説明

光ディスク装置

【課題】グルーブレスディスクの適切な位置に記録を行うことが可能な光ディスク装置を提供する。
【解決手段】複数の記録層を有するグルーブレスディスクにおいて、記録層とは別にサーボ層を設け、サーボ層と記録層を独立にフォーカス制御、トラッキング制御する。サーボ用レーザ光の制御にはサーボ光学系中のリレーレンズ1221を用い、記録再生用レーザ光の制御には対物レンズ1211を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザを用いて光ディスクから情報を再生、または光ディスクに情報を記録または再生する光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Blu−ray Disc(TM)規格の光ディスクにおいて、記録容量を増加させるために3層や4層の記録層を有する光ディスクが開発され、規格化が行われた。今後更なる大容量化を目的として、より多数の記録層を有する光ディスクの開発が行われると予想されている。たとえば非特許文献1では、トラッキングサーボ制御を行うための物理的な溝構造を持つ層(以下、サーボ層)をもうけ、記録再生を行う層(記録層)にはランド/グルーブ構造を有さない光ディスク(グルーブレスディスク)が示されており、記録層を多数積層する場合でも製造が容易であるとされている。
【0003】
また、特許文献1のその要約には、「ガイド層分離型の光記録媒体の記録層における記録済みの領域に続く追記開始位置を検出し、追加記録開始時に追記開始位置から未記録領域側に離れた位置に対向するガイドトラック上の位置にサーボ用の第1レーザビームの照射スポットを移動させることにより記録又は再生用の第2レーザビームの記録層への照射スポットを追従移動させ、その移動後の第2レーザビームの照射スポット位置から記録層への追加記録を開始する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−40093
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. Ogasawara et.al.、 ”16 Layers Write Once Disc with a Separated Guide Layer”、ISOM2010、Th−L−07
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなグルーブレスディスクを追記記録する際の課題のひとつとして、レーザ光と光ディスクの相対角度が温度や光ディスクのチャッキング状態等により変化した場合に、前回記録したデータを上書きしてしまうおそれがある。また、書換型のグルーブレスディスクにおいては、レーザ光と光ディスクの相対角度が変化した場合に、誤って所望の記録位置とは異なる記録位置にデータを上書きしてしまうおそれがある。
【0007】
特許文献1には、追記記録に関しての開示がある。当該文献では、記録済みの領域の最終記録位置から間を空けて追加記録が開始されるので、光ディスクの経時変化による反りや記録装置の違い等により図6に示すように各レーザビームの光軸に対して光ディスクにチルト(傾き)が存在していても記録済みの領域に重複して追記の記録をすることが抑制される。
【0008】
しかし、特許文献1の解決策では、追記記録する毎に無駄な領域が形成され、ディスク容量の低下を招くという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、グルーブレスディスクの適切な位置に記録を行うことが可能な光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、例えば特許請求の範囲に記載の発明により解決される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、グルーブレスディスクの適切な位置に記録を行うことが可能な光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1から実施例2の光ディスク装置を示す構成図
【図2】光ディスクの構造
【図3】記録時の記録層とサーボ層に合焦している光スポットの関係
【図4】本実施2における記録制御切替のフローチャート
【図5】実施例3の光ディスク装置を示す構成図
【図6】記録時の記録層とサーボ層に合焦している光スポットの関係
【図7】実施例4の光ディスク装置を示す構成図
【図8】実施例5の光ディスク装置を示す構成図
【図9】記録時の記録層とサーボ層に合焦している光スポットの関係
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について図を用いて説明する。また、ここで説明する構成は実施形態の一例を示すものであり、この実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0014】
本発明における実施例1について、以下に説明する。
(ディスク構造)
図2に、本実施例が対象とする光ディスクの構造(断面)を示す。同図の101は、溝が形成されたサーボ層を一つと、溝が無くフラットな記録層を一または複数有した光ディスクである。サーボ層の溝は、DVDやBDといったディスクに見られるような溝と同様に、ディスク回転軸を中心とした螺旋状の溝である。
【0015】
また、同図の1211は、光ディスク101にレーザ光線を集光するための光ディスク装置(図示せず)の対物レンズである。同図は、対物レンズ1211を異なる2つの光束が通過し、一つの光束が、光ディスク101のサーボ層に集光され、もう一つの光束が、光ディスク101の複数ある記録層のうちの一つに集光されていることを示している。本発明が対象とする光ディスクは、このように2つ、あるいは、2つ以上の光束を用いて記録または再生を行う。
(本実施例の特徴)
図3を用いて本実施例の特徴を説明する。図3は、図2に示した構造を有した光ディスクの一部を切り出し、拡大したものである。
【0016】
図3は、光スポット300が記録層に集光され、ディスクの接線方向に進みながらマークを記録している様子を示しており、同時に、光スポット301と光スポット302が、光スポット300と一定の距離を置き、記録済みのマーク上と、後にマークが記録される予定の領域(未記録領域)にそれぞれ集光されおり、さらに、光スポット300の略直下のサーボ層の溝(トラック)に、光スポット311が集光されていることを示している。なお、光スポット300、301、および302は、元は同じ光束から分離され、同一の対物レンズ(図示せず)から放たれたものであり、光スポット311は、光スポット300、301、および302とは異なる光束であるが、それらと同じ対物レンズから放たれたことを示している。
【0017】
本実施例の特徴は、記録時におけるCLV制御や記録のタイミング生成等はサーボ溝から得られる情報により行い、記録層に記録済みのマークが存在する場合、光スポット301が記録済みのマークを辿るようトラッキングを制御し、これにより、光スポット300のディスク半径方向の位置を確定しつつ記録にマークを記録する点である。
【0018】
このような本実施例に従ったトラッキング制御方法では、記録済みのマーク列(トラック)がディスク半径方向に一定の間隔で記録され、記録層の記録状態によらず常にサーボ層の溝を用いてトラッキングを制御する従来方法において問題であった、記録済みマーク列に対するマークの上書きを抑制することができる。
【0019】
サーボ層と記録層に対して独立にアクチュエータを駆動することによりフォーカス制御とトラッキング制御を行う。この効果は、光ディスクの経時変化による反りや記録装置の違い等による2つのレーザビームの光軸に対して光ディスクにチルト(傾き)が存在していても記録済みの領域に上書き記録することを抑制する点である。また、光ディスクの経時変化だけではなく、光ディスクのもつディスクの反りや記録層とサーボ層の層内の偏差によって発生する2つのレーザビームの光軸に対して光ディスクにチルト(傾き)が存在していても記録済みの領域に上書き記録することを抑制することが出来る。
(本実施例の実現手段)
上記の本実施例に従ったトラッキング制御を実施するための光ディスク装置の一例を図1に示す。
【0020】
図1の光ディスク装置は、光ピックアップ102と、信号処理回路103と、スピンドルモータ104と、サーボエラー信号生成回路105と、再生信号処理回路106と、スピンドル駆動回路107と、アクチュエータ駆動回路108と、リレーレンズ駆動回路109と、収差補正素子駆動回路110で構成される。
【0021】
また信号処理回路103は光ディスク装置の各種の信号処理を行う回路であり、電位Vrefを基準として動作する。信号処理回路103は、システム制御回路1301と、記録層フォーカス制御回路1302と、スイッチ1303と、加算器1304と、記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305と、サーボ層フォーカス制御回路1306と、スイッチ1307と、加算器1308と、サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309と、サーボ層トラッキング制御回路1310と、スイッチ1311と、記録層トラッキング制御回路1312と、スイッチ1314と、スピンドル制御回路1313で構成される。
【0022】
光ディスク101はスピンドルモータ104により、所定の回転数で回転される。スピンドルモータ104は、信号処理回路103に搭載されたシステム制御回路1301からの指令信号を受けたスピンドル制御回路1313によって制御される。スピンドル制御回路1313から出力された信号はスピンドル駆動回路107で増幅され、増幅された信号がスピンドルモータ104に供給される。
【0023】
このように本実施例におけるスピンドル制御回路1313は、スピンドルモータ104の出力信号を元に、半径位置によらずに所定の回転数で回転するように制御を行うものとする。なお、このような回転方式はCAV制御と呼ばれる。
【0024】
光ピックアップ102は、たとえば405nmと650nmなど波長の異なる2つの光学系を備えている。
【0025】
まず、405nmの光学系について説明する。レーザパワー制御回路1201は、システム制御回路1301によって制御されており、レーザダイオード1202を駆動する電流を出力する。この駆動電流は、レーザノイズを抑制するために数百MHzの高周波重畳が印加されている。レーザダイオード1202は、駆動電流に応じた波形で波長405nmのレーザ光を出射する。出射されたレーザ光はコリメータレンズ1203にて平行光となり、ビームスプリッタ1204で一部が反射し、集光レンズ1205によってパワーモニタ1206に集光する。パワーモニタ1206は、レーザ光の強度に応じた電流または電圧をシステム制御回路1301にフィードバックする。これによって光ディスク101の記録層に集光するレーザ光の強度が、たとえば2mWなど所望の値に保持される。一方、ビームスプリッタ1204を透過したレーザ光は3ビーム仕様のグレーティング111により複数の光ビーム(メインビーム0次光及びそのサーボビーム±1次光)となり、偏光ビームスプリッタ1207にて反射し、収差補正素子駆動回路110にて駆動される収差補正素子1209によって収束・発散が制御され、ダイクロイックミラー1208を透過する。ダイクロイックミラー1208は特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する光学素子である。ここでは波長405nmの光を透過し、650nmの光を反射するものとする。ダイクロイックミラー1208を透過したレーザ光は、1/4波長板1210にて円偏光となり、対物レンズ1211によって光ディスク101の記録層に集光する。対物レンズ1211は、アクチュエータ1212によって位置制御される。光ディスク101によって反射したレーザ光は、光ディスク101に記録された情報に応じて強度が変調され、1/4波長板1210にて直線偏光となり、ダイクロイックミラー1208および収差補正素子1209を経て、偏光ビームスプリッタ1207を透過する。透過したレーザ光は、集光レンズ1213によってディテクタ1214に集光する。ディテクタ1214はレーザ光の強度を検出し、これに応じた信号をサーボエラー信号生成回路105及び再生信号処理回路106に対して出力する。
【0026】
サーボエラー信号生成回路105は、ディテクタ1214及びディテクタ1223から出力された信号から、記録層に対するフォーカス制御に使用するための記録層フォーカスエラー信号(以下、R_FE信号)、サーボ層に対するフォーカス制御に使用するためのサーボ層フォーカスエラー信号(以下、S_FE信号)、記録層に対するトラッキング制御に使用するためのトラッキングエラー信号(以下、R_TE信号)、サーボ層に対するトラッキング制御に使用するためのトラッキングエラー信号(以下、S_TE信号)を生成する。各エラー信号は、電位Vrefを基準として出力されるものとする。
【0027】
405nmの光学系におけるフォーカス制御及びトラッキング制御は、記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)で行われる。
【0028】
記録層フォーカス制御回路1302は、システム制御回路1301からの指令信号により、R_FE信号に対してゲインと位相の補償を行い、記録層に対するフォーカス制御を行うための駆動信号を出力する。記録層フォーカス制御回路1302から出力された駆動信号は、スイッチ1303、加算器1304を介してアクチュエータ駆動回路108に入力される。
【0029】
スイッチ1303はシステム制御回路1301の出力するR_FON信号に基づき、記録層フォーカス制御回路1302の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して出力する。R_FON信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1303の端子はaが選択され、記録層フォーカス制御回路1302の出力信号が加算器1304を介してアクチュエータ駆動回路108に出力される。一方でR_FON信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1303は端子bを選択し、基準電位Vrefを出力する。
【0030】
この結果、R_FON信号は記録層に対するフォーカス制御のオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1303は記録層に対するフォーカス制御のオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。R_FON信号がLowからHighに切り替わることで記録層に対するフォーカス制御がオンになる。この動作はフォーカス引き込み動作と呼ばれる。
【0031】
記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305は、システム制御回路1301からの指令信号により、所定の電圧を出力する。記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305は例えば、フォーカススイープ動作におけるスイープ電圧や、フォーカスジャンプ時のジャンプ電圧を出力する。
【0032】
記録層フォーカス駆動電圧生成回路1305の出力信号とスイッチ1303の出力信号を加算器1304により加算しR_FODとしてアクチュエータ駆動回路108に出力する。
【0033】
R_FODに従ってアクチュエータ1212をディスク面に垂直な方向に駆動することで、対物レンズ1211がディスク面に垂直方向に駆動される。
【0034】
次に、650nmの光学系について説明する。405nmの光学系と同様に、レーザパワー制御回路1201がレーザダイオード1215を駆動し、レーザダイオード1215は波長650nmのレーザ光を出射する。レーザ光の一部は、コリメータレンズ1216、ビームスプリッタ1217、集光レンズ1218を経て、パワーモニタ1219にてパワーがモニタされる。モニタしたパワーをシステム制御回路1301にフィードバックすることで、光ディスク101のサーボ層に集光するレーザ光の強度が、たとえば3mWなど所望のパワーに保持される。ビームスプリッタ1217を透過したレーザ光は、偏光ビームスプリッタ1220を透過し、リレーレンズ1221にて収束・発散の制御が行われる。リレーレンズ1221を経たレーザ光は、ダイクロイックミラー1208にて反射し、1/4波長板1210を経て、対物レンズ1211により光ディスク101のサーボ層に集光する。光ディスク101にて反射したレーザ光を偏光ビームスプリッタ1220にて反射し、集光レンズ1222にてディテクタ1223に集光する。
【0035】
650nmの光学系におけるフォーカス制御及びトラッキング制御はサーボ層で行われる。
【0036】
サーボ層フォーカス制御回路1306は、システム制御回路1301からの指令信号によりS_FE信号に対してゲインと位相の補償を行い、サーボ層に対するフォーカス制御を行うための駆動信号を出力し、スイッチ1307、加算器1308を介してリレーレンズレンズ駆動回路109に入力される。これによりサーボ層に対するフォーカス制御が行われる。
【0037】
スイッチ1307はシステム制御回路1301の出力するS_FON信号に基づき、サーボ層フォーカス制御回路1306の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して出力する。S_FON信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1307の端子はcが選択される。一方でR_FON信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1307は端子dを選択し、基準電位Vrefを出力する。
【0038】
この結果、S_FON信号はサーボ層に対するフォーカス制御のオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1307は、サーボ層に対するフォーカス制御のオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。S_FON信号がLowからHighに切り替わることでサーボ層に対するフォーカス制御がオンされることになり、この動作はフォーカス引き込み動作と呼ばれる。
【0039】
サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309は、システム制御回路1301からの指令信号により、所定の電圧を出力する。サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309は例えば、フォーカススイープ動作におけるスイープ電圧を出力する。
【0040】
サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路1309の出力信号とスイッチ1307の出力信号を加算器1308により加算しS_FODとしてリレーレンズ駆動回路109に出力する。
【0041】
光ディスク101のディスク面に垂直な方向に650nmの光スポットの位置がS_FODに従って制御されるように、リレーレンズ1221を駆動する。例えば、図1であれば650nmの光スポットを光ディスク101のディスク面に垂直な方向に駆動するためにリレーレンズ1221をディスク面に水平な方向に駆動すれば良い。ただし、これに限定するものではなく、光ピックアップ102の構成を光ディスク101のディスク面に垂直な方向に650nmの光スポットの位置を制御するためにリレーレンズ1221をディスク面に垂直な方向に駆動しても良い。
【0042】
リレーレンズ駆動回路109は、光ピックアップ102内に搭載されたリレーレンズ1221を駆動する。この駆動によりサーボ層に対してフォーカス制御、トラッキング制御が行われる。
【0043】
前述したようにリレーレンズ駆動回路109とサーボ層フォーカス制御回路1306が動作することで、光ディスク101に照射された波長650nmのレーザスポットが、常に光ディスク101のサーボ層の面上で合焦するようにサーボ層に対するフォーカス制御が行われる。
【0044】
ここで、R_FON信号、S_FON信号のHgihレベルとLowレベルは前述した状態では無く、例えばR_FON信号がLowレベルのときに端子aが選択するようにスイッチを制御しても良い。
【0045】
次に、本実施例におけるサーボ層のトラッキング制御について説明する。
【0046】
サーボ層トラッキング制御回路1310は、システム制御回路1301からの指令信号により、サーボ層のトラッキングエラー信号(以下、S_TE信号)に対してゲインと位相の補償を行い、トラッキング制御を行うための駆動信号を出力する。サーボ層トラッキング制御回路1310から出力された駆動信号は、スイッチ1311を介してリレーレンズ駆動回路109に入力される。
【0047】
スイッチ1311はシステム制御回路1301の出力するS_TON信号に基づき、サーボ層トラッキング制御回路1310の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して、トラッキング駆動信号S_TRDとしてリレーレンズ駆動回路109に出力する。S_TON信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1311の端子はeが選択され、サーボ層トラッキング制御回路1310の出力信号がリレーレンズ駆動回路109に出力される。一方でS_TON信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1311は端子fを選択し、基準電位Vrefを出力する。
【0048】
この結果、S_TON信号はトラッキング制御のオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1311は、サーボ層トラッキング制御のオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。S_TON信号がLowからHighに切り替わることでサーボ層トラッキング制御がオンされることになり、この動作はサーボ層トラック引き込み動作と呼ばれる。
【0049】
次に、本実施例における記録層のトラッキング制御について説明する。
【0050】
記録層トラッキング制御回路1312は、システム制御回路1301からの指令信号により、記録層のトラッキングエラー信号(以下、R_TE信号)に対してゲインと位相の補償を行い、トラッキング制御を行うための駆動信号を出力する。記録層トラッキング制御回路1312から出力された駆動信号は、スイッチ1314を介してアクチュエータ駆動回路108に入力される。
【0051】
スイッチ1314はシステム制御回路1301の出力するR_TON信号に基づき、記録層トラッキング制御回路1312の出力信号もしくは基準電位Vrefを選択して、トラッキング駆動信号(以下、R_TRD)としてアクチュエータ駆動回路108に出力する。R_TON信号としてHighレベルが入力されると、スイッチ1314の端子はgが選択され、記録層トラッキング制御回路1312の出力信号がアクチュエータ駆動回路108に出力される。一方でR_TON信号としてLowレベルが入力されると、スイッチ1314は端子hを選択し、基準電位Vrefを出力する。
【0052】
この結果、R_TON信号は記録層に対するトラッキング制御のオン・オフを指示する信号となる。またスイッチ1314は、記録層に対するトラッキング制御のオン、オフを切り替えるスイッチとして機能する。R_TON信号がLowからHighに切り替わることでサーボ層トラッキング制御がオンされることになり、この動作は記録層トラック引き込み動作と呼ばれる。ここで、R_TON信号、S_TON信号のHgihレベルとLowレベルは前述した状態では無く、例えばR_TON信号がLowレベルのときに端子gが選択されるようにスイッチを制御しても良い。
【0053】
アクチュエータ駆動回路108は、トラッキング駆動信号(以下、R_TRD)に従ってアクチュエータ1212をディスク面に平行な方向に駆動することで、対物レンズ1211がディスク半径方向に駆動される。このように、本実施例におけるアクチュエータ駆動回路108は、フォーカス方向に駆動する回路とトラッキング方向に駆動する回路を包含したものである。
【0054】
リレーレンズ駆動回路109は、サーボ層トラッキング駆動信号(以下、S_TRD)に従って650nmの光スポットの位置をディスク面に平行な方向に駆動するために、リレーレンズ1221を光ディスク101のディスク面に対して垂直方向に駆動する。ただし、これに限定するものではなく、光ピックアップ102の構成を光ディスク101のディスク面に水平な方向に650nmの光スポットの位置を制御するためにリレーレンズ1221をディスク面に平行な方向に駆動しても良い。このように、本実施例におけるリレーレンズ駆動回路109は、フォーカス方向に駆動する回路とトラッキング方向に駆動する回路を包含したものである。
【0055】
上記したようにサーボエラー信号生成回路105及びサーボ層トラッキング制御回路1310、リレーレンズ駆動回路109が動作することで、情報の記録時には波長650nmのレーザスポットがサーボ層に形成されているサーボ溝に追従するようにトラッキング制御が行われる。また、サーボエラー信号生成回路105及び記録層トラッキング制御回路1312、アクチュエータ駆動回路108が動作することで、情報の記録時には波長405nmのレーザスポットが記録層に形成された記録マークからサーボエラー信号生成回路105によりR_TEを生成し記録マークに追従するようにトラッキング制御が行われる。
【0056】
更に情報の再生時には、波長405nmのレーザスポットにより記録層に形成された記録マークを追従するようにトラッキング制御が行われる。
【0057】
また再生信号処理回路106は、ディテクタ1214及びディテクタ1223で検出した電気信号に対してイコライズ処理を行い、再生信号として出力する。再生信号はシステム制御回路1301に入力され、システム制御回路1301内部にて増幅、等化、復号などの処理を行い、光ディスク101から読み出した情報(記録タイミング、記録されたデータや現在のアドレス情報など)を生成する。
【0058】
情報の記録時には再生信号処理回路106は光ディスク101のサーボ層のサーボ溝の前述のウォブルから記録のタイミングを生成する。このウォブルは例えばDVDやCDやBDの規格に規定されているウォブルをサーボ層に物理的に形成しても良い。ただし、このウォブル周波数はBD、DVDやCDの規格の規定に限定するものではない。
【0059】
収差補正素子駆動回路110は、システム制御回路1301からの指令信号により、収差補正素子1209を駆動するための駆動電圧を生成し、収差補正素子1209を駆動する。
(本実施例の特徴と効果を実現するための記録時のトラッキング制御)
図3に本実施例における記録時の記録層とサーボ層に合焦している光スポットの関係を示す。
【0060】
記録動作時には図1のS_TON信号、R_TON信号、S_FON信号、R_FON信号はHighレベルとなっており、スイッチ1303の端子はa、スイッチ1307の端子はc、スイッチ1311の端子はe、スイッチ1314の端子はgに切り替わり、記録層とサーボ層へのフォーカス制御、トラッキング制御がなされているものとする。
【0061】
レーザダイオード1202から出射された波長405nmのレーザ光は図1のグレーティング111により3ビームとなり対物レンズ1211によって、光ディスク101の記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)に3つの光スポットが合焦する。図3の光スポット301で記録マークにトラッキング制御を行い、光スポット300で記録及びフォーカス制御を行い、光スポット302にて未記録確認を行う。例えば、光スポット302にて未記録を確認する方法として光スポット302と光スポット301の総反射光量の差分をとることが考えられる。この方法により記録マークが形成されていない未記録であれば反射光量が高く、記録マークが形成されていれば反射光量が低くなる光ディスク101であれば記録マークを追従している光スポット301の総反射光量から未記録にある光スポット302の総反射光量の差分を取ると演算結果は負になる。この差分を取った後の符号により記録マークにトラッキング追従できているかの確認が可能である。また、逆に記録マークが形成されていれば反射光量が高くなる光ディスク101であれば前述と符号が逆転する。
【0062】
また、図1のレーザダイオード1215から出射された波長650nmのレーザ光はリレーレンズ1221及び対物レンズ1211によってサーボ層上に合焦する。この光スポット311は図3のサーボ層から記録のタイミング及びスピンドルモータ104の出力信号を用いずに光ディスク101からの読み出した情報によりスピンドル制御回路1313を制御するCLV制御を行うために必要な情報を再生するために使用する。また、再生信号処理回路106により記録マークに追従している光スポット301と光スポット311から再生信号処理回路106にて再生信号からアドレスが読み取れるため、このアドレスを記録時の記録が適切な位置と適切な記録層にて行われているかの確認に使用しても良い。
【0063】
光ディスク101が回転することにより光スポット300、光スポット301、光スポット302及び光スポット311が光ディスク101に対して図3に示す記録方向に移動し、光スポット301にてトラッキング制御しながら記録マークが光スポット300にて形成される。
【0064】
光スポット300、光スポット301、光スポット302の半径方向の距離であるトラックピッチは0.32umに等しくなるようにグレーティング111等の光学素子により調整する。ただし、周方向の距離はディテクタ1214にて分解できる距離であれば良い。ここで、光スポット300、光スポット301、光スポット302の半径方向のトラックピッチの設計はグレーティング111や記録する密度等により変わるため0.32umは一例として示している。また、本実施例ではレーザ光をグレーティング111により3ビームとしたが、記録層において記録マークに追従する方式であれば光スポット300と光スポット301の2ビームや複数の光ビーム(メインビーム0次光及びそのサーボビーム±1次光、そのサーボビーム±2次光)の5ビームのような複数の光ビームも考えられる。このことは、以下の実施例においても同様である。
【0065】
記録時の光スポットの強度は、光スポット300にて記録マークを形成しかつ光スポット301にて既に記録されている記録マークを上書きすることが無く、また光スポット302にて未記録部を記録することが無いように例えば光スポット301対光スポット300対光スポット302の光の強度比を1:10:1とする。スポットの強度比はこれに限るものではなく、光スポット300にて記録マークを形成しかつ光スポット301にて既に記録されている記録マークを上書きすることが無く、また光スポット302にて未記録部を記録することが無ければどのような強度比としても良い。このことは、以下の実施例においても同様である。
【0066】
本実施例においてCAV制御で記録する場合には光ディスク101の回転数は半径によらずに一定であるためスピンドルモータ104の制御はCLV制御と比べて簡易になるが、半径によって線速度が変化するため光ディスク101の機械的な構造や記録層の記録膜に制約が加わる。一方、CLV制御を行えば線速度が半径によらずに一定にする制御をする必要があるが、光ディスク101の機械的な構造や記録層の記録膜への制約は少なくなる効果が得られる。このため、本実施例ではCAV制御、CLV制御の何れでも制御できる構成としている。このことは、以下の実施例においても同様である。
【0067】
また、本実施例において、サーボ層は1ビームによりフォーカス制御、トラッキング制御を行っている例であるが、例えばビームスプリッタ1217と偏向ビームスプリッタ1220の間にグレーティングをおいて3ビーム(メインビーム0次光及びそのサーボビーム±1次光)としても良い。本実施例におけるサーボエラー信号生成回路105にて生成される信号はトラッキング信号であれば差動プッシュプル法(DPP法)やプッシュプル法、フォーカス信号であればナイフエッジ法や差動非点収差方式などの方式を用いて行えばよい。ただし、前述の方式は限定するものではなく異なる方式であっても良い。このことは、以下の実施例においても同様である。
【0068】
以上の構成により本発明の実施例1では、サーボ層と記録層にそれぞれフォーカス制御とトラッキング制御を行うことにより、記録済みのマーク列がディスク半径方向に一定の間隔で記録され、記録済みマーク列に対するマークの上書きを抑制することができる。更に、記録時におけるCLV制御や記録のタイミング生成等はサーボ溝から得られる情報から制御を行うことができる。
【0069】
なお、光ディスク装置はSATA(Serial Advanced Technology Attachment)などのインターフェースを通じてPC(Personal Computer)などのホスト(図示しない)と通信を行う。このことは、以下の実施例においても同様である。
【実施例2】
【0070】
本発明における実施例2について、以下に説明する。
(ディスク構造)
図2に光ディスク101のディスク構造を示す。図2の構造は実施例1と同じであるため説明は省略する。
(本実施例の特徴)
実施例2では、記録層に図3の光スポット301にてトラッキング制御のための記録マーク或いは記録マークに相当する溝が無い場合には、R_TE信号をサーボエラー信号生成回路105にて生成するために必要な情報が記録層の光スポット301から得られないため、光スポット311にてサーボ層のサーボ溝にトラッキング制御を行い、記録層はサーボ層のサーボ溝に沿って光スポット300にて記録マークの形成を行う。この記録マークの形成によりR_TE信号をサーボエラー信号生成回路105にて生成できる情報が記録層の光スポット301から得られるようになる。R_TE信号が得られるようになれば、記録動作は光スポット301にて記録層の記録マークにてトラッキング制御し、光スポット301にて記録を行う。
【0071】
本実施例による効果としては、記録層にトラック制御するための記録マークの有無に関わらず図2の光ディスク101に情報の記録が可能となる点である。更に、実施例1と同様の効果も得られる。
【0072】
まず、光ディスク装置においてホストからの指示を受けて情報の記録または再生を行うことが可能な状態にするためのディスク認識、フォーカス引き込み、トラッキング引き込み、収差調整、管理情報の再生などの各種処理が行われる。この処理を以下ではセットアップ処理と呼ぶ。このセットアップ処理にて、図2の光ディスク101の記録層或いはサーボ層に記録された管理情報を読み出し、例えばここではL0は全面記録された状態でL1には図3の光スポット301にてトラッキング制御のための記録マーク或いは記録マークに相当する溝が無い未記録状態であるとする。
【0073】
また本実施例においてL0にてセットアップ処理が終了し、L1に記録するためにL0からL1へのフォーカスジャンプが完了し、記録層においてフォーカスのみ制御がオンでトラッキングの制御はオフ、サーボ層においてはフォーカス制御とトラッキング制御の制御はオンであるとする。
(本実施例の実現手段)
上記の本実施例に従ったトラッキング制御を実施するための光ディスク装置の一例を図1に示す。図1の構成の説明は実施例1にて説明しているため省略する。
(本実施例の特徴と効果を実現するための記録時のトラッキング制御)
図4に本実施例の記録前に行うトラッキング制御の準備処理のフローチャートを示す。
【0074】
例えば光ディスク装置に対してホストからのL1に対する記録指示を図1のシステム制御回路1301が受けた場合、記録前準備処理が開始される(ステップS101)。この処理は記録動作を開始する前に記録層の図3の光スポット301にてトラッキング制御を行うか光スポット311にてトラッキング制御に従って記録層に記録を行うかの切替を行うための処理である。
【0075】
まずサーボ層のトラック溝にて制御する処理(ステップS104)が行われる場合について説明をする。
【0076】
記録前準備処理が開始される(ステップS101)と、まず記録する層が未記録(ステップS102)であるかの判断を前述の光ディスク101の管理情報により行う。管理情報を再生した結果、L1に図3の光スポット301にてトラッキング制御ができる記録マークが無い(ステップS102のYes)場合には、記録マーク制御が可能かを判断する(ステップS103)。これは例えば光ディスク101が光ディスク装置から取り出されるときに管理情報を一括して記録する場合を想定した処理である。この場合、管理情報は光ディスク101が取り出されるまでは管理情報は更新されないため、光ディスク101を取り出さないで記録動作を続けて行う場合には管理情報確認をステップS102で行うと常に未記録と判定される(ステップS102のYes)。記録マークによるトラッキング制御が常に行われない条件を作らないために、記録マーク制御は可能かを判断する(ステップS103)。ここで、光スポットS302からの情報で図1のサーボエラー信号生成回路105によりR_TE信号が生成できれば(ステップS103のNo)、システム制御回路1301にてR_TONをHighレベルにしてスイッチ1314の端子をhからgに切替えることにより、光スポット301が記録マークに追従するトラッキング制御が開始される(ステップS105)。例えばR_TE信号の生成ができるかの確認は、本実施例のように記録開始時には光スポット301からR_TE信号の生成はできないが、光スポット300にて記録が行われていると、光スポット301にも記録されたマークからの信号が得られるようになる。これにより光スポット301により記録マークに追従する制御が可能になったことが判断できる。
【0077】
また別の確認としてはサーボ層に追従しているトラッキング制御をオフにて行うことが出来る。前述のようにトラッキング制御をオフにすると、サーボ層であればサーボ溝からのトラック横切り信号がS_TE信号から得られ、記録層の記録マークから得られるトラック横切り信号がR_TE信号として得られる。このときにR_TE信号が基準電圧のVref近傍であれば未記録状態であるのでR_TEの生成はできないトラック横切り信号から判断することも出来る。
【0078】
記録マーク制御ができないと判断したときには(ステップS103のYes)、サーボ層のトラック溝にて制御(ステップS104)するように、レーザダイオード1215は波長650nmのレーザ光を出射し、この出射されたレーザ光がリレーレンズ1221及び対物レンズ1211により光ディスク101上に集光し、この集光した光スポットからサーボエラー信号生成回路105にて生成されたサーボ信号をもとにリレーレンズ駆動回路109にてリレーレンズ1221がサーボ層のサーボ溝に追従する。
【0079】
このとき対物レンズ1211がディスク半径方向に駆動される信号はアクチュエータ駆動回路108には入力されないため自由に稼働するため記録品質への影響が考えられる。このような場合には例えばリレーレンズ1221と対物レンズ1211の相対位置を固定するような電圧をS_TE信号に応じて記録層トラッキング制御回路1312からアクチュエータ駆動回路108に対して与えても良い。この結果、リレーレンズ1221と対物レンズ1211の相対位置は記録中に変化しないことになる。
【0080】
また、記録層の記録マークにて制御する処理(ステップS105)が行われる場合について説明をする。
【0081】
管理情報確認で記録(ステップS102のNo)であれば、実施例1のように記録層の記録マークに光スポット301が追従することでトラッキング制御がなされる。この記録前準備処理が完了した後記録が開始される。
【0082】
また、前述したステップS103のNoのように記録中に光スポット301にてS_TE信号がサーボエラー信号生成回路105にて生成可能となれば、光ディスク101のL1の記録をL1に形成された記録マークに光スポット301にて追従しながら記録を行うように記録しながらトラッキング制御を切替えても良いし、一度記録を止めて光スポット301を記録マークへトラック引き込みをして再度記録を開始しても良い。更に、光ディスク101が取り出されない状態で追記する場合に実施例1のような記録をしても良い。
【0083】
本実施例ではL0にてセットアップ処理が終了し、L1に記録するためにL0からL1へのフォーカスジャンプが完了し、記録層においてフォーカスのみ制御がオンでトラッキングの制御はオフとしてが、記録マークが無ければ光スポット301から得られる信号はVref近傍であるため、S_TEがゼロとなりトラック誤差信号がゼロとなるため、記録層のトラッキング制御をオンにしていても影響は無い。このため記録層のトラッキング制御をオンにしておき、記録マークが形成されると、その記録マークに追従するようにすることも可能である。
【0084】
本実施例のサーボ層に対するトラッキング制御は実施例1と同じであるため説明を省略する。
【0085】
実施例において、記録層を3ビーム方式、サーボ層を1ビーム方式としたが、記録層及びサーボ層を3ビーム方式としても良いし、2ビームや複数の光ビーム(メインビーム0次光及びそのサーボビーム±1次光、そのサーボビーム±2次光)の5ビームのような複数の光ビームとしても良い。
【0086】
以上の構成により本発明の実施例2では、実施例1と同様の効果を得るとともに、記録層にトラック制御するための記録マークの有無に関わらず光ディスク101に情報の記録が可能となる。
【実施例3】
【0087】
本発明における実施例3について、以下に説明する。
(ディスク構造)
図2に光ディスク101のディスク構造を示す。本実施例における光ディスク101の構造は説明済みであるため省略する。
(本実施例の特徴)
これまでの実施例では1つの対物レンズで構成された光ピックアップの構成であった。この構成に対して、本実施例では2つの対物レンズを半径方向に配置することで2つのレーザの光路を独立した構造とした光ピックアップを採用する点が特徴である。
【0088】
この特徴以外の本実施例の特徴を図6で説明する。図6は、図2に示した構造を有した光ディスクの一部を切り出し、拡大したものである。
【0089】
図6は、光スポット300が記録層に集光され、ディスクの接線方向に進みながらマークを記録している様子を示しており、同時に、光スポット301と光スポット302が、光スポット300と一定の距離を置き、記録済みのマーク上と、後にマークが記録される予定の領域(未記録領域)にそれぞれ集光されている。さらに、本実施例では2つの対物レンズが半径方向に配置されているため、光スポット300とサーボ層の溝(トラック)に集光されている光スポット311は半径方向の配置に相当するずれが生じることとなる。つまり、サーボ層上のトラックに換算して2つの光スポットは数トラック離れた位置に集光することとなる。(図では3トラックずれている)。なお、光スポット300、301、および302は、元は同じ光束から分離され、同一の対物レンズ(図示せず)から放たれたものであり、光スポット311は、光スポット300、301、および302とは異なる光束であり、異なる対物レンズから放たれたことを示している。
【0090】
なお、対物レンズが2つあることで、記録層とサーボ層の光スポットから得られる情報を再生したときに対物レンズの間隔に相当するアドレスにずれが生じる。このずれの補正は、例えば記録層とサーボ層のアドレスから互いのアドレス差を演算することにより相対アドレスずれを補正する方法で解決できる。このため記録層とサーボ層の光スポットから得られるアドレス差を補正して、サーボ溝から得られるアドレス情報をもとに記録時におけるCLV制御や記録のタイミング生成等を行う点も特徴である。
【0091】
本実施例によれば、実施例1、2と同様の効果を得るとともに、対物レンズの仕様を緩和できるため安価な光ディスク装置をユーザに提供することができる。また、一つの種類のレーザ光源を用いて記録再生を行う光ディスク(例えば、DVD、BD)とも互換性をとり易くなる。
(本実施例の実現手段)
上記の本実施例に従った記録時のトラッキング制御を実施するための光ディスク装置の一例を図5に示す。図5の構成は図1と光ピックアップの部分が異なる。本実施例では光ピックアップ113以外の構造は図1と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0092】
光ディスク装置は対物レンズ1211によって、記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)に入射した光を集光しレーザスポットを生じさせる。また、対物レンズ1226によって、サーボ層に入射した光を集光しレーザスポットを生じさせる。
【0093】
本実施例における光ディスク装置は、光ピックアップ113と、信号処理回路103と、スピンドルモータ104と、サーボエラー信号生成回路105と、再生信号処理回路106と、スピンドル駆動回路107と、アクチュエータ駆動回路108と、アクチュエータ駆動回路109と、収差補正素子駆動回路110で構成される。
【0094】
信号処理回路103とスピンドルモータ104の制御に関する説明は図1と同じであるため省略する。
【0095】
光ピックアップ113は、たとえば405nmと650nmなど波長の異なる2つの光学系を備えている。
【0096】
まず、405nmの光学系について説明する。レーザパワー制御回路1201は、システム制御回路1301によって制御されており、レーザダイオード1202を駆動する電流を出力する。この駆動電流は、レーザノイズを抑制するために数百MHzの高周波重畳が印加されている。レーザダイオード1202は、駆動電流に応じた波形で波長405nmのレーザ光を出射する。出射されたレーザ光はコリメータレンズ1203にて平行光となり、ビームスプリッタ1204で一部が反射し、集光レンズ1205によってパワーモニタ1206に集光する。パワーモニタ1206は、レーザ光の強度に応じた電流または電圧をシステム制御回路1301にフィードバックする。これによって光ディスク101の記録層に集光するレーザ光の強度が、たとえば2mWなど所望の値に保持される。一方、ビームスプリッタ1204を透過したレーザ光は3ビーム仕様のグレーティング111により複数の光ビーム(メインビーム0次光及びそのサーボビーム±1次光)となり、偏光ビームスプリッタ1207にて反射し、収差補正素子駆動回路110にて駆動される収差補正素子1209によって収束・発散が制御される。収束・発散が制御されたレーザ光は、1/4波長板1210にて円偏光となり、対物レンズ1211によって光ディスク101の記録層に集光する。対物レンズ1211は、アクチュエータ1212によって位置制御される。光ディスク101によって反射したレーザ光は、光ディスク101に記録された情報に応じて強度が変調され、1/4波長板1210にて直線偏光となり、収差補正素子1209を経て、偏光ビームスプリッタ1207を透過する。透過したレーザ光は、集光レンズ1213によってディテクタ1214に集光する。ディテクタ1214はレーザ光の強度を検出し、これに応じた信号をサーボエラー信号生成回路105及び再生信号処理回路106に対して出力する。
【0097】
サーボエラー信号生成回路105は、ディテクタ1214及びディテクタ1223から出力された信号から、記録層に対するフォーカス制御に使用するためのR_FE信号、サーボ層に対するフォーカス制御に使用するためのS_FE信号、記録層に対するトラッキング制御に使用するためのR_TE信号、サーボ層に対するトラッキング制御に使用するためのS_TE信号を生成する。各エラー信号は、電位Vrefを基準として出力されるものとする。
【0098】
405nmの光学系におけるフォーカス制御及びトラッキング制御は、記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)で行われる。
【0099】
次に、650nmの光学系について説明する。405nmの光学系と同様に、レーザパワー制御回路1201がレーザダイオード1215を駆動し、レーザダイオード1215は波長650nmのレーザ光を出射する。レーザ光の一部は、コリメータレンズ1216、ビームスプリッタ1217、集光レンズ1218を経て、パワーモニタ1219にてパワーがモニタされる。モニタしたパワーをシステム制御回路1301にフィードバックすることで、光ディスク101のサーボ層に集光するレーザ光の強度が、たとえば3mWなど所望のパワーに保持される。ビームスプリッタ1217を透過したレーザ光は、偏光ビームスプリッタ1220にて反射し、1/4波長板1225を経て、対物レンズ1226により光ディスク101のサーボ層に集光する。光ディスク101にて反射したレーザ光を偏光ビームスプリッタ1220にて透過し、集光レンズ1222にてディテクタ1223に集光する。
【0100】
650nmの光学系におけるフォーカス制御及びトラッキング制御はサーボ層で行われる。
【0101】
サーボ層フォーカス制御回路1306は、システム制御回路1301からの指令信号によりS_FE信号に対してゲインと位相の補償を行い、サーボ層に対するフォーカス制御を行うための駆動信号を出力し、スイッチ1307、加算器1308を介してアクチュエータレンズ駆動回路109に入力される。これによりサーボ層に対するフォーカス制御が行われる。
【0102】
アクチュエータ駆動回路109は、光ピックアップ113内に搭載されたアクチュエータ1224を駆動する。この駆動によりサーボ層に対してフォーカス制御が行われる。
前述したようにアクチュエータ駆動回路109とサーボ層フォーカス制御回路1306が動作することで、光ディスク101に照射された波長650nmのレーザスポットが、常に光ディスク101のサーボ層の面上で合焦するようにサーボ層に対するフォーカス制御が行われる。
【0103】
ここで、R_FON信号、S_FON信号のHgihレベルとLowレベルは前述した状態では無く、例えばR_FON信号がLowレベルのときに端子aが選択するようにスイッチを制御しても良い。
【0104】
また、アクチュエータ駆動回路109は、S_TRDに従ってアクチュエータ1224をディスク面に平行な方向に駆動することで、対物レンズ1226がディスク半径方向に駆動される。このように、本実施例におけるアクチュエータ駆動回路109は、フォーカス方向に駆動する回路とトラッキング方向に駆動する回路を包含したものである。
【0105】
上記したようにサーボエラー信号生成回路105及びサーボ層トラッキング制御回路1310、アクチュエータ駆動回路109が動作することで、情報の記録時には波長650nmのレーザスポットがサーボ層に形成されているサーボ溝に追従するようにトラッキング制御が行われる。また、サーボエラー信号生成回路105及び記録層トラッキング制御回路1312、アクチュエータ駆動回路108が動作することで、情報の記録時には波長405nmのレーザスポットが記録層に形成された記録マークからR_TEを生成し記録マークに追従するようにトラッキング制御が行われる。
(本実施例の特徴と効果を実現するための記録時のトラッキング制御)
図6に本実施例における記録時の記録層とサーボ層に合焦している光スポットの関係を示す。
【0106】
記録動作時には図5のS_TON信号、R_TON信号、S_FON信号、R_FON信号はHighレベルとなっており、スイッチ1303の端子はa、スイッチ1307の端子はc、スイッチ1311の端子はe、スイッチ1314の端子はgが選択されており記録層とサーボ層へのフォーカス制御、トラッキング制御がなされているものとする。
【0107】
レーザダイオード1202から出射された波長405nmのレーザ光は図5のグレーティング111により3ビームとなり対物レンズ1211によって、光ディスク101の記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)に3つの光スポットが合焦する。図6の光スポット301で記録マークにトラッキング制御を行い、光スポット300で記録及びフォーカス制御を行い、光スポット302にて未記録確認を行う。例えば、光スポット302にて未記録を確認する方法として光スポット302と光スポット301の総反射光量の差分をとることが考えられる。この方法により記録マークが形成されていない未記録であれば反射光量が高く、記録マークが形成されていれば反射光量が低くなる光ディスク101であれば記録マークを追従している光スポット301の総反射光量から未記録にある光スポット302の総反射光量の差分を取ると演算結果は負になる。この差分を取った後の符号により記録マークにトラッキング追従できているかの確認が可能である。また、逆に記録マークが形成されていれば反射光量が高くなる光ディスク101であれば前述と符号が逆転する。
【0108】
また、図5のレーザダイオード1215から出射された波長650nmのレーザ光は対物レンズ1226によってサーボ層上に合焦する。この光スポット311は図6のサーボ層から記録のタイミング及びスピンドルモータ104の出力信号を用いずに光ディスク101からの読み出した情報によりスピンドル制御回路1313を制御するCLV制御を行うために必要な情報を再生するために使用する。また、再生信号処理回路106により記録マークに追従している光スポット301と光スポット311から再生信号処理回路106にて再生信号からアドレスが読み取れるため、このアドレスを記録時の記録が適切な位置と適切な記録層にて行われているかの確認に使用しても良い。
【0109】
光ディスク101が回転することにより光スポット300、光スポット301、光スポット302及び光スポット311が光ディスク101に対して図6に示す記録方向に移動し、光スポット301にてトラッキング制御しながら記録マークが光スポット300にて形成される。
【0110】
光スポット300、光スポット301、光スポット302の半径方向の距離であるトラックピッチは0.32umに等しくなるようにグレーティング111等の光学素子により調整する。ただし、周方向の距離はディテクタ1214にて分解できる距離であれば良い。ここで、光スポット300、光スポット301、光スポット302の半径方向のトラックピッチの設計はグレーティング111や記録する密度等により変わるため0.32umは一例として示している。
【0111】
また、本実施例では2つの対物レンズを半径方向に配置したが、円周方向(以下、タンジェンシャル方向と呼ぶ)に配置しても良い。
【0112】
以上の構成により本発明の実施例3では、実施例1と実施例2と異なり光ピックアップを2つのレンズにすることでサーボ層と記録層に集光した光スポットの位置は数トラック異なるが、サーボ層から得られるアドレスと記録層から得られるアドレスを補正することで、実施例1、2と同様に、記録層とサーボ層にそれぞれフォーカス制御とトラッキング制御により、記録済みのマーク列がディスク半径方向に一定の間隔で記録され、記録済みマーク列に対するマークの上書きを防ぐことができる。更に、記録時におけるCLV制御や記録のタイミング生成等はサーボ溝から得られる情報から制御を行うことができる。本実施例では対物レンズの仕様を緩和できるため安価な光ディスク装置をユーザに提供することができる。また、一つの種類のレーザ光源を用いて記録再生を行う光ディスク(例えば、DVD、BD)とも互換性をとり易くなる。
【実施例4】
【0113】
本発明における実施例4について、以下に説明する。
(ディスク構造)
図2に光ディスク101のディスク構造を示す。本実施例における光ディスク101の構造は説明済みであるため省略する。
(本実施例の特徴)
図7に本実施例による光ディスク装置の構成を示す。これまでの実施例では1つの光ピックアップの構成であった。本実施例の特徴は2つの光ピックアップを有した光ディスク装置である点である。この特徴以外の本実施例の特徴を図6で説明する。図6は、図2に示した構造を有した光ディスクの一部を切り出し、拡大したものである。
【0114】
図6は、光スポット300が記録層に集光され、ディスクの接線方向に進みながらマークを記録している様子を示しており、同時に、光スポット301と光スポット302が、光スポット300と一定の距離を置き、記録済みのマーク上と、後にマークが記録される予定の領域(未記録領域)にそれぞれ集光されおり、さらに、本実施例では2つの対物レンズが半径方向に配置されているため、光スポット300とサーボ層の溝(トラック)に集光されている光スポット311は半径方向の配置に相当するずれが生じることとなる。つまり、サーボ層上のトラックに換算して2つの光スポットは数トラック離れた位置に集光することとなる。(図では3トラックずれている)。なお、光スポット300、301、および302は、元は同じ光束から分離され、同一の対物レンズ(図示せず)から放たれたものであり、光スポット311は、光スポット300、301、および302とは異なる光束であり、異なる対物レンズから放たれたことを示している。
【0115】
なお、光ピックアップが2つあることで、記録層とサーボ層の光スポットから得られる情報を再生したときに対物レンズの間隔に相当するアドレスにずれが生じる。このずれの補正は、例えば記録層とサーボ層のアドレスから互いのアドレス差を演算することにより相対アドレスずれを補正する方法で解決できる。このため記録層とサーボ層の光スポットから得られるアドレス差を補正して、サーボ溝から得られるアドレス情報をもとに記録時におけるCLV制御や記録のタイミング生成等を行う点も特徴である。
(本実施例の実現手段)
本実施例では光ピックアップ112、114以外の構造は図1と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0116】
光ディスク装置は対物レンズ1211によって、記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)に入射した光を集光しレーザスポットを生じさせる。また、対物レンズ1226によって、サーボ層に入射した光を集光しレーザスポットを生じさせる。
【0117】
本実施例における光ディスク装置は、光ピックアップ114と、光ピックアップ112と、信号処理回路103と、スピンドルモータ104と、サーボエラー信号生成回路105と、再生信号処理回路106と、スピンドル駆動回路107と、アクチュエータ駆動回路108と、アクチュエータ駆動回路109と、収差補正素子駆動回路110で構成される。
【0118】
信号処理回路103とスピンドルモータ104の制御に関する説明は図1と同じであるため省略する。
【0119】
光ピックアップ112は、たとえば650nmの光学系を、光ピックアップ114は、たとえば405nmの光学系を備えている。
【0120】
まず、光ピックアップ114の405nmの光学系について説明する。レーザパワー制御回路1201は、システム制御回路1301によって制御されており、レーザダイオード1202を駆動する電流を出力する。この駆動電流は、レーザノイズを抑制するために数百MHzの高周波重畳が印加されている。レーザダイオード1202は、駆動電流に応じた波形で波長405nmのレーザ光を出射する。出射されたレーザ光はコリメータレンズ1203にて平行光となり、ビームスプリッタ1204で一部が反射し、集光レンズ1205によってパワーモニタ1206に集光する。パワーモニタ1206は、レーザ光の強度に応じた電流または電圧をシステム制御回路1301にフィードバックする。これによって光ディスク101の記録層に集光するレーザ光の強度が、たとえば2mWなど所望の値に保持される。一方、ビームスプリッタ1204を透過したレーザ光は3ビーム仕様のグレーティング111により複数の光ビーム(メインビーム0次光及びそのサーボビーム±1次光)となり、偏光ビームスプリッタ1207にて反射し、収差補正素子駆動回路110にて駆動される収差補正素子1209によって収束・発散が制御される。収束・発散が制御されたレーザ光は、1/4波長板1210にて円偏光となり、対物レンズ1211によって光ディスク101の記録層に集光する。対物レンズ1211は、アクチュエータ1212によって位置制御される。光ディスク101によって反射したレーザ光は、光ディスク101に記録された情報に応じて強度が変調され、1/4波長板1210にて直線偏光となり、収差補正素子1209を経て、偏光ビームスプリッタ1207を透過する。透過したレーザ光は、集光レンズ1213によってディテクタ1214に集光する。ディテクタ1214はレーザ光の強度を検出し、これに応じた信号をサーボエラー信号生成回路105及び再生信号処理回路106に対して出力する。
【0121】
次に、光ピックアップ112の650nmの光学系について説明する。405nmの光学系と同様に、レーザパワー制御回路1201がレーザダイオード1215を駆動し、レーザダイオード1215は波長650nmのレーザ光を出射する。レーザ光の一部は、コリメータレンズ1216、ビームスプリッタ1217、集光レンズ1218を経て、パワーモニタ1219にてパワーがモニタされる。モニタしたパワーをシステム制御回路1301にフィードバックすることで、光ディスク101のサーボ層に集光するレーザ光の強度が、たとえば3mWなど所望のパワーに保持される。ビームスプリッタ1217を透過したレーザ光は、偏光ビームスプリッタ1220にて反射し、1/4波長板1225を経て、対物レンズ1226により光ディスク101のサーボ層に集光する。光ディスク101にて反射したレーザ光を偏光ビームスプリッタ1220にて透過し、集光レンズ1222にてディテクタ1223に集光する。
【0122】
アクチュエータ駆動回路109は、光ピックアップ113内に搭載されたアクチュエータ1224を駆動する。この駆動によりサーボ層に対してフォーカス制御が行われる。
【0123】
アクチュエータ駆動回路109は、S_TRDに従ってアクチュエータ1224をディスク面に平行な方向に駆動することで、対物レンズ1226がディスク半径方向に駆動される。このように、本実施例におけるアクチュエータ駆動回路109は、フォーカス方向に駆動する回路とトラッキング方向に駆動する回路を包含したものである。
【0124】
上記したようにサーボエラー信号生成回路105及びサーボ層トラッキング制御回路1310、アクチュエータ駆動回路109が動作することで、情報の記録時には波長650nmのレーザスポットがサーボ層に形成されているサーボ溝に追従するようにトラッキング制御が行われる。また、サーボエラー信号生成回路105及び記録層トラッキング制御回路1312、アクチュエータ駆動回路108が動作することで、情報の記録時には波長405nmのレーザスポットが記録層に形成された記録マークからR_TEを生成し記録マークに追従するようにトラッキング制御が行われる。
(本実施例の特徴と効果を実現するための記録時のトラッキング制御)
図6に本実施例における記録時の記録層とサーボ層に合焦している光スポットの関係を示す。
【0125】
記録動作時には図7のS_TON信号、R_TON信号、S_FON信号、R_FON信号はHighレベルとなっており、スイッチ1303の端子はa、スイッチ1307の端子はc、スイッチ1311の端子はe、スイッチ1314の端子はgが選択されており記録層とサーボ層へのフォーカス制御、トラッキング制御がなされているものとする。
【0126】
レーザダイオード1202から出射された波長405nmのレーザ光は図7のグレーティング111により3ビームとなり対物レンズ1211によって、光ディスク101の記録層(記録層のうちのいずれか1つの層)に3つの光スポットが合焦する。図6の光スポット301で記録マークにトラッキング制御を行い、光スポット300で記録及びフォーカス制御を行い、光スポット302にて未記録確認を行う。例えば、光スポット302にて未記録を確認する方法として光スポット302と光スポット301の総反射光量の差分をとることが考えられる。この方法により記録マークが形成されていない未記録であれば反射光量が高く、記録マークが形成されていれば反射光量が低くなる光ディスク101であれば記録マークを追従している光スポット301の総反射光量から未記録にある光スポット302の総反射光量の差分を取ると演算結果は負になる。この差分を取った後の符号により記録マークにトラッキング追従できているかの確認が可能である。また、逆に記録マークが形成されていれば反射光量が高くなる光ディスク101であれば前述と符号が逆転する。
【0127】
また、図7のレーザダイオード1215から出射された波長650nmのレーザ光は対物レンズ1226によってサーボ層上に合焦する。この光スポット311は図6のサーボ層から記録のタイミング及びスピンドルモータ104の出力信号を用いずに光ディスク101からの読み出した情報によりスピンドル制御回路1313を制御するCLV制御を行うために必要な情報を再生するために使用する。また、再生信号処理回路106により記録マークに追従している光スポット301と光スポット311から再生信号処理回路106にて再生信号からアドレスが読み取れるため、このアドレスを記録時の記録が適切な位置と適切な記録層にて行われているかの確認に使用しても良い。
【0128】
光ディスク101が回転することにより光スポット300、光スポット301、光スポット302及び光スポット311が光ディスク101に対して図6に示す記録方向に移動し、光スポット301にてトラッキング制御しながら記録マークが光スポット300にて形成される。
【0129】
光スポット300、光スポット301、光スポット302の半径方向の距離であるトラックピッチは0.32umに等しくなるようにグレーティング111等の光学素子により調整する。ただし、周方向の距離はディテクタ1214にて分解できる距離であれば良い。ここで、光スポット300、光スポット301、光スポット302の半径方向のトラックピッチの設計はグレーティング111や記録する密度等により変わるため0.32umは一例として示している。
【0130】
以上の構成により本発明の実施例4では、実施例3と異なり光ピックアップを2つにすることで、サーボ層と記録層に集光した光スポットの位置は数トラック異なるという課題を解決できる。また、実施例1、2と同様に、記録層とサーボ層にそれぞれフォーカス制御とトラッキング制御により、記録済みのマーク列がディスク半径方向に一定の間隔で記録され、記録済みマーク列に対するマークの上書きを防ぐことができる。更に、記録時におけるCLV制御や記録のタイミング生成等はサーボ溝から得られる情報から制御を行うことができる。本実施例では対物レンズの仕様を緩和できるため安価な光ディスク装置をユーザに提供することができる。また、一つの種類のレーザ光源を用いて記録再生を行う光ディスク(例えば、DVD、BD)とも互換性をとり易くなる。
【実施例5】
【0131】
本発明における実施例5について、以下に説明する。
(ディスク構造)
図2に光ディスク101のディスク構造を示す。本実施例における光ディスク101の構造は説明済みであるため省略する。
(本実施例の特徴)
図8に本実施例による光ディスク装置の構成を示す。本実施例の特徴は2つの光ピックアップを有し、これら2つの光ピックアップをスピンドルモータの回転軸に対して対称な位置に配置している光ディスク装置である点である。この特徴以外の本実施例の特徴を図9で説明する。図9は、図2に示した構造を有した光ディスクの一部を切り出し、拡大したものである。
【0132】
図9は、光スポット300が記録層に集光され、ディスクの接線方向に進みながらマークを記録している様子を示しており、同時に、光スポット301と光スポット302が、光スポット300と一定の距離を置き、記録済みのマーク上と、後にマークが記録される予定の領域(未記録領域)にそれぞれ集光されおり、さらに、スピンドルモータ104の回転軸に対して対称な位置に2つの対物レンズを配置する。これにより、実施例4のように光スポット300とサーボ層の溝(トラック)に集光されている光スポット311が光ピックアップ112と光ピックアップ114の半径位置に相当するトラックずれを低減することができる。つまり、サーボ層上のトラックに換算して2つの光スポットは同一半径位置に集光することが可能となる。なお、光スポット300、301、および302は、元は同じ光束から分離され、同一の対物レンズ(図示せず)から放たれたものであり、光スポット311は、光スポット300、301、および302とは異なる光束であり、異なる対物レンズから放たれたことを示している。
(本実施例の実現手段)
本実施例では光ピックアップ112、114の位置以外については図7と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0133】
次に光ピックアップ112と光ピックアップ114がスピンドルモータ104の回転軸に対して対称な位置となるための制御について説明する。本実施例では、光ピックアップが2つあることで、記録層とサーボ層の光スポットから得られる情報を再生したときにアドレスが読み取れる。この読み取ったアドレスには、ずれがある。このずれの補正は、例えば記録層とサーボ層のアドレスから互いのアドレス差を演算することにより相対アドレスずれ量を求め、この相対アドレスずれが一定になるように2つの光ピックアップを制御することで解決できる。このため記録層とサーボ層の光スポットから得られるアドレス差を補正して、サーボ溝から得られるアドレス情報をもとに記録時におけるCLV制御や記録のタイミング生成等を行う点も特徴である。
【0134】
本実施例において、レーザパワー制御回路1201を光ピックアップ102と光ピックアップ112とは別にしている構成であるが、光ピックアップ102用のレーザパワー制御回路用と光ピックアップ112用のレーザパワー制御回路として光ピックアップ内に組み込んでも良い。
【0135】
本実施例において、光ピックアップ114と光ピックアップ112をスピンドルモータ104の回転軸に対して対称な位置に2つに配置している。
【0136】
以上の構成により本発明の実施例5では、実施例4と同様の効果を得るとともに実施例4のような記録層とサーボ層で光ピックアップの位置によりアドレスのずれ量は同一半径で円周方向のアドレスずれにできるため、アドレスずれ量を少なくすることができる。
【0137】
なお、上記各実施例は追記型ディスクを前提に説明したが、本発明はこれに限定されず書換型ディスクに適用できることは言うまでもない。この場合、誤って所望の記録位置とは異なる記録位置にデータを上書きしてしまうことを抑制することができる。
【0138】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0139】
101…光ディスク
102…光ピックアップ
103…信号処理回路
104…スピンドルモータ
105…サーボエラー信号生成回路
106…再生信号処理回路
107…スピンドル駆動回路
108…アクチュエータ駆動回路
109…リレーレンズ駆動回路
110…収差補正素子駆動回路
111…グレーティング
112…光ピックアップ
113…光ピックアップ
114…光ピックアップ

1201…レーザパワー制御回路
1202…レーザダイオード
1203…コリメータレンズ
1204…ビームスプリッタ
1205…集光レンズ
1206…パワーモニタ
1207…偏光ビームスプリッタ
1208…ダイクロイックミラー
1209…収差補正素子
1210…1/4波長板
1211…対物レンズ
1212…アクチュエータ
1213…集光レンズ
1214…ディテクタ
1215…レーザダイオード
1216…コリメータレンズ
1217…ビームスプリッタ
1218…集光レンズ
1219…パワーモニタ
1220…偏光ビームスプリッタ
1221…リレーレンズ
1222…集光レンズ
1223…ディテクタ
1224…アクチュエータ
1225…1/4波長板
1226…対物レンズ

1301…システム制御回路
1302…記録層フォーカス制御回路
1303…スイッチ
1304…加算器
1305…記録層フォーカス駆動電圧生成回路
1306…サーボ層フォーカス制御回路
1307…スイッチ
1308…加算器
1309…サーボ層フォーカス駆動電圧生成回路
1310…トラッキング制御回路
1311…スイッチ
1312…記録層トラッキング制御回路
1313…スピンドル制御回路
1314…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックを有するサーボ層を少なくとも一つと、トラックを有さない記録層を一つ以上と、から構成される光ディスクの記録を行う光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記サーボ層にレーザ光を照射する第一のレーザ光源と、
前記光ディスクの前記記録層にレーザ光を照射する第二のレーザ光源と、
前記第一のレーザ光源と前記第二のレーザ光源から照射されるレーザ光を集光する対物レンズと、
前記第一のレーザ光源により照射される第一のレーザ光の収束と発散を制御するリレーレンズと、
前記リレーレンズを駆動する第一のアクチュエータと、
前記対物レンズを駆動する第二のアクチュエータと、
前記第一のアクチュエータを制御する第一の制御手段と、
前記第二のアクチュエータを制御する第二の制御手段と、を具備し、
前記第一のアクチュエータは、前記第一の制御手段により前記光ディスク上に集光したスポット位置を前記光ディスク面に垂直な方向及び前記光ディスクの半径方向に駆動され、
前記第二のアクチュエータは、前記第二の制御手段により前記光ディスク上に集光したスポット位置を前記光ディスク面に垂直な方向及び前記光ディスクの半径方向に駆動されることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1の光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記記録層に情報の記録を行う場合に、前記第一の制御手段は、前記光ディスク上のスポット位置が前記光ディスクの半径方向に移動するように、前記第一のアクチュエータを制御し、前記第二の制御手段は、前記光ディスク上のスポット位置が前記光ディスクの半径方向に移動するように制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項2の光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記記録層に情報の記録を行う場合に、前記第二のレーザ光源により前記光ディスクの前記記録層に照射された光スポットを用いて前記記録層への前記第二のアクチュエータのトラッキング制御を行いながら記録マークを形成することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項3の光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記記録層に情報の記録を行う場合に、前記光ディスクの前記記録層への書き込みのタイミングに関する情報を前記第一のレーザ光源により前記光ディスクの前記サーボ層に照射された光スポットを用いて生成することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項4の光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記記録層に情報の記録を行う場合に、前記第二のレーザ光源により第一の光スポットと第二の光スポットを前記記録層に照射し、前記第一の光スポットを用いて前記第二のアクチュエータのトラッキング制御を行いながら前記第二の光スポットを用いて記録マークを形成することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項5の光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記記録層に情報の記録を行う場合に、前記第二のレーザ光源により複数の光スポットを前記記録層に照射し、記録マークに照射された光スポットを用いて前記第二のアクチュエータのトラッキング制御を行いながら別の光スポットを用いて記録マークを形成することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項5の光ディスク装置において、
前記光ディスクの記録層に情報の記録を行う場合に、前記第二のレーザ光源により複数の光スポットを前記記録層に照射し、隣接の記録マークに照射された光スポットを用いて前記第二のアクチュエータのトラッキング制御を行いながら別の光スポットを用いて記録マークを形成することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項3の光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記記録層に情報の記録を行う場合に、前記第一のレーザ光源により前記光ディスクの前記サーボ層に照射された光スポットにて前記第一のアクチュエータのトラッキング制御を行う光ディスク装置。
【請求項9】
トラックを有するサーボ層を少なくとも一つと、トラックを有さない記録層を一つ以上と、から構成される光ディスクの記録を行う光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記サーボ層にレーザ光を照射する第一のレーザ光源と、
前記光ディスクの前記記録層にレーザ光を照射する第二のレーザ光源と、
前記第一のレーザ光源により照射されるレーザ光を集光する第一の対物レンズと、
前記第二のレーザ光源により照射されるレーザ光を集光する第二の対物レンズと、
前記第一対物レンズを駆動する第一のアクチュエータと、
前記第二対物レンズを駆動する第二のアクチュエータと、
前記第一のアクチュエータを制御する第一の制御手段と、
前記第二のアクチュエータを制御する第二の制御手段と、を具備し、
前記第一の制御手段は、前記光ディスクのスポット位置が前記光ディスクの半径方向に移動するように、前記第一のアクチュエータを制御し、
前記第二の制御手段は、前記光ディスクのスポット位置が前記光ディスクの半径方向に移動するように前記第二のアクチュエータを制御することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項10】
サーボ層と記録層を有する光ディスクに情報を記録する光ディスク装置であって、
前記サーボ層に照射するための第1のレーザ光を照射する第1のレーザ光源と、
前記記録層に照射するための第2のレーザ光を照射する第2のレーザ光源と、
前記第1のレーザ光の収束と発散を制御するリレーレンズと、
前記第1のレーザ光を前記光ディスク上の前記サーボ層に前記第2のレーザ光を前記光ディスク上の前記記録層に集光する対物レンズと、
前記リレーレンズを駆動する第1のアクチュエータと、
前記対物レンズを駆動する第2のアクチュエータと、
前記第1のアクチュエータを制御する第1の制御手段と、
前記第2のアクチュエータを制御する第2の制御手段と、を備え、
前記第1のアクチュエータのトラックキング制御と、前記第2のアクチュエータのトラックキング制御と、は互いに独立であることを特徴とする記録方法。
【請求項11】
請求項4の光ディスク装置において、
前記光ディスクの前記記録層に情報の記録を行う場合に、前記第一のレーザ光源により前記光ディスクの前記サーボ層に照射された光スポットにて前記第一のアクチュエータのトラッキング制御を行う光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−234586(P2012−234586A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100389(P2011−100389)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】