100gに対し粉砕機にて粉砕し、これをソルトブッシュ粉末とした。これを50gとり、95無変性合成エタノール100g入れ、1週間浸漬し、200メッシュのろ布にてろ過し、ソルトブッシュ2とした。
3.ソルトブッシュ3:ソルトブッシュ2を100gエバポレータにて濃縮しさらに凍結乾燥し、乾燥物2gを得た。これをソルトブッシュ3とした。
4.ソルトブッシュ4:フォーウイングソルトブッシュ全草を採取後水洗いし乾燥し50gとり、またビッグソルトブッシュ全草を採取後水洗いし乾燥し50gとり、精製水100gと1,3−ブチレングリコール100gを入れミキサーで粉砕し、約3日間放置し、200メッシュのろ布にてろ過し、ソルトブッシュ4とした。
【0038】
実施例に先立ち保湿性試験及び官能試験を説明する。
【0039】
1.保湿性試験
健常人の前腕屈側部に2.0%水溶液に調整した試料を塗布し、30分後の水分量をインピーダンスメーターで電気導伝度として測定した。結果は、塗布前を100とした際の相対値で示した。
【0040】
2.官能試験
20名の女性パネラーによる官能試験を実施し、化粧料塗布時及び塗布後にべたつき感を感じるか否かを評価し、「感じない」と答えたパネラーの人数で示した。
【0041】
上記ソルトブッシュ1〜4とともに、従来より用いられている他の保湿剤(キサンタンガム、グリセリン、ピロリドンカルボン酸ナトリウム)及び水に対し、保湿性試験及び官能試験を実施した。結果を表1に示す。
【0042】
[表1]
試料名 保湿性試験(%) 官能試験(人)
(べたつき感なし)
ソルトブッシュ1 195 18
ソルトブッシュ2 177 15
ソルトブッシュ3(1%水溶液) 188 16
ソルトブッシュ4 168 10
キサンタンガム 141 8
グリセリン 134 3
ピロリドンカルボン酸ナトリウム 120 7
水 110 18
【0043】
表1の結果から明かな如く、本発明のソルトブッシュの水溶液は保湿性試験及び官能試験に於いて何れも優れていた。キサンタンガムは保湿性には優れているものの、官能試験に於いてべたつき感があると答えたパネラーが多く好ましくなかった。グリセリンは保湿性がやや不充分であり、官能試験に於いて劣っていた。ピロリドンカルボン酸ナトリウムは保湿性が充分ではなく、官能試験に於いてもやや劣っていた。
【0044】
・実施例1、比較例1、比較例2(化粧水)
表2に示すそれぞれの処方により、化粧水を作製した。これら化粧水の官能試験20名の回答を表3に示す。
【0045】
[表2]
配合成分 実施例1 比較例1 比較例2
(重量%) (重量%) (重量%)
ソルトブッシュ1 1.5 ―― ――
キサンタンガム ―― ―― 1.5
アルコール 15.0 15.0 15.0
ジプロピレングリコール 3.0 3.0 3.0
クエン酸 0.02 0.02 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08 0.08 0.08
N−HCO−60 0.1 0.1 0.1
香料 0.1 0.1 0.1
パラベン 適 量 適 量 適 量
精製水 残 量 残 量 残 量
【0046】
[表3]
官能試験20名の回答 実施例1 比較例1 比較例2
べたつきなし 18 16 5
使用感良い(しっとり) 16 6 9
刺激感あり 0 0 0
【0047】
以上の結果から実施例1はべたつきが無く、使用感(しっとり感)に優れ、刺激のないことが明らかである。
【0048】
・実施例2(ジェル)
表4に示す処方により、ジェルを作製した。
【0049】
[表4]
配合成分 (重量%)
成分A
ソルトブッシュ2 0.5
グリセリン 10.0
カルボキシビニルポリマー 0.3
エデト酸二ナトリウム 0.1
精製水 残 量
ジイソプロパノールアミン 1.0
シルクポリマー 1.0
スクワラン 3.0
無水カフェイン 0.1
高麗ニンジンエキス 0.1
ゴボウエキス 0.1
オウゴンエキス 0.1
茶エキス 0.1
成分B
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.8
カラギーナン 3.0
キサンタンガム 3.0
ポリビニルアルコール 2.0
エタノール 45.0
香料 適 量
【0050】
・実施例3(ローション)
表5に示す処方により、ローションを作製した。
【0051】
[表5]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ2 0.1
エタノール 30.0
ジイソプロピルアミンジクロロアセテート 1.0
キサンタンガム 0.5
パラベン 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
香料 適 量
精製水 残 量
【0052】
・実施例4(ローション)
表6に示す処方により、ローションを作製した。
【0053】
[表6]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ3 0.05
エタノール 30.0
L−メントール 0.1
カルボキシルメチルセルロールナトリウム 0.3
パラベン 0.1
グリセリン脂肪酸エステル 0.1
香料 適 量
精製水 残 量
【0054】
・実施例5(乳液)
表7に示す処方により、乳液を作製した。
【0055】
[表7]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ4 0.1
流パラ 8.0
ステアリルアルコール 3.0
カラギーナン 0.2
パラベン 0.1
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
香料(ヒノキ油) 適 量
精製水 残 量
【0056】
・実施例6(パック)
表8に示す処方により、パックを作製した。
【0057】
[表8]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ粉末 3.0
無水カフェイン 0.1
高麗ニンジンエキス 0.1
ゴボウエキス 0.1
ポリビニルアルコール 15.0
エタノール 10.0
パラベン 0.1
クエン酸 0.2
クエン酸ナトリウム 0.6
パラベン 0.1
香料 微 量
精製水 残 量
【0058】
・実施例7(粉末状パック)
表9に示す処方により、粉末状パックを作製した。
【0059】
[表9]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ粉末 10.0
ソルトブッシュ3 0.2
アルギン酸ナトリウム 15.0
タルク 20.0
白糖 25.0
無水珪酸 20.0
パラベン 0.1
クエン酸 0.2
クエン酸ナトリウム 0.6
パラベン 0.1
香料 微 量
セッコウ 残 量
【0060】
実施例8(シート状パック)
表10に示す処方により、シート状パックを作製した。
【0061】
[表10]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ1 0.2
ポリアクリル酸ナトリウム 2.0
ポリビニルピロリドン 0.5
グリセリン 25.0
1,3−BG 10.0
パラベン 0.1
香料 0.1
L−メントール 0.1
不織布 10.0
精製水 残 量
【0062】
・実施例9(クリーム)
表11に示す処方により、クリームを作製した。
【0063】
[表11]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ2 0.15
サンショウエキス 0.15
チャエキス 0.02
ゴボウエキス 0.05
ニンジンエキス 0.05
ステアリン酸 1.0
ホホバ油 4.0
スクワラン 8.0
セスキオレイン酸ソルビタン 0.8
1,3−BG 5.0
ソルビトール 3.0
ポリビニルアルコール 1.5
パラベン 微 量
精製水 残 量
【0064】
・実施例10(ジェル)
表12に示す処方により、ジェルを作製した。
【0065】
[表12]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ2 0.3
茯苓エキス 0.1
ポリエチレングリコール4000 30.0
ポリビニルアルコール 15.0
グリセリン 15.0
1,3−BG 10.0
カルボキシビニルポリマー 2.0
カチオン化セルロース 0.2
アルコール 10.0
パラベン 0.1
香料 微 量
精製水 残 量
【0066】
・実施例11(入浴剤)
表13に示す処方により、入浴剤を作製した。
【0067】
[表13]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ3 1.5
茯苓エキス 1.1
ジオウエキス 0.1
ニンジンエキス 0.05
チンピ末 1.0
マカデミアナッツ油 0.05
ビバ油 0.1
1,3−BG 1.0
キシリトール 0.5
モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.5
無水硫酸ナトリウム 残 量
【0068】
・実施例12(パウダー化粧料)
表14に示す処方により、パウダー化粧料を作製した。
【0069】
[表14]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ3 0.05
ケイヒエキス 1.5
アルミニウムクロロヒドロキシド 3.0
L―メントール 0.05
カオリン 20.0
乳糖 0.5
パラベン 0.1
香料 微 量
タルク 残 量
【0070】
・実施例13(スティック化粧料)
表15に示す処方により、スティック化粧料を作製した。
【0071】
[表15]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ2 0.05
茯苓抽出物 0.1
シリコン油 65.0
アルミニウムクロロヒドロキシド 15.0
L−メントール 0.005
香料 微 量
ステアリルアルコール 残 量
【0072】
・実施例14(ヘアートニック)
表16に示す処方により、ヘアートニックを作製した。
【0073】
[表16]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ1 0.1
エタノール 40.0
無水カフェイン 0.2
グリセリン 1.0
メントール 0.03
香料 0.01
イソプロピルメチルフェノール 0.1
水 残 量
【0074】
・実施例15(シャンプー)
表17に示す処方により、シャンプーを作製した。
【0075】
[表17]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ4 1.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 5.0
ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム 12.0
ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム 7.0
ヤシ油脂肪酸プロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
無水カフェイン 0.1
香料 微 量
水 残 量
【0076】
・実施例16(洗顔料)
表18に示す処方により、洗顔料を作製した。
【0077】
[表18]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ1 0.05
ステアリン酸 5.0
ミリスチン酸 12.0
ラウリン酸 7.0
モノグリセリン 3.0
アシルグルタミン酸ナトリウム 20.0
無水カフェイン 0.03
グリセリン 10.0
香料 微 量
水 残 量
【0078】
・実施例17(養毛料)
表19に示す処方により、養毛料を作製した。
【0079】
[表19]
配合成分 (重量%)
ソルトブッシュ2 0.01
エタノール 55.0
酢酸トコフェロール 0.1
イソプロピルメチルフェノール 0.2
センブリエキス 3.0
トウガラシチンキ 0.05
無水カフェイン 1.0
香料 微 量
水 残 量
実施例2〜17の本発明の保湿剤を配合した化粧料類は、何れも前記の保湿性試験及び官能試験に於いて優れていた。但し、シャンプー、リンス、浴用剤及び洗顔料についての保湿性試験は、使用後のしっとり感を感じるか否かの官能試験のみ行った。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の保湿剤は、化粧水、クリーム、乳液、ファンデーション、パック、浴用剤、ヘアートニック、整髪料、養毛料、コロン、洗顔料、ボディーシャンプー、シャンプー及びリンス等広く利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルトブッシュを含有することを特徴とする保湿剤。
【請求項2】
請求項1の保湿剤を含有する化粧料。

【公開番号】特開2006−248932(P2006−248932A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64936(P2005−64936)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】