説明

光レセプタクル及びそれを用いた光モジュール

【課題】光結合効率が良好な光レセプタクル及びそれを用いた光モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る光レセプタクルは、一端から他端に貫通し、一端側からフェルールが挿入されるための貫通孔を有するスリーブケースと、スリーブケースの貫通孔内に収納され、径方向に弾性を有し、フェルールを保持可能な内孔を有する割スリーブと、スリーブケースの貫通孔の他端側に配置されるスペーサと、を備え、スリーブケースの貫通孔は、割スリーブよりも貫通孔の一端側に段差部を有し、割スリーブの軸方向における両端部が段差部とスペーサによって挟持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光レセプタクル及びそれを用いた光モジュールに関し、特に、割スリーブを有する光レセプタクル及びそれを用いた光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光レセプタクルは、光出力および光結合効率などの信頼性を向上させることが要求されている。
【0003】
従来の光レセプタクルの模式断面図を図9に示す。
従来の光レセプタクルとしては、例えば、スリーブケース510の内部に、径方向に弾性伸縮しやすいフェルール挿入用内孔を有する弾性スリーブ520と、円柱状の内蔵フェルール530とを備え、弾性スリーブ520の内孔の基端部に内蔵フェルール530が挿入されることにより、弾性スリーブ520の位置を固定する構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。内蔵フェルール530の中心軸には光ファイバ540が装着されている。弾性スリーブ520の先端側からプラグフェルール570が挿入され、弾性スリーブ520内において、プラグフェルール570側の光ファイバ580と、内蔵フェルール530側の光ファイバ540とが接触して光学的に接続される。
また、プラグに対して光レセプタクルの径方向に荷重が加わった場合の割スリーブの変形を小さくするために、割スリーブとケースとを接着部材で接着することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−332988号公報
【特許文献2】特開2008−83438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような光レセプタクル500は、内蔵フェルールの外径のばらつきに起因して、弾性スリーブの内径の広がり具合にばらつきが生じ、挿入されるプラグフェルール570側の光ファイバ580と内蔵フェルール530側の光ファイバ540との間で軸ずれを起こす場合がある。内蔵フェルール530の外径を高精度に加工しようとすると、コストが高くなりがちである。また、弾性スリーブ520を内蔵フェルール530との嵌め合わせで固定している場合、プラグフェルールを抜き差しする際に弾性スリーブ520が軸方向に動いてしまい、弾性スリーブ520の位置ずれが生じるという問題がある。
また、接着剤を用いて割スリーブを固定する場合、光源からの光により接着剤の変質が生じてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、光結合効率が良好な光レセプタクル及びそれを用いた光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る光レセプタクルは、一端から他端に貫通し、前記一端側からフェルールが挿入されるための貫通孔を有するスリーブケースと、前記スリーブケースの貫通孔内に収納され、径方向に弾性を有し、フェルールを保持可能な内孔を有する割スリーブと、前記スリーブケースの貫通孔の他端側に配置されるスペーサと、を備え、前記スリーブケースの貫通孔は、前記割スリーブよりも前記貫通孔の一端側に該割スリーブを係止する段差部を有し、前記割スリーブの軸方向における両端部が前記段差部と前記スペーサによって挟持されている。これにより、光結合効率が良好な光レセプタクルとすることができる。
【0007】
また、前記スペーサは、前記割スリーブを前記段差部に押圧した状態で、前記スリーブケースに固定されていることが好ましい。これにより、光結合効率を高めることができる。
【0008】
また、前記スペーサは、前記スリーブケースの貫通孔の内面に対向する側面を有し、該スペーサの側面が前記スリーブケースに固定されていることが好ましい。これにより、これにより、光結合効率を高めることができる。
【0009】
また、前記スリーブケースの貫通孔は、前記段差部から前記フェルールが挿入される側の径が、前記段差部から前記スペーサが配置される側の径よりも小さいことが好ましい。これにより、光結合効率を高めることができる。
【0010】
また、前記スペーサは、前記スリーブケースの貫通孔に連通し、前記スリーブケースの貫通孔と中心軸が略同一の貫通孔を備えることが好ましい。これにより、光結合効率を高めることができる。
【0011】
また、本発明に係る光モジュールは、前記光レセプタクルを用いることが好ましい。これにより、光結合効率が良好な光モジュールとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光結合効率が良好な光レセプタクル及びそれを用いた光モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されない。
【0014】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る光レセプタクルを模式的に示す断面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る光レセプタクルにフェルールが挿入されている状態を模式的に示す断面図である。図3(a)は、本発明の光レセプタクルにおける割スリーブを軸方向から見た概略平面図である。図3(b)は、本発明の光レセプタクルにおける割スリーブの概略斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る光レセプタクル100は、一端から他端に貫通し、一端側からフェルールが挿入されるための貫通孔115を有するスリーブケース110と、スリーブケース110の貫通孔115内に収納され、径方向に弾性を有し、フェルールを保持可能な内孔125を有する割スリーブ120と、スリーブケース110の貫通孔115の他端側に配置されるスペーサ130と、を備える。
スリーブケース110の貫通孔115に挿入されるフェルール170は、例えば、中央に内孔を備え、その内孔に光ファイバ180が固定されているものが挙げられる。
スリーブケース110は、互いに対向する第1の端面111及び第2の端面112を有し、略円筒形状をなしている。スリーブケース110の貫通孔115は、第1の端面111から第2の端面112まで貫通している。第1の端面111とは、貫通孔115の一端側の開口部を有し、フェルール170が挿入される側の端面を指し、第2の端面112とは、貫通孔115の他端側の開口部を有し、スペーサ130が配置される側の端面を指す。
割スリーブ120は、略円筒形状をなしており、内孔125の軸方向に延びるスリットが形成され、径方向に弾性を有している。割スリーブ120は、スリーブケース110の貫通孔115内において、割スリーブ120の内孔125の中心軸がスリーブケース110の貫通孔115の中心軸と略平行になるように配置されている。割スリーブ120の内孔125の径は、スリーブケース110に挿入されるフェルール170の外径よりもわずかに小さく形成されている。フェルール170が割スリーブ120の内孔125に挿入されると、スリットの幅が広がり、割スリーブ120の内径が拡大される。内径が拡大された割スリーブ120は、元の形状に戻ろうとする力によって、フェルール170を強固に固定する。これにより、スリーブケース110の貫通孔115内に挿入されたフェルール170が抜けにくい構造となっている。
スリーブケース110の貫通孔115は、内部で径が変わる段差部118を有している。この段差部118からフェルールが挿入される側を第1貫通孔116とし、段差部118からスペーサ130が配置される側を第2貫通孔117とする。第1貫通孔116の径は、第2貫通孔117の径よりも小さく形成されている。第1貫通孔116の径は、スリーブケース110に挿入されるフェルールの外径よりもわずかに大きい。これにより、貫通孔115に挿入されたフェルールの径方向のがたつきを抑えることができる。割スリーブ120は、第2貫通孔117内に収納される。第2貫通孔117の径は、フェルールが内孔125に挿入された時の割スリーブ120の外径よりも大きい。また、第1貫通孔116の径は、割スリーブ120の外径よりも小さい。これにより、割スリーブ120が段差部118により係止され、割スリーブ120が第1貫通孔116側へ抜けない構造となっている。
スペーサ130は、スリーブケース110の第2の端面112側に配置され、スリーブケース110から離れる側に開口するカップ状をなしている。本実施形態において、第2貫通孔117の軸方向の長さL2は、割スリーブ120の軸方向の長さよりも長い。スペーサ130は、少なくとも一部がスリーブケース110の第2貫通孔117内に挿入され、第2貫通孔117内に収納された割スリーブ120に接触している。そして、スペーサ130は、割スリーブ120に接触した状態において、スリーブケース110の貫通孔115の内面にレーザ溶接等で固定されている。割スリーブ120の軸方向における両端部は、スリーブケース110の貫通孔115内の段差部118とスペーサ130によって挟持されている。スペーサ130は、割スリーブ120を段差部118に押圧した状態で、スリーブケース110の貫通孔115の内面に固定されていることが好ましい。
スペーサ130は、少なくとも一部がスリーブケース110の第2貫通孔117内に挿入可能な形状であればよい。本実施の形態においては、スペーサ130は、割スリーブ120に接触する面を有する略円盤形状のスペーサの支持部131と、スペーサの支持部131から略垂直方向に延びる略円筒形状のスペーサの側部132とを有する。スペーサの支持部131の径は、スリーブケースの第2貫通孔117の径よりもわずかに小さい。スペーサ130は、スペーサの支持部131が割スリーブ120に接触し、スペーサの側部132がスリーブケース110に固定される。スペーサの支持部131は、スリーブケースの貫通孔115に連通する貫通孔135を備えている。スペーサの貫通孔135は、後述する光源からの光が通過する穴である。スペーサの貫通孔135の径は、フェルールの外径よりも小さく、フェルールをスリーブケース110に挿入する際の挿入方向のストッパとしての機能も有する。
【0016】
本実施形態に係る光レセプタクル100において、スリーブケース110の貫通孔115が割スリーブ120よりも貫通孔115の一端側に割スリーブを係止する段差部118を有し、割スリーブ120の軸方向における両端部が段差部118とスペーサ130によって挟持されていることにより、フェルールを割スリーブ120の内孔125に挿入する際に割スリーブ120が軸方向にがたつくことを抑制することができる。これにより、光結合効率を高めることができる。また、少ない部品点数で精度よくフェルールを固定することができる。また、スペーサ130が、割スリーブ120を段差部118に押圧した状態で、スリーブケース110に固定されることにより、割スリーブ120の位置ずれを抑制することができる。
【0017】
以下、本発明の光レセプタクルを構成する個々の部材について説明する。
【0018】
(割スリーブ)
割スリーブ120は、スリーブケース110の貫通孔115内に配置され、スリーブケース110の貫通孔115内に挿入されるフェルールを保持する部材である。
【0019】
割スリーブ120の形状は、フェルールを保持可能な形状であれば特に限定されるものではない。例えば、筒型(円柱又は角柱等)又はその変形形状等、種々の形状が挙げられる。本実施形態においては、割スリーブ120は、略円筒形状をなしている。
【0020】
割スリーブ120の材質としては、例えば、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)等のセラミック、リン青銅等の金属、プラスチック等が挙げられる。なかでも、表面の変質が起こりにくいジルコニアが好ましい。
【0021】
(スリーブケース)
スリーブケース110は、一端から他端に通じる貫通孔115を有し、貫通孔115の一端側からフェルールが挿入される。スリーブケース110の貫通孔115内には、割スリーブ120が収納される。
【0022】
スリーブケース110の形状は略円筒形状のものを例示しているが、これに限定されるものではなく、他の形態を採ることもできる。
スリーブケース110の貫通孔115は、フェルールが挿入される側に位置する第1貫通孔116と、第1貫通孔116に連通してスペーサ130が配置される側に位置し、第1貫通孔116よりも径が大きい第2貫通孔117と、を有しており、第1貫通孔116と第2貫通孔117の間は、内径差による段差部118となっている。割スリーブ120は、第2貫通孔117内に配置される。第2貫通孔117の径は、割スリーブ120の伸縮の妨げにならないようにするため、フェルールが内孔125に挿入された時の割スリーブ120の外径よりも大きい。第1貫通孔116の径は、貫通孔115に挿入されたフェルールの径方向のがたつきを抑えるために、スリーブケース110に挿入されるフェルールの外径よりもわずかに大きい程度であることが好ましい。
第1貫通孔116は、軸方向に十分な長さを有することにより、フェルールが割スリーブ120の軸方向に対して傾きを持って挿入されることを防止することができる。第1貫通孔116の軸方向の長さL1は、フェルールの半径よりも長いことが好ましい。
図4は、スリーブケース110の第1貫通孔116の近傍を拡大した概略断面図である。通常、フェルールの先端及びスリーブケース110の貫通孔115の開口部は、フェルールを挿入しやすくするために、角部が面取りされている。そのため、第1貫通孔116の軸方向の長さL1は、フェルールの径(直径)よりも長くするとさらに好ましい。
【0023】
軸方向から見た貫通孔115の形状としては、円形が好ましいが、円形に近似した形状であってもよい。第1貫通孔116及び第2貫通孔117の中心軸は略同一となることが好ましい。これにより、光を効率よく導光させることができる。
【0024】
スリーブケース110の材質としては、銅、鉄、ニッケル、ステンレスなどの金属、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)などのセラミックス、などが挙げられる。スリーブケース110及びスペーサ130は、例えばレーザ溶接によって接合される。従って、レーザ溶接の溶接性を良好にするステンレスが望ましい。また、スペーサ130との接合を考慮し、スペーサ130の材質と熱膨張係数が近いものが好ましい。
【0025】
(スペーサ)
スペーサ130は、スリーブケース110の第2の端面112側に配置され、スリーブケースの貫通孔内の段差部118とともに、割スリーブ120の軸方向における両端部を挟持する役割を果たす。また、スペーサ130は、フェルールをスリーブケース110に挿入する際の挿入方向のストッパとして機能する。また、スペーサ130は、光源からの光をスリーブケース110に挿入される光ファイバに効率よく入射させるために、光源と光ファイバとの距離を調整する役割を持たせることができる。
【0026】
スペーサ130は、略円盤形状の支持部と、支持部に連接する略円筒形状の側部とを有する。スペーサの支持部131には、スリーブケースの貫通孔115に連通する貫通孔135が設けられている。光源からの光は、このスペーサの貫通孔135を通過してスリーブの貫通孔内に入射する。スペーサの貫通孔135は、スリーブケースの貫通孔115と中心軸が略同一であることが好ましい。スペーサ130とスリーブケース110は、スペーサの支持部131が割スリーブ120をスリーブケース110の段差部118に押圧した状態で固定されていることが好ましい。スペーサ130は、スペーサの側部132がスリーブケースの貫通孔115の内面に固定される。
【0027】
本実施の形態において、スペーサ130は、有底のカップ状をなしているが、円柱形状、多角柱形状又はその変形形状等、種々の形状が挙げられる。また、スペーサ130は、複数の部材で構成されていてもよい。
【0028】
(割スリーブのフェルール保持力)
本発明において、割スリーブ120で保持されたフェルールを抜き取る際に必要となる力を、割スリーブ120のフェルール保持力と称する。スリーブケースの貫通孔内の段差部118とスペーサ130によって割スリーブ120の軸方向における両端部を挟持する力は、割スリーブ120のフェルール保持力を十分に維持できる程度に調節することが好ましい。割スリーブ120の軸方向における両端部を挟持する力が大きすぎると、割スリーブ120が径方向において元の形状に戻ろうとする作用を妨げ、割スリーブ120のフェルール保持力が低下してしまう。割スリーブ120のフェルール保持力は2.0〜5.9Nとなるように調節されることが好ましい。
【0029】
以下に、光レセプタクルの組み立て方法の一例について説明する。図5は、光レセプタクルの組み立て方法を示す図である。
割スリーブ120に組み立て用のダミーのフェルール190を挿入し、割スリーブ120及びスリーブケース110が同心となるように位置を調整する。同心精度を確認しつつ、スペーサの支持部131を割スリーブ120の端面に接触させた状態で、スペーサの側部132の側面とスリーブケースの貫通孔115の内面との界面Wを、レーザ溶接によって固定する。その後、ダミーのフェルール190を抜き取る。
以上の方法によれば、フェルールを挿入した状態において、割スリーブ120及びスリーブケース110が同心となるように固定することができるため、光結合効率が高い光レセプタクルを得ることが可能となる。
また、レーザ溶接によってスペーサとスリーブケース110の界面を溶接する場合、スペーサとスリーブケース110が溶融して固まる時に、収縮する力(応力)が発生する。この応力を利用して、割スリーブ120を押圧した状態とすることができる。
【0030】
(光モジュール)
図6は、本発明の第1実施形態に係る光レセプタクルを用いた光モジュールを模式的に示す断面図である。
本実施形態に係る光モジュールは、光源150と、光レセプタクル100とから主として構成されている。この光モジュールは、本発明に係る光レセプタクル100を備えることから、光源150と光レセプタクル100に挿入される光ファイバとの光結合効率が良好となる。
【0031】
(光源)
光源150は、光レセプタクル100の第2の端面112側にスペーサ130を介して配置される。光源150は、発光素子151を備え、発光素子151から射出される光を光レセプタクル100に挿入されたフェルールへ導出するように構成されている。発光素子151の光軸は、光レセプタクル100が具備するスリーブケース110の貫通孔115の中心軸と略同一となるように配置されることが好ましい。発光素子151は、発光ダイオード、レーザダイオードなど種々のものが利用できる。なかでも、レーザダイオードであることが好ましい。これにより、極めて高い光結合効率を有する光モジュールを得ることができる。
光源150は、発光素子151を載置する台座152と、発光素子151を覆うように台座152に固定されるカップ状のキャップ153と、をさらに備える。発光素子151を覆うキャップ153は、発光素子151の光軸上に貫通孔を有している。キャップ153の貫通孔には、レンズ160が取り付けられている。キャップ153は、スペーサの側部132に接合され、発光素子151からの光がレンズ160を介してスリーブケースの貫通孔115内に入射する構造となっている。
(レンズ)
レンズ160は、発光素子151と光レセプタクル100との間に設けることができる。発光素子151と光レセプタクル100との間にレンズ160を備え、レンズ160を介して発光素子151から射出された光を170の光ファイバ180へ導出することができることにより、発光素子151から射出する光を集光させ、効率よく光ファイバに導出することができる。レンズ160は、発光素子151から射出された光が、フェルール170の光ファイバ180の入射部に集光される限り、どのような形状でもよく、発光素子151と光ファイバ180の入射部との間に、複数枚並べて配置してもよい。レンズ160は、無機ガラス、樹脂等により形成することができ、なかでも、無機ガラスが好ましい。
【0032】
以下に、本発明の光モジュールにおけるレンズの配置の変形例を示す。図7は、本発明の光モジュールにおけるレンズの配置の変形例を示す概略断面図である。
レンズ160は、発光素子151を覆うキャップ153とは別に設けられていてもよい。例えば、発光素子151を覆うキャップ153の貫通孔はガラス154によって封止され、このキャップ153とは別に、鏡筒161に取り付けたレンズ160をホルダ162で保持する構成とすることができる。ホルダ162は、キャップ153を覆うように台座152に固定される。また、ホルダ162は、スペーサの側部132にも固定される。このようにすることで、発光素子から生じる熱をレンズへ伝わりにくくすることができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
【0033】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態に係る光レセプタクルを模式的に示す模式的な断面図である。
本実施形態に係る光レセプタクルは、前述した第1実施形態の光レセプタクルと比べて、スリーブケースとスペーサの構成が異なる。
【0034】
本実施形態に係る光レセプタクル200は、一端から他端に貫通し、一端側からフェルールが挿入されるための貫通孔215を有するスリーブケース210と、スリーブケース210の貫通孔215内に収納され、径方向に弾性を有し、フェルールを保持可能な内孔125を有する割スリーブ120と、スリーブケース210の貫通孔215の他端側に配置されるスペーサ230と、を備える。
割スリーブ120は、互いに対向する端面を有する略円筒形状をなしており、内孔125の軸方向に延びるスリットが形成されている。割スリーブ120の内孔125の径は、スリーブケース210に挿入されるフェルールの外径よりもわずかに小さく形成されている。スリーブケース210は、略円筒形状をなしている。スリーブケース210の貫通孔215は、フェルールが挿入される側に位置する第1貫通孔216と、第1貫通孔216に連通してスペーサ230が配置される側に位置し、第1貫通孔216よりも径が大きい第2貫通孔217と、を有し、第1貫通孔216と第2貫通孔217の間は、内径差による段差部218となっている。割スリーブ120は、第2貫通孔217内に収納される。第2貫通孔217の径は、フェルールが内孔125に挿入された時の割スリーブ120の外径よりも大きい。また、第1貫通孔216の径は、割スリーブ120の外径よりも小さい。第2貫通孔217の軸方向の長さL2は、割スリーブ120の軸方向の長さよりも短い。
スペーサ230は、貫通孔235を備える略円盤形状のスペーサの支持部231と、スペーサの支持部231から繋がる略円筒形状のスペーサの側部232とを有する。スペーサの支持部231とスペーサの側部232は、スリーブケース210から離れる側に開口するカップ状をなしている。本実施の形態において、スペーサの支持部231は、スリーブケース210の外径よりも大きい。さらに、スペーサ230は、スペーサの支持部231から繋がり、スリーブケース210よりも径が大きい略円筒形状の第2の側部を有している。スペーサの支持部231とスペーサの第2の側部233は、スリーブケース210側に開口するカップ状をなしている。スリーブケース210の第2の端面212側の少なくとも一部がスペーサの第2の側部233の内孔に挿入されており、スリーブケース210から突出した割スリーブ120がスペーサの支持部231に接触している。スペーサ230は、スペーサ側部の内孔がスリーブケース210に固定されている。スペーサ230は、スペーサの支持部231が割スリーブ120を段差部218に押圧した状態で、スリーブケース210に固定されていることが好ましい。
【0035】
本実施形態に係る光レセプタクル200においては、割スリーブ120の軸方向における両端部がスリーブケース210の貫通孔215内の段差部218とスペーサ230によって挟持されていることにより、フェルールを割スリーブ120の内孔125に挿入する際に割スリーブ120が軸方向にがたつくことを抑制することができる。これにより、光結合効率を高めることができる。また、少ない部品点数で精度よくフェルールを固定することができる。また、スペーサ230が、割スリーブ120を段差部218に押圧した状態で、スリーブケース210に固定されることにより、割スリーブ120の位置ずれを抑制することができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに
限定されないことは言うまでもない。
【0037】
(実施例1)
図1は、実施例1に係る光レセプタクルを示す概略断面図である。
実施例1に係る光レセプタクルは、一端から他端に貫通し、一端側からフェルールが挿入されるための貫通孔を有するスリーブケース110と、スリーブケース110の貫通孔115内に収納され、径方向に弾性を有し、フェルールを保持可能な内孔125を有する割スリーブ120と、スリーブケース110の貫通孔115の他端側に配置されるスペーサ130と、を備える光レセプタクルである。
光レセプタクルに挿入するフェルール170は、先端の直径が2.499mmであって、中心に114(μm:コア径)/125(μm:クラッド径)の光ファイバ180が内蔵されているものとする。
割スリーブ120は、略円筒形状であり、内孔125の軸方向に延びるスリットを形成している。割スリーブ120は、ジルコニアを主成分とするものを使用する。割スリーブ120の内孔125の径は、スリーブケース110に挿入されるフェルールの外径よりもわずかに小さい。割スリーブ120は、伸縮のない時の内径を2.49mmとする。また、割スリーブ120は、伸縮のない時の外径を3.2mmとする。
スリーブケース110は、貫通孔115を備える略円筒形状である。スリーブケース110の貫通孔115は、フェルール170が挿入される側に位置する第1貫通孔116と、第1貫通孔116に連通してスペーサ130が配置される側に位置し、第1貫通孔116よりも径が大きい第2貫通孔117と、を有する。第1貫通孔116と第2貫通孔117の間は、内径差による段差部118となっている。スリーブケース110の第1貫通孔116の径は、割スリーブ120の外径よりも小さい。スリーブケース110の第1貫通孔116の径は、2.501mmとする。スリーブケース110の第2貫通孔117の径は、フェルールが内孔125に挿入された時の割スリーブ120の外径よりも大きい。スリーブケース110の第2貫通孔117の径は、3.22mmとする。割スリーブ120は、第2貫通孔117内に収納される。第2貫通孔117の軸方向の長さL2は、割スリーブ120の軸方向の長さよりも長い。スリーブケース110としては、ステンレスを用いる。
スペーサ130は、スリーブケース110から離れる側に開口するカップ状である。スペーサ130としては、ステンレスを用いる。スペーサ130は、少なくとも一部がスリーブケース110の第2貫通孔117内に挿入され、第2貫通孔117内に配置された割スリーブ120に接触した状態で、スリーブケース110の貫通孔内に固定されている。
割スリーブ120の軸方向における両端部は、スリーブケース110の貫通孔115内の段差部118とスペーサ130によって挟持されている。
【0038】
以上のように作成された光レセプタクルは、フェルールを割スリーブ120の内孔125に挿入する際に割スリーブ120が軸方向にがたつくことを抑制することができる。これにより、光結合効率を高めることができる。また、少ない部品点数で精度よくフェルールを固定することができる。
【0039】
(実施例2)
図6は、実施例2に係る光モジュールを示す概略断面図である。
実施例2に係る光モジュールは、光源150と、光レセプタクルとから主として構成されている。光レセプタクルは、前述した実施例1と実質的に同様の構造を有する。
実施例2に係る光レセプタクルは、一端から他端に貫通し、一端側からフェルールが挿入されるための貫通孔を有するスリーブケース110と、スリーブケース110の貫通孔115内に収納され、径方向に弾性を有し、フェルールを保持可能な内孔125を有する割スリーブ120と、スリーブケース110の貫通孔115の他端側に配置されるスペーサ130と、を備える光レセプタクルである。
割スリーブ120は、略円筒形状であり、内孔125の軸方向に延びるスリットを形成している。割スリーブ120は、ジルコニアを主成分とするものを使用する。割スリーブ120の内孔125の径は、スリーブケース110に挿入されるフェルール170の外径よりもわずかに小さい。
スリーブケース110は、貫通孔115を備える略円筒形状である。スリーブケース110の貫通孔115は、フェルール170が挿入される側に位置する第1貫通孔116と、第1貫通孔116に連通してスペーサ130が配置される側に位置し、第1貫通孔116よりも径が大きい第2貫通孔117と、を有する。第1貫通孔116と第2貫通孔117の間は、内径差による段差部118となっている。スリーブケース110の第1貫通孔116の径は、割スリーブ120の外径よりも小さい。スリーブケース110の第2貫通孔117の径は、フェルール170が内孔125に挿入された時の割スリーブ120の外径よりも大きい。割スリーブ120は、第2貫通孔117内に収納される。第2貫通孔117の軸方向の長さL2は、割スリーブ120の軸方向の長さよりも長い。スリーブケース110としては、ステンレスを用いる。
スペーサ130は、スリーブケース110から離れる側に開口するカップ状である。スペーサ130としては、ステンレスを用いる。スペーサ130は、少なくとも一部がスリーブケース110の第2貫通孔117内に挿入され、第2貫通孔117内に配置された割スリーブ120に接触した状態で、スリーブケース110の第2貫通孔117内に固定されている。
割スリーブ120の軸方向における両端部は、スリーブケース110の貫通孔115内の段差部118とスペーサ130によって挟持されている。
光源150は、光レセプタクル100の第2の端面112側にスペーサ130を介して配置される。光源150は、発光素子151を備え、発光素子151から射出される光を光レセプタクル100に挿入されたフェルール170へ導出するように構成されている。発光素子151は、レーザダイオードを使用する。
光源150は、発光素子151を載置する台座152と、発光素子151を覆い、貫通孔を有するキャップ153と、をさらに備える。キャップ153の貫通孔には、レンズ160が取り付けられている。キャップ153は、スペーサの側部132に接合され、発光素子151からの光がレンズ160を介してスリーブケース110の貫通孔115内に入射する構造となっている。
【0040】
以上により、光源150と光レセプタクルに挿入される光ファイバ180との光結合効率が良好な光モジュールを提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の光レセプタクル及びそれを用いた光モジュールは、光ファイバを光源に光学的に接続する等の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光レセプタクルを模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光レセプタクルにフェルールが挿入されている状態を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の光レセプタクルにおける割スリーブの一例を模式的に示す図である。
【図4】本発明の光レセプタクルの一部を拡大した概略断面図である。
【図5】本発明に係る光レセプタクルの製造方法を示す概略図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る光レセプタクルを用いた光モジュールを模式的に示す断面図である。
【図7】本発明の光モジュールの変形例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る光レセプタクルを模式的に示す断面図である。
【図9】従来の発光装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0043】
100、200 光レセプタクル
300、400 光モジュール
110 スリーブケース
111 第1の端部
112 第2の端面
115 貫通孔
116 第1貫通孔
117 第2貫通孔
118 段差部
120 割スリーブ
125 内孔
130 スペーサ
131 スペーサの支持部
132 スペーサの側部
133 スペーサの第2の側部
135 スペーサの貫通孔
150 光源
151 発光素子
152 台座
153 キャップ
160 レンズ
161 鏡筒
162 ホルダ
170 フェルール
180 光ファイバ
190 ダミーのフェルール
500 光レセプタクル
510 スリーブケース
520 弾性スリーブ
530 内蔵フェルール
540 光ファイバ
570 プラグフェルール
580 光ファイバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から他端に貫通し、前記一端側からフェルールが挿入されるための貫通孔を有するスリーブケースと、
前記スリーブケースの貫通孔内に収納され、径方向に弾性を有し、フェルールを保持可能な内孔を有する割スリーブと、
前記スリーブケースの貫通孔の他端側に配置されるスペーサと、を備え、
前記スリーブケースの貫通孔は、前記割スリーブよりも前記貫通孔の一端側に該割スリーブを係止する段差部を有し、
前記割スリーブの軸方向における両端部が前記段差部と前記スペーサによって挟持されていることを特徴とする光レセプタクル。
【請求項2】
前記スペーサは、前記割スリーブを前記段差部に押圧した状態で、前記スリーブケースに固定されていることを特徴とする請求項1に記載の光レセプタクル。
【請求項3】
前記スペーサは、前記スリーブケースの貫通孔の内面と対向する側面を有し、該スペーサの側面が前記スリーブケースに固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光レセプタクル。
【請求項4】
前記スリーブケースの貫通孔は、前記段差部から前記フェルールが挿入される側の径が、前記段差部から前記スペーサが配置される側の径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【請求項5】
前記スペーサは、前記スリーブケースの貫通孔に連通し、前記スリーブケースの貫通孔と中心軸が略同一の貫通孔を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光レセプタクル。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光レセプタクルを用いることを特徴とする光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−85936(P2010−85936A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257907(P2008−257907)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】