光コネクタとレンズブロックの接続構造、及び光モジュール
【課題】レンズ枠に対するレンズブロックの位置関係に対応して光コネクタを接続、固定できる光コネクタとレンズブロックの接続構造を提供する。
【解決手段】基板2に搭載され基板2に垂直な光路を有する光素子3を囲むように、基板2に固定されるレンズ枠5と、光素子3と光軸を一致させた状態でレンズ枠5の両側リブ5a間に接着固定されるレンズブロック6と、光ファイバケーブル4の先端部に設けられた光コネクタ7と、光コネクタ7の両側を囲む2つの側リブ10aと、両側リブ10aの他端部同士を接続する後リブ10bとからなる光コネクタ枠10と、光コネクタ枠10の後リブ10bと光コネクタ7間に配設される弾性部材14とを備え、レンズブロック6に光コネクタ7を装着し、弾性部材14を介して光コネクタ枠10の後リブ10bで光コネクタ7をレンズブロック6側に押し付けた後、光コネクタ枠10を基板2に固定する。
【解決手段】基板2に搭載され基板2に垂直な光路を有する光素子3を囲むように、基板2に固定されるレンズ枠5と、光素子3と光軸を一致させた状態でレンズ枠5の両側リブ5a間に接着固定されるレンズブロック6と、光ファイバケーブル4の先端部に設けられた光コネクタ7と、光コネクタ7の両側を囲む2つの側リブ10aと、両側リブ10aの他端部同士を接続する後リブ10bとからなる光コネクタ枠10と、光コネクタ枠10の後リブ10bと光コネクタ7間に配設される弾性部材14とを備え、レンズブロック6に光コネクタ7を装着し、弾性部材14を介して光コネクタ枠10の後リブ10bで光コネクタ7をレンズブロック6側に押し付けた後、光コネクタ枠10を基板2に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルの端部に設けられた光コネクタとレンズブロックとを接続する光コネクタとレンズブロックの接続構造、及び光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光トランシーバなどの機器において、面発光素子や面受光素子をアレイ状に配置した光素子アレイ(例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface)アレイやPD(Photo Diode)アレイ)が一般に用いられている。
【0003】
面発光素子や面受光素子を用いた光素子アレイでは、光素子アレイが入出射する光の光路が、光素子アレイを搭載する基板に対して垂直となる。他方、光トランシーバなどの機器では、光素子アレイと光学的に接続される光ファイバケーブルは、一般に、光素子アレイを搭載する基板に対して平行に配置される。
【0004】
光素子アレイと光ファイバケーブルとを光学的に接続するために、光素子アレイの上方に、光素子アレイが入出射する光路を基板と平行な光路に90度変換するレンズブロックを配置し、レンズブロックに、光ファイバケーブルの端部に設けたMT(Mechanically Transferable)フェルールを装着、固定する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−224954号公報
【特許文献2】特開2006−11092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光素子アレイとレンズブロック間での光軸のずれを抑制するためには、光素子アレイが搭載される基板に固定されたレンズ枠に、光素子アレイと光軸を一致させた状態でレンズブロックを接着固定することが望ましい。
【0007】
レンズ枠に保持されたレンズブロックにMTフェルールを固定する構造の場合、MTフェルールの周囲に設けたフェルール支持体をレンズ枠に結合することとなる。レンズ枠に対するフェルール支持体の位置は固定され、かつ、フェルール支持体に対するMTフェルールの位置は固定されている。その結果、レンズ枠に対するMTフェルールの位置が固定されることとなり、レンズ枠に対するレンズブロックの位置関係に対応して、MTフェルールをフレキシブルに移動させることができない。このため、レンズブロックやMTフェルールに不要の力が加わり、故障の原因となるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、レンズ枠に対するレンズブロックの位置関係に対応して光コネクタを接続、固定できる、光コネクタとレンズブロックの接続構造及び光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、基板と、前記基板に搭載され、前記基板に垂直な光路を有する光素子と、前記光素子を囲むように前記基板に固定される、2つの側リブと、それら両側リブの一端部同士を接続する前リブとからなるレンズ枠と、前記光素子と光軸を一致させた状態で前記レンズ枠の両側リブ間に接着固定される、前記光素子の光路を前記基板と平行な光路に変換するレンズブロックと、前記基板と平行に配置される、光ファイバケーブルの先端部に設けられた光コネクタと、前記光コネクタの両側を囲む2つの側リブと、該2つの側リブの他端部同士を接続する後リブとからなる光コネクタ枠と、前記光コネクタ枠の前記後リブと前記光コネクタ間に配設される弾性部材とを備え、前記レンズブロックに前記光コネクタを装着し、前記弾性部材を介して前記光コネクタ枠の後リブで前記光コネクタを前記レンズブロック側に押し付けた後、前記光コネクタ枠を前記基板に固定する、光コネクタとレンズブロックの接続構造である。
【0010】
前記光コネクタ枠は、前記光コネクタ枠の下方に突出する突起を有し、前記基板は、前記光コネクタ枠の突起を係合する係合孔を有し、前記光コネクタ枠は、前記突起を前記基板の前記係合孔に係合することで、前記基板に固定されてもよい。
【0011】
前記突起は、前記光コネクタ枠の両側リブの一端部から下方に突出する前側突起と、前記光コネクタ枠の後リブから下方に突出する後側突起とからなり、前記前側突起は、前記前側突起の下端部から他端側に延びる、前記光コネクタ枠が前記基板の上方に抜けるのを防ぐための鉤部を有してもよい。
【0012】
前記光コネクタ枠の後リブには、前記光ファイバケーブルを通すための切欠きが形成されてもよい。
【0013】
また、本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、上記の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備えた光モジュールである。
【0014】
送信側基板と、受信側基板とを備え、前記送信側基板の表面側に上記の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備え、前記受信側基板の表面側に上記の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備え、前記光コネクタ枠は、上下の高さが前記送信側基板と前記受信側基板との間に保つべき所定の間隔の長さを有し、前記送信側基板と前記受信側基板とは、表面同士を向かい合わせとした状態で上下に配置され、前記送信側基板の表面と前記受信側基板の表面が前記光コネクタ枠に当接されて前記送信側基板と前記受信側基板との間が所定の間隔に保たれるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レンズ枠に対するレンズブロックの位置関係に対応して光コネクタを接続、固定できる光コネクタとレンズブロックの接続構造及びそれを備えた光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光コネクタとレンズブロックの接続構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造の他の方向から見た分解斜視図である。
【図3】図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造の基板を示す斜視図である。
【図4】図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造のレンズ枠を示す斜視図である。
【図5】(a),(b)は、図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造の光コネクタ枠を示す斜視図である。
【図6】(a),(b)は、図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造において、光コネクタをレンズブロックに固定する手順を説明する図である。
【図7】(a)は、図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造の外観を示す斜視図であり、(b)はその側面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る光モジュールを示す分解斜視図である。
【図9】図8の光モジュールの送信側基板を示す図であり、(a)は、ベースに発光素子アレイとドライバICを搭載したときの斜視図、(b)は、さらにレンズブロックを配置したときの斜視図である。
【図10】図9の送信側基板において、光コネクタをレンズブロックに固定する手順を説明する図である。
【図11】図9の送信側基板において、光コネクタをレンズブロックに固定する手順を説明する図である。
【図12】図9の送信側基板において、光コネクタをレンズブロックに固定する手順を説明する図である。
【図13】図8の光モジュールにおいて、送信側基板と受信側基板とを上下に重ね合わせたときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0018】
図1、図2は、本実施の形態に係る光コネクタとレンズブロックの接続構造を示す分解斜視図である。
【0019】
図1、図2に示すように、光コネクタとレンズブロックの接続構造1は、基板2に搭載された光素子3(図3参照)と光ファイバケーブル4とを光学的に接続すべく、光素子3の上方に配置されると共に、基板2に固定されたレンズ枠5により支持されたレンズブロック6と、光ファイバケーブル4の先端部に設けられた光コネクタとしてのMTフェルール7とを固定する構造である。
【0020】
[光素子、基板]
図1〜図3に示すように、光素子3は、基板2に搭載され、基板2に垂直な光路を有するものである。光素子3は、例えば、面発光素子、あるいは基板2の上方から垂直に光を入射する面受光素子をアレイ状に配置したものであり、VCSELアレイやPDアレイである。ここでは、光素子3として、12個の面発光素子をアレイ状に配置したVCSELアレイを用いる場合を説明する。
【0021】
基板2は、例えば、ガラスエポキシ基板などのプリント基板、又はコバールなどの金属からなる。基板2上には、光素子3と、光素子3を駆動するドライバIC8と、レンズブロック6を保持するためのレンズ枠5と、MTフェルール7をレンズブロック6に装着した状態で固定するための光コネクタ枠10とが搭載される。基板2には、レンズ枠5を位置決めして固定するための4つのレンズ枠固定孔2aが形成され、また、後述する光コネクタ枠10の前側突起12a,後側突起12bを係合するための係合孔13a,13bが形成されている。
【0022】
[レンズ枠]
図1、図2及び図4に示すように、レンズ枠5は、2つの側リブ5aと、それら両側リブ5aの一端部(図4では右奥側の端部)同士を接続する前リブ5bとを備え、上面視で略コ字状に形成される。レンズ枠5は、1枚の金属板を切断、折曲加工して形成される。
【0023】
レンズ枠5の両側リブ5aには、その下端部から下方に突出するように、基板2のレンズ枠固定孔2aに嵌合される脚部5cがそれぞれ2本ずつ形成される。レンズ枠5は、その脚部5cを基板2のレンズ枠固定孔2aに嵌合することで、基板2に対して位置決めされて、固定される。レンズ枠5は、光素子3を囲むように基板2に固定される。
【0024】
[レンズブロック]
図1、図2に示すように、レンズブロック6は、光素子3と、基板2と平行に配置されたMTフェルール7とを光学的に接続すべく、光素子3が入出射する光の光路を基板2と平行な光路に90°変換するためのものである。レンズブロック6は、基板2に配置された光素子3と対向する基板対向面6aと、基板対向面6aと垂直なMTフェルール接続面6bと、基板対向面6a及びMTフェルール接続面6bに対して45°傾斜した傾斜面6cとを備え、略三角柱状に形成される。基板対向面6aとMTフェルール接続面6bには、光素子3の各発光素子に対応した12個のレンズ6dが整列して設けられている。
【0025】
レンズブロック6は、基板対向面6aに形成された12個のレンズ(図示せず)と光素子3とが光軸を一致させた状態でレンズ枠5の両側リブ5a間に接着固定される。具体的には、レンズブロック6と光素子3の光軸を一致させた後、レンズブロック6とレンズ枠5の両側リブ5aとの間にUV硬化性樹脂をそれぞれ供給し、紫外線(UV)を照射してUV硬化性樹脂を硬化させて、レンズブロック6をレンズ枠5に接着固定する。
【0026】
レンズブロック6のMTフェルール接続面6bの両側部には、MTフェルール7を位置決めするためのピン9が形成されている。ピン9の基端部には、拡径部9aが形成されている。拡径部9aの径は、MTフェルール7の嵌合孔7bよりも大きく形成される。さらに、拡径部9aは、MTフェルール7の先端面7aがレンズ6dに干渉しないよう、MTフェルール7の先端面7aとレンズブロック6のMTフェルール接続面6bとを所定の間隔で保持する光軸方向の長さとなっている。
【0027】
[光ファイバケーブル、光コネクタ]
光ファイバケーブル4は、12本の光ファイバを束ねたものであり、その端部には、光コネクタとしての、12芯のMTフェルール7が設けられている。なお、本実施の形態では、光コネクタとしてMTフェルールを使用する場合を説明するが、光コネクタはMTフェルールに限定されない。
【0028】
MTフェルール7の先端面7aの両側部には、レンズブロック6のピン9に嵌合する嵌合孔7bが形成されている。MTフェルール7は、嵌合孔7bをピン9に嵌合させることで、レンズブロック6に対して位置決めがなされ、レンズブロック6に装着される。
【0029】
レンズブロック6にMTフェルール7を装着することで、光素子アレイ2と光ファイバケーブル4とが、レンズブロック6、MTフェルール7を介して光学的に接続される。
【0030】
[光コネクタ枠、弾性部材]
MTフェルール7の周囲には、MTフェルール7をレンズブロック6に装着した状態で固定するための光コネクタ枠10が設けられる。
【0031】
図1、図2及び図5に示すように、光コネクタ枠10は、MTフェルール7の両側を囲む2つの側リブ10aと、それら側リブ10aの一端部(図5(a)では右手前側の端部)同士を接続する後リブ10bとを備え、上面視で略コ字状に形成される。光コネクタ枠10は、1枚の金属板を切断、折曲加工して形成される。金属板は、バネ性を有する材料、例えば、SUSからなる。
【0032】
光コネクタ枠10の両側リブ10a間の間隔は、MTフェルール7の幅よりも大きくされ、光コネクタ枠10をレンズ枠5に係合した際に、光コネクタ枠10の両側リブ10aがMTフェルール7に接触しないようにされる。
【0033】
光コネクタ枠10の両側リブ10aには、その他端部(図5(a)では左奥側の端部)から下方に突出する前側突起12aがそれぞれ形成されており、光コネクタ10の後リブ10bには、後リブ10bから下方に突出する2つの後側突起12bが形成されている。前側突起10aには、前側突起10aの下端部から他端側(図5(a)では右手前側)に延びる鉤部12cが形成される。詳細は後述するが、この鉤部12cは、光コネクタ枠10が基板2の上方に抜けるのを防ぐためのものである。
【0034】
光コネクタ枠10の後リブ10bには、光ファイバケーブル4を通すための切欠き10cが形成される。切欠き10cは、その下方が開口するよう後リブ10bに形成される。
【0035】
また、光コネクタ枠10の後リブ10bとMTフェルール7間には、弾性部材としてのコイルばね14が配設される。コイルばね14は、その中空部に光ファイバケーブル4を通すことで、光ファイバケーブル4に支持される。
【0036】
[光コネクタとレンズブロックの接続構造]
レンズブロック6にMTフェルール7を固定する際には、まず、図6(a)に示すように、レンズブロック6のピン9とMTフェルール7の嵌合孔7bとを嵌合させて、レンズブロック6にMTフェルール7を装着する。その後、図6(b)に示すように、コイルばね14を介して光コネクタ枠10の後リブ10bでMTフェルール7をレンズブロック6側に押し付けた後、光コネクタ枠10を基板2に固定することで、レンズブロック6とMTフェルール7とを固定する。
【0037】
このとき、本実施の形態に係る光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10は、その前側突起12aを基板2の係合孔13aに、その後側突起12bを係合孔13bに係合することで、基板2に固定される。
【0038】
より詳細には、光コネクタ枠10をレンズブロック6側に押し付けることで、光コネクタ枠10の後リブ10bでMTフェルール7とコイルばね14とをレンズブロック6側に押し付け、この状態で、前側突起12aを基板2の係合孔13aに、後側突起12bを係合孔13bに係合させる。その後、光コネクタ枠10に加えていた押し付け力を除くと、図7(a),(b)に示すように、光コネクタ枠10がコイルばね14により後方に付勢され、両突起12a,12bが係合孔13a,13bの他端側(図7(b)では右側)に押し付けられて、光コネクタ枠10が基板2に固定される。
【0039】
本実施の形態では、前側突起12aの下端部に鉤部12cを形成しているため、光コネクタ枠10が後方に付勢されると、鉤部12cが基板2の裏側に回り込み基板2に係合される。これにより、光コネクタ枠10が基板2の上方に抜けてしまうことが抑制される。
【0040】
基板2と光コネクタ枠10との係合を解除するには、光コネクタ枠10をレンズブロック側に押し付けて鉤部12cの係合を解除し、その状態で光コネクタ枠10を上方に持ち上げればよい。これにより、基板2と光コネクタ枠10との係合が解除され、レンズブロック6からMTフェルール7を取り外すことができる。
【0041】
[本実施の形態の作用]
本実施の形態の作用を説明する。
【0042】
本実施の形態に係る光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、MTフェルール7が光コネクタ枠10に対して位置が固定されない。したがって、MTフェルール7をレンズブロック6に装着、固定するとき、レンズ枠5に対するレンズブロック6の位置が1つ1つ異なる場合であっても、レンズブロック6の位置に対応してMTフェルール7の位置決めされて固定されることが可能となる。これにより、レンズブロック6やMTフェルール7に不要な力が加わることがなくなる。よって、基板2に固定されたレンズ枠5にレンズブロック6を接着固定するという、光素子3とレンズブロック6間での光軸のずれが発生しにくい構造を採用できる。
【0043】
また、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10を基板2に固定するようにしたため、例えば、光コネクタ枠10をレンズ枠5に係合させた構造と比較して、光コネクタ枠10を安定して保持することが可能である。
【0044】
さらに、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10の下方に突出する突起12a,12bを、基板2に形成された係合孔13a,13bに係合させるため、MTフェルール7やレンズブロック6の上方に突出する部材がなく、全体として小型な光コネクタとレンズブロックの接続構造1を実現できる。
【0045】
また、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、前側突起12aの下端部に鉤部12cを形成しているため、光コネクタ枠10が基板2の上方に抜けるのを防ぐことが可能である。なお、光コネクタ枠10が上側から押さえられるなど、光コネクタ枠10が基板2の上方に抜けるおそれがない場合は、鉤部12cを省略することも可能である。
【0046】
さらに、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10の後リブ10bに、光ファイバケーブル4を通すための切欠き10cを形成している。光ファイバケーブル4に対して上方から光コネクタ枠10を被せ、光ファイバケーブル4が切欠き10cを通すようにして、光コネクタ枠を取り付けることができる。よって、光コネクタ枠を取り付ける場合、レンズブロック6にMTフェルール7を装着した状態で光コネクタ枠10を容易に取り付け・取り外しすることが可能となり、取り扱いが容易となる。
【0047】
また、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10をレンズブロック6側に押し付けて鉤部12cの係合を解除し、その後光コネクタ枠10を上方に持ち上げるのみで、基板2と光コネクタ枠10の係合を容易に解除でき、レンズブロック6からMTフェルール7を容易に取り外すことができる。
【0048】
[光モジュール]
次に、本発明の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備えた光モジュールについて説明する。
【0049】
図8は、図1〜7で説明した光コネクタとレンズブロックの接続構造1を備えた光モジュールの分解斜視図である。
【0050】
図8に示すように、光モジュール100は、発光素子と発光素子を駆動するドライバICとを表面に搭載した送信側基板101と、受光素子と受光素子からの電気信号を増幅するアンプICとを表面に搭載した受信側基板102と、両基板101,102を収容する上側筐体103と下側筐体104とからなる筐体105とを備えている。
【0051】
両基板101,102は、その表面同士を向かい合わせとした状態で上下に配置される。本実施の形態では、送信側基板101を下側、受信側基板102を上側に配置しているが、送信側基板101と受信側基板102の上下の配置は、光モジュール100を使用するI/Oインターフェイスの規格に従う。
【0052】
本実施の形態では、送信側基板101と受信側基板102とは、その光コネクタとレンズブロックの接続構造も含め、同様の構造である。以下では、送信側基板101について詳しく説明する。
【0053】
[送信側基板]
図9(a)に示すように、送信側回路基板101aの一の側辺側(図9(a)では右手前側)には切欠き106aが形成され、その切欠き106aを送信側回路基板101aの裏面側から塞ぐようにベース107aが設けられる。送信側基板101は、送信側回路基板101aとベース107aとから構成される。
【0054】
送信側回路基板101aは、例えば積層基板からなる。送信側回路基板101aの一端部には、接続端子109aが形成され、カードエッジコネクタ110aが形成されている。
【0055】
ベース107aは、導電性の部材、例えば、銅タングステン(Cu−W)やコバールなどの金属からなり、送信側回路基板101aの内層に形成された図示しないグランドパターンと電気的に接続される。また、ベース107aは、送信側基板101を筐体105内に収容した際に、図示しない放熱シートを介して下側筐体104に接触するようにされ、下側筐体104と熱的に密接するようにされる。
【0056】
ベース107a上には、発光素子アレイ(例えばVCSELアレイなど)3Aと、発光素子アレイ3Aを駆動するドライバIC8Aとが搭載される。図9(b)に示すように、発光素子アレイ3Aの上方にはレンズブロック6Aが配置される。なお、図9(b)では図示していないが、レンズブロック6Aはベース107aに固定されたレンズ枠5Aにより支持される。ベース107aには4つのレンズ枠固定孔2aが形成されており、また、送信側回路基板101aには、光コネクタ枠5Aの突起12a,12bを係合するための係合孔13a,13bが形成されている。
【0057】
図10に示すように、レンズ枠5Aは、ベース107aに形成されたレンズ枠固定孔2aにレンズ枠5Aの脚部5cを嵌合させることで、ベース107aに固定される。レンズブロック6Aは、発光素子アレイ3Aと光軸を一致させた状態でレンズ枠5Aに接着固定される。
【0058】
レンズブロック6Aには、送信側光ファイバケーブル4AのMTフェルール7Aが接続され、発光素子アレイ3Aと送信側光ファイバケーブル4Aとがレンズブロック6Aを介して光学的に接続される。
【0059】
図11に示すように、レンズブロック6AにMTフェルール7Aを固定する際には、レンズブロック6AにMTフェルール7Aを装着した後、コイルばね14Aを介して光コネクタ枠10Aの後リブ10bでMTフェルール7Aをレンズブロック6A側に押し付ける。この状態で、図12に示すように、光コネクタ枠10Aの突起12a,12bを係合孔13a、13bに係合して、送信側回路基板101aに光コネクタ枠10Aを固定する。なお、MTフェルール7Aの下方の送信側回路基板101aには、MTフェルール7Aとの干渉を避けるための孔108aが形成されている。
【0060】
また、切欠き106aを形成した位置よりもカードエッジコネクタ110a側の送信側回路基板101aの両側部には、スペーサ固定用切欠き111aが形成されており、そのスペーサ固定用切欠き111aに後述するスペーサ112が固定される。
【0061】
[受信側基板]
受信側基板102は、発光素子アレイ3Aを受光素子アレイに、ドライバIC8Aを、電気信号を増幅するためのアンプIC8Bに置き換えれば、送信側基板102と同様の構造である。
【0062】
送信側基板102は、受信側回路基板102bとベース107bとから構成される。受信側回路基板102bの一端部には、接続端子109bが形成され、カードエッジコネクタ110bが形成されている。
【0063】
[光ファイバケーブル]
図8に示すように、送受信光ファイバケーブル116は、送信側光ファイバケーブル4Aと受信側光ファイバケーブル4Bとを束ねたものである。
【0064】
送受信光ファイバケーブル116の端部には、送受信光ファイバケーブル116の端部を保護するための樹脂からなる保護カバー117が設けられている。保護カバー117は、例えばゴムブーツからなり、送信側光ファイバケーブル4A、受信側光ファイバケーブル4Bが許容できる曲げ半径以上で曲がらないように送受信光ファイバケーブル116を保護する。
【0065】
送受信光ファイバケーブル116は、その端部において、送信側光ファイバケーブル4Aと受信側光ファイバケーブル4Bに分岐する。送信側光ファイバケーブル4Aの端部にはMTフェルール7Aが設けられ、受信側光ファイバケーブル4Bの端部にはMTフェルール7Bが設けられる。
【0066】
[筐体、上側筐体、下側筐体]
光モジュール100は、両基板101,102を収容する筐体105を有する。
【0067】
筐体105は、上下に分割して形成されており、上側筐体103と下側筐体104とからなる。上側筐体103、下側筐体104は金属からなる。上側筐体103と下側筐体104は、図示しないネジにより固定される。
【0068】
上側筐体103と下側筐体104の後面(図8では左手前側の面)には、送受信光ファイバケーブル116の端部に設けられたゴムブーツからなる保護カバー117を係合するためのフランジ状の係合部103a,104aが形成される。この係合部103a,104aにゴムブーツからなる保護カバー117を係合することで、送受信光ファイバケーブル116が筐体105に固定される。
【0069】
[スペーサ]
図8および図13に示すように、スペーサ112は、送信側基板101と受信側基板102を所定の間隔に保つための部材である。スペーサ112は、板状のプレート部113と、その両端部から所定の高さ上下に突出するように形成された角柱状の支持台114と、両支持台114の上下からさらに突出するように形成されたピン115とからなる。プレート部113、支持台114、ピン115は一体に形成される。
【0070】
スペーサ112は、下に突出するピン115を送信側回路基板101aのスペーサ固定用切欠き111aに、上に突出するピン115を受信側回路基板102bのスペーサ固定用切欠き111bに挿入して、送信側回路基板101aと受信側回路基板102bの間に取り付けられる。このとき、支持体114の下面が送信側回路基板101aの表面に接し、支持体114の上面が受信側回路基板102bの表面に接する。
【0071】
さらに、本実施の形態に係る光モジュール1では、光コネクタ枠10A,10Bがスペーサの役割も兼ねており、上述のスペーサ112と、光コネクタ枠10A,10Bとで、送信側回路基板101aと受信側回路基板102bを所定の間隔に保つようにしている。
【0072】
送信側回路基板101aに設けられる光コネクタ枠10Aは、その下部が送信側回路基板101aの表面に当接すると共に、その上部が受信側回路基板102bの表面に当接するようにされる。また、受信側回路基板102bに設けられる光コネクタ枠10Bは、その下部が受信側回路基板102bの表面に当接すると共に、その上部が送信側回路基板101aの表面に当接するようにされる。
【0073】
このように、光コネクタ枠10A,10Bにスペーサの役割を兼ねさせることで、別途スペーサを設ける必要がなくなると共に、基板101,102にスペーサを設けるためのスペースを確保する必要がなくなり、光モジュール1の低コスト化、小型化に寄与する。
【0074】
また、光モジュール1では、受信側回路基板102bにより光コネクタ枠10Aが送信側回路基板101a側に押し付けられ、送信側回路基板101aにより光コネクタ枠10Bが受信側回路基板102b側に押し付けられることになるので、光コネクタ枠10A,10Bが基板101,102から抜けてしまうおそれがない。
【0075】
スペーサ112の支持体114の上面と下面の間の長さ、および光コネクタ枠10A,10Bの上下の高さは、I/Oインターフェイスの規格に規定される送信側回路基板101aのカードエッジコネクタ110aと受信側回路基板102bのカードエッジコネクタ110bとの間に保つべき間隔と同じ長さとすればよい。
【0076】
また、光コネクタ枠10A,10Bの側リブ10aに、上方に突出する上方突起を形成し、当該上方突起の上部が対向する回路基板102b,101aに接触するようにしてもよい。これにより、光コネクタ枠10A,10Bが対向する回路基板102b,101aに接触する面積が小さくなるので、両回路基板101a,102bの表面に形成する配線パターンの自由度が高くなる。さらに、上方突起を折り曲げて板バネ状に形成するようにしてもよい。これにより、上方突起が接触した部分の回路基板101a,102bに傷がついてしまうことを抑制できる。
【0077】
また、光コネクタ枠10A,10Bとレンズ枠5A,5Bとを、回路基板101a,102bのグランドパターンと電気的に接続して接地し、光コネクタ枠10A,10Bとレンズ枠5A,5Bにて、光素子3A,3Bへのノイズを遮断するようにしてもよい。この場合、光コネクタ枠10A,10Bの側リブ10aをレンズ枠5A,5B側に延長して、光コネクタ枠10A,10Bとレンズ枠5A,5Bとの間に隙間が空かないようにすることが望ましい。
【0078】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1 光コネクタとレンズブロックの接続構造
2 基板
3 光素子
4 光ファイバケーブル
5 レンズ枠
5a 側リブ
5b 前リブ
6 レンズブロック
7 MTフェルール(光コネクタ)
8 IC
10 光コネクタ枠
10a 側リブ
10b 後リブ
12a 前側突起
12b 後側突起
13a,13b 係合孔
14 コイルばね(弾性部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルの端部に設けられた光コネクタとレンズブロックとを接続する光コネクタとレンズブロックの接続構造、及び光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光トランシーバなどの機器において、面発光素子や面受光素子をアレイ状に配置した光素子アレイ(例えば、VCSEL(Vertical Cavity Surface)アレイやPD(Photo Diode)アレイ)が一般に用いられている。
【0003】
面発光素子や面受光素子を用いた光素子アレイでは、光素子アレイが入出射する光の光路が、光素子アレイを搭載する基板に対して垂直となる。他方、光トランシーバなどの機器では、光素子アレイと光学的に接続される光ファイバケーブルは、一般に、光素子アレイを搭載する基板に対して平行に配置される。
【0004】
光素子アレイと光ファイバケーブルとを光学的に接続するために、光素子アレイの上方に、光素子アレイが入出射する光路を基板と平行な光路に90度変換するレンズブロックを配置し、レンズブロックに、光ファイバケーブルの端部に設けたMT(Mechanically Transferable)フェルールを装着、固定する構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−224954号公報
【特許文献2】特開2006−11092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光素子アレイとレンズブロック間での光軸のずれを抑制するためには、光素子アレイが搭載される基板に固定されたレンズ枠に、光素子アレイと光軸を一致させた状態でレンズブロックを接着固定することが望ましい。
【0007】
レンズ枠に保持されたレンズブロックにMTフェルールを固定する構造の場合、MTフェルールの周囲に設けたフェルール支持体をレンズ枠に結合することとなる。レンズ枠に対するフェルール支持体の位置は固定され、かつ、フェルール支持体に対するMTフェルールの位置は固定されている。その結果、レンズ枠に対するMTフェルールの位置が固定されることとなり、レンズ枠に対するレンズブロックの位置関係に対応して、MTフェルールをフレキシブルに移動させることができない。このため、レンズブロックやMTフェルールに不要の力が加わり、故障の原因となるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、レンズ枠に対するレンズブロックの位置関係に対応して光コネクタを接続、固定できる、光コネクタとレンズブロックの接続構造及び光モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、基板と、前記基板に搭載され、前記基板に垂直な光路を有する光素子と、前記光素子を囲むように前記基板に固定される、2つの側リブと、それら両側リブの一端部同士を接続する前リブとからなるレンズ枠と、前記光素子と光軸を一致させた状態で前記レンズ枠の両側リブ間に接着固定される、前記光素子の光路を前記基板と平行な光路に変換するレンズブロックと、前記基板と平行に配置される、光ファイバケーブルの先端部に設けられた光コネクタと、前記光コネクタの両側を囲む2つの側リブと、該2つの側リブの他端部同士を接続する後リブとからなる光コネクタ枠と、前記光コネクタ枠の前記後リブと前記光コネクタ間に配設される弾性部材とを備え、前記レンズブロックに前記光コネクタを装着し、前記弾性部材を介して前記光コネクタ枠の後リブで前記光コネクタを前記レンズブロック側に押し付けた後、前記光コネクタ枠を前記基板に固定する、光コネクタとレンズブロックの接続構造である。
【0010】
前記光コネクタ枠は、前記光コネクタ枠の下方に突出する突起を有し、前記基板は、前記光コネクタ枠の突起を係合する係合孔を有し、前記光コネクタ枠は、前記突起を前記基板の前記係合孔に係合することで、前記基板に固定されてもよい。
【0011】
前記突起は、前記光コネクタ枠の両側リブの一端部から下方に突出する前側突起と、前記光コネクタ枠の後リブから下方に突出する後側突起とからなり、前記前側突起は、前記前側突起の下端部から他端側に延びる、前記光コネクタ枠が前記基板の上方に抜けるのを防ぐための鉤部を有してもよい。
【0012】
前記光コネクタ枠の後リブには、前記光ファイバケーブルを通すための切欠きが形成されてもよい。
【0013】
また、本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、上記の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備えた光モジュールである。
【0014】
送信側基板と、受信側基板とを備え、前記送信側基板の表面側に上記の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備え、前記受信側基板の表面側に上記の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備え、前記光コネクタ枠は、上下の高さが前記送信側基板と前記受信側基板との間に保つべき所定の間隔の長さを有し、前記送信側基板と前記受信側基板とは、表面同士を向かい合わせとした状態で上下に配置され、前記送信側基板の表面と前記受信側基板の表面が前記光コネクタ枠に当接されて前記送信側基板と前記受信側基板との間が所定の間隔に保たれるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レンズ枠に対するレンズブロックの位置関係に対応して光コネクタを接続、固定できる光コネクタとレンズブロックの接続構造及びそれを備えた光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光コネクタとレンズブロックの接続構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造の他の方向から見た分解斜視図である。
【図3】図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造の基板を示す斜視図である。
【図4】図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造のレンズ枠を示す斜視図である。
【図5】(a),(b)は、図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造の光コネクタ枠を示す斜視図である。
【図6】(a),(b)は、図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造において、光コネクタをレンズブロックに固定する手順を説明する図である。
【図7】(a)は、図1の光コネクタとレンズブロックの接続構造の外観を示す斜視図であり、(b)はその側面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る光モジュールを示す分解斜視図である。
【図9】図8の光モジュールの送信側基板を示す図であり、(a)は、ベースに発光素子アレイとドライバICを搭載したときの斜視図、(b)は、さらにレンズブロックを配置したときの斜視図である。
【図10】図9の送信側基板において、光コネクタをレンズブロックに固定する手順を説明する図である。
【図11】図9の送信側基板において、光コネクタをレンズブロックに固定する手順を説明する図である。
【図12】図9の送信側基板において、光コネクタをレンズブロックに固定する手順を説明する図である。
【図13】図8の光モジュールにおいて、送信側基板と受信側基板とを上下に重ね合わせたときの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0018】
図1、図2は、本実施の形態に係る光コネクタとレンズブロックの接続構造を示す分解斜視図である。
【0019】
図1、図2に示すように、光コネクタとレンズブロックの接続構造1は、基板2に搭載された光素子3(図3参照)と光ファイバケーブル4とを光学的に接続すべく、光素子3の上方に配置されると共に、基板2に固定されたレンズ枠5により支持されたレンズブロック6と、光ファイバケーブル4の先端部に設けられた光コネクタとしてのMTフェルール7とを固定する構造である。
【0020】
[光素子、基板]
図1〜図3に示すように、光素子3は、基板2に搭載され、基板2に垂直な光路を有するものである。光素子3は、例えば、面発光素子、あるいは基板2の上方から垂直に光を入射する面受光素子をアレイ状に配置したものであり、VCSELアレイやPDアレイである。ここでは、光素子3として、12個の面発光素子をアレイ状に配置したVCSELアレイを用いる場合を説明する。
【0021】
基板2は、例えば、ガラスエポキシ基板などのプリント基板、又はコバールなどの金属からなる。基板2上には、光素子3と、光素子3を駆動するドライバIC8と、レンズブロック6を保持するためのレンズ枠5と、MTフェルール7をレンズブロック6に装着した状態で固定するための光コネクタ枠10とが搭載される。基板2には、レンズ枠5を位置決めして固定するための4つのレンズ枠固定孔2aが形成され、また、後述する光コネクタ枠10の前側突起12a,後側突起12bを係合するための係合孔13a,13bが形成されている。
【0022】
[レンズ枠]
図1、図2及び図4に示すように、レンズ枠5は、2つの側リブ5aと、それら両側リブ5aの一端部(図4では右奥側の端部)同士を接続する前リブ5bとを備え、上面視で略コ字状に形成される。レンズ枠5は、1枚の金属板を切断、折曲加工して形成される。
【0023】
レンズ枠5の両側リブ5aには、その下端部から下方に突出するように、基板2のレンズ枠固定孔2aに嵌合される脚部5cがそれぞれ2本ずつ形成される。レンズ枠5は、その脚部5cを基板2のレンズ枠固定孔2aに嵌合することで、基板2に対して位置決めされて、固定される。レンズ枠5は、光素子3を囲むように基板2に固定される。
【0024】
[レンズブロック]
図1、図2に示すように、レンズブロック6は、光素子3と、基板2と平行に配置されたMTフェルール7とを光学的に接続すべく、光素子3が入出射する光の光路を基板2と平行な光路に90°変換するためのものである。レンズブロック6は、基板2に配置された光素子3と対向する基板対向面6aと、基板対向面6aと垂直なMTフェルール接続面6bと、基板対向面6a及びMTフェルール接続面6bに対して45°傾斜した傾斜面6cとを備え、略三角柱状に形成される。基板対向面6aとMTフェルール接続面6bには、光素子3の各発光素子に対応した12個のレンズ6dが整列して設けられている。
【0025】
レンズブロック6は、基板対向面6aに形成された12個のレンズ(図示せず)と光素子3とが光軸を一致させた状態でレンズ枠5の両側リブ5a間に接着固定される。具体的には、レンズブロック6と光素子3の光軸を一致させた後、レンズブロック6とレンズ枠5の両側リブ5aとの間にUV硬化性樹脂をそれぞれ供給し、紫外線(UV)を照射してUV硬化性樹脂を硬化させて、レンズブロック6をレンズ枠5に接着固定する。
【0026】
レンズブロック6のMTフェルール接続面6bの両側部には、MTフェルール7を位置決めするためのピン9が形成されている。ピン9の基端部には、拡径部9aが形成されている。拡径部9aの径は、MTフェルール7の嵌合孔7bよりも大きく形成される。さらに、拡径部9aは、MTフェルール7の先端面7aがレンズ6dに干渉しないよう、MTフェルール7の先端面7aとレンズブロック6のMTフェルール接続面6bとを所定の間隔で保持する光軸方向の長さとなっている。
【0027】
[光ファイバケーブル、光コネクタ]
光ファイバケーブル4は、12本の光ファイバを束ねたものであり、その端部には、光コネクタとしての、12芯のMTフェルール7が設けられている。なお、本実施の形態では、光コネクタとしてMTフェルールを使用する場合を説明するが、光コネクタはMTフェルールに限定されない。
【0028】
MTフェルール7の先端面7aの両側部には、レンズブロック6のピン9に嵌合する嵌合孔7bが形成されている。MTフェルール7は、嵌合孔7bをピン9に嵌合させることで、レンズブロック6に対して位置決めがなされ、レンズブロック6に装着される。
【0029】
レンズブロック6にMTフェルール7を装着することで、光素子アレイ2と光ファイバケーブル4とが、レンズブロック6、MTフェルール7を介して光学的に接続される。
【0030】
[光コネクタ枠、弾性部材]
MTフェルール7の周囲には、MTフェルール7をレンズブロック6に装着した状態で固定するための光コネクタ枠10が設けられる。
【0031】
図1、図2及び図5に示すように、光コネクタ枠10は、MTフェルール7の両側を囲む2つの側リブ10aと、それら側リブ10aの一端部(図5(a)では右手前側の端部)同士を接続する後リブ10bとを備え、上面視で略コ字状に形成される。光コネクタ枠10は、1枚の金属板を切断、折曲加工して形成される。金属板は、バネ性を有する材料、例えば、SUSからなる。
【0032】
光コネクタ枠10の両側リブ10a間の間隔は、MTフェルール7の幅よりも大きくされ、光コネクタ枠10をレンズ枠5に係合した際に、光コネクタ枠10の両側リブ10aがMTフェルール7に接触しないようにされる。
【0033】
光コネクタ枠10の両側リブ10aには、その他端部(図5(a)では左奥側の端部)から下方に突出する前側突起12aがそれぞれ形成されており、光コネクタ10の後リブ10bには、後リブ10bから下方に突出する2つの後側突起12bが形成されている。前側突起10aには、前側突起10aの下端部から他端側(図5(a)では右手前側)に延びる鉤部12cが形成される。詳細は後述するが、この鉤部12cは、光コネクタ枠10が基板2の上方に抜けるのを防ぐためのものである。
【0034】
光コネクタ枠10の後リブ10bには、光ファイバケーブル4を通すための切欠き10cが形成される。切欠き10cは、その下方が開口するよう後リブ10bに形成される。
【0035】
また、光コネクタ枠10の後リブ10bとMTフェルール7間には、弾性部材としてのコイルばね14が配設される。コイルばね14は、その中空部に光ファイバケーブル4を通すことで、光ファイバケーブル4に支持される。
【0036】
[光コネクタとレンズブロックの接続構造]
レンズブロック6にMTフェルール7を固定する際には、まず、図6(a)に示すように、レンズブロック6のピン9とMTフェルール7の嵌合孔7bとを嵌合させて、レンズブロック6にMTフェルール7を装着する。その後、図6(b)に示すように、コイルばね14を介して光コネクタ枠10の後リブ10bでMTフェルール7をレンズブロック6側に押し付けた後、光コネクタ枠10を基板2に固定することで、レンズブロック6とMTフェルール7とを固定する。
【0037】
このとき、本実施の形態に係る光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10は、その前側突起12aを基板2の係合孔13aに、その後側突起12bを係合孔13bに係合することで、基板2に固定される。
【0038】
より詳細には、光コネクタ枠10をレンズブロック6側に押し付けることで、光コネクタ枠10の後リブ10bでMTフェルール7とコイルばね14とをレンズブロック6側に押し付け、この状態で、前側突起12aを基板2の係合孔13aに、後側突起12bを係合孔13bに係合させる。その後、光コネクタ枠10に加えていた押し付け力を除くと、図7(a),(b)に示すように、光コネクタ枠10がコイルばね14により後方に付勢され、両突起12a,12bが係合孔13a,13bの他端側(図7(b)では右側)に押し付けられて、光コネクタ枠10が基板2に固定される。
【0039】
本実施の形態では、前側突起12aの下端部に鉤部12cを形成しているため、光コネクタ枠10が後方に付勢されると、鉤部12cが基板2の裏側に回り込み基板2に係合される。これにより、光コネクタ枠10が基板2の上方に抜けてしまうことが抑制される。
【0040】
基板2と光コネクタ枠10との係合を解除するには、光コネクタ枠10をレンズブロック側に押し付けて鉤部12cの係合を解除し、その状態で光コネクタ枠10を上方に持ち上げればよい。これにより、基板2と光コネクタ枠10との係合が解除され、レンズブロック6からMTフェルール7を取り外すことができる。
【0041】
[本実施の形態の作用]
本実施の形態の作用を説明する。
【0042】
本実施の形態に係る光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、MTフェルール7が光コネクタ枠10に対して位置が固定されない。したがって、MTフェルール7をレンズブロック6に装着、固定するとき、レンズ枠5に対するレンズブロック6の位置が1つ1つ異なる場合であっても、レンズブロック6の位置に対応してMTフェルール7の位置決めされて固定されることが可能となる。これにより、レンズブロック6やMTフェルール7に不要な力が加わることがなくなる。よって、基板2に固定されたレンズ枠5にレンズブロック6を接着固定するという、光素子3とレンズブロック6間での光軸のずれが発生しにくい構造を採用できる。
【0043】
また、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10を基板2に固定するようにしたため、例えば、光コネクタ枠10をレンズ枠5に係合させた構造と比較して、光コネクタ枠10を安定して保持することが可能である。
【0044】
さらに、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10の下方に突出する突起12a,12bを、基板2に形成された係合孔13a,13bに係合させるため、MTフェルール7やレンズブロック6の上方に突出する部材がなく、全体として小型な光コネクタとレンズブロックの接続構造1を実現できる。
【0045】
また、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、前側突起12aの下端部に鉤部12cを形成しているため、光コネクタ枠10が基板2の上方に抜けるのを防ぐことが可能である。なお、光コネクタ枠10が上側から押さえられるなど、光コネクタ枠10が基板2の上方に抜けるおそれがない場合は、鉤部12cを省略することも可能である。
【0046】
さらに、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10の後リブ10bに、光ファイバケーブル4を通すための切欠き10cを形成している。光ファイバケーブル4に対して上方から光コネクタ枠10を被せ、光ファイバケーブル4が切欠き10cを通すようにして、光コネクタ枠を取り付けることができる。よって、光コネクタ枠を取り付ける場合、レンズブロック6にMTフェルール7を装着した状態で光コネクタ枠10を容易に取り付け・取り外しすることが可能となり、取り扱いが容易となる。
【0047】
また、光コネクタとレンズブロックの接続構造1では、光コネクタ枠10をレンズブロック6側に押し付けて鉤部12cの係合を解除し、その後光コネクタ枠10を上方に持ち上げるのみで、基板2と光コネクタ枠10の係合を容易に解除でき、レンズブロック6からMTフェルール7を容易に取り外すことができる。
【0048】
[光モジュール]
次に、本発明の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備えた光モジュールについて説明する。
【0049】
図8は、図1〜7で説明した光コネクタとレンズブロックの接続構造1を備えた光モジュールの分解斜視図である。
【0050】
図8に示すように、光モジュール100は、発光素子と発光素子を駆動するドライバICとを表面に搭載した送信側基板101と、受光素子と受光素子からの電気信号を増幅するアンプICとを表面に搭載した受信側基板102と、両基板101,102を収容する上側筐体103と下側筐体104とからなる筐体105とを備えている。
【0051】
両基板101,102は、その表面同士を向かい合わせとした状態で上下に配置される。本実施の形態では、送信側基板101を下側、受信側基板102を上側に配置しているが、送信側基板101と受信側基板102の上下の配置は、光モジュール100を使用するI/Oインターフェイスの規格に従う。
【0052】
本実施の形態では、送信側基板101と受信側基板102とは、その光コネクタとレンズブロックの接続構造も含め、同様の構造である。以下では、送信側基板101について詳しく説明する。
【0053】
[送信側基板]
図9(a)に示すように、送信側回路基板101aの一の側辺側(図9(a)では右手前側)には切欠き106aが形成され、その切欠き106aを送信側回路基板101aの裏面側から塞ぐようにベース107aが設けられる。送信側基板101は、送信側回路基板101aとベース107aとから構成される。
【0054】
送信側回路基板101aは、例えば積層基板からなる。送信側回路基板101aの一端部には、接続端子109aが形成され、カードエッジコネクタ110aが形成されている。
【0055】
ベース107aは、導電性の部材、例えば、銅タングステン(Cu−W)やコバールなどの金属からなり、送信側回路基板101aの内層に形成された図示しないグランドパターンと電気的に接続される。また、ベース107aは、送信側基板101を筐体105内に収容した際に、図示しない放熱シートを介して下側筐体104に接触するようにされ、下側筐体104と熱的に密接するようにされる。
【0056】
ベース107a上には、発光素子アレイ(例えばVCSELアレイなど)3Aと、発光素子アレイ3Aを駆動するドライバIC8Aとが搭載される。図9(b)に示すように、発光素子アレイ3Aの上方にはレンズブロック6Aが配置される。なお、図9(b)では図示していないが、レンズブロック6Aはベース107aに固定されたレンズ枠5Aにより支持される。ベース107aには4つのレンズ枠固定孔2aが形成されており、また、送信側回路基板101aには、光コネクタ枠5Aの突起12a,12bを係合するための係合孔13a,13bが形成されている。
【0057】
図10に示すように、レンズ枠5Aは、ベース107aに形成されたレンズ枠固定孔2aにレンズ枠5Aの脚部5cを嵌合させることで、ベース107aに固定される。レンズブロック6Aは、発光素子アレイ3Aと光軸を一致させた状態でレンズ枠5Aに接着固定される。
【0058】
レンズブロック6Aには、送信側光ファイバケーブル4AのMTフェルール7Aが接続され、発光素子アレイ3Aと送信側光ファイバケーブル4Aとがレンズブロック6Aを介して光学的に接続される。
【0059】
図11に示すように、レンズブロック6AにMTフェルール7Aを固定する際には、レンズブロック6AにMTフェルール7Aを装着した後、コイルばね14Aを介して光コネクタ枠10Aの後リブ10bでMTフェルール7Aをレンズブロック6A側に押し付ける。この状態で、図12に示すように、光コネクタ枠10Aの突起12a,12bを係合孔13a、13bに係合して、送信側回路基板101aに光コネクタ枠10Aを固定する。なお、MTフェルール7Aの下方の送信側回路基板101aには、MTフェルール7Aとの干渉を避けるための孔108aが形成されている。
【0060】
また、切欠き106aを形成した位置よりもカードエッジコネクタ110a側の送信側回路基板101aの両側部には、スペーサ固定用切欠き111aが形成されており、そのスペーサ固定用切欠き111aに後述するスペーサ112が固定される。
【0061】
[受信側基板]
受信側基板102は、発光素子アレイ3Aを受光素子アレイに、ドライバIC8Aを、電気信号を増幅するためのアンプIC8Bに置き換えれば、送信側基板102と同様の構造である。
【0062】
送信側基板102は、受信側回路基板102bとベース107bとから構成される。受信側回路基板102bの一端部には、接続端子109bが形成され、カードエッジコネクタ110bが形成されている。
【0063】
[光ファイバケーブル]
図8に示すように、送受信光ファイバケーブル116は、送信側光ファイバケーブル4Aと受信側光ファイバケーブル4Bとを束ねたものである。
【0064】
送受信光ファイバケーブル116の端部には、送受信光ファイバケーブル116の端部を保護するための樹脂からなる保護カバー117が設けられている。保護カバー117は、例えばゴムブーツからなり、送信側光ファイバケーブル4A、受信側光ファイバケーブル4Bが許容できる曲げ半径以上で曲がらないように送受信光ファイバケーブル116を保護する。
【0065】
送受信光ファイバケーブル116は、その端部において、送信側光ファイバケーブル4Aと受信側光ファイバケーブル4Bに分岐する。送信側光ファイバケーブル4Aの端部にはMTフェルール7Aが設けられ、受信側光ファイバケーブル4Bの端部にはMTフェルール7Bが設けられる。
【0066】
[筐体、上側筐体、下側筐体]
光モジュール100は、両基板101,102を収容する筐体105を有する。
【0067】
筐体105は、上下に分割して形成されており、上側筐体103と下側筐体104とからなる。上側筐体103、下側筐体104は金属からなる。上側筐体103と下側筐体104は、図示しないネジにより固定される。
【0068】
上側筐体103と下側筐体104の後面(図8では左手前側の面)には、送受信光ファイバケーブル116の端部に設けられたゴムブーツからなる保護カバー117を係合するためのフランジ状の係合部103a,104aが形成される。この係合部103a,104aにゴムブーツからなる保護カバー117を係合することで、送受信光ファイバケーブル116が筐体105に固定される。
【0069】
[スペーサ]
図8および図13に示すように、スペーサ112は、送信側基板101と受信側基板102を所定の間隔に保つための部材である。スペーサ112は、板状のプレート部113と、その両端部から所定の高さ上下に突出するように形成された角柱状の支持台114と、両支持台114の上下からさらに突出するように形成されたピン115とからなる。プレート部113、支持台114、ピン115は一体に形成される。
【0070】
スペーサ112は、下に突出するピン115を送信側回路基板101aのスペーサ固定用切欠き111aに、上に突出するピン115を受信側回路基板102bのスペーサ固定用切欠き111bに挿入して、送信側回路基板101aと受信側回路基板102bの間に取り付けられる。このとき、支持体114の下面が送信側回路基板101aの表面に接し、支持体114の上面が受信側回路基板102bの表面に接する。
【0071】
さらに、本実施の形態に係る光モジュール1では、光コネクタ枠10A,10Bがスペーサの役割も兼ねており、上述のスペーサ112と、光コネクタ枠10A,10Bとで、送信側回路基板101aと受信側回路基板102bを所定の間隔に保つようにしている。
【0072】
送信側回路基板101aに設けられる光コネクタ枠10Aは、その下部が送信側回路基板101aの表面に当接すると共に、その上部が受信側回路基板102bの表面に当接するようにされる。また、受信側回路基板102bに設けられる光コネクタ枠10Bは、その下部が受信側回路基板102bの表面に当接すると共に、その上部が送信側回路基板101aの表面に当接するようにされる。
【0073】
このように、光コネクタ枠10A,10Bにスペーサの役割を兼ねさせることで、別途スペーサを設ける必要がなくなると共に、基板101,102にスペーサを設けるためのスペースを確保する必要がなくなり、光モジュール1の低コスト化、小型化に寄与する。
【0074】
また、光モジュール1では、受信側回路基板102bにより光コネクタ枠10Aが送信側回路基板101a側に押し付けられ、送信側回路基板101aにより光コネクタ枠10Bが受信側回路基板102b側に押し付けられることになるので、光コネクタ枠10A,10Bが基板101,102から抜けてしまうおそれがない。
【0075】
スペーサ112の支持体114の上面と下面の間の長さ、および光コネクタ枠10A,10Bの上下の高さは、I/Oインターフェイスの規格に規定される送信側回路基板101aのカードエッジコネクタ110aと受信側回路基板102bのカードエッジコネクタ110bとの間に保つべき間隔と同じ長さとすればよい。
【0076】
また、光コネクタ枠10A,10Bの側リブ10aに、上方に突出する上方突起を形成し、当該上方突起の上部が対向する回路基板102b,101aに接触するようにしてもよい。これにより、光コネクタ枠10A,10Bが対向する回路基板102b,101aに接触する面積が小さくなるので、両回路基板101a,102bの表面に形成する配線パターンの自由度が高くなる。さらに、上方突起を折り曲げて板バネ状に形成するようにしてもよい。これにより、上方突起が接触した部分の回路基板101a,102bに傷がついてしまうことを抑制できる。
【0077】
また、光コネクタ枠10A,10Bとレンズ枠5A,5Bとを、回路基板101a,102bのグランドパターンと電気的に接続して接地し、光コネクタ枠10A,10Bとレンズ枠5A,5Bにて、光素子3A,3Bへのノイズを遮断するようにしてもよい。この場合、光コネクタ枠10A,10Bの側リブ10aをレンズ枠5A,5B側に延長して、光コネクタ枠10A,10Bとレンズ枠5A,5Bとの間に隙間が空かないようにすることが望ましい。
【0078】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1 光コネクタとレンズブロックの接続構造
2 基板
3 光素子
4 光ファイバケーブル
5 レンズ枠
5a 側リブ
5b 前リブ
6 レンズブロック
7 MTフェルール(光コネクタ)
8 IC
10 光コネクタ枠
10a 側リブ
10b 後リブ
12a 前側突起
12b 後側突起
13a,13b 係合孔
14 コイルばね(弾性部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に搭載され、前記基板に垂直な光路を有する光素子と、
前記光素子を囲むように前記基板に固定される、2つの側リブと、それら両側リブの一端部同士を接続する前リブとからなるレンズ枠と、
前記光素子と光軸を一致させた状態で前記レンズ枠の両側リブ間に接着固定される、前記光素子の光路を前記基板と平行な光路に変換するレンズブロックと、
前記基板と平行に配置される、光ファイバケーブルの先端部に設けられた光コネクタと、
前記光コネクタの両側を囲む2つの側リブと、該2つの側リブの他端部同士を接続する後リブとからなる光コネクタ枠と、
前記光コネクタ枠の前記後リブと前記光コネクタ間に配設される弾性部材とを備え、
前記レンズブロックに前記光コネクタを装着し、前記弾性部材を介して前記光コネクタ枠の後リブで前記光コネクタを前記レンズブロック側に押し付けた後、前記光コネクタ枠を前記基板に固定する、
光コネクタとレンズブロックの接続構造。
【請求項2】
前記光コネクタ枠は、前記光コネクタ枠の下方に突出する突起を有し、
前記基板は、前記光コネクタ枠の突起を係合する係合孔を有し、
前記光コネクタ枠は、前記突起を前記基板の前記係合孔に係合することで、前記基板に固定される請求項1に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造。
【請求項3】
前記突起は、前記光コネクタ枠の両側リブの一端部から下方に突出する前側突起と、前記光コネクタ枠の後リブから下方に突出する後側突起とからなり、
前記前側突起は、前記前側突起の下端部から他端側に延びる、前記光コネクタ枠が前記基板の上方に抜けるのを防ぐための鉤部を有する請求項2に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造。
【請求項4】
前記光コネクタ枠の後リブには、前記光ファイバケーブルを通すための切欠きが形成される請求項1〜3いずれかに記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造。
【請求項5】
請求項1に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備えた光モジュール。
【請求項6】
送信側基板と、
受信側基板とを備え、
前記送信側基板の表面側に請求項1に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備え、
前記受信側基板の表面側に請求項1に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備え、
前記光コネクタ枠は、上下の高さが前記送信側基板と前記受信側基板との間に保つべき所定の間隔の長さを有し、
前記送信側基板と前記受信側基板とは、表面同士を向かい合わせとした状態で上下に配置され、前記送信側基板の表面と前記受信側基板の表面が前記光コネクタ枠に当接されて前記送信側基板と前記受信側基板との間が所定の間隔に保たれる
請求項5に記載の光モジュール。
【請求項1】
基板と、
前記基板に搭載され、前記基板に垂直な光路を有する光素子と、
前記光素子を囲むように前記基板に固定される、2つの側リブと、それら両側リブの一端部同士を接続する前リブとからなるレンズ枠と、
前記光素子と光軸を一致させた状態で前記レンズ枠の両側リブ間に接着固定される、前記光素子の光路を前記基板と平行な光路に変換するレンズブロックと、
前記基板と平行に配置される、光ファイバケーブルの先端部に設けられた光コネクタと、
前記光コネクタの両側を囲む2つの側リブと、該2つの側リブの他端部同士を接続する後リブとからなる光コネクタ枠と、
前記光コネクタ枠の前記後リブと前記光コネクタ間に配設される弾性部材とを備え、
前記レンズブロックに前記光コネクタを装着し、前記弾性部材を介して前記光コネクタ枠の後リブで前記光コネクタを前記レンズブロック側に押し付けた後、前記光コネクタ枠を前記基板に固定する、
光コネクタとレンズブロックの接続構造。
【請求項2】
前記光コネクタ枠は、前記光コネクタ枠の下方に突出する突起を有し、
前記基板は、前記光コネクタ枠の突起を係合する係合孔を有し、
前記光コネクタ枠は、前記突起を前記基板の前記係合孔に係合することで、前記基板に固定される請求項1に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造。
【請求項3】
前記突起は、前記光コネクタ枠の両側リブの一端部から下方に突出する前側突起と、前記光コネクタ枠の後リブから下方に突出する後側突起とからなり、
前記前側突起は、前記前側突起の下端部から他端側に延びる、前記光コネクタ枠が前記基板の上方に抜けるのを防ぐための鉤部を有する請求項2に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造。
【請求項4】
前記光コネクタ枠の後リブには、前記光ファイバケーブルを通すための切欠きが形成される請求項1〜3いずれかに記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造。
【請求項5】
請求項1に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備えた光モジュール。
【請求項6】
送信側基板と、
受信側基板とを備え、
前記送信側基板の表面側に請求項1に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備え、
前記受信側基板の表面側に請求項1に記載の光コネクタとレンズブロックの接続構造を備え、
前記光コネクタ枠は、上下の高さが前記送信側基板と前記受信側基板との間に保つべき所定の間隔の長さを有し、
前記送信側基板と前記受信側基板とは、表面同士を向かい合わせとした状態で上下に配置され、前記送信側基板の表面と前記受信側基板の表面が前記光コネクタ枠に当接されて前記送信側基板と前記受信側基板との間が所定の間隔に保たれる
請求項5に記載の光モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−141443(P2011−141443A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2207(P2010−2207)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
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