説明

信号受信状況表示装置

【課題】現状の受信電界強度でどの程度安定して受信できているのかを直感的に認識することができ、しかも各種変調方式の相違による受信可能受信電界強度を直感的に認識すること。
【解決手段】QAM復調部によりQAM変調方式による伝送信号が復調され、OFDM復調部によりOFDM変調方式による伝送信号が復調され、データ処理部によりQAM復調部の復調出力から得られる現状の受信電界強度とメモリに記憶されている第1理論特性値との比較結果を出力するか、又はOFDM復調部の復調出力から得られる現状の受信電界強度とメモリに記憶されている第2理論特性値との比較結果が出力されると、表示制御部によりデータ処理部からの出力に応じて、メータ表示部100にQAM変調方式又はOFDM変調方式に依存した受信可能な受信電界強度がグラフィック表示されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、QAM(直交振幅変調:Quadrature Amplitude Modulation)変調方式やOFDM(直交周波数分割多重:Orthogonal Frequency Division Multiplex)変調方式等で変調された伝送信号搬送波の受信電界強度を表示する信号受信状況表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、図6及び図7により、従来より用いられていた受信電界強度を表示する表示器について説明する。まず、図6はアナログメータ301を示すものであり、受信電界強度を表示するスケール301aと、現状の受信電界強度を示す指針301bとを有している。
【0003】
このようなアナログメータ301では、検出された受信電界に対応して指針301bが回動し、その指針301bが指し示すスケール301aの目盛りで現状の受信電界強度が示される。
【0004】
一方、図7は、デジタルメータ401を示すものであり、たとえば液晶画面に受信電界強度を示すスケール401aと、現状の受信電界強度をアナログ的に示すためのバー401bと、現状の受信電界強度を示す数値401cとが表示される。
【0005】
このようなデジタルメータ401では、受信電界強度を示すスケール401aに対し、検出された受信電界強度に応じてバー401bが変化し、そのバー401bが指し示すスケール401aの目盛りで現状の受信電界強度が示されるとともに、数値401cでも現状の受信電界強度が示される。
【0006】
ところで、従来のFM変調のようなアナログ変調方式では、電界強度が減少しても、すぐには受信不可能にはならなかった。このため、出力される映像信号をモニターディスプレイ等で確認することで、図6のアナログメータ301や図7のデジタルメータ401で受信電界強度を表示しても、現状の受信電界強度でどの程度安定して受信可能かを、ユーザである運用者が把握することができていた。
【0007】
ところが、QAM変調方式やOFDM変調方式等のデジタル変調方式では、電界強度が変化すると、突然、受信不可能になるため、どの電界強度で安定して受信可能かを実際のメータ表示だけから判別することは難しい。
【0008】
また、従来のアナログ変調方式では、変調方式(変調モード)を変更した際でも、受信可能な受信電界強度が変化することはなかった。
【0009】
しかしながら、QAM変調方式やOFDM変調方式等のデジタル変調方式では、それら変調方式(変調モード)を変化させると、受信可能な受信電界強度が異なってしまう。このため、受信電界強度のみを示している図6のアナログメータ301や図7のデジタルメータ401では、変調方式を変更した際に、どの程度安定して受信できているのかを運用者が直感的に判断することは困難である。
【0010】
ちなみに、移動中継放送等に用いられるデジタルFPU(Field Pick−up Unit)装置を含むデジタル伝送装置では、送信装置から受信装置に対して、たとえば映像データを空間伝送したとき、雨による影響や、地形、ビル等の建物の影響により、受信装置側での受信電界が弱くなったり、建物の影響による反射等によるマルチパス等により、BER(Bit Error Rate)特性が理論値より悪くなったりする。
【0011】
特に、マラソン中継等の移動しながらの電波伝送にデジタル送信装置を用いる場合、受信側の受信アンテナを移動中の中継車等の送信アンテナに正確に向け、強い電波を受ける方向調整作業が必要となる。
【0012】
このようなデジタル信号の受信電界強度を把握するものとして、特許文献1では、受信した映像データから受信入力電界値及びBER(bit error rate)値を検出し、メモリに記録されている受信入力電界値―BER値特性データと、受信入力電界値及びBER値とを比較してその結果を表示するようにしたデジタル伝送装置の伝送状態表示方法を提案している。
【0013】
【特許文献1】特開2005−086386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した特許文献1では、メモリに記録されている受信入力電界値―BER値特性データと、受信入力電界値及びBER値との比較結果が表示されるため、映像データが実際に空間伝送したときの受信入力電界値及びそのときに得られるBER値を定量的に確認することができるようになっている。
【0015】
ところが、このようなデジタル伝送装置の伝送状態表示方法では、受信入力電界値―BER値特性データと、受信入力電界値及びBER値との比較結果が数値でのみ表示されるため、現状の受信電界強度でどの程度安定して受信できているのかを直感的に認識することができないとともに、各種変調方式の相違による受信可能電界強度を直感的に認識することができないという問題があった。
【0016】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、現状の受信電界強度でどの程度安定して受信できているのかを直感的に認識することができ、しかも各種変調方式の相違による受信可能受信電界強度を直感的に認識することができる信号受信状況表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の信号受信状況表示装置は、デジタル変調された伝送信号を受信する受信装置での前記伝送信号の受信状況をメータ表示部に表示する信号受信状況表示装置であって、前記伝送信号を復調する復調手段と、受信可能な電界強度の限界レベルを示す理論特性値を記憶する記憶手段と、前記復調手段の復調出力から得られる現状の受信電界強度と前記理論特性値とを出力するデータ処理手段と、該データ処理手段からの出力に応じて、前記メータ表示部に受信可能な受信電界強度をグラフィック表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の信号受信状況表示装置によれば、データ処理手段からの復調手段の復調出力から得られる現状の受信電界強度と理論特性値とに応じて、表示制御手段によりメータ表示部に受信可能な受信電界強度がグラフィック表示されるようにしたので、現状の受信電界強度でどの程度安定して受信できているのかを直感的に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態の詳細について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る信号受信状況表示装置が適用されるデジタル受信装置の概要を説明するための正面図である。
【0020】
同図に示すように、デジタル受信装置1は、メータ表示部100、情報表示部110、電源スイッチ111、切替スイッチ112、レベル調整スイッチ113、チャンネル選択スイッチ114等を有している。
【0021】
メータ表示部100は、受信電界強度等を表示するものであるが、その詳細については後述する。情報表示部110は、現在受信中のデジタル信号の変調方式、周波数帯、ビットレート等の情報を表示する。
【0022】
電源スイッチ111は、デジタル受信装置1の電源をオンする際に操作されるメインスイッチである。切替スイッチ112は、たとえばQAM変調方式によるデジタル信号、又はOFDM変調方式よるデジタル信号のいずれかを受信する際に操作される。レベル調整スイッチ113は、受信感度を調整する際に操作される。チャンネル選択スイッチ114は、受信チャンネルを選択する際に操作される。
【0023】
図2は、デジタル受信装置1の内部構成を説明するためのブロック図である。
【0024】
同図に示すように、デジタル受信装置1は、受信アンテナ10、ダウンコンバータ20、切替部30、QAM復調部40、QAM復号部50、OFDM復調部60、OFDM復号部70、データ処理部80、メモリ81、表示制御部90、メータ表示部100を備えている。
【0025】
受信アンテナ10は、図示しないデジタル送信装置側から送信されるOFDM変調又はQAM変調されたデジタル信号を受信する。ダウンコンバータ20は、受信アンテナ10で受信されたデジタル信号をベースバンド信号に変換する。
【0026】
切替部30は、上述した切替スイッチ112の操作に応じた切替信号に基づき、ダウンコンバータ20で変換されたベースバンド信号をQAM復調部40又はOFDM復調部60に出力するように切り替える。切替部30により変調方式が変更されると、各変調方式に対応する、変調方式がメモリ81に設定されるようになっている。
【0027】
QAM復調部40は、ベースバンド信号をQAM復調する。QAM復号部50は、QAM復調された信号を元の送信データに復号する。OFDM復調部60は、ベースバンド信号をOFDM復調する。OFDM復号部70は、OFDM復調された信号を元の送信データに復号する。
【0028】
データ処理部80は、変調方式がQAM変調モードであった場合は、メモリ81に記憶されているQAM変調方式の変調モードに対する受信電界強度対ビットエラーレートの第1理論特性値と、QAM復調部40から得られる現状の受信電界強度とを出力する。
【0029】
また、データ処理部80は、変調方式がOFDM変調モードであった場合は、メモリ81に記憶されているOFDM変調方式の変調モードに対する受信電界強度対ビットエラーレートの第2理論特性値と、OFDM復調部60から得られる現状の受信電界強度とを出力する。
【0030】
メモリ81には、QAM変調方式の変調モードに対する受信電界強度対ビットエラーレートの第1理論特性値と、OFDM変調方式の変調モードに対する受信電界強度対ビットエラーレートの第2理論特性値とが記憶されている。ここで、理論特性値とは、QAM変調方式の変調モードやOFDM変調方式の変調モードにおける受信可能な電界強度の限界レベルや、どのレベルで受信可能かのマージン等の理論的な特性値を示すものである。
【0031】
表示制御部90は、データ処理部80からの出力に応じてメータ表示部100における受信電界強度等の表示を制御する。メータ表示部100は、受信電界強度等を表示する。
【0032】
次に、図3により、メータ表示部100に表示される受信電界強度対ビットエラーレートの表示例について説明する。
【0033】
まず、図3(a)に示すように、メータ表示部100のメータ表示画面101には、現状の受信電界強度を示す数値101aと、ビットエラーレートを示すビットエラースケール101bと、受信電界強度を示す受信電界強度スケール101cとが表示されるようになっている。また、ビットエラースケール101bは縦軸で表示され、受信電界強度スケール101cは横軸で表示されている。
【0034】
また、メータ表示画面101には、QAM変調方式やOFDM変調方式のような変調方式により決まる上記第1理論特性値又は上記第2理論特性値の特性画像101dと、実際に受信された受信電界強度とビットエラーレートの関係を示す特性画像101eとが表示されるようになっている。
【0035】
また、特性画像101d及び特性画像101eのそれぞれは、図3(b)に示すような形状とされており、これらの特性画像101d及び特性画像101eと、上述した数値101a、ビットエラースケール101b、受信電界強度スケール101cとが図3(a)のようにメータ表示画面101上で重ね合わされて表示される。このとき、特性画像101eにおけるビットエラーレートは、実際に受信された受信電界強度内で、単に上記第1理論特性値又は上記第2理論特性値のビットエラーレート特性に合わせて表示している。
【0036】
ちなみに、図3(a)では、特性画像101eが指し示す受信電界強度スケール101c上の位置と、数値101aが示す値から現状の受信電界強度が−47dBmであることが分かるようになっている。
【0037】
このようなメータ表示画面101では、ビットエラーレートを示すビットエラースケール101bと、受信電界強度を示す受信電界強度スケール101cとを組み合わせて表示される2次元領域に、QAM変調方式やOFDM変調方式により理論的に決まる特性画像101dが表示されることで、QAM変調方式やOFDM変調方式の理論上のビットエラーレート特性が視覚的に表示されることになる。
【0038】
これにより、特性画像101dと、この特性画像101dに一部重ねられた特性画像101eとから、現状の受信電界強度でどの程度安定して受信できているのかを直感的に認識することができるとともに、現状の受信電界強度にどの程度余裕があるのかを直感的に認識することができるようになっている。
【0039】
なお、特性画像101dと、特性画像101eとは、それぞれ異なる色で表示することができる。このように、特性画像101dと、特性画像101eとを、それぞれ異なる色で表示するようにすると、どの程度安定して受信できているのかや、現状の受信電界強度にどの程度の余裕があるのかをより直感的に認識することができるようになる。
【0040】
すなわち、現状の受信電界強度とエラーレートとの特性を示す特性画像101eは、QAM変調方式やOFDM変調方式の理論上のビットエラーレート特性を表現する形状となっているので、運用者はビットエラーレートを示すビットエラースケール101bと、受信電界強度を示す受信電界強度スケール101cとの対比を視覚的にとらえることができ、色別で示される特性画像101eの面積の広さにより、現状の受信電界強度が有効であるかどうかを直感的に判断することができることになる。
【0041】
また、数値101aによって現状の受信電界強度が示されるため、現状の受信電界強度を正確かつ容易に読み取ることも可能となっている。
【0042】
図4は、たとえばQAM変調方式の64QAMやQPSKなどの変調モードの違いによるメータ表示の相違を示す図である。
【0043】
まず、図4(a)はQPSKモードの受信可能電界強度が低い変調方式のメータ表示画面101の例を示し、図4(b)は受信可能電界強度が図4(a)のQPSKモードより比較的高いQAMモードのメータ表示画面102を示している。
【0044】
図4(a),(b)から分かるとおり、QAM変調方式の64QAMやQPSKなどの変調モード毎に受信電界強度対ビットエラーレートの第1理論特性値及び第2理論特性値がメータ表示に反映されるので、同じ受信電界強度でも変調方式の違いにより、例えば、図4(a)のメータ表示画面101に比べて、図4(b)のメータ表示画面102の受信状態の方が、現状の受信電界強度に余裕が無いことを直感的に判断できることになる。
【0045】
図5は、メータ表示画面101に表示されるビットエラースケール101bに代えてマージンスケール201bとしたマージン対受信電界強度のメータ表示例を示す図である。
【0046】
まず、図5(a)において、符号201はマージン対受信電界強度を示すメータ表示画面であり、現状の受信電界強度を示す数値201aと、マージンを示すマージンスケール201bと、受信電界強度を示す受信電界強度スケール201cとが表示されるようになっている。
【0047】
また、メータ表示画面201には、QAM変調方式やOFDM変調方式と上述したQAM復調部40やOFDM復調部60における復調処理にて算出されたCN(Carrier to Noise Ratio)値により理論的に決まる特性画像201dと、実際に受信された受信電界強度とマージンの関係を示す特性画像101eとが表示されるようになっている。
【0048】
また、受信電界強度対ビットエラーレート画像201d及び特性画像201eのそれぞれは、図5(b)に示すような形状とされており、これらの特性画像201d及び特性画像201eと、上述した数値201a、マージンスケール201b、受信電界強度スケール201cとが図5(a)のようにメータ表示画面201上で重ね合わされて表示される。
【0049】
ここで、QAM変調方式やOFDM変調方式の伝送信号は、地形、ビル等の建物の影響による空中線伝送路のフェージング、マルチパス、ノイズ等で時々刻々と受信状況が変化する。この変化は、QAM変調方式やOFDM変調方式にて算出されるCN値に反映される。このCN値から現状の受信状況で発生するビットエラーレートがエラー訂正不能となる最低受信可能電界強度を算出し、最低受信可能電界強度と現状の受信電界強度の差分をマージン値として算出する。
【0050】
そして、マージンスケール201bと受信電界強度スケール201cのスケール表示を組み合わせることで表現される2次元領域に、算出されたマージン値と受信電界強度に対応した特性画像201dを表示し、現状の受信状況によるマージン特性を表示する。
【0051】
なお、特性画像201dと、特性画像201eとは、上記同様に、それぞれ異なる色で表示することができる。このように、特性画像201dと、特性画像201eとを、それぞれ異なる色で表示するようにすると、現状の受信電界強度にどの程度のマージンがあるのかを直感的に認識することができるようになる。
【0052】
すなわち、特性画像201eは時々刻々と変化する受信状況に対応する形で変化し、特性画像201eの面積も増減するので、運用者はリアルタイムにマージンを示すマージンスケール201bと受信電界強度を示す受信電界強度スケール201cとの対比を視覚的にとらえることができ、その特性画像201eの面積の広さにより現状の受信電界強度が有効であるかどうかを直感的に判断することができることになる。
【0053】
また、数値201aによって現状の受信電界強度が示されるため、現状の受信電界強度を正確かつ容易に読み取ることも可能となっている。
【0054】
このように、本実施形態では、第1信号復調手段であるQAM復調部40により第1変調モードであるQAM変調方式による伝送信号が復調され、第2信号復調手段であるOFDM復調部60により第2変調モードであるOFDM変調方式による伝送信号が復調され、記憶手段であるメモリ81にQAM変調方式及びOFDM変調方式のそれぞれにおける受信可能な電界強度の限界レベルを示す第1理論特性値及び第2理論特性値が記憶され、データ処理手段であるデータ処理部80によりQAM復調部40の復調出力から得られる現状の受信電界強度とメモリ81に記憶されている第1理論特性値とを出力するか、又はOFDM復調部60の復調出力から得られる現状の受信電界強度とメモリ81に記憶されている第2理論特性値とが出力されると、表示制御手段である表示制御部90によりデータ処理部80からの出力に応じて、メータ表示部100にQAM変調方式又はOFDM変調方式に依存した受信可能な受信電界強度がグラフィック表示されるようにしたので、現状の受信電界強度でどの程度安定して受信できているのかを直感的に認識することができ、しかも各種変調方式の相違による受信可能受信電界強度を直感的に認識することができる。
【0055】
また、このように、現状の受信電界強度の安定性や、各種変調方式の相違による受信可能受信電界強度が直感的に認識することができることから、特に、移動中継放送等に用いられるデジタルFPU(Field Pick−up Unit)装置に適用すると、時々刻々と変化する受信状況に素早く対応させた方向調整作業を容易に行うことができる。
【0056】
特に、変調方式を変更して、ビットレートを低くて安定した送受信を行うようにしたり、マージンを考慮して変調方式を変更するなどの対応が容易にできる。これにより、通信が途切れる、いわゆる放送事故を、防止できるという効果が得られる。
【0057】
また、本実施形態では、図5に示したように、マージン対受信電界強度についてもグラフィック表示させるようにしたので、マージンを示すマージンスケール201bと受信電界強度を示す受信電界強度スケール201cとの対比を視覚的にとらえることができ、その特性画像201eの面積の広さにより現状の受信電界強度が有効であるかどうかを直感的に判断することもできる。
【0058】
なお、本実施形態では、デジタル変調方式として、QAM変調方式やOFDM変調方式を例示したが、これに限らず、SS(Spread Spectrum)無線やCDMA(Code Division Multiple Access)等の他の変調方式にも適用可能である。
【0059】
また、上記実施の形態では、特性画像101dと101e、あるいは特性画像201dと201eを重ねて表示したが、重ならないように上下に分けて表示するようにしても良い。この場合、特性画像101d、201dがビットエラーレートやマージンを反映しており特性画像101e、201eとの対応関係が容易に分かるので、特性画像101e、201eはビットエラーレートやマージンを反映させた特性画像としなくても良い。
【0060】
なお、変調方式が同じであっても、例えば、64QAMで変調するか16QAMで変調するかといったパラメータを変更すると、受信可能な電界強度が変化する。これに対応して、上述の実施形態と同様に、受信電界強度対ビットエラーレートやマージン対受信電界強度のメータ表示画面を、それぞれ作成することが可能である。
【0061】
また、上述したFPU装置での表示方法を用いる以外に、たとえば地上デジタル放送において、変調方式が異なるワンセグ放送とフルセグ放送の電波のそれぞれの強度を表示する場合などにも適用可能である。
【0062】
以上の説明のように、本発明の実施の形態における信号受信状況表示装置は、デジタル変調された伝送信号を受信する受信装置での前記伝送信号の受信状況をメータ表示部に表示する信号受信状況表示装置であって、前記伝送信号を復調する復調手段と、受信可能な電界強度の限界レベルを示す理論特性値を記憶する記憶手段と、前記復調手段の復調出力から得られる現状の受信電界強度と前記理論特性値とを出力するデータ処理手段と、該データ処理手段からの出力に応じて、前記メータ表示部に受信可能な受信電界強度をグラフィック表示させる表示制御手段とを備えることを特徴としている。
【0063】
また、本発明の実施の形態における信号受信状況表示装置は、デジタル変調された伝送信号を受信する受信装置での前記伝送信号の受信状況をメータ表示部に表示する信号受信状況表示装置であって、第1変調モードによる前記伝送信号を復調する第1信号復調手段と、第2変調モードによる前記伝送信号を復調する第2信号復調手段と、前記第1変調モード及び前記第2変調モードのそれぞれにおける受信可能な電界強度の限界レベルを示す第1理論特性値及び第2理論特性値を記憶する記憶手段と、前記第1信号復調手段の復調出力から得られる現状の受信電界強度と前記第1理論特性値とを出力するか、又は前記第2信号復調手段の復調出力から得られる現状の受信電界強度と前記第2理論特性値とを出力するデータ処理手段と、該データ処理手段からの出力に応じて、前記メータ表示部に前記第1変調モード又は前記第2変調モードに依存した受信可能な受信電界強度をグラフィック表示させる表示制御手段とを備えることを特徴としている。
【0064】
また、本発明の実施の形態における信号受信状況表示装置において、グラフィック表示させる前記受信可能な受信電界強度はビットエラーレート又はマージンと関係付けられていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態に係る信号受信状況表示装置が適用されるデジタル受信装置の概要を説明するための正面図である。
【図2】図1のデジタル受信装置の内部構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図1のメータ表示部に表示される受信電界強度対ビットエラーレートの表示例について説明するための図である。
【図4】図1のメータ表示部に表示される、QAM変調方式やOFDM変調方式の違いによるメータ表示の相違を示す図である。
【図5】図1のメータ表示部に表示される、マージン対受信電界強度のメータ表示例を示す図である。
【図6】従来のアナログメータを説明するための図である。
【図7】従来のデジタルメータを説明するための図である。
【符号の説明】
【0066】
1 デジタル受信装置
10 受信アンテナ
20 ダウンコンバータ
30 切替部
40 QAM復調部
50 QAM復号部
60 OFDM復調部
70 OFDM復号部
80 データ処理部
81 メモリ
90 表示制御部
100 メータ表示部
101 メータ表示画面
101a 数値
101b ビットエラースケール
101c 受信電界強度スケール
101d 特性画像
101e 特性画像
102 メータ表示画面
110 情報表示部
111 電源スイッチ
112 切替スイッチ
113 レベル調整スイッチ
114 チャンネル選択スイッチ
201 メータ表示画面
201a 数値
201b マージンスケール
201c 受信電界強度スケール
201d 特性画像
201e 特性画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル変調された伝送信号を受信する受信装置での前記伝送信号の受信状況をメータ表示部に表示する信号受信状況表示装置であって、
前記伝送信号を復調する復調手段と、
受信可能な電界強度の限界レベルを示す理論特性値を記憶する記憶手段と、
前記復調手段の復調出力から得られる現状の受信電界強度と前記理論特性値とを出力するデータ処理手段と、
該データ処理手段からの出力に応じて、前記メータ表示部に受信可能な受信電界強度をグラフィック表示させる表示制御手段とを備える
ことを特徴とする信号受信状況表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−118908(P2010−118908A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290808(P2008−290808)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】