光モジュール、及び光分析装置
【課題】干渉フィルターの反射膜間のギャップの変動を防止し、正確な分光特性を測定可能な光モジュール、及び光分析装置を提供すること。
【解決手段】測色センサー4は、第1基板51、第1基板51に対向する第2基板52、第1基板51の第2基板52に対向する面に設けられ固定ミラー、及び第2基板52に設けられ、固定ミラーと所定のギャップを介して対向する可動ミラーを有するエタロン5と、エタロン5を透過した検査対象光を受光する受光素子42と、エタロン5を保持する保持部材43とを備える。エタロン5は、基板厚み方向に見る平面視において、第1基板51及び第2基板52が対向する光干渉領域Ar1と、光干渉領域Ar1から突出した突出領域Ar2とを備える。保持部材43は、突出領域Ar2における、光干渉領域Ar1とは反対側の一端側において、エタロン5を保持する。
【解決手段】測色センサー4は、第1基板51、第1基板51に対向する第2基板52、第1基板51の第2基板52に対向する面に設けられ固定ミラー、及び第2基板52に設けられ、固定ミラーと所定のギャップを介して対向する可動ミラーを有するエタロン5と、エタロン5を透過した検査対象光を受光する受光素子42と、エタロン5を保持する保持部材43とを備える。エタロン5は、基板厚み方向に見る平面視において、第1基板51及び第2基板52が対向する光干渉領域Ar1と、光干渉領域Ar1から突出した突出領域Ar2とを備える。保持部材43は、突出領域Ar2における、光干渉領域Ar1とは反対側の一端側において、エタロン5を保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光から所定の波長の光を取り出す干渉フィルターを備えた光モジュール、及び光モジュールを備えた光分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の基板の互いに対向する面に、それぞれ多層膜(反射膜)を所定のギャップを介して対向配置した干渉フィルター(エタロン)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の干渉フィルターでは、ギャップを調整するために、一対の反射膜の互いに対向する面に、駆動電極が対向配置されており、各駆動電極に駆動電圧を印加することで、静電引力によりギャップを調整することが可能となる。これにより、干渉フィルターは、当該ギャップに応じた特定波長の光のみを透過させることが可能となる。すなわち、干渉フィルターは、入射光を一対の反射膜間で光を多重干渉させ、多重干渉により互いに強め合った特定波長の光のみを透過させる。
【0004】
ところで、上記のような干渉フィルターは、一般に光モジュールや光分析装置に組み込まれて使用される。図13は、エタロン50が装着された従来の測色装置10(光分析装置)の概略構成を示す模式図である。
測色装置10は、検査対象Aに光を射出する光源装置20と、検査対象Aで反射された検査対象光を分光するエタロン50、エタロン50を透過した光を受光する受光素子420、及び光源装置20及び受光素子420に接続されるプリント基板410が収容された外装ケース40Aを有する測色センサー40(光モジュール)とを備える。
測色センサー40は、光源装置20に隣接して設けられ、エタロン50の外周縁を保持する筒状の保持ケース310を備える。
そして、この測色装置10は、光源装置20から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー40にて分光し、測色センサー40から出力される検出信号に基づいて、分光した各波長の光の光量から、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−142752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図13に示すような従来の構成では、保持ケース310は、エタロン50の反射膜が設けられる部分に近接する外周部を保持している。このような構成では、光源装置20が発生する熱が保持ケース310から直接エタロン50にも伝達され、基板が熱膨張により撓むおそれがある。
さらに、エタロン50の反射膜に近接する外周縁が、保持ケース310に保持される構成であるため、保持ケース310の保持力により基板が撓むおそれがある。
以上のように、反射膜に撓みが生じると、エタロン50を透過する光の透過波長にばらつきが生じ、分解能が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、干渉フィルターの分解能の低下を抑制可能な光モジュール、及び光分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光モジュールは、第1基板、前記第1基板に対向する第2基板、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1反射膜、及び前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜と所定のギャップを介して対向する第2反射膜を有する干渉フィルターと、前記干渉フィルターを保持する保持部材と、を具備し、前記干渉フィルターは、基板厚み方向に見る平面視において、前記第1反射膜及び前記第2反射膜が設けられる光干渉領域と、前記光干渉領域から離れる方向に突出した突出領域とを備え、前記保持部材は、前記突出領域における、前記光干渉領域とは反対側の一端側において、前記干渉フィルターを保持することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、干渉フィルターは、第1基板及び第2基板が対向する光干渉領域と、光干渉領域から突出した突出領域とを備える。そして、保持部材は、突出領域の先端側(光干渉領域とは反対側)を保持して、干渉フィルターを保持する。このため、反射膜から離れた位置で干渉フィルターが保持部材に保持されるので、保持部材の保持力により光干渉領域に形成される反射膜が撓むことがない。また、例えば、光源装置等により保持部材が熱された場合でも、突出領域により熱の伝達が抑制され、光干渉部の発熱を抑えることができ、基板や反射膜の発熱による撓みも低減できる。従って、反射膜の撓みを防止することができるため、干渉フィルターの反射膜間の平行性を維持でき、分解能の低下を抑制できる。
【0010】
本発明の光モジュールでは、前記第1基板及び前記第2基板は、同一形状に形成され、前記干渉フィルターは、前記第1基板及び前記第2基板のいずれか一方に接合される支持基板を備え、前記突出領域は、前記支持基板に設けられたことが好ましい。
【0011】
本発明によれば、干渉フィルターは、反射膜が形成される第1基板及び第2基板の他に、突出領域を有する支持基板を備えて構成される。そして、保持部材は、支持基板の突出領域を保持することで、干渉フィルターを保持するため、第1基板及び第2基板が撓むことなく保持される。また、例えば、保持部材に熱が伝達された場合でも、突出領域において熱の伝達を抑えることができ、さらに、光干渉領域が設けられる第1基板および第2基板と、支持部材とが別基板であるため、熱の伝達をより確実に抑えることができる。
【0012】
本発明の光モジュールでは、前記突出領域は、前記第1基板および前記第2基板のうち少なくともいずれか一方に設けられた構成としてもよい。
【0013】
この発明では、第1基板および第2基板の少なくともいずれか一方に突出領域が設けられている。このような構成では、突出領域を設けるための別部材である支持基板を設ける必要がないため、より構成を簡単にできる。
【0014】
本発明の光モジュールでは、前記突出領域には、振動を吸収する振動吸収部が設けられていることが好ましい。
【0015】
ここで、振動吸収部としては、例えば、突出領域の一部の幅寸法や厚み寸法を他の部分に比べて小さく形成して、構造的に他部よりも弱い部分を設けることで形成されていればよい。
本発明によれば、突出領域に振動吸収部が設けられているので、外部から振動を受けた際、振動吸収部で振動が吸収され、干渉フィルターの光干渉領域への振動の伝達を抑制できる。従って、外部からの振動により、干渉フィルターの反射膜間のギャップが変動することを防止できる。
【0016】
本発明の光分析装置は、上述した光モジュールを備えた光分析装置であって、前記光モジュールは、前記干渉フィルターにより取り出された検査対象光を受光する受光部を備え、当該光分析装置は、前記受光部で受光された前記検査対象光の光量に基づいて、前記検査対象光の光特性を分析する分析処理部を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、光分析装置は、上述した光モジュールを備えるので、分解能の低下を抑制でき、受光部で精度の高い光量の測定を実施でき、この測定結果に基づいて光分析処理を実施することで、正確な分光特性を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第1実施形態の測色装置の概略構成を示す模式図。
【図2】前記第1実施形態の測色センサーを示す斜視図。
【図3】前記第1実施形態の測色センサーの分解斜視図。
【図4】前記第1実施形態のエタロンの第1基板の平面図。
【図5】前記第1実施形態のエタロンの第2基板の平面図。
【図6】前記第1実施形態のエタロンの概略断面図。
【図7】本発明に係る第2実施形態のエタロンの第1基板の平面図。
【図8】前記第2実施形態のエタロンのインターポーザーの平面図。
【図9】本発明に係る第3実施形態のエタロンの第1基板の平面図。
【図10】前記第3実施形態の第1変形例のエタロンの第1基板の平面図。
【図11】前記第3実施形態の第2変形例のエタロンの部分断面図。
【図12】本発明に係る変形例の測色センサーの要部を示す平面図及び断面図。
【図13】従来の測色装置の概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔1.測色装置の概略構成〕
図1は、本実施形態の測色装置1(光分析装置)の概略構成を示す模式図である。
測色装置1は、図1に示すように、検査対象Aに光を射出する光源装置2と、検査対象Aにて反射された反射光(検査対象光)を後述する測色センサー4へ導く凹面レンズ3と、エタロン5(干渉フィルター)を有する測色センサー4(光モジュール)と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置6とを備える。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー4にて受光し、測色センサー4から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
【0020】
〔2.光源装置の構成〕
光源装置2は、図1に示すように、光源部21と、収納筐体22と、レンズ23とを備えて、これらが一体化された装置である。
光源部21は、検査対象Aに対して白色光を射出し、制御装置6に接続された白色光源211と、白色光源211から射出された光を反射するリフレクター212とを備える。
収納筐体22は、石英ガラスやアクリル樹脂等で筒状に形成され、リフレクター212で反射された光を内部で多重反射させて、白色光源211から射出された光をレンズ23に対して射出させる。
レンズ23は、収納筐体22で多重反射された光を平行光とし、平行化された光を検査対象Aに入射させる。
なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Aが液晶パネルなどの発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
【0021】
〔3.凹面レンズの構成〕
凹面レンズ3は、図1に示すように、光源装置2の外側面に固定されている。この凹面レンズ3は、検査対象Aで反射された検査対象光を所定方向へ反射させてエタロン5に集光させる凹面鏡3Aを有する。
【0022】
〔4.測色センサーの構成〕
図2は、測色センサー4を示す斜視図である。
測色センサー4は、図2に示すように、直方体状の外装筐体4Aを備え、この外装筐体4Aは、図1に示すように、光源装置2の外側面に固定されるとともに、凹面レンズ3の上面に固定される。そして、外装筐体4Aの下面(凹面レンズ3の上面に固定される面)には、検査対象光が入射する開口部4A1が形成されている。
測色センサー4は、エタロン5と、制御装置6に接続されるプリント基板41と、エタロン5を透過した光を受光する受光素子42(受光部)と、エタロン5を保持する保持部材43とを備える。これら各構成部材5,41〜43は、外装筐体4Aに収納されている。
そして、この測色センサー4は、エタロン5により、開口部4A1を介して入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を受光素子42にて受光させる。
【0023】
(4−1.プリント基板の構成)
プリント基板41は、一端側がACF(Anisotropic Conductive Film)接続により接続されたFPC(Flexible Printed Circuit)44を介してエタロン5の後述する第1基板51に接続され、他端側が図示しない配線を介して制御装置6に接続される。また、プリント基板41は、外装筐体4A内に、例えば4本のスペーサ―45を介して取り付けられている。
スペーサ―45は、図2に示すように、プリント基板41の角近傍に形成された4つの挿通孔411に挿通されて、外装筐体4Aの底面にそれぞれねじ止めされて、プリント基板41が外装筐体4A内に固定されている。
【0024】
(4−2.受光素子の構成)
受光素子42は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光素子42は、エタロン5の後述する第2基板52に対向する位置に配置され、図示しない配線を介してプリント基板41に接続されることで、制御装置6に接続される。これにより、受光素子42は、生成した電気信号を受光信号として制御装置6に出力する。
【0025】
(4−3.保持部材の構成)
図3は、保持部材43を分解した測色センサー4の分解斜視図である。なお、図3では、図示の都合上、外装筐体4Aの図示を省略している。
保持部材43は、エタロン5の第1基板51の先端側(後述する突出領域Ar2における光干渉領域Ar1と反対側)を保持して、エタロン5を保持する。この保持部材43は、図2及び図3に示すように、エタロン5の後述する第1基板51、及びプリント基板41を把持する一対の把持部431と、各把持部431を固定する固定部432とを備える。
把持部431は、第1基板51及びプリント基板41に嵌合される嵌合溝4311と、固定部432に嵌合される矩形状の嵌合孔4312とを備える。
固定部432は、コ字型状に形成され、把持部431の嵌合孔4312にそれぞれ嵌合される一対の嵌合部4321を備える。
このような保持部材43は、一対の把持部431の嵌合溝4311に第1基板51及びプリント基板41の一端側がそれぞれ嵌合されて、第1基板51及びプリント基板41が把持される。そして、固定部432の嵌合部4321は、把持部431の嵌合孔4312にそれぞれ嵌合し、固定部432が把持部431を固定する。これにより、保持部材43は、プリント基板41とエタロン5とを保持する。
【0026】
(4−4.エタロンの構成)
図4は、エタロン5の第1基板51の平面図であり、図5は、エタロン5の第2基板52の平面図である。図6は、図4及び図5の矢視VI-VI線で示す位置でのエタロン5の概略断面図である。
エタロン5は、図6に示すように、第1基板51及び第2基板52を備え、これらの基板51,52が、プラズマ重合膜を用いたシロキサン接合などにより接合層53を介して互いに接合されて一体的に構成される。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。
第1基板51は、図4に示すように、平面視長方形状の板状の光学部材であり、短辺が例えば10mmに形成され、長辺が例えば50mmに形成されている。
第2基板52は、図5に示すように、平面視正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。
【0027】
また、第1基板51と第2基板52との間には、図6に示すように、固定ミラー54(第1反射膜)、及び可動ミラー55(第2反射膜)が設けられる。ここで、固定ミラー54は、第1基板51の第2基板52に対向する面に形成され、可動ミラー55は、第2基板52の第1基板51に対向する面に形成される。また、これらの固定ミラー54及び可動ミラー55は、ミラー間ギャップGを介して対向配置されている。
さらに、第1基板51と第2基板52との間には、各ミラー54,55の間のミラー間ギャップGの寸法を調整するための第1静電アクチュエーター56及び第2静電アクチュエーター57が設けられている。
なお、本実施形態では、第1静電アクチュエーター56及び第2静電アクチュエーター57を設ける構成を示すが、例えば1つの静電アクチュエーターのみが形成される構成としてもよく、3つ以上の静電アクチュエーターが設けられる構成としてもよい。さらに、ミラー54,55間のギャップを変化させる駆動手段としては、静電アクチュエーターに限られず、圧電アクチュエーターや空気圧アクチュエーターなどいかなる構成を用いてもよい。
【0028】
(4−4−1.第1基板の構成)
第1基板51は、厚みが例えば500μmのガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。この第1基板51は、図4に示すように、第2基板52と対向する光干渉領域Ar1と、光干渉領域Ar1から長手方向に突出する突出領域Ar2とを備える。
第1基板51の光干渉領域Ar1には、図4及び図6に示すように、エッチングにより電極形成溝511及びミラー固定部512が形成される。
【0029】
電極形成溝511には、ミラー固定部512の外周縁から、電極形成溝511の内周壁面までの間に、リング状の電極固定面511Aが形成される。この電極固定面511Aには、リング状の内側第1電極561及び内側第1電極561の外側にC字状の外側第1電極571が形成される。
【0030】
なお、各第1電極561,571は、導電性を有し、第2基板52の後述する各第2電極562,572との間で電圧を印加することで、各第1電極561,571及び各第2電極562,572間に静電引力を発生させることが可能なものであれば、特に限定されない。例えば、本実施形態ではITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)を用いるが、Au/Crなどの金属積層体を用いてもよい。また、各第1電極561,571の上面には、図示を省略したが、各第1電極561,571及び各第2電極562,572の間の放電等によるリークを防止するために絶縁膜が形成される。この絶縁膜としては、SiO2やTEOS(TetraEthoxySilane)などを用いることができ、特に第1基板51を形成するガラス基板と同一光学特性を有するSiO2が好ましい。絶縁膜として、SiO2を用いる場合、第1基板51及び絶縁膜の間での光の反射等がないため、第1基板51上に各第1電極561,571を形成した後、第1基板51の第2基板52に対向する側の面の全面に絶縁膜を形成することができる。
【0031】
ミラー固定部512は、図4に示すように、電極形成溝511と同軸上で、電極形成溝511よりも小さい径寸法となる略円柱状に形成され、第2基板52に対向する側の面にミラー固定面512Aを備えている。
そして、ミラー固定面512Aには、直径が約3mmで円形状のTiO2−SiO2系の誘電体多層膜により形成された固定ミラー54が固定されている。なお、本実施形態では、固定ミラー54として、TiO2−SiO2系の誘電体多層膜のミラーを用いる例を示すが、分光可能な波長域として可視光全域をカバーできるAg合金単層のミラーを用いる構成としてもよい。
【0032】
内側第1電極561の外周縁の一部からは、図4に示す平面視において、突出領域Ar2に向けて第1基板51の一端側まで延びる1本の内側第1電極線561Lが形成される。この内側第1電極線561Lの先端には、内側第1電極パッド561Pが形成される。
また、外側第1電極571の外周縁の一部からは、図2に示す平面視において、突出領域Ar2に向けて第1基板51の一端側まで延びる1本の外側第1電極線571Lが形成される。この外側第1電極線571Lの先端には、外側第1電極パッド571Pが形成される。
【0033】
また、図4に示す平面視において、光干渉領域Ar1の四隅のうち、左下の隅には、後述する第2電極パッド572Pと導通する第1導通電極パッド581Pが形成され、左上、右上、及び右下の隅には、各第1電極561,571及び各第2電極562,572とは導通しない3つの第1対向電極パッド591Pが形成される。
第1対向電極パッド591Pは、第1電極パッド571Pと同一構成で形成される。このため、第1基板51の光干渉領域Ar1の四隅に3つの第1対向電極パッド591P及び1つの第1導通電極パッド581Pを形成することで、各電極パッド581P,591Pを四隅に形成しない場合に比べて、各第1電極561,571を成膜形成する際に生じる膜応力により第1基板51の光干渉領域Ar1が撓むことを防止できるため、ミラー固定面512A(図6参照)が傾くことを防止できる。
第1導通電極パッド581Pからは、図4に示すエタロン平面視において、突出領域Ar2に向けて第1基板51の一端側まで延びる1本の導通電極線581Lが形成され、この導通電極線581Lの先端には、第2導通電極パッド582Pが形成される。
【0034】
各第1電極パッド561P,571P、及び第2導通電極パッド582Pは、FPC44(図1参照)を介して、プリント基板41に接続される。これにより、各第1電極パッド561P,571P、及び第2導通電極パッド582Pには、制御装置6から入力される制御信号に基づいて、各第1電極561,571、及び第2導通電極パッド582Pに電圧が印加される。
【0035】
ここで、第1基板51の光干渉領域Ar1において、電極形成溝511及びミラー固定部512が形成されていない部分が第1基板51の接合面513となる。この接合面513には、図6に示すように、接合用の接合層53が形成されている。この接合層53には、主材料としてポリオルガノシロキサンを含有するプラズマ重合膜などを用いることができる。
【0036】
(4−4−2.第2基板の構成)
第2基板52は、厚みが例えば200μmのガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。この第2基板52は、図4から図6に示すように、第1基板51の光干渉領域Ar1と対向する。
第2基板52には、例えば平面視で基板中心点を中心とした円形の変位部521が形成される。この変位部521は、図5及び図6に示すように、第1基板51に向けて進退可能に移動する円柱状の可動部522と同軸であり、エタロン平面視で円環状に形成されて可動部522を第2基板52の厚み方向に移動可能に保持する連結保持部523を備える。
【0037】
変位部521は、第2基板52の形成素材である平板状のガラス基材をエッチングにより溝を形成することで形成される。すなわち、変位部521は、第2基板52の第1基板51に対向しない入射側面に、連結保持部523を形成するための円環状の円環溝部523Aをエッチング形成することで形成されている。
【0038】
可動部522は、連結保持部523よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、第2基板52の厚み寸法と同一寸法である200μmに形成されている。この可動部522の径寸法は、第1基板51のミラー固定部512の径寸法よりも大きく形成されている。
可動部522の第1基板51に対向する面には、第1基板51のミラー固定面512Aに平行な可動面522Aを備え、この可動面522Aには、固定ミラー54と同一構成の可動ミラー55が形成される。
【0039】
連結保持部523は、可動部522の周囲を囲うダイヤフラムであり、厚み寸法が例えば50μmに形成されている。連結保持部523の第1基板51に対向する面には、リング状に形成される内側第2電極562及び外側第2電極572が形成される。
内側第2電極562は、内側第1電極561に対向し、内側第1電極561と同一構成で形成されている。この内側第2電極562と、内側第1電極561とで、第1静電アクチュエーター56が構成される。
外側第2電極572は、外側第1電極571に対向し、内側第1電極561と同一構成で形成されている。この外側第2電極572と、外側第1電極571とで、第2静電アクチュエーター57が構成される。
そして、これら内側第2電極562及び外側第2電極572は、図3に示すエタロン平面視において、内側第2電極562の外周縁の一部から第2基板52の対角線に沿って、放射状に延びる4本の導通線58により導通されている。
【0040】
外側第2電極572の外周縁の一部からは、図5に示すエタロン平面視において、第2基板52の対角線に沿うように左下方向及び右上方向に向けて、導通線58と導通する2本の第2電極線572Lが延出して形成される。この2本の第2電極線572Lの先端には、それぞれ第2電極パッド572Pが形成される。
2つの第2電極パッド572Pのうち、第2基板52の左下に設けられた第2電極パッド572Pは、第1基板51の第1導通電極パッド581Pと導通する。
また、第2基板52には、図5に示す平面視において、第2基板52の四隅のうち、左上及び右下の隅には、各第1電極561,571及び各第2電極562,572とは導通しない2つの第2対向電極パッド592Pが形成される。第2基板52の左下及び右上の隅には、上述した2つの第2電極パッド572Pが形成される。
【0041】
第2対向電極パッド592Pは、第2電極パッド572Pと同一構成で形成される。このため、第2基板52の四隅に3つの第2対向電極パッド592P及び1つの第2電極パッド572Pを形成することで、各電極パッド572P,592Pを四隅に形成しない場合に比べて、各第2電極562,572を成膜形成する際に生じる膜応力により第2基板52が撓むことがないため、可動面522A(図6参照)が傾くことを防止できる。従って、可動面522A及びミラー固定面512Aを互いに平行にでき、各ミラー54,55を互いに平行にできる。
【0042】
第2電極パッド572Pは、第1導通電極パッド581Pと導通するため、制御装置6から入力される制御信号に基づいて、第2導通電極パッド582Pに印加された電圧が第1導通電極パッド581Pを介して印加される。
【0043】
ここで、第2基板52の第1基板51に対向する面において、第1基板51の接合面513と対向する領域が、第2基板52における接合面524となる。この接合面524には、第1基板51の接合面513と同様に、主材料としてポリオルガノシロキサンを用いた接合層53が設けられている。
【0044】
〔5.制御装置の構成〕
制御装置6は、測色装置1の全体動作を制御する。この制御装置6としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置6は、図1に示すように、光源制御部61、測色センサー制御部62、及び測色処理部63(分析処理部)などを備えて構成されている。
【0045】
光源制御部61は、光源装置2の光源部211に接続されている。そして、光源制御部61は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部62は、測色センサー4に接続されている。そして、測色センサー制御部62は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー4にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー4に出力する。これにより、測色センサー4は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長を透過させるよう、各静電アクチュエーター56,57への印加電圧を設定する。
測色処理部63は、測色センサー制御部62を制御して、エタロン5のミラー間ギャップを変動させて、エタロン5を透過する光の波長を変化させる。また、測色処理部63は、受光素子42から入力される受光信号に基づいて、エタロン5を透過した光の光量を取得する。そして、測色処理部63は、上記により得られた各波長の光の受光量に基づいて、検査対象Aにより反射された光の色度を算出する。
【0046】
〔6.第1実施形態の作用効果〕
上述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、エタロン5は、第1基板51及び第2基板52が対向する光干渉領域Ar1と、光干渉領域Ar1から突出した突出領域Ar2とを備える。そして、保持部材43は、突出領域Ar2の先端側(光干渉領域Ar1とは反対側)を保持して、エタロン5を保持する。このため、各ミラー54,55が設けられる光干渉領域Ar1から離れた位置でエタロン5が保持部材43に保持されるので、保持部材43の保持力により光干渉領域Ar1に応力が加わることがなく、基板51,52の撓みや、ミラー54,55が撓みを防止できる。
また、保持部材43に光源装置2からの熱が伝わった場合でも、突出領域Ar2が設けらえている分、光干渉領域Ar1に熱が伝達されにくくなり、ミラー54,55や基板51,52の熱による撓みをも抑制できる。
従って、ミラー54,55の撓みに起因するエタロン5の分解能低下を抑制でき、正確な光量測定を実施することができる。
【0047】
また、本発明の突出領域Ar2は、第1基板51に設けられている。このため、別途突出領域Ar2が設けられた別基板を設ける構成に比べて部品点数を少なくでき、構成の簡略化を図れる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態の測色装置のエタロン5Aについて、図面に基づいて説明する。
図7は、第2実施形態のエタロン5Aの第1基板51Aの平面図であり、図8は、エタロン5Aのインターポーザー7の平面図である。なお、本実施形態でのエタロン5Aの第2基板52は、前記第1実施形態と同一構成であるため、図示を省略し、図5を適宜参照して説明する。
前記第1実施形態でのエタロン5は、長方形状の第1基板51と、正方形状の第2基板52との2層で構成され、第1基板51に突出領域Ar2が設けられていた。これに対して、第2実施形態のエタロン5Aは、正方形状の第1基板51A及び第2基板52と、長方形状のインターポーザー7(支持基板)との3層で構成される点で相違する。
なお、以下の説明では、前記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
エタロン5Aは、下側からインターポーザー7、第1基板51A、及び第2基板52の順に積層されて構成される。
第1基板51Aは、図7に示すように、平面視正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成され、第2基板52と同一形状に形成されている。
【0050】
内側第1電極561の外周縁の一部からは、図7に示す平面視において、第1基板51Aの対角線に沿うように、右下方向に向かって、1本の内側第1電極線561Lが延出して形成される。この内側第1電極線561Lの先端には、内側第1電極パッド561Pが形成される。
また、外側第1電極571の外周縁の一部からは、図7に示す平面視において、第1基板51Aの対角線に沿うように、左上方向に向かって、1本の外側第1電極線571Lが延出して形成される。この外側第1電極線571Lの先端には、外側第1電極パッド571Pが形成される。
【0051】
図7に示す平面視において、第1基板51Aの四隅のうち、右上の隅には、各第1電極561,571及び各第2電極562,572(図5参照)とは導通しない第1対向電極パッド591Pが形成され、左下の隅には、第2基板52の第2電極パッド572P(図5参照)及び後述するインターポーザー7の第1導通電極パッド721Pと導通する導通電極パッド583Pが形成される。さらに、第1基板51Aの左上及び右下の隅には、上述した2つの第1電極パッド561P,571Pが形成される。
【0052】
インターポーザー7は、図8に示すように、前記第1実施形態の第1基板51と同一形状の平面視長方形状に形成され、第1基板51A及び第2基板52と同一材質で形成されている。このインターポーザー7は、第2基板52と対向する光干渉領域Ar1と、光干渉領域Ar1から長手方向に突出する突出領域Ar2とを備える。そして、インターポーザー7の光干渉領域Ar1は、第1基板51の接合面513と反対側の面に対して接合される。
【0053】
また、図8に示す平面視において、光干渉領域Ar1の四隅のうち、右下の隅には、内側第1電極パッド561Pと導通する第1内側導通電極パッド701Pが形成され、左上の隅には、外側第1電極パッド571Pと導通する第1外側導通電極パッド711Pが形成され、左下の隅には、導通電極パッド583P及び第2電極パッド572P(図5参照)と導通する第1導通電極パッド721Pが形成される。
【0054】
ここで、第1基板51Aの電極パッド583P,561P,571Pと、インターポーザー7の電極パッド721P,701P,711Pとの導通方法としては、特に限定されず、各種接続方法により接続されていればよい。
例えば、第1基板51Aのインターポーザー7に対向する面で、平面視において電極パッド583P,561P,571Pと重なる位置には、凹状の導電ペースト注入部が設けられている構成とし、平面視において互いに重なり合う電極パッド583P,721P(電極パッド561P,701P、電極パッド571P,711P)同士をAgペース等の導電性ペーストにより接続する構成とすればよい。
第1基板51Aのインターポーザー7に対向する面に、電極パッド583P,561P,571Pから引き出された配線が延出し、これらの延出した配線とインターポーザー7の電極パッドとが導通する構成などとしてもよい。
【0055】
第1内側導通電極パッド701Pからは、図8に示す平面視において、突出領域Ar2に向けてインターポーザー7の一端側まで延びる1本の内側導通電極線701Lが形成され、この内側導通電極線701Lの先端には、第2内側導通電極パッド702Pが形成される。
第1外側導通電極パッド711Pからは、図8に示す平面視において、突出領域Ar2に向けてインターポーザー7の一端側まで延びる1本の外側導通電極線711Lが形成され、この外側導通電極線711Lの先端には、第2外側導通電極パッド712Pが形成される。
第1導通電極パッド721Pからは、図8に示す平面視において、突出領域Ar2に向けて第1基板51の一端側まで延びる1本の導通電極線721Lが形成され、この導通電極線721Lの先端には、第2導通電極パッド722Pが形成される。
【0056】
第2内側導通電極パッド702P、第2外側導通電極パッド712P、及び第2導通電極パッド722Pは、FPC44(図1参照)を介して、プリント基板41に接続される。これにより、各電極パッド702P,712P,722Pには、制御装置6(図1参照)から入力される制御信号に基づいて、各電極パッド702P,712P,722Pに電圧が印加される。
【0057】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
すなわち、第2実施形態のエタロン5Aでは、第1基板51A及び第2基板52の他に、インターポーザー7を備えて構成され、インターポーザー7に突出領域Ar2が設けられている。このため、インターポーザー7が設けられる分、第1実施形態よりもさらに熱の伝達を抑制することができ、より確実に熱によるミラーの撓みを抑えることができる。
また、インターポーザー7として、熱伝達係数が小さい素材を用いることも可能であり、このような構成ではさらに熱の伝達を防止することができる。
【0058】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態のエタロン5Bの第1基板51Bを示す平面図である。
第3実施形態のエタロン5Bは、前記第1実施形態のエタロン5の第1基板51とほぼ同一構成であるが、第1基板51Bの突出領域Ar2に一対の切欠部8(振動吸収部)が形成されている点で相違する。
なお、以下の説明では、前記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
切欠部8は、外部からの振動が光干渉領域Ar1に伝達されることを抑制するものである。この切欠部8は、第1基板51Bの突出領域Ar2において、図9に示す平面視で第1基板51Bの突出領域Ar2の突出方向に沿う側縁に、コ字凹状に切り欠かれて形成される。つまり、突出領域Ar2は、切欠部8が形成された箇所において、第1基板51Bの幅寸法が小さくなっている。
【0060】
上述した第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、第1基板51Bの突出領域Ar2に一対の切欠部8が形成されている。このような構造では、切欠部8が設けられた幅寸法が小さい部分が構造的に弱い部分となる。したがって、外部から振動を受けた際、光干渉部Ar1にその場に留まろうとする力が働き、切欠部8が設けられた構造的に弱い部分が撓んで振動を吸収する。これにより、光干渉部Ar1の振動を抑制することができる。
【0061】
[第3実施形態の第1変形例]
図10は、第3実施形態の第1変形例のエタロン5Cの第1基板51Cを示す平面図である。
第1変形例のエタロン5Cは、前記第1実施形態のエタロン5の第1基板51とほぼ同一構成であるが、第1基板51Cの突出領域Ar2に矩形状の貫通孔9(振動吸収部)が形成されている。
本変形例によれば、第1基板51Cの突出領域Ar2に貫通孔9が構造的に弱い部分となり、外部から振動を受けた際に、貫通孔9が設けられる部分で振動を吸収する。このため、振動がエタロン5Cの光干渉領域Ar1に伝達されることを抑制できる。
【0062】
[第3実施形態の第2変形例]
図11は、第3実施形態の第2変形例のエタロン5Dの部分断面図である。
第2変形例のエタロン5Dは、前記第1実施形態のエタロン5とほぼ同一構成であるが、第1基板51Dの突出領域Ar2に溝部11(振動吸収部)が形成されている。この溝部11は、突出領域Ar2の一端(光干渉領域Ar1側)に第1基板51の幅方向に沿って形成される。
本変形例によれば、第1基板51Dの突出領域Ar2に溝部11が形成されており、この部分が構造的に弱い部分となる。したがって、外部から振動を受けた際に、溝部11で吸収することができ、エタロン5Dの光干渉領域Ar1への振動伝達を抑制できる。
【0063】
[実施形態の変形]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
図12は、本発明の変形例に係る測色センサー4の要部を示す拡大平面図、及び拡大断面図である。
本変形例の測色センサー4では、第1基板51とプリント基板41とが一対の保持部材43Aを介して接続されている。
第1基板51の突出領域Ar2の先端側には、一対の挿通孔514が形成され、プリント基板41の一端側には、一対の挿通孔411が形成される。
保持部材43Aは、弾性を有する樹脂やプラスチック等の材質で形成され、板状の保持部材本体46と、保持部材本体46から突出する一対の突出部47とを備え、これらが一体形成される。
突出部47は、基端側(保持部材本体46側)に円錐台状の円錐台部471と、先端側に半球体状の半球部472とを備える。この半球部472の外径寸法は、各挿通孔411,514の径寸法よりも大きく形成されている。
そして、保持部材43Aの突出部47が第1基板51の挿通孔514及びプリント基板41の挿通孔411に挿通されて、一対の保持部材43Aが第1基板51及びプリント基板41を保持する。具体的に、突出部47の半球部472が各挿通孔411,514に押し込まれると、収縮しながら各挿通孔411,514に挿通される。半球部472は、各挿通孔411,514に挿通された後、膨張して、元のサイズに戻るため、各突出部47が各挿通孔411,514に固定される。これにより、保持部材43Aは、第1基板51及びプリント基板41を保持する。
なお、突出部47に切り込みを形成し、突出部47が挿通孔411,514に挿通される際に、収縮し易くしてもよい。
【0064】
前記各実施形態では、本発明に係る干渉フィルターの一例として波長可変干渉フィルターであるエタロンを例示したが、ミラー間のギャップGの大きさを変化させない干渉フィルターであってもよい。
前記各実施形態では、第2基板52が正方形状であったが、光干渉領域Ar1及び突出領域Ar2を有する長方形状に形成して、第1基板51を正方形状に形成してもよい。
前記第2実施形態でのエタロン5Aは、インターポーザー7、第1基板51A、及び第2基板52の順に積層されて構成されたが、第1基板51A、第2基板52、及びインターポーザー7の順に積層されて構成されてもよい。
【0065】
前記各実施形態では、ミラー間ギャップGを変更する構成として、静電アクチュエーター56,57を例示したが、電流が通流される電磁コイルと、電磁力により電磁コイルに対して移動する永久磁石とを備える電磁アクチュエーターを用いてもよい。このような構成によれば、電磁コイルに電流を通流し、永久磁石からの磁束とこの磁束と電流との相互作用による電磁力により、永久磁石が電磁コイルに向けて移動するので、変位部が変動する。また、電圧印加により伸縮可能な圧電素子を基板間に設ける構成としてもよい。
【0066】
第1実施形態において、第1基板51に突出領域Ar2が設けられる構成を例示したが、例えば第2基板52に突出領域Ar2が設けられる構成としてもよく、第1基板51および第2基板52の双方に突出領域Ar2が設けられる構成としてもよい。
【0067】
前記実施形態において、接合面513,524は、接合層53により接合されるとしたが、これに限られない。例えば、接合層53が形成されず、接合面513,524を活性化し、活性化された接合面513,524を重ね合わせて加圧することにより接合する、いわゆる常温活性化接合により接合させる構成などとしてもよく、いかなる接合方法を用いてもよい。
【0068】
前記実施形態では、本発明の光モジュールとして、測色センサー4を例示し、光分析装置として、測色センサー4を備えた測色装置1を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光モジュールとして用いてもよく、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の光分析装置としてもよい。さらに、光分析装置は、このような光モジュールを備えた分光カメラ、分光分析器などであってもよい。
また、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光モジュールに設けられたエタロン5により特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光モジュールを備えた光分析装置により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
【符号の説明】
【0069】
1…測色装置(光分析装置)、4…測色センサー(光モジュール)、5,5A〜5D…エタロン(干渉フィルター)、7…インターポーザー(支持基板)、8…切欠部(振動吸収部)、9…貫通孔(振動吸収部)、11…溝部(振動吸収部)、42…受光素子(受光部)、43,43A…保持部材、51…第1基板、52…第2基板、54…固定ミラー(第1反射膜)、55…可動ミラー(第2反射膜)、Ar1…光干渉領域、Ar2…突出領域、63…測色処理部(分析処理部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光から所定の波長の光を取り出す干渉フィルターを備えた光モジュール、及び光モジュールを備えた光分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の基板の互いに対向する面に、それぞれ多層膜(反射膜)を所定のギャップを介して対向配置した干渉フィルター(エタロン)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の干渉フィルターでは、ギャップを調整するために、一対の反射膜の互いに対向する面に、駆動電極が対向配置されており、各駆動電極に駆動電圧を印加することで、静電引力によりギャップを調整することが可能となる。これにより、干渉フィルターは、当該ギャップに応じた特定波長の光のみを透過させることが可能となる。すなわち、干渉フィルターは、入射光を一対の反射膜間で光を多重干渉させ、多重干渉により互いに強め合った特定波長の光のみを透過させる。
【0004】
ところで、上記のような干渉フィルターは、一般に光モジュールや光分析装置に組み込まれて使用される。図13は、エタロン50が装着された従来の測色装置10(光分析装置)の概略構成を示す模式図である。
測色装置10は、検査対象Aに光を射出する光源装置20と、検査対象Aで反射された検査対象光を分光するエタロン50、エタロン50を透過した光を受光する受光素子420、及び光源装置20及び受光素子420に接続されるプリント基板410が収容された外装ケース40Aを有する測色センサー40(光モジュール)とを備える。
測色センサー40は、光源装置20に隣接して設けられ、エタロン50の外周縁を保持する筒状の保持ケース310を備える。
そして、この測色装置10は、光源装置20から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー40にて分光し、測色センサー40から出力される検出信号に基づいて、分光した各波長の光の光量から、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−142752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図13に示すような従来の構成では、保持ケース310は、エタロン50の反射膜が設けられる部分に近接する外周部を保持している。このような構成では、光源装置20が発生する熱が保持ケース310から直接エタロン50にも伝達され、基板が熱膨張により撓むおそれがある。
さらに、エタロン50の反射膜に近接する外周縁が、保持ケース310に保持される構成であるため、保持ケース310の保持力により基板が撓むおそれがある。
以上のように、反射膜に撓みが生じると、エタロン50を透過する光の透過波長にばらつきが生じ、分解能が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、干渉フィルターの分解能の低下を抑制可能な光モジュール、及び光分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光モジュールは、第1基板、前記第1基板に対向する第2基板、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1反射膜、及び前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜と所定のギャップを介して対向する第2反射膜を有する干渉フィルターと、前記干渉フィルターを保持する保持部材と、を具備し、前記干渉フィルターは、基板厚み方向に見る平面視において、前記第1反射膜及び前記第2反射膜が設けられる光干渉領域と、前記光干渉領域から離れる方向に突出した突出領域とを備え、前記保持部材は、前記突出領域における、前記光干渉領域とは反対側の一端側において、前記干渉フィルターを保持することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、干渉フィルターは、第1基板及び第2基板が対向する光干渉領域と、光干渉領域から突出した突出領域とを備える。そして、保持部材は、突出領域の先端側(光干渉領域とは反対側)を保持して、干渉フィルターを保持する。このため、反射膜から離れた位置で干渉フィルターが保持部材に保持されるので、保持部材の保持力により光干渉領域に形成される反射膜が撓むことがない。また、例えば、光源装置等により保持部材が熱された場合でも、突出領域により熱の伝達が抑制され、光干渉部の発熱を抑えることができ、基板や反射膜の発熱による撓みも低減できる。従って、反射膜の撓みを防止することができるため、干渉フィルターの反射膜間の平行性を維持でき、分解能の低下を抑制できる。
【0010】
本発明の光モジュールでは、前記第1基板及び前記第2基板は、同一形状に形成され、前記干渉フィルターは、前記第1基板及び前記第2基板のいずれか一方に接合される支持基板を備え、前記突出領域は、前記支持基板に設けられたことが好ましい。
【0011】
本発明によれば、干渉フィルターは、反射膜が形成される第1基板及び第2基板の他に、突出領域を有する支持基板を備えて構成される。そして、保持部材は、支持基板の突出領域を保持することで、干渉フィルターを保持するため、第1基板及び第2基板が撓むことなく保持される。また、例えば、保持部材に熱が伝達された場合でも、突出領域において熱の伝達を抑えることができ、さらに、光干渉領域が設けられる第1基板および第2基板と、支持部材とが別基板であるため、熱の伝達をより確実に抑えることができる。
【0012】
本発明の光モジュールでは、前記突出領域は、前記第1基板および前記第2基板のうち少なくともいずれか一方に設けられた構成としてもよい。
【0013】
この発明では、第1基板および第2基板の少なくともいずれか一方に突出領域が設けられている。このような構成では、突出領域を設けるための別部材である支持基板を設ける必要がないため、より構成を簡単にできる。
【0014】
本発明の光モジュールでは、前記突出領域には、振動を吸収する振動吸収部が設けられていることが好ましい。
【0015】
ここで、振動吸収部としては、例えば、突出領域の一部の幅寸法や厚み寸法を他の部分に比べて小さく形成して、構造的に他部よりも弱い部分を設けることで形成されていればよい。
本発明によれば、突出領域に振動吸収部が設けられているので、外部から振動を受けた際、振動吸収部で振動が吸収され、干渉フィルターの光干渉領域への振動の伝達を抑制できる。従って、外部からの振動により、干渉フィルターの反射膜間のギャップが変動することを防止できる。
【0016】
本発明の光分析装置は、上述した光モジュールを備えた光分析装置であって、前記光モジュールは、前記干渉フィルターにより取り出された検査対象光を受光する受光部を備え、当該光分析装置は、前記受光部で受光された前記検査対象光の光量に基づいて、前記検査対象光の光特性を分析する分析処理部を備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、光分析装置は、上述した光モジュールを備えるので、分解能の低下を抑制でき、受光部で精度の高い光量の測定を実施でき、この測定結果に基づいて光分析処理を実施することで、正確な分光特性を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第1実施形態の測色装置の概略構成を示す模式図。
【図2】前記第1実施形態の測色センサーを示す斜視図。
【図3】前記第1実施形態の測色センサーの分解斜視図。
【図4】前記第1実施形態のエタロンの第1基板の平面図。
【図5】前記第1実施形態のエタロンの第2基板の平面図。
【図6】前記第1実施形態のエタロンの概略断面図。
【図7】本発明に係る第2実施形態のエタロンの第1基板の平面図。
【図8】前記第2実施形態のエタロンのインターポーザーの平面図。
【図9】本発明に係る第3実施形態のエタロンの第1基板の平面図。
【図10】前記第3実施形態の第1変形例のエタロンの第1基板の平面図。
【図11】前記第3実施形態の第2変形例のエタロンの部分断面図。
【図12】本発明に係る変形例の測色センサーの要部を示す平面図及び断面図。
【図13】従来の測色装置の概略構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔1.測色装置の概略構成〕
図1は、本実施形態の測色装置1(光分析装置)の概略構成を示す模式図である。
測色装置1は、図1に示すように、検査対象Aに光を射出する光源装置2と、検査対象Aにて反射された反射光(検査対象光)を後述する測色センサー4へ導く凹面レンズ3と、エタロン5(干渉フィルター)を有する測色センサー4(光モジュール)と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置6とを備える。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー4にて受光し、測色センサー4から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
【0020】
〔2.光源装置の構成〕
光源装置2は、図1に示すように、光源部21と、収納筐体22と、レンズ23とを備えて、これらが一体化された装置である。
光源部21は、検査対象Aに対して白色光を射出し、制御装置6に接続された白色光源211と、白色光源211から射出された光を反射するリフレクター212とを備える。
収納筐体22は、石英ガラスやアクリル樹脂等で筒状に形成され、リフレクター212で反射された光を内部で多重反射させて、白色光源211から射出された光をレンズ23に対して射出させる。
レンズ23は、収納筐体22で多重反射された光を平行光とし、平行化された光を検査対象Aに入射させる。
なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Aが液晶パネルなどの発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
【0021】
〔3.凹面レンズの構成〕
凹面レンズ3は、図1に示すように、光源装置2の外側面に固定されている。この凹面レンズ3は、検査対象Aで反射された検査対象光を所定方向へ反射させてエタロン5に集光させる凹面鏡3Aを有する。
【0022】
〔4.測色センサーの構成〕
図2は、測色センサー4を示す斜視図である。
測色センサー4は、図2に示すように、直方体状の外装筐体4Aを備え、この外装筐体4Aは、図1に示すように、光源装置2の外側面に固定されるとともに、凹面レンズ3の上面に固定される。そして、外装筐体4Aの下面(凹面レンズ3の上面に固定される面)には、検査対象光が入射する開口部4A1が形成されている。
測色センサー4は、エタロン5と、制御装置6に接続されるプリント基板41と、エタロン5を透過した光を受光する受光素子42(受光部)と、エタロン5を保持する保持部材43とを備える。これら各構成部材5,41〜43は、外装筐体4Aに収納されている。
そして、この測色センサー4は、エタロン5により、開口部4A1を介して入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を受光素子42にて受光させる。
【0023】
(4−1.プリント基板の構成)
プリント基板41は、一端側がACF(Anisotropic Conductive Film)接続により接続されたFPC(Flexible Printed Circuit)44を介してエタロン5の後述する第1基板51に接続され、他端側が図示しない配線を介して制御装置6に接続される。また、プリント基板41は、外装筐体4A内に、例えば4本のスペーサ―45を介して取り付けられている。
スペーサ―45は、図2に示すように、プリント基板41の角近傍に形成された4つの挿通孔411に挿通されて、外装筐体4Aの底面にそれぞれねじ止めされて、プリント基板41が外装筐体4A内に固定されている。
【0024】
(4−2.受光素子の構成)
受光素子42は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、受光素子42は、エタロン5の後述する第2基板52に対向する位置に配置され、図示しない配線を介してプリント基板41に接続されることで、制御装置6に接続される。これにより、受光素子42は、生成した電気信号を受光信号として制御装置6に出力する。
【0025】
(4−3.保持部材の構成)
図3は、保持部材43を分解した測色センサー4の分解斜視図である。なお、図3では、図示の都合上、外装筐体4Aの図示を省略している。
保持部材43は、エタロン5の第1基板51の先端側(後述する突出領域Ar2における光干渉領域Ar1と反対側)を保持して、エタロン5を保持する。この保持部材43は、図2及び図3に示すように、エタロン5の後述する第1基板51、及びプリント基板41を把持する一対の把持部431と、各把持部431を固定する固定部432とを備える。
把持部431は、第1基板51及びプリント基板41に嵌合される嵌合溝4311と、固定部432に嵌合される矩形状の嵌合孔4312とを備える。
固定部432は、コ字型状に形成され、把持部431の嵌合孔4312にそれぞれ嵌合される一対の嵌合部4321を備える。
このような保持部材43は、一対の把持部431の嵌合溝4311に第1基板51及びプリント基板41の一端側がそれぞれ嵌合されて、第1基板51及びプリント基板41が把持される。そして、固定部432の嵌合部4321は、把持部431の嵌合孔4312にそれぞれ嵌合し、固定部432が把持部431を固定する。これにより、保持部材43は、プリント基板41とエタロン5とを保持する。
【0026】
(4−4.エタロンの構成)
図4は、エタロン5の第1基板51の平面図であり、図5は、エタロン5の第2基板52の平面図である。図6は、図4及び図5の矢視VI-VI線で示す位置でのエタロン5の概略断面図である。
エタロン5は、図6に示すように、第1基板51及び第2基板52を備え、これらの基板51,52が、プラズマ重合膜を用いたシロキサン接合などにより接合層53を介して互いに接合されて一体的に構成される。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。
第1基板51は、図4に示すように、平面視長方形状の板状の光学部材であり、短辺が例えば10mmに形成され、長辺が例えば50mmに形成されている。
第2基板52は、図5に示すように、平面視正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成されている。
【0027】
また、第1基板51と第2基板52との間には、図6に示すように、固定ミラー54(第1反射膜)、及び可動ミラー55(第2反射膜)が設けられる。ここで、固定ミラー54は、第1基板51の第2基板52に対向する面に形成され、可動ミラー55は、第2基板52の第1基板51に対向する面に形成される。また、これらの固定ミラー54及び可動ミラー55は、ミラー間ギャップGを介して対向配置されている。
さらに、第1基板51と第2基板52との間には、各ミラー54,55の間のミラー間ギャップGの寸法を調整するための第1静電アクチュエーター56及び第2静電アクチュエーター57が設けられている。
なお、本実施形態では、第1静電アクチュエーター56及び第2静電アクチュエーター57を設ける構成を示すが、例えば1つの静電アクチュエーターのみが形成される構成としてもよく、3つ以上の静電アクチュエーターが設けられる構成としてもよい。さらに、ミラー54,55間のギャップを変化させる駆動手段としては、静電アクチュエーターに限られず、圧電アクチュエーターや空気圧アクチュエーターなどいかなる構成を用いてもよい。
【0028】
(4−4−1.第1基板の構成)
第1基板51は、厚みが例えば500μmのガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。この第1基板51は、図4に示すように、第2基板52と対向する光干渉領域Ar1と、光干渉領域Ar1から長手方向に突出する突出領域Ar2とを備える。
第1基板51の光干渉領域Ar1には、図4及び図6に示すように、エッチングにより電極形成溝511及びミラー固定部512が形成される。
【0029】
電極形成溝511には、ミラー固定部512の外周縁から、電極形成溝511の内周壁面までの間に、リング状の電極固定面511Aが形成される。この電極固定面511Aには、リング状の内側第1電極561及び内側第1電極561の外側にC字状の外側第1電極571が形成される。
【0030】
なお、各第1電極561,571は、導電性を有し、第2基板52の後述する各第2電極562,572との間で電圧を印加することで、各第1電極561,571及び各第2電極562,572間に静電引力を発生させることが可能なものであれば、特に限定されない。例えば、本実施形態ではITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)を用いるが、Au/Crなどの金属積層体を用いてもよい。また、各第1電極561,571の上面には、図示を省略したが、各第1電極561,571及び各第2電極562,572の間の放電等によるリークを防止するために絶縁膜が形成される。この絶縁膜としては、SiO2やTEOS(TetraEthoxySilane)などを用いることができ、特に第1基板51を形成するガラス基板と同一光学特性を有するSiO2が好ましい。絶縁膜として、SiO2を用いる場合、第1基板51及び絶縁膜の間での光の反射等がないため、第1基板51上に各第1電極561,571を形成した後、第1基板51の第2基板52に対向する側の面の全面に絶縁膜を形成することができる。
【0031】
ミラー固定部512は、図4に示すように、電極形成溝511と同軸上で、電極形成溝511よりも小さい径寸法となる略円柱状に形成され、第2基板52に対向する側の面にミラー固定面512Aを備えている。
そして、ミラー固定面512Aには、直径が約3mmで円形状のTiO2−SiO2系の誘電体多層膜により形成された固定ミラー54が固定されている。なお、本実施形態では、固定ミラー54として、TiO2−SiO2系の誘電体多層膜のミラーを用いる例を示すが、分光可能な波長域として可視光全域をカバーできるAg合金単層のミラーを用いる構成としてもよい。
【0032】
内側第1電極561の外周縁の一部からは、図4に示す平面視において、突出領域Ar2に向けて第1基板51の一端側まで延びる1本の内側第1電極線561Lが形成される。この内側第1電極線561Lの先端には、内側第1電極パッド561Pが形成される。
また、外側第1電極571の外周縁の一部からは、図2に示す平面視において、突出領域Ar2に向けて第1基板51の一端側まで延びる1本の外側第1電極線571Lが形成される。この外側第1電極線571Lの先端には、外側第1電極パッド571Pが形成される。
【0033】
また、図4に示す平面視において、光干渉領域Ar1の四隅のうち、左下の隅には、後述する第2電極パッド572Pと導通する第1導通電極パッド581Pが形成され、左上、右上、及び右下の隅には、各第1電極561,571及び各第2電極562,572とは導通しない3つの第1対向電極パッド591Pが形成される。
第1対向電極パッド591Pは、第1電極パッド571Pと同一構成で形成される。このため、第1基板51の光干渉領域Ar1の四隅に3つの第1対向電極パッド591P及び1つの第1導通電極パッド581Pを形成することで、各電極パッド581P,591Pを四隅に形成しない場合に比べて、各第1電極561,571を成膜形成する際に生じる膜応力により第1基板51の光干渉領域Ar1が撓むことを防止できるため、ミラー固定面512A(図6参照)が傾くことを防止できる。
第1導通電極パッド581Pからは、図4に示すエタロン平面視において、突出領域Ar2に向けて第1基板51の一端側まで延びる1本の導通電極線581Lが形成され、この導通電極線581Lの先端には、第2導通電極パッド582Pが形成される。
【0034】
各第1電極パッド561P,571P、及び第2導通電極パッド582Pは、FPC44(図1参照)を介して、プリント基板41に接続される。これにより、各第1電極パッド561P,571P、及び第2導通電極パッド582Pには、制御装置6から入力される制御信号に基づいて、各第1電極561,571、及び第2導通電極パッド582Pに電圧が印加される。
【0035】
ここで、第1基板51の光干渉領域Ar1において、電極形成溝511及びミラー固定部512が形成されていない部分が第1基板51の接合面513となる。この接合面513には、図6に示すように、接合用の接合層53が形成されている。この接合層53には、主材料としてポリオルガノシロキサンを含有するプラズマ重合膜などを用いることができる。
【0036】
(4−4−2.第2基板の構成)
第2基板52は、厚みが例えば200μmのガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。この第2基板52は、図4から図6に示すように、第1基板51の光干渉領域Ar1と対向する。
第2基板52には、例えば平面視で基板中心点を中心とした円形の変位部521が形成される。この変位部521は、図5及び図6に示すように、第1基板51に向けて進退可能に移動する円柱状の可動部522と同軸であり、エタロン平面視で円環状に形成されて可動部522を第2基板52の厚み方向に移動可能に保持する連結保持部523を備える。
【0037】
変位部521は、第2基板52の形成素材である平板状のガラス基材をエッチングにより溝を形成することで形成される。すなわち、変位部521は、第2基板52の第1基板51に対向しない入射側面に、連結保持部523を形成するための円環状の円環溝部523Aをエッチング形成することで形成されている。
【0038】
可動部522は、連結保持部523よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、第2基板52の厚み寸法と同一寸法である200μmに形成されている。この可動部522の径寸法は、第1基板51のミラー固定部512の径寸法よりも大きく形成されている。
可動部522の第1基板51に対向する面には、第1基板51のミラー固定面512Aに平行な可動面522Aを備え、この可動面522Aには、固定ミラー54と同一構成の可動ミラー55が形成される。
【0039】
連結保持部523は、可動部522の周囲を囲うダイヤフラムであり、厚み寸法が例えば50μmに形成されている。連結保持部523の第1基板51に対向する面には、リング状に形成される内側第2電極562及び外側第2電極572が形成される。
内側第2電極562は、内側第1電極561に対向し、内側第1電極561と同一構成で形成されている。この内側第2電極562と、内側第1電極561とで、第1静電アクチュエーター56が構成される。
外側第2電極572は、外側第1電極571に対向し、内側第1電極561と同一構成で形成されている。この外側第2電極572と、外側第1電極571とで、第2静電アクチュエーター57が構成される。
そして、これら内側第2電極562及び外側第2電極572は、図3に示すエタロン平面視において、内側第2電極562の外周縁の一部から第2基板52の対角線に沿って、放射状に延びる4本の導通線58により導通されている。
【0040】
外側第2電極572の外周縁の一部からは、図5に示すエタロン平面視において、第2基板52の対角線に沿うように左下方向及び右上方向に向けて、導通線58と導通する2本の第2電極線572Lが延出して形成される。この2本の第2電極線572Lの先端には、それぞれ第2電極パッド572Pが形成される。
2つの第2電極パッド572Pのうち、第2基板52の左下に設けられた第2電極パッド572Pは、第1基板51の第1導通電極パッド581Pと導通する。
また、第2基板52には、図5に示す平面視において、第2基板52の四隅のうち、左上及び右下の隅には、各第1電極561,571及び各第2電極562,572とは導通しない2つの第2対向電極パッド592Pが形成される。第2基板52の左下及び右上の隅には、上述した2つの第2電極パッド572Pが形成される。
【0041】
第2対向電極パッド592Pは、第2電極パッド572Pと同一構成で形成される。このため、第2基板52の四隅に3つの第2対向電極パッド592P及び1つの第2電極パッド572Pを形成することで、各電極パッド572P,592Pを四隅に形成しない場合に比べて、各第2電極562,572を成膜形成する際に生じる膜応力により第2基板52が撓むことがないため、可動面522A(図6参照)が傾くことを防止できる。従って、可動面522A及びミラー固定面512Aを互いに平行にでき、各ミラー54,55を互いに平行にできる。
【0042】
第2電極パッド572Pは、第1導通電極パッド581Pと導通するため、制御装置6から入力される制御信号に基づいて、第2導通電極パッド582Pに印加された電圧が第1導通電極パッド581Pを介して印加される。
【0043】
ここで、第2基板52の第1基板51に対向する面において、第1基板51の接合面513と対向する領域が、第2基板52における接合面524となる。この接合面524には、第1基板51の接合面513と同様に、主材料としてポリオルガノシロキサンを用いた接合層53が設けられている。
【0044】
〔5.制御装置の構成〕
制御装置6は、測色装置1の全体動作を制御する。この制御装置6としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置6は、図1に示すように、光源制御部61、測色センサー制御部62、及び測色処理部63(分析処理部)などを備えて構成されている。
【0045】
光源制御部61は、光源装置2の光源部211に接続されている。そして、光源制御部61は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部62は、測色センサー4に接続されている。そして、測色センサー制御部62は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー4にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー4に出力する。これにより、測色センサー4は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長を透過させるよう、各静電アクチュエーター56,57への印加電圧を設定する。
測色処理部63は、測色センサー制御部62を制御して、エタロン5のミラー間ギャップを変動させて、エタロン5を透過する光の波長を変化させる。また、測色処理部63は、受光素子42から入力される受光信号に基づいて、エタロン5を透過した光の光量を取得する。そして、測色処理部63は、上記により得られた各波長の光の受光量に基づいて、検査対象Aにより反射された光の色度を算出する。
【0046】
〔6.第1実施形態の作用効果〕
上述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、エタロン5は、第1基板51及び第2基板52が対向する光干渉領域Ar1と、光干渉領域Ar1から突出した突出領域Ar2とを備える。そして、保持部材43は、突出領域Ar2の先端側(光干渉領域Ar1とは反対側)を保持して、エタロン5を保持する。このため、各ミラー54,55が設けられる光干渉領域Ar1から離れた位置でエタロン5が保持部材43に保持されるので、保持部材43の保持力により光干渉領域Ar1に応力が加わることがなく、基板51,52の撓みや、ミラー54,55が撓みを防止できる。
また、保持部材43に光源装置2からの熱が伝わった場合でも、突出領域Ar2が設けらえている分、光干渉領域Ar1に熱が伝達されにくくなり、ミラー54,55や基板51,52の熱による撓みをも抑制できる。
従って、ミラー54,55の撓みに起因するエタロン5の分解能低下を抑制でき、正確な光量測定を実施することができる。
【0047】
また、本発明の突出領域Ar2は、第1基板51に設けられている。このため、別途突出領域Ar2が設けられた別基板を設ける構成に比べて部品点数を少なくでき、構成の簡略化を図れる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態の測色装置のエタロン5Aについて、図面に基づいて説明する。
図7は、第2実施形態のエタロン5Aの第1基板51Aの平面図であり、図8は、エタロン5Aのインターポーザー7の平面図である。なお、本実施形態でのエタロン5Aの第2基板52は、前記第1実施形態と同一構成であるため、図示を省略し、図5を適宜参照して説明する。
前記第1実施形態でのエタロン5は、長方形状の第1基板51と、正方形状の第2基板52との2層で構成され、第1基板51に突出領域Ar2が設けられていた。これに対して、第2実施形態のエタロン5Aは、正方形状の第1基板51A及び第2基板52と、長方形状のインターポーザー7(支持基板)との3層で構成される点で相違する。
なお、以下の説明では、前記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0049】
エタロン5Aは、下側からインターポーザー7、第1基板51A、及び第2基板52の順に積層されて構成される。
第1基板51Aは、図7に示すように、平面視正方形状の板状の光学部材であり、一辺が例えば10mmに形成され、第2基板52と同一形状に形成されている。
【0050】
内側第1電極561の外周縁の一部からは、図7に示す平面視において、第1基板51Aの対角線に沿うように、右下方向に向かって、1本の内側第1電極線561Lが延出して形成される。この内側第1電極線561Lの先端には、内側第1電極パッド561Pが形成される。
また、外側第1電極571の外周縁の一部からは、図7に示す平面視において、第1基板51Aの対角線に沿うように、左上方向に向かって、1本の外側第1電極線571Lが延出して形成される。この外側第1電極線571Lの先端には、外側第1電極パッド571Pが形成される。
【0051】
図7に示す平面視において、第1基板51Aの四隅のうち、右上の隅には、各第1電極561,571及び各第2電極562,572(図5参照)とは導通しない第1対向電極パッド591Pが形成され、左下の隅には、第2基板52の第2電極パッド572P(図5参照)及び後述するインターポーザー7の第1導通電極パッド721Pと導通する導通電極パッド583Pが形成される。さらに、第1基板51Aの左上及び右下の隅には、上述した2つの第1電極パッド561P,571Pが形成される。
【0052】
インターポーザー7は、図8に示すように、前記第1実施形態の第1基板51と同一形状の平面視長方形状に形成され、第1基板51A及び第2基板52と同一材質で形成されている。このインターポーザー7は、第2基板52と対向する光干渉領域Ar1と、光干渉領域Ar1から長手方向に突出する突出領域Ar2とを備える。そして、インターポーザー7の光干渉領域Ar1は、第1基板51の接合面513と反対側の面に対して接合される。
【0053】
また、図8に示す平面視において、光干渉領域Ar1の四隅のうち、右下の隅には、内側第1電極パッド561Pと導通する第1内側導通電極パッド701Pが形成され、左上の隅には、外側第1電極パッド571Pと導通する第1外側導通電極パッド711Pが形成され、左下の隅には、導通電極パッド583P及び第2電極パッド572P(図5参照)と導通する第1導通電極パッド721Pが形成される。
【0054】
ここで、第1基板51Aの電極パッド583P,561P,571Pと、インターポーザー7の電極パッド721P,701P,711Pとの導通方法としては、特に限定されず、各種接続方法により接続されていればよい。
例えば、第1基板51Aのインターポーザー7に対向する面で、平面視において電極パッド583P,561P,571Pと重なる位置には、凹状の導電ペースト注入部が設けられている構成とし、平面視において互いに重なり合う電極パッド583P,721P(電極パッド561P,701P、電極パッド571P,711P)同士をAgペース等の導電性ペーストにより接続する構成とすればよい。
第1基板51Aのインターポーザー7に対向する面に、電極パッド583P,561P,571Pから引き出された配線が延出し、これらの延出した配線とインターポーザー7の電極パッドとが導通する構成などとしてもよい。
【0055】
第1内側導通電極パッド701Pからは、図8に示す平面視において、突出領域Ar2に向けてインターポーザー7の一端側まで延びる1本の内側導通電極線701Lが形成され、この内側導通電極線701Lの先端には、第2内側導通電極パッド702Pが形成される。
第1外側導通電極パッド711Pからは、図8に示す平面視において、突出領域Ar2に向けてインターポーザー7の一端側まで延びる1本の外側導通電極線711Lが形成され、この外側導通電極線711Lの先端には、第2外側導通電極パッド712Pが形成される。
第1導通電極パッド721Pからは、図8に示す平面視において、突出領域Ar2に向けて第1基板51の一端側まで延びる1本の導通電極線721Lが形成され、この導通電極線721Lの先端には、第2導通電極パッド722Pが形成される。
【0056】
第2内側導通電極パッド702P、第2外側導通電極パッド712P、及び第2導通電極パッド722Pは、FPC44(図1参照)を介して、プリント基板41に接続される。これにより、各電極パッド702P,712P,722Pには、制御装置6(図1参照)から入力される制御信号に基づいて、各電極パッド702P,712P,722Pに電圧が印加される。
【0057】
上述した第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
すなわち、第2実施形態のエタロン5Aでは、第1基板51A及び第2基板52の他に、インターポーザー7を備えて構成され、インターポーザー7に突出領域Ar2が設けられている。このため、インターポーザー7が設けられる分、第1実施形態よりもさらに熱の伝達を抑制することができ、より確実に熱によるミラーの撓みを抑えることができる。
また、インターポーザー7として、熱伝達係数が小さい素材を用いることも可能であり、このような構成ではさらに熱の伝達を防止することができる。
【0058】
[第3実施形態]
図9は、第3実施形態のエタロン5Bの第1基板51Bを示す平面図である。
第3実施形態のエタロン5Bは、前記第1実施形態のエタロン5の第1基板51とほぼ同一構成であるが、第1基板51Bの突出領域Ar2に一対の切欠部8(振動吸収部)が形成されている点で相違する。
なお、以下の説明では、前記第1実施形態と同一構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
切欠部8は、外部からの振動が光干渉領域Ar1に伝達されることを抑制するものである。この切欠部8は、第1基板51Bの突出領域Ar2において、図9に示す平面視で第1基板51Bの突出領域Ar2の突出方向に沿う側縁に、コ字凹状に切り欠かれて形成される。つまり、突出領域Ar2は、切欠部8が形成された箇所において、第1基板51Bの幅寸法が小さくなっている。
【0060】
上述した第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、第1基板51Bの突出領域Ar2に一対の切欠部8が形成されている。このような構造では、切欠部8が設けられた幅寸法が小さい部分が構造的に弱い部分となる。したがって、外部から振動を受けた際、光干渉部Ar1にその場に留まろうとする力が働き、切欠部8が設けられた構造的に弱い部分が撓んで振動を吸収する。これにより、光干渉部Ar1の振動を抑制することができる。
【0061】
[第3実施形態の第1変形例]
図10は、第3実施形態の第1変形例のエタロン5Cの第1基板51Cを示す平面図である。
第1変形例のエタロン5Cは、前記第1実施形態のエタロン5の第1基板51とほぼ同一構成であるが、第1基板51Cの突出領域Ar2に矩形状の貫通孔9(振動吸収部)が形成されている。
本変形例によれば、第1基板51Cの突出領域Ar2に貫通孔9が構造的に弱い部分となり、外部から振動を受けた際に、貫通孔9が設けられる部分で振動を吸収する。このため、振動がエタロン5Cの光干渉領域Ar1に伝達されることを抑制できる。
【0062】
[第3実施形態の第2変形例]
図11は、第3実施形態の第2変形例のエタロン5Dの部分断面図である。
第2変形例のエタロン5Dは、前記第1実施形態のエタロン5とほぼ同一構成であるが、第1基板51Dの突出領域Ar2に溝部11(振動吸収部)が形成されている。この溝部11は、突出領域Ar2の一端(光干渉領域Ar1側)に第1基板51の幅方向に沿って形成される。
本変形例によれば、第1基板51Dの突出領域Ar2に溝部11が形成されており、この部分が構造的に弱い部分となる。したがって、外部から振動を受けた際に、溝部11で吸収することができ、エタロン5Dの光干渉領域Ar1への振動伝達を抑制できる。
【0063】
[実施形態の変形]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
図12は、本発明の変形例に係る測色センサー4の要部を示す拡大平面図、及び拡大断面図である。
本変形例の測色センサー4では、第1基板51とプリント基板41とが一対の保持部材43Aを介して接続されている。
第1基板51の突出領域Ar2の先端側には、一対の挿通孔514が形成され、プリント基板41の一端側には、一対の挿通孔411が形成される。
保持部材43Aは、弾性を有する樹脂やプラスチック等の材質で形成され、板状の保持部材本体46と、保持部材本体46から突出する一対の突出部47とを備え、これらが一体形成される。
突出部47は、基端側(保持部材本体46側)に円錐台状の円錐台部471と、先端側に半球体状の半球部472とを備える。この半球部472の外径寸法は、各挿通孔411,514の径寸法よりも大きく形成されている。
そして、保持部材43Aの突出部47が第1基板51の挿通孔514及びプリント基板41の挿通孔411に挿通されて、一対の保持部材43Aが第1基板51及びプリント基板41を保持する。具体的に、突出部47の半球部472が各挿通孔411,514に押し込まれると、収縮しながら各挿通孔411,514に挿通される。半球部472は、各挿通孔411,514に挿通された後、膨張して、元のサイズに戻るため、各突出部47が各挿通孔411,514に固定される。これにより、保持部材43Aは、第1基板51及びプリント基板41を保持する。
なお、突出部47に切り込みを形成し、突出部47が挿通孔411,514に挿通される際に、収縮し易くしてもよい。
【0064】
前記各実施形態では、本発明に係る干渉フィルターの一例として波長可変干渉フィルターであるエタロンを例示したが、ミラー間のギャップGの大きさを変化させない干渉フィルターであってもよい。
前記各実施形態では、第2基板52が正方形状であったが、光干渉領域Ar1及び突出領域Ar2を有する長方形状に形成して、第1基板51を正方形状に形成してもよい。
前記第2実施形態でのエタロン5Aは、インターポーザー7、第1基板51A、及び第2基板52の順に積層されて構成されたが、第1基板51A、第2基板52、及びインターポーザー7の順に積層されて構成されてもよい。
【0065】
前記各実施形態では、ミラー間ギャップGを変更する構成として、静電アクチュエーター56,57を例示したが、電流が通流される電磁コイルと、電磁力により電磁コイルに対して移動する永久磁石とを備える電磁アクチュエーターを用いてもよい。このような構成によれば、電磁コイルに電流を通流し、永久磁石からの磁束とこの磁束と電流との相互作用による電磁力により、永久磁石が電磁コイルに向けて移動するので、変位部が変動する。また、電圧印加により伸縮可能な圧電素子を基板間に設ける構成としてもよい。
【0066】
第1実施形態において、第1基板51に突出領域Ar2が設けられる構成を例示したが、例えば第2基板52に突出領域Ar2が設けられる構成としてもよく、第1基板51および第2基板52の双方に突出領域Ar2が設けられる構成としてもよい。
【0067】
前記実施形態において、接合面513,524は、接合層53により接合されるとしたが、これに限られない。例えば、接合層53が形成されず、接合面513,524を活性化し、活性化された接合面513,524を重ね合わせて加圧することにより接合する、いわゆる常温活性化接合により接合させる構成などとしてもよく、いかなる接合方法を用いてもよい。
【0068】
前記実施形態では、本発明の光モジュールとして、測色センサー4を例示し、光分析装置として、測色センサー4を備えた測色装置1を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光モジュールとして用いてもよく、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の光分析装置としてもよい。さらに、光分析装置は、このような光モジュールを備えた分光カメラ、分光分析器などであってもよい。
また、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光モジュールに設けられたエタロン5により特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光モジュールを備えた光分析装置により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
【符号の説明】
【0069】
1…測色装置(光分析装置)、4…測色センサー(光モジュール)、5,5A〜5D…エタロン(干渉フィルター)、7…インターポーザー(支持基板)、8…切欠部(振動吸収部)、9…貫通孔(振動吸収部)、11…溝部(振動吸収部)、42…受光素子(受光部)、43,43A…保持部材、51…第1基板、52…第2基板、54…固定ミラー(第1反射膜)、55…可動ミラー(第2反射膜)、Ar1…光干渉領域、Ar2…突出領域、63…測色処理部(分析処理部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板、前記第1基板に対向する第2基板、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1反射膜、及び前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜と所定のギャップを介して対向する第2反射膜を有する干渉フィルターと、
前記干渉フィルターを保持する保持部材と、
を具備し、
前記干渉フィルターは、基板厚み方向に見る平面視において、前記第1反射膜及び前記第2反射膜が設けられる光干渉領域と、前記光干渉領域から離れる方向に突出した突出領域とを備え、
前記保持部材は、前記突出領域における、前記光干渉領域とは反対側の一端側において、前記干渉フィルターを保持する
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記第1基板及び前記第2基板は、同一形状に形成され、
前記干渉フィルターは、前記第1基板及び前記第2基板のいずれか一方に接合される支持基板を備え、
前記突出領域は、前記支持基板に設けられた
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記突出領域は、前記第1基板および前記第2基板のうち少なくともいずれか一方に設けられた
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光モジュールにおいて、
前記突出領域には、振動を吸収する振動吸収部が設けられている
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光モジュールを備えた光分析装置であって、
前記光モジュールは、前記干渉フィルターにより取り出された検査対象光を受光する受光部を備え、
当該光分析装置は、前記受光部で受光された前記検査対象光の光量に基づいて、前記検査対象光の光特性を分析する分析処理部を備えた
ことを特徴とする光分析装置。
【請求項1】
第1基板、前記第1基板に対向する第2基板、前記第1基板の前記第2基板に対向する面に設けられた第1反射膜、及び前記第2基板に設けられ、前記第1反射膜と所定のギャップを介して対向する第2反射膜を有する干渉フィルターと、
前記干渉フィルターを保持する保持部材と、
を具備し、
前記干渉フィルターは、基板厚み方向に見る平面視において、前記第1反射膜及び前記第2反射膜が設けられる光干渉領域と、前記光干渉領域から離れる方向に突出した突出領域とを備え、
前記保持部材は、前記突出領域における、前記光干渉領域とは反対側の一端側において、前記干渉フィルターを保持する
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記第1基板及び前記第2基板は、同一形状に形成され、
前記干渉フィルターは、前記第1基板及び前記第2基板のいずれか一方に接合される支持基板を備え、
前記突出領域は、前記支持基板に設けられた
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記突出領域は、前記第1基板および前記第2基板のうち少なくともいずれか一方に設けられた
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光モジュールにおいて、
前記突出領域には、振動を吸収する振動吸収部が設けられている
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光モジュールを備えた光分析装置であって、
前記光モジュールは、前記干渉フィルターにより取り出された検査対象光を受光する受光部を備え、
当該光分析装置は、前記受光部で受光された前記検査対象光の光量に基づいて、前記検査対象光の光特性を分析する分析処理部を備えた
ことを特徴とする光分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−155220(P2012−155220A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15698(P2011−15698)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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