説明

光半導体集積素子の製造方法

【課題】斜め光導波路を有する光導波路部にAl及びAsを含む半導体層を含む素子部がバットジョイントされた光半導体集積素子を製造する場合の歩留まりを良くする。
【解決手段】半導体基板の上方に斜め光導波路54を形成するための第1半導体積層構造を成長させる工程と、第1半導体積層構造上にバットジョイント成長用マスク13を形成する工程と、マスク13をエッチングマスクとして用いて第1半導体積層構造を除去する工程と、マスク13を用いてAl及びAsを含む第2半導体層を含む第2半導体積層構造をバットジョイント成長させる工程とを含む光半導体集積素子の製造方法において、マスク13を、光伝播方向に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定される複数の矩形部分13A〜13Gが斜め光導波路54を形成する領域に沿って接合された平面形状を有するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体集積素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、Cバンド帯光通信変調用素子として、LiNbO(LN;Lithium Niobate)変調器が用いられてきたが、近年、小型の半導体マッハツェンダ(MZ;Mach-Zehnder)変調器の研究が進められている。
また、半導体MZ変調器と波長可変レーザとをモノリシックに集積した光半導体集積素子の研究も進められている。
【0003】
そして、このような光半導体集積素子の製造方法としては、選択成長法やバットジョイント法が知られている。
選択成長法は、有機金属気相成長(MOCVD;Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法で成長する半導体層の組成や膜厚が誘電体マスクパターンの幅や面積に依存することを利用して、膜厚や組成の異なる半導体積層体を各領域に同時に成長させる方法である。
【0004】
しかしながら、選択成長法では、積層構造の異なる半導体積層体を各領域に同時に形成することはできない。このため、各領域の設計自由度が低い。
一方、バットジョイント法は、積層構造の異なる半導体積層体を別々に成長させる方法である。つまり、バットジョイント法では、基板上に一の半導体積層体を成長させ、一の領域に誘電体マスクをパターニングし、これをエッチングマスクとしてエッチングした後、他の領域に積層構造の異なる他の半導体積層体をバットジョイント成長させる。このため、各領域の設計自由度が高い。なお、誘電体マスクをバットジョイント成長用マスクともいう。
【0005】
したがって、光半導体集積素子の製造方法として、バットジョイント法が広く用いられている。
ところで、バットジョイント法を用いる場合、歩留まりの観点から、バットジョイントされる領域の間に空洞ができないようにすることやバットジョイントされる領域間の表面に段差ができないようにすることが求められる。
【0006】
このため、例えば、バットジョイントされる領域間の表面に段差ができないようにするために、バットジョイント成長用マスクを形成する前にキャップ層を成長するようにした技術がある。この技術では、キャップ層を成長した後にバットジョイント成長用マスクを形成し、キャップ層にサイドエッチングを入れ、バットジョイント成長用マスクを庇状にした後にバットジョイント成長を行なう。この技術を用いると、サイドエッチングによって形成されるマスクの庇の下側へマスク近傍から原料が拡散することにより、マスク近傍での被り成長を抑制でき、表面に段差ができないようにバットジョイント成長させることができる。つまり、バットジョイントされる領域間の表面に段差ができないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−189523号公報
【特許文献2】特開2009−71067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、バットジョイント法を用いて、斜め光導波路を有する光導波路部にAlGaInAs層を含む半導体積層構造を有する素子部がバットジョイントされた光半導体集積素子を製造する場合、歩留まりが良くないことがわかった。
例えば図11に示すように、バットジョイント成長用マスクとして、光導波路部全体を覆う長方形マスクパターンを有するものを用いると、マスクの被覆率が大きくなるため、選択成長効果を受けやすくなる。これにより、光導波路部と素子部との接合部において成長が速くなり、バットジョイント成長させる素子部の膜厚が変わってしまう。このため、バットジョイント成長させる素子部の半導体積層構造を設計通りに形成するのが困難である。
【0009】
そこで、本発明者は、マスクの被覆率を下げるために、図12に示すようなバットジョイント成長用マスク、即ち、光導波路部に備えられる斜め光導波路に沿った斜めのマスクパターンを有するマスク105を用いて、上述の光半導体集積素子を製造してみた。
つまり、まず、図13(A)に示すように、(100)面InP基板100上に、斜め光導波路を有する光導波路部を形成するための光導波路層101と、InPクラッド層102と、InGaAsPキャップ層103と、InPキャップ層104とを順に成長させた。なお、図13(A)は、光導波路部と素子部との接合部近傍を示す断面図、即ち、図12のa−a′矢視断面図である。
【0010】
次に、InPキャップ層104上に、光導波路部に備えられる斜め光導波路に沿った斜めのマスクパターンを有するバットジョイント成長用マスク105をパターニングした。
そして、このバットジョイント成長用マスク105を用いてウェットエッチングを行なって、InPキャップ層104と、InGaAsPキャップ層103と、InPクラッド層102と、光導波路層101とを除去した。
【0011】
その後、図13(B)に示すように、素子部の半導体積層構造を構成するAlGaInAs活性層106と、InPクラッド層107とを順にバットジョイント成長させた。この場合、AlGaInAs活性層106は、光導波路部を構成する光導波路層101及びInPクラッド層102の脇に這い上がり成長することになる。なお、図13(B)は、光導波路部と素子部との接合部近傍を示す断面図、即ち、図12のa−a′矢視断面図である。
【0012】
このようにして、斜め光導波路を有する光導波路部にAlGaInAs層を含む半導体積層構造を有する素子部がバットジョイントされた光半導体集積素子を製造した。
ところで、ここでは、光導波路部と素子部との接合部[図12のa−a′矢視断面図参照]において、図13(A),(B)に示すように、表面に段差ができないように、ウェットエッチングを行なった。
【0013】
このようにしてウェットエッチングを行なうと、斜め光導波路に沿った斜めのマスクパターンの近傍[図12のb−b′矢視断面図参照]では、図13(C)に示すように、深いサイドエッチングが入ってしまうことがわかった。そして、素子部を構成するAlGaInAs活性層106と、InPクラッド層107とを順にバットジョイント成長させると、図13(D)に示すように、斜めのマスクパターンの近傍でマスクの庇下まで入り込む大きな凹みができてしまうことがわかった。なお、図13(C),(D)は、光導波路部に備えられる斜め光導波路に沿ったマスク近傍(片側)を示す断面図、即ち、図12のb−b′矢視断面図であって、(C)は上述のウェットエッチング後の断面図であり、(D)は上述のバットジョイント成長後の断面図である。
【0014】
つまり、素子部の半導体積層構造を構成するAlGaInAs活性層106と、InPクラッド層107とを再成長させた場合、図13(B)に示すように、光導波路部と素子部との接合部に段差ができないように成長させることができる。
これに対し、斜め光導波路に沿った斜めのマスクパターンの近傍では、図13(C)に示すように、深いサイドエッチングが入る。このため、マスク105の庇下まで十分に原料が拡散せず、図13(D)に示すように、光導波路層101及びInPクラッド層102の脇に這い上がり成長するに留まり、マスク近傍で素子部の半導体積層構造は凹んだ形状になってしまうことがわかった。
【0015】
また、その後、マスク105を除去し、表面全体にInP層(図示せず)の足し積み成長を行なったところ、図14に示すように、斜め光導波路の両側近傍のInP層にクロスハッチと呼ばれる格子緩和が生じているのを確認した。
図14に示すように、クロスハッチは、斜め光導波路の直上には見られず、マスク105の庇下にあった部分から発生している。これは、以下の理由によるものと思われる。つまり、マスク105の庇下の光導波路層101及びInPクラッド層102の側壁の面方位での取り込み量(成長速度)及び各原料の拡散長が、InP基板100の面方位である(100)面での取り込み量及び各原料の拡散長と大きく異なっている。このため、マスク105の庇下の光導波路層101及びInPクラッド層102の脇に這い上がり成長するAlGaInAs活性層106が局所的に大きく歪んだ層となる。この結果、歪みの入ったAlGaInAs活性層106に格子緩和が発生し、これを起点として、足し積み成長されたInP層に格子緩和が発生したためであると思われる。
【0016】
ここでは、[011]方向と斜め光導波路の成す角度、即ち、[011]方向と斜め光導波路に沿った斜めのマスクパターンの成す角度を10度、30度としてみた。いずれの場合も、サイドエッチング量が大きく、InP層を足し積み成長した後にクロスハッチが現れた。
このように、図12に示すようなマスクパターンを有するバットジョイント成長用マスク105を用いた場合、クロスハッチが発生してしまうため、十分な品質を有する光半導体集積素子を歩留まり良く製造するのは困難であることがわかった。
【0017】
なお、ここでは、斜め光導波路を有する光導波路部にAlGaInAs層を含む素子部をバットジョイントする場合の課題として説明しているが、斜め光導波路を有する光導波路部にAl及びAsを含む半導体層を含む素子部をバットジョイントする場合にも同様の課題がある。
そこで、斜め光導波路を有する光導波路部にAl及びAsを含む半導体層を含む素子部がバットジョイントされた光半導体集積素子を製造する場合の歩留まりを良くしたい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このため、本光半導体集積素子の製造方法は、半導体基板の上方に斜め光導波路を形成するための第1半導体積層構造を成長させる工程と、第1半導体積層構造上に第1バットジョイント成長用マスクを形成する工程と、第1バットジョイント成長用マスクをエッチングマスクとして用いて第1半導体積層構造を除去する工程と、第1バットジョイント成長用マスクを用いてAl及びAsを含む第2半導体層を含む第2半導体積層構造をバットジョイント成長させる工程とを含み、第1バットジョイント成長用マスクは、光伝播方向に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定される複数の矩形部分が斜め光導波路を形成する領域に沿って接合された平面形状を有することを要件とする。
【発明の効果】
【0019】
したがって、本光半導体集積素子の製造方法によれば、斜め光導波路を有する光導波路部にAl及びAsを含む半導体層を含む素子部がバットジョイントされた光半導体集積素子を製造する場合の歩留まりを良くすることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A)は、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法によって製造される光半導体集積素子の構成を示す模式図であり、(B)は、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法において用いられるバットジョイント成長用マスクのマスクパターンの一部を示す模式図である。
【図2】(A)〜(C)は、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図3】(A),(B)は、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法において用いられるバットジョイント成長用マスクによる作用を説明するための模式的断面図である。
【図4】本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法によって製造される光半導体集積素子の構成を示す模式的斜視図である。
【図5】(A)〜(D)は、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法の具体例を説明するための模式的断面図である。
【図6】(A)〜(C)は、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法の具体例を説明するための模式的断面図である。
【図7】(A),(B)は、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法の具体例において用いられるバットジョイント成長用マスクのマスクパターンを示す模式図である。
【図8】(A)〜(C)は、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法の具体例を説明するための模式的断面図である。
【図9】本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法の具体例において用いられるメサストライプ形成用マスクのマスクパターンを示す模式図である。
【図10】本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法によって製造される他の光半導体集積素子の構成を示す模式的平面図である。
【図11】本発明の課題を説明するための模式図である。
【図12】本発明の課題を説明するための模式図である。
【図13】(A)〜(D)は、本発明の課題を説明するための模式図である。
【図14】本発明の課題を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面により、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法について、図1〜図9を参照しながら説明する。
本実施形態では、図4に示すような波長可変レーザ及びMZ変調器をモノリシックに集積した光半導体集積素子の製造方法を例に挙げて説明する。
つまり、本実施形態では、波長可変レーザ部50と、斜め光導波路54及びカプラ55を有する光導波路部51と、MZ変調器部52とを含む光半導体集積素子53を、バットジョイント法を用いて製造する方法を例に挙げて説明する。
【0022】
この場合、波長可変レーザ部50に含まれる波長可変レーザ60を構成する半導体積層構造に、光導波路部51に含まれる斜め光導波路54を構成する半導体積層構造がバットジョイントされる。また、光導波路部51に含まれる斜め光導波路54を構成する半導体積層構造に、MZ変調器部52に含まれるMZ変調器61を構成する半導体積層構造がバットジョイントされる。
【0023】
本実施形態では、これまでCバンド帯光通信変調用素子として用いられているLN変調器と互換性を有するものとすべく、MZ変調器を構成する半導体積層構造62に含まれる活性層の材料として、チャープ特性等の駆動条件から、AlGaInAsを用いる。また、斜め光導波路54は、光の進行方向(光伝播方向;光伝搬方向)に対して斜め方向に傾いた斜め光導波路である。
【0024】
本光半導体集積素子53は、以下のような工程を含む。
まず、図2(A)に示すように、InP基板(半導体基板)1上に、例えばMOCVD法を用いて、InGaAsP活性層(導波路コア)2と、InPクラッド層3と、InGaAsPキャップ層4と、InPキャップ層5とを順に成長させる。これにより、InP基板1上に、複数の半導体層2,3,4,5が積層されて、波長可変レーザ60を形成するための半導体積層構造(第3半導体積層構造)6が形成される。なお、InGaAsPキャップ層4及びInPキャップ層5は、庇作製用キャップ層である。
【0025】
次に、図2(B)に示すように、InPキャップ層5上に、斜め光導波路54及びカプラ55を形成するための半導体積層構造12を成長させるのに用いるバットジョイント成長用マスク(第2バットジョイント成長用マスク)7を形成する。
ここでは、バットジョイント成長用マスク7として、例えばSiO等の誘電体マスクを、波長可変レーザ60を形成する直線状に延びる領域(図4参照)に沿ってパターニングする。
【0026】
次いで、バットジョイント成長用マスク7をエッチングマスクとして用いて半導体積層構造6を除去する。つまり、波長可変レーザ部50(図4参照)のマスク7で覆われた部分以外のInPキャップ層5と、InGaAsPキャップ層4と、InPクラッド層3と、InGaAsP活性層2とを例えばウェットエッチングによって除去する。
その後、マスク7を用いて、InP基板1上に、例えばMOCVD法を用いて、InGaAsP光導波路層(導波路コア)8と、InPクラッド層9と、InGaAsPキャップ層10と、InPキャップ層11とを順にバットジョイント成長させる。これにより、InP基板1上に、複数の半導体層8,9,10,11が積層されて、斜め光導波路54及びカプラ55を形成するための半導体積層構造(第1半導体積層構造)12が形成される。この場合、InGaAsP光導波路層8は、波長可変レーザ60を構成するInGaAsP活性層2及びInPクラッド層3の脇に這い上がり成長することになる。なお、InGaAsPキャップ層10及びInPキャップ層11は、庇作製用キャップ層である。
【0027】
続いて、上述のマスク7を除去した後、図2(C)に示すように、InPキャップ層5,11上に、MZ変調器61を形成するための半導体積層構造16を成長させるのに用いるバットジョイント成長用マスク(第1バットジョイント成長用マスク)13を形成する。
次いで、バットジョイント成長用マスク13をエッチングマスクとして用いて半導体積層構造12を除去する。つまり、波長可変レーザ部50及び光導波路部51のマスク13で覆われた部分以外のInPキャップ層11と、InGaAsPキャップ層10と、InPクラッド層9と、InGaAsP光導波路層8とを例えばウェットエッチングによって除去する。
【0028】
その後、バットジョイント成長用マスク13を用いて、例えばMOCVD法によって、InP基板1上に、AlGaInAs活性層(導波路コア)14と、InPクラッド層15とを順にバットジョイント成長させる。これにより、InP基板1上に、複数の半導体層14,15が積層されて、MZ変調器61を形成するための半導体積層構造(第2半導体積層構造)16が形成される。この場合、AlGaInAs活性層14は、斜め光導波路54及びカプラ55を構成するInGaAsP光導波路層8及びInPクラッド層9の脇に這い上がり成長することになる。なお、AlGaInAs活性層14は、Al及びAsを含む第2半導体層とも言う。このため、第2半導体積層構造16は、Al及びAsを含む第2半導体層を含む。また、MZ変調器部52は、Al及びAsを含む半導体層14を含む素子部である。
【0029】
ところで、本実施形態では、図1(A),(B)に示すように、バットジョイント成長用マスク13として、斜め光導波路54及びカプラ55を形成するための領域に沿って、複数の矩形部分13A〜13Gが連なるようにパターニングされたマスクを用いる。なお、バットジョイント成長用マスク13は、例えばSiO等の誘電体マスクである。
この場合、バットジョイント成長用マスク13は、光伝播方向に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定される複数の矩形部分13A〜13Gが斜め光導波路54を形成する領域に沿って接合された平面形状を有する。つまり、マスク13は、斜め光導波路54を形成するための半導体積層構造12を残すためのマスクパターンとして、光伝播方向に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定される複数の矩形部分13A〜13Gを接合したマスクパターンを有する。なお、光伝播方向に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定される矩形部分とは、光導波路部51とMZ変調器部52との境界線に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定される矩形部分である。
【0030】
これは、斜め光導波路54を有する光導波路部51の全体を長方形パターンで覆ってしまうと(図11参照)、マスクの被覆率が大きくなってしまい、MZ変調器61を形成するための半導体積層構造16を成長させる際に選択成長効果を受けやすくなるからである。そこで、斜め光導波路54に沿って複数の矩形状の直線パターン13A〜13Gを繋ぐことで、マスクの被覆率を抑えるようにしている。
【0031】
一方、光伝播方向に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定される複数の矩形部分13A〜13Gを接合したマスクパターンとすることで、光伝播方向に対して斜めになっている箇所がなくなる。これにより、上部にクラッド層やコンタクト層などの半導体層を成長させた場合に、格子緩和によるクロスハッチの発生を防ぐことができる。つまり、斜め光導波路54に沿った斜めのマスクパターンを用いると、サイドエッチング量が多く、マスクの庇下に十分原料が拡散しなくなり、上部に半導体層を成長させた場合にクロスハッチが発生してしまう。これに対し、マスクパターンにおいて、光伝播方向に対して斜めになっている箇所をなくすと、図3(A),(B)に示すように、サイドエッチング量が多くならず、凹みがマスクの庇下までそれほど入り込まなくなる。これにより、上部に半導体層を成長させた場合に、格子緩和によるクロスハッチの発生を回避することができる。なお、図3(A),(B)は、光導波路部51に備えられる斜め光導波路54に沿ったマスク近傍(片側)を示す断面図、即ち、図1(B)のa−a′矢視断面図である。また、図3(A)は半導体積層構造12をウェットエッチングした後の断面図であり、図3(B)は半導体積層構造16をバットジョイント成長させた後の断面図である。
【0032】
また、バットジョイント成長用マスク13は、図1(B)に示すように、さらに、光伝播方向に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定され、矩形部分の角部から光伝播方向に対して直交する方向へ延びる複数の帯状矩形部分13a〜13kを有する。ここでは、複数の矩形部分13A〜13Gのそれぞれの角部に連なるように複数の帯状矩形部分13a〜13kが形成されている。これにより、マスクパターンの矩形部分13A〜13Gの角部における過度なサイドエッチングを抑制することができる。つまり、角度が90度未満となると、その直下ではサイドエッチング速度が非常に速くなる。このため、各矩形部分13A〜13Gの角部に連なるように帯状矩形部分13a〜13kを設けることで、角度が鋭角にならないようにして、過度なサイドエッチングを抑制できるようにしている。
【0033】
このようなマスクパターンを有するバットジョイント成長用マスク13を用いることで、実際にInPクラッド層(図示せず)を足し積み成長した後に表面にクロスハッチが発生しないことを確認した。
このように、上述のバットジョイント成長用マスク13を用いることで、斜め光導波路54を形成するための半導体積層構造12を残しつつ、再成長させる半導体積層構造16を、組成変調を起こしていない化合物半導体層14,15によって形成することができる。この結果、十分な品質を有する光半導体集積素子53を安定的に製造することができるようになり、歩留まりが良くなる。
【0034】
なお、ここでは、斜め光導波路54及びカプラ55を形成するための半導体積層構造12を形成する前に、波長可変レーザ60を形成するための半導体積層構造6が形成されている。このため、バットジョイント成長用マスク13は、光導波路部51において上述のように複数の矩形部分13A〜13Gが連なる平面形状を有するとともに、波長可変レーザ部50も覆うようになっている。
【0035】
以下、本光半導体集積素子の製造方法について、図5〜図8を参照しながら、より具体的に説明する。
まず、図5(A)に示すように、n型(100)面InP基板21上に、例えばMOCVD法によって、InGaAsP活性層22と、p型InPクラッド層23と、p型InGaAsPキャップ層24と、p型InPキャップ層25とを順に成長させる。これにより、n型(100)面InP基板21上に、複数の半導体層22,23,24,25が積層されて、波長可変レーザ60を形成するための半導体積層構造(第3半導体積層構造)26が形成される。なお、p型InGaAsPキャップ層24及びp型InPキャップ層25は、庇作製用キャップ層である。
【0036】
ここでは、n型(100)面InP基板21の表面上には回折格子21Aが形成されている。
また、InGaAsP活性層22は、InGaAsP−SCH(Separate Confinement Heterostructure;光閉じ込め)層22AとInGaAsP−MQW(Multiple Quantum Well;多重量子井戸)層22Bとを含む活性層である。
【0037】
次いで、図5(A)に示すように、p型InPキャップ層25上に、例えばSiO膜を成膜し、例えばリソグラフィー技術によって、バットジョイント成長用マスク(第2バットジョイント成長用マスク;マスクパターン)27を形成する。このバットジョイント成長用マスク27は、斜め光導波路54及びカプラ55を形成するための半導体積層構造12を成長させるのに用いられる。
【0038】
ここでは、バットジョイント成長用マスク27として、図7(A)に示すように、波長可変レーザ部50において波長可変レーザ60を形成する領域(図4参照)に沿って直線状に延びる複数の矩形部分27A,27Bを含む平面形状を有するマスクを用いる。また、バットジョイント成長用マスク27は、矩形部分27A,27Bの角部から延びる帯状矩形部分27a,27bを有する。
【0039】
次に、図5(B)に示すように、バットジョイント成長用マスク27をエッチングマスクとして用いて、波長可変レーザ部50のマスク27で覆われている部分[図7(A)、図4参照]以外の半導体積層構造26を除去する。つまり、波長可変レーザ部50のマスク27で覆われた部分以外のp型InPキャップ層25と、p型InGaAsPキャップ層24と、p型InPクラッド層23と、InGaAsP活性層22とを例えばウェットエッチングによって除去する。
【0040】
その後、図5(C)に示すように、マスク27を用いて、例えばMOCVD法によって、n型InP基板21上に、InGaAsP光導波路層28と、p型InPクラッド層29と、p型InGaAsPキャップ層30と、p型InPキャップ層31とを順にバットジョイント成長させる。これにより、n型InP基板21上に、複数の半導体層28,29,30,31が積層されて、斜め光導波路54及びカプラ55を形成するための半導体積層構造(第1半導体積層構造)32が形成される。なお、p型InGaAsPキャップ層30及びp型InPキャップ層31は、庇作製用キャップ層である。
【0041】
ここでは、InGaAsP光導波路層28は、InGaAsP−SCH層28AとInGaAsPコア層28Bとを含む光導波路層である。
続いて、上述のバットジョイント成長用マスク27を除去する。その後、図5(D)に示すように、p型InPキャップ層25,31上に、再度、例えばSiO膜を成膜し、例えばリソグラフィー技術によって、バットジョイント成長用マスク(第1バットジョイント成長用マスク)33を形成する。このバットジョイント成長用マスク33は、MZ変調器61を形成するための半導体積層構造36を成長させるのに用いられる。
【0042】
ここでは、バットジョイント成長用マスク33として、図7(B)に示すような平面形状を有するマスクを用いる。ここでは、マスク33は、波長可変レーザ部50において波長可変レーザ60を形成する領域(図4参照)に沿って直線状に延びる複数の矩形部分33A,33Bを含む平面形状を有する。また、マスク33は、光導波路部51において斜め光導波路54及びカプラ55を形成する領域に沿って連なる複数の矩形部分33C〜33Kを含む平面形状を有する。なお、ここでは、カプラ55の入力側及び出力側のそれぞれに斜め光導波路54が接続されているため(図4参照)、バットジョイント成長用マスク33は、これらの斜め光導波路54のそれぞれに沿って複数の矩形部分33C〜33E,33G〜33Kが連なる平面形状を有する。
【0043】
本実施形態では、上述のように、半導体基板として(100)面を主面とする(100)面InP基板21を用いている。この場合、斜め光導波路54は、[011]方向に対して傾いた斜め光導波路である。このため、バットジョイント成長用マスク33は、[011]方向及び[0−11]方向のみの直線成分からなる複数の矩形部分33C〜33E,33G〜33Kが斜め光導波路54を形成する領域(図4参照)に沿って連なるように接合された平面形状を有する。また、波長可変レーザ60及びカプラ55は、[011]方向に直線状に延びている。このため、バットジョイント成長用マスク33は、波長可変レーザ60及びカプラ55を形成する領域において、[011]方向及び[0−11]方向のみの直線成分からなる矩形部分33A,33B,33Fを含む平面形状を有する。そして、これらの矩形部分33A,33B,33Fが斜め光導波路54を形成する領域に沿って設けられる複数の矩形部分33C〜33E,33G〜33Kに連なるように接合されている。なお、[0−11]方向に延びる直線は、光伝播方向に対して直交する直線である。つまり、[0−11]方向に延びる直線は、光導波路部51とMZ変調器部52との境界線に対して平行な直線である。また、[011]方向に延びる直線は、光伝播方向に対して平行な直線である。つまり、[011]方向に延びる直線は、光導波路部51とMZ変調器部52との境界線に対して直交する直線である。
【0044】
また、バットジョイント成長用マスク33は、さらに、[011]方向及び[0−11]方向のみの直線成分から成り、矩形部分33A〜33Kの角部から[0−11]方向へ延びる帯状矩形部分33a〜33hを有する。
次いで、図6(A)に示すように、バットジョイント成長用マスク33をエッチングマスクとして用いて、マスク33で覆われている部分[図7(B)、図4参照]以外の半導体積層構造32を除去する。つまり、波長可変レーザ部50及び光導波路部51のマスク33で覆われた部分以外のp型InPキャップ層31と、p型InGaAsPキャップ層30と、p型InPクラッド層29と、InGaAsP光導波路層28とを例えばウェットエッチングによって除去する。
【0045】
その後、図6(B)に示すように、バットジョイント成長用マスク33を用いて、例えばMOCVD法によって、n型(100)面InP基板21上に、AlGaInAs活性層34と、p型InPクラッド層35とを順にバットジョイント成長させる。この場合、光導波路部51とMZ変調器部52との境界部分は適当な量のサイドエッチングが施されているため、表面に段差ができることなく、良好に成長させることが可能である。これにより、n型(100)面InP基板21上に、複数の半導体層34,35が積層されて、MZ変調器61を形成するための半導体積層構造(第2半導体積層構造)36が形成される。なお、AlGaInAs活性層34は、Al及びAsを含む第2半導体層とも言う。このため、第2半導体積層構造36は、Al及びAsを含む第2半導体層を含む。また、MZ変調器部52は、Al及びAsを含む半導体層34を含む素子部である。
【0046】
そして、バットジョイント成長用マスク33を除去した後、図6(C)に示すように、例えばMOCVD法によって、全面に、p型InPクラッド層37、p型InGaAsコンタクト層38を順に成長させる。このようにして成長させたp型InGaAsコンタクト層38の表面にはクロスハッチが存在せず、良好に成長させることができていた。
ところで、本実施形態では、上述のバットジョイント成長用マスク33を用いたエッチングを行なう際に、光導波路部51とMZ変調器部52との境界部(接合部)、即ち、[011]方向において最適なエッチングが行なわれるようにする。
【0047】
本実施形態では、上述のように、バットジョイント成長用マスク33は、[011]方向と[0−11]方向の間の角度を持つ、斜めになっている箇所がないため、[011]方向と[0−11]方向のマスク近傍におけるサイドエッチング量のみを考慮すれば良い。そして、[011]方向において最適なエッチングを行なう場合、[0−11]方向では[011]方向と比較して大きなサイドエッチングが入る。しかしながら、斜め光導波路54に沿った斜めのマスクパターンを用いた場合に見られたような非常に大きなサイドエッチング量とはならない[図13(C)参照]。つまり、[011]方向において最適なエッチングを行なう場合に、これ以外の方向に入るサイドエッチング量を低減することができる。また、バットジョイント成長用マスク33には、矩形部分33A〜33Kの角部から[0−11]方向へ延びる帯状矩形部分33a〜33hが設けられているため[図7(B)参照]、角度が90度未満となる角部での過度なサイドエッチングを抑制することができる。これにより、AlGaInAs活性層34に格子緩和が発生するのを回避することができ、さらには、上部に足し積み成長させるp型InPクラッド層37及びp型InGaAsコンタクト層38に格子緩和が発生するのを回避することができる。この結果、p型InPクラッド層37及びp型InGaAsコンタクト層38にクロスハッチが発生しないようにすることができる。したがって、十分な品質を有する光半導体集積素子53を安定的に製造することができるようになり、歩留まりが良くなる。
【0048】
次に、図8(A)に示すように、例えばSiO膜を成膜し、例えばリソグラフィー技術によって、メサストライプ形成用マスク39(マスクパターン)を形成する。
ここでは、メサストライプ形成用マスク39として、図9に示すようなマスクを用いる。つまり、マスク39として、波長可変レーザ60、斜め光導波路54及びMZ変調器61が所望の導波路幅(例えば幅1.4μm)を有するものとなるように、所望の導波路幅よりも広い幅(例えば幅3.9μm)を有する平面形状を有するマスクを用いる。また、マスク39は、斜め光導波路54に沿った斜めのマスクパターンを有する。なお、上述のバットジョイント成長用マスク33は、メサストライプ形成用マスク39よりも幅が広くなっている。
【0049】
そして、図8(A)に示すように、このメサストライプ形成用マスク39を用いて、例えばドライエッチングによって、例えば幅1〜2μmのメサストライプ構造40を形成する。
本実施形態では、このドライエッチングの際に、バットジョイント成長用マスク33によって複数の矩形部分が連なるように残されていた半導体積層構造32が、設計通りの形状に加工されることになる。なお、この段階では、半導体積層構造32はInGaAsP光導波路層28及びp型InPクラッド層29からなる。つまり、波長可変レーザ60、斜め光導波路54、カプラ55及びMZ変調器61が、設計通りの形状に形成されることになる。
【0050】
その後、図8(B),図4に示すように、例えばMOCVD法によって、波長可変レーザ部50のメサストライプ構造40の脇を半絶縁性InP層41で埋め込む。
そして、メサストライプ形成用マスクパターン39を除去した後、図8(C)に示すように、表面側に波長可変レーザ用p側電極42及びMZ変調器用p側電極43を形成するとともに、基板裏面側にn側電極44を形成する。
【0051】
このようにして、波長可変レーザ部50と、斜め光導波路54及びカプラ55を有する光導波路部51と、MZ変調器部52とを備える光半導体集積素子53が製造される。
したがって、本実施形態にかかる光半導体集積素子の製造方法によれば、斜め光導波路54を有する光導波路部51にAl及びAsを含む半導体層14,34を含む素子部52がバットジョイントされた光半導体集積素子53を製造する場合の歩留まりを良くすることができるという利点がある。
【0052】
特に、(100)面InP基板21上に、[011]方向から傾いた斜め光導波路54にAlGaInAs活性層14,34を含むMZ変調器61をバットジョイントした光半導体集積素子53を、高品質で、歩留まり良く製造することが可能となる。この結果、LN変調器と互換性を有するMZ変調器61と、波長可変レーザ60とを集積した光半導体集積素子53を歩留まり良く製造することが可能となる。
【0053】
なお、本発明は、上述した実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
例えば、上述の実施形態では、波長可変レーザ部50と、斜め光導波路54を有する光導波路部51と、MZ変調器部52とを備える光半導体集積素子53を、バットジョイント法を用いて製造する場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。本発明は、斜め光導波路を有する光導波路部にAl及びAsを含む半導体層を含む素子部がバットジョイントされた光半導体集積素子の製造方法に対して、広く適用することができる。
【0054】
例えば、導波路コアの構造が異なる複数の領域を備える光半導体集積素子の製造方法であって、最後に形成される領域以外の領域に斜め光導波路が存在する場合に、本発明を適用することができる。
また、例えば図10に示すように、8チャネルSOA(Semiconductor Optical Amplifier)部70と、斜め光導波路73を含む光導波路74及びカプラ75を含む光導波路部71と、1チャネルSOA部72とを備える集積型SOAに、本発明を適用することもできる。つまり、斜め光導波路73を含む集積型SOA76において、8チャネルSOA部又は1チャネルSOA部78に含まれるSOA77,78の活性層をAlGaInAs活性層とし、バットジョイント法を用いて製造する場合に本発明を適用可能である。なお、集積型SOAを光半導体集積素子ともいう。また、斜め光導波路73を含む光導波路74及びカプラ75は、例えばInGaAsP光導波路層を含むものとすれば良い。
【0055】
この場合、2つの製造方法がある。
第1の製造方法では、まず、8チャネルSOA部70に含まれる各SOA77を形成するための半導体積層構造を成長させる。次に、斜め光導波路73を含む光導波路74及びカプラ75を形成するための半導体積層構造をバットジョイント成長させる。最後に、1チャネルSOA部72に含まれるSOA78を形成するための半導体積層構造をバットジョイント成長させる。そして、最後の1チャネルSOA部72に含まれるSOA78を形成するための半導体積層構造を成長させる際に用いるバットジョイント成長用マスクとして、上述の実施形態のバットジョイント成長用マスクを用いれば良い。つまり、斜め光導波路73を形成する領域の半導体積層構造を残し、1チャネルSOA部72に含まれるSOA78のAlGaInAs活性層をバットジョイント成長する際に用いるバットジョイント成長用マスクとして、斜め光導波路73に沿って連なる複数の矩形部分を有するマスクを用いれば良い。
【0056】
第2の製造方法では、まず、1チャネルSOA部72に含まれるSOA78を形成するための半導体積層構造を成長させる。次に、斜め光導波路73を含む光導波路74及びカプラ75を形成するための半導体積層構造をバットジョイント成長させる。最後に、8チャネルSOA部70に含まれる各SOA77を形成するための半導体積層構造をバットジョイント成長させる。そして、最後の8チャネルSOA部70に含まれる各SOA77を形成するための半導体積層構造を成長させる際に用いるバットジョイント成長用マスクとして、上述の実施形態のバットジョイント成長用マスクを用いれば良い。つまり、斜め光導波路73を形成する領域の半導体積層構造を残し、8チャネルSOA部70に含まれるSOA77のAlGaInAs活性層をバットジョイント成長する際に用いるバットジョイント成長用マスクとして、斜め光導波路73に沿って連なる複数の矩形部分を有するマスクを用いれば良い。
【0057】
このように、斜め光導波路73を有する光導波路部71にAlGaInAs活性層を含むSOA77(78)がバットジョイントされた集積型SOA76を製造する場合の歩留まりを良くすることができる。
また、上述の実施形態では、斜め光導波路54を有する光導波路部51にバットジョイントされるAl及びAsを含む半導体層をAlGaInAs層14,34としているが、これに限られるものではなく、例えばInAlAs等のAl及びAsを含む半導体層であれば良い。つまり、バットジョイント成長させる導波路コアの材料として、Al及びAsを含む化合物半導体混晶を用いれば良い。
【0058】
また、上述の実施形態では、波長可変レーザ部50のメサストライプ構造の脇に半絶縁性InP層41を埋め込み成長するようにしているが、これに限られるものではない。例えば、波長可変レーザ部だけではなく、光導波路部やMZ変調器部のメサストライプ構造の脇にも半絶縁性InP層を埋め込み成長するようにしても良い。また、半絶縁性InP層を埋め込み成長することで埋込構造を有するものとしているが、これに限られるものではなく、リッジ構造を有するものとしても良い。この場合、メサストライプ形成時にリッジ状に加工し、メサストライプ形成用マスクパターンを除去した後、表面側に波長可変レーザ用p側電極とMZ変調器用p側電極を形成するとともに、基板裏面側にn側電極を形成するようにすれば良い。
【符号の説明】
【0059】
1 InP基板(半導体基板)
2 InGaAsP活性層(導波路コア)
3 InPクラッド層
4 InGaAsPキャップ層
5 InPキャップ層
6 波長可変レーザを形成するための半導体積層構造(第3半導体積層構造)
7 バットジョイント成長用マスク(第2バットジョイント成長用マスク)
8 InGaAsP光導波路層(導波路コア)
9 InPクラッド層
10 InGaAsPキャップ層
11 InPキャップ層
12 斜め光導波路及びカプラを形成するための半導体積層構造(第1半導体積層構造)
13 バットジョイント成長用マスク(第1バットジョイント成長用マスク)
13A〜13G 矩形部分
13a〜13k 帯状矩形部分
14 AlGaInAs活性層(導波路コア)
15 InPクラッド層
16 MZ変調器を形成するための半導体積層構造(第2半導体積層構造)
21 n型(100)面InP基板
21A 回折格子
22 InGaAsP活性層
22A InGaAsP−SCH層
22B InGaAsP−MQW層
23 p型InPクラッド層
24 p型InGaAsPキャップ層
25 p型InPキャップ層
26 波長可変レーザを形成するための半導体積層構造(第3半導体積層構造)
27 バットジョイント成長用マスク(第2バットジョイント成長用マスク)
27A,27B 矩形部分
27a,27b 帯状矩形部分
28 InGaAsP光導波路層
28A InGaAsP−SCH層
28B InGaAsPコア層
29 p型InPクラッド層
30 p型InGaAsPキャップ層
31 p型InPキャップ層
32 斜め光導波路及びカプラを形成するための半導体積層構造(第1半導体積層構造)
33 バットジョイント成長用マスク(第1バットジョイント成長用マスク)
33A〜33K 矩形部分
33a〜33h 帯状矩形部分
34 AlGaInAs活性層
35 p型InPクラッド層
36 MZ変調器を形成するための半導体積層構造(第2半導体積層構造)
37 p型InPクラッド層
38 p型InGaAsコンタクト層
39 メサストライプ形成用マスク
40 メサストライプ構造
41 半絶縁性InP層
42 波長可変レーザ用p側電極
43 MZ変調器用p側電極
44 n側電極
50 波長可変レーザ部
51 光導波路部
52 MZ変調器部
53 光半導体集積素子
54 斜め光導波路
55 カプラ
60 波長可変レーザ
61 MZ変調器
62 MZ変調器を構成する半導体積層構造
70 8チャネルSOA部
71 光導波路部
72 1チャネルSOA部
73 斜め光導波路
74 光導波路
75 カプラ
76 集積型SOA(光半導体集積素子)
77,78 SOA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上方に斜め光導波路を形成するための第1半導体積層構造を成長させる工程と、
前記第1半導体積層構造上に第1バットジョイント成長用マスクを形成する工程と、
前記第1バットジョイント成長用マスクをエッチングマスクとして用いて前記第1半導体積層構造を除去する工程と、
前記第1バットジョイント成長用マスクを用いてAl及びAsを含む第2半導体層を含む第2半導体積層構造をバットジョイント成長させる工程とを含み、
前記第1バットジョイント成長用マスクは、光伝播方向に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定される複数の矩形部分が前記斜め光導波路を形成する領域に沿って接合された平面形状を有することを特徴とする光半導体集積素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1バットジョイント成長用マスクが、さらに、前記光伝播方向に対して平行な直線及び直交する直線のみによって規定され、前記矩形部分の角部から前記光伝播方向に対して直交する方向へ延びる複数の帯状矩形部分を有することを特徴とする、請求項1に記載の光半導体集積素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1半導体積層構造を成長させる工程の前に、
前記半導体基板の上方に第3半導体積層構造を成長させる工程と、
前記第3半導体積層構造上に第2バットジョイント成長用マスクを形成する工程と、
前記第2バットジョイント成長用マスクをエッチングマスクとして用いて前記第3半導体積層構造を除去する工程とをさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光半導体集積素子の製造方法。
【請求項4】
前記半導体基板は、(100)面InP基板であり、
前記斜め光導波路は、[011]方向に対して傾いた斜め光導波路であり、
前記光伝播方向に対して平行な直線は、[011]方向に延びる直線であり、
前記光伝播方向に対して直交する直線は、[0−11]方向に延びる直線であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光半導体集積素子の製造方法。
【請求項5】
前記Al及びAsを含む第2半導体層は、AlGaInAs層又はInAlAs層であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光半導体集積素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図3】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−109030(P2011−109030A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265387(P2009−265387)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】