説明

充填包装装置及び充填包装方法

【課題】袋に無駄なく流体を充填し、流体が充填された袋の開口をシールする充填包装装置を提供する。
【解決手段】本発明の充填包装装置は、袋22を所定の軌道に従って開口20が上方に向いた状態で搬送する袋搬送機構と、袋搬送機構によって上記所定の軌道に従って搬送されている袋22に挿入され、挿入された状態で袋22とともに移動し、後に袋22から離脱されるノズル54と、袋22に挿入されているノズル54を介して該袋22に流体を充填する流体充填機構と、流体が充填された袋22の開口20をシールするシール機構48a〜48cを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋に充填物を充填した後、袋の開口部を封止する、充填包装装置及び充填包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を密閉収容した袋製品として、食品の酸化を防止する不活性ガス(例えば、窒素ガス)が袋内に充填されたものがある。不活性ガスは、袋の酸素を追い出すために該袋に充填され、続いて袋の開口がシールされることにより食品とともに袋に密閉収容される。食品を袋に充填するとともに不活性ガスを該袋に充填する充填包装装置として、例えば特許文献1に記載のものがある。これは、窒素ガスが充満した閉鎖空間内において食品を袋に充填して該袋の開口をシールするものである。
【特許文献1】特開2002−46704公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の実施形態の充填包装装置は、袋に収容される量以上の窒素ガスを必要とするとともに、窒素ガスが充満した閉鎖空間の気密を維持するための装置を備えている。そのため、食品とともに不活性ガスを密閉収容した袋製品の製造コストが高価になる問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、使用する不活性ガスの量が小さく、不活性ガスが充満した閉鎖空間内ではなく大気環境下で袋に食品を充填するとともに不活性ガスを充填することができる充填包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の充填包装装置は、
袋に流体を充填し、流体が充填された袋の開口をシールする充填包装装置であって、
袋を所定の軌道に従って開口が上方に向いた状態で搬送する袋搬送機構と、
袋搬送機構によって上記所定の軌道に従って搬送されている袋に挿入され、挿入された状態で袋とともに移動し、後に袋から離脱されるノズルと、
袋に挿入されているノズルを介して該袋に流体を充填する流体充填機構と、
流体が充填された袋の開口をシールするシール機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、流体は、搬送されている袋に挿入された状態で該袋とともに移動するノズルを介して充填される。したがって、大気環境下で流体の充填を行えるとともに、流体を時間をかけて袋に充填できるため、確実に酸素を袋から追い出すことができ(言い換えると、置換率が高く)、流体をほとんど溢れ出させることなく該袋に充填できる。そのため、充填において使用する流体の総量が小さくなる。また、袋が高速で搬送されていても流体を該袋に充填することが可能である。その結果、流体を密閉収容した袋製品の製造コストが低く抑えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態では、袋に二種類の充填物を充填する充填包装装置及び充填包装方法を説明する。二種類の充填物の好ましい形態としては、第1の充填物が硬質又は軟質の固体(例えば、調味料、食品)で、第2の充填物が気体(特に、食品の場合は食品の鮮度を維持するための不活性ガス)又は液体である。しかし、第1及び第2の充填物は以下の説明で例示されたものに限定されるものでなく、その他の種々の充填物が含まれる。
【0008】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る充填包装装置を図1に示す。図において符号10で示される充填包装装置は、食品(例えば、カツオブシ)を収容した袋又は袋部に窒素ガスを充填して酸素を追い出し、食品と窒素ガスを収容した状態の袋の開口をシールし、それにより食品と窒素ガスを密閉収容した袋製品を製造するものである。また、この充填包装装置10は、食品と窒素ガスを収容する袋を長尺のフィルムから作製する。
【0009】
まず、充填包装装置10を理解するために、充填包装装置10が行う袋製品の製造に関する複数の処理(製造の工程)、すなわち充填包装装置10の動作について図2を参照しつつ説明する。
【0010】
まず、工程Iとして、充填包装装置10は、帯状シートのフィルムFを折り線が下にくるように幅方向12に関して2つ折りして折り合わせる。これにより、後述する袋部の底部が形成される。
【0011】
次に、工程IIとして、充填包装装置10は、2つ折りされたフィルムFに搬送方向14に所定の間隔をあけて幅方向(幅方向12とは異なる方向で、2つ折りされた状態のフィルムFの幅方向)16に伸びる区画シール部18を形成する。区画シール部18が形成されることにより、複数の区画シール部18の間に開口(開口部)20を有する複数の袋部22が形成される。
【0012】
工程II中(区画シール部18の形成中)、工程IIIとして、充填包装装置10は、第1の充填物である食品24を袋部22に充填する。
【0013】
続いて、工程IVとして、充填包装装置10は、食品を収容している袋部22の開口20の一部を仮シール(一次シール)することにより第1のシール部(第1の封止部)を形成して開口20より小さい開口20’を形成する。
【0014】
工程Vにおいて、充填包装装置10は、開口20’を介して第2の充填物である窒素ガス26を袋部22に充填して酸素を追い出す。
【0015】
工程VIにおいて、充填包装装置10は、開口20’を仮シール(二次シール)することにより第2のシール部(第2の封止部)を形成して、袋部22内に食品24と窒素ガス26を一時的に密閉収容する。
【0016】
工程VIIにおいて、充填包装装置10は、仮シールされた袋部22の開口20を本シール(三次シール)して、袋部22内に食品24と窒素ガス26を長期的に密閉収容する。
【0017】
最後に、工程VIIIにおいて、充填包装装置10は、区画シール部18を搬送方向14に分断するように切断する(切断方向は点線で示す。)、または区画シール部18を後に分断できるようにミシン目を形成する。これにより、フィルムFによって作製された袋に食品24と窒素ガス26を収容した袋製品30(区画シール部18にミシン目が形成される場合、複数の袋製品30が連結したもの)が作製される。
【0018】
上述の製造の工程に従い、袋に食品と窒素ガスを収容する充填包装装置10の構成について説明する。
【0019】
充填包装装置10は、フィルムFから袋部を作製する袋作製要素と、袋部に食品24や窒素ガス26を充填する充填要素から構成される。
【0020】
図1に示すように、充填包装装置10は、袋作製要素として、長尺のフィルムFを巻回して収容する複数のフィルムロール40a、40bと、長尺のフィルムFを案内しつつ幅方向に関して2つ折りするフィルムガイド42と、2つ折りされたフィルムFに袋部22を形成するために区画シール部18を形成する複数の区画シール装置44と、形成された袋部22に食品24を案内するとともに袋部22を成形する複数の第1の充填ノズルであるシュート46と、食品24が収容された袋部22の開口20をシールする複数のシール装置(第1〜第3の封止手段)48a〜48c(図4や図5を参照。)とを有する。また、図には示していないが、区画シール部18を搬送方向14に分断するように切断するカッター、または区画シール部18を後に分断できるようにミシン目を形成する装置を有する。
【0021】
また、充填包装装置10は、充填要素として、シュート46を介して食品24を袋部22に充填する第1の充填物供給手段又は第1の充填物充填手段である食品充填装置50と、食品24を袋部22に押し込む押圧手段であるプッシャ52と、袋部22に窒素ガス26を充填するために該袋部に挿入される第2の充填ノズルであるノズル54と、ノズル54を介して袋部22に窒素ガス26を充填する第2の充填物供給手段又は第2の充填物充填手段であるガス充填装置56を有する。シュート46、食品充填装置50、プッシャ52は食品24を袋部22に充填する食品充填手段として機能し、ノズル54とガス充填装置56はガス充填手段として機能する。
【0022】
まず、充填包装装置10の袋作製要素について説明する。
【0023】
フィルムFを券回して収容する複数のフィルムロール40a、40bは、交換のために充填包装装置10に対して着脱可能に構成されている。充填包装装置10は、フィルムロール40a、40bのいずれか一方に巻回されているフィルムFをフィルムガイド42に向かって搬送し、この一方のフィルムロールのフィルムFが無くなったときに他方のフィルムロールのフィルムFを続けて搬送するように構成されている。
【0024】
フィルムガイド42は、搬送されているフィルムFを区画シール装置44に向かって案内しつつ幅方向12に関して2つ折りし、袋部22の底部を形成するように構成されている。
【0025】
複数の区画シール装置44と複数のシュート46は、ロータリーユニット60に組み込まれている。ロータリーユニット60の部分断面図である図3と図4に示すように、ロータリーユニット60は、鉛直方向に伸びる回転中心線62を中心として回転する概ね円筒形状の構造体である回転体64と、回転体64を回転可能に支持して充填包装装置10の本体66に固定されている基台68から構成される。なお、図3は、ロータリーユニット60の上方から見た袋部22の軌道図である図5においてA方向から見た部分断面図であり、図4は図5においてB方向から見た部分断面図である。
【0026】
回転体64は、例えばモータ(図示せず)などの回転駆動源によって一定の回転速度で回転駆動されるように構成されている。回転体64の回転により、複数の区画シール装置44と複数のシュート46は、回転中心線62を中心として周回移動される。
【0027】
複数の区画シール装置44は、図3に示すように、回転体64の一部を構成する円盤形状の部材69上に設けられている。また、複数の区画シール装置44は、図5に示すように、回転中心線62に関して周方向に等間隔に部材69に設けられている。本実施形態では、17基の区画シール装置44が回転体64の部材69に設けられている。
【0028】
各区画シール装置44は、2つ折りされたフィルムFを上方部分を除いて挟持し、その挟持部分を加熱して熱融着させることにより区画シール部18を形成するように構成されている。
【0029】
具体的には、各区画シール装置44は、図3に示すように、回転体64の部材69に対して固定された固定シールバー70と、部材69に対して可動に設けられて固定シールバー70と協働して2つ折りされたフィルムFを挟持する可動シールバー72から構成される。
【0030】
固定シールバー70は、フィルムFを挟持する挟持面が回転中心線62に関して放射方向外側に向くように部材69上に配置され、フィルムFを加熱するためのヒーター(図示せず)が内蔵されている。
【0031】
可動シールバー72は、回転中心線62方向と垂直な軸方向の支持ピン74を中心にして回転可能に回転体64の部材69に設けられている。これにより、可動シールバー72は、固定シールバー70と協働して2つ折りされたフィルムFを挟持する、または固定シールバー70から離れてフィルムFをリリースする。
【0032】
また、可動シールバー72にはカムフォロア76が設けられている。カムフォロア76は、充填包装装置10の本体66に設けられて回転中心線62に関して周方向に形成されたカム溝78を有するカム部材80に従動される(図1参照。)、すなわち、回転体64が回転するとカム部材80のカム溝78に従って回転しつつ移動するように構成されている。回転体64が回転してカムフォロア76がカム溝78に従動することにより、可動シールバー72は、固定シールバー70と協働してフィルムFを挟持するまたは固定シールバー70から離れてフィルムFをリリースする。すなわち、フィルムFを挟持するまたはリリースするタイミングは、カム溝78の形状によって決定されている。カム溝78は、図5に示すように、回転体64の回転によって周回される複数の区画シール装置44が、範囲82(基台68を基準とする範囲で、図2の領域IIに対応する。)内に位置するときは2つ折りされたフィルムFを挟持し続けるように、一方、範囲82外に位置するときは可動シールバー72が固定シールバー70から離れるような形状に構成されている。
【0033】
なお、複数の区画シール装置44は、範囲82内において区画シール部18が完全に形成されるまで(熱融着が完了するまで)2つ折りされたフィルムFを挟持するものであるが、別の観点から言えば、回転する回転体64と協働して袋部22を回転中心線62を中心として周回軌道で搬送する袋搬送手段としても機能している。
【0034】
複数のシュート46それぞれは、図1に示すように食品充填装置50からの食品24をフィルムFの袋部22に案内するとともに、図2に示すような袋部22を成形する役割も果たす。具体的に説明すると、シュート46は、図6に示すように、袋部22を成形する筒状の挿入部90と、挿入部90に食品充填装置50からの食品24を案内する漏斗状のガイド部92から構成される。袋部22の成形は、フィルムFがシュート46の挿入部90を挟むようにフィルムガイド42によって2つ折りされ、2つの区画シール装置44が挿入部90を挟むように2つの区画シール部18を形成することにより行われる。
【0035】
図3に戻り、各シュート46は、シュート駆動シャフト94の一端に設けられたアーム96によって支持されている。複数のシュート駆動シャフト94は、回転体64に軸方向に移動可能に且つ回転可能に支持され、ロータリーユニット60を上方から見たシュート46の軌道図である図7に示すように回転中心線62に関して周方向に等間隔に配置されている。シュート46は、シュート駆動シャフト94が軸方向に移動することにより昇降するとともに、シュート駆動シャフト94が回転することにより該シャフト94を中心としてアーム96を介して旋回する。
【0036】
シュート駆動シャフト94は、図3に示すように、シュート46を昇降するために、シャフト94の軸方向と直交する回転中心線を有するカムフォロア98を有する。カムフォロア98は、シャフト94を中心として回転可能に且つ該シャフト94の軸方向の移動が規制された状態で該シャフト94に取り付けられたブラケット100に支持されている。また、カムフォロア98は、回転体64が回転すると、基台68の一部を構成する円筒形状のカム部材102の外周面に形成されたカム溝104に従動するように構成されている(図1参照。)。カムフォロア98がカム溝104に従動することにより、シュート駆動シャフト94が軸方向に移動し、その結果、シュート46が昇降する。すなわち、シュート46の昇降のタイミングは、カム溝104の形状によって決定されている。なお、カムフォロア98は、カムフォロア98の回転中心線が回転中心線62に直交するように、回り止め機構106によってシャフト94を中心とする回転が規制されている。
【0037】
また、シュート駆動シャフト94の他端にはクランク108が設けられている。クランク108には、シュート駆動シャフト94の中心軸と平行な回転中心線を有するカムフォロア110が設けられている。カムフォロア110は、回転体64が回転すると、基台68の一部を構成する円盤形状のカム部材112の下面に形成されたカム溝114に従動するように構成されている。カムフォロア110がカム溝114に従動することにより、シュート駆動シャフト94が回転し、その結果、シュート46がシャフト94を中心としてアーム96を介して旋回する。すなわち、シュート46の旋回のタイミングは、カム溝114の形状によって決定されている。
【0038】
2つのカムフォロア98と110が対応するカム溝104と114に従動することによりシュート駆動シャフト94を介してシュート46が昇降するまたは旋回する(カム溝104と114の形状によって決定される)タイミングについては後述する。
【0039】
3つの開口シール装置48a〜48cはそれぞれ、図5に示すように、回転中心線62と平行な回転中心線を有する2つのローラで構成され、2つのローラの外周面によって袋部22の開口20を挟持しつつ該開口20をシールするように構成されている。また、開口シール装置48a〜48cそれぞれのローラは、袋部22の開口20を熱によってシールするために、熱源(図示せず)が内蔵されているまたは熱源と熱的に接続されている。
【0040】
第1の封止手段である開口シール装置48aは、2つのローラ120Lと120Rを有し、2つのローラによって図2に示すように袋部22の開口20の一部を仮シールして開口20より小さい開口20’を形成するように構成されている。具体的には、2つのローラ120Lと120Rの外周面には複数の凹部122が形成されており、2つのローラ120Lと120Rの凹部122に挟まれた開口20の部分が仮シールされずに小さい開口20’(未封止部分)となる。
【0041】
開口シール装置48aの一方のローラ120Lは、図4に示すように、回転体64に回転可能に支持されている円盤状の部材124に設けられている。部材124は、回転体64とともに回転しないように、充填包装装置10の本体66に固定されている。これにより、ローラ120Lは充填包装装置10の本体66に対して所定の位置で維持される。
【0042】
また、ローラ120Lは、回転体64に設けられたギヤ部材126によって複数のギヤ(図示せず)を介して所定の回転速度で回転駆動されるように構成されている。
【0043】
開口シール装置48aの他方のローラ120Rは、図5に示すように回転中心線62の放射方向に関してローラ120Lの外側に配置されている。ローラ120Rは、充填包装装置10の本体66に支持され、複数のギヤ(図示せず)を介してローラ120Lと同一の回転速度で回転駆動されるように構成されている。
【0044】
第2の封止手段である開口シール装置48bは、2つのローラ128Lと128Rを有し、2つのローラによって図2に示すように開口20’を仮シールする(袋部22を仮密閉する。)ように構成されている。開口20’を仮シールするために、2つのローラ128Lと128Rそれぞれの外周面には複数の凹部130が形成されている(図5参照。)。この凹部により、開口シール装置48aが仮シールした開口20の部分を再び挟持してシールすることなく開口20’のみ仮シールすることができる。代わりとして、ローラ128Lと128Rそれぞれの外周面に凹部130を設けず、袋部22の開口20全てを仮シールするように、すなわち開口シール装置48aが仮シールした開口20の部分とそれにより形成された小さい開口20’の両方を挟持して再び仮シールするようにしてもよい。
【0045】
開口シール装置48bの一方のローラ128Lは、図4に示すように、開口シール装置48aのローラ120Lと同様に、部材124に支持されるとともにギヤ部材126によって回転駆動される。
【0046】
開口シール装置48bの他方のローラ128Rは、図5に示すように回転中心線62の放射方向に関してローラ128Lの外側に配置され、開口シール装置48aのローラ120Rと同様に、充填包装装置10の本体66に支持されて回転駆動される。
【0047】
第3の封止手段である開口シール装置48cは、2つのローラ132Lと132Rを有し、2つのローラによって図2に示すように袋部22の開口20を本シールするように構成されている。開口シール装置48cは、開口シール装置48aと48bが仮シールした部分を挟持して再びシールする。
【0048】
開口シール装置48cは、図1や図5に示すように、開口シール装置48aや48bと異なりロータリーユニット60から離れた充填包装装置10の本体66に設けられている。開口シール装置48cは、区画シール装置44からリリースされてガイド134によって案内された袋部22の仮シールされた開口20を本シールする。なお、開口シール装置48cとガイド134の間には、フィルムFの袋部22の開口20を予熱するヒータ136が設けられている。
【0049】
ここからは、充填包装装置10の充填要素について説明する。
【0050】
食品充填装置50は、挿入部90が袋部22内に挿入された状態のシュート46のガイド部92に一定量の食品24を送るように構成されている。具体的には、食品充填装置50は、図5に示すように、ロータリーユニット60の基台68を基準とする所定の位置Xを通過するシュート46に食品24を供給する。食品充填装置50は、回転体64の回転により所定の位置Xを通過するシュート46に一定量の食品24を供給できるものであればその形態は限定されない。例えば、所定の位置Xにおいてダクトの出口をシュート46のガイド部92上に位置するように配置し、ダクトを介して一定量ずつの食品24をタイミングに合わせてシュート46に供給する食品充填装置であってもよい。
【0051】
複数のプッシャ52は、食品充填装置50が袋部22に充填した食品24を該袋部22の奥に押し込む、またはシュート46に残る食品24を袋部22に押し込むためのものである。
【0052】
プッシャ52は、図6に示すようにシュート46の挿入部90内に挿入可能な形状であって、複数のシュート46それぞれの上方に1つずつ配置されている。また、各プッシャ52は、図3に示すように支持部材140を介してプッシャホルダ142に支持されている。
【0053】
プッシャホルダ142は、回転体64の回転中心線62方向に伸びて該回転体64に支持されているガイドロッド143とシュート駆動シャフト94に従って昇降可能に構成されている。昇降するために、プッシャホルダ142には回転体64の回転中心線62と直交する回転中心線を有するカムフォロア144が設けられている。カムフォロア144は、回転体64が回転すると基台68の一部を構成する円筒形状のカム部材146の外周面に形成されたカム溝148に従動するように構成されている(図1参照。)。カムフォロア144がカム溝148に従動することにより、プッシャホルダ142が昇降し、その結果、プッシャ52がシュート46に挿入される、またはシュート46内から離脱される。すなわち、プッシャ52の昇降のタイミングは、カム溝148の形状によって決定されている。プッシャ52がシュート46に挿入される(カム溝148の形状によって決定される)タイミングについては後述する。
【0054】
複数のノズル54は、窒素ガス26を袋部22に充填するものである。各ノズル54は、図6に示すように、シュート46ぞれぞれの上方に1つずつ配置され、プッシャ52に形成された貫通穴150とシュート46内を通過してその先端が袋部22内に到達するように構成されている。また、各ノズル54は、図3に示すようにノズルホルダ152によって支持されている。
【0055】
ノズルホルダ152は、ガイドロッド143とシュート駆動シャフト94に従って昇降可能に構成されている。昇降するために、ノズルホルダ152には、回転体64の回転中心線62と直交する回転中心線を有するカムフォロア154が設けられている。カムフォロア154は、回転体64が回転すると基台68の一部を構成する円筒形状のカム部材156の外周面に形成されたカム溝158に従動するように構成されている(図1参照。)。カムフォロア154がカム溝158に従動することにより、ノズルホルダ152が昇降し、その結果、ノズル54の先端が袋部22に挿入される、または袋部22から離脱される。すなわち、ノズル54の昇降のタイミングは、カム溝158の形状によって決定されている。ノズル54が袋部22に挿入される(カム溝158の形状によって決定される)タイミングについては後述する。
【0056】
ガス充填装置56は、複数のノズル54を介して袋部22に窒素ガス24を充填するものである。ガス充填装置56は、図3に示すように、ロータリーユニット60の上部に設けられたガス分配機構170に窒素ガス24を供給するように構成されている。ガス分配機構170は、複数のノズル54それぞれとゴムなどの可撓管172を介して接続され、基台68を基準とする後述する所定の範囲を移動中のいくつかのノズル54に対してガス充填装置56から供給された窒素ガス24を供給し、残りのノズル54には窒素ガス24を供給しないように構成されている。ガス充填装置56がガス分配機構170を介していくつかのノズル54に窒素ガス24を供給するタイミングについては後述する。
【0057】
ここからは、回転体64の回転によって回転中心線62を中心として周回移動するシュート46、プッシャ52、ノズル54それぞれの昇降のタイミングと、食品充填装置50による食品24の充填のタイミングと、開口シール装置48a、48bの開口20の仮シールのタイミングと、ガス充填装置56による窒素ガス24の充填のタイミングについて説明する。
【0058】
図8は、回転体64の回転中心線62と直交する方向から見た袋部22(フィルムF)、シュート46、プッシャ52、ノズル54を示し、回転体64の回転によって移動されることにより変化するシュート46、プッシャ52、ノズル54の鉛直方向に関する位置(高度)を示している。
【0059】
図8において、Xは食品充填装置50によって食品24が充填される基台68を基準とする位置、Yは開口シール装置48aによって仮シールされる基台68を基準とする位置、Zは開口シール装置48bによって仮シールされる基台68を基準とする位置を示している(図5参照。)。また、図において、鉛直方向に関して所定の高度(以下、「待機高度」と称する。)で待機しているシュート46’、プッシャ52’、ノズル54’が示されている。
【0060】
まず、フィルムFは、位置Xに搬送されるまでに、フィルムガイド42と区画シール装置44により袋部22が形成される(図1参照。)。
【0061】
シュート46は、回転体64の回転によって位置Xに到着したときにその挿入部90が袋部22内に挿入されているように、フィルムガイド42によって2つ折りにされている途中のフィルムFに挟持されるためにシュート駆動シャフト94を中心として旋回されつつ待機高度から降下される。図7に旋回中のシュート46’’が示されている。
【0062】
シュート46は、位置Xに到着したとき、その挿入部90が袋部22に挿入された状態であり、位置Xで食品充填装置50から供給された食品24を袋部22に案内する。
【0063】
シュート46は、食品24の袋部22への案内が完了して位置Xから回転体64の回転により移動されると、位置Yに到達するまでにその挿入部90が袋部22から離脱され、待機高度に向かって上昇される。言い換えると、シュート46は、開口シール装置48aが袋部22の開口20の一部を仮シールして開口20’を形成できるように待避する。以後、シュート46は、回転体64の回転によって位置X直前の位置(回転体64の回転方向に関して位置Xの上流側の近傍位置)に再び移動されるまでは待機高度で待機する。
【0064】
プッシャ52は、回転体64の回転により位置Xから位置Yに移動される間において昇降され、それ以外の位置では待機高度で待機し続ける。
【0065】
具体的には、プッシャ52は、回転体64の回転により位置Xを通過すると(食品充填装置50のシュート46を介する袋部22への食品24の充填が完了すると)、待機高度から降下されてシュート46の挿入部90に残る食品24を袋部22に押し込みながら該袋部22内に挿入され、そこでシュート46の袋部22からの離脱が完了するまで待機する。これは、シュート46の挿入部90の袋部22からの離脱によって袋部22外に出ようとする食品24を該袋部22内に維持するためである。シュート46の袋部22からの離脱が完了すると、プッシャ52は、回転体64の回転により位置Yに到着するまでに上昇されて袋部22から離脱される。
【0066】
ノズル54は、プッシャ52の袋部22への挿入と略同時に、待機高度から降下されてその先端が袋部22に挿入される。ノズル54の先端は袋部22の底部に配置される。先端が袋部22の底部に配置されたノズル54は、回転体64の回転により位置Z直前に到達するまでその先端が袋部22内に存在するように維持される(袋部22内におけるノズル54の先端の維持は範囲180内にて行われる。)。
【0067】
位置Yに到着した食品24が収容されているとともにノズル54が挿入されている状態の袋部22は、その開口20の一部が開口シール装置48aによって仮シールされる(開口20’が形成される。)。具体的には、ノズル54の周辺を除く開口20の部分が仮シールされる。このとき、ノズル54は、図5に示す開口シール装置48aの2つのローラ120Lと120Rそれぞれの凹部122の間に位置し、開口20’に挿入された状態になる。
【0068】
位置Xを通過したノズル54に、ガス充填装置56は、ガス分配機構170を介して窒素ガス26を供給し始める。ガス充填装置56によるノズル54への窒素ガス26の供給は、ノズル54の先端が袋部22内に存在する間継続される(厳密には、確実に袋部22内の酸素を窒素ガス26で追い出すために、ガス供給は、ノズル54の先端が袋部22から離脱したあともしばらく続けられる、すなわち範囲182内にて行われ続ける)。
【0069】
ガス充填装置56によるノズル54を介する袋部22への窒素ガス26の充填は、ノズル54の先端が袋部22から離脱するまでの間に袋部22内が窒素ガス26で充満されるように、言い換えると、窒素ガス26により袋部22内の酸素が完全に追い出されるように行われる。
【0070】
袋部22が窒素ガス26で充満されると、ノズル54は、回転体64の回転によって位置Zに到着する前に、その先端が袋部22から離脱するように上昇される。
【0071】
窒素ガス26が充満されてノズル54が離脱した袋部22は、回転体64の回転により位置Zに移動され、そこで開口20’を開口シール装置48bによって仮シールされる。これにより、袋部22の開口20が完全に仮シールされて一時的に密閉したことになり、食品24と窒素ガス26が袋部22に一時的に密閉収容される。その後、開口シール装置48cにより、一時的に密閉された開口20が本シールされて長期的に密閉される。
【0072】
以上、本実施形態の充填包装装置10の構成および動作について説明した。次に本実施形態の充填包装装置10によって得られる効果を説明する。
【0073】
本実施形態の充填包装装置10は、まず、大気環境下で袋部22に窒素ガス26を充填するため、窒素ガス26が充満した閉鎖空間で食品を袋に充填して該袋をシールする場合に比べて使用する窒素ガス26の量が小さい。
【0074】
また、充填包装装置10は、搬送されている袋部22に該袋部22に挿入された状態で該袋部22とともに移動するノズル54を介して窒素ガス26を充填するように構成されているため、時間をかけて窒素ガス26を袋部22からほとんど溢れ出させることなく充填することができる。
【0075】
具体的に説明すると、大気環境下において移動中の袋部に窒素ガスを充填する場合、上述の食品充填装置50が所定の位置を通過する袋部22に食品24を充填するように、窒素ガスを所定の充填位置を通過する袋部に充填することが考えられる。しかしながら、この場合、袋部内の酸素を確実に追い出すために該袋部内を窒素ガスで充満するには、袋部の搬送速度が小さい速度に制限される。この対処として、充填速度を上げて充填位置を通過する袋部に勢いよく大量の窒素ガスを充填する(単位時間あたりの窒素ガス充填量を大きくする)ことが考えられるが、この場合、袋部内の酸素を確実に追い出すために多くの窒素ガスが袋部から溢れ出すことになる。また、本実施形態のように窒素ガス充填前に袋部内に食品が充填されている場合、勢いよく充填された大量の窒素ガスによって食品が袋部の外に飛び出す可能性がある。したがって、本実施形態のように、搬送されている袋部22に該袋部22に挿入された状態で該袋部22とともに移動するノズル54を介して窒素ガス26を充填することにより、袋部22の搬送速度を小さく制限することなく、また多くの窒素ガス26が袋部22から溢れ出ないように、さらに窒素ガス26の充填時に食品24を該袋部22の外に飛び出させないように時間をかけて窒素ガスを充填することができる。
【0076】
さらに、充填包装装置10は、食品24を袋部22に充填するときは大きい開口20を介し、窒素ガス26を袋部22に充填するときは小さい開口20’を介するように構成されている。大きい開口20で食品24を短時間で袋部22に充填でき、小さい開口20’で袋部22内の食品24を袋部22外部に飛び出させることなく窒素ガス26を充填することができる。
【0077】
さらにまた、充填包装装置10は、袋部22の開口20を2度シールする構成である。まず、2つの開口シール装置48aと48bによって開口20を仮シールして一時的に密閉し、続いて開口シール装置48cによって仮シールされた開口20を本シールして長期的に密閉する。袋部22の開口20を2度シールする利点は、袋部22の搬送速度を大きくすることが可能になることである。袋部の搬送速度が大きくなると、1つの開口シール装置のシール作業時間は短くなりシールは不十分になるが、それを複数の開口シール装置を用いることによって補うことにより、最終的には袋部の開口を長期的に確実にシールすることができる。なお、袋部を形成するフィルムが熱融着性が高いものである場合や開口シール装置のローラが高熱である場合など、すなわち袋部の搬送速度が大きくても1度のシールで袋部の開口を完全シールすることができる場合、複数の開口シール装置は、ノズルが挿入された状態の袋部の開口の一部を本シールして長期的に密閉する開口シール装置と、ノズルが挿入されていた開口の部分を本シールして長期的に密閉する開口シール装置で構成されてもよい。
【0078】
まとめると、本実施形態の充填包装装置によれば、大気環境下で窒素ガスの袋部への充填を行えるとともに、窒素ガスを時間をかけて袋部に充填できるため、窒素ガスを袋からほとんど溢れ出させることなく該袋部に充填できる。その結果、充填において使用する窒素ガスの総量が小さくなり、窒素ガスを密閉収容した袋製品の製造コストが低く抑えられる。
【0079】
(第2の実施形態)
本実施形態の充填包装装置は、第1の実施形態の充填包装装置が袋部に固体(食品)と気体(窒素ガス)を充填するのに対し、袋部に液体を充填するように構成されている。
【0080】
本実施形態の充填包装装置は、概ね、第1の実施形態の充填包装装置が気体の代わりに液体を袋部に充填できるように改良された構成である。したがって、液体が使用できるように改良されている充填包装装置の部分について説明する。
【0081】
図9は、本実施形態の充填包装装置のロータリーユニットを示している。
【0082】
符号560で示すロータリーユニットにおいて、複数の区画シール装置544は、第1の実施形態の充填包装装置10の区画シール装置44と同一である。
【0083】
また、複数のシュート546は、第1の実施形態のシュート46の固体を袋部に案内するためのガイド部92を取り除いた形状で、袋部の成形と後述するノズルを該袋部に案内する役割をする。ガイド部92がない以外、シュート546は第1の実施形態のシュート46と同一である。
【0084】
複数のノズル554は、袋部に案内する流体が気体から液体に代わるだけで第1の実施形態のノズル54と略同一である。しかしながら、ノズル554は、液体の充填に適した材料で作製されている。ノズル554は、第1の実施形態のノズル54がノズルホルダ152に支持されて昇降するように、ノズルホルダ652に支持されて昇降する。
【0085】
各ノズル554は、袋部に充填される液体が満たされたタンク700に可撓管672を介して接続されている。タンク700は、ロータリーユニット560の回転体564に支持されている。可撓管672とタンク700の間には、タンク700からノズル554に液体を供給する、または液体の供給を遮断するバルブ702が介在されている。
【0086】
各バルブ702は、ロータリーユニット560の上方から見たタンク700とバルブ702を示す図10に示すように、レバーハンドル704を有し、レバーハンドル704が回転されることによりタンク700からノズル554に液体を供給する、または液体の供給を遮断するように構成されている。
【0087】
バルブ702のレバーハンドル704の回転は、レバーハンドル704の先端に付けられたカムフォロア706を介して行われる。カムフォロア706は、ロータリーユニット560の回転体564の回転中心線562と直交する回転中心線を有する。また、カムフォロア706は、回転体564が回転すると、基台568の一部を構成する円筒形状のカム部材708の内周面に形成されたカム溝710に従動するように構成されている。カムフォロア706がカム溝710に従動することにより、バルブ702のレバーハンドル704が回転し、その結果、タンク700からノズル554に液体が供給される、または液体の供給が遮断される。
【0088】
なお、タンク700からバルブ702を介するノズル554への液体の供給のタイミングは、第1の実施形態の窒素ガス供給のタイミングと略同一で、ノズル554の先端が袋部内に存在するときだけ行われる(図8参照。)。
【0089】
本実施形態によれば、液体を袋部に充填することができる。
【0090】
(第3の実施形態)
本実施形態の充填包装装置による充填プロセスについて図11、12を参照して説明する。図11は、位置Xから位置Yまでの、フィルムF、シュート46、プッシャ52、ノズル54の動きを示す図、図12はそれぞれシュート46、プッシャ52、ノズル54の下端の動線を表した図である。
【0091】
図11において、フィルムFは、位置Xに搬送されるまでに、フィルムガイド42と区画シール装置44により袋部22が形成される(図1参照。)。
【0092】
シュート46は、位置Xに到着すると、フィルムガイド42によって2つ折りにされている途中のフィルムFに挟持されるように、シュート駆動シャフト94を中心として旋回しながら待機高度から充填高度まで降下する。
【0093】
次に、シュート46は、位置Xにおいて、食品充填装置50から供給された食品24を袋部22に案内する。
【0094】
シュート46は、位置Xを通過した後もしばらく充填位置に留まる。シュート46が充填位置にある間、シュート46の中でプッシャ52が昇降を繰り返し、袋部22内に充填された食品24を2回押圧して袋部22内に押し込む。プッシャ52による食品24の押し込みと並行して、待機高度から充填高度に下降しているノズル54を通じて袋部22内に窒素ガス26が供給される。
【0095】
このように、本実施形態の充填包装装置では、袋部22内に充填された食品24をプッシャ52が複数回押圧して袋部22内に押し込む。このようなプッシャ52の押し込み動作は、食品24が比較的柔軟な細長い材料、例えばかつおぶしの場合に有効である。すなわち、かつおぶしのような材料の場合、袋部22に落下充填されたかつおぶしの集合体は比較的低密度で且つ弾力性を持っていることから、プッシャ52による一回の押し込み動作だけでは十分に袋部22の底部に止めることができず、押し込み後にかつおぶしの集合体がその弾性に基づいて浮き上がり、一部が開口22のシールに噛み込まれてシール性を低下させるおそれがある。そこで、本実施形態では、プッシャ52で食品24を2回又はそれ以上の回数押し込み、それにより食品24が開口22のシールに噛み込まれることを防止する。
【0096】
以上、3つの実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0097】
上述の実施形態においてノズルは窒素ガスや液体を袋部に充填したが、本発明はこれに限らず、ノズルが袋部に充填するものは流体(広義には、流動性を有する物体も含む。)であればよい。また、第1の実施形態においては、流体以外に固体(食品)を袋部に充填しているがこれに限定されない。例えば、充填包装装置は薬剤と該薬剤の酸化を防止する不活性ガスを袋部に密閉収容するようにしてもよい。
【0098】
また、上述の実施形態の充填包装装置はフィルムから袋(袋部)を作製する機構を有するが、本発明の充填包装装置は、予め作製された袋に流体を充填するように構成することも可能である。この場合、充填包装装置は、区画シール装置の代わりとして、袋の開口を上方に向けた状態で搬送する袋搬送機構を有する必要がある。
【0099】
さらに、上述の実施形態において流体の袋部への充填は袋部の開口の一部がシールされた後に行われるが、例えば充填時に袋部内に固体が存在しない場合や流体が液体である場合など場合によっては、充填前に袋部の開口の一部をシールすることを省略することができる。しかしながら、例えば外部からの異物混入や流体の袋部の外への流出などを考慮すると、充填前に袋部の開口の一部をシールするのが好ましい。
【0100】
さらにまた、第1の実施形態において、固体(食品)は、ノズルが袋部に挿入される前に該袋部に充填されるが、ノズルが袋部に挿入された後に固体を充填することも可能である。例えば、シュートが挿入された状態の袋部にノズルが挿入され、シュートとノズルが挿入された袋部に固体を充填し、その後プッシャが固体を袋部内に押し込むようにしてもよい。
【0101】
加えて、第1の実施形態において固体はプッシャによって袋部内に押し込まれるが、固体が高い流動性を備えて袋部に流入する場合、プッシャを省略してもよい。
【0102】
加えてまた、上述の実施形態において、ノズルを介する袋部への流体の充填は、袋部の区画シール部が形成された後に開始されるが、ノズルの先端が袋部の底部に配置された時点から流体の充填をいつでも開始してもよい。
【0103】
そして、上述の実施形態では、袋部に第1の充填物(例えば食品)を充填した後、第2の充填物を充填するためのノズルを袋部内に挿入したが、順序を逆にして、第2の充填物を充填するノズルを袋部内に挿入した後、袋部に第1の充填物を充填してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る充填包装装置の外観図である。
【図2】図1に示す充填包装装置が行う袋製品の製造の工程を示す図である。
【図3】図1に示す充填包装装置のロータリーユニットの部分断面図である。
【図4】図1に示す充填包装装置のロータリーユニットの別の部分断面図である。
【図5】ロータリーユニットの上方から見た袋部の軌道を示す図である。
【図6】シュート、プッシャ、ノズルの先端の斜視図である。
【図7】ロータリーユニットの上方から見たシュートの軌道を示す図である。
【図8】ロータリーユニットの回転体の回転中心線と直交する方向から見た、袋部、シュート、プッシャ、ノズルそれぞれの動作を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る充填包装装置のロータリーユニットを示す図である。
【図10】図9に示すロータリーユニットの上方から見たタンクとバルブを示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る充填包装装置における袋部、シュート、プッシャ、ノズルの動作を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る充填包装装置におけるシュート、プッシャ、ノズルの下端の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0105】
20:開口
22:袋(袋部)
48a〜48c:シール機構(開口シール装置)
54:ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋に流体を充填し、流体が充填された袋の開口をシールする充填包装装置であって、
袋を所定の軌道に従って開口が上方に向いた状態で搬送する袋搬送機構と、
袋搬送機構によって上記所定の軌道に従って搬送されている袋に挿入され、挿入された状態で袋とともに移動し、後に袋から離脱されるノズルと、
袋に挿入されているノズルを介して該袋に流体を充填する流体充填機構と、
流体が充填された袋の開口をシールするシール機構を有することを特徴とする充填包装装置。
【請求項2】
シール機構は2つあって、
ノズルが挿入された状態の袋の開口をノズル周辺を除いて部分的にシールする第1のシール機構と、
ノズルが離脱した状態の袋の第1のシール機構がシールせずに残した開口の部分をシールする第2のシール機構とを有することを特徴とする請求項1に記載の充填包装装置。
【請求項3】
第1および第2のシール機構は、2つのローラの外周面で袋の開口を挟持しつつ該開口をシールするように構成されており、
第1のシール機構のローラの外周面には、袋の開口の挟持時にノズルを挟持しないように凹部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の充填包装装置。
【請求項4】
第1および第2のシール機構は、袋の開口を仮シールするものであって、
第1および第2のシール機構によって仮シールされた袋の開口を本シールする第3のシール機構を有することを特徴とする請求項2または3のいずれか一に記載の充填包装装置。
【請求項5】
流体がノズルを介して袋内に充填される前に袋に固体を充填する固体充填機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の充填包装装置。
【請求項6】
フィルムから袋を作製する袋作製機構を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の充填包装装置。
【請求項7】
袋部に充填物を充填した後、上記袋部の開口部をシールする充填包装方法において、
上記開口部の内側に第1の充填ノズルを位置させる第1の工程と、
上記第1の充填ノズルを介して上記袋部内に第1の充填物を充填する第2の工程と、
上記第1の充填ノズルの内側に第2の充填ノズルを位置させる第3の工程と、
上記第2の充填ノズルを介して上記袋部内に第2の充填物を充填する第4の工程と、
上記第1と第2の充填ノズルを上記開口部から退避させる第5の工程と、
上記開口部を封止する第6の工程を備えたことを特徴とする充填包装方法。
【請求項8】
上記第5の工程は、上記第1の充填ノズルを上記開口部から退避させる第1の退避工程と、上記第1の充填ノズルが上記開口部から退避した後に上記第2の充填ノズルを上記開口部から退避させる第2の退避工程を含み、
上記第6の工程は、上記第2の退避工程によって上記開口部から上記第1の充填ノズルが退避した後、上記開口部に上記第2の充填ノズルが位置している状態で、上記開口部を部分的に封止する第1の封止工程と、上記第2の退避工程の後、上記第1の封止工程で封止されていない開口部の未封止部分を封止する第2の封止工程を含むことを特徴とする請求項7の充填包装方法。
【請求項9】
上記第6の工程は、上記第1と第2の封止工程で封止された上記開口部を更に封止する第3の封止工程を含むことを特徴とする請求項8の充填包装方法。
【請求項10】
上記第2の工程で上記袋部内に充填物を充填した後、上記第3の工程によって上記第2の充填ノズルを上記第1の充填ノズルの内側に位置させることを特徴とする請求項7〜9のいずれかの充填包装方法。
【請求項11】
上記第3の工程によって上記第2の充填ノズルを上記第1の充填ノズルの内側に位置させた後、上記第2の工程で上記袋部内に充填物を充填することを特徴とする請求項7〜9のいずれかの充填包装方法。
【請求項12】
上記第2の工程の後、上記第1の充填ノズルを通じて上記袋部内に押圧部材を挿入して上記充填物を押圧する押圧工程を備えたことを特徴とする請求項7〜11の充填包装方法。
【請求項13】
上記押圧工程は、上記押圧部材を昇降して上記充填物を複数回押圧することを特徴とする請求項12の充填包装方法。
【請求項14】
帯状シートを折り合わせ、次に、上記帯状シートの長手方向に一定の間隔をあけて上記折り合わされた帯状シートの幅方向に伸びる幅方向シール部を形成することにより、隣接する幅方向シール部の間に上記袋部を形成する工程を備えたことを特徴とする請求項7〜13のいずれかの充填包装方法。
【請求項15】
開口部を有する袋部に充填物を充填した後、上記開口部を封止する充填包装装置であって、
上記開口部を通じて上記袋部に挿入された位置と上記袋部から退避した位置との間を移動可能な第1の充填ノズルと、
上記第1の充填ノズルを介して上記袋部に挿入された位置と上記袋部から退避した位置との間を移動可能な第2の充填ノズルと、
上記第1の充填ノズルが上記袋部に挿入された位置にあるとき、上記第1の充填ノズルを介して上記袋部に第1の充填物を供給する第1の供給手段と、
上記第2の充填ノズルが上記袋部に挿入された位置にあるとき、上記第2の充填ノズルを介して上記袋部に第2の充填物を供給する第2の供給手段と、
上記第1の充填ノズルが上記袋部から退避した位置にあり且つ上記第2の充填ノズルが上記袋部に挿入された位置にあるとき、上記袋部の開口部を部分的に封止する第1の封止手段と、
上記第1の充填ノズルと上記第2の充填ノズルが共に上記袋部から退避した位置にあるとき、上記第1の封止手段で部分的に封止された後に残っている未封止部分を封止する第2の封止手段を備えていることを特徴とする充填包装装置。
【請求項16】
上記袋部に充填された第1の充填物を上記袋部の底部に向けて押圧する押圧手段を備えていることを特徴とする請求項15の充填包装装置。
【請求項17】
上記押圧手段を、上記押圧手段が上記第1の充填物を2回又はそれ以上押圧するように動作させる手段を備えていることを特徴とする請求項16の充填包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−223673(P2007−223673A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16542(P2007−16542)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(390031749)株式会社トパック (20)
【Fターム(参考)】