説明

光ディスク装置

【課題】BDXLを対象としたスピンアップ処理において、リード失敗に起因するリトライを効率的に行うことが可能な光ディスク装置を提供する。
【解決手段】本発明の光ディスク装置は、光ピックアップと、電気信号から制御信号を生成する信号生成部とを備える。また、光ディスクのスピンアップ処理において、光ディスクが三層以上の多層ディスクであると判別され、且つアドレス情報を光ディスクから取得するのに成功した時点で、三層以上の多層ディスク用の発光パワーにより光ビームを照射するよう光ピックアップを制御する主制御部を備える。また主制御部は、スピンアップ処理において、多層ディスクであると判別され、且つアドレス情報の取得に成功し、且つディスク情報の取得に失敗した場合に、三層以上の多層ディスク用の発光パワーによりディスク情報の取得を再試行するよう、光ピックアップを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの再生又は記録を行う光ディスク装置に関するものであり、特に複数の種別の光ディスクの再生又は記録を行うことが可能な光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD(Digital Versatile Disc)やBD(Blu-ray Disc:登録商標)といった光ディスクが普及し、一般的に用いられるようになっている。そして光ディスクに記録された情報、例えば音声情報や画像情報を読み出して記録/再生するための装置として、光ディスク装置が存在する。広く知られている光ディスク装置としては、例えばDVDプレイヤやBDレコーダ、或いはパソコンに接続されるCD−ROMドライブ等があげられる。
【0003】
光ディスク装置は、光ディスクに対して光ビームを照射して情報の読み取りを行うための光ピックアップを備えている。光ピックアップは、ターンテーブル上に固定されて回転している光ディスクの情報記録面に対して光ビームを照射する。
【0004】
そして情報記録面からの反射光を光ピックアップ内に設けられた光検出器、例えばフォトダイオードによって受光する。そして光検出器により光を電気信号に変換し、得られた電気信号に基づいて光ディスクに記録されている情報を出力する。
【0005】
光ディスクから正確に情報を読み取るためには、光ビームの光軸を光ディスク上に形成されたピット列の中心に追随させる処理(=トラッキング処理)を行う必要がある。これをなすために光ピックアップ装置内には、対物レンズを光ディスクの径方向に駆動させるためのアクチュエータと、アクチュエータの制御を行うトラッキングサーボとが備えられている。
【0006】
しかしながら、一つの光ピックアップ装置で、全ての種別の光ディスクの再生または記録を行うことはできない。従って、近年の光ディスク装置は、複数の光ピックアップ装置を備え、検知した光ディスクの種別に応じて使用する光ピックアップ装置を切り換えるのが通常である。
【0007】
このように複数の光ピックアップ装置を切り換えて使用する光ディスク装置として、ディスク種別の判別結果に基づいて光ビームの発光パワーを増減させる光ディスク装置や、所定の領域に光ビームを照射することによってBCA(Burst Cutting Area)を検知して層数を判定する光ディスク装置が開示・提案されている(例えば特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−265596号公報
【特許文献2】特開2009−116990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながらBDのリードパワーは規格により、例えばBD−R DL(Blu-ray Disc Recordable Double Layer)が0.7mW、BDXL(Blu-ray Disc XL)が1.2mWと定められている。BDXLをスピンアップする際、最初から1.2mWでLD発光させることが望ましいが、ディスク種別の判別間違いを考慮する必要がある。
【0010】
従って、ディスク種別が示されているディスク情報を読み取ってBDXLと確定するまでは0.7mWで発光し、1.2mWでは発光させないようにしている。これは、BD−R DLに対して1.2mW発光するとディスクを破壊する恐れがあるためである。
【0011】
しかしながらBDXLに対して0.7mWで発光した場合、ほこりなどが原因で出射パワーが減衰し、0.7mW発光ではパワーが足りないという可能性がある。この結果、BDXLのディスク情報が読めず、各種調整とディスク情報リード失敗とを繰り返し、スピンアップに失敗するという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、再生または記録が可能な光ディスク装置であって、BDXLを対象としたスピンアップ処理において、リード失敗に起因するリトライを効率的に行うことが可能な光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の光ディスク装置は、光ディスクの記録面に光ビームを照射させる光源、及び前記記録面からの反射光を光電変換する光検出器を備えた光ピックアップと、前記光電変換により得られた電気信号から制御信号を生成する信号生成部と、前記制御信号に基づいて前記光ピックアップの制御を行うサーボ制御部とを備えた光ディスク装置において、前記光ディスクのスピンアップ処理において、前記光ディスクが三層以上の多層ディスクであると判別され、且つ前記記録面の物理的な位置を示す情報であるアドレス情報を前記光ディスクから取得するのに成功した時点で、三層以上の多層ディスク用の発光パワーにより前記光ディスクへ光ビームを照射するよう、前記光ピックアップを制御する主制御部を備えることを特徴としている。
【0014】
この構成によると、本発明の光ディスク装置は、光源及び光検出器を備えた光ピックアップを備える。また、光電変換により得られた電気信号から制御信号を生成する信号生成部を備える。また、制御信号に基づいて光ピックアップの制御を行うサーボ制御部を備える。また、光ディスクのスピンアップ処理において、光ディスクが三層以上の多層ディスクであると判別され、且つアドレス情報を光ディスクから取得するのに成功した時点で、三層以上の多層ディスク用の発光パワーにより光ビームを照射するよう光ピックアップを制御する主制御部を備える。
【0015】
また上記目的を達成するために本発明の光ディスク装置が備える前記主制御部は、前記光ディスクのスピンアップ処理において、前記光ディスクが三層以上の多層ディスクであると判別され、且つ前記光ディスクからの前記アドレス情報の取得に成功し、且つ前記光ディスクの種別を示す情報であるディスク情報を前記光ディスクから取得するのに失敗した場合に、三層以上の多層ディスク用の発光パワーにより前記ディスク情報の取得を再試行するよう前記光ピックアップを制御することを特徴としている。
【0016】
この構成によると、主制御部は、光ディスクのスピンアップ処理において、光ディスクが三層以上の多層ディスクであると判別され、且つアドレス情報の取得に成功し、且つディスク情報の取得に失敗した場合に、三層以上の多層ディスク用の発光パワーによりディスク情報の取得を再試行するよう、光ピックアップを制御する。
【0017】
また上記目的を達成するために本発明の光ディスク装置が備える前記主制御部は、前記光ディスクのスピンアップ処理において、前記光ディスクがBDXLであると判別され、且つ前記光ディスクよりアドレス情報の取得が成功した時点で、BDXL用の発光パワーである1.2mWにより、前記光ディスクへ光ビームを照射するよう前記光ピックアップを制御することを特徴としている。
【0018】
この構成によると、主制御部は、光ディスクのスピンアップ処理において、光ディスクがBDXLであると判別され、且つアドレス情報の取得が成功した時点で、BDXL用の発光パワーである1.2mWにより光ビームを照射するよう、光ピックアップを制御する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、BDXLと推定されるディスクをスピンアップするとき、アドレス情報リードに成功した時点で、BDXLであると確定し、1.2mW発光する。その後、ディスク情報リードに失敗すると、1.2mW発光でリトライする。これにより、出射パワーが足りないことでディスク情報が読めず、結果としてスピンアップ処理に失敗する可能性を低減できる。つまり、より多くの発光パワーが必要である三層以上の多層ディスクのスピンアップ処理において、スピンアップ処理の失敗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る光ピックアップの光学系を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るスピンアップ処理を示すフロー図である。
【図4】従来のスピンアップ処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るディスクプレイヤ100(=光ディスク装置)を示す構成図である。ディスクプレイヤ100は、光ピックアップ1、信号生成回路21(=信号生成部)、DSP(Digital Signal Processor)31(=サーボ制御部)、再生処理回路32、出力回路33、システムコントローラ41(=主制御部)、ドライバ42、表示部43、操作部44、記録部45、送りモータ51、及びスピンドルモータ52を備えている。
【0023】
光ピックアップ1は、光ディスク2に光ビームを照射して、光ディスク2に記録された音声情報、画像情報等の各種情報の読み取りを行う。この光ピックアップ1には、CD用光ビーム、DVD用光ビーム、BD用光ビームが設けられている。なお、光ピックアップ1内部の詳細については後述する。
【0024】
信号生成回路21は、光ピックアップ1が含む光検出器19(図2)により得られた信号をもとに演算処理を行い、RF信号、フォーカスエラー信号、及びトラッキングエラー信号等の各種信号を生成する。そして生成した各種信号を、DSP31へ出力する。
【0025】
DSP31は、信号生成回路21より入力したRF信号をもとに画像処理を行うことにより画像信号を生成し、再生処理回路32へ与える。再生処理回路は、画像信号を不図示のモニタへ出力するためにD/A変換処理を行う。変換処理により得られた信号は、出力回路33により外部装置へ出力される。
【0026】
またDSP31は、信号生成回路21より入力したFE信号やトラッキングエラー信号に基づいてサーボ信号を生成する。例えばトラッキングサーボを行うためのトラッキングサーボ信号や、フォーカスサーボを行うためのフォーカスサーボ信号を生成する。生成されたサーボ信号はドライバ42へ与えられる。これにより例えば、光ピックアップ1が含む対物レンズ17(図2)のトラッキング制御やフォーカス制御等が実施される。
【0027】
システムコントローラ41は、DSP31を介して、光ピックアップ1、送りモータ51、及びスピンドルモータ52等の動作を制御する。なおシステムコントローラ41は、例えば複数のマイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0028】
システムコントローラ41は、操作部44からの情報を受け付けてDSP31に伝送すると共に、DSP31から受けた情報を表示部43に伝送する。またシステムコントローラ41は、各種演算に用いる情報を、半導体記憶素子等からなる記録部45に記録する。
【0029】
ドライバ42は、DSP31から与えられるサーボ信号等に基づいて、光ピックアップ1、送りモータ51、及びスピンドルモータ52の駆動を制御する。送りモータ51は、光ピックアップ1を光ディスク2の径方向に駆動する。スピンドルモータ52は、光ディスク2を回転方向に駆動する。
〈2.光ピックアップの構成について〉
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に係る光ピックアップ1の光学系を示す概略図である。光ピックアップ1は、光ディスク2に対して、光ビームを照射して反射光を受光する。これにより、光ディスク2の記録面に記録されている情報を読み取る。
【0031】
光ピックアップ1は、第一光源11aと、第二光源11bと、ダイクロプリズム12と、コリメートレンズ13と、ビームスプリッタ14と、立ち上げミラー15と、液晶素子16と、対物レンズ17と、検出レンズ18と、光検出器19と、アクチュエータ20とを備えている。
【0032】
第一光源11aは、DVDに対応する650nm帯の光ビームと、CDに対応する780nm帯の光ビームとを出射できるレーザダイオードである。第二光源11bは、BDに対応する405nm帯の光ビームを出射できるレーザダイオードである。
【0033】
なお、本実施形態では、第一光源11aとして、2種類の波長の光ビームを出射できる二つの発光点を有する2波長一体型のレーザダイオードを用いているが、これに限られる趣旨ではなく、例えば単一の波長の光ビームのみを出射するレーザダイオードを用いても構わない。
【0034】
ダイクロプリズム12は、DVD用の光ビームを出射する第一光源11aから出射される光ビームを透過し、BD用の光ビームを出射する第二光源11bから出射される光ビームを反射する。そして、第一光源11a及び第二光源11bから出射される光ビームの光軸を一致させる。ダイクロプリズム12において、透過又は反射された光ビームは、コリメートレンズ13に送られる。
【0035】
コリメートレンズ13は、ダイクロプリズム12を透過した光ビームを平行光に変換する。ここで、平行光とは、第一光源11a及び第二光源11bから出射された光ビームの全ての光路が光軸とほぼ平行である光をいう。コリメートレンズ13で平行光とされた光ビームは、ビームスプリッタ14に送られる。
【0036】
ビームスプリッタ14は、入射する光ビームを分離する光分離素子として機能し、コリメートレンズ13から送られてきた光ビームを透過して、光ディスク2側へと導くとともに、光ディスク2で反射された反射光を反射して光検出器19側へと導く。ビームスプリッタ14を透過した光ビームは、立ち上げミラー15に送られる。
【0037】
立ち上げミラー15は、ビームスプリッタ14を透過してきた光ビームを反射して光ディスク2へと導く。立ち上げミラー15は、ビームスプリッタ14からの光ビームの光軸に対して45°傾いた状態となっており、立ち上げミラー15で反射された光ビームの光軸は、光ディスク2の記録面と略直交する。立ち上げミラー15で反射された光ビームは、液晶素子16に送られる。
【0038】
液晶素子16は、透明電極に挟まれた液晶(いずれも図示せず)に電圧を印加することで、液晶分子がその配向方向を変える性質を利用して、屈折率の変化を制御し、液晶素子6を透過する光ビームの位相の制御を可能とする素子である。
【0039】
この液晶素子16を配置することによって、光ディスク2の記録面を保護する樹脂層の厚みの違い等によって生じる球面収差の補正が可能となる。液晶素子16を通過した光ビームは対物レンズ17へと送られる。
【0040】
対物レンズ17は、液晶素子16を透過した光ビームを光ディスク2の記録面上に集光させる。また、対物レンズ17は後述するアクチュエータ20によって、例えば、図2の上下方向及び左右方向に移動可能とされており、フォーカスサーボ信号及びトラッキングサーボ信号に基づいてその位置が制御される。
【0041】
光ディスク2で反射された反射光は、対物レンズ17、液晶素子16の順に通過し、立ち上げミラー15で反射された後、さらにビームスプリッタ14で反射されて、検出レンズ18によって光検出器19上に設けられる受光素子へと集光される。
【0042】
光検出器19は、フォトダイオード等の受光素子を用いて受光した光を、電気信号に変換して信号生成回路21へ出力する。光検出器19は例えば四分割された受光領域を備えており、領域ごとに個別に光電変換を行って電気信号を出力することが可能である。
【0043】
アクチュエータ20は、ドライバ42で生成され出力された対物レンズ駆動信号に従って、対物レンズ17を光ディスク2の径方向に移動させる。アクチュエータ20はそれには限定されないが、ここでは、永久磁石(不図示)によって形成される磁界内にコイル(不図示)に駆動電流を流し、ローレンツ力にて対物レンズ17を駆動することができるものであってもよい。
【0044】
またアクチュエータ20は、対物レンズ17を光ディスク2の記録面に沿う方向に移動させるトラッキング動作の他に、対物レンズ17より照射される光ビームの光軸が揺動するように対物レンズ17を傾動させるチルト動作や、対物レンズ17を光ディスク2に対して接近離反するように移動させるフォーカス動作も行うことができる。
〈3.スピンアップ処理について〉
【0045】
次に、本発明の一実施形態に係るスピンアップ処理を、図3及び図4のフロー図を用いながら説明する。なお、図3は本発明のスピンアップ処理を示すフロー図であり、図4は従来のスピンアップ処理を示すフロー図である。両図における同一の処理については、同一のステップ番号を付与することにより説明を省略するものとする。
【0046】
まず、従来のスピンアップ処理について説明する。図4に示す処理フローは、光ディスク2のマウント処理時または再生処理時等において、光ディスク2の種別がBDXLであると推定された時点で開始される。なおこの推定は例えば、フォーカスエラー信号のS字バランス調整(フォーカスエラーバランスが最小となるバランス調整)の調整結果を参照し、検出されたS字曲線の数に基づいて行う。
【0047】
従って本処理の開始時では、光ディスク2の記録領域からディスク種別を示すディスク情報が読み取られておらず、従って種別がBDXLであるという推測はなされているが、確定はしていない状態である。
【0048】
本処理の開始後、システムコントローラ41はステップS110において、BD−R DL用の光ビーム、すなわち0.7mWの光ビームを光ディスク2に対して照射するよう、光ピックアップ1を制御する。
【0049】
次にシステムコントローラ41はステップS120において、BD−R DL用の光ビームによる各種調整、例えばフォーカスエラー信号を用いたフォーカス調整や、トラッキングエラー信号を用いたトラッキング調整等を行う。
【0050】
次にシステムコントローラ41はステップS130において、光ディスク2に対するアドレス情報のリードを実施する。なおアドレス情報とは、光ディスク2の記録面における物理的な位置を示す位置情報である。さらにステップS140において、光ディスク2に対するディスク情報のリードを実施する。なおディスク情報には、光ディスク2のディスク種別を示す情報が含まれている。
【0051】
次にシステムコントローラ41はステップS150において、ディスク情報のリードに成功したか否かを判定する。成功していない場合、再びステップS120へ移行する。成功した場合、システムコントローラ41はステップS160において、ディスク情報が示すディスク種別がBDXLであるか否かを判定する。
【0052】
BDXLではない場合、再びステップS120へ移行する。BDXLである場合、システムコントローラ41はステップS170において、光ディスク2のディスク種別がBDXLであると確定する。
【0053】
次にシステムコントローラ41はステップS180において、BDXL用の光ビーム、すなわち1.2mWの光ビームを光ディスク2に対して照射するよう、光ピックアップ1を制御する。
【0054】
次にシステムコントローラ41はステップS190において、BDXL用の光ビームによる各種調整を行う。なお各種調整処理の内容はステップS120と同様であるため、説明を省略する。
【0055】
以上に説明した処理フローでは、リードしたディスク情報に基づいてBDXLと確定するまでは0.7mW発光にしておき、1.2mW発光させないようにしている。これは、BD−R DLに対して1.2mW発光すると、ディスクが破損する恐れがあるためである。
【0056】
しかしながら、例えば光ディスク2に対するほこりの付着等が原因で出射パワーが減衰した場合に、0.7mW発光ではパワーが足りず、BDXLのディスク情報のリード(ステップS140)に失敗する可能性があった。この結果、各種調整とディスク情報リード失敗とを繰り返し(ステップS120〜ステップS150)、スピンアップ処理に失敗するという問題があった。
【0057】
次に、本発明のスピンアップ処理について、図3を用いて説明する。図3に示す処理フローは、図4と同様、光ディスク2のマウント処理時または再生処理時等において、光ディスク2の種別がBDXLであると推定された時点で開始される。
【0058】
ステップS110からステップS130については、図4と同様であるため説明を省略する。ステップS130の実施後、システムコントローラ41はステップS135において、光ディスク2のディスク種別がBDXLであると確定する。そしてステップS140において、光ディスク2に対するディスク情報のリードを実施する。つまりディスク情報のリード前の段階で、BDXLであると確定する。
【0059】
次にシステムコントローラ41はステップS150において、アドレス情報及びディスク情報のリードに成功したか否かを判定する。成功していない場合、システムコントローラ41はステップS155において、BDXL用の光ビーム、すなわち1.2mWの光ビームを光ディスク2に対して照射するよう、光ピックアップ1を制御したのち、再びステップS120へ移行する。
【0060】
これにより、以降のステップS120〜ステップS140においては、1.2mWの光ビームを用いたリード処理が行われる。なお、ステップS120〜ステップS155の処理ループにより、所定回数(例えば3〜5回)を超えてステップS155が実施された場合、スピンアップ失敗として本処理を終了することが望ましい。或いは、ディスク種別がBDXLであると確定させ、ステップS190へ移行する形態でもよい。
【0061】
ステップS150において、アドレス情報及びディスク情報のリードに成功した場合、システムコントローラ41はステップS160、ステップS180、及びステップS190の処理を実施する。
【0062】
なお図4の処理フローに含まれていたステップS170(ディスク種別の確定)は、ステップS135において既に実施しているため、本処理では実施しない。また、ステップS155及びステップ120において、既にBDXL用の光ビーム発光、及びBDXL用の各種調整が行われている場合は、ステップS180、及びステップS190の処理を省略する形態でもよい。
【0063】
以上に説明した本実施形態によれば、BDXLのスピンアップ処理において、アドレス情報リードに成功した時点でBDXLであると確定させ、1.2mW発光する。その後、ディスク情報の読み取りに失敗した場合、1.2mW発光でリトライする。これにより、出射パワーが足りないことでディスク情報が読めず、結果としてスピンアップ処理が失敗する可能性を低減することができる。
[その他の実施の形態]
【0064】
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0065】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0066】
(A)上記実施形態では、本発明のスピンアップ処理に関わる各機能がマイクロプロセッサ等の演算処理装置上でプログラムを実行することにより実現されているが、これら各機能が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0067】
(B)上記実施形態では、本発明のスピンアップ処理を行う光ディスク装置としてディスクプレイヤ100を例示したが、これ以外の光ディスク装置において本発明を実施する形態でもよい。例えば、光ディスクに対して記録を行うBDレコーダにおいて実施する形態でもよい。
【符号の説明】
【0068】
100 ディスクプレイヤ(光ディスク装置)
1 光ピックアップ
2 光ディスク
11a 第一光源(光源)
11b 第二光源(光源)
17 対物レンズ
19 光検出器
20 アクチュエータ
21 信号生成回路(信号生成部)
31 DSP(サーボ制御部)
41 システムコントローラ(主制御部)
45 記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの記録面に光ビームを照射させる光源、及び前記記録面からの反射光を光電変換する光検出器を備えた光ピックアップと、
前記光電変換により得られた電気信号から制御信号を生成する信号生成部と、
前記制御信号に基づいて前記光ピックアップの制御を行うサーボ制御部とを備えた光ディスク装置において、
前記光ディスクのスピンアップ処理において、前記光ディスクが三層以上の多層ディスクであると判別され、且つ前記記録面の物理的な位置を示す情報であるアドレス情報を前記光ディスクから取得するのに成功した時点で、三層以上の多層ディスク用の発光パワーにより前記光ディスクへ光ビームを照射するよう、前記光ピックアップを制御する主制御部を備えること
を特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記主制御部は、前記光ディスクのスピンアップ処理において、前記光ディスクが三層以上の多層ディスクであると判別され、且つ前記光ディスクからの前記アドレス情報の取得に成功し、且つ前記光ディスクの種別を示す情報であるディスク情報を前記光ディスクから取得するのに失敗した場合に、三層以上の多層ディスク用の発光パワーにより前記ディスク情報の取得を再試行するよう前記光ピックアップを制御すること
を特徴とする請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記主制御部は、前記光ディスクのスピンアップ処理において、前記光ディスクがBDXL(Blu-ray Disc XL)であると判別され、且つ前記光ディスクよりアドレス情報の取得が成功した時点で、BDXL用の発光パワーである1.2mWにより、前記光ディスクへ光ビームを照射するよう前記光ピックアップを制御すること
を特徴とする請求項2に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−252764(P2012−252764A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127200(P2011−127200)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】