説明

信号生成装置

本発明は、不連続伝達関数を決定することにより、処理前の電磁信号の一部を強調するために使用される伝達関数を決定する、広帯域位相変調器などのシステムに関する。目標伝達関数に不連続伝達関数の逆関数を掛け合わせると不連続プリエンファシス伝達関数が生成されるように、該目標伝達関数を決定し、前記プリエンファシス伝達関数の任意の不安定極及び/又はゼロを安定極及び/又はゼロに変換する。前記不連続伝達関数は、例えば、S字関数、入出力信号、逆不変法、及びステイグリッツマックブライドアルゴリズム(Steiglitz−McBride Algorithm)の中から1以上を選択して使用することにより決定される。不安定極及び/又はゼロの変換は、全通過フィルタを用いて行われる。前記目標伝達関数は、ローパスFIRフィルタであり、そのFIRフィルタはそのFIRフィルタの周波数のほぼ全域に渡って1に近いゲインを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子信号の電磁的処理に関し、特に被変調信号のプリエンファシスフィルタリング、より詳しくは位相変調器の伝達特性に基づく位相変調信号のプリエンファシスフィルタリングの決定に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁波及び信号(以下、「波」と称する)を処理する際に生じるエラーの補正は、時として難しい。これらの波は、多くの様々な用途に使用される。例えば、データ転送用の電流又は無線周波数(RF)の振幅や周波数又は位相の変調時に見られるように、情報の伝達を目的として、電磁波特性の減衰及び/又は増幅等によりこれら波の処理が行われている。また、回路の電圧又は電流の変調時に見られるように、電磁波特性の減衰及び/又は増幅等を行うことにより、波に基づいて制御された電力が伝達されている。さらに、電力特性の処理を行って波を介した情報の伝達を行う場合のように、用途が組み合わされることもある。
【0003】
60Hz電力波のような低周波は、24GHzレーダ波のような高周波とは異なる処理技術を要するため、通常は、異なる波それぞれに対して異なる特性を有する別々の装置が使用される。例えば、コンピュータ内で使用される60Hz電力波用のスイッチング半導体装置は、24GHzレーダシステムで使用される電力用半導体装置とは異なる電力処理特性を有する。しかし、これらのシステムでは、信号処理の最中に電磁波特性に生じるエラーに起因して、処理済み信号にエラーが生じることがある。
【0004】
例えば、位相変調システムでは、変調過程で生じたエラーに起因して、出力信号の位相にエラーが生じることがある。これらの波処理システム等では、位相変調の際のフィルタリングにより、信号に位相ノイズが発生したり、信号位相の追跡が遅くなったり、出力信号のある周波数成分が抑制されたりする。これは、特に、符号分割多重アクセスシステム(例えばCDMA、WCDMA、CDMA2000)のような広帯域位相変調システムにおいて、所望の広帯域伝送信号に比べて位相変調器の周波数応答に限界があるため生じる。
【0005】
このため、これらのエラーを修正すべく、変調される入力信号の一部に対して、(位相変調器の周波数応答を広げたりすることにより)プリエンファシスフィルタリングが行われる。これは、被変調信号の出力特性に基づき決定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情に鑑み、変調される入力信号に施されるプリエンファシスフィルタリングを改善すべく、信号処理の際に電磁波を修正するための効率的かつ高精度な技術を提供することが、電磁的処理技術においては有用である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態には、信号処理の際に自動的に電磁波を適応させる装置、方法、製造物が含まれる。本発明は、処理システム用の不連続伝達関数を決定し、その不連続伝達関数の逆関数を目標伝達関数に掛け合わせると不連続プリエンファシス伝達関数が生成されるように該目標伝達関数を決定し、そのプリエンファシス伝達変換における任意の不安定極及び/又はゼロを安定極及び/又はゼロに変換することにより、処理前に電磁信号の一部を強調する伝達関数を決定するシステムを含むものである。
【0008】
一実施形態において、上記不連続伝達関数は、S字関数、入出力信号、逆不変法、及びステイグリッツマックブライドアルゴリズム(Steiglitz−McBride Algorithm)のうちから1以上を選択して使用することにより決定されるものであってもよい。上記不安定極及び/又はゼロの上記変換は、全通過フィルタを用いて行われてもよい。上記目標伝達関数がローパスFIRフィルタであり、該FIRフィルタが、該FIRフィルタの周波数のほぼ全域に渡る1に近いゲインを有するであってもよい。
【0009】
処理システムは、特に限定されていないが、位相変調、広帯域位相変調、広帯域分割シグマデルタ変調、符号分割多重アクセス信号用の広帯域分割シグマデルタ変調の中から選択された1以上の変調を含むものであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施の形態には、信号を処理する際に被変調信号にプリエンファシスフィルタリングを行うための装置、方法、製造物が含まれる。本発明の一実施形態には、図として示すために、広帯域位相変調器のS字関数又は入出力信号に基づく無限インパルス応答フィルタが含まれている。しかし、以下に開示するシステムは、広範囲の波処理システムに使用可能なシステムであり、以下に開示の位相変調システムに限定されるものではない。このシステムは、例えば受信装置や変換装置等、広範囲の応用が可能であり、送信装置に限定されるものではない。
【0011】
以下で使用する「信号」という用語は、例えば、電流や電磁界、オンオフ切替えされる直流や交流、1つ以上のデータの流れを含む電磁搬送波など、ある場所から他の場所へデータを伝えるためのあらゆる方法を含み、限定されることなく広く解釈される。データは、例えば、アナログ又はデジタル形式の、変調により搬送電流又は搬送波に重畳されるものであってもよい。以下で使用する「データ」という用語もまた、例えば、音声、文章及び/又はビデオなど、あらゆる種類の知識や情報を含むよう、広く解釈される。
【0012】
図1には、一実施形態としての位相変調器が示されている。図1に示すように、電磁波を処理するためのシステムは、位相/周波数検出器102、チャージポンプ104、ループフィルタ106、電圧制御発振器(VCO)108、除算器110で構成されており、これらは、位相同期ループ(PLL)を形成する。このシステムでは、搬送波であるFrefがベースバンド情報信号の位相情報で変調され、これにより位相変調信号が生成される。
【0013】
PLLは、しばしば、低軌跡で位相ノイズの少ない高精度な信号周波数の生成を要するような多くの用途において、周波数合成器として使用される。VCO108の信号周波数は、除算器110の除算比を変化させることにより変えられる。基準信号は、多くの場合、周波数の変化しない安定発振器により生成される。これにより、VCO周波数を変化させるべく除算比が整数単位で変化し、出力周波数が除算器の比を搬送波周波数に掛けた値に等しくなる。
【0014】
位相/周波数検出器102及びチャージポンプ104は、基準信号位相が除算されたVCO信号位相より先か後かによって、正又は負の電荷「パルス」を運ぶ。これらの電荷パルスがループフィルタ106によって集積されることにより、同調電圧が生成される。この同調電圧は、基準信号の位相と除算された信号が合成されるまで、VCO周波数を上下に変化させる。
【0015】
ループフィルタは、しばしば、処理後の出力信号において不要なエラーやノイズを発生させることがある。例えば、出力された変調済み位相信号のバンド幅が数MHzの範囲内にあるCDMA2K送信器の設計では、位相変調器のループフィルタが、数百kHzの範囲のカットオフ周波数を有することがある(これは、例えば、より狭い周波数範囲を有する、GMSを用いたシステムのような他のシステムとは対称的である)。このシステム及びこれに類似のシステムでは、除算器110に送られる前に位相信号のバンド幅を広げるために、位相変調器のPLLにおいてプリエンファシスフィルタ112が使用される。
【0016】
ループフィルタ106は(チャージポンプ104及びVCO108とともに)、位相変調器の周波数応答を決定する。通過帯域が広いループフィルタほど、位相情報を速く追跡できるが、位相ノイズを多く発生させる。対照的に、より狭い通過帯域を有するループフィルタは、位相情報の追跡は遅いが、発生する位相ノイズが少ない。これら相反する追跡時間と位相ノイズのために、ループフィルタは、通常、約500KHzのカットオフ周波数を有するよう設計される。しかし、前述した通り、CDMA2Kのような一部のシステムでは、位相信号が数MHzと広い周波数帯域幅を有する。従って、プリエンファシスを行わないループフィルタでは、位相信号の高周波数成分の大部分が抑制されてしまう。
【0017】
そのため、通常は、高周波帯の周波数応答の振幅を増加させることにより周波数帯を広げるために、プリエンファシスフィルタが使用される。その結果、位相変調器から出力された変調信号のゲインは、実質的に、目標となる所望の広い信号周波数帯に渡って1となる。この点は、さらに図2で示されている。
【0018】
プリエンファシスフィルタ112として使用されるフィルタの種類は、特に限定されておらず、例えば、有限インパルス応答(FIR)又は無限インパルス応答(IIR)タイプのフィルタがこれに含まれる。しかし、FIRフィルタには、類似のIIRフィルタと比べ、フィルタに必要なタップ数が多いために、高次元フィルタの場合より大きい電力が消費されるとともにより大きいASICダイサイズを要する、という不利な点がある。
【0019】
従って、一実施形態においては、プリエンファシスフィルタとしてIIRフィルタを使用してもよい。このフィルタは、位相変調器の包括的伝達関数に基づくものであってよく、また、この伝達関数の取得方法は、位相変調器のS字関数(シグモント関数)又は入出力信号のいずれかから取得する方法など、いくつあってもよい。例えば、下記の式1に示されるような、シグマデルタ部分N位相変調器が不連続伝達関数を有するものであってもよい。ここで、KはDCゲインであり、zmi及びpmiはそれぞれゼロ及び極であり、Hm(z)は数百kHzの範囲のカットオフ周波数を有するローパスフィルタである。
【0020】
【数1】

【0021】
位相変調器の伝達関数が式1の場合、プリエンファシスフィルタは、下記の式2で設計される。
【0022】
【数2】

【0023】
ここで、Hp(z)はプリエンファシス伝達関数であり、Ht(z)は、目標カスケードネットワークの伝達関数、つまりシステム用の所望の包括的伝達関数である。例えば、この目標伝達関数は、限定されてはいないが、利得1及び数MHzの範囲のカットオフ周波数を有する所定のFIRローパスフィルタであってもよい。この場合、プリエンファシスフィルタ伝達関数は、以下に示すように、位相変調器の不連続伝達関数を逆にし、それを目標伝達関数と組み合わせることによって得られる。
【0024】
【数3】

【0025】
目標伝達関数は、通常、FIRフィルタでありゼロのみを有するため、プリエンファシス伝達関数は、Hm(z)がゼロとなるzmiに極を有する(逆であるため)。位相変調器の伝達関数が最小位相でない(つまり、全てのゼロが左半分のS面に制限されていない)場合、ほとんどの場合そうであるが、単位円|zmi|>1の外に位置いくつかのゼロを有する。従って、プリエンファシスフィルタ伝達関数は、この円単位の外に位置する極を有し、Hp(z)は安定したシステムとはならない。
【0026】
プリエンファシスフィルタ伝達関数を安定させるためには、不安定な極を取り除かなければならない。しかし、不安定な極が取り除かれても、プリエンファシスフィルタの周波数応答が変化しないことが好ましい。これを達成する1つのメカニズムを、以下に述べる。
【0027】
*をaの共役複素数としたとき、全通過フィルタの伝達関数は、下記の式4で定義される。
【0028】
【数4】

【0029】
安定した全通過フィルタは、図3に示すように、単位円|1/a|<1の中にある1/a*に位置する極を有し、単位円|a|>1の外にあるaに位置するゼロを有する。周周波数スペクトル全体に対する理想的な全通過フィルタの周波数応答の振幅は、1である。この場合、
【0030】
【数5】

【0031】
となる。
【0032】
実際には、プリエンファシスフィルタの周波数応答の振幅は、位相変化がいくらか生じる以外は不変のままである。
【0033】
このプリエンファシスフィルタの伝達関数であるHp(z)が、単位円|p0|>1の外に位置する極を有すると、この伝達関数は、以下のように因数分解される。
【0034】
【数6】

【0035】
そこで、下記の式7に示すように、このプリエンファシスフィルタが全通過フィルタでカスケードされる。
【0036】
【数7】

【0037】
式6と式7を合わせると、下記の式8が得られる。
【0038】
【数8】

【0039】
これらの式から、p0にある不安定極を(1/p0*)にある安定極に代え、これにゲイン(−1/p0*)を掛け合わせてもよいことは明らかである。これにより、不安定極が単位円に「引き」戻され、安定したプリエンファシスフィルタ伝達関数が得られる。プリエンファシスフィルタ伝達関数が複数の不安定極を有する場合、それらの極全てを同様に単位円に引き戻してもよい。
【0040】
上述した位相変調器用の不連続伝達関数Hm(z)の決定方法は、位相変調器を介した連続時間S字関数に基づく決定または入出力信号を用いた決定など、いくつあってもよい。例えば、位相変調器用の連続時間S字関数Hm(s)は、一次項を部分的に分数展開することにより、以下のようにあらわすことができる。
【0041】
【数9】

【0042】
この関数を、インパルス不変方法など多くの方法を用いて不連続伝達関数に変換することができる。よく知られているように、インパルス不変方法は、アナログ及びデジタル双方の領域においてフィルタのインパルス応答をマッピングするものである。よって、この方法を連続時間S字関数に用いると、Tをサンプリング間隔とする、下記の不連続伝達関数が得られる。
【0043】
【数10】

【0044】
S領域の極Siは、下記の関係式により、z面の極ziにマッピングされる。
【0045】
【数11】

【0046】
あるいは、位相変調器用の閉形式S字関数が利用できない場合、システムに入力信号を通過させるとともに入出力信号特性を識別することにより不連続伝達関数が得られる。たとえば、これらの信号のうち不連続伝達関数を識別するために、ステイグリッツマックブライドアルゴリズム(Steiglitz−McBride Algorithm)を使用してもよい。よく知られているように、ステイグリッツマックブライドアルゴリズムは、システムの応答の近似を得るためにシステムの入出力信号を用いる反復型アルゴリズムである。
【0047】
以下、具体的な設計例を用いて、本発明のシステムをさらに説明する。しかし、以下の例は説明を目的として挙げられているだけであり、本発明はこれに限定されない。
【0048】
この例では、位相変調器は4次S字関数Hm(s)=Bm(s)/Am(s)である。ここで、分母分子を含む多項式は、Bm=[0,0,0,0.0233986088102633,12744.3403106009]、Am=[1.272348e−024,8.11593e−016,7.23e−009,0233986088102633,12744.3403106009]である。システム用の目標不連続伝達関数Ht(z)は、係数[−0.0798679590688931,0.0943951888467198,0.488574943617655,0.488574943617655,0.0943951888467198,−0.079867959068893.1]を有する5次対称FIRフィルタである。
【0049】
アナログ位相変調器のS字関数Hm(s)は、上述したインパルス不変方法及びサンプリング間隔T=16*1.2288MHzを用いて、不連続伝達関数Hm(z)に変換されてもよい。そのゼロは、[0,−3.85403625471938e+015,0.972699691892029,−0.0262884086904271]である。また、その極は、[0.9662666880065,0.802795952379248+0.10325054705215i,0.802795952379248−0.10325051705215i,1.28357452895155e−014]である。よって、ゼロのうちの一つは、単位円外に位置する。
【0050】
次に、プリエンファシスフィルタ伝達関数Hp(z)=Ht(z)Hm−1(z)を計算するために、式3をあてはめる。ここで、あらゆる不安定極Hp(z)を単位円に「引き込む」ために、全通過フィルタ(式7と式8)を用いる。この結果、安定したプリエンファシスフィルタHpa(z)が得られ、これを位相変調器の伝達関数と組み合わせると、システムにとって理想的な目標伝達関数が得られる。この例で使用した不連続伝達関数の周波数応答を、図4(a)と(b)に示す。
【0051】
図5には、単一の信号送信器を例に挙げて、本発明の一実施形態に従った広帯域位相変調器に使用されるプリエンファシスシステムを含む本発明の動作が説明されている。図5に示す送信器には、例えば、入力信号を受信するとともにその信号の振幅及び位相情報を出力するベースバンド処理装置500、位相信号処理装置501、広帯域位相変調器502、適応位相再調整部503、電力増幅器504、および、アンテナ506に接続された一つ以上の負荷線505が含まれている。
【0052】
ベースバンド処理装置500としては、例えば、ベースバンド信号等の入力信号に応じて電力制御信号及びデータ制御信号を生成するデジタル信号処理装置を用いる。データ制御信号は、ベースバンド処理装置500から位相信号処理装置501を通過し、増幅器504へと流れる。本発明の一実施形態では、IQデータが、ベースバンド処理装置500により、入力信号の波の振幅特性(「Am」)を含むアナログ又はデジタルデータ制御信号、および入力信号の波の位相波特性(「Ap」)を含む電磁的な信号に変換される。Rを波の振幅特性とし、θを波の位相特性とする(R,θ)の形式で極座標を出力するために、例えば矩形/極線変換器が使用される。
【0053】
各種実施形態においては、もともとの入力信号の振幅特性Amを、位相変調器502からの出力信号の増幅を増幅器504にて制御するために使用される、可変長のデジタルワードを含むデジタルパルス列のような制御信号に変調してもよい。
【0054】
次に、位相特性Apが独立して処理され、電力増幅器504に送られる。例えば、位相信号Apは、上述した方法により搬送波の位相特性情報が変調される広帯域位相変調器502に送られる。その信号は、さらに電力増幅器504に送られ、増幅後の入力信号である送信用出力信号を生成するために、データ制御信号Amを使って調整される。
【0055】
入力信号の位相データApは、まず、データ信号の振幅に対し適切に位取りを行うデータ位取装置520を通る。広帯域変調器502からの出力信号で発生する不要なゲインを全て補うために、データ位取装置520で生成された信号振幅の変化が計算される。信号の位取りは、データ形式について互換性のある従来の手段を用いて行われる。たとえば、位相データ信号がデジタル信号の場合、位取りはデジタル処理で行われる。本実施形態では、広帯域変調器502が本質的に周波数変調器であるため、dθ/dt523を介して、周波数及び位相の表現でデータ変換が行われる。
【0056】
その後、位相成分の信号は、変調補償(等価)フィルタ121を通過し、広帯域変調器着502の閉ループ応答の逆の振幅及び位相特性が求められる。上述したように、いくつかの例では、変調器502は、本来、信号のノイズを最小限に抑えるバンド幅をもつよう設計されている。しかし、このようにバンド幅を制限すると、信号の高周波数成分の減衰、つまり減少が生じてしまう。等価フィルタ521及び総合変調応答フィルタ522(overall modulation response filter)は、これら高周波数成分のゲインを増加させることにより、その減衰分を補うことができる。これにより、システム用のより均一な(平坦な)周波数応答が生成され、効果的に広帯域変調器505のバンド幅が広げられる。
【0057】
等価フィルタ521は、デジタル信号処理装置を用いてデジタル方式で実現されることが好ましいが、これに限定されることはなく、例えば、FIR(有限インパルス応答)フィルタ又はIIR(無限インパルス応答)フィルタのいずれかを用いてもよい。位相成分データもまた、総合変調応答フィルタ522を通過し、広帯域変調器502のバンド幅全体の応答を(例えば4MHzに)設定するために算出される。等価フィルタ521と同様に、総合変調応答フィルタ522も、アナログまたはデジタル形式のFIRまたはIIRフィルタのいずれかであってもよい。必要であれば、フィルタ521とフィルタ522を組み合わせて、機能上一つのフィルタとしてもよい。これらフィルタの伝達関数は、位相変調器502により所望の周波数帯に渡って利得(ゲイン)に1となる出力信号が出力されるよう、正しいプリエンファシスを位相信号情報に与えるため、上述したシステムを使って設計されてもよい。
【0058】
ここに開示されている実施形態では、広帯域変調器502により、選択した中央周波数の搬送波上でベースバンド入力信号が変調される。その中央周波数は、所定の信号の変調に用いられるもので、チャンネル計算により求められる。そのチャンネル算出では、搬送波の周波数(例えば1880MHz)を基準信号の周波数で割ることにより、その信号用のチャンネルが決定される。
【0059】
本実施形態では、整数部分と端数部分を有する数字がチャンネル計算で算出される。図5に示すように、チャンネル計算器524が、ベースバンド処理装置500からチャンネル数を受け取り、広帯域変調器502の搬送波を分割するための選択可能な非整数(例えば23.5〜24.5)を求める。これにより、位相データ信号を変調するためのチャンネルが選択される。この数字の端数部分は、その後データ信号と合成され、広帯域変調器502のシグマデルタ変調器(SDM)525に送られる(この端数部分もまた、チャンネル情報を適応位相再調整部503に与える際に使用される)。
【0060】
SDM525は、搬送波の信号に対し広帯域変調を行うために、位相同期ループ(PLL)526に関連して使用される。SDM525は、入力と等しい複数のサンプル出力の平均を用いて、入力された位相データをランダム化し、これにオーバーサンプリングを行う。本実施形態のSDM525は、所望の周波数のノイズを低くすべく、デジタル化プロセスに本質的に存在する量子化雑音を抑制するよう機能する。
【0061】
SDM525には、例えば、一連の加算器や累算器、(アナログ又はデジタルの)端数位相/チャンネル数データを入力したり、端数入力に対応するデジタル化された整数列を出力するフィードバック装置が含まれる。SDM525は、入力範囲が位相変調データおよびチャンネル数の端数部分に対して十分な範囲となるように構成されている。例えば、SDM525は3ビットシステムでもよく、この場合異なる8個の出力用の数字(例えば、−3、−2、−1,0,1,2,3,4)が生成される。但し、SDM525は、所望の数字のビットや要素から成るものであってよい。SDM525は、各入力サンプルに対し4つの出力整数を生成し、入力の4倍のオーバーサンプリング率を得る。このように、SDM525において入力変調データのサンプリングを行うと、その入力変調データにノイズが発生する。このようなノイズは、全てPLL526のローパスループフィルタ531にかけられる。SDM525用の回路構成は、特に限定されないが、例えば、MASHIIIトポロジーや3次ループトポロジーを用いてもよい。もちろん、より適切な所望の回路構成が他にあれば、それを使用してもよい。
【0062】
本実施形態のSDM525の出力は、その後、チャンネル計算器524から受取ったチャンネル数の整数部分と合成される。ここで挙げられている例では、この合成により、20から28の数字が生成される。本実施形態では、チャンネル数の端数部分と整数部分の合成は、除算器528に入力され、PLL526を所望のRF搬送波に同期させるために使用される。
【0063】
本実施形態のPLL526は、搬送波源529のような、RF搬送波信号源により合成された波の信号を、入力信号の位相部分を使って変調するために使用される。搬送波源529は、無線周波数電圧制御発振器(VCO)のような、搬送波を生成できる電磁的な波を発生するものであれば、どのようなでもよい。
【0064】
基準供給源527の周波数(又はそれをある数で割ったもの)は、搬送波源529の出力周波数と比較され、除算器528がSDM525およびチャンネル計算器524から受け取った数列で除算される。基準供給源527は、一定の又は実質的に一定の周波数を有するVCO又を含むものであってもよく、他の周波数源から取得されたものであってもよい。
【0065】
位相周波数検出器(PFD)530は、2つの信号の相対的な位相を比較し、両信号の相違(位相ずれ)に比例した信号を出力する。この出力信号を搬送波源529の周波数の調整に使用し、PFD530で測定された位相ずれが実質的にゼロに近づく、より好ましくはゼロに等しくなるようにする。その結果、搬送波源529の位相および周波数の変化により、信号の位相がフィードバックループにより同期をとり、不要な信号位相のずれが防止される。
【0066】
搬送波源529からのフィードバック信号は、除算器528を通過する際、SDM525からの位相成分情報およびチャンネル計算器524から受取ったチャンネル情報をあらわす数列で制御された除算器の除算比で除算される。その結果得られた信号は、PFD530を通り、そこで、上述したとおり、基準供給源527からの信号と比較される。この合成された信号は、ローパスループフィルタ531を通り、搬送波源529の搬送波信号と合成される。
【0067】
SDM525は、SDM525に入力された位相データに対し広帯域変調を行う。このSDM525に入力された位相データは定数であり、SDM525を除算器528の出力に同期させると、変調信号に依存した周波数オフセットが生じる。よって、実施形態によっては、SDM525および除算器528が基準供給源527により同期をとるようにすることが望ましい場合もある。
【0068】
位相特性情報Apは、等価フィルタ521の前に、適応位相再調整部503にも送られ、位相再調整に使用される。例えば、適応位相再調整部503は、等価フィルタ521とPLL526の閉ループ応答がほぼマッチするように、PLL応答を動的に調整する。この適応位相再調整部503は、広帯域変調器502の出力位相を測定し、論理的に完全な、ベースバンド入力データから引き出された位相およびチャンネル計算器524から受け取った中央周波数情報と比較する。この比較の結果は、広帯域変調器502のPLL526のループゲインを調整するために使用される。このフィードバックシステムにより、送信された信号のエラーが最小限に抑えられる。適応位相再調整部503は、好ましくは、PLLの動作中に動作し、手作業でシステムを補正する必要性を軽減する。
【0069】
位相変調された搬送波は、電力増幅器504に送られ増幅される。入力信号の振幅部分は、電力増幅器504に送られてもよい。入力信号の振幅部分は、電力増幅器504から出力される、入力信号の中の情報を運ぶ増幅された搬送波をあらわす出力電流の生成に使用される。
【0070】
上記を実行する一つの方法として、以下の方法がある。ベースバンド処理装置500から出力された入力信号の振幅成分Amには、最上位のビット(MSB)から最下位のビット(LSB)までを用いて多ビットに量子化されるデジタルワードを形成するデジタルパルスが含まれる。デジタルワードは、様々な実施形態において可変長である。一般的には、長いワードほど、入力波の生成がより正確となる。デジタルワードは、増幅の制御を行う。
【0071】
この特徴は、図6(a)と(b)に示されている。図6(a)に示すように、増幅器は、電力増幅部610〜616を備えている。これらは、例えば、電力増幅器であるが、これに限定されるものではない。各電力増幅部は、受け取った制御信号によって、出力を生成する場合もしない場合もある。各増幅部には、位相変調された信号が入力される。
【0072】
各電力増幅部からの出力は、その後、合成回路620において合成され、負荷を駆動する出力信号を生成する。合成回路620は、特に限定されていないが、例えば、電力変換器、4分の1波送信線、離散LC装置(discrete LC components)(例えばパイネットワーク)など、各電力増幅部からの出力を合成するものであればどのような機構を備えていてもよい。
【0073】
図6(b)に示すように、増幅器は、セグメント化されたトランジスタ630を備えている。各セグメントは、潜在的な電流源としての役割をもつ。各増幅セグメントは、これらの制御に適したデジタル信号を介して調整されるため、電流源として動作する場合としない場合がある。各セグメントの動作は、その制御信号の値および制御に適した装置に付随する規制に依存する。トランジスタおよびセグメントとして、HBTトランジスタを用いてもよいが、FET等や他の電流又は波の特性供給源など、他のトランジスタを用いてもよい。また、例えば、トランジスタ430の前に設けられる駆動部や、トランジスタセグメントに送られる駆動電流を減少させるVGAなど、他の装置が介在してもよい。
【0074】
各セグメントは、振幅成分から出力されたデジタルワードのビットでオンオフ切り替えされるとともに、そのデジタルワードで調整される。例えば、1つのビットが「1」すなわち「Hi」の場合に、対応する制御成分がオンに切り替わり、その制御成分からセグメントに電流が流れる。上述した通り、デジタルワードが可変長であるため、ビット数および制御セグメント数も、各種実施形態において異なる。加えて、1ビット長のワードを用いた実施形態があってもよい。
【0075】
本発明の一実施形態において、各セグメントのサイズは異なってもよい。例えば、第1セグメントが、次のセグメントの2倍のサイズであり、さらに、それが次のセグメントの2倍のサイズであり、というようにして最後のセグメントに至るようにしてもよい。最大セグメントが振幅ワードのMSBにより制御され、次に大きいセグメントがそのワードの次のビットで制御され、というようにして最小セグメントを制御するLSBに至るように構成してもよい。もちろん、上述した通り、他の実施形態では、セグメント毎に同一ビットの異なるパターンをもつようにしてもよい。また、他の実施形態では、他の波特性が他の波特性供給源に与えられ、その供給源を調整してもよい。
【0076】
信号が増幅されると、負荷線505に送られる(図5)。負荷線505は、従来から知られているように、アンテナ506に適した線が選択される。その後、アンテナ506が出力信号を送信する。
【0077】
例えば、ある送信器、受信器、トランシーバの実施例を用いる実施形態では、ここで説明した装置が、例えばCDMA、CDMA2000、W−CDMA、GSM、TDMA等の各種セル方式電話など、特定の入力信号、搬送波、出力信号専用の装置であってもよい。さらに、例えば、Bluetooth、802.11a,−b,−g,レーダー、1xRTT、ラジオ、GPRS、コンピュータ、コンピュータ用又は非コンピュータ用装置、ハンドヘルド装置など、有線・無線の各種装置でもよい。本発明の具体例で使用される変調方式は、特に限定されておらず、例えば、GSMに使用されるGMSK、DECT&Bluetoothに使用されるGFSK、EDGEに使用される8−PSK、IS−2000に使用されるOQPSK&HPSK、TDMAに使用されるp/4DQPSK、802.11に使用されるOFDM、等を使用してもよい。
【0078】
本発明の実施例では、アナログ及びデジタル方式の双方を要する波や信号が処理するものであれば、構成要素として所望のどのようなアナログ及びデジタル方式双方の機器でも使用できる。例えば、セル式電話の実施例では、アナログ及びデジタル方式の双方の機器が使用できる。また、本発明の実施例では、様々な種類のシステム構成が使用できる。例えば、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウム砒素(GaAs)等を基板として用いた所望の集積回路や特定用途向けの集積回路などの半導体装置が各種構成要素を備えるようにしてもよい。
【0079】
上記で説明した本発明の実施形態に、当業者は容易に変更・修正・改善を施すことができる。そのような本発明の開示から生じる変更・修正・改善は、ここでは明記されていなが、本発明の範囲内である。よって、当業者は、本発明の実施例又は各種構成要素及び/又は特徴には、ハードウェア、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたものの全てが含まれる。
【0080】
従って、本実施形態でブロックとして図示した各構成要素やそれら構成要素の組み合わせは、多くの異なる他の方法で具体化されてもよい。
【0081】
また、上記では、例を挙げて本発明を説明したが、これらに限定されるものではない。本発明は、請求項に記載の定義およびそれに同等するものによってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】位相変調システムを示す模式図である。
【図2】位相変調器および目標伝達関数を示すグラフである。
【図3】全通過フィルタの極/ゼロ位置を示すグラフである。
【図4(a)】不連続伝達関数の周波数応答を示すグラフである。
【図4(b)】不連続伝達関数の周波数応答を示すグラフである。
【図5】位相変調システムを示すブロック図である。
【図6(a)】増幅部の一実施形態を示す図である。
【図6(b)】増幅部の一実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理システムで処理される前に電磁信号の一部を強調するために使用される伝達関数を決定する方法において、
前記処理システムで使用する不連続伝達関数を決定するステップと、
目標伝達関数に前記不連続伝達関数の逆関数を掛け合わせると不連続プリエンファシス伝達関数が生成されるように、該目標伝達関数を決定するステップと、
前記プリエンファシス伝達関数の任意の不安定極及び/又はゼロを安定極及び/又はゼロに変換するステップとを有する方法。
【請求項2】
前記不連続伝達関数が、S字関数、入出力信号、逆不変法、及びステイグリッツマックブライドアルゴリズム(Steiglitz−McBride Algorithm)の中から1以上を選択して使用することにより決定される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記不安定極及び/又はゼロの前記変換が、全通過フィルタを用いて行われる請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記目標伝達関数がローパスFIRフィルタであり、該FIRフィルタが、該FIRフィルタの周波数のほぼ全域に渡ってゲインが1に近いものである請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記処理システムが、位相変調、広帯域位相変調、広帯域分割シグマデルタ変調、符号分割多重アクセス信号用の広帯域分割シグマデルタ変調、の中から選択された1以上を含むものである請求項1記載の方法。
【請求項6】
入力波を電磁的に処理する方法であって、該入力波の特性を含む入力信号を処理し、修正信号を生成する方法において、
前記入力波の前記特性を含む前記入力信号を受信するステップと、
前記入力信号を処理するための不連続伝達関数の決定に基づくプリエンファシス伝達関数を用いて前記入力信号を変換し、目標伝達関数に前記不連続伝達関数の逆関数を掛け合わせることにより前記プリエンファシス伝達関数が生成されるように該目標伝達関数を決定し、前記プリエンファシス伝達関数の任意の不安定極及び/又はゼロを安定極及び/又はゼロに変換するステップと、
前記入力信号を処理することにより前記修正信号を生成するステップと、
前記入力波の他の特性を含む制御信号を用いて前記修正信号を調整することにより出力信号を生成するステップとを有する方法。
【請求項7】
前記不連続伝達関数が、S字関数、入出力信号、逆不変法、及びステイグリッツマックブライドアルゴリズム(Steiglitz−McBride Algorithm)の中から1以上を選択して使用することにより決定される請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記不安定極及び/又はゼロの前記変換が、全通過フィルタを用いて行われる請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記目標伝達関数がローパスFIRフィルタであり、該FIRフィルタが、該FIRフィルタの周波数のほぼ全域に渡ってゲインが1に近いものである請求項6記載の方法。
【請求項10】
前記修正信号が被位相変調信号であり、前記処理が、位相変調、広帯域位相変調、広帯域分割シグマデルタ変調、符号分割多重アクセス信号用の広帯域分割シグマデルタ変調、の中から選択された1以上を含むものである請求項6記載の方法。
【請求項11】
前記修正信号を調整するために使用される前記特性が振幅である請求項6記載の方法。
【請求項12】
前記修正信号を調整するステップが、複数のセグメントを用いて行われる請求項6記載の方法。
【請求項13】
前記セグメントのうち1以上のセグメントが、前記入力波を表わす2つ以上の信号の一部により電力増幅器として個別に制御されることにより、出力信号に要する電力を供給するものである請求項12記載の方法。
【請求項14】
さらに、前記セグメントのうち1以上のセグメントから出力された電力を合成することにより、出力信号を生成するステップを有する請求項13記載の方法。
【請求項15】
電力を合成することにより出力信号を生成するステップが、電力変換器、4分の1波送信線、離散LC装置、パイネットワークから選択された1以上を用いて行われる請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記セグメントのうち1以上のセグメントが、前記入力波を表わす2つ以上の信号の一部により電流源として個別に制御されることにより、出力信号に要する電力を供給するものである請求項12記載の方法。
【請求項17】
位相変調器で変調される前に入力波の位相信号を強調するために使用される伝達関数を決定する方法において、
前記位相変調器で使用する不連続伝達関数を決定するステップと、
目標伝達関数に前記不連続伝達関数の逆関数を掛け合わせると不連続プリエンファシス伝達関数が生成されるように、該目標伝達関数を決定するステップと、
前記プリエンファシス伝達関数の任意の不安定極及び/又はゼロを安定極及び/又はゼロに変換するステップとを有する方法。
【請求項18】
前記不連続伝達関数が、S字関数、入出力信号、逆不変法、及びステイグリッツマックブライドアルゴリズム(Steiglitz−McBride Algorithm)の中から1以上を選択して使用することにより決定されるものである請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記不安定極及び/又はゼロの前記変換が、全通過フィルタを用いて行われる請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記目標伝達関数がローパスFIRフィルタであり、該FIRフィルタが、該FIRフィルタの周波数のほぼ全域に渡ってゲインが1に近いものである請求項17記載の方法。
【請求項21】
入力波を電磁的に処理する装置であって、該入力波の特性を含む入力信号を処理回路で処理し、修正信号を生成する装置において、
前記入力波の前記特性を含む前記入力信号を受信し、前記入力信号を処理するための不連続伝達関数の決定に基づくプリエンファシス伝達関数を用いて前記入力信号を変換し、目標伝達関数に前記不連続伝達関数の逆関数を掛け合わせることにより前記プリエンファシス伝達関数が生成されるように該目標伝達関数を決定し、前記プリエンファシス伝達関数の任意の不安定極及び/又はゼロを安定極及び/又はゼロに変換するフィルタと、
前記フィルタによる前記変換後の前記入力信号を処理することにより前記修正信号を生成する処理回路と、
前記入力波の他の特性を含む制御信号を用いて前記修正信号を調整することにより出力信号を生成する出力回路とを有する装置。
【請求項22】
前記不連続伝達関数が、S字関数、入出力信号、逆不変法、及びステイグリッツマックブライドアルゴリズム(Steiglitz−McBride Algorithm)の中から1以上を選択して使用することにより決定される請求項21記載の装置。
【請求項23】
前記不安定極及び/又はゼロの前記変換が、全通過フィルタを用いて行われる請求項21記載の装置。
【請求項24】
前記目標伝達関数がローパスFIRフィルタであり、該FIRフィルタが、該FIRフィルタの周波数のほぼ全域に渡ってゲインが1に近いものである請求項21記載の装置。
【請求項25】
前記修正信号が被位相変調信号であり、前記処理回路が、位相同期ループ、位相変調、広帯域位相変調、広帯域分割シグマデルタ変調、符号分割多重アクセス信号用の広帯域分割シグマデルタ変調、の中から選択された1以上からなるものである請求項21記載の装置。
【請求項26】
前記修正信号を調整するために使用される前記特性が振幅である請求項21記載の装置。
【請求項27】
前記出力回路が、複数のセグメントからなるものである請求項6記載の装置。
【請求項28】
前記セグメントのうち1以上のセグメントが、前記制御信号により電力増幅器として個別に制御されることにより、出力信号に要する電力を供給するものであって、前記出力回路が、さらに、前記セグメントの各々から出力された前記出力用の電力を合成する合成回路を有するものであって、該合成回路が、電力変換器、4分の1波送信線、離散LC装置、パイネットワークから選択された1以上を含むものである請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記セグメントのうち1以上のセグメントが、前記入力波を表わす2つ以上の信号の一部により電流源として個別に制御されることにより、出力信号に要する電力を供給するものである請求項27記載の装置。
【請求項30】
入力波が入力されると、前記入力波を表わす振幅信号及び位相信号を生成するベースバンド処理器と、
自分に対応付けられた変換器伝達関数を有し、前記位相信号に位相変調を施す位相変調器と、
前記変換部伝達関数から得られる不連続伝達関数の決定に基づくプリエンファシス伝達関数を有し、前記位相変調器による変調の前に前記位相信号を変換し、目標伝達関数に前記不連続伝達関数の逆関数を掛け合わせることにより前記プリエンファシス伝達関数が生成されるように該目標伝達関数を決定し、前記プリエンファシス伝達関数の不安定極及び/又はゼロを全て安定極及び/又はゼロに変換するフィルタと、
前記振幅信号を用いて前記位相変調が施された信号を増幅することにより、転送用の出力信号を生成する複数のセグメントを備えた増幅器とを有する信号送信装置。
【請求項31】
前記不連続伝達関数が、S字関数、入出力信号、逆不変法、及びステイグリッツマックブライドアルゴリズム(Steiglitz−McBride Algorithm)の中から1以上を選択して使用することにより決定される請求項30記載の信号送信装置。
【請求項32】
前記不安定極及び/又はゼロの前記変換が、全通過フィルタを用いて行われる請求項30記載の信号送信装置。
【請求項33】
前記目標伝達関数がローパスFIRフィルタであり、該FIRフィルタが、該FIRフィルタの周波数のほぼ全域に渡ってゲインが1に近いものである請求項30記載の信号送信装置。
【請求項34】
前記出力回路が、さらに、前記セグメントの各々から出力された前記出力用の電力を合成する合成回路を有するものであって、該合成回路が、電力変換器、4分の1波送信線、離散LC装置、パイネットワークから選択された1以上を含むものである請求項30記載の信号送信装置。
【請求項35】
前記セグメントのうち1以上のセグメントが、前記入力波を表わす2つ以上の信号の一部により電流源として個別に制御されることにより、出力信号に要する電力を供給するものである請求項30記載の信号送信装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力波を電磁的に処理する装置であって、該入力波の特性を含む入力信号を処理回路で処理することにより修正信号を生成する信号生成装置において、
前記入力波の前記特性を含む前記入力信号を受信するとともに、前記入力信号を処理するための不連続伝達関数の決定に基づくプリエンファシス伝達関数を用いて前記入力信号を変換し、目標伝達関数に前記不連続伝達関数の逆関数を掛け合わせることにより前記プリエンファシス伝達関数が生成されるように該目標伝達関数を決定し、前記プリエンファシス伝達関数の不安定極及び/又はゼロを全て安定極又はゼロに変換するフィルタ(112)と、
前記フィルタによる前記変換後の前記入力信号を処理することにより前記修正信号を生成する処理回路と、
前記入力波の他の特性を含む制御信号を用いて前記修正信号を調整することにより出力信号を生成する出力回路とを有する信号生成装置。
【請求項2】
前記フィルタが、S字関数、入出力信号、逆不変法、及びステイグリッツマックブライドアルゴリズム(Steiglitz−McBride Algorithm)の中から1以上を選択して使用することにより前記不連続伝達関数を決定するものであることを特徴とする請求項1記載の信号生成装置。
【請求項3】
前記フィルタが、前記変換を、全通過フィルタを用いて行うものであることを特徴とする請求項1記載の信号生成装置。
【請求項4】
この信号生成装置が、前記修正信号として被位相変調信号を生成するものであり、
前記処理回路が、位相同期ループ、位相変調器、広帯域位相変調器、広帯域分割シグマデルタ変調器、符号分割多重アクセス信号用の広帯域分割シグマデルタ変調器、の中から選択された1以上を含むものであることを特徴とする請求項1記載の信号生成装置。
【請求項5】
前記出力回路が、前記入力波の振幅を用いて前記修正信号を調整することにより出力信号を生成するものであることを特徴とする請求項1記載の信号生成装置。
【請求項6】
前記出力回路が、増幅器(504)であり、複数のセグメント(610〜161)を有するものであることを特徴とする請求項1記載の信号生成装置。
【請求項7】
前記セグメントのうち1以上のセグメントが、制御信号により電力増幅器として個別に制御されることにより、出力信号に要する電力を供給するものであって、
前記出力回路が、さらに、前記セグメントの各々から出力された電力を合成する、電力変換器、4分の1波送信線、離散LC装置、パイネットワークから選択された1以上を含む出力用の合成回路(620)を有するものであることを特徴とする請求項6記載の信号生成装置。
【請求項8】
前記セグメントのうち1以上のセグメントが、前記入力波を表わす2つ以上の信号の一部により電力源として個別に制御されることで、出力信号に要する電力を供給するものであることを特徴とする請求項6記載の信号生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【公表番号】特表2006−512030(P2006−512030A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507037(P2005−507037)
【出願日】平成15年10月7日(2003.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2003/031845
【国際公開番号】WO2004/045180
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
Bluetooth
【出願人】(503084750)メイコム インコーポレイテッド (39)
【Fターム(参考)】