光分析ディスク上で実施される比色検定及び蛍光検定のためのサンプル調製
多種多様な現在の診断及び他の生化学的試験は、目的とする分析物の存在下において検出可能な発色又は蛍光発光の変化を受ける、クロマジェン等の基質を使用する。発色した色又は蛍光の強度は、時間依存性であり、且つ目的とする分析物の濃度に比例する。光バイオディスク上での生物学的サンプル中における目的とする分析物の濃度の定量に使用可能なシステム、方法及び構成成分が本明細書中に開示される。分析物は、例えばグルコース、コレステロール及びトリグリセリドを含む。一実施形態において、検定前に試薬を光ディスク上に固定化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して検定に関し、特に比色検定及び蛍光検定に関する。より具体的には、本発明は、光分析ディスク上で実行される、比色検定及び蛍光検定に関するサンプルの作製に関するが、最良の実施形態(the best mode of practice)で本明細書中に記載される特定の実施形態に制限されない。
【背景技術】
【0002】
血液等の体液中にある分析物の検出及び定量は、病気の診断、病因の解明及び薬物療法に対する反応をモニターすることに対して重要であることがある。伝統的には、診断検定は実験室で、複雑な装置を用いて熟練技術者によって実行される。これらの検定を行うには、多大な時間及び費用がかかる。したがって、末端利用者にとって診断検定及び法医学的検定をより迅速且つ身近なものとする必要が大いにある。理想的には、臨床医、患者、研究者、軍隊、他の保健医療従事者及び消費者は、彼等自身で特定の危険因子及び病気指標の存在、及び犯罪現場又は戦場での特定の生物学的材料の存在を試験できるはずである。現在、核酸及び/又はタンパク質が付着した、数々のシリコン系医療診断機器が市販又は開発されている。これらのチップは、末端利用者(又は、非常に特殊化した専門的技術及び高価な設備を有さない人又は団体)による使用には向かない。
【0003】
’581特許により、光読み取り装置により読み取られるようになっている光ディスクを含む装置が開示され、これはサンプル中に存在すると疑われる分析物を局在化及び検出するのに有用な、実質的に内蔵型の検定システムを有するセクターを有する。1999年11月30日付けで発行された「Quantitative Cell Analysis Methods Employing Magnetic Separation」と題する米国特許第5,933,665号(‘665特許)は、検体が強磁性体コロイドと免疫特異的結合により磁気反応性になっている、流体媒体中の生物学的検体の分析を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光分析ディスク上で比色検定及び蛍光検定を実行することに関する。本発明は、検定を準備する方法、検定のための試薬を固定する方法、検定を実行する方法及び検出システムを含む。
【0005】
多種多様な現在の診断及び他の生化学的試験は、目的とする分析物の存在下で検出可能な発色又は蛍光発光の変化を受ける物質(クロマジェン(chromagen))を使用する。発色した色又は蛍光の強度は、時間依存性であり、且つ当該分析物の濃度に比例する。比色検定に関して、色強度は、分光光度計を用いた特異的波長における光学的濃度の測定により測定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、比色検定を用いて、光バイオディスク上の生物学的サンプル中における目的とする分析物の濃度を定量する方法を含む。分析物は、例えばグルコース、コレステロール及びトリグリセリドを含んでも良い。一実施形態において、検定の前に、試薬を光ディスク上に固定化する。検定を実行するためには、サンプル(血漿が好ましいが、他の種類の体液も使用することができる)を、投入ポート(injection port)を介して流路内に充填する。注入後、テープ又は他の好適な手段により、ポートを密封してもよい。検定プロトコルに応じて、バイオディスクを室温又は他の望ましい温度で、適切な時間、例えば約
3〜7分間インキュベートする。次に、発色した色の強度を、光ディスク読み取り装置で定量する。データの回収及び処理後、検定結果がコンピュータモニター上に表示される。注目すべきは、いくつかの臨床実験室における診断的比色検定は、発色を容易にし、且つ促進するために、37℃で行われることである。操作を簡略化するため、光ディスク上で実行される比色検定は、周囲温度で行うのに有利に最適化され得る。最適化は酵素源の選択、酵素の濃度及びサンプル調製を含む。
【0007】
一実施形態において、クロマジェンは特異的波長で検出されるため、バイオディスクでの光学的濃度の測定に対する比色検定の最適化においてクロマジェンの選択が重要である。例えばCD−R型ディスク読み取り装置は、赤外線領域(750nm〜800nm)でクロマジェンを検出することができる。本発明において用いられ得る他の種類の光ディスクシステムは、DVD、DVD−R、蛍光、リン光及び任意の他の同様な光ディスク読み取り装置を含む。光学的濃度の測定の振幅は、光路長、クロマジェンのモル吸光係数及び目的とする分析物の濃度によって決まる(ベールの法則)。光ディスクでの比色検定の感度を最適化するために、目的とする波長において高いモル吸光係数を有する複数のクロマジェンを同定及び評価した。
【0008】
CD−R型光ディスクでの比色検定に好適なクロマジェンは、N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルフォプロピル)トリジン、二ナトリウム塩(SAT−3)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−ジフェニルアミンナトリウム塩(DA−64)、2,2’−アジノ−ジメチルチオゾリン−6−スルホン酸塩(ABTS)、カップリング試薬(3−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−6−アミノベンゼンスルホン酸)を含むトリンダー試薬(N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルフォプロピル)−3−メチルアニリン、ナトリウム塩、二水和物)(TOOS)及びナトリウム塩(NCP−11)を含むが、これらに限定されない。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、当該目的に寄与する別の特徴および当該目的から生じる利点と共に、以下の本発明の好ましい実施形態の説明から明らかになるだろう。この好ましい実施形態は、添付図面の図に示される。添付図面の図では、全体を通して、同様の参照番号は同様の構成要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[発明の詳細な説明]
本発明は、概して生物医学的なサンプルの調製及び光バイオディスクシステムを用いた分析に関する。より具体的には、本発明は、比色検定及び蛍光検定を対象とする。本発明は、検定を準備する方法、検定のための試薬を固定する方法、検定を行うディスク及び検出システムを含む。本発明におけるそれぞれの態様は、以下にさらに詳細に説明される。
【0011】
<ドライブシステム及び関連するディスク>
図1は、本明細書中に開示される細胞の計数及び分画細胞の計数を実施するための、本発明による光バイオディスク110の斜視図である。本光バイオディスク110は、光ディスクドライブ112及び表示モニタ114と共に示される。このタイプのディスクドライブ及びディスク分析システムに関するさらなる詳細は、本発明の譲受人に譲渡された同時係属中の、2001年11月9日付けで出願された「Disc Drive System and Methods for Use with Bio-discs」と題する米国出願第10/008,156号及び2002年1月10日付けで出願された「Optical Disc Analysis System Including Related Methods
For Biological and Medical Imaging」と題する米国出願第10/043,688号に開示されている。
【0012】
図2は、光バイオディスク110の一実施形態の主要な構造上の要素の分解斜視図であ
る。図2は、本発明で使用することができる反射領域の光バイオディスク110(以下「反射型ディスク」という)の例である。主要な構造上の要素には、キャップ部116、接着部材又は流路層118及び基板120が含まれる。キャップ部116は、1つ又は複数の注入ポート122及び1つ又は複数の排出ポート124を備える。キャップ部116は、ポリカーボネートで作製することができ、図2の斜視図から見られるように、その底部は、反射面146(図4)で被覆されることが好ましい。好ましい実施形態では、トリガマーク又はトリガマーキング126が、反射層142(図4)の表面上に備えられる。トリガマーキング126は、バイオディスク上に、多数若しくはすべての透明窓、不透明区域又は反射区域若しくは半反射区域を含み得る。これらの透明窓、不透明区域又は反射区域若しくは半反射区域には、情報が符号化される。この情報は、図10に示すように、プロセッサ166にデータを送信し、次に、図6及び図10に示すように、インタロゲーションビーム(interrogation beam)又は入射ビーム152の操作機能と相互作用する。
【0013】
図2に示す第2の要素は、流体回路128、すなわちU字型流路が形成された接着部材又は流路層118である。この流体回路128は、膜を打ち抜くか、又は膜を切り取ってプラスチック薄膜を除去し、図示するような形状を形成することにより形成される。流体回路128のそれぞれは、フロー流路130及び戻り流路132を備える。図2に示す流体回路128のいくつかは、混合チャンバ134を含む。2つの異なる型の混合チャンバ134が示されている。第1の混合チャンバは、フロー流路130に対して対称的に形成された対称混合チャンバ136である。第2の混合チャンバは、オフセット混合チャンバ138である。このオフセット混合チャンバ138は、図示するように、フロー流路130の一方の側に形成される。
【0014】
図2に示す第3の要素は、標的領域又は捕捉領域140を備えた基板120である。基板120は、ポリカーボネートで作製されることが好ましく、その最上部には上記の反射層142が堆積されている(図4に示す)。標的領域140は、図示した形状又は任意の所望の形状で反射層142を除去することにより形成される。あるいは、標的領域140は、反射層142を施す前に標的領域140の区域をマスクすることを含むマスク技法によって形成することもできる。反射層142は、例えばアルミニウム又は金といった金属から形成することができる。
【0015】
図3は、図2に示す光バイオディスク110の平面図であり、ディスク内に位置する流体回路128、標的領域140及びトリガマーキング126が見えるように、キャップ部116上の反射層142が透明で示されている。
【0016】
図4は、本発明の一実施形態による反射領域型の光バイオディスク110の拡大斜視図である。この図は、光バイオディスク110の種々の層の一部を含み、この一部は、それぞれの主要な層、基板、コーティング又は膜の部分断面図を示すために切り取られている。図4は、反射層142で被覆された基板120を示す。反射層142上には、活性層144が施される。好ましい実施形態では、活性層144は、ポリスチレンから形成することができる。あるいは、ポリカーボネート、金、活性ガラス(activated glass)、変性ガラス(modified glass)又は変性ポリスチレン、例えばポリスチレン−co−マレイン酸無水物(polystyrene-co-maleic anhydride)を使用することができる。さらに、ヒドロゲルを使用することができる。あるいは、本実施形態に示すように、活性層144上には、プラスチック接着部材118を施す。プラスチック接着部材118の露出部分は、切り取られるか、又は打ち抜かれたU字型形状を示し、このU字型形状が流体回路128を形成する。本バイオディスクの反射領域の実施形態の最後の主要な構造層は、キャップ部116である。キャップ部116は、その底部に反射面146を含む。反射面146は、アルミニウム又は金といった金属から作製することができる。
【0017】
次に図5を参照して、本発明による透過型光バイオディスク110の主要な構造上の要素の分解斜視図を示す。この透過型光バイオディスク110の主要な構造上の要素も、同様に、キャップ部116、接着部材又は流路部材118及び基板120の層を含む。キャップ部116は、1つ又は複数の注入ポート122及び1つ又は複数の排出ポート124を含む。キャップ部116は、ポリカーボネート層から形成することができる。図6及び図9に示すように、オプションのトリガマーキング126を、薄い半反射層143の表面に備えることができる。トリガマーキング126には、バイオディスクにおける3つの層すべての透明窓、不透明区域又は反射区域若しくは半反射区域が含まれ得る。これらの透明窓、不透明区域又は反射区域若しくは半反射区域は、情報で符号化されており、図10に示すように、プロセッサ166にデータを送信し、次に、図6及び図10に示すように、インタロゲーションビーム152の操作機能と相互作用する。
【0018】
図5に示す第2の要素は、流体回路128、またはU字型流路が形成された接着部材又は流路層118である。この流体回路128は、膜を打ち抜くか、又は膜を切り取ってプラスチック薄膜を除去し、図示するような形状を形成することにより形成される。流体回路128のそれぞれは、フロー流路130及び戻り流路132を備える。図5に示す流体回路128のいくつかは、混合チャンバ134を備える。2つの異なる型の混合チャンバ134が示されている。第1の混合チャンバは、フロー流路130に対して対称的に形成された対称混合チャンバ136である。第2の混合チャンバは、オフセット混合チャンバ138である。このオフセット混合チャンバ138は、図示するように、フロー流路130の一方の側に形成される。
【0019】
図5に示す第3の要素は、標的領域又は捕捉領域140を含むことができる基板120である。基板120は、ポリカーボネートで作製されることが好ましく、図6に示すように、その最上部には上記の薄い半反射層143が堆積されている。図5及び図6に示すディスク110の基板120に付随する半反射層143は、図2、図3及び図4に示す反射型ディスク110の基板120上の反射層142よりもかなり薄い。この薄い半反射層143により、インタロゲーションビーム152の一部は、図6及び図12に示すように、透過型ディスクの構造上の層を透過することができる。薄い半反射層143は、例えばアルミニウム又は金といった金属から形成することができる。
【0020】
図6は、図5に示す光バイオディスク110の透過型の実施形態における基板120及び半反射層143の拡大斜視図である。薄い半反射層143は、例えばアルミニウム又は金といった金属から作製することができる。好ましい実施形態では、図5及び図6に示す透過型ディスクの薄い半反射層143は、約100〜300Åの厚さであり、400Åを越えない。この薄い半反射層143により、入射ビーム又はインタロゲーションビーム152の一部は、半反射層143を貫通して通過することが可能になり、それにより、図10及び図12に示す上部検出器158によって検出される。一方、その光の一部は反射される、すなわち入射経路に沿って折り返される。以下に示すように、表1は、金の薄膜の厚さに対する反射特性及び透過特性を示している。金の薄膜層は、800Åよりも厚くなると、完全反射となる。一方、金の薄膜を透過する光の透過しきい値密度(threshold density)は、約400Åである。
【0021】
【表1】
【0022】
次に図8を参照して、図5及び図6に示す透過型光バイオディスク110の平面図を示す。キャップ部116が透明であることによって、ディスク内に位置する流体流路、トリガマーキング126及び標的領域140が明らかになっている。
【0023】
図9は、本発明の透過型ディスクの実施形態による光バイオディスク110の拡大斜視図である。このディスク110は、その種々の層の一部が、それぞれの主要な層、基板、コーティング又は膜の部分断面図を示すように切り取られて示されている。図9は、透明なキャップ部116、基板120上の薄い半反射層143及びトリガマーキング126を有する透過型ディスクフォーマットを示している。この実施形態では、トリガマーキング126は、キャップの上部に配置された不透明材を含む。あるいは、トリガマーキング126は、ディスクの薄い反射層143にエッチングされた透明な非反射窓、又は図10に示すトリガ検出器160から到来する信号を吸収する、または反射しない任意のマークによって形成することができる。また、図9は、図示した形状又は任意の所望の形状で、指定した区域をマーキングすることにより形成される標的領域140も示している。標的領域140を示すマーキングは、基板120上の薄い半反射層143又は基板120の底部(ディスクの下部)に作製することができる。あるいは、標的領域140は、標的領域140を除く薄い半反射層143の全て又は一部をマスクすることを含むマスク技法によって形成することもできる。この実施形態では、標的領域140は、薄い半反射層143上にインクをシルクスクリーニングすることによって作製することができる。図5、図8及び図9に示す透過型ディスクフォーマットでは、代替方法として、標的領域140を、ディスクに符号化されたアドレス情報によって定義することができる。この実施形態では、標的領域140は、物理的に識別可能なエッジ境界を含まない。
【0024】
図9を続けて参照して、薄い半反射層143上に施された活性層144を示す。好ましい実施形態では、活性層144は、2%のポリスチレンからなる10〜200μmの厚さの層である。あるいは、ポリカーボネート、金、活性化ガラス、変性ガラス又は変性ポリスチレン、例えばポリスチレン−co−マレイン酸無水物を使用することができる。さら
に、ヒドロゲルを使用することができる。この実施形態に示すように、活性層144上には、プラスチック接着部材118が施される。プラスチック接着部材118の露出部分は、切り取られるか、又は打ち抜かれたU字型を示し、このU字型が流体回路128を形成する。
【0025】
本バイオディスク110のこの透過型の実施形態における、最後の主要な構造上の層は、透明な非反射キャップ部116である。このキャップ部116は、注入ポート122及び排出ポート124を含む。
【0026】
次に図10を参照して、光コンポーネント148、入射ビーム又はインタロゲーションビーム152を生成する光源150、戻りビーム154及び透過ビーム156を示すブロック斜視図を表示する。図4に示す反射型バイオディスクの場合、戻りビーム154は、光バイオディスク110のキャップ部116の反射面146から反射される。本光バイオディスク110のこの反射型の実施形態では、戻りビーム154は、下部検出器157によって検出され、信号要素が存在するかどうかが分析される。他方、透過型バイオディスクのフォーマットでは、透過ビーム156は、上部検出器158によって検出され、信号要素が存在するかどうかが同様に分析される。透過型の実施形態では、上部検出器158として、光検出器を使用することができる。
【0027】
また、図10は、ディスク上のトリガマーキング126及びトリガ検出器160を含むハードウェアトリガメカニズムも示している。このハードウェアトリガメカニズムは、反射型バイオディスク(図4)及び透過型バイオディスク(図9)の双方で使用される。トリガメカニズムにより、プロセッサ166は、インタロゲーションビーム152がそれぞれの標的領域140にある場合にのみ、データを収集することが可能になる。さらに、透過型バイオディスクシステムでは、ソフトウェアトリガも使用することができる。このソフトウェアトリガは、インタロゲーションビーム152が、それぞれの標的領域140の端部に当たるとすぐに、下部検出器を使用してプロセッサ166に信号を送り、データを収集する。さらに、図10は、光バイオディスク110の回転を制御する駆動モータ162とコントローラ164とを示している。また、図10は、別法において実施されるプロセッサ166及び分析装置168を示しており、これらは、透過型光バイオディスクに関連した戻りビーム154と透過ビーム156とを処理する。
【0028】
図11に示すように、本発明による光バイオディスク110の反射型ディスクの実施形態の部分断面図が表されている。図11は、基板120及び反射層142を示している。上述したように、反射層142は、例えばアルミニウム、金又は他の適切な反射材といった材料から作製することができる。この実施形態では、基板120の上面は滑らかになっている。また、図11は、反射層142上に施された活性層144も示している。また、図11に示すように、標的領域140は、反射層142の所望の位置の区域又は一部を除去することによるか、あるいは、反射層142を施す前に所望の区域をマスクすることにより形成される。図11にさらに示すように、プラスチック接着部材118が活性層144上に施される。また、図11は、キャップ部116及びこのキャップ部116に付随する反射面146も示している。したがって、キャップ部116が、所望の切り取り形状を含めてプラスチック接着部材118に貼付されると、それによりフロー流路130が形成される。図11に示す矢印により図示するように、入射ビーム152の経路は、最初、ディスク110の下から基板120の方向に向けられている。次いで、この入射ビームは、反射層142に近い点で合焦する。この合焦は、反射層142の一部が存在しない標的領域140で起こるので、入射光は、活性層144を通ってフロー流路130内に入る経路に沿って進み続ける。その後、入射ビーム152は、上方に進み続けてフロー流路を横切り、最終的には反射面146に入射する。この時点で、入射ビーム152は、入射経路に沿って戻され、または反射されて帰還し、それによって戻りビーム154を形成する。
【0029】
図12は、本発明によるバイオディスク110の透過型の実施形態の部分断面図である。図12は、透明キャップ部116と、基板120上の薄い半反射層143とを有する透過型ディスクフォーマットを示している。また、図12は、薄い半反射層143上に施された活性層144も示している。好ましい実施形態では、この透過型ディスクは、約100〜300オングストロームの厚さの例えばアルミニウム又は金といった金属から作成された薄い半反射層143を有し、400オングストロームを越えることはない。この薄い半反射層143により、図10に示す光源150からの入射ビーム又はインタロゲーションビーム152の一部は、ディスクを貫通して上方に通過することが可能になり、上部検出器158によって検出される。一方、光の一部は、反射され、入射ビームと同じ経路に沿って逆方向に戻る。この配置では、戻りビーム又は反射ビーム154は、半反射層143から反射される。したがって、このようにして、戻りビーム154はフロー流路130に入ることはない。図13及び図14と共により詳細に説明するように、反射光又は戻りビーム154は、半反射層143内又は半反射層143上に形成される事前に記録された情報トラック上の入射ビーム152をトラッキングするために使用することができる。図12に示すディスクの実施形態では、物理的に画定された標的領域140は存在してもよいし、存在しなくてもよい。標的領域140は、基板120上の薄い半反射層143上に作製される直接マーキングによって作製することができる。これらのマーキングは、シルクスクリーニング又は任意の同等の方法を使用して形成することができる。標的領域を画定するのに物理的な印が使用されない(例えば、符号化されたソフトウェアアドレス指定が利用される場合等)代替的な実施形態では、フロー流路130は、調査特徴物(investigational feature)の検査が行われる限られた標的区域として有効に使用されてもよい。
【0030】
図13は、本発明によるバイオディスク110の反射型ディスクの実施形態のトラックを横切った断面図である。この図は、ディスクの半径及びフロー流路に沿って縦方向に描かれている。図13は、基板120及び反射層142を含む。この実施形態では、基板120は一連の溝170を備える。これらの溝170は、ディスクの中心近くから外縁に向かって伸びる螺旋形状である。溝170は、インタロゲーションビーム152がディスクの螺旋状の溝170に沿ってトラッキングできるように実施される。このタイプの溝170は、「ウォブル溝(wobble groove)」として知られている。起伏状または波状の側壁を有する底部は、溝170を形成する一方、隆起した又は立ち上がった部分は、隣接する溝170を螺旋状に分離する。この実施形態で溝170上に施された反射層142は、図示するように、事実上等角(conformal)である。また、図13は、反射層142上に施された活性層144も示している。図13に示すように、標的領域140は、反射層142の所望の位置の区域又は一部を除去することによるか、あるいは、反射層142を施す前に所望の区域をマスクすることにより形成される。図13にさらに示すように、プラスチック接着部材118が活性層144上に施される。また、図13は、キャップ部116及びこのキャップ部116に付随する反射面146も示している。したがって、キャップ部116が、所望の切り取り形状を含めてプラスチック接着部材118に施されると、それによりフロー流路130が形成される。
【0031】
図14は、図12に示すような、本発明によるバイオディスク110の透過型ディスクの実施形態のトラックを横切った断面図である。この図は、ディスクの半径及びフロー流路に沿って縦方向に描かれている。図14は、基板120及び薄い半反射層143を示している。この薄い半反射層143により、光源150からの入射ビーム又はインタロゲーションビーム152は、ディスクを貫通して通過することが可能になり、上部検出器158によって検出される。一方、光の一部は反射され、戻りビーム154の形で戻る。薄い半反射層143の厚さは、ディスク読み取り装置がそのトラッキング能力を維持するのに必要とされる反射光の最小量によって決定される。この実施形態の基板120は、図13
で説明した基板と同様に、一連の溝170を含む。この実施形態の溝170も、ディスクの中心近くから外縁に向かって伸びる螺旋形状であることが好ましい。溝170は、インタロゲーションビーム152がこの螺旋に沿ってトラッキングできるように実施される。また、図14は、薄い半反射層143上に施された活性層144も示している。図14にさらに示すように、プラスチック接着部材又は流路層118が、活性層144上に施される。また、図14は、反射面146を有さないキャップ部116も示している。したがって、キャップ部が、所望の切り取り形状を含めてプラスチック接着部材118に施されると、それによりフロー流路130が形成され、入射ビーム152の一部は、実質的に反射されることなくフロー流路130を通過することができる。
【0032】
図15は、反射型ディスクの全体の厚さ及び反射型ディスクの初期屈折特性を示す図11と同様の図である。図16は、透過型ディスクの全体の厚さ及び透過型ディスクの初期屈折特性を示す図12と同様の図である。これらの切断面は、溝170に沿って切断されたものであるので、図15及び図16には、溝170は見られない。図15及び図16は、これらの実施形態において溝170に対して垂直に位置する狭いフロー流路130が存在することを示している。図13、図14、図15及び図16は、それぞれの反射型ディスク及び透過型ディスクの全体の厚さを示している。これらの図では、入射ビーム152が、最初に、基板120と相互作用することが示されている。基板120は、入射ビームの経路を図示するように変更して、反射層142又は薄い半反射層143上でビーム152の合焦を提供する屈折特性を有する。
【0033】
本発明によるバイオディスクの代替的な実施形態について、図17A、図17B、図17C、図18A、図18B及び図18Cを参照して、説明する。これら後半の実施形態におけるディスクの様々な特徴は、既に図1〜図16を参照して示しているので、そのような共通の特徴を以下では繰り返し説明しない。したがって、簡略化のために、図17及び図18における一般的な規定として、バイオディスク110について図1〜図21のバイオディスクと区別する特徴を表した。
【0034】
さらに、本発明のバイオディスクについての以下の説明は、図2〜図9と共に上述された反射型光バイオディスクと同様に、透過型バイオディスクにも容易に適用され得る。
【0035】
図17Aは、本発明の等半径流路(equi-radial channel)200を組み込んだ反射型バイオディスクの分解斜視図である。この概略構造は、図2に示す半径方向流路ディスクに相当する。図17Aに示すバイオディスク110のe−rad又はeRadの実施態様(implementation)は、同様にキャップ116、流路層118及び基板120を含む。流路118は等半径の流体流路200を含み、一方で基板120は、それに対応する標的領域140の配列を含む。
【0036】
図17Bは、図17Aに示すディスクの平面図である。図17Bは、透明キャップ部を有するeRadディスクの実施形態の平面図をさらに示し、このディスクはABO化学作用及び2つの血液型(A+及びAB+)を有する、2段の円周方向(circumferential)の流体流路を有する。図17Bに示すように、本発明のディスクを製造する過程において、複数のエントリポート(entry port)を、最終的には異なる動径座標で先験的に(a priori)に提供することができるので、1つのディスク上に一列の等半径、螺旋状及び半径方向の反応部位及び/又は流路を設けることが可能である。これらの流路は、種々の試験スイート(test suites)又は1つの試験スイートの複数のサンプルに用いることができる。
【0037】
図17Cは、図17Aに示すディスクの斜視図であり、e−半径の反射型ディスクの種々の層を示す、切り取り部分を有する。この図は、図4に示す反射型ディスクと同様のも
のである。図17Cに示す反射型バイオディスクのe−rad実施態様は、同様に反射層142、反射層142の上に施された活性層144及びキャップ部116上の反射層146を含む。
【0038】
図18Aは、本発明のe−半径の流路を利用する、透過型バイオディスクの分解斜視図である。この概略構造は、図5に示す半径方向流路ディスクに相当する。図18Aに示すバイオディスク110の透過型e−radの実施態様は、同様にキャップ116、流路層118及び基板120を含む。流路層118は、等半径の流体流路200を含み、基板120はそれに対応する標的領域140中の配列を含む。
【0039】
図18Bは、図18Aに示す透過型e−radディスクの平面図である。図18Bは、ABO化学作用及び2つの血液型(A+及びAB+)を有する、2段の円周方向の流体流路をさらに示す。上述したように、この検定は標的領域、捕捉領域又は分析領域140内で実行される。
【0040】
図18Cは、e−radの透過型バイオディスクの本実施形態における種々の層を示す切り取り部分を有する、図18Aに示すディスクの斜視図である。この図は、図9に示す透過型ディスクと同様のものである。図18Cに示す透過型バイオディスクのe−radの実施態様は、同様に薄い半反射層143及び薄い半反射層143の上に施される活性層144を含む。
【0041】
光バイオディスクを用いたグルコース及びコレステロールの定量
良好な診断検定を定義する基準は、検定を実行する者が使いやすいことにある。光バイオディスクでの比色検定では、検定に用いられる試薬は、検定の前にディスク上に固定されることが有利であり得る。試薬の固定には、いくつかの方法を用いることができる。これらの方法は、空気又は真空蒸発、化学結合による酵素固定化、凍結乾燥又は好適な媒体(例えば、ろ紙又はメンブレンストリップ)での試薬のプリントを含む。上記の方法はバイオディスク上で試験されてきた。有利な実施形態では、数週間又は数ヶ月にわたって試薬の安定性が保存されることから、試薬のプリント過程が試薬をメンブレンストリップに施すのに用いられる。一実施形態では、プリント過程はインクジェットプリンタなどの印刷機器を用いて実行され得る。
【0042】
各検定では、試薬を3×5×0.3mmストリップ上にプリントする。プリントは、ピペッターを用いて手動で又は自動塗布器により行うことができる。ストリップの上に固定させる試薬量は、2〜5μlである。アセンブリの際に、ストリップをバイオディスクの上に堆積させる。試薬ストリップの厚さは、バイオディスクの流路内にしっかりと嵌まる厚さである。
【0043】
試薬固定に用いるメンブレンストリップの選択は、検定の成功に影響する。メンブレンストリップは、化学作用が概して固相で起こる、ディップスティック又は側方流動検定において従来用いられてきた。しかし、光分析ディスクでの比色検定では、サンプルと試薬の間の化学作用は溶液内で起こる。この理由のため、メンブレンストリップをバイオディスク上での比色検定に使用することは、かなり独特である。さらに、側方流動検定で通常使われるニトロセルロース膜を用いる代わりに、比色検定において試薬固定のために選択されるメンブレンストリップは、良好な放出効率を保ちつつ、固定する試薬量に適合する良好な吸収能力を有さなくてはならない。良好な放出効率を有するメンブレンストリップは、サンプルが反応チャンバに投入されるとすぐに、試薬を保存媒体(メンブレンストリップ)から溶液の中に放出させ、望ましい反応を効果的に触媒する。これは反応から生じた発色を、反応チャンバ内で均一にすることを可能にする。試薬固定に用いるメンブレンストリップは、それぞれのディスクとは独立に作製され、ディスクアセンブリの間、容易
にディスク内に堆積する。この特別な機能について、非常に多くの数のメンブレンストリップが試験されてきた。一実施形態では、試薬固定に用いるメンブレンストリップは、孔径0.2μm以上の親水性ポリエーテルスルホン膜(Pall, Port Washington, New York)である。別の実施形態では、試薬固定に用いるメンブレンストリップは、吸収性の親水性材料である。当業者はまた、上述した特性を有する他の材料を、メンブレンストリップに容易に使用できることについて認識するであろう。
【0044】
光バイオディスクで、比色検定に通常用いられるキャリブレータは、透過又は反射した光の相対量に関してキャリブレータの濃度を表現する、キャリブレーションバー(calibration bars)に置き換えることができる。キャリブレーションバーは、ソフトウェアで、又は直接ディスク上でのいずれかで作成することができる。キャリブレーションバーを作成することによって、検定時間を大幅に減じ、検定を利用者にとってはるかに使いやすいものにする。
【0045】
本発明の一態様によると、バイオディスク上の生物学的なサンプルにおいて、目的とする分析物の濃度を定量する検出方法が提供される。この検出は、ディスクドライブからの電磁エネルギーのビームを捕捉野に向けること及び捕捉野から帰還した、又は捕捉野を透過した電磁エネルギーを分析することを含む。
【0046】
比色検定における光学的濃度の変化は、2つの関連する方法によって、光ディスク読み取り装置で定量することができる。これらは、反射又は透過した光のいずれかを測定することを含む。ディスクは、反射型、透過型又はいくつかの反射型と透過型とを組み合わせたものとして見なされ得る。反射型ディスクでは、入射光ビームはディスク上で(通常は、情報が符号化された反射表面に)合焦し、反射され、及び光学素子を通過してディスクに対して光源と同じ側にある検出器に帰還する。透過型ディスクでは、光はディスク(又はその一部分)を通って、ディスクの反対側にある検出器へと通過する。ディスクの透過部位では、光の一部は反射もされ、反射光として検出され得る。種々の検出システム(上部対底部検出器)が、バイオディスクの種々のタイプに用いられる。
【0047】
CD読み取り装置によって捕捉されたデータは、目的とする検定に固有のデータ処理ソフトウェアを介して、意味のある濃度単位に変換される。一実施形態では、CD読み取り装置によって補足されたデータは、存在する標的物質の量といった、検定の又は検定に関係する付加的な特徴を測定するのに用いても良い。
【0048】
本発明の実施形態における装置及び方法は、特別な専門的技術や高価な設備を必要とせずに、安価に、末端利用者が使用するように設計することができる。このシステムは持ち運び可能に作製することができ、したがって、従来の診断設備が一般的に利用できないような遠隔地域において使用できる。
【0049】
あるいは、光ディスク上の生物学的なサンプルにおいて目的とする分析物の濃度を定量するのに、蛍光検定を行うことができる。この場合、ディスクドライブ中のエネルギー源は、好ましくは波長の制御が可能な光源、及び特定の波長に対して特異的に作製される又はされ得る検出器を有する。あるいは、ディスクドライブを、固有の光源及び専用の機器を作製する検出器と共に製造してもよいが、この場合、光源は微調整を必要とすることがある。
【0050】
より具体的には、本発明は、光分析ディスク上で実施される比色検定及び蛍光検定に対する、サンプルの作製及びキャリブレーションバーの産出を対象とする。
【0051】
良好な診断検定を定義する基準は、検定を実行する者が使いやすいことにある。光バイ
オディスクでの比色検定では、検定に用いる試薬は、検定の前にディスク上に固定され得る。検定の際には、末端利用者はサンプルを水で希釈し、サンプルを流路に注入するだけでよい。あるいは、希釈しないサンプルも直接用いられ得る。
【0052】
バイオディスク上の比色検定では、血清又は血液のいずれかをサンプル源として用いることができる。血清はこの検定の直接的な基質であり得る。血液もまた、HemaSep又はCytoSep(Pall, Port Washington, New York)等の膜を用いた赤血球細胞の選択ろ過によって、サンプル源として用いられ得る。
【0053】
実験室ベースの比色検定では、未知サンプルの濃度は、通常は既知の濃度を有するキャリブレータ又は溶液から導かれた。キャリブレータの使用は付加的な作製工程を必要とし、多くの時間を費やし、エラーが起こりやすかった。光バイオディスクでは、比色検定におけるキャリブレータはキャリブレーションバーで置き換えることができる。キャリブレーションバーの作成は、透過又は反射した光の量を、既知の濃度を有する分析物によって測定することで達成される。次に、透過又は反射した光の量を、透過又は反射した光の最小及び最大量に対して相対的に表現する。透過又は反射した光の最大量は、反応領域内にいかなる物質も存在しない溶液で得られる。透過又は反射した光の最小量は、遮断された反応領域から透過又は反射された光の量であり得る。遮断は、例えば、一片のブラックテープのような、任意の利用可能な光遮断構造物で媒介することができる。キャリブレーションバーは、ソフトウェア内又は直接ディスク上でのいずれかにより作成され得る。
【0054】
図19及び図20に、それぞれ作成したグルコース及びコレステロールの検量線を示す。検量線の作成の第1工程は、流体流路又は分析チャンバを、既知の濃度を有するキャリブレータで満たすことであった。1つの分析チャンバは、透過され得る最大光を測定するために空のままにされた。別の分析チャンバはブラックテープで遮断され;その流路で測定された電圧は、透過又は反射され得る光の最小を表す。図に示す表は、参照に対するキャリブレータによる、透過した光のパーセンテージを表現する。図示された検量線は、キャリブレータの濃度と透過又は反射した光の量との反比例の関係を表現する。
【0055】
本発明及びその種々の態様は、本発明の譲受人に譲渡された同時係属中の以下の特許出願に開示されている多くのディスク、検定及びシステムにおいて容易に実施され、これらに適合されることができる:1999年8月23日付けで出願された「Methods and Apparatus for Analyzing Operational and Non-operational Data Acquired from Optical Discs」と題する米国出願第09/378,878号、1999年8月23日付けで出願された「Methods and Apparatus for Optical Disc Data Acquisition Using Physical Synchronization Markers」と題する米国仮出願第60/150,288号、1999年10月26日付けで出願された「Trackable Optical Discs with Concurrently Readable Analyte Material」と題する米国出願第09/421,870号、2000年8月21日付けで出願された「Methods and Apparatus for Optical Disc Data Acquisition Using Physical Synchronization Markers」と題する米国出願第09/643,106号、2001年11月15日付けで出願された「Optical Biodiscs with Reflective Layers」と題する米国出願第09/999,274号、2001年11月16日付けで出願された「Methods and Apparatus for Detecting and Quantifying Lymphocytes with Optical Biodiscs」と題する米国出願第09/988,728号、2001年11月19日付けで出願された「Methods and Apparatus for Blood Typing with Optical Bio-discs」と題する米国出願第09/988,850号、2001年11月20日付けで出願された「Apparatus and Methods for Separating Agglutinants and Disperse Particles」と題する米国出願第09/989,684号、2001年11月27日付けで出願された「Dual Bead Assays Including Optical Biodiscs and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第09/997,741号、2001年11月30日付けで出願された「Apparatus and
Methods for Separating Components of Particulate Suspension」と題する米国出願第09/997,895号、2001年12月7日付けで出願された「Optical Discs for Measuring Analytes」と題する米国出願第10/005,313号、2001年12月10日付けで出願された「Methods for Detecting Analytes Using Optical Discs and Optical Disc Readers」と題する米国出願第10/006,371号、2001年12月10日付けで出願された「Multiple Data Layer Optical Discs for Detecting Analytes」と題する米国出願第10/006,620号、2001年12月10日付けで出願された「Optical Disc Assemblies for Performing Assays」と題する米国出願第10/006,619号、2001年12月14日付けで出願された「Detection System For Disc-Based Laboratory and Improved Optical Bio-Disc Including Same」と題する米国出願第10/020,140号、2001年12月21日付けで出願された「Surface Assembly
for Immobilizing DNA Capture Probes and Bead-Based Assay Including Optical Bio-Discs and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/035,836号、2002年1月4日付けで出願された「Dual Bead Assays Including Covalent Linkages for Improved Specificity and Related Optical Analysis Discs」と題する米国出願第10/038,297号、2002年1月10日付けで出願された「Optical Disc Analysis System Including Related Methods for Biological and Medical Imaging」と題する米国出願第10/043,688号、2002年1月14日付けで出願された「Optical Disc Analysis System Including Related Signal Processing Methods and Software」と題する米国仮出願第60/348,767号、2002年2月26日付けで出願された「Methods for DNA Conjugation Onto Solid Phase Including Related Optical Biodiscs and Disc Drive Systems」と題する米国出願第10/086,941号、2002年2月28日付けで出願された「Methods for Decreasing Non-Specific Binding of Beads in Dual Bead Assays Including Related Optical Biodiscs and Disc Drive Systems」と題する米国出願第10/087,549号、2002年3月14日付けで出願された「Dual Bead Assays Using Cleavable Spacers and/or Ligation to Improve Specificity and Sensitivity Including Related Methods and Apparatus」と題する米国出願第10/099,256号、同じく2002年3月14日付けで出願された「Use of Restriction
Enzymes and Other Chemical Methods to Decrease Non-Specific Binding in Dual Bead Assays and Related Bio-Discs, Methods, and System Apparatus for Detecting Medical Targets」と題する米国出願第10/099,266号、2002年4月11日付けで出願された「Multi-Parameter Assays Including Analysis Discs and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/121,281号、2002年5月16日付けで出願された「Variable Sampling Control for Rendering Pixelization of Analysis Results in a Bio-Disc Assembly and Apparatus Relating Thereto」と題する米国出願第10/150,575号、2002年5月16日付けで出願された「Surface Assembly For
Immobilizing DNA Capture Probes in Genetic Assays Using Enzymatic Reactions to Generate Signals in Optical Bio-Discs and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/150,702号、2002年7月12日付けで出願された「Optical Disc
System and Related Detecting and Decoding Methods for Analysis of Microscopic Structures」と題する米国出願第10/194,418号、同じく2002年7月12日付けで出願された「Multi-Purpose Optical Analysis Disc for Conducting Assays and Various Reporting Agents for Use Therewith」と題する米国出願第10/194,396号、2002年7月19日付けで出願された「Transmissive Optical Disc Assemblies
for Performing Physical Measurements and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/199,973号、2002年7月22日付けで出願された「Optical Analysis Disc and Related Drive Assembly for Performing Interactive Centrifugation」と題する米国出願第10/201,591号、2002年7月24日付けで出願された「Method and Apparatus for Bonded Fluidic Circuit for Optical Bio-Disc」と題する米国出願第10/205,011号、同じく2002年7月24日付けで出願された「Magn
etic Assisted Detection of Magnetic Beads Using Optical Disc Drives」と題する米国出願第10/205,005号、2002年8月29日付けで出願された「Methods for Qualitative and Quantitative Analysis of Cells and Related Optical Bio-Disc Systems」と題する米国出願第10/230,959号、2002年8月30日付けで出願された「Capture Layer Assemblies for Cellular Assays Including Related Optical Analysis Discs and Methods」と題する米国特許第10/233,322号、2002年9月6日付けで出願された「Nuclear Morphology Based Identification and Quantification of White Blood Cell Types Using Optical Bio-Disc Systems」と題する米国出願第10/236,857号、2002年9月11日付けで出願された「Methods for Differential Cell Counts Including Related Apparatus and Software for Performing Same」と題する米国出願第10/241,512号、2002年10月24日付けで出願された「Segmented Area Detector for Biodrive and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/279,677号、2002年11月13日付けで出願された「Optical Bio-Discs and Fluidic Circuits for Analysis of Cells and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/293,214号、2002年11月15日付けで出願された「Methods and Apparatus for Blood Typing with Optical Bio-Discs」と題する米国出願第10/298,263号、2002年11月27日付けで出願された「Magneto-Optical Bio-Discs and Systems Including Related Methods」と題する米国出願第10/307,263号、2003年1月13日付けで出願された「Method and Apparatus for Visualizing Data」と題する米国出願第10/341,326号、2003年1月14日付けで出願された「Methods and Apparatus for Extracting Data From an Optical Analysis Disc」と題する米国出願第10/345,122号、2003年1月15日付けで出願された「Optical Discs Including Equi-Radial and/or Spiral Analysis Zones and Related Disc Drive Systems and Methods」と題する米国出願第10/347,155号、2003年1月17日付けで出願された「Bio-Safe Dispenser and Optical
Analysis Disc Assembly」と題する米国出願第10/347,119号、2003年1月21日付けで出願された「Multi-Purpose Optical Analysis Disc for Conducting Assays and Related Methods for Attaching Capture Agents」と題する米国出願第10/348,049号、2003年1月21日付けで出願された「Processes for Manufacturing Optical Analysis Discs with Molded Microfluidic Structures and Discs Made According Thereto」と題する米国出願第10/348,196号、2003年1月23日付けで出願された「Methods for Triggering Through Disc Grooves and Related Optical Analysis Discs and System」と題する米国出願第10/351,604号、2003年1月23日付けで出願された「Bio-Safety Features for Optical Analysis Discs and Disc System Including Same」と題する米国出願第10/351,280号、2003年1月24日付けで出願された「Manufacturing Processes for Making Optical Analysis Discs Including Successive Patterning Operations and Optical Discs Thereby Manufactured」と題する米国出願第10/351,244号、2003年1月27日付けで出願された「Processes for Manufacturing Optical Analysis Discs with Molded Microfluidic Structures and Discs Made According Thereto」と題する米国出願第10/353,777号、2003年1月28日付けで出願された「Method and Apparatus for Logical Triggering」と題する米国出願第10/353,839号及び2003年1月30日付けで出願された「Methods For Synthesis of Bio-Active Nanoparticles and Nanocapsules For Use in Optical Bio-Disc Assays and Disc Assembly Including Same」と題する米国出願第10/356,666号。
【0056】
<概要の結び>
特定の好ましい実施形態を参照して、本発明を詳細に説明してきたが、本発明は、それらの厳密な実施形態に限定されるものでないことが理解されるべきである。逆に、本発明の現在の最良の形態を説明する本光バイオディスクの開示を考慮すると、当業者には、本
発明の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの変更及び変形が提示されるであろう。したがって、本発明の範囲は、上記説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味するもの及び均等物の範囲内に入るすべての改変、変更及び変形は、特許請求の範囲の範囲内にあるとみなされる。
【0057】
さらに、当業者は、日常的な実験以上のものを用いることなく、本明細書で説明した本発明の特定の実施形態に対する多くの等価形態を認識するか、又は把握することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】バイオディスクシステムのイラスト表現である。
【図2】反射型バイオディスクの分解斜視図である。
【図3】図2に示すディスクの平面図である。
【図4】切り取り部分がディスクの種々の層を示す、図2に示すディスクの斜視図である。
【図5】透過型バイオディスクの分解斜視図である。
【図6】切り取り部分がディスクの半反射層の機能的態様を示す、図5に示すディスクを表す斜視図である。
【図7】薄い金薄膜の厚さと透過との関係を示すグラフ表示である。
【図8】図5に示すディスクの平面図である。
【図9】切り取り部分が、図6に示す半反射層のタイプを含むディスクの種々の層を示す、図5に示すディスクの斜視図である。
【図10】図1のシステムをより詳細に示すブロック斜視図表示である。
【図11】図2、図3、および図4に示す反射型光バイオディスクに形成されたフロー流路を示す、当該反射型光バイオディスクの半径に対して垂直な部分断面図である。
【図12】図5、図8、および図9に示す透過型光バイオディスクに形成されたフロー流路および上部検出器を示す、当該透過型光バイオディスクの半径に対して垂直な部分断面図である。
【図13】図2、図3、および図4に示す反射型光バイオディスクに形成されたウォブル溝を示す当該反射型光バイオディスクの縦方向の部分断面図である。
【図14】図5、図8、および図9に示す透過型光バイオディスクに形成されたウォブル溝および上部検出器を示す当該透過型光バイオディスクの縦方向の部分断面図である。
【図15】反射型ディスクの全体の厚さと、反射型ディスクの初期反射特性とを示す図11と同様の図である。
【図16】透過型ディスクの全体の厚さと、透過型ディスクの初期屈折特性とを示す図12と同様の図である。
【図17A】本発明の等半径流路が組み込まれた反射型バイオディスクの分解斜視図である。
【図17B】図17Aに示すディスクの平面図である。
【図17C】切取り部分が等半径の反射型ディスクの種々の層を示す、図17Aに示すディスクの斜視図である。
【図18A】本発明のe−半径の流路を用いる透過型バイオディスクの分解斜視図である。
【図18B】図18Aに示すディスクの平面図である。
【図18C】切取り部分が等半径の透過型バイオディスクの種々の層を示す、図18Aに示すディスクの斜視図である。
【図19】グルコース検定に関する検量線の作成のグラフ表示である。
【図20】コレステロール検定に関する検量線の作成のグラフ表示である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して検定に関し、特に比色検定及び蛍光検定に関する。より具体的には、本発明は、光分析ディスク上で実行される、比色検定及び蛍光検定に関するサンプルの作製に関するが、最良の実施形態(the best mode of practice)で本明細書中に記載される特定の実施形態に制限されない。
【背景技術】
【0002】
血液等の体液中にある分析物の検出及び定量は、病気の診断、病因の解明及び薬物療法に対する反応をモニターすることに対して重要であることがある。伝統的には、診断検定は実験室で、複雑な装置を用いて熟練技術者によって実行される。これらの検定を行うには、多大な時間及び費用がかかる。したがって、末端利用者にとって診断検定及び法医学的検定をより迅速且つ身近なものとする必要が大いにある。理想的には、臨床医、患者、研究者、軍隊、他の保健医療従事者及び消費者は、彼等自身で特定の危険因子及び病気指標の存在、及び犯罪現場又は戦場での特定の生物学的材料の存在を試験できるはずである。現在、核酸及び/又はタンパク質が付着した、数々のシリコン系医療診断機器が市販又は開発されている。これらのチップは、末端利用者(又は、非常に特殊化した専門的技術及び高価な設備を有さない人又は団体)による使用には向かない。
【0003】
’581特許により、光読み取り装置により読み取られるようになっている光ディスクを含む装置が開示され、これはサンプル中に存在すると疑われる分析物を局在化及び検出するのに有用な、実質的に内蔵型の検定システムを有するセクターを有する。1999年11月30日付けで発行された「Quantitative Cell Analysis Methods Employing Magnetic Separation」と題する米国特許第5,933,665号(‘665特許)は、検体が強磁性体コロイドと免疫特異的結合により磁気反応性になっている、流体媒体中の生物学的検体の分析を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光分析ディスク上で比色検定及び蛍光検定を実行することに関する。本発明は、検定を準備する方法、検定のための試薬を固定する方法、検定を実行する方法及び検出システムを含む。
【0005】
多種多様な現在の診断及び他の生化学的試験は、目的とする分析物の存在下で検出可能な発色又は蛍光発光の変化を受ける物質(クロマジェン(chromagen))を使用する。発色した色又は蛍光の強度は、時間依存性であり、且つ当該分析物の濃度に比例する。比色検定に関して、色強度は、分光光度計を用いた特異的波長における光学的濃度の測定により測定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、比色検定を用いて、光バイオディスク上の生物学的サンプル中における目的とする分析物の濃度を定量する方法を含む。分析物は、例えばグルコース、コレステロール及びトリグリセリドを含んでも良い。一実施形態において、検定の前に、試薬を光ディスク上に固定化する。検定を実行するためには、サンプル(血漿が好ましいが、他の種類の体液も使用することができる)を、投入ポート(injection port)を介して流路内に充填する。注入後、テープ又は他の好適な手段により、ポートを密封してもよい。検定プロトコルに応じて、バイオディスクを室温又は他の望ましい温度で、適切な時間、例えば約
3〜7分間インキュベートする。次に、発色した色の強度を、光ディスク読み取り装置で定量する。データの回収及び処理後、検定結果がコンピュータモニター上に表示される。注目すべきは、いくつかの臨床実験室における診断的比色検定は、発色を容易にし、且つ促進するために、37℃で行われることである。操作を簡略化するため、光ディスク上で実行される比色検定は、周囲温度で行うのに有利に最適化され得る。最適化は酵素源の選択、酵素の濃度及びサンプル調製を含む。
【0007】
一実施形態において、クロマジェンは特異的波長で検出されるため、バイオディスクでの光学的濃度の測定に対する比色検定の最適化においてクロマジェンの選択が重要である。例えばCD−R型ディスク読み取り装置は、赤外線領域(750nm〜800nm)でクロマジェンを検出することができる。本発明において用いられ得る他の種類の光ディスクシステムは、DVD、DVD−R、蛍光、リン光及び任意の他の同様な光ディスク読み取り装置を含む。光学的濃度の測定の振幅は、光路長、クロマジェンのモル吸光係数及び目的とする分析物の濃度によって決まる(ベールの法則)。光ディスクでの比色検定の感度を最適化するために、目的とする波長において高いモル吸光係数を有する複数のクロマジェンを同定及び評価した。
【0008】
CD−R型光ディスクでの比色検定に好適なクロマジェンは、N,N’−ビス(2−ヒドロキシ−3−スルフォプロピル)トリジン、二ナトリウム塩(SAT−3)、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−ジフェニルアミンナトリウム塩(DA−64)、2,2’−アジノ−ジメチルチオゾリン−6−スルホン酸塩(ABTS)、カップリング試薬(3−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−6−アミノベンゼンスルホン酸)を含むトリンダー試薬(N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルフォプロピル)−3−メチルアニリン、ナトリウム塩、二水和物)(TOOS)及びナトリウム塩(NCP−11)を含むが、これらに限定されない。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、当該目的に寄与する別の特徴および当該目的から生じる利点と共に、以下の本発明の好ましい実施形態の説明から明らかになるだろう。この好ましい実施形態は、添付図面の図に示される。添付図面の図では、全体を通して、同様の参照番号は同様の構成要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[発明の詳細な説明]
本発明は、概して生物医学的なサンプルの調製及び光バイオディスクシステムを用いた分析に関する。より具体的には、本発明は、比色検定及び蛍光検定を対象とする。本発明は、検定を準備する方法、検定のための試薬を固定する方法、検定を行うディスク及び検出システムを含む。本発明におけるそれぞれの態様は、以下にさらに詳細に説明される。
【0011】
<ドライブシステム及び関連するディスク>
図1は、本明細書中に開示される細胞の計数及び分画細胞の計数を実施するための、本発明による光バイオディスク110の斜視図である。本光バイオディスク110は、光ディスクドライブ112及び表示モニタ114と共に示される。このタイプのディスクドライブ及びディスク分析システムに関するさらなる詳細は、本発明の譲受人に譲渡された同時係属中の、2001年11月9日付けで出願された「Disc Drive System and Methods for Use with Bio-discs」と題する米国出願第10/008,156号及び2002年1月10日付けで出願された「Optical Disc Analysis System Including Related Methods
For Biological and Medical Imaging」と題する米国出願第10/043,688号に開示されている。
【0012】
図2は、光バイオディスク110の一実施形態の主要な構造上の要素の分解斜視図であ
る。図2は、本発明で使用することができる反射領域の光バイオディスク110(以下「反射型ディスク」という)の例である。主要な構造上の要素には、キャップ部116、接着部材又は流路層118及び基板120が含まれる。キャップ部116は、1つ又は複数の注入ポート122及び1つ又は複数の排出ポート124を備える。キャップ部116は、ポリカーボネートで作製することができ、図2の斜視図から見られるように、その底部は、反射面146(図4)で被覆されることが好ましい。好ましい実施形態では、トリガマーク又はトリガマーキング126が、反射層142(図4)の表面上に備えられる。トリガマーキング126は、バイオディスク上に、多数若しくはすべての透明窓、不透明区域又は反射区域若しくは半反射区域を含み得る。これらの透明窓、不透明区域又は反射区域若しくは半反射区域には、情報が符号化される。この情報は、図10に示すように、プロセッサ166にデータを送信し、次に、図6及び図10に示すように、インタロゲーションビーム(interrogation beam)又は入射ビーム152の操作機能と相互作用する。
【0013】
図2に示す第2の要素は、流体回路128、すなわちU字型流路が形成された接着部材又は流路層118である。この流体回路128は、膜を打ち抜くか、又は膜を切り取ってプラスチック薄膜を除去し、図示するような形状を形成することにより形成される。流体回路128のそれぞれは、フロー流路130及び戻り流路132を備える。図2に示す流体回路128のいくつかは、混合チャンバ134を含む。2つの異なる型の混合チャンバ134が示されている。第1の混合チャンバは、フロー流路130に対して対称的に形成された対称混合チャンバ136である。第2の混合チャンバは、オフセット混合チャンバ138である。このオフセット混合チャンバ138は、図示するように、フロー流路130の一方の側に形成される。
【0014】
図2に示す第3の要素は、標的領域又は捕捉領域140を備えた基板120である。基板120は、ポリカーボネートで作製されることが好ましく、その最上部には上記の反射層142が堆積されている(図4に示す)。標的領域140は、図示した形状又は任意の所望の形状で反射層142を除去することにより形成される。あるいは、標的領域140は、反射層142を施す前に標的領域140の区域をマスクすることを含むマスク技法によって形成することもできる。反射層142は、例えばアルミニウム又は金といった金属から形成することができる。
【0015】
図3は、図2に示す光バイオディスク110の平面図であり、ディスク内に位置する流体回路128、標的領域140及びトリガマーキング126が見えるように、キャップ部116上の反射層142が透明で示されている。
【0016】
図4は、本発明の一実施形態による反射領域型の光バイオディスク110の拡大斜視図である。この図は、光バイオディスク110の種々の層の一部を含み、この一部は、それぞれの主要な層、基板、コーティング又は膜の部分断面図を示すために切り取られている。図4は、反射層142で被覆された基板120を示す。反射層142上には、活性層144が施される。好ましい実施形態では、活性層144は、ポリスチレンから形成することができる。あるいは、ポリカーボネート、金、活性ガラス(activated glass)、変性ガラス(modified glass)又は変性ポリスチレン、例えばポリスチレン−co−マレイン酸無水物(polystyrene-co-maleic anhydride)を使用することができる。さらに、ヒドロゲルを使用することができる。あるいは、本実施形態に示すように、活性層144上には、プラスチック接着部材118を施す。プラスチック接着部材118の露出部分は、切り取られるか、又は打ち抜かれたU字型形状を示し、このU字型形状が流体回路128を形成する。本バイオディスクの反射領域の実施形態の最後の主要な構造層は、キャップ部116である。キャップ部116は、その底部に反射面146を含む。反射面146は、アルミニウム又は金といった金属から作製することができる。
【0017】
次に図5を参照して、本発明による透過型光バイオディスク110の主要な構造上の要素の分解斜視図を示す。この透過型光バイオディスク110の主要な構造上の要素も、同様に、キャップ部116、接着部材又は流路部材118及び基板120の層を含む。キャップ部116は、1つ又は複数の注入ポート122及び1つ又は複数の排出ポート124を含む。キャップ部116は、ポリカーボネート層から形成することができる。図6及び図9に示すように、オプションのトリガマーキング126を、薄い半反射層143の表面に備えることができる。トリガマーキング126には、バイオディスクにおける3つの層すべての透明窓、不透明区域又は反射区域若しくは半反射区域が含まれ得る。これらの透明窓、不透明区域又は反射区域若しくは半反射区域は、情報で符号化されており、図10に示すように、プロセッサ166にデータを送信し、次に、図6及び図10に示すように、インタロゲーションビーム152の操作機能と相互作用する。
【0018】
図5に示す第2の要素は、流体回路128、またはU字型流路が形成された接着部材又は流路層118である。この流体回路128は、膜を打ち抜くか、又は膜を切り取ってプラスチック薄膜を除去し、図示するような形状を形成することにより形成される。流体回路128のそれぞれは、フロー流路130及び戻り流路132を備える。図5に示す流体回路128のいくつかは、混合チャンバ134を備える。2つの異なる型の混合チャンバ134が示されている。第1の混合チャンバは、フロー流路130に対して対称的に形成された対称混合チャンバ136である。第2の混合チャンバは、オフセット混合チャンバ138である。このオフセット混合チャンバ138は、図示するように、フロー流路130の一方の側に形成される。
【0019】
図5に示す第3の要素は、標的領域又は捕捉領域140を含むことができる基板120である。基板120は、ポリカーボネートで作製されることが好ましく、図6に示すように、その最上部には上記の薄い半反射層143が堆積されている。図5及び図6に示すディスク110の基板120に付随する半反射層143は、図2、図3及び図4に示す反射型ディスク110の基板120上の反射層142よりもかなり薄い。この薄い半反射層143により、インタロゲーションビーム152の一部は、図6及び図12に示すように、透過型ディスクの構造上の層を透過することができる。薄い半反射層143は、例えばアルミニウム又は金といった金属から形成することができる。
【0020】
図6は、図5に示す光バイオディスク110の透過型の実施形態における基板120及び半反射層143の拡大斜視図である。薄い半反射層143は、例えばアルミニウム又は金といった金属から作製することができる。好ましい実施形態では、図5及び図6に示す透過型ディスクの薄い半反射層143は、約100〜300Åの厚さであり、400Åを越えない。この薄い半反射層143により、入射ビーム又はインタロゲーションビーム152の一部は、半反射層143を貫通して通過することが可能になり、それにより、図10及び図12に示す上部検出器158によって検出される。一方、その光の一部は反射される、すなわち入射経路に沿って折り返される。以下に示すように、表1は、金の薄膜の厚さに対する反射特性及び透過特性を示している。金の薄膜層は、800Åよりも厚くなると、完全反射となる。一方、金の薄膜を透過する光の透過しきい値密度(threshold density)は、約400Åである。
【0021】
【表1】
【0022】
次に図8を参照して、図5及び図6に示す透過型光バイオディスク110の平面図を示す。キャップ部116が透明であることによって、ディスク内に位置する流体流路、トリガマーキング126及び標的領域140が明らかになっている。
【0023】
図9は、本発明の透過型ディスクの実施形態による光バイオディスク110の拡大斜視図である。このディスク110は、その種々の層の一部が、それぞれの主要な層、基板、コーティング又は膜の部分断面図を示すように切り取られて示されている。図9は、透明なキャップ部116、基板120上の薄い半反射層143及びトリガマーキング126を有する透過型ディスクフォーマットを示している。この実施形態では、トリガマーキング126は、キャップの上部に配置された不透明材を含む。あるいは、トリガマーキング126は、ディスクの薄い反射層143にエッチングされた透明な非反射窓、又は図10に示すトリガ検出器160から到来する信号を吸収する、または反射しない任意のマークによって形成することができる。また、図9は、図示した形状又は任意の所望の形状で、指定した区域をマーキングすることにより形成される標的領域140も示している。標的領域140を示すマーキングは、基板120上の薄い半反射層143又は基板120の底部(ディスクの下部)に作製することができる。あるいは、標的領域140は、標的領域140を除く薄い半反射層143の全て又は一部をマスクすることを含むマスク技法によって形成することもできる。この実施形態では、標的領域140は、薄い半反射層143上にインクをシルクスクリーニングすることによって作製することができる。図5、図8及び図9に示す透過型ディスクフォーマットでは、代替方法として、標的領域140を、ディスクに符号化されたアドレス情報によって定義することができる。この実施形態では、標的領域140は、物理的に識別可能なエッジ境界を含まない。
【0024】
図9を続けて参照して、薄い半反射層143上に施された活性層144を示す。好ましい実施形態では、活性層144は、2%のポリスチレンからなる10〜200μmの厚さの層である。あるいは、ポリカーボネート、金、活性化ガラス、変性ガラス又は変性ポリスチレン、例えばポリスチレン−co−マレイン酸無水物を使用することができる。さら
に、ヒドロゲルを使用することができる。この実施形態に示すように、活性層144上には、プラスチック接着部材118が施される。プラスチック接着部材118の露出部分は、切り取られるか、又は打ち抜かれたU字型を示し、このU字型が流体回路128を形成する。
【0025】
本バイオディスク110のこの透過型の実施形態における、最後の主要な構造上の層は、透明な非反射キャップ部116である。このキャップ部116は、注入ポート122及び排出ポート124を含む。
【0026】
次に図10を参照して、光コンポーネント148、入射ビーム又はインタロゲーションビーム152を生成する光源150、戻りビーム154及び透過ビーム156を示すブロック斜視図を表示する。図4に示す反射型バイオディスクの場合、戻りビーム154は、光バイオディスク110のキャップ部116の反射面146から反射される。本光バイオディスク110のこの反射型の実施形態では、戻りビーム154は、下部検出器157によって検出され、信号要素が存在するかどうかが分析される。他方、透過型バイオディスクのフォーマットでは、透過ビーム156は、上部検出器158によって検出され、信号要素が存在するかどうかが同様に分析される。透過型の実施形態では、上部検出器158として、光検出器を使用することができる。
【0027】
また、図10は、ディスク上のトリガマーキング126及びトリガ検出器160を含むハードウェアトリガメカニズムも示している。このハードウェアトリガメカニズムは、反射型バイオディスク(図4)及び透過型バイオディスク(図9)の双方で使用される。トリガメカニズムにより、プロセッサ166は、インタロゲーションビーム152がそれぞれの標的領域140にある場合にのみ、データを収集することが可能になる。さらに、透過型バイオディスクシステムでは、ソフトウェアトリガも使用することができる。このソフトウェアトリガは、インタロゲーションビーム152が、それぞれの標的領域140の端部に当たるとすぐに、下部検出器を使用してプロセッサ166に信号を送り、データを収集する。さらに、図10は、光バイオディスク110の回転を制御する駆動モータ162とコントローラ164とを示している。また、図10は、別法において実施されるプロセッサ166及び分析装置168を示しており、これらは、透過型光バイオディスクに関連した戻りビーム154と透過ビーム156とを処理する。
【0028】
図11に示すように、本発明による光バイオディスク110の反射型ディスクの実施形態の部分断面図が表されている。図11は、基板120及び反射層142を示している。上述したように、反射層142は、例えばアルミニウム、金又は他の適切な反射材といった材料から作製することができる。この実施形態では、基板120の上面は滑らかになっている。また、図11は、反射層142上に施された活性層144も示している。また、図11に示すように、標的領域140は、反射層142の所望の位置の区域又は一部を除去することによるか、あるいは、反射層142を施す前に所望の区域をマスクすることにより形成される。図11にさらに示すように、プラスチック接着部材118が活性層144上に施される。また、図11は、キャップ部116及びこのキャップ部116に付随する反射面146も示している。したがって、キャップ部116が、所望の切り取り形状を含めてプラスチック接着部材118に貼付されると、それによりフロー流路130が形成される。図11に示す矢印により図示するように、入射ビーム152の経路は、最初、ディスク110の下から基板120の方向に向けられている。次いで、この入射ビームは、反射層142に近い点で合焦する。この合焦は、反射層142の一部が存在しない標的領域140で起こるので、入射光は、活性層144を通ってフロー流路130内に入る経路に沿って進み続ける。その後、入射ビーム152は、上方に進み続けてフロー流路を横切り、最終的には反射面146に入射する。この時点で、入射ビーム152は、入射経路に沿って戻され、または反射されて帰還し、それによって戻りビーム154を形成する。
【0029】
図12は、本発明によるバイオディスク110の透過型の実施形態の部分断面図である。図12は、透明キャップ部116と、基板120上の薄い半反射層143とを有する透過型ディスクフォーマットを示している。また、図12は、薄い半反射層143上に施された活性層144も示している。好ましい実施形態では、この透過型ディスクは、約100〜300オングストロームの厚さの例えばアルミニウム又は金といった金属から作成された薄い半反射層143を有し、400オングストロームを越えることはない。この薄い半反射層143により、図10に示す光源150からの入射ビーム又はインタロゲーションビーム152の一部は、ディスクを貫通して上方に通過することが可能になり、上部検出器158によって検出される。一方、光の一部は、反射され、入射ビームと同じ経路に沿って逆方向に戻る。この配置では、戻りビーム又は反射ビーム154は、半反射層143から反射される。したがって、このようにして、戻りビーム154はフロー流路130に入ることはない。図13及び図14と共により詳細に説明するように、反射光又は戻りビーム154は、半反射層143内又は半反射層143上に形成される事前に記録された情報トラック上の入射ビーム152をトラッキングするために使用することができる。図12に示すディスクの実施形態では、物理的に画定された標的領域140は存在してもよいし、存在しなくてもよい。標的領域140は、基板120上の薄い半反射層143上に作製される直接マーキングによって作製することができる。これらのマーキングは、シルクスクリーニング又は任意の同等の方法を使用して形成することができる。標的領域を画定するのに物理的な印が使用されない(例えば、符号化されたソフトウェアアドレス指定が利用される場合等)代替的な実施形態では、フロー流路130は、調査特徴物(investigational feature)の検査が行われる限られた標的区域として有効に使用されてもよい。
【0030】
図13は、本発明によるバイオディスク110の反射型ディスクの実施形態のトラックを横切った断面図である。この図は、ディスクの半径及びフロー流路に沿って縦方向に描かれている。図13は、基板120及び反射層142を含む。この実施形態では、基板120は一連の溝170を備える。これらの溝170は、ディスクの中心近くから外縁に向かって伸びる螺旋形状である。溝170は、インタロゲーションビーム152がディスクの螺旋状の溝170に沿ってトラッキングできるように実施される。このタイプの溝170は、「ウォブル溝(wobble groove)」として知られている。起伏状または波状の側壁を有する底部は、溝170を形成する一方、隆起した又は立ち上がった部分は、隣接する溝170を螺旋状に分離する。この実施形態で溝170上に施された反射層142は、図示するように、事実上等角(conformal)である。また、図13は、反射層142上に施された活性層144も示している。図13に示すように、標的領域140は、反射層142の所望の位置の区域又は一部を除去することによるか、あるいは、反射層142を施す前に所望の区域をマスクすることにより形成される。図13にさらに示すように、プラスチック接着部材118が活性層144上に施される。また、図13は、キャップ部116及びこのキャップ部116に付随する反射面146も示している。したがって、キャップ部116が、所望の切り取り形状を含めてプラスチック接着部材118に施されると、それによりフロー流路130が形成される。
【0031】
図14は、図12に示すような、本発明によるバイオディスク110の透過型ディスクの実施形態のトラックを横切った断面図である。この図は、ディスクの半径及びフロー流路に沿って縦方向に描かれている。図14は、基板120及び薄い半反射層143を示している。この薄い半反射層143により、光源150からの入射ビーム又はインタロゲーションビーム152は、ディスクを貫通して通過することが可能になり、上部検出器158によって検出される。一方、光の一部は反射され、戻りビーム154の形で戻る。薄い半反射層143の厚さは、ディスク読み取り装置がそのトラッキング能力を維持するのに必要とされる反射光の最小量によって決定される。この実施形態の基板120は、図13
で説明した基板と同様に、一連の溝170を含む。この実施形態の溝170も、ディスクの中心近くから外縁に向かって伸びる螺旋形状であることが好ましい。溝170は、インタロゲーションビーム152がこの螺旋に沿ってトラッキングできるように実施される。また、図14は、薄い半反射層143上に施された活性層144も示している。図14にさらに示すように、プラスチック接着部材又は流路層118が、活性層144上に施される。また、図14は、反射面146を有さないキャップ部116も示している。したがって、キャップ部が、所望の切り取り形状を含めてプラスチック接着部材118に施されると、それによりフロー流路130が形成され、入射ビーム152の一部は、実質的に反射されることなくフロー流路130を通過することができる。
【0032】
図15は、反射型ディスクの全体の厚さ及び反射型ディスクの初期屈折特性を示す図11と同様の図である。図16は、透過型ディスクの全体の厚さ及び透過型ディスクの初期屈折特性を示す図12と同様の図である。これらの切断面は、溝170に沿って切断されたものであるので、図15及び図16には、溝170は見られない。図15及び図16は、これらの実施形態において溝170に対して垂直に位置する狭いフロー流路130が存在することを示している。図13、図14、図15及び図16は、それぞれの反射型ディスク及び透過型ディスクの全体の厚さを示している。これらの図では、入射ビーム152が、最初に、基板120と相互作用することが示されている。基板120は、入射ビームの経路を図示するように変更して、反射層142又は薄い半反射層143上でビーム152の合焦を提供する屈折特性を有する。
【0033】
本発明によるバイオディスクの代替的な実施形態について、図17A、図17B、図17C、図18A、図18B及び図18Cを参照して、説明する。これら後半の実施形態におけるディスクの様々な特徴は、既に図1〜図16を参照して示しているので、そのような共通の特徴を以下では繰り返し説明しない。したがって、簡略化のために、図17及び図18における一般的な規定として、バイオディスク110について図1〜図21のバイオディスクと区別する特徴を表した。
【0034】
さらに、本発明のバイオディスクについての以下の説明は、図2〜図9と共に上述された反射型光バイオディスクと同様に、透過型バイオディスクにも容易に適用され得る。
【0035】
図17Aは、本発明の等半径流路(equi-radial channel)200を組み込んだ反射型バイオディスクの分解斜視図である。この概略構造は、図2に示す半径方向流路ディスクに相当する。図17Aに示すバイオディスク110のe−rad又はeRadの実施態様(implementation)は、同様にキャップ116、流路層118及び基板120を含む。流路118は等半径の流体流路200を含み、一方で基板120は、それに対応する標的領域140の配列を含む。
【0036】
図17Bは、図17Aに示すディスクの平面図である。図17Bは、透明キャップ部を有するeRadディスクの実施形態の平面図をさらに示し、このディスクはABO化学作用及び2つの血液型(A+及びAB+)を有する、2段の円周方向(circumferential)の流体流路を有する。図17Bに示すように、本発明のディスクを製造する過程において、複数のエントリポート(entry port)を、最終的には異なる動径座標で先験的に(a priori)に提供することができるので、1つのディスク上に一列の等半径、螺旋状及び半径方向の反応部位及び/又は流路を設けることが可能である。これらの流路は、種々の試験スイート(test suites)又は1つの試験スイートの複数のサンプルに用いることができる。
【0037】
図17Cは、図17Aに示すディスクの斜視図であり、e−半径の反射型ディスクの種々の層を示す、切り取り部分を有する。この図は、図4に示す反射型ディスクと同様のも
のである。図17Cに示す反射型バイオディスクのe−rad実施態様は、同様に反射層142、反射層142の上に施された活性層144及びキャップ部116上の反射層146を含む。
【0038】
図18Aは、本発明のe−半径の流路を利用する、透過型バイオディスクの分解斜視図である。この概略構造は、図5に示す半径方向流路ディスクに相当する。図18Aに示すバイオディスク110の透過型e−radの実施態様は、同様にキャップ116、流路層118及び基板120を含む。流路層118は、等半径の流体流路200を含み、基板120はそれに対応する標的領域140中の配列を含む。
【0039】
図18Bは、図18Aに示す透過型e−radディスクの平面図である。図18Bは、ABO化学作用及び2つの血液型(A+及びAB+)を有する、2段の円周方向の流体流路をさらに示す。上述したように、この検定は標的領域、捕捉領域又は分析領域140内で実行される。
【0040】
図18Cは、e−radの透過型バイオディスクの本実施形態における種々の層を示す切り取り部分を有する、図18Aに示すディスクの斜視図である。この図は、図9に示す透過型ディスクと同様のものである。図18Cに示す透過型バイオディスクのe−radの実施態様は、同様に薄い半反射層143及び薄い半反射層143の上に施される活性層144を含む。
【0041】
光バイオディスクを用いたグルコース及びコレステロールの定量
良好な診断検定を定義する基準は、検定を実行する者が使いやすいことにある。光バイオディスクでの比色検定では、検定に用いられる試薬は、検定の前にディスク上に固定されることが有利であり得る。試薬の固定には、いくつかの方法を用いることができる。これらの方法は、空気又は真空蒸発、化学結合による酵素固定化、凍結乾燥又は好適な媒体(例えば、ろ紙又はメンブレンストリップ)での試薬のプリントを含む。上記の方法はバイオディスク上で試験されてきた。有利な実施形態では、数週間又は数ヶ月にわたって試薬の安定性が保存されることから、試薬のプリント過程が試薬をメンブレンストリップに施すのに用いられる。一実施形態では、プリント過程はインクジェットプリンタなどの印刷機器を用いて実行され得る。
【0042】
各検定では、試薬を3×5×0.3mmストリップ上にプリントする。プリントは、ピペッターを用いて手動で又は自動塗布器により行うことができる。ストリップの上に固定させる試薬量は、2〜5μlである。アセンブリの際に、ストリップをバイオディスクの上に堆積させる。試薬ストリップの厚さは、バイオディスクの流路内にしっかりと嵌まる厚さである。
【0043】
試薬固定に用いるメンブレンストリップの選択は、検定の成功に影響する。メンブレンストリップは、化学作用が概して固相で起こる、ディップスティック又は側方流動検定において従来用いられてきた。しかし、光分析ディスクでの比色検定では、サンプルと試薬の間の化学作用は溶液内で起こる。この理由のため、メンブレンストリップをバイオディスク上での比色検定に使用することは、かなり独特である。さらに、側方流動検定で通常使われるニトロセルロース膜を用いる代わりに、比色検定において試薬固定のために選択されるメンブレンストリップは、良好な放出効率を保ちつつ、固定する試薬量に適合する良好な吸収能力を有さなくてはならない。良好な放出効率を有するメンブレンストリップは、サンプルが反応チャンバに投入されるとすぐに、試薬を保存媒体(メンブレンストリップ)から溶液の中に放出させ、望ましい反応を効果的に触媒する。これは反応から生じた発色を、反応チャンバ内で均一にすることを可能にする。試薬固定に用いるメンブレンストリップは、それぞれのディスクとは独立に作製され、ディスクアセンブリの間、容易
にディスク内に堆積する。この特別な機能について、非常に多くの数のメンブレンストリップが試験されてきた。一実施形態では、試薬固定に用いるメンブレンストリップは、孔径0.2μm以上の親水性ポリエーテルスルホン膜(Pall, Port Washington, New York)である。別の実施形態では、試薬固定に用いるメンブレンストリップは、吸収性の親水性材料である。当業者はまた、上述した特性を有する他の材料を、メンブレンストリップに容易に使用できることについて認識するであろう。
【0044】
光バイオディスクで、比色検定に通常用いられるキャリブレータは、透過又は反射した光の相対量に関してキャリブレータの濃度を表現する、キャリブレーションバー(calibration bars)に置き換えることができる。キャリブレーションバーは、ソフトウェアで、又は直接ディスク上でのいずれかで作成することができる。キャリブレーションバーを作成することによって、検定時間を大幅に減じ、検定を利用者にとってはるかに使いやすいものにする。
【0045】
本発明の一態様によると、バイオディスク上の生物学的なサンプルにおいて、目的とする分析物の濃度を定量する検出方法が提供される。この検出は、ディスクドライブからの電磁エネルギーのビームを捕捉野に向けること及び捕捉野から帰還した、又は捕捉野を透過した電磁エネルギーを分析することを含む。
【0046】
比色検定における光学的濃度の変化は、2つの関連する方法によって、光ディスク読み取り装置で定量することができる。これらは、反射又は透過した光のいずれかを測定することを含む。ディスクは、反射型、透過型又はいくつかの反射型と透過型とを組み合わせたものとして見なされ得る。反射型ディスクでは、入射光ビームはディスク上で(通常は、情報が符号化された反射表面に)合焦し、反射され、及び光学素子を通過してディスクに対して光源と同じ側にある検出器に帰還する。透過型ディスクでは、光はディスク(又はその一部分)を通って、ディスクの反対側にある検出器へと通過する。ディスクの透過部位では、光の一部は反射もされ、反射光として検出され得る。種々の検出システム(上部対底部検出器)が、バイオディスクの種々のタイプに用いられる。
【0047】
CD読み取り装置によって捕捉されたデータは、目的とする検定に固有のデータ処理ソフトウェアを介して、意味のある濃度単位に変換される。一実施形態では、CD読み取り装置によって補足されたデータは、存在する標的物質の量といった、検定の又は検定に関係する付加的な特徴を測定するのに用いても良い。
【0048】
本発明の実施形態における装置及び方法は、特別な専門的技術や高価な設備を必要とせずに、安価に、末端利用者が使用するように設計することができる。このシステムは持ち運び可能に作製することができ、したがって、従来の診断設備が一般的に利用できないような遠隔地域において使用できる。
【0049】
あるいは、光ディスク上の生物学的なサンプルにおいて目的とする分析物の濃度を定量するのに、蛍光検定を行うことができる。この場合、ディスクドライブ中のエネルギー源は、好ましくは波長の制御が可能な光源、及び特定の波長に対して特異的に作製される又はされ得る検出器を有する。あるいは、ディスクドライブを、固有の光源及び専用の機器を作製する検出器と共に製造してもよいが、この場合、光源は微調整を必要とすることがある。
【0050】
より具体的には、本発明は、光分析ディスク上で実施される比色検定及び蛍光検定に対する、サンプルの作製及びキャリブレーションバーの産出を対象とする。
【0051】
良好な診断検定を定義する基準は、検定を実行する者が使いやすいことにある。光バイ
オディスクでの比色検定では、検定に用いる試薬は、検定の前にディスク上に固定され得る。検定の際には、末端利用者はサンプルを水で希釈し、サンプルを流路に注入するだけでよい。あるいは、希釈しないサンプルも直接用いられ得る。
【0052】
バイオディスク上の比色検定では、血清又は血液のいずれかをサンプル源として用いることができる。血清はこの検定の直接的な基質であり得る。血液もまた、HemaSep又はCytoSep(Pall, Port Washington, New York)等の膜を用いた赤血球細胞の選択ろ過によって、サンプル源として用いられ得る。
【0053】
実験室ベースの比色検定では、未知サンプルの濃度は、通常は既知の濃度を有するキャリブレータ又は溶液から導かれた。キャリブレータの使用は付加的な作製工程を必要とし、多くの時間を費やし、エラーが起こりやすかった。光バイオディスクでは、比色検定におけるキャリブレータはキャリブレーションバーで置き換えることができる。キャリブレーションバーの作成は、透過又は反射した光の量を、既知の濃度を有する分析物によって測定することで達成される。次に、透過又は反射した光の量を、透過又は反射した光の最小及び最大量に対して相対的に表現する。透過又は反射した光の最大量は、反応領域内にいかなる物質も存在しない溶液で得られる。透過又は反射した光の最小量は、遮断された反応領域から透過又は反射された光の量であり得る。遮断は、例えば、一片のブラックテープのような、任意の利用可能な光遮断構造物で媒介することができる。キャリブレーションバーは、ソフトウェア内又は直接ディスク上でのいずれかにより作成され得る。
【0054】
図19及び図20に、それぞれ作成したグルコース及びコレステロールの検量線を示す。検量線の作成の第1工程は、流体流路又は分析チャンバを、既知の濃度を有するキャリブレータで満たすことであった。1つの分析チャンバは、透過され得る最大光を測定するために空のままにされた。別の分析チャンバはブラックテープで遮断され;その流路で測定された電圧は、透過又は反射され得る光の最小を表す。図に示す表は、参照に対するキャリブレータによる、透過した光のパーセンテージを表現する。図示された検量線は、キャリブレータの濃度と透過又は反射した光の量との反比例の関係を表現する。
【0055】
本発明及びその種々の態様は、本発明の譲受人に譲渡された同時係属中の以下の特許出願に開示されている多くのディスク、検定及びシステムにおいて容易に実施され、これらに適合されることができる:1999年8月23日付けで出願された「Methods and Apparatus for Analyzing Operational and Non-operational Data Acquired from Optical Discs」と題する米国出願第09/378,878号、1999年8月23日付けで出願された「Methods and Apparatus for Optical Disc Data Acquisition Using Physical Synchronization Markers」と題する米国仮出願第60/150,288号、1999年10月26日付けで出願された「Trackable Optical Discs with Concurrently Readable Analyte Material」と題する米国出願第09/421,870号、2000年8月21日付けで出願された「Methods and Apparatus for Optical Disc Data Acquisition Using Physical Synchronization Markers」と題する米国出願第09/643,106号、2001年11月15日付けで出願された「Optical Biodiscs with Reflective Layers」と題する米国出願第09/999,274号、2001年11月16日付けで出願された「Methods and Apparatus for Detecting and Quantifying Lymphocytes with Optical Biodiscs」と題する米国出願第09/988,728号、2001年11月19日付けで出願された「Methods and Apparatus for Blood Typing with Optical Bio-discs」と題する米国出願第09/988,850号、2001年11月20日付けで出願された「Apparatus and Methods for Separating Agglutinants and Disperse Particles」と題する米国出願第09/989,684号、2001年11月27日付けで出願された「Dual Bead Assays Including Optical Biodiscs and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第09/997,741号、2001年11月30日付けで出願された「Apparatus and
Methods for Separating Components of Particulate Suspension」と題する米国出願第09/997,895号、2001年12月7日付けで出願された「Optical Discs for Measuring Analytes」と題する米国出願第10/005,313号、2001年12月10日付けで出願された「Methods for Detecting Analytes Using Optical Discs and Optical Disc Readers」と題する米国出願第10/006,371号、2001年12月10日付けで出願された「Multiple Data Layer Optical Discs for Detecting Analytes」と題する米国出願第10/006,620号、2001年12月10日付けで出願された「Optical Disc Assemblies for Performing Assays」と題する米国出願第10/006,619号、2001年12月14日付けで出願された「Detection System For Disc-Based Laboratory and Improved Optical Bio-Disc Including Same」と題する米国出願第10/020,140号、2001年12月21日付けで出願された「Surface Assembly
for Immobilizing DNA Capture Probes and Bead-Based Assay Including Optical Bio-Discs and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/035,836号、2002年1月4日付けで出願された「Dual Bead Assays Including Covalent Linkages for Improved Specificity and Related Optical Analysis Discs」と題する米国出願第10/038,297号、2002年1月10日付けで出願された「Optical Disc Analysis System Including Related Methods for Biological and Medical Imaging」と題する米国出願第10/043,688号、2002年1月14日付けで出願された「Optical Disc Analysis System Including Related Signal Processing Methods and Software」と題する米国仮出願第60/348,767号、2002年2月26日付けで出願された「Methods for DNA Conjugation Onto Solid Phase Including Related Optical Biodiscs and Disc Drive Systems」と題する米国出願第10/086,941号、2002年2月28日付けで出願された「Methods for Decreasing Non-Specific Binding of Beads in Dual Bead Assays Including Related Optical Biodiscs and Disc Drive Systems」と題する米国出願第10/087,549号、2002年3月14日付けで出願された「Dual Bead Assays Using Cleavable Spacers and/or Ligation to Improve Specificity and Sensitivity Including Related Methods and Apparatus」と題する米国出願第10/099,256号、同じく2002年3月14日付けで出願された「Use of Restriction
Enzymes and Other Chemical Methods to Decrease Non-Specific Binding in Dual Bead Assays and Related Bio-Discs, Methods, and System Apparatus for Detecting Medical Targets」と題する米国出願第10/099,266号、2002年4月11日付けで出願された「Multi-Parameter Assays Including Analysis Discs and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/121,281号、2002年5月16日付けで出願された「Variable Sampling Control for Rendering Pixelization of Analysis Results in a Bio-Disc Assembly and Apparatus Relating Thereto」と題する米国出願第10/150,575号、2002年5月16日付けで出願された「Surface Assembly For
Immobilizing DNA Capture Probes in Genetic Assays Using Enzymatic Reactions to Generate Signals in Optical Bio-Discs and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/150,702号、2002年7月12日付けで出願された「Optical Disc
System and Related Detecting and Decoding Methods for Analysis of Microscopic Structures」と題する米国出願第10/194,418号、同じく2002年7月12日付けで出願された「Multi-Purpose Optical Analysis Disc for Conducting Assays and Various Reporting Agents for Use Therewith」と題する米国出願第10/194,396号、2002年7月19日付けで出願された「Transmissive Optical Disc Assemblies
for Performing Physical Measurements and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/199,973号、2002年7月22日付けで出願された「Optical Analysis Disc and Related Drive Assembly for Performing Interactive Centrifugation」と題する米国出願第10/201,591号、2002年7月24日付けで出願された「Method and Apparatus for Bonded Fluidic Circuit for Optical Bio-Disc」と題する米国出願第10/205,011号、同じく2002年7月24日付けで出願された「Magn
etic Assisted Detection of Magnetic Beads Using Optical Disc Drives」と題する米国出願第10/205,005号、2002年8月29日付けで出願された「Methods for Qualitative and Quantitative Analysis of Cells and Related Optical Bio-Disc Systems」と題する米国出願第10/230,959号、2002年8月30日付けで出願された「Capture Layer Assemblies for Cellular Assays Including Related Optical Analysis Discs and Methods」と題する米国特許第10/233,322号、2002年9月6日付けで出願された「Nuclear Morphology Based Identification and Quantification of White Blood Cell Types Using Optical Bio-Disc Systems」と題する米国出願第10/236,857号、2002年9月11日付けで出願された「Methods for Differential Cell Counts Including Related Apparatus and Software for Performing Same」と題する米国出願第10/241,512号、2002年10月24日付けで出願された「Segmented Area Detector for Biodrive and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/279,677号、2002年11月13日付けで出願された「Optical Bio-Discs and Fluidic Circuits for Analysis of Cells and Methods Relating Thereto」と題する米国出願第10/293,214号、2002年11月15日付けで出願された「Methods and Apparatus for Blood Typing with Optical Bio-Discs」と題する米国出願第10/298,263号、2002年11月27日付けで出願された「Magneto-Optical Bio-Discs and Systems Including Related Methods」と題する米国出願第10/307,263号、2003年1月13日付けで出願された「Method and Apparatus for Visualizing Data」と題する米国出願第10/341,326号、2003年1月14日付けで出願された「Methods and Apparatus for Extracting Data From an Optical Analysis Disc」と題する米国出願第10/345,122号、2003年1月15日付けで出願された「Optical Discs Including Equi-Radial and/or Spiral Analysis Zones and Related Disc Drive Systems and Methods」と題する米国出願第10/347,155号、2003年1月17日付けで出願された「Bio-Safe Dispenser and Optical
Analysis Disc Assembly」と題する米国出願第10/347,119号、2003年1月21日付けで出願された「Multi-Purpose Optical Analysis Disc for Conducting Assays and Related Methods for Attaching Capture Agents」と題する米国出願第10/348,049号、2003年1月21日付けで出願された「Processes for Manufacturing Optical Analysis Discs with Molded Microfluidic Structures and Discs Made According Thereto」と題する米国出願第10/348,196号、2003年1月23日付けで出願された「Methods for Triggering Through Disc Grooves and Related Optical Analysis Discs and System」と題する米国出願第10/351,604号、2003年1月23日付けで出願された「Bio-Safety Features for Optical Analysis Discs and Disc System Including Same」と題する米国出願第10/351,280号、2003年1月24日付けで出願された「Manufacturing Processes for Making Optical Analysis Discs Including Successive Patterning Operations and Optical Discs Thereby Manufactured」と題する米国出願第10/351,244号、2003年1月27日付けで出願された「Processes for Manufacturing Optical Analysis Discs with Molded Microfluidic Structures and Discs Made According Thereto」と題する米国出願第10/353,777号、2003年1月28日付けで出願された「Method and Apparatus for Logical Triggering」と題する米国出願第10/353,839号及び2003年1月30日付けで出願された「Methods For Synthesis of Bio-Active Nanoparticles and Nanocapsules For Use in Optical Bio-Disc Assays and Disc Assembly Including Same」と題する米国出願第10/356,666号。
【0056】
<概要の結び>
特定の好ましい実施形態を参照して、本発明を詳細に説明してきたが、本発明は、それらの厳密な実施形態に限定されるものでないことが理解されるべきである。逆に、本発明の現在の最良の形態を説明する本光バイオディスクの開示を考慮すると、当業者には、本
発明の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの変更及び変形が提示されるであろう。したがって、本発明の範囲は、上記説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味するもの及び均等物の範囲内に入るすべての改変、変更及び変形は、特許請求の範囲の範囲内にあるとみなされる。
【0057】
さらに、当業者は、日常的な実験以上のものを用いることなく、本明細書で説明した本発明の特定の実施形態に対する多くの等価形態を認識するか、又は把握することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】バイオディスクシステムのイラスト表現である。
【図2】反射型バイオディスクの分解斜視図である。
【図3】図2に示すディスクの平面図である。
【図4】切り取り部分がディスクの種々の層を示す、図2に示すディスクの斜視図である。
【図5】透過型バイオディスクの分解斜視図である。
【図6】切り取り部分がディスクの半反射層の機能的態様を示す、図5に示すディスクを表す斜視図である。
【図7】薄い金薄膜の厚さと透過との関係を示すグラフ表示である。
【図8】図5に示すディスクの平面図である。
【図9】切り取り部分が、図6に示す半反射層のタイプを含むディスクの種々の層を示す、図5に示すディスクの斜視図である。
【図10】図1のシステムをより詳細に示すブロック斜視図表示である。
【図11】図2、図3、および図4に示す反射型光バイオディスクに形成されたフロー流路を示す、当該反射型光バイオディスクの半径に対して垂直な部分断面図である。
【図12】図5、図8、および図9に示す透過型光バイオディスクに形成されたフロー流路および上部検出器を示す、当該透過型光バイオディスクの半径に対して垂直な部分断面図である。
【図13】図2、図3、および図4に示す反射型光バイオディスクに形成されたウォブル溝を示す当該反射型光バイオディスクの縦方向の部分断面図である。
【図14】図5、図8、および図9に示す透過型光バイオディスクに形成されたウォブル溝および上部検出器を示す当該透過型光バイオディスクの縦方向の部分断面図である。
【図15】反射型ディスクの全体の厚さと、反射型ディスクの初期反射特性とを示す図11と同様の図である。
【図16】透過型ディスクの全体の厚さと、透過型ディスクの初期屈折特性とを示す図12と同様の図である。
【図17A】本発明の等半径流路が組み込まれた反射型バイオディスクの分解斜視図である。
【図17B】図17Aに示すディスクの平面図である。
【図17C】切取り部分が等半径の反射型ディスクの種々の層を示す、図17Aに示すディスクの斜視図である。
【図18A】本発明のe−半径の流路を用いる透過型バイオディスクの分解斜視図である。
【図18B】図18Aに示すディスクの平面図である。
【図18C】切取り部分が等半径の透過型バイオディスクの種々の層を示す、図18Aに示すディスクの斜視図である。
【図19】グルコース検定に関する検量線の作成のグラフ表示である。
【図20】コレステロール検定に関する検量線の作成のグラフ表示である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの分析流路を有するバイオディスクの作製方法であって、
前記バイオディスクの前記少なくとも1つの流路に嵌まる寸法であるか、又は嵌まる寸法にすることができるメンブレンストリップ(membrane strip)を設けること、
前記メンブレンストリップ上の1種類以上の試薬と接触している溶液中に前記メンブレンストリップから前記1種類以上の試薬を放出させる放出効率を有する前記メンブレンストリップに前記1種類以上の試薬を塗布すること、
及び、
前記メンブレンストリップを、前記バイオディスクの前記少なくとも1つの分析流路のうち1つに固定すること、
を含む、バイオディスクの作製方法。
【請求項2】
前記バイオディスクは、約400Å未満の厚さを有する半反射層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイオディスクは、約100〜300Åの厚さを有する半反射層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオディスクは複数の分析流路を有し、複数のメンブレンストリップが前記複数の分析流路内に固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記メンブレンストリップ上にプリントされた前記複数の試薬は、前記固定する工程が実行される前に乾燥される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記メンブレンストリップは吸収性親水性材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記メンブレンストリップは親水性ポリエーテルスルホンから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記メンブレンは約0.2μm以上の直径の孔を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記メンブレンストリップは約3mm×5mm×0.3mmの寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記メンブレンストリップに塗布される前記複数の試薬のそれぞれの容量は、約2〜5μlの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記塗布することは、自動塗布器を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記塗布することは、ピペッターを用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記塗布することは、印刷機器を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記印刷機器はインクジェットプリンタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
比色検定における光学的濃度の変化を定量する装置であって、
1つ又は複数の化合物が堆積された光ディスクと、
前記化合物に放射線が入射するように放射線を放射し、配向するように設計された光学素子と、
1つ又は複数のそれぞれの化合物に対するスペクトル変化を示す値を測定するように設計される検出器と、
該検出器からのスペクトル変化を示す値を受け取り、且つ、1つ又は複数の標的物質の量又は濃度を測定するように設計されるコンピュータ機器と、
を含み、
前記光ディスクは、前記の1つ又は複数の化合物それぞれによるスペクトル変化が、前記1つ又は複数の化合物のそれぞれと接触させられた標的物質の濃度の関数となるように、前記1つ又は複数の化合物は前記標的物質の存在下において1つ又は複数のスペクトル特性が変化する、装置。
【請求項16】
前記検出器は分光光度計を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
サンプルの濃度を測定する方法であって、
既知濃度の物質を有する液体を、光ディスク内の第1の流体流路内に導入すること、
光源と第2の流体流路との間に光遮断構造物を置くこと、
前記第1の流体流路を透過した光の量を検出することにより最大光強度を測定すること、
前記第2の流体流路を透過した光の量を検出することにより最小光強度を測定すること、及び、
第3の流体流路内に存在する標的物質の濃度が、前記第3の流体流路を透過した光の量及び前記最小光強度と前記最大光強度との関係に基づいて決定され得るように、前記最小光強度と前記最大光強度との関係を確立すること、
を含む方法。
【請求項18】
前記最小光強度と前記最大光強度との関係は、比で表わされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第3の流体流路内に存在する前記標的物質の前記濃度は、前記第1の流体流路内の前記物質の前記既知濃度よりも高い、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第3の流体流路内に存在する前記標的物質の前記濃度は、前記第1の流体流路内の前記物質の前記既知濃度よりも低い、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記最小光強度と前記最大光強度との関係は、前記第1の流体流路内の前記物質の前記既知濃度の関数である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記物質の第2の既知濃度又は前記物質の0濃度を有する流体を、前記光ディスク内の第2の流体流路内に導入することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
生物学的サンプル中に存在する1つ又は複数の分析物の量を定量する方法であって、
光ディスクの1つ又は複数の分析領域上又は分析領域内に1つ又は複数の試薬が位置する、光ディスクを提供すること、
前記サンプルが前記光ディスク上の前記1つ又は複数の試薬と接触するように、前記サンプルを前記光ディスクの上又は中に導入すること、
前記光ディスクを一定時間インキュベートすること、
前記サンプルの導入により生じた前記ディスクの少なくとも1部分におけるスペクトル変化を定量すること、及び、
前記定量する工程の結果に基づき、前記サンプル中に存在する前記1つ又は複数の分析物の量を決定すること、
を含む方法。
【請求項24】
前記分析物はグルコース及びコレステロールのいずれか一方である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記分析物はトリグリセリドである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記固定することは、空気蒸発、真空蒸発、酵素固定化、凍結乾燥及び試薬プリントの1つ又は複数により実行される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記サンプルは、血液サンプル及び血漿サンプルのいずれか一方又は両方から成る、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記インキュベートする工程は、約37℃で実行される、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
生物学的サンプル中に存在する1つ又は複数の分析物の量を定量する方法であって、
1つ又は複数の試薬を、光ディスク上のそれぞれ1つ又は複数の分析領域上に固定させること、
前記1つ又は複数の試薬がサンプルと接触するように、前記サンプルを前記光ディスク上にアプライすること、
前記光ディスクを一定時間インキュベートすること、
前記サンプル上に入射するように、既知の波長を有する放射線を放射すること、
各前記1つ又は複数の試薬のそれぞれと接触した前記サンプルを透過した放射線の量を定量すること、及び、
該定量する工程の結果に基づいて、サンプル中に存在する前記1つ又は複数の分析物の量を決定すること、
を含む方法。
【請求項1】
少なくとも1つの分析流路を有するバイオディスクの作製方法であって、
前記バイオディスクの前記少なくとも1つの流路に嵌まる寸法であるか、又は嵌まる寸法にすることができるメンブレンストリップ(membrane strip)を設けること、
前記メンブレンストリップ上の1種類以上の試薬と接触している溶液中に前記メンブレンストリップから前記1種類以上の試薬を放出させる放出効率を有する前記メンブレンストリップに前記1種類以上の試薬を塗布すること、
及び、
前記メンブレンストリップを、前記バイオディスクの前記少なくとも1つの分析流路のうち1つに固定すること、
を含む、バイオディスクの作製方法。
【請求項2】
前記バイオディスクは、約400Å未満の厚さを有する半反射層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイオディスクは、約100〜300Åの厚さを有する半反射層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記バイオディスクは複数の分析流路を有し、複数のメンブレンストリップが前記複数の分析流路内に固定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記メンブレンストリップ上にプリントされた前記複数の試薬は、前記固定する工程が実行される前に乾燥される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記メンブレンストリップは吸収性親水性材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記メンブレンストリップは親水性ポリエーテルスルホンから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記メンブレンは約0.2μm以上の直径の孔を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記メンブレンストリップは約3mm×5mm×0.3mmの寸法を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記メンブレンストリップに塗布される前記複数の試薬のそれぞれの容量は、約2〜5μlの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記塗布することは、自動塗布器を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記塗布することは、ピペッターを用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記塗布することは、印刷機器を用いて実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記印刷機器はインクジェットプリンタを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
比色検定における光学的濃度の変化を定量する装置であって、
1つ又は複数の化合物が堆積された光ディスクと、
前記化合物に放射線が入射するように放射線を放射し、配向するように設計された光学素子と、
1つ又は複数のそれぞれの化合物に対するスペクトル変化を示す値を測定するように設計される検出器と、
該検出器からのスペクトル変化を示す値を受け取り、且つ、1つ又は複数の標的物質の量又は濃度を測定するように設計されるコンピュータ機器と、
を含み、
前記光ディスクは、前記の1つ又は複数の化合物それぞれによるスペクトル変化が、前記1つ又は複数の化合物のそれぞれと接触させられた標的物質の濃度の関数となるように、前記1つ又は複数の化合物は前記標的物質の存在下において1つ又は複数のスペクトル特性が変化する、装置。
【請求項16】
前記検出器は分光光度計を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
サンプルの濃度を測定する方法であって、
既知濃度の物質を有する液体を、光ディスク内の第1の流体流路内に導入すること、
光源と第2の流体流路との間に光遮断構造物を置くこと、
前記第1の流体流路を透過した光の量を検出することにより最大光強度を測定すること、
前記第2の流体流路を透過した光の量を検出することにより最小光強度を測定すること、及び、
第3の流体流路内に存在する標的物質の濃度が、前記第3の流体流路を透過した光の量及び前記最小光強度と前記最大光強度との関係に基づいて決定され得るように、前記最小光強度と前記最大光強度との関係を確立すること、
を含む方法。
【請求項18】
前記最小光強度と前記最大光強度との関係は、比で表わされる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第3の流体流路内に存在する前記標的物質の前記濃度は、前記第1の流体流路内の前記物質の前記既知濃度よりも高い、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第3の流体流路内に存在する前記標的物質の前記濃度は、前記第1の流体流路内の前記物質の前記既知濃度よりも低い、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記最小光強度と前記最大光強度との関係は、前記第1の流体流路内の前記物質の前記既知濃度の関数である、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記物質の第2の既知濃度又は前記物質の0濃度を有する流体を、前記光ディスク内の第2の流体流路内に導入することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
生物学的サンプル中に存在する1つ又は複数の分析物の量を定量する方法であって、
光ディスクの1つ又は複数の分析領域上又は分析領域内に1つ又は複数の試薬が位置する、光ディスクを提供すること、
前記サンプルが前記光ディスク上の前記1つ又は複数の試薬と接触するように、前記サンプルを前記光ディスクの上又は中に導入すること、
前記光ディスクを一定時間インキュベートすること、
前記サンプルの導入により生じた前記ディスクの少なくとも1部分におけるスペクトル変化を定量すること、及び、
前記定量する工程の結果に基づき、前記サンプル中に存在する前記1つ又は複数の分析物の量を決定すること、
を含む方法。
【請求項24】
前記分析物はグルコース及びコレステロールのいずれか一方である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記分析物はトリグリセリドである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記固定することは、空気蒸発、真空蒸発、酵素固定化、凍結乾燥及び試薬プリントの1つ又は複数により実行される、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記サンプルは、血液サンプル及び血漿サンプルのいずれか一方又は両方から成る、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記インキュベートする工程は、約37℃で実行される、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
生物学的サンプル中に存在する1つ又は複数の分析物の量を定量する方法であって、
1つ又は複数の試薬を、光ディスク上のそれぞれ1つ又は複数の分析領域上に固定させること、
前記1つ又は複数の試薬がサンプルと接触するように、前記サンプルを前記光ディスク上にアプライすること、
前記光ディスクを一定時間インキュベートすること、
前記サンプル上に入射するように、既知の波長を有する放射線を放射すること、
各前記1つ又は複数の試薬のそれぞれと接触した前記サンプルを透過した放射線の量を定量すること、及び、
該定量する工程の結果に基づいて、サンプル中に存在する前記1つ又は複数の分析物の量を決定すること、
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2006−520001(P2006−520001A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509186(P2006−509186)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/006825
【国際公開番号】WO2004/079343
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(591177749)長岡実業株式会社 (7)
【出願人】(501074711)バースタイン テクノロジーズ,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/006825
【国際公開番号】WO2004/079343
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(591177749)長岡実業株式会社 (7)
【出願人】(501074711)バースタイン テクノロジーズ,インコーポレイティド (5)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]