説明

個人認証を用いた特定領域内機器等制御方法

【課題】携帯可能な端末装置を保持した個人が任意の位置を通過した情報に基づき、その個人の通る経路に基づいて動作が設定されている特定領域内の機器等を選択的に制御する方法を提供する。
【解決手段】この発明の1つの実施形態は、利用者の通過を検出する認証システム(141)と、利用者が通過する認証位置に応じた制御対象機器の動作を制御する制御システム(121)と、利用者が通過する認証位置と制御対象機器の動作内容及び利用者情報を保持するデータベース(111)と、を有し、任意の認証位置を利用者が通過したことを前記認証システムで検知した場合に、前記制御システムの制御により、前記データベースが保持する制御対象機器の動作を利用者情報に関連づけて制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、個人認証を用いた特定領域内機器等の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯可能な端末装置が広く普及している。
【0003】
携帯可能な端末装置の多くは、その端末装置を保持した個人(人物)を特定することのできる個人情報を、一般には保持している。また、携帯可能な端末装置の多くは、それを保持した個人が任意の位置を通過したことを通過情報として保持する中継点またはサーバ(情報源)に対して、報知できる。
【0004】
特許文献1(先行技術文献)は、携帯電話機を保持した個人が鉄道等の交通機関の自動改札機を通過した通過情報を用いて電子メールにより家庭内機器を制御すること、例えば室内の電灯を点灯することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−172820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1が開示する情報通知システムは、携帯電話機を保持した個人が通過する経路が通常時と異なる場合、あるいはその個人が帰路についた以降に再び勤務先もしくは外出先へ戻る場合等を考慮した制御に関して、なんら開示がない。また、同情報通知システムは、特定領域内において、個人を単位とした制御対象機器の選択的な制御に関する記載は見当たらない。
【0007】
この発明の目的は、携帯可能な端末装置を保持した個人が任意の位置を通過した情報に基づき、その個人の通る経路に基づいて動作が設定されている特定領域内の機器等を選択的に制御する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、利用者の通過を検出する認証システムと、利用者が通過する認証位置に応じた制御対象機器の動作を制御する制御システムと、利用者が通過する認証位置と制御対象機器の動作内容及び利用者情報を保持するデータベースと、を有し、任意の認証位置を利用者が通過したことを前記認証システムで検知した場合に、前記制御システムの制御により、前記データベースが保持する制御対象機器の動作を利用者情報に関連づけて制御することを特徴する特定領域内機器等の制御方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の一つの実施の形態によれば、利用者がある「認証ポイント」を通過したことを検知し、「認証ポイント」に関連づけられている「制御対象(家庭内/特定領域内)機器」及び各機器に対する「制御内容」に従い、対応する機器の動作が制御される。例えば、出発時には、照明装置とエアコン等の消し忘れがあった場合であっても、確実にそれらをオフできる。また、制御対象の各機器を、意図的に利用者の出発時から一定時間の間、オフしないことも可能となり、例えば防犯等のためにも有益である(利用者が在宅であるように見せることができる)。また、帰宅時(目的地へ向けての出発時)においては、利用者が自宅最寄りまたは目的地近傍のいずれかの「認証ポイント」を通過したことを検知し、「認証ポイント」に関連づけられている「制御対象(家庭内/特定領域内)機器」及び各機器に対する「制御内容」に従い、対応する機器の動作が制御される。例えば、帰路についたこと/目的地へ向かって出発したこと等を、予め登録した内容でe−メールにより報知できる。
【0010】
またこの発明の一つの実施の形態によれば、途中の「認証ポイント」を通過したことを検知した時点で、「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び「制御内容」に従い、例えばエアコンをオンし、さらに目的地(自宅)近傍の「認証ポイント」を通過したことを検知した時点で、例えば照明装置をオンする等の制御が可能である。
【0011】
さらにこの発明の一つの実施の形態によれば、異なる経路上に位置する「認証ポイント」を通過したことを検知した時点、あるいは次に通過することが予定されている「認証ポイント」を所定時間愛に通過したことが検知できない場合には、既に動作された「制御対象(家庭内/特定領域内)機器」をオフすることができる。一方で、経路外への移動を検知した場合、すなわち異なる経路上に位置する「認証ポイント」を通過したことを検知した場合において、順に通過することが予定されている「認証ポイント」と実質的に等しい距離もしくは移動に必要な時間が概ね同等である「認証ポイント」を通過したことを検知した場合は、目的地へ向かっているものとして、「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び「制御内容」に従い、予定された(登録された)機器の制御を実行する。これにより、急な経路変更、あるいは障害発生時等や外出先からの帰宅時等の環境下においても、予め設定した対象機器の制御を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態が適用可能な家庭内機器等の制御を可能とする情報管理システムの一例を示す概略図。
【図2】図1に示した情報管理システムにおいて、制御対象機器を、個人単位で設定可能とする情報管理部(データベース)が保持する情報の一例を示す概略図。
【図3A】図2に示した情報管理部(データベース)が保持する情報及びその構成の一例(利用者情報)を示す概略図。
【図3B】図2に示した情報管理部(データベース)が保持する情報及びその構成の一例(設定情報)を示す概略図。
【図4】図1に示した情報管理システムにおいて、代替ルート通過を判定する一例を示す概略図。
【図5】図1に示した情報管理システムにおいて、既に実行された制御をキャンセルするための[経路はずれ]/[経路変更]を判定する一例を示す概略図。
【図6】図1に示した情報管理システムにおいて、利用者あるいは設定情報を図2、図3A及び図3Bにより説明したデータベースに登録する、あるいは更新または削除する方法および既に実行され設定を手動でキャンセルするための方法の一例を示す概略図。
【図7】図1に示した情報管理システムにおいて、図4及び図5により説明した利用者の通過/移動を検出する動作をソフトウエア的に説明する概略図(フローチャート)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の一形態について説明する。
【0014】
図1は、この発明が適用可能な家庭内機器等の選択的な制御を可能とする情報管理システムの一例を示す。なお、制御対象の機器等が位置される場所は、家庭内に限るものではなく、例えば工場や自宅に隣接する小売店等に代表される同一の建物内とは限らない特定の領域内と解釈される。
【0015】
図1に示す情報管理システム101は、制御対象の機器に関する情報及びその制御条件等を保持するDB(データベース)111、データベース111が保持する情報に従い、制御対象の機器の動作を制御する制御・通知システム121を含む。
【0016】
制御・通知システム121は、特定領域内(家庭内)に位置する制御対象機器、例えば照明装置11、エアコン(エアーコンディショナー)13、温水器(電気ポット)15、あるいはビデオレコーダー17等を動作するための制御信号を出力する。また、制御・通知システム121は、自身がメールアドレスを有し、メール送信システム151と外部通信網(公衆通信網)を経由する、例えばe−メールにより直接供給されることのある緊急性の高い「動作停止」等の指示を受けつけ、直接、制御対象の機器の動作を制御することができる。
【0017】
データベース111には、データベース111への情報の登録、あるいは更新(訂正)または削除および既に実行され設定を手動でキャンセルするために用いられる設定情報管理システム131が接続される。設定情報管理システム131には、例えばパーソナルコンピュータ(PC)21や、利用者が携帯可能な通信端末装置(例えば携帯電話機)1あるいはモバイルコンピュータ(Personal Digital Assistants,PDA)3等が、有線方式(光通信系を含む)あるいは無線(空間波)方式により、相互にアクセス可能に接続される。なお、パーソナルコンピュータ21や携帯電話機1(PDA3)と設定情報管理システム131との間には、通信事業者等が展開するサーバや、ネットワーク網が介在できることはいうまでもない。また、パーソナルコンピュータ21や携帯電話機1は、ネットワーク網を経由することにより、設定情報管理システム131から離れた位置においても設定情報管理システム131とアクセス可能であることはもちろんである。
【0018】
データベース111にはまた、データベース111に登録された認証ポイントを利用者が通過したことを検出し、認証する認証システム141が、有線方式(光通信系を含む)あるいは無線(空間波)方式により、相互にアクセス可能に接続される。なお、利用者が認証ポイントを通過したことは、利用者が保持(携帯)した携帯端末、例えば携帯電話機1や、利用者が利用する自動車等に用意された、例えばETC(Electronic Toll Collection)システム向けの通信機能を有するカード媒体5や、利用者が保持(携帯)した携帯電話機1等にソフトウエア的に用意され、金銭情報またはそれに代わるポイント等の移動(引き去り)により、料金や対価を決済する(カード)決済システム7等の利用情報(履歴)を用いることで、容易に実現(通過情報を取得)できる。
【0019】
認証システム141には、利用者が認証ポイントを通過したことを検知して、認証システム141に報知する任意数の利用者検知システム9a,9b,・・・,9n(nは正の整数)が接続される。なお、個々の利用者検知システム9a,9b,・・・,9nと認証システム141との間、あるいは認証システム141とデータベース111または制御・通知システム121との間には、多くの場合、例えば通信事業者等が展開するサーバや、ネットワーク網が介在する。
【0020】
利用者検知システム9a,9b,・・・,9nのいくつかは、例えば鉄道等の交通機関の駅に位置する自動改札機である。また、利用者検知システム9a,9b,・・・,9nのいくつかは、例えばバス等(交通機関)に個々に用意される料金収受装置である。なお、バス等に個々に用意される料金収受装置では、通信機能を含まない場合があるが、その場合においても利用者(端末保持者)がその前後に鉄道等を利用した際に、併せて通過情報を報知することができる。
【0021】
また、利用者検知システム9a,9b,・・・,9nのいくつかは、例えば高速道路、あるいは有料道路の入口または出口もしくは料金所に用意されるETCシステムの送受信装置である。
【0022】
また、利用者検知システム9a,9b,・・・,9nのいくつかは、例えば利用者(端末保持者)が、例えばコンビニエンスストア、小売店、外食販売事業者、自動販売機等に代表される任意の位置で、(カード)決済システム7(携帯電話機1に搭載された(通信事業者が代理する)支払(決済)方法を用いる決済を含む)を利用した利用履歴を含む。
【0023】
なお、特定領域内に位置する制御対象機器のうち、例えばエアコン13や、ビデオレコーダー17等であって、e−メール等を受信可能な通信能力(通信機構)を有する場合、メール送受信システム151と外部通信網(公衆通信網)を経由するe−メールの受信または送信により、直接、制御を受ける(動作結果を通知する)ことができる。
【0024】
より詳細には、図1に示す情報管理システム101においては、まず、利用者はネットワークと接続されたパーソナルコンピュータ21や、携帯端末等(携帯電話機1/PDA3)を使用して設定情報管理システム131にアクセスし、データベース111へ個人認証の認証ポイント、すなわち任意の利用者検知システム9a,9b,・・・,9n(nは正の整数)および、そのポイントに対応する制御内容等を登録する。
【0025】
利用者が携帯端末、例えば携帯電話機1もしくはPDA3、カード媒体(非接触)5等の認証媒体を持って認証ポイント(利用者検出システム)9a,9b,・・・,9nを通過することにより、利用者が通過した認証ポイントが検出される。
【0026】
その後、認証システム141がデータベース111を参照して個人認証を行い、制御・通知システム121がデータベース111を参照し、認証結果とデータベース111に登録されている個人情報に応じた家庭内機器、すなわち制御対象機器である照明装置11、エアコン13、電気ポット15、あるいはビデオレコーダー17の制御や、メール送信システム151によるメールの送信または受信を実施する。
【0027】
データベース111には、図2、図3A及び図3Bにより以下に説明するが、複数の認証ポイント(9a,9b,・・・,9n)を登録可能であり、認証ポイントと個人認証結果を元に、家庭内機器、すなわち制御対象機器のいずれか、あるいは任意の組み合わせ、もしくはすべての機器の制御を実施する。
【0028】
なお、制御を実施しない場合はデータベース111への登録時と同様に設定情報管理システム131によって設定情報の変更が可能である。また、制御実行後であっても、利用者による手動キャンセルによる設定情報管理システム131を経由した制御・通知システム121への制御キャンセル命令の送信/通知により、動作のキャンセルを実施することができる。
【0029】
また、図2、図3A及び図3Bにより以下に説明するが、認証ポイント間の通過時間が所定時間をオーバーした場合(タイムアウト)、または利用者の通過経路がデータベース111に登録されている経路から外れた場合や逆方向となった場合も、設定情報管理システム131にて制御・通知システム121への制御キャンセル命令を発行する。なお、タイムアウトや、経路から外れた場合、逆方向となった場合を検出した際に、例えばビデオレコーダー17にセットされている録画予約に従い、「予約録画」が予定通り実行できる場合等においては、例えば『予定通り、○○chの録画予約を、HH(時):MM(分)からhh(時):mm(分)まで実行します』等のメッセージ(e−メール)が、メール送信システム151を通じて送信されてもよい。
【0030】
図2は、データベース111が保持する情報及びその格納状態を示す。
【0031】
図2に一例を示すように、データベース111は、複数の利用者を格納する利用者リスト[201]と各利用者に対応した設定情報[211]とを含む。
【0032】
利用者リスト[201]は、利用者名等の利用者個人を特定する情報[201a(一人目の名前)],[201b(二人目の名前)],・・・,[201n(n人目の名前、nは正の整数)]を含む。
【0033】
設定情報[211]は、利用者名と対応した設定情報[211a(一人目の利用者が希望する制御内容)],[211b(二人目の利用者が希望する制御内容)],・・・,[211n(n人目の利用者が希望する制御内容、nは正の整数)]を管理する。
【0034】
図3Aは、図2に示した利用者リスト[201]に登録される情報の一例を示す。
【0035】
一人目の利用者に対する登録内容[301]は、例えば
登録内容 301
利用者名 [201](一人目(氏名))
世帯番号 [abcd](数字あるいはアルファベットまたは記)
前回認証ポイント [9a,9b,・・・,9n(nは正の整数)
[通過情報として、『0』=出、『1』=入を含む]
認証ポイント通過時刻 [hh(時):mm(分)]
等を含む。
【0036】
世帯番号[abcd]は、例えば登録している同一世帯の利用者が全て外出した場合等において、全ての登録機器に対して停止処理を実行する場合等に、利用できる。
【0037】
前回認証ポイントは、利用者が直前に通過した認証ポイントに対応するデータであり、経路判断に利用できる。
【0038】
認証ポイントの通過時刻は、利用者が通常の時間で次の認証ポイントを通過しなかった場合(タイムアウト時)に、既に実行した動作を、キャンセルするために利用できる。
【0039】
図3Bは、図2に示した利用者リストに登録されている利用者(各人)が要求(希望)する制御対象機器とその動作を規定するもので、「設定情報」と称する。従って、「設定情報」は、利用者リストに登録された全ての個人について、用意される。
【0040】
任意の利用者に対する設定情報[302]は、「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び各機器に対する「制御内容」を含み、「認証ポイント」については、例えば
認証ポイント
A点<自宅最寄> 往き(出発) 通過[入]
帰り(帰着) 通過[出]
B点<A点近似> 往き(出発) 通過[出]
帰り(帰着) 通過[入]
C点<中継点> 経路外へ 通過[出]
経路内へ 通過[入]
D点<中継点> 往き(出発) 通過[出]
帰り(帰着) 通過[入]
E点<目的地> 往き(出発) 通過[出]
帰り(帰着) 通過[入]
Z点<A点近似> 往き(出発) 通過[入]
帰り(帰着) 通過[出]
Y点<C点近似> 経路外へ 通過[入]
経路内へ 通過[出]
X点<E点近似> 往き(出発) 通過[出]
帰り(帰着) 通過[入]
等を含む。
【0041】
また、「制御対象(機器)」については、例えば
制御対象 照明 <[詳細] 部屋[1]オン>
エアコン <[詳細] 部屋[1]/
機器[13−1]オン>
電気ポット <[詳細] 部屋[2]/
機器[15−1]オン>
メール送信システム <[詳細] 宛先/
内容 ・・・・・ >
等を含む。なお、「制御対象」については、それぞれに、実行の「可」/「否」を示す識別子(識別欄)が付属する。例えば、利用者が実行可否設定を「否」にした場合は、機器制御を実行しない。
【0042】
図4は、図3Bに示した「認証ポイント」と図1で概略を説明した情報管理システムに特有の動作(制御)の関係を説明する。
【0043】
自宅からほぼ一定時間の距離に、認証ポイントの1つであるA駅(私鉄)と同じく認証ポイントの1つであるB駅(地下鉄)があり、車を用いた場合に、A駅またはB駅までの徒歩時間と概ね同じ時間で到着できる有料道路のZ料金所(別の認証ポイント)があるものとする。
【0044】
また、目的地、例えば勤務先あるいは外出先の最寄駅が私鉄と地下鉄の双方に共通のE駅(認証ポイント)であり、乗り換え駅としてC駅(中継点=認証ポイント)が途中にあるものとする。なお、車を用いた場合に、A駅またはB駅からC駅を経由してE駅までの移動時間と概ね同じ時間で到着できる有料道路のX料金所(認証ポイント)があるものとする。
【0045】
一方、車を用いた場合に、A駅またはB駅からC駅(中継点)までの移動時間と概ね同じ時間で到着できる有料道路のY料金所(中継=認証ポイント)と、通常の経路とは異なるが、C駅とほぼ同じ時間でA駅またはB駅に到着できるD駅(中継点=認証ポイント)があるものとする。
【0046】
このような複数の認証ポイント(利用者検知システム)9a,9b,・・・,9nのうちのいずれかを利用者が通過したことが各認証ポイント(利用者検知システム)から、図1に示した認証システム141を通じて、データベース111及びは制御・通知システム121に入力される。
【0047】
例えば、出勤時(外出開始時)、利用者がA駅またはB駅もしくはZ料金所のいずれかを通過したことを検知すると、図3Bに示した「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び各機器に対する「制御内容」に従い、自宅(出発地)の部屋の照明装置(11)とエアコン(13)がオフされる。なお、多くの場合、照明装置(11)やエアコン(13)の電源は、利用者がオフしていることが想定できるが、このシステムを用いることで、消し忘れがあった場合であっても、確実にそれらをオフできることになる。また、制御対象の各機器を、意図的に利用者の出発時から一定時間の間、オフしないことも可能となり、例えば防犯等のためにも有益である(利用者が在宅であるように見せることができる)。
【0048】
一方、帰宅時には、利用者がE駅またはX料金所のいずれかを通過したことを検知すると、図3Bに示した「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び各機器に対する「制御内容」に従い、メール送受信システム151により、予め登録した内容、例えば『今から戻る』等のe−メールが送信される。
【0049】
また、C駅を通過した(C駅で乗り換えた)ことが検知されると、「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び「制御内容」に従い、例えばエアコン(13)がオンされる。なお、C駅通過後、予め登録されたタイムアウト時間内に、B駅あるいはA駅の通過([出])が検知できた場合、「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び「制御内容」に従い、例えば電気ポット(15)と照明装置(11)がオンされる。
【0050】
また、異なる経路上に位置するD駅の通過([入])が検知された場合においても、C駅通過と同様に、例えばエアコン(13)がオンされ、その後、A駅またはB駅をタイムアウト時間内に通過したことが検知された場合も、「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び「制御内容」に従い、例えば電気ポット(15)と照明装置(11)がオンされる。
【0051】
一方で、図5に一例を示すが、経路外への移動を検知した、すなわちE駅を通過([入])後、C駅を通過([出])して一定時間経過してもA駅またはB駅の通過([出])が検知できない場合、あるいはC駅通過後に再びE駅を通過する等の逆方向への移動等を検知した場合、タイムアウトとして、C駅通過後に(一旦)オンされたエアコン(13)が、オフされる。すなわち、認証ポイントの認証順で経路方向を検知し、逆方向となった場合[501]は、A駅・復路方向で登録された機器制御をキャンセルする。同様に、認証ポイントの通過時間を計測し、次の認証ポイントを通過するまでの時間が所定時間を越えた場合(タイムアウト)も、A駅・復路方向で登録された機器制御をキャンセルする。
【0052】
以上より、利用者の認証ポイント通過が通常時と異なった場合、自動キャンセルが可能となる。
【0053】
図6は、図3B及び図4を用いて説明した「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び「制御内容」に関するデータベース操作(図1に示した入力機器による登録/更新(修正)/削除操作)の一例を示す。
【0054】
利用者は、パーソナルコンピュータ21等の入力機器から、設定情報管理システム131へ、ログインする[602]。
【0055】
次に、実行動作として、利用者データベースを変更するデータベース操作[604]、あるいは制御対象機器の制御のキャンセルを行う制御キャンセル[611]のいずれかが選択される[603]。
【0056】
データベース操作[604]においては、データベースの種類設定[605]により、新規登録(<設定情報新規登録>)[606]、修正(<設定情報修正>)[607]、削除(<設定情報削除>)[608]のいずれかが選択され、所定の情報が入力される。すなわち、入力された情報に従い、「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び「制御内容」等の情報が、データベース111に反映される(<[更新処理]>)[609]。
【0057】
以下、他の内容変更を行う場合[610]は、データベース操作種類の選択[605]へ戻り、データベース操作を終える場合、終了[619]、または他の実行動作の実行、すなわち制御キャンセル[611]が継続可能である[617]。
【0058】
制御キャンセルの場合[611]、キャンセルしようとする設定情報の項目が選択され[612]、選択された項目が制御実行済みの場合[613−YES]、制御・通知システム121に、制御キャンセル命令を出す[614]。
【0059】
一方、制御が未実行の場合[613−NO]、図3Bに一例を示したデータベースの設定情報中の実行「可」/「否」の項が、キャンセルに書き換えられる[615]。
【0060】
以下、制御キャンセル[611]により他の項目のキャンセルを行う場合[616−YES]、キャンセル項目選択[612]から順次繰り返される。また、制御キャンセルを終える場合[616−NO]、終了[619]、または他の実行動作の実行、すなわちデータベース操作が継続可能である[603]〜[604]。
【0061】
他の実行動作が無い場合は、設定情報管理システム131からログアウト[618]の後、終了となる[619]。
【0062】
図7は、図4及び図5により説明した利用者の通過/移動を検出する動作をソフトウエア的に説明するもので、利用者が認証ポイント(利用者検知システム)9a,9b,・・・,9nを通過するときに、認証媒体、すなわち携帯電話機1や、ETCシステム向けのカード媒体5や、携帯電話機1等にソフトウエア的に用意される決済システム7等の利用から、利用者情報(通過)を検出する[702]。
【0063】
次に、利用者情報がデータベース111に存在することを検出し[703]、予め登録されている認証ポイント(9a,9b,・・・,9n)がデータベースに存在することがチェックされる[704]。
【0064】
なお、認証ポイント(9a,9b,・・・,9n)がデータベース111に存在しない場合でも検知した認証ポイント(9a,9b,・・・,9n)と同心円上の認証ポイントがデータベース111に登録されている場合は、データベース111に登録されている同心円上の認証ポイント(9a,9b,・・・,9n)を通過したと見なす[705]。
【0065】
認証ポイントがデータベース111に存在する場合、利用者の経路(通過)が逆方向ではないことを、今回の(現在チェックした)認証ポイントと前回の認証ポイントから判断する[706]。なお、逆方向であることが検知できた場合[706−NO]、既に実行済みの対象機器の制御があればキャンセルする[707]。経路が逆方向でない場合[706−YES]、対象機器の制御を実行するか(実行可否が「可」になっているか)を判断する[708]。
【0066】
対象機器の制御を実行する場合[708−YES]、設定情報に従い、機器制御を行う[709]。
【0067】
対象機器の制御または制御キャンセルを実行後、今回(チェックした)認証ポイントと認証ポイントの通過時刻をデータベース111に記録(<データベースを更新>)して、次の認証ポイントの通過に備える[710]。
【0068】
以下、自宅へ帰宅)した場合、または出発地へ到着した場合、すなわち図5に説明した経路外れをタイムアウト期間内に検出しない場合、認証ポイント通過検知が終了する[711]。
【0069】
以上説明したように、この発明の一つの実施の形態によれば、利用者がある「認証ポイント」を通過したことを検知し、「認証ポイント」に関連づけられている「制御対象(家庭内/特定領域内)機器」及び各機器に対する「制御内容」に従い、対応する機器の動作が制御される。例えば、出発時には、照明装置とエアコン等の消し忘れがあった場合であっても、確実にそれらをオフできる。また、制御対象の各機器を、意図的に利用者の出発時から一定時間の間、オフしないことも可能となり、例えば防犯等のためにも有益である(利用者が在宅であるように見せることができる)。
【0070】
一方、帰宅時(目的地へ向けての出発時)においては、利用者が自宅最寄りまたは目的地近傍のいずれかの「認証ポイント」を通過したことを検知し、「認証ポイント」に関連づけられている「制御対象(家庭内/特定領域内)機器」及び各機器に対する「制御内容」に従い、対応する機器の動作が制御される。例えば、帰路についたこと/目的地へ向かって出発したこと等を、予め登録した内容でe−メールにより報知できる。
【0071】
また、途中の「認証ポイント」を通過したことを検知した時点で、「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び「制御内容」に従い、例えばエアコンをオンし、さらに目的地(自宅)近傍の「認証ポイント」を通過したことを検知した時点で、例えば照明装置をオンする等の制御が可能である。
【0072】
また、異なる経路上に位置する「認証ポイント」を通過したことを検知した時点、あるいは次に通過することが予定されている「認証ポイント」を所定時間愛に通過したことが検知できない場合には、既に動作された「制御対象(家庭内/特定領域内)機器」をオフすることができる。
【0073】
一方で、経路外への移動を検知した場合、すなわち異なる経路上に位置する「認証ポイント」を通過したことを検知した場合において、順に通過することが予定されている「認証ポイント」と実質的に等しい距離もしくは移動に必要な時間が概ね同等である「認証ポイント」を通過したことを検知した場合は、目的地へ向かっているものとして、「認証ポイント」と「制御対象(機器)」及び「制御内容」に従い、予定された(登録された)機器の制御を実行する。これにより、急な経路変更、あるいは障害発生時等や外出先からの帰宅時等の環境下においても、予め設定した対象機器の制御を実行できる。
【0074】
なお、携帯電話機等においては、GPS(Global Positioning System)を用いることで、「認証ポイント」の通過を検知できることが予測できるが、上記方式によれば、通信コストが発生しないため、広範囲な普及が期待できる。また、電子メール(e−メール)による直接的な制御においても通信費が発生するため、上記方式が有益である。さらに、認証媒体として、金銭情報またはそれに代わるポイント等の移動(引き去り)により料金や対価を決済する(カード)決済システム等も利用可能であり、多くの「認証ポイント」の展開(配置)を必要としないため、イニシャルコストも僅かである。
【0075】
なお、本発明の内容はここに記述した形態だけに限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で、他にも様々な形態を取り得ることはいうまでもない。また、各実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて、もしくは一部を削除して実施されてもよく、その場合は、組み合わせもしくは削除に起因したさまざまな効果が得られる。
【符号の説明】
【0076】
1…携帯電話機(認証媒体、入力装置)、3…携帯可能な通信端末装置(PDA、認証媒体)、5…非接触カード媒体(ETCカード、認証媒体)、7…(カード)決済システム、9a,9b,・・・,9n…認証ポイント(利用者検知システム)、11、13、15、17…制御対象機器、21…パーソナルコンピュータ(入力装置)、101…情報管理システム、111…データベース、121…制御・通知システム、131…設定情報管理システム131、認証システム141…認証システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の通過を検出する認証システムと、
利用者が通過する認証位置に応じた制御対象機器の動作を制御する制御システムと、
利用者が通過する認証位置と制御対象機器の動作内容及び利用者情報を保持するデータベースと、
を有し、
任意の認証位置を利用者が通過したことを前記認証システムで検知した場合に、前記制御システムの制御により、前記データベースが保持する制御対象機器の動作を利用者情報に関連づけて制御することを特徴する特定領域内機器等の制御方法。
【請求項2】
前記制御システムは、前記認証システムが利用者の通過を検出した認証位置に応じて、制御対象機器を前記データベースの登録内容に応じて動作することを特徴とする請求項1記載の特定領域内機器等の制御方法。
【請求項3】
前記制御システムは、前記認証システムが利用者の通過を検出した認証位置が前記データベースに登録されている順と一致しない場合に、所定時間経過後に、既に動作された制御対象機器の動作を停止することを特徴とする請求項2記載の特定領域内機器等の制御方法。
【請求項4】
前記制御システムは、前記認証システムが利用者の通過を検出した認証位置が前記データベースに登録されている順と逆方向であることを検知した場合に、所定時間経過後に、既に動作された制御対象機器の動作を停止することを特徴とする請求項3記載の特定領域内機器等の制御方法。
【請求項5】
前記制御システムは、前記認証システムが利用者の通過を検出した認証位置が前記データベースに登録されている順と一致しない場合に、その認証位置が、前記データベースに登録されている順の認証位置と同等の距離または移動時間の認証位置である場合に、前記データベースに登録されている順に等しい経路を通過中である、と判断することを特徴とする請求項2記載の特定領域内機器等の制御方法。
【請求項6】
前記認証システムが利用者の通過を検出する認証位置は、交通機関の自動改札機または有料道路の料金受け取り機構を含むことを特徴とする請求項2記載の特定領域内機器等の制御方法。
【請求項7】
前記認証システムが認証位置において、利用者の通過を検出するための認証媒体は、携帯電話装置、携帯端末装置、非接触カード機構、料金データ引き去りシステムの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2記載の特定領域内機器等の制御方法。
【請求項8】
前記制御システムは、前記認証システムが利用者の通過を検出した認証位置に応じて、制御対象機器を前記データベースの登録内容に応じて既に動作が実行された制御をキャンセルすることが可能であることを特徴とする請求項2記載の特定領域内機器等の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−130294(P2011−130294A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288315(P2009−288315)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】