説明

光学材料のための高透明プラスチック

本発明は、以下の
A)式(I)及び(II)[式中、Rはそれぞれ互いに無関係に水素又はメチル基であり、Rはそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基であり、かつm及びnはそれぞれ互いに無関係に0以上の整数であるが、m+n>0を意味する]の化合物並びにB)式(I)及び(II)の化合物とは異なる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(A)を含有する混合物に関する。また本発明は前記混合物の重合法法、こうして得られる高透明ポリマー並びにその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明プラスチック分野に関する。特に本発明は、光学レンズ、とりわけ眼鏡レンズの製造のために使用できる高透明プラスチックに関する。
【0002】
眼鏡は今日、日常生活にもはや欠かせないものとなっている。その上、特にこのところのプラスチックガラスによる眼鏡は重要性を得ている。それというのも係る眼鏡は無機材料よりなる眼鏡ガラスより軽量であり、かつ壊れにくく、そして好適な着色剤で着色できるからである。プラスチック眼鏡ガラスの製造のために、一般に、例えばジエチレングリコール−ビス(アリルカーボネート)(DAC)、α,ω−末端多重結合を有するチオウレタン化合物又は硫黄含有の(メタ)アクリレートから出発して得られる高透明プラスチックが使用される。
【0003】
DACプラスチックは、良好な衝撃強さ、透明性及び良好な加工性を有する。しかしながら、比較的低い約1.50という屈折率nに基づいて、当該プラスチックガラスの中央部も辺縁部も強化せねばならないので、眼鏡ガラスは相応して厚くかつ重いことが欠点である。従ってDACプラスチックガラスによる眼鏡の装着時の快適さは明らかに下がる。
【0004】
2つのイソシアネート基を有するα,ω−二官能性チオウレタン−プレポリマーとツェレビチノフ活性水素原子を有する不飽和化合物との反応によって得られるα,ω−末端多重結合を有するチオウレタン−プレポリマーは、例えばDD298645号に記載されている。チオウレタン−プレポリマーの応用可能性としては透明層又は良好に付着性のフィルムが挙げられる。光学レンズ及び眼鏡レンズとしての使用はDD298645号に開示されていない。
【0005】
JP5−215995号に記載されるプラスチック眼鏡ガラスは、S−(フェニル−S)単位を有するα,ω−ジ(メタ)アクリレート末端チオウレタン化合物、トリメチロールプロパントリス(β−チオプロピオネート)及びジビニルベンゼンからなる三元組成物のラジカル共重合によって得られる。得られるプラスチックの屈折率が比較的高い(n≧1.58)にも拘わらず、そのガラスは28〜36の範囲内という比較的低いアッベ数を欠点として有する。
【0006】
アッベ数が小さくなれば、分散がより高くなり、そして色ぶちが生じるので、相応のプラスチックガラスは裸眼視力補助具としては限定的に適するに過ぎない。プラスチックガラスの衝撃強さ並びにそのビカー軟化温度に関してJP5−215995号には述べられていない。
【0007】
また、少なくとも2つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーであって、更にその分子内にチオウレタン結合及び/又はジチオウレタン結合を有するモノマーのラジカル重合によって得られる刊行物WO01/36506号に開示されるプラスチックにも同じことが言える。例示されたポリマーは屈折率1.60及びアッベ数34〜35を有する。プラスチックのビカー軟化温度についてのデータは前記の文献からもうかがえない。
【0008】
光学的用途としての透明プラスチックの更なる群はEP0810210号に開示されている。この場合、使用される硫黄含有の(メタ)アクリレートモノマーは前記の化合物の存在下に、形式上はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからではなく、メルカプトアルキル(メタ)アクリレートから誘導される。EP081021号に記載されるプラスチックは、改善された衝撃強さと1.589〜1.637の範囲内という高い屈折率nを有する。アッベ数は、JP5−215995号に記載されるプラスチックと比較してやや高いに過ぎず、27.5〜40.7である。
【0009】
従ってまたEP081021号に開示されるプラスチックは眼鏡ガラスのために限定的に適しているに過ぎない。プラスチックのビカー軟化温度についてのデータは前記の文献からもうかがえない。
【0010】
刊行物DE4234251号は、式(1)及び(2)
【0011】
【化1】

の化合物よりなるモノマー混合物のラジカル共重合によって得られる硫黄含有のポリメタクリレートを開示している。
【0012】
この場合に、Yは分枝鎖状又は非分枝鎖状の環式又は非環式の2〜12個の炭素原子を有するアルキル基又は6〜14個の炭素原子を有するアリール基又は7〜20個の炭素原子を有するアルカリール基を表し、その際、炭素鎖は1つ以上のエーテル基又はチオエーテル基によって中断されていてよい。Rは水素又はメチルを表し、かつnは1〜6の範囲内の整数である。
【0013】
DE4234251号によれば式(1)及び(2)のモノマーは一般に1:0.5〜0.5:1のモル比にある。
【0014】
モノマー混合物の製造は、少なくとも2モルの(メタ)アクリル酸塩化物又は(メタ)アクリル酸無水物と1モルのジチオールとの反応によって行われるが、その際、不活性有機溶剤中の(メタ)アクリル酸塩化物又は(メタ)アクリル酸無水物とアルカリ性水溶液中のジチオールとが反応される。適当な溶剤としては、誘電率が20℃で2.6、2.4もしくは2.3〜2.6であるメチル−t−ブチルエーテル、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0015】
DE4234251号に記載されるプラスチックは、無色であり、硬質であり、かつ僅かに脆性であり、そして1.602〜1.608の範囲内という高い屈折率nを有する。アッベ数は35〜38である。
【0016】
従ってまたこのプラスチックは眼鏡ガラスのために限定的に適しているに過ぎない。プラスチックのビカー軟化温度についてのデータは前記の文献からもうかがえない。
【0017】
技術水準を鑑みて、本発明の課題は、光学レンズの製造を可能にするできる限り高い、有利には1.60より高い屈折率及びできる限り高い、有利には36のアッベ数を有する高透明プラスチックの製造用の出発組成物を提供することであった。特に、低い分散を有し、かつ色ぶちを有さないプラスチック眼鏡ガラスを製造できることが望ましい。
【0018】
更なる課題は、改善された機械的特性、例えば良好な衝撃強さを有する高透明プラスチックの製造用の出発組成物を挙げることにあった。有利にはISO179/1fUにより測定されたプラスチックのシャルピーによる衝撃強さは3.0kJ/mより大きいことが望ましい。
【0019】
また本発明の課題は、室温より高い温度でも改善された機械的特性を有する高透明プラスチックの製造用の出発組成物を提供することであった。特に本発明によるプラスチックはできる限り高い、有利には50.0℃より高いISO306により測定されたビカー軟化温度を有することが望ましい。
【0020】
従って本発明の課題は、本発明による高透明プラスチックを該出発組成物から出発して、簡単な様式で、工業的規模でかつコスト的に廉価に製造できると見出すことであった。特に該プラスチックは常圧及び20.0℃〜80.0℃の温度で流動性の混合物から出発してフリーラジカル重合を介して得られることが望ましい。
【0021】
また本発明の課題は、本発明による高透明プラスチックの応用分野及び使用可能性を選択することであった。
【0022】
前記の課題並びに更に明示的に挙げられていないが、これまでに論じられた関連から容易に導出できるか又は推論できる課題は、請求項1の特徴の全てを有する混合物により解決される。本発明による混合物の有利な実施態様は、請求項1に引用される引用形式請求項において保護される。その他に、本発明による混合物から得られる高透明プラスチック並びにその製造方法についても特許請求の範囲に記載している。使用カテゴリーの請求項は、本発明による高透明プラスチックの有利な使用を保護している。本発明による高透明プラスチックを有する光学レンズ、有利には眼鏡レンズは更なるプロダクトクレームに記載している。
【0023】
以下の
A)式(I)及び(II)
【0024】
【化2】

[式中、
はそれぞれ互いに無関係に水素又はメチル基であり、
はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基であり、かつ
m及びnはそれぞれ互いに無関係に0以上の整数であるが、m+n>0を意味する]の化合物並びに
B)式(I)及び(II)の化合物とは異なる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(A)を含有する混合物を提供することによって、容易に予想されずも首尾よく、光学レンズ、特に眼鏡レンズのために極めて適した高透明プラスチックの製造用の出発組成物が入手可能になる。本発明による高透明プラスチックは、今まで知られていない優れた特性の組み合わせ、例えば高い屈折率、高いアッベ数、良好なシャルピーによる衝撃強さ並びに高いビカー軟化温度を有する。相応のプラスチック眼鏡ガラスは低い分散を示し、色ぶちは観察されない。
【0025】
同時に本発明による高透明プラスチックは更なる利点を有する。これには特に次のものが該当する:
→ 本発明によるプラスチックの高い屈折率に基づいて、相応のプラスチック眼鏡ガラスの中央部及び辺縁部の強化、従って肥厚化は必要なく、かかる眼鏡の装着時の快適さは比較的軽い重さの故明らかに高まる。
【0026】
→ 本発明によるプラスチックの非常に良好な衝撃強さは相応のプラスチック眼鏡ガラスを“日常の危険性”から保護する。機械的応力の作用による、特に薄い眼鏡ガラスの損傷もしくは回復不能な破壊は大部分で回避される。
【0027】
→ 本発明による高透明プラスチックは、ISO306による高い、有利には50.0℃より高いビカー軟化温度を有し、そして従って前記温度まではその優れた機械的特性、特に高い衝撃強さ及びその硬度は保持される。
【0028】
→ 本発明による高透明プラスチックは、常圧及び20.0℃〜80.0℃の範囲の温度で流動性のモノマー混合物のラジカル共重合によって簡単な様式で工業的規模にかつコスト的に有利に製造できる。
【0029】
→ 基礎となるモノマー混合物は、同様に簡単な様式で工業的規模にかつコスト的に有利に製造することが可能である。
【0030】
本発明は、式(I)及び(II)
【0031】
【化3】

の化合物を含有する混合物に関する。
【0032】
この場合に基Rはそれぞれ互いに無関係に水素又はメチル基、有利にはメチル基である。
【0033】
基Rはそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基、又はベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、アントラセン及びフェナントレンから誘導される二価の芳香族又は複素芳香族の基を示している。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。
【0034】
更に基Rはまた式
【0035】
【化4】

[式中、
はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基である]の基を含む。基Xはそれぞれ互いに無関係に酸素又は硫黄であり、かつ基Rは直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基を表す。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。
【0036】
yは1〜10の整数、特に1、2、3及び4である。
【0037】
式(Ia)の有利な基は、例えば
【0038】
【化5】

である。
【0039】
有利な基Rは、1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基、有利には2〜8個の炭素原子を有する直鎖状の脂肪族基である。
【0040】
係数m及びnはそれぞれ互いに無関係に0以上の整数、例えば0、1、2、3、4、5又は6である。
【0041】
この場合に合計m+nは0より大きい、有利には1〜6の範囲、適切には1〜4の範囲、特に1、2又は3である。
【0042】
式(I)の化合物並びに式(II)の化合物は、それぞれ単独に又は式(I)もしくは(II)の複数の化合物の混合物としても使用してよい。
【0043】
本発明によるモノマー混合物中の式(I)及び(II)の化合物の相対割合は原則的に任意であり、その割合は、本発明によるプラスチックの特性プロフィールを用途の要求に応じて“テーラーメイド”するのに役立つことがある。例えば更に、モノマー混合物が式(I)及び(II)の化合物の全量に対してそれぞれ明らかに過剰な式(I)の化合物又は式(II)の化合物を含有することが適切なこともある。
【0044】
しかしながら本発明の目的のためには、該混合物が式(I)及び(II)の化合物の全量に対して10モル%より高い、有利には12モル%より高い、特に14モル%より高い式(II)で示され、m+n=2である化合物を含有することが特に好ましい。
【0045】
更に本発明の目的のためには、該混合物が式(I)及び(II)の化合物の全量に対して5.8モル%より高い、有利には6.5モル%より高い、特に7.5モル%より高い式(II)で示され、m+n=3である化合物を含有することが特に好ましい。化合物(I)の割合は、式(I)及び(II)の化合物の全量に対して0.1〜50.0モル%、適切には10.0〜45.0モル%、特に20.0〜35.0モル%である。m+n=1である化合物(II)の割合は、式(I)及び(II)の化合物の全量に対して30.0モル%より高い、適切には35.0モル%より高い、特に40モル%より高い。m+n>3である化合物(II)の割合は、式(I)及び(II)の化合物の全量に対して0モル%より高い、適切には1モル%より高い、特に2モル%より高い。
【0046】
式(I)及び(II)の化合物の製造方法は当業者にはDE4234251号から公知であり、これは参照をもって開示されたものとする。それにも拘わらず、本発明の範囲では、式(I)及び(II)の化合物の混合物を、1.0〜<2.0モル、有利には1.1〜1.8モル、適切には1.2〜1.6モル、特に1.2〜1.5モルの少なくとも1つの式(III)
【0047】
【化6】

の化合物を1モルの少なくとも1つの式(IV)
【0048】
【化7】

のポリチオールと反応させる方法によって製造することが殊に有利であると見なされる。
【0049】
基Xは塩素を表すか、又は基
【0050】
【化8】

を表す、すなわち式(III)の化合物は、アクリル酸塩化物、メタクリル酸塩化物、アクリル酸無水物及びメタクリル酸無水物を含み、その際、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物又は両者の混合物を使用することが特に有利である。
【0051】
Mは、それぞれ互いに無関係に水素又は金属カチオンを表す。有利な金属カチオンは、電気陰性度2.0未満、適切には1.5未満の元素から誘導され、その際、アルカリ金属カチオン、特にNa、K、Rb、Cs及びアルカリ土類金属カチオン、特にMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+を使用することが特に有利である。殊に好ましい結果は金属カチオンNa及びKによって達成できる。
【0052】
この関連で特に適当な式(IV)のポリチオールは、例えば1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,2−ブタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2−メチルプロパン−1,2−ジチオール、2−メチルプロパン−1,3−ジチオール、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、
4−エテニル−シクロヘキセンと硫化水素との反応によって得られるエチルシクロヘキシルジメルカプタン、オルト−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、メタ−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、パラ−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、式
【0053】
【化9】

の化合物並びに式
【0054】
【化10】

[式中、
はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基である]の化合物である。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。基Xはそれぞれ互いに無関係に酸素又は硫黄であり、かつ基Rは直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基を表す。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。
【0055】
yは1〜10の整数、特に1、2、3及び4である。
【0056】
式(IVa)の有利な基は、例えば
【0057】
【化11】

である。
【0058】
前記の方法の殊に有利な実施形の範囲では、式(IV)の化合物として1,2−エタンジチオールが使用される。
【0059】
前記方法によれば、少なくとも1種の不活性有機溶剤L中の式(III)の化合物とアルカリ性水溶液中の式(IV)の化合物とが反応されるが、その際、用語"不活性有機溶剤"はその都度の反応条件下に反応系中に存在する化合物と反応しない有機溶剤を表す。
【0060】
少なくとも1種の溶剤Lは、それぞれ20℃で測定された比誘電率>2.6、有利には>3.0、適切には>4.0、特に>5.0を有さねばならない。この関連で、比誘電率は、(理論的に)真空中に存在するコンデンサの容量Cが平板の間に誘電性特性を有する物質、いわゆる誘電体を置いた場合に何倍にまで高まるかを示す無次元数を表す。この値は20℃で測定され、そして低い周波数(ω→0)に外挿される。更なる詳細に関しては、通常の技術文献、特にウールマンの工業化学事典、第2/1巻、研究所における物理的方法及び物理化学的方法の使用、見出語:誘電率、第455〜479頁(Ullmann Encyklopaedie der technischen Chemie, Band 2/1 Anwendung physikalischer und physikalisch-chemischer Methoden im Laboratorium, Stichwort: Dielektrizitaetskonstante, S. 455-479)を指摘する。溶剤の誘電性値は、とりわけ化学及び物理のハンドブック、第71版、CRC出版、バコ・ラトン、アナーバー、ボストン、1990〜1991年、第8−44頁、第8−46頁及び第9−9〜9−12頁(Handbook of Chemistry and Physics, 71.Auflage, CRC Press, Baco Raton, Ann Arbor. Boston, 1990-1991, S. 8-44.8, 8-46 und 9-9 bis 9-12)に示されている。
【0061】
前記の方法の範囲では、溶剤及び水溶液が反応の間に2相を形成し、均質に混合できないことが殊に好ましい。この目的のために、溶剤は、有利には100gの溶剤に対して10g未満の水という20℃で測定された水溶性を有する。
【0062】
本発明により有利な溶剤Lは、例えば
脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル(4.335)、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル;
脂環式エーテル、例えばテトラヒドロフラン(7.6);
脂肪族エステル、例えばメチルホルミエート(8.5)、エチルホルミエート、プロピルホルミエート、メチルアセテート、酢酸エステル、n−ブチルアセテート(5.01)、メチルプロピオネート、メチルブチレート(5.6)、エチルブチレート、2−メトキシエチルアセテート;
芳香族エステル、例えばベンジルアセテート、ジメチルフタレート、メチルベンゾエート(6.59)、エチルベンゾエート(6.02)、メチルサリチレート、エチルサリチレート、フェニルアセテート(5.23);
脂肪族ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン(18.5)、ペンタノン−2(15.4)、ペンタノン−3(17.0)、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン(13.1);
芳香族ケトン、例えばアセトフェノン;
ニトロ芳香族化合物、例えばニトロベンゼン、o−ニトロトルエン(27.4)、m−ニトロトルエン(23)、p−ニトロトルエン;
ハロゲン化芳香族化合物、例えばクロロベンゼン(5.708)、o−クロロトルエン(4.45)、m−クロロトルエン(5.55)、p−クロロトルエン(6.08)、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン;
複素芳香族化合物、例えばピリジン、2−メチルピリジン(9.8)、キノリン、イソキノリン;
又はこれらの化合物の混合物であり、その際、それぞれの付属の括弧内のデータは20℃での比誘電率である。
【0063】
この場合に、本願の方法の目的のために、脂肪族エステル及び脂環式エーテル、特にエチルアセテート及びテトラヒドロフランが殊に適している。
【0064】
本発明の方法の範囲では、溶剤Lは単独でも溶剤混合物としても使用でき、その際、混合物中に含まれる全ての溶剤は上述の誘電性水準を満たさねばならない。例えばテトラヒドロフラン/シクロヘキサン混合物も本発明によれば使用できる。しかしながら、溶剤混合物は、それぞれ20℃で測定された比誘電率>2.6、有利には>3.0、適切には>4.0、特に>5.0を有することが適切であると見なされる。特に有利な結果は、それぞれ20℃で測定された比誘電率>2.6、有利には>3.0、適切には>4.0、特に>5.0を有する溶剤のみを含有する溶剤混合物で達成できる。
【0065】
式(IV)の化合物のアルカリ性水溶液は、式(III)の化合物の全量に対して、有利には1.1〜1.5当量の少なくとも1種のブレンステッド塩基を含有する。本発明の範囲内での有利なブレンステッド塩基は、例えばアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物、特に水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0066】
反応の実施は、原則的にあらゆる考えられる様式で実施でき、例えば式(III)の化合物を溶剤(混合物)L中に供し、そして式(IV)の化合物のアルカリ性水溶液を段階的に又は連続的に添加することも可能である。それにも拘わらず、本願の方法の範囲では、少なくとも1種の不活性有機溶剤L中の式(III)の化合物及びアルカリ性水溶液中の式(IV)の化合物を並行して反応容器に添加することが殊に好ましいと見なされる。
【0067】
反応温度は広範囲に変更してよいが、温度は屡々、20.0℃〜120.0℃、有利には20.0℃〜80.0℃の範囲である。
【0068】
反応を行う圧力に関しても同様のことが言える。このように反応は低圧でも過圧でも行うことができる。しかしながら有利には常圧で実施される。反応を空気中でも行えるにも拘わらず、本願の方法の範囲では、反応を保護ガス雰囲気下、有利には窒素及び/又はアルゴン下で実施し、その際、有利には少量の酸素含分が存在することが殊に好ましいと見なされる。
【0069】
好ましくは、反応混合物を更なる工程でブレンステッド酸と、有利には水溶液が20℃で7.0未満、適切には6.0未満、特に5.0未満のpH値を有するようになるまで反応させる。使用可能な酸は、例えばこの関連では無機鉱酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、及び酸性イオン交換体、例えば酸性の人工樹脂イオン交換体、例えば(R)Dowex M−31(H)である。この場合に、1gの乾燥されたイオン交換体に対して、少なくとも1.0ミリ当量、有利には少なくとも2.0ミリ当量、特に少なくとも4.0ミリ当量のHイオンの負荷を有し、10〜50メッシュの粒度及びイオン交換体の全容量に対して10〜50%の範囲の多孔率を有する酸性の人工樹脂イオン交換体の使用が殊に選択される。
【0070】
式(I)及び(II)の化合物の単離のために、好適には、溶剤Lからなる有機相を分離し、場合により洗浄し、乾燥させ、そして溶剤を蒸発させる。
【0071】
式(III)の化合物と式(IV)の化合物との反応において、反応の間に(メタ)アクリル基のラジカル重合を抑制する禁止剤を添加してよい。これらの禁止剤は、業界で一般に知られている。
【0072】
主に1,4−ジヒドロキシベンゼンが使用される。しかしながら他の置換ジヒドロキシベンゼンを使用することもできる。一般にかかる禁止剤は一般式(V)
【0073】
【化12】

[式中、
は1〜8個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、ハロゲン又はアリール、有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特に有利にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、Cl、F又はBrを意味し;
oは1〜4の範囲の整数、有利には1又は2であり、かつ
は水素、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基又はアリール、有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特に有利にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル又はt−ブチルを意味する]で示すことができる。
【0074】
しかしながら、骨格化合物として1,4−ベンゾキノンを有する化合物も使用できる。該化合物は、式(VI)
【0075】
【化13】

[式中、
は1〜8個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、ハロゲン又はアリール、有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特に有利にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、Cl、F又はBrを意味し;かつ
oは1〜4の範囲の整数、有利には1又は2である]で記載することができる。
【0076】
同様に一般構造(VII)
【0077】
【化14】

[式中、
は1〜8個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、アリール又はアラルキル、一価〜四価のアルコールとのヘテロ原子、例えばS、O及びNを有してよいプロピオン酸エステル、有利には1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、特に有利にはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルを意味する]のフェノールが使用される。
【0078】
更なる有利な物質種は、式(VIII)
【0079】
【化15】

のトリアジン誘導体を基礎とするヒンダードフェノールであり、その際、Rは式(IX)
【0080】
【化16】

[式中、
=C2p+1であり、
p=1又は2である]の化合物である。
【0081】
特に有利に、化合物の1,4−ジヒドロキシベンゼン、4−メトキシフェノール、2,5−ジクロロ−3,6−ジヒドロキシ−1,4−ベンゾキノン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,2−ビス−[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル−1−オキソプロポキシメチル)]−1,3−プロパンジイルエステル、2,2′−チオジエチルビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]−プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル−2,2−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチル)−フェノール、トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン又はt−ブチル−3,5−ジヒドロキシベンゼンが使用される。
【0082】
全反応混合物の質量に対して、禁止剤の割合は単独又は混合物として一般に0.01〜0.50%(質量/質量)であり、その際、禁止剤の濃度は、有利にはDIN55945による色数を損ねないように選択される。前記の多くの禁止剤は市販されている。
【0083】
本発明の範囲では、本混合物は式(I)及び(II)の化合物の他に、式(I)及び(II)の化合物とは異なる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(A)を含有する。基本的に、モノマー(A)は式(I)及び(II)の化合物のための反応性希釈剤としても解することができる。しかしながら意想外にも、モノマー(A)の添加により、本発明によるプラスチック材料の機械的特性が、その光学特性に悪影響を及ぼすことなく改善される。多くの場合に、更にまさにその反対に、すなわち光学特性に対する有利な影響が確認できる。エチレン性不飽和モノマー(A)は当業者に極めてよく知られており、該モノマーは少なくとも1個のエチレン性二重結合を有する全ての有機化合物を包含する。これには特に次のものが該当する:
(メタ)アクリル酸のニトリル及び別の窒素含有のメタクリレート、例えばメタクリロイルアミドアセトニトリル、2−メタクリロイルオキシエチルメチルシアナミド、シアノメチルメタクリレート;
飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2−t−ブチルヘプチル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルヘプチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、5−メチルウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−メチルドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、5−メチルトリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2−メチルヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、5−イソプロピルヘプタデシル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルオクタデシル(メタ)アクリレート、5−エチルオクタデシル(メタ)アクリレート、3−イソプロピルオクタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、セチルエイコシル(メタ)アクリレート、ステアリルエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート及び/又はエイコシルテトラトリアコンチル(メタ)アクリレート;
シクロアルキル(メタ)アクリレート、例えばシクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3−ビニル−2−ブチル−シクロヘキシル(メタ)アクリレート及びボルニル(メタ)アクリレート;
不飽和アルコールから誘導される(メタ)アクリレート、例えば2−プロピニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート及びオレイル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート;
アリール基がそれぞれ非置換又は四置換までされていてよいアリール(メタ)アクリレート、例えばベンジル(メタ)アクリレート又はフェニル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオール(メタ)アクリレート、1,2−プロパンジオール(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸のポリオキシエチレン誘導体及びポリオキシプロピレン誘導体、例えばトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコール(メタ)アクリレート;
ジ(メタ)アクリレート、例えば1,2−エタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(有利には200〜5000000g/モル、適切には200〜25000g/モル、特に200〜1000g/モルの範囲の質量平均分子量を有する)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(有利には200〜5000000g/モル、適切には250〜4000g/モル、特に250〜1000g/モルの範囲の質量平均分子量を有する)、2,2′−チオジエタノールジ(メタ)アクリレート(チオジグリコールジ(メタ)アクリレート)、3,9−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン、特に
【0084】
【化17】

3,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン、4,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン、4,9−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン、エトキシ化されたビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート、特に
【0085】
【化18】

[式中、s及びtは0以上であり、かつ合計s+tは有利には1〜20、特に2〜10の範囲である]、及びジイソシアネートと2当量のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応によって得られるジ(メタ)アクリレート、特に
【0086】
【化19】

[式中、基Rはそれぞれ互いに無関係に水素又はメチル基を意味する]、
アミノアルキル(メタ)アクリレート、例えばトリス(2−メタクリルオキシエチル)アミン、N−メチルホルムアミドエチル(メタ)アクリレート、2−ウレイドエチル(メタ)アクリレート;
カルボニル含有の(メタ)アクリレート、例えば2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、N−(メタクリロイルオキシ)ホルムアミド、アセトニル(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルモルホリン、N−メタクリロイル−2−ピロリジノン;
エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、1−メチル−(2−ビニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシメトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシメチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシメチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、アリルオキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート;
ハロゲン化されたアルコールの(メタ)アクリレート、例えば2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、4−ブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,3−ジクロロ−2−プロピル(メタ)アクリレート、2−ブロモエチル(メタ)アクリレート、2−ヨードエチル(メタ)アクリレート、クロロメチル(メタ)アクリレート;
オキシラニル(メタ)アクリレート、例えば2,3−エポキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸のアミド、例えばN−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(ジエチルホスホノ)(メタ)アクリルアミド、1−(メタ)アクリロイルアミド−2−メチル−2−プロパノール、N−(3−ジブチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル−N−(ジエチルホスホノ)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、4−(メタ)アクリロイルアミド−4−メチル−2−ペンタノール、N−(メトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−アセチル(メタ)アクリルアミド、N−(ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド;
複素環式の(メタ)アクリレート、例えば2−(1−イミダゾリル)エチル(メタ)アクリレート、2−(4−モルホリニル)エチル(メタ)アクリレート及び1−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロリドン;
リン、ホウ素及び/又はケイ素を含有する(メタ)アクリレート、例えば2−(ジメチルホスファト)プロピル(メタ)アクリレート、2−(エチレンホスファイト)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルホスフィノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルホスホノエチル(メタ)アクリレート、ジエチル(メタ)アクリロイルホスホネート、ジプロピル(メタ)アクリロイルホスフェート;
硫黄含有の(メタ)アクリレート、例えばエチルスルフィニルエチル(メタ)アクリレート、4−チオシアナトブチル(メタ)アクリレート、エチルスルホニルエチル(メタ)アクリレート、チオシアナトメチル(メタ)アクリレート、メチルスルフィニルメチル(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)スルフィド;
トリ(メタ)アクリレート、例えばトリメチロイルプロパントリ(メタ)アクリレート及びグリセリントリ(メタ)アクリレート;
ビス(アリルカーボネート)、例えばエチレングリコール−ビス(アリルカーボネート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アリルカーボネート)、ジエチレングリコール−ビス(アリルカーボネート);
ビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン及びフッ化ビニリデン;
ビニルエステル、例えば酢酸ビニル;
芳香族のビニル化合物、例えばスチレン、鎖中に1つのアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレン及びα−エチルスチレン、環中に1つのアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエン及びp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレン及びテトラブロモスチレン;
2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール及び水素化ビニルチアゾール、ビニルオキサゾール及び水素化ビニルオキサゾール;
ビニルエーテル及びイソプレニルエーテル;
マレイン酸及びマレイン酸誘導体、例えばマレイン酸のモノエステル及びジエステルであって、アルコール基が1〜9個の炭素原子を有するもの、無水マレイン酸、メチルマレイン酸無水物、マレインイミド、メチルマレインイミド;
フマル酸及びフマル酸誘導体、例えばフマル酸のモノエステル及びジエステルであって、アルコール基が1〜9個の炭素原子を有するもの;並びに
ジエン、例えば1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、1,2−ジイソプロペニルベンゼン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン及び1,4−ジイソプロペニルベンゼン。この明細書中で(メタ)アクリレートの表現は、メタクリレート及びアクリレート並びにこれら両方からなる混合物を包含する。従って、(メタ)アクリル酸の表現は、メタクリル酸及びアクリル酸並びにこれら両方からなる混合物を包含する。このエチレン性不飽和モノマーは、単独で又は混合物として使用することができる。モノマー(A)は、特に式(I)及び(II)の化合物と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを含む。本発明の範囲では、本発明による混合物がモノマー(A)として、他方で、
a)1当量の式(X)
OCN−R−NCO (X)
の少なくとも1種のジイソシアネートと、v当量の一般式(XI)
HS−R10−SH (XI)
のジチオール又はv当量の、一般式(II)の少なくとも1種のジチオール及び一般式(XI)
HO−R11−ZH (XII)
の少なくとも1種の化合物を有する混合物との反応、並びに
b)工程a)からの少なくとも1種のα,ω−二官能性チオウレタンプレポリマーと、v当量の一般式(XIII)
CH=C(R12)−COO[CH(R13)]−CH−OH (XIII)
の少なくとも1種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの、反応を触媒し安定化させる慣用の化合物の存在下での反応
によって得られる少なくとも1種のチオウレタン化合物(T)を含有することが殊に有利であると見なされる。
【0087】
基Rは、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基、シクロヘキシレン基又は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、アントラセン及びフェナントレンから誘導される二価の芳香族又は複素芳香族の基である。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。有利には基Rは、適切には2〜9個の炭素原子を有する脂肪族基である。
【0088】
は0.1〜0.9の範囲、有利には0.5〜0.9の範囲の数、特に0.5〜0.6の範囲の数である。
【0089】
この場合に、v=0.5であることが、本発明によれば殊に適切であると見なされる。
【0090】
基R10は、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基、シクロヘキシレン基又は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、アントラセン及びフェナントレンから誘導される二価の芳香族又は複素芳香族の基である。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。更に基R10はまた式
【0091】
【化20】

[式中、
14はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基である]の基を含む。基Xはそれぞれ互いに無関係に酸素又は硫黄であり、かつ基R15は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基を表す。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。
【0092】
rは1〜10の整数、特に1、2、3及び4である。
【0093】
式(XIa)の有利な基は、例えば
【0094】
【化21】

である。
【0095】
有利な基R10は、1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基、有利には2〜8個の炭素原子を有する直鎖状の脂肪族基である。
【0096】
基Zは酸素又は硫黄を表す。従って式(XII)の少なくとも1種の化合物は、一般式(XIIa)
HO−R11−OH (XIIa)
のジオール及び式(XIIb)
HO−R11−SH
のヒドロキシ−メルカプト化合物
を含有する。基R11は、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基、シクロヘキシレン基又は、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、アントラセン及びフェナントレンから誘導される二価の芳香族又は複素芳香族の基である。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。
【0097】
更に基R11はまた式(XIIc)
【0098】
【化22】

[式中、
16はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基である]の基を含む。基Xはそれぞれ互いに無関係に酸素又は硫黄であり、かつ基R17は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基を表す。この場合に本発明の範囲では、脂環式基は、二環式、三環式及び多環式の脂肪族基も含み、rは1〜20の整数、特に1〜10の整数である。
【0099】
式(XIIc)の有利な基は、例えば
【0100】
【化23】

である。vは関係式v=2−2*vを介してvと関連しており、従って0.2〜1.8の範囲の数、有利には0.2〜1.0の範囲の数、特に0.8〜1.0の範囲の数である。
【0101】
本発明によればv=1.0が殊に有利である。
【0102】
式(X)のジイソシアネートとしては、例えば以下のジイソシアネートが該当する:脂肪族ジイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−及び−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルジイソシアネート並びに相応の位置異性体混合物、4,4′−、2,4′−及び2,2′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート並びに相応の位置異性体混合物、ジ(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプテ−5−エン−2,3−ジカルボキシレート及び芳香族ジイソシアネート、例えば2,4−トルイレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−及び2,6−トルイレンジイソシアネートからの混合物、4,4′−、2,4′−及び2,2′−ジフェニルメタン−ジイソシアネート、2,4′−及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートからの混合物、ウレタン変性された液状の4,4′−及び/又は2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジイソシアナトジフェニルエタン−(1,2)、メタ−及びパラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート及びジアニシジンジイソシアネート。有利には2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート並びにその両者の混合物が使用される。
【0103】
適当なジチオールは、例えば1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,2−ブタンジチオール、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2−メチルプロパン−1,2−ジチオール、2−メチルプロパン−1,3−ジチオール、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、
4−エテニル−シクロヘキセンと硫化水素との反応によって得られるエチルシクロヘキシルジメルカプタン、オルト−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、メタ−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、パラ−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、式
【0104】
【化24】

の化合物並びに式
【0105】
【化25】

[式中、
14はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基である]の化合物である。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。基Xはそれぞれ互いに無関係に酸素又は硫黄であり、かつ基R15は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基を表す。この場合に本発明の範囲では、脂環式基は、二環式、三環式及び多環式の脂肪族基も含み、rは1〜10の整数、特に1、2、3及び4である。
【0106】
式(XIb)の有利な基は、例えば
【0107】
【化26】

である。
【0108】
適当な一般式(XIIa)のジオールは、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチルプロパン−1,2−ジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジオール、オルト−ビス(ヒドロキシメチルベンゼン、メタ−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、パラ−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、式
【0109】
【化27】

の化合物並びに式
【0110】
【化28】

の化合物[式中、R16はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基である]である。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。基Xはそれぞれ互いに無関係に酸素又は硫黄であり、かつ基R17は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基を表す。この場合に本発明の範囲では、脂環式基は、二環式、三環式及び多環式の脂肪族基も含み、rは1〜20の整数、特に1〜10の整数である。
【0111】
式(XIId)の有利な基は、例えば
【0112】
【化29】

である。
【0113】
分子量の質量平均100〜1000g/モル、特に100〜500g/モルの範囲を有するポリエチレングリコール。
【0114】
適当な一般式(XIIb)のヒドロキシメルカプト化合物は、例えば2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、1−メルカプトイソプロパノール、3−メルカプトプロパノール、2−メルカプトブタノール、1−メルカプトブタノール−(2)、3−メルカプトブタノール、1−メルカプトブタノール−(3)、4−メルカプトブタノール、2−メルカプト−2−メチルプロパノール、1−メルカプト−2−メチルプロパノール−(2)、3−メルカプト−2−メチルプロパノール、8−メルカプト−3,6−ジオキサ−1,8−オクタノール、オルト−(メルカプロメチル)ベンジルアルコール、メタ−(メルカプトメチル)ベンジルアルコール、パラ−(メルカプトメチル)ベンジルアルコール、式
【0115】
【化30】

の化合物並びに式
【0116】
【化31】

の化合物[式中、R16はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基である]である。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。基Xはそれぞれ互いに無関係に酸素又は硫黄であり、かつ基R17は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基を表す。この場合に本発明の範囲では、脂環式基は、二環式、三環式及び多環式の脂肪族基も含み、rは1〜20の整数、特に1〜10の整数である。
【0117】
式(XIIe)の有利な基は、例えば
【0118】
【化32】

である。
【0119】
少なくとも1種のイソシアネートと、少なくとも1種のチオール及び一般式(XII)の少なくとも1種の化合物との反応は、塊状で、すなわち更なる溶剤を使用することなく実施できる。所望であれば、不活性溶剤を使用してもよい。これには、とりわけベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びメチルエチルケトン(MEK)が該当する。
【0120】
この場合に反応温度は広範囲に変更してよいが、温度は屡々、20.0℃〜120.0℃、有利には20.0℃〜80.0℃の範囲である。
【0121】
反応を行う圧力に関しても同様のことが言える。このように反応は低圧でも過圧でも行うことができる。しかしながら有利には常圧で実施される。反応は空気下でも保護ガス雰囲気下でも行うことができ、その際、有利には低い酸素割合が存在する。
【0122】
反応を加速させるために、しばしば触媒、例えば第三級アミンが使用され、これにはとりわけトリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、N−メチルモルホリン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルジアミノメタン、N,N′−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ピリジン、コリジン及びピコリン、有機金属化合物、例えばチタン酸エステル、鉄化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、スズ化合物、例えば二酢酸スズ、二オクタン酸スズ、二ラウリル酸スズ又は脂肪族カルボン酸のスズジアルキル塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートなどが該当する。これらの触媒並びに前記の化合物が使用される量は、業界内では公知であり、例えばウールマンの工業化学事典の第5版、見出し語“ポリウレタン”(Ullmann′s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5.Aufl., Stichwort "Polyurethanes")に記載されている。
【0123】
本発明によれば、イソシアネート基とチオール基及びヒドロキシル基との反応の間に、ウレタン化学で公知の触媒、特にピリジン、DABCO(ジアゾビシクロ(2.2.2)オクタン)、コリジン及び/又はピコリンの触媒有効量が存在することが特に有利である。
【0124】
工程a)からの少なくとも1種のα,ω−二官能性チオウレタン化合物との反応に適したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは(メタ)アクリル酸と二価の脂肪族アルコールとのエステルである。この場合にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの表現は、ヒドロキシアルキルメタクリレート及びヒドロキシアルキルアクリレート並びにその両者の混合物を包含する。本発明により使用可能なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、一般式(XIII)
CH=C(R12)−COO[CH(R13)]−CH−OH (XIII)
を満たす。この関連では、基R12は水素又はメチル基である。基R13は水素又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチレン基、イソブチレン基又はt−ブチル基である。本発明の範囲では、基R13は有利には水素である。本発明によればqは1、2又は3である。
【0125】
これらの化合物は、業界で一般に知られている。それらの多くは、例えば(メタ)アクリル酸とオキシランとの反応によって得ることができる。オキシラン化合物には、とりわけエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド及び/又は2,3−ブチレンオキシドが該当する。これらの化合物は単独でも混合物でも使用可能である。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートへの反応は、例えばDE−A−2439352号、DE−1568838号及びGB1308250号に記載されている。
【0126】
こうして得られるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、しばしば市販されており、従って本発明による目的のために特に適している。
【0127】
有利なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、とりわけ2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート及び4−ヒドロキシブチルメタクリレートであり、なかでも2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレートが特に有利である。
【0128】
本発明によれば、工程a)からの少なくとも1種のα,ω−二官能性チオウレタン化合物と一般式(XIII)の少なくとも1種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの、反応を触媒し安定化させる慣用の化合物の存在下での反応が実施される。
【0129】
該反応は、塊状で、すなわち更なる溶剤を使用せずに実施可能である。所望であれば、不活性溶剤を使用してもよい。これには、とりわけベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン(MIBK)及びメチルエチルケトン(MEK)が該当する。
【0130】
イソシアネート基とヒドロキシル基との反応は業界では広く知られている。このように反応温度は広範囲に変更してよいが、温度は屡々、20.0℃〜120.0℃、有利には20.0℃〜80.0℃の範囲である。
【0131】
反応を行う圧力に関しても同様のことが言える。このように反応は低圧でも過圧でも行うことができる。しかしながら有利には常圧で実施される。反応は空気下でも保護ガス雰囲気下でも行うことができ、その際、有利には低い酸素割合が存在する。
【0132】
反応を加速させるために、しばしば触媒、例えば第三級アミンが使用され、これにはとりわけトリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルジアミノメタン、N,N′−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ピリジン、コリジン及びピコリン、有機金属化合物、例えばチタン酸エステル、鉄化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、スズ化合物、例えば二酢酸スズ、二オクタン酸スズ、二ラウリル酸スズ又は脂肪族カルボン酸のスズジアルキル塩、例えばジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートなどが該当する。これらの触媒並びに前記の化合物が使用される量は、業界内では公知であり、例えばウールマンの工業化学事典の第5版、見出し語“ポリウレタン”(Ullmann′s Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5.Aufl., Stichwort "Polyurethanes")に記載されている。
【0133】
工程a)からの少なくとも1種のα,ω−二官能性チオウレタン化合物の反応に際して、一般式(XIII)の少なくとも1種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、(メタ)アクリレートのラジカル重合を反応の間に抑制する禁止剤を添加してよい。適当な禁止剤は、例えば前記に式(I)及び(II)の化合物に関してあげた化合物である。
【0134】
触媒及び場合により禁止剤の他にも、更なる助剤及び/又は添加剤が、工程a)からの少なくとも1種のα,ω−二官能性チオウレタン化合物と一般式(XIII)の少なくとも1種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応の間に存在することが適切なこともある。例えば離型剤、加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤及び可塑剤が挙げられる。
【0135】
前記の助剤及び添加剤に関する詳細な記載は、技術文献、例えばJ.H.サウンダースとK.C.フリッシュ(J.H. Saunders und K.C. Frisch)による研究論文“ハイポリマー”、第16巻、ポリウレタン、1部及び2部、インターサイエンス出版、1962もしくは1964年("High Polymer", BandXVI, Polyurethane, Teil 1 und 2, Verlag Interscience Publishers 1962 bzw. 1964)又はDE−OS2901774号を引用できる。
【0136】
本発明の特に有利な実施態様の範囲では、チオウレタン化合物(T)は、1当量の少なくとも1種のジイソシアネートとv当量の少なくとも1種のジチオール(XI)又は、少なくとも1種のジチオール(XI)及び少なくとも1種の化合物(XII)を有する混合物との反応に引き続き、v当量の少なくとも1種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(その際、2種以上のジイソシアネート、2種以上のジチオール及び/又は2種以上のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからの、少なくとも1種の混合物が使用される)との反応によって得られる。
【0137】
それぞれの混合物の組成は原則的に任意である、すなわち該混合物は、他の成分と比較して明らかに過剰な主成分を含有してもよい。混合物中の全ての分子のモル数に対してそれぞれ99.5モル%の成分A及び0.5モル%の成分Bを含有する混合物がかかる混合物のための一例である。また2種以上の成分の等モルの混合物も可能である。
【0138】
本発明の範囲では、2〜5種、有利には2又は3種の、特に2種の成分からなる混合物が特に選択される。更に、主成分に対する第二の成分、有利には各成分のモル割合が0.2:1.0〜1.0:1.0の範囲、適切には0.5:1.0〜1.0:1.0の範囲、特に0.75:1.0〜1.0:1.0の範囲にある混合物が有利である。この場合に主成分とは、別の成分と比較して数字上過剰である成分をいう。2種以上の成分が主成分としての考慮の対象となる場合については、当該成分からの選択は任意である。
【0139】
本発明による方法が適当な条件下に均一なチオウレタン化合物(T)に導きうるにもかかわらず、少なくとも2種、有利には2種、3種、4種、5種又は6種のチオウレタン化合物(T)からなる本発明による混合物が有利である。
【0140】
本発明の特に有利な実施態様の範囲では、少なくとも1種のチオウレタン化合物(T)は、1当量の式(X)のジイソシアネートとv当量の一般式(XI)のジチオール又は、一般式(XI)のジチオール及び一般式(XII)の少なくとも1種の化合物からなる混合物との反応に引き続き、v当量の少なくとも2種の一般式(XIII)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートからなる混合物との反応によって得られる。この場合に、少なくとも2種の、適切にはR12、R13及び/又はqが異なるチオウレタン化合物(T)からなる混合物が有利である。2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレートからの混合物の使用は、この関連では殊に適切であると見なされる。
【0141】
本発明の更に特に有利な実施態様の範囲では、少なくとも1種のチオウレタン化合物(T)は、1当量の式(X)のジイソシアネートとv当量の、少なくとも2種の一般式(XI)のジチオール及び場合により一般式(XII)の少なくとも1種の化合物からなる混合物との反応に引き続き、v当量の一般式(XIII)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
【0142】
この場合に、少なくとも2種の、適切にはR10が異なるチオウレタン化合物(T)からなる混合物が有利である。3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール及び1,2−エタンジチオールからなる混合物又は4−エテニルシクロヘキセンと硫化水素との反応によって得られる生成物混合物の使用、特にジチオール(II)として3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール及び1,2−エタンジチオールからなる混合物の使用はこの関連では特に有利に選択される。
【0143】
本発明の第三の有利な実施態様によれば、少なくとも1種のチオウレタン化合物(T)は、1当量の少なくとも2種の一般式(I)のジイソシアネートからなる混合物とv当量の一般式(XI)のジチオール又は、一般式(XI)のジチオール及び少なくとも1種の一般式(XII)の化合物からなる混合物との反応に引き続き、v当量の一般式(XIII)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。この場合に、少なくとも2種の、適切にはRが異なるチオウレタン化合物(T)からなる混合物が有利である。2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートからなる位置異性体混合物からなる混合物(CAS−34992−02−4)及びイソホロンジイソシアネート(1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンとホスゲンとの反応によって得られる)の使用は、この関連で殊に適切であると見なされる。
【0144】
チオウレタン化合物(T)の選択的な製造様式は当業者には明らかである。例えば該化合物は、1当量の少なくとも1種のジイソシアネート(X)とv当量の少なくとも1種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(XIII)との反応に引き続き、v当量の一般式(XI)のジチオール又は、少なくとも1種のジチオール(XI)及び少なくとも1種の化合物(XII)を有する混合物とのカップリングによっても得ることができる。
【0145】
また、それぞれ互いに無関係に1当量の少なくとも1種のジイソシアネート(X)とv当量のジチオール(XI)又は、少なくとも1種のジチオール(XI)及び少なくとも1種の化合物(XII)を有する混合物との反応に引き続き、少なくとも1種のα,ω−二官能性の工程a)からのチオウレタン化合物とv当量の少なくとも1種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(XIII)との反応によって得られる2種以上のモノマーの混合物が考えられる。
【0146】
本発明の特に有利な実施形の範囲において、本発明による混合物はチオウレタン化合物(T)の他に、チオウレタン化合物(T)とは異なるエチレン性不飽和モノマー(B)をモノマー(A)として含有する。この場合に式(XIV)
【0147】
【化33】

の(メタ)アクリレート、式(XV)
【0148】
【化34】

のジ(メタ)アクリレート及びスチレンが特にモノマー(B)として選択された。この場合に、R18はそれぞれ互いに無関係に水素又はメチルを表す。R19は、直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基、シクロアルキル基又は1〜40個、有利には1〜20個、適切には1〜8個、特に1〜6個の炭素原子を有する芳香族基、例えばメチルエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はフェニル基を示す。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。1〜6個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基又はシクロアルキル基はR19として殊に有利である。
【0149】
基R20は、直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基又は一般式
【0150】
【化35】

[式中、
基R22は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基、又はベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、アントラセン及びフェナントレンから誘導される二価の芳香族又は複素芳香族を表す]の基である。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。基R21はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、t−ブチレン基又はシクロヘキシレン基、又はベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、アントラセン及びフェナントレンから誘導される二価の芳香族又は複素芳香族の基を示している。この場合に、本発明の範囲では、脂環式基は、また二環式、三環式及び多環式の脂肪族基を含む。
【0151】
基Xはそれぞれ互いに無関係に酸素、硫黄、一般式(XVb)、(XVc)
【0152】
【化36】

のエステル基、一般式(XVd)、(XVe)、(XVf)又は(XVg)
【0153】
【化37】

のウレタン基、一般式(XVh)、(XVi)、(XVj)又は(XVk)
【0154】
【化38】

のチオウレタン基、一般式(XVl)、(XVm)、(XVn)又は(XVo)
【0155】
【化39】

のジチオウレタン基又は一般式(XVp)、(XVq)、(XVr)又は(XVs)
【0156】
【化40】

のチオカルバメート基、有利には酸素であり、その際、基R23は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はシクロヘキシル基、又はベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジフェニルジメチルメタン、ビスフェノン、ジフェニルスルホン、キノリン、ピリジン、アントラセン及びフェナントレンから誘導される一価の芳香族又は複素芳香族の基を表す。
【0157】
この場合に本発明の範囲では、脂環式基は、二環式、三環式及び多環式の脂肪族基も含み、zは1〜1000の整数、適切には1〜100の整数、特に1〜25の整数である。
【0158】
本発明によれば殊に有利なモノマー(B)は、例えば式(XIV)の(メタ)アクリレート並びに式(XV)のジ(メタ)アクリレート、特に式(XV)のジ(メタ)アクリレートである。特に有利な式(XIV)の(メタ)アクリレートは、例えばメチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、特に前記の化合物のメタクリレートである。特に有利な式(XV)のジ(メタ)アクリレートは、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化されたビスフェノールA−ジ(メタ)アクリレート、特に
【0159】
【化41】

[式中、s及びtは0以上であり、かつ合計s+tは有利には1〜20、特に2〜10である]並びに、ジイソシアネートと2当量のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応によって得られるジ(メタ)アクリレート、特に
【0160】
【化42】

[式中、基Rはそれぞれ互いに無関係に水素又はメチル基を意味する]、3,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン、3,9−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン、4,8−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン、4,9−ジ(メタ)アクリロイルオキシメチルトリシクロ[5.2.1.0(2.6)]デカン、チオジグリコールジ(メタ)アクリレート、有利には200〜1000g/モルの範囲の質量平均分子量を有するポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及び/又は有利には200〜1000g/モルの範囲の質量平均分子量を有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。この場合に前記の化合物のジメタクリレートが特に有利である。殊に有利な結果は、有利には200〜1000g/モルの範囲の質量平均分子量を有するポリエチレングリコールジメタクリレートを使用することで達成される。
【0161】
本発明による混合物の特に有利な実施態様においては、エチレン性不飽和モノマー(A)に対して、少なくとも70.0質量%のエチレン性不飽和モノマー(A)、特に有利には80.0質量%より高い、適切には90.0質量%の、特に95.0質量%のエチレン性不飽和モノマーは、式(XIV)の(メタ)アクリレート、式(XV)のジ(メタ)アクリレート及び/又はスチレンである。
【0162】
本発明によるモノマー混合物の組成は、これらが本発明の範囲で使用される限りは任意であり、その組成は、本発明によるプラスチックの特性プロフィールを用途の要求に応じて“テーラーメイド”するのに役立つことがある。例えば、モノマー混合物が明らかに過剰な式(I)及び(II)の化合物又はモノマー(A)を含有することが極めて適切であることがある。混合物中の式(I)及び(II)の化合物並びにモノマー(A)のモル数の合計に対してそれぞれ、99.5モル%の式(I)及び(II)の化合物もしくはモノマー(A)及び0.5モル%のモノマー(A)もしくは式(I)及び(II)の化合物を含有する混合物がかかる混合物のための例である。ほぼ等モルの式(I)及び(II)の化合物とモノマー(A)の混合物も可能である。
【0163】
しかしながらモノマー混合物の組成を、式(I)及び(II)の化合物及び少なくとも1種のモノマー(A)が所望の重合温度で均質に混和されるように選択することが極めて好適であると見なされる。それというのもかかる混合物は一般にその低粘度に基づいて取り扱いが容易であり、更に重合させると改善された材料特性を有する均質なプラスチックを得ることができるからである。
【0164】
本発明の特に有利な実施態様によれば、モノマー混合物は、モノマー混合物の全質量に対してそれぞれ、少なくとも5.0質量%、有利には少なくとも20.0質量%、特に有利には少なくとも50.0質量%、適切には少なくとも60.0質量%、特に少なくとも80.0質量%の式(I)及び(II)の化合物を含有する。モノマー(A)の質量割合は、モノマー混合物の全質量に対してそれぞれ、少なくとも5.0質量%、有利には少なくとも20.0質量%、特に有利には少なくとも40.0質量%、適切には少なくとも50.0質量%、特に少なくとも80.0質量%である。
【0165】
本発明により使用されるモノマー混合物の製造は当業者には明らかである。その製造は、例えば両者のモノマー(A)及び(B)を自体公知のように混合することによって実施できる。
【0166】
本発明の目的のために、モノマー混合物は、常圧及び20.0℃〜80.0℃の範囲の温度で有利には流動性である。“流動性”という表現は当業者に公知である。該混合物は、有利には種々の形態で注入でき、そして適当な助剤を使用して撹拌でき、そして均質化できる多かれ少なかれ粘性の液体である。特に本発明の範囲での流動性材料は、特に25℃及び常圧(101325Pa)において0.1mPa・s〜10Pa・s、適切には0.65mPa・sから1Pa・sの範囲のオーダーの動的粘度を有する。本発明の殊に有利な実施態様においては、注入されるモノマー混合物は、泡、特に気泡を有さない。泡、特に気泡を適当な方法、例えば温度上昇及び/又は真空印加によって除去できるモノマー混合物も同様に有利である。
【0167】
本発明による高透明プラスチックは、前記のモノマー混合物のフリーラジカル共重合によって得られる。フリーラジカル共重合は、フリーラジカルによって開始され、低分子モノマーの混合物を高分子化合物、いわゆるポリマーに変換する一般に知られた方法である。更なる詳細については、H.G.エリアス、高分子、第1巻及び第2巻、バーゼル、ハイデルベルク、ニューヨーク、ヒュティッヒ及びヴェプフ.1990年(H.G.Elias, Makromolekuele, Band 1 und 2, Basel, Heidelberg, New York Huethig und Wepf. 1990)及びウールマンの工業化学事典、第5版、見出し語“重合法”(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. 5.Aufl., Stichwort "Polymerization Processes")を指摘する。
【0168】
本発明の有利な実施態様においては、本発明によるプラスチックはモノマー混合物のバルク重合又は塊状重合によって得られる。この場合に、バルク重合又は塊状重合とは、モノマーを溶剤不使用で重合させるので、重合反応はバルクで又は塊状で進行することを意味する。それに対して、エマルジョン中での重合(いわゆる乳化重合)及び分散液中での重合(いわゆる懸濁重合)も留意され、その際、有機モノマーを保護コロイド及び/又は安定剤により水相中に懸濁し、そして多かれ少なかれ粒状の重合物粒子が形成される。不均一相での重合の特定の形態は、実質的に懸濁重合と考慮されるパール重合である。
【0169】
重合反応は、基本的に当業者に一般に用いられる方法で行われ、例えばラジカル開始剤(例えばペルオキシド、アゾ化合物)を使用して又はUV線、可視光、α線、β線又はγ線を照射することによって、又はその組み合わせを行ってよい。
【0170】
本発明の有利な実施態様においては、重合の開始のために親油性のラジカル重合開始剤が使用される。ラジカル重合開始剤はそれゆえ特に親油性であり、その場合、該開始剤は塊状重合の混合物中に溶解する。使用可能な化合物には、典型的なアゾ開始剤、例えばアゾイソ酪酸ニトリル(AIBN)もしくは1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、とりわけ脂肪族ペルオキシ化合物、例えばt−アミルペルオキシネオデカノエート、t−アミルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、エチル−3,3−ジ−(t−アミルペルオキシ)ブチレート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルヒドロペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド及び前記の化合物の任意の混合物が該当する。前記の化合物のうちAIBNが殊に有利である。
【0171】
本発明の更に有利な実施態様においては、重合の開始は公知の光開始剤を使用してUV線などで照射することによって行われる。ここでは、一般に市販されている化合物、例えばベンゾフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、4,4−ジエチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−イソプロピルフェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソアミル−p−ジメチルアミノベンゾエート、メチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシドなどを使用でき、その際、前記の光開始剤は単独又は2種以上の組み合わせ又は前記の重合開始剤の1種との組み合わせで用いることができる。
【0172】
ラジカル形成剤の量は、広範に変更してよい。有利には、例えば全組成物の質量に対して0.1〜5.0質量%の範囲の量で使用される。特に有利には全組成物の質量に対してそれぞれ、0.1〜2.0質量%、特に0.1〜0.5質量%の範囲の量で使用される。
【0173】
重合のために選択されるべき重合温度は当業者には明らかである。その温度はまず、選択される開始剤及び開始の種類及び様式(熱的、照射による等)によって規定される。重合温度はポリマーの生成物特性に影響を及ぼすことができることが知られている。従って、本発明の範囲では、重合温度は、20.0℃〜100.0℃、適切には20.0℃〜80.0℃、特に20.0℃〜60.0℃の範囲が好ましい。本発明の特に有利な実施態様においては、反応温度は反応の間に、有利には段階的に高められる。更にまた反応の終わり近くに、より高い温度、例えば100℃〜150℃で熱処理することが適切であると見なされている。
【0174】
反応は低圧でも過圧でも行うことができる。しかしながら有利には常圧で実施される。反応は空気下でも保護ガス雰囲気下でも行うことができ、その際、有利にはできる限り低い酸素割合が存在する。それというのも酸素は考えられる重合を阻害するからである。
【0175】
本発明の特に有利な実施態様において、本発明による高透明プラスチックの製造のために、モノマー混合物、開始剤及び更なる添加剤、例えば滑剤という成分よりなる均質な混合物を製造し、そしてこれを更に、レンズ、眼鏡ガラス、プリズム又はその他の光学構成部品としての用途によって予定されている形のガラス板の間に充填するという措置をとる。塊状重合の開始は、エネルギー供給によって、例えば高エネルギー照射、特にUV光による照射によって、又は加熱、適切には水浴中で複数時間にわたる加熱によって行われる。前記のように光学材料はその所望の形状で、澄明な、透明な、無色の、硬質なプラスチックとして得られる。
【0176】
本発明の範囲では滑剤は、充填物の滑りをより良くし、そしてそれにより圧縮材料を容易に成形可能にする、充填される可塑性材料、例えば圧縮材料及び射出成形材料のための添加物質を表す。このためには、例えば金属セッケン及びシロキサン組合せ物が適当である。プラスチックへのその不溶性のため、滑剤の一部は加工の間に表面上に行き渡り、そして離型剤としてはたらく。特に適当な滑剤、例えば非イオン性のフッ素系界面活性剤、非イオン性のケイ素系界面活性剤、第四級アルキルアンモニウム塩及び酸性のリン酸エステルはEP271839号Aに記載され、これは参照をもって本願に開示されたものとする。
【0177】
本発明によれば非常に良好な光学特性及び機械的特性を有する高透明プラスチックが提供される。このように該プラスチックはDIN5036によれば、有利には88.5%より高い、適切には89.0%より高い、好ましくは89.5%より高い、特に90.0%より高い透過性を有する。
【0178】
本発明によるプラスチックの屈折率nは有利には1.6より高い。
【0179】
屈折率nは当業者に公知の物理量であり、これは本発明によれば、光学的に異なる媒体、例えば空気から、伝播速度(c=真空中の光速、c/n=屈折率nを有する媒体中での光速)が異なる本発明による高透明プラスチック中に角度を持って光が入射する場合に光が受ける屈折(偏向)を特徴付けるものである。既にスネル(1615年)によって確立された光の屈折の法則によれば
【0180】
【数1】

の通りである。
【0181】
この場合にnもしくはnは両者の媒体1及び2の屈折率を示し、αは媒体1中の入射角を示し、βは媒体2中の出射角を示している。
【0182】
媒体の屈折率は、一般に入射線の波長及び温度に依存する。本発明による屈折率のデータは、従ってDIN53491で特定された標準データ(ナトリウムの(黄色)D線の標準波長(約589nm))に関するものである。
【0183】
本発明によれば本プラスチックは、DIN53491によるアッベ数>36.0、特に>37.0を有する。アッベ数は、E.アッベによって紹介された光学媒体の分散の指標としての大きさν
【0184】
【数2】

[式中、n、n及びnはフラウンホーファー線D、F及びCでの媒体の屈折率である]を表す。この場合、DはナトリウムD線λ=589.6nmとλ=589.0nmの平均値であり、Fは水素線(λ=486.1nm)であり、かつCは水素線(λ=656.3nm)である。大きなアッベ数は分散が小さいことを意味する。当業者は、アッベ数の更なる情報を文献、例えば物理事典(Walter Greulich (Hrsg.); Lexikon der Pysik; Heidelberg; Spektrum, Akademischer Verlag; Band 1; 1998)から引用できる。
【0185】
本発明の特に有利な実施態様によれば、本プラスチックはアッベ数>38.0、適切には>39.0、特に>40.0を有する。この場合に、アッベ数>41.0、有利には>42.0を有するプラスチックが殊に有利であると見なされる。本発明によればアッベ数>43.0、特に>44.0を有するプラスチックに最も関心を置いている。
【0186】
本発明によるプラスチックの、ISO179/1fUにより測定されたシャルピーによる衝撃強さは、有利には3.0kJ/mより大きい。
【0187】
更に本発明によるプラスチックは有利にはISO306により測定された高いビカー軟化温度に優れているので、室温より高い温度でもその優れた機械的特性、特にシャルピー衝撃強さ及びその硬度は維持される。有利には本発明によるプラスチックのISO306により測定されたビカー軟化温度は、50℃より高い、適切には60℃より高い、特に70℃より高い。
【0188】
この場合に、本発明によるプラスチックのISO306により測定されたビカー軟化温度が80℃より高い、有利には90℃より高い、適切には100℃より高い、特に120℃より高いことが殊に有利であると見なされる。本発明の殊に有利な実施態様の範囲では、プラスチックは140℃より高い、有利には160℃より高い、特に180℃より高いISO306により測定されたビカー軟化温度を有する。
【0189】
本発明の範囲ではISO6721−7に従ってねじれ振動測定により測定される本発明によるプラスチックのタンジェントδの最大値は、有利には50より高く、適切には60より高い。
【0190】
本発明による高透明プラスチックのための可能な使用分野は当業者に明らかである。特に、透明プラスチックのために指示されている全ての用途に適している。その特徴的な特性に基づいて、とりわけ光学レンズ、特に眼鏡レンズのために適当である。
【0191】
以下の実施例及び比較例は本発明を説明するために用いるものであり、これにより制限を行うべきではない。得られたポリマーの特性を第1表にまとめる。
【0192】
チオメタクリレート混合物の合成
75.36gの1,2−エタンジチオールを保護ガス導入部を有するエルレンマイヤーフラスコ中に秤量し、そして撹拌し、かつ416.43gの13%NaOH溶液を25〜30℃で30分以内に水冷下に計量供給する。帯褐色の澄明な溶液が形成される。
【0193】
178.64gのメタクリル酸無水物及びNaチオレート溶液をここで所望の供給温度で並行して45分以内に、反応フラスコ中に装入され撹拌された酢酸エステル/水に供給する。その際、場合により保護ガスを該バッチ上に導入する。一般にフラスコ内容物は供給の開始に際して約2℃だけ冷却し、約5〜10分後に軽度の発熱反応が始まる、すなわちここで所望の反応温度(35℃)に保持するために相応して冷却する。供給が完了した後に、バッチを更に5分間35℃で撹拌し、そして次いで撹拌下に約25℃に冷却する。
【0194】
該バッチを分液漏斗に移し、分離させ、そして下方の水相を排出する。後処理のために、有機相をエルレンマイヤーフラスコ中に移し、そして(R)Dowex M−31と一緒に約15分間撹拌し、引き続きイオン交換体を濾過分離する。
【0195】
幾らか混濁ないしほぼ澄明な粗製エステル溶液をここで100ppmのHQMEで安定化し、そして回転蒸発器において最大50℃で濃縮する。無色の最終生成物を場合により室温(20〜25℃)で0.5%の珪藻土と混合し、そして約10分間撹拌する。引き続きザイツ濾床K800及び0.45μm濾過膜を介して約1バールで濾過する。
【0196】
140gの無色の澄明なエステルが得られる。
【0197】
実施例:
2モル当量のTMDI(2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートからの位置異性体混合物(CAS−34992−02−4))を0.01〜0.5質量%のDABCOと一緒に81gのチオメタクリレート中に秤量導入し、そして混合して均質な溶液にした。
【0198】
ここで1時間以内に1モル当量の3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオールを約60〜80℃で添加し、そして引き続き約60〜80℃で1時間撹拌する。
【0199】
前記の反応段階は場合によりまた触媒無しでも可能である。
【0200】
引き続き2モル当量の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、安定化剤(0.1質量%の4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール)を添加し、そしてもう一度0.01〜0.5質量%の前記のアミン又はSn化合物、例えばジブチルスズラウレートを添加する。約60〜80℃で1〜5時間撹拌する。
【0201】
粘性の注型用樹脂をここで型に注入し、そして0.2質量%のAIBNを使用して重合させる。
【0202】
比較例:
比較のためにDE4234251号からの実施例V−1を模倣した。
【0203】
第1表:得られたポリマーの特性
【0204】
【表1】

【0205】
:屈折率はDIN53491に従ってλ=589nmで測定した。
【0206】
:アッベ数はDIN53491に従って測定した。
【0207】
:シャルピーによる衝撃強さはISO179/1fUに従って測定した。
【0208】
:タンジェントδはISO6721−7に従って測定した。
【0209】
:ビカー軟化温度はISO306に従って測定した。
【0210】
:透過率はDIN5036に従って測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の
A)式(I)及び(II)
【化1】

[式中、
はそれぞれ互いに無関係に水素又はメチル基であり、
はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基であり、かつ
m及びnはそれぞれ互いに無関係に0以上の整数であるが、m+n>0を意味する]の化合物並びに
B)式(I)及び(II)の化合物とは異なる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(A)
を含有する混合物。
【請求項2】
式(I)及び(II)の化合物の全量に対して10モル%より多い式(II)のm+nが2である化合物を含有する、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
基Rが1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基である、請求項1又は2記載の混合物。
【請求項4】
式(I)及び(II)の化合物の全量に対して5.8モル%より多い式(II)のm+nが3である化合物を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項5】
式(I)及び(II)の化合物の全量に対して0.1〜50.0モル%の式(I)の化合物を含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項6】
式(I)及び(II)の化合物の全量に対して30モル%より多い式(II)のm+nが1である化合物を含有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項7】
式(II)のm+nが>3である化合物を含有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項8】
式(I)及び(II)の化合物の全割合が混合物の全質量に対して少なくとも5.0質量%である、請求項1から7までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項9】
少なくとも1種のチオウレタン化合物(T)をモノマー(A)として含有し、該化合物は他方で、
a)1当量の式(X)
OCN−R−NCO (X)
[式中、Rは直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基を意味する]の少なくとも1種のジイソシアネートと
当量の一般式(XI)
HS−R10−SH (XI)
[式中、vは0.1〜0.9であり、R10は直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基を意味する]のジチオール又は
当量の、少なくとも1種の一般式(II)のジチオール及び一般式(V)
HO−R11−ZH (XII)
[式中、R11は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は置換又は非置換の芳香族又は複素芳香族の基を意味し、Zは酸素又は硫黄を意味する]の少なくとも1種の化合物を有する混合物とを
触媒作用量の、ウレタン化学から公知の触媒、特にピリジン、ジアゾビシクロ(2.2.2)オクタン、コリジン及び/又はピコリンの存在下に反応させること、
b)反応を触媒しかつ安定化する慣用の化合物の存在下で、少なくとも1種の工程a)からのα,ω−二官能性チオウレタン化合物と
当量の一般式(XIII)
CH=C(R12)−COO[CH(R13)]−CH−OH (XIII)
[式中、v=2−2*vであり、R12は水素又はメチル基を意味し、R13は水素又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を意味し、かつqは1〜3の範囲の正の整数である]の少なくとも1種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させること
によって得られる、請求項1から8までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項10】
基R13が水素である、請求項9記載の混合物。
【請求項11】
式(XIII)の1種又は複数種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレートである、請求項9又は10記載の混合物。
【請求項12】
基Rが2〜9個の炭素原子を有する脂肪族基である、請求項9から11までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項13】
基R10が1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基、有利には2〜8個の炭素原子を有する直鎖状の脂肪族基である、請求項9から12までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項14】
チオウレタン化合物(T)とは異なる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(B)をモノマー(A)として含有する、請求項9から13までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項15】
少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(B)が式(XIV)
【化2】

[式中、R18は水素又はメチルであり、かつR19は直鎖状又は分枝鎖状の1〜40個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基又は芳香族基を示す]の(メタ)アクリレート、
式(XV)
【化3】

[式中、R18はそれぞれ互いに無関係に水素又はメチルであり、かつR20は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は一般式(XVa)
【化4】

(式中、R22は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基であり、zは1〜1000の整数であり、R21はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基であり、かつXはそれぞれ互いに無関係に酸素又は硫黄、一般式(XVb)、(XVc)
【化5】

のエステル基、一般式(XVd)、(XVe)、(XVf)又は(XVg)
【化6】

のウレタン基、一般式(XVh)、(XVi)、(XVj)又は(XVk)
【化7】

のチオウレタン基、一般式(XVI)、(XVm)、(XVn)又は(XVo)
【化8】

のジチオウレタン基又は一般式(XVp)、(XVq)、(XVr)又は(XVs)
【化9】

のチオカルバメート基であり、式中のR23は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基である)の基を示す]のジ(メタ)アクリレート
及び/又はスチレンである、請求項14記載の混合物。
【請求項16】
モノマー(B)が式(XV)のジ(メタ)アクリレートである、請求項15記載の混合物。
【請求項17】
高透明プラスチックの製造方法であって、請求項1から16までのいずれか1項記載の混合物を重合させることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法によって得られる高透明プラスチック。
【請求項19】
DIN53491に従って測定された屈折率が1.6より高い、請求項16記載の高透明プラスチック。
【請求項20】
DIN53491に従って測定されたアッベ数が36より高い、請求項17又は18記載の高透明プラスチック。
【請求項21】
ISO179/1fUに従って測定されたシャルピーによる衝撃強さが3.0KJ/mより高い、請求項17から19までのいずれか1項記載の高透明プラスチック。
【請求項22】
ISO5036に従って測定された透過率が88.5%より高い、請求項17から20までのいずれか1項記載の高透明プラスチック。
【請求項23】
ISO306に従って測定されたビカー軟化温度が50.0℃より高い、請求項17から21までのいずれか1項記載の高透明プラスチック。
【請求項24】
請求項17から22までのいずれか1項記載の高透明プラスチックの光学レンズ、有利には眼鏡レンズとしての使用。
【請求項25】
請求項17から22までのいずれか1項記載の透明プラスチックを有する光学レンズ、特に眼鏡レンズ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の
A)式(I)及び(II)
【化1】

[式中、
はそれぞれ互いに無関係に水素又はメチル基であり、
はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基であり、かつ
m及びnはそれぞれ互いに無関係に0以上の整数であるが、m+n>0を意味する]の化合物並びに
B)式(I)及び(II)の化合物とは異なる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(A)
を含有する混合物。
【請求項2】
式(I)及び(II)の化合物の全量に対して10モル%より多い式(II)のm+nが2である化合物を含有する、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
基Rが1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基である、請求項1又は2記載の混合物。
【請求項4】
式(I)及び(II)の化合物の全量に対して5.8モル%より多い式(II)のm+nが3である化合物を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項5】
式(I)及び(II)の化合物の全量に対して0.1〜50.0モル%の式(I)の化合物を含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項6】
式(I)及び(II)の化合物の全量に対して30モル%より多い式(II)のm+nが1である化合物を含有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項7】
式(II)のm+nが>3である化合物を含有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項8】
式(I)及び(II)の化合物の全割合が混合物の全質量に対して少なくとも5.0質量%である、請求項1から7までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項9】
少なくとも1種のチオウレタン化合物(T)をモノマー(A)として含有し、該化合物は他方で、
a)1当量の式(X)
OCN−R−NCO (X)
[式中、Rは直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基を意味する]の少なくとも1種のジイソシアネートと
当量の一般式(XI)
HS−R10−SH (XI)
[式中、vは0.1〜0.9であり、R10は直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は脂環式の基を意味する]のジチオール又は
当量の、少なくとも1種の一般式(II)のジチオール及び一般式(V)
HO−R11−ZH (XII)
[式中、R11は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基を意味し、Zは酸素又は硫黄を意味する]の少なくとも1種の化合物を有する混合物とを
触媒作用量の、ウレタン化学から公知の触媒、特にピリジン、ジアゾビシクロ(2.2.2)オクタン、コリジン及び/又はピコリンの存在下に反応させること、
b)反応を触媒しかつ安定化する慣用の化合物の存在下で、少なくとも1種の工程a)からのα,ω−二官能性チオウレタン化合物と
当量の一般式(XIII)
CH=C(R12)−COO[CH(R13)]−CH−OH (XIII)
[式中、v=2−2*vであり、R12は水素又はメチル基を意味し、R13は水素又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基を意味し、かつqは1〜3の範囲の正の整数である]の少なくとも1種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させること
によって得られる、請求項1から8までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項10】
基R13が水素である、請求項9記載の混合物。
【請求項11】
式(XIII)の1種又は複数種のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート及び4−ヒドロキシブチルアクリレートである、請求項9又は10記載の混合物。
【請求項12】
基Rが2〜9個の炭素原子を有する脂肪族基である、請求項9から11までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項13】
基R10が1〜10個の炭素原子を有する脂肪族基、有利には2〜8個の炭素原子を有する直鎖状の脂肪族基である、請求項9から12までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項14】
チオウレタン化合物(T)とは異なる少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(B)をモノマー(A)として含有する、請求項9から13までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項15】
少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(B)が式(XIV)
【化2】

[式中、R18は水素又はメチルであり、かつR19は直鎖状又は分枝鎖状の1〜40個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基を示す]の(メタ)アクリレート、
式(XV)
【化3】

[式中、R18はそれぞれ互いに無関係に水素又はメチルであり、かつR20は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基又は一般式(XVa)
【化4】

(式中、R22は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基であり、zは1〜1000の整数であり、R21はそれぞれ互いに無関係に直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基であり、かつXはそれぞれ互いに無関係に酸素又は硫黄、一般式(XVb)、(XVc)
【化5】

のエステル基、一般式(XVd)、(XVe)、(XVf)又は(XVg)
【化6】

のウレタン基、一般式(XVh)、(XVi)、(XVj)又は(XVk)
【化7】

のチオウレタン基、一般式(XVI)、(XVm)、(XVn)又は(XVo)
【化8】

のジチオウレタン基又は一般式(XVp)、(XVq)、(XVr)又は(XVs)
【化9】

のチオカルバメート基であり、式中のR23は直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族又は脂環式の基である)の基を示す]のジ(メタ)アクリレート
及び/又はスチレンである、請求項14記載の混合物。
【請求項16】
モノマー(B)が式(XV)のジ(メタ)アクリレートである、請求項15記載の混合物。
【請求項17】
高透明プラスチックの製造方法であって、請求項1から16までのいずれか1項記載の混合物を重合させることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法によって得られる高透明プラスチック。
【請求項19】
DIN53491に従って測定された屈折率が1.6より高い、請求項16記載の高透明プラスチック。
【請求項20】
DIN53491に従って測定されたアッベ数が36より高い、請求項17又は18記載の高透明プラスチック。
【請求項21】
ISO179/1fUに従って測定されたシャルピーによる衝撃強さが3.0KJ/mより高い、請求項17から19までのいずれか1項記載の高透明プラスチック。
【請求項22】
ISO5036に従って測定された透過率が88.5%より高い、請求項17から20までのいずれか1項記載の高透明プラスチック。
【請求項23】
ISO306に従って測定されたビカー軟化温度が50.0℃より高い、請求項17から21までのいずれか1項記載の高透明プラスチック。
【請求項24】
請求項17から22までのいずれか1項記載の高透明プラスチックの光学レンズ、有利には眼鏡レンズとしての使用。
【請求項25】
請求項17から22までのいずれか1項記載の透明プラスチックを有する光学レンズ、特に眼鏡レンズ。

【公表番号】特表2006−504829(P2006−504829A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548717(P2004−548717)
【出願日】平成15年9月13日(2003.9.13)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010194
【国際公開番号】WO2004/041775
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(390009128)レーム ゲゼルシャフト ミツト ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (293)
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】