説明

光ケーブル接続用クロージャ

【課題】クロージャ内の光ファイバ心線に対して、特別な測定器を用いることなく、現用回線と空き回線の区別や信号光の用途等を簡単に目視で判別でき、光ケーブルの引き落とし作業を短時間で効率よく実施できる光検出手段を備えた光ケーブル接続用クロージャを提供する。
【解決手段】光ケーブル20を接続、分岐する光ケーブル接続用クロージャ22であって、信号光を分岐する光分岐器と、分岐された信号光の所定の波長を透過、反射する波長フィルタと、該波長フィルタを透過、反射した信号光を受光し電気信号に変換する受光素子と、電気信号を所定の駆動信号に変換する検出回路と、駆動信号により可視可能に点灯又は点滅する発光表示素子を備えた光検出コネクタ1aが搭載され、前記の光検出コネクタ1aに光伝送路中の光コネクタ26が光学的に着脱可能に接続されるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹線光ケーブルから光ファイバを分岐しドロップ光ケーブル等を接続するのに用いられる光ケーブル接続用クロージャに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信技術の進展に伴い、FTTH(Fiber To The Home)に代表される加入者系通信網のPON(Passive Optical Network)システムの導入が進んでいる。このPONシステムでは、メタルケーブル並みの低価格で、より高速なサービスを実現するために、光ファイバの本数を減らし1本の光ファイバで、局側と加入者側のデータの双方向通信を行う一心双方向通信方式(1.31μm帯と1.49μm帯)が提案されている。また、近年はこれに加えて映像等の放送用の信号(1.55μm帯)を含めた1心3波方式、あるいは、2心3波方式が採用されるようになっている。
【0003】
このFTTHでは、通常、架空の幹線光ケーブルからクロージャと言われている接続函を介して加入者宅等に引き落とす方法が用いられている。この光ケーブルの引き落としには、例えば、ドロップ光ケーブルと言われている光ケーブルが多く用いられているが、架空の幹線光ケーブルからの引き落とし作業の場合は、電柱上やバケット車上というような作業環境の悪い状況で行うことが多く、ケーブルを所定の長さに切断し、ケーブル内から光ファイバ心線を取り出し、光ファイバ間の融着接続と補強処理などの作業は容易ではなく、時間もかかる。また、融着接続作業はある程度のスキルが必要とされ、需要増に対して作業技術者を確保しにくいという問題がある。
【0004】
このため、光ケーブルの引き落としに際しては、幹線光ケーブルから光ファイバを分岐し、その分岐光ファイバに光コネクタを予め取付けておく。この分岐光ファイバに光コネクタを取付けるまでは、スキルのある専門の作業者によって行う。そして、この分岐ファイバに取付けられた光コネクタから先の作業は、予めに光コネクタを取付けた所定長さのドロップ光ケーブルを用いて、光コネクタの着脱操作だけで接続できるようにする。これにより、後半の引き落とし作業は、特にスキルを有しない通常の作業者により加入者宅内までを引き落とす布設方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、局側と加入者宅側との光接続や接続変更に際して、複数本の光ファイバのうちから接続する心線を選択するのに、心線判別を行う必要がある。この心線判別には、例えば、光ファイバ心線を部分的に曲げて、その漏洩光を検出することで、特別な識別用の光源を用いることなく、光伝送路の信号光を検出して特定の心線を判別する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−177254号公報
【特許文献2】特開2004−109401号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示の方法による心線判別は、光ファイバ心線を屈曲させて実施するため、分岐された光ファイバ心線にアクセスできる作業者によって行うことができる。しかしながら、特許文献1に開示のように、光コネクタを用いて光ケーブルの引き落としを行う場合、光ファイバ心線の分岐部分から光コネクタが取付けられた範囲については、特定の作業者以外は触れることが出来ないように制限されることがある。この場合、通常の引き落としを実施する作業者は、クロージャ内の分岐端に取付けられた光コネクタ(又は接続アダプタ)を通して心線の判別等を行うことになる。
【0007】
分岐された現用回線の光ファイバ心線に、1.49μm又は1.55μmの信号光が送出されているとすると、これらの信号光は赤外光域であるため、透過又は遮蔽フィルタ等を用いて取り出すことができるとしても目視では確認することができない。したがって、分岐光ファイバの端部にそれぞれ取付けられている複数の光コネクタの何れに、ドロップ光ケーブルを接続すればよいか確認することができない。
【0008】
このため、透過、遮蔽フィルタ等を介して信号光を取り出し、例えば、パワーメータ等で信号光の出力パワーを測定(数値で確認)し、無効回線(空き回線)、使用可能回線(現用回線)、信号光の用途(放送用の1.55μmか、データ通信の1.49μmか)を目視で確認する必要があった。しかし、これには、パワーメータ等の専用の測定器が必要とされ、かつ測定した数値を判断する必要があり、それなりの専門性を有する作業者による引き落としが必要とされることとなり、光コネクタによる簡易な引き落とし作業を十分生かすことができていなかった。
【0009】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、クロージャ内の光ファイバ心線に対して、特別な測定器を用いることなく、現用回線と空き回線の区別や信号光の用途等を簡単に目視で判別でき、光ケーブルの引き落とし作業を短時間で効率よく実施できる光検出手段を備えた光ケーブル接続用クロージャを提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による光ケーブル接続用クロージャは、光ケーブルを接続、分岐する光ケーブル接続用クロージャであって、信号光を分岐する光分岐器と、分岐された信号光の所定の波長を透過、反射する波長フィルタと、該波長フィルタを透過、反射した信号光を受光し電気信号に変換する受光素子と、電気信号を所定の駆動信号に変換する検出回路と、駆動信号により可視可能に点灯又は点滅する発光表示素子を備えた光検出コネクタが搭載され、前記の光検出コネクタに光伝送路中の光コネクタが光学的に着脱可能に接続されるようにしたものである。
【0011】
本発明で用いる光検出コネクタの波長フィルタは、波長の異なる複数の信号光を透過、反射させる誘電体多層膜フィルタで、複数の信号光を個別に検出する。また、前記分岐器の検出回路に導かれないスルー側の導波路に、出力側からの信号光を分岐する他の光分岐器が搭載され、前記他の分岐器の分岐導波路側に、出力側からの信号光を透過する波長フィルタ、並びに、その信号光を検出する受光素子、検出回路、発光表示素子を備え、出力側からの信号光も検出できるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クロージャ内の分岐光ファイバに接続された光検出コネクタの発光表示素子の点灯や点滅で、接続されている分岐光ファイバ及びその伝送路の回線が、空き回線か現用回線かを判別することができ、また、現用回線である場合は、その信号光の波長を識別することができる。この表示状態を見ながら、引き落とし用の光ケーブルに取り付けられた光コネクタを、所定の光検出コネクタのコネクタ部に差し込むだけで、簡単且つ正確に引き落とし作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の光ケーブル接続用クロージャ内に搭載される光検出コネクタは、分岐された光ファイバ(の端部に取付けられている光コネクタと接続、または、分岐された光ファイバの端部に直接に接続される。そして、この光検出コネクタは、この分岐光ファイバ中に送出されている信号光(又は光信号)の有無を表示し、あるいは、その信号光の波長を表示し、引き落とし用の光ケーブルをどの分岐ファイバに接続するかを、作業者に知らせる。
【0014】
図により本発明の実施の形態を説明する。図1(A)は、本発明で用いられる光検出コネクタの一例を説明する概略図、図1(B)は検出回路の一例を示す概略図である。図中、1aは光検出コネクタ、2a,2bはコネクタ部、3aは本体部、4aは波長フィルタ、5a,5bは光検出装置、6は受光素子(PD)、7は検出回路、7aは増幅部、7bは駆動部、7cは制御部、7dは電源部、8a,8bは発光表示素子(LED)、9aは光分岐器、10aはスルー導波路、10bは分岐導波路を示す。
【0015】
図1(A)に示す光検出コネクタ1aは、入力側のコネクタ部2a及び出力側のコネクタ部2bと本体部3aからなる。コネクタ部2a,2bはレセプタクル型の光コネクタの例で示しているが、プラグ型の光コネクタを用いることもできる。ただ、通常、光ファイバ側に取付けられる光コネクタがプラグ型であることが多く、コネクタ部2a,2bをレセプタクル型とすることにより、接続アダプタを不要とすることができる。本体部3aは、入力側のコネクタ部2aから導光された光信号を、スルー導波路10aと分岐導波路10bを有する光分岐器9aで分岐する。なお、この光分岐器9aの分岐比を、例えば、1:99とし、1を分岐導波路10b側に、99をスルー導波路10aに分岐する。
【0016】
この光検出コネクタ1aは、光伝送路に接続し光信号の検出を行っているインライン状態で、光信号を加入者宅等に送信することができ、そのほとんどの光信号は、スルー導波路10a側に分岐され、光コネクタ2bを経て加入者宅に送信することが可能となる。この場合、光コネクタ2bに、加入者宅等に引き落とされるドロップ光ケーブルの一端に取付けられている光コネクタが接続され、1.49μmと1.55μmの2波の信号光を送信することができる。
【0017】
光分岐器9aで分岐導波路10b側に分岐された僅かな信号光は、波長フィルタ4aで所定の波長の信号光のみを透過させて光検出装置5aに入力し、反射する波長の信号光を光検出装置5bに入力する。
波長フィルタ4aは、例えば、誘電体多層膜からなる波長フィルタを用いることができ、受光する光信号に1.49μmと1.55μmの2波の信号光が含まれている場合は、一方の信号光(例えば、1.49μm)を透過、他方の信号光(例えば、1.55μm)を反射させる。透過された1.49μmの信号光は、光検出装置5aで赤色のLED8aを点灯または点滅させることにより検出され、反射された1.55μmの信号光は、光検出装置5bで緑色のLED8bを点灯または点滅させることにより検出される。
【0018】
光検出装置5a,5bは、波長フィルタ4aを透過した信号光を受光して光信号を電気信号に変換する受光素子6(例えば、フォトダイオード、以下PDという)と、受光素子6からの電気信号を検出信号に変換する検出回路7、検出信号を視覚的に表示する発光表示素子8a,8b(例えば、発光ダイオード、以下LEDという)で構成される。この光検出装置5a,5bは、例えば、図1(B)に概略で示すような検出回路で形成することができる。波長フィルタ4aを透過した信号光は、PD6で受光して電気信号に変換され、この電気信号は増幅部7aで所定のレベルに増幅され、駆動部7bに入力される。駆動部7bでは、制御部7cによってLED8a,8bを点灯または点滅表示させるための駆動信号が生成される。なお、検出回路7には、PD6あるいはLEDのバイアス電圧を供給するための電源部7dが含まれる。
【0019】
図2は、他の実施の形態を説明する図である。図中、1bは光検出コネクタ、3bは本体部、4bは波長フィルタ、5cは光検出装置、8cは橙色のLED、9bは光分岐器、10cは分岐導波路を示す。その他の符号は、図1に用いたのと同じ符号を用いることにより説明を省略する。
【0020】
図2に示す光検出コネクタ1bは、図1(A)の例と同様、本体部3bと、入出力側の両方に配したレセプタクル型のコネクタ部2a,2bとからなる。本体部3bは、入力側のコネクタ部2bから導光された光信号を、光分岐器9aにより分岐する。なお、光分岐器9aは、光コネクタ2aから導光された光信号を、図1(A)の例と同様に、例えば、光分岐器9aの分岐比を1:99とし、1を分岐導波路10b側に、99をスルー導波路10aに分岐する。したがって、大体の光信号をスルー導波路10aにより出力側のコネクタ部2bにスルーさせ、分岐された僅かな信号光を、分岐導波路10bを経て波長フィルタ4aに入力する。
【0021】
波長フィルタ4aは、例えば、図1(A)の例と同様な誘電体多層膜からなる波長フィルタを用い、受光する光信号に1.49μmと1.55μmの2波の信号光が含まれている場合は、一方の信号光(例えば、1.49μm)を透過、他方の信号光(例えば、1.55μm)を反射させる。透過された1.49μmの信号光は、光検出装置5aで赤色のLED8aを点灯または点滅させて検出し、反射された1.55μmの信号光は、光検出装置5bで緑色のLED8bを点灯または点滅させて検出する。
【0022】
図2の例では、出力側の光コネクタ2bに加入者等に引き落とされる光ケーブルが接続されていると、スルー導波路10aから光信号を送信すると共に、双方向通信で加入者側の方向からも波長の異なる信号光が送信されてくる場合がある。1芯3波の双方向通信では、加入者側から局側に向けて、例えば、1.31μm帯の光信号を送信することが可能とされている。このため、光検出コネクタ1bを用いて、出力側の光コネクタ2b側から入力側の光コネクタ2b側に向けて送信される1.31μm帯の信号光を検出することにより、加入者側の端末の使用状況や回線の状態、故障検出等を検出することが可能となる。
【0023】
この信号光の検出は、スルー導波路10aに光分岐器9aと同様な1:99の分岐比をもつ光分岐器9bを接続し、その分岐導波路10c側に波長フィルタ4bを介して光検出装置5cを接続する。波長フィルタ4bは、図1(A)の例で用いたのと同様に、例えば、誘電体多層膜からなる波長フィルタを用いることができ、例えば、1.31μm帯の波長の信号光のみを透過させるようにする。この信号光の検出には、光検出装置5cは、5a,5bと同様な構成の検出回路で形成し、例えば、橙色のLED8cを点灯または点滅させる。
【0024】
図3,図4は、本発明による光ケーブル接続用クロージャの構成例を説明する図である。図中、20は幹線光ケーブル、20aは被覆除去部、21は分岐光ファイバ、22はクロージャ、23はクランプ部、24は光ファイバ分岐領域、25は引き落とし領域、26はドロップ光ケーブル側の光コネクタ、27はドロップ光ケーブルを示す。その他の符号は、図1,図2で用いたのと同じ符号を用いることにより説明を省略する。
【0025】
図3は、図1(A)で説明した光検出コネクタ1aを用いたクロージャの構成例を説明する図で、幹線光ケーブル20から分岐された分岐光ファイバ21の現用回線及びその波長を判別する例である。分岐光ファイバ21は、例えば、幹線光ケーブル20の所定の位置の被覆除去部分20aに、クランプ手段23により取付けられるクロージャ22を用いて引き出される。この分岐光ファイバ21は、そのファイバ端に取付けた光コネクタ(図示せず)を光検出コネクタ1aに挿着して成端される。
【0026】
光検出コネクタ1aは、コネクタ部がレセプタクル型のコネクタで形成されているので、接続アダプタを兼ねており、例えば、クロージャ22の中間位置に上下方向に複数並べて配設される。光検出コネクタ1aが配設されたクロージャ22内の点線で囲む左側の光ファイバ分岐領域24で、分岐光ファイバ21を光検出コネクタ1aで成端させるまでは、特定のスキルを有する作業者によって実施される。そして、この光ファイバ分岐領域24は、他の作業者によって損傷されないように閉塞される場合もある。
【0027】
クロージャ22内の右側の引き落とし領域25は、ドロップ光ケーブルを加入者宅に引き落とすための領域で、接続アダプタが配設されているクロージャでは、予めドロップ光ケーブルの端部に取付けられた光コネクタを接続アダプタに差込むだけでよく、スキルを有しない作業者にて布設することができる。しかし、分岐光ファイバ21内の光信号は、赤外域の波長であるため、通常の接続アダプタを用いている場合は、その解放口からのぞいても視覚で確認することができない。したがって、加入者宅に引き落とすドロップ光ケーブルを、どの接続アダプタに接続したらよいかの判断をすることができない。
【0028】
しかしながら、本発明では、通常の接続アダプタに代えて、光検出コネクタ1aをクロージャ22内の中間位置に配置している。この結果、分岐光ファイバ21の信号光のうち分岐導波路側に分岐された信号光は、光検出コネクタ1aで成端され、分岐光ファイバ21に送信されている信号光の有無と、信号光の波長が判別できる。
【0029】
例えば、分岐光ファイバ21に1.49μmの信号光が送信されていれば、光検出コネクタ1aの赤色のLED表示部(8a)が点灯する。分岐光ファイバ21に1.55μmの信号光が送信されていれば、光検出コネクタ1aの緑色のLED表示部(8b)が点灯する。また、分岐光ファイバ21に1.49μmと1.55μmの両方の信号光が送信されていれば、光検出コネクタ1aの赤色のLED表示部(8a)と緑色のLED表示部(8b)の両方が点灯する。分岐光ファイバ21にこれらの信号光が送信されていなければ、光検出コネクタ1aのLED表示部は何れも点灯しない。
【0030】
この光検出コネクタ1aのLED表示部の点灯状態を見ながら、ドロップ光ケーブル27の端部に取付けられた光コネクタ26を、所定のLEDが点灯している光検出コネクタ1aのコネクタ部に挿着することができる。この結果、特にスキルのない作業者であっても、所定の光検出コネクタのコネクタ部にドロップ光ケーブル27を間違いなく接続することができる。また、LED表示は、ドロップ光ケーブル接続後も点灯しているため、接続のチェックも確実となる。なお、接続終了後はLED表示用の電源(電池)が消耗するまで放置するか、あるいは、電源回路をカットする操作手段を設けるようにしてもよい。
【0031】
図4は、図2で説明した光検出コネクタ1bを用いたクロージャの構成例を説明する図である。この構成例は、図3の場合と同様に、光検出コネクタ1bは、コネクタ部がレセプタクル型のコネクタで形成され、接続アダプタを兼ねた形状のものである。したがって、図3の構成例と同様に、分岐光ファイバ21は光検出コネクタ1bで成端され、分岐光ファイバ21に送信されている信号光の有無と、信号光の波長が判別できる。また、加入者宅にドロップ光ケーブル27が接続されている場合は、その上りの信号光(1.31μm)を同様に検出することができる。
【0032】
すなわち、分岐光ファイバ21に1.49μmの信号光が送信され、加入者側から1.31の信号光が送信されていれば、光検出コネクタ1bの赤と橙色のLED表示部(8a,8c)が点灯する。分岐光ファイバ21に1.49μmの信号光が送信され、加入者側から1.31の信号光の送信がなければ、赤色のLED表示部(8a)のみが点灯し、橙色のLED表示部(8c)は点灯せず、加入者側で何かトラブルが生じている可能性があることを判別することができる。分岐光ファイバ21に1.55μmの信号光が送信されていれば、光検出コネクタ1bの緑色のLED表示部(8b)が点灯し、また、加入者側からの送信がない通信方式では、橙色のLED表示部(8c)は点灯しない。
【0033】
また、分岐光ファイバ21に1.49μmと1.55μmの両方の信号光が送信され、加入者側から1.31の信号光が送信されていれば、光検出コネクタ1bの赤と緑と橙色のLED表示部(8a,8b,8c)の全てが点灯する。また、この場合、加入者側で何かトラブルが生じていると、橙色のLED表示部(8c)が点灯しない。また、分岐光ファイバ21にこれらの信号光が送信されていなければ空き心線として、光検出コネクタ1bのLED表示部は何れも点灯しない。
【0034】
この光検出コネクタ1bのLED表示部の点灯状態を見ながら、図3の構成例と同様にドロップ光ケーブル27の端部に取付けられた光コネクタ26を、所定のLEDが点灯している光検出コネクタ1bのコネクタ部に挿着する。この結果、特にスキルのない作業者であっても、所定の光検出コネクタのコネクタ部にドロップ光ケーブルを間違いなく接続することができる。また、ドロップ光ケーブル接続後は、加入者側からの信号光も検出することができ、加入者端末の使用や故障状態のチェック検出も行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明で用いる光検出コネクタの概略を説明する図である。
【図2】本発明で用いる他の光検出コネクタの概略を説明する図である。
【図3】本発明による実施形態を説明する図である。
【図4】本発明による他の実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
1a,1b…光検出コネクタ、2a,2b…コネクタ部、3a,3b…本体部、4a,4b…波長フィルタ、5a〜5c…光検出装置、6…受光素子(PD)、7…検出回路、7a…増幅部、7b…駆動部、7c…制御部、7d…電源部、8a〜8c…発光表示素子(LED)、9a,9b…光分岐器、10a…スルー導波路、10b,10c分岐導波路、20…幹線光ケーブル、20a…被覆除去部、21…分岐光ファイバ、22…クロージャ、23…クランプ部、24…光ファイバ分岐領域、25…引き落とし領域、26…ドロップ光ケーブル側の光コネクタ、27…ドロップ光ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルを接続、分岐する光ケーブル接続用クロージャであって、信号光を分岐する光分岐器と、分岐された信号光の所定の波長を透過、反射する波長フィルタと、該波長フィルタを透過、反射した信号光を受光し電気信号に変換する受光素子と、前記電気信号を所定の駆動信号に変換する検出回路と、前記駆動信号により可視可能に点灯又は点滅する発光表示素子を備えた光検出コネクタが搭載され、前記光検出コネクタに光伝送路中の光コネクタが光学的に着脱可能に接続されることを特徴とする光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項2】
前記波長フィルタは、波長の異なる複数の信号光を透過、反射させる誘電体多層膜フィルタで、前記複数の信号光を個別に検出することを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル接続用クロージャ。
【請求項3】
前記分岐器の前記検出回路に導かれないスルー側の導波路に、出力側からの信号光を分岐する他の光分岐器が搭載され、前記他の分岐器の分岐導波路側に、前記出力側からの信号光を透過する波長フィルタ、並びに、前記信号光を検出する受光素子、検出回路、発光表示素子を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ケーブル接続用クロージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−204662(P2009−204662A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44028(P2008−44028)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(598069423)株式会社ケイ・オプティコム (9)
【Fターム(参考)】