説明

光学検査システム及び方法

ウェハ検査システムは、300mmウェハ全体の明視野像及び暗視野像を得るための明視野撮像ビーム経路及び暗視野撮像ビーム経路を有する。光学系は、テレセントリック撮像を提供し、光学収差が低い。前記明視野撮像ビーム経路及び暗視野撮像ビーム経路は、折り曲げられ、前記光学系は、容積が小さく設置面積が少なくて済むように一体化され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学検査システム及び方法に関する。
【0002】
被検査物体は、一般に、任意のタイプの物体、特に、半導体ウェハであり得る。半導体ウェハの応用においては、本発明は、いわゆる巨視的欠陥(macro-defect)検査を対象とする。
【背景技術】
【0003】
半導体回路は、リソグラフィ法を用いて平坦な半導体ウェハ基板上に微細パターン構造を形成することによって作製される。ウェハ基板は、約300mmの直径を有し得る。このウェハ基板内においては、数百個の回路が、通常、数ミリメートルから数十ミリメートル程度の直径を有する個々のダイの中に配置され、半導体回路の構造体は、0.1μm未満の直径を有し得る。半導体製造の初期の段階において、形成されたパターン中の欠陥及び作製プロセスの不備を検出することが望ましい。半導体基板を検査するためのいくつかの技術が公知である。
【0004】
図1は、寸法が0.1μm以下の最小パターン構造体中の不備を検出することを目的とした微視的欠陥検査システムの概略図である。図1は、矩形ダイ3のアレイが表面上に形成されたウェハ1を概略的に示している。ウェハ1は、顕微鏡の対物レンズ7に対して当該ウェハを移動及び回転させるように構成されたウェハステージ5に搭載されている。顕微鏡は、イメージセンサ11、光源13及びビームスプリッタ15を備えている。光源13によって生成された測定光ビーム17の一部は、ビームスプリッタ15で反射され、対物レンズ7を横断し、当該対物レンズによって集光されてウェハ1の表面の小さな部分を照射する。このウェハ1の照射部分はさらに、イメージセンサ11上に撮像され、ウェハ表面の小さな部分の拡大された微視的画像が検出され得る。この検出された画像と、この小さな部分の所望の画像とを比較することにより、最終的には、ウェハ1上に形成された構造体の欠陥又は不備を検出することができる。ウェハ1を光学系(optics)に対して移動させることにより、ウェハ表面の他の部分の画像を検出することが可能である。図1を参照しながら例示したような微視的欠陥検査方法は、作製された半導体回路の非常に小さな構造体中の欠陥及び不備を検出するという利点を有するが、ウェハ表面の全ての部分の画像を得るためにはかなりの時間がかかるため、スループットが低いという欠点を有する。その他の公知の微視的欠陥検査方法としては、レーザ走査方法及び電子顕微鏡検査方法が挙げられる。
【0005】
図2は、ウェハ1の表面上の複数のダイ3を含む、より大きな部分又はウェハ全面がイメージセンサ11上に撮像される巨視的欠陥検査システムを示している。利用可能なイメージセンサの大きさは、通常、ウェハ1上の撮像領域の大きさよりも小さいため、概して参照符号19で示される撮像光学系は、通常、縮小(マイクロ化)光学系である。暗視野光源21は、鋭角でウェハ表面に方向付けられる暗視野照射光ビーム22を生成するために設けられ、入射する暗視野照射光ビームの主要部分は、ウェハ表面で鏡面反射されてビームダンプ23に捕捉される。小さな粒子又は引っかき傷などのウェハ表面上の欠陥は、入射する暗視野照射光ビームを散乱させ、散乱した暗視野照射光ビームは、撮像光学系19によって集光され、イメージセンサ11によって検出可能である。あるいは、又は、さらに、ウェハ表面に入射する明視野照射光ビーム26を生成するために、明視野光源25を設けてもよく、ウェハ表面で反射される明視野照射光ビーム26の主要部分もまた、撮像光学系19によって集光され、イメージセンサ11によって検出される。図2を参照して上記で例示されるような巨視的欠陥検査方法は、ウェハ表面の比較的大きな部分の画像を短時間で得ることができるためにスループットが高いという利点を有するが、利用可能なイメージセンサの解像度が制限されているため、ウェハ1上の小さな欠陥は検出することができないという欠点を有する。さらに、巨視的欠陥検査方法は、半導体ウェハの製造中に発生する可能性のある多数の欠陥及び不備を検出することが可能である。
【0006】
従って、高スループットで、かつ、高撮像品質を可能にする光学巨視的欠陥検査システム及び方法を提供することが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題を考慮して完成された。
【0008】
本発明は、高スループットで、かつ、高撮像品質を可能にする光学検査システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態は、高スループットで、かつ、高撮像品質を可能にする検査システム及び方法を提供する。
【0010】
本発明の特定の実施の形態は、パターン化されたウェハ及びパターン化されていないウェハの光学的検査を実施するための巨視的欠陥検査システム及び方法を提供する。
【0011】
本発明の実施の形態は、光学系と、前記光学系の像平面の領域内に配置された放射線感受性基板を有する画像検出器とを備えた検査システムを提供する。この検査システムにおいて、前記光学系及び前記画像検出器は、比較的大きな物体視野(objective field)が前記放射線感受性基板上に撮像されるように構成され、前記放射線感受性基板上に撮像される物体視野の直径は、ウェハ直径の0.6倍よりも大きく、前記ウェハ直径は、300mm以上、例えば400mmであり得る。本明細書における他の実施の形態において、前記物体視野の直径は、前記ウェハ直径の0.7倍又は0.8倍よりも大きいか、又は、ウェハ全直径に対応し得る。
【0012】
他の実施の形態によれば、前記物体視野の直径は、200mmよりも大きいか、250mmよりも大きいか、又は300mmよりも大きく、物体面から前記像平面までの撮像ビーム経路の全長は、1500mm未満であるか、1300mm未満であるか、1100mm未満であるか、又は900mm未満である。他の実施の形態によれば、前記物体視野の直径で除算した、前記物体面から前記像平面までの前記撮像ビーム経路の全長は、6.0未満、特に、5.0未満であり、他の例示的な実施の形態によれば、4.0未満である。
【0013】
このような構成によれば、その光軸に沿った長手方向の長さが比較的短い光学系を用いてウェハ表面の大部分又はウェハ全表面の画像を得ることが可能である。そのため、前記検査システムの必要な光学系を比較的小さな容積に納め、半導体製造施設に現存するツールチェーン(tool chain)内で前記検査システムを容易に一体化することができる。
【0014】
本発明の実施の形態によれば、前記ウェハから前記画像検出器までの撮像は、倍率が1.0未満の縮小又は低減撮像(de-magnifying or reducing imaging)である。
【0015】
特定の実施の形態においては、倍率は、0.25未満又は0.20未満である。
【0016】
前記検査システムのいくつかの実施の形態によれば、前記検査システムは、明視野光源を備え、前記光学系は、対物レンズと、撮像ビーム経路及び明視野照射ビーム経路の両方を提供するように配置されたビームスプリッタとを備える。この目的のため、これらの構成要素は、前記物体面、前記対物レンズ、前記ビームスプリッタ及び前記放射線感受性基板がこの順番で前記撮像ビーム経路内に配列され、前記ビームスプリッタ、前記対物レンズ及び前記物体面がこの順番で前記明視野照射ビーム経路内に配列されるように配置されている。
【0017】
この配置によれば、(例えば、図2に示されるような)明視野照射と大視野撮像(large field imaging)とを一体化させる従来の配置と比較して、前記検査システムによって占められる全容積を著しく増加させることなく、明視野照射光学系又は撮像光学系を一体化させることが可能である。本願において用いられる用語「明視野照射」は、平坦な基板表面上に入射し、その鏡面反射方向に対して20度未満の角度だけ前記表面において散乱する照射光線が、前記撮像光学系によって集光され得る構成を示す。他方、本願において用いられる用語「暗視野照射」は、入射照射光線が鏡面反射方向に対して30度よりも大きい角度だけ散乱して前記撮像光学系によって集光されなければならない構成を示す。
【0018】
本発明の実施の形態によれば、前記検査システムは、前記物体視野を前記画像検出器の前記放射線感受性基板上に撮像するための撮像光学系を備え、前記撮像光学系は、正の屈折力を有する対物レンズと、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなり、前記対物レンズ、前記第1レンズ群及び前記第2レンズ群は、この順番で、共通の光軸に沿って配置され、前記撮像ビーム経路の瞳孔面は、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間に設けられている。
【0019】
本明細書における一実施の形態によれば、前記対物レンズは、2つのレンズ面を有する非接合単レンズ素子であり、より大きな面曲率を有するレンズ面は、以下の関係を満たす。すなわち、より大きな面曲率を有する前記レンズ面の曲率半径によって除算された前記対物レンズの自由直径は、0.5よりも大きいか、0.7よりも大きいか、又は0.9よりも大きい。このような対物レンズは、高い屈折力を有する。高い撮像品質を必要とする従来からの撮像の応用においては、レンズの高い屈折力によって引き起こされる色誤差(chromatic error)及び球面誤差(spherical error)を低減させるために、2つ以上のレンズ素子及び/又は接合レンズ素子を備える対物レンズが用いられる。本発明のこの実施の形態によれば、直径が大きく、かつ、高い屈折力を有する非接合レンズ素子は、比較的高い色誤差及び比較的高い球面誤差を引き起こすが、これらの誤差は、前記第1レンズ群によって補償される。このような構成によれば、前記対物レンズの簡単な構成を可能にすると共に、高い撮像品質が維持され得る。特に、前記物体視野の直径が大きく(例えば、300mm以上)、前記対物レンズの直径が前記物体視野の直径よりも幾分か大きくなければならない応用においては、この大きさの接合レンズ素子は、非常に高価であり得る。対物レンズによって誘導される色誤差及び/又は球面誤差の補償により、前記対物レンズとして、低重量かつ安価な単レンズ素子が用いられ得る。
【0020】
本明細書における例示的な一実施の形態によれば、前記非接合単レンズ素子は、球面レンズ面を有し、特定の一実施の形態によれば、1つの球面及び(無限の曲率半径を持つ)1つの平面を有する。本明細書における特定の一実施の形態によれば、前記単レンズ素子の曲面は、前記物体に向けて配向され、前記平面は、前記画像検出器に向けて配向される。
【0021】
本発明の一実施の形態によれば、前記検査システムは、所定の外周形状を有する物体を搭載するための物体支持体と、画像検出器と、前記物体をその外周を含んで前記画像検出器の放射線感受性基板上に撮像するための光学系とを備える。前記検査システムはさらに、前記物体の外周が明視野照射光を受光するように、前記物体上に入射する明視野照射光ビームを供給するための明視野光源を備える。前記光学系は、対物レンズと、第1、第2及び第3レンズ群と、視野絞り(field aperture)とを備える。以下の構成要素:前記物体面、前記対物レンズ、前記第2レンズ群及び前記画像検出器の前記放射線感受性基板は、この順番で前記撮像ビーム経路内に配列されている。前記放射線感受性基板上に撮像される物体視野は、300mmよりも大きい直径を有する。さらに、以下の構成要素:前記明視野光源、前記第3レンズ群、前記第1視野絞り、前記第2レンズ群、前記対物レンズ及び前記物体面は、この順番で前記明視野照射ビーム経路内に配列されている。前記明視野照射ビーム経路の前記構成要素は、前記物体の外周が、低強度の前記明視野照射光を受光し、前記物体面の内側が、高強度の前記明視野照射光を受光するように配置されている。このような配置によれば、前記画像内の前記物体の位置を正確に決定することができるように、前記物体の外周が前記検出画像において明確になり得る。従って、前記画像内の位置と、前記物体に取り付けられた座標系内の対応する位置との正確な対応又は変換を成し遂げることが可能となる。しかし、物体の外周は、通常、非常に高い反射放射線強度を作り出すため、過剰な光強度が前記検出器上に入射するのを避け、前記物体の表面の内部の画質を劣化させ得る高い迷光強度を避けるように、明視野照射光が前記物体の外周上に入射するのを防止することが望ましい。本発明のこの実施の形態によれば、前記外周は、前記検出画像内の前記物体の前記外周を決定するのには十分な、実質的に低減された光強度を受け、その光強度は、前記外周から注意深く選択された距離内で最大強度まで上がる。
【0022】
本発明の例示的な一実施の形態によれば、前記照射光強度は、前記照射された視野の外周における最大照射光強度の0.001倍と0.010倍との間の値から、長さ3mmから6mm内の最大照射光強度の0.900倍よりも大きい値まで上がる。
【0023】
本発明の一実施の形態によれば、前記検査システムは、撮像ビーム経路及び暗視野照射ビーム経路を提供し、前記撮像ビーム経路及び前記暗視野照射ビーム経路は共に、前記物体面に亘る各ビーム経路の光線の角度変化が低くなるように設計されている。このことは、前記物体面上の所定の位置において、前記入射暗視野照射光が比較的狭い光円錐から生じるように見え、このような光円錐が、前記物体面内の全ての位置について実質的に同じ配向を有することを意味する。同様に、所定の位置において前記物体面から発せられる全ての光線のうち、比較的狭い光円錐のみが、前記物体面を前記画像検出器上に撮像するために用いられ、前記物体面上の可能な全ての位置についてのこのような光円錐の配向は、実質的に同じである。
【0024】
本明細書における例示的な一実施の形態によれば、前記物体視野に亘る前記照射ビーム経路の主光線の配向変化は、5度未満である。本明細書で用いられるように、主光線は、光軸上の各光学系の瞳孔面を横切るビーム経路の光線である。
【0025】
さらなる例示的な一実施の形態によれば、前記撮像ビーム経路の主光線の配向変化は、5度未満である。
【0026】
さらなる例示的な一実施の形態によれば、前記物体面の側における前記撮像ビーム経路の開口数は、0.1未満、0.08未満、0.06未満、0.04未満、又は0.02未満である。本明細書で用いられる用語「開口数」は、考慮される面に入射するか又は考慮される面から発せられ、各々の光学系を横切る光線の最大光円錐の頂角(vertex angle)の正弦を示す。
【0027】
さらなる例示的な一実施の形態によれば、前記物体面の側における前記照射ビーム経路の開口数は、0.1未満、0.08未満、0.06未満、0.04未満、又は0.02未満である。
【0028】
テレセントリックな暗視野照射ビーム経路及びテレセントリックな撮像ビーム経路を有する前記検査システムは、周期構造を担持する大きな物体の表面を検査するのに都合よく適切である。このような周期構造は、前記入射光が前記撮像光学系によって受光される方向に回折されるような前記入射暗視野照射光用のブラッグ格子を形成し得る。次に、前記照射ビーム経路及び撮像ビーム経路に対してブラッグ条件を満たす前記物体の領域は、前記被検査物体の外形(features)を上回る(outshining)非常に広い領域として現れる。このことは、ブラッグ条件が満たされる位置に位置決めされた前記被検査物体の外形を検出することができないことを意味する。テレセントリックな照射ビーム経路及びテレセントリックな撮像ビーム経路のために、入射光と撮像に用いられる光との間での実質的に同じ角度規定が、前記被検査物体の全面に亘って達成される。従って、ブラッグ条件は、被検査表面の実質的に全面については満たされるか又は満たされない。そこで、前記被検査表面の全面についてブラッグ条件が避けられ得るように、前記撮像ビーム経路の光軸を中心に前記物体を回転させることにより、前記暗視野照射光にて見られるような前記周期構造の格子周期を変化させることができる。従って、前記被検査物体の暗視野像は、ブラッグ回折による劣化なしに検出され得る。
【0029】
本発明の例示的な実施の形態によれば、前記暗視野照射ビーム経路は、前記物体の表面で反射される暗視野照射光を吸収するためのビームダンプを備える。
【0030】
本明細書における特定の一実施の形態によれば、前記ビームダンプは、第1及び第2光吸収部を備え、前記第1光吸収部は、前記被検査物体で反射される前記照射ビームの一部をその表面上で受光するように配置されている。前記ビームダンプの前記第2光吸収部は、前記第1光吸収部の表面で反射される前記照射ビームの一部をその表面上で受光するように配置されている。前記第1の光吸収部は、ダークガラス(dark glass)などの透明な光吸収材料で形成されている。本発明の例示的な実施の形態によれば、前記光吸収材料は、強度I0の光が厚さ1mmのプレートに入射する際にそのプレートを透過する光の強度Itが以下の関係:200mmから800mmの波長範囲内で1×10?7≦It/I0≦0.8を満足するように構成されている。
【0031】
さらなる例示的な一実施の形態によれば、前記第2光吸収部もまた、光吸収材料で形成されている。さらなる例示的な実施の形態によれば、前記第1光吸収部及び/又は前記第2光吸収部の受光面は、反射防止コーティングを担持している。
【0032】
このようなビームダンプによれば、前記物体で反射される暗視野照射光を効果的に吸収し、前記検査システムの区分(compartment)内の迷光を防止することが可能である。前記第1光吸収部に入射する光の主光線は、前記光吸収材料の大部分で吸収され、この光の小さい部分のみが前記第1光吸収部の表面で反射され、次いで、前記第2光吸収部によって吸収される。
【0033】
本発明のさらなる実施の形態によれば、前記光学系は、撮像ビーム経路、明視野照射ビーム経路及び暗視野照射ビーム経路を提供し、1つ以上の折り曲げミラー面が、これらのビーム経路のそれぞれに配置され、完成された検査システムが占める全容積は小さくなる。
【0034】
例示的な一実施の形態によれば、前記撮像ビーム経路は、前記物体面と、前記対物レンズと、第1折り曲げミラーと、ビームスプリッタと、前記画像検出器の前記放射線感受性表面とを備え、前記明視野照射ビーム経路は、前記明視野光源と、前記ビームスプリッタと、前記第1折り曲げミラーと、前記対物レンズと、前記物体面とを備え、前記暗視野照射ビーム経路は、前記暗視野光源と、投射レンズと、第2折り曲げミラーと、前記物体面と、前記ビームダンプとを備えている。本明細書における例示的な一実施の形態によれば、前記物体面と平行な面に投影して見た場合に、前記第1折り曲げミラーと前記ビームスプリッタとの間の部分における前記撮像ビーム経路の光軸と、前記第2折り曲げミラーと前記ビームダンプとの間の部分における前記暗視野照射ビーム経路の光軸との間の角度は、70度未満である。
【0035】
本明細書における例示的な一実施の形態によれば、前記ビームスプリッタは、前記ビームダンプよりも前記投射レンズに近接して設けられている。本明細書におけるさらなる例示的な一実施の形態によれば、前記暗視野光源は、前記ビームスプリッタよりも前記ビームダンプに近接して設けられている。
【0036】
さらなる例示的な一実施の形態によれば、前記検査システムは、物体を前記検査システムに搭載するための物体供給装置を備えている。このような供給装置は、前記物体を搭載方向(loading direction)に移動させるように構成され、前記物体面と平行な前記面に投影して見た場合に、前記搭載方向と、前記第3折り曲げミラーと前記ビームダンプとの間の前記暗視野照射ビーム経路の部分との角度は、前記搭載方向と、前記第1折り曲げミラーと前記ビームスプリッタとの間の前記撮像ビーム経路の部分との角度よりも小さい。
【0037】
本発明のさらなる実施の形態によれば、前記検査システムは、前記検査システム自体の構成要素によって、又は、前記検査システムの外部にある振動源によって誘導され得る振動の存在下においても、高い撮像品質を維持する。
【0038】
本明細書における一実施の形態によれば、前記検査システムは、前記検査システムの全ての構成要素を支持する共通のベース構造を備え、前記光学系は、前記物体面、前記対物レンズ、前記第1折り曲げミラー、前記ビームスプリッタ及び前記画像検出器の前記放射線感受性表面を含む撮像ビーム経路と、前記明視野光源、前記ビームスプリッタ、前記第1折り曲げミラー、前記対物レンズ及び前記物体面を含む明視野照射ビーム経路とを提供し、前記対物レンズのフレーム及び前記第1折り曲げミラーのフレームの少なくとも1つは、前記ベースに搭載され、かつ、担持される第1光学系キャリアに搭載され、かつ、担持される。
【0039】
本明細書における例示的な一実施の形態によれば、前記画像検出器は、前記対物レンズのフレーム及び/又は前記第1ミラーのフレームに搭載され、かつ、担持される。このことは、前記対物レンズ及び前記第1折り曲げミラーから前記ビームスプリッタを介した前記画像検出器までの前記撮像ビーム経路の構成要素のための構造体を支持する剛性のチェーン(rigid chain)を形成するという利点を有し得る。
【0040】
さらなる例示的な一実施の形態によれば、前記光学系は、前記ベースに搭載され、かつ、担持される第2光学系キャリアに搭載され、かつ、担持される暗視野光源を含む暗視野照射ビーム経路を提供する。前記第1及び第2光学系キャリアは、共通して前記ベース上に搭載されるが、そうでなければ互いに接続されない別個の機械的構造体である。このような配置は、前記暗視野光源の冷却システムから生じる振動が前記対物レンズ及び/又は前記第1折り曲げミラーの振動を直接誘導しないという利点を有し得る。
【0041】
さらなる例示的な一実施の形態によれば、検査される前記物体を搭載するように配置される物体支持体は、前記第1又は第2光学系キャリアにさらに機械的に接続されることなく、共通のベースに搭載され、かつ、担持される。
【0042】
本発明の上記の、かつ、その他の有利な特徴は、添付の図面を参照しながら、本発明の例示的な実施の形態に関する以下の詳細な説明を読むことによって、さらに明白になるであろう。本発明の可能な全ての実施の形態は、必ずしも、本明細書中で明らかにされるありとあらゆる利点、又は、その利点のいくつかを示しているわけではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、従来の微視的欠陥検査システムの概略図である。
【図2】図2は、従来の巨視的欠陥検査システムの概略図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態における巨視的欠陥検査システムの概略図である。
【図4】図4は、図3に概略的に示される実施の形態の撮像ビーム経路の図である。
【図5】図5は、図3に概略的に示される実施の形態の明視野照射ビーム経路の図である。
【図6】図6は、図5に示される明視野照射ビーム経路を用いて達成される明視野光強度の概略図である。
【図7A】図7Aは、図3に概略的に示される検査システムの暗視野照射ビーム経路の図である。
【図7B】図7Bは、図3に概略的に示される検査システムの暗視野照射ビーム経路の図である。
【図8】図8は、図3に概略的に示される検査システムの撮像ビーム経路及び暗視野照射ビーム経路の特性の概略図である。
【図9】図9は、従来の検査システムを用いて得られる暗視野像である。
【図10】図10は、本発明の一実施の形態における検査システムを用いて得られる暗視野像である。
【図11】図11は、図3に概略的に示される検査システムの概略側面図である。
【図12】図12は、図3に概略的に示される検査システムの概略正面図である。
【図13】図13は、図3に概略的に示される検査システムの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に説明する例示的な実施の形態において、機能及び構造が等しい構成部材は、可能な限り同じ参照符号で示している。従って、特定の実施の形態の個々の構成部材の特徴を理解するために、他の実施の形態の説明及び課題を解決するための手段を参照されたい。
【0045】
図3は、本発明の一実施の形態における巨視的欠陥検査システムの概略図である。
【0046】
検査システム31は、半導体ウェハ35の表面33の画像を得るように設計されている。この実施の形態において、ウェハ35は、半導体製造において現在用いられている、直径約300mmのウェハである。しかし、本発明は、このようなウェハ直径には限定されず、将来用いられ得る、例えば400mm以上の他のウェハ直径にも適用され得る。さらに、本発明は、一般に、半導体ウェハとは異なる、データ記憶媒体(data carriers)、生体試料、化学処理システム等の物体を含み得る他の物体の検査にも適用可能である。
【0047】
ウェハ35は、その表面33が検査システム31の撮像ビーム経路39の物体面37に配置されるように、物体支持体36上に搭載されている。撮像ビーム経路39は、ウェハ35の全表面33を画像検出器43の放射線感受性基板41上に撮像するように構成されかつ配置されている。この目的のため、撮像ビーム経路39は、対物レンズ45、折り曲げミラー47、概して参照符号49で示される第1レンズ群、ビームスプリッタ51、概して参照符号53で示される第2レンズ群、及び画像検出器43の放射線感受性表面41を備えている。撮像ビーム経路39は、物体面37の側においてテレセントリックであり、放射線感受性表面41と一致するその像平面の側においてもテレセントリックである。物体面37の側におけるテレセントリック特性のために、対物レンズ45の直径は、ウェハ表面33の直径よりも大きい。しかし、物体面37の側におけるテレセントリック特性が要求されない実施の形態では、直径が小さくされた対物レンズを用いることが可能である。さらに、図3に概略的に示される実施の形態においては、対物レンズ45は、物体面37に向けて配向された凸面55、及び像平面41に向けて配向された実質的に平坦な面57を有する非接合単レンズ素子として示されている。本発明の他の実施の形態は、2つの曲面を有する1枚の単レンズ素子を含み、かつ、接合レンズ素子を含み得る他のタイプの対物レンズを備えていてもよく、他の対物レンズもまた、2つ以上のレンズ素子を含み得ることに留意されたい。
【0048】
対物レンズ45は、正の屈折力を有し、第1レンズ群49は、負の屈折力を有し、第2レンズ群53は、正の屈折力を有し、ビームスプリッタ51は、第1レンズ群49と第2レンズ群53との間の空間に配置されている。
【0049】
ビームスプリッタ51は、撮像ビーム経路39を分離して、明視野照射ビーム経路59を形成する機能を有する。明視野照射ビーム経路59は、明視野光源61、1つ以上の個々のレンズ素子を含み得るコリメートレンズ63、及びミラー65を備えている。この例示的な実施の形態において、光源61は、35Wの電力を有し、広いスペクトル範囲において光を放射するキセノンアークランプである。ランプ61は、IRフィルタの機能を有するウィンドウを備え、800nmを超える波長を有する光は、ウェハ35の方へは実質的には透過されない。ミラー65で反射された光は、光ファイバ67に結合される。光ファイバ67は、可撓性を有し、この光ファイバ67により、光源61の冷却システムによって誘導される振動が明視野照射システム及び撮像システムのその他の部分から切り離されるように明視野光源61を搭載することができる。
【0050】
光ファイバ67から出力される明視野照射光は、レンズ群69によってコリメートされ、光学素子群73に入射する前に2つのミラー70、71で反射される。光学素子群73は、アパーチャ75が均質に照射されるように、明視野照射光ビームを整形する機能を有する。この目的のため、レンズ群73は、レンズ、並びに、フライアイレンズ(蝿の目レンズ)及び/又はガラスロッドを含み得る1つ以上の光結合器を備えている。アパーチャ75は、視野絞りであり、明視野照射光によって照射される物体面37の部分を規定する。これを成し遂げるため、明視野照射光学系は、視野絞り75が、撮像ビーム経路の物体面37と一致するウェハ表面33上に撮像されるように構成されている。視野絞り75を横断した明視野照射光は、レンズ群77によって操作され、ミラー79で反射され、ビームスプリッタ51及びレンズ群49を横断し、ミラー47で反射され、対物レンズ45を横断して物体面37に入射する。
【0051】
図3に示される実施の形態において、明視野照射ビーム経路59は、ビームスプリッタ51を横断し、一方、撮像ビーム経路39は、ビームスプリッタ51で反射される。さらに、ビームスプリッタ51は、2つの光学面を有するプレートで形成され、そのうちの1つの面は、撮像ビーム経路を反射するための半反射性コーティングを担持する。ビームスプリッタ51のプレートは、その反射面が物体面37に向けて配向されるように配向されている。これにより、プレートの透明媒体又はその表面における屈折が撮像品質を低下させないように、撮像ビーム経路は、ビームスプリッタ51のプレートを横断したりプレートに入ったりせずに、ビームスプリッタで反射される。
【0052】
しかし、本発明の他の実施の形態においては、明視野照射ビーム経路がビームスプリッタで反射される一方、撮像ビーム経路がビームスプリッタを横断するように、明視野照射ビーム経路及び撮像ビーム経路を配置することが可能である。
【0053】
検査システム31の光学系はさらに、暗視野照射ビーム経路81を提供する。暗視野照射ビーム経路81は、高パワー広帯域光源83を備えている。本実施の形態において、高パワー広帯域光源83は、1500Wの電力を有するキセノンアークランプである。光源83から放射される光は、1つ以上のレンズ85によってコリメートされ、ミラー87及び88で反射される。ミラー87及び88は、赤外光などのスペクトルの長波長成分がミラー87を横断することを可能にすることによって、ビーム経路を折り曲げ、暗視野照射光のスペクトルを整形する機能を有し、これにより、前記長波長成分は、物体面33に供給される暗視野照射光にはもはや含まれないようになる。
【0054】
暗視野照射ビーム経路81はさらに、アパーチャ93を均質に照射するための光操作(light manipulating)光学系89並びにミラー91及び92を備えている。この目的のため、光操作光学系89は、レンズ、並びに、フライアイレンズ(蝿の目レンズ)及びガラスロッドなどの光結合器を備えている。アパーチャ93は、暗視野照射光によって照射される物体面37の部分を規定する。この目的のため、アパーチャ93は、レンズ群95及び投射レンズ97を用いて、ウェハ表面33に近接した領域に撮像され、ビーム経路は、ミラー99、101及び103によって再び折り曲げられる。
【0055】
ウェハ表面33又は撮像ビーム経路の物体面37が、暗視野照射ビーム経路が物体面37に入射する際の暗視野照射ビーム経路の光軸に対して鋭角で配向されていることは図3から明らかである。さらに、暗視野照射ビームの全強度を用いて照射されるウェハ表面33の部分は、ウェハの外周部を含んではならない。なぜなら、前記部分がウェハの外周部を含むと、画像検出器43に入り、画像検出器43によって検出される、暗視野画像を劣化させ得るかなりの量の迷光が生成されるであろうからである。従って、ウェハの内面は均質的に照射されることが所望される一方、有意な強度の暗視野照射光がウェハの外周部に入射することは避けられなければならない。このことは、アパーチャ93が非円形の湾曲した形状を有するようにアパーチャ93の形状を最適化することによって成し遂げることができる。このような最適化の詳細は、米国特許公開第2005/0146719号公報において例示されており、本明細書では、その開示全体を参考のために援用する。
【0056】
暗視野照射ビーム経路81の光学系は、ウェハ35の円形の面33が、約30度の角度αで、その表面に入射する暗視野照射光によって実質的に均質に照射されるように設計されているため、投射レンズ97を横断する暗視野照射光ビームが楕円形の断面を有することは明らかである。投射レンズ97はまた、非円形の形状を有し、暗視野照射光ビームの整形に貢献しない部分は、元々円形のレンズから切り離され、不必要な重量及び利用可能な空間の消費を防止する。
【0057】
本実施例において、暗視野照射ビーム経路81の投射レンズ97は、撮像ビーム経路39の対物レンズ45と同じ光学データを有する。特に、物体面37に向けて配向されたレンズ97の表面105は、レンズ45の表面55と同じ曲率半径を有し、暗視野光源83に向けて配向されたレンズ97の表面106は、平面を有する。暗視野照射ビーム経路及び撮像ビーム経路において同じタイプのレンズをこのように用いることは、検査システムの製造コストを下げる点で適切である。
【0058】
図4は、撮像ビーム経路39の詳細図であり、ビームスプリッタ51は図4に示されていないが、ビームスプリッタの位置は、参照符号51によって示されている。ビームスプリッタ51が、像平面41への物体面37の撮像の瞳孔面が形成される撮像ビーム経路39の領域に配置されていることは明らかである。
【0059】
撮像ビーム経路39の構成要素の光学データは、以下の表1に示される。表1において、「ガラス」欄は、SCHOTT及びOHARAの命名法による光学材料を示している。
【0060】
【表1】

上記で例示した撮像システムは、暗視野撮像に特によく適している。暗視野撮像装置(setup)において、撮像システムの撮像解像度よりもさらに小さいウェハ上の欠陥は、迷光を生成するが、この迷光は、イメージセンサによって検出され得る。この目的のため、生成された迷光をイメージセンサの少数の画素上に集光させて、画素検出器のノイズレベルを上回る検出可能な光強度を作り出すことが望ましい。このことは、ウェハの点から発せられる光が、イメージセンサ上にできるだけ小さい照射領域を生成することを意味する。このような照射領域を、当該技術分野では、かすみスポット(blurr spot)と呼ぶ。極小のかすみスポットを生成することはできない。なぜなら、撮像収差及び色の作用(chromatic operation)によって、かすみスポットは大きくなるからである。
【0061】
以下の表2は、上記表1に示される実施の形態の撮像光学系における様々な位置でのかすみスポットのサイズを例示している。表2のかすみスポットのサイズは、米国ワシントン州ベルビューにあるZEMAX Development Corporationによって製造された2008年6月24日付の光学設計ソフトウェアZEMAXを用いて計算した。
【0062】
【表2】

表2の行は、ウェハ上の極小点から発せられる光に関連し、第1欄は、各スポットについてのウェハ中心からの半径方向位置(単位:ミリメートル)を示している。第2欄は、大きなレンズ45の直後に生成されるかすみスポットの幾何学的径(単位:マイクロメートル)を示している。第3欄は、第1レンズ群49の後にビーム経路内に生成されるかすみスポットの径(単位:マイクロメートル)を示している。第5欄は、画像検出器表面上に第2レンズ群53の後に生成されるかすみスポットの径を示している。第4欄は、第2欄及び第3欄にそれぞれ与えられる数字の比を示し、第6欄は、第3欄及び第5欄にそれぞれ与えられる数字の比を示している。
【0063】
表2より、かすみスポットの大きさは、大きなレンズ45及び第1レンズ群49を通るビーム経路に沿って大きくなり、第2レンズ群53は、イメージセンサ上のかすみスポットの大きさを小さくするのに大変有効であることが明らかである。例示される実施の形態におけるイメージセンサの画素の直径は、13μmである。従って、かすみスポットの大きさは、イメージセンサの全ての位置における画素直径の4倍未満、特に、3倍未満である。
【0064】
図5は、明視野照射ビーム経路の詳細図であり、光ファイバ67の上流にある明視野照射システムの構成要素は、図5には示されていない。
【0065】
明視野照射システムに含まれる構成要素の光学データは、以下の表3A、表3Bに示される。
【0066】
【表3A】

【0067】
【表3B】

明視野照射システムは、明視野照射光でウェハ表面33を実質的に均質に照射するように構成されおり、ウェハの外周部は、低減された光強度で照射される。このことについては、以下、図6を参照しながらさらに説明する。
【0068】
図6の下部は、ウェハ35の断面を概略的に示し、ウェハ35は、平坦な上面33、及び、ウェハ35の中心から測定して約149mmの半径r2位置から始まる面取り部131を有する300mmのウェハである。ウェハ35の最大半径r1及び面取り部131の外端は、約150.5mmの位置にある。
【0069】
ウェハのこれらの幾何学的データは、例示的なデータであり、ウェハの形状寸法は、図6及びSEMI-M1-11/6と呼ばれる文献の表3において規定される基準にほぼ従っている。
【0070】
図6の上部は、半径rに依存する、物体面37上に入射する明視野照射光の強度Iを表すグラフの概略図である。半径r3=147mmまでのウェハ表面33の内部は、この領域において半導体回路を作製するために用いられる。この領域は、実質的に同じ高い光強度で照射され得る。この内部における最大光強度は、図6においてImaxとして示され、この部分内の最小光強度は、Iminとして示されている。高画像品質を確保するためには、半径r3における強度I2は、少なくとも最大強度Imaxの0.900倍でなければならない。さらに、ウェハの外周で生成される過剰量の迷光を避けながら、画像検出器43によって記録される画像におけるウェハ33の外周の検出を可能にするためには、半径r1における光強度I1は、最大強度Imaxの0.001倍から最大強度Imaxの0.010倍の範囲内でなければならない。
【0071】
図7A及び図7Bは、暗視野照射ビーム経路81のさらに詳細な図である。図7A及び図7Bにおいて暗視野照射ビーム経路を提供するために用いられる構成要素の光学データは、以下の表4に示される。
【0072】
【表4】

暗視野照射ビーム経路は、折り曲げられたビーム経路であり、ここでは、全ての折り曲げミラーが図7に示されているわけではない。ウェハ表面33及び物体面37上への暗視野照射光の入射角は、α=30度である。折り曲げミラー101と折り曲げミラー103との間のビーム経路の部分は、物体面37に対して直交するように配向されており、折り曲げミラー101のすぐ上流側にあるビーム経路の部分は、物体面37に対して角度β=10度で配向されている。
【0073】
ウェハ表面33で反射される暗視野照射光は、反射された照射光を吸収する機能を有するビームダンプ141に入射する。ビームダンプ141は、ウェハ表面33で鏡面反射される全ての暗視野照射光が、ビームダンプ141の第1光吸収部143の表面144に入射するように配置された表面144を有する第1部分143を備えている。第1光吸収部143は、SCHOTTから入手可能なN9などのダークガラスで形成されている。この材料の透過率Tは、200nmから800nmの波長範囲内の光に対して、厚さ1mmにおいて、0.02から0.14の範囲内である。ここで、Tは、透過光強度に対する入射光強度の比である。表面144は、反射防止コーティングを担持している。ガラスは、厚さ約5mmであり、この厚さは、表面144に入射し、第1部分143のバルク材料に入る光の部分を実質的に完全に吸収するのには十分である。しかし、少量の光は、表面144で鏡面反射され、次いで、この量の光は、ビームダンプ141の第2部分145の表面146に入射する。ビームダンプの第2部分145もまた、ダークガラスなどの光吸収材料で形成され、その表面146は、反射防止コーティングを担持している。ビームダンプのこのような2段階配置により、ウェハ表面133で反射される暗視野照射光を十分に吸収することが可能となる。
【0074】
図7Aに示されるように、ビームダンプ141の第1部分143の表面144は、曲面であり、表面144で反射される実質的に全ての光を受光しなければならない第2部分145の表面146は、表面144と比較して大きさが小さくされ得る。このことにより、ビームダンプ141の全体の大きさを比較的小さくすることができる。例示される実施の形態において、図7Aに概略的に示される曲面144は、(図13に示される)平坦な表面を有する矩形ガラスプレート148の複数のタイルに近似している。
【0075】
図7Aはまた、ウェハ表面33に近接した領域へのアパーチャ93の撮像の詳細を示している。一般に、アパーチャ93の画像がウェハ表面33と全く一致するように、アパーチャ93及び撮像光学系95、97を設計することは可能ではないかもしれない。図7Aにおける参照符号94は、アパーチャ93の画像が生成される(曲)面を示している。この面94は、ウェハ表面33とは一致しない。しかし、撮像光学系は、ウェハ表面33とアパーチャ93の画像94との距離が、暗視野照射ビーム経路に沿って暗視野光源により近接したウェハの側においてより小さくなるように設計されている。特に、図7Aは、アパーチャ93の画像94と暗視野光源に最も近接したウェハ表面33上の点961との距離d1、及び、アパーチャ93の画像94と暗視野光源からさらに離れたところにあるウェハ表面の点962との間の距離d2を示している。
【0076】
図7Aは、説明のために誇張されているが、例示される装置の実施の形態の例においては、関係d1/d2<0.8が満たされ、特定の実施の形態によれば、d1/d2は、0.5又は0.2未満であり得る。
【0077】
アパーチャ93の画像94及びウェハ表面33は内側(inside)が完全に一致しているわけではないため、ウェハ表面に投射されるアパーチャ93の画像は、鮮明な画像ではない。しかし、ウェハ表面へのアパーチャの撮像品質は、暗視野光源からさらに離れたところにある部分と比較すると、暗視野光源により近接したウェハの部分の方が良好である。このような配置により、その後検出され、かつ、所望の暗視野画像を劣化させ得る迷光を生成する暗視野照射光による、暗視野光源にさらに近接したウェハの縁部の照射を避けながら、高強度でウェハ表面を照射することが可能となる。
【0078】
図8は、撮像ビーム経路39及び暗視野照射ビーム経路81の開口数及びテレセントリック特性に関連する幾何学的関係の図である。図8は、ウェハ表面33上の3つの例示的な位置1521、1522、1523から生じる3つの光円錐1511、1512、1513を示している。ウェハ表面33より上側半分の空間においては、光は、これらの位置152から実質的に全ての方向に放射されるが、光円錐151内にある光線のみが、撮像光学系によって受光され、ウェハ表面を画像検出器43の放射線感受性基板41上に撮像するために用いられる。光円錐151の半開口角(half opening angle)δの正弦はまた、撮像光学系の物体側における開口数とも呼ばれる。例示される実施の形態において、撮像光学系の開口数NAは、約0.015の値を有する。
【0079】
図8はまた、光円錐151の主光線153とウェハ表面33の面法線154との角度γを示している。本実施の形態の撮像光学系は、撮像に用いられる全ての光円錐151についての角度γの最大値が約4度未満となるようなテレセントリック特性を有する。
【0080】
図8はまた、2つの例示的な位置1524及び1525に向けられる暗視野照射光線の2つの光円錐1514及び1515を示している。暗視野照射光学系の物体側における開口数は、本実施の形態においては、約0.02の値を有する。さらに、暗視野照射光ビームの主光線1534、1535は、本実施の形態においては、共通方向1544、1545からそれぞれ約4度未満の角度γ4、γ5だけ偏向している。図8における参照符号155は、共通方向に直交する線を示している。
【0081】
撮像ビーム経路39及び暗視野照射ビーム経路81の両方のテレセントリック特性は、ウェハ表面33上の全ての位置が実質的に同じ角度方向からの光を受光し、実質的に同じ方向に放射される光のみがこれらの位置の撮像に用いられるようになっている。特定の位置に入射する暗視野照射光線と、その位置から発せられて撮像に用いられる光線との角度εは、(90°−α)−4δ≦ε≦(90°−α)+4δの範囲内であり、この範囲は、撮像光学系及び暗視野照射光学系の開口数によって決定される。撮像光学系及び暗視野照射光学系のテレセントリック特性のために、この角度εの範囲は、ウェハ上の全ての位置について実質的に同じである。
【0082】
ウェハの全ての部分について同じである角度εの狭い範囲は、以下に図9及び図10を参照しながら例示されるように、パターン化されたウェハの検出に利点を有する。
【0083】
パターン化されたウェハは、暗視野照射光の波長以下の範囲にある特性寸法を有する周期構造を担持する。このような周期構造は、入射光の有意な部分が、撮像光学系によって受光されるような角度で回折されるように、入射光に対して戻り回折格子(back grating)の効果を与え得る。
【0084】
図9は、本発明の実施の形態と比べてテレセントリック特性の品質の低い比較例における検査システムによって得られるパターン化されたウェハの例示的な暗視野像である。図9は、劣化していなければ受け入れ可能なパターン化されたウェハの画像が、かなり劣化している明領域161を示している。明領域161は、ウェハ上にパターン化された周期構造における入射暗視野照射光のブラッグ回折によって生成される。図9に示される画像を生成するために用いられる検査システムは、撮像ビーム経路及び暗視野照射ビーム経路の両方について低いテレセントリック特性しか持たないため、入射光と撮像に用いられる光との角度関係は、ウェハ表面の全ての部分について同じではない。従って、明ブラッグ反射は、ブラッグ条件が入射光線と撮像に用いられる光線との間で満たされる、ウェハ表面のいくつかの部分においてのみ生成される。
【0085】
比較例におけるこのシステムでは、ウェハをその中心に対して回転させることが可能であり、これにより、暗視野照射光によって見られるウェハ上の周期構造の周期性が変化する。従って、ウェハを回転させることにより、図9に示される位置161における画像でのブラッグ反射の生成を避けることができる。しかし、同様の反射が、その後、光学系の非テレセントリック特性のために、ブラッグ条件を満たす他の領域において画像を劣化させる。従って、テレセントリック特性の品質が低い暗視野検査システムを用いて、パターン化されたウェハの満足のいく暗視野像を得ることは困難である。
【0086】
本発明の実施の形態における検査システムは、暗視野照射光学系及び撮像光学系の両方について、テレセントリック特性の品質が比較的高いため、上記で例示される角度εについての角度範囲が、ウェハ上の全ての位置について実質的に同じになる。このことにより、もしウェハ上の周期構造によって引き起こされるブラッグ反射が生成されるならば、ブラッグ反射は、ウェハの実質的に全ての位置において均等に生成され、ウェハの完全な画像がこのような反射によって劣化する。しかし、認識可能なブラッグ反射がウェハの画像全体において抑制されるようにウェハをその中心軸に対して十分な角度だけ回転させることが可能である。本発明のこの実施の形態におけるシステムを用いれば、ブラッグ反射による劣化が実質的に無いパターン化されたウェハの暗視野画像を得ることができる。
【0087】
図10は、本発明のこの実施の形態における検査システムによって得られるパターン化されたウェハの例示的な暗視野画像を示している。この画像は、ブラッグ回折によって生成される人工的な反射を含まず、認識可能な構造は、ウェハのパターニング及びウェハ上の引っかき傷などの欠陥によって生じる。
【0088】
図4、図5及び図7は、撮像ビーム経路39、明視野照射ビーム経路59、及び暗視野照射ビーム経路81の別々の図である。これら3つの別個のビーム経路は、統合されて、光学構成要素用のフレームを含む搭載構造を用いて、検査システム31を形成し、これらのビーム経路は、検査システムの構成要素が505mm×700mm×900mm(高さ)の寸法を有する矩形ハウジング内に収容され得るように折り曲げられる。
【0089】
図11、図12及び図13は、光学構成要素用の搭載構造の3次元配置及びビーム経路を例示するための概略図である。図11、図12及び図13は、検査システム31の簡略化された図であり、これらの図においては、3次元配置の理解を得るためには必要でないいくつかの構成要素及び搭載構造が、図11から図13のうちのいずれか1つの図において省略されている。
【0090】
光学検査システム31の光学構成要素は、適切なプレート又はソケットであり得る共通ベース171に全て搭載され、最終的には共通ベース171によって担持される。光学系のうち最も重い構成要素は、対物レンズ45及び折り曲げミラー47であり、これらは共に、アルミニウム鋳造体として形成される共通の一体化搭載構造173上に設けられるフレームに搭載される。対物レンズ45及び折り曲げミラー47の搭載構造173は、左右の支柱175、176によって支持され、支柱175、176は、ベース171上に支持され、対物レンズ145、折り曲げミラー47及び搭載構造173に搭載される他の光学的及び構造的構成要素の重量を支える。
【0091】
ビームスプリッタ51及びレンズ群49は、適切なフランジ181を介して搭載構造173に搭載される搭載管179内に収容され、搭載構造173は、ビームスプリッタ51及びレンズ群49を搭載し、これらの重量を支える。さらに、ミラー79、レンズ群77、73及び69、並びに、ミラー70、71などの明視野照射システムの構成要素は、搭載管179に接続され、最終的には、搭載構造173によって支持され、かつ、担持される。
【0092】
暗視野光源83は、ベース171上に直接支持される支柱183に搭載され、かつ、担持され、明視野光源の搭載構造183は、フレーム構造173とは実質的に直接的な機械接続はないものの、両方とも共通ベース171上に配置されている。
【0093】
図12は、軸191を中心としてディスク188を回転させることにより、レンズ群53と画像検出器43の放射線感受性表面41との間の位置において、フィルタの1つが撮像ビーム経路39に挿入され得るように様々なフィルタが搭載され得る複数の開口部189を有するディスク188を備えたカラーホイール187を示している。
【0094】
ここで、図12を参照する。図12は、上方から見た場合の、すなわち、物体面37に平行な面上への投影における、検査システム31の構成要素を概略的に示している。物体視野の中心は、参照符号195で示される。ウェハが、その検査位置において、物体搭載部上に搭載されると、ウェハの中心は、物体面の中心195と一致する。対物レンズ45の外周は、図12において円形線45によって示され、図12に図示されていないウェハは、対物レンズ45の直径よりも幾分か小さい直径を有している。ウェハ供給装置(図12には図示されていない)は、矢印197によって示される方向にウェハを移動させ、支柱175、176間の経路に沿ってウェハを移動させるように構成されており、これにより、ウェハは、システム39から取り外されたり、システム39に挿入されたりされ得る。
【0095】
図12に示される軸201は、物体面37と平行な面上に投影した場合に、折り曲げミラー47とビームスプリッタ51との間で、撮像ビーム経路39及び明視野照射ビーム経路59の光軸の一部と一致する。
【0096】
図12に示される軸203は、物体面37と平行な面上に投影した場合に、折り曲げミラー103とビームダンプ141との間の暗視野照射ビーム経路の一部と一致する。例示される実施の形態において、軸201と軸203との間の角度θは、約47度である。方向197と軸203との間の角度Γは、23oであり、この角度は、方向197と軸201との間の角度よりも小さい。
【0097】
ここで、図11を参照する。図11は、側面から見た検査システム31の構成要素の正面図である。暗視野照射ビーム経路81内のミラー99の中心211がミラー101の中心213よりも実質的に高い位置に設けられ、ミラー99とミラー101との間の暗視野照射ビーム経路の光軸の一部が、本実施の形態では物体面37に対して10度である角度β(図7Aを参照)で配向されていることは図11から明らかである。
【0098】
上記で図11から図13を参照しながら例示した配置によれば、検査システム31の構成要素を比較的小さな容積内に収納することができ、明視野光源もしくは暗視野光源の冷却システムから検査システムに誘導されるか、又は、ベース71を通して外部から検査システムに誘導される振動によって検査システムの画像品質がそれほど深刻に劣化しないように光学部品を搭載することができる。
【0099】
本発明を特定の例示的な実施の形態について説明したが、言うまでもなく、多くの改変、変更、及び応用が当業者に明白であることは明らかである。従って、本明細書に提示される発明の例示的な実施の形態は、あくまで例示を目的とするものであり、限定されるものではない。以下の特許請求の範囲において定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに様々な変更が行われ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系と、
前記光学系の物体面の領域内に所定のウェハ直径のウェハを搭載するためのウェハ支持体と、
明視野光源と、
前記光学系の像平面の領域内に配置された放射線感受性基板を有する画像検出器とを備えたウェハ検査システムであって、
前記光学系は、撮像ビーム経路及び明視野照射ビーム経路を提供すると共に、対物レンズとビームスプリッタとを備え、当該対物レンズ及びビームスプリッタは、
a)以下の構成要素:前記物体面、前記対物レンズ、前記ビームスプリッタ及び前記放射線感受性基板が、この順番で前記撮像ビーム経路内に配列され、かつ、
b)以下の構成要素:前記明視野光源、前記ビームスプリッタ、前記対物レンズ及び前記物体面が、この順番で前記明視野照射ビーム経路内に配列されるように配置され、
以下の関係の少なくとも1つが満足されることを特徴とするウェハ検査システム。
i)前記放射線感受性基板上に撮像される物体視野の直径が200mmよりも大きく、前記物体面から前記像平面までの前記撮像ビーム経路の全長が1100mm未満である;
ii)前記物体視野の直径で除算した、前記物体面から前記像平面までの前記撮像ビーム経路の全長が、6.0未満である;及び
iii)前記物体視野の直径が、前記ウェハ直径の0.6倍よりも大きい
【請求項2】
光学系と、
前記光学系の物体面の領域内に物体を搭載するための物体支持体と、
明視野光源と、
前記光学系の像平面の領域内に配置された放射線感受性基板を有する画像検出器とを備えた検査システムであって、
前記光学系は、撮像ビーム経路及び明視野照射ビーム経路を提供すると共に、対物レンズとビームスプリッタとを備え、当該対物レンズ及びビームスプリッタは、
a)以下の構成要素:前記物体面、前記対物レンズ、前記ビームスプリッタ及び前記放射線感受性基板が、この順番で前記撮像ビーム経路内に配列され、前記像平面への前記物体面の撮像の倍率が、0.25未満の絶対値を有し、かつ、
b)以下の構成要素:前記明視野光源、前記ビームスプリッタ、前記対物レンズ及び前記物体面が、この順番で前記明視野照射ビーム経路内に配列されるように配置されることを特徴とする検査システム。
【請求項3】
光学系と、
前記光学系の物体面の領域内に物体を搭載するための物体支持体と、
暗視野光源と、
前記光学系の像平面の領域内に配置された放射線感受性基板を有する画像検出器とを備えた検査システムであって、
前記光学系は、撮像ビーム経路及び暗視野照射ビーム経路を提供すると共に、対物レンズと投射レンズとを備え、当該対物レンズ及び投射レンズは、
a)以下の構成要素:前記物体面、前記対物レンズ及び前記放射線感受性基板が、この順番で前記撮像ビーム経路内に配列され、かつ、
b)以下の構成要素:前記暗視野光源、前記投射レンズ及び前記物体面が、この順番で前記暗視野照射ビーム経路内に配列されるように配置され、
前記暗視野照射ビーム経路の主光線の配向が、前記放射線感受性基板上に撮像された物体視野を横切って5度未満だけ変化し、
前記撮像ビーム経路の主光線の配向が、前記物体視野を横切って5度未満だけ変化し、
前記物体面の側にある前記撮像ビーム経路の開口数が、0.1未満であり、
前記物体面の側にある前記暗視野照射ビーム経路の開口数が、0.1未満であり、
以下の関係の少なくとも1つが満足されることを特徴とする検査システム。
i)前記物体視野の直径が200mmよりも大きく、前記物体面から前記像平面までの前記撮像ビーム経路の全長が1100mm未満である;
ii)前記物体視野の直径で除算した、前記物体面から前記像平面までの前記撮像ビーム経路の全長が、6.0未満である;及び
iii)前記物体視野の直径が、前記ウェハ直径の0.6倍よりも大きい
【請求項4】
物体面を像平面に撮像するための撮像光学系と、
前記像平面内に配置された、画素直径を持つ画素のアレイを有する画像検出器とを備えた暗視野撮像システムであって、
前記撮像光学系は、前記物体面上のスポットを前記像平面内の対応するかすみスポットに撮像するように構成され、
前記かすみスポットのそれぞれの直径が、前記画素直径の4倍よりも小さいことを特徴とする暗視野撮像システム。
【請求項5】
物体面を像平面に撮像し、共通の光軸に沿って次の順番で配列された、正の屈折力を有する対物レンズと、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とからなる撮像光学系を備え、前記撮像光学系の瞳孔面が、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間に設けられた検査システムであって、
前記撮像光学系が、以下の関係の少なくとも1つが満足されるように構成されたことを特徴とする検査システム。
i)前記像平面に最も近接した前記対物レンズのレンズ面から前記物体面に最も近接した前記第1レンズ群のレンズ面までの前記光軸に沿って測定された第1の長さが、前記物体面に最も近接して設けられた前記第1レンズ群の前記レンズ面から前記像平面に最も近接して設けられた前記第2のレンズ群のレンズ面までの前記光軸に沿って測定された第2の長さの1倍よりも大きいか、又は3倍よりも大きいか、又は5倍よりも大きい;
ii)前記像平面に最も近接した前記対物レンズの前記レンズ面から前記物体面に最も近接して設けられた前記第1レンズ群の前記レンズ面までの前記光軸に沿って測定された前記第1の長さが、前記像平面に撮像された物体視野の直径の1倍よりも大きいか、又は1.4倍よりも大きい;及び
iii)前記像平面に最も近接した前記対物レンズの前記レンズ面から前記物体面に最も近接して設けられた前記第1レンズ群の前記レンズ面までの前記光軸に沿って測定された前記第1の長さが、前記物体面から前記物体面に最も近接した前記対物レンズのレンズ面までの前記光軸に沿って測定された第3の長さの1倍よりも大きいか、2.0倍よりも大きいか、又は2.5倍よりも大きい
【請求項6】
光学系と、
前記光学系の物体面の領域内に所定の外周形状を有する物体を搭載するための物体支持体と、
明視野光源と、
前記光学系の像平面の領域内に配置された放射線感受性基板を有する画像検出器とを備えた検査システムであって、
前記光学系は、撮像ビーム経路及び明視野照射ビーム経路を提供すると共に、対物レンズと、第1、第2及び第3レンズ群と、第1視野絞りとを備え、当該対物レンズ、第1、第2及び第3レンズ群、並びに、第1視野絞りは、
a)以下の構成要素:前記物体面、前記対物レンズ、前記第2レンズ群及び前記放射線感受性基板が、この順番で前記撮像ビーム経路内に配列され、300mmよりも大きい直径を有する物体視野が、前記放射線感受性基板上に撮像され、かつ、
b)以下の構成要素:前記明視野光源、前記第3レンズ群、前記第1視野絞り、前記第2レンズ群、前記対物レンズ及び前記物体面が、この順番で前記明視野照射ビーム経路内に配列され、前記明視野照射ビーム経路の照射された視野が、前記物体視野内に設けられ、290mmよりも大きい直径を有し、前記照射された視野の外周では、照射光強度が、前記物体視野内の最大照射光強度の0.0005倍と0.010倍との間の値から、長さ3mmから6mm内の前記最大照射光強度の0.800倍よりも大きいか、0.900倍よりも大きいか、又は0.950倍よりも大きい値に引き上げられるように配置されることを特徴とする検査システム。
【請求項7】
光学系と、
前記光学系の物体面の領域内に所定の外周形状を有する物体を搭載するための物体支持体と、
暗視野光源と、
前記光学系の像平面の領域内に配置された放射線感受性基板を有する画像検出器とを備えた検査システムであって、
前記光学系は、撮像ビーム経路及び暗視野照射ビーム経路を提供すると共に、対物レンズと、投射レンズと、第4及び第5レンズ群と、第2視野絞りとを備え、
a)以下の構成要素:前記物体面、前記対物レンズ及び前記放射線感受性基板が、この順番で前記撮像ビーム経路内に配列され、所定の直径の物体視野が、前記放射線感受性基板上に撮像され、かつ、
b)以下の構成要素:前記暗視野光源、前記第4レンズ群、前記第2視野絞り、前記第5レンズ群、前記投射レンズ及び前記物体面が、この順番で前記暗視野照射ビーム経路内に配列され、前記第2視野絞りの画像が、前記物体面の領域内に形成されるように配置され、
以下の関係が満足されることを特徴とする検査システム。
d1/d2<0.2
ここで、d1は、前記第2視野絞りの画像からの、前記暗視野照射ビーム経路に沿った前記暗視野光源に最も近接して設けられた前記物体面の照射点の距離を表し、
d2は、前記第2視野絞りの画像からの、前記照射ビーム経路に沿った前記暗視野光源から最も遠くに設けられた前記物体面の照射点の距離を表している。
【請求項8】
光学系と、
前記光学系の物体面の領域内に物体を搭載するための物体支持体と、
暗視野光源と、
ビームダンプと、
前記光学系の像平面の領域内に配置された放射線感受性基板を有する画像検出器とを備えた検査システムであって、
前記光学系は、撮像ビーム経路及び暗視野照射ビーム経路を提供すると共に、対物レンズと投射レンズとを備え、当該対物レンズ及び投射レンズは、
a)以下の構成要素:前記物体面、前記対物レンズ及び前記放射線感受性基板が、この順番で前記撮像ビーム経路内に配列され、かつ、
b)以下の構成要素:前記暗視野光源、前記投射レンズ、前記物体面及び前記ビームダンプが、この順番で前記暗視野照射ビーム経路内に配列され、照射ビームが、鋭角で前記物体面に入射し、前記物体で反射される前記照射ビームの一部が前記ビームダンプによって受光されるように配置され、
前記ビームダンプは、第1及び第2光吸収部を備え、
前記ビームダンプの前記第1光吸収部は、厚さ1mmにおいて1×10-7から0.8までの範囲内の入射光透過率を提供する光吸収材料で形成され、間隔を置いた位置で表面と交差する面法線の対が集束するように整形された前記表面上に前記物体で反射される前記照射ビームの一部を受光するように配置され、
前記ビームダンプの前記第2光吸収部は、前記第1光吸収部で反射される前記照射ビームの一部を受光するように配置されていることを特徴とする検査システム。
【請求項9】
光学系と、
前記光学系の物体面の領域内に物体を搭載するための物体支持体と、
明視野光源と、
暗視野光源と、
前記光学系の像平面の領域内に配置された放射線感受性基板を有する画像検出器と、
ビームダンプとを備えた検査システムであって、
前記光学系は、対物レンズと、投射レンズと、第1、第2及び第3ミラーと、撮像ビーム経路、明視野照射ビーム経路及び暗視野照射ビーム経路を提供するビームスプリッタとを備え、当該対物レンズ、投射レンズ、第1、第2及び第3ミラー、並びに、ビームスプリッタは、
a)以下の構成要素:前記物体面、前記対物レンズ、前記第1ミラー、前記ビームスプリッタ及び前記放射線感受性表面が、この順番で前記撮像ビーム経路内に配列され、
b)以下の構成要素:前記明視野光源、前記ビームスプリッタ、前記1ミラー、前記対物レンズ及び前記物体面が、この順番で前記明視野照射ビーム経路内に配列され、かつ、
c)以下の構成要素:前記暗視野光源、前記第2ミラー、前記投射レンズ、前記第3ミラー、前記物体面及び前記ビームダンプが、この順番で前記暗視野照射ビーム経路内に配列されるように配置され、
前記物体面と平行な面に投影して見た場合に、前記第1ミラーと前記ビームスプリッタとの間の部分における前記撮像ビーム経路の光軸と、前記第3ミラーと前記ビームダンプとの間の部分における前記暗視野照射ビーム経路の光軸との間の角度は、70度未満、60度未満、又は50度未満であることを特徴とする検査システム。
【請求項10】
前記物体面と平行な面に投影して見た場合に、前記ビームスプリッタは、前記ビームダンプよりも前記投射レンズに近接して設けられている請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記物体面と平行な面に投影して見た場合に、前記暗視野光源は、前記ビームスプリッタよりも前記ビームダンプに近接して設けられている請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
前記物体を前記物体面に向けて、及び、前記物体面から離れるように移動させるための物体供給装置であって、前記物体面と平行な面に投影して見た場合に、前記暗視野照射ビーム経路の一部に対して前記撮像ビーム経路の部分と前記暗視野照射ビーム経路の部分との間の角度よりも小さい角度をもって配向される搭載方向に、前記物体視野の少なくとも直径に対応する距離だけ、前記物体を移動させるように構成された物体供給装置をさらに備えた請求項9〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
ベースと、
光学系と、
前記光学系の物体面の領域内に物体を搭載するための物体支持体と、
明視野光源と、
前記光学系の像平面の領域内に配置された放射線感受性基板を有する画像検出器とを備えた検査システムであって、
前記光学系は、撮像ビーム経路及び明視野照射ビーム経路を提供すると共に、対物レンズと、投射レンズと、第1ミラーと、ビームスプリッタとを備え、当該対物レンズ、投射レンズ、第1ミラー及びビームスプリッタは、
a)以下の構成要素:前記物体面、前記対物レンズ、前記第1ミラー、前記ビームスプリッタ及び前記放射線感受性表面が、この順番で前記撮像ビーム経路内に配列され、かつ、
b)以下の構成要素:前記明視野光源、前記ビームスプリッタ、前記1ミラー、前記対物レンズ及び前記物体面が、この順番で前記明視野照射ビーム経路内に配列されるように配置され、
前記ベースに搭載され、かつ、担持される第1光学系キャリアをさらに備え、
前記対物レンズのフレーム及び前記第1ミラーのフレームの少なくとも1つが、前記第1光学系キャリアに搭載され、かつ、担持され、
前記ビームスプリッタは、前記対物レンズのフレーム及び前記第1ミラーのフレームの少なくとも1つに搭載され、かつ、担持されることを特徴とする検査システム。
【請求項14】
暗視野光源とビームダンプとをさらに備え、前記光学系は、第2ミラーと、投射レンズと、第3ミラーとをさらに備え、当該第2ミラー、投射レンズ及び第3ミラーは、以下の構成要素:前記暗視野光源、前記第2ミラー、前記投射レンズ、前記第3ミラー、前記物体面及び前記ビームダンプが、この順番で前記暗視野照射ビーム経路内に配列されるように配置された請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ベースに搭載され、かつ、支持される第2光学系キャリアをさらに備え、前記暗視野光源は、前記第2光学系キャリアに搭載され、かつ、担持される請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2ミラー、前記投射レンズ及び前記第3ミラーは、前記対物レンズのフレーム及び前記第1ミラーのフレームの少なくとも1つに搭載され、かつ、支持される請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記画像検出器は、前記対物レンズのフレーム及び前記第1ミラーのフレームの少なくとも1つに搭載され、かつ、支持される請求項13〜16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
前記対物レンズのフレーム及び前記第1ミラーのフレームは、インテグラル・ボディによって提供される請求項13〜17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記物体支持体は、前記ベースに搭載され、かつ、支持される請求項13〜18のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記ビームスプリッタは、その一面に反射性コーティングを有する透明基板を備え、前記明視野照射ビーム経路が前記透明基板を横断し、前記撮像ビーム経路が前記透明基板を横断せずに前記反射性コーティングで反射されるように配置された前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記ビームスプリッタは、前記撮像ビーム経路の瞳孔面の領域内に設けられている前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記ビームスプリッタは、前記撮像ビーム経路の瞳孔面が交差する前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2視野絞りは、前記絞りを規定する外周を有する穴を含むプレートを備え、前記プレートの表面は、4m未満の少なくとも1つの曲率半径を有する曲面である前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記ビームダンプの第1構造の材料の表面は、反射防止コーティングを担持する前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記ビームダンプの第1構造の材料の表面の反射率は、0.01未満である請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記投射レンズは、2つのレンズ面を有する非接合単レンズ素子であり、より大きな面曲率を有する前記レンズ面は、前記レンズ面の曲率半径によって除算した前記投射レンズの自由直径が0.5よりも大きいという関係を満たす前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記物体面に最も近接した前記投射レンズのレンズ面は、2m未満の曲率半径を有する凸面である前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記暗視野光源に最も近接した前記投射レンズのレンズ面は、10mよりも大きい曲率半径を有する実質的に平坦な面である前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記対物レンズの第1面及び前記投射レンズの第1面は、同じ曲率半径を有し、前記対物レンズの第2面及び前記投射レンズの第2面は、同じ曲率半径を有する前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記投射レンズのレンズ面は、回転対称である前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記投射レンズは、前記暗視野照射ビーム経路を横断する第1方向において、前記暗視野照射ビーム経路を横断し、前記第1方向と直交する第2方向における長さと比較して1.5倍よりも大きい長さを有する前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記暗視野照射ビーム経路は、前記第2ミラーにおいて、80度未満の角度だけ偏向する前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記第2ミラーは、平坦なミラー面を有する前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記第3ミラーは、平坦なミラー面を有する前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記光学系は、前記明視野光源と前記ビームスプリッタとの間の前記明視野照射ビーム経路内に配置された導光ファイバを備える前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記光学系は、前記明視野光源と前記第3レンズ群との間の前記明視野照射ビーム経路内に配置された導光ファイバを備える前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記物体面上の前記暗視野照射ビームの入射方向と、前記物体面の面法線との角度は、40度よりも大きい角度である前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記ビームダンプの前記第2部分は、厚さ1mmにおいて1×10-7から0.8までの範囲内の入射光透過率を提供する材料で形成されている前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記ビームダンプの前記第2部分は、前記ビームダンプの前記第1部分で反射される照射ビームの一部を受光するように配置されている前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
前記ビームダンプは、厚さ1mmにおいて1×10-7から0.8までの範囲内の入射光透過率を提供する材料で形成され、前記ビームダンプの前記第2部分で反射される照射ビームの一部を受光するように配置された第3部分を備えている前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記ビームダンプの前記第1部分は、前記光吸収材料の平坦な表面を有する複数のプレートを備え、前記複数のプレートは、異なるプレートの対の面法線が集束するように配置されている前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項42】
直接隣接するプレートの対は、各対の第1プレートの表面の前記物体面に向けて配向される縁部が、前記対の第2プレートの表面によって投影(shadow)されるように前記暗視野照射ビーム経路内に配置されている請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記対物レンズは、前記ウェハの直径よりも大きい自由直径を有する前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項44】
外周によって規定される実質的に平坦な表面を有する物体を検査する方法であって、
前記物体の表面及びその外周を検出器上に撮像するステップと、
前記物体の表面及びその外周を明視野照射光で照射するステップとを含み、
前記外周の少なくとも一部における照射光強度は、前記表面内の最大照射光強度の0.001倍よりも大きく、0.01倍よりも小さく、前記外周の一部から2mm〜7mmの距離における前記照射光強度は、前記最大照射光強度の0.900倍よりも大きいことを特徴とする方法。
【請求項45】
前記外周の一部は、前記物体の全外周の90%よりも多くを含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
250mmよりも大きい直径を持つ実質的に平坦な表面を有し、かつ、周期構造を担持する物体を検査する方法であって、
前記物体を検査装置の測定位置に配置するステップと、
暗視野照射光の個々の光線の入射方向が、前記物体の表面に亘って5度未満だけ変化するように、前記物体の表面に前記暗視野照射光を照射するステップと、
前記物体の表面に亘って5度未満だけ変化する方向において、前記物体の表面から発せられる撮像光を用いて前記物体の表面を撮像するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項47】
前記表面の画像の分析に基づいて前記測定位置において前記物体を回転させるステップをさらに含む請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記測定位置において前記物体を配置することは、前記表面を所定の回転位置まで回転させることを含む請求項46に記載の方法。
【請求項49】
請求項1〜43のいずれか1項に記載の検査システムを用いて、前記物体の少なくとも1つの画像を得るステップを含む、物体を検査する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−516844(P2011−516844A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502299(P2011−502299)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/002482
【国際公開番号】WO2009/121628
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(510264154)ナンダ テヒノロギーズ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】