光コネクタアセンブリ及び光コネクタ
【課題】光コネクタの先端面のファイバ配列を、1列に並ぶ第1配列と2列に並ぶ第2配列との間で変更可能にする。
【解決手段】光コネクタアセンブリ1は、複数の光ファイバ25を保持するフェルール(ファイバ保持部)11と、前記光ファイバの配列を、前記ファイバ保持部の先端面で1列に並ぶ第1配列L1と、前記先端面で2列に並ぶ第2配列L2の間で変更するガイド機構32を有するハウジング30とを有し、前記フェルールは、前記複数の光ファイバの一部を前記第1配列に沿って保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分を前記第1配列と前記第2配列の間で移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔13を有し、前記ガイド機構は、前記光ファイバの前記他の部分を前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させて前記第1配列と前記第2配列を切り替える。
【解決手段】光コネクタアセンブリ1は、複数の光ファイバ25を保持するフェルール(ファイバ保持部)11と、前記光ファイバの配列を、前記ファイバ保持部の先端面で1列に並ぶ第1配列L1と、前記先端面で2列に並ぶ第2配列L2の間で変更するガイド機構32を有するハウジング30とを有し、前記フェルールは、前記複数の光ファイバの一部を前記第1配列に沿って保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分を前記第1配列と前記第2配列の間で移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔13を有し、前記ガイド機構は、前記光ファイバの前記他の部分を前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させて前記第1配列と前記第2配列を切り替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタアセンブリと光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ網の急速な発展により、光伝送の大容量化が進む一方で、装置間あるいは機器間の接続のように、近距離での光通信も実現され始めている。装置間あるいは機器間で光接続を行なうために光コネクタが使用される。当初は主として単心の光コネクタが使用されていたが、近年では複数の光ファイバを一括して接続する多芯光コネクタも多く使用されている。
【0003】
整列した複数の光ファイバ穴の両側にガイドピン孔を持つピン嵌合位置決め方式の樹脂製の多心光コネクタは、JIS C 5981(F12形多心光ファイバコネクタ)に規定され、一般にMT光コネクタと呼ばれている。現在、最大12心までの光コネクタが規定されている。
【0004】
MTコネクタを含む光コネクタは、今後さらに多心化が進み、ファイバ間ピッチと多段構成によって配列パターンが多様化すると予想される。仮に24心とする場合、従来のMTコネクタのファイバ間ピッチで2列12心、もしくはファイバ間ピッチを従来のMTコネクタの半分にした1列24心が考えられる。多チャンネル光モジュールと多心光コネクタとの接続を想定した場合、モジュールの製造方法や構造によってモジュール側の出力インタフェースも多様化すると考えられ、規格化された多心光コネクタとの間で配列の相違から接続不良が発生するおそれがある。これを回避するために、配列変換アダプタを用いてベンダーモジュールと規格化された光コネクタを接続することが考えられる。しかし、接続箇所の数が増えるため、接続損失が増加する。
【0005】
このような事情に鑑みると、接続部の数や接続損失を増やすことなく、ひとつの光コネクタ内で配列変換をすることのできる多心光コネクタの実現が望まれる。
【0006】
なお、配列変換アダプタの一例として、複数本の光ファイバ心線のピッチを別のピッチに変換することができるファイバピッチ変換分離治具が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この文献では、ファイバピッチ変換分離治具の挿入穴から光ファイバ心線を挿入し、ファイバ挿通穴を介して排出穴から引き出すことによって、125μmピッチ、24心配列の細径光ファイバを、250μmピッチ、12心2段の配列に変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−212779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光接続部の数や接続損失を増加させずに、ひとつの光コネクタ内でファイバ配列の変換を可能にする光コネクタ構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、光コネクタアセンブリを提供する。光コネクタアセンブリは、
複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と、
前記光ファイバの配列を、前記光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部の先端面で1列に並ぶ第1配列と、前記光ファイバの照射端が前記先端面で2列に並ぶ第2配列の間で変更するガイド機構とを有し、
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの一部を前記第1配列に沿って保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分を前記第1配列と前記第2配列の間で移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔を有し、
前記ガイド機構は、前記光ファイバの前記他の部分を前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させて前記第1配列と前記第2配列を切り替える。
【0010】
第2の態様では、光コネクタを提供する。光コネクタは、
複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と
を備え、前記ファイバ保持部は、
前記複数の光ファイバの一部を第1の方向に整列させて固定的に保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分をその照射端が前記ファイバ保持部の先端面で所定の方向に移動可能な状態で保持する第2ファイバ挿入孔とを有し、
前記第2ファイバ挿入孔は、前記先端面での断面形状が、前記第1ファイバ挿入孔と前記第1の方向で隣接する第1端部と、前記第1の方向と直交する第2の方向で前記第1ファイバ挿入孔と整列する第2端部を有する長孔である。
【発明の効果】
【0011】
一つの光コネクタ内でファイバ配列を変更して、異なる光ファイバ配列や光素子配列に対応することができる。追加のアダプタ等が不要になり、接続損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の光コネクタアセンブリの原理図である。
【図2】フェルール先端面における第1ファイバ挿入孔と第2ファイバ挿入孔の位置関係を示す図である。
【図3】光コネクタアセンブリのファイバ配列の変換を示す図である。
【図4】実施例の光コネクタアセンブリを2段配列コネクタと接続するときの概略図である。
【図5】接続前の状態における図4のA断面とB断面を示す図である。
【図6】接続後の状態における図4のA断面とB断面の図である。
【図7】実施例の光コネクタアセンブリを1段配列コネクタと接続するときの概略図である。
【図8】接続前の状態における図7のC断面とD断面の図である。
【図9】接続後の状態における図7のC断面とD断面の図である。
【図10】ガイドピン孔の変形例を示す図である。
【図11】第2ファイバ挿入孔の変形例を示す図である。
【図12】スリットの変形例を示す図である。
【図13】24心コネクタアセンブリの実施例を示す図である。
【図14】光通信モジュールの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図3を参照して、実施例の光コネクタアセンブリの原理を説明する。図1(A)は、実施例の光コネクタアセンブリで用いられるフェルール11の光ファイバ挿入前の概略図、図1(B)はフェルール11に光ファイバ25を挿入した光コネクタ10の概略図である。フェルール11は、光ファイバ25を固定的に保持する第1ファイバ挿入孔12と、光ファイバ25の照射端がフェルール先端面11cで移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔13を有する。第1ファイバ挿入孔12と第2ファイバ挿入孔13は、ファイバ配列方向(X方向)に沿って交互に配置され、フェルール後面11dのファイバ挿入用の開口19及び接着剤滴下スペース18と連通している。
【0014】
第1ファイバ挿入孔12は丸孔である。第2ファイバ挿入孔13は、フェルール11の先端面11cで断面形状が長く延びる長孔である。第2ファイバ挿入孔13の断面の一端から、フェルール11の第1主面11aに向かって第1スリット14aが延びる。第2ファイバ挿入孔13の断面の他端から、フェルール11の第2主面11bに向かって第2スリット14bが延びる。第1スリット14a又は第2スリット14bを介して、ガイド片(図3参照)を第2ファイバ挿入孔13に導入することによって、第2ファイバ挿入孔13に挿入される光ファイバ25の照射端を、フェルール先端面11cで移動させる。この動作については、図3を参照して後述する。
【0015】
スリット14a、14bは、フェルール11の先端面11cから後面11dに向かって所定の長さで延びる。第2ファイバ挿入孔13は、スリット14a、14bの光軸方向(Z方向)の長さに対応する部分では、断面が長軸を有する長孔として形成され、その後部は第1ファイバ挿入孔12と同様の丸孔となって接着剤滴下スペース18と開口19に連通する。
【0016】
図1(B)は、フェルール11に光ファイバ25が挿入された光コネクタ10を示す。フェルール11に光ファイバ25が挿入されると、接着剤滴下スペース18から接着剤が導入され、光ファイバ25がフェルール11の後面11d付近で固定される。スリット14a、14bと、第2ファイバ挿入孔13の長孔部分がZ方向に延びる長さLは、光ファイバ25の照射端が、第2ファイバ挿入孔13に沿って移動できる長さである。例えば、125um径の光ファイバ25を用いたときに、スリット14a、14b及び第2ファイバ挿入孔13の長孔部分の長さLは、5〜7mmである。フェルール11の先端面11cは、相手側コネクタあるいは相手側光モジュールとの光接続面となる。
【0017】
フェルール11は、第1ファイバ挿入孔12と第2ファイバ挿入孔13の交互配列の両側に、ガイドピン孔16、17を有する。図1の例では、ガイドピン孔16は、第2ファイバ挿入孔13に隣接し、ガイドピン孔17は、第1ファイバ挿入孔12に隣接する。ガイドピン孔16は、第2ファイバ挿入孔13と同じ方向に傾斜する長孔である。ガイドピン孔17は、第1ファイバ挿入孔12の配列と直交してY方向に延びる長孔である。
【0018】
図1(B)に示すように、ガイドピン孔16、17にガイドピン26が挿入され、光コネクタ10は相手側コネクタ(不図示)と位置決めされる。フェルール先端面11cでの光ファイバ25の配列に応じて、ガイドピン孔16、17内のガイドピン26の位置が異なってくる。これについては図3を参照して後述する。
【0019】
図2は、第1ファイバ挿入孔12と第2ファイバ挿入孔13の位置関係を説明する図である。フェルール先端面11cあるいは光軸に垂直なXY平面において、第1ファイバ挿入孔12と第2ファイバ挿入孔13は、ラインL1に沿って交互に配置される。ラインL1上での隣接する孔と孔の間のピッチP1は、ファイバ径に対応する。
【0020】
第2ファイバ挿入孔13は、ラインL1からラインL2に向かって斜めに延びる。第2ファイバ挿入孔13の断面は、ラインL1上に位置する第1端部13aと、ラインL2上に位置する第2端部13bを有し、第1端部13aと第2端部13bの間で長く延びる。第2端部13bは、第1ファイバ挿入孔12とY軸方向でアラインする。ライン2上での孔のピッチP2は、ラインL1上での孔のピッチの2倍になる。ラインL1とラインL2の間の距離(d)は、たとえば125um径の光ファイバ25を用いたときに、300umである。
【0021】
光ファイバ25の照射端が第2ファイバ挿入孔13の第1端部13aに位置するときは、フェルール11に保持されるすべての光ファイバ25がラインL1上に並ぶ。これを第1配列とする。この状態で、光コネクタ10は、一列配列のコネクタや光素子モジュールと接続可能になる。
【0022】
光ファイバ25の照射端が第2挿入孔13の第2端部13bに位置するときは、フェルール11に保持される光ファイバ25は、L1とL2に沿った2列配列(第2配列)となる。光コネクタ10は、二列配列のコネクタや光素子モジュールと接続可能になる。
【0023】
図3は、第1配列と第2配列の変換を説明する図である。図3(A)は、光コネクタアセンブリ1で用いられるガイド機構32を示す。ガイド機構32は、例えば光コネクタ10を収容するハウジング30に配置される。ガイド機構32は、ハウジング本体31の内部に間隔P2で配置される複数のガイド片32−1〜32−4を含む。ガイド片32−1〜32−4は、薄い金属やプラスチック等で形成された可撓性の部材である。
【0024】
図1(B)の光コネクタ10が、フェルール11先端面11cからハウジング31の開口31Aに挿入されると、フェルール11の上下方向に応じて、ガイド片32−1〜32−4(適宜「ガイド片32」と総称する)がテーパ状に拡がったスリット14a又はスリット14bのいずれかに入り込む。ガイド片32により、光ファイバ25の照射端は第2ファイバ挿入孔13に沿って斜め上方に押し上げられる。スリット14a、14bへのガイド片32−1〜32−4の導入を容易にするために、ガイド片32−1〜32−4に、挿入方向(光軸方向)に沿った傾斜を持たせてもよい。
【0025】
図3(B)は、第2配列の光コネクタアセンブリ1を示す。光コネクタ10は、フェルール11の主面11aを下側、反対側の主面11bを上側にしてハウジング本体31に挿入される。ガイド片32−1〜32−4は、光コネクタ10の対応するスリット14aに入り込み、光ファイバ25の照射端を第1端部13a(ラインL1)から第2端部13b(ラインL2)まで持ち上げる。他方、第1ファイバ挿入孔12に保持された光ファイバ25の照射端は、ラインL1に固定されている。これにより、複数の光ファイバ25はL1とL2に並ぶ第2配列となる。このとき、ガイドピン26は、L1とL2の中間位置にある。
【0026】
図3(C)は、第1配列の光コネクタアセンブリ1を示す。光コネクタ10は、図3(B)と上下を逆にしてハウジング本体31に挿入される。フェルール11の主面11aが紙面の上側、主面11bが紙面の下側になっている。ガイド片32−1〜32−4は、光コネクタの対応するスリット14bに入り込み、光ファイバ25の照射端を第2ファイバ挿入孔13に沿って第1端部13aまで持ち上げる。これによりすべての光ファイバ25がラインL1に揃う。このとき、ガイドピン26は、L1の位置にある。
【0027】
ガイドピン26は、第1配列のときも第2配列のときも、光ファイバ配列に対して対称な位置にあるのが望ましい。第1配列での対称位置はL1上であり、第2配列での対称位置は、L1とL2の中間である。そこで、ガイドピン孔16,17は、ファイバ配列に応じてガイドピン26の位置を変更できる形状を有する。
【0028】
図3の例では、第1ファイバ挿入孔12に隣接するガイドピン孔17の断面形状は長円であり、L1位置からL1とL2の中間点まで、L1と直交する方向に延びる。第2ファイバ挿入孔13に隣接するガイドピン孔16の断面形状は長円であり、L1からL1とL2の中間点まで、第2ファイバ挿入孔13と同じ方向に傾斜して延びる。これにより、ファイバ配列が変更された場合でも、光コネクタ10を正しく位置決めすることができる。
【0029】
なお、図3の例ではガイド機構32はハウジング30の底面に配置されているが、ハウジングの天井に形成してもよい。この場合、ガイド片32−1〜32−4は上側からスリット14に入り込んで光ファイバ25の照射端を移動させるので、2段配列と1段配列は図3(b)、図3(C)の場合と逆になる。
【0030】
図4〜図6は、光コネクタ10を任意の2段配列コネクタ40Aと接続するときの動作を説明する図である。図4において、光コネクタ10はハウジング30内で相手側の2段配列コネクタ40Aと光接続される。断面Aは、光コネクタ10を第1ファイバ挿入孔12の位置で切ったときの縦断面、断面Bは、光コネクタ10を第2ファイバ挿入孔13で切ったときの縦断面である。
【0031】
図5は、光接続される前の断面Aと断面Bを示す。図5(A)の断面Aでは、光コネクタ10の第1ファイバ挿入孔12に挿入された光ファイバ25と、隣接する第2ファイバ挿入孔13の第2端部13b及びそれに続くスリット14bが見えている。光コネクタ10は接着剤22が充填され硬化された接着剤滴下スペース18を上側にして挿入される。図5(B)の断面Bでは、第2ファイバ挿入孔13に挿入された光ファイバ25が見えている。ハウジング30には、ガイド片32が設けられている。
【0032】
図6は、光接続された状態の断面Aと断面Bを示す。光コネクタ10の光ファイバ25の照射端25aは、フェルール先端面11cで相手側コネクタ40Aの光ファイバ45と接続されている。図6(B)の断面Bでは、ガイド片32はテーパ状のスリット14aに導入されて、第2ファイバ挿入孔13内の光ファイバ25を斜め上方に押し上げている。図6(A)に示すように、光ファイバ25は、第2ファイバ挿入孔13の第2端部13bまで押し上げられて、第1ファイバ挿入孔12内の光ファイバ25とY方向にアラインする。これにより相手側コネクタ40の光ファイバ45との接続が可能になる。
【0033】
図7〜図9は、光コネクタ10を任意の1段配列コネクタ40Bと接続するときの動作を説明する図である。図7において、光コネクタ10は図4と上下を逆にしてハウジング30に挿入される。断面Cは、光コネクタ10を第2ファイバ挿入孔13の位置で切ったときの縦断面、断面Dは、光コネクタ10を第1ファイバ挿入孔12の位置で切ったときの縦断面である。
【0034】
図8は、光接続される前の断面Cと断面Dを示す。図8(A)の断面Cでは、光コネクタ10の第2ファイバ挿入孔13に挿入された光ファイバ25と、第2ファイバ挿入孔13の第1端部13aにつながるスリット14aが見えている。光コネクタ10は接着剤22が充填され硬化された接着剤滴下スペース18を下側にして挿入される。図8(B)の断面Dでは、第1ファイバ挿入孔12に挿入された光ファイバ25と、斜めに延びる第2ファイバ挿入孔13の第2端部13b及びこれにつながるスリット14bが見えている。
【0035】
図9(A)と図9(B)は、光接続された状態の断面Cと断面Dをそれぞれ示す。光コネクタ10の光ファイバ25の照射端25aは、ハウジング30内で相手側コネクタ40Bの光ファイバ45と接続されている。図9(B)の断面Dにおいて、ガイド片32はスリット14bを通って、斜め上方に延びる第2ファイバ挿入孔13に案内される。これにより、図9(A)の断面Cのように、第2ファイバ挿入孔13内の光ファイバ25を第1端部13aまで押し上げる。この状態で、第2ファイバ挿入孔13内の光ファイバ25は第1ファイバ挿入孔12内の光ファイバ25(図9(B))と、ファイバ配列方向にアラインする。したがって、一列配列の相手側コネクタ40Bの光ファイバ45と接続が可能になる。
【0036】
図10は、ガイドピン孔の変形例を示す。図1〜3の例では、ガイドピン孔16、17は断面が長円に形成されていた。図10(A)の例では、フェルール51Aのガイドピン孔56、57は、断面形状が8字型をしている。ガイドピン孔56は、第1ファイバ挿入孔12の配列とアラインする第1空間56−1と、第2ファイバ挿入孔13の中間位置にアラインする第2空間56−2とが互いに連通している。第1空間56−1と第2空間56−2は、第2ファイバ挿入孔13の傾斜方向に傾斜して形成される。ガイドピン孔57は、第1ファイバ挿入孔の配列とアラインする第1空間57−1と、第2ファイバ挿入孔13の中間位置にアラインする第2空間57−2とが互いに連通している。第1空間57−1と第2空間57−2は、第1ファイバ挿入孔12の配列と直交する方向(Y方向)に延びる。
【0037】
図示しないガイドピンは、相手側コネクタが1列配列のときは第1の空間56−1、57−1に挿入される。相手側コネクタが2列配列のときは、ガイドピンは第2の空間56−2、57−2に挿入される。
【0038】
図10(B)の例では、フェルール51Bは、第1ファイバ挿入孔12と隣接する側に2つのガイドピン孔57a、57bを有し、第2ファイバ挿入孔13と隣接する側に2つのガイドピン孔56a、56bを有する。ガイドピン孔56bは、ガイドピン孔56aに対して第2ファイバ挿入孔13が傾斜する方向にオフセットしている。ガイドピン孔57aと57bは、Y方向にアラインする。
【0039】
図示しないガイドピンは、相手側コネクタが1列配列のときはガイドピン孔56a、57bに挿入される。相手側コネクタが2列配列のときは、ガイドピン孔56b、57bに挿入される。
【0040】
フェルール51A、51Bの上記以外の構成は図1と同様である。すなわち、第2ファイバ挿入孔13は第1ファイバ挿入孔12と交互に配置され、フェルール先端面51cでの断面形状が斜めに長く延びる。第1ファイバ挿入孔12とX方向に隣接する端部13aからフェルール主面51aにスリット14aが延びる。第1ファイバ挿入孔12とY方向にアラインする他方の端部13bからフェルール主面51bにスリット14bが延びる。
【0041】
図11は、第2ファイバ挿入孔の変形例を示す。図11(A)では、フェルール61Aは、X方向に並ぶ第1ファイバ挿入孔12と、第1ファイバ挿入孔12と交互に配置される第2ファイバ挿入孔63を有する。第2ファイバ挿入孔63は、フェルール先端面61cにおいて、S字型あるいはアーチ型の断面形状を有する。第2ファイバ挿入孔63の断面の第1端部63aからフェルール61Aの第1主面61aまで第1スリット14aが延びる。第2ファイバ挿入孔63の断面の第2端部63bからフェルール61Aの第2主面61bまで第2スリット14bが延びる。
【0042】
この構成でも、フェルール61Aに光ファイバが挿入されたときに、フェルール61A上下の向きに応じて、第1スリット14a又は第2スリット14bでガイド片32を受け取って、光ファイバを第2ファイバ挿入孔63Aに沿って移動させることができる。
【0043】
図11(B)では、フェルール61Bの第2ファイバ挿入孔65は、フェルール先端面61cでの断面形状は斜めに延びる楕円である。楕円断面の第1端部65aからフェルール主面61aにスリット14aが延び、第2端部65bからフェルール主面61bにスリット14bが延びる。この構成でも、図11(A)と同様の効果を得ることができる。
【0044】
図12は、スリット14の変形例を示す。フェルール71は、テーパ状のスリットに替えて直線型のスリット74a、74bを有する。スリット74aは、第2ファイバ挿入孔13の断面の一端側からフェルール主面71aまで延びる。スリット74bは、第2ファイバ挿入孔13の断面の他端側からフェルール71の反対側の主面71bまで延びる。この構成でも、ハウジングに設けられたガイド片32(図3参照)を適切に導くことができる。
【0045】
図13は、24心の光コネクタ10の概略図である。24心の光コネクタ10は、アレイ状に形成された24本の光ファイバ25(コア径50um、クラッド径125um)を含む。光ファイバ25は、24心用のフェルール11に挿入される。各光ファイバ25は、フェルール11の先端面11cから7mmのところで接着固定される。接着固定は、接着剤導入スペース18に接着剤を流し込み硬化することで行なう。1列配列時のファイバ間ピッチは125um、2列配列時のファイバ間ピッチは250um、列間距離(L1とL2の間の距離)は300umである。スリット14a、14b、及び第2ファイバ挿入孔13の長孔部分がZ方向に延びる長さは5mmである。
【0046】
図3を参照して述べたガイド機構と、フェルール11の上下反転を利用して、図13(A)に示す2列配列と、図13(B)に示す1列配列とを切り替えることができる。図3の例では、ハウジング30の底面にガイド機構32を設け、光ファイバ25を下側から押し上げていたが、ハウジング30の天井にガイド機構32を設けて第2ファイバ挿入孔内の光ファイバ25を押し下げる構成としてもよいことは上述したとおりである。
【0047】
ピン孔16、17は、ファイバ列の両脇に1つずつ配置されている。このうち第2ファイバ挿入孔13と隣接するガイドピン孔16の一端は、他端に対して62.5umだけ第2ファイバ挿入孔13の傾斜方向にオフセットしている。これは、第1配列時にガイドピン26をL1の位置で受け取り、第2配列時にL1とL2の中間点で受け取るためである。ガイドピン孔16をL1とL2の中間点まで傾斜させて、2列配列に対してガイドピン孔17と対称な位置に置くために、ファイバ間ピッチ125umの半分の距離でオフセットさせる。
【0048】
第2ファイバ挿入孔13の断面の両端からフェルール11の主面11a、11bに延びるスリット14a、14bは、第2ファイバ挿入孔13の断面端部での幅が80um、フェルール主面11a、11bでの幅が150umである。スリット14a又は14bに案内されるガイド片32は、厚さ60umの金属製のプレートを階段状に形成したものであり、図示しないハウジング内に設置されている(図3参照)。
【0049】
作製した光コネクタアセンブリ1を、あらかじめ1列に光路が配列された光モジュールと、2列に光路が配列された光モジュールにそれぞれ接続して、原理確認と性能評価を行なった。
【0050】
図14は、光コネクタアセンブリ1と光モジュール110A,110Bとの光学的な接続例を示す。図14(A)では、基板101上に光素子102が2列に配列された光モジュール110Aと光コネクタアセンブリ1を光学的に接続する。図14(B)では、基板101上に光素子102が1列に配列された光モジュール110Bと光コネクタアセンブリ1を光学的に接続する。
【0051】
図14(A)では、光コネクタ10は、フェルール主面11aが光モジュール110Aの基板101と面する向きでハウジング30に挿入されている。多心テープファイバ20から延びる光ファイバ25のうち、第2ファイバ挿入孔13に挿入された光ファイバ25は、ハウジング30のガイド片32によってファイバ挿入孔13に沿って斜め上方に押し上げられる。これにより、第1ファイバ挿入孔12に挿入された光ファイバ25の照射端25aと、第2ファイバ挿入孔13に挿入された光ファイバ25の照射端25aが、基板101に対して垂直な方向(Y方向)で2列に並ぶ。
【0052】
光素子102は、電気信号を光信号に変換する場合は、たとえばVCSEL(vertical cavity semiconductor emission laser)アレイである。この場合、発光素子102からの光信号は、光変換部90によって2列配列された光ファイバ25に導かれる。
【0053】
光信号を電気信号に変換する場合は、光素子102はたとえばフォトダイオードなどの受光素子である。光コネクタアセンブリ1を伝搬してきた光信号は、光路変換部90を介して光素子102に入射する。受光素子102で生成された電流は図示しないTIA(trans-impedance amplifier)によって電圧に変換される。
【0054】
図14(B)では、光コネクタ10は、その上下を逆にしてハウジング30に挿入される。フェルール主面11bが基板101と向き合い、ガイド片32によって、すべての光ファイバ25の照射端25aが一列に並ぶ。
【0055】
図14(A)の場合も、図14(B)の場合も、光接続は問題なく行なわれることが確認された。第2ファイバ挿入孔13を設けたことで、2段接続時に上段と下段でフェルール先端からみたファイバ長に約10umのばらつきが生じるが、この量は光ファイバ26の切断ばらつきで吸収される量である。第2ファイバ挿入孔13内で光ファイバ25の端面26aがフェルール先端から約20um後退していた場合でも、損失への影響は最大0.3dBであった。このときの全体の接続損失は最大0.5dBであった。
【0056】
このように、実施例の光コネクタアセンブリ1によって、光ファイバ25の配列を、1列配列と2列配列の間で容易に変更することができる。種々の光モジュール110との接続を想定した場合、モジュール側の設計仕様に応じてファイバ配列を簡単に変更することができ、ユーザビリティの向上が期待できる。さらに、追加のアダプタを要しないので接続損失を抑制することができる。
【0057】
本発明は、上述した実施例に限定されない。光ファイバは石英ファイバ、プラスチックファイバ、(有機樹脂ファイバ、フッ素系ポリマファイバなど)、中空ファイバなど、任意の光ファイバを用いることができる。ハウジングにガイド機構を配置する位置やガイド片の形状も適宜変更することができる。また、ガイドピン孔は必ずしもファイバ孔の配列の両側にある必要はなく、いずれか一方の側のみに設けてもよい。
【0058】
以上の説明に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と、
前記光ファイバの配列を、前記光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部の先端面で1列に並ぶ第1配列と、前記光ファイバの照射端が前記先端面で2列に並ぶ第2配列の間で変更するガイド機構と、
を有し、
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの一部を前記第1配列に沿って保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分を前記第1配列と前記第2配列の間で移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔を有し、
前記ガイド機構は、前記光ファイバの前記他の部分を前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させて前記第1配列と前記第2配列を切り替えることを特徴とする光コネクタアセンブリ。
(付記2)
前記ガイド機構は、前記ファイバ保持部を収容するハウジングに設けられ、前記ファイバ保持部が前記ハウジングに収容されたときに、前記光ファイバの前記他の部分を、前記第2ファイバ挿入孔に沿って前記第1配列と前記第2の間で移動させることを特徴とする付記1に記載の光コネクタアセンブリ。
(付記3)
前記ファイバ保持部は、前記第2ファイバ挿入孔から前記ファイバ保持部の第1主面に延びる第1スリットと、前記第2ファイバ挿入孔から前記第1主面と反対側の第2主面に延びる第2スリットとをさらに有し、
前記ガイド機構は、前記第1スリット又は第2スリットを介して、前記光ファイバの前記他の部分を、前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させることを特徴とする付記2に記載のコネクタアセンブリ。
(付記4)
前記ファイバ保持部が前記ハウジングに収容されるときの前記第1主面と前記第2主面の向きに応じて、前記ガイド機構は、前記第1スリット又は前記第2スリットのいずれかを介して、前記複数の光ファイバの前記他の部分を前記第1配列又は前記第2配列の位置へ移動させることを特徴とする付記3に記載のコネクタアセンブリ。
(付記5)
前記ガイド機構は、前記第2ファイバ挿入孔に対応して前記ハウジングに配置される可撓性のガイド片を含むことを特徴とする付記2〜4のいずれか1に記載の光コネクタアセンブリ。
(付記6)
前記ガイド片は、前記ファイバ保持部の前記ハウジングへの挿入方向に沿って傾斜を有することを特徴とする付記5に記載の光コネクタアセンブリ。
(付記7)
複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と
を備え、前記ファイバ保持部は、
前記複数の光ファイバの一部を第1の方向に整列させて固定的に保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分をその照射端が前記ファイバ保持部の先端面で所定の方向に移動可能な状態で保持する第2ファイバ挿入孔とを有し、
前記第2ファイバ挿入孔は、前記先端面での断面形状が、前記第1ファイバ挿入孔と前記第1の方向で隣接する第1端部と、前記第1の方向と直交する第2の方向で前記第1ファイバ挿入孔と整列する第2端部を有する長孔であることを特徴とする光コネクタ。
(付記8)
前記第2ファイバ挿入孔の前記第1端部から前記ファイバ保持部の第1主面に延びる第1スリットと、
前記第2ファイバ挿入孔の前記第2端部から前記第1主面と反対側の第2主面に延びる第2スリット、
をさらに有することを特徴とする付記7に記載の光コネクタ。
(付記9)
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部先端面で1列に並ぶ第1配列と、2列に並ぶ第2配列とに応じて、異なる位置でガイドピンを受け取るガイドピン孔をさらに有することを特徴とする付記7又は8に記載の光コネクタ。
(付記10)
前記ガイドピン孔は、前記第1配列に揃う第1位置で前記ガイドピンを受け取る第1孔部と、前記第2配列の中間点で前記ガイドピンを受け取る第2孔部を含むことを特徴とする付記9に記載の光コネクタ。
(付記11)
前記ガイドピン孔の第1孔部と第2孔部は別々に形成されることを特徴とする付記10に記載の光コネクタ。
(付記12)
前記ガイドピン孔の第1孔部と第2孔部は連通する共通孔として形成されることを特徴とする付記10に記載の光コネクタ。
(付記13)
前記ガイドピン孔は、前記第1ファイバ挿入孔と前記第2ファイバ挿入孔の交互配列の両側または一方の側に形成され、
前記ガイドピンが前記第1ファイバ挿入孔に隣接して設けられるときは、前記先端面での断面形状が前記第1位置から前記中間点まで前記第1配列と直交する方向に延び、
前記ガイドピンが前記第2ファイバ挿入穴に隣接して設けられるときは、前記先端面での断面形状が、前記第1位置から所定の方向に傾斜して前記中間点まで延びることを特徴とする付記10に記載の光コネクタ。
【産業上の利用可能性】
【0059】
光通信ネットワーク、光インタコネクション、光機器内部などで行なわれる光接続に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 光コネクタアセンブリ
10 光コネクタ
11、51A、51B、61A、61B、71 フェルール(ファイバ保持部)
11a、11b、71a、71b フェルール主面
11c フェルール先端面
12 第1ファイバ挿入孔
13 第2ファイバ挿入孔
13a 第1端部
13b 第2端部
14a 第1スリット
14b 第2スリット
16、17 ガイドピン孔
26 ガイドピン
30 ハウジング
32 ガイド機構
32−1〜32−4 ガイド片
100 光通信モジュール
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタアセンブリと光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ網の急速な発展により、光伝送の大容量化が進む一方で、装置間あるいは機器間の接続のように、近距離での光通信も実現され始めている。装置間あるいは機器間で光接続を行なうために光コネクタが使用される。当初は主として単心の光コネクタが使用されていたが、近年では複数の光ファイバを一括して接続する多芯光コネクタも多く使用されている。
【0003】
整列した複数の光ファイバ穴の両側にガイドピン孔を持つピン嵌合位置決め方式の樹脂製の多心光コネクタは、JIS C 5981(F12形多心光ファイバコネクタ)に規定され、一般にMT光コネクタと呼ばれている。現在、最大12心までの光コネクタが規定されている。
【0004】
MTコネクタを含む光コネクタは、今後さらに多心化が進み、ファイバ間ピッチと多段構成によって配列パターンが多様化すると予想される。仮に24心とする場合、従来のMTコネクタのファイバ間ピッチで2列12心、もしくはファイバ間ピッチを従来のMTコネクタの半分にした1列24心が考えられる。多チャンネル光モジュールと多心光コネクタとの接続を想定した場合、モジュールの製造方法や構造によってモジュール側の出力インタフェースも多様化すると考えられ、規格化された多心光コネクタとの間で配列の相違から接続不良が発生するおそれがある。これを回避するために、配列変換アダプタを用いてベンダーモジュールと規格化された光コネクタを接続することが考えられる。しかし、接続箇所の数が増えるため、接続損失が増加する。
【0005】
このような事情に鑑みると、接続部の数や接続損失を増やすことなく、ひとつの光コネクタ内で配列変換をすることのできる多心光コネクタの実現が望まれる。
【0006】
なお、配列変換アダプタの一例として、複数本の光ファイバ心線のピッチを別のピッチに変換することができるファイバピッチ変換分離治具が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この文献では、ファイバピッチ変換分離治具の挿入穴から光ファイバ心線を挿入し、ファイバ挿通穴を介して排出穴から引き出すことによって、125μmピッチ、24心配列の細径光ファイバを、250μmピッチ、12心2段の配列に変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−212779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光接続部の数や接続損失を増加させずに、ひとつの光コネクタ内でファイバ配列の変換を可能にする光コネクタ構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、光コネクタアセンブリを提供する。光コネクタアセンブリは、
複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と、
前記光ファイバの配列を、前記光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部の先端面で1列に並ぶ第1配列と、前記光ファイバの照射端が前記先端面で2列に並ぶ第2配列の間で変更するガイド機構とを有し、
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの一部を前記第1配列に沿って保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分を前記第1配列と前記第2配列の間で移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔を有し、
前記ガイド機構は、前記光ファイバの前記他の部分を前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させて前記第1配列と前記第2配列を切り替える。
【0010】
第2の態様では、光コネクタを提供する。光コネクタは、
複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と
を備え、前記ファイバ保持部は、
前記複数の光ファイバの一部を第1の方向に整列させて固定的に保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分をその照射端が前記ファイバ保持部の先端面で所定の方向に移動可能な状態で保持する第2ファイバ挿入孔とを有し、
前記第2ファイバ挿入孔は、前記先端面での断面形状が、前記第1ファイバ挿入孔と前記第1の方向で隣接する第1端部と、前記第1の方向と直交する第2の方向で前記第1ファイバ挿入孔と整列する第2端部を有する長孔である。
【発明の効果】
【0011】
一つの光コネクタ内でファイバ配列を変更して、異なる光ファイバ配列や光素子配列に対応することができる。追加のアダプタ等が不要になり、接続損失を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例の光コネクタアセンブリの原理図である。
【図2】フェルール先端面における第1ファイバ挿入孔と第2ファイバ挿入孔の位置関係を示す図である。
【図3】光コネクタアセンブリのファイバ配列の変換を示す図である。
【図4】実施例の光コネクタアセンブリを2段配列コネクタと接続するときの概略図である。
【図5】接続前の状態における図4のA断面とB断面を示す図である。
【図6】接続後の状態における図4のA断面とB断面の図である。
【図7】実施例の光コネクタアセンブリを1段配列コネクタと接続するときの概略図である。
【図8】接続前の状態における図7のC断面とD断面の図である。
【図9】接続後の状態における図7のC断面とD断面の図である。
【図10】ガイドピン孔の変形例を示す図である。
【図11】第2ファイバ挿入孔の変形例を示す図である。
【図12】スリットの変形例を示す図である。
【図13】24心コネクタアセンブリの実施例を示す図である。
【図14】光通信モジュールの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図3を参照して、実施例の光コネクタアセンブリの原理を説明する。図1(A)は、実施例の光コネクタアセンブリで用いられるフェルール11の光ファイバ挿入前の概略図、図1(B)はフェルール11に光ファイバ25を挿入した光コネクタ10の概略図である。フェルール11は、光ファイバ25を固定的に保持する第1ファイバ挿入孔12と、光ファイバ25の照射端がフェルール先端面11cで移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔13を有する。第1ファイバ挿入孔12と第2ファイバ挿入孔13は、ファイバ配列方向(X方向)に沿って交互に配置され、フェルール後面11dのファイバ挿入用の開口19及び接着剤滴下スペース18と連通している。
【0014】
第1ファイバ挿入孔12は丸孔である。第2ファイバ挿入孔13は、フェルール11の先端面11cで断面形状が長く延びる長孔である。第2ファイバ挿入孔13の断面の一端から、フェルール11の第1主面11aに向かって第1スリット14aが延びる。第2ファイバ挿入孔13の断面の他端から、フェルール11の第2主面11bに向かって第2スリット14bが延びる。第1スリット14a又は第2スリット14bを介して、ガイド片(図3参照)を第2ファイバ挿入孔13に導入することによって、第2ファイバ挿入孔13に挿入される光ファイバ25の照射端を、フェルール先端面11cで移動させる。この動作については、図3を参照して後述する。
【0015】
スリット14a、14bは、フェルール11の先端面11cから後面11dに向かって所定の長さで延びる。第2ファイバ挿入孔13は、スリット14a、14bの光軸方向(Z方向)の長さに対応する部分では、断面が長軸を有する長孔として形成され、その後部は第1ファイバ挿入孔12と同様の丸孔となって接着剤滴下スペース18と開口19に連通する。
【0016】
図1(B)は、フェルール11に光ファイバ25が挿入された光コネクタ10を示す。フェルール11に光ファイバ25が挿入されると、接着剤滴下スペース18から接着剤が導入され、光ファイバ25がフェルール11の後面11d付近で固定される。スリット14a、14bと、第2ファイバ挿入孔13の長孔部分がZ方向に延びる長さLは、光ファイバ25の照射端が、第2ファイバ挿入孔13に沿って移動できる長さである。例えば、125um径の光ファイバ25を用いたときに、スリット14a、14b及び第2ファイバ挿入孔13の長孔部分の長さLは、5〜7mmである。フェルール11の先端面11cは、相手側コネクタあるいは相手側光モジュールとの光接続面となる。
【0017】
フェルール11は、第1ファイバ挿入孔12と第2ファイバ挿入孔13の交互配列の両側に、ガイドピン孔16、17を有する。図1の例では、ガイドピン孔16は、第2ファイバ挿入孔13に隣接し、ガイドピン孔17は、第1ファイバ挿入孔12に隣接する。ガイドピン孔16は、第2ファイバ挿入孔13と同じ方向に傾斜する長孔である。ガイドピン孔17は、第1ファイバ挿入孔12の配列と直交してY方向に延びる長孔である。
【0018】
図1(B)に示すように、ガイドピン孔16、17にガイドピン26が挿入され、光コネクタ10は相手側コネクタ(不図示)と位置決めされる。フェルール先端面11cでの光ファイバ25の配列に応じて、ガイドピン孔16、17内のガイドピン26の位置が異なってくる。これについては図3を参照して後述する。
【0019】
図2は、第1ファイバ挿入孔12と第2ファイバ挿入孔13の位置関係を説明する図である。フェルール先端面11cあるいは光軸に垂直なXY平面において、第1ファイバ挿入孔12と第2ファイバ挿入孔13は、ラインL1に沿って交互に配置される。ラインL1上での隣接する孔と孔の間のピッチP1は、ファイバ径に対応する。
【0020】
第2ファイバ挿入孔13は、ラインL1からラインL2に向かって斜めに延びる。第2ファイバ挿入孔13の断面は、ラインL1上に位置する第1端部13aと、ラインL2上に位置する第2端部13bを有し、第1端部13aと第2端部13bの間で長く延びる。第2端部13bは、第1ファイバ挿入孔12とY軸方向でアラインする。ライン2上での孔のピッチP2は、ラインL1上での孔のピッチの2倍になる。ラインL1とラインL2の間の距離(d)は、たとえば125um径の光ファイバ25を用いたときに、300umである。
【0021】
光ファイバ25の照射端が第2ファイバ挿入孔13の第1端部13aに位置するときは、フェルール11に保持されるすべての光ファイバ25がラインL1上に並ぶ。これを第1配列とする。この状態で、光コネクタ10は、一列配列のコネクタや光素子モジュールと接続可能になる。
【0022】
光ファイバ25の照射端が第2挿入孔13の第2端部13bに位置するときは、フェルール11に保持される光ファイバ25は、L1とL2に沿った2列配列(第2配列)となる。光コネクタ10は、二列配列のコネクタや光素子モジュールと接続可能になる。
【0023】
図3は、第1配列と第2配列の変換を説明する図である。図3(A)は、光コネクタアセンブリ1で用いられるガイド機構32を示す。ガイド機構32は、例えば光コネクタ10を収容するハウジング30に配置される。ガイド機構32は、ハウジング本体31の内部に間隔P2で配置される複数のガイド片32−1〜32−4を含む。ガイド片32−1〜32−4は、薄い金属やプラスチック等で形成された可撓性の部材である。
【0024】
図1(B)の光コネクタ10が、フェルール11先端面11cからハウジング31の開口31Aに挿入されると、フェルール11の上下方向に応じて、ガイド片32−1〜32−4(適宜「ガイド片32」と総称する)がテーパ状に拡がったスリット14a又はスリット14bのいずれかに入り込む。ガイド片32により、光ファイバ25の照射端は第2ファイバ挿入孔13に沿って斜め上方に押し上げられる。スリット14a、14bへのガイド片32−1〜32−4の導入を容易にするために、ガイド片32−1〜32−4に、挿入方向(光軸方向)に沿った傾斜を持たせてもよい。
【0025】
図3(B)は、第2配列の光コネクタアセンブリ1を示す。光コネクタ10は、フェルール11の主面11aを下側、反対側の主面11bを上側にしてハウジング本体31に挿入される。ガイド片32−1〜32−4は、光コネクタ10の対応するスリット14aに入り込み、光ファイバ25の照射端を第1端部13a(ラインL1)から第2端部13b(ラインL2)まで持ち上げる。他方、第1ファイバ挿入孔12に保持された光ファイバ25の照射端は、ラインL1に固定されている。これにより、複数の光ファイバ25はL1とL2に並ぶ第2配列となる。このとき、ガイドピン26は、L1とL2の中間位置にある。
【0026】
図3(C)は、第1配列の光コネクタアセンブリ1を示す。光コネクタ10は、図3(B)と上下を逆にしてハウジング本体31に挿入される。フェルール11の主面11aが紙面の上側、主面11bが紙面の下側になっている。ガイド片32−1〜32−4は、光コネクタの対応するスリット14bに入り込み、光ファイバ25の照射端を第2ファイバ挿入孔13に沿って第1端部13aまで持ち上げる。これによりすべての光ファイバ25がラインL1に揃う。このとき、ガイドピン26は、L1の位置にある。
【0027】
ガイドピン26は、第1配列のときも第2配列のときも、光ファイバ配列に対して対称な位置にあるのが望ましい。第1配列での対称位置はL1上であり、第2配列での対称位置は、L1とL2の中間である。そこで、ガイドピン孔16,17は、ファイバ配列に応じてガイドピン26の位置を変更できる形状を有する。
【0028】
図3の例では、第1ファイバ挿入孔12に隣接するガイドピン孔17の断面形状は長円であり、L1位置からL1とL2の中間点まで、L1と直交する方向に延びる。第2ファイバ挿入孔13に隣接するガイドピン孔16の断面形状は長円であり、L1からL1とL2の中間点まで、第2ファイバ挿入孔13と同じ方向に傾斜して延びる。これにより、ファイバ配列が変更された場合でも、光コネクタ10を正しく位置決めすることができる。
【0029】
なお、図3の例ではガイド機構32はハウジング30の底面に配置されているが、ハウジングの天井に形成してもよい。この場合、ガイド片32−1〜32−4は上側からスリット14に入り込んで光ファイバ25の照射端を移動させるので、2段配列と1段配列は図3(b)、図3(C)の場合と逆になる。
【0030】
図4〜図6は、光コネクタ10を任意の2段配列コネクタ40Aと接続するときの動作を説明する図である。図4において、光コネクタ10はハウジング30内で相手側の2段配列コネクタ40Aと光接続される。断面Aは、光コネクタ10を第1ファイバ挿入孔12の位置で切ったときの縦断面、断面Bは、光コネクタ10を第2ファイバ挿入孔13で切ったときの縦断面である。
【0031】
図5は、光接続される前の断面Aと断面Bを示す。図5(A)の断面Aでは、光コネクタ10の第1ファイバ挿入孔12に挿入された光ファイバ25と、隣接する第2ファイバ挿入孔13の第2端部13b及びそれに続くスリット14bが見えている。光コネクタ10は接着剤22が充填され硬化された接着剤滴下スペース18を上側にして挿入される。図5(B)の断面Bでは、第2ファイバ挿入孔13に挿入された光ファイバ25が見えている。ハウジング30には、ガイド片32が設けられている。
【0032】
図6は、光接続された状態の断面Aと断面Bを示す。光コネクタ10の光ファイバ25の照射端25aは、フェルール先端面11cで相手側コネクタ40Aの光ファイバ45と接続されている。図6(B)の断面Bでは、ガイド片32はテーパ状のスリット14aに導入されて、第2ファイバ挿入孔13内の光ファイバ25を斜め上方に押し上げている。図6(A)に示すように、光ファイバ25は、第2ファイバ挿入孔13の第2端部13bまで押し上げられて、第1ファイバ挿入孔12内の光ファイバ25とY方向にアラインする。これにより相手側コネクタ40の光ファイバ45との接続が可能になる。
【0033】
図7〜図9は、光コネクタ10を任意の1段配列コネクタ40Bと接続するときの動作を説明する図である。図7において、光コネクタ10は図4と上下を逆にしてハウジング30に挿入される。断面Cは、光コネクタ10を第2ファイバ挿入孔13の位置で切ったときの縦断面、断面Dは、光コネクタ10を第1ファイバ挿入孔12の位置で切ったときの縦断面である。
【0034】
図8は、光接続される前の断面Cと断面Dを示す。図8(A)の断面Cでは、光コネクタ10の第2ファイバ挿入孔13に挿入された光ファイバ25と、第2ファイバ挿入孔13の第1端部13aにつながるスリット14aが見えている。光コネクタ10は接着剤22が充填され硬化された接着剤滴下スペース18を下側にして挿入される。図8(B)の断面Dでは、第1ファイバ挿入孔12に挿入された光ファイバ25と、斜めに延びる第2ファイバ挿入孔13の第2端部13b及びこれにつながるスリット14bが見えている。
【0035】
図9(A)と図9(B)は、光接続された状態の断面Cと断面Dをそれぞれ示す。光コネクタ10の光ファイバ25の照射端25aは、ハウジング30内で相手側コネクタ40Bの光ファイバ45と接続されている。図9(B)の断面Dにおいて、ガイド片32はスリット14bを通って、斜め上方に延びる第2ファイバ挿入孔13に案内される。これにより、図9(A)の断面Cのように、第2ファイバ挿入孔13内の光ファイバ25を第1端部13aまで押し上げる。この状態で、第2ファイバ挿入孔13内の光ファイバ25は第1ファイバ挿入孔12内の光ファイバ25(図9(B))と、ファイバ配列方向にアラインする。したがって、一列配列の相手側コネクタ40Bの光ファイバ45と接続が可能になる。
【0036】
図10は、ガイドピン孔の変形例を示す。図1〜3の例では、ガイドピン孔16、17は断面が長円に形成されていた。図10(A)の例では、フェルール51Aのガイドピン孔56、57は、断面形状が8字型をしている。ガイドピン孔56は、第1ファイバ挿入孔12の配列とアラインする第1空間56−1と、第2ファイバ挿入孔13の中間位置にアラインする第2空間56−2とが互いに連通している。第1空間56−1と第2空間56−2は、第2ファイバ挿入孔13の傾斜方向に傾斜して形成される。ガイドピン孔57は、第1ファイバ挿入孔の配列とアラインする第1空間57−1と、第2ファイバ挿入孔13の中間位置にアラインする第2空間57−2とが互いに連通している。第1空間57−1と第2空間57−2は、第1ファイバ挿入孔12の配列と直交する方向(Y方向)に延びる。
【0037】
図示しないガイドピンは、相手側コネクタが1列配列のときは第1の空間56−1、57−1に挿入される。相手側コネクタが2列配列のときは、ガイドピンは第2の空間56−2、57−2に挿入される。
【0038】
図10(B)の例では、フェルール51Bは、第1ファイバ挿入孔12と隣接する側に2つのガイドピン孔57a、57bを有し、第2ファイバ挿入孔13と隣接する側に2つのガイドピン孔56a、56bを有する。ガイドピン孔56bは、ガイドピン孔56aに対して第2ファイバ挿入孔13が傾斜する方向にオフセットしている。ガイドピン孔57aと57bは、Y方向にアラインする。
【0039】
図示しないガイドピンは、相手側コネクタが1列配列のときはガイドピン孔56a、57bに挿入される。相手側コネクタが2列配列のときは、ガイドピン孔56b、57bに挿入される。
【0040】
フェルール51A、51Bの上記以外の構成は図1と同様である。すなわち、第2ファイバ挿入孔13は第1ファイバ挿入孔12と交互に配置され、フェルール先端面51cでの断面形状が斜めに長く延びる。第1ファイバ挿入孔12とX方向に隣接する端部13aからフェルール主面51aにスリット14aが延びる。第1ファイバ挿入孔12とY方向にアラインする他方の端部13bからフェルール主面51bにスリット14bが延びる。
【0041】
図11は、第2ファイバ挿入孔の変形例を示す。図11(A)では、フェルール61Aは、X方向に並ぶ第1ファイバ挿入孔12と、第1ファイバ挿入孔12と交互に配置される第2ファイバ挿入孔63を有する。第2ファイバ挿入孔63は、フェルール先端面61cにおいて、S字型あるいはアーチ型の断面形状を有する。第2ファイバ挿入孔63の断面の第1端部63aからフェルール61Aの第1主面61aまで第1スリット14aが延びる。第2ファイバ挿入孔63の断面の第2端部63bからフェルール61Aの第2主面61bまで第2スリット14bが延びる。
【0042】
この構成でも、フェルール61Aに光ファイバが挿入されたときに、フェルール61A上下の向きに応じて、第1スリット14a又は第2スリット14bでガイド片32を受け取って、光ファイバを第2ファイバ挿入孔63Aに沿って移動させることができる。
【0043】
図11(B)では、フェルール61Bの第2ファイバ挿入孔65は、フェルール先端面61cでの断面形状は斜めに延びる楕円である。楕円断面の第1端部65aからフェルール主面61aにスリット14aが延び、第2端部65bからフェルール主面61bにスリット14bが延びる。この構成でも、図11(A)と同様の効果を得ることができる。
【0044】
図12は、スリット14の変形例を示す。フェルール71は、テーパ状のスリットに替えて直線型のスリット74a、74bを有する。スリット74aは、第2ファイバ挿入孔13の断面の一端側からフェルール主面71aまで延びる。スリット74bは、第2ファイバ挿入孔13の断面の他端側からフェルール71の反対側の主面71bまで延びる。この構成でも、ハウジングに設けられたガイド片32(図3参照)を適切に導くことができる。
【0045】
図13は、24心の光コネクタ10の概略図である。24心の光コネクタ10は、アレイ状に形成された24本の光ファイバ25(コア径50um、クラッド径125um)を含む。光ファイバ25は、24心用のフェルール11に挿入される。各光ファイバ25は、フェルール11の先端面11cから7mmのところで接着固定される。接着固定は、接着剤導入スペース18に接着剤を流し込み硬化することで行なう。1列配列時のファイバ間ピッチは125um、2列配列時のファイバ間ピッチは250um、列間距離(L1とL2の間の距離)は300umである。スリット14a、14b、及び第2ファイバ挿入孔13の長孔部分がZ方向に延びる長さは5mmである。
【0046】
図3を参照して述べたガイド機構と、フェルール11の上下反転を利用して、図13(A)に示す2列配列と、図13(B)に示す1列配列とを切り替えることができる。図3の例では、ハウジング30の底面にガイド機構32を設け、光ファイバ25を下側から押し上げていたが、ハウジング30の天井にガイド機構32を設けて第2ファイバ挿入孔内の光ファイバ25を押し下げる構成としてもよいことは上述したとおりである。
【0047】
ピン孔16、17は、ファイバ列の両脇に1つずつ配置されている。このうち第2ファイバ挿入孔13と隣接するガイドピン孔16の一端は、他端に対して62.5umだけ第2ファイバ挿入孔13の傾斜方向にオフセットしている。これは、第1配列時にガイドピン26をL1の位置で受け取り、第2配列時にL1とL2の中間点で受け取るためである。ガイドピン孔16をL1とL2の中間点まで傾斜させて、2列配列に対してガイドピン孔17と対称な位置に置くために、ファイバ間ピッチ125umの半分の距離でオフセットさせる。
【0048】
第2ファイバ挿入孔13の断面の両端からフェルール11の主面11a、11bに延びるスリット14a、14bは、第2ファイバ挿入孔13の断面端部での幅が80um、フェルール主面11a、11bでの幅が150umである。スリット14a又は14bに案内されるガイド片32は、厚さ60umの金属製のプレートを階段状に形成したものであり、図示しないハウジング内に設置されている(図3参照)。
【0049】
作製した光コネクタアセンブリ1を、あらかじめ1列に光路が配列された光モジュールと、2列に光路が配列された光モジュールにそれぞれ接続して、原理確認と性能評価を行なった。
【0050】
図14は、光コネクタアセンブリ1と光モジュール110A,110Bとの光学的な接続例を示す。図14(A)では、基板101上に光素子102が2列に配列された光モジュール110Aと光コネクタアセンブリ1を光学的に接続する。図14(B)では、基板101上に光素子102が1列に配列された光モジュール110Bと光コネクタアセンブリ1を光学的に接続する。
【0051】
図14(A)では、光コネクタ10は、フェルール主面11aが光モジュール110Aの基板101と面する向きでハウジング30に挿入されている。多心テープファイバ20から延びる光ファイバ25のうち、第2ファイバ挿入孔13に挿入された光ファイバ25は、ハウジング30のガイド片32によってファイバ挿入孔13に沿って斜め上方に押し上げられる。これにより、第1ファイバ挿入孔12に挿入された光ファイバ25の照射端25aと、第2ファイバ挿入孔13に挿入された光ファイバ25の照射端25aが、基板101に対して垂直な方向(Y方向)で2列に並ぶ。
【0052】
光素子102は、電気信号を光信号に変換する場合は、たとえばVCSEL(vertical cavity semiconductor emission laser)アレイである。この場合、発光素子102からの光信号は、光変換部90によって2列配列された光ファイバ25に導かれる。
【0053】
光信号を電気信号に変換する場合は、光素子102はたとえばフォトダイオードなどの受光素子である。光コネクタアセンブリ1を伝搬してきた光信号は、光路変換部90を介して光素子102に入射する。受光素子102で生成された電流は図示しないTIA(trans-impedance amplifier)によって電圧に変換される。
【0054】
図14(B)では、光コネクタ10は、その上下を逆にしてハウジング30に挿入される。フェルール主面11bが基板101と向き合い、ガイド片32によって、すべての光ファイバ25の照射端25aが一列に並ぶ。
【0055】
図14(A)の場合も、図14(B)の場合も、光接続は問題なく行なわれることが確認された。第2ファイバ挿入孔13を設けたことで、2段接続時に上段と下段でフェルール先端からみたファイバ長に約10umのばらつきが生じるが、この量は光ファイバ26の切断ばらつきで吸収される量である。第2ファイバ挿入孔13内で光ファイバ25の端面26aがフェルール先端から約20um後退していた場合でも、損失への影響は最大0.3dBであった。このときの全体の接続損失は最大0.5dBであった。
【0056】
このように、実施例の光コネクタアセンブリ1によって、光ファイバ25の配列を、1列配列と2列配列の間で容易に変更することができる。種々の光モジュール110との接続を想定した場合、モジュール側の設計仕様に応じてファイバ配列を簡単に変更することができ、ユーザビリティの向上が期待できる。さらに、追加のアダプタを要しないので接続損失を抑制することができる。
【0057】
本発明は、上述した実施例に限定されない。光ファイバは石英ファイバ、プラスチックファイバ、(有機樹脂ファイバ、フッ素系ポリマファイバなど)、中空ファイバなど、任意の光ファイバを用いることができる。ハウジングにガイド機構を配置する位置やガイド片の形状も適宜変更することができる。また、ガイドピン孔は必ずしもファイバ孔の配列の両側にある必要はなく、いずれか一方の側のみに設けてもよい。
【0058】
以上の説明に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と、
前記光ファイバの配列を、前記光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部の先端面で1列に並ぶ第1配列と、前記光ファイバの照射端が前記先端面で2列に並ぶ第2配列の間で変更するガイド機構と、
を有し、
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの一部を前記第1配列に沿って保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分を前記第1配列と前記第2配列の間で移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔を有し、
前記ガイド機構は、前記光ファイバの前記他の部分を前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させて前記第1配列と前記第2配列を切り替えることを特徴とする光コネクタアセンブリ。
(付記2)
前記ガイド機構は、前記ファイバ保持部を収容するハウジングに設けられ、前記ファイバ保持部が前記ハウジングに収容されたときに、前記光ファイバの前記他の部分を、前記第2ファイバ挿入孔に沿って前記第1配列と前記第2の間で移動させることを特徴とする付記1に記載の光コネクタアセンブリ。
(付記3)
前記ファイバ保持部は、前記第2ファイバ挿入孔から前記ファイバ保持部の第1主面に延びる第1スリットと、前記第2ファイバ挿入孔から前記第1主面と反対側の第2主面に延びる第2スリットとをさらに有し、
前記ガイド機構は、前記第1スリット又は第2スリットを介して、前記光ファイバの前記他の部分を、前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させることを特徴とする付記2に記載のコネクタアセンブリ。
(付記4)
前記ファイバ保持部が前記ハウジングに収容されるときの前記第1主面と前記第2主面の向きに応じて、前記ガイド機構は、前記第1スリット又は前記第2スリットのいずれかを介して、前記複数の光ファイバの前記他の部分を前記第1配列又は前記第2配列の位置へ移動させることを特徴とする付記3に記載のコネクタアセンブリ。
(付記5)
前記ガイド機構は、前記第2ファイバ挿入孔に対応して前記ハウジングに配置される可撓性のガイド片を含むことを特徴とする付記2〜4のいずれか1に記載の光コネクタアセンブリ。
(付記6)
前記ガイド片は、前記ファイバ保持部の前記ハウジングへの挿入方向に沿って傾斜を有することを特徴とする付記5に記載の光コネクタアセンブリ。
(付記7)
複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と
を備え、前記ファイバ保持部は、
前記複数の光ファイバの一部を第1の方向に整列させて固定的に保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分をその照射端が前記ファイバ保持部の先端面で所定の方向に移動可能な状態で保持する第2ファイバ挿入孔とを有し、
前記第2ファイバ挿入孔は、前記先端面での断面形状が、前記第1ファイバ挿入孔と前記第1の方向で隣接する第1端部と、前記第1の方向と直交する第2の方向で前記第1ファイバ挿入孔と整列する第2端部を有する長孔であることを特徴とする光コネクタ。
(付記8)
前記第2ファイバ挿入孔の前記第1端部から前記ファイバ保持部の第1主面に延びる第1スリットと、
前記第2ファイバ挿入孔の前記第2端部から前記第1主面と反対側の第2主面に延びる第2スリット、
をさらに有することを特徴とする付記7に記載の光コネクタ。
(付記9)
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部先端面で1列に並ぶ第1配列と、2列に並ぶ第2配列とに応じて、異なる位置でガイドピンを受け取るガイドピン孔をさらに有することを特徴とする付記7又は8に記載の光コネクタ。
(付記10)
前記ガイドピン孔は、前記第1配列に揃う第1位置で前記ガイドピンを受け取る第1孔部と、前記第2配列の中間点で前記ガイドピンを受け取る第2孔部を含むことを特徴とする付記9に記載の光コネクタ。
(付記11)
前記ガイドピン孔の第1孔部と第2孔部は別々に形成されることを特徴とする付記10に記載の光コネクタ。
(付記12)
前記ガイドピン孔の第1孔部と第2孔部は連通する共通孔として形成されることを特徴とする付記10に記載の光コネクタ。
(付記13)
前記ガイドピン孔は、前記第1ファイバ挿入孔と前記第2ファイバ挿入孔の交互配列の両側または一方の側に形成され、
前記ガイドピンが前記第1ファイバ挿入孔に隣接して設けられるときは、前記先端面での断面形状が前記第1位置から前記中間点まで前記第1配列と直交する方向に延び、
前記ガイドピンが前記第2ファイバ挿入穴に隣接して設けられるときは、前記先端面での断面形状が、前記第1位置から所定の方向に傾斜して前記中間点まで延びることを特徴とする付記10に記載の光コネクタ。
【産業上の利用可能性】
【0059】
光通信ネットワーク、光インタコネクション、光機器内部などで行なわれる光接続に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 光コネクタアセンブリ
10 光コネクタ
11、51A、51B、61A、61B、71 フェルール(ファイバ保持部)
11a、11b、71a、71b フェルール主面
11c フェルール先端面
12 第1ファイバ挿入孔
13 第2ファイバ挿入孔
13a 第1端部
13b 第2端部
14a 第1スリット
14b 第2スリット
16、17 ガイドピン孔
26 ガイドピン
30 ハウジング
32 ガイド機構
32−1〜32−4 ガイド片
100 光通信モジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と、
前記光ファイバの配列を、前記光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部の先端面で1列に並ぶ第1配列と、前記光ファイバの照射端が前記先端面で2列に並ぶ第2配列の間で変更するガイド機構と、
を有し、
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの一部を前記第1配列に沿って保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分を前記第1配列と前記第2配列の間で移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔を有し、
前記ガイド機構は、前記光ファイバの前記他の部分を前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させて前記第1配列と前記第2配列を切り替えることを特徴とする光コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記ガイド機構は、前記ファイバ保持部を収容するハウジングに設けられ、前記ファイバ保持部が前記ハウジングに収容されたときに、前記光ファイバの前記他の部分を、前記第2ファイバ挿入孔に沿って前記第1配列と前記第2の間で移動させることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタアセンブリ。
【請求項3】
前記ファイバ保持部は、前記第2ファイバ挿入孔から前記ファイバ保持部の第1主面に延びる第1スリットと、前記第2ファイバ挿入孔から前記第1主面と反対側の第2主面に延びる第2スリットとをさらに有し、
前記ガイド機構は、前記第1スリット又は第2スリットを介して、前記光ファイバの前記他の部分を、前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させることを特徴とする請求項2に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項4】
前記ファイバ保持部が前記ハウジングに収容されるときの前記第1主面と前記第2主面の向きに応じて、前記ガイド機構は、前記第1スリット又は前記第2スリットのいずれかを介して、前記複数の光ファイバの前記他の部分を前記第1配列又は前記第2配列の位置へ移動させることを特徴とする請求項3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項5】
複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と
を備え、前記ファイバ保持部は、
前記複数の光ファイバの一部を第1の方向に整列させて固定的に保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分をその照射端が前記ファイバ保持部の先端面で所定の方向に移動可能な状態で保持する第2ファイバ挿入孔とを有し、
前記第2ファイバ挿入孔は、前記先端面での断面形状が、前記第1ファイバ挿入孔と前記第1の方向で隣接する第1端部と、前記第1の方向と直交する第2の方向で前記第1ファイバ挿入孔と整列する第2端部を有する長孔であることを特徴とする光コネクタ。
【請求項6】
前記第2ファイバ挿入孔の前記第1端部から前記ファイバ保持部の第1主面に延びる第1スリットと、
前記第2ファイバ挿入孔の前記第2端部から前記第1主面と反対側の第2主面に延びる第2スリット、
をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部先端面で1列に並ぶ第1配列と、2列に並ぶ第2配列とに応じて、異なる位置でガイドピンを受け取るガイドピン孔をさらに有することを特徴とする請求項5又は6に記載の光コネクタ。
【請求項1】
複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と、
前記光ファイバの配列を、前記光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部の先端面で1列に並ぶ第1配列と、前記光ファイバの照射端が前記先端面で2列に並ぶ第2配列の間で変更するガイド機構と、
を有し、
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの一部を前記第1配列に沿って保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分を前記第1配列と前記第2配列の間で移動可能に保持する第2ファイバ挿入孔を有し、
前記ガイド機構は、前記光ファイバの前記他の部分を前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させて前記第1配列と前記第2配列を切り替えることを特徴とする光コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記ガイド機構は、前記ファイバ保持部を収容するハウジングに設けられ、前記ファイバ保持部が前記ハウジングに収容されたときに、前記光ファイバの前記他の部分を、前記第2ファイバ挿入孔に沿って前記第1配列と前記第2の間で移動させることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタアセンブリ。
【請求項3】
前記ファイバ保持部は、前記第2ファイバ挿入孔から前記ファイバ保持部の第1主面に延びる第1スリットと、前記第2ファイバ挿入孔から前記第1主面と反対側の第2主面に延びる第2スリットとをさらに有し、
前記ガイド機構は、前記第1スリット又は第2スリットを介して、前記光ファイバの前記他の部分を、前記第2ファイバ挿入孔に沿って移動させることを特徴とする請求項2に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項4】
前記ファイバ保持部が前記ハウジングに収容されるときの前記第1主面と前記第2主面の向きに応じて、前記ガイド機構は、前記第1スリット又は前記第2スリットのいずれかを介して、前記複数の光ファイバの前記他の部分を前記第1配列又は前記第2配列の位置へ移動させることを特徴とする請求項3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項5】
複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバを保持するファイバ保持部と
を備え、前記ファイバ保持部は、
前記複数の光ファイバの一部を第1の方向に整列させて固定的に保持する第1ファイバ挿入孔と、前記第1ファイバ挿入孔と交互に配置され、前記複数の光ファイバの他の部分をその照射端が前記ファイバ保持部の先端面で所定の方向に移動可能な状態で保持する第2ファイバ挿入孔とを有し、
前記第2ファイバ挿入孔は、前記先端面での断面形状が、前記第1ファイバ挿入孔と前記第1の方向で隣接する第1端部と、前記第1の方向と直交する第2の方向で前記第1ファイバ挿入孔と整列する第2端部を有する長孔であることを特徴とする光コネクタ。
【請求項6】
前記第2ファイバ挿入孔の前記第1端部から前記ファイバ保持部の第1主面に延びる第1スリットと、
前記第2ファイバ挿入孔の前記第2端部から前記第1主面と反対側の第2主面に延びる第2スリット、
をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記ファイバ保持部は、前記複数の光ファイバの照射端が前記ファイバ保持部先端面で1列に並ぶ第1配列と、2列に並ぶ第2配列とに応じて、異なる位置でガイドピンを受け取るガイドピン孔をさらに有することを特徴とする請求項5又は6に記載の光コネクタ。
【図2】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図3】
【図4】
【図7】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図3】
【図4】
【図7】
【公開番号】特開2013−54243(P2013−54243A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193111(P2011−193111)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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