説明

光ピックアップ装置

【課題】3値以上の光量値を制御機構なしで実現できる光ピックアップ装置を提供すること。
【解決手段】レーザ光源と偏光ビームスプリッタとの間に、光束の光軸方向に重ねて配置した第1から第nの液晶層(nは2以上の整数)を有する液晶光学素子における第1から第nの液晶層を、レーザ光源から出射される光束の偏光方向と、第1の液晶層における配向処理方向との成す角θとの関係が、0度<θ≦45度となり、かつ光束の偏光方向と、第kの液晶層(kは1からn−1までの整数)における配向処理方向との成す角θと、光束の偏光方向と、第k+1の液晶層における配向処理方向との成す角θk+1との関係が、0度<θk+1≦θ/2の関係を有して構成することで、液晶光学素子に入射する光束の偏光状態を変更して、偏光ビームスプリッタから出射される光束の光量調整を段階的に行える構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源と、レーザ光源から出射された光束と光ディスクから反射された光束とを分離する偏光ビームスプリッタと、レーザ光源と偏光ビームスプリッタとの間にレーザ光源から出射される光束の偏光を変化させる液晶光学素子を備える光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置は、レーザ光源から出射された所定の波長の光束を光ディスクに集光し、この光ディスクから反射する光束の大きさを受光素子で検出することで光ディスクの情報を再生し、またはレーザ光源から出射される光量を変調し光ディスクに照射される光量を変化させることで情報を記録する装置である。
【0003】
光ピックアップ装置におけるレーザ光源のノイズは、レーザ光源から出射する光束の光量の大きさに依存する。一方、複数の記録層を有する光ディスクにおいて記録/再生に必要とされる光量が記録層ごとに異なため、レーザ光源の光量を変化させる必要があり、このことがレーザ光源に含まれるノイズを変化させることとなる。
【0004】
例えば、表面から順に記録層が第1層、第2層、・・・、第n層のようにn層積層された光ディスクにおいて、各層における記録時に必要な記録層上での光量と、同じ第k層の再生時に必要な記録層上での光量は異なり、レーザ光源の光量を変化させなければならない。加えて、同じ記録時の際にも第k層(k=1からn−1までの整数)の記録時と第k+1層の記録時ではレーザ光源の光量を変化させなければならない。何故なら、第k層と第k+1層とで記録層上で必要な光量は同程度であるが、第k+1層の記録時には第1層から第k層が半透過膜として働くため、第k+1層に到達する光量は大きく減衰するためである。同様な理由により再生時においても第k層(k=1からn−1までの整数)の再生時と第k+1層の再生時とではレーザ光源の光量を変化させなければならない。
【0005】
従って、ある記録層への記録時または再生時にレーザ光源のノイズを最小化すると、他の記録層の記録時または再生時にレーザ光源のノイズが増大し、正確な記録/再生ができなくなることがあった。
【0006】
そこで、レーザ光源の光量を変化させることなく各記録層への記録/再生に適した光量を供給するため、液晶光学素子をレーザ光源の出射側に設けた光ピックアップ装置が提案された(例えば、特許文献1参照のこと)。
【0007】
この従来の光ピックアップ装置の構成について詳細に説明をする。図11は、従来の光ピックアップ装置の構成を示す図面である。
【0008】
図11に示す従来の光ピックアップ装置は、レーザ光源1、コリメートレンズ2、液晶光学素子3、偏光ビームスプリッタ4、4分の1波長板5、対物レンズ6、集光レンズ8、受光素子9とを備えている。このレーザ光源1、コリメートレンズ2、液晶光学素子3、偏光ビームスプリッタ4、4分の1波長板5、対物レンズ6は、レーザ光源1から出射する光束の光軸を中心に配置されており、また、集光レンズ7、受光素子9は、光ディスク7から反射され、偏光ビームスプリッタ4にて光路を変えられた光束の光軸を中心に配置されている。
【0009】
液晶光学素子3は、信号処理部12より生成された光量調整信号によりレーザ光源1か
ら出射された光束の偏光を変化させる。上記光束は偏光ビームスプリッタ4に入射し、光束の偏光状態を反映して光束が分離され、その一方が対物レンズ6を通り光ディスク7中の記録層に集光される。また、受光素子9から生じる光量信号は信号処理部12に供給され、記録時/再生時にノイズが最小になるように定められた光量をとるように光量調整信号を生成する。
【0010】
この従来の光ピックアップ装置の構成によれば、記録/再生に関わらずノイズが最小になるように保ち、光ディスク7中の各記録層上に適した光量のレーザ光を照射することができる。
【0011】
【特許文献1】特開2004−39004号公報(第2−3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載された光ピックアップ装置に搭載される液晶光学素子3は、液晶層1層のみを有する構造であるため安定して調整できる光量は偏光ビームスプリッタ4から出射する光量が最大値または最小値をとる2値に限られる。偏光ビームスプリッタ4から出射する光量を最大値と最小値との間にある中間値に設定する場合は、上記光量が液晶光学素子3に印加する電圧だけでなく、環境温度の変化、液晶層の厚み誤差に大きく依存するため、受光素子9により検出された検出光量に応じて、液晶光学素子3に印加する電圧を精密に制御する必要がある。特に記録層を複数有する光ディスク7の記録/再生においては3値以上の光量値を実現するため、複雑な制御が必要になるという問題を有していた。
【0013】
そこで、本発明の光ピックアップ装置は上記課題を解決し、3値以上の光量値を制御機構なしで実現できる光ピックアップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の光ピックアップ装置は、基本的に下記記載の構成を有するものである。
【0015】
本発明の光ピックアップ装置は、光束を出射するレーザ光源と、光束を光ディスクに集光する対物レンズと、レーザ光源から出射された光束と光ディスクから反射された光束とを分離する偏光ビームスプリッタと、レーザ光源と偏光ビームスプリッタとの間に、レーザ光源から出射される光束の偏光状態を変える、光束の光軸方向に重ねて配置した第1から第nの液晶層(nは2以上の整数)を透明電極で挟持する液晶光学素子とを備え、液晶光学素子における第1から第nの液晶層は、レーザ光源から出射される光束の偏光方向と、第1の液晶層における配向処理方向との成す角θとの関係が、0度<θ≦45度となり、かつ光束の偏光方向と、第kの液晶層(kは1からn−1までの整数)における配向処理方向との成す角θと、光束の偏光方向と、第k+1の液晶層における配向処理方向との成す角θk+1との関係が、0度<θk+1≦θ/2の関係を有して構成されることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明の光ピックアップ装置は、前述した成す角θと成す角θk+1との関係を、0度<θk+1<θ/2としたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明の光ピックアップ装置は、光束を出射するレーザ光源と、光束を光ディスクに集光する対物レンズと、レーザ光源から出射された光束と光ディスクから反射された光束とを分離する偏光ビームスプリッタと、レーザ光源と偏光ビームスプリッタとの間に、レーザ光源から出射される光束の偏光状態を変える、光束の光軸方向に重ねて配置した第1から第nの液晶層(nは2以上の整数)を透明電極で挟持する液晶光学素子とを備え、液晶
光学素子における第1から第nの液晶層は、レーザ光源から出射される光束の偏光方向と、第1の液晶層における配向処理方向との成す角θとの関係が、45度≦θ1<90度となり、かつ光束の偏光方向と、第kの液晶層(kは1からn−1までの整数)における配向処理方向との成す角θと、光束の偏光方向と、第k+1の液晶層における配向処理方向との成す角θk+1との関係が、(90度+θ)/2≦θk+1<90度の関係を有して構成されることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の光ピックアップ装置は、前述した成す角θと成す角θk+1との関係を、(90度+θ)/2<θk+1<90度としたことを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の光ピックアップ装置は、電源からの出力電圧を、第1から第nの液晶層に供給する液晶駆動手段をさらに備え、この液晶駆動手段が、液晶光学素子に入射する光束の偏光状態を変更して、偏光ビームスプリッタから出射される光束の光量調整を多段階に変更することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の光ピックアップ装置は、前述した第1から第nの液晶層における液晶分子の配向状態がホメオトロピックであることを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の光ピックアップ装置は、前述した出力電圧が、レーザ光源から出射される光束の波長λに対して位相差がλ/2となる第1の電圧と、第1から第nの液晶層でフレデリクス転移を起こさない第2の電圧であり、第1と第2の電圧を切り替えて液晶光学素子に入射する光束の偏光状態を変更することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明の光ピックアップ装置は、前述した液晶駆動手段が、出力電圧をパルス幅変調した変調電圧を、液晶光学素子に供給する駆動手段であって、第1の電圧が、休止期間を有さない矩形波出力の電圧であることを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明のピックアップ装置は、前述した出力電圧が、矩形波出力の電圧をパルス幅変調した変調電圧を抵抗によって分圧して形成することを特徴とするものである。
【0024】
また、本発明のピックアップ装置は、前述した抵抗が液晶光学素子の前記透明電極に変調電圧を供給するための引出配線に形成されることを特徴とするものである。
【0025】
また、本発明のピックアップ装置は、前述した引出配線に形成させる抵抗が液晶層に位相変調を与えるための位相変調電極の最外周に設けられることを特徴とするものである。
【0026】
また、本発明の光ピックアップ装置は、前述した第1から第nの液晶層を、同じ液晶材料で同じ液晶層厚としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明を適用すれば、3値以上の光量値を制御機構なしで実現できる光ピックアップ装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の光ピックアップ装置の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
まず、本発明の光ピックアップ装置の構成について説明する。図1は、実施の形態にかかる光ピックアップ装置の構成および作用を説明するための図面である。
【0030】
図1に示す様に、本発明の光ピックアップ装置100は、所望の波長の光束を出射するレーザ光源1と、レーザ光源1から出射される光束10を平行光に変換するコリメートレンズ2と、コリメートレンズ2を通過した光束10の偏光状態を変更する機能を備えた液晶光学素子3と、入射する光束の偏光状態により光束を分割する偏光ビームスプリッタ4と、偏光ビームスプリッタ4を通過した光束10を円偏光に変換する4分の1波長板5と、4分の1波長板を通過した円偏光の光束を光ディスク7に導く対物レンズ6とを備えている。また、この装置は、光ディスク7から反射される光束11を、偏光ビームスプリッタ4を介して、集光レンズ8から受光素子9に導くように構成されている。受光素子9により入射した光束の光量を電気信号に変換したのち、信号処理部12により復調等の処理を行い、光ディスク7に記録された情報を再生する。
【0031】
光ピックアップ装置100を構成する、レーザ光源1と、コリメートレンズ2と、液晶光学素子3と、偏光ビームスプリッタ4と、4分の1波長板5と、対物レンズ6とは、レーザ光源1から出射される光束10の光軸に沿って直線状に配置される。また、集光レンズ8と受光素子9は、光ディスク7から反射され、偏光ビームスプリッタ4により光路が変えられた光束11の光軸に沿って直線状に配置される。
【0032】
次に、液晶光学素子3の構成について図2を用いて説明する。図2は、本発明に係る液晶光学素子の具体的な構造を説明するための図面である。本発明にかかる液晶光学素子3は、少なくとも2層以上の液晶層を含むが、図2では、2層の液晶層を有する構成例を示している。
【0033】
液晶光学素子3は透明性の平板状基板310、311、および312と、シール材340を介して、平板状基板310、311に挟持された第1の液晶層301および、平板状基板311、312に挟持された第2の液晶層302とを備えている。これら第1、第2の液晶層301、302には、ネガ型またはポジ型のネマチック液晶を用いる。また、平板状基板310、311、および312の液晶層側面には、透明電極膜320と、無機または有機の配向膜330が形成される。また、平板状基板310、311、312の少なくとも1つ以上に、外部から電圧を供給するための電極端子部350を有する。
【0034】
そして、上記透明電極膜320は、インジウム錫酸化物、酸化亜鉛などからなり、蒸着法、または、スパッタ法等により形成される。電極端子部350を介して、この透明電極膜320に交流電圧を加えることにより、第1、第2の液晶層301、302にそれぞれ独立な交流電場を印加することができる様になっている。
【0035】
上記透明電極膜320上に設けられた配向膜330は、例えば、無機配向膜としてSiO、Al、TiOなどを用いて、斜方蒸着、スパッタ法、印刷法などを利用して形成することができる。また、例えば、有機配向膜として、ポリイミドなどを用いて印刷法などにより形成しても良い。斜方蒸着以外の方法で形成された配向膜表面は、液晶分子の方位角およびプレチルト角を規制するため、所定の方向に配向処理される。配向処理としては、イオンビーム照射法、ラビング法などの手法を用いることができ、配向処理により液晶分子の方位角と配向処理方向は一致する。
【0036】
上記したように、第1、第2の液晶層301、302として、ポジ型またはネガ型のネマチック液晶を用いることができる。特に、無機配向膜とネガ型のネマチック液晶を用い、液晶分子が配向膜面に対してほぼ垂直に配向する、ホメオトロピック配向となるものが適している。それは、有機配向膜とポジ型のネマチック液晶を用いるホモジニアス配向に比べ、光ピックアップ装置で用いられる青色可視光領域の光照射に対して、極めて高い耐光性を示すからである。
【0037】
また、第1、第2の液晶層301、302の液晶分子は、電極端子部350を介して印加される電場の大きさにより、方位角を保ったままチルト角を大きく変化される。ホメオトロピック配向をとるネガ型のネマチック液晶の場合は、印加される電圧がない場合、液晶分子は、平板状基板310〜312に対してほぼ垂直に配向するが、印加される電圧が高くなるにつれて水平方向に傾いていく。ホモジニアス配向をとるポジ型のネマチック液晶の場合は、印加される電圧がない場合、液晶分子は、平板状基板310〜312に対してほぼ水平に配向するが、印加される電圧が高くなるにつれて垂直に立ち上がっていく。
【0038】
上記のように第1、第2の液晶層301、302に電圧を印加することにより、液晶分子のチルト角を変化させることができ、これにより、液晶分子の方位角の屈折率が変化する。通常、液晶分子の方位角と配向処理方向は一致するため、電圧を印加することにより配向処理方向の屈折率が変化することとなる。
【0039】
次に、本発明に係る液晶光学素子3の配向処理方向の設定事項について図1〜図3を用いて説明する。図3に、液晶光学素子3の配向処理方向の一例を示す。ここで、レーザ光源1から出射される光束の偏光方向360と第1の液晶層301の配向処理方向361とのなす角をθとし、偏光方向360と第2の液晶層302の配向処理方向362とのなす角をθとする。第1の液晶層301と第2の液晶層302に印加する電圧を、それぞれV、Vとする。また、第1の液晶層301および第2の液晶層302は、ともにホメオトロピック配向をとる同一のネガ型液晶であるとする。なお、以降では説明を明瞭にするため、偏光ビームスプリッタ4の特性としてS波は全反射し、P波は全透過するものとし、液晶光学素子3に対しては表面反射と光吸収を無視した。
【0040】
まず、第1、第2の液晶層301、302の配向処理方向の設定角度を、θ=22.5度、θ=45度とした場合について説明する。なお、下記の説明は、0<θ≦45度であり、かつ0<θ≦θ/2における一例を示している。
【0041】
<V>=0Vrmsかつ<V>=0Vrmsの場合、液晶分子はほぼ垂直に配向しており、レーザ光源1から出射される光束の偏光状態360をほとんど変化させずに出射する。ここでは、<V>はVの実効値を示すこととした。また、<V>=0Vrmsを保ちつつ、<V>を増加させた場合、第1の液晶層301がフレデリクス転移を起こす電圧(以下、<Vth>とする)より小さな電圧のとき液晶分子はチルト角を変えないため、同様にレーザ光源1から出射される光束の偏光方向360が変化せずに出射する。それに対して、<V>が<Vth>を越えた場合、液晶分子のチルト角が変化し、液晶光学素子3に入射する光束10の偏光状態を変化させる。
【0042】
その偏光状態の変化は、レーザ光源1から出射される光束10における、偏光方向360の配向処理方向361に直交する成分については変化せず、レーザ光源1から出射される光束10における、偏光方向360の配向処理方向361に平行な成分のみの位相が遅れることとなる。ここで、<V>を変化させてレーザ光源1から出射される光束の波長λに対して位相差がちょうどλ/2の場合に、液晶光学素子3から出射する光束10の偏光方向は、レーザ光源1から出射される光束の偏光方向が45度(2θ)回転した直線偏光となる。このときの第1の液晶層301に印加する電圧を<Vλ/2>と表記する。
【0043】
一方、<V>=0Vrmsを保ったまま、<V>を0Vrmsから増加させると、同様にレーザ光源1から出射される光束10における偏光方向360のうち、第2の液晶層302の配向処理方向362に平行な成分のみの位相が遅れる。そして、位相差がちょうどλ/2の場合に、レーザ光源1から出射される光束10における偏光方向360が、90度(2θ)回転した直線偏光となる。このときの第2の液晶層302に印加する電
圧を、<Vλ/2>と表記する。
【0044】
また、<V>=<Vλ/2>を保ったまま、<V>を0Vrmsから増加させると、第1の液晶層301で生じる偏光状態の変化に加えて、第2の液晶層302でその偏光状態の変化が90度(2θ)回転されることとなる。
【0045】
上記の第1、第2の液晶層301、302に印加する、電圧<V>および<V>と偏光状態の変化との関係を踏まえ、図4に、第1、第2の液晶層301、302に印加する電圧<V>および<V>と、偏光ビームスプリッタ4から出射される光量との関係を示した。なお、本図の縦軸は出射光量[%]を示し、横軸は第1の液晶層301に印加する電圧<V>を示している。また、図4では、レーザ光源1から出射される光束10の偏光方向360が、偏光ビームスプリッタ4のP波方向と一致させている。以下に、レーザ光源1から出射される光束10の光量に対する、偏光ビームスプリッタ4から出射する光量の割合を「出射光量」として説明する。
【0046】
図4に示す出射光量曲線401から判るように、<V>=0Vrmsを保ちつつ、<V>を0Vrmsから増加させると、<Vth>以下の電圧では偏光状態が変わらないため、レーザ光はそのまま出射し、出射光量は100%となる。それに対して、<V>を<Vth>より高い電圧とすると、上述した偏光の変化により、偏光ビームスプリッタ4のS波方向の成分が出現するとともにP波成分が減少する。従って、出射光量は減少し、<V>=<Vλ/2>の時の極値403で、レーザ光の減衰が最も大きくなり、出射光量は最小値50%をとる。
【0047】
一方、出射光量曲線402から判るように、<V>=<Vλ/2>を保ちつつ、<V>を0Vrmsから増加させると、<Vth>以下の電圧では、第1の液晶層301では偏光状態は変化せず、そのまま第2の液晶層302に入射する。ここでは第2の液晶層302は<V>=<Vλ/2>の電圧が印加されているため、偏光状態が90度回転した光束が、液晶光学素子3から出射される。この偏光状態は、偏光ビームスプリッタ4のS波成分であるためすべて反射され、出射光量は0%となる。それに対して、<V>を<Vth>より高い電圧とすると、上述した偏光状態の変化により、偏光ビームスプリッタ4のP波成分が出現するとともにS波成分が減少して、出射光量が増大する。そして、<V>=<Vλ/2>の時の極値403で、出射光量が最も大きくなり、最大値50%をとる。
【0048】
この様に、<V>=<V>=0Vrmsとしたときに、出射光量は100%となり、
<V>=<Vλ/2>かつ<V>=0Vrms、または<V>=<Vλ/2>かつ<V>=<Vλ/2>としたときに、極値403で出射光量は50%となり、
<V>=0Vrmsかつ<V>=<Vλ/2>としたときに、出射光量は0%となり、
偏向ビームスプリッタ4からの3値の出射光量を制御できる様になる。
【0049】
上記の3出射光量値が得られる電圧では、図4に示したように、印加する電圧値に対する出射光量曲線401、402が平坦もしくは極値をとり、環境温度の変化や、第1、第2の液晶層301、302の厚み誤差による影響が極めて小さくなる。従って、受光素子9を用いた精密な制御機構を持たずに、設定した出力光量を安定して得ることができる。
【0050】
次に、本発明に係る液晶光学素子3の配向処理方向の他の構成例として、図3に示したθとθとの関係を、0<θ<θ/2かつ0<θ≦45度とした場合について、図5を用いて説明する。図5に、液晶光学素子3に他の配向処理方向を設定した場合の、
第1、第2の液晶層301、302に印加する電圧<V>および<V>と、偏光ビームスプリッタ4から出射される光量との関係を示す。
【0051】
図5に示す、出射光量曲線501から判るように、<V>=0Vrmsを保ちつつ<V>を増加させた場合、<Vth>より小さい電圧では偏光状態が変わらないため、レーザ光はそのまま出射し、出射光量は100%となる。また、<V>=<Vλ/2>の時の極値503で、レーザ光の減衰が最も大きくなり、そのときの出射光量は100%×cos(2θ)となる。
【0052】
一方、出射光量曲線502から判るように、<V>=<Vλ/2>を保ちつつ、<V>を0Vrmsから増加させると、<Vth>以下の電圧では、第1の液晶層301では偏光状態は変化せず、第2の液晶層302に入射する。このとき第2の液晶層302は、<V>=<Vλ/2>の電圧が印加されているため、光量は100%×cos(2θ)となる。
【0053】
また、<V>=<Vλ/2>の時の極値504で出射光量が最も大きくなり、そのときの光量は、
100%×{cos2(θ−2θ)cos(2θ)−sin2(θ−2θ)sin(2θ)}
をとる。
【0054】
この様に、<V>=<V>=0Vrmsとしたときに、出射光量は100%となり、
<V>=<Vλ/2>かつ<V>=0Vrmsとしたときに、極値503で出射光量は100%×cos(2θ)となり、
<V>=<Vλ/2>かつ<V>=<Vλ/2>としたときに、極値504で出射光量は100%×{cos2(θ−2θ)cos(2θ)−sin2(θ−2θ)sin(2θ)}となり、
<V>=0Vrmsかつ<V>=Vλ/2としたときに、出射光量は100%×cos(2θ)となり、
偏向ビームスプリッタ4からの4値の出射光量を制御できる様になる。
【0055】
特に、上記関係をθ=θ/2とした場合の出射光量は、図4で示した例と同じで、100%×{cos2(θ−2θ)cos(2θ)−sin2(θ−2θ)sin(2θ)}=100%×cos(2θ
となるため、<V>=<V>=0Vrmsとしたときに、出射光量は100%となり、
<V>=<Vλ/2>かつ<V>=0Vrms、または<V>=0Vrmsかつ<V>=<Vλ/2>としたときに、出射光量は100%×cos(2θ)となり、
<V>=0Vrmsかつ<V>=<Vλ/2>としたときに、出射光量は100%×cos(2θ)となり、
偏向ビームスプリッタ4からの3値の安定した出射光量を制御できる様になる。
【0056】
なお、上記説明では、レーザ光源1から出射される光束の偏光方向と、第kの液晶層(kは1からnまでの整数)における配向処理方向との成す角θとの関係を、0度<θ≦45度とした場合について示したが、この配向処理方向が、上述した構成を90度回転した(90度−θ)/2≦θ<90度、かつ45度≦θ<90度としても良い。この場合においても同様な効果が得られ、3値または4値の安定した出射光量を実現できる。本変形例は、配向処理方向が異なるだけで、他の構成および動作は先に示した構成と同
じとなるので、ここでの説明は割愛する。
【0057】
また、θ=(90度−θ)/2、かつ45度≦θ<90度としても良い。この場合においても同様な効果が得られ、3値の安定した出射光量を実現できる。
【0058】
また、第1、第2の液晶層301、302を同じ液晶層厚さで同じ液晶材料で構成するのが好ましい。何故なら、第1、第2の液晶層301、302を同じ液晶層厚さで同じ液晶材料で構成することで、図4、図5を用いて説明した<Vλ/2>と、<Vλ/2>との関係が、<Vλ/2>=<Vλ/2>となり、印加する電圧の設計が簡便になるからである。
【0059】
次に、この液晶光学素子3に供給する、好ましい駆動形態について説明する。
上記<Vλ/2>と、<Vλ/2>は、図1に示した信号処理部12において電源からの出力電圧をパルス幅変調されて形成されるが、これらVλ/2(t)およびVλ/2(t)は、休止期間のない矩形波出力の電圧であることが好ましい。ここで、V(t)は、実効値が<V>となる電圧の時刻tにおける瞬間値を示す。上述したように、休止期間のない矩形波出力の電圧とするのは、休止期間の存在する矩形波出力の電圧を液晶光学素子3に印加すると、この休止期間を印加した期間で、偏光ビームスプリッタ4から出射する出射光量が、わずかに脈動するという問題があるからである。
【0060】
この脈動に関して図6用いて説明する。図6は、電源からの出力電圧Voをパルス幅変調した電圧の時間変化曲線61と、その電圧をある液晶層に印加した場合得られる光量の時間変化曲線62を示す図である。
【0061】
図6に示すように、電圧の時間変化曲線61は、正負電源電圧(±Vo)が印加される時間と、電圧が印加されない休止期間とを含む。一方、光量の時間変化曲線62において平均光量を中心に光量の脈動が見られ、その脈動は電圧の時間変化曲線62の休止期間に大きく関わっていることが分かる。これは、液晶層中の液晶分子のチルト角が実効電圧だけでなく、瞬間的な電圧に反応して微小に変化することが原因であると考えられる。
【0062】
そこで、脈動のない出力光量を実現するため、電源電圧Vo=<Vλ/2>を満たす電源を用いる。図7は、上記電源からの出力電圧をパルス幅変調し、その電圧を第1の液晶層301に印加した場合について例示した図面である。図7(A)では<V>が<Vth>より小さい場合における電圧の時間変化曲線71を、図7(B)では<V>が<Vth>以上かつ<Vλ/2>より小さい場合における電圧の時間変化曲線73を、図7(C)では<V>が<Vλ/2>と等しい場合における電圧の時間変化曲線75を示し、これら駆動プロファイルの右側に、これら電圧を第1の液晶層301へ印加したとき得られた光量の時間変化曲線を示した。なお、ここでは、積層する他の液晶層には電圧を印加していない。
【0063】
図7(A)〜(C)に示すように、<V>の増加に伴い、休止期間が短くなる。さらに、<V>が<Vλ/2>と等しい場合、電圧の時間変化曲線75は休止期間を含まないことが判る。
【0064】
ここで、図7(A)で示される電圧を第1の液晶層301へ印加したとき得られた光量の時間変化曲線72をみると、上記電圧は休止期間を含む電圧であるが、<V>が<Vth>より小さい電圧であるため、液晶分子のチルト角変化はない。そのため、瞬間的な電圧変化による微小チルト角変化もなく、光量の時間変化曲線72に脈動は現れない。
【0065】
一方、図7(B)で示される電圧を液晶層301へ印加したとき得られた光量の時間変
化曲線74をみると、上記電圧は、<Vth>以上であるため、液晶分子はあるチルト角をもつ。このとき、上記電圧は<Vλ/2>より小さい電圧であるため、休止期間を含む電圧であり、休止期間の存在により液晶分子のチルト角は、あるチルト角を中心に微小変化することとなる。その結果、この電圧範囲では、光量の時間変化曲線74に脈動が生じる。
【0066】
それに対し、図7(C)で示される電圧を液晶層301へ印加したとき得られた光量の時間変化曲線76をみると、上記電圧は、<Vλ/2>に等しいため休止期間がないため、液晶分子には恒に同じ大きさの電圧が加わり、微小なチルト角の変化はない。従って、光量の時間変化曲線76には脈動は現れない。
【0067】
ここで、上記した駆動形態を、<V>=0Vrmsと<V>=<Vλ/2>とを切り替えて2値の光量切り替えを行う形態に適用した場合について説明する。
上記した駆動形態を、2値の光量切り替えに適用すれば、0Vrmsでは<Vth>より小さい電圧であるため、上述のとおり脈動のない光量を得ることができる。また、<V>=<Vλ/2>でも同じく脈動のない光量を得ることができる。つまり、電源電圧Vo=<Vλ/2>を満たす電源を用い、上述の2値を用いることにより脈動のない安定した光量の切り替えを行うことができる。
【0068】
次に、第1の液晶層301のみに電圧を印加するのでなく、複数の液晶層に電圧を印加する場合について説明する。電圧を印加する液晶層の層数が複数になっても、それぞれの層は、上記した1層の場合と同様な現象が生じる。ここでは、図4で示される3値の光量切り替えを例にあげて説明する。
【0069】
この3値の光量切り替えを行う場合、第1の液晶層301に対してVo=<Vλ/2>を満たす電源を用意し、第2の液晶層302に対してVo=<Vλ/2>を満たす電源を用いればよい。それぞれの液晶層は1層の場合と同様に、<V>=0Vrmsと<V>=<Vλ/2>(n=1,2)とを切り替えても光量に脈動は現れない。そのため、出射光量100%を実現する<V>=<V>=0Vrms、出射光量0%を実現する、<V1>=0Vrmsかつ<V2>=<Vλ/2>、出射光量50%を実現する、<V1>=<Vλ/2>かつ<V2>=0Vrms、または<V1>=<Vλ/2>かつ<V2>=<Vλ/2>、すべての場合において出射光量に脈動は現れない。
【0070】
なお、上記説明は、図4に示した3値の光量切り替えを行う場合について説明したが、これを図5で示される4値の光量切り替えの場合も上述したと同様に、第1の液晶層301に対してVo=<Vλ/2>を満たす電源を用意し、第2の液晶層302に対してVo=<Vλ/2>を満たす電源を用いれば、出射光量に脈動を抑えることができる。
【0071】
次に、この脈動のない出力光量を実現する具体的形態について説明する。ここでは、電源電圧Voをパルス幅変調し、その電圧を分圧器により分圧し形成する方法を示す。この方法の具体的構成例を図8に示す。図8は、本発明に係る信号処理部12の構成例を示す図面である。
【0072】
図8に示すように、信号処理部12は、電源に接続されたパルス幅変調器と、このパルス幅変調器から出力される所定の電圧に対して、第1、第2の液晶層301、302に対応させて、休止期間を有さない矩形波出力を生成するための分圧器120を有する。これにより、<V>=<Vλ/2>および<V>=<Vλ/2>の場合に、休止期間のない矩形波出力の電圧を形成することができ、その結果として、脈動のない出射光量が出力される。
【0073】
ここで、この分圧器120の第一の形態について説明する。図9は、この分圧器120を、液晶光学素子3に組み込んだ第一の形態を示す図面である。
【0074】
図9に示すように、本形態における液晶光学素子3は、脈動のない出力光量を実現するため、上記分圧器120を引出配線部322の透明導電膜を微細にパターン化し形成してなる。なお、図9では簡単のため一つの液晶層について示した。この様に構成すれば、液晶光学素子3の液晶層ごとに分圧器を内蔵でき、複数の異なる第1、第2の液晶層301、302に対して共通の信号電圧となり、信号処理部12の構成が単純化される。
【0075】
次に、分圧器120の第二の形態について説明する。図10は、分圧器120を液晶光学素子3に組み込んだ第二の形態を示す図面である。
【0076】
図10に示すように、本形態における液晶光学素子3は、脈動のない出力光量を実現するため、上記分圧器120を位相変調電極321の最外周に形成してなる。この様に構成すれば、図9に示した引出配線部322に分圧器120を形成する場合と同様に、液晶光学素子3の第1、第2の液晶層301、302ごとに分圧器120を内蔵できるため、複数の異なる第1、第2の液晶層301、302に対して共通の信号電圧となり信号処理部12が単純化される。さらに、位相変調電極321の最外周を利用することにより、パターンを微細とする必要がなくなり、比較的容易に形成できる。
【0077】
この様に、上記の第一の形態と第二の形態のいずれかの電圧形成手段を用いれば、脈動のない3値または4値の光量切り替えが可能となる。
【0078】
なお、ここまでに述べた実施の形態では、第1と第2の液晶層301、302の2層の液晶層を有する光ピックアップ装置について示し、最大4個の安定した出射光量を得ることができることを説明したが、この2層の液晶層に、更に1層の液晶層を追加して3層とすれば、2層の液晶層で得られていた4個の各出射光量のそれぞれを、追加の1層の液晶層でもって更に2個づつに分岐して、合計8個の安定した出射光量を得ることができる。以上のことから、本発明の構成を適用すれば、n層の液晶層を有する液晶光学素子3は、最大2個の安定した出射光量が実現できることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の光ピックアップ装置の構成を示す図面である。
【図2】本発明に係る液晶光学素子の構成を示す図面である。
【図3】本発明に係る液晶光学素子の配向処理方向を示す図面である。
【図4】本発明に係る液晶光学素子の印加電圧と出射光量との関係を示す図面である。
【図5】本発明に係る安定した4値の出射光量を有する液晶光学素子に対する液晶光学素子への印加電圧と出射光量との関係を示す図面である。
【図6】本発明に係る液晶光学素子に対する印加電圧と出射光量の時間変化を示す図面である。
【図7】本発明に係る液晶光学素子に対する、光量脈動のない印加電圧と出射光量の時間変化を示す図面である。
【図8】本発明に係る液晶光学素子と分圧器を有する信号処理部とを示す図面である。
【図9】本発明に係る液晶光学素子において引出配線部に分圧器を有する透明電極パターンを示す図面である。
【図10】本発明に係る液晶光学素子において位相変調電極の最外周に分圧器を有する透明電極パターンを示す図面である。
【図11】従来の光ピックアップ装置の構成を示す図面である。
【符号の説明】
【0080】
1 レーザ光源
2 コリメートレンズ
3 液晶光学素子
4 偏光ビームスプリッタ
5 4分の1波長板
6 対物レンズ
7 光ディスク
8 集光レンズ
9 受光素子
10、11 光束
12 信号処理部
120 分圧器
100 光ピックアップ装置
301 第1の液晶層
302 第2の液晶層
310 平板状基板
320 透明導電膜
321 位相変調電極
322 引出配線部
330 配向膜
340 シール材
350 電極端子部
360 偏光方向
361、362 配向処理方向
401、402、501、502 出射光量曲線
403、503、504 極値
61、71、73、75 電圧時間変化曲線
62、72、74、76 出射光量時間変化曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光束を出射するレーザ光源と、
前記光束を光ディスクに集光する対物レンズと、
前記レーザ光源から出射された光束と前記光ディスクから反射された光束とを分離する偏光ビームスプリッタと、
前記レーザ光源と前記偏光ビームスプリッタとの間に、前記レーザ光源から出射される光束の偏光状態を変える、前記光束の光軸方向に重ねて配置した第1から第nの液晶層(nは2以上の整数)を透明電極で挟持する液晶光学素子と、を備え、
前記液晶光学素子における前記第1から第nの液晶層は、
前記レーザ光源から出射される光束の偏光方向と、前記第1の液晶層における配向処理方向との成す角θとの関係が、0度<θ≦45度となり、かつ前記光束の偏光方向と、第kの液晶層(kは1からn−1までの整数)における配向処理方向との成す角θと、前記光束の偏光方向と、第k+1の液晶層における配向処理方向との成す角θk+1との関係が、0度<θk+1≦θ/2の関係を有して構成される
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記成す角θと前記成す角θk+1との関係を、0度<θk+1<θ/2とした
ことを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
光束を出射するレーザ光源と、
前記光束を光ディスクに集光する対物レンズと、
前記レーザ光源から出射された光束と前記光ディスクから反射された光束とを分離する偏光ビームスプリッタと、
前記レーザ光源と前記偏光ビームスプリッタとの間に、前記レーザ光源から出射される光束の偏光状態を変える、前記光束の光軸方向に重ねて配置した第1から第nの液晶層(nは2以上の整数)を透明電極で挟持する液晶光学素子と、を備え、
前記液晶光学素子における前記第1から第nの液晶層は、
前記レーザ光源から出射される光束の偏光方向と、前記第1の液晶層における配向処理方向との成す角θとの関係が、45度≦θ<90度となり、かつ前記光束の偏光方向と、第kの液晶層(kは1からn−1までの整数)における配向処理方向との成す角θと、前記光束の偏光方向と、第k+1の液晶層における配向処理方向との成す角θk+1との関係が、(90度+θ)/2≦θk+1<90度の関係を有して構成される
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記成す角θと前記成す角θk+1との関係を、(90度+θ)/2<θk+1<90度とした
ことを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
電源からの出力電圧を、前記第1から第nの液晶層に供給する液晶駆動手段を、さらに備え、
当該液晶駆動手段は、前記液晶光学素子に入射する前記光束の偏光状態を変更して、前記偏光ビームスプリッタから出射される光束の光量調整を多段階に変更する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記第1から第nの液晶層における液晶分子の配向状態は、ホメオトロピックである
ことを特徴とする請求項5に記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
前記出力電圧は、前記レーザ光源から出射される光束の波長λに対して位相差がλ/2となる第1の電圧と、前記第1から第nの液晶層でフレデリクス転移を起こさない第2の
電圧であり、
前記第1と第2の電圧を切り替えて前記液晶光学素子に入射する前記光束の偏光状態を変更する
ことを特徴とする請求項6に記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記液晶駆動手段は、前記出力電圧をパルス幅変調した変調電圧を、前記液晶光学素子に供給する駆動手段であって、
前記第1の電圧は、休止期間を有さない矩形波出力の電圧である
ことを特徴とする請求項7に記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
前記出力電圧は、前記矩形波出力の電圧を、前記パルス幅変調した変調電圧を抵抗によって分圧して形成する
ことを特徴とする請求項8に記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
前記抵抗は、前記液晶光学素子の前記透明電極に前記変調電圧を供給するための引出配線に形成される
ことを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
【請求項11】
前記引出配線に形成させる前記抵抗は、前記液晶層に位相変調を与えるための位相変調電極の最外周に設けられる
ことを特徴とする請求項10に記載の光ピックアップ装置。
【請求項12】
前記第1から第nの液晶層を、同じ液晶材料で同じ液晶層厚とした
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−243357(P2008−243357A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41816(P2008−41816)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】