説明

保護回路及び保護方法

【課題】消費電流を低減し、二次電池の使用可能時間を長くすることが可能な保護回路、保護方法を提供することを目的としている。
【解決手段】充放電可能な二次電池と負荷との間に接続されており、前記二次電池の保護を行う保護回路であって、前記二次電池の温度を検出する二次電池温度検出素子と、前記二次電池から前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を遮断する遮断手段と、前記遮断手段により前記二次電池から前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を所定間隔毎に遮断させる遮断制御手段と、を有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電可能な二次電池と負荷との間に接続されており、前記二次電池の保護を行う保護回路及び保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、リチウムイオン電池等の二次電池で駆動するデジタルカメラや携帯電話等の携帯機器が普及している。リチウムイオン電池等の二次電池は、使用時の安全性を確保するために保護回路が備えられた電池パックの形態で使用される(例えば特許文献1)。
【0003】
図8は、従来の保護回路を説明する図である。従来の保護回路10は、二次電池11と負荷12との間に接続されている。保護回路10は、保護IC20、二次電池11の温度を検出する温度検出素子であるサーミスタR1、二次電池11からの放電を制御する放電制御用トランジスタM1、二次電池11への充電を制御する充電制御用トランジスタM2を有する。
【0004】
保護回路10では、図9に示すように、二次電池11の温度が上昇してサーミスタR1と接続されたVTH端子の電圧が電池温度検出電圧に達すると、保護IC20のCout端子からトランジスタM2をオフさせる信号が出力され、二次電池11への充電を禁止する。図9は、従来の保護回路の動作の一例を説明する図である。
【0005】
また保護回路10は、図10に示すように、サーミスタR1により検出された二次電池11の温度が上昇すると、過充電検出電圧を下げる機能も有する。図10は、従来の保護回路の動作の別の例を説明する図である。図10の例では、二次電池11の温度が上昇して高温領域に入ると過充電検出電圧を4.275Vから4.0Vに下げ、二次電池11の温度が低下して通常領域に入ると過充電検出電圧を4.0Vから4.275Vへ上げている。
【0006】
この場合従来の保護回路10では、二次電池11の温度が高温又は低温となったときに異常を検出し、充電を禁止する等の保護動作を行う。また保護回路10では、二次電池11が過放電となった場合にも、過放電を検出してトランジスタM1をオフとする保護動作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−5558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の保護回路10では、二次電池11の温度が通常動作の温度領域内にある場合には、特別な保護動作は行わない。このためサーミスタR1に電流が流れ、保護回路10では消費電流が増大して二次電池11の消耗が早くなってしまう。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてこれを解決すべくなされたものであり、消費電流を低減し、二次電池の使用可能時間を長くすることが可能な保護回路、保護方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、以下の如き構成を採用した。
【0011】
本発明は、充放電可能な二次電池(110)と負荷(120)との間に接続されており、前記二次電池(110)の保護を行う保護回路(100)であって、
前記二次電池(110)の温度を検出する二次電池温度検出素子(Rs)と、
前記二次電池(110)から前記二次電池温度検出素子(Rs)へ流れる電流を遮断する遮断手段(M30)と、
前記遮断手段(M30)により前記二次電池(110)から前記二次電池温度検出素子(Rs)へ流れる電流を所定間隔毎に遮断させる遮断制御手段(301)と、を有する構成とした。
【0012】
また本発明の保護回路は、前記二次電池(110)の温度が通常温度領域内であることを検出する通常温度領域検出手段(340)を有し、
前記遮断制御手段(301)は、
前記通常温度領域検出手段(340)により前記二次電池(110)の温度が通常温度領域内であることが検出されたとき、前記遮断手段(M30)により前記二次電池(110)から前記二次電池温度検出素子(Rs)へ流れる電流を遮断させる構成としても良い。
【0013】
本発明の保護回路は、充放電可能な二次電池(110)と負荷(120)との間に接続されており、前記二次電池(110)の保護を行う保護回路(100)であって、
前記二次電池(110)の温度を検出する二次電池温度検出素子(Rs)と、
オン/オフが制御されて前記二次電池(110)から前記二次電池温度検出素子(Rs)へ流れる電流を遮断する遮断手段(M30)と、
前記二次電池(110)の温度が通常温度領域内であることを検出する通常温度領域検出手段(340)と、
前記通常温度領域検出手段(340)により前記二次電池(110)の温度が通常温度領域内にあることが検出されている期間、前記遮断手段(M30)のオン/オフを制御して前記二次電池温度検出素子(Rs)へ流れる電流を制御する遮断制御手段(301)と、を有する構成とした。
【0014】
また本発明の保護回路において、前記遮断制御手段(301)は、所定間隔毎に前記遮断手段(M30)をオフさせる構成とした。
【0015】
また本発明の保護回路において、前記遮断制御手段(301)は、前記遮断手段(M30)をオフさせる構成とした。
【0016】
また本発明の保護回路は、前記二次電池(110)の温度が高温領域にあることを検出する高温領域検出手段(210)と、
前記二次電池(110)の温度が低温領域にあることを検出する低温領域検出手段(220)と、を有し、
前記遮断制御手段(301)は、
前記遮断手段(M30)をオフさせるタイミングと同期して、前記高温領域検出手段(210)及び前記低温領域検出手段(220)をオフさせる構成とした。
【0017】
本発明は、充放電可能な二次電池(110)と負荷(120)との間に接続されており、前記二次電池(110)の保護を行う保護回路(200)であって、
前記二次電池(110)から前記二次電池(110)の温度を検出する二次電池温度検出素子(Rs)へ流れる電流を遮断する遮断手段(M30)と、
前記遮断手段(M30)により前記二次電池(110)から前記二次電池温度検出素子(Rs)へ流れる電流を所定間隔毎に遮断させる遮断制御手段(301)と、を有する構成とした。
【0018】
本発明は、充放電可能な二次電池(110)と負荷(120)との間に接続されており、前記二次電池(110)の温度を検出する二次電池温度検出素子(Rs)と、前記二次電池(110)から前記二次電池温度検出素子(Rs)へ流れる電流を遮断する遮断手段(M30)と、を有し、前記二次電池(110)の保護を行う保護回路(100)による保護方法であって、
前記遮断手段(M30)により前記二次電池(110)から前記二次電池温度検出素子(Rs)へ流れる電流を所定間隔毎に遮断させる遮断制御手順、を有する方法とした。
【0019】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、消費電流を低減し、二次電池の使用可能時間を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第一の実施形態の保護回路を説明する図である。
【図2】第二の実施形態の保護回路を説明する図である。
【図3】第三の実施形態の保護回路を説明する図である。
【図4】第三の実施形態における温度検出部の一例を説明する図である。
【図5】第三の実施形態の保護回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図6】第四の実施形態の保護回路を説明する図である。
【図7】第五の実施形態の保護回路を説明する図である。
【図8】従来の保護回路を説明する図である。
【図9】従来の保護回路の動作の一例を説明する図である。
【図10】従来の保護回路の動作の別の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、二次電池の温度を検出する温度検出素子に流れる電流を所定間隔毎に遮断することにより、保護回路内の消費電流を低減する。
【0023】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の保護回路を説明する図である。
【0024】
本実施形態の保護回路100は、二次電池110と負荷120との間に接続されている。本実施形態の保護回路100は、B+端子、B−端子、P+端子、P−端子、VT端子を有する。また本実施形態の保護回路100は、保護IC200、抵抗R10、R20、R30、コンデンサC10、C20、C30、サーミスタRs、トランジスタM10、M20を有する。
【0025】
保護IC200は、VDD端子、VTH端子、VSST端子、VSS端子、DOUT端子、COUT端子、V−端子を有する。また保護IC200は、高温領域検出部210、低温領域検出部220、過充電検出部230、過放電検出部240、充電過電流検出部250、放電過放電検出部260、発振器270、カウンタ280、論理回路290、論理回路300、レベルシフト回路310、遅延回路320、短絡回路330、トランジスタM30を有する。
【0026】
本実施形態の保護回路100において、B+端子は二次電池110の正極に接続され、B−端子は二次電池110の負極と接続される。P+端子は負荷120の正極に接続され、P−端子は負荷120の負極と接続される。抵抗R10とコンデンサC10とは、B+端子とB−端子との間で直列に接続されており、抵抗R10とコンデンサC10との接続点は、VDD端子と接続されている。
【0027】
コンデンサC20は、B+端子とVT端子の間に接続されている。VT端子は、VTH端子と接続されている。サーミスタRsと抵抗R20とは、B+端子とVSST端子との間に直列に接続されている。コンデンサC30はP+端子とP−端子との間に接続されている。抵抗R30は、V−端子とP−端子との間に接続されている。
【0028】
トランジスタM10とトランジスタM20とは、B−端子とP−端子との間に直列に接続されている。VSS端子はB−端子と接続されている。
【0029】
本実施形態の保護IC200において、高温領域検出部210は、VTH端子の電圧を監視して二次電池110の温度が高温領域に達したか否かを判断する。低温領域検出部220は、VTH端子の電圧を監視して二次電池110の温度が低温領域に達したか否かを判断する。尚本実施形態では、例えば二次電池110の温度が45℃より高くなったとき高温領域に達したものと判断し、二次電池110の温度が0℃未満となったとき低温領域に達したものと判断する。この場合、0℃以上45℃以下が通常温度領域となる。
【0030】
過充電検出部230は、VDD端子の電圧を監視して二次電池110の過充電を検出する。過放電検出部240は、VDD端子の電圧を監視して二次電池110の過放電を検出する。充電過電流検出部250、充電時の過電流を検出する。放電過電流検出部260は、放電時の過電流を検出する。発振器270は、保護IC200内の各部へクロックを供給する。カウンタ280は、遅延時間のカウント等を行う。
【0031】
論理回路290は、高温領域検出部210、低温領域検出部220、過充電検出部230、充電過電流検出部250から検出信号を受けて、充電制御用スイッチ素子であるトランジスタM20のオン/オフを制御する。論理回路300は、過放電検出部240、放電過電流検出部260から検出信号を受けて、放電制御用のスイッチ素子であるトランジスタM10のオン/オフを制御する。
【0032】
レベルシフト回路310は、論理回路290から出力された信号を、トランジスタM20をオン/オフできるレベルの信号へレベルシフトさせる。遅延回路310は、遅延時間を発生させる。短絡回路330は、P+端子とP−端子との間に過大負荷が接続されたことを検出し、二次電池110と過大負荷とを短絡させる。
【0033】
トランジスタM30は、NMOSトランジスタであり、ドレインがVSST端子に接続され、ソースが接地され、ゲートが論理回路300と接続されている。本実施形態のトランジスタM30は、サーミスタRsに流れる電流を遮断するための遮断手段である。保護回路100では、トランジスタM30をオフすることでサーミスタRsに流れる電流が遮断される。本実施形態のトランジスタM30は、後述する論理回路300により、所定時間毎にオフされる。
【0034】
以下に本実施形態の論理回路300の詳細を説明する。本実施形態の論理回路300は、遮断制御部301、タイマ302を有する。
【0035】
遮断制御部301は、トランジスタM30のオン/オフを制御して、サーミスタRsに流れる電流を制御する。本実施形態では、遮断制御部301によりトランジスタM30がオフされると、サーミスタRsを流れる電流が遮断される。遮断制御部301から出力される制御信号は、トランジスタM30のゲートに供給される。本実施形態では、例えば遮断制御部301からローレベル(以下、Lレベル)の信号がトランジスタM30のゲートへ供給されると、トランジスタM30はオフされ、サーミスタRsに流れる電流は遮断される。また遮断制御部301からハイレベル(以下、Hレベル)の制御信号がトランジスタM30のゲートに供給されると、トランジスタM30はオンされてサーミスタRsに電流が流れ出す。
【0036】
本実施形態のタイマ302は、トランジスタM30をオン/オフさせるタイミングが設定されている。遮断制御部301は、タイマ302に設定されたタイミングに従って、トランジスタM30をオン/オフさせる。尚本実施形態のタイマ302は、過放電検出部240において過放電を検出した際の遅延時間を生成するために設けられたタイマと兼用でであっても良い。この場合にトランジスタM30をオン/オフさせるタイミングと、遅延時間をカウントするタイミングとが重なった場合、遅延時間をカウントする方が優先されることが好ましい。
【0037】
以上の構成によれば、サーミスタRsには所定間隔毎に所定期間のみ電流が流れることになる。よって、常時サーミスタRsに電流が流れる従来の保護回路と比べて消費電流を低減することができ、二次電池の使用可能時間を長くすることができる。
【0038】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態では、サーミスタRsへ流れる電流をオフする際に、高温領域検出部210及び低温領域検出部220もオフさせる点が第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0039】
図2は、第二の実施形態の保護回路を説明する図である。本実施形態の保護回路100Aは保護IC200Aを有する。
【0040】
本実施形態の保護IC200Aでは、論理回路300の遮断制御部301から出力される制御信号が高温領域検出部210及び低温領域検出部220にも供給される。本実施形態の高温領域検出部210及び低温領域検出部220は、遮断制御部301から出力される制御信号により、オン/オフが制御される。
【0041】
本実施形態の高温領域検出部210及び低温領域検出部220は、トランジスタM30がオンのときオンとなり、トランジスタM30がオフのときオフとなるように制御される。
例えば本実施形態の高温領域検出部210及び低温領域検出部220は、遮断制御部301からLレベルの信号が供給されるとオフされ、遮断制御部301からHレベルの制御信号が供給されるとオンされる。
【0042】
よって本実施形態の高温領域検出部210及び低温領域検出部220は、トランジスタM30がオン/オフされるタイミングと同期してオン/オフが制御される。このため本実施形態では、トランジスタM30がオフされてサーミスタRsへ流れる電流が遮断されたとき、高温領域検出部210及び低温領域検出部220もオフされることになり、第一の実施形態と比べてさらに消費電流を低減することができる。よって二次電池の使用可能時間を長くすることができる。
【0043】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態では、二次電池110の温度が通常温度領域にある場合に遮断制御部301によりトランジスタM30を遮断させる点が第一の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0044】
図3は、第三の実施形態の保護回路を説明する図である。本実施形態の保護回路100Bは、保護IC200Bを有する。本実施形態の保護IC200Bは、二次電池110の温度が通常温度領域内か否を検出する温度検出部340を有する。
【0045】
本実施形態では、温度検出部340により、二次電池110の温度が通常温度領域内となったことが検出されると、論理回路300の遮断制御部301がトランジスタM30をオフさせてサーミスタRsへ流れる電流を遮断する。
【0046】
以下に図4を参照して本実施形態の温度検出部340を説明する。図4は、第三の実施形態における温度検出部の一例を説明する図である。
【0047】
本実施形態の保護IC200の有する温度検出部340は、電流源341、コンパレータ342、ダイオード343、基準電圧源344とから構成されている。本実施形態の温度検出部340は、ダイオード343の温度特性を利用したものである。コンパレータ342の一方の入力端子は基準電圧源344と接続されており、基準電圧源344で生成される基準電圧VREFが供給される。コンパレータ342の他方の入力は、電流源341とダイオード343との接続点と接続されており、ダイオード342の順方向電圧が供給される。コンパレータ342の出力は、論理回路300の遮断制御部301に供給される。
【0048】
本実施形態では、温度検出部340により、二次電池110の温度が例えば通常温度領域の上限である45℃以下となったことを検出することができる。また本実施形態では、例えば二次電池110が通常温度領域の下限である0℃以上となったことを検出するために、図4に示す温度検出部340と同様の構成の温度検出部が設けられていても良い。
【0049】
本実施形態の保護IC200において、温度検出部340は、二次電池110の温度が通常温度領域内となったことを検出すると、検出信号を論理回路300の遮断制御部301へ供給する。遮断制御部301は、検出信号を受けると制御信号を出力し、トランジスタM30をオフさせる。
【0050】
すなわち本実施形態では、サーミスタRsによる温度検出が不要となる通常温度領域内において、トランジスタM30をオフさせてサーミスタRsへ流れる電流を遮断する。本実施形態では、この構成により、通常温度領域内における消費電流を抑制することができる。
【0051】
尚以上の説明では、温度検出部340は、通常温度領域である0℃以上45℃以下を検出すると説明したが、これに限定されない。例えば温度検出部340は、通常温度領域よりも狭い温度範囲を検出するようにしても良い。例えば温度検出部340は、10℃以上35℃以下の温度範囲を検出するようにしても良い。この場合遮断制御部301は、二次電池110の温度が10℃以上35℃以下の範囲において、トランジスタM30をオフさせてサーミスタRsへ流れる電流を遮断する。
【0052】
よって通常温度領域の上限である45℃近辺及び通常温度領域の下限である0℃近辺では、トランジスタM30はオンであり、サーミスタRsに電流が流れている。このため二次電池110の温度が高温領域となったこと及び二次電池110の温度が低温領域となったことを確実に検出することができる。
【0053】
図5は、第三の実施形態の保護回路の動作を説明するタイミングチャートである。図5では、温度検出部340が通常温度範囲よりも狭い温度範囲を検出する例を示している。図5の例では、VTH端子の電圧がV1となったとき高温領域検出部210により二次電池110の温度が高温領域となったことが検出される。二次電池110の温度が高温領域に入ると、論理回路300はトランジスタM20をオフさせて充電を禁止させる。また図5の例では、VTH端子の電圧がV2となったとき低温領域検出部220により二次電池110の温度が低温領域となったことが検出される。二次電池110の温度が低温領域に入ると、論理回路300はトランジスタM20をオフさせて充電を禁止させる。
【0054】
また図5の例では、二次電池110の温度が、VTH端子の電圧がVaとなる温度まで上昇したときトランジスタM30がオンされる。トランジスタM30がオンとなるときの二次電池110の温度は、二次電池110の温度が高温領域であると判断される温度よりも低い温度である。
【0055】
上昇した二次電池110の温度が低下して通常温度領域内に入ると、論理回路300はトランジスタM20をオンとして充電禁止を解除する。その後さらに二次電池110の温度が低下し、VTH端子の電圧がVa以下となるまで温度が低下すると、遮断制御部301はトランジスタM30をオフさせる。トランジスタM30がオフされるとVSST端子はハイインピーダンスとなり、サーミスタRsに流れる電流が遮断される。
【0056】
次に二次電池110の温度が低下し、VTH端子の電圧がVb以下となる温度まで低下すると、遮断制御部301は再びトランジスタM30をオンさせる。よってこのときサーミスタRsに電流が流れはじめる。さらに二次電池110の温度が低下してVTH端子の電圧がV2より低くなると、二次電池110の温度が低温領域に入ったものと判断してトランジスタM20をオフする。
【0057】
低下した二次電池110の温度が上昇して通常温度領域内に入ると、論理回路300はトランジスタM20をオンとして充電禁止を解除する。その後さらに二次電池110の温度が上昇し、VTH端子の電圧がVb以上となるまで温度が上昇すると、遮断制御部301はトランジスタM30をオフさせる。トランジスタM30がオフされるとVSST端子はハイインピーダンスとなり、サーミスタRsに流れる電流が遮断される。
【0058】
すなわち図5の例では、期間t2と期間t4の間はトランジスタM30がオンされており、サーミスタRsに電流が流れる。また期間t1と期間t3ではトランジスタM30はオフされてサーミスタRsに流れる電流が遮断される。
【0059】
よって本実施形態によれば、サーミスタRsに電流が流れる時間が短くなり、消費電流を低減させることができ、二次電池110の使用可能時間を長くすることができる。
【0060】
尚本実施形態の論理回路300は、過放電検出時等に遅延時間をカウントするのに用いられるタイマ302を有している。
【0061】
本実施形態では、例えばトランジスタM30がオフされている期間(図5の期間t1、期間t3)において、タイマ302を用いてトランジスタM30を所定時間毎にオンさせても良い。例えば論理回路300は、期間t1及び期間t3において、トランジスタM30を1秒毎にオンさせてVTH端子の電圧を監視しても良い。
【0062】
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第四の実施形態について説明する。本発明の第四の実施形態では、サーミスタRsへ流れる電流をオフする際に、高温領域検出部210及び低温領域検出部220もオフさせる点が第三の実施形態と相違する。よって以下の本発明の第四の実施形態の説明では、第三の実施形態との相違点についてのみ説明し、第三の実施形態と同様の機能構成を有するものには第三の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0063】
図6は、第四の実施形態の保護回路を説明する図である。
【0064】
本実施形態の保護回路100Cは、保護IC200Cを有する。本実施形態の保護IC200Cの論理回路290Aは、遮断制御部291、タイマ292を有する。遮断制御部291は、温度検出部340から検出信号を受けると、高温領域検出部210及び低温領域検出部220をオフさせる制御信号を出力する。タイマ292は、遮断制御部291が高温領域検出部210及び低温領域検出部220をオフさせる制御信号を出力するタイミングが設定されている。
【0065】
本実施形態の保護回路100Cでは、温度検出部340から出力された検出信号が論理回路300と論理回路290Aとへ供給される。
【0066】
論理回路300では、検出信号を受けて遮断制御部301がトランジスタM30をオフさせる。論理回路290Aでは、検出信号を受けて遮断制御部291が高温領域検出部310と低温領域検出部220とをオフさせる。
【0067】
本実施形態では、サーミスタRsへ流れる電流が遮断されているときは、サーミスタRsを用いて温度検出を行う高温領域検出部210と低温領域検出部220とをオフさせることで、より一層保護回路100C内の消費電流を低減させることができる。よって二次電池110の使用可能時間を長くすることができる。
【0068】
また本実施形態では、論理回路290Aのタイマ292を用いて、高温領域検出部310と低温領域検出部220とを所定時間毎にオンさせても良い。例えば高温領域検出部310と低温領域検出部220とは、1秒毎にオンされても良い。また高温領域検出部310と低温領域検出部220とがオンされるタイミングは、タイマ302によりトランジスタM30がオンされるタイミングと同期していることが好ましい。
【0069】
(第五の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第五の実施形態について説明する。本発明の第五の実施形態では、第四の実施形態とは異なる方法で、サーミスタRsへ流れる電流をオフする際に高温領域検出部210及び低温領域検出部220もオフさせる。よって以下の本発明の第五の実施形態の説明では、第四の実施形態との相違点についてのみ説明し、第四の実施形態と同様の機能構成を有するものには第四の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0070】
図7は、第五の実施形態の保護回路を説明する図である。本実施形態の保護回路100Dは、保護IC200Dを有する。本実施形態の保護IC200Dは、OR回路341を有する。
【0071】
OR回路341の一方の入力には温度検出部340からの出力が供給され、他方の入力には論理回路300の遮断制御部301からの出力が供給される。OR回路341の出力は、高温領域検出部210及び低温領域検出部220へ供給される。
【0072】
本実施形態の温度検出部340は、通常温度領域であることを検出したときLレベルの信号を出力し、通常温度領域を検出しないときHレベルの信号を出力する構成とした。また本実施形態の高温領域検出部210及び低温領域検出部220は、OR回路341からHレベルの信号が供給されるとオンとなり、Lレベルの信号が供給されるとオフとなる構成とした。
【0073】
この場合の高温領域検出部210及び低温領域検出部220は、温度検出部340が通常温度領域を検出したとき(温度検出部340からの出力がLレベルのとき)、トランジスタM30のオン/オフと同期してオン/オフされる。そして本実施形態の高温領域検出部210及び低温領域検出部220は、温度検出部340が通常温度領域を検出しないとき(温度検出部340からの出力がHレベルのとき)常にオンとされる。
【0074】
よって本実施形態では、サーミスタRsへ流れる電流が遮断されているときは、サーミスタRsを用いて温度検出を行う高温領域検出部210と低温領域検出部220とをオフさせることができ、第四の実施形態と同様により一層保護回路100D内の消費電流を低減させることができる。よって二次電池110の使用可能時間を長くすることができる。
【0075】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0076】
100、100B、100C、100D 保護回路
110 二次電池
120 負荷
200、200B、200C、200D 保護IC
210 高温領域検出部
220 低温領域検出部
230 過放電検出部
240 過放電検出部
250 充電過電流検出部
260 放電過放電検出部
270 発振器
280 カウンタ
290、290A、300 論理回路
291、301 遮断制御部
292、302 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な二次電池と負荷との間に接続されており、前記二次電池の保護を行う保護回路であって、
前記二次電池の温度を検出する二次電池温度検出素子と、
前記二次電池から前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を遮断する遮断手段と、
前記遮断手段により前記二次電池から前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を所定間隔毎に遮断させる遮断制御手段と、を有する保護回路。
【請求項2】
前記二次電池の温度が高温領域にあることを検出する高温領域検出手段と、
前記二次電池の温度が低温領域にあることを検出する低温領域検出手段と、を有し、
前記遮断制御手段は、
前記二次電池から前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を遮断させるタイミングと同期して前記高温領域検出手段及び前記低温領域検出手段をオフさせる請求項1記載の保護回路。
【請求項3】
充放電可能な二次電池と負荷との間に接続されており、前記二次電池の保護を行う保護回路であって、
前記二次電池の温度を検出する二次電池温度検出素子と、
オン/オフが制御されて前記二次電池から前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を遮断する遮断手段と、
前記二次電池の温度が通常温度領域内であることを検出する通常温度領域検出手段と、
前記通常温度領域検出手段により前記二次電池の温度が通常温度領域内にあることが検出されている期間、前記遮断手段のオン/オフを制御して前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を制御する遮断制御手段と、を有する保護回路。
【請求項4】
前記遮断制御手段は、
所定間隔毎に前記遮断手段をオフさせる請求項3記載の保護回路。
【請求項5】
前記遮断制御手段は、
前記遮断手段をオフさせる請求項3記載の保護回路。
【請求項6】
前記二次電池の温度が高温領域にあることを検出する高温領域検出手段と、
前記二次電池の温度が低温領域にあることを検出する低温領域検出手段と、を有し、
前記遮断制御手段は、
前記遮断手段をオフさせるタイミングと同期して、前記高温領域検出手段及び前記低温領域検出手段をオフさせる請求項4又は5記載の保護回路。
【請求項7】
充放電可能な二次電池と負荷との間に接続されており、前記二次電池の保護を行う保護回路であって、
前記二次電池から前記二次電池の温度を検出する二次電池温度検出素子へ流れる電流を遮断する遮断手段と、
前記遮断手段により前記二次電池から前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を所定間隔毎に遮断させる遮断制御手段と、を有する保護回路。
【請求項8】
充放電可能な二次電池と負荷との間に接続されており、前記二次電池の温度を検出する二次電池温度検出素子と、前記二次電池から前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を遮断する遮断手段と、を有し、前記二次電池の保護を行う保護回路による保護方法であって、
前記遮断手段により前記二次電池から前記二次電池温度検出素子へ流れる電流を所定間隔毎に遮断させる遮断制御手順、を有する保護方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−10509(P2011−10509A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153624(P2009−153624)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】