説明

保護フィルムを備える予備組立てされたパネル

【課題】現場で迅速に組み立てができるタンクのパネルおよびそれを用いたタンクの製造方法を提供する。
【解決手段】保護フィルムを備える予備組立てされたパネル(1)であって、パネルの背面を形成する第1の剛直性の板、この背面の板によって支えられる第1の断熱層(3)、この第1の断熱層を覆う不透過性被覆(4)、この不透過性被覆を部分的に覆う第2の断熱層(5)およびこの第2の断熱層を覆う第2の剛直性の板(6)を連続して備え、上記第2の断熱層によって覆われない上記不透過性被覆の少なくとも一部を覆うフィルム(8)を備え、このフィルムが少なくとも1つの保護部分(9)、および該保護部分に隣接する少なくとも1つのにじみ部分(11)を備え、この保護部分およびにじみ部分が互いに独立して上記不透過性被覆から離脱され得ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持構造、特に、液化ガスを輸送するために意図された船の船体、詳細には、海路で高メタン含量の液化天然ガスを輸送するための支持構造に組み込まれるシールされ、かつ断熱されたタンクの生産に関する。より詳細には、本発明は、このようなタンクを製造するためのパネル、およびこのパネルを採用する製造の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、支持構造、特に船に組み込まれたシールされ、かつ断熱されたタンクを提案している。このタンクの壁は、タンクの内側から支持構造に向かい、連続して、タンクに含まれる製品と接触している一次シール障壁、一次断熱障壁、ならびに二次シール障壁および二次断熱障壁を提示する。一次シール障壁は、タンクの内側に向かって上方に折り返されるエッジを備えた金属条板からなり、これらの条板は、低い膨張係数をもち、そして溶接支持体の2つの側面にそれらの上方に折り返されたエッジを経由してエッジとエッジが接して溶接されている薄いシートから作製されており、この溶接支持体は、上記一次断熱障壁上に機械的に保持され、そしてすべり型継手を構成している。上記一次断熱障壁、二次シール障壁および二次断熱障壁は、上記支持構造に固定される予め組立てられたパネルのコレクションから本質的になり、各パネルは、第1に、断熱の層を支え、そしてそれで二次断熱障壁要素を構成する第1の剛直性の板、第2に、前述の二次断熱障壁要素の断熱の層の実質的に全表面に貼られる可撓性または剛直性の被覆であって、ガラス繊維織物である2つの外部層および二次シール障壁要素を形成する約0.1mmの厚みの変形可能な薄いアルミニウムシートの中間層の複合材料からなる被覆、第3に、前述の被覆を部分的に覆い、そしてそれに貼られる断熱の第2の層、および第4に、断熱の第2の層を覆い、そしてそれで一次断熱障壁要素を構成する第2の剛直性の板から形成される。一次シール障壁が、波形のアルミニウムまたはステンレス鋼の条板からなる類似の構造の予め組立てられたパネルを備えるタンクもまた知られている。
【0003】
2つの隣接するパネルが当たる領域は、二次シール障壁の連続性を確実にするために充填される。より詳細には、二次シール障壁の不浸透性の連続性を確実にするために、これらパネル間の接続部の領域中の2つの隣接するパネルの隣接する周縁エッジに対し、少なくとも1つの連続的な薄い金属シートを備える可撓性被覆の細片で覆われるようにし、この細片は、2つの隣接する周縁エッジに貼られ、そしてその金属シートによって、シールの連続性を確実にすることが提供される。
【0004】
上記二次シール障壁のシールの質は、いくつかの要因、特に、可撓性シートの細片と上記パネルの周縁エッジとの間の結合の質に依存する。この結合が良好な十分な質であることを保証するために、可撓性シートの細片を結合するとき、以下のにじみ試験を実行することが公知の慣行である。
−これらパネルを、タンクの支持構造に固定し、
−結合されるべき領域に隣接する、適合されたパネル上に特定の接着剤テープを配置し、
−可撓性細片の傍らににじみが形成され、そしてこの接着剤テープを部分的に覆うような量の接着剤を用いて可撓性シートの細片を結合し、
−一旦、この接着剤が硬化したなら、この接着剤テープを取り除き、
−一旦、この接着剤テープがとりのぞかれたならば、上記にじみを調べ、そしてこの試験の強度についてこの結合を確認する。
【0005】
この製造および試験方法は、いくつかの欠点を有している。上記パネルの予備組立てと、それらのタンクへの取り付けとの間に、二次シール障壁要素を形成する可撓性または剛直性被覆の表面状態は、例えば、輸送、保存の間、またはこれらパネルが取り付けられる間に、上記可撓性被覆の上に堆積されるようになる汚染物のため、または、外部条件、例えば、温度もしくは紫外線照射の影響の結果として下劣になり得る。損傷した表面は、乏しい品質の結合を生じ得る。可撓性シートの細片を結合する前に、すべての据え付けられるパネル上に接着剤テープを配置することが必要であり、そしてこれは、長い時間を要する。さらに、この接着剤テープの背面は、一般に、移動し得、そして可撓性シートの細片の結合を大幅に破壊し得る非粘着性材料で覆われている。
【特許文献1】仏国特許出願第2724623号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術の前述の欠点の少なくともいくつかを有さないタンクを製造する方法、およびこの方法を履行するためのパネルを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これを行うために、本発明は、連続して、パネルの背面を形成する第1の剛直性の板、この背面板によって支えられる第1の断熱層、この第1の断熱層を覆う不透過性被覆、この不透過性被覆を部分的に覆う第2の断熱層およびこの第2の断熱層を覆う第2の剛直性の板を備え、上記第2の断熱層によって覆われない上記不透過性被覆の少なくとも一部を覆うフィルムを備えることを特徴にし、このフィルムは、少なくとも1つの保護部分、およびこの保護部分に隣接する少なくとも1つのにじみ部分を備え、この保護部分およびにじみ部分は、互いに独立して上記不透過性被覆から離脱され得る。
【0008】
上記フィルムの保護部分は、結合されるべき不透過性被覆の領域を覆うので、結合のためのこの領域は保護され、そしてその表面状態は、劣化されないか、または認め得るほどに劣化されない。結合の質は、それ故、改善される。さらに、上記フィルムのにじみ部分は、結合されるべき領域に隣接しているので、それらが貼られた後には、パネル上に接着剤テープを配置する必要はない。反対に、にじみ試験を実施するために必要なのは、上記にじみ部分が除去されることだけである。それ故、現場での製造時間はより短い。さらに、接着剤テープがないことは、タンクにおける任意の非粘着性製品の存在を避けることを可能にし、そしてそれ故、結合の安全性を改善することを可能にする。
【0009】
好ましくは、上記フィルムは、上記第2の断熱層によって覆われない上記不透過性被覆のすべてを覆う。
【0010】
有利には、上記保護部分は、上記パネルの1つのエッジに隣接している。
【0011】
1つの実施形態によれば、上記パネルは、平面図において矩形形状を有し、上記フィルムは、上記不透過性被覆の4つのエッジに隣接する4つの保護部分、および4つのにじみ部分を有し、1つが4つの保護部分の各々に隣接している。
【0012】
これらの特徴により、上記4つの保護部分の1つを、それが覆う結合されるべき領域を結合する直前に、その他の保護部分を除去することなく除去することが可能である。それ故、結合のためのその他の領域は、それらが覆われている限り保護されたままである。
【0013】
1つの特定の実施形態によれば、上記保護部分および上記にじみ部分は、切り込みを有する単一のシートからなる。
【0014】
この場合、上記パネルは、上記単一の切り込みシートを、上記保護部分および上記にじみ部分を単一ステップで生成するような様式で配置することにより簡単に製造され得る。さらに、上記切り込みは、上記パネルまたは不透過性被覆の予備組立ての間に作製され、そしてそれ故、正確に位置決めされ得る。
【0015】
有利なことに、上記パネルは、上記にじみ部分上に横たわる補強層を備える。
【0016】
これらの特徴により、上記単一のシートのために、にじみ試験に関連する強度制約を考慮する必要性なくして、上記不透過性被覆を保護することに適切である材料を選ぶことが可能である。
【0017】
1つの特定の実施形態によれば、上記保護部分および上記にじみ部分の各々は、異なる材料および/または異なる厚みの2つの異なるシートからなる。
【0018】
それ故、上記不透過性被覆を保護すること、および上記にじみ試験に仕立てられた性質を持つシートが、上記保護部分のため、および上記にじみ部分のためにそれぞれ選ばれ得る。上記2つのシートは、同時、または上記予備組立て中の同じ段階の間に横たえられ得る。
【0019】
好ましくは、上記不透過性被覆は、可撓性の金属シート、およびこの金属シートの各側面上にガラス繊維織物を含む層を備える。
【0020】
有利には、上記フィルムは、上記保護部分および上記にじみ部分とは独立に上記不透過性被覆から離脱され得る試験部分を有する。
【0021】
これらの特徴により、上記パネルに固定される不透過性被覆の結合可能性を、現場で、より短い時間のスペースで試験すること、そして上記不透過性被覆の広い領域について試験することが可能である。表面エネルギーまたは湿潤性を測定することのような、先行技術から公知の試験は、現場試験とは適合しない多くの時間を要し、そしてそもそも測定された点のみしか特徴付けない。
【0022】
本発明はまた、シールされ、そして断熱されたタンクを製造する方法を提供し、これは、以下の工程を包含することを特徴としている:
−上記本発明によるパネルをタンクの支持構造に固定する工程、
−保護部分を隣接するパネルから除去する工程、
−二次シール障壁の連続性を確実にするために、接着剤を用いて、除去された保護部分によって剥き出た領域上に不透過性被覆の細片を粘着する工程、
−一旦、上記接着剤が硬化したならば、上記剥き出た領域に隣接するにじみ部分を除去する工程、
−形成されたこの接着剤のにじみを検査し、そしてこの試験の強度に関する不透過性被覆の細片の結合を確認する工程。
【0023】
好ましくは、上記不透過性被覆の細片は、可撓性の金属シート、およびこの金属シートの各側面上のガラス繊維織物を含む層を備える。
【0024】
本発明はより良好に理解され、そしてその他の目的、詳細、特徴および利点は、添付の図面を参照して、単に非制限的な例示によって与えられる本発明の多くの特定の実施形態についての以下の説明の過程でより明瞭に明らかになる。
【0025】
より特定すれば、本願発明は、以下の項目に関し得る。
【0026】
(項目1)パネルの背面を形成する第1の剛直性の板(2)、上記背面の板によって支えられる第1の断熱層(3)、上記第1の断熱層を覆う不透過性被覆(4)、上記不透過性被覆を部分的に覆う第2の断熱層(5)および上記第2の断熱層を覆う第2の剛直性の板(6)を連続して備えるパネル(1)であって、上記第2の断熱層によって覆われない上記不透過性被覆の少なくとも一部を覆うフィルム(8)を備え、上記フィルムが少なくとも1つの保護部分(9)、および上記保護部分に隣接する少なくとも1つのにじみ部分(11)を備え、上記保護部分および上記にじみ部分が互いに独立して上記不透過性被覆から離脱され得ることを特徴とする、パネル。
【0027】
(項目2)上記フィルムが、上記第2の断熱層によって覆われない上記不透過性被覆のすべてを覆うことで特徴付けられる、項目1に記載のパネル。
【0028】
(項目3)上記保護部分が、上記パネルの1つのエッジに隣接していることで特徴付けられる、項目1または2のいずれか1項に記載のパネル。
【0029】
(項目4)平面図において、矩形形状を有し、上記フィルムが、上記不透過性被覆の4つのエッジに隣接する4つの保護部分、および1つが上記4つの保護部分の各々に隣接する4つのにじみ部分を有することで特徴付けられる、項目3に記載のパネル。
【0030】
(項目5)上記保護部分および上記にじみ部分が、切り込み(12)を有する単一シートからなることで特徴付けられる、項目1から4のいずれか1項に記載のパネル。
【0031】
(項目6)上記にじみ部分上に横たわる強化層を備えることで特徴付けられる、項目5に記載のパネル。
【0032】
(項目7)上記保護部分および上記にじみ部分の各々が、異なる材料および/または異なる厚みの2つの異なるシートからなることで特徴付けられる項目1から4のいずれか1項に記載のパネル。
【0033】
(項目8)上記不透過性被覆が、可撓性の金属シート、および上記金属シートの各側面上にガラス繊維織物を含む層を含むことで特徴付けられる項目1から7のいずれか1項に記載のパネル。
【0034】
(項目9)上記フィルムが、上記保護部分および上記にじみ部分とは独立に上記不透過性被覆から離脱され得る試験部分を有することで特徴付けられる項目1から9のいずれか1項に記載のパネル。
【0035】
(項目10)シールされ、そして断熱されたタンクを製造する方法であって:
上記タンクの支持構造に、項目1から4のいずれか1項に記載のパネル(1)を固定する工程、
隣接するパネルから保護部分(9)を除去する工程、
第2のシール障壁の連続性を確実にするために、除去された上記保護部分によって剥き出た領域(10)に、接着剤を用いて不透過性被覆の細片(13)を貼る工程、
上記接着剤が硬化されるとき、上記剥き出た領域に隣接するにじみ部分(11)を除去する工程、および
形成された接着剤にじみ(14)を試験し、そして上記試験の強度に関する不透過性被覆の細片の結合を確認する工程を包含することで特徴付けられる、方法。
【0036】
(項目11)上記不透過性被膜の細片が、可撓性の金属シート、および上記金属シートの各側面上にガラス繊維織物を備える層を備えることで特徴付けられる、項目10に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0037】
連続して、パネルの背面を形成する第1の剛直性の板、この背面板によって支えられる第1の断熱層、この第1の断熱層を覆う不透過性被覆、この不透過性被覆を部分的に覆う第2の断熱層およびこの第2の断熱層を覆う第2の剛直性の板を備え、上記第2の断熱層によって覆われない上記不透過性被覆の少なくとも一部を覆うフィルムを備えることを特徴にし、このフィルムは、少なくとも1つの保護部分、およびこの保護部分に隣接する少なくとも1つのにじみ部分を備え、この保護部分およびにじみ部分は、互いに独立して上記不透過性被覆から離脱され得る。
【0038】
上記フィルムの保護部分は、結合されるべき不透過性被覆の領域を覆うので、結合のためのこの領域は保護され、そしてその表面状態は、劣化されないか、または認め得るほどに劣化されない。結合の質は、それ故、改善される。さらに、上記フィルムのにじみ部分は、結合されるべき領域に隣接しているので、それらが貼られた後には、パネル上に接着剤テープを配置する必要はない。反対に、にじみ試験を実施するために必要なのは、上記にじみ部分が除去されることだけである。それ故、現場での製造時間はより短い。さらに、接着剤テープがないことは、タンクにおける任意の非粘着性製品の存在を避けることを可能にし、そしてそれ故、結合の安全性を改善することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1は、海路で液化天然ガスを輸送するためのタンクの支持構造(図示されず)上で互いに隣接して固定された2つの予備組立てされたパネル1を描写する。
【0040】
各パネル1は、例えば合板から作製される剛直性の裏板2、および例えばガラス繊維強化ポリウレタン発泡体から作製され、裏板2を覆う断熱の第1の層3を備える。この裏板2および断熱の第1の層3は一緒に第2の断熱障壁要素を形成する。不透過性被覆4は、裏板2とは反対側で断熱の第1の層3に貼られる。不透過性被覆4は、剛直性または可撓性であり得、3つの層、すなわち、ガラス繊維織物で取り囲まれた約0.1mm厚みのアルミニウムシートを含み、そして第2のシール障壁要素を構成する。例えばガラス繊維強化ポリウレタン発泡体から作製された断熱の第2の層5は、不透過性被覆4に結合され、そして例えば合板から作製された上板6は、断熱の第2の層5を覆う。断熱の第2の層5および上板6は一緒に一次断熱障壁要素を形成する。
【0041】
平面図では、裏板2、断熱の第1の層3および不透過性被覆4は、第1の矩形の形状を有する。断熱の第2の層5および上板6は、第1の矩形と同じ中心を持つがより小さなサイズの第2の矩形の形状を有する。それ故、この不透過性被覆4は、断熱の第2の層5によって覆われない周縁エッジを有する。
【0042】
この不透過性被覆4の周縁エッジは、図2で見られ得るように、フィルム8によって覆われる。描写される実施形態では、このフィルム8は、不透過性被覆4の周縁エッジを完全に覆う。別の実施形態では、このフィルム8は、断熱の第2の層5に隣接する不透過性被覆4の狭い領域を被覆しないで残す。このフィルム8は、その各々が不透過性被覆4の長い辺に沿って延びる2つの保護部分9、およびその各々がこれらの保護部分9に隣接して延びる2つのにじみ部分11を備える。フィルム8はまた、その各々が前述の2つのにじみ部分11の間で不透過性被覆4の短い辺に沿って延びる2つの他方の保護部分9、およびその各々がこれら他方の保護部分9に隣接して延びる2つの他方のにじみ部分11を備える。図2は、不透過性被覆4から部分的に除去された保護部分9およびにじみ部分11を描写する。
【0043】
描写される実施形態では、フィルム8は、例えばポリエチレンまたはカード材料のシートである単一のシートからなり、不透過性被覆4に結合され、そしてこれは、互いから種々の保護部分9およびにじみ部分11に分割する切り込み12を有する。改変例では、補強層、例えば、ガラス繊維織物がにじみ部分11上に提供される。別の実施形態では、フィルム8の保護部分9およびにじみ部分11は、異なる材料から作製され、そして/または異なる厚みを有する。
【0044】
不透過性被覆4にフィルム8を貼る接着剤は、例えば、アクリルタイプまたはゴムタイプの接着剤である。これらのタイプの接着剤は、一旦このフィルムが取り除かれたなら、不透過性被覆4上に痕跡を残さないか、または、少なくとも、本明細書で以下に記載される不透過性被覆13の細片の結合にいかなる有害な任意の痕跡も残さない利点を有する。さらに、このタイプの接着剤は、上記パネル1が、比較的長期間、例えば、数ヶ月の間、例えば、紫外線照射、温度または湿度の作用の結果劣化する接着剤の性質なくして保管されることを可能にする。
【0045】
タンクの支持構造に、複数の矩形の予備組立てされたパネル1、および台形または特定のその他の形状である類似の構造の可能なパネルを固定することにより、タンクの二次断熱障壁、二次シール障壁および一次断熱障壁の大部分が単一ステップで形成される。次いで、パネル1間のこれらの障壁の連続性が確立され、そして一次シール障壁が適合される。支持構造にパネル1を固定する操作、二次断熱障壁および一次断熱障壁の連続性を確立する操作、および一次シール障壁を位置決めする操作は、例えば、本明細書で上記で述べた文献仏国特許出願第2724623号、および仏国特許出願2781557号に記載されるように、当業者に公知の技法を用いて実施され得る。二次シール障壁の連続性は、本明細書で以下に記載のような技法を用いて確立され得る。
【0046】
パネル1を支持構造に固定し、そして二次断熱障壁の連続性を確立し、それらの間にスペース7がある2つの隣接するパネル1の2つの隣接するエッジを覆う保護部分9が取り除かれる。次いで、これは、パネル1の結合のための2つの領域10を剥き出す。この段階では、パネル1の他方の保護部分9は、それらが覆う結合領域を保護することを続けるために取り除かれない。
【0047】
次に、結合のための剥き出た領域10は接着剤で覆われ、そして不透過性被覆4と同じ3層構造を持つ可撓性の不透過性被覆の細片13が、図3に示されるように、この細片13がスペース7を覆う2つの隣接するパネル1の結合のための2つの領域10に結合されるように横たえられる。接着剤のにじみ14が、それ故、細片13の各側に形成され、そして除去される保護部分9に隣接したにじみ部分11を部分的に覆う。
【0048】
細片13の結合の質をチェックするために、にじみ試験が次いで実施され、すなわち、一旦、接着剤が硬化すれば、図3の左手側に描写されるように、にじみ部分11が取り除かれ、そして残存する接着剤にじみ14が調べられる。
【0049】
描写されていない実施形態では、上記フィルム8は、保護部分9およびにじみ部分11とは独立に不透過性被覆4から離脱され得る試験部分を提示する。この試験部分は、例えば、にじみ部分11上で矩形の切り込みによって区切られるタブからなる。次いで、剥離試験が現場で、例えば、パネル1を支持構造に固定する直前に実施され得、この試験は、タブを除去するためにタブを180゜戻して剥くこと、およびスケールを用いて必要な力を測定することからなる。この必要な力が所定の範囲内に入らない場合、これは、不透過性被覆4の表面が損傷されたか、または汚染され、そして結合のためには不適切であることを示す。不透過性被覆4は、次に、結合の前に洗浄され得るか、またはパネル1は、解体され得る。
【0050】
本発明が多くの特定の実施形態に関連して記載されているが、本発明が、いかなるようにもそれらに制限されず、しかも記載される手段のすべての技術的等価物およびそれらの組み合わせは、これらが本発明の範囲内に入るという条件で含むことはきわめて明確である。
【0051】
(要約)
保護フィルムを備える予備組立てされたパネル
パネル(1)は、パネルの背面を形成する第1の剛直性の板、この背面の板によって支えられる第1の断熱層(3)、この第1の断熱層を覆う不透過性被覆(4)、この不透過性被覆を部分的に覆う第2の断熱層(5)およびこの第2の断熱層を覆う第2の剛直性の板(6)を連続して備え、上記第2の断熱層によって覆われない上記不透過性被覆の少なくとも一部を覆うフィルム(8)を備え、このフィルムが少なくとも1つの保護部分(9)、および該保護部分に隣接する少なくとも1つのにじみ部分(11)を備え、この保護部分およびにじみ部分が互いに独立して上記不透過性被覆から離脱され得ることを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0052】
液化ガスを輸送するために意図された船の船体の支持構造、例えば、海路で高メタン含量の液化天然ガスを輸送するための支持構造に組み込まれる、シールされ、かつ断熱されたタンクを製造するためのパネル、およびこのパネルを採用する製造の方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の実施形態による2つの隣接する予備組立てされたパネルの斜視図である。
【図2】図2は、図1のパネルの詳細を描写し、そしてフィルムがどのようにパネルから除去され得るのかを示す。
【図3】図3は、にじみ試験の間の図1のパネルの詳細を示す。
【符号の説明】
【0054】
1 パネル
2 裏板
3 第1の層
4 不透過性被膜
5 第2の層
6 上板
7 スペース
8 フィルム
9 保護部分
10 剥き出た領域
11 にじみ部分
12 切り込み
13 細片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの背面を形成する第1の剛直性の板(2)、該背面の板によって支えられる第1の断熱層(3)、該第1の断熱層を覆う不透過性被覆(4)、該不透過性被覆を部分的に覆う第2の断熱層(5)および該第2の断熱層を覆う第2の剛直性の板(6)を連続して備えるパネル(1)であって、該第2の断熱層によって覆われない該不透過性被覆の少なくとも一部を覆うフィルム(8)を備え、該フィルムが少なくとも1つの保護部分(9)、および該保護部分に隣接する少なくとも1つのにじみ部分(11)を備え、該保護部分および該にじみ部分が互いに独立して該不透過性被覆から離脱され得ることを特徴とする、パネル。
【請求項2】
前記フィルムが、前記第2の断熱層によって覆われない前記不透過性被覆のすべてを覆うことで特徴付けられる、請求項1に記載のパネル。
【請求項3】
前記保護部分が、前記パネルの1つのエッジに隣接していることで特徴付けられる、請求項1または2のいずれか1項に記載のパネル。
【請求項4】
平面図において、矩形形状を有し、前記フィルムが、前記不透過性被覆の4つのエッジに隣接する4つの保護部分、および1つが該4つの保護部分の各々に隣接する4つのにじみ部分を有することで特徴付けられる、請求項3に記載のパネル。
【請求項5】
前記保護部分および前記にじみ部分が、切り込み(12)を有する単一シートからなることで特徴付けられる、請求項1から4のいずれか1項に記載のパネル。
【請求項6】
前記にじみ部分上に横たわる強化層を備えることで特徴付けられる、請求項5に記載のパネル。
【請求項7】
前記保護部分および前記にじみ部分の各々が、異なる材料および/または異なる厚みの2つの異なるシートからなることで特徴付けられる請求項1から4のいずれか1項に記載のパネル。
【請求項8】
前記不透過性被覆が、可撓性の金属シート、および該金属シートの各側面上にガラス繊維織物を含む層を含むことで特徴付けられる請求項1から7のいずれか1項に記載のパネル。
【請求項9】
前記フィルムが、前記保護部分および前記にじみ部分とは独立に前記不透過性被覆から離脱され得る試験部分を有することで特徴付けられる請求項1から9のいずれか1項に記載のパネル。
【請求項10】
シールされ、そして断熱されたタンクを製造する方法であって:
該タンクの支持構造に、請求項1から4のいずれか1項に記載のパネル(1)を固定する工程、
隣接するパネルから保護部分(9)を除去する工程、
第2のシール障壁の連続性を確実にするために、除去された該保護部分によって剥き出た領域(10)に、接着剤を用いて不透過性被覆の細片(13)を貼る工程、
該接着剤が硬化されるとき、該剥き出た領域に隣接するにじみ部分(11)を除去する工程、および
形成された接着剤にじみ(14)を試験し、そして該試験の強度に関する不透過性被覆の細片の結合を確認する工程を包含することで特徴付けられる、方法。
【請求項11】
前記不透過性被膜の細片が、可撓性の金属シート、および該金属シートの各側面上にガラス繊維織物を備える層を備えることで特徴付けられる、請求項10に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−14487(P2008−14487A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145182(P2007−145182)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(595133839)ガズトランスポール エ テクニガズ (24)
【氏名又は名称原語表記】GAZTRANSPORT ET TECHNIGAZ
【Fターム(参考)】