説明

光カプラ、光走査装置、分光装置、

【課題】安価で容易に作製可能な光カプラを実現すること。
【解決手段】光カプラ1は、石英基板10と、石英基板10の両面にそれぞれ形成されたAgからなる金属膜11、12と、を有している。金属膜11は、石英基板10の一方の表面10aに形成され、金属膜12は、石英基板10の他方の表面10bの全面に形成されている。金属膜11には、その金属膜11を貫通する孔13が複数形成されている。孔13の石英基板10の主面に平行な面での断面は円形である。孔13の直径は、150nmである。孔13は正方格子状に配列されており、その孔13の間隔は500nmである。この光カプラ1では、石英基板10内の入射光14の一部を、入射光14の伝搬方向に対して111°の方向に分岐光15として放射させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を分岐させる光カプラに関するものであり、特に表面プラズモン共鳴を利用したものに関する。また、本発明はその光カプラを利用した光走査装置および分光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を分岐させる光カプラとして、従来より特許文献1、2などのようなグレーティング型の光カプラが知られている。たとえば特許文献1の光カプラは、光導波路の表面にグレーティング(回折格子)を設けた構造である。
【0003】
また、機械的方法によらずに光の放射方向を変化させる光走査装置として、特許文献3〜5がある。特許文献3、4の光走査装置は、電気光学結晶からなる光導波路と回折格子を用いるものであり、光導波路に電圧を印加して屈折率を変化させ、回折格子の作用を変化させることによって、光の放射方向を変化させる装置である。また、特許文献5の光走査装置は、液晶に電圧を印加することで生じる平行縞を回折格子として利用し、平行縞の間隔を電圧によって変化させることで、光の放射方向を変化させる装置である。
【0004】
また、光を波長ごとに分解する分光装置として、特許文献6、7などのような回折格子を用いたものが知られている。回折格子から放射される光の放射角度は波長依存性を有しており、これにより分光が可能である。しかし、回折格子により分光された光の放射角度の波長依存性は小さいため、特許文献6では多層構造体を用いることにより、特許文献7ではフォトニック結晶を用いることにより、光の放射角度の波長依存性を大きくし、分解能を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−281831
【特許文献2】特開2009−80449
【特許文献3】特開平7−28101
【特許文献4】特開平8−76153
【特許文献5】特開平7−261204
【特許文献6】特開2002−18026
【特許文献7】特開2004−125603
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、グレーティング型の光カプラは作製が難しく、製造コストが高くなってしまうのが問題であった。
【0007】
また、特許文献3〜5のような光走査装置は、光の放射方向を大きく変えるためには非常に大きな電圧を印加する必要がある。また、大きな電気光学結晶を成長させるのは困難であり、そのため大きなビーム径の光の放射角度を変化させることは難しかった。
【0008】
また、特許文献6、7のような分光装置では、回折格子が大きく、装置を小型化することが難しかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、安価で容易に製造可能な光カプラを実現することである。また、他の目的は、大きなビーム径の光の放射角度を変化させることができる光走査装置を実現することである。また、他の目的は、小型の分光装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、光の分波・合波を行う光カプラにおいて、内部に光を伝搬させる誘電体からなる光導波路と、光導波路上であって、膜厚方向が光導波路内部での光の伝搬方向に対して垂直となるよう配置された金属からなる金属膜と、を有し、金属膜には、2次元的に周期的に配列された複数の貫通孔が設けられ、貫通孔の直径および間隔は、光の波長以下であり、金属は、導波させる光の波長において表面プラズモン共鳴を示す金属である、ことを特徴とする光カプラである。
【0011】
光導波路の形状は、平らな板状の誘電体基板である必要はなく、円形の棒状、ファイバー状などであってもよい。また、誘電体は、導波させる光に対して透光性を有した材料でよく、SiO2 、Al2 3 、Si3 4 、ZnO、TiO2 、ZrO2 、Si、GaAsなどの無機材料の他、アクリル樹脂、などの透光性の樹脂材料を用いることができる。さらには、LiNbO3 、LiTaO3 、KTP、KTNなどの電気光学結晶を用いてもよい。光導波路の材料として電気光学結晶を用いれば、その電気光学結晶への印加電圧を変化させて屈折率を変化させることで光の分岐方向を変化させることができ、光走査装置を実現することができる。さらには、光導波路は筐体に保持された透光性の液体であってもよい。この場合、屈折率の異なる液体に入れ替えることや、液体を液晶とし、その液晶の配向性を磁場や電場によって変えることによって光の分岐方向を変更することも可能である。
【0012】
金属膜の膜厚方向と、光導波路内部での光の伝搬方向との成す角度は、厳密に垂直である必要はなく、本発明の作用・効果を得られる程度に垂直近い角度であればよい。たとえば70〜110°の範囲であってもよい。
【0013】
光導波路と金属膜とは直接接することが光損失の低減などの理由から望ましいが、本発明の作用・効果が得られる範囲で、透光性材料などを介して離間していてもよい。
【0014】
金属膜の材料は、用いる光の波長に対して表面プラズモン共鳴を生じさせる材料であれば任意であり、たとえば、Al、Ag、Au、Cu、などを用いることができる。
【0015】
貫通孔の直径および間隔は、金属膜表面において表面プラズモン共鳴を生じさせるために光導波路内部に伝搬させる光の波長以下であればよい。この範囲において、貫通孔の直径、間隔、形状や、複数の貫通孔の2次元的な配列の仕方、貫通孔の長さ(金属膜の厚さ)などを、表面プラズモン共鳴の共鳴周波数や、光の分岐方向に応じて設計する。貫通孔の形状としては、たとえば、円柱、角柱、円錐台、角錐台、半球状、などである。複数の貫通孔の配列は、たとえば正方格子状や三角格子状である。金属膜の厚さは、光導波路内部に伝搬させる光の波長の0.01〜1.0倍の範囲が望ましい。この範囲であれば、光カプラの分岐損失を十分に小さくすることができる。金属膜が左手系マテリアルとして動作するように設計することも可能である。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、複数の貫通孔は、正方格子状に配列されていることを特徴とする光カプラである。
【0017】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、金属膜は、Al、Ag、Au、Cuからなることを特徴とする光カプラである。
【0018】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれかの光カプラと、電源装置と、を有し、光カプラの光導波路は、電気光学結晶からなり、電源装置により電気光学結晶に電圧を印加し、その電圧を制御することによって、分岐光の放射角度を制御することを特徴とする光走査装置である。
【0019】
第5の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれかの光カプラと、光カプラの分岐光放射側に所定距離離間して位置する受光素子と、を有することを特徴とする分光装置である。
【発明の効果】
【0020】
第1の発明によると、光導波路内に導波した光の一部を、貫通孔が形成された金属膜の光導波路側表面において表面プラズモン共鳴によって吸収し、貫通孔の側面にプラズモンを伝搬させ、孔の誘電体側とは反対側の開口から再度光を放射させることによって、光を分岐させることができる。また、逆の動作によって光を合波させることもできる。この第1の発明の光カプラは、光導波路自体に加工等を施す必要がなく、構成が非常に簡素であるため、安価で容易に作製することができる。また、第1の発明の光カプラによると、ビーム径の大きい光も容易に分岐させることができる。
【0021】
また、第2の発明のように、複数の貫通孔は正方格子状に配列することができ、本発明の光カプラの作製をより容易に行うことができる。
【0022】
また、第3の発明のように、金属膜の材料として、Al、Ag、Au、Cuを用いることで、効率的に表面プラズモン共鳴による光の吸収を行うことができる。
【0023】
また、第4の発明によれば、大きなビーム径の光の放射角度を容易に変化可能な光走査装置を実現することができる。
【0024】
また、第5の発明によれば、従来の回折格子型の分光装置に比べて小型な分光装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1の光カプラ1の構成について示した図。
【図2】孔13の配列パターンについて示した図。
【図3】実施例2の光走査装置2の構成について示した図。
【図4】実施例3の分光装置3の構成について示した図。
【図5】波長と分岐光の放射角度との関係を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0027】
図1は、実施例1の光カプラ1の構成について示した図である。光カプラ1は、平板な石英基板10(本発明の光導波路に相当)と、石英基板10の両面にそれぞれ形成されたAgからなる金属膜11、12と、を有している。以下、図1に示すように、x軸とy軸が、石英基板10の主面に平行な面を成すようにとり、z軸を主面に垂直な方向にとる。金属膜11は、石英基板10の一方の表面10aに形成され、金属膜12は、石英基板10の他方の表面10bの全面に形成されている。金属膜11、12の厚さはそれぞれ50nm、100nmである。一方の金属膜11には、その金属膜11を貫通する孔13が複数形成されている。孔13の石英基板10の主面に平行な面での断面は円形である。孔13の直径は、150nmである。図2は、孔13の配列パターンを示した図である。孔13は、図2に示すように、1mm角の領域に、x軸方向、およびこれに直交するy軸方向に周期的な正方格子状に配列されており、その孔13の間隔は500nmである。
【0028】
なお、金属板12は、反射により石英基板10内部に効率的に光を閉じ込めるために設けたものであり、必ずしも必要とするものではない。
【0029】
実施例1の光カプラ1は、以下のようにして作製した。まず、石英基板10の一方の表面全面に、蒸着によってAgからなる金属膜12を形成した。次に、石英基板10上にレジストを塗布し、電子線描画装置により電子線を用いて感光させることで、正方格子状に円形のドットが配列されたパターンのレジストを形成した。そして、このレジスト上および石英基板10上に、蒸着によってAgからなる金属膜を形成し、リフトオフによって金属膜の不要部分を除去することによって、正方格子状に複数の孔13が形成された金属膜11を形成した。このように、実施例1の光カプラは、光導波路である石英基板10自体には加工を施さず、石英基板10表面への金属膜11の蒸着とリフトオフによって安価で簡易に作製することができる。なお、金属膜11の孔13は、ドライエッチングやウェットエッチングなどによって形成してもよい。
【0030】
次に、実施例1の光カプラの動作について説明する。まず、石英基板10の側面からHe−Heレーザー光(波長633nm)を入射させ、x軸方向(すなわち、石英基板10の主面に平行な方向であって、孔13の周期的な配列方向)に伝搬させる。
【0031】
石英基板10内部を伝搬する入射光14の一部は、金属膜11の石英基板10側表面10aであって、孔13が配列された領域10cにおいて、表面プラズモン共鳴により入射光14と金属膜11表面の表面プラズモンとを結合させて金属膜11に吸収させる。ここで、直径が光の波長(633nm)よりも小さい150nmである孔13を、光の波長よりも小さい500nmの間隔で正方格子状に配列することで、表面プラズモン共鳴の共鳴波長を光の波長付近とし、効率的に表面プラズモンと入射光14とが結合するようにしている。
【0032】
表面プラズモン共鳴によって金属膜11の石英基板10側表面に生じた入射光14と表面プラズモンとの結合である表面プラズモンポラリトンは、孔13側面を石英基板10とは反対側の方向(図1、2においてz軸正方向)へと伝搬する。そして、孔13の石英基板10側とは反対側の開口において、表面プラズモンと分離して再び光(分岐光15)が放射される。このとき、分岐光15の放射角度は、zx平面内であって入射光14の伝搬方向(x軸方向)に対して111°の方向であった。このように、90°を越える方向に分岐光15が放射されるのは、正方格子状に配列された孔13が設けられた金属膜11が左手系マテリアルとして動作しているためと考えられる。
【0033】
また、上記とは逆の動作によって光を合波することができる。すなわち、金属膜11に対して111°を成す方向からHe−Heレーザー光を金属膜11の石英基板10側とは反対側表面に照射することで、石英基板10の内部に金属膜11に平行な方向へと伝搬する光を入射させることができ、光を合波させることができる。
【0034】
以上のように、実施例1の光カプラ1は非常に簡素な構成でありながら、光を分岐・合波させる機能を実現することができる。また、構成が簡素であるため、安価で容易に製造することができる。また、光導波路である石英基板10自体には加工を施さないため、ビーム径の大きい光を容易に分岐させることができる。
【0035】
なお、実施例1の光カプラ1では、石英基板10を用いているが、その内部に光を導波させることができ、導波させる光に対して透光性を有した誘電体からなるものであれば、材料および形状などは任意である。材料は、SiO2 以外にたとえばAl2 3 、ZnO、TiO2 、ZrO2 、LiNbO3 、Si、GaAsなどの無機光学材料の他、アクリル樹脂、などの透光性の樹脂材料を用いることができる。また、形状は平板に限るものではなく、円筒状、ファイバー状などであってもよい。円筒状やファイバー状とする場合には、その円形の側面に沿って孔が設けられた金属膜を形成すればよい。
【0036】
また、実施例1の光カプラ1では、孔13が形成された金属膜11としてAgを用いたが、導波させる光の波長に対して表面プラズモン共鳴を起こす材料であれば任意の材料を用いることができる。たとえば、Agの他に、Au、Al、Cuなどを用いることができる。
【0037】
また、孔13の直径、間隔、形状、長さ(金属膜11の厚さ)、配列は、実施例1の光カプラに示したものに限るものではなく、孔13の直径および間隔が石英基板10内部に導波させる光の波長以下であり、かつ孔13が2次元的に周期的な配列であれば任意である。この範囲において孔13の直径、間隔、形状、配列の設計により、分岐光15の放射角度や、分岐損失などを任意に設計することができる。孔13の形状は、円柱以外にたとえば、角柱、円錐台、角錐台、半球状、などである。孔13の配列は、正方格子状以外にたとえば、三角格子状などである。
【0038】
また、実施例1の光カプラ1では、石英基板10と金属膜11とが直接接しているが、透光性材料などを介して離間していてもよい。ただし、直接接している方が構成を簡素化でき、光損失も低減することができるため望ましい。
【実施例2】
【0039】
実施例2の光走査装置2は、図3に示すように、実施例1の光カプラ1における石英基板10をLiNbO3 からなる電気光学結晶基板20に替えた光カプラ22と、電気光学結晶基板20に電圧を印加する電源装置21と、によって構成されている。
【0040】
電気光学結晶基板20の材料には、LiNbO3 の他、LiTaO3 、KTP、KTNなどの電気光学結晶を用いることができる。
【0041】
光カプラ22は、実施例1の光カプラ1の石英基板10を電気光学結晶基板20に替えた以外は光カプラ1の構成と同一である。光カプラ22は、実施例1の光カプラ1と同様の動作によって、光を分岐させる。すなわち、電気光学結晶基板20内部に導波させた光の一部を、表面プラズモン共鳴によって金属膜11の電気光学結晶基板20側表面で吸収させ、その反対側の金属膜11表面から再度光を放射させることで、光を分岐させる。
【0042】
電源装置21は、電気光学結晶基板20に印加する電圧を制御することにより、電気光学結晶基板20の屈折率を制御する。屈折率の変化により、電気光学結晶基板20内部を伝搬する光の波数が変化するため、波数と孔13の直径や間隔との関係も変化する。その結果、光カプラ2によって分岐される分岐光の放射角度にも変化を生じる。
【0043】
電源装置21によって電気光学結晶基板20に電圧を印加しない状態では、光カプラ22の分岐光の放射角度は、電気光学結晶基板20内部での光の伝搬方向(電気光学結晶基板20の主面に平行な方向)に対して92度であった。次に、電源装置21によって電気光学結晶基板20に電圧を印加し、電気光学結晶基板20の屈折率を1%変化させたところ、分岐光の放射角度は0.2°変化した。
【0044】
このように、実施例2の光走査装置2では、電源装置21による光カプラ22の電気光学結晶基板20への電圧の印加によって、電気光学結晶基板20の屈折率を制御することにより、光カプラ22の分岐光の放射角度を制御を行うことができる。また、光カプラ22は、光導波路である電気光学結晶基板20自体には加工を施していない。そのため、実施例2の光走査装置は、ビーム径の大きい光を容易に分岐させることができる。
【0045】
なお、実施例2では、光導波路として電気光学結晶を用いているが、光導波路の屈折率を変化させる構造であれば他の構造であってもよい。たとえば、光導波路として透光性の液体を保持した筐体を用い、屈折率の違う液体に入れ替えることや、液体を液晶としてその液晶の配向性を磁場や電場によって変えることによって、光カプラの分岐光の放射角度を変更することも可能である。
【実施例3】
【0046】
実施例3の分光装置3は、図4に示すように、実施例1の光カプラ1と、光カプラによる分岐光の放射側に、スペーサ6によって光カプラ1から空気を介して5mm離間して配置されたCCD5と、によって構成されている。CCD5に替えてCMOSなど他の受光素子を用いてもよい。
【0047】
実施例1の光カプラ1では、石英基板10に入射させる光の波長によって、分岐される光の放射角度が異なるため、実施例3の分光装置3のように光カプラ1の分岐光の放射側にCCD5を配置する構成とすることで分光計則が可能である。
【0048】
図5は、光カプラ1に導波させる光の波長と、光カプラ1からの放射角度との関係を示したグラフである。図5のグラフのように、500〜800nmの波長において、分岐光の放射角度がほぼ線形に増加していることがわかる。また、放射角度が95〜135°と大きく変化していることがわかる。また、この図5のグラフから、光カプラ1から受光装置5までの距離5mmとした場合、CCD5上で15μm当たり波長1nm程度の分解能が得られることがわかる。
【0049】
このように、実施例3の分光装置は、従来の回折格子型の分光装置に比べて小型化が小型化が可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の光カプラは、光通信などに利用することができる。また、本発明の光走査装置は、レーザープリンタなどに利用することができる。また、本発明の分光装置は、様々な分光計則に利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1、22:光カプラ
2:光走査装置
3:分光装置
5:CCD
6:スペーサ
10:石英基板
11、12:金属膜
13:孔
20:電気光学結晶基板
21:電源装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の分波・合波を行う光カプラにおいて、
内部に光を伝搬させる誘電体からなる光導波路と、
前記光導波路上であって、膜厚方向が前記光導波路内部での前記光の伝搬方向に対して垂直となるよう配置された金属からなる金属膜と、
を有し、
前記金属膜には、2次元的に周期的に配列された複数の貫通孔が設けられ、
前記貫通孔の直径および間隔は、前記光の波長以下であり、
前記金属は、導波させる前記光の波長において表面プラズモン共鳴を示す金属である、
ことを特徴とする光カプラ。
【請求項2】
複数の前記貫通孔は、正方格子状に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の光カプラ。
【請求項3】
前記金属膜は、Al、Ag、Au、Cuからなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光カプラ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光カプラと、電源装置と、を有し、
前記光カプラの前記光導波路は、電気光学結晶からなり、
前記電源装置により前記電気光学結晶に電圧を印加し、その電圧を制御することによって、前記光カプラにより分岐させる分岐光の放射角度を制御することを特徴とする光走査装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光カプラと、
前記光カプラにより分岐される分岐光の放射側に、前記光カプラから所定距離離間して位置する受光素子と、
を有することを特徴とする分光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−93584(P2012−93584A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241275(P2010−241275)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】