説明

光学デバイス

【課題】回路基板等の平坦面にフリップチップ実装することができる小型の光学デバイス1を提供する。
【解決手段】光学デバイス1は、光学的に活性な活性領域7と第一電極10を有する第一面5と第一面5の反対側に第二面6を有する光学素子4と、中央に窪み3を有し、窪み3の底面8の側に第一面5を向け、窪み3の開口側の上端面23から第二面6が突出しないように光学素子4を収納する収納部材2とを備え、収納部材2は、その底面8であり活性領域7に対面する領域が透明領域9であり、底面8に第一電極10と電気的に接続する第二電極11と、上端面に前記第二電極11と電気的に接続する第三電極12を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子や受光素子等の光学素子とこれを収納する収納部材からなる光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光素子や受光素子等の光学素子はパッケージに収納されて光学デバイスとして利用されている。これらの光学素子は、発光面や受光面等の活性面と同じ表面に駆動用の電極が形成されている。そのため、光学素子の活性面側から電気的に接続する必要があり、光学素子や収納部材の他に光学素子と収納部材とを電気的に接続するボンディングワイヤや収納部材を光学素子の活性面側からキャップする透明キャップ材を必要とした。その結果、部品点数が多くなるとともに製造工数がかかりコスト高となった。そこで、部品点数を減らして製造工数を少なくした光学デバイスが求められている。
【0003】
特許文献1には、部品点数を減らした光学素子が記載されている。図11は光学素子としての撮像素子をガラス基板に貼りつけた固体撮像素子の断面模式図である(特許文献1の図1)。固体撮像素子101は、撮像素子102と光学ガラス配線基板103から構成される。撮像素子102の上面に有効撮像領域104が形成され、その周囲に複数の電極パッド105が形成され、その電極パッド105の上面にはバンプ等の突起電極106が形成されている。光学ガラス配線基板103は、光学ガラス板107の裏側に配線パターン108が形成され、この配線パターン形成面の略中央に接合材料109を介して撮像素子102が接合されている。そして、光学ガラス板107の裏側において配線パターン108の一端と撮像素子102の電極パット105とが突起電極106を介してフリップチップ方式で電気的に接続される。接合材料109は、撮像素子102の有効撮像領域104を除いた素子周縁領域に形成され、有効撮像領域104と光学ガラス配線基板103との間には突起電極106の高さ分の中空領域(隙間)が形成されている。このように構成することにより、部品点数を減らし製造工数を少なくしてコストダウンを図ることができる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-17986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の光学素子は、撮像素子102が光学ガラス配線基板103の背面側に突出して接合され、撮像素子102に駆動信号を供給するための配線パターン108は光学ガラス板107の裏側に形成されている。そのため、この光学素子を回路基板等の平坦面に実装しようとすると、光学素子と平坦面との間に実装用基板を設け、この実装用基板を介して配線パターン108と平坦面の電極との間を電気的に接続する必要がある。その結果、部品点数が増加するとともに製造工数が増えてコスト高となる。本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、小型で回路基板等に実装が容易な光学デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光学デバイスは、光学的に活性な活性領域と第一電極を有する第一面と前記第一面の反対側に第二面を有する光学素子と、中央に窪みを有し、前記窪みの底面の側に前記第一面を向け、前記窪みの開口側の上端面から前記第二面が突出しないよう前記光学素子を収納する収納部材と、を備え、前記収納部材は、前記活性領域に対面する前記窪みの底部の領域が透明領域であり、前記底面に前記第一電極と電気的に接続する第二電極と、前記上端面に前記第二電極と電気的に接続する第三電極を有することとした。
【0007】
また、前記窪みの内側面は、前記第二電極と前記第三電極とを電気的に接続する側面電極を有することとした。
【0008】
また、前記側面電極の電極面は、前記底面に対して60°を超えない傾斜角を有することとした。
【0009】
また、前記内側面は、前記底面に対して傾斜する傾斜路を有し、前記傾斜路の路面上に前記側面電極が形成されていることとした。
【0010】
また、前記傾斜路は、前記底面から前記上端面にかけて葛折り状の形状を有することとした。
【0011】
また、前記側面電極はナノ金属粒子を塗布して形成されることとした。
【0012】
また、前記底面は、前記活性領域を囲む土手を有することとした。
【0013】
また、前記第一面は、前記土手により囲まれる領域を除いてモールド材によりモールドされていることとした。
【0014】
また、前記光学素子は、前記第一面に前記活性領域に隣接して第二の活性領域を有し、前記収納部材は、前記第二の活性領域に対面する前記底部の領域が第二の透明領域であることとした。
【0015】
また、機能性素子と、前記機能性素子を前記窪みの側に有し、前記上端面に接合される機能性素子基板とを更に備え、前記機能性素子基板は貫通電極を有し、前記機能性素子は前記貫通電極に電気的に接続し、前記貫通電極は前記第三電極に電気的に接続することとした。
【0016】
また、前記機能性素子は、前記光学素子の側に光学的に活性な第二の活性領域を有し、前記収納部材は、前記第二の活性領域に対面する前記底部の領域が第二の透明領域であることとした。
【発明の効果】
【0017】
本発明による光学デバイスは、光学的に活性な活性領域と第一電極を有する第一面と第一面の反対側に第二面を有する光学素子と、中央に窪みを有し、窪みの底面の側に第一面を向け、窪みの開口側の上端面から第二面が突出しないよう光学素子を収納する収納部材と、を備え、収納部材は、活性領域に対面する窪みの底部の領域が透明領域であり、底面に第一電極と電気的に接続する第二電極と、上端面に第二電極と電気的に接続する第三電極を有する構成とした。これにより、収納部材から光学素子が突出しないので、光学デバイスを回路基板等の平坦面に実装用基板を介在させることなく容易に設置することができる。また、収納部材の窪みの上端面に第三電極を設けたので、光学デバイスを回路基板等にフリップ・チップ・ボンディング(以下、フリップチップ実装、という。)することができ、光学デバイスの実装後の容積を小さく構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態に係る光学デバイスの縦断面模式図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る光学デバイスの収納部材の平面模式図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る光学デバイスの縦断面模式図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る光学デバイスの収納部材の平面模式図である。
【図5】本発明の第三実施形態に係る光学デバイスの縦断面模式図である。
【図6】本発明の第三実施形態に係る光学デバイスを説明するための図である。
【図7】本発明の第三実施形態に係る光学デバイスの収納部材の模式的な斜視図である。
【図8】本発明の第四実施形態に係る光学デバイスの断面模式図である。
【図9】本発明の第五実施形態に係る光学デバイスの断面模式図である。
【図10】本発明の第六実施形態に係る光学デバイスの断面模式図である。
【図11】従来公知の光学デバイスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る光学デバイス1の縦断面模式図である。光学デバイス1は、光学素子4と収納部材2を備えている。光学素子4は、光学的に活性な活性領域7と第一電極10とを有する第一面5と、この第一面5の反対側に第二面6を有している。収納部材2は、中央に窪み3を有し、上記第一面5が窪み3の底面8に対面し、上記第二面6が窪み3の開口側の上端面23から突出しないように光学素子4を収納する。収納部材2は、上記活性領域7に対面する窪み3の底部の領域が透明領域9であり、底面8に第一電極10と電気的に接続する第二電極11と、上端面23に第二電極11と電気的に接続する第三電極12を有している。ここで、第二電極11は第三電極12と窪み3の内側面に形成した側面電極14を介して電気的に接続している。
【0020】
図2は、図1に示す収納部材2を窪み3の開口側から見た平面模式図である。図1に示す光学デバイス1は、部分AAの断面に相当する。窪み3の底部に設置した透明領域9は底面8の略中央に位置する。収納部材2は、底面8の四隅に第二電極11を備え、窪み3の上端面23の四隅に第三電極12を備え、窪み3の内側面13に側面電極14を備えている。内側面13は底面8に対して傾斜している。第二電極11とこの第二電極11に近接する第三電極12は側面電極14を介して電気的に接続する。
【0021】
この構成により、光学デバイス1の上端面23の側に光学素子4が突出することがないので、回路基板等の平坦面に光学デバイス1を容易に設置することができる。また、窪み3の上端面23に第三電極12を設けたので、実装しようとする回路基板等との間の電気的接続が容易となる。即ち、光学デバイス1を回路基板等に実装用基板を必要としないで容易にフリップチップ実装することができる。また、収納部材2の底部の外表面は平坦面なので、他の部材、例えばフィルター等を容易に設置することができる。
【0022】
光学素子4として、発光ダイオード等の発光素子やフォトダイオード、イメージセンサ等の受光素子を使用することができる。活性領域7は、光学素子4が発光素子の場合はその発光面であり、光学素子4が受光素子の場合はその受光面である。光学素子4は、活性領域7が形成される第一面5に駆動用の第一電極10が形成されている。収納部材2として、ガラス材料やプラスチック材料を使用することができる。ガラス材料として、ソーダガラス、硬質ガラス、石英、アルミナガラス、各種セラミックス等を使用することができる。プラスチック材料として、エポキシ系樹脂、ガラスエポキシ樹脂、アラミド不織布、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂等を使用することができる。また、表面に絶縁膜を形成した金属材料を使用することができる。窪み3は、型成形法により形成することができる。窪み3の底面部に形成する透明領域9は、光学素子4が発光し又は受光する光の波長に対して透明である。
【0023】
第二電極11、第三電極12及び側面電極14は、印刷法、めっき法、蒸着法、スパッタ法、インクジェット法等により導体を堆積して形成することができる。回路基板の配線材料として通常用いられる材料を使用することができ、例えば金、銀、銅、ニッケル、クロム、アルミニウム等の単体、或いはこれらを積層して用いることができる。第一面5に形成した第一電極10と窪み3の底面に形成した第二電極11とは導電接着材により電気的に接続することができる。また、第一電極10をバンプによる突起電極とし、光学素子4を窪み3の底面8にフリップチップ実装して第二電極11と電気的に接続することができる。突起電極として、金、銅、はんだ等とすることができる。
【0024】
なお、光学デバイス1を回路基板等に実装する際に窪み3の内側を外部から密閉することができる。また、光学素子4の第二面6側にモールド材を充填し、第一面5の活性領域7を外部から密閉することができる。この場合も、モールド材は窪み3の上端面から突出しないようにモールドする。また、モールド材として黒色の材料を使用すれば、背面側からのノイズ光や漏れ光を遮蔽することができる。また、土手22、透明領域9、活性領域7の位置、形状は図3又は図4に示すものに限定されない。また、底面8、上端面23及び内側面13のそれぞれに4個所電極を形成したが、これら電極の形成個所を変更する或いは形成数を増減することができることはいうまでもない。
【0025】
(第二実施形態)
図3は、本発明の第二実施形態に係る光学デバイス1の縦断面模式図である。図4は、図3に示す収納部材2を窪み3の開口側から見た平面模式図である。図3に示す光学デバイス1は、部分BBの断面に相当する。第一実施形態と異なる点は窪み3の底面に土手22を設置した点及び光学素子4の第二面6側をモールド材16によりモールドした点であり、その他は第一実施形態と同様である。従って、以下、主に異なる部分について説明する。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0026】
収納部材2の窪み3の底面8には光学素子4の活性領域7を囲むように土手22が形成されている。土手22の上端面は光学素子4の第一面5に当接又は近接している。土手22は透明領域9の底面8側に露出する露出面を取り囲んでいる。第一面5に形成した第一電極10は、バンプから成り突起形状を有し、光学素子4を底面8にフリップチップ実装して第二電極11と電気的に接続する。光学素子4はモールド材16によりモールドされている。モールド材16は光学素子4の第二面6から第一面5にかけて回り込んでいる。土手22は活性領域7の周囲を取り囲み、モールド材16の活性領域7への浸入を防いでいる。即ち、第一面5は土手22により囲まれる領域を除いてモールド材16によりモールドされている。その他、収納部材2の材料や光学素子4は第一実施形態と同様に構成することができる。なお、土手22はモールド材16が活性領域7に流れ込むことを防止するとともに、フリップチップ実装の際に接着剤が活性領域7に流れ込むことも防止する。この流れ込み防止機能は、土手22の上端面が光学素子4の第一面5に当接している場合の他に近接している場合でも有効である。モールド材や接着剤には粘性があるので、土手22の上端面と第一面5との間に多少隙間が生じてもモールド材や接着剤は活性領域7側に浸入しない。
【0027】
このように、第一電極10及び第二電極11がモールドされるので腐食等に基づく断線を防止することができる。モールド材16として黒色の材料を使用すれば、背面側からのノイズ光や漏れ光を遮蔽することができる。これにより、信頼性の高い光学デバイス1を形成することができる。更に、光学デバイス1の背面側に光学素子4が突出しないので回路基板等の平坦面に容易にフリップチップ実装することができる。
【0028】
(第三実施形態)
図5、図6及び図7は、本発明の第三実施形態に係る光学デバイス1を説明するための図である。図5は光学デバイス1の縦断面模式図であり、図6(a)は収納部材2を窪み3の開口側から見た平面模式図であり、図6(b)は部分DDの断面から上方を見た状態を表す模式図であり、図7は収納部材2の模式的な斜視図である。
【0029】
図5は、図6(a)に示す収納部材2の部分CCの縦断面に相当する。光学デバイス1は、光学素子4と収納部材2とを備えている。光学素子4は、光学的に活性な活性領域7と図示しない第一電極とを有する第一面5と、この第一面5の反対側に第二面6を有している。収納部材2は、窪み3を有し、第一面5が窪み3の底面8に対面し、第二面6が窪み3の開口側の上端面23から突出しないように光学素子4を収納する。
【0030】
収納部材2は、活性領域7に対面する窪み3の底部の領域が透明領域9であり、この活性領域7を取り囲むように底面8から突出する土手22を備えている。収納部材2は、底面8に第一電極と電気的に接続する第二電極11と、上端面23に第二電極11と電気的に接続する第三電極12と、内側面13に第二電極11と第三電極12とを電気的に接続する側面電極14を備えている。収納部材2の内側面13は底面8から上端面23に伸びる傾斜路15を備え、傾斜路15の上面(路面)に側面電極14が形成されている。第二電極11は底面8の4つの角に設置され、第三電極12は上端面23の4つの角の近傍に設置され、側面電極14は4つの内側面13(図6(a)の平面図において、上内側面13a、右内側面13b、下内側面13c、左内側面13dという。)に設置されている。そして、左上角の第二電極11と右上角の第三電極12とは上内側面13aに形成した側面電極14を介して電気的に接続される。同様に、右上角の第二電極11と右下角の第三電極12とは右内側面13bに形成した側面電極14を介して電気的に接続されている。その他の角に形成した第二電極11、第三電極12及び内側面13c、13dに形成した側面電極14も同様に構成されている。
【0031】
ここで、第二電極11、第三電極12及び側面電極14をインクジェット方式により液状の導電材料を吐出させて収納部材2に塗布し、その後乾燥・焼結させて形成することができる。例えばペースト状のナノ金属粒子をインクジェット方式で窪み3の底面8、上端面23及び内側面13に塗布し、その後乾燥、焼成してナノ金属粒子に基づく第二電極11、第三電極12及び側面電極14を形成することができる。ナノ金属粒子として金、銀又は銅を主成分とする材料を使用することができる。インクジェット方式は、窪み3の上端面23、内側面13及び底面8のように高低差のある場所に高精度の形状の電極パターンを形成することができる。また、インクジェット方式によれば蒸着法やスパッタ法よりも膜厚を厚く形成できるので、低抵抗の電極を形成することができる。更に、被塗布体の形状や基準位置を認識しながら必要な個所に電極パターンを形成することができるので、電極形成時の基板間に形状誤差が発生する場合や設計変更等の場合に容易に対応することができる。また、ナノ金属粒子にガラスフリットを混ぜてガラス基板等との間の密着性を向上させることができる。また、ナノ金属粒子は反応性が高いので100℃〜200℃の低温で硬化し、厚さが1μm〜10μmの低抵抗の配線電極を形成することができる。なお、インクジェット方式でナノ金属粒子を塗布し、乾燥・焼結させた電極の表面はうろこ状の模様を呈する。
【0032】
図6(a)に示す収納部材2は、一辺が概ね1mm〜2.5mmであり、厚さが略0.5mmであり、窪み3の上端面23の幅が0.1mm〜0.5mmであり、窪み3の深さが略0.3mmであり、底部の厚さが略0.2mmである。また、図6(b)に示すように、底面8に対する内側面13の傾斜角φは65°〜75°であり、底面8に対する側面電極14の電極面の傾斜角θは17°〜23°であり、傾斜路15の幅は略40μmである。内側面13の傾斜角φが75°を超えると収納部材2を型成形により形成する際の離型性が低下する。インクジェット方式により吐出される一滴の液滴の広がり径が略30μmであることから、傾斜路15の幅はインクジェットによる液滴吐出ばらつきを考慮すると略40μmを下回らないことが望ましい。側面電極14の傾斜角θを17°〜23°にすることにより、傾斜路15にインクジェット方式により電極材料を塗布した際に塗布液が流れ落ちることが無い。インクジェット方式により液滴を塗布する場合は、傾斜路15、即ち側面電極14の電極面の傾斜角θを60°未満とすることが好ましい。傾斜角θを60°未満とすればインクジェット方式によりナノ金属粒子を塗布したときに液だれを防止することができ、均一な又は必要な厚さの側面電極14を形成することができる。傾斜角θを60°以上とすると塗布されたナノ金属粒子が流れて目的の厚さの電極を形成することが難しくなる。
【0033】
なお、本発明は、傾斜路15が内側面13を斜めに横切るように形成することに限定されない。例えば、内側面13の傾斜角φが底面8に対して60°未満であれば、段差状の傾斜路15を形成しないで、第一実施形態や第二実施形態のように内側面13の傾斜面に側面電極14を形成することができる。この場合は、例えば図2又は図4に示すように左上角の第二電極11と左上角の第三電極12の最短距離の側面電極14により電気的に接続することができる。また、傾斜路15が2つの内側面13に跨って連続的に形成するものであっても良い。例えば、傾斜路15を上内側面13aから右内側面13bに跨って形成し、傾斜路15の上面に側面電極14を形成し、底面8の左上角の第二電極11と上端面23の右下角の第三電極12とを電気的に接続するように構成することができる。これにより、側面電極14の傾斜角θを一層小さくすることができる。また、傾斜路15を一つの内側面に葛折り状に形成することができる。この場合も、側面電極14の傾斜角θを小さく形成することができる。
【0034】
底面8から突出する土手22は、光学素子4の活性領域7を囲み、第一面5に当接又は近接する。これにより、窪み3の開口側からモールド材を充填しても、モールド材が活性領域7と透明領域9の間の隙間に浸入することが無い。また、底面8の第一電極10と第二電極11はモールド材に埋め込まれるので電極の劣化を防止することができる。
【0035】
図7に示すように、収納部材2は枡形状を有し窪み3の底面8の中央部に土手22を備えている。底面8の4つの角に第二電極11を、上端面23の4つの角の近傍に第三電極12をそれぞれ有し、各内側面13に形成した傾斜路15の上面に側面電極14を有している。側面電極14は第二電極11と第三電極12とを電気的に接続している。なお、収納部材2の窪み3、傾斜路15、土手22は型成形により同時に形成することができる。
【0036】
この構成により、第二電極11と第三電極12とを低抵抗の側面電極14により電気的に接続することができる。また、内側面13の傾斜角φを60°以上とすることができるので、収納部材2の外径を小さく構成することができる。更に、光学デバイス1の背面側に光学素子が突出しないので回路基板等の平坦面に容易に設置することができる。また、収納部材の窪みの上端面に第三電極12を設けたので、光学デバイスを回路基板等に容易にフリップチップ実装することができ、実装後の光学デバイスの容積を小さく構成することができる。
【0037】
(第四実施形態)
図8は、本発明の第四実施形態に係る光学デバイス1の縦断面模式図である。第二実施形態と異なる部分は、収納部材2がその底部に透明領域9の他に第二の透明領域21を有し、底面8の第二の透明領域21に対応して第二の土手24を有し、光学素子4が活性領域7の他に第二の活性領域20を有する点であり、その他の構成は第二実施形態と同様である。同一の部分または同一の機能を有する部分には同一の符号を付した。
【0038】
図8に示すように、光学素子4はその第一面5に活性領域7と第二の活性領域20を有する。例えば、活性領域7が発光素子であり第二の活性領域20が受光素子であり、同一の半導体基板に形成されている。収納部材2はその底面8に土手22と第二の土手24を有し、土手22が活性領域7を取り囲むように第一面5に当接又は近接し、第二の土手24が第二の活性領域20を取り囲むように第一面5に当接又は近接している。収納部材2はその底部の、活性領域7に対面する位置に透明領域9を有し、第二の活性領域20に対面する位置に第二の透明領域21を有している。従って、活性領域7が発光した光は透明領域9を介して外部に放射され、第二の透明領域21に入射した光を第二の活性領域20が受光する。光学素子4の第一面5に形成される第一電極10は、底面8に形成した第二電極11、内側面13に形成した側面電極14を介して上端面23に形成した第三電極12に電気的に接続する。
【0039】
光学素子4は、黒色のモールド材16によりモールドされている。モールド材16は活性領域7と透明領域9との隙間、及び第二の活性領域20と第二の透明領域21との隙間を除いて光学素子4を覆っている。つまり、光学素子4の第一面5は土手22及び第二の土手24により囲まれる領域を除いて黒色のモールド材16によりモールドされる。そのために、活性領域7で発光した光は第二の活性領域20に入射されない。なお、活性領域7と第二の活性領域20とを光学的に完全に分離するために、例えば収納部材2の底部の外面に透明領域9と第二の透明領域21の領域のみ開口したフィルターやブラックマスクを設置することができる。また、収納部材2の材料を、透明領域9と第二の透明領域21以外の領域を黒色等に着色することにより、光学的に完全に分離することができる。
【0040】
なお、光学素子4は、活性領域7と第二の活性領域20とが半導体基板上に作り込まれているものに限定されず、発光素子と受光素子が同一基板上に並列して実装されているものであってもよい。また、側面電極14は、内側面13に傾斜路15を形成しその上面にインクジェット方式によりナノ金属粒子を塗布して形成することができる。
【0041】
(第五実施形態)
図9は、本発明の第五実施形態に係る光学デバイス1の縦断面模式図である。本第五実施形態の光学デバイス1は、第二実施形態の光学デバイス1の上端面23に機能性素子基板26を接合した構造を備えている。従って、以下、主に第二実施形態と異なる部分について説明し、第二実施形態と同一の部分については説明を省略する。同一の部分または同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0042】
機能性素子基板26は、窪み3側の表面に機能性素子25と、第四電極29と、機能性素子25と第四電極29と電気的に接続するワイヤー28を備え、窪み3の上端面23の位置に貫通電極27を備えている。貫通電極27は、機能性素子25側からその反対側に貫通して露出し、他の素子と電気的に接続可能に構成されている。貫通電極27は、第四電極29及び第三電極12と電気的に接続している。
【0043】
機能性素子25は、例えば演算回路や、光学素子4の発光を制御する制御回路や、光学素子4が受光した光の検出回路等とすることができる。機能性素子基板26は窪み3の開口部を密閉するので光学素子4や機能性素子25が湿度や不純物により腐食し、或いは汚染されるのを防止することができる。このように高機能又は多機能な光学素子をコンパクトに構成することができる。なお、側面電極14は、内側面13に傾斜路15を形成しその上面にインクジェット方式によりナノ金属粒子を塗布して形成することができる。なお、本実施形態において、窪み3の底面8に土手22を設置しているが、窪み3の内部にモールド材を充填しない場合や、第一電極10と第二電極11の電気的接続の際に接着剤等が活性領域7に浸みこまなければ土手22を除去しても良い。
【0044】
(第六実施形態)
図10は、本発明の第六実施形態に係る光学デバイス1の縦断面模式図である。本第六実施形態の光学デバイス1は、機能性素子25が光学的な機能を有し、窪み3の底部に形成した透明領域9と異なる第二の透明領域21を介して光を入射し又は出射する。第四実施形態と異なる点は活性領域7と第二の活性領域20とが異なる基板に形成されていることである。同一の部分または同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0045】
光学デバイス1は、窪み3を有する収納部材2と、窪み3の底面8に設置した光学素子4と、窪み3の上端面23に設置した機能性素子基板26と、機能性素子基板26の窪み3側に実装された機能性素子25を備えている。光学素子4は第一面5が窪み3の底面8に対面し、第一面5は光学的に活性な活性領域7と第一電極10を備えている。収納部材2は、活性領域7に対面する窪み3の底部の透明領域9と、機能性素子25に対面する窪み3の底部の第二の透明領域21を備えている。収納部材2は、底面8に活性領域7を囲む土手22を備え、土手22の上端面が光学素子4の第一面5に当接又は近接している。収納部材2は、底面8に第二電極11を備え、第二電極11は光学素子4に設置された第一電極10と電気的に接続している。窪み3の内側面13は側面電極14を備え、窪み3の開口側の上端面23は第三電極12を備え、上端面23は側面電極14を介して第二電極11に電気的に接続する。
【0046】
機能性素子基板26は、第二の透明領域21に対応する位置に機能性素子25を備えている。機能性素子25は、第二の透明領域21に対面する位置に第二の活性領域20を有し、機能性素子基板26の窪み3側に設置された第四電極29とワイヤー28を介して電気的に接続している。機能性素子基板26は、上端面23の位置に貫通電極27を備え、貫通電極27は第三電極12及び第四電極29と電気的に接続する。貫通電極27は機能性素子25とは反対側に露出し、外部回路に接続することができる。
【0047】
これにより、多機能な光学デバイス1をコンパクトに構成することができる。機能性素子基板26は窪み3の開口端を閉塞するので、機能性素子25や光学素子4が湿度や不純物により腐食し或いは汚染されるのを防止することができる。また、側面電極14は、内側面13に傾斜路を形成しその上面にインクジェット方式によりナノ金属を塗布して形成することができる。なお、本実施形態において、窪み3の底面8に設置した土手22は除去することができる。
以上、第一〜第六実施形態を単体の光学デバイス1を用いて説明したが、一つの基板に多数の光学デバイス1を同時に形成することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 光学デバイス1
2 収納部材
3 窪み
4 光学素子
5 第一面
6 第二面
7 活性領域
8 底面
9 透明領域
10 第一電極
11 第二電極
12 第三電極
14 側面電極
15 傾斜路
16 モールド材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に活性な活性領域と第一電極を有する第一面と前記第一面の反対側に第二面を有する光学素子と、
中央に窪みを有し、前記窪みの底面の側に前記第一面を向け、前記窪みの開口側の上端面から前記第二面が突出しないよう前記光学素子を収納する収納部材と、を備え、
前記収納部材は、前記活性領域に対面する前記窪みの底部の領域が透明領域であり、前記底面に前記第一電極と電気的に接続する第二電極と、前記上端面に前記第二電極と電気的に接続する第三電極を有する光学デバイス。
【請求項2】
前記窪みの内側面は、前記第二電極と前記第三電極とを電気的に接続する側面電極を有する請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記側面電極の電極面は、前記底面に対して60°を超えない傾斜角を有する請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記内側面は、前記底面に対して傾斜する傾斜路を有し、
前記傾斜路の路面上に前記側面電極が形成されている請求項3に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記傾斜路は、前記底面から前記上端面にかけて葛折り状の形状を有する請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記側面電極はナノ金属粒子を塗布して形成される請求項2〜5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記底面は、前記活性領域を囲む土手を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記第一面は、前記土手により囲まれる領域を除いてモールド材によりモールドされている請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記光学素子は、前記第一面に前記活性領域に隣接して第二の活性領域を有し、
前記収納部材は、前記第二の活性領域に対面する前記底部の領域が第二の透明領域である請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
機能性素子と、前記機能性素子を前記窪みの側に有し、前記上端面に接合される機能性素子基板とを更に備え、
前記機能性素子基板は貫通電極を有し、前記機能性素子は前記貫通電極に電気的に接続し、前記貫通電極は前記第三電極に電気的に接続する請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記機能性素子は、前記光学素子の側に光学的に活性な第二の活性領域を有し、
前記収納部材は、前記第二の活性領域に対面する前記底部の領域が第二の透明領域である請求項10に記載の光学デバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−182309(P2012−182309A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44126(P2011−44126)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】